JP2015018881A - 半導体装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】インジウム、アルミニウム、ガリウムを含む半導体結晶を用いた半導体装置、又は基板において、チャネル層以外での損失を低減すること、安価で大口径化可能な下地材料上に半導体層を形成すること、窒化物半導体の下地材料として用いられること、Si半導体装置との複合化を実現することにある。
【解決手段】本発明によれば、一軸に配向している白金、金又はパラジウムの薄膜又は基板の上に形成した少なくともインジウム、アルミニウム、ガリウムのいずれか一つ、又はこれらを組み合わせた結晶性酸化物薄膜を含む半導体装置、又は基板が提供される。
【選択図】図1

Description

本発明は、電力用または受発光用半導体装置に関する。
高耐圧、低損失および高耐熱を実現できる次世代のスイッチング素子として、バンドギャップの大きな酸化ガリウム(Ga)を用いた半導体装置が注目されており、インバータなどの電力用半導体装置への適用が期待されている。しかも、広いバンドギャップからLEDやセンサー等の受発光装置としての応用も期待されている。当該酸化ガリウムは非特許文献1によると、インジウムやアルミニウムをそれぞれ、あるいは組み合わせて混晶することによりバンドギャップ制御することが可能であり、InAlGaO系半導体として極めて魅力的な材料系統を構成している。ここでInAlGaO系半導体とはInAlGa(0≦X≦2、0≦Y≦2、0≦Z≦2、X+Y+Z=1.5〜2.5)を示し、酸化ガリウムを内包する同一材料系統として俯瞰することができる。
これらのInAlGaO系半導体を用いた半導体装置を実現するために用いる下地材料としては、β酸化ガリウム基板やサファイア基板が検討されてきた。
特許文献1によると、βガリウム基板を用いる場合、酸化ガリウムのホモエピタキシャル成長が可能であり、酸化アルミニウムガリウム薄膜の高品質化が可能である。しかしながら、調達可能な基板サイズは限られておりシリコンやサファイア等の既に大量生産が進んでいる材料と比較して大口径化が困難であった。
特許文献2および特許文献3によると、サファイア基板を用いる場合、コランダム構造を有するAlXGaY(0≦X≦2、0≦Y≦2、X+Y=2)薄膜の高品質化は可能であるが、βガリア構造膜の高品質化は困難である。また、サファイアが絶縁体であるために下地材料に電流を流すことができない問題もある。この場合、下地材料上にソース、ドレインのいずれかの電極を形成することができず、半導体装置の単位面積当たり出力電流に限界が生じてしまう。6インチ、8インチに大口径化した場合には、これらの大口径化サファイアの産業応用はそれほど進んでいないため安定調達不安があるとともに調達コスト上昇という問題もあった。
また酸化ガリウムやサファイアの低い熱伝導率も半導体装置の高耐熱化に際して課題となっている。
さらに、下地材料の特性は低損失な半導体装置を実現するための電気特性上の課題も引き起こしている。例えば、高耐圧、低損失な半導体装置を実現するためにはチャネル層での低損失化に加えて、チャネル層以外での損失を低減する必要がある。例えば、半導体装置を構成するコンタクト領域の低損失化が要求されており、さらに、縦型半導体装置では下地材料や、下地材料とチャネル層との間の層の低損失化が要求されている。
加えて、携帯機器等の発展に伴い、情報処理端末の単位体積あたり処理能力向上を背景として、半導体装置の小型化が要求されており、異なる機能を有する半導体装置を複合化して半導体装置の個数を低減する市場要求もある。ここでは、産業応用が圧倒的に進んでいるSiを用いた半導体装置、又は基板との複合化が強く求められている。これまでに結晶成長技術の実証されている酸化ガリウム、サファイア基板いずれを用いた場合であっても、この複合化を実現するには下地材料等の張り替えが必要であり、実現困難であった。
ところで、InAlGaO系半導体の重要な応用分野としてGaN、AlN、InN、AlGaN、InGaN、InAlGaN等の窒化物半導体の下地材料応用も重要である。窒化物半導体はLED、レーザー等の受発光分野で産業応用されているが、もっとも一般的なサファイア基板を下地材料として用いたときには導電層であるn層による電圧降下・発熱損失・電流分布の不均一等が問題になるとともに、サファイア基板が絶縁であるために両極性の電極を同じInAlGaN半導体上に形成しなければならないことに起因する電流密度の限界等が問題となっている。LED素子とSi半導体装置との複合化が困難という課題もある。Si{111}面上での窒化物半導体の成膜技術は緩衝層等の工夫により注目されているが、量産化されているSi{100}面上での窒化物半導体の成膜技術は進展しておらず、産業応用はいまだ困難である。
特許文献3によるとβ酸化ガリウム基板を下地材料として用いて窒化ガリウムの結晶成長をすることができるが、調達可能な基板サイズは限られておりシリコンやサファイア等の既に大量生産が進んでいる材料と比較して大口径化が困難であった。
非特許文献2によるとMITのTomas Palaciosらは、 Si{111}上に成長したAlGaN/GaN膜をSi{111}基板から剥離し、AlGaN/GaN薄膜をSi{100}基板へ貼り付け、SiデバイスとGaNデバイスの集積を図っている。しかしながら、作業工数が多く基板全面に綺麗に剥離することが困難という問題があった。
国際公開番号WO2013/035842 国際公開番号WO2013/035844 特開2013−58636
金子健太郎、「コランダム構造酸化ガリウム系混晶薄膜の成長と物性」、京都大学博士論文、平成25年3月 IEEE EDL、30、1015、2009年
本発明は上記の如き事情に鑑みてなされたものであり、
その第一の目的はInAlGaO系半導体向けの応用分野としては、少なくともインジウム、アルミニウム、ガリウムを含む半導体結晶を用いた半導体装置、又は基板において、チャネル層以外での損失を低減すること、安価で大口径化可能な下地材料上に半導体層を形成すること、β酸化ガリウム基板やサファイア基板よりも熱伝導率の良い下地材料上に半導体層を形成すること、Si半導体装置との複合化を実現することにある。
その第二の目的は、窒化物半導体向けの応用分野としては、InAlGaO系半導体を下地材料として用いることにより、受発光層以外での損失を低減させ無駄な発熱を低減すること、安価で大口径化可能な下地材料上に半導体層を形成すること、Si半導体装置との複合化を実現することにある。
本発明によれば、一軸に配向している白金、金又はパラジウムの薄膜又は基板の上に形成した少なくともインジウム、アルミニウム、ガリウムのいずれか一つ、又はこれらを組み合わせた結晶性酸化物薄膜を含む半導体装置、又は基板が提供される。
本発明者らは、上記課題を解決する方法として、さまざまな金属や金属酸化物上に少なくともインジウム、アルミニウム、ガリウムのいずれか、又はこれらを組み合わせた酸化物薄膜の成膜を行ったところ、一軸に配向した白金又は金の薄膜又は基板の上に前記の結晶性酸化物薄膜を成膜できることを見出した。当該結晶性酸化物薄膜は、どのような金属や金属酸化物上にでも形成されるわけでない。従来は、本分野の当業者は、上記酸化物薄膜の下地として一軸に配向した白金又は金の薄膜又は基板を用いることは全く想定していなかったところ、本発明者らが実際に成膜を試みたところ、白金又は金の薄膜又は基板上に結晶性の上記酸化物薄膜を形成することができることが分かった。そこでいくつかの方法で成膜した白金又は金の薄膜又は基板上に前記酸化物薄膜を形成したところ、(1)白金又は金の薄膜又は基板の何れも、成膜開始前から一軸に配向しているか、又は(2)成膜開始前には一軸に配向していないが成膜時に白金又は金の薄膜又は基板が高温にさらされることによって白金又は金の薄膜又は基板が一軸に配向する場合にのみ結晶性酸化物薄膜を形成できることを見出した。
本発明者らは、シリコン基板上に白金又は金を蒸着したものを下地として上記酸化物薄膜を成膜したが、この場合には、白金又は金は成膜後にも一軸に配向せず、得られた酸化物薄膜はアモルファスであった。一方、サファイア基板上に白金又は金を蒸着した上に上記酸化物薄膜を形成したところ、白金又は金の薄膜は成膜後には一軸に配向し、得られた酸化物薄膜は結晶性であった。
また、シリコン基板上にシリコン酸化膜を形成し、チタン、白金とスパッタ法を用いて高温アニールしながら成膜することにより、配向した白金薄膜を形成した。その上に上記酸化物薄膜を形成したところ、上記酸化物薄膜が結晶性となることを見出した。
白金や金は貴金属であり、表面酸化膜がほとんど生じないことが知られており、白金や金の表面が、上層に形成する前記金属酸化膜の結晶成長の工程で変化せず、白金や金の面方位を保つことができることが重要と考えられる。さらに、前記金属酸化膜の格子定数と、白金や金の格子定数とが比較的近いことも本結果をもたらした重要な要因であったと類推できる。
同様の金属としてパラジウムが存在しており、表面酸化膜がほとんど生じず、白金や金と格子定数が近いことから、白金や金と同様の効果をもたらすものと合理的に類推できる。白金、パラジウム、金は、酸化膜形成による高抵抗化が生じにくいため、本発明の構成をコンタクト領域や電気伝導層として利用すれば、損失低減が実現できる。
本発明は、以下の形態でも実施可能である。
好ましくは、白金又は金、パラジウムの薄膜又は基板が{111}面に配向している。
好ましくは、前記下地材料がSi基板、サファイア基板、ガラス基板のいずれかであるSi基板としては大量に使われ、コストが安く、汎用性の高いSi{100}基板が好ましい。
好ましくは、下地材料と白金又は金、パラジウムとの間に一軸に配向していない層が形成される。これにより、白金又は金、パラジウムが配向しやすくなる。一軸に配向していない層として、金属酸化物や窒化物が挙げられる。例えば、酸化シリコン、酸化亜鉛、酸化スズ、InGaZnO、ITO、InAlGa(0≦X≦2、0≦Y≦2、0≦Z≦2、X+Y+Z=1.5〜2.5)のいずれか一つ又はこれらを同一層中あるいは層状に組み合わせた層である。一軸に配向していない層としては、アモルファス層を含む。一軸に配向していない層として導電性酸化物を形成することで、下地基板とプラチナ又は金、パラジウムとの間の電気伝導性を良好に保つことができる。一軸に配向していない層として酸化シリコン等の絶縁膜を用いることで、下地材料とプラチナ又は金、パラジウムとの間の絶縁性を良好に保つことができる。
好ましくは、下地材料と白金や金、パラジウムとの間にチタン、ニッケル等の1つ又は複数の金属を組み合わせた層を形成する。あるいは導電性酸化物を一つ又は組み合わせた層を介する。これにより、下地材料と白金や金とを低抵抗に接続すること、あるいはオーミック特性を賦与することができる。
好ましくは、前記結晶性酸化物はコランダム構造、βガリア構造、ビックスバイト構造を有する。
好ましくは、前記結晶性酸化物は、InAlGa(0≦X≦2、0≦Y≦2、0≦Z≦2、X+Y+Z=1.5〜2.5)である。X、Y、Zは、それぞれ、具体的には例えば、0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。X+Y又はX+Y+Zは、具体的には例えば、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
好ましくは、結晶性酸化物として、α型InAlGa(0≦X≦2、0≦Y≦2、0≦Z≦2、X+Y+Z=1.5〜2.5)であるが、少なくともインジウム、アルミニウム、ガリウムのいずれか、又はこれらを組み合わせたものであり構造体としてインジウム、アルミニウム、ガリウム以外の元素を混晶又は不純物混入した半導体装置又は結晶でも良い。
好ましくは、少なくともインジウム、アルミニウム、ガリウムのいずれか一つ、又はこれらを組み合わせた結晶性酸化物薄膜を含む半導体装置、又は基板であるが、非結晶性酸化物や多結晶酸化物として利用することもできる。従来技術では当該酸化物薄膜をさまざまな被成膜材料上に成膜すること自体が困難であったことから、当該発明により、さまざまな応用領域への適応が期待される。
好ましくは、前記酸化物薄膜の上に直接、又は他の層を介して、インジウム、アルミニウム、ガリウムのいずれか一つ、又はこれらを組み合わせた窒化物半導体を成膜した半導体装置である。この場合、下地基板としては特に限定しないが、Si{100}基板、サファイア基板、酸化シリコン基板、銅などの金属基板が好ましい。酸化シリコン基板としては水晶やガラス、石英ガラス、結晶化ガラスなどの基板を含む。好ましくは窒化物半導体はInAlGaN(0≦X≦1.1、0≦Y≦1.1、0≦Z≦1.1、X+Y+Z=0.9〜1.1)半導体である。X、Y、Zは、それぞれ、具体的には例えば、0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。少なくともインジウム、アルミニウム、ガリウムのいずれか、又はこれらを組み合わせたものであり構造体としてインジウム、アルミニウム、ガリウム以外、例えばボロンなど元素を混晶又は不純物混入した半導体装置又は結晶でも良い。
本発明をさらに展開させて、白金、金又はパラジウムの薄膜上にさまざまな半導体層を形成することに応用することもできる。この場合、半導体層として、少なくともインジウム、アルミニウム、ガリウムのいずれか又はこれらを組み合わせた酸化物薄膜に加え、Si半導体や窒化物半導体、III−IV族半導体等のさまざまな半導体を用いることができる。下地材料としては特に限定しないが、Si{100}基板を用いれば、さまざまな半導体装置、又は基板と複合化しやすい。従来は半導体装置の張替え技術を利用することで半導体装置の複合化を行うことがあったが、本発明によれば、Si半導体装置等の半導体装置上に白金、金又はパラジウムの薄膜を介して異なる機能を有する半導体層を成膜することで半導体装置を形成し、半導体装置の複合化を行うことを特徴とする。白金、金又はパラジウムの薄膜上に半導体層を形成する方法としては、CVD反応やスパッタ法を用いるが好ましく、下層に形成された白金、金又はパラジウムの薄膜の面方位に影響を受けて成長を引き起こすことが好ましい。白金、金又はパラジウムの薄膜は、その直下に適切な中間層を形成することで白金、金又はパラジウムの薄膜自体を一軸に配向させることが好ましく、ここで当該適切な中間層としては、一軸に配向しておらず、中間層の下層に位置する下地材料の面方位による影響を低減させる効果を生み出すものが好ましい。
なお、本発明におけるSi{100}の記載には、同一面方位である(100)、(010)、(001)など等価な対称面を持つ面を全て含んでいる。
本発明の実施の形態の事例を示す半導体装置、基板の断面図である。 本発明の実施の形態の他の例を示す半導体装置、基板の断面図である。 本発明の実施の形態の他の例を示す半導体装置、基板の断面図である。 本発明の実施の形態の他の例を示す半導体装置、基板の断面図である。 本発明の実施の形態の他の例を示す半導体装置、基板の断面図である。 本発明の実施の形態の事例を示す成膜装置の構成図である。 本発明の実施の形態の事例を示す成膜装置の構成図である。 本発明の実施例のX線回折プロファイルの一例を示す図である。 本発明の実施例のX線回折プロファイルの一例を示す図である。 本発明の実施例のX線回折プロファイルの一例を示す図である。 本発明の実施例のX線回折プロファイルの一例を示す図である。
以下、添付図面を参照して、白金、金又はパラジウムの薄膜又は基板形成に関する形態、酸化物薄膜の成膜に関する形態を説明する。好ましい実施形態の一つである、ミストCVD法を用いたもので説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成要素は同一であるものとする。
1.白金、金又はパラジウムの薄膜又は基板形成
白金、金又はパラジウムの基板を使用するときは、市販の材料を購入すれば良い。成膜、デバイスプロセス等の工程で損傷せず、扱いやすい100μm以上の厚みを有するものが望ましく、成膜面は化学研磨等の方法で平坦に加工されていることが望ましい。白金や金の薄膜はスパッタ、蒸着、メッキをはじめる種々の成膜手法を利用することができる。面方位{111}の試料を作製するために、成膜中に加熱処理しても良いし、成膜後に加熱処理しても良い。少なくともインジウム、アルミニウム、ガリウムのいずれか一つ、又はこれらを組み合わせた結晶性酸化物薄膜成膜時の熱エネルギーにより白金、金、又はパラジウムを配向させても良い。
白金、金又はパラジウムの薄膜を成膜する前に、被成膜材料との間に酸化シリコンやチタン、ニッケルなどの層をブロック層として、あるいは密着度強化層を入れることもできる。ブロック層は各層の下地材料が上層に熱処理等のプロセスにより拡散、混入することを防ぐ目的で導入される。ブロック層より上の層に形成された半導体装置の周波数特性を改善する効果もある。ブロック層や密着度強化層にチタン、ニッケル等の金属や酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、InGaZnO、InO、GaO、InAlGaO等の低抵抗金属酸化膜を用いることで、白金、金又はパラジウムと下地材料とを低抵抗に接続すること、あるいは当該接続にオーミック特性を賦与することができる。このときの金属酸化膜は必ずしも一軸に配向する必要はなく、アモルファスや多結晶でも構わない。密着強度向上には材料特性に加えて各層の下地材料との相性を踏まえて選定され、好適にはチタンやニッケルが用いられる。チタンのようにブロック層と密着度強化層とを兼ねることができる層もある。
好ましい実施形態の一例としては、c面サファイア上に白金、金又はパラジウムの薄膜を蒸着又はスパッタ法により形成する方法がある。薄膜の厚みは特に限定しないが500nm以下、より好適には50nm以下であることが好ましい。
好ましい実施形態の一例としては、Si{100}面に酸化シリコン膜を熱酸化により形成したのち、加熱処理を加えながら、スパッタ法によって白金、金又はパラジウムを成膜する方法がある。成膜後の加熱処理を行うことにより、更に白金、金又はパラジウムの結晶性を向上することができる。
2.酸化物薄膜の成膜
<原料>
結晶性酸化物の原料については特に限定しないが、ガリウム化合物とインジウム化合物、アルミニウム化合物のいずれか、又はこれらを組み合わせた金属化合物を材料として用いることができる。ガリウム金属やインジウム金属を出発材料として成膜直前にガリウム化合物やインジウム化合物を形成しても良い。ガリウム化合物とインジウム化合物には、有機錯体やハロゲン化物をはじめ、非常に多くの種類のものがあるが、本実施形態では、ガリウム化合物、インジウム化合物としてはガリウムアセチルアセトナート、インジウムアセチルアセトナートを用い、アルミニウム化合物としてはアルミニウムアセチルアセトナートを用いる。
原料溶液の溶媒は、水、過酸化水素水、有機溶媒であることが好ましい。原料溶液中には、ドーパント化合物を添加することができ、これによって、形成される薄膜に導電性を付与することができるため、半導体層として利用することができる。
InAlGa(0≦X≦2、0≦Y≦2、0≦Z≦2、X+Y+Z=1.5〜2.5)でX,Y,Zのうち少なくとも2つが0よりも大きい場合のように、2種類以上の金属元素を含む薄膜(混晶膜)を形成する場合、1種類の原料溶液中に2種類以上の金属化合物を溶解させてもよく、金属化合物ごとに原料溶液を準備し、それぞれの原料溶液を別々に微粒子化してもよい。
なお、本明細書中のInAlGaという表記はあくまで金属イオンと酸素イオンの比率を表現するために用いるのであって、「X+Y+Z=2」と表記していないことからも明らかなように、ノンストイキオメトリー酸化物も含んでおり、これは、金属不足酸化物、金属過剰酸化物だけでなく、酸素不足酸化物、酸素過剰酸化物も含む。
<微粒子化>
原料溶液を微粒子化して原料微粒子を生成する方法は、特に限定されないが、原料溶液に超音波振動を印加して微粒子化する方法が一般的である。また、これ以外の方法でも、例えば、原料溶液を噴霧することによって原料溶液を微粒子化することによっても原料微粒子を生成することができる。
<キャリアガス>
キャリアガスは、例えば窒素であるが、アルゴン、酸素、オゾン、空気などのガスを用いてもよい。また、キャリアガスの流量は、特に限定されないが、例えば、0.1〜50L/minである。原料溶液に有機溶媒を使用するときは酸素元素を含む酸素、オゾン等のガスを用いることが好ましい。
<成膜室・被成膜試料・成膜>
原料微粒子は、キャリアガスによって成膜室に供給され、成膜室において反応が起こって成膜室内に載置された被成膜試料上に薄膜が形成される。被成膜試料上に形成される薄膜は、酸化物結晶(好ましくは酸化物単結晶)の薄膜である。
成膜室は、薄膜形成が行われる空間であり、その構成や材料は特に限定されない。成膜室は、一例では、実施例のように石英管の一端から原料微粒子を含むキャリアガスを供給し、石英管の他端から排ガスを排出する構成である。この構成の場合、被成膜試料は、成膜面が水平になるように配置してもよく、キャリアガスの供給側に向けて例えば45度に傾斜するように配置してもよい。また、数mm以下のチャネルを反応領域として利用するファインチャネル法や、基板上に直線状のノズルを設け、ここから基板に垂直方向に原料微粒子(およびキャリアガス)を吹き付け、さらにノズルを直線状の出口とは垂直方向に移動させるというリニアソース法や、複数の方式を混合した、あるいは派生させた方式による成膜法を利用してもよい。ファインチャネル法では、均質な薄膜作製と原料の利用効率の向上が可能であるし、リニアソース法では、将来の大面積基板およびロールツーロールでの連続成膜が可能である。成膜室は、例えば成膜室の周囲をヒータで取り囲む等によって内部空間を所望温度に加熱できる構成になっている。また、成膜室は、大気圧ではなく加圧や減圧をしてもよい。
成膜時の成膜室の加熱温度は、原料溶液に含まれる原料溶質(ガリウム化合物、インジウム化合物等)を化学反応させることができる温度であれば特に限定されず、例えば300〜1500℃であり、400〜700℃が好ましく、450〜550℃がさらに好ましい。加熱温度が低すぎると原料溶質の反応速度が遅くて成膜速度が遅くなり、加熱温度が高すぎると、形成された薄膜のエッチング速度が大きくなってしまって成膜速度が遅くなってしまうからである。加熱温度は、具体的には例えば、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、900、1000、1500℃であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。ただし、酸化物薄膜がコランダム構造(α層)である場合、成膜温度が高温の場合はβ相が成長しやすいため、α相単相を得たい場合は温度ごとに、溶液の濃度および、組成、成膜時の流量などの条件の最適化が必要である。酸化物薄膜は、いずれも単一組成膜であっても混晶膜であってもよい。混晶膜とする場合は、2種類以上の溶質を 混合した溶液13aからミストを発生させるか、または、別々に発生させた2種類以上のミストを同時に成膜室16に導入すればよい。
被成膜試料は、白金、金又はパラジウムの薄膜又は基板、好ましくは面方位の配向した薄膜又は基板、例えば{111}に配向したものが形成可能であれば特に限定されない。白金、金又はパラジウムの薄膜を形成する場合の好適な例としては下地材料としてSi基板、ガラス基板、サファイア基板のいずれかを用いても良い。Si基板としては{100}が特に好ましいが{111}基板でも良い。被成膜試料の、その他の好適な下地材料例としてはコランダム構造を有する薄膜又は基板、GaNやZnOに代表される六方晶の結晶構造を有する薄膜又は基板、YSZに代表されるような立方晶の結晶構造を有する薄膜又は基板、またはβ型酸化ガリウム薄膜又は基板、γ型酸化ガリウム薄膜又は基板等が挙げられる。白金、金又はパラジウムの薄膜と下地材料との間にはアモルファス酸化物を形成することが好ましい。当該アモルファス酸化物が導電性酸化物であれば、下地材料上に電極を形成することができ、半導体装置の面積を小型化できる場合もある。
白金、金又はパラジウムの薄膜又は基板と少なくともインジウム、アルミニウム、ガリウムを含む酸化物薄膜との間に緩衝層を入れることも可能である。緩衝層は少なくともインジウム、アルミニウム、ガリウムを含む、酸化物薄膜と異なる組成の酸化物でも良い。緩衝層は白金、金又はパラジウムの薄膜と酸化物薄膜との間に形成される。例えば、低い成膜温度で形成され、白金、金又はパラジウムの表面状態を良好に保った状態で酸化物薄膜の形成を可能とする。他の例では、白金や金との接触抵抗を低減するために白金、金又はパラジウムと上層の酸化物薄膜との間に形成された、仕事関数の低いチタンなどの金属又は酸化亜鉛、酸化インジウム、ITO、InGaZnOなどの金属酸化物の薄膜でも良い。コランダム構造、βガリア構造、ビックスバイト構造を有していても良く、酸化物薄膜層と同一の結晶構造を有することが好ましい。
本実施形態の方法によって製造可能な半導体装置又は結晶体の例を図1〜6に示す。
図1の例では、白金、金又はパラジウムの基板2上にInAlGa(0≦X≦2、0≦Y≦2、0≦Z≦2、X+Y+Z=1.5〜2.5)膜1がこの順で形成される。
図2の例では、下地材料5上に白金、金又はパラジウムの薄膜4が成膜され、その上にInAlGa(0≦X≦2、0≦Y≦2、0≦Z≦2、X+Y+Z=1.5〜2.5)膜3がこの順で形成される。白金、金又はパラジウムの薄膜4は配向していることが好ましく、特に{111}面に配向していることが好ましい。下地材料5としてはSi基板、サファイア基板、ガラス基板が好ましく、Cuをはじめとする金属基板でも良い。
図3の例では白金、金又はパラジウムの薄膜7と下地材料9との間にブロック層8を成膜している。ブロック層8は下地材料9が白金、金又はパラジウムの薄膜7に表出することを防ぐ目的で形成され、チタンや酸化シリコンが好適である。これにより、下地材料由来の不純物を防いだInAlGa(0≦X≦2、0≦Y≦2、0≦Z≦2、X+Y+Z=1.5〜2.5)膜6を形成することができる。
図4の例では白金、金又はパラジウムの薄膜11と下地材料13との間に密着度強化層12を成膜している。密着度強化層12は下地材料13と白金、金又はパラジウムの薄膜11との密着度を強化する目的で形成され、チタンやニッケルが好適である。
図5の例では白金、金又はパラジウムの薄膜15と下地材料18との間にブロック層16と密着度強化層17とを成膜している。
ブロック層16と密着度強化層17とは上下逆転する構造で形成されても良い。密着度強化層17をブロック層16上層に成膜するときには、密着度強化層17が白金、金又はパラジウムの薄膜15と成膜工程あるいは成膜後工程により反応しないことが好ましい。この反応が生じた場合、白金、金又はパラジウムの薄膜に密着度強化層が混合してしまい、良質なInAlGa(0≦X≦2、0≦Y≦2、0≦Z≦2、X+Y+Z=1.5〜2.5)膜を形成する妨げとなるためである。しかも、ブロック層16と下地材料18との密着が強固であることが好ましい。
図6の例では酸化物薄膜19と白金、金又はパラジウムの薄膜21との間に緩衝層が形成されている。
<取り出し>
酸化物薄膜の成膜が完了すると、酸化物薄膜付きの下地材料が成膜室から取り出される。
酸化物薄膜をGaN、AlN、InN、AlGaN、InGaN、InAlGaN半導体等の窒化物半導体の下地材料として利用する場合は、MOCVD等の成膜プロセスにより窒化物半導体を成膜する。窒化物半導体の成膜前に窒化処理を施して酸化物薄膜の最表面を窒素化しておくことでInAlGaN等の窒化物半導体の結晶品質を向上することができる。窒化処理には窒素プラズマ処理やアンモニアガスを流しながら高温アニールする方法を用いることができる。
特に、コランダム構造の酸化物薄膜を形成する場合は、低温成長可能であり、Si{100}等を用いて複合化する場合であっても成膜温度等を低く抑えることができるため、コランダム構造以外の同一基板上に形成された材料、薄膜、半導体装置の熱ダメージを低減させることができる。但し、窒化物半導体層を形成する際に熱エネルギーが必要な場合は、コランダム構造を維持するために、相転移防止の手法を導入しても良い。例えば窒化物半導体の低温緩衝層導入などの手法が挙げられる。
相転移を防止又は制御するための手法の一例を以下で紹介する。
例えば、酸化物薄膜の上の層としてよりAl濃度の大きな酸化物薄膜を形成することで、コランダム構造酸化物薄膜、好適にはInAlGaO系半導体の相転移を防止、又は制御することができる。
例えば、窒化物半導体層の成膜温度を下地材料であるコランダム構造酸化物薄膜が相転移しない低い温度に抑えること、詳しくはAl濃度にも依存するが、InAlGaO系半導体の場合は800℃以下に抑えること、特に酸化ガリウム半導体の場合は500℃以下に抑えることが好ましい。
例えば、InAlGaN半導体等の窒化物半導体層とInAlGaO半導体層との間に窒化物半導体の低温緩衝層を入れて、界面形成時の成膜温度を、コランダム構造酸化物薄膜が相転移しない温度に抑えることでInAlGaO系半導体等の酸化物薄膜とInAlGaN等の窒化物半導体との界面を良好に保つことができる。この場合、低温緩衝層形成後の窒化物半導体層の形成温度は、必ずしもコランダム構造酸化物薄膜が相転移するよりも低い温度に抑える必要はない。
また、上記実施形態では、ミストCVD法により酸化物薄膜を成膜したが、他の手法により成膜してもよい。ミストCVD法を用いることで、比較的低温で酸化物薄膜を形成することができる。その結果、白金や金のマイグレーションが生じにくく、また、材料種による熱膨張係数の違いが問題になりにくいというメリットを生じる。酸化物薄膜を成膜可能な他の手法としては、有機金属気相成長法、分子線エピタキシー法、スパッタ法、蒸着法等があり、適宜、成膜後の加熱処理と組み合わせて実施される。成膜後の加熱処理は、その後の製造工程で置かれる、酸化物薄膜の成膜、結晶性向上等を直接の目的としない工程における加熱処理で代替することもできる。
なお、本発明では、酸化物薄膜、緩衝層、ブロック層、窒化物半導体層にインジウム、アルミニウム、ガリウム以外の元素を不純物ドーピングしてもよいし混晶としても良い。例えば不純物ドーピングにはGe、Sn、Si、Zn、Mg等の元素を用いても良いし、ブロック層や酸化物薄膜層にはInGaZnOなどの混晶を用いても良い。これにより、導電性ならびに絶縁性を調整することができる。
さらに、本発明では、酸化物薄膜、緩衝層、ブロック層、白金、金又はパラジウムの一部に、膜組成および元素ドーピング濃度についての一定の繰り返し構造を導入しても良い。これにより、応力緩和の促進、あるいはキャリア濃度の増減、キャリア移動度の大小、密着度、他層の混入防止程度(ブロック度)を調整することが可能である。
以上により、本発明に係る半導体装置の成膜工程は終了し、イオン注入やエッチング、フォトリソグラフィー、加熱処理、電極形成、等のデバイスプロセスへと移される。
その後、白金や金の薄膜は、下地材料の剥離技術に活用することもできる。例えば、白金や金を薬液等で溶解させ、あらかじめ支持基板に固定した白金や金より上の層を剥離することができる。この場合、白金や金よりを上の層で剥離後に指示基板に固定化させる目的の層は、白金や金を溶解させた薬液で溶解しないよう、薬液を適切に選定しなければならない。
以下、本発明の実施例を説明する。
1.実験1
1−1.被成膜試料作成
サファイア基板(並木精密宝石株式会社製、C面、0.55mm厚)上に蒸着装置を利用して白金薄膜を成膜したものを被成膜試料とした。
また、別の例では、Si{100)基板(熱酸化膜100nm、N型、0.525mm厚)上に、スパッタ装置(キャノンアネルバ製EB1100)を用いてチタンを600℃で10nm成膜し、その後スパッタ装置(同上)を使用して成膜中の被成膜試料温度を600℃として膜厚35nmで白金薄膜を成膜したものを被成膜試料とした。
また、上述のサファイア基板、又はSi{100}基板を被成膜試料として用い、蒸着装置を利用して金薄膜を35nm成膜した。
1−2.ミストCVD装置
まず、図7を用いて、本実施例で用いたミストCVD装置25を説明する。被成膜試料26には上述1−1に記載の方法にて作製した被成膜試料を用いた。ミストCVD装置25は、下地材料等の被成膜試料26を載置する試料台27と、キャリアガスを供給するキャリアガス源28と、キャリアガス源28から送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁29と、原料溶液30aが収容されるミスト発生源24と、水31aが入れられる容器31と、容器31の底面に取り付けられた超音波振動子32と、内径40mmの石英管からなる成膜室33と、成膜室の周辺部に設置されたヒータ34を備えている。試料台27は、石英からなり、被成膜試料26を載置する面が傾斜している。成膜室33と試料台27をどちらも石英で作製することにより、被成膜試料26上に形成される薄膜内に装置由来の不純物が混入することを抑制している。
1−3.原料溶液の作製
表1に示す原料溶質を超純水中に溶解させることによって所望の濃度の原料溶液30aを作製した。
1−4.成膜準備
次に、被成膜試料26として、1辺が10mmの正方形で厚さ600μmの下地材料を試料台27上に設置させ、ヒータ34を作動させて成膜室33内を500℃に昇温させた。次に、流量調節弁29を開いてキャリアガス源29からキャリアガスを成膜室33内に供給し、成膜室33の雰囲気をキャリアガスで十分に置換した後、キャリアガスの流量を5ml/分に調節した。キャリアガスとしては、窒素ガスを用いた。
1−5.薄膜形成
次に、超音波振動子を2.4MHzで振動させ、その振動を水31aを通じて原料溶液30aに伝播させることによって原料溶液30aを微粒子化させて原料微粒子を生成した。
この原料微粒子が、キャリアガスによって成膜室33内に導入され、成膜室33内で反応して、被成膜試料26の成膜面でのCVD反応によって被成膜試料26上に薄膜を形成した。
1−6.評価
表1の実験についてのX線回折結果を図8〜図11に示す。サファイア基板上に形成した試料である図8では白金、図9では金が{111}面に配向していることが確認された。そしてそれぞれの薄膜上にコランダム構造の酸化ガリウム(α−Ga)が形成されていることを確認した。白金薄膜・金薄膜が一軸に配向し、その結果、白金薄膜・金薄膜上に結晶性の酸化ガリウム薄膜が形成されたと考えられる。また、酸化ガリウムの成膜温度を600℃にして白金又は金の薄膜上に酸化ガリウム薄膜を成膜したところ、β型の酸化ガリウム薄膜を形成することができた。この場合にも、白金薄膜・金薄膜は成膜後に一軸に配向していることを確認した。
図10で示したSi{100}基板(熱酸化膜100nm、N型、0.525mm厚)上で、チタンを10nm、白金薄膜を35nm成膜した試料では、ミストCVD法を用いた酸化ガリウム形成後に、βガリア構造の酸化ガリウム(β−Ga)が確認された。この白金薄膜は、酸化ガリウムの成膜前にすでに一軸に配向しており、一軸に配向している白金薄膜上にβ型酸化ガリウム薄膜を形成することができた。
図11で示したSi{100}基板(熱酸化膜100nm、N型、0.525mm厚)上に、金を蒸着法で35nm成膜した試料においても、ミストCVD法を用いた酸化ガリウム形成後にβガリア構造の酸化ガリウム(β−Ga)が確認された。この金薄膜は、酸化ガリウムの成膜前にすでに一軸に配向しており、一軸に配向している金薄膜上にβ型酸化ガリウム薄膜を形成することができた。
各実験についての考察は、以下の通りである。
Si基板、具体的には、面方位{100}、{111}、{110}上に、直接、酸化ガリウムを成膜した場合、酸化ガリウムがアモルファスになってしまい、結晶性酸化ガリウムを形成することができなかった。また、Si基板上に白金薄膜を直接形成し、その上に酸化ガリウムの成膜を行ったところ、酸化ガリウムがアモルファスになってしまい、結晶性酸化ガリウムを形成することができなかった。なお、白金薄膜は、酸化ガリウムの成膜後にも一軸に配向していなかった。
サファイア基板上に、上記のスパッタ装置を用いてアルミニウム膜を形成し、その上に、酸化ガリウムを成膜した場合、酸化ガリウムがアモルファスになってしまい、結晶性酸化ガリウムを形成することができなかった。
以上のように、白金又は金の薄膜が酸化物薄膜の成膜時までに一軸に配向している場合には、良好な結晶性を有する酸化物薄膜を成膜することに成功した。
1 酸化物薄膜
2 白金、金又はパラジウムの薄膜又は基板
3 酸化物薄膜
4 白金、金又はパラジウムの薄膜
5 下地材料
6 酸化物薄膜
7 白金、金又はパラジウムの薄膜
8 ブロック層
9 下地材料
10 酸化物薄膜
11 白金、金又はパラジウムの薄膜
12 密着度強化層
13 下地材料
14 酸化物薄膜
15 白金、金又はパラジウムの薄膜
16 ブロック層
17 密着度強化層
18 下地材料
19 酸化物薄膜
20 緩衝層
21 白金、金又はパラジウムの薄膜
22 ブロック層
23 密着度強化層
24 下地材料
25:ミストCVD装置
26:被成膜試料
27:試料台
28:キャリアガス源
29:流量調節弁
30:ミスト発生源
30a:原料溶液
31:ミスト発生源
31a :水
32:超音波振動子
33:成膜室
34:ヒータ

Claims (14)

  1. 一軸に配向している白金、金又はパラジウムの薄膜又は基板の上に形成した少なくともインジウム、アルミニウム、ガリウムのいずれか一つ、又はこれらを組み合わせた結晶性酸化物薄膜を含む半導体装置、又は基板。
  2. 前記白金、金又はパラジウムの薄膜又は基板が{111}に配向していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置、又は基板。
  3. 前記白金、金又はパラジウムの薄膜の下層に直接又は他の層を介して、一軸に配向していない層が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置、又は基板。
  4. 前記一軸に配向していない層が、金属酸化物を一つ又は組み合わせていることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置、又は基板
  5. 前記一軸に配向していない層が、導電性酸化物を一つ又は組み合わせていることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置、又は基板。
  6. 前記一軸に配向していない層が酸化シリコン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、ITO、InGaZnO、InAlGa(0≦X≦2、0≦Y≦2、0≦Z≦2、X+Y+Z=1.5〜2.5)のいずれか一つ又はこれらを組み合わせた層であることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置、又は基板。
  7. 前記白金、金又はパラジウムの薄膜がSi、サファイア、酸化シリコンのいずれかの下地材料上に直接又は他の層を介して形成されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一つに記載の半導体装置、又は基板。
  8. 前記下地材料と白金、金又はパラジウムの薄膜との間に一つ又は複数の金属を組み合わせた層が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置、又は基板
  9. 前記少なくともインジウム、アルミニウム、ガリウムのいずれか一つ、又はこれらを組み合わせた結晶性酸化物薄膜がコランダム構造又はβガリア構造、ビックスバイト構造を有することを特徴とする請求項1〜8の何れか1つに記載の半導体装置、又は基板
  10. 請求項1〜9の何れか1つに記載の少なくともインジウム、アルミニウム、ガリウムのいずれか一つ、又はこれらを組み合わせた結晶性酸化物薄膜上に、少なくともインジウム、アルミニウム、ガリウムのいずれか一つ又はこれらを組み合わせた窒化物半導体を、直接又は他の層を介して形成されていることを特徴とする半導体装置、又は基板
  11. Si{100}基板上に一軸に配向した白金、金又はパラジウムの薄膜、InX1AlY1GaZ1(0≦X1≦2、0≦Y1≦2、0≦Z1≦2、X1+Y1+Z1=1.5〜2.5)、InX2AlY2GaZ2N(0≦X2≦1.1、0≦Y2≦1.1、0≦Z2≦1.1、X2+Y2+Z2=1.1)半導体を直接又は他の層を介して、この順で形成されていることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の半導体装置、又は基板
  12. Si{100}基板上に、直接又は他の層を介して形成され且つ一軸に配向した白金、金又はパラジウムの薄膜を有し、当該白金、金又はパラジウムの薄膜上には、白金、金又はパラジウムの薄膜より下層に形成された半導体装置又は基板とは異なる機能を有する半導体装置又は基板を複合化していることを特徴とする半導体装置又は基板。
  13. 少なくともインジウム、アルミニウム、ガリウムのいずれか一つ、又はこれらを組み合わせた結晶性酸化物薄膜の原料となる溶質が溶媒中に溶解されてなる原料溶液を微粒子化して生成される原料微粒子を、白金、金又はパラジウムの薄膜又は基板が配置された成膜室に供給して、前記白金、金又はパラジウムの薄膜又は基板上に前記結晶性酸化物薄膜を形成する工程を備える、半導体装置の製造方法、又は基板の製造方法。
  14. 前記結晶性酸化物薄膜の成膜温度が400〜700℃であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
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