JP2017066267A - 熱伝導性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い熱伝導性と形状追従性とを有する新規な熱伝導性組成物を提供する。
【解決手段】弾性率が5GPa以下の高分子材料からなるコア粒子2と、前記コア粒子の周囲を被覆する少なくとも一層の金属層からなるシェル3とを含むコアシェル構造を持つコアシェル粒子1を、基油に分散させたことを特徴とする。さらに、前記シェルが、金、銀、銅、ニッケル及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも一つの金属の層を含むことが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱伝導性組成物に関する。
一般に、CPUやパワートランジスタなどの電子部品(発熱体)においては、発生した熱を放散するためにヒートシンクなどの放熱器が配設される。この場合、電子部品(発熱体)と放熱器とは、その界面に熱伝導性組成物(放熱グリースあるいは熱伝導性グリースとも呼ばれる)を介在させ、電子部品と放熱器とをネジ止め等によって積層方向に圧力を付与した状態で、積層されている。
ここで、熱伝導性組成物としては、シリコーンオイルなどの高粘度の基油に、熱伝導性フィラーを分散させたものが利用されている。熱伝導性フィラーとしては、熱伝導性の高い無機物粒子が広く利用されている(特許文献1〜4)。
特許文献1には、平均粒径0.2μm以上1.0μm未満の球状アルミナ粉と最大粒径2〜10μmの窒化アルミニウム粉とを含む熱伝導性組成物が記載されている。
特許文献2には、粒子径15〜30μmに頻度極大値を有する金属アルミニウム、粒子径1.0〜5μmに頻度極大値を有する窒化アルミニウム、粒子径0.1〜0.9μmに頻度極大値を有する酸化亜鉛を含む熱伝導性組成物が記載されている。
特許文献3には、平均粒径が10μm以上、50μm未満の酸化アルミニウムもしくはアルミニウム、平均粒径が1μm以上、10μm未満の酸化アルミニウムもしくはアルミニウム、平均粒径が0.1μm以上、1μm未満の酸化アルミニウムの異なる3種の平均粒径を有する熱伝導性充填材を含む熱伝導性組成物が記載されている。
特許文献4には、特定のポリオルガノシロキサン、粒状熱伝導性フィラー、ガリウム−インジウム−スズ−亜鉛合金を含む熱伝導性組成物が記載されている。この特許文献4には、粒状熱伝導性フィラーとして、窒化ホウ素粉末、酸化亜鉛粉末及びアルミニウム粉末が記載されている。
特許第3957596号公報 特許第5284655号公報 特開2009−138036号公報 特許第4860229号公報
近年の電子部品(発熱体)の高出力化と小型化に伴い、電子部品等で発生した熱をさらに効率良くヒートシンク等の放熱体へと伝達させる必要がある。このため、上述の熱伝導性組成物においては、高い熱伝導性が求められている。
また、電子部品と放熱体の積層方向に圧力を掛けた際に、熱伝導性組成物が薄くなることで、積層方向の熱抵抗が小さくなることから、上述の熱伝導性組成物には、圧力付与時に薄く変形することが求められている。
さらに、電子部品や放熱体の接合面は、微小な凹凸が生じていることから、上述の熱伝導性組成物には、このような凹凸に沿って変形する形状追従性も求められている。
また使用中に発生する熱応力によってできる隙間にも追従するような、弾性的な振る舞いも求められる。
ところで、特許文献1−4に記載されている熱伝導性フィラーとして、無機物粒子を用いた従来の熱伝導性組成物では、熱伝導性を向上させるために、熱伝導性フィラーの添加量を多くすると、粘度が高くなって形状追従性が低下するという問題があった。
また、無機物粒子、特に金属酸化物粒子は、弾性率が高く、変形抵抗が大きいことから、圧力を負荷した場合であっても、厚さを十分に薄くすることができない恐れがあった。
また、熱伝導性組成物の熱伝導性を向上させるために、熱伝導性が一般に高いとされている高アスペクト比の炭素繊維を、熱伝導性フィラーとして用いることが考えられる。しかしながら、本発明の発明者の検討によると、高アスペクト比の炭素繊維を用いた熱伝導性組成物は、電子部品と放熱器との間に介在させて積層方向に圧力を付与すると、炭素繊維が配向してしまい、積層方向の熱伝導性が低下することがわかった。さらには炭素繊維は、低い充填密度のため、熱伝導性フィラーとして基油に高充填することができず、熱伝導性を十分上げられないことがわかった。
従って、本発明の目的は、高い熱伝導性と形状追従性とを有する新規な熱伝導性組成物を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明者が検討を重ねた結果、熱伝導性フィラーとして、高い柔軟性かつ広い弾性変形範囲を持つ核となるコア粒子と、そのコア粒子の周囲を被覆する少なくとも一層の金属層からなるシェルとを含むコアシェル構造を持つコアシェル粒子を用いることによって、電子部品と放熱器との間に介在させて積層方向に圧力を付与しても熱伝導性を高い状態で維持することが可能となるとの知見を得た。
本発明は上記の知見に基づいてなされたものであって、本発明の熱伝導性組成物は、弾性率が5GPa以下の高分子材料からなるコア粒子と、前記コア粒子の周囲を被覆する少なくとも一層の金属層からなるシェルとを含むコアシェル構造を持つコアシェル粒子を、基油に分散させたことを特徴としている。
本発明の熱伝導性組成物では、熱伝導性フィラーとして、核となるコア粒子と、そのコア粒子の周囲を被覆する少なくとも一層の金属層からなるシェルとを含むコアシェル構造を持つコアシェル粒子を有し、コア粒子として、弾性率が5GPa以下と比較的柔らかい高分子材料の粒子を用いているため、コアシェル粒子は圧力の付与によって変形しやすい。従って、本発明の熱伝導性組成物は、圧力を付与したときの形状追従性が高い。また、本発明の熱伝導性組成物を電子部品と放熱器との間に介在させて積層方向に圧力を付与すると、コアシェル粒子が電子部品又は放熱器の表面形状に沿って変形して、コアシェル粒子と電子部品又は放熱器との接触面積が広くなるので、コアシェル粒子と電子部品又は放熱器との間の界面熱抵抗が低くなる。
また、本発明の熱伝導性組成物は、熱伝導性フィラーとして、核となるコア粒子と、そのコア粒子の周囲を被覆する少なくとも一層の金属層からなるシェルとを含むコアシェル構造を持つコアシェル粒子を用いるので、電子部品と放熱器との間に介在させて積層方向に圧力を付与しても、熱伝導性が高い状態で維持される。これは、コアシェル粒子のシェルは、高アスペクト比で、熱伝導性が高い金属繊維またはフィルムをランダムな方向に配向した状態に近い形態をとるので熱伝導性が高く、また圧力を付与しても、炭素繊維などの一方向にのみアスペクト比が高い材料と比較して、熱伝導度に異方性がないためであると考えられる。
さらに熱伝導性組成物全体に占める硬い金属の層からなるシェルの体積割合を低くできるので、熱伝導性組成物全体としての変形量を大きくでき、その結果、通常使用される圧力領域では、シェルは塑性変形を起こし易くなる。従って、コアシェル粒子としての力学的特性(弾性率)は、柔らかく弾性変形範囲の広いコア粒子によって支配され、熱伝導度が高いながら、柔らかい粒子のような挙動を示すことになる。
以上の理由から、本発明の熱伝導性組成物は、電子部品と放熱器との間に介在させて積層方向に圧力を付与した後の熱抵抗(熱伝導性組成物内部の熱抵抗と界面熱抵抗の総和)が低くなる。
前記シェルは、金、銀、銅、ニッケル及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも一つの金属の層を含むことが好ましい。この場合、これらの金属は熱伝導度が高いので、熱伝導性組成物の熱伝導性が向上する。
前記コア粒子は、シリコーン樹脂、シリコーンゴム及びアクリル樹脂からなる群より選択される少なくとも一つの高分子材料の粒子であることが好ましい。シリコーンゴムは、シリコーン樹脂やシリカ粒子でコートされたシリコーンゴムを含む。この場合、これらの高分子材料は耐熱温度が高く、弾性率が小さく、広い弾性変形範囲を持つので、熱伝導性組成物の形状追従性が向上する。
前記金属層は、無電解めっきによって作製されたものであることが好ましい。無電解めっきを用いることによって、コア粒子の表面に金属の皮膜を均一に形成することができ、また被膜の膜厚の制御が容易となる。
前記熱伝導性組成物において、前記コアシェル粒子のシェルの体積含有量は5体積%以上、40体積%以下であることが好ましい。この場合、熱伝導性組成物における前記シェルの体積含有量がこの範囲内にあるので、熱伝導性組成物の熱伝導性が向上し、また、熱伝導性組成物の柔軟性が高いまま保たれ、厚さの薄い塗布膜を形成することが可能となる。
前記シェルは、0.1μm以上の厚さを有することが好ましい。この場合、シェルの厚さが0.1μmより厚いので、熱伝導性組成物の熱伝導性が向上する。
前記コアシェル粒子の体積平均粒子径は、0.5μmを超え、50μm未満であることが好ましい。この場合、コアシェル粒子の体積平均粒子径がこの範囲内にあるので、熱伝導性組成物の熱伝導性が向上し、また、熱伝導性組成物の塗布性が向上して厚さの薄い塗布膜を形成することが可能となる。
前記熱伝導性組成物は、コアシェル粒子を50体積%以上、80体積%以下の量にて含有することが好ましい。この場合、コアシェル粒子の含有量がこの範囲内にあるので、熱伝導性組成物の熱伝導性が向上し、また、ペーストとしての粘度が低くも高くもなりすぎず、さらに熱伝導性組成物の形状追従性や耐ポンプアウト性が向上する。
本発明によれば、高い熱伝導性と形状追従性とを有する熱伝導性組成物を提供できる。
本発明の一実施形態に係る熱伝導性組成物で用いられるコアシェル粒子の模式断面図である。 実施例6にて作製したコアシェル粒子の表面を撮影したSEM写真である。 実施例6にて作製したコアシェル粒子の断面を撮影したSEM写真である。
以下に、本発明の一実施形態である熱伝導性組成物について説明する。
本実施形態の熱伝導性組成物は、基油と、その基油に分散されているコアシェル粒子とを含む。コアシェル粒子の含有量は、熱伝導性組成物の全体量に対して、50体積%以上、80体積%以下であることが好ましい。コアシェル粒子の含有量が50体積%より少ないと、熱伝導度が十分に高くならないことがある。コアシェル粒子の含有量が80体積%より多いと、粘度が高くなりすぎて、熱伝導性組成物の使用時に厚さの薄い塗布膜を形成するのが困難になることがある。ここで、塗布膜の厚さは、一般に5〜500μmの範囲内である。
本実施形態の熱伝導性組成物で用いるコアシェル粒子を、図1を参照して説明する。
図1は、コアシェル粒子の模式断面図である。
コアシェル粒子1は、コア粒子2と、このコア粒子2の周囲を被覆する少なくとも一層の金属層からなるシェル3とを含むコアシェル構造を持つ。
コアシェル粒子1は、体積平均粒子径(Dv50)が0.5μmを超え、50μm未満であることが好ましい。コアシェル粒子1の体積平均粒子径が0.5μm以下であると、コアシェル粒子1の界面が多くなりすぎて、熱伝導度が効率的に向上できなかったり、比表面積が大きくなりすぎて粘度が高くなったり、高充填ができないことがある。コアシェル粒子1の体積平均粒子径が50μm以上であると、熱伝導性組成物の使用時に厚さの薄い塗布膜を形成するのが困難になることがある。
コアシェル粒子1のコア粒子2としては、弾性率が5GPa以下と比較的柔らかい高分子材料の粒子を用いる。これによって、コアシェル粒子1は圧力の付与によって変形しやすくなる。従って、コアシェル粒子1は、圧力を付与したときの形状追従性が高い。このため、本実施形態の熱伝導性組成物を、電子部品と放熱器との間に介在させて積層方向に圧力を付与すると、コアシェル粒子1が電子部品又は放熱器の表面形状に沿って変形して、コアシェル粒子1と電子部品又は放熱器との接触面積が広くなるので、コアシェル粒子1と電子部品又は放熱器との間の界面熱抵抗が低くなる。高分子材料の弾性率の下限は、一般に1MPaである。
コア粒子2は球状であることが好ましい。ここで、球状とは完全な球面体である必要はなく、楕円体状であってもよいし、一部に平坦面を有していてもよい。コア粒子2を構成する高分子材料の例としては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シリコーンゴム、フッ素ゴム及びウレタンゴムを挙げることができる。これらの高分子材料の中で好ましいのは、シリコーン樹脂、シリコーンゴム(シリコーン樹脂またはシリカ粒子コートシリコーンゴムを含む)及びアクリル樹脂(特に、高架橋密度アクリル樹脂)である。
コアシェル粒子1のシェル3は、図1に示すように、アスペクト比(長軸aと短軸bとの比=a/b)が高く、厚さが薄い高アスペクト比金属領域4をランダムな方向に配向させた状態で結合させた形態を有していると考えることができる。すなわち、シェル3は、金属繊維をランダムな方向に配向させた状態で凝集させたものと同様の形態を有するため、高い熱伝導性を示す。
シェル3を構成する金属層は、単層であっても二層以上であってもよい。金属層は、単一の金属の層であってもよいし、二種以上の金属を含む合金の層であってもよい。シェル3は、金、銀、銅、ニッケル及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも一つの金属の層を含むことが好ましい。シェル3の厚さは、0.1μm以上であることが好ましい。シェル3の厚さが0.1μmより薄いと、シェル3を連続した金属層とすることが難しくなり、熱伝導性組成物の熱伝導性が低下することがある。シェル3の厚さの上限は、一般に10μmである。また、シェル3は、熱伝導組成物全体に対する体積含有量が5体積%以上、40体積%以下であることが好ましい。シェル3の体積含有量が5体積%より少ないと、コアシェル粒子1の熱伝導度が十分に高くならないことがある。シェル3の体積含有量が40体積%を超えると、熱伝導組成物が硬くなり、全体としての変形量が小さくなり、シェル3が塑性変形しにくくなることがある。コアシェル粒子1の力学的特性は、シェル3の影響を受けるので、シェル3が塑性変形しにくくなると、コアシェル粒子1が変形しにくくなる。
シェル3を構成する金属層は、無電解めっきによって作製されたものであることが好ましい。無電解めっきによると、コア粒子2の表面に金属の皮膜を均一に形成することができ、また被膜の膜厚の制御が容易となる。無電解めっきによってコア粒子2の表面を銀層で被覆する方法としては、コア粒子2に対して、30〜45℃に加熱した錫化合物の水溶液による前処理を行う工程と、前記コア粒子2に、還元剤を用いて無電解銀めっきを行う工程を有する方法を用いることができる。無電解めっきによってコア粒子2の表面を銀層で被覆する方法は、特許第5497183号に記載されている。
次に、本実施形態の熱伝導性組成物で用いる基油について説明する。基油としては、一般的な熱伝導性組成物に用いられるものを使用することができる。基油の例としては、シリコーンオイル系基油、鉱油系基油、合成炭化水素系基油、エステル系基油、エーテル系基油及びグリコール系基油又はそれらの組合せを挙げることができる。シリコーンオイル系基油は、ジメチルシリコーンオイル及びメチルフェニルシリコーンオイルのようなストレートシリコーンオイル、並びにネオペンチルポリエーテルシリコーンオイル、高級脂肪酸エステルシリコーンオイル及びフルオロアルキルシリコーンオイルのような変性シリコーンオイルを含む。鉱油系基油は、例えば、ナフテン系鉱油、パラフィン系鉱油、芳香族系鉱油及び高度生成鉱油を含む。合成炭化水素系基油は、例えば、ポリα−オレフィン及びポリブテン合成スクワランを含む。エステル系基油は、アルキルフォスフェートエステル及びアリルフォスフェートエステルのようなリン酸エステル、アジピン酸ジエステル、アゼライン酸ジエステル及びセバシン酸ジエステルのような二塩基酸ジエステル、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトール等のエステルのようなポリオールエステルを含む。エーテル系基油は、例えば、ポリグリコールエーテル及びポリフェニルエーテルを含む。グリコール系基油は、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールを含む。基油は、シリコーンオイル系基油であることが好ましい。
本実施形態の熱伝導性組成物は、フィラーを分散させるための分散剤を含有していてもよい。分散剤の例としては、ポリアミン、スルホネート、修飾ポリカプロラクトン、有機リン酸エステル、脂肪酸、脂肪酸の塩、ポリエーテル、ポリエステル及びポリオール、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸の塩、並びにシリコーン鎖を持つ分散剤(信越化学社製、KPシリーズ等)を挙げることができる。また、熱伝導性組成物は、フィラーの酸化を防止するための酸化防止剤を含有していてもよい。酸化防止剤としては、金属酸化物、金属水酸化物を用いることができる。酸化防止剤の具体例としては、酸化セリウム、水酸化セリウム、酸化鉄を挙げることができる。さらに、熱伝導性組成物は、フィラーとしての無機物粒子を含有していてもよい。無機物粒子の例としては、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、タルク、窒化ホウ素等の電気絶縁性の無機物の粒子、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、カーボン、グラファイト等の導電性の無機物の粒子を挙げることができる。さらにまた、熱伝導性組成物は、増粘剤、増稠剤、制御材、防錆剤及び腐食防止剤を含有していてもよい。これらの添加剤は、単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本実施形態の熱伝導性組成物は、コアシェル粒子と基油、さらに必要に応じて前記の添加剤を混合することによって製造することができる。
本実施形態の熱伝導性組成物は、CPUやパワートランジスタなどの電子部品と、ヒートシンクなどの放熱器との間の隙間に介在させて、電子部品にて発生した熱を、放熱器に伝導させる用途に使用することができる。
[実施例1]
(1)コアシェル粒子の作製
下記の前処理と無電解銀めっきとを行って、コアシェル粒子(球状アクリル樹脂粒子を銀層で被覆した粒子)を作製した。
《前処理》
塩化第一錫20g、35%塩酸20mLを、容量1Lのメスフラスコを用いて水で1Lに希釈(メスアップ)し、45℃に保温した。この水溶液に、表1に示すコア粒子(球状アクリル樹脂粒子)10gを添加し、2時間撹拌した。その後、コア粒子を濾別して水洗した。以上によりコア粒子の前処理を行った。
《無電解銀めっき》
水2Lに、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(錯化剤)630g、水酸化ナトリウム150g、ホルマリン(還元剤)300mLを溶解し、錯化剤及び還元剤を含む水溶液を作製した。また、硝酸銀100g、25%アンモニア水120mL、水600mLを混合し、硝酸銀を含む水溶液を作製した。
錯化剤及び還元剤を含む水溶液中に、前処理済みのコア粒子を浸漬させた。その後、水溶液を撹拌しながら、硝酸銀を含む水溶液を滴下し、コア粒子を42体積%のシェル(銀層)で被覆してコアシェル粒子を作製した。その後、コアシェル粒子を水洗して乾燥した。以上により、表1に示すコアシェル粒子を得た。なお、表1中のコア粒子の平均粒径と弾性率、シェルの厚さと体積含有量は、下記の方法により測定した。
(コア粒子の平均粒径)
SEM(走査型電子顕微鏡、株式会社日立ハイテクノロジーズ製、HITACHI S−4300SE)を用いて、300個のコア粒子の直径を測定した。そして、この測定値の平均値を平均粒径とした。
(コア粒子の弾性率)
微小圧縮試験機((株)島津製作所製、MCTM−200)を用いて、コア粒子を圧縮変形させ、そのときの荷重(N)と圧縮変位(mm)とを測定した。そして、コア粒子を20%圧縮変形させたときの弾性率E(単位:N/mm)を、下記式より求めた。
上記の式において、Fは、コア粒子を20%圧縮変形させたときの荷重(N)、Sは、コア粒子を20%圧縮変形させたときの圧縮変位(mm)、Rは、コア粒子の半径(mm)である。本測定は、コア粒子10個に対して行った。表1には、その平均値を、単位をGPaに換算して記載した。
(シェルの厚さ)
コアシェル粒子を樹脂埋めした後、樹脂を研磨してコアシェル粒子の断面を露出させた。露出させたコアシェル粒子の断面を、SEMを用いて観察して、シェルの厚さを測定した。
(シェルの体積含有量)
コアシェル粒子中のシェルの重量をICP測定によって測定し、下記の式により算出した。
シェルの体積含有量(体積%)=(シェルの重量/シェルの密度)/{(コアシェル粒子の重量―シェルの重量)/コア粒子の密度+(シェルの重量/シェルの密度)}×100
(2)熱伝導性組成物の作製
熱伝導性フィラーとして、上記(1)で作製したコアシェル粒子3.0gと、シリコーンオイル(信越化学工業(株)製、KF−54)0.57gとを混合し、泡とり錬太郎を用いて2000rpmで5分撹拌して、表2に示す熱伝導性組成物を作製した。なお、表2中の熱伝導性フィラーの体積平均粒子径は、下記の方法により測定した。熱伝導性フィラー濃度(体積%)は、コアシェル粒子とシリコーンオイルの重量と密度とから算出した値である。また、シェル濃度(体積%)は、熱伝導性フィラー濃度(体積%)とシェルの体積含有量(体積%)とを乗じた値である。
(熱伝導性フィラーの体積平均粒子径)
HORIBA社製のレーザー回折式粒度分布測定装置(LA−950)を用いて測定した。
[評価]
得られた熱伝導性組成物について、熱伝導度と熱抵抗を以下の手順により評価した。評価結果を表2に示す。
(熱伝導度)
熱伝導性組成物の熱伝導度(厚み方向)はホットディスク法によって測定した。具体的にはHot Disk社製の装置TPS2500Sを用いて測定を行った。
(熱抵抗)
熱伝導性組成物0.5cmを、銅板(50mm×60mm、厚さ3mm)の上に塗布した。この銅板の熱伝導性組成物を塗布した面に発熱体パッケージをトルク40Ncmの力でねじ留めした上で、T3Star装置を用いて、熱伝導性組成物の熱抵抗を測定した。発熱体パッケージはTO−3Pを用いた。発熱:1A、30sec(素子温度:ΔT=2.6℃)、測定:0.01A、測定時間:45secの条件で測定を行った。
[実施例2]
実施例1の(2)熱伝導性組成物の作製において、コアシェル粒子7.0gと、シリコーンオイル0.57gとしたこと以外は、実施例1と同様にして表2に示す熱伝導性組成物を作製した。得られた熱伝導性組成物の熱伝導度と熱抵抗を表2に示す。
[実施例3]
実施例1の(1)コアシェル粒子の作製において、コア粒子に平均粒径0.8μmの球状アクリル樹脂を用いたこと以外は実施例1と同様にして、表1に示すコアシェル粒子を作製した。そして、実施例1の(2)熱伝導性組成物の作製において、上記のコアシェル粒子3.0gと、シリコーンオイル0.57gとを混合したこと以外は、実施例1と同様にして表2に示す熱伝導性組成物を作製した。得られた熱伝導性組成物の熱伝導度と熱抵抗を表2に示す。
[実施例4]
実施例1の(1)コアシェル粒子の作製において、コア粒子に平均粒径30μmの球状アクリル樹脂を用いたこと以外は実施例1と同様にして、表1に示すコアシェル粒子を作製した。そして、実施例1の(2)熱伝導性組成物の作製において、上記のコアシェル粒子3.0gと、シリコーンオイル0.57gとを混合したこと以外は、実施例1と同様にして表2に示す熱伝導性組成物を作製した。得られた熱伝導性組成物の熱伝導度と熱抵抗を表2に示す。
[実施例5]
(1)コアシェル粒子の作製
下記の前処理と無電解銀めっきとを行って、コアシェル粒子(球状アクリル樹脂粒子を銀層で被覆した粒子)を作製した。
《前処理》
塩化第一錫20g、35%塩酸20mLを、容量1Lのメスフラスコを用いて水で1Lに希釈(メスアップ)し、45℃に保温した。この水溶液に、表1に示すコア粒子(球状アクリル樹脂粒子)35gを添加し、2時間撹拌した。その後、コア粒子を濾別して水洗した。以上により前処理を行った。
《無電解銀めっき》
水2Lに、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(錯化剤)630g、水酸化ナトリウム150g、ホルマリン(還元剤)300mLを溶解し、錯化剤及び還元剤を含む水溶液を作製した。また、硝酸銀100g、25%アンモニア水120mL、水600mLを混合し、硝酸銀を含む水溶液を作製した。
錯化剤及び還元剤を含む水溶液中に、前処理済みのコア粒子を浸漬させた。その後、水溶液を撹拌しながら、硝酸銀を含む水溶液を滴下し、コア粒子を17体積%のシェル(銀層)で被覆してコアシェル粒子を作製した。その後、コアシェル粒子を水洗して乾燥した。以上により、表1に示すコアシェル粒子を得た。
(2)熱伝導性組成物の作製
実施例1の(2)熱伝導性組成物の作製において、上記のコアシェル粒子1.7gと、シリコーンオイル0.57gとを混合したこと以外は、実施例1と同様にして表2に示す熱伝導性組成物を作製した。得られた熱伝導性組成物の熱伝導度と熱抵抗を表2に示す。
[実施例6]
(1)コアシェル粒子の作製
下記の前処理と無電解銀めっきとを行って、コアシェル粒子(球状アクリル樹脂粒子を銀層で被覆した粒子)を作製した。
《前処理》
塩化第一錫20g、35%塩酸20mLを、容量1Lのメスフラスコを用いて水で1Lに希釈(メスアップ)し、45℃に保温した。この水溶液に、表1に示すコア粒子(球状アクリル樹脂粒子)5.5gを添加し、2時間撹拌した。その後、コア粒子を濾別して水洗した。以上により前処理を行った。
《無電解銀めっき》
水2Lに、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(錯化剤)630g、水酸化ナトリウム150g、ホルマリン(還元剤)300mLを溶解し、錯化剤及び還元剤を含む水溶液を作製した。また、硝酸銀100g、25%アンモニア水120mL、水600mLを混合し、硝酸銀を含む水溶液を作製した。
錯化剤及び還元剤を含む水溶液中に、前処理済みのコア粒子を浸漬させた。その後、水溶液を撹拌しながら、硝酸銀を含む水溶液を滴下し、コア粒子を57体積%のシェル(銀層)で被覆してコアシェル粒子を作製した。その後、コアシェル粒子を水洗して乾燥した。以上により、表1に示すコアシェル粒子を得た。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、作製したコアシェル粒子の表面と断面とを撮影した。表面のSEM写真を図2に、断面のSEM写真を図3に示す。
図2と図3のSEM写真から、コア(図3のSEM写真にて黒く見える部分)の周囲が、銀(図3のSEM写真にて白く見える部分)のコート層(高アスペクト比金属領域)で均一に被覆されていることが確認できた。
(2)熱伝導性組成物の作製
実施例1の(2)熱伝導性組成物の作製において、上記のコアシェル粒子4.0gと、シリコーンオイル0.57gとを混合したこと以外は、実施例1と同様にして表2に示す熱伝導性組成物を作製した。得られた熱伝導性組成物の熱伝導度と熱抵抗を表2に示す。
[実施例7]
実施例6の(2)熱伝導性組成物の作製において、コアシェル粒子10.0gとシリコーンオイル0.57gを混合した以外は、実施例6と同様にして表2に示す熱伝導性組成物を作製した。得られた熱伝導性組成物の熱伝導度と熱抵抗を表2に示す。
[実施例8]
(1)コアシェル粒子の作製
コア粒子として、球状シリコーン樹脂粒子(平均粒径2.5μm)を用いて、コアシェル粒子(球状シリコーン樹脂粒子を銀層で被覆した粒子)を作製した。コア粒子11.0gを、無水クロム酸を400g/L、硫酸を400g/Lの濃度で含む水溶液1L中にて30分撹拌した。その後、コア粒子を濾別して水洗した。この処理によってコア粒子の親水化を行った。この親水化処理したコア粒子11.0gについて実施例1と同様の条件で前処理と無電解銀めっきとを行って、表1に示すコアシェル粒子を作製した。
(2)熱伝導性組成物の作製
熱伝導性フィラーとして、上記(1)で作製したコアシェル粒子1.6gと、シリコーンオイル0.57gとを混合し、泡とり錬太郎を用いて2000rpmで5分撹拌して、表2に示す熱伝導性組成物を作製した。得られた熱伝導性組成物の熱伝導度と熱抵抗を表2に示す。
[実施例9]
実施例1で作製したコアシェル粒子3.0gと、シリコーンオイル(MORESCO社製、LB−15)0.54gとを混合し、泡とり錬太郎を用いて2000rpmで5分撹拌して、表2に示す熱伝導性組成物を作製した。得られた熱伝導性組成物の熱伝導度と熱抵抗を表2に示す。
[実施例10]
(1)コアシェル粒子(球状アクリル樹脂粒子をニッケル層で被覆した粒子)の作製
下記の前処理と無電解ニッケルめっきとを行って、コアシェル粒子を作製した。
《前処理》
塩化パラジウム100mg、塩化第一錫10g、及び濃塩酸150mLを容量1Lのメスフラスコを用いて水で1Lに希釈(メスアップ)し、45℃に保温した。この水溶液に、表1に示すコア粒子(球状アクリル樹脂粒子)5gを添加し、2時間撹拌した。その後、コア粒子を濾別して水洗した。水洗後、さらにコア粒子を25mg/L塩化パラジウム溶液及び5%硫酸水溶液中に添加し、2時間撹拌した後、濾別して水洗した。以上により前処理を行った。
《無電解ニッケルめっき》
コハク酸ナトリウム60g、次亜リン酸ナトリウム(還元剤)300g、及び水酸化ナトリウム30gを含む水溶液2Lを作製した。また硫酸ニッケル300g、25%アンモニア水100mLを含む水溶液1000mLを作製した。
還元剤を含む水溶液中に、前処理済みのコア粒子を浸漬させ、80℃に保った。その後、水溶液を撹拌しながら、ニッケル源を含む水溶液を滴下し、1時間撹拌しながら反応させた。その後、大量のイオン交換水を投入し、反応を終了させた。こうして、コア粒子を42体積%のシェル(ニッケル層)で被覆してコアシェル粒子を作製した。その後、コアシェル粒子を水洗して乾燥した。以上により、表1に示すコアシェル粒子を得た。
(2)熱伝導性組成物の作製
熱伝導性フィラーとして、上記(1)で作製したコアシェル粒子2.4gと、シリコーンオイル0.57gとを混合し、泡とり錬太郎を用いて2000rpmで5分撹拌して、表2に示す熱伝導性組成物を作製した。得られた熱伝導性組成物の熱伝導度と熱抵抗を表2に示す。
[実施例11]
(1)コアシェル粒子の作製
下記の前処理と無電解銅めっきとを行って、コアシェル粒子(球状アクリル樹脂粒子を銅層で被覆した粒子)を作製した。
《前処理》
コア粒子(球状アクリル樹脂粒子)の量を1gとしたこと以外は、実施例10と同様にして前処理を行った。
《無電解銅めっき》
ホルムアルデヒド(還元剤)230mLを加えた水溶液を2L準備した。まためっき用水溶液として硫酸銅50g、ロシェル塩1200g、水酸化ナトリウム300gを水2Lに溶解した。
還元剤を含む水溶液中に、前処理済みのコア粒子を浸漬させた。その後、水溶液を撹拌しながら、めっき用水溶液を滴下した。この時pHは12、温度は40℃になるように調整した。めっき用水溶液を滴下した水溶液を1時間撹拌し、大量の水を添加して反応を終了させた。こうして、コア粒子をシェル(銅層)で被覆してコアシェル粒子を作製した。その後、コアシェル粒子を水洗して乾燥した。以上により、表1に示すコアシェル粒子を得た。
(2)熱伝導性組成物の作製
熱伝導性フィラーとして、上記(1)で作製したコアシェル粒子2.7gと、シリコーンオイル0.57gとを混合し、泡とり錬太郎を用いて2000rpmで5分撹拌して、表2に示す熱伝導性組成物を作製した。得られた熱伝導性組成物の熱伝導度と熱抵抗を表2に示す。
[比較例1]
上記実施例1の(2)熱伝導性組成物の作製において、熱伝導性フィラーとして、コアシェル粒子の代わりに銀粒子(三井金属(株)社製、MD40A)6gと、シリコーンオイル0.57gとを混合したこと以外は、実施例1と同様にして表2に示す熱伝導性組成物を作製した。得られた熱伝導性組成物の熱伝導度と熱抵抗を表2に示す。
[比較例2]
(1)コアシェル粒子の作製
コア粒子として弾性率が10GPa、平均粒径が2.0μmの球状硬化アミノ樹脂粒子(日産化学工業製、オプトビーズ2000M)を用い、下記の親水化処理と前処理と無電解銀めっきを行ってコアシェル粒子(球状硬化アミノ樹脂粒子を銀層で被覆した粒子)を作製した。
《親水化処理》
コア粒子12.5gを、無水クロム酸を400g/L、硫酸を400g/Lの濃度で含む水溶液1L中にて30分攪拌した。その後、コア粒子を濾別して水洗した。この処理によってコア粒子の親水化を行った。
《前処理》
塩化第一錫20g、35%塩酸20mLを、容量1Lのメスフラスコを用いて水で1Lに希釈(メスアップ)し、45℃に保温した。この水溶液に、親水化処理したコア粒子12.5gを添加し、2時間撹拌した。その後、コア粒子を濾別して水洗した。以上により前処理を行った。
《無電解銀めっき》
水2Lに、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(錯化剤)630g、水酸化ナトリウム150g、ホルマリン(還元剤)300mLを溶解し、錯化剤及び還元剤を含む水溶液を作製した。また、硝酸銀100.0g、25%アンモニア水120mL、水600mLを混合し、硝酸銀を含む水溶液を作製した。
錯化剤及び還元剤を含む水溶液中に、前処理済みのコア粒子を浸漬させた。その後、水溶液を撹拌しながら、硝酸銀を含む水溶液を滴下し、コア粒子に42体積%のシェル(銀層)で被覆してコアシェル粒子を作製した。その後、コアシェル粒子を水洗して乾燥した。以上により、表1に示すコアシェル粒子を得た。
(2)熱伝導性組成物の作製
上記(1)で作製したコアシェル粒子3.0gと、シリコーンオイル(信越化学工業(株)製、KF−54)0.57gとを混合し、泡とり錬太郎を用いて2000rpmで5分撹拌して、表2に示す熱伝導性組成物を作製した。得られた熱伝導性組成物の熱伝導度と熱抵抗を表2に示す。
[比較例3]
上記実施例1の(2)熱伝導性組成物の作製において、熱伝導性フィラーとして、コアシェル粒子の代わりに、炭素繊維(三菱樹脂(株)製、HMシリーズ)0.42gと、シリコーンオイル0.57gとを混合したこと以外は、実施例1と同様にして、表2に示す熱伝導性組成物を作製した。得られた熱伝導性組成物の熱伝導度と熱抵抗を表2に示す。
[比較例4]
上記実施例1の(2)熱伝導性組成物の作製において、熱伝導性フィラーとして、コアシェル粒子の代わりに、炭素繊維(三菱樹脂(株)製、HMシリーズ)1.3gと、シリコーンオイル0.57gとを混合したこと以外は、実施例1と同様にして、表2に示す熱伝導性組成物を作製した。得られた熱伝導性組成物の熱伝導度と熱抵抗を表2に示す。
[比較例5]
実施例1で使用したシリコーンオイル(信越化学工業(株)製、KF−54)について、熱伝導度と熱抵抗とを測定した。その結果を表2に示す。
実施例1〜11で作製した熱伝導性組成物は、いずれも銅板と発熱体パッケージとの間に介在させて積層方向に圧力を付与したときの熱抵抗が、0.2〜0.6K/Wと低い値を示した。実施例1と比較例1を比較することで、圧力が付与されたときの熱抵抗を下げる効果は、銀粒子よりも銀層を有するコアシェル粒子の方が高いことがわかる。また、実施例1と比較例1を比較することで、コアシェル粒子は、弾性率が5GPa以下の高分子材料からなる粒子をコア粒子として用いると、熱伝導度が低いにも関わらず、熱抵抗を下げる効果が高いことがわかる。また実施例1と比較例2を比較すると、熱伝導度がほぼ同じなのにも関わらず、熱抵抗としては実施例1の方が大幅に低いことがわかる。これは、熱伝導性フィラーは柔らかいほど、圧力が付与されたときに薄くなるためである。さらに比較例3、4で作製した、熱伝導性フィラーとして炭素繊維を用いた熱伝導性組成物は、銅板と発熱体パッケージとの間に介在させて積層方向に圧力を付与したときの熱抵抗が実施例1〜11の熱伝導性組成物と比較して高い値を示した。これは、炭素繊維は、圧力が付与されることによって、熱伝導性組成物の厚さ方向に対して垂直となる方向に配向し、積層方向の熱伝導性が低下するのに対して、コアシェル粒子は等方性が高く、配向の影響が少ないためである。さらにまた、実施例2、6と7を比較することで、熱伝導組成物中のシェル濃度は40体積%以下が好ましいことがわかる。これは熱伝導組成物中における硬いシェルの濃度が高すぎると、変形量が少なくなり、シェルが塑性変形しないため、コアシェル粒子としてはシェルの力学的特性に大いに影響される比較的硬い粒子として作用しているためと考えられる。
1 コアシェル粒子
2 コア粒子
3 シェル
4 高アスペクト比金属領域

Claims (7)

  1. 弾性率が5GPa以下の高分子材料からなるコア粒子と、前記コア粒子の周囲を被覆する少なくとも一層の金属層からなるシェルとを含むコアシェル構造を持つコアシェル粒子を、基油に分散させたことを特徴とする熱伝導性組成物。
  2. 前記シェルが、金、銀、銅、ニッケル及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも一つの金属の層を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性組成物。
  3. 前記コア粒子が、シリコーン樹脂、シリコーンゴム及びアクリル樹脂からなる群より選択される少なくとも一つの高分子材料の粒子であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱伝導性組成物。
  4. 前記シェルが、熱伝導組成物中に占める体積割合が5体積%以上、40体積%以下である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の熱伝導性組成物。
  5. 前記シェルが0.1μm以上の厚さを有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の熱伝導性組成物。
  6. 前記コアシェル粒子の体積平均粒子径が0.5μm以上、50μm以下であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の熱伝導性組成物。
  7. 前記コアシェル粒子を50体積%以上、80体積%以下の量にて含有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の熱伝導性組成物。
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