JP2015071337A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Maiko Tanabe
真依子 田邊
永田 純一
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純一 永田
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Abstract

【課題】導電性を損なうことなく小さな転がり抵抗の達成されたタイヤ22の提供。
【解決手段】このタイヤ22では、リムに嵌め合わされる嵌合部74は、半径方向において内側に位置する底面80と、軸方向において外側に位置するサイド面82とを備える。底面80は、ヒール100を備える。サイド面82は、凹み106を備える。このタイヤ22のクリンチ28は、第一本体56と、この第一本体56の半径方向内側に位置する第二本体58と、第一本体56と第二本体58との間に位置する中間部60とを備える。第一本体56及び第二本体58のそれぞれは、シリカを含む非導電性の架橋ゴムからなる。中間部60は、カーボンブラックを含む導電性の架橋ゴムからなる。この中間部60の半径方向外側端120とその半径方向内側端122との間に、凹み106の底Pbは位置している。
【選択図】図3

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
図6は、従来タイヤ2のビード4の部分が示されている。このタイヤ2は、ビード4の軸方向外側にクリンチ6を備えている。このタイヤ2は、ビード4の半径方向内側にチェーファー8をさらに備えている。このタイヤ2では、チェーファー8はクリンチ6と一体である。
タイヤ2のビード4の部分は、リムに嵌め合わされる。リムの形状は、例えば、JATMA規格において定められている。なお、タイヤ2のビード4の部分は嵌合部10とも称されている。
図7には、図6のタイヤ2の使用状態が示されている。図示されているように、嵌合部10がリム12に嵌め合わされた状態では、その半径方向内側面14はリム12のシート16に載せられる。この嵌合部10の軸方向外側面18は、リム12のフランジ20と当接する。この内側面14及び外側面18の形状は通常、このリム12の形状に合わせられる。
タイヤ2のクリンチ6は、架橋ゴムからなる。通常クリンチ6は、補強剤としてカーボンブラックを含んでいる。カーボンブラックは、導電性物質である。カーボンブラックを含むクリンチ6は、導電性に優れる。クリンチ6は、リム12と当接する。クリンチ16は、車輌で発生した静電気の、路面への放電に寄与しうる。
近年、環境への配慮の気運が高まり、低い燃費に寄与するタイヤ2が求められている。この観点から、カーボンブラックに代えて、又はカーボンブラックと共に、シリカを補強剤として用いることがある。シリカの配合により、転がり抵抗の小さなタイヤ2が得られる。シリカを含むゴム組成物をクリンチ6に適用するための検討例が、特開2008−303295公報に開示されている。
特開2008−303295公報
タイヤ2の、リム12との接触状態は、重要である。発明者らは、荷重を付与してタイヤ2に負荷をかけて、このタイヤ2の嵌合部10とリム12との接触状態を確認した。その結果、内側面14及び外側面18の形状がリム12の形状に合わせられた嵌合部10はリム12に対して動きやすいことが判明した。
走行状態にあるタイヤ2では、変形と復元とが繰り返される。このため、リム12に対して動きやすい嵌合部10は熱を帯びやすい。大きな発熱は、燃費性能に影響する。
前述したように、転がり抵抗の観点から、シリカを含むゴム組成物をクリンチ6に適用することがある。シリカは、非導電性物質である。クリンチ6がシリカを含むタイヤ2は、導電性に劣る。このタイヤ2が装着された車輌には、静電気が帯電しやすい。静電気は、ラジオノイズを招来する。さらに静電気は、スパークによりドライバーに不快感を与える。
本発明の目的は、導電性を損なうことなく小さな転がり抵抗の達成された空気入りタイヤの提供にある。
本発明に係る空気入りタイヤの、ISO16392規格に準拠して測定された電気抵抗が1.0×10Ω以下である。このタイヤは、その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれが上記トレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、それぞれがサイドウォールの端から半径方向略内向きに延びる一対のクリンチと、それぞれがクリンチよりも軸方向内側に位置する一対のビードと、上記トレッド及び上記サイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスとを備えている。上記ビードの部分は、周方向に延在し、リムに嵌め合わされる嵌合部を構成している。上記嵌合部は、半径方向において内側に位置する底面と、軸方向において外側に位置するサイド面とを備えている。上記底面は、その軸方向外側にヒールを備えている。上記サイド面は、周方向に延在する凹みを備えている。このタイヤの周方向に対して垂直な断面において、上記底面の軸方向外側端を第一基準点とし、この第一基準点を通り軸方向に延びる仮想直線を第一基準線とし、この第一基準点を通り半径方向に延びる仮想直線を第二基準線としたとき、上記ヒールは上記第一基準線上に中心を有し上記第一基準点を始点とする第一円弧で表され、上記第一基準点において上記ヒールと上記サイド面とは接しており、上記凹みは上記第二基準線から軸方向内向きに窪んでいる。上記第一基準点から上記凹みの底までの軸方向距離dは、1.0mm以上2.0mm以下である。上記クリンチは、第一本体と、この第一本体の半径方向内側に位置する第二本体と、この第一本体とこの第二本体との間に位置する中間部とを備えている。上記第一本体及び上記第二本体のそれぞれは、シリカを含む非導電性の架橋ゴムからなる。上記中間部は、カーボンブラックを含む導電性の架橋ゴムからなる。この中間部の半径方向外側端とその半径方向内側端との間に、上記凹みの底は位置している。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、ビードベースラインから上記凹みの底までの半径方向高さHbは5mm以上20mm以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記ビードは、コアと、このコアから半径方向外向きに延びるエイペックスとを備えている。上記凹みの底は、半径方向において、上記コアの中心よりも外側に位置している。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記垂直な断面において、上記凹みは上記第一基準点において上記ヒールと接する第二円弧を含んでいる。上記第二円弧の曲率半径R2は、11mm以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記垂直な断面において、上記凹みの底を通り半径方向に延びる仮想直線を第三基準線とし、この第三基準線と上記底面との交点を第二基準点としたとき、上記第二基準点から上記凹みの底までの半径方向距離Dに対する上記軸方向距離dの比は0.1以上0.5以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記半径方向距離Dは5mm以上15mm以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記中間部の体積固有抵抗は1×10Ω・cm以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記凹みの底から上記中間部の外側端までの半径方向距離は2mm以上10mm以下である。この凹みの底からこの中間部の内側端までの半径方向距離は、2mm以上10mm以下である。
本発明に係る空気入りタイヤでは、嵌合部のサイド面が周方向に延在する凹みを有している。このため、このタイヤがリムに嵌め合わされたとき、この嵌合部はこの凹みを起点に折れ曲がる。これにより、この嵌合部は、主に、この凹みよりも半径方向外側の部分とこの凹みよりも半径方向内側の部分とでリムに支持される。このタイヤでは、この凹みの深さに相当する、第一基準点から凹みの底までの軸方向距離dが適切に調整されている。このタイヤでは、走行状態における、リムに対する嵌合部の動きが効果的に抑えられる。しかもクリンチの一部をなす、第一本体及び第二本体のそれぞれは、シリカを含む非導電性の架橋ゴムからなる。このタイヤでは、小さな転がり抵抗が達成される。
このタイヤでは、クリンチの他の一部をなす中間部はカーボンブラックを含む導電性の架橋ゴムからなる。この中間部は、車輌で発生した静電気の、路面への放電に寄与しうる。このタイヤでは、リムに当接するクリンチが非導電性の架橋ゴムを含んでいるにもかかわらず、導電性が確保されている。しかもこのタイヤでは、この中間部の半径方向外側端とその半径方向内側端との間に、凹みの底が位置している。クリンチは、凹みの底において小さな厚みを有する。このタイヤでは、クリンチに含まれる中間部のボリュームは小さい。このタイヤでは、中間部による転がり抵抗への影響が効果的に抑えられている。本発明によれば、導電性を損なうことなく小さな転がり抵抗の達成された空気入りタイヤが得られうる。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、図1のタイヤの使用状態が示された断面図である。 図3は、図1のタイヤの製造の様子が示された断面図である。 図4は、図3のモールドが示された断面図である。 図5は、図1のタイヤが、リム及び電気抵抗測定装置と共に示された模式図である。 図6は、従来の空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図7は、図6のタイヤの使用状態が示された断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、空気入りタイヤ22が示されている。この図1には、このタイヤ22の、周方向に対して垂直な断面の一部が示されている。図1において、上下方向がタイヤ22の半径方向であり、左右方向がタイヤ22の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ22の周方向である。図1において、一点鎖線CLはタイヤ22の赤道面を表わす。このタイヤ22の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。
このタイヤ22は、トレッド24、サイドウォール26、クリンチ28、ビード30、カーカス32、ベルト34、バンド36、インナーライナー38、クッション層40及びチェーファー42を備えている。このタイヤ22は、チューブレスタイプである。このタイヤ22は、四輪自動車、より詳細には、乗用車に装着される。
トレッド24は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド24は、路面と接触するトレッド面44を形成する。トレッド面44には、溝46が刻まれている。この溝46により、トレッドパターンが形成されている。トレッド24は、キャップ層48とベース層50とを有している。キャップ層48は、ベース層50の半径方向外側に位置している。キャップ層48は、ベース層50に積層されている。
このタイヤ22では、キャップ層48は非導電性である。本発明において非導電性とは、当該部材の体積固有抵抗が1.0×10Ω・cmを超えていることを意味する。特には、非導電性の部材の体積固有抵抗は、1.0×1010Ω・cm以上である。
本願において体積固有抵抗は、部材のためのゴム組成物を用いて15cm四方かつ厚さ2mmの試験片を作製し、電圧500V、温度25℃及び湿度50%の条件下で電気抵抗測定装置(ADVANTEST社製の商品名「R8340A」)を用いて測定された値により表される。後述する、導電性の部材の体積固有抵抗も、同様にして測定された値で表される。
キャップ層48は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の好ましい基材ゴムは、ジエン系ゴムである。ジエン系ゴムの具体例としては、天然ゴム(NR)、ポリイソプレン(IR)、ポリブタジエン(BR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)及びポリクロロプレン(CR)が挙げられる。ジエン系ゴムには、共役ジエン系モノマーと芳香族ビニル系モノマーとの共重合が含まれる。この共重合体の具体例としては、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体(S−SBR)及び乳化重合スチレン−ブタジエン共重合体(E−SBR)が挙げられる。
キャップ層48のゴム組成物は、主たる補強剤として、シリカを含んでいる。このキャップ層48を備えたタイヤ22の転がり抵抗は、小さい。このタイヤ22は、低い燃費に寄与する。小さな転がり抵抗とキャップ層48の強度との観点から、シリカの量は、基材ゴム100質量部に対して40質量部以上が好ましく、50質量部以上がより好ましく、60質量部以上が特に好ましい。この量は、100質量部以下が好ましい。
キャップ層48のゴム組成物は、乾式シリカ、湿式シリカ、合成ケイ酸塩シリカ及びコロイダルシリカを含みうる。シリカの窒素吸着比表面積(BET)は150m/g以上が好ましく、175m/g以上が特に好ましい。入手容易なシリカの窒素吸着比表面積は、250m/g以下である。
キャップ層48のゴム組成物は、シリカと共に、シランカップリング剤を含んでいる。このカップリング剤により、ゴム分子とシリカとの間の堅固な結合が達成されると推測される。このカップリング剤により、シリカと他のシリカとの間の堅固な結合が達成されると推測される。
キャップ層48のゴム組成物が、他の補強剤として、少量のカーボンブラックを含んでもよい。カーボンブラックは、キャップ層48の耐摩耗性に寄与する。少量のカーボンブラックは、シリカによる低燃費性能を大幅には阻害しない。カーボンブラックの量は、基材ゴム100質量部に対して20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、5質量部以下が特に好ましい。
キャップ層48のゴム組成物は、硫黄及び加硫促進剤を含んでいる。このゴム組成物が、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛等を含んでもよい。
このタイヤ22では、ベース層50は導電性である。本発明において導電性とは、当該部材の体積固有抵抗が1.0×10Ω・cm以下であることを意味する。特には、導電性の部材の体積固有抵抗は、1.0×10Ω・cm以下である。
ベース層50は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の好ましい基材ゴムは、ジエン系ゴムである。キャップ層48に関して前述されたジエン系ゴムが、ベース層50にも用いられうる。
ベース層50のゴム組成物は、主たる補強剤として、カーボンブラックを含んでいる。カーボンブラックは、導電性物質である。ゴム組成物が、主たる補強剤としてカーボンブラックを含むことで、ベース層50の導電性が達成されている。導電性の観点から、カーボンブラックの量は、基材ゴム100質量部に対して45質量部以上が好ましく、55質量部以上がより好ましく、65質量部以上が特に好ましい。この量は、100質量部以下が好ましい。
ベース層50のゴム組成物は、カーボンブラックとして、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック及びサーマルブラックを含みうる。カーボンブラックの吸油量は5cm/100g以上300cm/100g以下が好ましい。
ベース層50のゴム組成物は、硫黄及び加硫促進剤を含んでいる。このゴム組成物が、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛等を含んでもよい。
このタイヤ22のトレッド24は、貫通部52をさらに備えている。貫通部52は、キャップ層48及びベース層50を貫通している。貫通部52の端は、トレッド面44に露出している。貫通部52は、バンド36にまで至っている。貫通部52は、周方向に延在している。換言すれば、貫通部52は環状である。タイヤ22が、環状ではなく、周方向において互いに離間した複数の貫通部52を備えてもよい。このタイヤ22では、貫通部52は、ベース層50と同様、導電性である。
貫通部52は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。本実施形態では、貫通部52のゴム組成物は、ベース層50のゴム組成物と同等である。この貫通部52がベース層50のゴム組成物とは異なるゴム組成物から形成されてもよい。
サイドウォール26は、トレッド24の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール26の半径方向外側端は、トレッド24と接合されている。このサイドウォール26の半径方向内側端は、クリンチ28と接合されている。このサイドウォール26は、カーカス32の損傷を防止する。サイドウォール26は、リブ54を備えている。リブ54は、軸方向外側に向かって突出している。このタイヤ22が装着されるリムのフランジの損傷を、リブ54は防止する。このタイヤ22では、サイドウォール26は、キャップ層48と同様、非導電性である。
サイドウォール26は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の好ましい基材ゴムは、ジエン系ゴムである。キャップ層48に関して前述されたジエン系ゴムが、サイドウォール26にも用いられうる。
サイドウォール26のゴム組成物は、主たる補強剤として、シリカを含んでいる。キャップ層48に関して前述されたシリカを、サイドウォール26は含みうる。このサイドウォール26を備えたタイヤ22の転がり抵抗は、小さい。シリカは、タイヤ22の燃費性能に寄与する。小さな転がり抵抗とサイドウォール26の強度との観点から、シリカの量は、基材ゴム100質量部に対して35質量部以上が好ましく、45質量部以上が特に好ましい。この量は、100質量部以下が好ましい。
サイドウォール26のゴム組成物が、他の補強剤として、少量のカーボンブラックを含んでもよい。カーボンブラックは、サイドウォール26の強度に寄与する。少量のカーボンブラックは、シリカによる低燃費性能を大幅には阻害しない。カーボンブラックの量は、基材ゴム100質量部に対して20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、5質量部以下が特に好ましい。
サイドウォール26のゴム組成物は、シランカップリング剤を含んでいる。このゴム組成物はさらに、硫黄及び加硫促進剤を含んでいる。このゴム組成物が、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛等を含んでもよい。
クリンチ28は、サイドウォール26の端から半径方向略内向きに延びている。このクリンチ28は、サイドウォール26の半径方向略内側に位置している。クリンチ28は、ビード30及びカーカス32よりも軸方向外側に位置している。クリンチ28は、リムのフランジと当接する。
このタイヤ22のクリンチ28は、第一本体56、第二本体58及び中間部60を備えている。詳細には、このクリンチ28は、第一本体56、第二本体58及び中間部60から構成されている。
このタイヤ22では、第一本体56はクリンチ28の半径方向外側部分をなす。このタイヤ22では、第一本体56は、キャップ層48と同様、非導電性である。
第一本体56は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の好ましい基材ゴムは、ジエン系ゴムである。キャップ層48に関して前述されたジエン系ゴムが、第一本体56にも用いられうる。耐摩耗性の観点から、第一本体56に特に適したポリマーは、天然ゴム及びポリブタジエンである。
第一本体56のゴム組成物は、主たる補強剤として、シリカを含んでいる。前述の通り、第一本体56は非導電性であり、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。つまり、第一本体56はシリカを含む非導電性の架橋ゴムからなる。この第一本体56は、キャップ層48に関して前述されたシリカを含みうる。この第一本体56を備えたタイヤ22の転がり抵抗は、小さい。シリカは、タイヤ22の燃費性能に寄与する。小さな転がり抵抗と第一本体56の強度との観点から、シリカの量は、基材ゴム100質量部に対して35質量部以上が好ましく、45質量部以上が特に好ましい。この量は、100質量部以下が好ましい。
第一本体56のゴム組成物が、他の補強剤として、少量のカーボンブラックを含んでもよい。カーボンブラックは、第一本体56の強度に寄与する。少量のカーボンブラックは、シリカによる低燃費性能を大幅には阻害しない。カーボンブラックの量は、基材ゴム100質量部に対して20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、5質量部以下が特に好ましい。
第一本体56のゴム組成物は、シランカップリング剤を含んでいる。このゴム組成物はさらに、硫黄及び加硫促進剤を含んでいる。このゴム組成物が、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛等を含んでもよい。
このタイヤ22では、第二本体58は第一本体56の半径方向内側に位置している。この第二本体58は、クリンチ28の半径方向内側部分をなす。
第二本体58は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。この第二本体58のゴム組成物は、前述された第一本体56のゴム組成物と同等である。つまり、第一本体56に関して前述されたゴム組成物が、第二本体58にも用いられうる。したがって、この第二本体58は、第一本体56と同様、シリカを含む非導電性の架橋ゴムからなる。
中間部60は、第一本体56の半径方向内側に位置し、第二本体58の半径方向外側に位置している。換言すれば、中間部60は半径方向において第一本体56と第二本体58との間に位置している。このタイヤ22では、中間部60は、ベース層50と同様、導電性である。
中間部60は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の好ましい基材ゴムは、ジエン系ゴムである。キャップ層48に関して前述されたジエン系ゴムが、中間部60にも用いられうる。中間部60に特に適したポリマーは、天然ゴム及びポリブタジエンである。
中間部60のゴム組成物は、主たる補強剤として、カーボンブラックを含んでいる。前述の通り、カーボンブラックは導電性物質である。ゴム組成物が、主たる補強剤としてカーボンブラックを含むことで、中間部60の導電性が達成されている。前述の通り、中間部60は導電性であり、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。つまり、中間部60はカーボンブラックを含む導電性の架橋ゴムからなる。導電性の観点から、カーボンブラックの量は、基材ゴム100質量部に対して45質量部以上が好ましく、55質量部以上がより好ましく、65質量部以上が特に好ましい。この量は、100質量部以下が好ましい。
中間部60のゴム組成物は、ベース層50に関して前述されたカーボンブラックを含みうる。
中間部60のゴム組成物は、硫黄及び加硫促進剤を含んでいる。このゴム組成物が、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛等を含んでもよい。
ビード30は、クリンチ28の軸方向内側に位置している。ビード30は、コア62と、このコア62から半径方向外向きに延びるエイペックス64とを備えている。コア62はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。ワイヤーの典型的な材質は、スチールである。エイペックス64は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス64は、高硬度な架橋ゴムからなる。
カーカス32は、第一カーカスプライ66及び第二カーカスプライ68からなる。第一カーカスプライ66及び第二カーカスプライ68は、両側のビード30の間に架け渡されており、トレッド24及びサイドウォール26の内側に沿っている。第一カーカスプライ66は、コア62の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、第一カーカスプライ66には、主部66aと折り返し部66bとが形成されている。第二カーカスプライ68は、コア62の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、第二カーカスプライ68には、主部68aと折り返し部68bとが形成されている。第一カーカスプライ66の折り返し部66bの端66eは、半径方向において、第二カーカスプライ68の折り返し部68bの端68eよりも外側に位置している。この折り返し部66bの端66eは、半径方向において、エイペックス64の半径方向外側端64eよりも外側に位置している。
このタイヤ22では、第二カーカスプライ68の主部68aは第一カーカスプライ66の主部66aと積層されている。第二カーカスプライ68の折り返し部68bは、第一カーカスプライ66の折り返し部66bと積層されている。折り返し部66bは、クリンチ28の中間部60と積層されている。
第一カーカスプライ66及び第二カーカスプライ68のそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、75°から90°である。換言すれば、このカーカス32はラジアル構造を有する。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。カーカス32が、1枚のカーカスプライから形成されてもよい。
カーカス32の構成部材としてのトッピングゴムは、導電性である。このトッピングゴムは、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の好ましい基材ゴムは、ジエン系ゴムである。キャップ層48に関して前述されたジエン系ゴムが、トッピングゴムにも用いられうる。トッピングゴムに特に適したポリマーは、天然ゴムである。
トッピングゴムのゴム組成物は、主たる補強剤として、カーボンブラックを含んでいる。このゴム組成物は、ベース層50に関して前述されたカーボンブラックを含みうる。前述の通り、カーボンブラックは導電性物質である。ゴム組成物が、主たる補強剤としてカーボンブラックを含むことで、トッピングゴムの導電性が達成されている。導電性の観点から、カーボンブラックの量は、基材ゴム100質量部に対して35質量部以上が好ましく、45質量部以上が特に好ましい。この量は、100質量部以下が好ましい。
トッピングゴムのゴム組成物は、硫黄及び加硫促進剤を含んでいる。このゴム組成物が、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛等を含んでもよい。
ベルト34は、トレッド24の半径方向内側に位置している。ベルト34は、カーカス32と積層されている。ベルト34は、カーカス32を補強する。ベルト34は、内側層70及び外側層72からなる。図1から明らかなように、軸方向において、内側層70の幅は外側層72の幅よりも若干大きい。図示されていないが、内側層70及び外側層72のそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、通常は10°以上35°以下である。内側層70のコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層72のコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードは、導電性である。ベルト34の軸方向幅は、タイヤ22の最大幅の0.7倍以上が好ましい。ベルト34が、3以上の層を備えてもよい。
ベルト34のトッピングゴムは、導電性である。このトッピングゴムは、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の好ましい基材ゴムは、ジエン系ゴムである。キャップ層48に関して前述されたジエン系ゴムが、トッピングゴムにも用いられうる。トッピングゴムに特に適したポリマーは、天然ゴムである。
トッピングゴムのゴム組成物は、主たる補強剤として、カーボンブラックを含んでいる。このゴム組成物は、ベース層50に関して前述されたカーボンブラックを含みうる。前述の通り、カーボンブラックは導電性物質である。ゴム組成物が、主たる補強剤としてカーボンブラックを含むことで、トッピングゴムの導電性が達成されている。導電性の観点から、カーボンブラックの量は、基材ゴム100質量部に対して35質量部以上が好ましく、45質量部以上が特に好ましい。この量は、100質量部以下が好ましい。コード及びトッピングゴムが導電性なので、ベルト34の電気抵抗は極めて小さい。
バンド36は、ベルト34の半径方向外側に位置している。軸方向において、バンド36の幅はベルト34の幅よりも大きい。図示されていないが、このバンド36は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは、螺旋状に巻かれている。このバンド36は、いわゆるジョイントレス構造を有する。コードは、実質的に周方向に延びている。周方向に対するコードの角度は、5°以下、さらには2°以下である。このコードによりベルト34が拘束されるので、ベルト34のリフティングが抑制される。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
バンド36のトッピングゴムは、導電性である。このトッピングゴムは、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の好ましい基材ゴムは、ジエン系ゴムである。キャップ層48に関して前述されたジエン系ゴムが、トッピングゴムにも用いられうる。トッピングゴムに特に適したポリマーは、天然ゴムである。
トッピングゴムのゴム組成物は、主たる補強剤として、カーボンブラックを含んでいる。このゴム組成物は、ベース層50に関して前述されたカーボンブラックを含みうる。前述の通り、カーボンブラックは導電性物質である。ゴム組成物が、主たる補強剤としてカーボンブラックを含むことで、トッピングゴムの導電性が達成されている。導電性の観点から、カーボンブラックの量は、基材ゴム100質量部に対して35質量部以上が好ましく、45質量部以上が特に好ましい。この量は、100質量部以下が好ましい。
ベルト34及びバンド36は、補強層を構成している。ベルト34のトッピングゴム及びバンド36のトッピングゴムは、導電性である。したがって、補強層は導電性である。ベルト34のみから、補強層が構成されてもよい。バンド36のみから、補強層が構成されてもよい。
インナーライナー38は、カーカス32の内側に位置している。インナーライナー38は、カーカス32の内面に接合されている。インナーライナー38は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物は、空気遮蔽性に優れた基材ゴムを含む。インナーライナー20の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー20は、タイヤ22の内圧を保持する。
インナーライナー38のゴム組成物は、主たる補強剤として、シリカを含んでいる。キャップ層48に関して前述されたシリカを、インナーライナー38は含みうる。このインナーライナー38を備えたタイヤ22の転がり抵抗は、小さい。シリカは、タイヤ22の燃費性能に寄与する。低燃費性能とインナーライナー38の強度との観点から、シリカの量は、基材ゴム100質量部に対して35質量部以上が好ましく、45質量部以上が特に好ましい。この量は、100質量部以下が好ましい。
インナーライナー38のゴム組成物が、他の補強剤として、少量のカーボンブラックを含んでもよい。カーボンブラックは、インナーライナー38の強度に寄与する。少量のカーボンブラックは、シリカによる低燃費性能を大幅には阻害しない。カーボンブラックの量は、基材ゴム100質量部に対して20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、5質量部以下が特に好ましい。
インナーライナー38のゴム組成物は、シランカップリング剤を含んでいる。このゴム組成物はさらに、硫黄及び加硫促進剤を含んでいる。このゴム組成物が、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛等を含んでもよい。
インナーライナー38のゴム組成物が、主たる補強剤として、カーボンブラックを含んでもよい。
クッション層40は、ベルト34の端の近傍において、カーカス32と積層されている。クッション層40は、軟質である。クッション層40は、ベルト34の端の応力を吸収する。このクッション層40により、ベルト34のリフティングが抑制される。クッション層40は、非導電性である。
クッション層40は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の好ましい基材ゴムは、ジエン系ゴムである。キャップ層48に関して前述されたジエン系ゴムが、クッション層40にも用いられうる。クッション層40に特に適したポリマーは、天然ゴムである。
クッション層40のゴム組成物は、主たる補強剤として、シリカを含んでいる。キャップ層48に関して前述されたシリカを、クッション層40は含みうる。このクッション層40を備えたタイヤ22の転がり抵抗は、小さい。シリカは、タイヤ22の燃費性能に寄与する。シリカの量は、基材ゴム100質量部に対して35質量部以上が好ましく、45質量部以上が特に好ましい。この量は、100質量部以下が好ましい。
クッション層40のゴム組成物が、他の補強剤として、少量のカーボンブラックを含んでもよい。カーボンブラックは、クッション層40の強度に寄与する。少量のカーボンブラックは、シリカによる低燃費性能を大幅には阻害しない。カーボンブラックの量は、基材ゴム100質量部に対して20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、5質量部以下が特に好ましい。
クッション層40のゴム組成物は、シランカップリング剤を含んでいる。このゴム組成物はさらに、硫黄及び加硫促進剤を含んでいる。このゴム組成物が、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛等を含んでもよい。
クッション層40のゴム組成物が、主たる補強剤として、カーボンブラックを含んでもよい。
チェーファー42は、ビード30の近傍に位置している。タイヤ22がリムに組み込まれると、このチェーファー42がリムと当接する。この当接により、ビード30の近傍が保護される。この実施形態では、チェーファー42は、クリンチ28の第二本体58と一体である。このタイヤ22では、チェーファー42の材質は第二本体58の材質と同じである。従って、チェーファー42はシリカを含む非導電性の架橋ゴムからなる。なお、チェーファー42が布とこの布に含浸したゴムとからなってもよい。
このタイヤ22では、ビード30の部分は周方向に延在している。このタイヤ22がリムに組み込まれると、このビード30の部分がこのリムに嵌め合わされる。このタイヤ22では、ビード30の部分は、周方向に延在し、リムに嵌め合わされる嵌合部74を構成している。この嵌合部74の外面76は、リムに嵌め合わされたときにこのリムと対向する。この外面76は、タイヤ22の外面の一部である。この嵌合部74の内面78は、タイヤ22の内面の一部である。
このタイヤ22では、嵌合部74は、底面80と、サイド面82とを備えている。底面80は、半径方向において、この嵌合部74の内側に位置している。サイド面82は、軸方向において、この嵌合部74の外側に位置している。サイド面82は、底面80よりも半径方向外側に位置している。
図2には、このタイヤ22の嵌合部74がリム84に嵌め合わされている様子が示されている。図2において、上下方向がタイヤ22の半径方向であり、左右方向がタイヤ22の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ22の周方向である。
リム84は、軸方向に延びるシート86と、このシート86から半径方向外向きに延びるフランジ88とを備えている。図示されているように、タイヤ22がリム84に組み込まれると、嵌合部74の底面80は主にシート86と接触する。この嵌合部74のサイド面82は主に、フランジ88と接触する。本明細書において、リム84は正規リムである。正規リムとは、タイヤ22が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。
このタイヤ22は、次のようにして製造される。図示されていないが、このタイヤ22を製造する場合、フォーマーのドラム上で、トレッド24、サイドウォール26等の部材が組み合わされる。これにより、ローカバーが得られる。ローカバーは、未架橋のタイヤ22である。ローカバーが組み立てられる工程は、成形工程とも称されている。
ローカバーは、モールドに投入される。このとき、ブラダーはローカバーの内側に位置する。ブラダーにガスが充填されると、ブラダーは膨張する。これにより、ローカバーは変形する。モールドが締められ、ブラダーの内圧が高められる。なお、ブラダーに代えて中子が用いられてもよい。中子は、トロイダル状の外面を備える。この外面は、空気が充填されその内圧が正規内圧の5%に保持された状態にあるタイヤ22の内面の形状に近似される。
図3には、図1のタイヤ22の断面の一部とともに、モールド90及びブラダー92が示されている。この図3に示されているのは、モールド90とブラダー92との間に形成されたキャビティ94に、ローカバー96が投入されている様子である。この図3において、上下方向がタイヤ22の半径方向であり、左右方向がタイヤ22の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ22の周方向である。
この製造方法では、モールド90が締められると、ローカバー96はモールド90とブラダー92とに挟まれて加圧される。ローカバー96は、モールド90及びブラダー92からの熱伝導により、加熱される。加圧と加熱とにより、ローカバー96のゴム組成物が流動する。加熱によりゴム組成物が架橋反応を起こし、図1に示されたタイヤ22が得られる。ローカバー96が加圧及び加熱される工程は、架橋工程とも称されている。
架橋工程では、モールド90のキャビティ面98にローカバー96は押し付けられる。ゴムは、流動し、キャビティ面98にめり込む。これにより、タイヤ22の外面が形成される。この外面には、前述のトレッド面44の溝46が含まれる。サイドウォール26に文字、記号等の装飾物が設けられている場合は、この装飾物もこの外面に含まれる。
本発明では、特に言及がない限り、タイヤ22の外面の輪郭は、モールド90のキャビティ面98に基づいて決められる。この外面の一部をなすトレッド面44に溝46がある場合は、この溝46がないと仮定して得られる仮想トレッド面を用いて輪郭は表される。サイドウォール26に装飾物が設けられている場合は、この装飾物がないと仮定して得られる、サイドウォール26の仮想外面を用いて、この輪郭は表される。嵌合部74に装飾物が設けられている場合は、この装飾物がないと仮定して得られる、嵌合部74の仮想外面を用いて、この輪郭は表される。
前述の通り、このタイヤ22の嵌合部74は底面80及びサイド面82を備えている。この底面80及びサイド面82は、嵌合部74の外面76を構成している。
このタイヤ22では、底面80はその軸方向外側にヒール100を備えている。後述するが、このヒール100は円弧で表される。図3において、符号P1はヒール100の軸方向外側端である。このタイヤ22では、ヒール100の軸方向外側端P1が底面80の軸方向外側端である。この底面80は、シート面102をさらに備えている。シート面102は、ヒール100よりも軸方向内側に位置している。シート面102は、嵌合部74のトゥ104から半径方向外側に傾斜しつつ軸方向外向きに延在している。
このタイヤ22では、サイド面82は凹み106を備えている。凹み106は、軸方向内向きに凸な形状を呈している。凹み106は、周方向に延在している。このタイヤ22では、凹み106はビード30の軸方向外側に位置している。
このタイヤ22では、凹み106は軸方向内向きに凸な形状を呈していればよく、その形状に特に制限はない。したがって、このタイヤ22では、この凹み106の輪郭は単一の円弧を用いて表されてもよい。この凹み106の輪郭が、複数の円弧を用いて表されてもよい。この凹み106の輪郭が、1又は2以上の直線及び円弧を用いて表されてもよい。
前述の通り、図3の符号P1は底面80の軸方向外側端である。本願においては、この外側端P1は第一基準点とも称される。実線X1は、第一基準点P1を通り軸方向に延びる仮想直線である。本願においては、仮想直線X1は第一基準線とも称される。実線X2は、第一基準点P1を通り半径方向に延びる仮想直線である。本願においては、仮想直線X2は第二基準線とも称される。
前述したように、このタイヤ22では、嵌合部74のサイド面82は周方向に延在する凹み106を有している。このタイヤ22がリム84に嵌め合わされたとき、この凹み106はリム84のフランジ88と対向する。図示されているように、この凹み106は第二基準線X2から軸方向内向きに窪んでいる。このため、このタイヤ22がリム84に嵌め合わされたとき、この嵌合部74は、この凹み106より半径方向外側の部分が軸方向外向きに拡がるように、この凹み106を起点に折れ曲がる。これにより、この嵌合部74は、主に、この凹み106よりも半径方向外側の部分とこの凹み106よりも半径方向内側の部分とでリム84に支持される。このタイヤ22では、凹み106よりも半径方向外側の部分とこの凹み106よりも半径方向内側の部分とがリム84を挟み込むようにして、この嵌合部74はリム84に固定される。このタイヤ22では、嵌合部74はリム84に対して動きにくい。しかも前述したように、クリンチの一部をなす、第一本体56及び第二本体58のそれぞれはシリカを含む非導電性の架橋ゴムからなる。このタイヤ22では、小さな転がり抵抗が達成される。さらにこの嵌合部74は、リム84に対して動きにくいので、ダメージも受けにくい。このタイヤ22は、耐久性に優れる。車体から路面、又は、路面から車体へ、力が効果的に伝達されるので、このタイヤ22は、操縦安定性にも優れる。
このタイヤ22では、嵌合部74のヒール100は第一基準線X1上に中心を有し第一基準点P1を始点とする円弧で表される。ヒール100が円弧で表されているので、このタイヤ22がリム84に嵌め合わされたとき、この嵌合部74はリム84と十分に密着する。なお、このヒール100を表す円弧は第一円弧とも称される。
図3において、符号Pdは凹み106の半径方向内側端を表している。このタイヤ22では、この内側端Pdがサイド面82の半径方向内側端である。このタイヤ22では、サイド面82がこの内側端Pdと底面80の軸方向外側端P1とを結ぶ平面(直線)をさらに含んでもよい。この場合、この平面の半径方向内側端がサイド面82の半径方向内側端となる。嵌合部74がリム84と接触する圧力は、嵌合部74のリム84に対する動きに影響する。小さな接触面積は、大きな接触圧力を招来する。大きな接触圧力は、嵌合部74のリム84に対する動きを抑えうる。小さな接触面積の観点から、このタイヤ22のように、凹み106の半径方向内側端Pdがサイド面82の半径方向内側端となるように、このサイド面82の輪郭が構成されるのが好ましい。つまり、半径方向において、内側端Pdは外側端P1と一致しているのが好ましい。
このタイヤ22では、凹み106の半径方向内側部分、すなわち、この凹み106の裾108は、サイド面82よりも軸方向内側に中心を有する円弧で表されている。この裾108が、サイド面82よりも軸方向外側に中心を有する円弧で表されてもよい。この裾108が、半径方向に対して傾斜して延在する直線で表されてもよい。欠けの原因となりうるようなエッジの形成を避けるとの観点から、この裾108はサイド面82よりも軸方向内側に中心を有する円弧で表されるのが好ましい。この裾108が円弧で表されている場合、この裾108を表す円弧は第二円弧と称される。
このタイヤ22では、第一基準点P1において、ヒール100とサイド面82とは接している。このため、このタイヤ22がリム84に嵌め合わされたとき、この嵌合部74はリム84と十分に密着する。特に、このタイヤ22では、欠けの原因となりうるようなエッジの形成を避けつつ、嵌合部74のリム84に対する動きが効果的に抑制されうるとの観点から、凹み106の半径方向内側端Pdがサイド面82の半径方向内側端となるようにこのサイド面82の輪郭が構成され、この凹み106の裾108がサイド面82よりも軸方向内側に中心を有する円弧で表されるのが好ましい。言い換えれば、このサイド面82の凹み106が、第一基準点P1において、上記ヒール100と接し、サイド面82よりも内側に中心を有する円弧を含むのが好ましい。
図3において、符号Pbは、凹み106の、軸方向において最も内側の地点を表している。本願においては、この地点Pbが凹み106の底である。この底Pbの輪郭が半径方向に延在する直線で表される場合は、この直線の半径方向内側端が底Pbとされる。実線X3は、凹み106の底Pbを通り半径方向に延びる仮想直線である。本願においては、仮想直線X3は第三基準線とも称される。両矢印dは、第二基準線X2から第三基準線X3までの軸方向距離を表している。この距離dは、第一基準点P1から凹み106の底Pbまでの軸方向距離である。この距離dは、凹み106の深さに相当する。
このタイヤ22では、距離dは1.0mm以上2.0mm以下である。この距離dが1.0mm以上に設定されることにより、凹み106が嵌合部74の折れ曲がりに効果的に寄与しうる。これにより、嵌合部74のリム84に対する動きが抑えられる。リム84に対する動きが抑えられた嵌合部74は、転がり抵抗の低減に寄与しうる。このタイヤ22は、燃費性能に優れる。しかも嵌合部74のリム84に対する動きが抑えられるので、この嵌合部74はダメージを受けにくい。このタイヤ22は、耐久性に優れる。車体から路面、又は、路面から車体へ、力が効果的に伝達されるので、このタイヤ22は、操縦安定性に優れる。この観点から、この距離dは1.2mm以上が好ましい。この距離dが2.0mm以下に設定されることにより、凹み106の底Pbにおけるクリンチ28の厚みが適切に維持される。このタイヤ22の凹み106の部分では、カーカス32に含まれるコードの外側に位置するゴムが十分な厚みを有しているので、コードの露出が防止される。この観点から、この距離dは1.5mm以下が好ましい。
図3において、実線BBLはビードベースラインを表している。このビードベースラインは、タイヤ22が装着されるリム84のリム径(JATMA参照)を規定する線に相当する。このビードベースラインは、軸方向に延びる。両矢印Hbは、ビードベースラインから凹み106の底Pbまでの半径方向高さを表している。なお、この図3において、符号Pcはビード30のコア62の中心を表している。符号Psは、このコア62の半径方向外側端を表している。
このタイヤ22では、高さHbは20mm以下が好ましい。これにより、凹み106よりも半径方向外側の部分とこの凹み106よりも半径方向内側の部分とがリム84を挟み込むようにして嵌合部74がリム84に固定される。この嵌合部74は、リム84に対して動きにくい。この嵌合部74は、小さな転がり抵抗に寄与しうる。この観点から、この高さHbは17mm以下がより好ましく、15mm以下がさらに好ましい。
このタイヤ22では、高さHbは5mm以上が好ましい。これにより、凹み106が嵌合部74の折れ曲がりに効果的に寄与しうる。この場合においても、嵌合部74のリム84に対する動きが抑えられるので、この嵌合部74は小さな転がり抵抗に寄与しうる。この観点から、この高さHbは6mm以上がより好ましく、8mm以上がさらに好ましい。
前述したように、このタイヤ22のビード30のコア62は巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。このコア62は、硬い。硬質なコア62は、凹み106を起点とする嵌合部74の折れ曲がりに影響する。このタイヤ22では、凹み106が嵌合部74の折れ曲がりに効果的に寄与しうるとの観点から、凹み106の底Pbは半径方向においてコア62の中心Pcよりも外側に位置しているのが好ましい。この底Pbは、半径方向においてコア62の半径方向外側端Psよりも外側に位置しているのがより好ましい。このタイヤ22は、燃費性能、耐久性及び操縦安定性に優れる。
図3において、符号P2は第三基準線X3と嵌合部74の底面80との交点を表している。本願においては、この交点P2は第二基準点とも称される。両矢印Dは、この第二基準点P2から凹み106の底Pbまでの半径方向距離を表している。
凹み106の深さ及びこの凹み106の底Pbの位置は、嵌合部74の折れ曲がりの容易及びその程度に影響する。凹み106が嵌合部74の折れ曲がりに効果的に寄与しうるとの観点から、距離Dに対する、前述した距離dの比は、0.1以上が好ましく、0.5以下が好ましい。これにより、このタイヤ22では、嵌合部74のリム84に対する動きが効果的に抑えられる。この嵌合部74は、小さな転がり抵抗に寄与しうる。
このタイヤ22では、距離Dは15mm以下が好ましい。これにより、凹み106よりも半径方向外側の部分とこの凹み106よりも半径方向内側の部分とがリム84を挟み込むようにして嵌合部74がリム84に固定される。この嵌合部74は、リム84に対して動きにくい。リム84に対する動きが抑えられた嵌合部74は、小さな転がり抵抗に寄与しうる。このタイヤ22では、この距離Dは5mm以上が好ましい。これにより、凹み106が嵌合部74の折れ曲がりの起点として効果的に機能しうる。この場合においても、嵌合部74はリム84に対して動きにくい。この嵌合部74は、小さな転がり抵抗に寄与しうる。このタイヤ22は、燃費性能に優れる。
図4には、図3に示されたモールド90の一部が示されている。この図4に示されたモールド90のキャビティ面98は、このタイヤ22の嵌合部74の外面76に対応する。図4において、上下方向がタイヤ22の半径方向に相当し、左右方向がタイヤ22の軸方向に相当し、紙面との垂直方向がタイヤ22の周方向に相当する。
図4において、符号R1はヒール100を表す第一円弧の曲率半径を表している。符号R2は、凹み106の裾108を表す第二円弧の曲率半径を表している。前述の通り、実線X1は第一基準点P1を通り軸方向に延びる第一基準線である。
前述の通り、円弧で表されたヒール100は嵌合部74のリム84との密着に寄与しうる。リム84との十分な密着の観点から、曲率半径R1は、6mm以上が好ましく、10mm以下が好ましい。
このタイヤ22では、第二円弧の曲率半径R2は11mm以下が好ましい。これにより、凹み106の裾108が大きな接触圧力に寄与しうる。このタイヤ22では、嵌合部74は、リム84に対して動きにくい。リム84に対する動きが抑えられた嵌合部74は、小さな転がり抵抗に寄与しうる。この観点から、この曲率半径R2は8mm以下がより好ましく、4mm以下がさらに好ましく、3mm以下が特に好ましい。欠けの原因となりうるようなエッジの形成を防止するとの観点から、この曲率半径R2は、1mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましい。
図4において、実線BBLはビードベースラインを表している。符号Pfは、ビードベースラインからの半径方向高さHfが20mmとなるこのタイヤ22の外面上の地点に相当するキャビティ面98上の地点を表している。両矢印hは、第一基準点P1から地点Pfまでの軸方向距離を表している。この距離hは、モールド90のキャビティ面98に基づいて計測される。
このタイヤ22では、距離hは3.5mm以上5.0mm以下が好ましい。この距離hが3.5mm以上に設定されることにより、凹み106よりも半径方向外側の部分とこの凹み106よりも半径方向内側の部分とがリム84を挟み込むようにして嵌合部74がリム84に固定される。この嵌合部74は、リム84に対して動きにくい。この嵌合部74は、小さな転がり抵抗に寄与しうる。この嵌合部74は、タイヤ22の耐久性及び操縦安定性にも寄与しうる。この観点から、この距離hは4.0mm以上がより好ましい。この距離hが5.0mm以下に設定されることにより、嵌合部74の剛性が適切に維持される。このタイヤ22は、乗り心地に優れる。この観点から、この距離hは4.7mm以下がより好ましい。
図1において、実線BBLはビードベースラインを表している。前述の通り、符号Pfはビードベースラインからの半径方向高さHfが20mmとなるこのタイヤ22の外面上の地点である。両矢印Fは、カーカス32から地点Pfまでの厚みを表している。両矢印Gは、カーカス32から凹み106の底Pbまでの厚みを表している。厚みF及び厚みGは、タイヤ22をリム84に組み込むことなく、図1に示された断面においてカーカス32の外面に対する法線に沿って計測される。高さHfは、モールド90のキャビティ面98に基づいて計測される。
このタイヤ22では、厚みFの厚みGに対する比は2.3以上3.3以下が好ましい。この比が2.3以上に設定されることにより、嵌合部74の過大な倒れが抑えられる。これにより、リム84に対する嵌合部74の動きが効果的に抑えられる。この嵌合部74は、小さな転がり抵抗に寄与しうる。この嵌合部74は、タイヤ22の耐久性及び操縦安定性にも寄与しうる。この比が3.3以下に設定されることにより、嵌合部74の剛性が適切に維持される。このタイヤ22は、乗り心地に優れる。
このタイヤ22では、リム84、クリンチ28の中間部60、カーカス32、補強層(ベルト34及びバンド36)、ベース層50及び貫通部52を通じて、静電気が放電される。このタイヤ22では、リム84とカーカス32との間の導電を担うのは、中間部60である。この中間部60は、車輌で発生した静電気の、路面への放電に寄与しうる。このタイヤ22では、リム84に当接するクリンチ28が非導電性の架橋ゴムを含んでいるにもかかわらず、導電性が確保されている。
図5には、タイヤ22と共に、リム84及び電気抵抗測定装置110が示されている。この装置110は、絶縁板112、金属板114、軸116及び抵抗計118を備えている。絶縁板112の電気抵抗は、1.0×1012Ω以上である。金属板114の表面は、研磨されている。この金属板114の電気抵抗は、10Ω以下である。この装置110が用いられ、ISO16392規格に準拠して、タイヤ22の電気抵抗Rtが測定される。測定前に、タイヤ22の表面に付着した汚れ及び離型剤が除去される。このタイヤ22は、十分に乾燥させられる。このタイヤ22が、アルミニウム合金製のリム84に組み込まれる。組み込みのとき、タイヤ22とリム84との接触部に、潤滑剤として石けん水が塗布される。このタイヤ22に、内圧が200kPaとなるように、空気が充填される。このタイヤ22及びリム84が、試験室で2時間保持される。試験室の、温度は25℃であり、湿度は50%である。このタイヤ22及びリム84が、軸116に取り付けられる。このタイヤ22及びリム84に、5.3kNの荷重が0.5分間負荷されてから、この荷重が開放される。このタイヤ22及びリム84に、再度5.3kNの荷重が0.5分間負荷されてから、この荷重が開放される。さらに、このタイヤ22及びリム84に、5.3kNの荷重が2.0分間負荷されてから、この荷重が開放される。その後、軸116と金属板114との間に、1000Vの電圧が印加される。印加が開始されてから5分経過後の、軸116と金属板114との間の電気抵抗が、抵抗計118で測定される。測定は、タイヤ22の周方向に沿って90°刻みの4カ所で行われる。得られた4つの電気抵抗のうちの最大値が、このタイヤ22の電気抵抗Rtである。
このタイヤ22の電気抵抗Rtは、1.0×10Ω以下である。電気抵抗Rtが1.0×10Ω以下であるタイヤ22では、静電気が帯電しにくい。この観点から、電気抵抗Rtは8.8×10Ω以下がより好ましく、7.1×10Ω以下が特に好ましい。
このタイヤ22では、中間部60の半径方向外側端120とその半径方向内側端122との間に凹みの底Pbが位置している。このタイヤ22では、凹み106の底Pbにおいて、クリンチ28は小さな厚みを有する。このタイヤ22では、クリンチ28に含まれる中間部60のボリュームは小さい。このタイヤ22では、中間部60による転がり抵抗への影響が効果的に抑えられている。本発明によれば、導電性を損なうことなく小さな転がり抵抗の達成された空気入りタイヤ22が得られうる。
図1において、両矢印Luは凹みの底Pbから中間部60の半径方向外側端120までの半径方向距離を表している。両矢印Lsは、凹みの底Pbから中間部60の半径方向内側端122までの半径方向距離を表している。
このタイヤ22では、距離Luは2mm以上10mm以下が好ましい。この距離Luが2mm以上に設定されることにより、中間部60が車輌で発生した静電気の、路面への放電に寄与しうる。この観点から、この距離Luは3mm以上がより好ましい。この距離Luが10mm以下に設定されることにより、中間部60による転がり抵抗への影響が抑えられる。この観点から、この距離Luは8mm以下がより好ましい。
このタイヤ22では、距離Lsは2mm以上10mm以下が好ましい。この距離Lsが2mm以上に設定されることにより、中間部60が車輌で発生した静電気の、路面への放電に寄与しうる。この観点から、この距離Lsは3mm以上がより好ましい。この距離Lsが10mm以下に設定されることにより、中間部60による転がり抵抗への影響が抑えられる。この観点から、この距離Lsは8mm以下がより好ましい。
このタイヤ22では、距離Luと距離Lsとの和(Lu+Ls)は4mm以上20mm以下が好ましい。この和(Lu+Ls)が4mm以上に設定されることにより、中間部60が車輌で発生した静電気の、路面への放電に寄与しうる。この観点から、この和(Lu+Ls)は5mm以上がより好ましい。この和(Lu+Ls)が20mm以下に設定されることにより、中間部60による転がり抵抗への影響が抑えられる。この観点から、この距離Lsは18mm以下がより好ましい。
図1において、幅Wで示されているのは、貫通部52の露出面の幅である。十分に放電がなされるとの観点から、幅Wは1mm以上が好ましい。転がり抵抗の観点から、この幅Wは2mm以下が好ましい。
本発明では、特に言及された場合を除き、タイヤ22の各部材の寸法及び角度は、タイヤ22が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ22に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ22には荷重がかけられない。前述したように、本明細書において正規リムとは、タイヤ22が依拠する規格において定められたリムを意味する。本明細書において正規内圧とは、タイヤ22が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。乗用車用の場合は、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。なお、本明細書において正規荷重とは、タイヤ22が依拠する規格において定められた荷重を意味する。JATMA規格における「最高負荷能力」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「LOAD CAPACITY」は、正規荷重である。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
図1に示された基本構成を備え、下記の表1に示された仕様を備えた実施例1の空気入りタイヤを得た。このタイヤのサイズは、「225/40R18」とされた。この実施例1では、凹みの底Pbは半径方向においてコアの中心Pcよりも外側に位置している。このことが、表中、「底」の欄に「out」で表されている。
この実施例1では、クリンチは第一本体、第二本体及び中間部からなる。第一本体及び第二本体のそれぞれは、シリカを含む非導電性の架橋ゴムから構成された。中間部は、カーボンブラックを含む導電性の架橋ゴムから構成された。第一本体の体積固有抵抗RS1及び第二本体の体積固有抵抗RS2はそれぞれ、2.5×1014Ω・cmであった。第二本体の体積固有抵抗RS2は、2.5×1014Ω・cmであった。中間部の体積固有抵抗RSmは、8.0×10Ω・cmであった。
なお、キャップ層の体積固有抵抗は2.5×1014Ω・cmであった。ベース層の体積固有抵抗は、8.0×10Ω・cmであった。貫通部の体積固有抵抗は、8.0×10Ω・cmであった。バンドのトッピングゴムの体積固有抵抗は、8.0×10Ω・cmであった。ベルトのトッピングゴムの体積固有抵抗は、8.0×10Ω・cmであった。カーカスのトッピングゴムの体積固有抵抗は、8.0×10Ω・cmであった。サイドウォールの体積固有抵抗は、8.0×1011Ω・cmであった。
[比較例1]
比較例1は、従来のタイヤである。この比較例1には、凹みは設けられていない。この比較例1のクリンチは、カーボンブラックを含む導電性の架橋ゴムから構成された。このクリンチの体積固有抵抗は、8.0×10Ω・cmであった。
[実施例2−5及び比較例2−3]
第一基準点P1から凹みの底Pbまでの軸方向距離d、第二基準点P2から凹みの底Pbまでの半径方向距離D及び距離dの距離Dに対する比(d/D)を下記の表1の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2−5及び比較例2−3のタイヤを得た。
[実施例6−13]
ビードベースラインから凹みの底Pbまでの半径方向高さHb、距離D及び比(d/D)を下記の表2の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例6−13のタイヤを得た。実施例6−13のうち、実施例6の凹みの底Pbは半径方向においてコアの中心Pcよりも内側に位置していた。このことが、表中、「底」の欄に「in」で表されている。
[実施例14−21]
凹みに含まれる第二円弧の曲率半径R2を下記の表3の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例14−21のタイヤを得た。
[実施例22−25]
中間部に用いるゴム組成物を調整してこの中間部の体積固有抵抗を下記の表4の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例22−25のタイヤを得た。
[比較例4]
クリンチ全体をシリカを含む非導電性の架橋ゴムから構成した他は実施例1と同様にして、比較例4のタイヤを得た。この比較例4では、クリンチの体積固有抵抗は2.5×1014Ω・cmであった。
[実施例26−29]
距離Luを下記の表5の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例26−29のタイヤを得た。
[実施例30−33]
距離Lsを下記の表6の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例30−33のタイヤを得た。
[実施例34−36]
距離Lu及び距離Lsを下記の表6の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例34−36のタイヤを得た。
[転がり抵抗]
転がり抵抗試験機を用い、下記の測定条件で転がり抵抗を測定した。
使用リム:18×8.0J
内圧:210kPa
荷重:4.39kN
速度:80km/h
この結果が、比較例1が基準とされた指数として、下記の表1から6に示されている。数値が大きいほど転がり抵抗が小さい。
[電気抵抗]
図5に示された方法にて、タイヤの電気抵抗Rtを測定した。この結果が、比較例1が基準とされた指数として、下記の表1から6に示されている。数値が大きいほど導電性に優れる。なお、この数値が100未満である場合は、電気抵抗Rtが1.0×10Ωを超えていることを表している。
Figure 2015071337
Figure 2015071337
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Figure 2015071337
Figure 2015071337
Figure 2015071337
表1−6に示されるように、実施例のタイヤでは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明されたタイヤは、種々の車両にも適用されうる。
2、22・・・タイヤ
4、30・・・ビード
6、28・・・クリンチ
10、74・・・嵌合部
12、84・・・リム
16、86・・・シート
20、88・・・フランジ
24・・・トレッド
26・・・サイドウォール
28・・・クリンチ
30・・・ビード
32・・・カーカス
44・・・トレッド面
56・・・第一本体
58・・・第二本体
60・・・中間部
62・・・コア
64・・・エイペックス
80・・・底面
82・・・サイド面
90・・・モールド
92・・・ブラダー
98・・・キャビティ面
100・・・ヒール
102・・・シート面
106・・・凹み
108・・・裾
120・・・中間部60の外側端
122・・・中間部60の内側端

Claims (8)

  1. ISO16392規格に準拠して測定された電気抵抗が1.0×10Ω以下であり、
    その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれが上記トレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、それぞれがサイドウォールの端から半径方向略内向きに延びる一対のクリンチと、それぞれがクリンチよりも軸方向内側に位置する一対のビードと、上記トレッド及び上記サイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスとを備えており、
    上記ビードの部分が、周方向に延在し、リムに嵌め合わされる嵌合部を構成しており、
    上記嵌合部が、半径方向において内側に位置する底面と、軸方向において外側に位置するサイド面とを備えており、
    上記底面が、その軸方向外側にヒールを備えており、
    上記サイド面が、周方向に延在する凹みを備えており、
    このタイヤの周方向に対して垂直な断面において、上記底面の軸方向外側端を第一基準点とし、この第一基準点を通り軸方向に延びる仮想直線を第一基準線とし、この第一基準点を通り半径方向に延びる仮想直線を第二基準線としたとき、
    上記ヒールが上記第一基準線上に中心を有し上記第一基準点を始点とする第一円弧で表され、
    上記第一基準点において、上記ヒールと上記サイド面とが接しており、
    上記凹みが、上記第二基準線から軸方向内向きに窪んでおり、
    上記第一基準点から上記凹みの底までの軸方向距離dが1.0mm以上2.0mm以下であり、
    上記クリンチが、第一本体と、この第一本体の半径方向内側に位置する第二本体と、この第一本体とこの第二本体との間に位置する中間部とを備えており、
    上記第一本体及び上記第二本体のそれぞれがシリカを含む非導電性の架橋ゴムからなり、
    上記中間部がカーボンブラックを含む導電性の架橋ゴムからなり、
    この中間部の半径方向外側端とその半径方向内側端との間に上記凹みの底が位置している、空気入りタイヤ。
  2. ビードベースラインから上記凹みの底までの半径方向高さHbが5mm以上20mm以下である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 上記ビードが、コアと、このコアから半径方向外向きに延びるエイペックスとを備えており、
    上記凹みの底が、半径方向において、上記コアの中心よりも外側に位置している、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 上記垂直な断面において、
    上記凹みが、上記第一基準点において上記ヒールと接する第二円弧を含んでおり、
    上記第二円弧の曲率半径R2が11mm以下である、請求項1から3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 上記垂直な断面において、上記凹みの底を通り半径方向に延びる仮想直線を第三基準線とし、この第三基準線と上記底面との交点を第二基準点としたとき、
    上記第二基準点から上記凹みの底までの半径方向距離Dに対する上記軸方向距離dの比が0.1以上0.5以下である、請求項1から4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 上記半径方向距離Dが5mm以上15mm以下である、請求項5に記載の空気入りタイヤ。
  7. 上記中間部の体積固有抵抗が1×10Ω・cm以下である、請求項1から6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  8. 上記凹みの底から上記中間部の外側端までの半径方向距離が2mm以上10mm以下であり、
    この凹みの底からこの中間部の内側端までの半径方向距離が2mm以上10mm以下である、請求項1から7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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