JP2017066247A - ヒドロキシ基を含有する化合物の製造方法およびラクトン環含有重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ヒドロキシ基が保護基により保護された化合物から保護基を脱離してヒドロキシ基含有化合物を得る、ヒドロキシ基を含有する化合物の製造方法であって、化合物が重合体である場合にも、保護基の脱離に使用する脱離剤に由来する問題の発生が抑制される方法を提供する。
【解決手段】保護基であるケイ素系基またはアセタール系基により保護されたヒドロキシ基を含有する前駆化合物と、保護基に対して0.001モル%〜50モル%の酸とを混合して保護基を前駆化合物から脱離させ、ヒドロキシ基を含有する化合物を得る方法とする。
【選択図】なし
【解決手段】保護基であるケイ素系基またはアセタール系基により保護されたヒドロキシ基を含有する前駆化合物と、保護基に対して0.001モル%〜50モル%の酸とを混合して保護基を前駆化合物から脱離させ、ヒドロキシ基を含有する化合物を得る方法とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、ヒドロキシ基を含有する化合物の製造方法と、主鎖にラクトン環構造を有するラクトン環含有重合体の製造方法とに関する。
有機低分子化合物の合成時あるいは有機低分子化合物を用いた化学反応時に、低分子化合物が有する特定の官能基に保護基を結合させて当該官能基を保護することがある(例えば、非特許文献1を参照)。この保護により、特定の反応を進行させる際に当該官能基の不活性化を図ることができる。保護基は、反応完了時など、官能基の保護が不要となった時点で脱離させることができる。保護基の脱離により、官能基が本来有している化学的な活性が確保される。
保護基による保護を実施可能な官能基の一つにヒドロキシ基がある。ヒドロキシ基は、例えば、ケイ素系基、アセタール系基、ベンジル基およびその誘導体、アセチル基、ベンゾイル基などの保護基を用いて保護できる。これら保護基の脱離は、通常、熱の印加、あるいは酸、塩基、フッ素系化合物などの脱離剤の添加により行われる。
保護基の脱離に脱離剤を使用する場合、速やかな脱離を確実に行うために従来、少なくとも脱離対象である保護基のモル数(保護基を脱離させる官能基のモル数)以上、通常は脱離対象である保護基のモル数に対して過剰のモル数の脱離剤が使用される。このような従来の方法は、保護基の脱離後に残留した過剰の脱離剤を、分液、蒸留、再沈殿、クロマトグラフといった低分子化合物における各種の単離、精製手法により容易に除去できない高分子化合物である重合体の分野、より具体的には、重合体が含有するヒドロキシ基を保護基により保護し、後に保護基を脱離してヒドロキシ基を含有する重合体を得る場合に、特に問題となる。例えば、残留した脱離剤が、重合体が本来有する特性に悪影響を与える。
本発明の目的の一つは、ヒドロキシ基が保護基により保護された化合物から保護基を脱離してヒドロキシ基含有化合物を得る方法であって、化合物が重合体である場合にも、保護基の脱離に使用した脱離剤に由来する問題の発生が抑制される方法の提供にある。
本発明の目的の別の一つは、この方法を適用した、主鎖にラクトン環構造を有するラクトン環含有重合体の製造方法の提供である。
本発明のヒドロキシ基を含有する化合物の製造方法は、保護基であるケイ素系基またはアセタール系基により保護されたヒドロキシ基を含有する化合物(前駆化合物)と、前記保護基に対して0.001モル%〜50モル%の酸とを混合して前記保護基を前記前駆化合物から脱離させ、前記ヒドロキシ基を含有する化合物を得る方法である。
本発明のラクトン環含有重合体の製造方法は、保護基であるケイ素系基またはアセタール系基により保護されたヒドロキシ基を含有するアクリル酸エステル単位(A)と、ヒドロキシ基を含有しない(メタ)アクリル酸エステル単位(B)とを構成単位として有する共重合体(C)と、前記保護基に対して0.001モル%〜50モル%の酸とを混合して前記保護基を前記共重合体(C)から脱離させる脱離反応と、前記単位(B)および前記保護基が脱離した前記単位(A)間の環化反応とを進行させて、主鎖にラクトン環構造を有する重合体を得る方法である、
本発明によれば、ヒドロキシ基が保護基により保護された化合物(前駆化合物)から保護基を脱離してヒドロキシ基含有化合物を得る方法であって、化合物が重合体である場合にも、保護基の脱離に使用した脱離剤に由来する問題の発生が抑制される方法が達成される。
[ヒドロキシ基を含有する化合物の製造方法]
本発明のヒドロキシ基を含有する化合物の製造方法(第1の製造方法)では、保護基により保護されたヒドロキシ基を含有する前駆化合物(X)と、前駆化合物(X)が含有する保護基に対して0.001モル%〜50モル%の酸とを混合して保護基を前駆化合物(X)から脱離させ(脱離反応)、ヒドロキシ基を含有する化合物(Y)を得る。保護基は、ケイ素系基またはアセタール系基である。ケイ素系基およびアセタール系基は、ヒドロキシ基の保護基として用いた場合、酸により脱離する保護基である。
本発明のヒドロキシ基を含有する化合物の製造方法(第1の製造方法)では、保護基により保護されたヒドロキシ基を含有する前駆化合物(X)と、前駆化合物(X)が含有する保護基に対して0.001モル%〜50モル%の酸とを混合して保護基を前駆化合物(X)から脱離させ(脱離反応)、ヒドロキシ基を含有する化合物(Y)を得る。保護基は、ケイ素系基またはアセタール系基である。ケイ素系基およびアセタール系基は、ヒドロキシ基の保護基として用いた場合、酸により脱離する保護基である。
第1の製造方法では、酸によりヒドロキシ基の保護基を脱離させるが、その際、脱離対象である保護基のモル数(保護基を脱離させるヒドロキシ基のモル数)の50モル%以下のモル数の酸を使用する。これは、平均的な一つの酸分子を想定したときに、当該酸分子が少なくとも2回以上保護基の脱離に関わることを意味し、この意味において、第1の製造方法では保護基の脱離に触媒量の酸を使用している。
第1の製造方法における、保護基を脱離させるためのこのような酸の使用では、例えば前駆化合物(X)が重合体である場合に、保護基の脱離後の化合物(Y)である重合体に残留する酸の量を低減できる。このことは、重合体である化合物(Y)の形成に大きなメリット、特に重合体である化合物(Y)を工業的に生産する際に多大なメリットをもたらす。
メリットの一つは、残留した酸を除去する処理を簡略化または不要にできることである。後述のように、重合体に残留した酸は当該重合体に悪影響を与えうるため、残留した酸を除去する処理が必要となる。この処理を簡略化または不要にできることは、重合体である化合物(Y)の製造コストを低減させる。この製造コスト低減の効果は、前駆化合物(X)および化合物(Y)が低分子化合物である場合にも、同様に得ることができる。
メリットの別の一つは、重合体である化合物(Y)に残留した酸を除去することが事実上困難なケースが多いことによる。低分子化合物では、残留した酸を除去する種々の手法、例えば再沈殿、分液、中和、クロマトグラフなどを状況に応じて選択可能である。しかし、重合体では、とりわけ重合体が溶解する溶媒が限られる点から、選択できる手法が限られる。あるいは選択できる手法があったとしても、そもそも残留した酸を十分に除去できないことが多い。第1の製造方法によれば、このような問題を回避できる。
メリットのまた別の一つは、重合体である化合物(Y)に残留した酸は、後に酸が除去できるとしても重合体(Y)に悪影響を与えうるが、第1の製造方法ではこのような悪影響を回避できることにある。悪影響は、例えば、酸による重合体分子鎖の切断に基づく分子量の低下、着色の発生、特性の低下である。特性の低下は、例えば、酸により生じた分解物により誘因される。特性の例は、ガラス転移温度(Tg)などの熱的特性、透明性および複屈折発現性などの光学的特性であり、例えば後述するラクトン環含有重合体では、光学的特性として応力光学係数Crが低下し、着色度が増す。このメリットは、例えば、光学材料として使用する重合体である化合物(Y)を製造する場合に、特に顕著となる。
第1の製造方法では、前駆化合物(X)および化合物(Y)が重合体でありうる。上述したようにこの場合、第1の製造方法による上記メリットがより顕著となる。本明細書における重合体とは、分子量(重量平均分子量Mw)にして1万以上の化合物をいう。
脱離反応を進行させる具体的な手法は、前駆化合物(X)と前駆化合物(X)が含有する保護基に対して0.001モル%〜50モル%の酸とを混合して保護基を前駆化合物(X)から脱離できる(前駆化合物(X)を脱保護できる)限り限定されない。保護基の脱離、すなわち脱離反応の進行は、前駆化合物(X)、上記酸、および保護基脱離後の化合物(Y)を溶解する溶液系にて行うことが好ましい。
このような溶液系を構成する溶媒は、前駆化合物(X)、酸および化合物(Y)の種類に応じて選択できる。溶媒は、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;メチルエチルケトン、アセトンなどのケトン類;テトラヒドロフランなどのエーテル類;塩化メチレン、クロロホルムなどのハロメタン類;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシドである。前駆化合物(X)、酸および溶媒の組み合わせの一例は、前駆化合物(X)が後述の共重合体(C)であり、酸が、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などの有機スルホン酸;塩酸;およびリン酸、リン酸エステルなどのリン酸化合物から選ばれる少なくとも1種であり、溶媒が、芳香族炭化水素、ケトン類およびエーテル類から選ばれる少なくとも1種である組み合わせである。前駆化合物(X)が液体である場合、溶媒は必ずしも必要ではない。
上記溶液系において脱離反応を進行させる場合、溶液系における前駆化合物(X)の濃度は、例えば10〜80質量%であり、好ましくは25〜60質量%である。
前駆化合物(X)と混合する酸の量は、前駆化合物(X)が含有する保護基に対して0.001モル%〜50モル%であり、好ましくは0.01モル%〜20モル%であり、より好ましくは0.05モル%〜5モル%である。前駆化合物(X)と混合する酸の量が0.001モル%未満になると、脱離反応を十分に進行させることができないか、仮に進行させることができたとしても脱離反応に必要な時間が非常に長くなる。前駆化合物(X)と混合する酸の量が50モル%を超えると、上述した本発明の効果を得ることが難しくなる。
酸は、例えば、塩酸、硫酸、リン酸化合物(リン酸、亜リン酸、リン酸エステル)などの無機酸およびその化合物、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸などのスルホン酸、ギ酸、酢酸などのカルボン酸、金属カルボン酸塩である。
酸として有機酸を選択しうる。酸が有機酸である場合、溶液系において脱離反応を進行させる際に非水溶性の溶媒を使いやすくなるため、溶媒として有機溶媒の選択の自由度が増す。これは、前駆化合物(X)が重合体である場合に、特に有利となる。有機酸は、例えば、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸などの有機スルホン酸、リン酸エステル、ギ酸、酢酸などのカルボン酸、金属カルボン酸塩であり、有機スルホン酸が好ましく、有機スルホン酸のなかではパラトルエンスルホン酸が特に好ましい。
保護基の脱離は、極性溶媒の存在下で行ってもよく、このとき脱離反応をより効率よく進行させることができる。これは、極性溶媒と保護基とが直接結合することで、保護基の脱離が促進されるためと考えられる。保護基の脱離を極性溶媒の存在下で行うには、例えば、極性溶媒をさらに加えた上記溶液系にて脱離反応を進行させればよい。
極性溶媒は限定されず、例えば、水およびアルコールから選ばれる少なくとも1種である。アルコールは、例えば、炭素数1〜10のアルコールであり、好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールである。
保護基の脱離を極性溶媒の存在下で行う場合、極性溶媒の量は、前駆化合物(X)の保護基に対して、例えば0.1モル%〜10000モル%であり、1モル%〜1000モル%が好ましく、5モル%〜500モル%がより好ましい。例えば、これらの範囲の量の極性溶媒をさらに加えた上記溶液系にて脱離反応を進行させることができる。極性溶媒の量がこれらの範囲にある場合、脱離反応をさらに効率よく進行させることができる。なお、上記溶液系における過剰な極性溶媒の存在は、前駆化合物(X)が重合体であるときにその種類によっては、溶液系への当該重合体の溶解性を低下させる可能性がある。
保護基は、ケイ素系基またはアセタール系基である限り限定されない。保護基は、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、トリイソプロピルシリル基、メトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、エトキシエチル基、メトキシエチル基、メチルチオメチル基、ベンゾイロキシメチル基、およびメトキシエトキシメチル基から選ばれる少なくとも1種である。
脱離反応は、熱を加えながら進行させてもよい。熱の印加、例えば上記溶液系への熱の印加により、脱離反応をより効率よく進行させることができる。熱を印加する場合、その具体的な温度は保護基の種類によっても異なるが、例えば、30〜300℃程度である。
脱離反応では、前駆化合物(X)に存在する保護基のうち少なくとも一部の保護基を前駆化合物(X)から脱離できればよいし、全ての保護基を前駆化合物(X)から脱離してもよい。なお、前駆化合物(X)に存在する保護基の一部を脱離させる場合においても、脱離反応に用いる酸の量は上述の範囲、より具体的には前駆化合物(X)に存在する保護基の0.001モル%〜50モル%、である。
第1の製造方法は、前駆化合物(X)からの保護基の脱離方法(保護基により保護された化合物の脱保護方法)でもある。この側面から、本開示の保護基の脱離方法は、保護基であるケイ素系基またはアセタール系基により保護されたヒドロキシ基を含有する化合物(X)と、前記保護基に対して0.001モル%〜50モル%の酸とを混合して前記保護基を前記化合物(X)から脱離させる方法である。化合物(X)は低分子化合物でありうるし、重合体でありうる。
前駆化合物(X)は、ケイ素系基またはアセタール系基である保護基により保護されたヒドロキシ基を含有する。前駆化合物(X)における全てのヒドロキシ基が保護基により保護された状態であっても、一部のヒドロキシ基が保護基により保護された状態であってもよい。
前駆化合物(X)が重合体である場合、その例は、保護基により保護されたヒドロキシ基を含有するアクリル酸エステル単位(A)と、ヒドロキシ基を含有しない(メタ)アクリル酸エステル単位(B)とを構成単位として有する共重合体(C)である。後述するラクトン環含有重合体の製造方法に詳細を述べるが、このような共重合体(C)に対して第1の製造方法により脱離反応を進行させて得た重合体である化合物(Y)は、(メタ)アクリル酸エステル単位(B)と、保護基が脱離したアクリル酸エステル単位(A)との間で進行するラクトン環化反応の反応前駆体、すなわち、ラクトン環含有重合体の前駆重合体でありうる。
この側面によれば、第1の製造方法によって、ラクトン環含有重合体の製造コストを低減できるとともに、残留する酸による問題、例えば、得られたラクトン環含有重合体の分子量の低下、着色の発生、熱的特性および光学的特性といった各種の特性の低下が抑制される効果が得られる。
前駆化合物(X)が共重合体(C)である場合、第1の製造方法による保護基の脱離反応とともに、保護基の脱離によって形成された上記反応前駆体の環化反応とを併せて進行させてもよい。
ラクトン環含有重合体の製造方法について、以下、詳細に説明する。
[ラクトン環含有重合体の製造方法]
アクリル重合体は、透明性が高く、表面光沢および耐候性に優れ、さらに機械的強度、成形加工性および表面硬度の高いバランスを有している。この優れた特性に基づき、アクリル重合体は種々の分野における様々な用途に使用される。しかし、アクリル重合体のTgは高いものでも100℃前後であり、耐熱性が要求される分野でのアクリル重合体の使用は困難であった。耐熱性が要求される分野へのアクリル重合体の使用のために、あるいは製品としてのデザインの自由度向上、コンパクト化、高性能化などの要請に応えるために、耐熱性の向上したアクリル重合体が望まれている。
アクリル重合体は、透明性が高く、表面光沢および耐候性に優れ、さらに機械的強度、成形加工性および表面硬度の高いバランスを有している。この優れた特性に基づき、アクリル重合体は種々の分野における様々な用途に使用される。しかし、アクリル重合体のTgは高いものでも100℃前後であり、耐熱性が要求される分野でのアクリル重合体の使用は困難であった。耐熱性が要求される分野へのアクリル重合体の使用のために、あるいは製品としてのデザインの自由度向上、コンパクト化、高性能化などの要請に応えるために、耐熱性の向上したアクリル重合体が望まれている。
Tgが高く、耐熱性が向上したアクリル重合体として、主鎖にラクトン環構造を有するラクトン環含有重合体が知られている。ラクトン環含有重合体は、例えば、ヒドロキシ基またはカルボキシ基とエステル基とを側鎖に有する前駆重合体に対して環化反応を進行させて形成できる。この環化反応は、前駆重合体の分子鎖内においてヒドロキシ基またはカルボキシル基とエステル基との間に進行する、エステル交換反応の一種である脱アルコール縮合反応である。
本発明のラクトン環含有重合体の製造方法(第2の製造方法)では、保護基であるケイ素系基またはアセタール系基により保護されたヒドロキシ基を含有するアクリル酸エステル単位(A)と、ヒドロキシ基を含有しない(メタ)アクリル酸エステル単位(B)とを構成単位として有する共重合体(C)と、保護基に対して0.001モル%〜50モル%の酸とを混合して共重合体(C)から保護基を脱離させる脱離反応と、上記(メタ)アクリル酸エステル単位(B)および保護基が脱離した上記アクリル酸エステル単位(A)間の環化反応とを進行させて、主鎖にラクトン環構造を有する重合体(ラクトン環含有重合体)を得る。脱離反応は、第1の製造方法における脱離反応と同じである。この脱離反応によって共重合体(C)から形成された重合体、すなわち、保護基が脱離した共重合体(C)は、環化反応によりラクトン環含有重合体が形成される反応前駆体(前駆重合体)である。
第2の製造方法では、第1の製造方法の脱離反応と同じ脱離反応を進行させる。このため第2の製造方法では、ラクトン環含有重合体の製造コストを低減できるとともに、保護基の脱離後に残留する酸による問題、例えば、ラクトン環含有重合体の分子量の低下、着色の発生、ならびに熱的特性および光学的特性といった各種の特性の低下が抑制されたラクトン環含有重合体を得ることができる。ラクトン環含有重合体は光学フィルムなどの光学部材に使用可能であるが、第2の製造方法では光学的特性の低下が抑制されるため、得られたラクトン環含有重合体を光学部材に使用する場合に、本発明の効果はより顕著となる。熱的特性の低下、例えばTgの低下、の抑制も、得られたラクトン環含有重合体を光学部材に使用する場合に有利に働く。Tgが高いラクトン環含有重合体により構成される光学部材は耐熱性が高く、例えば、液晶表示装置(LCD)などの画像表示装置における電源、回路基板、光源などの発熱部の近傍への配置が可能であることから、画像表示装置の設計およびデザインの自由度が向上する。
第2の製造方法では、さらなる効果も期待される。
ラクトン環含有重合体の製造方法は、例えば、特許文献2(特開2001-151814号公報)および特許文献3(特開2007-70607号公報)に開示されている。具体的に、特許文献2,3には、ヒドロキシ基を含有するアクリル酸エステル単位(P)と、ヒドロキシ基を含有しない(メタ)アクリル酸エステル単位(Q)とを構成単位として有する前駆重合体に対して環化反応を進行させてラクトン環含有重合体を形成することが記載されている。環化反応は互いに隣接する単位(P)と単位(Q)との間で進行するが、この前駆重合体は純然たるランダム重合体であり、その分子鎖には単位(P)が3以上連続する部分が存在する。すると、当該部分の両端に位置する単位(P)以外の単位(P)は環化反応時および環化反応後もそのまま残留し、すなわち、得られたラクトン環含有重合体にはヒドロキシ基が残留することになる。残留するヒドロキシ基は、前駆重合体における単位(P)の含有率が高いほど多い。この残留ヒドロキシ基は、ラクトン環含有重合体の形成時および成形加工時におけるゲル化および発泡の発生の原因の一つとなる。残留ヒドロキシ基によって、重合体の分子鎖間の架橋、典型的にはアルコールが脱離する分子鎖間の架橋、が誘起されるためである。架橋はゲル化を引き起こすし、脱離したアルコールは発泡を引き起こす。
一方、第2の製造方法では、保護基により保護されたヒドロキシ基を含有するアクリル酸エステル単位(A)と、ヒドロキシ基を含有しない(メタ)アクリル酸エステル単位(B)とを構成単位として有する共重合体(C)に対して、脱離反応および環化反応を進行させてラクトン環含有重合体を形成する。共重合体(C)は、例えば、保護基により保護されたヒドロキシ基を含有するアクリル酸エステル単量体と、ヒドロキシ基を含有しない(メタ)アクリル酸単量体とを含む単量体群の重合により形成されるが、このとき、保護基の存在によって前者の単量体の単独重合性が低下するために、共重合体(C)において単位(A)が連続する数および頻度が、単位(P)および単位(Q)から構成される従来の前駆重合体に比べて低下する。このため、共重合体(C)に環化反応を進行させる際に残留するヒドロキシ基、および当該反応を経て得たラクトン環含有重合体に残留するヒドロキシ基の数が減少し、これにより、ラクトン環含有重合体の形成時および成形加工時におけるゲル化および発泡の発生が抑制される。
保護基の種類によっては、当該基により保護されたアクリル酸エステル単量体の単独重合性が失われる。このとき、共重合体(C)における単位(A)の連続が最も抑制され、ラクトン環含有重合体の形成時および成形加工時におけるゲル化および発泡の発生が最も抑制される。
また、共重合体(C)において単位(A)が連続する数および頻度が従来よりも低いことは、前駆重合体である共重合体(C)における単位(A)の含有率を従来よりも大きくできることを意味する。当該含有率を大きくした場合においても、ラクトン環含有重合体の形成時および成形加工時におけるゲル化および発泡の発生を抑制できるためである。そして、共重合体(C)における単位(A)の含有率を大きくできることは、形成したラクトン環含有重合体が示す特性の制御の自由度の向上をもたらす。特性は、例えば、熱的特性、光学的特性である。熱的特性は、例えば、ラクトン環含有重合体のTgである。より具体的な例として、形成時および成形加工時におけるゲル化および発泡の発生が抑制されながらもTgがより高いラクトン環含有重合体を形成できる。このような特性の制御の自由度の向上により、光学用途など、従来の用途におけるさらなる要請に対して応えることができる他、例えば、さらなる耐熱性が求められる用途へのラクトン環含有重合体の適用拡大などが期待される。
単位(A)は、保護基により保護されたヒドロキシ基を含有するアクリル酸エステル単位である限り限定されない。単位(A)は、例えば、以下の式(1)に示す単位である。
式(1)のR1およびR2は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜20の有機残基であり、当該有機残基は酸素を含んでいてもよい。R3は、保護基である。
有機残基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などの炭素数が1〜20の範囲のアルキル基;エテニル基、プロペニル基などの炭素数が1〜20の範囲の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、ナフチル基などの炭素数が1〜20の範囲の芳香族炭化水素基;上記アルキル基、上記不飽和脂肪族炭化水素基、および上記芳香族炭化水素基において、水素原子の一つ以上が、カルボキシル基、エーテル基およびエステル基から選ばれる少なくとも1種の基により置換された基;である。
R1は、水素原子;メチル基、エチル基などの炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基がより好ましい。R2は、水素原子、メチル基、エチル基などの炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基がより好ましい。
式(1)に示す構成単位は、以下の式(2)に示す単量体の重合により形成された構成単位である。式(2)のR1〜R3は、式(1)のR1〜R3と同様である。
式(2)に示す単量体は、2−ヒドロキシメチルアクリル酸エステルのヒドロキシ基が保護基R3により保護されるとともに、当該ヒドロキシ基が結合している炭素原子に結合していた一つの水素原子がR2基により置換された、2−ヒドロキシメチルアクリル酸エステル誘導体である。すなわち、式(1)に示す構成単位は、2−ヒドロキシメチルアクリル酸エステル誘導体単位と表現することもできる。
ヒドロキシ基が保護基R3により保護される前の状態における当該誘導体は、例えば、2−ヒドロキシメチルアクリル酸、2−(1−ヒドロキシエチル)アクリル酸、2−(1−ヒドロキシブチル)アクリル酸、2−(1−ヒドロキシ−2−エチルヘキシル)アクリル酸(以上、R1が水素原子)、2−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、2−(1−ヒドロキシエチル)アクリル酸メチル、2−(1−ヒドロキシブチル)アクリル酸メチル、2−(1−ヒドロキシ−2−エチルヘキシル)アクリル酸メチル、2−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル、2−(1−ヒドロキシエチル)アクリル酸エチル、2−(1−ヒドロキシブチル)アクリル酸エチル、2−(1−ヒドロキシ−2−エチルヘキシル)アクリル酸エチル、2−ヒドロキシメチルアクリル酸n−プロピル、2−(1−ヒドロキシエチル)アクリル酸n−プロピル、2−(1−ヒドロキシブチル)アクリル酸n−プロピル、2−(1−ヒドロキシ−2−エチルヘキシル)アクリル酸n−プロピル、2−ヒドロキシメチルアクリル酸イソプロピル、2−(1−ヒドロキシエチル)アクリル酸イソプロピル、2−(1−ヒドロキシブチル)アクリル酸イソプロピル、2−(1−ヒドロキシ−2−エチルヘキシル)アクリル酸イソプロピル、2−ヒドロキシメチルアクリル酸n−ブチル、2−ヒドロキシメチルアクリル酸イソブチル、2−ヒドロキシメチルアクリル酸t−ブチル、2−ヒドロキシメチルアクリル酸n−オクチル、2−ヒドロキシメチルアクリル酸イソオクチル、2−ヒドロキシメチルアクリル酸2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシメチルアクリル酸ステアリル、2−ヒドロキシメチルアクリル酸シクロペンチル、2−(1−ヒドロキシエチル)アクリル酸シクロペンチル、2−(1−ヒドロキシブチル)アクリル酸シクロペンチル、2−(1−ヒドロキシ−2−エチルヘキシル)アクリル酸シクロペンチル、2−ヒドロキシメチルアクリル酸シクロヘキシル、2−ヒドロキシメチルアクリル酸フェニル、2−(1−ヒドロキシエチル)アクリル酸フェニル、2−(1−ヒドロキシブチル)アクリル酸フェニル、2−(1−ヒドロキシ−2−エチルヘキシル)アクリル酸フェニル、2−ヒドロキシメチルアクリル酸o−メトキシフェニル、2−ヒドロキシメチルアクリル酸p−メトキシフェニル、2−ヒドロキシメチルアクリル酸p−ニトロフェニル、2−ヒドロキシメチルアクリル酸o−メチルフェニル、2−ヒドロキシメチルアクリル酸p−メチルフェニル、2−ヒドロキシメチルアクリル酸p−t−ブチルフェニルである。これらの単量体のうち、2−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、2−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル、2−ヒドロキシメチルアクリル酸n−ブチル、2−ヒドロキシメチルアクリル酸2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシメチルアクリル酸2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシメチルアクリル酸2−ヒドロキシプロピルが、ヒドロキシ基を含有しない(メタ)アクリル酸エステル単量体との共重合性、および共重合体(C)としての環化反応の安定性の観点から好ましく、さらにラクトン環含有重合体のTgを向上させる効果が高い観点からは、2−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル(RHMA)が好ましい。
保護基R3は、第1の製造方法の説明において上述したとおりである。なお、ケイ素系基およびアセタール系基である保護基R3は、共重合体(C)を形成する際に、保護基により保護されたヒドロキシ基を含有する単量体(例えば2−ヒドロキシメチルアクリル酸エステル誘導体)の単独重合性を低下させる作用が高いとともに、共重合体(C)に対して脱離反応および環化反応を進行させる際に当該単量体から脱離しやすく、共重合体(C)の環化を阻害しにくい。
単位(B)は、ヒドロキシ基を含有しない(メタ)アクリル酸エステル単位である限り限定されない。(メタ)アクリル酸エステル単位は、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジルなどのメタクリル酸エステルの各単量体の重合により形成される単位である。なかでも、保護基が脱離した単位(A)との環化反応性に優れるとともに、得られたラクトン環含有重合体が高い耐熱性および光学的透明性を有することから、単位(B)はメタクリル酸メチル(MMA)単位が好ましい。
共重合体(C)は、2種以上の単位(A)および/または2種以上の単位(B)を構成単位として有していてもよい。
共重合体(C)における単位(A)の含有率(共重合体(C)の全構成単位に占める単位(A)の割合)は、例えば、1〜60モル%である。単位(A)の含有率がこのような範囲にある場合、例えば、ラクトン環含有重合体としてのTgの向上と、残留するヒドロキシ基の減少による重合体の形成時および成形加工時におけるゲル化および発泡の発生の抑制とを、より高いレベルで達成できる。上述のように、共重合体(C)における単位(A)の連続する数およびその頻度は従来の前駆重合体よりも低く、これによりラクトン環含有重合体の形成時および成形加工時におけるゲル化および発泡の発生を抑制できることから、共重合体(C)における単位(A)の含有率を大きくできる。
重合体を構成する各構成単位の含有率は、公知の方法、例えば、1H−核磁気共鳴(NMR)法および/または赤外分光分析(IR)法により評価できる。
共重合体(C)は、単位(A)および単位(B)以外の構成単位を有していてもよい。
当該構成単位は、例えば、保護基によってヒドロキシ基が保護されていない、ヒドロキシ基含有アクリル酸エステル単位である。このような構成単位の一例を、以下の式(3)に示す。式(3)のR1およびR2は、式(1)のR1およびR2と同様である。
単位(A)および単位(B)以外の構成単位は、例えば、不飽和カルボン酸の重合により形成される単位、以下の式(4)に示す単量体の重合により形成される単位である。式(4)のR4は、水素原子またはメチル基であり、Xは、水素原子、炭素数1〜20の範囲のアルキル基、アリール基、−OAc基、−CN基、−C(=O)R5基、または−C−O−R6基である。Acはアセチル基、R5およびR6は、水素原子または式(1)における有機残基として例示した基である。
不飽和カルボン酸は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−置換アクリル酸、α−置換メタクリル酸である。なかでも、アクリル酸およびメタクリル酸から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
式(4)に示される単量体は、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メチルビニルケトン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニルである。なかでも、スチレンおよびアクリロニトリルから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
共重合体(C)が単位(A)および(B)以外の構成単位を有する場合、共重合体(C)における当該構成単位の含有率は、例えば、0.1〜30モル%であり、その上限は、20モル%以下が好ましく、15モル%以下がより好ましい。
共重合体(C)の形成方法は限定されない。
共重合体(C)は、例えば、保護基により保護されたヒドロキシ基を含有するアクリル酸エステル単量体と、ヒドロキシ基を含有しない(メタ)アクリル酸エステル単量体とを含む単量体群の共重合により形成できる。前者および後者の単量体の例は、上記説明したとおりである。
単量体群の共重合方法は限定されない。当該単量体群が、保護基により保護されたヒドロキシ基を含有するアクリル酸エステル単量体と、ヒドロキシ基を含有しない(メタ)アクリル酸エステル単量体とを含むこと以外は、例えば、特開2007-70607号公報に開示されている重合工程と同様にして単量体群の共重合を実施できる。
より具体的に、共重合は、例えば溶液重合により行う。溶液重合により共重合体(C)を形成した場合、重合生成物には、共重合体(C)以外に重合に用いた重合溶媒が含まれるが、必ずしも当該溶媒を除去して共重合体(C)を固体として取り出さなくてもよい。共重合体(C)の種類によっては、溶媒を含んだ状態のまま重合生成物を、共重合体(C)からラクトン環含有重合体を形成するための脱離反応および環化反応に供することもできる。この溶媒は、脱離反応を上記溶液系で実施する際の溶媒となりうる。もちろん、共重合体(C)を固体として取り出した後、改めて脱離反応および/または環化反応に適した状態にしてこれらの反応を進行させてもよい。
溶液重合により共重合体(C)を形成する場合、用いる重合溶媒は、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;クロロホルム、ジメチルスルフォキシド(DMSO)、テトラヒドロフランである。なかでも芳香族炭化水素、ケトン類が好ましく、特にトルエン、メチルイソブチルケトンが好ましい。
共重合体(C)の重合時には、必要に応じて重合開始剤を使用できる。重合開始剤は限定されないが、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル);(AIBN)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物である。2種以上の重合開始剤を使用してもよい。重合開始剤の使用量は、単量体の組み合わせ、あるいは重合条件などに応じて適宜設定でき、限定されない。
単位(A)および単位(B)以外の構成単位を有する共重合体(C)を形成するために、単量体群は、重合により当該構成単位が形成される単量体をさらに含みうる。
共重合に供する単量体群は、保護基により保護されたヒドロキシ基を含有するアクリル酸エステル単量体を2種以上、および/またはヒドロキシ基を含有しない(メタ)アクリル酸エステル単量体を2種以上含みうる。
第2の製造方法では、共重合体(C)に対して保護基R3の脱離反応と、単位(A)および単位(B)間の環化反応とを進行させて、主鎖にラクトン環構造を有するラクトン環含有重合体を形成する。
脱離反応は、第1の製造方法の説明において上述したとおりである。
環化反応では、脱離反応により保護基R3が外れることで露出した単位(A)のヒドロキシ基と、単位(B)のエステル基との間に環化縮合反応が進行することにより、ラクトン環構造が重合体の主鎖に形成される。環化反応は、共重合体(C)の分子鎖内で進行するエステル交換反応の一種であり、アルコールが副生する反応である。
環化反応を進行させる具体的な手段は限定されない。環化反応は、例えば、保護基R3が脱離した共重合体(C)への熱の印加、および/または当該共重合体(C)を酸または塩基雰囲気下におくことにより実施できる。脱離反応を酸により進行させていることから、熱の印加および/または当該共重合体(C)を酸雰囲気下におくことにより環化反応を進行させることが好ましい。共重合体(C)の組成および/または後述の環化触媒によっては、脱離反応に用いた触媒量の酸の雰囲気下で環化反応を進行させることができ、このとき、脱離反応と環化反応とをともに進行させうる。環化反応を制御する触媒、典型的には環化反応を促進させる環化触媒を併用することもできる。環化触媒には公知の触媒を使用できる。
熱を印加して環化反応を進行させる場合、その温度は、例えば、100〜300℃であり、150〜250℃が好ましい。
酸雰囲気に置くことにより環化反応を進行させる場合、例えば、保護基R3が脱離した共重合体(C)が置かれている雰囲気に酸性物質をさらに添加してもよい。酸性物質は限定されず、例えば、脱離反応の説明において例示した酸を用いることができる。
塩基雰囲気に置くことにより環化反応を進行させる場合、例えば、保護基R3が脱離した共重合体(C)が置かれている雰囲気に塩基性物質を添加すればよい。塩基性物質は限定されず、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびこれらの塩、水酸化物である。
環化反応は、脱アルコール縮合反応である。このため、環化反応の雰囲気を減圧することによって副生成物であるアルコールを積極的に除去し、これにより環化反応を促進させてもよい。
環化反応では、少なくとも、保護基が脱離した単位(A)と単位(B)との間の環化反応を進行させる。このとき、保護基が脱離した単位(A)または単位(B)と、共重合体(C)を構成する他の構成単位との間でさらなる環化反応が進行してもよい。
脱離反応と環化反応とは個別に進行させてもよいし、両反応の条件さえ整えば、併せて進行させてもよい。また、脱離反応、または脱離反応および環化反応の双方の反応は、これら反応の条件と共重合体(C)の重合条件とが整えば、共重合体(C)の形成から連続的に実施してもよい。
第2の製造方法により得たラクトン環含有重合体(D)は、ラクトン環構造をその主鎖に有する。形成されるラクトン環構造の具体的な構造は特に限定されないが、例えば、以下の式(5)に示す構造である。式(5)のR1およびR2は、式(1)のR1およびR2と同様であり、R7は水素原子(単位(B)がアクリル酸エステル単位のとき)またはメチル基(単位(B)がメタクリル酸エステル単位のとき)である。
重合体(D)は、環化反応時に未反応のまま残留した、単位(A)、保護基R3が脱離した単位(A)、および単位(B)から選ばれる少なくとも1種の単位を構成単位として有しうる。また、重合体(D)は、共重合体(C)が単位(A)および単位(B)以外の構成単位を有している場合、当該構成単位をさらに有しうる。
重合体(D)は、典型的には熱可塑性重合体である。重合体(D)は、例えば、非晶性重合体でありうる。
単位(A)はアクリル酸エステル単位であり、単位(B)は(メタ)アクリル酸エステル単位である。このため、単位(A)および単位(B)間の環化反応により形成されたラクトン環構造は、(メタ)アクリル酸エステル単位の誘導体である。また、重合体(D)は、環化反応時に未反応のまま残留した単位(A)、保護基が脱離した単位(A)、および単位(B)を構成単位として有しうるが、これらの単位は(メタ)アクリル酸エステル単位である。このため、重合体(D)におけるラクトン環構造の含有率と(メタ)アクリル酸エステル単位の含有率との合計が50質量%以上であれば、重合体(D)はアクリル重合体である。このとき重合体(D)は、アクリル重合体であるが故の特性、例えば、高い透明性、高い表面光沢および耐候性、ならびに機械的強度、成形加工性および表面硬度の高いバランスを有しうる。
重合体(D)におけるラクトン環構造の含有率は、その形成時および成形加工時におけるゲル化および発泡の発生を抑制しながら、従来のラクトン環含有重合体よりも大きくすることが可能である。具体的に、重合体(D)におけるラクトン環構造の含有率は、例えば、10〜100質量%とすることもできる。
重合体(D)は、主鎖のラクトン環構造に基づく特性を有する。特性は、例えば、熱的特性、光学的特性である。
熱的特性は、例えばTgであり、ラクトン環含有重合体(D)のTgは、ラクトン環構造を主鎖に有さない場合に比べて高い。ラクトン環含有重合体(D)のTgは、例えば、100℃以上であり、ラクトン環構造の構成および含有率によっては、130℃以上、150℃以上、さらには180℃以上となりうる。ラクトン環含有重合体(D)ではこのような高いTgが、酸の残留によるTgの低下が抑制されるとともに、当該重合体(D)の形成時および成形加工時におけるゲル化および発泡の発生を抑制しながら達成される。
また、ラクトン環含有重合体(D)では、従来の製造方法により形成したラクトン環含有重合体に比べて、同じラクトン環構造の含有率のときにTgがより高くなる。これは、上述した効果によって、ラクトン環構造がより均一にラクトン環含有重合体の分子鎖に配置されることに基づくと考えられる。Tgの上昇は、例えば、1〜20℃である。
光学的特性は、例えば複屈折特性である。主鎖に位置するラクトン環構造によって重合体の複屈折発現性(位相差発現性)が向上するが、ラクトン環含有重合体(D)では酸の残留による複屈折発現性の低下が抑制され、より確実な向上が達成される。ラクトン環構造は、重合体(D)に正の固有複屈折を与える作用を有する。重合体(D)としての固有複屈折の正負は、当該重合体(D)が有する各構成単位が示す複屈折特性の兼ね合いにより決定される。
ラクトン環含有重合体(D)はこれらの特性に基づき、種々の用途に使用できる。用途は、例えば、光学部材である。ラクトン環含有重合体(D)における上述した熱的特性および光学的特性は、光学部材の有利な特徴になりうる。また、ラクトン環含有重合体(D)が、酸の残留による分子量の低下、特性の低下および/または着色が抑制されるとともに、透明性および耐熱性に優れ、かつその形成時および成形加工時におけるゲル化および発泡の発生が抑制されていることも、光学部材の有利な特徴になりうる。光学部材は、例えば、光学レンズ、光学プリズム、光学フィルム、光学ファイバー、光学ディスクである。
光学部材の形状は特に限定されず、例えばフィルム(光学フィルム)である。光学フィルムの具体的な用途は特に限定されず、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどの画像表示装置に用いられる複屈折フィルム、位相差フィルム、視野角補償フィルム、光拡散フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、画素部(発光部)保護フィルム、偏光子保護フィルム、紫外線吸収フィルムである。
ラクトン環含有重合体(D)のその他の用途は、例えば、看板・ディスプレイ、弱電・工業部品、感光性電子材料、自動車を中心とする車輌部品、建材・店装、コーティング材料、脱塗装用保護フィルム、照明器具、大型水槽、ミラー、繊維、文具、テーブルウェアなどの雑貨類、化粧品、食品などである。
ラクトン環含有重合体(D)は、用途に応じて様々な形状に成形できる。成形可能な形状は、例えば、フィルム、シート、プレート、ディスク、ブロック、ボール、レンズ、ロッド、ストランド、コードおよびファイバーである。ラクトン環含有重合体(D)をこれらの形状に成形する方法は、公知の方法に従えばよい。
ラクトン環含有重合体(D)は単独で使用しても、ラクトン環含有重合体(D)と、他の重合体および/または添加剤とを含む樹脂組成物(E)として使用してもよい。
他の重合体は限定されないが、光学部材といった透明性が要求される用途に樹脂組成物(E)を使用する場合は、ラクトン環含有重合体(D)と他の重合体とが互いに相溶する必要があることに留意する。他の重合体は、例えば、熱可塑性重合体である。他の重合体の具体例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)などのオレフィン系ポリマー;塩化ビニル、塩素化ビニル樹脂などの含ハロゲン系ポリマー;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体などのスチレン系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートなどの生分解性ポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610などのポリアミド;ポリアセタール;ポリカーボネート;セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロース系ポリマー;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルニトリル;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリオキシペンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴムを配合したABS樹脂やASA樹脂などのゴム質重合体である。
添加剤は、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、耐電防止剤、可塑剤、流動化剤、着色剤、染料、難燃剤、フィラーである。
樹脂組成物(E)は、2種以上の他の重合体および/または2種以上の添加剤を含んでいてもよい。
樹脂組成物(E)におけるラクトン環含有重合体(D)の含有率は、樹脂組成物(E)として求められる特性に応じて自由に設定できる。ラクトン環含有重合体(D)は、樹脂組成物(E)の主成分であってもよい。主成分とは、樹脂組成物中で最も含有率が大きい成分をいう。主成分の含有率は、例えば、50質量%以上であり、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、さらには90質量%以上でありうる。
樹脂組成物(E)における他の重合体の含有率は、樹脂組成物(E)として求められる特性に応じて自由に設定できる。樹脂組成物(E)における他の重合体の含有率の合計は、例えば50質量%以下であり、40質量%以下でありうる。樹脂組成物(E)における添加剤の含有率も、樹脂組成物(E)として求められる特性に応じて自由に設定できる。樹脂組成物(E)における添加剤の含有率の合計は、ラクトン環含有重合体(D)100質量部に対して、例えば5質量部以下である。
樹脂組成物に含まれる各重合体の含有率は、公知の手法、例えば1H−NMR法および/またはIR法により評価できる。
樹脂組成物(E)の形成方法は限定されない。例えば、ラクトン環含有重合体(D)と、上記他の重合体および/または添加剤とを公知の混合方法で混合して形成できる。混合は、例えば、オムニミキサーなどの混合機でプレブレンドした後、得られた混合物を混練して実施できる。混練機は特に限定されず、例えば、単軸押出機、二軸押出機などの押出機や加圧ニーダーなど、公知の混練機を使用できる。樹脂組成物(E)は、第2の製造方法で形成したラクトン環含有重合体(D)を含む。このため、樹脂組成物(E)についても、その形成時および成形加工時におけるゲル化および発泡の発生を抑制できる。
樹脂組成物(E)は、ラクトン環含有重合体(D)をはじめ、当該組成物(E)が含む重合体および添加剤の種類および含有率に基づく特性を有する。特性は、例えば、上述した熱的特性、光学的特性である。樹脂組成物(E)は、例えば、高いTgを示す。樹脂組成物(E)のTgは、例えば、100℃以上であり、当該組成物に含まれるラクトン環含有重合体(D)の含有率によっては、120℃以上、130℃以上、さらには150℃以上となりうる。樹脂組成物(E)ではこのような高いTgが、その形成時および成形加工時におけるゲル化および発泡の発生を抑制しながら達成される。
樹脂組成物(E)は、ラクトン環含有重合体(D)と同様の用途に使用できる。
ラクトン環含有重合体(D)または樹脂組成物(E)を成形加工して、樹脂成形体(F)を形成できる。樹脂成形体(F)は、ラクトン環含有重合体(D)または樹脂組成物(E)により構成される。
樹脂成形体(F)の形状は限定されず、例えば、フィルム、シート、プレート、ディスク、ブロック、ボール、レンズ、ロッド、ストランド、コード、またはファイバーである。
樹脂成形体(F)は、当該成形体を構成するラクトン環含有重合体(D)または樹脂組成物(E)の特性に基づく特性を有する。
樹脂成形体(F)の用途は、ラクトン環含有重合体(D)および樹脂組成物(E)の用途と同様である。
樹脂成形体(F)の形成方法は限定されない。溶融押出法、キャスト法、プレス成形法などの公知の成形手法によりラクトン環含有重合体(D)または樹脂組成物(E)を成形して、樹脂成形体(F)を形成することができる。
樹脂成形体(F)は、ラクトン環含有重合体(D)または樹脂組成物(E)の特性に基づく特性を有する。特性は、例えば、上述した熱的特性、光学的特性である。そして、樹脂成形体(F)ではゲル化および発泡の発生が抑制されており、これは樹脂成形体(F)の光学部材としての使用に特に有利な点となる。ゲルおよび発泡は、光学部材としての重大な欠陥である光学的欠点となるからである。
実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
本実施例では、第2の製造方法によりラクトン環含有重合体を作製するとともに、作製した当該ラクトン環含有重合体と、環化反応の前駆重合体である共重合体(C)に対する保護基の脱離を従来の脱離方法と同様に過剰の酸を用いて進行させて得た比較例のラクトン環含有重合体との間で、特性(分子量、応力光学係数Crおよび着色度YI)の対比を行った。
最初に、本実施例において作製した各重合体の評価方法を示す。
[共重合体(C)における、保護基によりヒドロキシ基が保護されたRHMA誘導体単位の含有率]
共重合体(C)における、保護基(テトラメチルシリル(TMS)基)によりヒドロキシ基が保護されたRHMA誘導体単位の含有率は、共重合体(C)に対して1H−NMR測定を行い、得られた1H−NMRプロファイルの面積比から求めた。1H−NMR測定には、核磁気共鳴分光計(BRUKER製、AV300M)を用い、測定溶媒には重クロロホルム(和光純薬製)を用いた。共重合体(C)が重クロロホルムに不溶の場合は、重ジメチルホルムアミド(和光純薬製)を用いた。
共重合体(C)における、保護基(テトラメチルシリル(TMS)基)によりヒドロキシ基が保護されたRHMA誘導体単位の含有率は、共重合体(C)に対して1H−NMR測定を行い、得られた1H−NMRプロファイルの面積比から求めた。1H−NMR測定には、核磁気共鳴分光計(BRUKER製、AV300M)を用い、測定溶媒には重クロロホルム(和光純薬製)を用いた。共重合体(C)が重クロロホルムに不溶の場合は、重ジメチルホルムアミド(和光純薬製)を用いた。
[ガラス転移温度(Tg)]
作製したラクトン環含有重合体のTgは、JIS K7121の規定に準拠して求めた。具体的には、示差走査熱量計(リガク製、Thermo plus EVO DSC−8230)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを常温から300℃まで昇温(昇温速度20℃/分)して得られたDSC曲線から、始点法により評価した。リファレンスにはα−アルミナを用いた。
作製したラクトン環含有重合体のTgは、JIS K7121の規定に準拠して求めた。具体的には、示差走査熱量計(リガク製、Thermo plus EVO DSC−8230)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを常温から300℃まで昇温(昇温速度20℃/分)して得られたDSC曲線から、始点法により評価した。リファレンスにはα−アルミナを用いた。
[重量平均分子量]
共重合体(C)および作製したラクトン環含有重合体の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、標準ポリスチレン換算にて、以下の測定条件により求めた。
測定システム:東ソー社製「GPCシステムHLC−8220」
展開溶媒:N,N-ジメチルホルアミド(和光純薬工業製、特級)
溶媒流量:1mL/分
標準試料:TSK標準ポリスチレン(東ソー社製「PS−オリゴマーキット」)
測定側カラム構成:ガードカラム(東ソー社製「TSK guardcolumn ALPHA」)、分離カラム(東ソー社製「TSK Gel ALPHA−5000」、「TSK Gel ALPHA−2500」)、2本直列接続
共重合体(C)および作製したラクトン環含有重合体の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、標準ポリスチレン換算にて、以下の測定条件により求めた。
測定システム:東ソー社製「GPCシステムHLC−8220」
展開溶媒:N,N-ジメチルホルアミド(和光純薬工業製、特級)
溶媒流量:1mL/分
標準試料:TSK標準ポリスチレン(東ソー社製「PS−オリゴマーキット」)
測定側カラム構成:ガードカラム(東ソー社製「TSK guardcolumn ALPHA」)、分離カラム(東ソー社製「TSK Gel ALPHA−5000」、「TSK Gel ALPHA−2500」)、2本直列接続
[応力光学係数Cr]
作製したラクトン環含有重合体の応力光学係数Cr(測定波長590nm)は、以下のようにして求めた。
作製したラクトン環含有重合体の応力光学係数Cr(測定波長590nm)は、以下のようにして求めた。
最初に、作製した重合体を熱プレスにより製膜して、当該重合体の未延伸フィルム(厚さ150μm)を得た。次に、作製した未延伸フィルムをサイズ20mm×60mmで切り出して、Cr評価用の試験片を得た。次に、試験片の一方の短辺に、延伸の際、当該試験片に1N/mm2以下の応力が加わる重量の錘を選択して取り付けた後、評価対象である重合体のTg+3℃に保持した定温乾燥機(アズワン製、DOV−450A)に収容し、1時間放置した。試験片を定温乾燥機に収容する際には、試験片の他方の短辺をチャックにより固定し、錘により試験片に加わった応力によって試験片がその長辺方向(鉛直方向)に自由端一軸延伸されるようにした。また、収容する際、試験片におけるチャック−錘間の距離を40mmとした。
1時間の加熱延伸後、乾燥機のヒーターを切り、そのまま試験片を乾燥機内で自然に徐冷させた。オーブン内の温度が重合体のTg−40℃に達した時点で試験片(一軸延伸フィルム)を取り出し、取り出した試験片の厚さおよび波長590nmの光に対する面内位相差Reを測定して、当該試験片の面内複屈折Δnを算出した。これとは別に、錘の荷重によって延伸された後の試験片の断面積を求め、当該断面積と錘の荷重とから、フィルムに印加された応力σ(Pa)を計算した。錘の重量を変化させながら、それぞれの荷重についてΔnおよびσを求め、得られたσに対するΔnの傾きを最小二乗法により求めて、これを応力光学係数Cr(Pa-1)とした。面内位相差Reを測定する際の配向角が延伸方向(荷重印加方向)に対して0°近傍の場合、応力光学係数Crの符号は正となる。この場合、評価対象である重合体の固有複屈折は正である。一方、配向角が延伸方向に対して90°近傍の場合、応力光学係数Crの符号は負となる。この場合、評価対象である重合体の固有複屈折は負である。Crの絶対値が大きいほど、延伸による複屈折の発現性が高くなる。
試験片の面内位相差Re(nm)は、位相差測定装置(王子計測機器製、KOBRA−WR)を用いて求めた。面内位相差Reは、試験片(フィルム)面内の遅相軸方向(フィルム面内において最大の屈折率を示す方向)の屈折率nx、同面内の進相軸方向(遅相軸方向と直交する方向)の屈折率ny、およびフィルムの厚さd(nm)を用いて、式(nx−ny)×dにより示される値である。nx−nyの値が面内複屈折Δnに相当する。
[着色度YI]
作製したラクトン環含有重合体の着色度YIは、当該重合体を濃度15質量%となるようにクロロホルムに溶解し、得られた溶液の着色度YIを測色色差計(日本電色工業製、ZE6000)で求めることにより評価した。
作製したラクトン環含有重合体の着色度YIは、当該重合体を濃度15質量%となるようにクロロホルムに溶解し、得られた溶液の着色度YIを測色色差計(日本電色工業製、ZE6000)で求めることにより評価した。
(製造例1:RHMA誘導体の作製)
製造例1では、重合により単位(A)となる、保護基であるTMS基によりヒドロキシ基が保護された2−ヒドロキシメチルアクリル酸誘導体(RHMA−TMS)を作製した。
製造例1では、重合により単位(A)となる、保護基であるTMS基によりヒドロキシ基が保護された2−ヒドロキシメチルアクリル酸誘導体(RHMA−TMS)を作製した。
最初に、内容積300mLの三口フラスコに滴下漏斗、冷却管および温度計を取り付け、そこにRHMA単量体(160mmol、18.6g)、塩基としてトリエチルアミン(320mmol、32.4g)、および溶媒としてジクロロメタン100mLを投入した。次に、フラスコを氷水につけて全体を冷却した後、滴下漏斗を介して、クロロトリメチルシラン(TMS−Cl;320mmol、34.1g)を30分かけて滴下した。滴下終了後、フラスコ内の収容物を室温で一晩撹拌した。次に、フラスコ内の反応液を300mLの水に投入し、有機層をジクロロメタンにより抽出した。抽出した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒を留去した。このようにして得た褐色の液体をシリカゲルクロマトグラフィーにより単離して、RHMA−TMS単量体22g(117mmol)を収率73%で得た。
(製造例2:共重合体(C−1)の作製)
製造例1で作製したRHMA−TMS単量体と、メタクリル酸メチル(MMA)単量体とを共重合して、単位(A)であるRHMA−TMS単位と単位(B)であるMMA単位とを構成単位として有する共重合体(C−1)を作製した。
製造例1で作製したRHMA−TMS単量体と、メタクリル酸メチル(MMA)単量体とを共重合して、単位(A)であるRHMA−TMS単位と単位(B)であるMMA単位とを構成単位として有する共重合体(C−1)を作製した。
具体的には、内容積100mLの耐圧チューブ内に、製造例1で作製したRHMA−TMS単量体(1.4mmol、2.64g)と、MMA(1.15mmol、1.15g)単量体とを投入した後、開始剤として7.6mgのAIBN、および溶媒として2.5gのトルエンをさらに投入した。次に、チューブ内を2分間窒素バブリングした後、チューブを密閉して65℃のオイルバスに8時間浸漬させた。次に、チューブの内容物をクロロホルムに溶解させ、さらにヘキサンで再沈殿させた後、溶媒を除去した。このようにしてRHMA−TMS単量体とMMA単量体との共重合を進行させ、RHMA−TMS/MMA共重合体である白色固体の共重合体(C−1)を得た。共重合体(C−1)におけるRHMA−TMS単位の含有率を1H−NMRにより評価したところ、50モル%であった。また、共重合体(C−1)の重量平均分子量は14.9万であった。
(製造例3:共重合体(C−2)の作製)
耐圧チューブに投入したMMA単量体の量を2.1mmol(2.1g)、AIBNの量を9.5mg、トルエンの量を3.2gとした以外は製造例2と同様にして、RHMA−TMS/MMA共重合体である白色固体の共重合体(C−2)を得た。共重合体(C−2)におけるRHMA−TMS単位の含有率を1H−NMRにより評価したところ、36モル%であった。また、共重合体(C−2)の重量平均分子量は20.2万であった。
耐圧チューブに投入したMMA単量体の量を2.1mmol(2.1g)、AIBNの量を9.5mg、トルエンの量を3.2gとした以外は製造例2と同様にして、RHMA−TMS/MMA共重合体である白色固体の共重合体(C−2)を得た。共重合体(C−2)におけるRHMA−TMS単位の含有率を1H−NMRにより評価したところ、36モル%であった。また、共重合体(C−2)の重量平均分子量は20.2万であった。
(製造例4:共重合体(C−3)の作製)
耐圧チューブに投入したMMA単量体の量を5.97mmol(6.0g)、AIBNの量を17.3mg、トルエンの量を5.8gとした以外は製造例2と同様にして、RHMA−TMS/MMA共重合体である白色固体の共重合体(C−3)を得た。共重合体(C−3)におけるRHMA−TMS単位の含有率を1H−NMRにより評価したところ、17モル%であった。また、共重合体(C−3)の重量平均分子量は24.9万であった。
耐圧チューブに投入したMMA単量体の量を5.97mmol(6.0g)、AIBNの量を17.3mg、トルエンの量を5.8gとした以外は製造例2と同様にして、RHMA−TMS/MMA共重合体である白色固体の共重合体(C−3)を得た。共重合体(C−3)におけるRHMA−TMS単位の含有率を1H−NMRにより評価したところ、17モル%であった。また、共重合体(C−3)の重量平均分子量は24.9万であった。
(実施例1)
実施例1では、製造例2で作製した共重合体(C−1)に対して第2の製造方法に基づき保護基(TMS基)の脱離反応および環化反応を進行させて、ラクトン環含有重合体を得た。
実施例1では、製造例2で作製した共重合体(C−1)に対して第2の製造方法に基づき保護基(TMS基)の脱離反応および環化反応を進行させて、ラクトン環含有重合体を得た。
具体的には、内容積100mLの三口フラスコに滴下漏斗、冷却管および温度計を取り付けた後、製造例2で作製した共重合体(C−1)2gをフラスコ内でメチルエチルケトン(MEK)18mLに溶解させた。次に、フラスコ内に6mgのパラトルエンスルホン酸および0.23gのメタノールを加え、全体を80℃に保持したオイルバスに漬けて1時間の加熱撹拌を行った。撹拌後、フラスコ内の液体をオートクレーブに移して窒素置換した後、250℃に保持したオイルバスを用いて1時間加熱処理した。次に、加熱処理後の液体を室温まで冷却した後、5mLのジメチルアセトアミド(DMAc)を加えて溶解させ、さらに240℃に保持した真空オーブンで乾燥させて、ラクトン環含有重合体(D−1)を得た。この反応では、脱離反応と環化反応とが併せて進行する。より具体的には、脱離反応により形成された、保護基が脱離した共重合体(C)において、保護基の脱離後、速やかに環化反応が進行する。反応系に加えたパラトルエンスルホン酸の量は、共重合体(C)が含有する全TMS基に対して0.6モル%であった。
このようにして得たラクトン環含有重合体(D−1)の重量平均分子量は10.2万、Tgは185℃、Crは150×10-11Pa-1、YIは3.9であった。
(比較例1)
比較例1では、製造例2で作製した共重合体(C−1)に対して、保護基の脱離反応に用いる酸の量を増加させて脱離反応および環化反応を進行させ、ラクトン環含有重合体を得た。ただし比較例1では、最終的にラクトン環含有重合体を得るまでに、残留する酸の量を低減させるための再沈殿処理を実施した。
比較例1では、製造例2で作製した共重合体(C−1)に対して、保護基の脱離反応に用いる酸の量を増加させて脱離反応および環化反応を進行させ、ラクトン環含有重合体を得た。ただし比較例1では、最終的にラクトン環含有重合体を得るまでに、残留する酸の量を低減させるための再沈殿処理を実施した。
具体的には、内容積100mLの三口フラスコに滴下漏斗、冷却管および温度計を取り付けた後、製造例2で作製した共重合体(C−1)2gをフラスコ内でMEK18mLに溶解させた。次に、濃度6NのHCl2.3mLを滴下漏斗よりフラスコ内に滴下した後、フラスコ内の収容物を4時間、室温で撹拌した。撹拌後、フラスコ内の反応物を水で希釈し、析出した白色固体を濾過してテトラヒドロフラン(THF)で洗浄した。このようにして得た固体をDMAcに溶解させ、2−プロパノールで再沈殿させた。次に、再沈殿物から溶媒を乾燥させ、さらに240℃および1時間の加熱処理を施した。次に、冷却後の再沈殿物に5mLのDMAcを加えて溶解させ、さらに240℃に保持した真空オーブンで乾燥させて、ラクトン環含有重合体(G−1)を得た。
このようにして得たラクトン環含有重合体(G−1)の重量平均分子量は6.2万、Tgは187℃、Crは92×10-11Pa-1、YIは11.6であった。
(実施例2)
製造例2で作製した共重合体(C−1)の代わりに製造例3で作製した共重合体(C−2)を用いるとともに、パラトルエンスルホン酸およびメタノールの量をそれぞれ4.3mgおよび0.16gに変更した以外は実施例1と同様にして、ラクトン環含有重合体(D−2)を得た。このようにして得たラクトン環含有重合体(D−2)の重量平均分子量は17.4万、Tgは153℃、Crは123×10-11Pa-1、YIは2.8であった。
製造例2で作製した共重合体(C−1)の代わりに製造例3で作製した共重合体(C−2)を用いるとともに、パラトルエンスルホン酸およびメタノールの量をそれぞれ4.3mgおよび0.16gに変更した以外は実施例1と同様にして、ラクトン環含有重合体(D−2)を得た。このようにして得たラクトン環含有重合体(D−2)の重量平均分子量は17.4万、Tgは153℃、Crは123×10-11Pa-1、YIは2.8であった。
(実施例3)
製造例2で作製した共重合体(C−1)の代わりに製造例3で作製した共重合体(C−2)を用いるとともに、パラトルエンスルホン酸およびメタノールの代わりに濃度1NのHClを0.05mL加えた以外は実施例1と同様にして、ラクトン環含有重合体(D−3)を得た。このようにして得たラクトン環含有重合体(D−3)の重量平均分子量は14.8万、Tgは153℃、Crは118×10-11Pa-1、YIは4.1であった。
製造例2で作製した共重合体(C−1)の代わりに製造例3で作製した共重合体(C−2)を用いるとともに、パラトルエンスルホン酸およびメタノールの代わりに濃度1NのHClを0.05mL加えた以外は実施例1と同様にして、ラクトン環含有重合体(D−3)を得た。このようにして得たラクトン環含有重合体(D−3)の重量平均分子量は14.8万、Tgは153℃、Crは118×10-11Pa-1、YIは4.1であった。
(比較例2)
比較例2では、製造例3で作製した共重合体(C−2)に対して、保護基の脱離反応に用いる酸の量を増加させて脱離反応および環化反応を進行させ、ラクトン環含有重合体を得た。ただし比較例2では、比較例1とは異なり、残留する酸の量を低減させるための再沈殿処理を実施しなかった。
比較例2では、製造例3で作製した共重合体(C−2)に対して、保護基の脱離反応に用いる酸の量を増加させて脱離反応および環化反応を進行させ、ラクトン環含有重合体を得た。ただし比較例2では、比較例1とは異なり、残留する酸の量を低減させるための再沈殿処理を実施しなかった。
具体的には、内容積100mLの三口フラスコに滴下漏斗、冷却管および温度計を取り付けた後、製造例3で作製した共重合体(C−2)2gをフラスコ内でMEK18mLに溶解させた。次に、濃度6NのHCl1.7mLを滴下漏斗よりフラスコ内に滴下した後、フラスコ内の収容物を4時間、室温で撹拌した。撹拌後、フラスコ内の液体をオートクレーブに移して窒素置換した後、250℃に保持したオイルバスを用いて1時間加熱処理した。次に、加熱処理後の液体を室温まで冷却した後、5mLのDMAcを加えて溶解させ、さらに240℃に保持した真空オーブンで乾燥させて、ラクトン環含有重合体(G−2)を得た。
このようにして得たラクトン環含有重合体(G−2)の重量平均分子量は3.8万、Tgは152℃、YIは15.1であった。なお、重合体(G−2)を熱プレスして形成したフィルムの強度が低かったため、重合体(G−2)のCrを求めることができなかった。
(比較例3)
製造例2で作製した共重合体(C−1)の代わりに製造例3で作製した共重合体(C−2)を用いるとともに、濃度6NのHClの量を1.7mLに変更した以外は比較例1と同様にして、ラクトン環含有重合体(G−3)を得た。このようにして得たラクトン環含有重合体(G−3)の重量平均分子量は10.4万、Tgは155℃、Crは82×10-11Pa-1、YIは10.6であった。
製造例2で作製した共重合体(C−1)の代わりに製造例3で作製した共重合体(C−2)を用いるとともに、濃度6NのHClの量を1.7mLに変更した以外は比較例1と同様にして、ラクトン環含有重合体(G−3)を得た。このようにして得たラクトン環含有重合体(G−3)の重量平均分子量は10.4万、Tgは155℃、Crは82×10-11Pa-1、YIは10.6であった。
(実施例4)
製造例2で作製した共重合体(C−1)の代わりに製造例4で作製した共重合体(C−3)を用いるとともに、パラトルエンスルホン酸およびメタノールの量をそれぞれ2.6mgおよび0.08gに変更した以外は実施例1と同様にして、ラクトン環含有重合体(D−4)を得た。このようにして得たラクトン環含有重合体(D−4)の重量平均分子量は22.2万、Tgは132℃、Crは47×10-11Pa-1、YIは2.1であった。
製造例2で作製した共重合体(C−1)の代わりに製造例4で作製した共重合体(C−3)を用いるとともに、パラトルエンスルホン酸およびメタノールの量をそれぞれ2.6mgおよび0.08gに変更した以外は実施例1と同様にして、ラクトン環含有重合体(D−4)を得た。このようにして得たラクトン環含有重合体(D−4)の重量平均分子量は22.2万、Tgは132℃、Crは47×10-11Pa-1、YIは2.1であった。
(比較例4)
製造例2で作製した共重合体(C−1)の代わりに製造例4で作製した共重合体(C−3)を用いるとともに、濃度6NのHClの量を1mLに変更した以外は比較例1と同様にして、ラクトン環含有重合体(G−4)を得た。このようにして得たラクトン環含有重合体(G−4)の重量平均分子量は12.6万、Tgは133℃、Crは33×10-11Pa-1、YIは10.1であった。
製造例2で作製した共重合体(C−1)の代わりに製造例4で作製した共重合体(C−3)を用いるとともに、濃度6NのHClの量を1mLに変更した以外は比較例1と同様にして、ラクトン環含有重合体(G−4)を得た。このようにして得たラクトン環含有重合体(G−4)の重量平均分子量は12.6万、Tgは133℃、Crは33×10-11Pa-1、YIは10.1であった。
実施例1−4および比較例1−4の結果を以下の表1にまとめる。
表1に示すように、同一の共重合体(C)を用いた実施例1および比較例1、実施例2〜3および比較例2〜3、ならびに実施例4および比較例4の間の関係では、いずれの場合も比較例の方が、得られたラクトン環含有重合体の重量平均分子量およびCrが低下し、YIが増大した。また、再沈殿の有無に違いがある比較例2および比較例3では、酸を除去するための再沈殿を行った比較例3の方が、得られたラクトン環含有重合体の重量平均分子量およびCrの低下の程度、ならびにYIの増加の程度が小さかったが、やはり、同一の共重合体(C)を用いた実施例2〜3のラクトン環含有重合体に比べると重量平均分子量および特性Crの低下ならびにYIの増大が免れないことが確認された。
第1の製造方法は、ヒドロキシ基を有する種々の化合物の製造に利用できる。第2の製造方法により得たラクトン環含有重合体は、従来のラクトン環含有重合体と同様の用途に使用できる。
Claims (12)
- 保護基であるケイ素系基またはアセタール系基により保護されたヒドロキシ基を含有する前駆化合物と、前記保護基に対して0.001モル%〜50モル%の酸とを混合して前記保護基を前記前駆化合物から脱離させ、前記ヒドロキシ基を含有する化合物を得る、ヒドロキシ基を含有する化合物の製造方法。
- 前記前駆化合物および前記化合物が重合体である請求項1に記載のヒドロキシ基を含有する化合物の製造方法。
- 前記保護基の脱離を、前記前駆化合物、前記酸および前記化合物を溶解する溶液系にて行う請求項1または2に記載のヒドロキシ基を含有する化合物の製造方法。
- 前記酸が有機酸である請求項1〜3のいずれかに記載のヒドロキシ基を含有する化合物の製造方法。
- 前記保護基の脱離を極性溶媒の存在下で行う請求項1〜4のいずれかに記載のヒドロキシ基を含有する化合物の製造方法。
- 前記極性溶媒が、水およびアルコールから選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載のヒドロキシ基を含有する化合物の製造方法。
- 前記極性溶媒の量が、前記保護基に対して0.1モル%〜10000モル%である請求項5または6に記載のヒドロキシ基を含有する化合物の製造方法。
- 前記保護基が、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、トリイソプロピルシリル基、メトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、エトキシエチル基、メトキシエチル基、メチルチオメチル基、ベンゾイロキシメチル基、およびメトキシエトキシメチル基から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜7のいずれかに記載のヒドロキシ基を含有する化合物の製造方法。
- 前記前駆化合物が、前記保護基により保護されたヒドロキシ基を含有するアクリル酸エステル単位(A)と、ヒドロキシ基を含有しない(メタ)アクリル酸エステル単位(B)とを構成単位として有する共重合体(C)である請求項1〜8のいずれかに記載のヒドロキシ基を含有する化合物の製造方法。
- 前記保護基を脱離させて得た前記化合物が、前記単位(B)および前記保護基が脱離した前記単位(A)間で進行するラクトン環化反応の反応前駆体である請求項9に記載のヒドロキシ基を含有する化合物の製造方法。
- 保護基であるケイ素系基またはアセタール系基により保護されたヒドロキシ基を含有するアクリル酸エステル単位(A)と、ヒドロキシ基を含有しない(メタ)アクリル酸エステル単位(B)とを構成単位として有する共重合体(C)と、前記保護基に対して0.001モル%〜50モル%の酸とを混合して前記保護基を前記共重合体(C)から脱離させる脱離反応と、前記単位(B)および前記保護基が脱離した前記単位(A)間の環化反応とを進行させて、主鎖にラクトン環構造を有する重合体を得る、ラクトン環含有重合体の製造方法。
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