JP2017087966A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】パターンノイズを低減しつつ、偏摩耗性を向上できる空気入りタイヤを提供する。【解決手段】空気入りタイヤ1は、トレッド部2をタイヤ周方向に延びる複数の主溝3とこれに交差する複数の横溝4とによって区画された複数のブロック5を備え、ブロック5は、接地面の少なくとも1つの縁部に面取り部71を有し、面取り部71には、径方向内径側に向けて凹設された1又は複数のパターン要素6が形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
従来、タイヤに起因したノイズの1つとして、トレッドパターンに起因したパターンノイズが知られている。特に、トレッド部に形成された周方向溝とこれに交差する横方向溝とによって形成されるブロックパターンにおいては、タイヤの転動に伴ってブロックが路面に接地する際に、ブロックのタイヤ周方向の一端部が路面を叩くことによって打撃音が生じる。さらに、ブロックが路面から離脱する際には、ブロックのタイヤ周方向の他端部が路面を蹴り出すことによって蹴り出し音が生じると共に、接地時に変形していたブロックが復元することによって変形復元音が生じる。このような、打撃音、蹴り出し音、変形復元音等の衝撃音が、パターンノイズとして、ブロックの形成ピッチと車速とに基づいた周波数で生じる。
パターンノイズを低減する方法として、例えば特許文献1には、ブロック接地面のタイヤ周方向端部のうち、タイヤの転動に伴って、最初に接地する際に踏み込む領域(以下、踏み込み側領域と称する)と最後に離脱する際に蹴り出す領域(以下、蹴り出し側領域と称する)とを結ぶ帯状部分以外の部分に多数の穴を形成し、上記帯状部分に接地圧を負担させることによって該部分に衝撃音を集中的に生じさせる一方で、該領域以外(穴が形成された部分)では接地圧を低減させることによって衝撃音を低減させて、この結果、ブロック全体として、パターンノイズを低減することが開示されている。
また、特許文献2〜4には、ブロック接地面に穴を形成することが開示されており、いずれもブロックの耐摩耗性の向上を目的としている。
特開2007−090980号公報 特開2006−168498号公報 特開平04−085108号公報 特開2002−248906号公報
しかしながら、特許文献1の場合、踏み込み時及び蹴り出し時に接地圧が集中する上記帯状部分において衝撃音が増大してしまうので、パターンノイズの低減としては不十分となる場合がある。また、特許文献2〜4の場合、いずれも穴をブロックの接地面の広範囲にわたって形成するものであり、ブロックの剛性が過度に低下する場合があり、この結果、ブロックが接地時に座屈してしまい、接地面との間のすべり量が増大することになり、特に蹴り出し側領域における摩耗量が増大するために、ブロックの偏摩耗性(トーヒール摩耗)が悪化する場合がある。
すなわち、特許文献1〜4はいずれも、ブロック接地面に穴等のパターン要素を形成することを開示しているものの、パターンノイズの低減と偏摩耗性の向上とを両立できるものではない。
この発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、パターンノイズを低減しつつ、偏摩耗性を向上できる空気入りタイヤを得ることを目的とする。
本発明は、トレッド部をタイヤ周方向に延びる複数の周方向溝とこれに交差する複数の横方向溝とによって区画された複数のブロック部を備えた空気入りタイヤであって、前記ブロック部は、接地面の少なくとも1つの縁部に面取り部を有し、前記面取り部には、径方向内径側に向けて凹設された1又は複数のパターン要素が形成されている、ことを特徴とする。
ここで、パターン要素とは、ブロック部にタイヤ径方向内径側に延びる空隙部、切り欠き部を形成するものが含まれ、例えば、穴、ディンプル、サイプとして形成される。また、パターン要素の少なくとも一部が面取り部にわたるように形成すればよい。
本発明によれば、接地面の縁部に面取り部を形成することによって、ブロック部は、路面への接地初期時に、面取り部を路面に面当たりさせて接地すると共に、路面からの離脱時に、面取り部を路面に面当たりさせた状態から離脱する。これによって、面取り部が形成されていない場合に比して、接地初期時及び離脱時において、路面への接地部分の面積が増大することによって、接地面の縁部における局部的な接地圧の集中を緩和して、接地圧が低減される。
これに加えて、面取り部にはパターン要素が形成されているので、面取り部の剛性を適度に低下させることができ、接地初期時及び離脱時において面取り部を適度に撓ませることができる。したがって、ブロック部は接地初期時及び離脱時において、面取り部の面当たりにより縁部の接地圧が低減され、さらに面取り部の撓みにより衝撃が好適に吸収されるので、パターンノイズが低減される。
また、面取り部を面当たりさせることによって、接地初期時には面取り部から接地面にかけての接地圧の急激な変化が抑制され、離脱時には接地面から面取り部にかけての接地圧の急激な変化が抑制される。この結果、耐偏摩耗性が向上する。
前記パターン要素は、タイヤ径方向に延びる穴として構成されていることが好ましい。
本構成によれば、パターン要素を容易に形成できる。
前記ブロック部を、接地時における踏み込み側に位置する踏み込み側領域と、接地時における蹴り出し側に位置する蹴り出し側領域と、前記踏み込み側領域と前記蹴り出し側領域との間に位置する中央領域とにタイヤ周方向に3つの領域に区分した場合に、前記パターン要素は、前記踏み込み側領域及び前記蹴り出し側領域に形成されており、前記中央領域には形成されていないことが好ましい。
本構成によれば、パターン要素によって、踏み込み側領域及び蹴り出し側領域の剛性が低減するので撓みやすく、踏み込み時(接地時)には、打撃音が低減し、及び蹴り出し時(離脱時)には、蹴り出し音が低減すると共に、ブロックの変形復元が緩やかになることによって変形復元音が低減する。したがって、パターンノイズが低減する。
一方、中央領域にはパターン要素が形成されていないので、中央領域の剛性が低下することがないので、踏み込み側領域及び蹴り出し側領域の剛性を低減させつつも、ブロック全体の剛性が過度に低下することを抑制でき、これによって、接地時にブロックが座屈することがない。さらに、蹴り出し側領域の剛性を低下させることによって、蹴り出し領域における、せん断力をブロック全体で負担しやすくなる。この結果、離脱時において、蹴り出し側領域における、すべり量が低減されるので、蹴り出し側領域の摩耗が抑制されてトーヒール摩耗が低減する。したがって、耐偏摩耗性が向上する。
前記面取り部は、前記ブロック部の縁部のうち、タイヤ幅方向に延びる縁部に形成されていることが好ましい。この場合、前記面取り部の平面視におけるタイヤ周方向長さが、前記ブロック部のタイヤ周方向長さの1/3以下であることが好ましい。
本構成によれば、タイヤ転動に伴って、ブロック部の踏み込み時及び蹴り出し時において、面取り部を面当たりさせることにより、衝撃をより一層緩和させることができる。また、面取り部が過度に大きくなることを防止して、接地時に面取り部を適度に面当たりさせつつ、接地面の接地長さを適度に確保できる。すなわち、面取り部の平面視におけるタイヤ周方向長さが該方向におけるブロック長さの1/3より大きい場合、接地面の接地長さが不足することになる。
前記面取り部は、前記ブロック部の縁部のうち、タイヤ周方向に延びる縁部に形成されていることが好ましい。この場合、前記面取り部の平面視におけるタイヤ幅方向長さが、前記ブロック部のタイヤ幅方向長さの1/3以下であることが好ましい。
本構成によれば、旋回時において、面取り部を面当たりさせることによって、縁部の接地圧が低減されるので、面取り部からブロック部の接地部にかけて接地圧を略均一化させることができる。また、面取り部が過度に大きくなることを防止して、接地時に面取り部を適度に面当たりさせつつ、接地面の接地幅を適度に確保できる。すなわち、面取り部の平面視におけるタイヤ幅方向長さが該方向におけるブロック長さの1/3より大きい場合、接地面の接地幅が不足することになる。
前記面取り部は、タイヤ径方向における高さがブロック高さの1/2以下に形成されていることが好ましい。
本構成によれば、面取り部のタイヤ径方向における高さがブロック高さの1/2より大きい場合、面取り部の接地面に対する傾斜角度が過度に大きくなるため、面取り部を面当たりさせにくい。
前記面取り部は、前記パターン要素による開口率が5%以上50%以下であることが好ましい。
前記面取り部は、前記パターン要素による空隙率が5%以上50%以下であることが好ましい。
ここで、開口率とは、ブロック部の面取り部の表面積に対する面取り部に形成されたパターン要素の総開口面積の割合である。また、空隙率とは、ブロック部の面取り部の容積に対する、面取り部に形成されたパターン要素の総容積の割合である。
本構成によれば、面取り部の剛性を適度に低減させることができる。すなわち、開口(空隙)率が5%より小さいと面取り部の剛性を効果的に低減させることができず、衝撃を十分に緩和させることができない。一方、開口(空隙)率が50%より大きいと面取り部の剛性が過度に低下してしまい、衝撃を十分に負担することができず、耐偏摩耗性が悪化する。
本発明に係る空気入りタイヤによれば、パターンノイズを低減しつつ、耐偏摩耗性を向上できる。
本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド部に形成されたトレッドパターンを展開して示す平面図。 図1のブロックの平面図。 図2のIII−III線に沿ったブロックの断面図。 面取り部の変形例を示すブロックの平面図。 穴の配置数をタイヤ幅方向で変更した変形例を示すブロックの平面図。 穴の配置位置をタイヤ周方向で変更した変形例を示すブロックの平面図。 穴の配置数をタイヤ周方向で変更した変形例を示すブロックの平面図。 図5BのVI−VI線に沿った断面図。 図6Aの更なる変形例を示すブロックの平面図。 穴を傾斜させた変形例を示すブロックの断面図。 図7Aの更なる変形例を示すブロックの断面図。 横溝側壁部が傾斜したブロックにおける変形例を示すブロックの断面図。 図8Aの更なる変形例を示すブロックの断面図。 穴の形状を深さ方向で変形した変形例を示すブロックの断面図。 図9Aの更なる変形例を示すブロックの断面図。 穴の開口形状を変更した変形例を示すブロックの平面図。 図10Aの更なる変形例を示すブロックの平面図。 面取り部の更なる変形例を示すブロックの平面図。 図11のXII−XII線に沿った断面図。 穴の配置数をタイヤ周方向で変化した図11の変形例を示す図。 穴の配置をタイヤ幅方向で変化した図11の変形例を示す図。 比較例1に係るブロックの平面図。 比較例2に係るブロックの平面図。 比較例3に係るブロックの平面図。
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは相違している。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤ1のトレッド部2を展開して示す平面図である。図1に示されるように、トレッド部2には、タイヤ周方向に延びる複数の主溝(周方向溝)3と、主溝3に交差してタイヤ幅方向に延びる複数の横溝(横方向溝)4と、が形成されており、これらの主溝3及び横溝4によって、複数のブロック(ブロック部)5が区画されている。
主溝3は、タイヤ周方向に平行に延びている。横溝4は、トレッド部2のタイヤ幅方向の中央においてタイヤ幅方向に延びる中央部横溝4Aと、中央部横溝4Aのタイヤ幅方向の両側に連続してタイヤ幅方向外側へ、タイヤ幅方向に対して傾斜して延びる一対の側部横溝4Bと、を含んでいる。そして、トレッド部2のタイヤ幅方向の中央には、主溝3と中央部横溝4Aとによって長方形状のブロック5Aが形成され、トレッド部2のタイヤ幅方向の両側には、主溝3と側部横溝4Bとによって平行四辺形状のブロック5Bが形成されている。
次に、ブロック5Aを例として、ブロック5の構成について具体的に説明する。図2は、ブロック5Aの1つを拡大して示す平面図である。図2に示すように、ブロック5は、接地面5aのタイヤ周方向の両端部に形成された面取り部71,73と、面取り部71,73のタイヤ周方向間に平坦に形成された平坦部72と、を備えている。
面取り部71,73は、タイヤ幅方向に延びており、タイヤ回転方向Rの進み側に位置する踏み込み側の縁部に面取り部71が形成され、タイヤ回転方向Rの遅れ側に位置する蹴り出し側の縁部に面取り部73が形成されている。
面取り部71,73は、平面視におけるタイヤ周方向長さL1,L3が、ブロック5のタイヤ周方向長さL0の1/3以下の長さに形成されている。ここで、ブロック5のタイヤ周方向長さL0とは、ブロック5のタイヤ周方向に沿った各断面におけるブロック5のタイヤ周方向長さLのうち、該長さLが最も長くなる断面位置における長さL0を意味している。本実施形態では、矩形状のブロック5A及び平行四辺形状のブロック5Bは、共に長手方向がタイヤ周方向に沿うように形成されているので、ブロック5A,5Bのタイヤ周方向長さL0は、ブロック5A,5Bのタイヤ幅方向一端側に位置する縁部の長さに等しい。
図3は図2のIII−III線における縦断面を示しており、面取り部71,73は、タイヤ径方向における高さH1,H3がブロック5の高さH0の1/2以下に形成されている。
また、図2に示すように、ブロック5には、平坦部72を除く各面取り部71,73にのみ、複数のパターン要素6が形成されている。パターン要素6とは、タイヤ径方向内径側に向けて凹設されたものであり、タイヤ径方向内径側に延びる空隙部又は切り欠き部として形成されている。本実施形態では、パターン要素6は穴として形成されているが、この他、例えばディンプル、サイプ等で形成してもよい。
図3を参照して、パターン要素6は、タイヤ径方向に同じ形状で延びており、ブロック高さH0の10%以上90%以下の深さDに形成されている。
パターン要素6の開口形状は、本実施形態では円形状とされ、その大きさは、小石等の異物が噛み込み難いような大きさに形成されており、具体的には、開口面積が0.8mm以上50mm以下に設定されている。本実施形態では、パターン要素6は、面取り部71,73それぞれにおいて、タイヤ幅方向の両端部に1つずつ形成されている。
また、面取り部71,73それぞれにおける、パターン要素6による開口率は、5%以上50%以下に設定されている。ここで、開口率とは、ブロック5の面取り部71,73の表面積に対する、全てのパターン要素6の総開口面積の割合として定義されている。
また、面取り部71,73それぞれにおける、パターン要素6による空隙率は、5%以上50%以下に設定されている。ここで、空隙率とは、ブロック5の面取り部71,73の全容積に対する、全てのパターン要素6の総容積の割合として定義されている。
上述したように、ブロック5のタイヤ周方向の両縁部に面取り部71,73を形成したので、ブロック5は、路面への接地初期時に面取り部71を路面に面当たりさせて接地することになり、路面からの離脱時に面取り部73を面当たりさせた状態から離脱する。これによって、ブロック5に面取り部71,73が形成されていない場合に比して、接地初期時及び離脱時において、路面への接地部分の面積が増大することによって、接地面の縁部における局所的な接地圧の集中が緩和される。
これに加えて、面取り部71,73にはパターン要素6が形成されているので、面取り部71,73の剛性を適度に低下させることができ、接地初期時及び離脱時において、面取り部71,73を適度に撓ませることができる。したがって、ブロック5は、接地初期時及び離脱時において、面取り部71,73の面当たりにより縁部の接地圧が低減され、さらに面取り部71,73の撓みにより衝撃が好適に吸収される。この結果、ブロック5の接地時における打撃音が低減されると共に、離脱時における蹴り出し音及び変形復元音が低減されるので、パターンノイズを低減できる。
また、接地初期時に面取り部71を面当たりさせることによって、面取り部71から平坦部72にかけての接地圧の急激な変化が抑制され、離脱時に面取り部73を面当たりさせた状態から離脱させることによって、平坦部72から面取り部73にかけての接地圧の急激な変化が抑制される。よって、接地圧の不均一に起因した偏摩耗が抑制されるので、耐偏摩耗性が向上する。
一方、平坦部72には、パターン要素6が形成されておらず平坦に形成されているので、平坦部72の剛性が低下することがない。これによって、面取り部71,73にパターン要素6を形成しつつも、ブロック5全体の剛性が過度に低下することがなく、接地時においてブロック5の座屈が抑制される。
さらに、面取り部73に形成したパターン要素6によって、ブロック5の蹴り出し側の縁部の剛性が低下し、これによって、蹴り出し時において、せん断力をブロック5全体で負担しやすくなる。この結果、蹴り出し時において、蹴り出し側の縁部における、すべり量が低減されるので、蹴り出し側領域の摩耗が抑制されて、この結果、トーヒール摩耗量が低減する。
したがって、面取り部71,73にのみパターン要素6を形成し、平坦部72にはパターン要素6を形成しないことによって、タイヤのパターンノイズを効果的に低減しつつも、偏摩耗性(トーヒール摩耗)を向上できる。
また、面取り部71及び73のタイヤ周方向長さL1,L3はブロック5のタイヤ周方向長さL0の1/3以下の長さであるので、平坦部72の周方向長さL2は、少なくともブロック長さL0の1/3の長さが確保されることになり、これによって、ブロック5の剛性が過度に低下することがない。
また、面取り部71,73はそれぞれ、パターン要素6による開口率が、5%以上50%以下となるように形成されているので、面取り部71,73の剛性を適度に低減させることができる。すなわち、開口率が5%より小さいと面取り部71,73の剛性を効果的に低減させることができず、衝撃音の低減が不足する。一方、開口率が50%より大きいと面取り部71,73の剛性が過度に低下してしまい、却ってすべり量が増大してしまい、この結果、摩耗量が増大してしまう。
同様に、面取り部71,73は、パターン要素6による空隙率が、5%以上50%以下となるように形成されているので、面取り部71,73の剛性を適度に低減させることができる。すなわち、空隙率が5%より小さいと面取り部71,73の剛性を効果的に低減させることができず、衝撃音の低減が不足する。一方、空隙率が50%より大きいと面取り部71,73の剛性が過度に低下してしまい、却ってすべり量が増大してしまい、この結果、摩耗量が増大してしまう。
また、パターン要素6を、穴として形成することによって容易に形成できる。しかしながら、パターン要素6を、上述したように、穴の他にディンプルやサイプとして形成してもよい。
上記実施形態では、面取り部71,73を、ブロック5のタイヤ周方向の両縁部に形成したが、図4Aに示すように、ブロック5の4隅の角部に面取り部81〜84を形成してもよい。この場合、各面取り部81〜84のタイヤ周方向長さL21,L22又はタイヤ幅方向長さL11,L12をそれぞれ、ブロック5のタイヤ周方向長さL20及びタイヤ幅方向長さL10のそれぞれ1/3以下に設定すると共に、各面取り部81〜84にパターン要素6を形成すればよい。これによって、ブロック5の角部の剛性を適度に低減させることができる。
また、図4Bに示すように、パターン要素6を、面取り部71,73の長手方向の中央部分に更に形成してもよい。この場合、上述したパターン要素6による開口率及び空隙率を満たせばよく、面取り部71,73の剛性を更に低減できる。
また、図5A及び図5Bに示すように、パターン要素6を面取り部71,73の他、平坦部72にも形成してもよい。図5Aに示すように、パターン要素6を面取り部71,73から平坦部72にわたって形成してもよく、図5Bに示すように、パターン要素6を面取り部71,73に設けると共に、平坦部72にも形成してもよい。いずれの場合であっても、ブロック5を、接地時における踏み込み側に位置する踏み込み側領域51と、接地時における蹴り出し側に位置する蹴り出し側領域53と、踏み込み側領域51と蹴り出し側領域53との間に位置する中央領域52とにタイヤ周方向に3つの領域に区分した場合に、パターン要素6を、踏み込み側領域51及び蹴り出し側領域53に形成すればよく、これらの間の中央領域52に形成しなければよい。
ここで、踏み込み側領域51は、ブロック5が路面に接地していない状態からタイヤ1の転動に伴って路面に最初に接地し始める領域であり、蹴り出し側領域53は、ブロック5が接地している状態からタイヤ1の回転に伴って路面から最後に離脱する領域である。踏み込み側領域51及び蹴り出し側領域53のタイヤ周方向長さA1,A3は、ブロック5のタイヤ周方向最大長さA0の1/3以下の長さである。換言すれば、中央領域52は、タイヤ周方向長さA2が、ブロック5のタイヤ周方向最大長さA0の1/3以上である。ここで、タイヤ周方向最大長さA0とは、タイヤ回転方向Rにおいて、最も進み側に位置する端部と、最も遅れ側に位置する端部との間の、タイヤ周方向における長さを意味している。図5Aの場合、ブロック5は矩形状に形成されているので、タイヤ周方向最大長さA0は、ブロック5のタイヤ周方向長さL0と等しい。一方、図1に示すように、平行四辺形状のブロック5Bの場合、タイヤ周方向最大長さA0は、タイヤ回転方向Rの進み側に位置する角部55と、遅れ側に位置する角部56との間の、タイヤ周方向における長さとなる。
すなわち、パターン要素6を、踏み込み側領域51及び蹴り出し側領域53にのみ形成し、これらの間の中央領域52には形成しないことによって、踏み込み側領域51及び蹴り出し側領域53の剛性を適度に低下させながらも、中央領域52の剛性を維持することで、ブロック5全体の剛性が過度に低下することがない。したがって、接地時においてブロック5の座屈が抑制される。
また、図5Bのようにパターン要素6を踏み込み側領域51及び蹴り出し側領域53においてタイヤ周方向に複数段に形成した場合において、図示は省略するが、横溝4側に位置するパターン要素6を、中央領域52側に位置するパターン要素6よりも大きく形成してもよい。これによって、ブロック5の横溝4側の縁部の剛性をより好適に低減させることができ、中央領域52側の剛性を維持しやすい。したがって、接地時及び離脱時において、中央領域52側に比して横溝4側をより撓ませながら接地させ又は離脱させやすく、ブロック5が座屈するのを防止できる。
また、図6A及び図6Bに示すように、ブロック5内において、複数のパターン要素6の深さをそれぞれ異ならせてもよい。すなわち、図6Aに示すように、踏み込み側領域51及び蹴り出し側領域53に形成されたパターン要素6のうち、横溝4側に位置するパターン要素6の深さをより深くするように形成してもよい。これによって、ブロック5の横溝4側の剛性を効果的に低減させることできると共に、中央領域52側の剛性が過度に低下することを防止できる。従って、踏み込み時、蹴り出し時における騒音を低減しつつも、ブロック5全体の剛性が過度に低下することを防止してトーヒール摩耗量の増大を抑制できる。
また、図6Bに示すように、踏み込み側領域51及び蹴り出し側領域53の一方の領域についてのみ、複数のパターン要素6の深さを異ならせてもよい。
また、図7A及び図7Bに示すように、パターン要素6をタイヤ径方向に対して傾斜させてもよい。図7Aにはパターン要素6をタイヤ径方向内径側に進むにつれて中央領域52側に傾斜させた場合を示しており、図7Bにはパターン要素6をタイヤ径方向内径側に進むにつれて横溝4側に傾斜させた場合を示している。
また、図8A及び図8Bに示すように、ブロック5の壁部のうち、横溝4によって画定された横溝側壁部57がタイヤ径方向に対して傾斜している場合において、タイヤ軸線方向から見て、パターン要素6を、横溝側壁部57に沿って概ね平行に延びるように傾斜させてもよい。図8Aには、タイヤ径方向内径側に広がるように形成されたブロック5が示されており、パターン要素6は、横溝側壁部57の傾斜に沿って傾斜するように形成されている。
これによって、摩耗時においても、パターン要素6によって形成された空隙部と横溝側壁部57との間の位置関係(距離)を略一定に維持することができるので、摩耗時においても踏み込み側領域51及び蹴り出し側領域53の剛性を安定して低減できる。
一方、横溝側壁部57が下広がり(すなわち、溝底側が幅広)となるように傾斜している場合に、パターン要素6をタイヤ径方向に平行に延びるように形成した場合、摩耗時にはパターン要素6による空隙部と横溝側壁部57との間の距離が増大することとなり、踏み込み側領域51及び蹴り出し側領域53における剛性の低下代が変化することになり、特に横溝4近傍における剛性の低下代が減少することになる。
また、図8Bに示すように、パターン要素6を、複数の穴部を組み合わせて屈曲するように形成してもよく、また図示は省略するが、パターン要素6を湾曲させるように形成してもよい。このようにパターン要素6を形成することによって、パターン要素6の形成の自由度が増大し、ブロック5の踏み込み側領域51及び蹴り出し側領域53の剛性を、例えばその横溝側壁部57の形状に合わせて、好適に低減させやすい。
また、図9A及び図9Bに示すように、パターン要素6を、深さ方向で形状を変化させてもよい。すなわち、図9Aに示すように、パターン要素6を深さ方向に進むにつれて断面形状が小さくなるように形成してもよい。これによって、パターン要素6に噛み込んだ異物を、ブロック5の接地及び離脱時の変形によって排出させ易くなっている。
また、図9Bに示すように、パターン要素6を深さ方向に進むにつれて断面形状が大きくなるように形成してもよい。これによって、トレッド面に開口する面積を小さくしつつも、パターン要素6による空隙部の容積を拡大し易く、さらに小さくされた開口によって異物のパターン要素6への噛み込みを抑制し易い。また、図示は省略するが、パターン要素6を、深さ方向において拡径部と縮径部とを有するように、様々な断面形状を組み合わせてもよい。
また、図10A及び10Bに示すように、パターン要素6を、丸でなく楕円形状に形成したり、多角形状に形成したりしてもよい。図10Aに示すようにパターン要素6を楕円状に形成することによってパターン要素6の形成の自由度を高めることができる。また、図10Bに示すように、パターン要素6を多角形状に形成することで、例えばブロック5の輪郭形状に沿ったパターン要素6を形成することができ、より効率的にブロック5の剛性を低減できる。
また、上記実施形態では、ブロック5の接地面5aのタイヤ周方向の両端部に位置する縁部に面取り部71,73を形成する場合を例にとって説明したが、図11に示すように、ブロック5の接地面5aのタイヤ幅方向の両縁部に位置する縁部に面取り部91,93を形成してもよい。この場合、面取り部91,93のタイヤ幅方向の長さW91,W93は、ブロック5のタイヤ幅方向長さW90の1/3以下の長さに形成される。ここで、ブロック5のタイヤ幅方向長さW90とは、ブロック5のタイヤ幅方向に沿った各断面におけるブロック5のタイヤ幅方向長さWのうち、該長さWが最も長くなる断面位置における長さW0を意味している。また、図12を参照して、面取り部91,93のタイヤ径方向における高さH91,H93は、ブロック5の高さH0の1/2以下に形成されている。
この場合、面取り部91,93には、踏み込み側領域51及び蹴り出し側領域53にパターン要素6が形成されている。パターン要素6は、タイヤ径方向に同じ形状で延びており、フロック高さH0の10%以上90%以下の深さDに形成されている。また、パターン要素6は、タイヤ周方向の縁部に形成した面取り部71,73のように、深さ方向で断面形状を変化させてもよく、傾斜させたり、深さを変化させたり等、各種変形をしてもよい。
また、図13Aに示すように、パターン要素6を、踏み込み側領域51及び蹴り出し側領域53内であれば、複数形成してもよく、図13Bに示すように、面取り部91,93から、これらの間に位置する平坦部92にかけて、パターン要素6を形成してもよい。
これによって、旋回時において、面取り部91,93を面当たりさせることによって、接地面5aの縁部の接地圧が低減されるので、面取り部91,93から平坦部92にかけて接地圧を、略均一化させることができる。
以下の表1に示す比較例1〜3、並びに実施例1〜3の空気入りタイヤを対象に、ノイズ及び耐偏摩耗性の評価試験を行った。
Figure 2017087966
図14Aに示すように、比較例1の空気入りタイヤには、面取り部もパターン要素も形成されておらず、踏み込み側領域51、中央領域52、及び蹴り出し側領域53が平坦に形成されている。
図14Bに示すように、比較例2の空気入りタイヤでは、比較例1に対してタイヤ周方向両端の縁部に面取り部71,73が形成されている。
図14Cに示すように、比較例3の空気入りタイヤでは、比較例1に対して、踏み込み側領域51、中央領域52、及び蹴り出し側領域53それぞれの領域におけるタイヤ幅方向の両端に、パターン要素6が形成されている。
図2に示すように、実施例1の空気入りタイヤでは、比較例2に対して、踏み込み側領域51及び蹴り出し側領域53それぞれの領域におけるタイヤ幅方向の両端に、パターン要素6が形成されている。したがって、中央領域52にはパターン要素6は形成されていない。
図4Aに示すように、実施例2の空気入りタイヤでは、実施例1に対して、タイヤ幅方向に延びる面取り部71,73の代わりに、ブロックの4隅の角部に面取り部81〜84が形成されている。
図11に示すように、実施例3の空気入りタイヤでは、実施例1に対して、タイヤ幅方向に延びる面取り部71,73の代わりに、ブロック5のタイヤ幅方向両端の縁部にタイヤ周方向に延びる面取り部91,93が形成されている。
なお、実施例1〜3において、パターン要素6による各面取り部71,73,81〜84,91,93における開口率及び空隙率は、5%以上50%以下に設定されている。
ノイズの評価試験では、ノイズ計測用コースを80km/hの速度で走行したときの1次ピッチピークのレベルを計測した。比較例1の場合を100として、残りの比較例2,3と実施例1〜3の性能を指数化しており、指数が低いほどノイズ性能が良好であることを示している。ここで、1次ピッチピークとは、ブロックの踏み込み側の端部が接地する(又はブロックの蹴り出し側の端部が離脱する)ときに生ずる衝撃音であって、タイヤ1周当たりのブロックの形成数(形成ピッチ)とタイヤの回転数とに基づいた周波数で生じる。
耐偏摩耗性の評価試験では、実車にて規定距離走行した際の、踏み込み側領域の摩耗量と蹴り出し側領域の摩耗量との差をトーヒール量として計測した。比較例1の場合を100として、残りの比較例2,3と実施例1〜3の性能を指数化しており、指数が高いほど耐偏摩耗性能が良好であることを示している。
パターン要素6を形成した、比較例3及び実施例1〜3は、いずれもノイズ性能が100より低く、パターン要素6が形成されていない比較例1よりも優れる。特に、実施例1〜3を比較して、タイヤ周方向両端の縁部に面取り部71,73を形成した実施例1が最もノイズ性能が優れており、次いで、ブロック4隅の角部に面取り部81〜84を形成した実施例2、及びタイヤ幅方向両端の縁部に面取り部91,93を形成した実施例3の順に、ノイズ性能が優れる結果となった。
すなわち、実施例1の面取り部71,73及び実施例2の面取り部81〜84は、ブロック5のタイヤ周方向両端の縁部において横溝4側に向けて傾斜する部分を有しているので、接地時及び離脱時において、面当たりさせながら接地及び離脱させやすく接地圧が低減するので、このときのノイズ性能が優れている。特に、面取り部が縁部の全幅にわたって形成された実施例1が、面取り部81〜84が角部にのみ形成された実施例2よりも、縁部の全幅にわたる広い範囲で面当たりさせながら接地及び離脱させやすく、より接地圧が低減するので、ノイズ性能が優れる結果となったと考えられる。
これに対して、実施例3の面取り部91,93は、ブロック5の周方向両端の縁部において、横溝4側に向けて傾斜する部分を有していないので、実施例1及び2に比して、接地初期時及び離脱時において、面当たりしにくいためにノイズ性能が劣る結果となったと考えられる。
耐偏摩耗性に着目すると、面取り部が形成された比較例2及び、実施例1〜3は、いずれも比較例1に比して、耐偏摩耗性が向上している。面取り部が形成されていない比較例3は、中央領域52にパターン要素6が形成されているため、ブロック5全体の剛性が過度に低下してしまい、接地時に座屈が生じて耐偏摩耗性が悪化したと考えられる。
また、実施例1〜3に関して、ノイズ性能と同様に、横溝4側に形成された面取り部の大きさの順、すなわち実施例1、実施例2、実施例3の順に、耐偏摩耗性が優れる結果となった。これは、上述したように、実施例1、実施例2、実施例3の順に、タイヤの転動に伴って踏み込み時により広い範囲で面当たりさせながら路面に接地させることができ、蹴り出し時において、より広い範囲で面当たりさせた状態から、路面から離脱させることができるためと考えられる。
上記実施形態では、ブロック5は、タイヤ周方向に点対称に形成されているので、空気入りタイヤ1は、回転方向指定のタイヤではない。しかしながら、ブロック5をタイヤ周方向に対して点対称に形成しなくてもよい。
上記実施形態では、ブロック5のタイヤ周方向又はタイヤ幅方向の両端部における縁部に面取り部を形成すると共に、各面取り部についてパターン要素6を形成した。しかしながら、これに限らず、少なくとも1つの縁部について面取り部を形成してもよく、面取り部を複数の縁部に形成した場合には、少なくとも1つの面取り部についてパターン要素6を形成してもよい。
上記実施形態では、パターン要素6を、同じ大きさに形成したが、大きさ又は形状の異なる複数のパターン要素を組み合わせて形成してもよい。
また、上記実施形態では、トレッド部2における全てのブロック5について、パターン要素6を形成する場合を例にとり説明したが、これに限らず、特定のタイヤ幅方向における特定の隣接する主溝3,3間に形成されるブロック5についてのみ形成してもよく、若しくは、トレッド部2からランダムに選択したブロック5に形成してもよい。
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
3 主溝
4 横溝
5 ブロック
6 パターン要素
51 踏み込み側領域
52 中央領域
53 蹴り出し側領域
57 横溝側壁部
71,73 面取り部
72 平坦部

Claims (10)

  1. トレッド部をタイヤ周方向に延びる複数の周方向溝とこれに交差する複数の横方向溝とによって区画された複数のブロック部を備えた空気入りタイヤであって、
    前記ブロック部は、接地面の少なくとも1つの縁部に面取り部を有し、
    前記面取り部には、径方向内径側に向けて凹設された1又は複数のパターン要素が形成されている、空気入りタイヤ。
  2. 前記パターン要素は、タイヤ径方向に延びる穴として構成されている、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ブロック部を、接地時における踏み込み側に位置する踏み込み側領域と、接地時における蹴り出し側に位置する蹴り出し側領域と、前記踏み込み側領域と前記蹴り出し側領域との間に位置する中央領域とにタイヤ周方向に3つの領域に区分した場合に、
    前記パターン要素は、前記踏み込み側領域及び前記蹴り出し側領域に形成されており、前記中央領域には形成されていない、請求項1又は請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記面取り部は、前記ブロック部の縁部のうち、タイヤ幅方向に延びる縁部に形成されている、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記面取り部は、平面視におけるタイヤ周方向長さが、前記ブロック部のタイヤ周方向長さの1/3以下である、請求項4に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記面取り部は、前記ブロック部の縁部のうち、タイヤ周方向に延びる縁部に形成されている、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記面取り部は、平面視におけるタイヤ幅方向長さが、前記ブロック部のタイヤ幅方向長さの1/3以下である、請求項6に記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記面取り部は、タイヤ径方向における高さがブロック高さの1/2以下に形成されている、請求項1〜7のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記面取り部は、前記パターン要素による開口率が5%以上50%以下である、請求項1から請求項8のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記面取り部は、前記パターン要素による空隙率が5%以上50%以下である、請求項1から請求項9のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
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