JP2017071359A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】低い転がり抵抗並びに高い耐久性、耐リムずれ性能、嵌合性及び導電性が達成された空気入りタイヤの提供。【解決手段】このタイヤ22は、それぞれが上記サイドウォール26の軸方向外側面と接する一対の第一クリンチ28と、それぞれが上記第一クリンチ28の半径方向内側に位置しリムのフランジRと接触する一対の第二クリンチ30と、それぞれが上記第二クリンチ30の軸方向内側に位置する一対のビード32と、それぞれが上記ビード32の半径方向内側に位置するクッション層41とを備えている。上記第一クリンチ28の損失正接LT1は上記第二クリンチ30の損失正接LT2より低い。上記クッション層41の複素弾性率Ec*は上記第二クリンチ30の複素弾性率E2*より低い。【選択図】図2

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
従来のエイペックスよりも小さなエイペックスをビードに備えたタイヤが増えてきている。小さなエイペックスは、良好な乗り心地の実現に寄与する。図5には、小さなエイペックスを備える従来のタイヤ2の一例が示されている。図5は、タイヤ2のビードの部分が示された断面図である。このタイヤ2は、リムRに装着されている。このタイヤ2は、サイドウォール4の半径方向内側にクリンチ6を備えている。ビード8は、クリンチ6の軸方向内側に位置している。カーカス12は、一対のビード8の間に架け渡されている。
図に示されるとおり、このタイヤ2では、クリンチ6は、ビード8の半径方向内側にまで延びている。タイヤ2がリムRに装着されたとき、クリンチ8は、リムRと接触する。クリンチ8の底面(半径方向内側面)は、リムRのシート面14と接触する。クリンチ6の側面(軸方向外側面)は、リムRのフランジ16と接触する。タイヤ2が転動したとき、クリンチ6にはリムRから大きな力が負荷される。この力に耐えうるように、クリンチ6には、複素弾性率が高いゴムが用いられることがある。
図に示されるように、エイペックス10が小さくされたタイヤ2では、通常のエイペックスを有するタイヤに比べて、クリンチ6は大きなボリュームを有する。このタイヤ2では、通常のエイペックスを備えるタイヤに比べて、クリンチ6におけるエネルギー損失が増大する。このタイヤ2では、クリンチ6でのエネルギー損失を小さくすることが、転がり抵抗の低減のために重要となる。
クリンチでのエネルギー損失を小さくするためには、クリンチを従来のゴムより損失正接の低いゴム(低発熱ゴム)により構成する方法が有効である。これは、クリンチを構成するゴムの主たる補強剤を従来のカーボンブラックからシリカに変更することで達成される。カーボンブラックが導電材料であるのに対して、シリカは絶縁材料である。この低発熱ゴムで構成されたクリンチは非導電性である。クリンチに低発熱のゴムを使用することは、タイヤの電気抵抗を高くしうる。このタイヤを備えた車両では、静電気により火花や電波障害が発生するおそれがある。また、低発熱ゴムにより構成されたクリンチでは、耐摩耗性が低下することがある。さらに、低発熱ゴムで構成したクリンチを備えるタイヤでは、従来のゴムで構成したクリンチを備えるタイヤに比べて、リムずれが起こり易いという問題もある。
転がり抵抗の増大を低減し、耐久性の低下を抑制したタイヤが、特開2011−73464公報に開示されている。この文献では、リムプロテクターを備えることで、クリンチのゴムのボリュームが増加したタイヤについて、低発熱化と高耐久性との両立が検討されている。
特開2011−73464公報
車両の低燃費化に対する要求の高まりにより、良好な耐久性、耐リムずれ性能及び導電性を維持しつつ、クリンチにおけるエネルギー損失をさらに低減することが求められている。さらに、複素弾性率の高いクリンチを備えたタイヤでは、タイヤをリムに装着するときの圧力(嵌合圧)は大きい。複素弾性率の高いクリンチは、過大なビード締め付け力の要因となりうる。これは、嵌合不良やリム組み込み不良の要因となることがある。クリンチには、より良好な嵌合性の実現も併せて求められている。
本発明の目的は、低い転がり抵抗並びに良好な耐久性、耐リムずれ性能、嵌合性及び導電性が達成された空気入りタイヤの提供にある。
本発明に係る空気入りタイヤは、一対のサイドウォールと、それぞれが上記サイドウォールの軸方向外側面と接する一対の第一クリンチと、それぞれが上記第一クリンチの半径方向内側に位置しリムのフランジと接触する一対の第二クリンチと、それぞれが上記第二クリンチの軸方向内側に位置する一対のビードと、それぞれが上記ビードの半径方向内側に位置するクッション層と、上記トレッド及び上記サイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスとを備えている。上記第一クリンチの損失正接LT1は上記第二クリンチの損失正接LT2より低い。上記クッション層の複素弾性率Ecは上記第二クリンチの複素弾性率E2より低い。
好ましくは、上記第二クリンチと上記リムのフランジとの接触部分の外側端の点がPcとされたとき、半径方向において、上記第二クリンチの内側端は、上記ビードの内側端より外側でかつ上記点Pcより内側に位置する。
好ましくは、半径方向において、ビードベースラインBBLから上記第二クリンチの内側端までの高さH2Iの、ビードベースラインBBLから上記ビードの内側端までの高さHbに対する比(H2I/Hb)は1.1以上である。
好ましくは、半径方向において、上記高さH2Iの、ビードベースラインBBLから上記点Pcまでの高さHcに対する比(H2I/Hc)は0.9以下である。
好ましくは、半径方向において、上記サイドウォールの内側端は上記第一クリンチの内側端の近辺まで延びている。
好ましくは、上記第一クリンチの損失正接LT1の上記第二クリンチの損失正接LT2に対する比(LT1/LT2)は0.3以上0.6以下である。
好ましくは、上記クッション層の複素弾性率Ecの上記第二クリンチの複素弾性率E2に対する比(Ec/E2)は0.5以上0.8以下である。
好ましくは、ビードベースラインBBLから上記第一クリンチの外側端までの半径方向高さH1の、タイヤの断面高さHに対する比(H1/H)は0.15以上0.4以下である。
好ましくは、上記第二クリンチのうち、このタイヤがリムに装着されたときこのリムと上記カーカスとに挟まれる部分において計測した上記第二クリンチの厚みの最小値T2minは1.0mm以上であり、この部分において計測した上記第二クリンチの厚みの最大値T2maxは3.0mm以下である。
好ましくは、ビードベースラインBBLから上記第二クリンチの外側端までの半径方向高さがH2Oとされ、ビードベースラインBBLからリムRのフランジの外側端までの半径方向高さがHfとされたとき、高さH2Oと高さHfの差(H2O−Hf)は2mm以上4mm以下である。
好ましくは、上記サイドウォールの軸方向外側の面上の点であって、半径方向において上記第一クリンチの外側端と上記サイドウォールの内側端との中心に位置する点がPsとされたとき、点Psにおける上記サイドウォールの厚みTSは1.0mm以上3.0mm以下である。
発明者らは、クリンチの構造が、転がり抵抗、耐久性、耐リムずれ性能、嵌合性及び導電性に与える影響を詳細に解析した。クリンチのうち、リムのフランジと接触する部分の特性が、耐久性、耐リムずれ性能、導電性に大きく影響を与えることが判明した。クリンチのうち、ビードの半径方向内側に位置する部分の特性が、嵌合性に大きく影響を与えることが判明した。これにより発明者らは、リムのフランジと接触する部分、ビードの半径方向内側に位置する部分、及びその他の部分について、それぞれ適正な特性を有するゴムで構成するとの技術思想に至った。
本発明に係るタイヤは、第一クリンチと第二クリンチとを備えている。第一クリンチは、リムとは接触しない。第一クリンチの損失正接は、第二クリンチの損失正接よりも低い。第一クリンチは低発熱である。これは、第一クリンチにおけるエネルギー損失の低減に寄与する。このタイヤの転がり抵抗は低い。
このタイヤでは損失正接の高い第二クリンチがリムのフランジと接触する。低発熱ゴムで構成されたクリンチに比べて、この第二クリンチでは容易に高い導電性が実現されうる。このタイヤでは良好な導電性が維持されうる。さらに、低発熱ゴムで構成されたクリンチに比べて、この第二クリンチの耐摩耗性は高い。このタイヤは高い耐久性が維持されている。加えて、この第二クリンチにより、良好な耐リムずれ性能が維持されている。
このタイヤではビードの半径方向内側にクッション層が位置している。このクッション層の複素弾性率は、第二クリンチの複素弾性率より低い。このクッション層は、嵌合圧の低減に寄与する。このクッション層により、ビード締め付け力が適正にされうる。このクッション層により、良好な嵌合性が実現されている。
図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、図1のタイヤの一部が示された拡大断面図である。 図3は、図1のタイヤが、リム及び電気抵抗測定装置と共に示された模式図である。 図4は、本発明の他の実施形態に係るタイヤの一部が示された拡大断面図である。 図5は、従来のタイヤの一部が示された断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、空気入りタイヤ22が示されている。図2は、図1のタイヤ22のビードの部分が示された拡大図である。図2では、このタイヤ22はリムRに装着されている。図1及び図2において、上下方向がタイヤ22の半径方向であり、左右方向がタイヤ22の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ22の周方向である。図1において、一点鎖線CLはタイヤ22の赤道面を表わす。このタイヤ22の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。
このタイヤ22は、トレッド24、サイドウォール26、第一クリンチ28、第二クリンチ30、ビード32、カーカス34、ベルト36、バンド38、インナーライナー40及びクッション層41を備えている。このタイヤ22は、チューブレスタイプである。このタイヤ22は、乗用車に装着される。
トレッド24は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド24は、路面と接地するトレッド面42を形成する。トレッド面42には、溝44が刻まれている。この溝44により、トレッドパターンが形成されている。トレッド24は、ベース層46とキャップ層48とを有している。キャップ層48は、ベース層46の半径方向外側に位置している。キャップ層48は、ベース層46に積層されている。ベース層46は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。ベース層46の典型的な基材ゴムは、天然ゴムである。
サイドウォール26は、トレッド24の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール26は、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。このサイドウォール26は、カーカス34の損傷を防止する。サイドウォール26は軟質である。これは、良好な乗り心地の実現に寄与する。
第一クリンチ28は、サイドウォール26の半径方向内側部分の軸方向外側に位置している。第一クリンチ28は、サイドウォール26の軸方向外側面と接している。図に示されるとおり、この実施形態では、半径方向において、サイドウォール26の内側端54は第一クリンチ28の内側端52の近辺まで延びている。この実施形態では、第一クリンチ28の軸方向内側面のほぼ全体が、サイドウォール26に覆われている。第一クリンチ28とカーカス34との間に、サイドウォール26が位置している。図で示されるとおり、第一クリンチ28は、リムRとは接触していない。
第一クリンチ28は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。つまり第一クリンチ28は架橋ゴムである。このゴム組成物の好ましい基材ゴムは、ジエン系ゴムである。ジエン系ゴムの具体例としては、天然ゴム(NR)、ポリイソプレン(IR)、ポリブタジエン(BR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)及びポリクロロプレン(CR)が挙げられる。2種以上のゴムが併用されてもよい。
この実施形態では、第一クリンチ28のゴム組成物は、主たる補強剤として、シリカを含んでいる。第一クリンチは低発熱のゴムから構成される。第一クリンチ28の損失正接LT1は、第二クリンチ30の損失正接LT2よりも小さい。この第一クリンチ28を備えたタイヤ22の転がり抵抗は、小さい。低燃費性能と第一クリンチ28の強度との観点から、シリカの量は、基材ゴム100質量部に対して35質量部以上が好ましく、45質量部以上が特に好ましい。この量は、100質量部以下が好ましい。
本発明では、上記損失正接LT1及びLT2並びに後述する複素弾性率E1、E2、Es、Ec及びEiは、「JIS K 6394」の規定に準拠して、粘弾性スペクトロメーター(岩本製作所製の「VESF−3」)を用いて、下記に示される条件で計測される。
初期歪み:10%
振幅:±2.0%
周波数:10Hz
変形モード:引張
測定温度:30℃
シリカは非導電性物質である。このため、第一クリンチ28は、非導電性である。本発明において非導電性とは、当該部材の体積固有抵抗が1.0×10Ω・cm以上であることを意味する。特には、非導電性の部材の体積固有抵抗は、1.0×1010Ω・cm以上である。なお、本発明において導電性とは、当該部材の体積固有抵抗が1.0×10Ω・cm未満であることを意味する。
第一クリンチ28のゴム組成物は、シリカとして乾式シリカ、湿式シリカ、合成ケイ酸塩シリカ及びコロイダルシリカを含みうる。シリカの窒素吸着比表面積(BET)は150m/g以上が好ましく、175m/g以上が特に好ましい。入手容易なシリカの窒素吸着比表面積は、250m/g以下である。
第一クリンチ28のゴム組成物は、シリカと共に、シランカップリング剤を含んでいる。このカップリング剤により、ゴム分子とシリカとの間の堅固な結合が達成されると推測される。このカップリング剤により、シリカと他のシリカとの間の堅固な結合が達成されると推測される。
第一クリンチ28のゴム組成物が、他の補強剤として、少量のカーボンブラックを含んでもよい。カーボンブラックは、トレッドの耐摩耗性に寄与する。少量のカーボンブラックは、シリカによる低燃費性能を大幅には阻害しない。カーボンブラックの量は、基材ゴム100質量部に対して20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、5質量部以下が特に好ましい。
第一クリンチ28のゴム組成物は、硫黄及び加硫促進剤を含んでいる。このゴム組成物が、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛等を含んでもよい。
第二クリンチ30は、第一クリンチ28の半径方向内側に位置する。第二クリンチ30は、半径方向に延びている。第二クリンチ30の軸方向内側面の一部は、第一クリンチ28と接している。図に示されるとおり、第二クリンチ30の一部は、リムRのフランジ35と接触している。第二クリンチ30の一部は、カーカス34とリムRのフランジ35とに挟まれている。
第二クリンチ30は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の好ましい基材ゴムは、ジエン系ゴムである。前述されたジエン系ゴムが、第二クリンチ30にも用いられうる。第二クリンチ30に特に適したポリマーは、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体である。
この実施形態では、第二クリンチ30のゴム組成物は、主たる補強剤として、カーボンブラックを含んでいる。カーボンブラックは、導電性物質である。ゴム組成物が、主たる補強剤としてカーボンブラックを含むことで、第二クリンチ30の導電性が達成されている。また、カーボンブラックは、第二クリンチ30の耐摩耗性の向上に寄与する。第二クリンチ30は高い耐摩耗性が維持されている。この観点から、カーボンブラックの量は、基材ゴム100質量部に対して45質量部以上が好ましく、55質量部以上がより好ましく、65質量部以上が特に好ましい。この量は、100質量部以下が好ましい。
第二クリンチ30のゴム組成物は、カーボンブラックとして、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック及びサーマルブラックを含みうる。カーボンブラックの吸油量は5cm/100g以上300cm/100g以下が好ましい。
第二クリンチ30のゴム組成物は、硫黄及び加硫促進剤を含んでいる。このゴム組成物が、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛等を含んでもよい。
ビード32は、第二クリンチ30の軸方向内側に位置している。ビード32は、コア60と、このコア60から半径方向外向きに延びるエイペックス62とを備えている。コア60はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。ワイヤーの典型的な材質は、スチールである。エイペックス62は、半径方向外向きに先細りである。図2において、両矢印Heは、エイペックス62の半径方向高さを表す。このエイペックス62は、通常のエイペックスに比べて小さい。詳細には、高さHeは5mm以上15mm以下である。
図2に示されるとおり、この実施形態では、半径方向において、エイペックス62の外側端は、サイドウォール26の内側端54より外側に位置している。換言すれば、サイドウォール26は、エイペックス62と第一クリンチ28との間まで延びている。
カーカス34は、カーカスプライ64からなる。カーカスプライ64は、両側のビード32の間に架け渡されている。カーカスプライ64は、トレッド24及びサイドウォール26に沿っている。カーカスプライ64は、コア60の周りを、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、カーカスプライ64には、主部66と折り返し部68とが形成されている。前述のとおり、このタイヤ22のエイペックス62は通常のエイペックスより小さい。このため、ビード32の半径方向外側において、折り返し部68は軸方向内側に凸となるように湾曲している。
図示されていないが、カーカスプライ64は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、75°から90°である。換言すれば、このカーカス34はラジアル構造を有する。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ポリエチレンテレフタレート繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
ベルト36は、トレッド24の半径方向内側に位置している。ベルト36は、カーカス34と積層されている。ベルト36は、カーカス34を補強する。ベルト36は、第一層36a及び第二層36bからなる。図示されていないが、第一層36a及び第二層36bのそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、通常は10°以上35°以下である。第一層36aのコードの赤道面に対する傾斜方向は、第二層36bのコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。ベルト36が、3以上の層を備えてもよい。
バンド38は、トレッド24の半径方向内側に位置している。バンド38は、ベルト36の半径方向外側に位置している。バンド38は、ベルト36に積層されている。バンド38は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは、螺旋状に巻かれている。このバンド38は、いわゆるジョイントレス構造を有する。コードは、実質的に周方向に延びている。周方向に対するコードの角度は、5°以下、さらには2°以下である。このコードによりベルト36が拘束されるので、ベルト36のリフティングが抑制される。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
ベルト36及びバンド38は、補強層を構成している。ベルト36のみから、補強層が構成されてもよい。バンド38のみから、補強層が構成されてもよい。
インナーライナー40は、カーカス34の内側に位置している。インナーライナー40は、カーカス34の内面に接合されている。インナーライナー40は、架橋ゴムからなる。インナーライナー40には、空気遮蔽性に優れたゴムが用いられている。インナーライナー40の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー40は、タイヤ22の内圧を保持する。
クッション層41は、コア60の半径方向内側に位置している。クッション層41の外側面は、リムRのシート面と接している。クッション層41の軸方向外側部分は、コア60の軸方向外側にて半径方向外側に延びている。この部分は、第二クリンチ30の半径方向内側端56と接している。クッション層41の複素弾性率Ecは、第二クリンチ30の複素弾性率E2よりも小さい。
以下では、本発明の作用効果が説明される。
本発明に係るタイヤ22は、第一クリンチ28と第二クリンチ30とを備えている。第一クリンチ28は、リムRとは接触しない。第一クリンチ28の損失正接LT1は、第二クリンチ30の損失正接LT2よりも低い。第一クリンチ28は低発熱である。これは、第一クリンチ28におけるエネルギー損失の低減に寄与する。このタイヤ22の転がり抵抗は低い。
このタイヤ22では損失正接の高い第二クリンチ30がリムRのフランジ35と接触する。前述のとおり、損失正接の高い第二クリンチ30では、主たる補強剤として、カーボンブラックを使用することができる。この第二クリンチ30では、容易に高い導電性が実現されうる。このタイヤ22の電気抵抗は低くされうる。このタイヤ22では、静電気により火花の発生や電波障害が防止されている。さらに、低発熱ゴムで構成されたクリンチに比べて、この第二クリンチ30の耐摩耗性は高い。このタイヤ22は高い耐久性が維持されている。加えてこのタイヤ22では、この第二クリンチ30により、良好な耐リムずれ性能が維持されている。
第二クリンチ30の損失正接LT2に対する第一クリンチ28の損失正接LT1の比(LT1/LT2)は、0.3以上が好ましい。比(LT1/LT2)を0.3以上とすることで、このタイヤは良好な耐久性が維持されうる。この観点から比(LT1/LT2)は0.4以上がより好ましい。比(LT1/LT2)は、0.6以下が好ましい。比(LT1/LT2)を0.6以下とすることで、転がり抵抗が効果的に削減されている。この観点から比(LT1/LT2)は0.5以下がより好ましい。
損失正接LT1は、0.06以下が好ましい。損失正接LT1を0.06以下とすることで、第一クリンチ28におけるエネルギー損失が小さくされうる。このタイヤ22では低い転がり抵抗が実現されうる。この観点から、損失正接LT1は0.05以下がより好ましい。損失正接LT1は、0.03以上が好ましい。損失正接LT1が0.03以上の第一クリンチ28では良好な耐久性が維持されうる。この観点から、損失正接LT1は0.04以上がより好ましい。
損失正接LT2は、0.15以下が好ましい。損失正接LT2を0.15以下とすることで、第二クリンチ30におけるエネルギー損失が小さくされうる。このタイヤ22では低い転がり抵抗が実現できる。この観点から、損失正接LT2は0.13以下がより好ましい。損失正接LT2は、0.07以上が好ましい。損失正接LT2を0.07以上とすることで、この第二クリンチ30は、良好な耐摩耗性が維持されている。このタイヤ22は耐久性に優れる。また、このタイヤ22は効果的にリムずれが防止されている。この観点から、損失正接LT2は0.08以上がより好ましい。
このタイヤ22ではビード32の半径方向内側にクッション層41が位置している。このクッション層41の複素弾性率Ecは、第二クリンチ30の複素弾性率E2より低い。このクッション層41は、嵌合圧の低減に寄与する。このクッション層41により、ビード締め付け力が適正にされうる。このクッション層41により、良好な嵌合性が実現されている。
複素弾性率E2に対するクッション層41の複素弾性率Ecの比(Ec/E2)は、0.5以上0.8以下が好ましい。比(Ec/E2)を0.8以下とすることで、このクッション層41は、嵌合圧の低減に効果的に寄与する。このクッション層41により、ビード締め付け力が適正にされうる。このタイヤ22は、良好な嵌合性が実現されている。この観点から、比(Ec/E2)は0.7以下がより好ましい。比(Ec/E2)を0.5以上とすることで、このタイヤは良好な耐久性が維持されている。この観点から、比(Ec/E2)は0.6以上がより好ましい。
第二クリンチ30の複素弾性率E2は8MPa以上が好ましい。複素弾性率E2が8MPa以上の第二クリンチ30では、良好な耐久性が維持されている。この観点から複素弾性率E2は9MPa以上がより好ましい。複素弾性率E2は12MPa以下が好ましい。複素弾性率E2を12MPa以下とすることで、タイヤ22のサイド部の剛性が適正に保たれうる。このタイヤ22では、良好な乗り心地が実現されている。この観点から複素弾性率E2は11MPa以下がより好ましい。
クッション層41の複素弾性率Ecは、8MPa以下が好ましい。複素弾性率Ecを8MPa以下とすることで、このクッション層41は、嵌合圧の低減に効果的に寄与する。このクッション層41により、ビード締め付け力が適正にされうる。このタイヤ22は、良好な嵌合性が実現されている。この観点から、複素弾性率Ecは7MPa以下がより好ましい。クッション層41の複素弾性率Ecは、5MPa以上が好ましい。クッション層41の複素弾性率Ecを5MPa以上とすることで、このタイヤ22は良好な耐久性が維持されている。この観点から、複素弾性率Ecは6MPa以上がより好ましい。
図1及び図2において実線BBLはビードベースラインを表している。このビードベースラインBBLは、タイヤ22が装着されるリムRのリム径(JATMA参照)を規定する線に相当する。ビードベースラインBBLは、軸方向に延びる。図2において両矢印H2Iは、ビードベースラインBBLから第二クリンチ30の内側端56までの半径方向高さである。両矢印Hbは、ビードベースラインBBLからビード32の半径方向内側端までの半径方向高さである。すなわち、両矢印Hbは、ビードベースラインBBLからコア60の半径方向内側端までの半径方向高さである。このタイヤでは、半径方向において、第二クリンチ30の内側端56はビード32の内側端よりも外側に位置するのが好ましい。すなわち、高さH2Iの高さHbに対する比(H2I/Hb)は、1より大きいのが好ましい。比(H2I/Hb)を1より大きくすることにより、嵌合圧及びリム締め付け力が大きくなることが防止される。このタイヤ22は、嵌合性に優れる。この観点から、比(H2I/Hb)は、1.1以上がより好ましい。
図2において、点Pcは第二クリンチ30の外側面上の点である。この点Pcは、第二クリンチ30とリムRのフランジ35との接触部分の半径方向外側端である。両矢印Hcは、ビードベースラインBBLから点Pcまでの半径方向高さである。このタイヤ22では、半径方向において、第二クリンチ30の内側端56は点Pcよりも内側に位置するのが好ましい。すなわち、高さH2Iの高さHcに対する比(H2I/Hc)は、1より小さいのが好ましい。比(H2I/Hc)を1より小さくすることにより、このタイヤ22では、リムずれが効果的に防止されている。このタイヤ22は、良好な耐久性が維持されている。この観点から、比(H2I/Hc)は、0.9以下がより好ましい。
図2において両矢印Hrは第一クリンチ28の外側端50と内側端52との半径方向の距離である。両矢印Hsは第一クリンチ28の外側端50とサイドウォール26の内側端54との半径方向の距離である。図に示されるとおり、半径方向において、サイドウォール26の内側端54は第一クリンチ28の内側端52の近辺まで延びているのが好ましい。詳細には、距離Hsの距離Hrに対する比(Hs/Hr)は0.8以上が好ましく、さ0.9以上がより好ましい。サイドウォールは、軟質である。これにより、第一クリンチ28の軸方向内側面のほぼ全体が、軟質のサイドウォール26に覆われる。軟質のサイドウォール26がクッションとなることにより、第一クリンチ28を低発熱ゴムで構成したことに起因する耐久性の低下が防止される。
図1において、両矢印Hは、タイヤ22の断面高さである。すなわち、高さHは、ビードベースラインBBLからこのタイヤ22の赤道までの半径方向高さである。図2において、両矢印H1は、ビードベースラインBBLから第一クリンチ28の外側端50までの半径方向高さである。
高さH1の高さHに対する比(H1/H)は0.15以上が好ましい。比(H1/H)を0.15とすることで、転がり抵抗が効果的に削減されている。この観点から比(H1/H)は0.25以上がより好ましい。比(H1/H)は0.4以下が好ましい。比(H1/H)を0.4以下とすることで、タイヤ22のサイド部の剛性が適正に保たれうる。このタイヤ22では、良好な乗り心地が実現されている。この観点から比(H1/H)は0.35以下がより好ましい。
図2において、両矢印H2Oは、ビードベースラインBBLから第二クリンチ30の外側端70までの半径方向高さである。両矢印Hfは、ビードベースラインBBLからリムRのフランジ35の外側端までの半径方向高さである。高さH2Oと高さHfとの差(H2O−Hf)は2mm以上が好ましい。差(H2O−Hf)を2mm以上とすることで、走行時でもリムRのフランジ35は第二エイペックス62とのみ接する。リムRのフランジ35が第一エイペックス62と接することはない。これはタイヤ22の耐久性の向上に寄与する。さらにこのタイヤ22では、リムずれが効果的に防止されうる。差(H2O−Hf)は4mm以下が好ましい。差(H2O−Hf)を4mm以下とすることで、転がり抵抗が効果的に削減される。
図2において、両矢印T2は、第二クリンチ30の厚みである。第二クリンチ30の厚みは、第二クリンチ30の外側面上の点から引いた法線に沿って計測された、第二クリンチ30の外側面と内側面との距離である。前述のとおり、第二クリンチ30は、カーカス34とリムRとに挟まれている。第二クリンチ30のうち、カーカス34とリムRとに挟まれる部分において計測した厚みT2の最大値は、最大厚みT2maxと称される。この部分において計測した厚みT2の最小値は、最小厚みT2minと称される。
最大厚みT2maxは3.0mm以下が好ましい。最大厚みT2maxを3.0mm以下とすることで、転がり抵抗が効果的に低減される。この観点から最大厚みT2maxは2.5mm以下がより好ましい。最小厚みT2minは1.0mm以上が好ましい。最大厚みT2minが1.0mm以上の第二クリンチ30は耐摩耗性に優れる。これはタイヤ22の耐久性の向上に寄与する。また、この第二クリンチ30では、リムずれが効果的に防止されている。この観点から最小厚みT2minは1.5mm以上がより好ましい。
図2の例では、第二クリンチ30の厚みはほぼ一定である。すなわち、最大厚みT2maxと最小厚みT2minとは同じである。この場合、第二クリンチ30の厚みは、「最大厚みT2max」及び「最小厚みT2min」に代えて、単に「厚みT2」で表される。第二クリンチ30の厚みが一定でなくてもよい。
図2において符号Psはサイドウォール26の軸方向外側面上の点である。半径方向において、点Psは、第一クリンチ28の外側端50とサイドウォール26の内側端54との中心に位置している。換言すれば、サイドウォール26の内側端54と点Psとの半径方向の距離は、(Hs/2)である。両矢印TSは、点Psにおけるサイドウォール26の厚みである。詳細には、厚みTSは、点Psから引いた法線に沿って計測した、サイドウォール26の外側面と内側面との距離である。
厚みTSは1.0mm以上が好ましい。厚みTSが1.0mm以上であるサイドウォール26は、第一クリンチ28を効果的に保護する。この第一クリンチ28は耐久性に優れる。これはタイヤ22の耐久性の向上に寄与する。この観点から厚みTSは1.5mm以上がより好ましい。厚みTSは3.0mm以下が好ましい。厚みTSを3.0mm以下とすることで、このタイヤ22のサイド部は充分な剛性を有する。このタイヤ22は操縦安定性に優れる。この観点からが厚みTSは2.5mm以下がより好ましい。
第二クリンチ30の複素弾性率E2に対する第一クリンチ28の複素弾性率E1の比(E1/E2)は、0.7以上1.2以下が好ましい。比(E1/E2)を0.7以上1.2以下とすることで、第二クリンチ30の複素弾性率E2と第一クリンチ28の複素弾性率E1との差が小さくされうる。このタイヤ22では、タイヤ22に荷重が加えられたときに、第二クリンチ30と第一クリンチ28との境界における歪みが小さくされうる。このクリンチは耐久性に優れる。この観点から比(E1/E2)は0.8以上1.1以下がより好ましい。
サイドウォール26の複素弾性率Esは3MPa以上が好ましい。複素弾性率Esを3MPa以上とすることで、このタイヤ22のサイド部は充分な剛性を有する。このタイヤ22は操縦安定性に優れる。この観点から複素弾性率Esは3.5MPa以上がより好ましい。複素弾性率Esは5MPa以下が好ましい。複素弾性率Esが5MPa以下のサイドウォール26は、柔軟である。このサイドウォール26は、第一クリンチ28の耐久性の向上に効果的に寄与する。この観点から複素弾性率Esは4.5MPa以下がより好ましい。
図3には、タイヤ22と共に、リムR及び電気抵抗測定装置72が示されている。この装置72は、絶縁板74、金属板76、軸78及び抵抗計80を備えている。絶縁板74の電気抵抗は、1.0×1012Ω以上である。金属板76の表面は、研磨されている。この金属板76の電気抵抗は、10Ω以下である。この装置72が用いられ、ISO16392規格に準拠して、タイヤ22の電気抵抗Rtが測定される。測定前に、タイヤ22の表面に付着した汚れ及び離型剤が除去される。このタイヤ22は、十分に乾燥させられる。このタイヤ22が、アルミニウム合金製のリムRに組み込まれる。組み込みのとき、タイヤ22とリムRとの接触部に、潤滑剤として石けん水が塗布される。このタイヤ22に、内圧が200kPaとなるように、空気が充填される。このタイヤ22及びリムRが、試験室で2時間保持される。試験室の、温度は25℃であり、湿度は50%である。このタイヤ22及びリムRが、軸78に取り付けられる。このタイヤ22及びリムRに、5.3kNの荷重が0.5分間負荷されてから、この荷重が開放される。このタイヤ22及びリムRに、再度5.3kNの荷重が0.5分間負荷されてから、この荷重が開放される。さらに、このタイヤ22及びリムRに、5.3kNの荷重が2.0分間負荷されてから、この荷重が開放される。その後、軸78と金属板76との間に、1000Vの電圧が印可される。印可が開始されてから5分経過後の、軸78と金属板76との間の電気抵抗が、抵抗計80で測定される。測定は、タイヤ22の周方向に沿って90°刻みの4カ所で行われる。得られた4つの電気抵抗のうちの最大値が、このタイヤ22の電気抵抗Rtである。
電気抵抗Rtは、1.0×10Ω未満が好ましい。電気抵抗Rtが1.0×10Ω未満であるタイヤ22では、静電気が帯電しにくい。この観点から、電気抵抗Rtは8.8×10Ω以下がより好ましく、7.1×10Ω以下が特に好ましい。
本発明では、タイヤ22及びタイヤ22の各部材の寸法及び角度は、タイヤ22が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ22に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ22には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ22が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ22が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。乗用車用タイヤ22の場合は、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。
図4には、本発明の他の実施形態に係る空気入りタイヤ82が示されている。図4は、ビードの部分が示された拡大図である。図4において、上下方向がタイヤ82の半径方向であり、左右方向がタイヤ82の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ82の周方向である。このタイヤ82の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。
このタイヤ82は、トレッド、サイドウォール86、第一クリンチ88、第二クリンチ90、ビード92、カーカス94、ベルト、バンド、インナーライナー96及びクッション層98を備えている。このタイヤは、インナーライナー96及びクッション層98を除き、図1のタイヤ22と同じである。
インナーライナー96は、カーカス94の内側に位置している。インナーライナー96は、カーカス94の内面に接合されている。インナーライナー96は、架橋ゴムからなる。インナーライナー96には、空気遮蔽性に優れたゴムが用いられている。インナーライナー96の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナーの複素弾性率Eiは、第二クリンチ90の複素弾性率E2より小さい。インナーライナー96は、タイヤ82の内圧を保持する。
クッション層98は、ビードの半径方向内側に位置している。クッション層98の外側面は、リムRのシート面と接している。クッション層98の軸方向外側部分は、コア106の軸方向外側にて半径方向外側に延びている。この部分は、第二クリンチ90の半径方向内側端104と接している。このタイヤ82では、クッション層98はインナーライナー96と同じ材質で構成されている。このタイヤ82では、クッション層98はインナーライナー96と一体として形成されている。上記のとおり、インナーライナー96の複素弾性率Eiは、第二クリンチ90の複素弾性率E2よりも小さい。すなわち、クッション層98の複素弾性率は、第二クリンチ90の複素弾性率E2よりも小さい。
本発明に係るタイヤ82は、第一クリンチ88と第二クリンチ90とを備えている。第一クリンチ88の損失正接は、第二クリンチ90の損失正接よりも低い。第一クリンチ88は低発熱である。これは、第一クリンチ88におけるエネルギー損失の低減に寄与する。このタイヤ82の転がり抵抗は低い。
このタイヤ82では損失正接の高い第二クリンチ90がリムRのフランジ95と接触する。損失正接の高い第二クリンチ90では、主たる補強剤として、カーボンブラックを使用することができる。この第二クリンチ90では、容易に高い導電性が実現されうる。このタイヤ82の電気抵抗は低くされうる。このタイヤ82では、静電気により火花の発生や電波障害が防止されている。さらに、この第二クリンチ90の耐摩耗性は高い。このタイヤ82は高い耐久性が維持されている。加えてこのタイヤ82では、この第二クリンチ90により、良好な耐リムずれ性能が維持されている。
このタイヤ82ではビード92の半径方向内側にクッション層98が位置している。このクッション層98は、インナーライナー96と一体して形成されている。クッション層98の複素弾性率は、第二クリンチ90の複素弾性率より低い。このクッション層98は、嵌合圧の低減に寄与する。このクッション層98により、ビード締め付け力が適正にされうる。このクッション層98により、良好な嵌合性が実現されている。さらにこのタイヤ82では、クッション層98はインナーライナー96と同じ材質である。このクッション層98は空気遮蔽性に優れる。このタイヤは、気密性が高められている。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
図1に示された構造を備えた実施例1のタイヤを得た。このタイヤのサイズは、155/65R14とされた。表1にこのタイヤの諸元が示されている。このタイヤのビードの部分が図2に示された構造を有することは、表中の「構造」の欄に「図2」として示されている。このタイヤのエイペックスの高さは5mmである。このタイヤでは、比(Hs/Hr)は0.96である。このタイヤのサイドウォールの複素弾性率E3は5MPaである。このタイヤでは、第二クリンチの厚さは均一である。従って、外側層の厚みは、「厚みT2」として表記されている。このタイヤでは、高さHbは4.0mmであり、高さHcは7.0mmである。
[比較例1]
ビードの部分が図5の構造を有し、クリンチ全体が第二ゴムと同じゴムで構成された比較例1のタイヤを得た。比較例1は、従来のタイヤである。
[比較例2]
ビードの部分が図5の構造を有し、クリンチ全体が第一ゴムと同じゴムで構成された比較例2のタイヤを得た。
[実施例2−4]
厚みT2を表2に示される値にした他は実施例1と同様にして、実施例2−4のタイヤを得た。
[実施例5−7]
厚みTSを表2に示される値にした他は実施例1と同様にして、実施例5−7のタイヤを得た。
[実施例8−11]
比(H1/H)を表3に示される値とした他は実施例1と同様にして、実施例8−11のタイヤを得た。
[実施例12−15]
損失正接LT1を変更し比(LT1/LT2)を表4に示される値とした他は実施例1と同様にして、実施例12−15のタイヤを得た。
[実施例16−19]
複素弾性率E2を変更し比(E1/E2)及び比(Ec/E2)を表5に示される値とした他は実施例1と同様にして、実施例16−19のタイヤを得た。
[実施例20−23]
高さH2Iを変更し比(H2I/Hc)及び比(H2I/Hb)を表6に示される値とした他は実施例1と同様にして、実施例20−23のタイヤを得た。
[実施例24−25]
複素弾性率Ecを変更し比(Ec/E2)を表6に示される値とした他は実施例1と同様にして、実施例24−25のタイヤを得た。
[転がり抵抗]
転がり抵抗試験機を用い、下記の測定条件で転がり抵抗を測定した。
使用リムR:14×41/2J
内圧:230kPakPa
荷重:3.43kN
速度:80km/h
この結果が、比較例1を100とした指数値で下記の表1から6に示されている。数値が小さいほど、転がり抵抗が小さく、燃費性能に優れていることを示す。数値が小さいほど好ましい。
[耐久性]
タイヤを正規リム(14×41/2J)に組み込み、このタイヤに空気を充填して内圧を180kPaとした。このタイヤをドラム式走行試験機に装着し、JATMA最大負荷荷重の65%に相当する縦荷重(7.5kN)をタイヤに負荷した。このタイヤを100km/hの速度で、半径が1.7mであるドラムの上を走行させた。20000km走行した時点及び30000km走行した時点で、タイヤの損傷の有無を確認した。この結果が、下記の表1から6に示されている。これらの表において、「A」は30000km走行した時点で損傷が発生していないことを表し、「B」は20000km走行した時点で損傷が発生していないが30000km走行した時点で損傷が発生したことを表し、「C」は20000km走行した時点で損傷が発生したことを表している。「A」、「B」、「C」の順に好ましい。「B」以上が合格である。
[タイヤ電気抵抗]
図3に示された方法にて、タイヤの電気抵抗Rtを測定した。電気抵抗Rtが100MΩ未満であれば「OK」、電気抵抗Rtが100MΩ以上であれば「NG」とされた。その測定結果が、下記の表1から6に示されている。
[リムずれ性能]
JISD4230に準拠したビートアンシーティング抵抗力試験により、ビード部に横方向からの荷重を負荷し、ビードがリムから外れるときの抵抗力を測定した。この結果が下記の表1から6に示されている。これらの表では、比較例2を基準とし、「A」は比較例2の1.10倍以上であることを表し、「B」は比較例2の1.05倍以上1.10倍未満であることを表し、「C」は比較例2の1.05倍未満であることを表している。「A」、「B」、「C」の順に好ましい。「B」以上が合格である。
[締め付け力]
Wdk116(ドイツゴム工業会)にて規定された方法により、ホフマン締め付け力試験器を用いて締め付け力を測定した。この結果が下記の表1から6に示されている。これらの表では、比較例2を基準とし、「A」は比較例2の0.95倍以下であることを表し、「B」は比較例2の0.95倍以上0.98倍未満であることを表し、「C」は比較例2の0.98倍以上であることを表している。「A」、「B」、「C」の順に好ましい。
Figure 2017071359
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Figure 2017071359
Figure 2017071359
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表1−6に示されるように、本発明に係るタイヤでは、比較例のタイヤに比べ、良好な結果が得られている。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
本発明に係るタイヤは、種々の車両に装着されうる。
2、22・・・タイヤ、82
4、26、86・・・サイドウォール
6・・・クリンチ
8、32、92・・・ビード
10、62・・・エイペックス
12、34、94・・・カーカス
14、60・・・コア
24・・・トレッド
28、88・・・第一クリンチ
30、90・・・第二クリンチ
36・・・ベルト
36a・・・内側層
36b・・・外側層
38・・・バンド
40、96・・・インナーライナー
41、98・・・クッション層
42・・・トレッド面
44・・・溝
46・・・ベース層
48・・・キャップ層
50・・・第一クリンチの外側端
52・・・第一クリンチの内側端
54・・・サイドウォールの内側端
56・・・第二クリンチの内側端
64・・・カーカスプライ
66・・・主部
68・・・折返し部
70・・・第二クリンチの外側端
72・・・装置
74・・・絶縁版
76・・・金属板
78・・・軸
80・・・抵抗計

Claims (11)

  1. 一対のサイドウォールと、それぞれが上記サイドウォールの軸方向外側面と接する一対の第一クリンチと、それぞれが上記第一クリンチの半径方向内側に位置しリムのフランジと接触する一対の第二クリンチと、それぞれが上記第二クリンチの軸方向内側に位置する一対のビードと、それぞれが上記ビードの半径方向内側に位置するクッション層と、一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスとを備えており、
    上記第一クリンチの損失正接LT1が上記第二クリンチの損失正接LT2より低く、
    上記クッション層の複素弾性率Ecが上記第二クリンチの複素弾性率E2より低い空気入りタイヤ。
  2. 上記第二クリンチと上記リムのフランジとの接触部分の半径方向外側端の点がPcとされたとき、
    半径方向において、上記第二クリンチの内側端が、上記ビードの内側端より外側でかつ上記点Pcより内側に位置する請求項1に記載のタイヤ。
  3. 半径方向において、ビードベースラインBBLから上記第二クリンチの内側端までの高さH2Iの、ビードベースラインBBLから上記ビードの内側端までの高さHbに対する比(H2I/Hb)が1.1以上である請求項2に記載のタイヤ。
  4. 半径方向において、上記高さH2Iの、ビードベースラインBBLから上記点Pcまでの高さHcに対する比(H2I/Hc)が0.9以下である請求項2又は3のいずれかに記載のタイヤ。
  5. 半径方向において、上記サイドウォールの内側端が上記第一クリンチの内側端の近辺まで延びている請求項1から4のいずれかに記載のタイヤ。
  6. 上記第一クリンチの損失正接LT1の上記第二クリンチの損失正接LT2に対する比(LT1/LT2)が0.3以上0.6以下である請求項1から5のいずれかに記載のタイヤ。
  7. 上記クッション層の複素弾性率Ecの上記第二クリンチの複素弾性率E2に対する比(Ec/E2)が0.5以上0.8以下である請求項1から6のいずれかに記載のタイヤ。
  8. ビードベースラインBBLから上記第一クリンチの外側端までの半径方向高さH1の、タイヤの断面高さHに対する比(H1/H)が0.15以上0.4以下である請求項1から7のいずれかに記載のタイヤ。
  9. 上記第二クリンチのうち、このタイヤがリムに装着されたときこのリムと上記カーカスとに挟まれる部分において計測した上記第二クリンチの厚みの最小値T2minが1.0mm以上であり、この部分において計測した上記第二クリンチの厚みの最大値T2maxが3.0mm以下である請求項1から8のいずれかに記載のタイヤ。
  10. ビードベースラインBBLから上記第二クリンチの外側端までの半径方向高さがH2Oとされ、ビードベースラインBBLからリムRのフランジの外側端までの半径方向高さがHfとされたとき、高さH2Oと高さHfの差(H2O−Hf)が2mm以上4mm以下である請求項1から9のいずれかに記載のタイヤ。
  11. 上記サイドウォールの軸方向外側の面上の点であって、半径方向において上記第一クリンチの外側端と上記サイドウォールの内側端との中心に位置する点がPsとされたとき、点Psにおける上記サイドウォールの厚みTSが1.0mm以上3.0mm以下である請求項1から10のいずれかに記載のタイヤ。
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