JP2017082317A - 新規な積層体 - Google Patents

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Shigekazu Tomai
重和 笘井
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Abstract

【課題】量産性に優れた多結晶構造でありながら、欠陥密度が少なく優れた絶縁破壊電界を示すことができる積層体を提供する。
【解決手段】基材及び金属酸化物層を含み、前記金属酸化物層が、インジウム及びガリウムから選択される1以上を含む金属元素の酸化物を含み、前記金属酸化物層が結晶部分を有し、前記結晶部分がファセット構造を有することを特徴とする積層体。
【選択図】図1

Description

本発明は、積層体、それを含む素子、その素子を含む電気回路、センサー、電器機器及び車両に関する。
大電流、高消費電力を実現するショットキーバリアダイオードとして、安価なSiウェハー基板にSiCやGaNエピタキシャル成長させた例が開示されている(例えば特許文献1〜3)。
SiCに関しては、パワー半導体として好適な結晶構造は4H−SiCとされ、絶縁破壊電界として3MV/cm以上を実現している。しかしながら、格子の不整合が大きいため、Si上に欠陥の少ない単結晶を歩留まりよくエピタキシャル成長させるのは困難である。3C−SiCであれば、Siウェハーに微細加工を施すか、Si(211)面を使用することでエピタキシャル成長できるが、バンドギャップが狭くなるため、絶縁破壊電界は1.2MV/cmに留まっている。
一方、GaNも4H−SiCと同様に絶縁破壊電界が3MV/cm以上であり、量産のためSi上に結晶成長する試みがなされている。しかし、Siと格子の不整合の点ではSiCほどではないものの、AlN等のバッファ層を介さないと結晶成長が困難であり、量産性に課題があった。
特開2009−164638号公報 特開2010−40972号公報 特開2013−227198号公報
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、量産性に優れた多結晶構造でありながら、欠陥密度が少なく優れた絶縁破壊電界を示すことができる積層体を提供することを目的とする。
本発明によれば、以下の積層体等が提供される。
1.基材及び金属酸化物層を含み、
前記金属酸化物層が、インジウム及びガリウムから選択される1以上を含む金属元素の酸化物を含み、
前記金属酸化物層が結晶部分を有し、前記結晶部分がファセット構造を有することを特徴とする積層体。
2.前記金属酸化物層の表面の粗さRMSが、3.0nm以下であることを特徴とする1に記載の積層体。
3.前記金属酸化物層の表面の粗さRMSが、0.8nm以下であることを特徴とする1又は2に記載の積層体。
4.前記ファセット構造が一軸配向構造を有することを特徴とする1〜3のいずれかに記載の積層体。
5.前記金属酸化物層が正3価の元素、正4価の元素、及び正5価の元素から選ばれる1種以上の元素を含むことを特徴とする1〜4のいずれかに記載の積層体。
6.前記元素が、Si,Sn,Ti,Al,希土類元素から選ばれる1種以上であることを特徴とする5に記載の積層体。
7.前記元素が、キャリア濃度調整用不純物であることを特徴とする5又は6に記載の積層体。
8.前記元素の含有量が、前記金属酸化物層中の全金属元素に対して0.01モル%以上5モル%以下であることを特徴とする5〜7のいずれかに記載の積層体。
9.前記金属酸化物層がGaInOで表される結晶を含むことを特徴とする1〜8のいずれかに記載の積層体。
10.前記金属酸化物層中のGaとInの組成比が、Ga/(In+Ga)=30〜70at%を満たす特徴とする1〜9のいずれかに記載の積層体。
11.絶縁破壊強度が2.0MV/cm以上、かつキャリア濃度が1019cm−3以下であることを特徴とする、1〜10のいずれかに記載の積層体。
12.1〜11のいずれかに記載の積層体を含む素子。
13.非線形の電気伝導を有する12に記載の素子。
14.12又は13に記載の素子を用いた電気回路又はセンサー。
15.14に記載の電気回路を用いた電器機器又は車両。
本発明によれば、量産性に優れた多結晶構造でありながら、欠陥密度が少なく優れた絶縁破壊電界を示すことができる積層体を提供することを目的とする。
TEM測定で得られた実施例1、実施例3及び比較例2の積層体の断面図である。 実施例1の積層体のIGO膜のXRD回折の結果を示す図である。 実施例3の積層体のIGO膜のXRD回折の結果を示す図である。 比較例1の積層体のIGO膜のXRD回折の結果を示す図である。 比較例2の積層体のIGO膜のXRD回折の結果を示す図である。
1.積層体
本発明の積層体は、基材及び金属酸化物層を含み、金属酸化物層は、インジウム及びガリウムから選択される1以上を含む金属元素の酸化物を含む。また、金属酸化物層は結晶部分を有し、当該結晶部分がファセット構造を有する。
以下、本発明の積層体の各構成部材について以下説明する。
(1)基材
基材は平滑性が高いものであれば特に限定されない。
基材は金属酸化物層の結晶化に必要な温度への耐性があると好ましい。金属酸化物層の結晶化温度は、本発明では例えば温度は200℃〜1000℃であるので、例えば基材が金属であれば、Hg,Ga等一部の低融点の金属を除いて、合金も含め多くの材料を用いることができる。ただし、金属の一部には加熱工程により表面の凹凸が増加したり、金属酸化物との反応が促進することがあるので、目的とする用途や品質によって適宜最適な材質のものが選定される。
基材として適しているのは、Si,Ti,Cr、Ni,Cu,Zr,Nb,Mo,Pd,Ag,Ta,W,Pt,Au等が上げられる。
上記のうちAg及びAlは、加熱によりマイグレーションやヒロック等により凹凸が成長するおそれがあるため、従来公知の希土類元素、例えばCeなNd等を数%添加することで加熱による凹凸の発生を軽減するとよい。
基材としてシリコンウェハー(Si)を用いる場合、シリコンウェハーは表面が平滑であれば、単結晶、多結晶のいずれ構造でもよい。製法に関しても、チョクラルスキー法やフローティングゾーン法に加え、これらの再生基板、多結晶基板等、従来公知のシリコンウェハー基板をそのまま用いることができる。
また、シリコンウェハーはドーピングの有無、種類によってn型、i型、p型が存在するが、縦方向に電流を流す上では、電気抵抗の小さいn型又はp型が好ましい。ドーパントとしては従来公知のB,P,Sb等を用いることができる。特に抵抗を下げたい場合は、Asや赤リンをドーパントとしてもよい。
基材の厚みに特に制限はないが、製造加工等取扱いの観点から、200〜1000μmが好ましい。積層体をダイオードに用いて縦方向の電気抵抗を下げる必要がある場合には、基材をCMP法等により研磨してもよい。
基材の反りが問題になる場合は、外周部を残したTAIKO型の構造を用いることができる。研磨は金属酸化物を積層する前に行ってもよいし、後に行ってもよい。
(2)金属酸化物層
金属酸化物層は、インジウム及びガリウムから選択される1以上を含む金属元素の酸化物を含む。インジウム及びガリウムから選択される1以上を含む金属元素の酸化物としては、GaInOであることが好ましい。
金属酸化物層が、インジウムガリウム酸化物を含む場合、金属酸化物層中のGaとInの組成比はGa/(In+Ga)=30〜70at%であることが好ましい。
Ga/(In+Ga)の比が30%以上であるとビックスバイトのInが主成分となり、凹凸が小さくなるおそれがある。一方、Ga/(In+Ga)の比が70%以下であると、Gaが生成されにくくなる。Gaは室温では非晶質であるが、温度上昇によりα型、γ型等の準安定状態を経由してβ型に相転移するため、凹凸の発生が大きくなるおそれがある。
金属酸化物層の凹凸(表面粗さ)は、好ましくはRMS値として3.0nm以下であり、より好ましくは0.8nm以下であり、さらに好ましくは0.3nmである。
金属酸化物層の表面粗さが3.0nm超である場合、本発明の積層体をダイオードとして用いた場合に、金属酸化物層の凹凸部分を起点とした絶縁破壊が起こり易くなるおそれがある。
尚、本明細書において「表面粗さ」とは、JIS−B0601に基づく二乗平均平方根粗さRq(旧RMS)を言う。具体的な測定方法は、実施例に示す。
金属酸化物層は結晶部分を有し、当該結晶部分がファセット構造を有する。
一般に酸化インジウムと酸化ガリウムの混合系金属酸化物層は、複数の方位面を有する結晶粒の混合体となる。上記の表面粗さを有する金属酸化物層を多結晶構造で実現するため、金属酸化物層の結晶部分のファセット構造が、一軸配向構造であると好ましい。
尚、「ファセット構造」とは結晶構造の様態の一つであり、平坦な基板面上を複数の結晶核を起点に結晶成長することにより、基板面に対して凹凸の少ない極めて平滑な構造を有する多結晶構造をいう。また、「一軸配向構造」とはファセット構造のうち、方位面がすべて同一方向の結晶構造をいう。特に本発明においては、同一の方位面を有する単一組成の多結晶構造をいう。
金属酸化物層の結晶部分がファセット構造を有することは、EBSD法やTEMにより、一軸配向構造を有することは、XRD回折にて確認できる。
金属酸化物層の膜厚は、耐圧、用途や目的に応じて異なり、例えばダイオードとして使用する場合、10V耐圧では、0.03μm〜1.2μm、60V耐圧では0.2μm〜1.2μm、600V耐圧では2μm〜12μmが好ましい。
(3)キャリア濃度調整用不純物
金属酸化物層は、導電性を付与するためのキャリア濃度調整用不純物を含んでもよい。
この不純物は結晶化によりカチオン元素を置換固溶するか、結晶層内部に侵入固溶することでドナーとなり、キャリアを発生する。化合物半導体ではキャリア活性化率は必ずしも1ではないが、置換固溶型とすることで、比較的耐圧を落とすことなく、キャリアを効率的に発生することができる。キャリア濃度調整用不純物としては、正3価、正4価、及び正5価のカチオン元素が挙げられ、好ましくは正4価の元素である。
キャリア濃度調整用不純物としては、Si,Sn,Ti,Al,希土類元素から選ばれる1種以上であると好ましい。当該希土類元素としては、Sc(スカンジウム)、Y(イットリウム)、La(ランタン)、Ce(セリウム)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、Pm(プロメチウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユウロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、Lu(ルテチウム)が挙げられる。
金属酸化物層中のキャリア濃度調整用不純物の濃度は、金属酸化物層中の全金属元素に対する不純物金属の濃度(モル%)の割合として、0.01%以上、5%以下である。濃度が0.01%未満であるとドーパントとしての効果が少なく、キャリア濃度の増加に寄与しないおそれがある。濃度が5%を超えると、キャリア濃度が増加しすぎ、耐圧が低下するおそれがある。不純物金属のより好ましい濃度は、0.05%以上、3%以下である。
尚、金属酸化物層中の組成は、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析装置やXRF((X−ray Fluorescence Analysis,)又はSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)によって確認できる。
金属酸化物の組成は、薄膜の状態で評価する上では、SIMSが好ましい。
金属酸化物層は、本質的に、インジウム及びガリウムから選択される1以上を含む金属元素の酸化物、及び任意にキャリア濃度調整用不純物からなってもよい(consisting essentially of)。金属酸化物層は、例えば、90%重量以上、95重量%以上、又は98重量%以上が、インジウム及びガリウムから選択される1以上を含む金属元素の酸化物、及び任意にキャリア濃度調整用不純物であってもよい。また、金属酸化物層は、インジウム及びガリウムから選択される1以上を含む金属元素の酸化物、及び任意にキャリア濃度調整用不純物のみからなってもよい(consisting of)。この場合、不可避不純物を含んでもよい。
金属酸化物層のキャリア濃度は上述の価電子制御以外にも酸素欠損により制御することができる。ただし、酸素欠損は酸素との平衡状態によって濃度が上下するため、積極的に潰したい場合には、Alやランタノイドを添加することでキャリア濃度の変化を抑制することができる。
(4)金属酸化物層の製法
一般的に酸化インジウム及び又は酸化ガリウムとから構成された多結晶薄膜はランダム配向を示すことが知られている。(透明導電膜の技術第3版、オーム社、p.236、Applied Surface Science 349(2015) 970−982, Journal of Physics and Chemistry of Solids 60 (1999) 1755−1762 )。このような膜は凹凸が大きく、明確な粒界が存在するため、透明電極として用いるには問題はないが、パワー半導体のような導電性と耐圧の両立が求められる場合には、耐圧の点で問題となるおそれがある。
また、ZrO(100)基板にMOCVDで成膜すれば一軸配向性のIGO膜が得られる(Journal of Alloys and Compounds 499 (2010) 75−79)が、専用の基板を必要とする上、原料として有機金属を用いるため生産性が問題になるおそれがある。
本発明では、例えば特定の組成比で基材上に成膜したものを特定の加熱処理した方法によれば、金属酸化物層の結晶配向をファセット構造、又はファセット構造且つ一軸配向構造に制御することができる。
金属酸化物層の成膜方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。特に膜厚を1μm以上にしたい場合は、スパッタリング法以外に、ミストCVD法、ドクターブレード法,射出法,押出し法,熱間加圧法等のセラミックスの製法や、イオンプレーティング法、エアルゾルデポジション法等、厚膜に適した従来公知の製法を利用することができる。
上記の方法で金属酸化物膜を成膜後、アニール処理をして結晶化することでファセット構造を有する、又は一軸配向構造を有する金属酸化物層とすることができる。
好ましいアニール条件は、組成と膜厚によって変動するが、組成範囲がGa/(Ga+In)=40〜60原子%の場合、630℃〜1100℃、30分〜24時間が好ましい。630℃未満では結晶化が進行しないおそれがあり、1100℃超では結晶構造の相転移による体積変化(凹凸の上昇)を招くおそれがある。また、アニール時間が30分未満では膜厚が100nm以上の場合に結晶化が完遂しないおそれがあり、24時間超では生産的でなくなるおそれがある。当該条件でアニール処理をすることにより、結晶部分がファセット構造を有し、且つ一軸配向構造を有する金属酸化物層とすることができる。
(5)積層体の特性
本発明の積層体において、好ましいキャリア濃度は目的とする素子の用途によって適宜選択される。例えばダイオードとして使用する場合には、室温でのキャリア濃度は、1019cm−3以下であると好ましく、1015〜1019cm−3で調整するとより好ましい。
この範囲であれば、良好なダイオード特性を示すことができる。キャリア濃度が1×1015cm−3未満の場合、オン抵抗が高くなりすぎ、動作時に発熱を招くおそれがある。キャリア濃度が1×1019cm−3を超えた場合、抵抗が低くなりすぎ、逆バイアス時のリーク電流が上昇するおそれがある。
キャリア濃度は、C−V評価によって測定する。
C−V評価は、下記式を用いて、C−2τsVの傾きからN(キャリア濃度)を求める。
C={qεN/2(φ−V)}1/2
各記号は下記を意味する。
C:金属と金属酸化物の接合容量
q:電荷素量
ε:金属酸化物の誘電率
φ:金属と金属酸化物の接合による内蔵電位
V:印加電圧
本発明の積層体の絶縁破壊強度は、好ましくは2.0MV/cm以上である。
絶縁破壊強度は、電流電圧特性と金属酸化物層の膜厚を評価することで確認できる。例えば、積層体の両面を電流電圧測定装置の正負端子に接続し、印加電圧を0Vから増やしていき、絶縁状態から急激に導通状態になった電圧を絶縁破壊電圧とする。キャリア濃度が1016cm−3以下と少なく、金属酸化物が絶縁体と見做せる場合は、「絶縁破壊電圧/酸化物の膜厚」を絶縁破壊電界とする。また、キャリア濃度が1016cm−3以上の場合は、半導体的であり、空乏層の厚みが電界に正比例して変化するため、「絶縁破壊電圧x2/酸化物の膜厚」を絶縁破壊電界とする。
金属酸化物が絶縁体的か、半導体的かは、C―V評価によって測定した空乏層容量Cの電圧V依存性から判断することができる。
本発明の積層体は、基材と金属酸化物層の間に必要に応じて中間層を含んでもよい。この中間層は基材と金属酸化物層の密着性を向上したり、熱応力を緩和したり、電気的接続を改善したりする役割があり、目的に応じて使い分け、もしくは組合わせて用いられる。
例えば、基材と金属酸化物層の密着力を向上する上では、中間層の材料としてTiやMoが適している。熱応力を緩和する上では、基材と金属酸化物層の線膨張係数が間に入るような材料が用いられる。電気的接続を改善するには、オーミック接続であれば、金属酸化物層の仕事関数以下の仕事関数を有する導電性基材が、ショットキー接続であれば金属酸化物層の仕事関数以上の仕事関数を有する導電性基材が中間層としてそれぞれ使用される。
また、加熱処理等により基材や金属酸化物を構成する元素の拡散が懸念される場合にはNi等の従来公知のバリアメタルが中間層として用いられる。
例えば、Siウェハー上に、Ti,Ni,Inの順に積層して酸化物半導体を成膜すると、Tiは密着性を向上し、Niは金属拡散を防止し、Inは金属酸化物と良好なオーミック接合を得るための積層構造として好適である。
2.素子、電気回路等
本発明の積層体を含む素子は、多様な電気回路、センサー、電器機器、車両等に用いることができ、非線形の電気伝導を有すると好ましい。特に、ダイオードや縦型MOSFETを得るための基板として最適である。本発明の積層体を用いたダイオードは、高耐圧かつ高速スイッチングを実現できる。以下、これらについて説明する。
(1)ショットキーバリアダイオード
ダイオードにはその用途に応じて、ショットキーバリアダイオードと、PNダイオードに2分される。一般にシリコンを用いたショットキーバリアダイオードはユニポーラであり、高速スイッチングが可能であるが耐圧に劣る。逆にシリコンを用いたPNダイオードはバイポーラであり、高速スイッチングは劣るが、耐圧性に優れる。
本発明の積層体を用いて作製したダイオードは、酸化物半導体を用いるためユニポーラであり、バンドギャップが広い。従って、シリコンでは実現の難しかった高速スイッチングと高耐圧を両立することができる。
SiCやGaNの場合、いずれも欠陥の少ない単結晶を効率よく得ることは困難であり、歩留まりにも問題があった。この点で本発明の積層体を用いたダイオードは製造歩留まりも高く、産業的に有効である。
ダイオードとしての性能や安定性をさらに高めるためには、従来公知の保護膜やガードリング構造、及びフィールドプレート構造、メサ構造を使用することができる。例えば、金属酸化物層の露出部分をSiO等でパッシベーションすることで、表面準位の形成を抑制し、電流コラプスと呼ばれる順方向電流の低下現象を低減することができる。また、金属酸化物層にガードリング層を埋め込むことで、逆方向サージ電圧が防護される電圧範囲を超えた場合に、ダイオードの破損のおそれがあるアバランシェ降伏を抑制することができる。
本発明の積層体の使用される金属酸化物層がn型である場合、ガードリング層はp型か、i型半導体を用いることが好ましい。ガードリング層によって逆方向バイアス時に接合界面端部の電界集中を緩和することができ、耐圧を上げることができる。
p型層は従来公知のp型半導体としてB,Al,Ga,InをドープしたSiを用いてもよいし、NiOやCuO、もしくはCuTMO(TM:3d遷移金属)で表されるp型酸化物半導体を用いることができる。
また、ガードリングはその効果を上げるために、2重、3重に設計してもよい。ここでp型半導体は正孔を流すものではなく、高移動度は必要としない。
基材、中間層の何れかと接する金属酸化物の界面がショットキー接続の場合は、先にガードリング層を形成し、次に金属酸化物層を積層すればよい。また、基材、中間層の何れかと接する金属酸化物の界面がオーミック接続の場合は、先に金属酸化物層を成膜し、ガードリング状にエッチングした後、p型もしくはi型半導体を成膜する。次にCMP等により表面を研摩後、オーミック接続となる表面金属層を成膜すればよい。
これら保護膜及びガードリング層は、スパッタリング、イオンプレーティング、PECVD等の真空プロセス、印刷、塗布熱分解、ミストCVD、ゾルゲル等の湿式プロセス等、従来公知の成膜法で形成することができる。また、ガードリングに関しては所望とする領域にp型となるCuやNi等の元素をイオン注入してもよい。形成にあたっては、エリアマスクを用いてもよいし、従来公知のフォトリソ法を用いることができる。パターニング技術についても、従来公知のウェットエッチング、ドライエッチングが使用できる。保護膜及びガードリング層の形成にあたっては、加工精度と材質によって適宜最適なプロセスを組み合せて実施すればよい。
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。本発明は、これら実施例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
n型Si基板(直径4インチ)と石英ガラスを用意した。これらをスパッタリング装置(神港精機製SRV−4300)に装着し、金属酸化物層として、RF100W、Ar100%,スパッタ圧0.5Paの条件で、全金属元素に対して700ppmのSnをドープしたIGO(In:Ga=50:50at%)ターゲットをスパッタして、膜厚が50nmのIGO膜を成膜した。この積層体をチャンバーから取り出して、電気炉に入れて、空気中、700℃の条件で1時間アニールした。
実施例2
実施例2では、電気炉でのアニール条件を空気中、800℃、1時間に変更した他は、実施例1と同様にして積層体を製造した。
実施例3
実施例3では、電気炉でのアニール条件を空気中、1000℃、1時間に変更した他は、実施例1と同様にして積層体を製造した。
比較例1
比較例1では、電気炉でのアニールを実施しなかった他は、実施例1と同様にして積層体を製造した。
比較例2
比較例2では、電気炉でのアニール条件を空気中、1200℃、1時間に変更した他は、実施例1と同様にして積層体を製造した。
実施例1−3及び比較例1−2で得られたIGO膜付Si基板の積層体について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
(1)絶縁破壊電界
積層体を半導体パラメータアナライザ(ケースレー社製SCS−4200)に装着し、耐圧を評価した。
(2)表面粗さ(RMS)
積層体のIGO膜の表面凹凸をAFM(原子間力顕微鏡)を使って、JIS−B0601に基づいて評価した。
具体的には、RMSの測定のためのAFM装置として環境制御型プローブ顕微鏡NanoNavi/E−sweep(日立ハイテクサイエンス(旧SIIナノテクノロジー)製)を用いた。測定位置は基板を面積4等分になるように直交する二本の直線で分割し、各パーツの中心部から同心円を描いたとき最大の内接円の半分の直径の同心円の内部で測定し、その平均値を測定値とした。
測定条件は下記の通りである。
測定方法:DFM(ダイナミック・フォース・モード)
探針 :SI−DF40S
走査速度:0.2−0.4Hz(1ライン1秒)
ステップ:256×256
測定視野:20μm×20μm
(3)結晶構造・結晶配向
積層体のIGO膜の結晶化の様子をTEM(日立製電界放出型透過電子顕微鏡 HF−2100)を使って、加速電圧は200kVで評価した。実施例1及び3並びに比較例2のTEM測定の結果得られた積層体の断面図を図1に示す。
また、積層体のIGO膜の結晶配向の様子をXRD回折を評価した。実施例1の測定結果を図2に、実施例3の測定結果を図3に、比較例1の測定結果を図4に、比較例2の測定結果を図5に示す。比較例2のIGO膜は、一軸配向構造でもファセット構造でもなく、全ての結晶構造が同定できないランダム構造であった。
尚、XRDの測定条件は以下の通りである。
装置:(株)リガク製Ultima−III
X線:Cu−Kα線(波長1.5406Å、グラファイトモノクロメータにて単色化)
2θ−θ反射法、連続スキャン(1.0°/分)
サンプリング間隔:0.02°
スリットDS、SS:2/3°、RS:0.6mm
本発明の積層体を含む素子は、ショットキーバリアダイオードやMOSFETなどのパワーデバイスやそれらを組み合わせたモジュールとして使用できる。具体的には、インバータやコンバータ等の電力変換回路、電源回路、並びにそれらを使用したパワコン、IPM、電器機器や車両に使用できる。さらに、酸素ガスセンサー、光触媒、紫外センサー、紫外太陽電池、人体センサー、紫外ダイオード、紫外レーザー等にも使用できる。

Claims (15)

  1. 基材及び金属酸化物層を含み、
    前記金属酸化物層が、インジウム及びガリウムから選択される1以上を含む金属元素の酸化物を含み、
    前記金属酸化物層が結晶部分を有し、前記結晶部分がファセット構造を有することを特徴とする積層体。
  2. 前記金属酸化物層の表面の粗さRMSが、3.0nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 前記金属酸化物層の表面の粗さRMSが、0.8nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記ファセット構造が一軸配向構造を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
  5. 前記金属酸化物層が正3価の元素、正4価の元素、及び正5価の元素から選ばれる1種以上の元素を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体。
  6. 前記元素が、Si,Sn,Ti,Al,希土類元素から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項5に記載の積層体。
  7. 前記元素が、キャリア濃度調整用不純物であることを特徴とする請求項5又は6に記載の積層体。
  8. 前記元素の含有量が、前記金属酸化物層中の全金属元素に対して0.01モル%以上5モル%以下であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の積層体。
  9. 前記金属酸化物層がGaInOで表される結晶を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の積層体。
  10. 前記金属酸化物層中のGaとInの組成比が、Ga/(In+Ga)=30〜70at%を満たす特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の積層体。
  11. 絶縁破壊強度が2.0MV/cm以上、かつキャリア濃度が1019cm−3以下であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の積層体。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の積層体を含む素子。
  13. 非線形の電気伝導を有する請求項12に記載の素子。
  14. 請求項12又は13に記載の素子を用いた電気回路又はセンサー。
  15. 請求項14に記載の電気回路を用いた電器機器又は車両。
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