JPH0768654B2 - 樹脂被覆糸の製造方法 - Google Patents

樹脂被覆糸の製造方法

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JPH0768654B2
JPH0768654B2 JP60154483A JP15448385A JPH0768654B2 JP H0768654 B2 JPH0768654 B2 JP H0768654B2 JP 60154483 A JP60154483 A JP 60154483A JP 15448385 A JP15448385 A JP 15448385A JP H0768654 B2 JPH0768654 B2 JP H0768654B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、柔軟で加工取扱性に優れ、かつ良好なカバー
リング性、接着強度を持った樹脂被覆糸を高能率かつ簡
便に製造する方法に関する。
<従来の技術> 糸を樹脂で覆った芯鞘型断面の樹脂被覆糸は公知であ
る。
該被覆糸の構造は、典型的には(イ)芯糸の構成単繊維
間に被覆樹脂が実質的に入り込んでいないもの(例えば
特開昭57−176255号公報で開示のもの)と(ロ)芯糸の
構成単繊維間に該樹脂が入り込んでいるもの(例えば特
開昭55−62232号公報で開示のもの)に大別され、一般
に前者は溶融押出被覆法、後者は浸漬法によって製造さ
れる。いずれの場合も芯糸と被覆樹脂間の密着(接着)
性が極めて重視される。もし両者間に空隙があるなどし
て密着(接着)性が不十分な場合には加工工程中あるい
は製品となってから他の物体とのこすれ等によって両者
間にズレや被覆層の剥脱を起し、後述する熱接着処理の
接着強度が低いほど重大な問題を誘起すると考えられる
からである。
しかるにこの接着性を被覆糸製造段階で高度に保持せん
とすれば、当然ながら芯糸の自由度は極度に拘束され、
連続的な被覆層の存在と相伴って被覆糸は極めて高剛性
のものとなる。これは(ロ)の場合著しいが(イ)の場
合でもこの接着性を向上するために加圧下で樹脂を芯糸
に押し込む等が一般に行われるため例外ではない。
ところで、この高剛性は、被覆糸の使用上はもちろん、
とくにその加工工程性上極めて不都合なものである。な
んとなればこの剛性の大きさは同じ太さの芯糸と比べれ
ば圧倒的に大であり、まず製編織等の加工性を著しく減
ずる。例えば該糸は、捲きからビレや綾落ちのない様に
特別の配慮が必要であり、安定して糸を走行させるため
に大きな張力が与えられなければならない。結びや製
編、縫製でのループ形成時など曲率半径の小さな曲げ
は、該糸にしごきを与え折れぐせをつけるなど従来の糸
の加工技術を超えたものになり、多くの場合、このため
特別な工夫が考えられなければならない。
また、高剛性のものは芯糸の自由度を減ずるために被覆
糸強力が低下するし、芯糸内部にまで侵入した樹脂は被
覆の目的上左程意味がない。
従来の技術としては、上記した接着性と柔軟性の両立と
いう被覆糸における重大課題に対し、専ら樹脂の選択や
発泡等の改質による対応がなされているのみに止まり、
望まれる芯糸、被覆樹脂のもとでこの課題を解決し被覆
糸の有用性を一層高めんとする技術の開示は未だ提案さ
れていない。例えば特開昭57−176255号公報では、一旦
接着剤で芯糸表面のみを固着し、この上に樹脂を被覆す
ることによって該樹脂の芯糸内部への侵入を防ぐという
提案がなされているが、工程的繁雑化は免れない。
本発明者らは芯糸と被覆樹脂との接着性と被覆糸自体の
柔軟性の両立を目的として検討を重ねた結果、特定の被
覆糸構造が芯糸の自由度の拘束を低く留めて柔軟性を確
保し、種々の加工外力に耐えるに十分な密(接)着性を
与えると同時に、この接着性は熱処理という簡便な手法
で任意のレベルに高めることができ、更に該構造の被覆
糸は好ましくは溶融押出被覆法によって製造できるとい
う結論を得て本発明に到達したものである。
溶融押出法には浸漬法に比べて数々の利点がある。被覆
樹脂の粘性を下げるための溶剤や可塑剤の添加、乾燥が
不要で、付着精度も高く生産性に優れ、対象とする被覆
樹脂も多い。又被覆樹脂の粘度や被覆圧力の調整で芯糸
と樹脂間の接着性あるいは浸透度合を変えることがで
き、被覆糸構造を幅広く選定することができる。
<発明が解決しようとする問題点> 本発明の目的は柔軟性に富み加工取扱性に優れた樹脂被
覆糸を提供し、さらに該糸を溶融押出被覆法によって製
造する方法を提供するものである。さらにまた接着性か
つ柔軟性のある樹脂被覆糸により、樹脂被覆糸の有用性
をさらに高めんとするにある。
<問題点を解決するための手段> 本発明は、合成繊維からなる芯糸の周囲に、熱可塑性合
成樹脂を溶融押出法により連続的に押出、被覆せしめ樹
脂被覆糸を製造するに際し、芯糸を構成するポリマーの
融点あるいは熱分解点より15℃以上低い温度で、周長比
1.04〜1.50となるようにドラフト率2.5〜20で押出被覆
し、該押出被覆工程に引き続く冷却工程中及び/又は工
程後に被覆糸直径方向に該糸の偏平度が1.5以上となる
ような塑性変形を起す圧力をかけ、しかる後に巻き取る
ことを特徴とする樹脂被覆糸の製造方法に関するもので
ある。
周長比=(被覆樹脂の内周長)/(芯糸の外周長) 本発明は以上の構成であるが、ここで提案される被覆糸
は、芯糸と被覆樹脂間で、特定された大きさの空隙を実
質的に有するものであり、さらにまたより好適な形態と
して偏平断面を有するものであるため、従来提案されて
いるものに比し優れた柔軟性と取扱性、加工工程通過性
をもち、容易に製編織し得て布帛となすことができる。
被覆糸及び布帛はそのまま実用に供することもできる
が、これを被覆樹脂の溶融温度以上の温度で熱処理する
ことによって一層その有用性は高められる。つまり熱処
理によって被覆樹脂は溶融し、次いで固化することによ
って、該空隙は場合によっては殆ど認められない程度に
まで減少して密着性を増し、大きな剛性を示すに至る。
以上のように本発明の被覆糸は熱処理の度合によって空
隙や偏平度を適宜調整できる特徴も有する。又本発明の
樹脂被覆糸を目の粗い布帛に形成する場合には、該布帛
に熱処理を施すことによって目止めが形成され、密度の
高い布帛に形成する場合には、熱処理によって気密性水
密性のあるいわゆるターポリンの布帛となる。
以下本発明をさらに詳細に説明する。
まず、本発明の被覆糸は芯糸の自由度を確保するために
芯糸と被覆樹脂間に一定の空隙を実質的に持っており、
被覆樹脂が芯糸を構成する単繊維、即ち、該単繊維が1
本の場合には、該1本の繊維の全周を直接的に接触して
包み込むことがなく、また該単繊維が2本以上の複数本
の場合には、該個々の単繊維の全周を直接的に接触して
包み込むことがないように被覆されてなるものである。
上記の実質的に空隙を持つということは、該被覆糸の横
断面において「被覆樹脂の内周長÷芯糸の外周長」で定
義される周長比が1.04〜1.5であることを意味してい
る。ここで「芯糸の外周長」とは該芯糸を被覆樹脂の溶
融押出温度と同じ温度の熱風雰囲気中で3分間以上定長
熱処理し、該被覆樹脂が再溶融固化した後の被覆樹脂の
内周長として定義する。被覆樹脂の内周長と芯糸の外周
長が等しいときすなわち周長比が1のときは、芯糸と被
覆樹脂が完全に密着していることを示す。従って、周長
比が1より大きいときは、被覆樹脂の内周が芯糸の外周
よりも大きく、芯糸と被覆樹脂の間に空隙を有している
こととなる。いずれも顕微鏡観察で容易に求められる
が、上記周長比は、樹脂被覆糸の熱処理前の被覆樹脂内
周長に対する熱処理後のそれとの比を意味する。なお、
熱処理後の被覆樹脂の上記内周長は、第5図の部分拡大
断面図で示されるように、芯糸を構成する繊維が複数の
単繊維からなる場合、該個々の単繊維の外周面に直接的
に接触している個々の円弧状の距離1を積算した距離を
意味するものではなく、単繊維集合体の外周面を最短的
に外接する閉曲線(斜線Y)と見た場合の該閉曲線の周
長を意味するものとする。
本発明の被覆糸の空隙は、上記の定長熱処理時恐らくは
被覆樹脂が溶融収縮することにより脱気されるために顕
著に減少し、芯糸外周と殆ど完全に密着することが確か
められているので、芯糸外周長は定長熱処理後の被覆樹
脂の内周長と同じとして差支えないのである。
本発明の被覆糸の被覆樹脂の内周長を求めるに当たって
とくに留意すべきは本発明の樹脂被覆糸の種々の横断面
形態を示した第1図の(ハ)、(ニ)に代表される場合
であり、該内周長は点Qを始点ならびに終点とする内周
長にPQ間の往復長を加えねばならないことである。何と
なればPQ部は被覆樹脂が偏平化のための圧力等の外力に
よって疑似的に接触しただけのものであり容易に離れる
ので芯糸の自由度を拘束することはないからである。
周長比が1.5を超えるものは加工工程等におけるこすれ
により、被覆樹脂にたくれ、ズレ、破れ、剥脱が頻発し
て加工工程性、製品品位、物性上で明らかに好ましくな
く、又熱処理を行っても密着性の調整巾が非常に少な
い。つまり、一定被覆量下においての被覆層の厚さは周
長比の増大に伴って減少し被覆層強さを減じてこれらの
トラブルの原因となると同時に、芯糸の包み込み状態に
偏りを生じて品位、物性にも悪影響を及ぼすことになる
のであり、しかもこの偏りは例え熱処理を行っても正常
なレベルまで修復されない。
一方、1.04に満たない場合には芯糸の自由度が低く柔軟
性の利点に乏しいし、芯糸と被覆樹脂間の空隙もほとん
ど存在しないため後述の偏平化もなしにくい。
本発明の被覆糸は偏平な断面構造のものを含み、これは
該糸の柔軟性は勿論、布帛にしたときのカバーリング性
をも一層向上させるのに役立つ。カバーリング性は該糸
の打ち込み本数を減じ、接着強度を上げるので重要な項
目である。更にこの偏平断面構造は該糸のボビンへの巻
取りにおいて、捲きの単位重量当たりの体積の減少に有
効であり、又芯糸と被覆樹脂との間の接着性の確保にも
役立つ。
つまり、先述の通り本発明の被覆糸は、特定範囲の周長
比を有する形態とすることによって、少なくとも加工工
程を問題なく通過するに充分な密着性を有してはいる
が、偏平断面の場合にはみかけの空隙が円状断面に比し
て少ないためと考えられる。
この偏平化の度合は で定義されるが、この値が1.5未満の場合には、上記い
ずれの点においても効果は認め難い。容易に理解される
ように偏平度1.5以上は周長比で規定された本発明の被
覆糸の基本構造との関係で設定された値である。
本発明の被覆糸を構成する芯糸としては紡績糸、フィラ
メント糸等形態を問わず、さらにこれらよりなる合撚糸
等も目的に応じて用いることができる。特に芯糸の収束
性の高い撚糸等は第1図(へ)に例示する断面構造をと
ることが多い。芯糸の素材は、耐熱性、強力等物性面か
ら合成繊維なるものが用いられる。
ここで合成繊維とはポリエステル系、ポリアミド系、ポ
リアクリロニトリル系、ポリビニルアルコール系、ポリ
塩化ビニル系、アラミド系、全芳香族ポリエステル系、
ポリオレフィン系等が挙げられる。なかんづく糸を構成
するポリマーの融点あるいは分解温度の高いもの程被覆
樹脂の選択範囲が広がるために望ましい。
被覆樹脂は熱可塑性合成樹脂より選ばれるもので、ポリ
エステル系、ポリアミド系、ポリエチレン系(塩素化ポ
リエチレンも含む)、ポリプロピレン系、ウレタン系、
ポリアクリレート系、ポリ塩化ビニル系、ポリビニルア
ルコール系、ポリ弗化ビニリデン、テトラクロロエチレ
ンル系弗素化系化合物、エチレン−ビニルアルコール共
重合体等が代表的なものとして挙げられ、さらにこれら
樹脂の混合物であっても良い。又これらの樹脂は目的に
応じ難燃剤、撥水剤、防汚剤、導電性改良剤、紫外線吸
収剤などの改質剤や着色顔料等の添加剤と適宜含むこと
ができる。
本発明の被覆糸の断面形状の代表例を第1図(イ)〜
(ヘ)に示したが、いずれも連続した被覆層をもち、被
覆層は(ハ)、(ニ)のようにその内周面で、あるいは
(ホ)のように外周面で密着している場合もある。この
ため芯糸の自由度は拘束されているように見受けられる
けれども、該密着は容易にはずれるのでこれは自由度を
実質上拘束するものではない。
被覆層内での芯糸の収束度状態は本発明の主旨に影響を
与えない。芯糸が1本あっても、あるいは多数本であっ
ても、いずれの場合も芯糸を構成する単繊維の全周を被
覆樹脂が直接的に接触して包み込むことはない。該単繊
維の全周が被覆樹脂によって直接的に接触して包み込ま
れた被覆糸は芯糸の自由度を極端に拘束し本発明の目的
は最早達成され得ない。
次ぎに本発明の上記被覆糸の製造法について説明する。
本発明の被覆糸は好ましくは溶融押出被覆法によ製造さ
れるが、先ず被覆樹脂の押出温度は芯糸を構成するポリ
マーの融点あるいは分解温度より15℃以上低くする必要
がある。この間の温度差が15℃未満では芯糸の溶融劣化
等による断糸が頻発して、正常な被覆成形ができない。
被覆樹脂は通常のスクリュー型押出機を経てダイに導か
れるが、本発明では芯糸と被覆樹脂との接触が口金で行
なわれるいわゆるチューブ型ダイ[第2図(ロ)]の使
用が好ましい。チューブ型ダイは被覆樹脂が芯糸に積極
的に押し込まれることがないために芯糸と被覆樹脂間に
空隙を作るのに適しており、又芯糸が走行する芯金(ガ
イダー)孔への樹脂の逆流の心配がないから芯金孔径も
大きくとれ工作が容易であるのみならず、芯糸太さ、形
状への適応性に優れ、更に芯糸の走行性がよくその糸通
しも例えばエアーサッカーにより容易に行える上に結び
目が通過し易いなど作業性上も大きな長所をもってい
る。
従来被覆樹脂と芯糸との間の接着性を高めんとして加圧
型ダイ[第2図(イ)]が良く用いられるが、柔軟かつ
断面形状が一定しにくい芯糸を高温下でこれに適用する
場合、糸の走行性や作業性は実際上相当に悪い。例えば
芯金孔と芯糸間の過度の摩擦は芯糸に過度の張力を与え
ることとなり、高温に加熱された芯金孔及び被覆樹脂と
の接触によって軟化した芯糸に余分な変形や摩擦による
単糸切れを引き起こす原因となる。
しかるに本発明者等は、以下に述べる種々のファクター
を制御することにより前記チューブ型ダイの場合だけに
とどまらず、加圧型ダイの場合でに本発明で目的とする
空隙を有する樹脂被覆糸が得られることがわかった。
本発明の被覆糸の製造法においては、芯糸は供給から捲
取迄実質上延伸なしで走行するのがのぞましい。また周
長比は大きくは次ぎに定義されるドラフト率と芯糸がも
ちこむ空気量とによって定まることがわかった。
ドラフト率は口金からの樹脂の吐出量と芯糸の走行速度
によって定まるが、ドラフト2.5〜20とする必要があ
る。20を越えると芯糸を取り囲む被覆樹脂は細化し芯糸
との間の空隙を減して周長比が小さくなる。一方ドラフ
ト率が2.5未満となると、持ち込む空気量が増大して周
長比が大きくなりすぎて被覆強度が低下する。
周長比の設定の上でドラフト率、芯糸走行速度の外に芯
金(ガイダー)内の空気の加、減圧は有効な制御手段で
ある。
ドラフトを受けた被覆糸は冷却ゾーン(水槽)へ導かれ
て冷却、固化され、該冷却、固化時又は/この後被覆糸
直径方向に該糸が塑性変形を起す圧力を与えられ偏平化
して巻取られる。この際必要に応じ油剤付与を行っても
良い。圧力の付与は2つ以上のロールによるニップロー
ル方式でも、張力付加によるロールなどへの押し付け方
式でもよく、ロール等の加圧子の材質も金属、ゴムなど
適宜選択される。要は偏平度1.5以上になる方式、条件
であればよい。但し過度の偏平化は被覆層の割れ等を起
す懸念があり、このようなものは被覆層のこすれ等によ
る剥脱などを起し加工性を減じるので偏平化の圧力設定
はこれを配慮して行う必要がある。この偏平化工程によ
って被覆糸は断面の偏平化と断面積の減少とを同時に受
けることにもなるが、これは被覆糸の捲き密度を高める
のに有効である。
捲取られた被覆糸は芯糸と被覆樹脂との密着性の向上、
該樹脂表面の平滑化、望む場合には断面の真円化などを
目的に糸の状態で熱処理することができる。
<本発明の効果・用途> このようにして得られた被覆糸は従来提案されているも
のに比し、卓越した柔軟性と優れた取扱性、充分な被覆
層の強さを持つもので、そのままであるいはロープ、紐
の如き撚合わせ集合体として被覆糸のみあるいは他の糸
との混用で使用することができる。芯糸は被覆樹脂によ
って摩耗、摩擦や光、熱、薬品等の環境から保護される
し、被覆樹脂の選択や被覆樹脂に対する改質剤フィラー
の添加によって難然、防汚、導電などの機能性を付与さ
れた樹脂を用いれば芯糸の改質なく個々の機能性を有効
且つ容易に付与し得る。
一般に高機能をもつ樹脂や改質剤、フィラーが大量に混
入された樹脂は繊維形成能に著しく劣ることが多いが、
本発明によれば芯糸の存在でこのような樹脂でも容易に
糸条化できるのである。例えば上記の撚合わせ集合体を
被覆樹脂の融点若しくは押出温度以上で熱処理すれば集
合体の構成単位相互が熱融着したほつれのない耐性に優
れたロープ等とすることができる。
本発明の被覆糸は従来の織機等の装置で容易に製編織す
ることができ、被覆糸のもあるいは通常の糸と混用して
得られる布帛を更に被覆樹脂の融点以上の温度で熱処理
することによってその糸交錯点に接合部を形成し、目止
能をもった布帛とすることができる。
布帛の形態は編織物に限らず、網状物および被覆糸の1
方方向への引き揃え配列物、経糸と緯糸とが交錯せず単
に重ね合わせられただけの重ね合わせ布帛であってもよ
い。いわゆるフィラメントワインデイングの方法で成形
後熱処理することによって補強された繊維樹脂複合成形
物とすることもできる。
上記の布帛は目止能を生かしてメッシュ状布帛にした場
合独特の有用性を発揮するし、高密度に作られた布帛を
熱風等で熱処理し、必要とすればローラーによるプレス
加工を行うことによって芯糸間の間隙迄樹脂が入り込ん
だ樹脂被覆布帛、いわゆるターポリン状物を得ることが
できる。又布帛に混用することは端末のほつれ防止にも
有効である。とくに織物の耳部経糸を使用することによ
り、房耳織物又はタックイン織物の緯糸を止める効果が
大である。
<実施例> 以下本発明を更に実施例を以て説明する。なお実施例中
の試験法は次記に依った。
[被覆糸の柔軟性] 被覆糸の両端を連結固定して周長20cmのループを作り、
連結点を頂点としてループを垂下させ水平方向にループ
の最大内径Aを測定する。次にこのループ下端に被覆糸
1デニール当たり2mgの荷重をかけ水平方向にループの
最大内径Bを測定し、被覆糸柔軟性=(A−B)/Aによ
り求める。
[被覆強度] 被覆糸を油剤なしの状態で整経し通常のシャトルタイプ
帆布用織機に仕掛け、経糸張力0.1g/dとし、管捲張力0.
1g/dで緯管捲した同じ被覆糸を用いて緯密度25本/咐と
なる様製織する。
織布の経糸1m長間の被覆状態(たくれ、はがれ、ささく
れ)を経糸100本について観察し次の基準で評価する。
○異常なし △正常運転可なるもたくれ、はがれ等あり ×正常運転不可 [目止強度] いずれも被覆糸を用いて経糸密度15本/咐、緯糸密度15
本/咐として1/1平織に製織し、得られた織布の4辺を
たるみないように固定し、被覆樹脂の溶融温度以上で少
なくとも3分間熱風熱処理する。この織布の経糸本数が
5本となるようにサンプリングし、該経糸を第4図に示
すように切断して試料としインストロン型引張試験機を
用いて、これを上下方向に引張ったときの最大応力を求
める。
[芯糸] ポリエステルフィラメント(10t/m片撚糸、1000d/192
f、融点255℃)を用いた。
[被覆樹脂] 中密度ポリエチレン:三井石油化学 ネオゼックス4530
0(MI値32、融点127℃) 変性ポリエステル:東亜合成COPES−170(MI値50、融点
160〜175℃) 軟質塩化ビニル:分子量1350 D0P44PHR配合 を用い
た。
実施例A、B、C スクリュー外径30mmの押出機に1.86mmの内径の口金とに
よりなるチューブ型単錐ダイを連結し、常温水を冷媒と
する1.5m長の冷却水槽の後に外径100mmの硬質ゴム表面
の上下2個のニップローラーを経て捲取機に至る第3図
で略示される設備を用い第1表に示す条件でこれを運転
し本発明の被覆糸を得た。その性状も同じく第1表に示
した。
試験NOA、B,C共に順調な被覆糸を押出温度で4分間熱
風雰囲気下で熱処理したものの周長比はいずれも1.00〜
1.02であり又被覆糸柔軟性はAが0.29、Bが0.35、Cが
0.30であって極めて剛性が大きく取扱性に欠けるもので
あった。
比較例D 試験NODは試験NOAでニップロールを通さず巻き取った
ものである。被覆糸柔軟性は、その偏平度が小さい点か
らAに劣るものであった。
比較例E 1.14mmの内径の口金と1.00mmの外径、0.6mmの内径の芯
金とになる単錐ダイを用い吐出量を21.6g/分とした以外
は実施例の試験NOAと同一設備、条件の試験を行った。
低ドラフト率のため、芯糸がダイ中に持ち込む空気の量
が大きくなり周長比が本発明の範囲を越えるものが得ら
れた。冷却水中のガイドローラ近傍から気泡の発生が見
られ被覆層に亀裂の発生がうかがわれた。偏平度は大き
い芯糸の位置は偏平形の端に著しく偏在していた。被覆
糸は被覆強度テストにおいて被覆層が芯糸よりしばしば
離脱し正常な製織が困難であり、又目止強度も低レベル
のものであった。試験条件、結果を第1表に示した。
比較例F 1.16mmの内径の口金よりなる加圧型単錐ダイを用い、ド
ラフト25、捲取速度90m/分、吐出量を3.5g/分とした以
外は実施例の試験NOAと同一設備、条件の試験を行っ
た。
ドラフト率が高いため、芯糸がダイ中にが持ち込む空気
の量が極めて少なくなり、周長比が極めて小さいものが
得られた。被覆樹脂と芯糸間に存在する空隙がほとんど
ないため、偏平化度を大きくすることは極めて困難であ
った。得られた樹脂被覆糸は剛性が高く取扱性に欠けて
いた。結果を第1表に示す。
比較例G 押出温度を250℃とした以外は、試験NOAと同一設備、
条件の試験を行った。芯糸は溶融して断糸が多発し、実
質上被覆樹脂を得ることはできなかった。
かろうじて得られた被覆糸は強度は低く、実用的なもの
ではなかった。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の樹脂被覆し断面の代表例を示す模式
図であり、Aは被覆樹脂層、Bは芯糸を構成する繊維を
示す。 第2図は本発明に使用される代表的なダイの構造を示す
模式図である。 第3図は本発明の製造工程を1例を示すものであり、
(a)は芯糸、(b),(d),(h),(i)はガイ
ド、(c)は芯糸張力付与装置(テンサー)、(e)は
ダイ、(f)は被覆樹脂押出機、(g)は冷却水槽、
(j)はニップロール、(k)は被覆糸の巻き取り装置
を示す。 第4図は本発明の目止強度の試験法を示す図であり、
(m)は経糸、(n)は緯糸、×はこの点で緯糸を切断
することを示す。 第5図は本発明での周長比を定義する芯糸の外周長を説
明するための樹脂被覆糸の拡大断面図である。
フロントページの続き (72)発明者 田中 和彦 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 洩野 正司 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 小山 元靖 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 小倉 行夫 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 中西 慎吾 岡山県岡山市海岸通1丁目2番1号 株式 会社クラレ内 (56)参考文献 特開 昭61−245314(JP,A) 特公 昭55−47136(JP,B1) 特公 昭43−14396(JP,B1)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合成繊維からなる芯糸の周囲に、熱可塑性
    合成樹脂を溶融押出法により連続的に押出、被覆せしめ
    樹脂被覆糸を製造するに際し、芯糸を構成するポリマー
    の融点あるいは熱分解点より15℃以上低い温度で、周長
    比1.04〜1.50となるようにドラフト率2.5〜20で押出被
    覆し、該押出被覆工程に引き続く冷却工程中及び/又は
    工程後に被覆糸直径方向に該糸の偏平度が1.5以上とな
    るような塑性変形を起す圧力をかけ、しかる後に巻き取
    ることを特徴とする樹脂被覆糸の製造方法。 周長比=(被覆樹脂の内周長)/(芯糸の外周長)
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