JP2017088773A - ポリエチレンパウダー、及び繊維 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】BET法により求められる比表面積が0.20m2/g以上0.80m2/g以下であり、水銀圧入法により求められる細孔容積が0.95mL/g以下であり、示差走査熱量分析における融解吸熱ピークの半値幅が6.00℃以下であり、粘度平均分子量が100万以上1000万以下であり、平均粒子径が100μm以上300μm以下である、ポリエチレンパウダー。
【選択図】なし
Description
[1]
BET法により求められる比表面積が、0.20m2/g以上0.80m2/g以下であり、
水銀圧入法により求められる細孔容積が、0.95mL/g以下であり、
示差走査熱量分析における融解吸熱ピークの半値幅が、6.00℃以下であり、
粘度平均分子量が、100万以上1000万以下であり、
平均粒子径が、100μm以上300μm以下である、ポリエチレンパウダー。
[2]
全粒子に対する、アスペクト比が0.66以上0.84以下である粒子の個数比が、50%以上である、[1]に記載のポリエチレンパウダー。
[3]
全粒子に対する、下記式(1)で定義される凹凸度が0.95以上である粒子の個数比が、25%以上である、[1]又は[2]に記載のポリエチレンパウダー。
UD=A/(A+B) (1)
(式(1)中、UDは、凹凸度を表し、Aは、対象粒子の投影面積を表し、(A+B)は、対象粒子の凸部を結んだ包絡線で囲まれた投影面積を表す。)
[4]
繊維に用いられる、[1]〜[3]のいずれかに記載のポリエチレンパウダー。
[5]
[4]に記載のポリエチレンパウダーを用いて製造される、繊維。
本実施形態のポリエチレンパウダー(以下、単に「パウダー」又は「粒子」ともいう。)は、BET法により求められる比表面積が、0.20m2/g以上0.80m2/g以下であり、水銀圧入法により求められる細孔容積が、0.95mL/g以下であり、示差走査熱量分析における融解吸熱ピークの半値幅が、6.00℃以下であり、粘度平均分子量が、100万以上1000万以下であり、平均粒子径が、100μm以上300μm以下である。ポリエチレンパウダーとしては、特に限定されないが、例えば、エチレン単独重合体、エチレンと他のコモノマーとの共重合体が挙げられる。
ポリエチレンパウダーのBET法により求められる比表面積は、0.20m2/g以上0.80m2/g以下であり、好ましくは0.25m2/g以上0.60m2/g以下であり、より好ましく0.30m2/g以上0.40m2/g以下である。本実施形態のポリエチレンパウダーの比表面積は、BET法(比表面積法)により求められる比表面積であり、後述の実施例に記載の方法により求めることができる。
本実施形態のポリエチレンパウダーの水銀圧入法により求められる細孔容積は、0.95mL/g以下であり、好ましくは0.90mL/g以下であり、より好ましくは0.85mL/g以下である。本実施形態のポリエチレンパウダーの細孔容積は、水銀圧入法により求められる細孔容積であり、後述の実施例に記載の方法により求めることができる。
本実施形態のポリエチレンパウダーの示差走査熱量分析における融解吸熱ピークの半値幅は、6.00℃以下であり、好ましくは5.50℃以下、より好ましくは5.25℃以下である。本実施形態のポリエチレンパウダーの融解吸熱ピークの半値幅は、示差走査熱量分析により求められる融解吸熱ピークの半値幅であり、後述の実施例に記載の方法により求めることができる。
本実施形態のポリエチレンパウダーの粘度平均分子量(Mv)は、100万以上1000万以下であり、好ましくは200万以上900万以下であり、より好ましくは300万以上800万以下である。本実施形態の粘度平均分子量(Mv)は、後述の実施例に記載の方法によって測定することができる。
本実施形態のポリエチレンパウダーの平均粒子径は、好ましくは100μm以上300μm以下であり、より好ましくは120μm以上280μm以下であり、さらに好ましくは150μm以上250μm以下である。本実施形態の平均粒子径は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のポリエチレンパウダーは、全粒子に対する、アスペクト比が0.66以上0.84以下である粒子(以下、「特定粒子X」ともいう。)の個数比が、50%以上であることが好ましく、より好ましくは55%以上であり、さらに好ましくは60%以上である。本実施形態のアスペクト比は、後述の実施例に記載の方法により測定することができるまた、特定粒子Xの個数比もそのときに求めることができる。
本実施形態のポリエチレンパウダーは、全粒子に対して、凹凸度が0.95以上である粒子(以下、「特定粒子Y」ともいう。)の個数比が、25%以上であることが好ましく、より好ましくは30%以上である。本実施形態の凹凸度は、下記式(1)で定義される値であり、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。また、特定粒子Yの含有量もそのときに求めることができる。
UD=A/(A+B) (1)
式(1)中、UDは、凹凸度を表し、Aは、対象粒子の投影面積を表し、(A+B)は、対象粒子の凸部を結んだ包絡線で囲まれた投影面積を表す。なお、凹凸度は、0.00以上1.00以下であり、1.00に近いほど粒子に凹凸がなく、なだらかな表面であることを意味する。図1は、本実施形態の凹凸度を求める方法を説明する模式図である。例えば、対象粒子の投影面積(A)が、図1中の左図である「粒子投影エリア」から求められる。次に、粒子投影エリアの凸部を結んだ包絡線で囲まれた投影面積(A+B)が、図1中の右図である「凸包」のA部とB部を含んだ面積として求められる。
本実施形態のポリエチレンパウダーの製造方法は、特に限定されないが、一般的なチーグラー・ナッタ触媒を用いて製造することができる。また、以下に記載する所定のチーグラー・ナッタ触媒を用いることが好ましい。
(M1)α(Mg)β(R2)a(R3)bY1 c (2)
式(2)中、M1は、周期律表の第12族、第13族、又は第14族に属する金属原子を表し、R2及びR3は、各々独立に、炭素数2以上20以下の炭化水素基を表し、Y1は、アルコキシ基、シロキシ基、アリロキシ基、アミノ基、アミド基、−N=CR4R5、−SR6、又はβ−ケト酸残基を表す(ここで、R4、R5及びR6は、各々独立に、炭素数1以上20以下の炭化水素基を表す。cが2の場合には、複数のY1は、それぞれ異なっていてもよい。)、α、β、a、b及びcは、次の関係を満たす実数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0≦c、0<a+b、0≦b/(α+β)≦2、nα+2β=a+b+c(ここで、nは、M1の原子価である。)。複数存在する場合のM1、R2、R3、及びY1は、各々独立している。
Ti(OR7)dX1 (4-d) (3)
式(3)中、dは、0以上4以下の実数であり、R7は、炭素数1以上20以下の炭化水素基を表し、X1は、ハロゲン原子を表す。複数存在する場合のR7及びX1は、各々独立している。
群(1):R2及びR3の少なくとも一方が、炭素数4以上6以下である2級又は3級のアルキル基を表すこと、好ましくはR2及びR3が、共に炭素数4以上6以下のアルキル基を表し、少なくとも一方が、2級又は3級のアルキル基を表すこと。
群(2):R2及びR3が、炭素数の互いに相異なるアルキル基を表すこと、好ましくはR2が、炭素数2又は3のアルキル基を表し、R3が、炭素数4以上のアルキル基を表すこと。
群(3):R2及びR3の少なくとも一方が、炭素数6以上の炭化水素基を表すこと、好ましくはR2及びR3の表す炭化水素基に含まれる炭素数を加算すると、12以上になるアルキル基を表すこと。
(M2)γ(Mg)δ(R8)e(R9)f(OR10)g (4)
式(4)中、M2は、周期律表の第12族、第13族、又は第14族に属する金属原子を表し、R8、R9及びR10は、各々独立に、炭素数1以上20以下の炭化水素基を表し、γ、δ、e、f及びgは、次の関係を満たす実数である。0≦γ、0<δ、0≦e、0≦f、0≦g、0<e+f、0≦g/(γ+δ)≦2、kγ+2δ=e+f+g(ここで、kは、M2の原子価である。)。複数存在する場合のM2、R8、R9、及びR10は、各々独立している。
HhSiCliR11 (4-(h+i)) (5)
式(5)中、R11は、炭素数1以上12以下の炭化水素基を表し、hとiは、次の関係を満たす実数である。0<h、0<i、0<h+i≦4。複数存在する場合のR11は、各々独立している。
群(4):R8及びR9の少なくとも一方が、炭素数4以上6以下である2級又は3級のアルキル基を表すこと、好ましくはR8及びR9が共に炭素数4以上6以下のアルキル基を表し、少なくとも一方が2級又は3級のアルキル基を表すこと。
群(5):R8及びR9が、炭素数の互いに相異なるアルキル基を表すこと、好ましくはR8が炭素数2又は3のアルキル基を表し、R9が、炭素数4以上のアルキル基を表すこと。
群(6):R8及びR9の少なくとも一方が、炭素数6以上の炭化水素基を表すこと、好ましくはR8及びR9の表す炭化水素基に含まれる炭素数を加算すると12以上になるアルキル基を表すこと。
(C−2)を事前に反応器に仕込んだ後に(C−1)を反応器に導入させる方法においては、(C−2)を仕込んだ反応器の温度を所定温度に調節し、(C−1)を反応器に導入しながら反応器内の温度を所定温度に調節することにより、反応温度は所定温度に調節することが好ましい。(C−1)を事前に反応器に仕込んだ後に(C−2)を反応器に導入させる方法においては、(C−1)を仕込んだ反応器の温度を所定温度に調節し、(C−2)を反応器に導入しながら反応器内の温度を所定温度に調節することにより、反応温度は所定温度に調節される。
AlR12 jZ1 (3-j) (6)
式(6)中、R12は、炭素数1以上20以下の炭化水素基を表し、Z1は、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリロキシ基、又はシロキシ基を表し、jは、2以上3以下の実数である。
本実施形態のポリエチレンパウダーは、繊維に用いられることが好ましい。本実施形態のポリエチレンパウダーを用いて製造させる繊維は、一般的な紡糸方法によって好適に繊維として加工されることが可能である。例えば、溶剤を用いた湿式法での円形ダイスを備え付けた押出し機にて、ゲル状に押出し、延伸、抽出及び乾燥を経る加工方法により糸を得て、これをさらに延伸する加工方法により繊維を得ることができる。
本実施形態のポリエチレンパウダーによれば、溶剤への速やかな溶解性と、未溶解物の発生が少ない成形物と、良好な流動性及び紡糸安定性と、を得ることができる。よって、本実施形態のポリエチレンパウダーは、高強度が必要とされる繊維の原料として好適に用いることができる。本実施形態のポリエチレンパウダーから得られる繊維は、各種スポーツ衣料、防弾・防護衣料・防護手袋、各種安全用品等の高性能テキスタイル;タグロープ・係留ロープ、ヨットロープ、建築用ロープ等の各種ロープ製品;釣り糸、ブラインドケーブル等の各種組み紐製品;漁網・防球ネット等の網製品;化学フィルター、電池セパレーター等の補強材;各種不織布、テント等の幕材;ヘルメット、スキー板等のスポーツ用、スピーカーコーン用、プリプレグ、コンクリート補強等のコンポジット用の補強繊維等、産業上広範囲に応用可能である。
ポリエチレンパウダーを試料として、比表面積を、BET法により求めた。ユアサアイオニクス(株)製「オートソーブ3MP」(商品名)を用いて、比表面積を測定した。前処理として、ポリエチレンパウダー1gを試料セルに入れ、試料前処理装置で80℃、0.01mmHg以下で12時間加熱脱気した。その後、吸着ガスに窒素を用いて測定温度−196℃の条件でBET法により測定を行った。
ポリエチレンパウダーを試料として、細孔体積を、水銀圧入法により求めた。水銀ポロシメーターとして(株)島津製作所社「オートポアIV9500型」(商品名)を用いて細孔容積及び細孔分布を測定した。前処理としてポリエチレンパウダー0.5gを試料セルに入れ低圧測定部で常温脱気乾燥後、水銀を試料容器内に充填した。徐々に加圧して水銀を試料の細孔へ圧入した。圧力条件は、以下のように設定した。
低圧部:69Pa(0.01psia)N2圧で測定
高圧部:21〜228MPa(3000〜33000psia)
ポリエチレンパウダーを試料として、融解吸熱ピーク半値幅を、示差走査熱量計(DSC)(Perkin Elmer Pyris1 DSC)を用いて測定した。試料を分電子天秤で8.4g(8.3〜8.5g)秤量した。次いで、試料をアルミニウム試料パン中に入れた。このパンにアルミニウムカバーを取り付け、示差走査熱量計中に設置した。流量20mL/分で窒素パージしながら、試料及び基準試料を50℃で1分間保持した後、加熱速度10℃/分で50℃から180℃に加熱し、180℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で50℃まで冷却した。その際に得られる融解曲線を60℃から155℃に基線を引き、解析ソフト「Pyris software(version7)」(商品名)で融解吸熱ピーク半値幅を導出した。
ポリエチレンパウダーを試料として、ポリエチレンパウダーの粘度平均分子量(Mv)を、ISO1628−3(2010)に従って、以下に示す方法によって求めた。まず、溶融管にポリエチレンパウダー20mgを秤量し、溶融管を窒素置換した後、20mLのデカヒドロナフタレン(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを1g/L加えたもの)を加え、150℃で2時間攪拌してポリエチレンパウダーを溶解させた。その溶液を135℃の恒温槽で、キャノン−フェンスケ型粘度計(柴田科学器械工業(株)製:製品番号−100)を用いて、標線間の落下時間(ts)を測定した。同様に、ポリエチレンパウダー量を10mg、5mg、2mgに変えたサンプルについても、上記同様に標線間の落下時間(ts)を測定した。また、ブランクとしてポリエチレンパウダーを入れていない、デカヒドロナフタレンのみの落下時間(tb)を測定した。下記式に従って求めた、ポリエチレンパウダーの還元粘度(ηsp/C)を、それぞれプロットして濃度(C)(単位:g/dL)とポリエチレンパウダーの還元粘度(ηsp/C)との直線式を導き、濃度0に外挿した極限粘度([η])を求めた。
ηsp/C=(ts/tb−1)/0.1:(単位:dL/g)
次に、下記式に上記極限粘度[η]の値を用い、粘度平均分子量(Mv)を算出した。
Mv=(5.34×104)×[η]1.49
ポリエチレンパウダーの平均粒子径は、JIS Z8801で規定された10種類の篩(目開き:710μm、500μm、425μm、355μm、300μm、212μm、150μm、106μm、75μm、53μm)を用いて、100gのポリエチレンパウダーを分級した際に得られる、各種の篩に残ったポリエチレンパウダーの質量を、目開きの小さい側から積分した積分曲線において、積分値が50%の質量になる粒子径を平均粒子径とした。
ポリエチレンパウダーを試料として、特定粒子X及び特定粒子Yの個数比を、次のようにして求めた。アスペクト比、及び凹凸度(UD)を、(株)日本レーザー製動的画像法粒度分布・粒子形状評価装置「QICPIC」(商品名)を用いて測定した。試料を、下記の気流式乾式分散器により分散させ、粒子4500〜40000個の画像を連続的に撮影し取り込み、取り込んだ画像情報から画像解析ソフトを用いて、特定粒子X及び特定粒子Yの個数比を求めた。なお、粒子の個数が上記範囲内であれば、その個数によってアスペクト比及び凹凸度(UD)の値が変動することはない。その他の測定条件は以下のように設定した。具体的なアスペクト比及び凹凸度の求め方は、下記の通りである。
気流分散器:RODOSTM((株)日本レーザー社、商品名)
圧縮エアー気流分散圧力:1.0bar
解析モード:EQPC(円面積相当径)
解析測定レンジ:M6(最小ピクセルが5μm)
得られた対象粒子の粒子をはさむ定方向平行線で、最大値となる間隔をFmaxとし、最小値となる間隔をFminとし、下記式を用いて、全粒子のアスペクト比を求めた。全粒子のアスペクト比を求めた後に、アスペクトが特定範囲(0.66以上0.84以下)である粒子を特定粒子Xとして、得られた対象粒子の全数に対するその個数比を求めた。
アスペクト比=Fmin/Fmax
得られた対象粒子の投影面積をA、対象粒子の凸部を結んだ包絡線で囲まれた投影面積を(A+B)としたとき、下記式(1)で表されるUDを、粒子の凹凸度とした。全粒子の凹凸度を求めた後に、凹凸度が特定範囲(0.95以上)である粒子を特定粒子Yとして、得られた対象粒子の全数に対するその個数比を求めた。
UD=A/(A+B) (1)
ポリエチレンパウダー14g、酸化防止剤としてペンタエリスチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.4g、及び流動パラフィン(松村石油(株)製、商品名「P−350」)36gの混合物を、小型混練機(東洋精機(株)製、商品名「LABPLASTOMILL30C150」)に投入し、200℃、スクリュー回転50rpmで混練した。混練時間は10分で実施した。これらの混練物を金属板に挟み込み圧縮成形機((株)神藤金属製の商品名「SFA−37」)で厚み1mmになるまで190℃で熱プレスを行いシート状にした後、25℃で急冷しゲル状シートを成形した。
◎:異物が、1個以下である。
○:異物が、2個以上4個以下である。
×:異物が、5個以上である。
ポリエチレンパウダー14g、酸化防止剤としてペンタエリスチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.4g、及び流動パラフィン(松村石油(株)製、商品名「P−350」)36gの混合物を小型混練機(東洋精機(株)製、商品名「LABPLASTOMILL30C150」)に投入し、200℃、スクリュー回転50rpmで混練した。混練時間は20分間とした。これらの混練物を金属板に挟み込み圧縮成形機((株)神藤金属製、商品名「SFA−37」)で厚み1mmになるまで190℃で熱プレスを行いシート状にした後、25℃で急冷しゲル状シートを成形した。
◎:異物が、1個以下である。
○:異物が、2個以上4個以下である。
×:異物が、5個以上である。
ポリエチレンパウダーの流動性は、JIS K−6721:1997に記載された嵩比重測定装置の漏斗を用いて、ポリエチレンパウダー50gが全量落下する時間を測定し、下記評価基準により評価した。
◎:落下時間が30秒未満である。
○:落下時間が30秒以上40秒未満である。
×:落下時間が40秒以上である、継続的に落下しない、又は落下しない。
酸化防止剤としてn−オクタデシル−3−(4−ヒドロキ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネートを500質量ppm添加した、ポリエチレンパウダー(全量に対して95質量%)に、デカリン(広島和光(株)製)(全量に対して5質量%)を配合してスラリー状液体を調製した。調製したスラリー状液体を、温度280℃に設定した押出機に投入して均一溶液を形成させた。このとき、滞留時間は20分とした。次に、この溶液を180℃に設定した孔径0.7mmの紡糸口金を用いて、単孔吐出量1.1g/分で紡糸した。吐出した溶媒を含む糸は、3cmのエアギャップを介して10℃の水浴中に投入して、急冷しながら40m/分の速度で巻き取った。
◎:糸切れ回数平均値が、0回のもの。
○:糸切れ回数平均値が、0回を超え、1.5回以下のもの。
×:糸切れ回数平均値が、1.5回を超えるもの。
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブにヘキサン1600mLを添加した。10℃、反応器内流体のレイノルズ数が1.5×106で攪拌しながら1mol/Lの四塩化チタンヘキサン溶液800mLと1mol/Lの組成式AlMg5(C4H9)11(OSiH)2で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液800mLとを5分周期で添加、添加停止を繰り返し4時間かけて同時に添加した。添加後、ゆっくりと昇温し、10℃で1時間反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を1600mL除去し、ヘキサン1600mLで5回洗浄することにより、固体触媒成分[A−1]を調製した。この固体触媒成分[A−1]1g中に含まれるチタン量は3.05mmolであった。
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブにヘキサン1600mLを添加した。10℃、反応器内流体のレイノルズ数が1.48×106で攪拌しながら1mol/Lの四塩化チタンヘキサン溶液800mLと1mol/Lの組成式AlMg5(C4H9)11(OSiH)2で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液800mLとを連続的に0.5時間かけて同時に添加した。添加後、ゆっくりと昇温し、10℃で1時間反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を1600mL除去し、ヘキサン1600mLで5回洗浄することにより、固体触媒成分[A−2]を調製した。この固体触媒成分[A−2]1g中に含まれるチタン量は3.10mmolであった。
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに2mol/Lのヒドロキシトリクロロシランのヘキサン溶液1000mLを仕込み、65℃、反応器内の流体のレイノルズ数1.55×106で攪拌しながら組成式AlMg5(C4H9)11(OC4H9)2で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液2550mL(マグネシウム2.68mol相当)を4時間かけて滴下し、さらに65℃で1時間攪拌しながら反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を除去し、1800mLのヘキサンで4回洗浄した。この固体(担体(B−1))を、マイクロウェーブ分解装置(型式ETHOS TC、マイルストーンゼネラル(株)製)を用い加圧分解し、内部標準法にて、ICP−AES(誘導結合プラズマ質量分析装置、型式Xシリーズ X7、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)により分析した結果、固体1g当たりに含まれるマグネシウムは8.31mmolであった。
上記(B−1)担体110gを含有するヘキサンスラリー1970mLに10℃で攪拌しながら1mol/Lの四塩化チタンヘキサン溶液110mLと1mol/Lの組成式AlMg5(C4H9)11(OSiH)2で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液110mLとを5分周期で添加、添加停止を繰り返し2時間かけて同時に添加した。添加後、10℃で1時間反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を1100mL除去し、ヘキサン1100mLで2回洗浄することにより、固体触媒成分[B]を調製した。この固体触媒成分[B]1g中に含まれるチタン量は0.75mmolであった。
ヘキサン、エチレン、触媒を、攪拌装置が付いたベッセル型300L重合反応器に連続的に供給し、重合スラリーを得た。重合温度は、ジャケット冷却により70℃に保った。ヘキサンは80L/Hrで重合器の底部より供給した。触媒は、固体触媒成分[A−1]と、助触媒としてトリイソブチルアルミニウムとを使用した。固体触媒成分[A−1]は、0.2g/Hrの速度で、重合器の液面と底部との中間から添加し、トリイソブチルアルミニウムは、10mmol/Hrの速度で、固体触媒成分[A−1]と接触させた後、固体触媒成分[A−1]と同じ導入ラインから添加した。尚、固体触媒成分[A−1]とトリイソブチルアルミニウムの接触時間は、30秒間になるように調整した。エチレンは、重合器の底部より供給して重合圧力を0.2MPaに保った。ポリエチレンの製造速度は、10kg/Hrであった。
触媒として、固体触媒成分[A−1]を、固体触媒成分[B−1]に替えて用いた以外は実施例1と同様の操作により、ポリエチレンパウダーPE2を得た。ポリエチレンパウダーPE2の諸物性及び評価の結果を表1に示す。
ポリマーを乾燥する前の溶媒等の含有量を45質量%から60質量%に変わるよう重合反応を調整した以外は実施例1と同様の操作により、ポリエチレンパウダーPE3を得た。ポリエチレンパウダーPE3の諸物性及び評価の結果を表1に示す。
レイノルズ数を2.5×104に変えた以外は調整例1と同様の操作により、新たに固体触媒成分[A−3]を得た。その後、触媒として、固体触媒成分[A−1]を、固体触媒成分[A−3]に替えて用いた以外は実施例1と同様の操作により、ポリエチレンパウダーPE4を得た。ポリエチレンパウダーPE4の諸物性及び評価の結果を表1に示す。
重合温度を70℃から85℃に変えた以外は実施例1と同様の操作により、ポリエチレンパウダーPE5を得た。ポリエチレンパウダーPE5の諸物性及び評価の結果を表1に示す。
重合温度を70℃から85℃に変えた以外は実施例4と同様の操作により、ポリエチレンパウダーPE6を得た。ポリエチレンパウダーPE6の諸物性及び評価の結果を表1に示す。
乾燥温度を85℃から160℃に変えた以外は実施例1と同様の操作により、比較例1のポリエチレンパウダーPE7を得た。ポリエチレンパウダーPE7の諸物性及び評価の結果を表2に示す。
乾燥温度を85℃から55℃、乾燥時間を4時間から12時間に変えた以外は実施例1と同様の操作により、比較例2のポリエチレンパウダーPE8を得た。ポリエチレンパウダーPE8の諸物性及び評価の結果を表2に示す。
エチレン及び固体触媒成分[A−1]の供給を、いずれも重合器の底部で近接した導入口から行うことに変更したこと以外は実施例1と同様の操作により、ポリエチレンパウダーPE9を得た。ポリエチレンパウダーPE9の諸物性及び評価の結果を表2に示す。
触媒として、固体触媒成分[A−1]を、固体触媒成分[A−2]に替えて用いた以外は実施例1と同様の操作により、ポリエチレンパウダーPE10を得た。ポリエチレンパウダーPE10の諸物性及び評価の結果を表2に示す。
ポリマーを乾燥する前の溶媒等の含有量を45質量%から65質量%に変わるよう重合反応を調整した以外は実施例1と同様の操作により、ポリエチレンパウダーPE11を得た。ポリエチレンパウダーPE11の諸物性及び評価の結果を表2に示す。
重合温度を70℃から85℃に変え、重合反応器に系に存在する全物質に対して水素を1mol%さらに添加して重合した以外は実施例1と同様の操作により、ポリエチレンパウダーPE12を得た。ポリエチレンパウダーPE12の諸物性及び評価結果を表2に示す。
重合圧力を0.2MPaから0.05MPaに変えた以外は実施例1と同様の操作により、ポリエチレンパウダーPE13を得た。ポリエチレンパウダーPE13の諸物性及び評価の結果を表2に示す。
触媒として、固体触媒成分[A−1]を、固体触媒成分[A−2]に替え、エチレン及び固体触媒成分[A−2]の供給を、いずれも重合器の底部で近接した導入口から行うことに変更した以外は実施例1と同様の操作により、ポリエチレンパウダーPE14を得た。ポリエチレンパウダーPE14の諸物性及び評価の結果を表2に示す。
Claims (5)
- BET法により求められる比表面積が、0.20m2/g以上0.80m2/g以下であり、
水銀圧入法により求められる細孔容積が、0.95mL/g以下であり、
示差走査熱量分析における融解吸熱ピークの半値幅が、6.00℃以下であり、
粘度平均分子量が、100万以上1000万以下であり、
平均粒子径が、100μm以上300μm以下である、ポリエチレンパウダー。 - 全粒子に対する、アスペクト比が0.66以上0.84以下である粒子の個数比が、50%以上である、請求項1に記載のポリエチレンパウダー。
- 全粒子に対する、下記式(1)で定義される凹凸度が0.95以上である粒子の個数比が、25%以上である、請求項1又は2に記載のポリエチレンパウダー。
UD=A/(A+B) (1)
(式(1)中、UDは、凹凸度を表し、Aは、対象粒子の投影面積を表し、(A+B)は、対象粒子の凸部を結んだ包絡線で囲まれた投影面積を表す。) - 繊維に用いられる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリエチレンパウダー。
- 請求項4に記載のポリエチレンパウダーを用いて製造される、繊維。
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