JP2017087345A - 希土類焼結磁石片の面取り装置および方法、ならびにそれを用いた希土類焼結磁石の製造方法 - Google Patents

希土類焼結磁石片の面取り装置および方法、ならびにそれを用いた希土類焼結磁石の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来よりも効率良くR面取りすることができる装置および方法、ならびにそれを用いた希土類焼結磁石の製造方法を提供する。【解決手段】面取り装置100は、第1遊星ブラシ10a、第2遊星ブラシ10bと、搬送ベルト20と、押えベルト30とを備えている。磁石片1は、搬送ベルト20および押えベルト30との間に安定に保持された状態で搬送される。搬送ベルト20および押えベルト30によって規定される搬送経路の途中に、第1遊星ブラシ10aおよび第2遊星ブラシ10bが配置されている。第1遊星ブラシ10aと第2遊星ブラシ10bとは、搬送経路に対して互いに反対側に配置されており、かつ、第1遊星ブラシ10aと第2遊星ブラシ10bとは互いに対面しないように配置されている。【選択図】図1

Description

本発明は、希土類焼結磁石片の面取り装置および方法、ならびにそれを用いた希土類焼結磁石の製造方法に関する。本発明は、特に、希土類焼結磁石の内のR−T−B系焼結磁石、その中でも特に、軽希土類元素RL(NdおよびPrの少なくとも1種)を主たる希土類元素Rとして含有し、かつ、重希土類元素RH(DyおよびTbの少なくとも1種)を内部に拡散させることによって保磁力を向上させた、R214B型化合物(Rは希土類元素、TはFeを含む遷移金属元素)を主相として有するR−T−B系焼結磁石の製造に好適に用いられる。
Nd2Fe14B型化合物を主相とするR−T−B系焼結磁石は、永久磁石の中で最も高性能な磁石として知られており、ハードディスクドライブのボイスコイルモータ(VCM)や、電気自動車用(EV、HV、PHVなど)モータ、産業機器用のモータ等の各種モータや家電製品等に使用されている。Ndの一部または全部は他の希土類元素に置き換えられても良く、Feの一部は他の遷移金属元素に置き換えられても良いため、Nd2Fe14B型化合物は、R214B型化合物と表現される場合がある。なお、Bの一部はC(炭素)に置き換えられ得る。
R−T−B系焼結磁石は、高温で保磁力が低下するため、不可逆熱減磁が起こる。不可逆熱減磁を回避するため、モータ用等に使用する場合、高温下でも高い保磁力を維持することが要求されている。これを満足するためには、常温での保磁力を高めるか、もしくは要求温度までの保磁力変化を小さくする必要がある。
214B型化合物相中の軽希土類元素RLであるNdを重希土類元素RH(主にDy、Tb)で置換すると、保磁力が向上することが知られている。高温で高い保磁力を得るためには、R−T−B系焼結磁石用の原料合金中に重希土類元素RHを多く添加することが有効であると考えられてきた。しかし、R−T−B系焼結磁石において、軽希土類元素RL(Nd、Pr)を重希土類元素RHで置換すると、保磁力が向上する一方、残留磁束密度が低下してしまうという問題がある。また、重希土類元素RHは希少資源であるため、その使用量を削減することが求められている。
そこで、近年、残留磁束密度を低下させないように、より少ない重希土類元素RHによってR−T−B系焼結磁石の保磁力を向上させることが検討されている。本願出願人は、既に特許文献1において、R−Fe−B系焼結磁石片の表面にDy等の重希土類元素RHを供給しつつ、重希土類元素RHを焼結磁石片の内部に拡散させる(以下「蒸着拡散」という)方法を開示している。
特許文献1の方法では、処理室内において、R−T−B系焼結磁石片と重希土類元素RHからなるRHバルク体とを離間して配置する必要があるため、配置のための工程に手間がかかり、量産性に劣るという問題がある。また、DyやTbの供給が昇華によってなされるため、R−T−B系焼結磁石片への拡散量を増加してより高い保磁力を得るには長時間を要する場合がある。
そこで、本願出願人は、特許文献2に、R−T−B系焼結磁石片を準備する工程と、重希土類元素RH(DyおよびTbの少なくとも1種)の金属または合金からなるRH拡散源を準備する工程と、R−T−B系焼結磁石片とRH拡散源とを相対的に移動可能かつ近接または接触可能に処理室内に装入する工程と、R−T−B系焼結磁石片とRH拡散源とを処理室内にて連続的または断続的に移動させながら、500℃以上850℃以下の熱処理を10分以上行うRH拡散工程とを包含する、R−T−B系焼結磁石の製造方法を開示した。
特許文献2の方法によれば、500℃以上850℃以下という温度にも関わらず、RH拡散源がR−T−B系焼結磁石片と近接または接触するため、RH拡散源から重希土類元素RHが供給され、粒界を通じてその内部に拡散することができる。
本願出願人は、さらに、特許文献3に、希土類元素の含有量によって定義されるR量が31質量%以上37質量%以下であるR−T−B系焼結磁石片を準備する工程と、重希土類元素RH(DyおよびTbの少なくとも一方)および30質量%以上80質量%以下のFeを含有するRH拡散源を準備する工程と、焼結磁石片とRH拡散源とを相対的に移動可能かつ近接または接触可能に処理室内に装入する工程と、焼結磁石片とRH拡散源とを処理室内にて連続的または断続的に移動させながら、焼結磁石片およびRH拡散源を700℃以上1000℃以下の処理温度に加熱するRH拡散工程とを包含する、R−T−B系焼結磁石の製造方法を開示した。
特許文献3に記載の製造方法によると、R−T−B系焼結磁石片(RH拡散工程実施前の磁石)内部に短時間で重希土類元素RHを拡散し、Brを低下させることなくHcJを向上させることができる。また、700℃以上1000℃以下の広い温度域のRH拡散工程でもR−T−B系焼結磁石片とRH拡散源とが溶着を起こさず、R−T−B系焼結磁石片の内部に重希土類元素RHを拡散することができる。
参考のために特許文献2および3の開示内容の全てを本明細書に援用する。
国際公開第2007/102391号 国際公開第2011/007758号 国際公開第2013/108830号 特開2002−120133号公報 特開2014−208397号公報
しかしながら、特許文献2および3に記載されている製造装置では、拡散処理のために、焼結磁石片、RH拡散源およびオプショナルな撹拌補助部材(拡散処理において撹拌補助部材は必ずしも必要ではなく、任意で用いることができる)が投入された円筒状の処理室を回転させる際に、回転速度を制限しても、焼結磁石片同士の接触による焼結磁石片の欠けが発生する場合がある。
特に、近年需要が高まっている自動車の動力源用のモータや産業機器用モータに使用される焼結磁石片は、小型で長尺な形状(例えば、長さ50mm×幅10mm×厚さ5mm)を有しており、特に欠けが発生しやすい。
本発明者は、小型で長尺な形状(板状の直方体)の焼結磁石片の欠けの発生を抑制するために、拡散処理室に焼結磁石片を投入する前に、両側端面(上記例では10mm×5mmの面)のR面取り(曲面状面取り)をしておくことが有効であることを見出した。本出願人は、希土類焼結磁石片のR面取り方法として、ブラシを用いた面取り方法を例えば特許文献4および5に開示している。特許文献5のR面取り方法によると、ダイヤモンド砥粒と金属粒とを含む樹脂で形成された弾性毛材を有するブラシを用いることによって、従来のブラシを用いるよりも効率的に希土類磁石片の面取りをすることができる。参考のために特許文献4および5の開示内容の全てを本明細書に援用する。
しかしながら、特許文献4および5に記載の方法は、個々の磁石片を治具で保持した状態で、回転するブラシを接触させるので、磁石片を治具に固定する作業が必要であり、大量の焼結磁石片を効率良くR面取りすることができなかった。
そこで、本発明は、従来よりも効率良く磁石の両側端面4辺のR面取りをすることができる装置および方法、ならびにそれを用いた希土類焼結磁石の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の実施形態による面取り装置は、複数の磁石片を受容する複数の溝を有する搬送ベルトと、 前記搬送ベルトに受容された前記複数の磁石片を押さえる押えベルトと、前記搬送ベルトおよび押えベルトによって規定される搬送経路の途中に設けられた少なくとも1の第1遊星ブラシおよび少なくとも1つの第2遊星ブラシとを備え、前記少なくとも1つの第1遊星ブラシと前記少なくとも1つの第2遊星ブラシとは、前記搬送経路に対して互いに反対側に配置されており、かつ、前記少なくとも1つの第1遊星ブラシと前記少なくとも1つの第2遊星ブラシとは互いに対面しないように配置されている。
ある実施形態において、前記少なくとも1つの第1遊星ブラシおよび前記少なくとも1つの第2遊星ブラシは、それぞれ複数の回転ブラシを有し、前記少なくとも1つの第1遊星ブラシは、前記搬送経路に沿って配列された2つの第1遊星ブラシであって、2つの第1遊星ブラシのそれぞれが有する前記複数の回転ブラシの公転方向は互いに逆であり、前記複数の回転ブラシの自転方向も互いに逆である2つの第1遊星ブラシを含み、前記少なくとも1つの第2遊星ブラシは、前記搬送経路に沿って配列された2つの第2遊星ブラシであって、2つの第2遊星ブラシのそれぞれが有する前記複数の回転ブラシの公転方向は互いに逆であり、前記複数の回転ブラシの自転方向も互いに逆である2つの第2遊星ブラシを含む。
ある実施形態において、前記少なくとも1つの第1遊星ブラシが有する前記複数の回転ブラシの公転方向と自転方向とは互いに逆であり、前記少なくとも1つの第2遊星ブラシが有する前記複数の回転ブラシの公転方向と自転方向とは互いに逆である。
ある実施形態において、前記少なくとも1つの第1遊星ブラシおよび前記少なくとも1つの第2遊星ブラシに、前記搬送経路を介して対面するように配置された第1および第2基準ガイド壁をさらに有する。
ある実施形態において、前記複数の溝のそれぞれは、約90°を成す2つの斜面で構成された三角溝である。
本発明の実施形態による面取り方法は、複数の磁石片を用意する工程と、上記のいずれかに記載の面取り装置を用意する工程と、前記搬送ベルトの前記複数の溝に、前記複数の磁石片のそれぞれを両端が溝から突き出るように収容させる工程と、前記搬送ベルトの前記複数の溝に収容された前記複数の磁石片を前記押えベルトで押えながら搬送する工程と、搬送されている前記複数の磁石片に前記少なくとも1つの第1遊星ブラシを接触させることによって面取りする第1面取り工程と、前記第1面取り工程の後で、搬送されている前記複数の磁石片に前記少なくとも1つの第2遊星ブラシを接触させることによって面取りする第2面取り工程とを包含する。
ある実施形態において、前記第1面取り工程および前記第2面取り工程は、前記複数の磁石片と前記少なくとも1つの第1遊星ブラシまたは前記少なくとも1つの第2遊星ブラシとが接触する部分に、クーラントを供給する工程を包含する。
本発明の実施形態によるR−T−B系焼結磁石の製造方法は、希土類元素の含有量によって定義されるR量が29質量%以上40質量%以下であるR−T−B系焼結磁石の磁石片を準備する工程と、前記磁石片を上記の面取り方法によって面取りする工程と、重希土類元素RH(DyおよびTbの少なくとも一方)を含有するRH拡散源を準備する工程と、拡散処理装置に面取りされた前記磁石片と前記RH拡散源とを投入する工程と、前記磁石片と前記RH拡散源とを前記拡散処理装置内にて連続的または断続的に移動させながら、前記磁石片および前記RH拡散源を700℃以上1000℃以下の処理温度に加熱するRH拡散工程とを包含する。
本発明の実施形態によると、従来よりも効率良く磁石の両側端面4辺のR面取りをすることが可能な面取り装置および方法、ならびにそれを用いた希土類焼結磁石の製造方法が提供される。本発明の実施形態による面取り装置および方法は、拡散処理工程の前処理としてだけでなく、公知の他の面取り装置および方法に代えて、または、併せて用いることができる。
(a)は本発明の実施形態による面取り装置100の模式的な平面図であり、(b)は模式的な部分側面図である。 面取り装置100が有する遊星ブラシ10aと搬送ベルト20および押えベルト30との配置関係を示す模式図である。 (a)は遊星ブラシ10が有する回転ブラシ14の模式図であり、(b)は回転ブラシ14のブラシ部分の模式図である。 (a)は面取り装置100が有する搬送ベルト20の模式的な斜視図であり、(b)は搬送ベルト20が焼結磁石片1を受容している状態を示す模式図である。 (a)は面取り装置100が有する押えベルト30の模式的な側面図であり、(b)は他の押えベルト30aの模式的な側面図である。 面取り装置100に供給コンベア装置50から磁石片1を供給する工程を示す模式的な側面図である。 面取り装置100の後段に配置される乾燥機60の構成を示す模式的な断面図である。 本発明による実施形態の焼結磁石の製造方法に用いられ得る拡散処理装置の模式図である。 (a)はR−T−B系焼結磁石片1の模式的な斜視図であり、(b)はRH拡散源2aの模式的な斜視図であり、(c)は撹拌補助部材2bの模式的な斜視図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態による面取り装置100およびそれを用いた面取り方法ならびに、R−T−B系焼結磁石の製造方法を説明する。ここでは、上述の拡散処理工程の前処理としての面取り方法およびそれを用いたR−T−B系焼結磁石の製造方法を説明する。なお、本発明の実施形態は、以下に例示するものに限られない。
図1(a)に、本発明の実施形態による面取り装置100の模式的な平面図を示し、図1(b)に面取り装置100の模式的な部分側面図を示す。
図1(a)に示す様に、面取り装置100は、遊星ブラシ10a、10bと、搬送ベルト20と、押えベルト30とを備えている。搬送ベルト20および押えベルト30は、磁石片の搬送経路を規定する。磁石片は、例えば、図9(a)に示すR−T−B系焼結磁石片(以下、「磁石片」という。)1のように、例えば、小型で長尺な形状(例えば、長さ50mm×幅10mm×厚さ5mm)を有している。搬送ベルト20および押えベルト30は、例えば、図1(b)に示すように、それぞれエンドレスベルトであり、搬送ベルト20と押えベルト30との間に磁石片1を保持した状態で、連続的に矢印の方向(図中右から左)へ磁石片1を搬送する。
搬送経路の途中に、遊星ブラシ10aおよび遊星ブラシ10bが配置されている。遊星ブラシ10aおよび遊星ブラシ10bは同種の遊星ブラシ10であってよい。遊星ブラシ10aと遊星ブラシ10bとは、搬送経路に対して互いに反対側に配置されている。また、遊星ブラシ10aと遊星ブラシ10bとは互いに対面しないように配置されている。すなわち、搬送経路の異なる位置に配置されており、ここでは、遊星ブラシ10bは、遊星ブラシ10aよりも搬送経路の下流側に配置されている。
搬送経路の同じ位置の両側に遊星ブラシ10aと遊星ブラシ10bを互いに対向するように配置すると、磁石片1が両側の遊星ブラシ10aおよび10bから押されるので、磁石片1と遊星ブラシ10aおよび遊星ブラシ10bとの位置関係が一定に保たれないことがある。それによって、磁石片1の一方の端部が遊星ブラシ10aまたは遊星ブラシ10bに深く埋もれたり、逆に磁石片1と遊星ブラシ10aまたは遊星ブラシ10bとの接触が不十分となったりして、磁石片1の端面が十分にR面取りされないことがある。
遊星ブラシ10aと遊星ブラシ10bとを互いに対面しないように、搬送経路の異なる位置に配置することによって上記の不具合の発生を抑制することができる。さらに、図1(a)に示す様に、遊星ブラシ10a、10bの反対側に、搬送経路を介して遊星ブラシ10a、10bと対面するように、基準ガイド壁25a、25bを配置すれば、磁石片1の両側端面と遊星ブラシ10a、10bとの位置関係をより確実に一定に保つことができる。遊星ブラシ10a、10bによって磁石片1の一方の端面が面取り加工を受ける間、磁石片1の他方の端面は、基準ガイド壁25a、25bに当接し、位置が固定される。基準ガイド壁25a、25bは、例えば、同種の基準ガイド壁25でよく、例えば、ステンレス鋼やMCナイロン(クオドラント ポリペンコ社の製品名)やニューライト(超高分子量ポリエチレン)などのプラスチックの板を用いることができる。
遊星ブラシ10a、10bは、図9(a)に示した板状直方体の磁石片1の両側の端面の4つの辺1a、1b、1cおよび1dとこれらの辺によって形成される角を選択に面取りする。特許文献2や特許文献3に記載の方法でRH拡散を行う場合、磁石片1の全ての辺を面取りしなくとも、両側の端面の4つの辺の面取りを行うことによって、RH拡散処理中の欠けの発生が大幅に抑制されることを、発明者らは見出した。
ここで例示する面取り装置100は、搬送経路の両側のそれぞれに、搬送方向(図中の矢印C1で示す。)に沿って配列された2つの遊星ブラシ10aおよび2つの遊星ブラシ10bを備えているが、それぞれ1つでもよい。ただし、後述するように、面取りの均一性の観点からは、搬送方向に沿って2つの遊星ブラシ10aおよび2つの遊星ブラシ10bを配列し、かつ、2つの遊星ブラシ10aが有する回転ブラシの自転方向および公転方向を互いに逆に、2つの遊星ブラシ10bが有する回転ブラシの自転方向および公転方向を互いに逆にすることが好ましい。たとえば加工能力を高めるために、3以上の遊星ブラシ10aおよび3以上の遊星ブラシ10bを配列してもよい。3以上の遊星ブラシ10aおよび3以上の遊星ブラシ10bを配列する場合、隣接する2つの遊星ブラシ10aおよび隣接する2つの遊星ブラシ10bの回転ブラシの自転方向および公転方向を互いに逆にすることが好ましい。
また、面取り装置100は、いわゆる湿式の装置であり、図1(b)に模式的に示す供給管44a、44b(44)から搬送経路上の磁石片1にクーラント(冷却液または研削液と呼ばれることもある。)を供給する。クーラントは、磁石片とブラシとが接触する部分に供給され、研磨粉の発火を防止し、ブラシを冷却するとともに、磁石片の表面にスラッジが滞留するのを防止する。クーラントは不図示のポンプ等によって供給管44に供給される。供給管44a、44bは、1つの遊星ブラシ10に対して少なくとも1つ配置すればよい。クーラントとしては、水を主成分とし、界面活性剤および/または合成潤滑剤と、必要に応じて添加される、錆止め剤、非鉄金属防食剤、防腐剤、消泡剤などを含有する水溶性潤滑剤を用いることができる。このように水を主成分とするクーラントを用いれば冷却効果を高めることができる。
面取り装置100は、必要に応じて任意に設けられるミストコレクター42a、42bを有しても良い。ミストコレクター42a、42bは、同種のミストコレクター42であってよい。ミストコレクター42としては市販されている種々の装置を用いることができる。ミストコレクター42a、42bは、遊星ブラシ10a、10bによる面取り加工中に飛散するクーラントのミスト(微細な液滴)を吸引、回収する。回収されたクーラントは再利用することもできる。ミストコレクター42a、42bは、例えば、クーラントの飛散を制限するフードと、吸引装置と、フードと吸引装置とを連結するパイプとを備える。
面取り装置100には、例えば供給コンベア50(図6を参照して後述)から、磁石片1が順次、搬送ベルト20に供給される。面取り装置100で面取りされた磁石片1は、例えば、乾燥機60で乾燥される。乾燥機60は、例えば、メッシュベルトと温風送風機とを有する。乾燥機60は、磁石片1に付着したクーラントを除去、乾燥させる。面取り装置100および乾燥機60はそれぞれ、必要に応じて、外枠70および80で覆われる。
図2に、面取り装置100が有する遊星ブラシ10aと搬送ベルト20および押えベルト30との配置関係を示す。遊星ブラシ10bと搬送ベルト20および押えベルト30との配置関係も実質的に同じである。図3(a)に遊星ブラシ10が有する回転ブラシ14の模式図を示し、図3(b)に回転ブラシ14のブラシ部分16の模式図を示す。
遊星ブラシ10aが3つの回転ブラシ14を有する例を示す。遊星ブラシ10aは、2以上の回転ブラシ14を有せばよい。各回転ブラシ14は、例えば矢印A1aで示す方向(反時計回り)または矢印A1bで示す方向(時計回り)に回転(自転)する。搬送方向C1に沿って配列された2つのブラシ10aにおける各回転ブラシ14の自転方向は、例えば、例示するように互いに逆であるが、同じであってもよい。
3つの回転ブラシ14はブラシ台12に取り付けられており、ブラシ台12は、例えば矢印A2aで示す方向(時計回り)または矢印A2bで示す方向(反時計回り)に回転し、各回転ブラシ14は公転することになる。搬送方向C1に沿って配列された2つのブラシ10aにおけるブラシ台12の回転方向、すなわち回転ブラシ14の公転方向は、例えば、例示するように互いに逆であるが、同じであってもよい。2つのブラシ10aにおける各回転ブラシ14の自転方向と公転方向との組合せは任意であってよい。ただし、面取りを均一にするという観点からは、各ブラシ10aにおける自転方向A1aと公転方向A2a、および自転方向A1bと公転方向A2bとは互いに逆であることが好ましい。面取りを均一にするという観点からは、2つのブラシ10aにおける自転方向A1aとA1bおよび公転方向A2aとA2bも互いに逆であることが好ましい。
ブラシ10aの公転の回転速度(「公転速度」ということがある。)は、加工効率の観点から15rpm以上600rpm以下が好ましく、例えば375rpmであり、ブラシ10aの自転の回転速度(「自転速度」ということがある。)は、加工効率の観点から50rpm以上2100rpm以下が好ましく、例えば1500rpmである。自転速度は、公転速度より大きいことが好ましく、例えば、公転速度の概ね3倍から5倍に設定することが好ましい。
回転ブラシ14は、図3(a)に示す様に、モータ18の軸18aに結合されたブラシ部分16を有する。ブラシ部分16の外径は例えば135mmである。ブラシ部分16は、多数のブラシ毛材束16aを有している。ブラシ毛材束16aを構成するブラシ毛材は、例えば、直径が1.2mmで、ダイヤモンド砥粒(メッシュ100:平均粒径149μm)およびステンレス鋼粒(メッシュ100:平均粒径149μm)をダイヤモンド砥粒15質量%、ステンレス鋼粒5質量%含む612ナイロンで形成された弾性毛材である。ブラシ毛材の毛丈は例えば25mmである。
このような回転ブラシ14を有する遊星ブラシ10を用いて、図1(a)に示したように配置し、公転速度を375rpm、自転速度を1500rpmとすると、磁石片1(例えば、50mm×10mm×5mm)を搬送方向C1に850mm/minの速度で搬送しながら、所望のR面取りを行うことができる。ここで、望ましいR面取り量は、例えば、R値(面取りされた曲面の曲率半径)で約0.3mm以上である。R値が約0.3mm以上であれば、後述する拡散処理工程における欠けの発生を低減できる。磁石片1の位置によってR値にばらつきがある場合、R値の平均値が約0.3mm以上であることが好ましく、最低値が約0.3mm以上であることがさらに好ましい。R値の平均値が約0.3mm以上となるように面取りを行うことによって良品率を大幅に向上させることができた。ブラシ毛材の切り込み量(ブラシ毛材束16a内に磁石片1の端部が侵入する長さ)は例えば約3mm以上約7mm以下である。切り込み量を大きくするとR値が大きくなる。例えば、切り込み量が約3mmのとき、R値の平均値は約0.3mmで、切り込み量が約6mmのとき、R値の平均値は約0.5mmであった。R値の上限は特に限定されないが、例えば約1.0mmである。なお、目標とするR値に応じて、また、磁石片1の材質、形状等に応じて、上記の条件は適宜変更され得る。
本発明の実施形態による面取り装置100は、磁石片1を搬送しながら面取りを行うことができる。磁石片1の搬送は、搬送ベルト20および押えベルト30との間に磁石片1を保持した状態で行われる。図4および図5参照して、搬送ベルト20および押えベルト30の好ましい形態の例を説明する。
図4(a)に面取り装置100が有する搬送ベルト20の模式的な斜視図を示し、図4(b)に搬送ベルト20が焼結磁石片1を受容している状態を模式的に示す。
搬送ベルト20は、磁石片1を受容するキャビティとしての三角溝24が搬送方向(ベルトの長さ方向)に沿って配列されている。三角溝24は、斜面22aおよび22bによって規定されている。斜面22aと斜面22bとがなす角は、例えば約90°である。斜面22aと斜面22bとがなす角が例えば約90°であると、直方体の磁石片1の直交する2つの面が斜面22aおよび斜面22bに接するので、磁石片1が三角溝24に安定に収容、支持される。磁石片1の形状に応じて、三角溝24の形状は改変され得る。搬送ベルト20は、例えば、プラスチックで形成されており、磁石片1の大きさに応じた搬送ベルト20を比較的安価に容易に作製することができる。プラスチックとしては、例えば、MCナイロンやニューライトを好適に用いることができる。
図4(b)に示すように、磁石片1は、三角溝24に受容される。そのとき、磁石片1は10mm×50mmの面、および、5mm×50mmの面が、斜面22aおよび斜面22bのいずれに接触するように収容されてもよい。収容された状態で、磁石片1の両端が三角溝24の両側から、例えば約10mm突き出るように収容される。三角溝24に対する磁石片1の相対位置は、例えば、磁石片1を供給するためのコンベア50(図1(a)参照)との相対位置を調整することによって調整され得る。三角溝24の大きさは、磁石片1を収容した状態で、磁石片1同士が接触しないように設定される。
このように搬送ベルト20の三角溝24に収容された磁石片1を、押えベルト30が搬送ベルト20の上から押える。図5(a)に面取り装置100が有する押えベルト30の模式的な側面図を示す。押えベルト30は、図5(a)に示す様に、微細な突起32を有してもよい。押えベルト30は、容易に変形が可能で、かつ、滑りにくい、例えば、ゴム(エラストマーを含む)で形成されていることが好ましい。ベルトの材料が、適度な柔軟性と、滑り難さを備えていれば、押えベルト30に代えて、図5(b)に示すフラットな表面を有する押えベルト30aを用いることができる。押えベルト30、30aの材料としては、例えば、天然ゴム、ニトリルゴム(NBR)を好適に用いることができる。三角溝24の大きさは、磁石片1の最上部が三角溝24よりも突き出るように設定されることが好ましいが、押えベルト30が図5(a)に示すように微細な突起32を有していたり、図5(b)の示すようにフラットな表面を有していても十分な弾力性を有していたりして、押えベルト30が磁石片1を十分に固定される程度であれば、必ずしも磁石片1の最上部が三角溝24よりも突き出ていなくてもよい。
搬送ベルト20と押えベルト30または30aは、同じ速度で、搬送方向C1に移動するように、例えば、モータで制御してもよいし、搬送ベルト20のみをモータで動かして、押えベルト30または30aは摩擦抵抗で追随させるようにしてもよい。このようにして、磁石片1は、搬送ベルト20および押えベルト30との間に安定に保持された状態で搬送される。特許文献4のように、磁石を1つ1つ治具に固定して搬送する方式に比べて、各々の磁石片1の間の距離を小さくすることができ、また、搬送ベルト20へのセッティング時間も短縮できるので、大量処理が可能となる。搬送速度に特に制限はないが、面取り装置100を用いると、例えば、300mm/min、さらには500mm/min、さらには800mm/min以上の速度で搬送しながら、所望の面取りを行うことが可能で、特許文献4、5の装置(100mm/min程度)に比べて格段に優れた量産性を達成することができる。
図6を参照して、面取り装置100に供給コンベア装置50から磁石片1を供給する工程を説明する。供給コンベア装置50は、例えば、コンベアベルト52とガイド板54とを有している。コンベアベルト52は、例えば、エンドレスベルトである。コンベアベルト52の上に、磁石片1が長手方向が搬送方向C1と直交するように、互いに接触するように配列されている。ベルトコンベア52に対する磁石片1の位置は、不図示のガイド壁によって調整される。ベルトコンベア52で、ガイド板54上まで搬送された磁石片1は、ベルトコンベア52によって順次搬送される磁石片1によって押されて搬送方向C1に移送され、ガイド板54の先端から、搬送ベルト20の三角溝24上に落下する。三角溝24は、例えば、プラスチックで形成された三角柱22を配列することによって形成されている(図6中、三角柱の図示を一部省略している。)。搬送ベルト20の搬送速度とベルトコンベア52の搬送速度とを調整することによって、1つの三角溝24に1つの磁石片1を順次供給することができる。搬送ベルト20の三角溝24に供給された磁石片1は、押えベルト30で押えられた状態で、遊星ブラシ10aによる面取り加工を受ける。
面取り装置100で面取りされた磁石片1は、例えば、乾燥機60で乾燥される。乾燥機60は、例えば、図7に示すように、メッシュベルト62と温風送風機(不図示)とを有する。温風送風機からの温風は、メッシュベルト62が配置されたフード64内の空間に、導入口66aから導入され、排気口66bから排気される。
面取り装置100の搬送ベルト20によってガイド板61上に搬送された磁石片1は、順次、メッシュベルト62上に供給される。このとき、磁石片1にはクーラントが付着している。メッシュベルト52によって搬送されながら、温風によって、クーラントが除去され、磁石片1は乾燥させられる。メッシュベルト62は、搬送方向C1の下流側が若干高くなっており、クーラントが重力によって下流側に移動しないように構成されている。乾燥された磁石片1は、ガイド板63を滑って、回収ケース等に集められる。もちろん、面取り加工後の乾燥工程は、例示した乾燥機60に限られず、公知の種々の乾燥機を用いて行われ得る。
この後、磁石片1は、以下の様に、特許文献2または3に記載されているように拡散処理を受ける。拡散処理における欠けの発生を抑制できるという効果を確認した例を図8を参照して説明する。
図8に示す例では、磁石片1、RH拡散源2aおよび撹拌補助部材2bがステンレス製の筒3の内部に置かれている。撹拌補助部材2bは省略され得る。この例では、筒3が「処理室」として機能する。筒3の材料は、ステンレスに限定されず、500〜850℃の温度に耐える耐熱性を有し、磁石片1およびRH拡散源2aと反応しにくい材料であれば任意である。例えば、Nb、Mo、W、及びそれらの合金を用いてもよい。筒3には開閉または取り外し可能な蓋5が設けられている。また筒3の内壁には、RH拡散源2aと磁石片1とが効率的に移動と接触を行い得るように、突起物を設置することができる。筒3の長軸方向に垂直な断面形状も、円に限定されず、楕円または多角形、あるいはその他の形状であってもよい。図8に示す状態の筒3は、ジョイントによってポンプなどの排気装置6に連結されている。排気装置6の働きにより、筒3の内部は、大気から遮蔽された状態(密閉状態)で減圧または加圧され得る。筒3の内部には、不図示のガスボンベからArなどの不活性ガスが導入され得る。
筒3は、その外周部に配置されたヒータ4によって加熱される。筒3の加熱により、その内部に収納された磁石片1、RH拡散源2aおよび撹拌補助部材2bも加熱される。筒3は、中心軸の回りに回転可能に支持されており、ヒータ4による加熱中も可変モータ7によって回動することができる。筒3の回転速度は、磁石片1とRH拡散源2aとが溶着しないように、例えば筒3の内壁面の周速度を毎秒0.01m以上に設定され得る。回転により筒内の磁石片同士が激しく接触して欠けないよう、毎秒0.5m以下に設定するのが好ましい。
図8では筒3は回転しているが、磁石片1とRH拡散源2aとがRH拡散工程中で溶着しないように筒3内で磁石片とRH拡散源2aとが相対的に移動可能かつ接触可能であるなら、筒3は回転を加えるのではなく揺動または振動を加えてもいいし、回転、揺動および振動のうち複数の動作を併せて行なってもよい。
また、磁石片1およびRH拡散源2aをあらかじめ装入した別の容器そのままを筒3の内部に置いてもよい。別の容器は一つだけでなく、複数個内部においてもよい。
磁石片1は、例えば、図9(a)に示す様に、小型で長尺な形状(例えば、長さ30mm×幅10mm×厚さ5mm)を有している。磁石片1の組成は、例えば、希土類元素の含有量によって定義されるR量が29質量%以上40質量%以下であるR−T−B系焼結磁石片である。Rが29質量%未満であると高い保磁力が得られない恐れがある。一方Rが40質量%を超えると磁石片1の製造工程中における合金粉末が非常に活性になり、粉末の著しい酸化や発火などを生じる恐れがある。好ましくは、特許文献3に記載のようにR量は31質量%以上37質量%以下である。短時間で重希土類元素RHを拡散し、Brを低下させることなくHcJを向上することができるからである。
R−T−B系焼結磁石片1は、以下の組成を有することが好ましい。
R量:29質量%以上40質量%以下、好ましくは31質量%以上37質量%以下
B(Bの一部はCで置換されていてもよい):0.85質量%以上1.2質量%以下
添加元素M(Al、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Sn、Hf、Ta、W、Pb、およびBiからなる群から選択された少なくとも1種):0〜2質量%以下
T(Feを主とする遷移金属であって、Coを含んでいてもよい)および不可避不純物:残部
ここで、Rは、希土類元素であり、例えば、Nd、Pr、Dy、Tbである。主として軽希土類元素RLであるNd、Prから選択される少なくとも1種が含有されるが、重希土類元素RHであるDy、Tbの少なくとも一方を含有していてもよい。
好ましくは、有効希土類量:28質量%以上35質量%以下にする。有効希土類量は、次式で算出される。
有効希土類量=R量(質量%)−(6×O量(質量%)+8×C量(質量%)+10×N量(質量%))
ここで、O量、C量、N量に掛ける係数は、それぞれの不純物がつくる化合物(Nd23、Nd23、NdN)の質量倍より算出した係数である。
RH拡散源2aは、重希土類元素RH(DyおよびTbの少なくとも一方)を含有する。好ましくは、RH拡散源2aは、重希土類元素RH(DyおよびTbの少なくとも一方)および30質量%以上80質量%以下のFeを含有し、典型的には合金である。RH拡散源2aの形態は、例えば、図9(b)に示すように、球状(例えば、直径2mm以下)である。RH拡散源2aの形態は、この他、線状、板状、ブロック状、粉末など任意であってよい。ボールやワイヤ形状を有する場合、その直径は例えば数mm〜数cmに設定され得る。粉末の場合、その粒径は、例えば、0.05mm以上5mm以下の範囲に設定され得る。RH拡散源2aの形状・大きさは、特に限定されない。
攪拌補助部材2bは、RH拡散源2aと磁石片1との接触を促進し、また攪拌補助部材2bに一旦付着した重希土類元素RHを磁石片1へ間接的に供給する役割をする。さらに、攪拌補助部材2bは、処理室3内において、磁石片1同士や磁石片1とRH拡散源2aとの接触による欠けや溶着を防ぐ役割もある。攪拌補助部材2bは、例えば、ジルコニア、窒化ケイ素、炭化ケイ素並びに窒化硼素、または、これらの混合物のセラミックスから好適に形成され得る。また、Mo、W、Nb、Ta、Hf、Zrとを含む族の元素、または、これらの混合物からも形成され得る。撹拌補助部材2bの形態は、例えば、図9(c)に示す様に、球状(例えば、直径5mm)である。
なお、撹拌補助部材2bを多く投入し過ぎると磁石片1とRH拡散源2aとが均一に撹拌されない場合があり、1回の拡散処理によって、保磁力の向上効果が十分に得られない、および/または、保磁力にバラツキが発生することがある。したがって、撹拌補助部材2bの投入量は多過ぎないように調整する。好ましい投入量は、重量比率で磁石片1:RH拡散源2a:撹拌補助部材2b=1:1:1である。
本発明の実施形態では、重希土類元素RHを含むRH拡散源2aと磁石片1とを一緒に回転させつつ、加熱することにより、RH拡散源から重希土類元素RHを磁石片の表面に供給しつつ、内部に拡散させる。
RH拡散源2aおよび磁石片1の温度を例えば、500℃以上850℃以下の範囲内に保持する。この温度範囲は、処理室内で磁石片とRH拡散源2aとが相対的に移動し接触しながら、重希土類元素RHが磁石片1の内部組織の粒界相を伝って内部へ拡散する好ましい温度領域であり、磁石片1の内部への拡散が効率的に行われることになる。保持時間は、RH拡散処理工程をする際の磁石片とRH拡散源の投入量の比率、RH拡散処理をする磁石片の形状、RH拡散源の形状、および、RH拡散処理によって磁石片に拡散されるべき重希土類元素RHの量(拡散量)などを考慮して決められる。RH拡散処理工程の時間は、10分から72時間である。好ましくは1時間から12時間である。
温度範囲は、700℃以上850℃以下であることがより好ましい。処理温度が850℃を超えると、RH拡散源と磁石片とが溶着してしまう問題が生じ易いため好ましくない。また、処理温度が850℃を超えると、重希土類元素RHの供給量が過大となり、磁石片表面に重希土類元素RHを主体とする被膜が容易に生成してしまう。重希土類元素RHの被膜が生成すると、磁石体内部への拡散処理により、表層付近の主相結晶では主相内部にまで重希土類元素RHが拡散してしまい、磁石の残留磁束密度Brが低下するため好ましくない。一方、処理温度が700℃未満では、残留磁束密度Brの低下がなく、保磁力HcJを向上する効果はあるが、処理に長時間を要する場合があるため生産性から好ましくない。
RH拡散工程時における雰囲気ガスの圧力(処理室内の雰囲気圧力)は、大気圧以下で実施できる。100kPa以下で行なうのが好ましく、例えば10-3〜103Paの範囲内に設定され得る。
RH拡散工程後に、拡散された重希土類元素RHをより均質化する目的で磁石片1に対する熱処理を追加的に行っても良い。重希土類元素RHがRH拡散源2aから磁石片1に供給されない状態で、熱処理は700℃以上1000℃以下の範囲内で行なうのがよい。さらに好ましくは、850℃から950℃の温度で実行される。この追加的な熱処理では、磁石片1の表面に対して重希土類元素RHの更なる供給は生じないが、磁石片1において重希土類元素RHの拡散が生じるため、磁石片1の表面側から奥深くに重希土類元素RHを拡散し、磁石全体として保磁力を高めることが可能になる。追加的な熱処理の時間は、例えば10分から72時間である。好ましくは1時間から12時間である。ここで、追加的な熱処理を行なう熱処理炉の雰囲気圧力は、大気圧以下である。好ましいのは100kPa以下である。
また、必要に応じて保磁力向上のためのさらなる熱処理を行う。このさらなる熱処理は、時効処理と呼ばれることもある。保磁力向上のためのさらなる熱処理の温度は例えば400℃から700℃である。上記の追加的な熱処理を行う場合には、保磁力向上のためのさらなる熱処理は追加的な熱処理の後に行うことが好ましい。追加的な熱処理と保磁力向上のためのさらなる熱処理とは、同じ処理室内で行ってもよい。保磁力向上のためのさらなる熱処理の時間は例えば10分から72時間である。好ましくは1時間から12時間である。ここで、保磁力向上のためのさらなる熱処理を行なう熱処理炉の雰囲気圧力は、大気圧以下である。好ましいのは100kPa以下である。
特許文献2および3に記載の製造装置では、図9(a)に示したような小型で長尺な形状の磁石片1を拡散処理すると、回転速度を制限しても、磁石片1の欠けが発生するという問題があった。これに対し、磁石片1の両側端面を面取りするだけで、欠けの発生が抑制され、良品率を大幅に向上させることができた。
本発明は、希土類焼結磁石片の面取り装置および面取り方法に広く用いられる。特に、高残留磁束密度、高保磁力のR−T−B系焼結磁石の製造に好適に用いられる。
10、10a、10b 遊星ブラシ
14 回転ブラシ
16 ブラシ部分
16a ブラシ毛材束
20 搬送ベルト
24 溝(キャビティ)
25、25a、25b 基準ガイド壁
30、30a 押えベルト
44、44a、44b クーラント供給管
50 供給コンベア
60 乾燥機

Claims (8)

  1. 複数の磁石片を受容する複数の溝を有する搬送ベルトと、
    前記搬送ベルトに受容された前記複数の磁石片を押さえる押えベルトと、
    前記搬送ベルトおよび押えベルトによって規定される搬送経路の途中に設けられた少なくとも1の第1遊星ブラシおよび少なくとも1つの第2遊星ブラシとを備え、
    前記少なくとも1つの第1遊星ブラシと前記少なくとも1つの第2遊星ブラシとは、前記搬送経路に対して互いに反対側に配置されており、かつ、前記少なくとも1つの第1遊星ブラシと前記少なくとも1つの第2遊星ブラシとは互いに対面しないように配置されている、面取り装置。
  2. 前記少なくとも1つの第1遊星ブラシおよび前記少なくとも1つの第2遊星ブラシは、それぞれ複数の回転ブラシを有し、
    前記少なくとも1つの第1遊星ブラシは、前記搬送経路に沿って配列された2つの第1遊星ブラシであって、2つの第1遊星ブラシのそれぞれが有する前記複数の回転ブラシの公転方向は互いに逆であり、前記複数の回転ブラシの自転方向も互いに逆である2つの第1遊星ブラシを含み、
    前記少なくとも1つの第2遊星ブラシは、前記搬送経路に沿って配列された2つの第2遊星ブラシであって、2つの第2遊星ブラシのそれぞれが有する前記複数の回転ブラシの公転方向は互いに逆であり、前記複数の回転ブラシの自転方向も互いに逆である2つの第2遊星ブラシを含む、請求項1に記載の面取り装置。
  3. 前記少なくとも1つの第1遊星ブラシが有する前記複数の回転ブラシの公転方向と自転方向とは互いに逆であり、
    前記少なくとも1つの第2遊星ブラシが有する前記複数の回転ブラシの公転方向と自転方向とは互いに逆である、請求項2に記載の面取り装置。
  4. 前記少なくとも1つの第1遊星ブラシおよび前記少なくとも1つの第2遊星ブラシに、前記搬送経路を介して対面するように配置された第1および第2基準ガイド壁をさらに有する、請求項1から3のいずれかに記載の面取り装置。
  5. 前記複数の溝のそれぞれは、約90°を成す2つの斜面で構成された三角溝である、請求項1から4のいずれかに記載の面取り装置。
  6. 複数の磁石片を用意する工程と、
    請求項1から5のいずれかに記載の面取り装置を用意する工程と、
    前記搬送ベルトの前記複数の溝に、前記複数の磁石片をそれぞれを両端が溝から突き出るように収容させる工程と、
    前記搬送ベルトの前記複数の溝に収容された前記複数の磁石片を前記押えベルトで押えながら搬送する工程と、
    搬送されている前記複数の磁石片に前記少なくとも1つの第1遊星ブラシを接触させることによって面取りする第1面取り工程と、
    前記第1面取り工程の後で、搬送されている前記複数の磁石片に前記少なくとも1つの第2遊星ブラシを接触させることによって面取りする第2面取り工程と
    を包含する、面取り方法。
  7. 前記第1面取り工程および前記第2面取り工程は、前記複数の磁石片と前記少なくとも1つの第1遊星ブラシまたは前記少なくとも1つの第2遊星ブラシとが接触する部分に、クーラントを供給する工程を包含する、請求項6に記載の面取り方法。
  8. 希土類元素の含有量によって定義されるR量が29質量%以上40質量%以下であるR−T−B系焼結磁石の磁石片を準備する工程と、
    前記磁石片を請求項6または7に記載の面取り方法によって面取りする工程と、
    重希土類元素RH(DyおよびTbの少なくとも一方)を含有するRH拡散源を準備する工程と、
    拡散処理装置に面取りされた前記磁石片と前記RH拡散源とを投入する工程と、
    前記磁石片と前記RH拡散源とを前記拡散処理装置内にて連続的または断続的に移動させながら、前記磁石片および前記RH拡散源を700℃以上1000℃以下の処理温度に加熱するRH拡散工程と、
    を包含する、R−T−B系焼結磁石の製造方法。
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