JP2006274490A - 高強力高弾性繊維構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】
高強力高弾性繊維の特徴を活かし、かつ耐摩耗性、耐疲労性および耐薬品性等が改良され、耐久性に優れた高強力高弾性繊維構造体を提供する。
【解決手段】
強度15〜50cN/dtex、弾性率200〜1500cN/dtexの高強力高弾性のマルチフィラメントを撚糸または交絡処理してなる糸条の表面を、ASTM−D790に準じて測定された曲げ弾性率が0.1〜3GPaの熱可塑性樹脂により溶融被覆され、JIS L−1096−8.20.1に準じたガーレ曲げ反発性試験における剛軟度が500〜5000mgであることを特徴とする高強力高弾性繊維およびコ−ド。
【選択図】なし

Description

本発明は、高強力高弾性繊維の特徴を活かし、かつ耐衝撃性、耐摩耗性、耐疲労性および耐薬品性等が改良された高強力高弾性繊維構造体に関する。
アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリベンゾチアゾ−ル繊維等の高強力高弾性繊維は、その特徴を活かして、特に資材用途への展開が進んでいる。
しかしながら、高強力高弾性率特性は充分なものの、資材用途においては、耐摩耗性、耐疲労性、耐候性等の耐久性および耐薬品性等も同時に要求される場合が多く、それらの特性が十分でないために期待された程充分な展開が図れていないという問題があった。
例えば、アラミド繊維であれば酸劣化し易いことは勿論、コンクリ−トのアルカリによっても劣化することから、資材用途の展開のネックになっている。また、全芳香族ポリエステルは耐アルカリ性が劣る等の短所がネックになっている。また、高弾性率高強力繊維は共通して耐摩耗性、耐屈曲疲労性、耐疲労性等の耐久性が劣るという短所を有している。
上記欠点をカバ−し、本来の高強力高弾性繊維の特徴を活かすための技術が開示されている(特許文献1〜4参照)。
特許文献1は、「耐磨耗性、耐候性および耐水性に優れた高強力疑似モノフィラメントを提供する」ことを課題とし、該課題は、「0.1g/10分以上のメルトインデックスを有する合成樹脂で被覆されている高強力繊維フィラメントまたはその撚り糸もしくはその組み糸からなる疑似モノフィラメント」とすることによって達成されるとしている。
該特許文献技術は、高強力高弾性繊維フィラメント、撚り糸もしくはその組み糸に合成樹脂被覆した疑似モノフィラメントについて開示しているものの、被覆に用いられる合成樹脂はメルトインデックスが0.1g/10分以上のものであればどのようなものでも良いとしていること、また撚り糸にする際の撚り数は50〜500回/mとされているものの繊維の太さ当たりに換算した撚り係数については言及されていない。実施例においても被覆樹脂は高密度ポリエチレンが用いられているが、撚り係数については述べられていない。
特許文献2は、「アラミド繊維とポリオレフィン系樹脂との接着性が良好であり、補強繊維の力学的性能が十分に発揮されるようなポリオレフィン系樹脂成形体アラミド繊維材料を提供すること」を課題とし、該課題は、「エポキシド化合物(A)とアイオノマ−樹脂(B)とからなる処理剤により処理されてなることを特徴とするポリオレフィン系樹脂成形体補強用のアラミド繊維」とすることによって達成されるとしている。
該特許文献技術は、樹脂成形体補強用のアラミド繊維とそれを被覆するポリオレフィン系樹脂との接着性を改良するために、処理剤としてエポキシアイオノマ−を用いることを特徴とする技術である。しかしながら、エポキシアイオノマーで前処理された繊維はエポキシ自体の弾性率が高いこと、さらにアラミド繊維をエポキシ処理液に浸漬するため単糸間までエポキシが入り込むことから得られる補強用被覆繊維は剛直になり、使用時に屈曲変形や剪断変形を受けた部分に曲がり癖がつきやすく、そこから破断しやすい。
特許文献3は、「盛り土、軟質地盤、路盤、路床に対して優れた補強効果と敷設作業性を有する高弾性率のジオテキスタイルを提供すること」を課題とし、該課題は、「引張弾性率が20GPa以上の高弾性率繊維の繊維束が熱可塑性樹脂で被覆されたものからなる網状成形体」とすることによって達成されるとしている。
該特許文献技術は、補強繊維として高弾性率繊維からなる芯をゴム、ワックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニルなどの軟質な熱可塑性樹脂により被覆することを特徴とする技術である。柔軟熱可塑性樹脂により被覆されているが、高弾性率繊維自体には交絡や撚糸などの処理が施されておらず、樹脂が単糸間まで入り込みやすく剛直になりやすい。また自体には交絡や撚糸などの処理がされていないため断面形状が均一ではなく、柔軟性にバラツキが起こりやすい。 特許文献4は、「成形物全体に繊維が均一に分散,混合され、良好な耐熱性及び機械的特性を有する成形物を与えることができる樹脂含浸被覆繊維を製造する方法を提供すること」を課題とし、該課題は「補強用繊維束を熱可塑性樹脂で被覆した樹脂含浸被覆繊維において、補強用繊維束と熱可塑性樹脂とが繊維断面において分散した海島状断面を形成し、かつ補強用繊維束を構成する単繊維群も単繊維の10〜70%が独立した島成分として海島状断面を形成していることを特徴とする樹脂含浸被覆繊維」とすることによって達成されるとしている。
該特許文献技術は、実施例において補強用繊維束を撚糸処理しているが、撚り係数が300以下と小さいため繊維層の内部に熱可塑性樹脂が含芯し、得られる繊維構造体は剛直になる。
特開2001−303467号公報 特許第3167514号公報 特開平5−125733号公報 特許2862613号公報
本発明の課題は、高強力高弾性繊維の特徴を活かし、かつ耐摩耗性、耐疲労性および耐薬品性等が改良され、耐久性に優れた高強力高弾性繊維構造体を提供することにある。
本発明は上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、以下の手段によって解決できることを見いだしたものである。
(1)芯部の繊維層と鞘部の熱可塑性樹脂層を有する繊維構造体であって、
芯部が強度15〜50cN/dtex、弾性率200〜1500cN/dtexを有する高強力高弾性率マルチフィラメントからなる撚糸または交絡糸であり、鞘部がASTM−D790に準じて測定された曲げ弾性率0.1〜3GPaの熱可塑性樹脂層からなり、L−1096−8.20.1に準じたガーレ曲げ反発性試験における剛軟度が500〜5000mgであることを特徴とする高強力高弾性繊維構造体。
(2)高強力高弾性マルチフィラメントがアラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、またはポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール繊維である。
(3)芯部を構成する高強力高弾性マルチフィラメントが撚り係数(K)400〜1000となるように撚糸処理されている、または交絡数が1m当たり5〜50個となるように交絡処理されている。
(4)高強力高弾性繊維構造体の繊維軸に対する垂直方向断面における芯部と鞘部の断面積比率が95:5〜60:40である。
(5)熱可塑性樹脂がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイドまたはフッ素樹脂である。
本発明の熱可塑性樹脂で溶融被覆された高強力高弾性繊維構造体よって、高強力高弾性率の特徴を保持し、かつ従来の高強力高弾性繊維およびコ−ドの欠点であった耐摩耗性、耐疲労性および耐薬品性等が改良され、耐久性に優れた高強力高弾性繊維およびコ−ドが得られる。
本発明は、強度15〜50cN/dtex、弾性率200〜1500cN/dtexの高強力高弾性繊維のマルチフィラメントを撚糸または交絡処理してなる糸条の表面を、曲げ弾性率が0.1〜3GPaの熱可塑性樹脂により溶融被覆したことを特徴とする高強力高弾性繊維構造体を提供するものである。
本発明により得られる高強力高弾性繊維構造体のガーレ曲げ反発性試験における剛軟度は500〜5000mgである。
本発明の高弾性繊維構造体の使用法は、土木用メッシュのように網状にした後、さらに樹脂で被覆される場合や、釣糸のように構造体単独で使用される場合など様々である。
剛軟度が5000mgを越える場合、繊維構造体が剛直になるため、いずれの使用形態においても曲げや剪断などの変形を受けた際、樹脂被覆層が損傷を受けやすくなる。損傷を受けた箇所を起点に芯成分が機械的、化学的な損傷を受けるため繊維構造体の耐疲労性、耐薬品性が低下する。一方、500mg以下では柔軟であるため被覆樹脂層の耐疲労性は向上するが、繊維構造体にコシがなくなりハンドリング性が低下するため好ましくない。
本発明の高強力高弾性繊維構造体おける剛軟度を達成するためには被覆する熱可塑性樹脂の曲げ弾性率と共に、芯部の繊維層に樹脂が含浸せず芯部と鞘部が2層構造になった状態で密着していることが重要である。
芯部に鞘部を含芯させず密着させるためには芯部を形成する繊維に撚糸、交絡等の処理を施す他に溶融被覆条件も重要であり、特に芯糸の張力が重要である。
芯糸の張力は単位繊度当たり0.018〜0.03cN/dtexが好ましい範囲であり、更に好ましくは0.02〜0.026cN/dtexである。張力が0.018cN/dtex未満では芯部繊維層に被覆樹脂が含芯しやすくなる。一方、0.03cN/dtexを越えると張力が解放された際の芯糸の収縮により芯層と被覆層の密着が不十分になりやすい。
溶融被覆する際の芯糸張力以外の各種条件は使用する熱可塑性合成樹脂によって異なるが、ポリマー温度は100〜400℃、押出圧力1〜30MPa、被覆速度1〜1000m/分、冷却水温5〜90℃などの条件を適宜選択することができる。
本発明の強度15〜50cN/dtex、弾性率200〜1500cN/dtexを有する高強力高弾性繊維は、例えば、ポリアラミド繊維、具体的には、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維("ケブラ−"および"トワロン")およびポリ−p−フェニレンテレフタルアミドと3,4−ジアミノジフェニルエ−テルの共重合体繊維("テクノ−ラ")、全芳香族ポリエステル繊維、具体的にはp−ヒドロキシ安息香酸と2,6−ヒドロメキシナフトエ酸の共重合体繊維("ベクトラン")、ポリ−p−フェニレンベンゾチアゾ−ル繊維、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾ−ル("ザイロン")、高強力高弾性率ポリエチレン繊維("ダイニ−マ"、"スペクトラ")、高強力高弾性率ポリビニルアルコ−ル繊維およびPAN系炭素繊維("トレカ"、"ベスファイト")である。
本発明の高強力高弾性繊維構造体では、溶融被覆した熱可塑性樹脂層が均一な厚みとなるよう芯層には撚糸または交絡処理糸を施した高強力高弾性繊維のマルチフィラメントを用いる。
撚糸コ−ドとする場合は、次式で定義される撚係数Kが400〜1000、好ましくは500〜800である。
Figure 2006274490
撚糸係数Kが400未満では、樹脂を溶融被覆する際に芯の高弾性率繊維フィラメントの単糸間に樹脂が含浸し易くなり、得られる構造体が剛直になる。また、断面形状が長さ方向でばらつくため繊維径方向で剛軟度が変化しやすくなり好ましくない。一方、撚糸係数Kが1000を越える場合、高弾性率繊維フィラメントの単糸同士が擦過により傷つき、芯の強度が低下してしまうため好ましくない。
交絡処理の程度は、長さ当たり5〜50個/mがこのましく、さらに好ましくは10〜30個/mの交絡点を有するよう処理したものである。
交絡処理装置を図4に示す。交絡処理装置は給糸ロール(16)、交絡ノズル(17)、引き取りロール(18)、巻き取り機(19)からなり、マルチフィラメント(15)はこれらを順次通過する。給糸ロール速度Vsと引き取りロール速度Vwの速度比を好ましくは0.95≦Vw/Vs≦0.99の範囲で設定し、交絡ノズルで糸条に高圧流体を当てることで交絡を付与できる。ロール速度は通常10〜1000m/分で任意に設定できる。また、交絡ノズルに流す流体は通常圧縮空気を用い、圧力は交絡の程度によって0.1〜5MPaの範囲で任意に設定できる。
なお、交絡数は下記の方法で測定する。
(交絡数測定方法)
水浸漬法により長さ1mm以上の交絡部の個数を測定し、1mあたりの個数に換算した。水浸漬バスは、長さ70cm、幅15cm、深さ5cmの大きさで、長手方向両端より10cmのところに仕切板を設けたものを用いた。このバスに純水を深さ約3cmになるように満たし、原糸サンプルを水浸させ、交絡部個数を測定した。なお、油剤等の不純物の影響を排除するために測定毎に純水を交換した。原糸10本の測定結果の平均を交絡数とした。
交絡数が5個未満では、樹脂を溶融被覆する際に芯の高弾性率繊維フィラメントの単糸間に樹脂が含浸し易くなり、得られる構造体が剛直になる。一方、50個を越えると長さ方向の太さ斑が大きくなるため好ましくない。
次に、本発明のASTM−D790に準じて測定される曲げ弾性率が0.1〜3GPaである熱可塑性樹脂は、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレンやポリプロピレン等)、ポリアミド(ナイロン6やナイロン66等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレ−トやポリブチレンテレフタレ−ト等)、フッ素系樹脂(ポリフッ化ビニリデンやパーフルオロアルキルエーテル等)、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン等のホモポリマまたは共重合体やブレンドポリマ等を用いる。また、該熱可塑性樹脂に耐候・光剤、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤を付与することも可能である。
本発明の高強力高弾性繊維構造体は、繊維軸に対して垂直方向断面における芯と被覆の断面積比率が95:5〜60:40であることが好ましい。芯となる高強力高弾性繊維の断面積比率が60%未満では、高強力高弾性率の効果が十分得られなくなり、一方、溶融被覆層の断面積比率が5%未満になると被覆の効果が十分得られない。また、溶融被覆層は芯層高強力高弾性繊維を可及的均一に被覆させることが望ましい。
芯層の周囲に樹脂被覆層を形成する手段としては、溶融した熱可塑性樹脂を芯層の周囲に被覆し、冷却固化する溶融被覆法、ディスパージョンや樹脂溶液を芯層に塗布し、乾燥・脱溶媒する方法などがある。
ディスパージョンや樹脂溶液を塗布する方法では、マルチフィラメントの単糸間に樹脂が浸透するため、得られる繊維構造体が堅くなり、屈曲変形や剪断変形を受けた際に曲がり癖がつきやすく、そこが欠点となり破断しやすい。また該被覆ほうでは被覆厚さを10μm未満に形成することは容易であるが、被覆厚さ10μm以上にすることは困難である。また、樹脂溶液濃度や樹脂分散状態が変化しやすく、被覆厚さの変動が大きい。さらに、ディスパージョンにより形成される被覆層には微細な孔ができるため、耐薬品性を要求される環境で使用する場合、芯層が薬品に侵されてしまう。
一方、溶融被覆法では熱可塑性樹脂は芯マルチフィラメントの表層ないしは表層の単糸間に存在するのみであり、得られる繊維構造体はディスパージョンや樹脂溶液を塗布する方法で得られるものよりも柔軟である。また10μm以上の被覆を形成することが容易であり、得られる被覆の表面は孔のない連続膜である。さらに芯層をダイスに通して被覆するため、均一な厚さの被覆が得られやすい。被覆厚さの変更はダイスの穴径を変更することにより可能である。
よって、芯層の周囲に樹脂被覆層を形成する手段としては、ダイスを使用する溶融被覆法が好ましい。
次に、本発明の機能性樹脂で被覆された高強力高弾性繊維およびコ−ドの製造法について概述すると、以下の通りである。
本発明の機能性樹脂で被覆された高強力高弾性繊維およびコ−ドは、例えば図2に示すようなエクストルーダー型押出機、クロスヘッド、ダイス、ニップル、ブレーカープレートからなる一般的な電線被覆装置を用いて有機合成繊維の表面に機能性樹脂を溶融被覆する方法により効率的に製造される。
被覆装置は図2に示すように巻いたチ−ズ又はボビンに巻かれた高強力高弾性繊維またはコ−ド(2)を送り出す送り出し機(3)、送り出しロール(4)、芯層と被覆層との接着性を高めるためにクロスヘッド(6)の直前で芯層を予熱するヒーター(5)、被覆した熱可塑性合成樹脂を冷却・固化するための冷却水槽(7)、巻き取りロール(8)、繊維表面に油剤を付与するための油剤付与装置(9)、一定速度で巻き取ることのできる巻取り機(10)も備えている。
図3はクロスヘッドの拡大図であり、エクストルーダー型押出機(11)により押し出された被覆成分である熱可塑性樹脂(1)はブレーカープレート(12)を通過してクロスヘッド(6)内部に流入した後、ニップル(13)とダイス(14)の隙間を通過する。芯となる高強力高弾性繊維またはコード(2)はダイス(14)で熱可塑性樹脂と合流し、被覆される。
さらに被覆された釣り糸の肉厚や外径を測定し、その結果をフィードバックして樹脂吐出量を自動調整する機構を備えることで長さ方向の直径均一性が高い被覆繊維を生産できる。
以下に、実施例により、本発明の態様をより具体的に述べる。
なお、本明細書本文および実施例で用いた特性の定義および測定方法は、以下の通りである。
[直径]
アンリツ(株)製レーザー外径測定機“KL−151A”を使用した。繊維300mを30m/分の速度で計測部を走行させることにより測定し平均直径を算出した。
[剛軟度]
JIS L−1096−8.20.1の規定に準じて、テスター産業(株)製ガーレ式スティフネステスター“ST−401”を用いた。長さ1.5インチに切断した試料を端面から0.5インチの箇所でクランプにより把持し、値を読みとった。読みとった値を式(2)により剛軟度に換算した。
Figure 2006274490
[引張強伸度、引張弾性率]
JIS−L1013の規定に準じて、試料を20℃、65%RHの温湿度調整室で24時間放置後、(株)オリエンテック社製“テンシロン”UTM−4−100型引張試験機を用い、試長250mm、引張速度300mm/分の条件で強力−伸度曲線を求め強度を算出した。
[耐屈曲摩耗性(強力保持率)]
JIS L−1095−7.10.2Bに準じて、固定されたφ1.0mmの摩擦子(硬質鋼線(SWP−SF))の上に接触させた繊維を、前記摩擦子の左右各55度角度で斜め下に設けたフリーローラー2個(ローラー間距離:70mm)の下に掛け、別の1個のフリーローラーの上を介して繊維の一端に0.098cN/dtexの荷重をかけてセットする。繊維試料を往復回数:105回/分、往復ストローク:25mmの条件で摩擦子に100回の接触往復させた後に試料の強力を測定し、接触往復前の試料の強力とから次式により強力保持率を求めた。この平均値が大きいほど耐屈曲摩耗性が良好なことを表す。なお、本評価は金属による擦過と繰り返しの曲げ変形が同時に加わるため、耐摩耗、耐疲労双方の評価をできる。
測定試料数:各5本
強力保持率(%)=(接触往復後の強力/接触往復前の強力)×100
[耐薬品性(強力保持率)]
上記した屈曲摩耗処理後の繊維構造体を各種薬品中に所定の温度で一定時間浸漬した後に試料の強力を測定し、浸漬前の試料の強力とから次式により求めた。
試薬(1) :水酸化カルシウム 10%(pH=14)
試薬(2) :水酸化ナトリウム 10%(pH=14)
試薬(3) :塩酸 5%(pH=1)
試薬(4) :硫酸 5%(pH=1)
浸漬温度 :50±2℃
浸漬時間 :1000時間
試料測定数 :各5本
強力保持率(%)=(浸漬後の強力/浸漬前の強力)×100
(実施例1)
東レ・デュポン(株)製のパラ系アラミド繊維「ケブラー29」1670dtexをリング撚糸機で、150t/mのS撚りを与え、撚り糸を得た(撚り係数:610)。
日本ポリオレフィン(株)製の低分子量ポリエチレン「ノバテックLF641M」をエクストルーダー型押出機へ供給し、樹脂温度が220℃となるように加熱し、圧力5MPaで押出し、直径0.45mmのニップル、直径0.48mmのダイスをセットしたクロスヘッド部で撚り糸に速度20m/分、単位繊度当たりの張力0.024cN/dtex(張力値:40cN)で溶融被覆し高強力高弾性繊維構造体を得た。被覆条件、各物性測定結果を表1に示す。
(比較例1)
被覆樹脂を三井化学(株)製のポリオレフィン系エラストマー「TPO−M142E」に変更した以外は実施例1と同様の方法で高強力高弾性繊維構造体を得た。被覆条件、各物性測定結果を表2に示す。
(比較例2)
被覆樹脂を東レ(株)製のナイロン6「アミランCM1014−V0」を使用し、樹脂温度を270℃に変更した以外は実施例1と同様の方法で高強力高弾性繊維構造体を得た。被覆条件、各物性測定結果を表2に示す。
(比較例3)
東レ・デュポン(株)製のパラ系アラミド繊維「ケブラー29」1670dtexをリング撚糸機で、50t/mのS撚りを与え(撚り係数:150)、撚り糸を得た。芯に当該撚り糸を用いた以外は実施例1と同様の方法で高強力高弾性繊維構造体を得た。被覆条件、各物性測定結果を表2に示す。
(実施例2)
東レ・デュポン(株)製のパラ系アラミド繊維「ケブラー29」1670dtexに20個/mの交絡を与え、交絡糸を得た。芯に当該交絡糸を用いた以外は実施例1と同様の方法で高強力高弾性繊維構造体を得た。被覆条件、各物性測定結果を表1に示す。
(比較例4)
東レ・デュポン(株)製のパラ系アラミド繊維「ケブラー29」1670dtexを無撚りの状態で芯糸とした以外は実施例1と同様の方法で高強力高弾性繊維構造体を得た。被覆条件、各物性測定結果を表2に示す。
(比較例5)
直径0.6mmのダイスを使用し、芯と被覆の断面積比率を50:50とした以外は実施例1と同様の方法で高強力高弾性繊維構造体を得た。被覆条件、各物性測定結果を表2に示す。
(比較例6)
直径0.43mmのダイスを使用し、芯と被覆の断面積比率を98:2とした以外は実施例1と同様の方法で高強力高弾性繊維構造体を得た。被覆条件、各物性測定結果を表2に示す。
(実施例3)
被覆樹脂を日本ポリケム(株)製のポリプロピレン「ノバテックPP−MA1B」を使用し、樹脂温度を250℃、押出圧力を6MPaに変更した以外は実施例1と同様の方法で高強力高弾性繊維構造体を得た。被覆条件、各物性測定結果を表1に示す。
(実施例4)
被覆樹脂を東レ(株)製のナイロン6「アミランCM1021FS」を使用し、樹脂温度を270℃、押出圧力を4MPaに変更した以外は実施例1と同様の方法で高強力高弾性繊維構造体を得た。被覆条件、各物性測定結果を表1に示す。
(実施例5)
被覆樹脂をポリプラスチック製のポリフェニレンサルファイド「フォートロン 0220A9」を使用し、樹脂温度を320℃に変更した以外は実施例1と同様の方法で高強力高弾性繊維構造体を得た。被覆条件、各物性測定結果を表1に示す。
(実施例6)
被覆樹脂を旭硝子(株)製の4フッ化エチレン−エチレン共重合体「フルオロンETFE」を使用し、樹脂温度を270℃、押出圧力を8MPaに変更した以外は実施例1と同様の方法で高強力高弾性繊維構造体を得た。被覆条件、各物性測定結果を表1に示す。
(実施例7)
東レ・デュポン(株)製のパラ系アラミド繊維「ケブラー29」1670dtexをリング撚糸機で、1000t/mのS撚りを与え(撚り係数:1500)、撚り糸を得た。芯に当該撚り糸を用いた以外は実施例1と同様の方法で高強力高弾性繊維構造体を得た。被覆条件、各物性測定結果を表2に示す。
(実施例8)
東レ・デュポン(株)製のパラ系アラミド繊維「ケブラー29」1670dtexに70個/mの交絡を与え、交絡糸を得た。芯に当該交絡糸を用いた以外は実施例1と同様の方法で高強力高弾性繊維構造体を得た。被覆条件、各物性測定結果を表2に示す。
(実施例9)
クラレ(株)製の全芳香族ポリエステル繊維「ベクトランHT」1670dtexをリング撚糸機で150t/mのS撚りを与え、撚り糸を得た。芯に当該撚り糸を用いた以外は実施例1と同様の方法で高強力高弾性繊維構造体を得た。被覆条件、各物性測定結果を表1に示す。
(実施例10)
東洋紡(株)製のポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール繊維「ザイロンAS」1670dtexをリング撚糸機で150t/mのS撚りを与え、撚り糸を得た。芯に当該撚り糸を用いた以外は実施例1と同様の方法で高強力高弾性繊維構造体を得た。被覆条件、各物性測定結果を表1に示す。
(比較例7)
被覆時における芯糸の単位繊度当たり張力を0.015cN/dtex(張力値:25cN)に変更した以外は実施例1と同様の方法で高強力高弾性繊維構造体を得た。被覆条件、各物性測定結果を表2に示す。
(比較例8)
被覆時における芯糸の単位繊度当たり張力を0.035cN/dtex(張力値:58.5cN)に変更した以外は実施例1と同様の方法で高強力高弾性繊維構造体を得た。被覆条件、各物性測定結果を表2に示す。
Figure 2006274490
Figure 2006274490
実施例1〜8では摩耗処理後ならびに薬品処理後の強力保持率が良好である。
比較例1では摩耗処理後ならびに薬品処理後の強力保持率が良好であるが、実施例より剛軟度が低い。
比較例2では被覆樹脂の曲げ弾性率が高く、得られる繊維構造体が剛直になるため摩耗処理により表層が損傷を受けやすく、芯フィラメントが薬品により侵されるため実施例より強力保持率が低くなる。
比較例3では芯フィラメントの撚り係数が低く、フィラメント内部まで樹脂が含浸し、得られる繊維構造体が剛直になるため摩耗処理により表層が損傷を受けやすく、芯フィラメントが薬品により侵されるため実施例より強力保持率が低くなる。
比較例4では芯フィラメントが無交絡であるためフィラメント内部まで樹脂が含浸し、得られる繊維構造体が剛直になるため摩耗処理により表層が損傷を受けやすく、芯フィラメントが薬品により侵されるため実施例より強力保持率が低くなる。
比較例5では被覆比率が高いため、実施例より繊維構造体の強度が低下する。
比較例6では被覆が薄いため擦過による損傷が被覆のみでなく芯フィラメントまで達し、摩耗処理後の強力保持率が低下する。また、耐薬品性も低い。
比較例7では被覆加工時の張力が低いため樹脂が芯フィラメント内部まで含浸し、得られる繊維構造体が剛直になるため摩耗処理により表層が損傷を受けやすく、芯フィラメントが薬品により侵されるため実施例より強力保持率が低くなる。
比較例8では被覆加工時の張力が高いため張力が解放されたときに芯フィラメントが収縮し、芯と被覆が剥離するため摩耗処理時に表層が損傷を受けやすく、芯フィラメントが薬品により侵されるため実施例より強力保持率が低くなる。
本発明の熱可塑性樹脂で溶融被覆された高強力高弾性繊維構造体は、高強力高弾性率とそれぞれの機能を活かして、主に資材用途に有用することができ、例えば、土木用メッシュ、粉体篩い分けフィルタ−、乾燥又は熱処理用搬送ベルト、抄紙用カンバス、安全ネット、養生ネット、酸またはアルカリ浴洗浄ネット、各種ロ−プ、補強用ケ−ブル、スポ−ツ用ネット、釣糸、紐類、細幅ベルト類等に用いることができる。
本発明の高強力高弾性繊維構造体を繊維軸に垂直な断面で示した模式図である。 本発明の高強力高弾性繊維構造体を製造するための被覆装置概略図である。 本発明の高強力高弾性繊維構造体を製造するための被覆装置クロスヘッド部の拡大図である。 本発明の高強力高弾性繊維に交絡を付与するための装置概略図である。
符号の説明
1.被覆成分(熱可塑性樹脂)
2.芯成分(高強力高弾性率のマルチフィラメント)
3.送り出し機
4.送り出しロール
5.加熱ヒーター
6.クロスヘッド
7.冷却水槽
8.巻取りロール
9.油剤付与ロール
10.巻取り機
11.エクストルーダー型押出機
12.ブレーカープレート
13.ニップル
14.ダイス
15.高強力高弾性率のマルチフィラメント
16.給糸ロール
17.交絡ノズル
18.引き取りロール
19.巻き取り機

Claims (6)

  1. 芯部の繊維層と鞘部の熱可塑性樹脂層を有する繊維構造体であって、芯部が強度15〜50cN/dtex、弾性率200〜1500cN/dtexを有する高強力高弾性マルチフィラメントからなる撚糸または交絡糸であり、鞘部がASTM−D790に準じて測定された曲げ弾性率0.1〜3GPaの熱可塑性樹脂層からなり、L−1096−8.20.1に準じたガーレ曲げ反発性試験における剛軟度が500〜5000mgであることを特徴とする高強力高弾性繊維構造体。
  2. 前記高強力高弾性マルチフィラメントがアラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、またはポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール繊維であることを特徴とする請求項1記載の高強力高弾性繊維構造体。
  3. 前記撚糸の下記式(1)で表される撚り係数(K)が400〜1000であることを特徴とする請求項1または2に記載の高強力高弾性繊維構造体。
    Figure 2006274490
  4. 前記交絡糸の交絡数が1m当たり5〜50個であることを特徴とする請求項1または2に記載の高強力高弾性繊維構造体。
  5. 前記高強力高弾性繊維構造体の繊維軸に対する垂直方向断面における芯部と鞘部の断面積比率が95:5〜60:40であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の高強力高弾性繊維構造体。
  6. 前記熱可塑性樹脂がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイドまたはフッ素樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の高強力高弾性繊維構造体。
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