JP7001382B2 - ポリエチレンパウダー - Google Patents
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Description
[1]
下記特徴(1)~(3)を有し、重合触媒がメタロセン触媒である、ポリエチレンパウダー。
(1)50%粒子径(D50)が50μm以上200μm未満であり、90%粒子径(D90)が150μm以上300μm未満である。
(2)53μm未満の粒子径を有する粒子の膨潤倍率r1に対する、212μm以上の粒子径を有する粒子の膨潤倍率r2の比が下記式1を満たす。
r2/r1>1.00 ・・・式1
(3)ポリエチレンパウダーのBET法による比表面積が0.6m 2 /g以上3.0m 2 /g未満である。
[2]
下記特徴(4)、及び(5)を有する[1]に記載のポリエチレンパウダー。
(4)ポリエチレンパウダーの結晶化度が40%以上70%未満である。
(5)212μm以上の粒子径を有する粒子の最大膨潤速度が6μm/℃を超える。
[3]
重量平均分子量が4.00×104以上1.00×106未満である[1]又は[2]に記載のポリエチレンパウダー。
[4]
分子量分布(Mw/Mn)が2.5以上8.0未満である[1]~[3]のいずれかに記載のポリエチレンパウダー。
(1)50%粒子径(D50)が50μm以上200μm未満であり、90%粒子径(D90)が150μm以上300μm未満である。
(2)53μm未満の粒子径を有する粒子の膨潤倍率r1に対する、212μm以上の粒子径を有する粒子の膨潤倍率r2の比が下記式1を満たす。
r2/r1>1.00・・・式1
本実施形態のポリエチレンパウダー(以下、単に「パウダー」ということもある。)は、エチレン系重合体を含む。エチレン系重合体としては、エチレン単独重合体、及びエチレンと、エチレンと共重合多可能な他のコモノマーとの共重合体(例えば、二元又は三元共重合体)が挙げられる。共重合体の結合形式は、ランダムでもブロックであってもよい。
以下に本実施形態におけるポリエチレンパウダーの製造方法を説明する。
本実施形態のポリエチレンパウダーを構成するエチレン系重合体の製造に使用される触媒成分は特に限定されない。本実施形態のエチレン系重合体は、チーグラー・ナッタ触媒やメタロセン触媒等を使用して製造できる。
まず、チーグラー・ナッタ触媒について説明する。チーグラー・ナッタ触媒としては、固体触媒成分[A]及び有機金属化合物成分[B]からなる触媒であって、固体触媒成分[A]が、不活性炭化水素溶媒に可溶であり、下記式2で表される有機マグネシウム化合物(A-1)と、下記式3で表されるチタン化合物(A-2)とを反応させることにより製造されるオレフィン重合用触媒が好ましい。
(A-1):(M1)α(Mg)β(R2)a(R3)bY1 c ・・・式2
(式中、
M1は、周期律表第12族、第13族及び第14族のいずれかに属する金属原子であり、
R2及びR3は、炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、
Y1はアルコキシ基、シロキシ基、アリロキシ基、アミノ基、アミド基、-N=C-R4、R5、-SR6(これらの式中、R4、R5及びR6は、それぞれ独立に炭素数1以上20以下の炭化水素基を示す。)、及びβ-ケト酸残基のいずれかの基であり、Y1が複数ある場合は、互いが異なっていてもよく、
α、β、a、b及びcは次の関係を満たす実数である。
0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0≦c、0<a+b、0≦b/(α+β)≦2、nα+2β=a+b+c(ここで、nはM1の原子価を表す。))
(A-2):Ti(OR7)dX1 (4-d)・・・・・式3
(式中、dは0以上4以下の実数であり、R7は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、X1はハロゲン原子である。)
群(1)R2、及びR3の少なくとも一方が炭素原子数4以上6以下である2級又は3級のアルキル基であることが好ましく、より好ましくはR2、R3がともに炭素原子数4以上6以下のアルキル基であり、少なくとも一方が2級又は3級のアルキル基であること。
群(2)R2とR3とが炭素原子数の互いに相異なるアルキル基であることが好ましく、より好ましくはR2が炭素原子数2又は3のアルキル基であり、R3が炭素原子数4以上のアルキル基であること。
群(3)R2、及びR3の少なくとも一方が炭素原子数6以上の炭化水素基であることが好ましく、より好ましくはR2、R3に含まれる炭素原子数の和が12以上になるアルキル基であること。
(A-2):Ti(OR7)dX1 (4-d)・・・・・式3
(式中、dは0以上4以下の実数であり、R7は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、X1はハロゲン原子である。)
上記式3において、dは0以上1以下であることが好ましく、dが0であることがさらに好ましい。また、式3においてR7で表される炭化水素基としては、特に限定されないが、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、アリル基等の脂肪族炭化水素基;シクロヘキシル基、2-メチルシクロヘキシル基、シクロペンチル基等の脂環式炭化水素基;フェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられる。これらの中でも、脂肪族炭化水素基が好ましい。X1で表されるハロゲンとしては、塩素、臭素、及びヨウ素が挙げられる。これらの中でも、塩素が好ましい。本実施形態において、(A-2)は四塩化チタンであることがより好ましい。本実施形態においては、上記から選ばれた化合物を1種を単独で、又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
(式中、M2は周期律表第12族、第13族及び第14族のいずれかに属する金属原子であり、R8、R9及びR10はそれぞれ炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、γ、δ、e、f及びgは次の関係を満たす実数である。0≦γ、0<δ、0≦e、0≦f、0≦g、0<e+f、0≦g/(γ+δ)≦2、kγ+2δ=e+f+g(ここで、kはM2の原子価を表す。))
(式中、R11は炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、hとiは次の関係を満たす実数である。0<h、0<i、0<h+i≦4)
(式中、M1は周期律表第12族、第13族及び第14族のいずれかに属する金属原子であり、R2及びR3は炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、Y1はアルコキシ基、シロキシ基、アリロキシ基、アミノ基、アミド基、-N=C-R4,R5、-SR6(これらの式中、R4、R5及びR6は炭素数1以上20以下の炭化水素基を表す。)、及びβ-ケト酸残基のいずれかであり、α、β、a、b及びcは次の関係を満たす実数である。Y1が複数ある場合には、Y1はそれぞれ異なっていてもよい。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0≦c、0<a+b、0≦b/(α+β)≦2、nα+2β=a+b+c(ここで、nはM1の原子価を表す。))
(式中、dは0以上4以下の実数であり、R7は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、X1はハロゲン原子である。)
群(2)R8とR9とが炭素数の互いに相異なるアルキル基であることが好ましく、より好ましくはR8が炭素数2又は3のアルキル基であり、R9が炭素数4以上のアルキル基である。
群(3)R8、及びR9の少なくとも一方が炭素数6以上の炭化水素基であることが好ましく、より好ましくはR8、及びR9に含まれる炭素数の和が12以上になるアルキル基である。
(C-2):HhSiCliR11 (4-(h+i))・・・・・式5
(式中、R11は炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、hとiは次の関係を満たす実数である。0<h、0<i、0<h+i≦4)
(式中、M1は周期律表第12族、第13族及び第14族のいずれかに属する金属原子であり、R2及びR3は炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、Y1はアルコキシ基、シロキシ基、アリロキシ基、アミノ基、アミド基、-N=C-R4,R5、-SR6(これらの式中、R4、R5及びR6は炭素数1以上20以下の炭化水素基を表す。)、及びβ-ケト酸残基のいずれかであり、Y1が複数の場合には、Y1はそれぞれ異なっていてもよい。α、β、a、b及びcは次の関係を満たす実数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0<a+b、0≦b/(α+β)≦2、nα+2β=a+b+c(ここで、nはM1の原子価を表す。))
(式中、dは0以上4以下の実数であり、R7は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、X1はハロゲン原子である。)
(式中、R12は炭素数1以上20以下の炭化水素基、Z1は水素、ハロゲン、アルコキシ基、アリロキシ基、及びシロキシ基のいずれかに属する基であり、jは2以上3以下の数である。)
(式中、M2は周期律表第12族、第13族及び第14族のいずれかに属する金属原子であり、R8、R9及びR10はそれぞれ炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、γ、δ、e、f及びgは次の関係を満たす実数である。0≦γ、0<δ、0≦e、0≦f、0≦g、0<e+f、0≦g/(γ+δ)≦2、kγ+2δ=e+f+g(ここで、kはM2の原子価を表す。))
式15中、[L-H]d+は、プロトン付与性のブレンステッド酸を示し、Lは、中性ルイス塩基を示す。また、[MmQp]d-は、相溶性の非配位性アニオンを示し、Mは、周期律表第5族~第15族から選ばれる金属又はメタロイドを示し、Qは、各々独立にヒドリド、ジアルキルアミド基、ハライド、アルコキシ基、アリルオキシ基、炭化水素基、又は炭素数20個までの置換炭化水素基を示し、また、ハライドであるQは、1個以下である。また、mは、1~7の整数を示し、pは、2~14の整数を示し、dは、1~7の整数を示し、p-m=dである。
[L-H]d+[MmQn(Gq(T-H)r)z]d- ・・・式16
式16中、[L-H]d+は、プロトン付与性のブレンステッド酸を示し、Lは、中性ルイス塩基を示す。また、[MmQn(Gq(T-H)r)x]d-は、相溶性の非配位性アニオンを示し、Mは、周期律表第5族~第15族から選ばれる金属又はメタロイドを示し、Qは、各々独立にヒドリド、ジアルキルアミド基、ハライド、アルコキシ基、アリルオキシ基、炭化水素基、又は炭素数20個までの置換炭化水素基を示し、また、ハライドであるQは、1個以下である。また、Gは、M及びTと結合するr+1の価数を持つ多価炭化水素基を示し、Tは、O、S、NR、又はPRを示す。ここで、Rは、ヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル基、トリヒドロカルビルゲルマニウム基又は水素を示す。また、mは、1~7の整数を示し、nは、0~7の整数を示し、qは、0又は1の整数を示し、rは、1~3の整数を示し、zは、1~8の整数を示し、dは、1~7の整数を示し、n+z-m=dである。
[L-H]+[BQ3Q1]- ‥‥式17
式17中、[L-H]+は、プロトン付与性のブレンステッド酸を示し、Lは、中性ルイス塩基を示す。また、[BQ3Q1]-は、相溶性の非配位性アニオンを示し、Bは、硼素元素を示し、Qは、各々独立に、ペンタフルオロフェニル基を示し、Q1は、置換基としてOH基を1つ有する炭素数6~20の置換アリル基を示す。
式21中、Rは、炭素数1~12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基又は炭素数6~20のアリル基を示し、Xは、ハロゲン、水素又はアルコキシル基を示し、nは、1~3の整数を示す。また、有機アルミニウム化合物は、式21で表される化合物の混合物であっても構わない。
本実施形態のエチレン系重合体の製造方法における重合法は、懸濁重合法又は気相重合法により、エチレン、又はエチレンを含む単量体を(共)重合させる方法が挙げられる。これらの中でも、重合熱を効率的に除熱できる懸濁重合法が好ましい。懸濁重合法においては、媒体として不活性炭化水素媒体を用いることができ、さらにオレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
本実施形態のポリエチレンパウダーの50%粒子径(D50)は、50μm以上200μm未満であり、90%粒子径(D90)は、150μm以上300μm未満である。本明細書にいう「50%粒子径(D50)」とは、粒度分布において、積算篩下割合が50%となる位置での粒子径をいい、「90%粒子径(D90)」とは、粒度分布において、積算篩下割合が90%となる位置での粒子径をいう。粒度分布の測定方法は、特に限定されず、例えば、後述する実施例に記載されているような篩を用いた方法、又はレーザー粒度計を用いた方法などが挙げられる。
本実施形態のポリエチレンパウダーにおいて、53μm未満の粒子径を有する粒子の膨潤倍率r1に対する、212μm以上の粒子径を有する粒子の膨潤倍率r2の比は、下記式(1)を満たす。
r2/r1>1.00・・・(1)
本明細書において、上記の膨潤倍率の測定における、単位温度変化量あたりのパウダー粒径の変化分を膨潤速度という。また、昇温開始から溶解するまでの観測の中で、0.5℃おきの観察ごとに膨潤速度を求め、その中の最大の膨潤速度を、そのパウダーの最大膨潤速度という。膨潤速度及び最大膨潤速度は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
本実施形態のポリエチレンパウダーにおいて、212μm以上の粒子径を有する粒子の最大膨潤速度は6μm/℃を超えることが好ましく、7μm/℃を超えることがより好ましく、8μm/℃を超えることがさらに好ましい。最大膨潤速度が6μm/℃を超えることにより、溶媒に対する溶解速度が大きくなるだけでなく、急激な膨張に起因して押出機内部での充填率が急上昇して、混合効率がより一層良好になるため好ましい。最大膨潤速度は、ポリエチレンパウダーの結晶化度及び比表面積を調整することにより制御できる。それぞれの制御方法については後述する。
本実施形態のポリエチレンパウダーのBET法による比表面積(以下、単に「比表面積」という)は、0.6m2/g以上3.0m2/g以下であることが好ましく、より好ましくは0.7m2/g以上2.90m2/g以下であり、さらに好ましくは0.8m2/g以上2.8m2/g以下である。比表面積は後述する実施例に記載の方法により測定できる。
本実施形態のポリエチレンパウダーの結晶化度は、40%以上70%未満であることが好ましく、42%以上68%未満であることがより好ましく、45%以上65%未満であることが特に好ましい。結晶化度が70%未満であることにより、湿式押出において、より一層溶解速度が向上できる傾向にある。一方で結晶化度が40%以上であることにより、成形品に十分な強度を確保できる傾向にある。結晶化度は、重合触媒の種類、共重合するα-オレフィンの種類及びその導入量などを調整することにより制御できる。又は結晶化度は、ポリエチレンを重合した後に乾燥する際、乾燥温度を制御することでも制御できる。
ポリエチレンパウダーの結晶化度は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
本実施形態のポリエチレンパウダーの平均分子量は、4.00×104以上7.00×106未満であることが好ましく、4.50×104以上6.50×106未満であることがより好ましく、5.00×104以上6.30×106未満であることがさらに好ましい。ポリエチレンの平均分子量が上記の範囲にある事で、湿式押出を好適に実施できる。
本実施形態のポリエチレンパウダーの分子量分布は2.5以上8.0未満であることが好ましく、2.8以上7.7未満であることがより好ましく、2.9以上7.5未満であることが特に好ましい。分子量分布がこの範囲にある事で、膨潤開始温度が均一になり、溶け残りの発生を低減させることが出来る。分子量分布が大きい場合、分子量の小さな成分が先行して溶融することで、溶媒の分子量が上がり、残りのポリエチレンパウダーが膨潤しにくくなる。分子量分布をこの範囲にコントロールする方法としては、例えばバッチ式で重合を行う方法が挙げられる。連続式の反応に比べ、滞留時間分布が少なくなるため、分子量分布が小さくなる。また、触媒種の変更による分子量分布の制御も可能である。特にシングルサイト触媒であるメタロセン触媒を使用した場合、小さな分子量分布が得られる。
本実施形態のポリエチレンパウダーの他樹脂への分散性は、例えば、次の方法で評価できる。他樹脂と混合(ブレンド)し、製膜を行い、そのフィルム上で、他樹脂の濃度のバラツキを観察することにより、評価を行う。他樹脂としては、例えば、ポリプロピレンパウダーが挙げられる。濃度の検出は、フーリエ変換型赤外分光法(FT-IR)により行う。FT-IRにより1378cm-1に観測されるスペクトル強度がポリプロピレンの末端メチル基に由来し、1369cm-1に観測されるスペクトル強度がエチレン主鎖に由来するため、両者の比を取ることでポリプロピレンの濃度を評価できる。サンプルフィルムの表面の任意の10点を測定したとき、1378cm-1に観測されるスペクトル強度をスペクトル強度r1,i(i=1~10)とし、1369cm-1に観測されるスペクトル強度をスペクトル強度r2,i(i=1~10)とする。このとき、比Wi=r1,i/r2,i(i=1~10)の標準偏差sを分散性の指標とする。標準偏差が十分小さいとき、組成物に局所的な組成の偏りが十分に少なく、物性が一様であり、フィルムにした際の欠点も低減されたものとなり、フィルムの厚み、幅も安定したものとなる。
粒子径は以下の方法により評価した。ポリエチレンパウダーをJIS Z8801規格に準拠したふるいで分級した。ふるいの目開きは300μm、212μm、150μm、106μm、75μm、及び53μmのものを使用した。各分画毎に回収されたパウダー重量を測定した。分級前のパウダー合計重量に対する各分画の分率(質量%)を算出し、粒度分布を求めた、また、それを用いて積算篩下割合(質量%)及び頻度篩下割合(質量%)を算出した。積算篩下割合が50%および90%となる粒子径を、それぞれD50、D90として求めた。本実施例及び比較例の粒度分布(積算分布)をそれぞれ図1及び図2に示す。
膨潤倍率は以下の方法により評価した。溶媒として、(株)松村石油研究所製の流動パラフィン(製品名:スモイルP-350P)を使用した。北里サイエンス社製のマイクロヒートプレート(製品名:MP-200DMSH)のサンプルステージ上に溶媒(松村石油研究所製の流動パラフィン(製品名:スモイルP-350P))を数ml程度滴下し、その溶媒中にポリエチレンパウダーを数十粒程度添加した。サンプルの上にカバーガラスを乗せた。マイクロヒートプレートの温度を3℃/分で室温から160℃まで上昇させるように設定し、ポリエチレンパウダーが昇温する過程をオリンパス株式会社製のシステム顕微鏡(製品名:BX―53)を用いて20倍の対物レンズ20倍で観察し、0.5℃上昇する毎に観察画像を保存した。
システム顕微鏡により観察された画像から、画像解析ソフトウエアを用いてポリエチレンパウダーの円相当径を算出した。溶解直前(粒径が減少に転じる直前)の粒子径と、溶解直後であって、室温時の粒子径との比(後者/前者)を、53μm未満の粒子径を有する粒子、212μm以上の粒子径を有する粒子ごとに算出し、それぞれを膨潤倍率r1,r2とした。なお、溶解直前の粒子径は、前述した膨潤する前の粒子径に対応し、溶解直後であって、室温時の粒子径は、前述した膨潤した際の粒子径に対応する。少なくとも10点のポリエチレンパウダーを無作為に選び測定を行い、その平均値をもってそのサンプルの膨潤倍率を決定した。
膨潤速度は以下の方法により評価した。前記(膨潤倍率)の評価で得た0.5℃上昇する毎の粒径のデータを用いて、粒径の変化量を温度差(0.5℃)で割り、膨潤速度を算出した。一つのポリエチレンパウダーが記録した最大の膨潤速度を最大膨潤速度とし、少なくとも10点のポリエチレンパウダーを無作為に選び測定を行い、その平均値をもってそのサンプルの最大膨潤速度を決定した。
ポリエチレンパウダーの比表面積は以下の方法により評価した。ユアサアイオニクス社製のオートソーブ3MPを用いて比表面積を測定した。前処理としてポリエチレンパウダー1gを試料セルに入れ、試料前処理装置を用いて、80℃、0.01mmHg以下の条件で12時間加熱脱気した。その後、吸着ガスに窒素を用いて測定温度-196℃の条件によりBET法により測定を行った。
ポリエチレンパウダーの結晶化度は以下の方法により評価した。示差走査熱量計(パーキンエルマー社製Pyris 1型DSC装置)を用いて、ポリエチンレンパウダーを以下の条件で測定した。ポリエチレンパウダー約5mgをアルミパンに詰め、50℃で1分保持した後、200℃/分の速度で180℃まで昇温し、180℃で5分間保持した。さらに10℃/分で50℃まで降温した。50℃で5分間保持した後、10℃/分で180℃まで昇温し、その際に得られる融解曲線において、60℃から145℃に基線を引き融解エンタルピー(ΔH(J/g))を求めた。結晶化度は、この融解エンタルピーから下記式を用いて求めた。
X=ΔH×100/293
ポリエチレンパウダーの分子量及び分子量分布は以下の方法により評価した。Waters社製150-C ALC/GPCを用いて測定をした。まず、ポリエチレンパウダー20mgにo-ジクロロベンゼン15mLを導入して、150℃で1時間撹拌することでサンプル溶液を調製した。移動相を高速液体クロマトグラフ用o-ジクロロベンゼンとし、カラム温度を140℃とし、サンプル流量1.0mL/分で測定を実施した。カラムはShodex製AT-807Sを1本と東ソー製TSK-gelGMH-H6を2本連結したものを用いた。測定結果から、市販の単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線に基づいて、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
パウダーの溶解時間は以下の方法により評価した。ポリエチレンパウダー16g、(株)松村石油研究所製の流動パラフィン(製品名:スモイルP-350P)24gを(株)東洋精機製作所製のラボプラストミルミキサー(本体型式:30C150、ミキサー形式:R-60)に仕込み、設定温度114℃及び回転数5rpmの条件で10分間混練した。次に、ポリエチレンパウダー16gとグレートレイクスケミカル日本(株)製テトラキス[メチレン(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマート)]メタン(製品名:ANOX20)0.4gとをラボプラストミルミキサーに添加し回転数30rpmとして3分間混練した。次に、設定温度を114℃から163℃まで6分間かけて上昇させた。ラボプラストミルミキサー試験プログラムVer.4.52(Copyright(C)(株)東洋精機製作所)によって算出される平均トルクのチャートから、ピークの確認を行った。膨潤に伴う初期ピークと、溶解に伴うメインピークとの差を、溶解時間とした。
パウダーの見掛け密度は以下の方法により評価した。JIS K 6891に基づく漏斗及びオリフィスを用いて、ポリエチレンパウダーを100ccの円筒形容器に溢れるまで流下させ、ヘラ等により容器の上面から過剰の粉体を落とした。容器内のポリエチレンパウダーの質量を計測し、計測した質量から、あらかじめ測定した空の測定用容器の質量を差し引くことにより、ポリエチレンパウダーの質量を求めた。下記式により嵩密度を計算した。
嵩密度(g/cc)=粉体の質量(g)/100(cc)
パウダーの分散度合は以下の方法により評価した。ポリエチレンパウダーとポリプロピレンパウダーとを混合し、製膜し、顕微赤外分光分析(顕微IR)を用いて、フィルム上の複数個所のポリプロピレンの強度を測定し、そのバラツキ具合を評価した。
まず、ポリエチレンパウダーを窒素で置換した後に、ポリエチレンパウダーを二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーを介して投入した。ポリエチレンパウダー100質量部に対して、酸化防止剤としてペンタエリスリチル-テトラキス-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を0.3質量部、Mwが40万であるポリプロピレンパウダーを100質量部となるように連続的に添加した。さらに、流動パラフィン(松村石油(株)製、製品名:P-350(商標))50~150質量部をサイドフィードで押出機に注入した。流動パラフィンの量は製膜が安定する量となるように適宜調整した。200℃でこれらの混合物を混練し、得られた混練物を、押出機先端に設置したTダイから押出した後、ただちに25℃に冷却したキャストロールで冷却固化させ、厚さ1.0mmのフィルムに成形した。このフィルムをメチルエチルケトンに浸漬し、流動パラフィンを抽出除去した後、乾燥し、IR用サンプルを得た。
日本分光製フーリエ変換赤外分光光度計(製品名:FT/IR-4000)及びその付属機赤外顕微鏡IR(製品名:T-3000)を用いて、上記サンプルの顕微FT-IR測定を行った。測定面積は3600μm2とした。個別のサンプルについて任意の10カ所の測定を行い、1378cm-1に観測されるスペクトル強度r1,i(i=1~10)と1369cm-1に観測されるスペクトル強度r2,i(i=1~10)の比Wi=r1,i/r2,i(i=1~10)の標準偏差sを求めた。得られた標準偏差sに基づいて、下記評価基準により分散度合について評価した。なお、標準偏差sが0.2未満であると、分散度合が十分に良好であり、0.18以下であることがより好ましく、0.15以下であることがさらに好ましい。
評価基準
◎:0.10未満。
○:0.10以上0.20未満。
×:0.20以上。
本実施例の物性を評価するためのフィルムは以下の方法により製造した。ポリエチレンパウダー100質量部に、酸化防止剤としてペンタエリスリチル-テトラキス-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を0.3質量部添加した。ポリエチレンパウダーとペンタエリスリチル-テトラキス-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]とを、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、ポリエチレン混合物を得た。得られたポリエチレン混合物を窒素置換した後に、ポリエチレン混合物を二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーを介して投入した。さらに流動パラフィン(松村石油(株)製P-350(商標))65質量部をサイドフィードで押出機に注入し、200℃で混練した。得られた混練物を、押出機先端に設置したTダイから押出した後、ただちに25℃に冷却したキャストロールを用いて冷却固化させ、厚さ1.2mmのフィルムを成形した。このフィルムをメチルエチルケトンに浸漬し、流動パラフィンを抽出除去した後、乾燥し、フィルムを得た。このフィルムの各種物性評価を行った。
また、延伸フィルムを以下の方法により製造した。流動パラフィンを抽出除去する前の上記フィルムを、120℃で同時二軸延伸機を用いて7×7倍に延伸した。次に、延伸したフィルムをメチルエチルケトンに浸漬し、流動パラフィンを抽出除去し、乾燥した。乾燥したフィルムを、さらに加熱温度125℃及び加熱時間3分で熱固定し、延伸フィルムを得た。一部の物性評価について、延伸フィルムでの評価を行った。
フィルム中の欠点は以下の方法により評価した。上記(フィルムの製造)の項により得られた延伸フィルム250mm×250mm中に存在する50μm以上の欠点を目視により数えた。ここでいう、「欠点」とは、延伸フィルムを透過光で観察した際、黒点として観察されるものをいう。得られた個数に基づいて、下記評価基準により欠点について評価した。
評価基準
◎:0個又は1個。
○:2個から4個。
×:5個以上。
フィルム厚みのバラツキを以下の方法により評価した。上記(フィルムの製造)の方法により作成した延伸フィルムの横方向(TダイのMT方向)中央部のフィルム厚みをJIS K7130に基づくフィルム厚み計を用いて測定した。測定箇所は、少なくとも延伸前のフィルムにおいて、互いに1m以上離れた箇所とし、測定を10点行い、そのデータの平均値及び標準偏差を求めた。得られた標準偏差を、得られた平均値で除することにより、変動係数を求めた。フィルム厚みのバラツキの評価基準は、以下のとおりである。
評価基準
◎:0%以上1%未満。
○:1%以上5%未満。
×:5%以上。
フィルム幅のバラツキを以下の方法により評価した。上記(フィルムの製造)の方法により作成したフィルムの幅を測定した。測定箇所は、少なくとも互いに1m以上離れた箇所とし、測定を10点行い、そのデータの平均値及び標準偏差を求めた。得られた標準偏差を、得られた平均値で除することにより、変動係数を求めた。フィルム幅のバラツキの評価基準は、以下のとおりである。
評価基準
◎:変動係数が0%以上5%未満であった
○:変動係数が5%以上10%未満であった
×:変動係数が10%以上であった
(1)担体Aの合成
十分に窒素置換した8Lステンレス製オートクレーブに、2mol/Lのヒドロキシトリクロロシランのヘキサン溶液1,000mLを仕込んだ。次に、65℃で攪拌しながら組成式AlMg5(C4H9)11(OC4H9)2で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液2,550mL(マグネシウム2.68mol相当)を、オートクレーブに6時間かけて滴下し、20℃で8時間攪拌しながら反応を継続した。反応終了後、上澄み液を除去し、1,800mLのヘキサンを用いて4回洗浄して固体(担体A-1)を得た。得られた固体を乾燥させ、さらに目開き20μmのふるいを用いて微粉を分離除去した。担体A-1を分析した結果、1g当たりの担体A-1に含まれるマグネシウム量は8.15mmolであり、担体A-1の平均粒径は31μmであった。
次に、有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液の滴下時間を1時間、反応温度を60℃、反応時間を4時間とした以外は上記と同様にして固体(担体A-2)を得た。担体A-2を分析した結果、1g当たりの担体A-2に含まれるマグネシウム量は8.42mmolであり、担体A-2の平均粒径は6μmであった。
次に、担体A-1と担体A-2とを1:1の割合で混合させることにより、担体Aを得た。
(2)固体触媒成分の調製
110gの担体Aを含有するヘキサンスラリー1,970mLを10℃で攪拌しながら、1mol/Lの四塩化チタンヘキサン溶液110mLと1mol/Lの組成式AlMg5(C4H9)11(OSiH)2で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液110mLとを1時間かけて同時に添加した。添加後、10℃で1時間反応を継続した。反応終了後、1100mLの上澄み液を除去し、さらにヘキサン1,100mLで2回洗浄することにより、チーグラー触媒Iを調製した。チーグラー触媒I1g中に含まれるチタン量は0.85mmolであった。
(1)担体Bの合成
十分に窒素置換した8Lステンレス製オートクレーブに、2mol/Lのヒドロキシトリクロロシランのヘキサン溶液1,000mLを仕込んだ。次に、65℃で攪拌しながら組成式AlMg5(C4H9)11(OC4H9)2で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液2,550mL(マグネシウム2.68mol相当)を、オートクレーブに4時間かけて滴下し、65℃で10時間攪拌しながら反応を継続した。反応終了後、上澄み液を除去し、1,800mLのヘキサンを用いて4回洗浄して固体(担体B)を得た。担体Bを分析した結果、1g当たりの担体Bに含まれるマグネシウム量は8.14mmolであり、担体Bの平均粒径は11μmであった。
(2)固体触媒成分の調製
担体Aに代えて、110gの担体Bを用いた以外は、チーグラー触媒Iの調製方法と同様にして、チーグラー触媒IIを調製した。チーグラー触媒II1g中に含まれるチタン量は0.71mmolであった。
9μmの平均粒子径を有する球状シリカと、30μmの平均粒子径を有する球状シリカとを1:1の割合で混合した。得られた球状シリカの表面積は、700m2/gであり、粒子内細孔容積が1.8mL/gであった。得られた球状シリカを、窒素雰囲気下、500℃で5時間焼成し、脱水し、脱水シリカを得た。脱水シリカの表面水酸基の量は、SiO21g当たり1.85mmol/gであった。窒素雰囲気下、容量1.8Lのオートクレーブ内で、脱水シリカ40gをヘキサン800mL中に分散させ、スラリーを得た。得られたスラリーを攪拌し、さらに50℃に保ちながらトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度1mol/L)を80mL加えた。さらに2時間攪拌し、トリエチルアルミニウムとシリカの表面水酸基とを反応させることにより、トリエチルアルミニウム処理されたシリカと上澄み液とを含み、トリエチルアルミニウム処理されたシリカの表面水酸基がトリエチルアルミニウムによりキャッピングされている成分[a]を得た。次に、得られた反応混合物中の上澄み液をデカンテーションによって除去することにより、上澄み液中の未反応のトリエチルアルミニウムを除去した。次に、ヘキサンを適量加え、トリエチルアルミニウム処理されたシリカのヘキサンスラリー880mLを得た。
一方、[(N-t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウム-1,3-ペンタジエン(以下、「チタニウム錯体」と記載する。)200mmolを、アイソパーE[エクソンケミカル社(米国)製の炭化水素混合物の商品名]1000mLに溶解させ、予めトリエチルアルミニウム及びジブチルマグネシウムにより合成した式AlMg6(C2H5)3(n-C4H9)yの1mol/Lのヘキサン溶液を20mL加え、さらにヘキサンを加えることにより、0.1mol/Lのチタニウム錯体濃度を有する成分[b]を得た。
また、ビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウム-トリス(ペンタフルオロフ
ェニル)(4-ヒドロキシフェニル)ボレート(以下、「ボレート」ともいう。)5.7gを、トルエン50mLに加えて溶解させ、ボレートの100mmol/Lトルエン溶液を得た。ボレートのトルエン溶液に、エトキシジエチルアルミニウムの1mol/Lヘキサン溶液5mLを室温で加え、さらにヘキサンを加えて溶液中のボレート濃度が70mmol/Lとなるようにした。その後、室温で1時間攪拌し、ボレートを含む反応混合物を得た。ボレートを含む反応混合物46mLを、上記で得られた成分[a]のスラリー800mLに、15~20℃で攪拌しながら加え、ボレートをシリカに担持することにより、ボレートを担持したシリカのスラリーが得られた。得られたスラリーに、成分[b]を32mL加え、3時間攪拌し、チタニウム錯体とボレートとを反応させることにより、シリカと上澄み液とを含み、触媒活性種が該シリカ上に形成されている担持型メタロセン触媒が得られた。
メタロセン触媒Iの調製に用いた球状シリカに代えて、12μmの平均粒子径を有する球状シリカを用いた以外はメタロセン触媒Iの調製方法と同様にして、メタロセン触媒を調製した。脱水シリカの表面水酸基の量は、SiO21g当たり1.56mmol/gであった。
メタロンセン触媒Iの調製に用いた球状シリカに代えて、9μmの平均粒子径を有する球状シリカと、50μmの平均粒子径を有する球状シリカとを1:2の割合で混合した球状シリカを用いた以外はメタロセン触媒Iの調製方法と同様にして、メタロセン触媒(III)を調製した。脱水シリカの表面水酸基の量は、SiO21g当たり1.72mmol/gであった。
(ポリエチレンパウダー1)
連続式スラリー重合法によりエチレン-α-オレフィン共重合体を得た。具体的には、攪拌装置を備えたベッセル型340L重合反応器を用いて、重合温度75℃、重合圧力0.8MPa、及び平均滞留時間1.5時間の重合条件により連続重合を行った。溶媒として脱水ノルマルヘキサン80L/時間、原料としてエチレンを11kg/時間、触媒としてメタロセン触媒IをTi原子換算で1.4mmol/時間、トリイソブチルアルミニウムを20mmol/時間で重合反応器に供給した。分子量を調整するために、水素を重合反応器に、水素量がエチレンの気相濃度に対して0.06mol%となるように供給した。なお、前記触媒は重合反応器の液面付近から供給し、エチレンは重合器の底部から供給した。重合反応器のレベルが一定に保たれるようにしながら、重合反応器内の重合スラリーを、圧力0.05MPa及び温度70℃のフラッシュタンクに導くことにより、未反応のエチレン及び水素を分離した。次に、フラッシュタンクに導いた重合スラリーを、圧力0.30MPa及び温度70℃のバッファータンクに、平均滞留時間1.0時間の条件で導き、さらに連続的に遠心分離機に送ることにより、ポリマーと、ポリマー以外の残留物(例えば、溶媒等)とを分離した。分離して得られたポリマーは、85℃で窒素ブローしながら乾燥し、さらに500μmの目開きを有するふるいを用いて粗粉を除去することにより、ポリエチレンパウダー1を得た。ポリエチレンパウダー1の重量平均分子量(Mw)は5.10×105であった。ポリエチレンパウダー1について各評価を行った。評価結果を表1に示す。
(ポリエチレンパウダー2の重合・調製)
重合反応器に、コモノマーとして1-ブテンをエチレンの気相濃度に対して0.3mol%導入し、さらには水素量をエチレンと1-ブテンとの合計の気相濃度に対して0.14mol%とした以外は実施例1と同様にしてポリエチレンパウダー2を得た。ポリエチレンパウダー2の重量平均分子量(Mw)は6.10×104であった。ポリエチレンパウダー2について各評価を行った。評価結果を表1に示す。
(ポリエチレンパウダー3)
ヘキサン、エチレン、水素、及び触媒を、攪拌装置が付いたベッセル型300L重合反応器に連続的に供給した。重合圧力は0.5MPaとし、重合温度は83℃に保った。ヘキサンは40L/時間で供給した。触媒として、チーグラー触媒Iを用い、助触媒としてトリイソブチルアルミニウムを用いた。チーグラー触媒Iは0.2g/hrの速度で、トリイソブチルアルミニウムは10mmol/hrの速度で、重合反応器に添加した。得られるエチレン-α-オレフィン共重合体の製造速度は10kg/hrであった。水素を重合反応器に、水素量がエチレンの気相濃度に対して13mol%となるようにポンプを用いて連続的に供給した。重合反応器のレベルが一定に保たれるようにしながら、重合反応器内の重合スラリーを、圧力0.30Mpa及び温度70℃のフラッシュドラムに連続的に導くことにより、未反応のエチレン及び水素を分離した。次に、フラッシュドラムに導いた重合スラリーを、重合反応器のレベルが一定に保たれるようにしながら、連続的に遠心分離機に送ることにより、ポリマーと、ポリマー以外の残留物(例えば、溶媒等)とを分離した。分離して得られたポリマーは、85℃で窒素ブローしながら乾燥し、乾燥中にスチームをポリマーに噴霧して、触媒及び助触媒を失活させた。次に、ポリマーを500μmの目開きを有するふるいを用いて粗粉を除去することにより、ポリエチレンパウダー3を得た。ポリエチレンパウダー3の重量平均分子量(Mw)は2.20×105であった。ポリエチレンパウダー3について各評価を行った。評価結果を表1に示す。
(ポリエチレンパウダー4)
触媒として、チーグラー触媒Iに代えて、チーグラー触媒IIを用い、水素量をエチレンの気相濃度に対して5.1mol%導入した以外は比較例1と同様にしてポリエチレンパウダー4を得た。ポリエチレンパウダー4の重量平均分子量(Mw)は1.05×106であった。ポリエチレンパウダー4について各評価を行った。評価結果を表1に示す。
(ポリエチレンパウダー5)
触媒として、メタロセン触媒Iに代えて、メタロセン触媒IIを用い、水素量をエチレンの気相濃度に対して0.07mol%導入した以外は実施例1と同様にしてポリエチレンパウダー5を得た。ポリエチレンパウダー5の重量平均分子量(Mw)は4.50×105であった。ポリエチレンパウダー5について各評価を行った。評価結果を表1に示す。
(ポリエチレンパウダー6)
触媒として、メタロセン触媒Iに代えて、メタロセン触媒IIIを用い、水素量をエチレンの気相濃度に対して0.07mol%導入した以外は実施例1と同様にしてポリエチレンパウダー6を得た。ポリエチレンパウダー6の重量平均分子量(Mw)は5.20×105であった。ポリエチレンパウダー6について各評価を行った。評価結果を表1に示す。
Claims (4)
- 下記特徴(1)~(3)を有し、重合触媒がメタロセン触媒である、ポリエチレンパウダー。
(1)50%粒子径(D50)が50μm以上200μm未満であり、90%粒子径(D90)が150μm以上300μm未満である。
(2)53μm未満の粒子径を有する粒子の膨潤倍率r1に対する、212μm以上の粒子径を有する粒子の膨潤倍率r2の比が下記式1を満たす。
r2/r1>1.00 ・・・式1
(3)ポリエチレンパウダーのBET法による比表面積が0.6m 2 /g以上3.0m 2 /g未満である。 - 下記特徴(4)、及び(5)を有する請求項1に記載のポリエチレンパウダー。
(4)ポリエチレンパウダーの結晶化度が40%以上70%未満である。
(5)212μm以上の粒子径を有する粒子の最大膨潤速度が6μm/℃を超える。 - 重量平均分子量が4.00×104以上1.00×106未満である請求項1又は2に記載のポリエチレンパウダー。
- 分子量分布(Mw/Mn)が2.5以上8.0未満である請求項1~3のいずれか1項に記載のポリエチレンパウダー。
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