以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
(特徴1)暖房システムは、熱媒を加熱するガス熱源機をさらに備えることが好ましい。熱媒循環路は、第1の暖房端末とヒートポンプとガス熱源機との間で熱媒を循環させることが好ましい。
この構成によると、ガス熱源機によっても熱媒を加熱することができる。従って、例えば、ヒートポンプ単独での加熱では暖房に必要な熱を賄えない場合に、ガス加熱機を補助熱源として熱媒を加熱することができる。
(特徴2)制御手段は、ヒートポンプを動作させることによって、ヒートポンプが、第1の暖房端末が第1の暖房設定温度で暖房を行うために必要な量の熱を熱媒に与えられる場合には、ガス熱源機を動作させないことが好ましい。
この構成によると、ガス熱源機よりもCOPが優れているヒートポンプを優先的に動作させることができるため、熱媒を効率良く加熱することができる。
(特徴3)暖房システムは、熱媒からの放熱により暖房するとともに、第1の暖房端末と並列に熱媒循環路に設けられている第2の暖房端末と、第2の暖房端末に熱媒が供給される開状態と第2の暖房端末に熱媒が供給されない閉状態とを切り替える第2の熱動弁と、をさらに備えることが好ましい。第2の暖房端末は、利用者によって設定された第2の暖房設定温度で暖房を行うために必要な量の熱が放熱されるように、単位期間内において第2の熱動弁を開状態とすべき期間を示す第2の開期間情報を制御手段に送信することが好ましい。制御手段は、第1の暖房端末から第1の開期間情報を受信するとともに第2の暖房端末から第2の開期間情報を受信する場合において、(A)第1の開期間情報が示す期間が第1の閾値以上であることと、第2の開期間情報が示す期間が第2の閾値以上であること、のうちの少なくとも一方が成立する第3の場合には、単位期間内において第1の開期間情報が示す期間の間第1の熱動弁を開状態とし、単位期間内において第2の開期間情報が示す期間の間第2の熱動弁を開状態として、ヒートポンプを動作させ、(B)第1の開期間情報が示す期間が第1の閾値より短く、かつ、第2の開期間情報が示す期間が第2の閾値より短い第4の場合には、単位期間のうちの予め定められた第1の期間の間第1の熱動弁を開くとともに、単位期間のうちの予め定められた第2の期間の間第2の熱動弁を開いて、ヒートポンプを動作させ、第1の期間と第2の期間の間とは少なくとも一部が重複していることが好ましい。
上記の暖房システムでは、第1の熱動弁と第2の熱動弁とがともに閉状態である間は、仮にヒートポンプを動作させた場合でも、熱媒循環路内を熱媒が循環しないため、ヒートポンプの冷媒の温度が所定の上限値よりも高くなり、結果的にヒートポンプも動作を停止する。
上記の暖房システムにおいて、第1の開期間情報が示す期間が第1の閾値以上であることと、第2の開期間情報が示す期間が第2の閾値以上であること、のうちの少なくとも一方が成立する第3の場合は、第1の暖房端末と第2の暖房端末とのうちの少なくとも一方が比較的高負荷の運転を行う場合である。そのような第3の場合において、上記の暖房システムは、単位期間内において第1の開期間情報が示す期間の間第1の熱動弁を開状態とし、単位期間内において第2の開期間情報が示す期間の間第2の熱動弁を開状態として、ヒートポンプを動作させる。即ち、第3の場合においては、第1の開期間情報が示す期間と、第2の開期間情報が示す期間とのうちの少なくとも一方が比較的長いため、単位期間内において、第1の開期間情報が示す期間の間第1の熱動弁を開状態とし、それ以外の期間の間第1の熱動弁を閉状態とし、第2の開期間情報が示す期間の間第2の熱動弁を開状態とし、それ以外の期間の間第2の熱動弁を閉状態としても、比較的長い期間ヒートポンプを連続運転させることができ、ヒートポンプの加熱の立ち上がり時間が熱媒の加熱効率に与える影響が少なく済む。そのため、適切に熱媒を加熱することができる。
一方、上記の暖房システムにおいて、第1の開期間情報が示す期間が第1の閾値より短く、かつ、第2の開期間情報が示す期間が第2の閾値より短い第4の場合は、第1の暖房端末及び第2の暖房端末がともに比較的低負荷の暖房運転を行う場合である。そのような第4の場合において、上記の暖房システムは、単位期間のうちの予め定められた第1の期間の間第1の熱動弁を開くとともに、単位期間のうちの予め定められた第2の期間の間第2の熱動弁を開いて、ヒートポンプを動作させる。また、第1の期間の間と第2の期間の間とは少なくとも一部が重複している。そのため、第1の熱動弁と第2の熱動弁とが同時に閉状態になる(即ち、ヒートポンプが停止する)ことがない。ヒートポンプを短い期間の間だけ動作させ、それ以外の期間の間停止させる必要がないため、ヒートポンプの加熱の立ち上がり時間が熱媒の加熱効率に影響を与えることもない。そのため、第1の暖房端末及び第2の暖房端末がともに低負荷運転を行う場合においても、十分に熱媒を加熱することができる。
(実施例)
図1に示すように、本実施例に係る給湯暖房システム2は、給湯系統104と、ヒートポンプ系統106と、暖房系統108と、制御装置100とを備えている。
ヒートポンプ系統106は、ヒートポンプ50と、三流体熱交換器58とを備える。ヒートポンプ50は、冷媒(例えば、フロンガスR410A等)を循環させるための冷媒循環路52と、熱交換器(蒸発器)54と、ファン56と、圧縮機62と、膨張弁60とを備えている。冷媒循環路52は、三流体熱交換器58内を通過している。また、熱交換器54と、圧縮機62と、膨張弁60とは、冷媒循環路52内に設置されている。上記の構成を備えるヒートポンプ50の動作について説明する。圧縮機62が動作することにより、冷媒循環路52内の冷媒は、圧縮機62で加圧されて高温高圧の気相状態になる。圧縮機62で加圧されて高温高圧の気相状態となった冷媒は、三流体熱交換器58に送り込まれ、熱回収路88内の水、及び、タンク水循環路20内の水と熱交換によって冷却されて凝縮し、液相状態となる。三流体熱交換器58で冷却されて液相状態となった冷媒は、膨張弁60に送られ、膨張弁60で減圧されて低温低圧の液相状態となる。低温低圧の液相状態の冷媒は、熱交換器54において、ファン56で送風される外気との熱交換によって加熱されて蒸発し、気相状態となる。気相状態となった冷媒は、圧縮機62に戻されて再び加圧される。従って、ヒートポンプ50を動作させることにより、三流体熱交換器58を通過する冷媒循環路52内に高温高圧の冷媒を送り込むことができるようになる。
給湯系統104は、タンク10と、タンク水循環路20と、水道水導入路24と、供給路36と、バーナ加熱装置81を備える。
タンク10は、ヒートポンプ50によって加熱された温水を貯える。タンク10は、密閉型であり、断熱材によって外側が覆われている。タンク10内には満水まで水が貯留されている。タンク10には、サーミスタ12、14、16、18がタンク10の高さ方向に略均等間隔で取り付けられている。各サーミスタ12、14、16、18は、その取付位置の水の温度を測定する。
タンク水循環路20は、上流端がタンク10の下部に接続されており、下流端がタンク10の上部に接続されている。タンク水循環路20には、循環ポンプ22が介装されている。循環ポンプ22は、タンク水循環路20内の水を上流側から下流側へ送り出す。また、上述したように、タンク水循環路20は、三流体熱交換器58を通過している。そのため、ヒートポンプ50を動作させると、タンク水循環路20内の水が三流体熱交換器58で加熱される。従って、循環ポンプ22とヒートポンプ50を動作させると、タンク10の下部の水が三流体熱交換器58に送られて加熱され、加熱された水がタンク10の上部に戻される。タンク水循環路20は、タンク10に蓄熱するための水路である。
水道水導入路24は、上流端が水道水供給源32に接続されている。水道水導入路24の下流側は、第1導入路24aと第2導入路24bに分岐している。第1導入路24aの下流端は、タンク10の下部に接続されている。第2導入路24bの下流端は、供給路36の途中に接続されている。接続部には、第1導入路24a(即ち供給路36)を流れる水の流量と第2導入路24bを流れる水の流量の比率を調整する混合弁36aが配置されている。第1導入路24aには、逆止弁26が介装されている。第2導入路24bには、逆止弁28と水量センサ30が介装されている。水量センサ30は、第2導入路24b内を流れる水道水の流量を検出する。
供給路36は、上流端がタンク10の上部に接続されている。上述したように、供給路36の途中には、水道水導入路24の第2導入路24bが接続されている。第2導入路24bとの接続部より上流側の供給路36には、水量センサ34が介装されている。水量センサ34は、タンク10から供給路36内に流入する水の流量を検出する。第2導入路24bとの接続部より下流側の供給路36には、バーナ加熱装置81が介装されている。バーナ加熱装置81は、供給路36内の水を加熱する。供給路36の下流端は給湯栓38に接続されている。供給路36には、バーナ加熱装置81をバイパスする流路であるバイパス路36bが設けられている。また、バイパス路36bには、バイパス路36bの開度を調整するためのバイパス制御弁36cが介装されている。
暖房系統108は、シスターン70と、暖房用水循環路71と、バーナ加熱装置82と、6個の暖房端末H1、H2、H3、H4、H5、H6と、6個の熱動弁V1、V2、V3、V4、V5、V6とを備えている。以下では、暖房端末H1〜H6を区別せずに単に暖房端末Hと呼び、熱動弁V1〜V6を区別せずに単に熱動弁Vと呼ぶ場合がある。暖房用水循環路71は、暖房往路72と、暖房復路84と、調整弁90と、熱回収路88と、バイパス路94と、循環流路96と、を備えている。暖房用水循環路71は、シスターン70内の水を循環させるための水路である。暖房用水循環路71内の水は、バーナ加熱装置82、三流体熱交換器58によって加熱される。
シスターン70は、上部が開放されている容器であり、内部に熱媒である水を貯留している。シスターン70には、循環流路96の下流端と、暖房往路72の上流端とが接続されている。シスターン70内には、循環流路96から水が流入する。シスターン70内の水は、暖房往路72に導入される。
暖房往路72は、上流端がシスターン70に接続され、下流端が6本に分岐して各熱動弁V1〜V6を介して各暖房端末H1〜H6の往き口に接続されている。暖房往路72には、循環ポンプ74が介装されている。循環ポンプ74は、暖房往路72内の水を下流側に送り出すポンプである。動作中の暖房端末Hの数に応じて、暖房用水循環路71内を循環する水の流量が変化する。即ち、循環ポンプ74の単位時間当たりの回転数が一定であっても、動作中の暖房端末Hの数が増加すると、暖房往路72の抵抗が減少して、暖房用水循環路71内を循環する水の流量が増加する。動作中の暖房端末Hの数が多くなるほど、暖房用水循環路71内を循環する水の流量が増加する。暖房端末H1〜H6及び熱動弁V1〜V6より上流側の暖房往路72には、バーナ加熱装置82が介装されている。バーナ加熱装置82は、暖房往路72内の水を加熱する。バーナ加熱装置82は、ヒートポンプ50よりも、暖房用水循環路71内を循環する水を加熱する能力が高い。言い換えると、バーナ加熱装置82は、ヒートポンプ50よりも、単位時間当りの加熱量が大きい。バーナ加熱装置82で加熱された水は、暖房端末Hに供給される。また、暖房往路72のバーナ加熱装置82の下流側には、サーミスタ78が介装されている。サーミスタ78は、バーナ加熱装置82を通過した後の暖房往路72内の水の温度を測定する。
暖房端末H1〜H6は、それぞれ、暖房往路72から供給される水の熱を放熱することによって、居室を暖房する端末である。また、熱動弁V1〜V6は、それぞれ、暖房端末H1〜H6に対応する暖房往路72の分岐位置に設けられている。各暖房端末H1〜H6及び各熱動弁V1〜V6は、いずれも、互いに並列に配置されている。各熱動弁V1〜V6は、対応する暖房端末H1〜H6に熱媒が供給される開状態と、対応する暖房端末H1〜H6に熱媒が供給されない閉状態とを切り替える。例えば、熱動弁V1が開状態の間、暖房端末H1には、暖房往路72から水が供給される。一方、熱動弁V1が閉状態の間、暖房端末H1には、暖房往路72から水が供給されない。また、全ての熱動弁V1〜V6が閉状態の間は、暖房用水循環路71内の水は循環しない。暖房往路72から供給される水は、暖房端末Hにおいて暖房に利用されると、熱を奪われ、比較的低温の水となる。暖房に利用された後の比較的低温の水は、暖房復路84に導入される。
本実施例では、各暖房端末H1〜H6は、利用者によって動作指示が入力されることにより、動作を開始する。この際、利用者は、暖房端末H1〜H6による暖房設定温度を併せて設定する。暖房端末H1〜H6は、利用者によって動作指示が入力されると、利用者によって設定された暖房設定温度で暖房を行うために必要な量の熱が放熱されるように、所定の単位期間内において当該暖房端末H1〜H6に対応する熱動弁V1〜V6を開状態とすべき期間(以下では「オン時間」と呼ぶ場合がある)と、閉状態とすべき期間(以下では「オフ時間」と呼ぶ場合がある)と、を示す情報を含むデューティ制御信号を所定期間毎に制御装置100に送信する。本実施例では、上記の所定期間は20分である。例えば、暖房端末H1に動作指示が入力される場合、暖房端末H1は、20分ごとに、利用者によって設定された暖房設定温度で暖房を行うために必要な量の熱が放熱されるように、オン時間とオフ時間とを特定し、それらを示す情報を含むデューティ制御信号を制御装置100に送信する。この例において、暖房端末H1が特定するオン時間が長い(即ち、熱動弁V1を開状態とすべき期間が長い)ほど、暖房端末H1がより多くの熱を必要とする(即ち、暖房端末H1の負荷が高い)ことを意味する。反対に、暖房端末H1が特定するオン時間が短い(即ち、熱動弁V1を開状態とすべき期間が短い)ほど、暖房端末H1が少ない熱を必要とする(即ち、暖房端末H1の負荷が低い)ことを意味する。なお、動作中の各暖房端末H1〜H6は、利用者によって停止指示が入力されることにより、動作を停止する。
暖房復路84は、上流端が6本に分岐して各暖房端末H1〜H6の戻り口に接続され、下流端がバイパス路94の上流端及び熱回収路88の上流端に接続されている。暖房復路84には、サーミスタ86が介装されている。サーミスタ86は、暖房復路84内の水の温度(即ち、三流体熱交換器58に送り込まれる水の温度)を測定する。
熱回収路88は、上流端がバイパス路94の上流端及び暖房復路84の下流端に接続され、下流端がバイパス路94の下流端及び循環流路96の上流端に接続されている。熱回収路88は、三流体熱交換器58を通過している。そのため、ヒートポンプ50を動作させると、熱回収路88内の水が三流体熱交換器58で加熱される。熱回収路88の三流体熱交換器58の下流側には、サーミスタ92が介装されている。サーミスタ92は、三流体熱交換器58を通過した後の熱回収路88内の水の温度を測定する。
バイパス路94は、上流端が暖房復路84の下流端及び熱回収路88の上流端に接続され、下流端が熱回収路88の下流端及び循環流路96の上流端に接続されている。即ち、バイパス路94は、三流体熱交換器58の上流側と下流側とをバイパスする。
調整弁90は、暖房復路84の下流端と、熱回収路88の上流端と、バイパス路94の上流端との接続部分に取り付けられている。調整弁90は、その開度を変化させることによって、熱回収路88を通過する水の流量(三流体熱交換器58を通過する水の流量)と、バイパス路94を通過する水の流量との割合を変化させることができる。本実施例の調整弁90には、例えば三方弁が用いられる。調整弁90は、動作する暖房端末Hの数に応じて開度を変化させることができる。本実施例では、調整弁90は、動作する暖房端末Hの数が多くなる程、バイパス路94を通過する水の流量の割合が高くなるように、開度を変化させる。
循環流路96は、上流端が熱回収路88の下流端及びバイパス路94の下流端に接続され、下流端がシスターン70に接続されている。循環流路96には、サーミスタ98が介装されている。サーミスタ98は、循環流路96内の水の温度を測定する。
制御装置100は、給湯系統104、ヒートポンプ系統106、及び、暖房系統108と電気的に接続されており、各構成要素の動作を制御する。
(給湯暖房システムの動作)
次いで、本実施例の給湯暖房システム2の動作について説明する。給湯暖房システム2は、蓄熱運転、給湯運転、暖房運転を実行することができる。以下、各運転について説明する。
(蓄熱運転)
蓄熱運転は、ヒートポンプ50で生成した熱により、タンク10内の水を加熱する運転である。制御装置100によって蓄熱運転の実行が指示されると、ヒートポンプ50が動作を開始するとともに、循環ポンプ22が回転する。
ヒートポンプ50が動作することにより、三流体熱交換器58を通過する冷媒循環路52内に高温高圧の気相状態の冷媒が送り込まれる。また、循環ポンプ22が回転すると、タンク水循環路20内をタンク10内の水が循環する。即ち、タンク10の下部に存在する水がタンク水循環路20内に導入され、導入された水が三流体熱交換器58を通過する際に、冷媒循環路52内の冷媒の熱によって加熱され、加熱された水がタンク10の上部に戻される。これにより、タンク10に高温の水が貯められる。タンク10の上部には、高温の水の層が形成され、下部には、低温の水の層が形成される。
(給湯運転)
給湯運転は、タンク10内の水を給湯栓38に供給する運転である。給湯運転は、上記の蓄熱運転中にも実行することができる。給湯栓38が開かれると、制御装置100は、混合弁36aを開く。すると、水道水供給源32からの水圧によって、水道水導入路24(第1導入路24a)からタンク10の下部に水道水が流入する。同時に、タンク10上部の温水が、供給路36を介して給湯栓38に供給される。
制御装置100は、タンク10から供給路36に供給される水の温度(即ち、サーミスタ12の検出温度)が、給湯設定温度より高い場合には、混合弁36aを調整して、第2導入路24bから供給路36に水道水を導入する。従って、タンク10から供給された水と第2導入路24bから供給された水道水とが、供給路36内で混合される。制御装置100は、給湯栓38に供給される水の温度が、給湯設定温度と一致するように、混合弁36aの開度比率を調整する。一方、制御装置100は、タンク10から供給路36に供給される水の温度が、給湯設定温度より低い場合には、バーナ加熱装置81を動作させる。従って、供給路36を通過する水がバーナ加熱装置81によって加熱される。加熱された水は、バイパス制御弁36cで開度調整されたバイパス路36bからの水と混合されて、給湯栓38に供給される。制御装置100は、給湯栓38に供給される水の温度が、給湯設定温度と一致するように、バーナ加熱装置81の出力を制御する。
(暖房運転)
暖房運転は、暖房端末Hを動作させて居室を暖房する運転である。図2〜図5は、暖房運転時に制御装置100が実行する処理を示すフローチャートである。
利用者によって少なくとも1個の暖房端末Hに動作指示が入力されたことをトリガとして、制御装置100は、図2の暖房運転を開始する。図2のS10では、制御装置100は、動作中の暖房端末Hのそれぞれから、当該暖房端末Hの暖房設定温度に応じたデューティ制御信号を受信する。
次いで、S12では、制御装置100は、熱動弁デューティ制御を開始する。具体的には、S12では、制御装置100は、動作中の暖房端末Hから受信したデューティ制御信号に基づいて、対応する熱動弁Vの開閉制御を行う。例えば、制御装置100が、動作中の暖房端末H1からデューティ制御信号を受信した場合において、そのデューティ制御信号にオン時間「8分」、オフ時間「12分」が含まれる場合、制御装置100は、暖房端末H1に対応する熱動弁V1を8分間開状態とし、12分間閉状態とする制御を行う。上記S10において、複数個の中の暖房端末Hのそれぞれからデューティ制御信号が受信された場合には、制御装置100は、各デューティ制御信号に含まれるオン時間及びオフ時間に応じて、対応する熱動弁Vの開閉制御を行う。
次いで、S14では、制御装置100は、動作中の暖房端末Hの数に応じて、調整弁90の開度を調整する。具体的には、制御装置100は、動作中の暖房端末Hの数に応じて予め設定されている調整弁ステップに、調整弁90の開度を調整する。
これにより、シスターン70内の水が、シスターン70から、暖房往路72、開状態の熱動弁Vに対応する暖房端末H、暖房復路84、熱回収路88、及び、循環流路96をこの順で通過してシスターン70に戻る経路が形成される。また、調整弁90の開度によっては、熱回収路88を流れる水の一部が、バイパス路94を通過して、循環流路96に導入される経路も形成される。
次いで、S16では、制御装置100は、所定の回転数で循環ポンプ74を作動させる。循環ポンプ74を作動させることにより、上記の経路内を水が循環する。ただし、上記の通り、すべて熱動弁V1〜V6が閉状態の間は、上記の経路が形成されないため、暖房用水循環路71内を水が循環しない。
次いで、S18では、制御装置100は、ヒートポンプ動作制御(図3参照)を開始する。さらに、続くS20では、制御装置100は、バーナ動作制御(図4参照)を開始する。さらに、続くS22では、制御装置100は、ヒートポンプ単独連続運転制御(図5参照)を開始する。ヒートポンプ動作制御、バーナ動作制御、ヒートポンプ単独連続運転制御の各内容は、後で詳しく説明する。ヒートポンプ動作制御、バーナ動作制御、ヒートポンプ単独連続運転制御が開始されることにより、上記経路を循環する水が、バーナ加熱装置82とヒートポンプ50の少なくとも一方によって加熱され、加熱された水が動作する暖房端末Hに供給される。動作中の暖房端末Hは、供給された水の熱を利用して、居室を暖房する。
S18、S20、S22でヒートポンプ動作制御、バーナ動作制御、ヒートポンプ単独連続運転制御の各制御が開始されると、S24に進み、制御装置100は、動作中の暖房端末Hの数が0になることを監視する。少なくとも1個の暖房端末Hが動作中である場合、制御装置100は、S24でNOと判断し、S10に戻り、S10〜S22の処理を再度実行する。一方、動作中の暖房端末Hの数が0になった場合、制御装置100は、S24でYESと判断し、S26に進む。
S26では、制御装置100は、動作中のヒートポンプ50、バーナ加熱装置82、及び、循環ポンプ74をすべて停止させる。S26を終えると、暖房運転が終了する。
次いで、図3を参照して、ヒートポンプ動作制御の内容を説明する。ヒートポンプ動作制御は、ヒートポンプ50を動作させて、ヒートポンプ50から出湯される水の温度(即ち、サーミスタ92の検出温度)が、後で説明する出湯目標温度になるように、制御装置100が実行する制御である。ヒートポンプ動作制御が開始されると(図2のS18参照)、制御装置100は、図3のS30〜S40の処理を実行する。
S30では、制御装置100は、サーミスタ92の検出温度T1(三流体熱交換器58から送り出される水の温度)が、目標出湯温度+1℃より低いか否かを判断する。目標出湯温度とは、動作する暖房端末Hにおける暖房設定温度、調整弁90のバイパス比(暖房用水循環路71内を流れる水のうち、バイパス路94を流れる水の割合)、及び、サーミスタ86の検出温度(三流体熱交換器58に送り込まれる水の温度)に基づいて算出される、三流体熱交換器58によって加熱された後の水の目標温度である。制御装置100は、所定の計算式に従って、目標出湯温度を定期的に算出している。他の例では、制御装置100は、後述する第1のヒートポンプ単独連続運転(図5のS70参照)が実行される場合を除き、ヒートポンプ50の加熱能力を最大値に設定してヒートポンプ50を動作させた場合の出湯温度に設定してもよい。サーミスタ92の検出温度T1が目標出湯温度+1℃より低い場合、制御装置100は、S30でYESと判断し、S32に進む。
S32では、制御装置100は、サーミスタ86の検出温度T2(三流体熱交換器58に送り込まれる水の温度)が、目標出湯温度−3℃より低いか否かを判断する。サーミスタ86の検出温度T2が、目標出湯温度−3℃より低い場合、制御装置100は、S32でYESと判断し、S34に進む。
S34では、制御装置100は、ヒートポンプ50を動作させる。これにより、熱回収路88を通過する水が、三流体熱交換器58内で、冷媒循環路52内の冷媒の熱によって加熱される。サーミスタ92の検出温度T1が目標出湯温度+1℃より低い場合(S30でYES)、かつ、サーミスタ86の検出温度T2が、目標出湯温度−3℃より低い場合(S32でYES)には、暖房用水循環路71内の水は、その時点では暖房端末Hで必要とされる水の温度に達していない。そのため、本実施例では、S34でヒートポンプ50を作動させる。S34でヒートポンプ50を動作させると、制御装置100は、S36及びS38に進む。
S36では、制御装置100は、サーミスタ92の検出温度T1が所定の上限温度(例えば60℃)以上になることを監視する。制御装置100は、サーミスタ92の検出温度T1が60℃以上である場合、S36でYESと判断し、S40に進む。
S36の監視とともに、S38では、制御装置100は、サーミスタ86の検出温度T2が目標出湯温度以上になることを監視する。制御装置100は、サーミスタ86の検出温度T2が目標出湯温度以上である場合、S38でYESと判断し、S40に進む。
S40では、制御装置100は、ヒートポンプ50を停止させる。これにより、熱回収路88を通過する水は、三流体熱交換器58内で、冷媒循環路52内の冷媒の熱によって加熱されなくなる。サーミスタ92の検出温度T1が60℃になる場合(S36でYES)、又は、サーミスタ86の検出温度T2が目標出湯温度以上になる場合(S38でYES)、三流体熱交換器58を通過する冷媒循環路52内の冷媒の温度と、三流体熱交換器58を通過する熱回収路88内の水の温度の差が小さくなり、ヒートポンプ50による加熱効率が低下する。そのため、制御装置100は、S40でヒートポンプ50を停止させる。S40でヒートポンプ50を停止させると、制御装置100は、S30に戻る。
ただし、上記の通り、動作中の暖房端末Hの数が0になる場合(図2のS24でYESの場合)、制御装置100は、動作中のヒートポンプ50、バーナ加熱装置82、及び、循環ポンプ74をすべて停止させる(図2のS26)。この場合、図3のヒートポンプ動作制御も強制的に終了する。
また、本実施例では、上記の熱動弁デューティ制御(図2のS12参照)が行われている間に、すべての熱動弁V1〜V6が閉状態になることによって、制御装置100の指示によらずにヒートポンプ50が停止する場合もある。即ち、すべての熱動弁V1〜V6が閉状態になる場合には、上記の通り、暖房用水循環路71内を水が流れなくなる。その場合、三流体熱交換器58において、熱回収路88内の水と、冷媒循環路52内の冷媒との間の熱交換が促進されず、冷媒循環路52内を循環する冷媒の温度が上昇する。冷媒循環路52内を循環する冷媒の温度が所定の上限値を超える場合、圧縮機62は、自動的に運転を停止する。即ち、本実施例では、すべての熱動弁V1〜V6が閉状態である間には、図3のS36又はS38でYESと判断されない場合であっても、ヒートポンプ50が動作を停止する。
次いで、図4を参照して、バーナ動作制御の内容を説明する。バーナ動作制御は、バーナ加熱装置82を動作させて、暖房端末Hに供給される水の温度が、動作中の暖房端末Hにおいて設定されている暖房設定温度の暖房を実現できる温度である供給温度になるように、制御装置100が実行する制御である。バーナ動作制御が開始されると(図2のS20参照)制御装置100は、S50〜S58の処理を実行する。
S50では、制御装置100は、サーミスタ78の検出温度T3が、供給温度−4℃以下になることを監視する。制御装置100は、サーミスタ78の検出温度T3が、供給温度−4℃以下である場合、S50でYESと判断し、S54に進む。
S50の監視とともに、S52では、制御装置100は、サーミスタ78の検出温度T3が、供給温度−2℃以下である状態が所定期間継続することを監視する。所定期間は、例えば3分間である。サーミスタ78の検出温度T3が、供給温度−2℃以下である状態が所定期間継続する場合、制御装置100は、S52でYESと判断し、S54に進む。
S54では、制御装置100は、バーナ加熱装置82を動作させる。これにより、暖房往路72を通過する水が、バーナ加熱装置82によって加熱される。サーミスタ78の検出温度T3が供給温度−4℃以下である場合(S50でYES)、又は、サーミスタ78の検出温度T1が供給温度−2℃以下である状態が所定期間継続する場合(S52でYES)、暖房端末Hに送り出される水の温度は、その時点では供給温度に達していない。そのため、本実施例では、S54でバーナ加熱装置82の動作を開始する。S54でバーナ加熱装置82を動作させると、制御装置100は、S56に進む。
S56では、制御装置100は、サーミスタ78の検出温度T3が供給温度+12℃以上になることを監視する。サーミスタ78の検出温度T3が供給温度+12℃以上である場合、制御装置100は、S56でYESと判断し、S58に進む。
S58では、制御装置100は、バーナ加熱装置82を停止させる。これにより、暖房往路72を通過する水は、バーナ加熱装置82によって加熱されなくなる。この場合、この時点では、バーナ加熱装置82の下流側の暖房往路72内の水(即ち、暖房端末Hに供給される水)の温度は、暖房設定温度より高温であることを意味する。従って、それ以上、暖房往路72を通過する水をバーナ加熱装置82で加熱する必要がない。S58でバーナ加熱装置82を停止させると、制御装置100は、S50に戻る。ただし、上記の通り、動作中の暖房端末Hの数が0になる場合(図2のS24でYESの場合)、制御装置100は、動作中のヒートポンプ50、バーナ加熱装置82、及び、循環ポンプ74をすべて停止させる(図2のS26)。この場合、図4のバーナ制御も強制的に終了する。
次いで、図5を参照して、ヒートポンプ単独連続運転制御の内容を説明する。ヒートポンプ単独連続運転制御は、暖房運転の開始後に、バーナ加熱装置82を動作させずにヒートポンプ50のみを熱源として動作させるとともに、ヒートポンプ50を停止させずに連続運転させて、動作中の暖房端末Hにおいて暖房設定温度での暖房運転を実行するために、制御装置100が実行する制御である。ヒートポンプ単独連続運転制御が開始されると(図2のS22参照)、制御装置100は、S60〜S86の処理を実行する。
S60では、制御装置100は、動作中の暖房端末Hがオフ時間(即ち、対応する熱動弁Vが閉状態の期間)に移行したか否かを判断する。図2のS12の熱動弁デューティ制御が開始された後で、動作中の暖房端末Hに対応する熱動弁Vが開状態から閉状態に移行した場合(即ち、1サイクル分のオン時間が終了してオフ時間に移行した場合)、制御装置100は、S60でYESと判断し、S62に進む。なお、複数個の暖房端末Hが動作中である場合、図2のS12で熱動弁デューティ制御が開始された後で、全ての暖房端末Hに対応する熱動弁Vが一度閉状態に移行した場合(即ち、すべての暖房端末Hにおいて、1サイクル分のオン時間が終了してオフ時間に移行した場合)、制御装置100は、S60でYESと判断し、S62に進む。言い換えると、複数個の暖房端末Hが動作している場合には、全てに暖房端末Hに対応する熱動弁Vが開状態から閉状態に一度移行した時点で、制御装置100は、S60でYESと判断する。
S62では、制御装置100は、前サイクル(即ち、図2のS12の熱動弁デューティ制御が開始された後の1サイクル(20分間))におけるオン時間が9分未満であるか否かを判断する。制御装置100は、動作中の暖房端末Hから図2のS10で受信されたデューティ制御信号に含まれるオン時間が9分未満である場合に、S62でYESと判断し、S64に進む。S62でYESの場合は、動作中の暖房端末Hが比較的低負荷の運転を行っていることを意味する。なお、複数個の暖房端末Hが動作中である場合には、制御装置100は、動作中の暖房端末Hのそれぞれから受信されたデューティ制御信号に含まれるオン時間の長さがいずれも9分未満である場合に、S62でYESと判断する。
S64では、制御装置100は、前サイクルのオン時間中における加熱熱量が、ヒートポンプ50による最大加熱熱量より少ないか否かを判断する。前サイクルのオン時間中における加熱熱量は、ヒートポンプ50による加熱熱量と、バーナ加熱装置82による加熱熱量との合計である。バーナ加熱装置82による加熱熱量は、バーナ加熱装置82が前サイクルで消費したガスの量に基づいて計算される。前サイクルのオン時間中における加熱熱量が、ヒートポンプ50による最大加熱熱量より少ない場合、制御装置100は、S64でYESと判断し、S66に進む。S64でYESの場合は、動作中の暖房端末Hにおける暖房負荷を、ヒートポンプ50によって賄うことができることを意味する。なお、複数個の暖房端末Hが動作中である場合には、制御装置100は、複数個の暖房端末Hにおける前サイクルの加熱熱量の合計値が、ヒートポンプ50による最大加熱熱量よりも小さい場合に、S64でYESと判断する。
S66では、制御装置100は、動作中の暖房端末Hの数が1個であるか否かを判断する。動作中の暖房端末Hの数が1個である場合、制御装置100は、S66でYESと判断し、S70に進む。一方、動作中の暖房端末Hの数が2個以上である場合、制御装置100は、S66でNOと判断し、S80に進む。なお、動作中の暖房端末Hの数が0になった場合(図2のS24でNO)は、上記の通り、暖房運転が終了するため、図5のヒートポンプ単独連続運転制御も強制的に終了する。
S70では、制御装置100は、第1のヒートポンプ単独連続運転を開始する。第1のヒートポンプ単独連続運転は、動作中の暖房端末Hの数が1個である場合において、図2のS12で開始された熱動弁デューティ制御を行うことなく(即ち、ヒートポンプ50を発停させることなく)、ヒートポンプ50を連続動作させるための運転である。
第1のヒートポンプ単独連続運転(S70)について詳細に説明する。まず、第1のヒートポンプ単独連続運転中は、制御装置100は、バーナ加熱装置82を動作させない。また、制御装置100は、動作中の暖房端末Hからデューティ制御信号を受信するが(図2のS10参照)、そのデューティ制御信号に基づいた熱動弁デューティ制御(S12参照)を行わず、動作中の1個の暖房端末Hに対応する熱動弁Vを、常時開状態に維持する。さらに、制御装置100は、動作中の1個の暖房端末Hから受信したデューティ制御信号に含まれるオン時間の長さに応じて、目標出湯温度を設定する。この際、制御装置100は、予め記憶されている図6の対応表に従って、目標出湯温度を設定する。図6に示すように、オン時間Xが7分以上9分未満の場合、制御装置100は、目標出湯温度を30℃に設定する。同様に、オン時間Xが4分以上7分未満の場合、制御装置100は、目標出湯温度を28℃に設定する。オン時間が4分未満の場合、制御装置100は、目標出湯温度を25℃に設定する。図6の対応表に従って設定される目標出湯温度は、いずれも、熱動弁デューティ制御(S12参照)を行う場合の目標出湯温度よりも低温である。目標出湯温度が設定されると、制御装置100は、ヒートポンプ50による加熱後の水の温度が設定された目標出湯温度になるように、圧縮機62の回転数を調整して圧縮機62を動作させる(即ち、ヒートポンプ50を動作させる)。制御装置100は、第1のヒートポンプ単独連続運転中は、上記の各制御を実行する。
S70で第1のヒートポンプ単独連続運転が開始されると、制御装置100は、S72に進む。
S72では、制御装置100は、動作中の暖房端末Hにおける供給温度(即ち、動作中の暖房端末Hにおいて設定されている暖房設定温度の暖房を実現できる温度)が60℃より高い温度に設定されることを監視する。例えば、利用者によって暖房設定温度が高温に変更された場合等には、供給温度が60℃より高い温度に設定される場合がある。このような場合には、バーナ加熱装置82による加熱が必要な場合であることを意味する。このような場合、制御装置100は、S72でYESと判断し、図4のS54に進み、バーナ加熱装置82を作動させる。この場合には、制御装置100は、S70で開始された第1のヒートポンプ単独連続運転を終了する。また、制御装置100は再びS60に戻って図5のヒートポンプ単独連続運転制御を最初から実行する。
S72の監視に加えて、さらに、S74では、制御装置100は、サーミスタ78の検出温度T3が、供給温度−4℃以下である状態が所定期間(例えば3分間)継続することを監視する。サーミスタ78の検出温度T3が、供給温度−4℃以下である状態が所定期間継続する場合も、バーナ加熱装置82による加熱が必要な場合であることを意味する。このような場合、制御装置は、S74でYESと判断し、図4のS54に進み、バーナ加熱装置82を作動させる。この場合にも、制御装置100は、S70で開始された第1のヒートポンプ単独連続運転を終了する。また、制御装置100は再びS60に戻って図5のヒートポンプ単独連続運転制御を最初から実行する。
S72、S74の監視に加えて、さらに、S76では、制御装置100は、動作中の暖房端末Hの数が2個以上になることを監視する。利用者が現在動作中の暖房端末Hの他に、別の暖房端末Hに対して動作指示を入力した場合、制御装置100は、S76でYESと判断し、S80に進み、第1のヒートポンプ単独連続運転を終了して第2のヒートポンプ単独連続運転を開始する。
S80では、制御装置100は、第2のヒートポンプ単独連続運転を開始する。第2のヒートポンプ単独連続運転は、動作中の暖房端末Hの数が2個以上である場合において、図2のS12で開始された熱動弁デューティ制御を行うことなく(即ち、ヒートポンプ50を発停させることなく)、ヒートポンプ50を連続動作させるための運転である。
第2のヒートポンプ単独連続運転(S80)について詳細に説明する。まず、第2のヒートポンプ単独連続運転中も、制御装置100は、バーナ加熱装置82を動作させない。また、制御装置100は、動作中の2個以上の暖房端末Hのそれぞれからデューティ制御信号を受信するが(図2のS10参照)、そのデューティ制御信号に基づいた熱動弁デューティ制御(S12参照)を行わない。制御装置100は、熱動弁デューティ制御に代えて、予め記憶された図7の対応表に従って熱動弁開閉制御を実行する。この際、制御装置100は、動作中の2個以上の暖房端末Hに対して所定の順序で順番(1番目、2番目・・・)を割り当て、奇数端末(奇数番(1番目、3番目、5番目)が割り当てられた暖房端末H)と、偶数端末(偶数番(2番目、4番目、6番目)が割り当てられた暖房端末H)と、に区分する。
図7に示すように、奇数端末から受信されたデューティ制御信号に含まれるオン時間Xo(以下、「奇数端末からのオン時間Xo」と呼ぶ)が7分以上9分未満の場合、制御装置100は、奇数端末に対応する熱動弁を1サイクル(20分間)の全期間で開状態に維持する。一方、奇数端末からのオン時間Xoが4分以上7分未満の場合、制御装置100は、奇数端末に対応する熱動弁Vを1サイクル(20分間)のうちの0分〜15分までの間開状態に維持し、15分以降は閉状態に切り替える。また、奇数端末からのオン時間Xoが4分未満の場合、制御装置100は、奇数端末に対応する熱動弁Vを1サイクル(20分間)のうちの0分〜10.3分までの間開状態に維持し、10.3分以降は閉状態に切り替える。なお、制御装置100は、奇数端末が複数個存在する場合において、それぞれの奇数端末からのオン時間Xoが異なる場合には、オン時間Xoが長い方の制御を採用する。即ち、例えば、1番目の暖房端末Hからのオン時間Xoが4分であり、3番目の暖房端末Hからのオン時間Xoが8分である場合、制御装置100は、2個の奇数端末に対応する2個の熱動弁Vを1サイクル(20分間)の全期間で開状態に維持する。
同様に、偶数端末から受信されたデューティ制御信号に含まれるオン時間Xe(以下、「偶数端末からのオン時間Xe」と呼ぶ)が7分以上9分未満の場合、制御装置100は、偶数端末に対応する熱動弁Vを1サイクル(20分間)の全期間で開状態に維持する。一方、偶数端末からのオン時間Xeが4分以上7分未満の場合、制御装置100は、偶数端末に対応する熱動弁Vを1サイクル(20分間)のうちの0分〜5分までの間閉状態に維持し、5分以降は開状態に切り替える。また、偶数端末からのオン時間Xeが4分未満の場合、制御装置100は、偶数端末に対応する熱動弁Vを1サイクル(20分間)のうちの0分〜9.7分までの間閉状態に維持し、9.7分以降は開状態に切り替える。なお、制御装置100は、奇数端末が複数個存在する場合と同様に、偶数端末が複数個存在する場合において、それぞれの偶数端末からのオン時間Xeが異なる場合には、オン時間Xeが長い方の制御を採用する。
図7の対応表に従って熱動弁開閉制御が実行されると、1サイクルの間に、すべての熱動弁Vが同時に閉状態になる(即ちヒートポンプ50が停止する)期間が存在しなくなるため、ヒートポンプ50の連続運転が可能になる。
制御装置100は、図7の対応表に従って熱動弁開閉制御を実行した上で、ヒートポンプ50を動作させる。この際のヒートポンプ50の目標出湯温度の算出方法は、図3のヒートポンプ動作制御における算出方法と同様である。
S80で第2のヒートポンプ単独連続運転が開始されると、制御装置100は、S82、S84、S86の監視に進む。
S82、S84の監視の内容は、上記のS72、S74と同様であるため、詳しい説明を省略する。S86では、制御装置100は、動作中の暖房端末Hの数が1個になることを監視する。利用者が現在動作中の2個以上の暖房端末Hの少なくとも1個に停止指示を入力することにより、動作中の暖房端末Hが1個になった場合、制御装置100は、S86でYESと判断し、S70に進み、第2のヒートポンプ単独連続運転を終了して第1のヒートポンプ単独連続運転を開始する。
以上、本実施例の給湯暖房システム2の構成及び動作について説明した。上記の通り、本実施例の給湯暖房システム2では、前サイクルのオン時間が9分以上である場合(図5のS62でNOの場合)には、制御装置100は、熱動弁デューティ制御(図2のS12参照)を継続して実行する(即ち、第1又は第2のヒートポンプ単独連続運転を実行しない)。オン時間が9分以上である場合は、動作中の暖房端末Hが高負荷運転を行う場合である。本実施例の給湯暖房システム2では、暖房端末Hが高負荷の運転を行う場合に、熱動弁デューティ制御を実行するが、オン時間が比較的長いため、熱動弁デューティ制御を実行してヒートポンプ50を発停動作させる場合であっても、比較的長い期間ヒートポンプ50を連続運転させることができ、ヒートポンプ50の加熱の立ち上がり時間が暖房用水循環路71内の水の加熱効率に与える影響が少なく済む。そのため、動作中の暖房端末Hの数が1個である場合において、その暖房端末Hが高負荷運転を行う場合において、適切に熱媒を加熱することができる。
また、本実施例の給湯暖房システム2では、前サイクルのオン時間が9分未満である場合(図5のS62でYESの場合)であって、動作中の暖房端末Hの数が1個である場合(S66でYESの場合)には、制御装置100は、熱動弁デューティ制御に代えて、第1のヒートポンプ単独連続運転(S70)を実行する。オン時間が9分未満である場合は、動作中の暖房端末Hが低負荷運転を行う場合である。本実施例の給湯暖房システム2では、1個の暖房端末Hが低負荷運転を行う場合に、第1のヒートポンプ単独連続運転を行うため、ヒートポンプ50を連続運転させながら、暖房端末Hに暖房設定温度で暖房を行わせることができる。ヒートポンプ50を短いオン時間の間だけ動作させ、それ以外の間停止させる必要がないため、ヒートポンプ50の加熱の立ち上がり時間が暖房用水循環路71内の水の加熱効率に影響を与えることもない。そのため、1個の暖房端末Hが低負荷運転を行う場合においても、十分に熱媒を加熱することができる。
また、本実施例の給湯暖房システム2では、前サイクルのオン時間が9分未満である場合(図5のS62でYESの場合)であって、動作中の暖房端末Hの数が2個以上である場合(S66でNOの場合)には、制御装置100は、熱動弁デューティ制御に代えて、第2のヒートポンプ単独連続運転(S80)を実行する。即ち、本実施例では、2個以上の暖房端末Hがいずれも低負荷運転を行う場合において、第2のヒートポンプ単独連続運転が行われる。上記の通り、第2のヒートポンプ単独連続運転では、奇数端末に対応する熱動弁Vと、偶数端末に対応する熱動弁Vとが、同時に閉状態になる(即ち、ヒートポンプ50が停止する)ことがない。そのため、ヒートポンプ50を短いオン時間の間だけ動作させ、それ以外の間停止させる必要がないため、ヒートポンプ50の加熱の立ち上がり時間が暖房用水循環路71内の水の加熱効率に影響を与えることもない。そのため、2個以上の暖房端末Hがいずれも低負荷運転を行う場合においても、十分に暖房用水循環路71内の水を加熱することができる。
また、本実施例の給湯暖房システム2は、バーナ加熱装置82を備えており、必要に応じて、バーナ加熱装置82を動作させて暖房用水循環路71内の水を加熱することができる。従って、例えば、ヒートポンプ50単独での加熱では暖房に必要な熱を賄えない場合に、バーナ加熱装置82を補助熱源として暖房用水循環路71内の水を加熱することができる。
また、本実施例では、第1のヒートポンプ単独連続運転と第2のヒートポンプ単独連続運転のいずれを実行する場合においても、バーナ加熱装置82を動作させずに、ヒートポンプ50のみを熱源として暖房用水循環路71内の水を加熱する。即ち、バーナ加熱装置82よりもCOPが優れているヒートポンプ50を優先的に動作させることができるため、暖房用水循環路71内の水を効率良く加熱することができる。
本実施例と請求項の記載との対応関係を示しておく。バーナ加熱装置82が「ガス熱源機」の一例である。制御装置100が「制御手段」の一例である。動作中の暖房端末Hから受信されるデューティ制御信号に含まれるオン時間が「第1の開期間情報」、「第2の開期間情報」の一例である。オン時間「9分」が「第1の閾値」、「第2の閾値」の一例である。図7中の奇数端末に対応する熱動弁Vを開状態とすべき期間が「第1の期間」の一例であり、偶数端末に対応する熱動弁Vを開状態とすべき期間が「第2の期間」の一例である。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
(変形例1)暖房用水循環路71内を循環する熱媒は、水に限られず、他の熱媒(例えば不凍液)であってもよい。
(変形例2)上記の実施例では、前サイクルのオン時間が9分未満である場合(図5のS62でYESの場合)に、第1のヒートポンプ単独連続運転又は第2のヒートポンプ単独連続運転が実行される。これに限られず、動作する暖房端末Hごとに、第1のヒートポンプ単独連続運転又は第2のヒートポンプ単独連続運転が実行されるための閾値となるオン時間の長さが異なっていてもよい。即ち、請求項における「第1の閾値」と「第2の閾値」とが異なる値であってもよい。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。