JP2009254245A - 糸条と該糸条からなる釣糸 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 合成繊維からなるマルチフィラメント、モノフィラメントまたはモノマルチフィラメントのいずれか少なくとも1種以上のフィラメント複数本からなるフィラメント糸を、該フィラメント間に介在する弗素系樹脂により融着一体化させてなる糸条と該糸条からなる釣糸である。
【選択図】なし
Description
一方、種々の合成繊維のフィラメント糸と種々の熱接着性樹脂とを組み合わせて複数本のフィラメントを熱融着させたところ、合成繊維と熱接着性樹脂との組み合わせによっては得られた糸条の表面に小さなコブが発生し、糸条表面に凹凸が形成され、この糸条を釣糸として使用した場合ガイドとの摩擦が大きくなり、釣糸のスムーズな送り出しや巻上げができにくい問題が発生した。
また、本発明の第2の目的は、糸条中に金属線または金属粉を含有しないで比重調整可能な屈曲性、柔軟性を有する糸条を提供することにある。
更に、本発明の第3の目的は、釣糸、ガット、ロープなどに適した糸条を提供することにある。
更にまた、本発明の第4の目的は、ガイドとの摩擦が少なく、スムーズな送り出しや巻上げがしやすい釣糸を提供することにある。
また、本発明の第5の目的は、キンクや捩れ、スプールへの食い込みが発生しない釣糸を提供することにある。
より具体的には、本発明は前記糸条において、弗素系樹脂がエチレン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フルオロターポリマー樹脂(以下、「EFEP樹脂」という)である糸条である。
また、本発明は前記糸条において、フィラメント糸を構成する合成繊維が、引張強度17.5cN/dtex以上の高強力繊維である糸条である。
更に、本発明は前記糸条において、高強力繊維が、分子量50万以上の超高分子量ポリエチレン繊維である糸条である。
また、本発明は前記糸条において、フィラメント糸が、モノフィラメント、マルチフィラメントまたはモノマルチフィラメントである糸条である。
更に、本発明は前記糸条において、弗素系樹脂の配合比率が、合成繊維からなるフィラメント糸1重量部に対して0.01〜1重量部である糸条である。
更にまた、本発明は前記糸条からなる釣糸である。
(1)合成繊維からなるフィラメント糸が、弗素樹脂またはその共重合体から選ばれた弗素系樹脂で一体化されてなる糸条、
(2)弗素系樹脂がエチレン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フルオロターポリマー樹脂である前記(1)記載の糸条、
(3)フィラメント糸を構成する合成繊維が、引張強度17.5cN/dtex以上の高強力繊維である前記(1)または(2)記載の糸条、
(4)高強力繊維が、分子量50万以上の超高分子量ポリエチレン繊維である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の糸条、
(5)弗素系樹脂の形状がフィラメントであることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の糸条、
(6)フィラメント糸が、モノフィラメント、マルチフィラメントまたはモノマルチフィラメントであることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の糸条、
(7)弗素系樹脂の配合比率が、合成繊維からなるフィラメント糸1重量部に対して0.01〜1の重量構成割合である前記(1)〜(6)のいずれかに記載の糸条、
(8)前記(1)〜(7)のいずれかに記載の糸条からなる釣糸、
(9)芯部が弗素樹脂フィラメントからなり、鞘部が高強力繊維フィラメントからなり、芯部と鞘部が一体化されてなる糸条、
(10)芯部の弗素樹脂がエチレン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フルオロターポリマーであり、鞘部は芯部の周りを高強力フィラメントで製紐されてなることを特徴とする前記(9)記載の糸条、および
(11)エチレン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フルオロターポリマーを芯糸とし高強力繊維で製紐して製造した製紐糸をエチレン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フルオロターポリマーの軟化点以上の温度で加熱するか、又は当該温度での加熱下に延伸して製造される一体化されてなる糸条、
に関する。
また、弗素系樹脂が糸条表面から内部まで拡散浸透して糸条を構成する複数本のフィラメントを接着するので、引張強度、耐磨耗性、耐久性がフィラメント糸同士の表面だけで自己接着する公知の融着糸と比較して大幅に向上する。
更に、弗素系樹脂で合成繊維を融着して得られた糸条は、耐候性、耐水性、加荷重による破断強度にも優れ、糸切れが防止できるという優れた特長を有する。
更にまた、弗素系樹脂で合成繊維を融着して得られた糸条表面には小さなコブの発生がみられず、この糸条を釣糸として使用した場合、弗素系樹脂の優れた滑り性と相俟ってガイドとの摩擦がなく、スムーズに釣糸を送出し巻上げることができる。
また、合成繊維からなるフィラメント糸を弗素系樹脂で融着して得られた糸条は、弗素系樹脂が透明で非粘着性である特性を有しているので、リールやボビンに巻き上げても糸条は互いに粘着することなく、合成繊維の形状を保持した外観を呈している。
本発明で使用される合成繊維としては、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリエステル系、弗素樹脂系、ポリアクリルニトリル系、ポリビニルアルコール系などの合成樹脂からなる繊維が挙げられ、特に、JIS L 1013「化学フィラメント糸試験方法」に従って測定した引張強度が17.5cN/dtex以上の高強力繊維が好ましい。高強力繊維としては、分子量50万以上の超高分子量ポリエチレン等のポリオレフィン系繊維、芳香族ポリアミド系(アラミド)繊維、ヘテロ環高性能繊維、全芳香族ポリエステル系繊維等が挙げられ、中でも、超高分子量ポリエチレン繊維等のポリオレフィン系繊維が好ましい。
フィラメント糸が撚糸である場合、式
で示される撚係数Kは0.2〜1.5、好ましくは0.3〜1.2、更に好ましくは0.4〜0.8である。また、製紐糸の場合、組角が5〜90度、好ましくは5〜50度、更に好ましくは20〜30度である。
超高分子量ポリエチレンとは、分子量が50万以上、好ましくは100万以上を有し、ホモポリマーの他、炭素原子数3〜10程度の低級α−オレフィン類例えばプロピレン、ブテン、ペンテン、へキセン等との共重合体も含むものである。
エチレンとα−オレフィンとの共重合体の場合、後者の割合は炭素数1000個当たり平均0.1〜20個程度、好ましくは平均0.5〜10個程度であるような共重合体が好ましく、高強度などの優れた機械的性質を示す。
また、本発明で用いる高強力繊維としては、上記アラミド繊維の弾性率を高めるために、アラミド繊維のアミド結合の部分に改良を加えたヘテロ環高性能繊維を用いてもよい。ヘテロ環高性能繊維としては、ポリ−p−フェニレンベンゾビスチアゾール(PBZT)、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)等からなる繊維が挙げられる。ヘテロ環高性能繊維は、PBZT樹脂またはPBO樹脂を化学合成し、これを適当な溶剤に溶解し、乾式紡糸により紡糸し、延伸して繊維とすることができる。溶剤としては、メチルスルホン酸などの異方性溶液、ジメチルアセトアミド−LiClなどの等方性溶液、フェノール等が挙げられる。
また、フィラメント糸は、高強力繊維と高強力繊維以外の合成繊維からなるフィラメントから構成されていてもよい。高強力繊維以外の合成繊維フィラメントの含有率は、高強力繊維からなるフィラメントに対し、1/2以下、好ましくは1/3以下、より好ましいくは1/4以下である。
高伸度の物性を有する繊維が介在すると、負荷が掛かった際にそれが高強力繊維の保護材として働き、フィブリル化の発生がより少なくなり、強力低下を防ぐことができるという利点がある。
かかる高伸度の物性を有する繊維としては、ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィン樹脂などからなる繊維が挙げられ、かかる繊維から成るモノフィラメントもしくはモノフィラメント複数本を合糸したモノマルチフィラメントを用いることができる。
また、フィラメント状になっている弗素系樹脂を用い、すべての合成繊維からなるフィラメント糸が弗素系樹脂からなるフィラメント糸に接触するように配置され、さらに所望によりこれに撚りをかけたり、編んだりして、その後弗素系樹脂の融点以上の温度に加熱することにより本発明に係る糸条を製造してもよい。
コーティング方法としては、例えば、弗素系樹脂のエマルジョン液または弗素系樹脂の分散液が充満されたバスに、芯糸を含浸させ、余剰分を絞りとって、乾燥させて行うことができる。コーティングにより製造された弗素系樹脂フィラメント糸は、芯糸の約1.3〜3倍の太さを有するものが好ましい。
延伸操作を付加することにより、合成繊維からなるフィラメント糸と弗素系樹脂フィラメントとの接着性が良くなるとともに、製造された糸条の引張強度はより高くなる。
重要な実施態様は、芯部の弗素樹脂がエチレン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フルオロターポリマーであり、鞘部は芯部の周りを高強力フィラメントで製紐されてなることを特徴とする請求項9記載の糸条であり、
有利な実施態様は、エチレン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フルオロターポリマーを芯糸とし高強力繊維で製紐して製造した製紐糸をエチレン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フルオロターポリマーの軟化点以上の温度で加熱するか、又は当該温度での加熱下に延伸して製造される一体化されてなる糸条である。
着色剤としては、無機顔料、有機顔料、または有機染料が知られているが、好適なものとしては、酸化チタン、カドミウム化合物、カーボンブラック、アゾ化合物、シアニン染料、または多環顔料などが挙げられる。
被覆に使用する樹脂としては、ポリアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ナイロン、ポリエステル、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの合成樹脂などが挙げられ、エマルジョン型もしくは溶剤型のいずれでも良い。さらには天然ゴムやSBRなどの合成ゴムも用いることができる。
EFEP樹脂(商品名ネフロンEFEP、品番RP−4020 ダイキン工業株式会社製)を用い紡糸温度210℃で孔径1.6mmの紡糸口金から紡出し、総延伸倍率5.6倍で直径0.165mmのEFEP樹脂からなるモノフィラメントを得た。
このEFEP樹脂からなるモノフィラメントを芯糸とし、側糸としてダイニーマ165T/140F(超高分子量ポリエチレン糸、東洋紡績株式会社製)4本を用いて、これらを編紐機で製紐して組みひもを製造した。これを送り込みローラー100m/分の速度で、170℃に加熱した加熱炉に送り込み、巻き取りローラー120m/分の速度で巻き取り、本発明に係る糸条を製造した。
側糸としてダイニーマ165T/140F(東洋紡績株式会社製)の代わりに、ザイロン273T/166F(PBO繊維、東洋紡績株式会社製)を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、本発明に係る糸条を製造した。
側糸としてダイニーマ165T/140F(東洋紡績株式会社製)の代わりに、ベクトランT−101、280T/50F(ポリアリレート繊維、株式会社クラレ製)を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、本発明に係る糸条を製造した。
ダイニーマ165T/140F(超高分子量ポリエチレン糸、東洋紡績株式会社製)8本を用いて製紐し、芯となる糸条を製紐した。この糸条をアクリル樹脂液(商品名ボンコート3750、大日本インキ株式会社製)でディップコートした。このアクリル樹脂で被覆された超高分子量ポリエチレン糸条を、送り込みローラー100m/分の速度で、170℃に加熱した加熱炉に送り込み、巻き取りローラー120m/分の速度で巻き取り糸条を製造した。
アクリル樹脂で超高分子量ポリエチレン糸条を被覆する代わりに、ポリウレタン樹脂液(商品名、ボンディック1930A−LS、大日本インキ株式会社製)で超高分子量ポリエチレン糸条をディップコートする以外は、比較例1と全く同様にして糸条を製造した。
これらの実施例、比較例から得られた糸条の比重、破断強度、破断伸度およびコブ発生数を表1に示す。
実施例1で使用したEFEP樹脂からなる未延伸モノフィラメントとダイニーマ880T/780F(超高分子量ポリエチレン糸、株式会社株式会社東洋紡績製)とを表2に示す本数使用し、撚係数K=1.3で撚りをかけて撚り糸を製造した。この撚り糸を送り込みローラー100m/分の速度で、170℃に加熱した加熱炉に送り込み、巻き取りローラー120m/分の速度で巻き取り、本発明に係る糸条を製造した。表2に得られた糸条の比重を示す。
Claims (11)
- 合成繊維からなるフィラメント糸が、弗素樹脂またはその共重合体から選ばれた弗素系樹脂で一体化されてなる糸条。
- 弗素系樹脂がエチレン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フルオロターポリマー樹脂である請求項1記載の糸条。
- フィラメント糸を構成する合成繊維が、引張強度17.5cN/dtex以上の高強力繊維である請求項1または2記載の糸条。
- 高強力繊維が、分子量50万以上の超高分子量ポリエチレン繊維である請求項1〜3のいずれかに記載の糸条。
- 弗素系樹脂の形状がフィラメントであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の糸条。
- フィラメント糸が、モノフィラメント、マルチフィラメントまたはモノマルチフィラメントであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の糸条。
- 弗素系樹脂の配合比率が、合成繊維からなるフィラメント糸1重量部に対して0.01〜1重量部である請求項1〜6のいずれかに記載の糸条。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の糸条からなる釣糸。
- 芯部が弗素樹脂フィラメントからなり、鞘部が高強力繊維フィラメントからなり、芯部と鞘部が一体化されてなる糸条。
- 芯部の弗素樹脂がエチレン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フルオロターポリマーであり、鞘部は芯部の周りを高強力フィラメントで製紐されてなることを特徴とする請求項9記載の糸条。
- エチレン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フルオロターポリマーを芯糸とし高強力繊維で製紐して製造した製紐糸をエチレン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フルオロターポリマーの軟化点以上の温度で加熱するか、又は当該温度での加熱下に延伸して製造される一体化されてなる糸条。
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