JP5019736B2 - アクリル系透明性フィルム又はシート - Google Patents

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本発明は、アクリル系透明性フィルム又はシートに関する。より詳しくは、光学フィルムに好適に用いられるアクリル系透明性フィルム又はシートに関する。
PMMA(ポリメタクリル酸メチル)に代表されるアクリル樹脂は、光学性能に優れていることから、高い光線透過率や低複屈折率、低位相差の光学等方材料への適応が期待されていた。しかし、近年、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)等のフラットディスプレイや赤外線センサー、光導波路等の進歩に伴い、光学用透明高分子材料、特にフィルム等の光学用透明高分子材料に対する適応の要請が高まっている。フィルム状の光学用透明高分子に要求される特性としては、まず、透明性、光学等方性が高いことが挙げられ、それらと供に耐熱性も要求される。しかしながら、従来の光学用透明高分子材料からなる光学フィルムは、これらの特性を充分に満足させるものではなかった。
一方、透明性と耐熱性とを供に兼ね備えた熱可塑性樹脂としては、分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体をラクトン環化縮合反応させることによって得られるラクトン環含有重合体(例えば、特許文献1〜4参照。)や、マレイミド類を共重合したマレイミド共重合体(例えば、特許文献5参照。)が知られている。しかしながら、これらは、耐熱性は充分高いものの、特にフィルムとした際に割れ等が生じ、機械的強度、とりわけ充分な可とう性を得るためには、改善の余地があった。
これに対しては、フィルムを延伸することで、可とう性を付与する試みもなされている(例えば、特許文献6参照。)。しかしながら、この方法は延伸工程を必要とするため、経済性の観点から改善の余地があり、実質的に未延伸の状態でも高い可とう性を有する透明、耐熱性のフィルムが求められていた。
特開2000−230016公報(第1−2頁) 特開2001−151814号公報(第1−2頁) 特開2002−120326公報(第1−2頁) 特開2002−254544号公報(第1−2頁) 特開平9−324016号公報(第1−2頁) 特開2005−162835号公報(第1−2頁)
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、延伸工程を経なくとも、耐熱性が高く、可とう性に優れたアクリル系透明性フィルム又はシートを提供することを目的とするものである。
本発明者等は、耐熱性が高く、可とう性に優れたアクリル系透明性フィルム又はシートについて種々検討したところ、ガラス転移温度が120℃以上のアクリル系樹脂が耐熱性のフィルム又はシートとして有用であることに着目し、厚さ20μm以上のフィルム又はシートとしたとき、25℃、65%RHの雰囲気下、折り曲げ半径1mmにおいて180°折り曲げた際、クラックを生じないようにすると、優れた可とう性を有し、アクリル系透明性フィルム又はシートとして有用であることを見いだした。また、例えば、ガラス転移温度が120℃以上のアクリル系樹脂90〜99.9質量%と、ガラス転移温度が10℃以下の柔軟性樹脂10〜0.1質量%とを含有することにより、巻き取り時に引かれる等以外の特別な延伸工程を経ることのない実質的に未延伸の状態で、更に優れた可とう性を有し、アクリル系透明性フィルム又はシートとして有用であることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。
すなわち本発明は、ガラス転移温度が120℃以上であり、かつ、厚さ20μm以上で未延伸のフィルム又はシートとしたときに、25℃、65%RHの雰囲気下、折り曲げ半径1mmにおいて180°折り曲げた際、クラックを生じないアクリル系透明性フィルム又はシートである。
本発明はまた、ガラス転移温度が120℃以上のアクリル系樹脂90〜99.9質量%と、ガラス転移温度が10℃以下の柔軟性樹脂10〜0.1質量%とを含有するアクリル系透明性フィルム又はシートでもある。
以下に本発明を詳述する。
<アクリル系透明性フィルム又はシート>
本発明のアクリル系透明性フィルム又はシートにおいて、透明性は、例えば、アクリル系透明性フィルム又はシートのヘイズ値が5以下であることが好ましい。5以上であると、光学用途に用いることができないおそれがある。より好ましくは、3以下であり、更に好ましくは2以下、最も好ましくは1以下である。なお、この範囲内にあるものであれば、色相等は問わない。
本発明のアクリル系透明系フィルム又はシートの厚さは、20μm以上であることが好ましい。また、この厚さは、未延伸のフィルム又はシートの厚みであることが好ましい。
上記未延伸とは、実質的に未延伸であることを含むことが好ましい。実質的に未延伸のフィルム又はシートとは、特別な延伸工程を経ていないフィルム又はシートであることを意味する。なお、フィルムの成形工程においては、フィルムを巻き取る際に、巻き取り方向にフィルム又はシートがやや引かれることが避け難いため、延伸倍率が1.1倍以下の場合は、実質的に未延伸とする。より好ましくは、未延伸のアクリル系透明性フィルム又はシートの厚さが20μm以上である。
本発明のアクリル系透明性フィルム又はシートは、25℃、65%RH(relative humidity:相対湿度)の雰囲気下、折り曲げ半径1mmにおいて180°折り曲げた際、クラックを生じないものである。ここで、折り曲げ半径とは、フィルム又はシートの折り曲げの中心から屈曲部の最端部までの距離を意味する。折り曲げ半径1mmにおいて180°折り曲げた際、クラックを生じないアクリル系透明性フィルム又はシートは、取り扱いが非常に容易となり、工業的に有用なものとすることができる。25℃で65%RHの雰囲気下、折り曲げ半径1mmにおいて180°折り曲げた際、クラックを生じるアクリル系透明性フィルム又はシートは、可とう性が不充分であり、フィルムは取り扱いが非常に困難となる。なお、折り曲げ試験は、JISに準拠して行えばよい。例えば、JIS K5400 8.1「耐屈曲性」(財団法人日本規格協会、1994年)に準拠して行うことが好ましい。
上記クラックは、特に限定されず、1mm以上の割れを生じないことが好ましい。
本発明において、25℃で65%RHの雰囲気下、折り曲げ半径1mmにおいて180°折り曲げた際、クラックを生じないという特性を有するアクリル系透明性フィルム又はシートは、フィルム又はシートが折り曲げ部を境界として部分的又は全体的に分離しない(割れない)ことが好ましく、また、分離するに至らない程度に折り曲げ部に微小な割れが生じるようなものであってもよいが、そのような微小な割れが生じないことが好ましい。
<ガラス転移温度が120℃以上のアクリル系樹脂>
本発明のアクリル系透明性フィルム又はシートは、一般に当業者の間では、耐熱フィルムとして認められる点において、120℃以上のガラス転移温度であることが好ましい。120℃未満の場合は、耐熱性フィルムとは認められないおそれがある。
ここで、ガラス転移温度とは、ポリマー分子がミクロブラウン運動を始める温度であり、各種の測定方法があるが、本発明においては、示差走査熱熱量計(DSC)によって、ASTM−D−3418に従って、中点法で求めた温度と定義する。ガラス転移温度が複数観測される場合があるが、本発明では、より吸熱量の大きい、主転移温度を採用するものとする。
上記アクリル系透明性フィルム又はシートは、ガラス転移温度が120℃以上のアクリル系樹脂90〜99.9質量%と、ガラス転移温度が10℃以下の柔軟性樹脂10〜0.1質量%とを含有することが好ましい。
本発明のアクリル系透明性フィルム又はシートは、ガラス転移温度が120℃以上のアクリル系樹脂を90〜99.9質量%含有することが好ましい。
ガラス転移温度が120℃以上のアクリル系樹脂としては、アクリレート単量体を共重合したガラス転移温度が120℃以上の樹脂をいい、具体的には、無水マレイン酸とアクリレートの共重合体、N−置換マレイミドとアクリレートの共重合体、アクリレート共重合体を分子内環化反応によりラクトン環構造を有するポリマー(ラクトン化ポリマー)、アクリレート共重合体を分子内環化反応によりグルタルイミド環構造を有するポリマー(グルタルイミドポリマー)等が挙げられる。
上記アクリレート単量体としては、炭素数1〜18のアルキル基、シクロヘキシル基、及びベンジル基のうちいずれかを有する(メタ)アクリル酸エステルが好適である。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸3−フェニルプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシルエチル等が挙げられる。これらのうち、メタクリル酸メチルが特に好ましい。これらの(メタ)アクリル酸エステルは、一種類を用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
また、これらは耐熱性を損なわない範囲で、共重合可能なその他の成分を共重合した単位を有していてもよい。共重合可能なその他の単量体成分としては、具体的には、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリル等のニトリル系単量体、酢酸ビニル等のビニルエステル等が挙げられる。
上記アクリル系樹脂は、ラクトン環構造を有するポリマーであることが好ましい。更に、ガラス転移温度120℃以上のアクリル系樹脂としては、ラクトン化ポリマーが透明性や色相、その他の光学的性質の上で特に好ましい。
上記ラクトン化ポリマーは、下記一般式(1)で表されるラクトン環構造を有する。
Figure 0005019736
式中、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、又は、炭素数1〜20の有機残基を表す。なお、有機残基は酸素原子を含んでいてもよい。
、R及びRの有機残基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素数が1〜20のアルキル基;エテニル基、プロペニル基等の、炭素数が1〜20の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素数が1〜20の芳香族炭化水素基;上記アルキル基、上記不飽和炭化水素基、上記芳香族炭化水素基の水素原子のひとつ以上が、水酸基で置換された基;上記アルキル基、上記不飽和炭化水素基、上記芳香族炭化水素基の水素のひとつ以上が、カルボキシル基で置換された基;上記アルキル基、不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基の水素のひとつ以上が、エーテル基で置換された基;上記アルキル基、上記不飽和炭化水素基、上記芳香族炭化水素基の水素のひとつ以上が、エステル基で置換された基であることが好ましい。すなわち、炭素数が1〜20のアルキル基、炭素数が1〜20の不飽和脂肪族炭化水素基、炭素数が1〜20の芳香族炭化水素基、又は、これらの基の少なくともひとつ以上が、水酸基、カルボキシル基、エーテル基、若しくは、エステル基で置換された基であることが好ましい。
ラクトン化ポリマー構造中の一般式(1)で表されるラクトン環構造の含有割合の上限は90重量%、下限は5%であり、より好ましい上限は70重量%、下限は10重量%であり、更に好ましい上限は60重量%である。ラクトン環含有重合体構造中の一般式(1)で表されるラクトン環構造の含有割合が5重量%より少ないと、耐熱性、耐溶剤性、表面硬度が不充分になるおそれがある。90重量%より多いと、成形加工性に乏しくなるおそれがある。
<ガラス転移温度が10℃以下の柔軟性樹脂>
本発明のアクリル系透明性フィルム又はシートは、ガラス転移温度が10℃以下の柔軟性樹脂を10〜0.1重量%含有することが好ましい。ガラス転移温度が10℃を超えると、可とう性改良の効果が低くなるおそれがある。より好ましくは、0℃以下である。ガラス転移温度の下限は特に制限されない。なお、汎用の原料から得られるガラス転移温度は、通常−80℃以上である。
上記柔軟性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、エチレンプロピレンゴム等のポリオレフィン類、ブタジエンゴムやエチレンプロピレンゴム又はアクリルゴムに(メタ)アクリル系ポリマー鎖等がグラフトされたグラフトゴム、平均粒子径0.01〜1μmの架橋ゴム粒子、ウレタン系ゴム、熱可塑性ポリウレタン、アクリル系ゴム、アクリル系熱可塑性ポリマー、シロキサン系熱可塑性ポリマー等が挙げられる。
上記アクリル系透明性フィルム又はシートの好ましい形態としては、上記柔軟性樹脂が、シロキサン系熱可塑性ポリマー及びアクリル系熱可塑性ポリマーから選ばれる形態である。更に好ましくは、アクリル系熱可塑ポリマーである。
上記シロキサン系熱可塑性ポリマーは、ポリジメチルシロキサン及びその誘導体、又は、ポリジメチルシロキサンを含んだブロックポリマーを指す。ポリジメチルシロキサンを含んだブロックポリマーは、例えば、ジメチルシロキサンを含んだアゾ系開始剤を用いて重合を行ったり、末端に官能基を有するポリジメチルシロキサンを用いて重合や、ポリマーの変性を行うことで得られる。
上記アクリル系熱可塑性ポリマーは、(メタ)アクリル酸エステル単量体の架橋されていない重合体であり、(メタ)アクリル酸エステル単量体は、本発明の効果を損なわない範囲において、任意に選択できるが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の炭素数が1〜22のアルキル基(アルキル基は、直鎖、分岐鎖でもよい。)を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸フェノキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸イソボルニルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシシリルアルキルエステル等が挙げられる。
上記アクリル系熱可塑性ポリマーは、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な単量体との共重合体でもよく、共重合可能な単量体としては、無水マレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルジアルキルアミド、酢酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルエーテル類、(メタ)アクリルエーテル類、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族系ビニル単量体、エチレン、プロピレン等のα−オレフィンモノマーを用いることができる。これらは、一種又は二種以上を用いることができる。
上記アクリル系熱可塑性ポリマーの重量平均分子量の上限は10000000、下限は10000である。重量平均分子量が10000より低いと、可とう性の改良効果が充分に得られないおそれがあり、10000000よりも高いと粘度が高くなり加工性に問題が生じるおそれがある。より好ましい上限は5000000、下限は50000であり、更に好ましい上限は2000000、下限は100000である。
本発明のアクリル系透明性フィルム又はシートは、耐熱性や光学特性、機械的特性を損なわない範囲であれば、その他の熱可塑性樹脂や添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系,リン系、イオウ系等の酸化防止剤;耐光安定剤、耐候安定性剤、熱安定剤等の安定剤;ガラス繊維、炭素繊維等の補強材;フェニルサリチレート、(2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモン等の難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤等の帯電防止剤;無機顔料;有機顔料;染料等の着色剤;有機フィラーや無機フィラー;樹脂改質剤;有機充填剤や無機充填剤;可塑剤;滑剤等が挙げられる。
光学用面状熱可塑性樹脂成形体中のその他の添加剤の含有割合の好ましい上限は5重量%、下限は0重量%、より好ましい上限は2重量%、更に好ましい上限は0.5重量%である。
本発明のフィルム又はシートの製造方法は、特に限定されないが、例えば、(a)ガラス転移温度が120℃以上のアクリル系樹脂と(b)ガラス転移温度が10℃以下の柔軟性樹脂と、その他の熱可塑樹脂やその他の添加剤等を混合し、予め熱可塑性樹脂組成物としてから、例えば、オムニミキサー等の混合機でブレンドした後、得られた混合物を押出混練する方法等が挙げられる。この場合、押出混練に用いる混練機は、特に限定されず、例えば、単軸押出機、二軸押出機等の押出機や加圧ニーダー等が挙げられる。
好ましい製造方法としては、転移温度が10℃以下の柔軟性樹脂の存在下に、(a)ガラス転移温度が120℃以上のアクリル系樹脂を重合する方法があり、このようにアクリル系透明性フィルム又はシートを製造すると、(b)ガラス転移温度が10℃以下の柔軟性樹脂が、微細に分散し、透明性や機械的強度の優れたフィルムが得られやすくなる。
フィルム又はシートの形成方法としては、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法等が挙げられる。これらの中でも、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法が好ましい。この際、上述したように予め押出混練した熱可塑性樹脂組成物を用いてもよいし、ラクトン環含有重合体と、その他の熱可塑性樹脂やその他の添加剤等を別々に溶液に溶解して均一な混合液とした後、溶液キャスト法(溶液流延法)や溶融押出法のフィルム成形工程に供してもよい。
上記溶液キャスト法(溶液流延法)に用いられる溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン等の塩素系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン、及びこれらの混合溶媒等の芳香族系溶媒;メタノール、エタノール,イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール等のアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、ジオキサン、シクロヘキシサノン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、ジエチルエーテル;等が挙げられる。これらの溶媒は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
上記溶液キャスト法(溶液流延法)を行うための装置としては、例えば、ドラム式キャスティングマシン、バンド式キャスティングマシン、スピンコーター等が挙げられる。
上記溶融押出法としては、Tダイ法、インフレーション法等が挙げられ、その際の、フィルムの成形温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。
上記Tダイ法でフィルム成形する場合は、単軸押出し機や二軸押出し機の先端部にTダイを取り付け、フィルム状に押し出したフィルムを巻き取りロール状のフィルムを得ることができる。この際、巻き取りロールの温度を適宜調整して、押し出し方向に延伸を加えることで、一軸延伸工程とすることも可能である。また、押出し方向と垂直な方向にフィルムを延伸する工程を加えることで、逐次二軸延伸、同時二軸延伸等の工程を加えることも可能である。
本発明の光学フィルムは、未延伸フィルムであることが好ましいが、延伸フィルムであってもよい。延伸する場合は、一軸延伸フィルムでも良いし、二軸延伸フィルムでもよい。二軸延伸した場合は、機械強度が向上し、フィルム性能が向上する。本発明の光学フィルムは、その他の熱可塑性樹脂を混合することにより、延伸しても位相差の増大を抑制することができ、光学等方性を保つことができる。
延伸温度としては、フィルム原料の熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度である(ガラス転移温度−30)℃〜(ガラス転移温度+100)℃で行うことが好ましい。(ガラス転移温度−30)℃よりも低いと、充分な延伸倍率が得られないおそれがある。(ガラス転移温度+100)℃よりも高いと、樹脂の流動(フロー)が起こり安定な延伸が行えなくなるおそれがある。より好ましくは、(ガラス転移温度−20)℃〜(ガラス転移温度+80)℃である。
面積比で定義した延伸倍率は、1.1〜2.5倍の範囲であることが好ましい。1.1倍より小さいと、延伸に伴う靭性の向上につながらないおそれがある。25倍よりも大きいと延倍率を上げるだけの効果が認められないおそれがある。より好ましくは、1.3〜10倍の範囲である。
延伸速度(一方向)の上限は10〜20000%/分であり、下限は10%/分である。10%/分よりも遅いと、充分な延伸倍率を得るために時間がかかり、製造コストが高くなるおそれがある。20000%/分よりも速いと、延伸フィルムの破断等が起こるおそれがある。より好ましい上限は10000%/分、下限は100%/である。なお、フィルムの光学等方性や力学特性を安定化させるため、延伸処理後に熱処理後に熱処理(アニーリング)等を行うこともできる。
本発明のアクリル系透明性フィルム又はシートは、上述の構成よりなり、耐熱性及び透明性が高く、可とう性に優れたものであり、また、未延伸又は実質的に未延伸であることから、製造コストの低減を図ることができるため、工業的に、液晶表示装置、プラズマディスプレイ等のフラットディスプレイや赤外線センサー、光導波路等の進歩に伴って求められている光学用透明高分子材料として有用なものである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「L」は「リットル」を意味するものとする。
<重合反応率、重合体組成分析>
重合反応時の反応率及び重合体中の特定単量体単位の含有率は、得られた重合反応混合物中の未反応の単量体の量をガスクロマトグラフィー(島津製作所製、装置名:GC17A)を用いて測定して求めた。
<ダイナミックTG>
重合体又は重合体溶液中のペレットをテトラヒドロフランに溶解又は希釈し、過剰のヘキサン又はメタノールへ投入して再沈殿を行い、取り出した沈殿物を真空乾燥(1mmHg、(1.33hPa)、80℃、3時間以上)することによって、揮発成分等を除去し、得られた白色固形状の樹脂を以下の方法で(ダイナミックTG)により、分析した。
測定装置:Thrmo Plus2 TG−8120 Dynamic TG((株)リガク社製)
測定条件:試料量 5〜10mg
昇温速度:10℃/min
雰囲気:窒素フロー 200ml/min
方法:階段状等温制御法(60〜500℃の間で重量減少速度値0.005%/sec以下で制御)
<脱アルコール反応率とラクトン環構造の占める割合>
脱アルコール反応率を、重合で得られた重合体組成から全ての水酸基がメタノールとして脱アルコールした際に起こる重量減少量を基準にし、ダイナミックTG測定において、重量減少が始まる前の150℃から重合体の分解が始まる前の300℃までの脱アルコール反応による重量減少から求めた。
すなわち、ラクトン環構造を有した重合体のダイナミックTG測定において、150℃から300℃までの間の重量減少率の測定を行い、得られた実測重量減少率を(X)とする。
他方、該重合体の組成から、その重合体組成に含まれる全ての水酸基がラクトン環の形成に関与するため、アルコールになり、脱アルコールすると仮定した時の理論重量減少率(すなわち、その組成上において、100%脱アルコール反応が起きたと仮定して算出した重量減少率)を(Y)とする。なお、理論重量減少率(Y)は、より具体的には、重合体中の脱アルコール反応に関与する構造(水酸基)を有する原料単量体のモル比、すなわち、重合体組成における原料単量体の含有率から算出することができる。これらの値(X、Y)を脱アルコール計算式:
1−(実測重量減少率(X)/理論重量減少率(Y))
に代入してその値を求め、%で表記すると、脱アルコール反応率が得られる。そして、この脱アルコール反応率だけ所定のラクトン環化が行われたものとして、ラクトン環化に関与する構造(水酸基)を有する原料単量体の当該重合体組成における含有量(重量比)に脱アルコール反応率を乗じることで、該重合体中のラクトン環構造の占める割合を算出することができる。
例として、後述の実施例1で得られるペレットにおいて、ラクトン環構造の占める割合を計算する。この重合体の理論重量減少率(Y)を求めてみると、メタノールの分子量は32であり、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの分子量は116であり、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの重合体の含有率(重量比)は、組成上20.0重量%であるから、(32/116)×20.0≒5.52重量%となる。他方、ダイナミックTG測定による実測重量減少率(X)は、0.17重量%であった。これらの値を上記の脱アルコール計算式に当てはめると、1−(0.17/5.52)≒0.969となるので、脱アルコール反応率は96.9%である。そして、重合体では、この脱アルコール反応率分だけ所定のラクトン環化が行われたものとして、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの該重合体中における含有率(20.0重量%)に、脱アルコール反応率(96.9%=0.969)を乗じると、該重合体中のラクトン環構造の占める割合は1.94(20.0×0.969)重量%となる。
<重量平均分子量>
重合体の重量平均分子量は、GPC(東ソー社製GPCシステム)のポリスチレン換算により求めた。展開液は、テトラヒドロフランを用いた。
<樹脂の熱分析>
樹脂の熱分析は、試料約10mg、昇温速度10℃/min,窒素フロー50cc/minの条件で、DSC((株)リガク社製、装置名:DSC−8230)を用いて行った。なお、ガラス転移温度(Tg)は、ASTM−D−3418に従い、中点法で求めた。
<メルトフローレート>
メルトフローレートは、JIS−K6874に基づき、試験温度240℃、荷重10kgで測定した。
<光学特性>
屈折率異方性(リタデーション:Re)は、王子計測器社製KOBRA−21ADHを用いて測定した。可視光透過率は、日本電色工業社製NDH−1001DPを用いて測定した。
(実施例1)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した30L反応釜に、7200gのメタクリル酸メチル(MMA)、1800gの2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、4.5gのトリス(2,4−ジ−ターシャリー−ブチルフェニル)ホスファイト(旭電化工業製、商品名:アデカスタブ2112)、45.0gのポリアクリル酸ブチル(根上工業製、商品面:パラクロンSN−50DR、Tg:−43℃、Mw:80万)、8760gのトルエンを仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温し、還流したところで、開始剤として、9.0gのターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(アクゾ化薬製、商品名:カヤカルボン Bic−75)を添加すると同時に、18.0gのターシャリーブチルオキシイソプロピルカーボネートと162gのトルエンからなる溶液を2時間かけて滴下しながら、還流下(約105〜115℃)で溶液重合を行い、更に4時間かけて熟成を行った。
得られた重合体溶液に、9.0gのリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物(堺化学製、商品名:Phoslex A−18)を加え、還流下(約90〜115℃)で6時間、環化縮合反応を行った。次に、環化縮合反応で得られた重合体溶液を、バレル温度260℃、回転数100rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個のベントタイプスクリュー二軸押出し機(φ=29.75mm、L/D=30)に、樹脂量換算で2.0kg/時間の処理速度で導入し、該押出し機内で環化縮合反応と脱気を行い、押し出すことにより、透明なペレット(1A)を得た。
得られたペレット(1A)について、ダイナミックTGの測定を行ったところ、0.2重量%の重量減少を検知した。また、ペレット(1A)について、ダイナミックTGの測定を行ったところ、0.2重量%の重量平均分子量は150000であり、メルトフローレートは、10.0g/10分、ガラス転移温度は131℃であった。
(実施例2)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した30L反応釜に、7200gのメタクリル酸メチル(MMA)、1800gの2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、4.5gのトリス(2,4−ジ−ターシャリー−ブチルフェニル)ホスファイト(旭電化工業製、商品名:アデカスタブ2112)、8770gのトルエンを仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温し、還流したところで、開始剤として、5.0gのターシャリーパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富製、商品名:ルペロックス570)を添加すると同時に、18.0gのターシャリーパーオキシイソノナノエートと90.0gのポリジメチルシロキサンセグメントを有する高分子アゾ開始剤(和光純薬工業製、商品名:VPS1001、Tg:−121℃、Mw:2万)と108gのトルエンからなる溶液を2時間かけて滴下しながら、還流下(約105〜115℃)で溶液重合を行い、更に4時間かけて熟成を行った。
得られた重合体溶液に、9.0gのリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物(堺化学製、商品名:Phoslex A−18)を加え、還流下(約90〜115℃)で6時間、環化縮合反応を行った。次に、環化縮合反応で得られた重合体溶液を、バレル温度260℃、回転数100rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個のベントタイプスクリュー二軸押出し機(φ=29.75mm、L/D=30)に、樹脂量換算で2.0kg/時間の処理速度で導入し、該押出し機内で環化縮合反応と脱気を行い、押し出すことにより、透明なペレット(2A)
を得た。
得られたペレット(2A)について、ダイナミックTGの測定を行ったところ、0.2重量%の重量減少を検知した。また、ペレットの重量平均分子量は130000であり、メルトフローレートは、13.0g/10分、ガラス転移温度は131℃であった。
(実施例3)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した30L反応釜に、6300gのメタクリル酸メチル(MMA)、450gのスチレン(ST)、450gの2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2II−ベンゾトリアゾール(サイテックケミカル社製、商品名:RUVA−93)、4.5gのトリス(2,4−ジ−ターシャリー−ブチルフェニル)ホスファイト(旭電化工業製、商品名:アデカスタブ2112)、45.0gのポリアクリル酸ブチル(根上工業製、商品名:パラクロンSN−50DR)、8760gのトルエンを仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温し、還流したところで、開始剤として、9.0gのターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(アクゾ化薬製、商品名:カヤカルボン Bic−75)を添加すると同時に、18.0gのターシャリーパーオキシイソナノエート(アルケマ吉富製 商品名:ルペロックス570)と162gのトルエンからなる溶液を2時間かけて滴下しながら、還流下(約105〜115℃)で溶液重合を行い、更に4時間かけて熟成を行った。
得られた重合体溶液に、9.0gのリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物(堺化学製、商品名:Phoslex A−18)を加え、還流下(約90〜115℃)で6時間、環化縮合反応を行った。次に、環化縮合反応で得られた重合体溶液を、バレル温度260℃、回転数100rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個のベントタイプスクリュー二軸押出し機(φ=29.75mm、L/D=30)に、樹脂量換算で2.0kg/時間の処理速度で導入し、該押出し機内で環化縮合反応と脱気を行い、押し出すことにより、透明なペレット(3A)
を得た。
得られたペレット(3A)について、ダイナミックTGの測定を行ったところ、0.2重量%の重量減少を検知した。また、ペレットの重量平均分子量は150000であり、メルトフローレートは、10.0g/10分、ガラス転移温度は129℃であった。
(実施例4)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した30L反応釜に、7200gのメタクリル酸メチル(MMA)、1800gの2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、4.5gのトリス(2,4−ジ−ターシャリー−ブチルフェニル)ホスファイト(旭電化工業製、商品名:アデカスタブ2112)、45.0gのアクリル酸ブチルとスチレンとの共重合体(ガラス転移温度−40℃、重量平均分子量50万)、8760gのトルエンを仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温し、還流したところで、開始剤として、9.0gのターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(アクゾ化薬製、商品名:カヤカルボン Bic−75)を添加すると同時に、18.0gのターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボネートと162gのトルエンからなる溶液を2時間かけて滴下しながら、還流下(約105〜115℃)で溶液重合を行い、更に4時間かけて熟成を行った。
得られた重合体溶液に、9.0gのリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物(堺化学製、商品名:Phoslex A−18)を加え、還流下(約90〜115℃)で6時間、環化縮合反応を行った。次いで、環化縮合反応で得られた重合体溶液を、バレル温度260℃、回転数100rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個のベントタイプスクリュー二軸押出し機(φ=29.75mm、L/D=30)に、樹脂量換算で2.0kg/時間の処理速度で導入し、該押出し機内で環化縮合反応と脱気を行い、押し出すことにより、透明なペレット(4A)
を得た。
得られたペレット(4A)について、ダイナミックTGの測定を行ったところ、0.2重量%の重量減少を検知した。また、ペレットの重量平均分子量は150000であり、メルトフローレートは、10.0g/10分、ガラス転移温度は131℃であった。
(比較例1)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した30L反応釜に、7200gのメタクリル酸メチル(MMA)、1800gの2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、4.5gのトリス(2,4−ジ−ターシャリー−ブチルフェニル)ホスファィト(旭電化工業製、商品名:アデカスタブ2112)、8770gのトルエンを仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温し、還流したところで、開始剤として、9.0gのターシャリーパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富製、商品名:ルペロックス570)を添加すると同時に、18.0gのターシャリーパーオキシイソノナノエート162gのトルエンからなる溶液を2時間かけて滴下しながら、還流下(約105〜115℃)で溶液重合を行い、更に4時間かけて熟成を行った。
得られた重合体溶液に、9.0gのリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物(堺化学製、商品名:Phoslex A−18)を加え、還流下(約90〜115℃)で6時間、環化縮合反応を行った。次に、環化縮合反応で得られた重合体溶液を、バレル温度260℃、回転数100rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個のベントタイプスクリュー二軸押出し機(φ=29.75mm、L/D=30)に、樹脂量換算で2.0kg/時間の処理速度で導入し、該押出し機内で環化縮合反応と脱気を行い、押し出すことにより、透明なペレット(1B)
を得た。
得られたペレット(1B)について、ダイナミックTGの測定を行ったところ、0.2重量%の重量減少を検知した。また、ペレットの重量平均分子量は140000であり、メルトフローレートは、11.0g/10分、ガラス転移温度は131℃であった。
<フィルムの評価>
リップ開度0.4mm、幅150mmのTダイを装着した押出機を用いて、実施例及び比較例で得られたペレット(1A〜3A、1B)を260度で押出し、110℃に温調したロールで引き取ることにより、厚さ100μmの透明で実質的に欠陥を有しないフィルムを得た。得られたフィルムの評価を表1に示した。
Figure 0005019736
(耐折り曲げ性)
実施例1及び2、並びに比較例1で得られた透明フィルムを25℃、65%RHの雰囲気下、折り曲げ半径1mmにおいて180°折り曲げた際、クラックを生じない状態を〇、生じる状態を×として評価した。
(引き裂き性)
実施例1及び2、並びに比較例1で得られた透明フィルムを25℃、65%RHの雰囲気下で、フィルムを手で引き裂き直線状に真っ直ぐ引き裂ける状態を〇、ギザギザに引き裂ける状態を×として評価した。
(カッターカット性)
実施例1及び2、並びに比較例1で得られた透明フィルムを25℃、65%RHの雰囲気下で、フィルムをカッターナイフで切り、カット部に割れが生じずカットできる状態を〇、割れが生じる状態を×として評価した。

Claims (2)

  1. ガラス転移温度が120℃以上のアクリル系樹脂90〜99.9質量%と、シロキサン系熱可塑性ポリマー及びアクリル系熱可塑性ポリマーから選ばれるガラス転移温度が10℃以下の柔軟性樹脂10〜0.1質量%とを含有し、
    ガラス転移温度が120℃以上であり、かつ、厚さ20μm以上で未延伸のフィルム又はシートとしたときに、25℃、65%RHの雰囲気下、折り曲げ半径1mmにおいて180°折り曲げた際、クラックを生じないことを特徴とするアクリル系透明性フィルム又はシート。
  2. 前記アクリル系樹脂は、ラクトン環構造を有するポリマーであることを特徴とする請求項1に記載のアクリル系透明性フィルム又はシート。
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