JP2017063801A - 挿入装置 - Google Patents

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康弘 岡本
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Abstract

【課題】挿入部に動作部が設けられる、又は、挿入部に動作部が取付けられる挿入装置において、動作部の動作が停止する原因を適切に認識可能な挿入装置を提供すること。
【解決手段】挿入装置は、操作入力部での操作の入力に基づいて、駆動源への電力の供給状態を制御する電力制御部と、動作部に接続された状態で作動部材が作動されることにより、駆動力を前記動作部に伝達する駆動力伝達ユニットと、を備える。前記挿入装置は、 前記駆動源への負荷に対応して変化する前記駆動源の駆動状態、及び、前記作動部材への負荷及び前記駆動力の前記作動部材への伝達状態に対応して変化する前記作動部材の作動状態の少なくとも一方を検出する状態検出部と、前記状態検出部での検出結果に基づいて、指標音の発信状態を制御する発信制御部と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、電力が供給されることにより、挿入部に設けられる、又は、挿入部に取付けられる動作部を動作させる駆動力を発生する駆動源を備える挿入装置に関する。
特許文献1には、長手軸に沿って延設される挿入部を備える挿入装置である内視鏡装置が開示されている。この内視鏡装置では、挿入部には、撮像素子が設けられ、撮像素子によって撮像された被写体の画像は、表示部であるモニタに表示される。また、挿入部の先端部には、動作部である自己推進装置が取付けられている。自己推進装置を動作させる操作が入力されることにより、駆動源である動力装置で駆動力が発生する。挿入部には、オーバーチューブが被覆され、挿入部とオーバーチューブとの間に、駆動力伝達ユニットの一部となるトルクワイヤが長手軸に沿って延設される。動力装置で発生した駆動力が駆動力伝達ユニットを介して自己推進装置に伝達されることにより、自己推進装置が動作する(移動する)。自己推進装置が動作することにより、挿入部に先端方向又は基端方向への推進力が作用する。また、内視鏡装置では、音発信部であるスピーカーが設けられている。スピーカーから発信される音の音質は、自己推進装置の移動方向及び移動速度に対応して変化する。
特開2012−191978号公報
前記特許文献1の自己推進装置のような動作部が、挿入部に設けられる、又は、挿入部に取付けられる挿入装置では、使用時に動作部の動作が停止することがある。動作部の動作が停止する原因として、動作部に過度に高い負荷が作用していること、及び、駆動力伝達ユニットに不具合が発生し、動作部に駆動力が伝達されていないこと、が挙げられる。動作部の動作が停止した状態では、撮像素子は移動しないため、表示部に表示される被写体の画像は変化しない。このため、動作部の動作が停止する原因を、被写体の画像から、認識することができない。また、前記特許文献1の内視鏡装置では、音発信部であるスピーカーが設けられているが、スピーカーから発信される音の音質は、動作部である自己推進装置の移動方向及び移動速度に対応して変化する。このため、動作部が停止した状態では、スピーカーから発信される音の音質は不変である。したがって、動作部の動作が停止する原因を、スピーカーから発信される音から、認識することができない。
本発明は前記課題に着目してなされたものであり、その目的とするところは、挿入部に動作部が設けられる、又は、挿入部に動作部が取付けられる挿入装置において、動作部の動作が停止する原因を適切に認識可能な挿入装置を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明のある態様の挿入装置は、長手軸に沿って延設され、被写体を撮像する撮像素子を先端部に備える挿入部と、前記挿入部に設けられるか、又は、前記挿入部に取付けられ、駆動力が伝達されることにより動作する動作部であって、動作することにより前記挿入部の前記先端部を移動させる動作部と、電力が供給されることにより、前記動作部に伝達される前記駆動力を発生する駆動源と、前記動作部を動作させる操作が入力される操作入力部と、前記操作入力部での前記操作の入力に基づいて、前記駆動源への前記電力の供給状態を制御する電力制御部と、前記駆動源から前記駆動力が伝達されることにより作動される作動部材を備え、前記動作部に接続された状態で前記作動部材が作動されることにより、前記駆動力を前記動作部に伝達する駆動力伝達ユニットと、前記駆動源への負荷に対応して変化する前記駆動源の駆動状態、及び、前記作動部材への負荷及び前記駆動力の前記作動部材への伝達状態に対応して変化する前記作動部材の作動状態の少なくとも一方を検出する状態検出部と、前記状態検出部での検出結果を示す指標となる指標音を発信する音発信部と、前記状態検出部での前記検出結果に基づいて、前記音発信部からの前記指標音の発信状態を制御する発信制御部と、を備える。
本発明によれば、挿入部に動作部が設けられる、又は、挿入部に動作部が取付けられる挿入装置において、動作部の動作が停止する原因を適切に認識可能な挿入装置を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る内視鏡装置を概略的に示す斜視図である。 第1の実施形態に係る内視鏡装置を示す概略図である。 第1の実施形態に係る挿入部の中継接続部にスパイラルチューブが取付けられた状態を概略的に示す断面図である。 図3のIV−IV線断面図である。 図3のV−V線断面図である。 第1の実施形態のある実施例に係る操作入力部で入力される操作の入力値とペダルの移動変位との関係を示す概略図である。 第1の実施形態の別のある実施例に係る操作入力部で入力される操作の入力値とペダルの移動変位との関係を示す概略図である。 第1の実施形態に係る操作入力部で入力される操作の入力値と電動モータの駆動速度との関係を示す概略図である。 第1の実施形態に係る電動モータの駆動速度が一定に保たれる場合での、電動モータに作用する負荷と駆動電流の電流値との関係を示す概略図である。 第1の実施形態に係る電動モータへの駆動電流の電流値と指標音の音量との関係を示す概略図である。 第1の変形例に係る電動モータへの駆動電流の電流値と指標音の音量との関係を示す概略図である。 第2の変形例に係る電動モータへの駆動電流の電流値と指標音の音量との関係を示す概略図である。 第3の変形例に係る電動モータへの駆動電流の電流値と指標音の高低との関係を示す概略図である。 第4の変形例に係る電動モータへの駆動電流の電流値が第1の値となる場合での、指標音の音量の経時的な変化を示す概略図である。 第4の変形例に係る電動モータへの駆動電流の電流値が第1の値より大きい第2の値となる場合での、指標音の音量の経時的な変化を示す概略図である。 第5の変形例に係る電動モータへの駆動電流の電流値が第1の値となる場合での、指標音の音量の経時的な変化を示す概略図である。 第5の変形例に係る電動モータへの駆動電流の電流値が第1の値より大きい第2の値となる場合での、指標音の音量の経時的な変化を示す概略図である。 第6の変形例に係る電動モータへの駆動電流の電流値が第1の値となる場合での、指標音の音量の経時的な変化を示す概略図である。 第6の変形例に係る電動モータへの駆動電流の電流値が第1の値より大きい第2の値となる場合での、指標音の音量の経時的な変化を示す概略図である。 第7の変形例に係る電動モータへの駆動電流の電流値が第1の値となる場合での、指標音の音量の経時的な変化を示す概略図である。 第7の変形例に係る電動モータへの駆動電流の電流値が第1の値より大きい第2の値となる場合での、指標音の音量の経時的な変化を示す概略図である。 第2の実施形態の内視鏡装置の保持部及び制御ユニットの構成を示す概略図である。 第2の実施形態の操作入力部で入力される操作の入力値と電動モータへの駆動電流との関係を示す概略図である。 第2の実施形態に係る電動モータへの駆動電流の電流値が一定に保たれる場合での、電動モータに作用する負荷と駆動変位との関係を示す概略図である。 第2の実施形態に係る電動モータの駆動変位と指標音の音量との関係を示す概略図である。 第3の実施形態に係る内視鏡装置を概略的に示す斜視図である。 第3の実施形態に係る内視鏡装置を示す概略図である。 第3の実施形態に係る電動モータの駆動変位と第1の指標音の音量との関係、及び、LRプーリの作動変位と第2の指標音の音量との関係を示す概略図である。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について、図1乃至図9を参照して説明する。図1及び図2は、第1の実施形態に係る挿入装置である内視鏡装置1を示す図である。図1及び図2に示すように、内視鏡装置1は、挿入機器である内視鏡2を備える。内視鏡2は、長手軸Cを有する。長手軸Cに平行な方向の一方(図1の矢印C1の方向)が基端方向であり、基端方向とは反対方向(図1の矢印C2の方向)が先端方向である。そして、先端方向及び基端方向が長手軸Cに平行な長手軸方向となる。内視鏡2は、長手軸Cに沿って延設される挿入部(内視鏡挿入部)3と、挿入部3より基端方向側に設けられる保持部(内視鏡保持部)5と、を備える。挿入部3は、長手軸Cに沿って延設され、内視鏡装置1の使用時には体腔内に挿入される。
保持部5には、ユニバーサルコード6の一端が接続されている。ユニバーサルコード6の他端には、スコープコネクタ7が設けられている。内視鏡装置1は、画像処理部11と、光源部12と、制御ユニット13と、フットスイッチ等の操作入力部15と、モニタ等の表示部16と、スピーカー等の音発信部17と、を備える。保持部5は、ユニバーサルコード6を介して、画像処理部11、光源部12及び制御ユニット13に接続されている。操作入力部15及び音発信部17は、制御ユニット13に電気的に接続され、表示部16は、画像処理部11に電気的に接続されている。
挿入部3は、挿入部3の先端を形成する先端硬性部(distal rigid section)21と、先端硬性部21より基端方向側に設けられる湾曲部(active bending section)22と、湾曲部22より基端方向側に設けられる先端側蛇管部(distal-side flexible tube section)23と、先端側蛇管部23より基端方向側に設けられる基端側蛇管部(proximal-side flexible tube section)25と、を備える。長手軸Cに平行な長手軸方向について先端側蛇管部23と基端側蛇管部25との間には、中継接続部27が設けられている。
挿入部2の外周方向側には、筒状のスパイラルチューブ30が設けられている。スパイラルチューブ30は、中継接続部27から先端方向に向かって延設され、先端側蛇管部23は、スパイラルチューブ30によって覆われている。挿入部3がスパイラルチューブ30に挿通された状態で、挿入部3にスパイラルチューブ30が取付けられる。スパイラルチューブ30が挿入部3に取付けられた状態では、駆動力が伝達されることにより、スパイラルチューブ30が挿入部3に対して長手軸Cを中心として回転する。すなわち、スパイラルチューブ30は、挿入部3に取付けられ、駆動力が伝達されることにより動作する動作部である。
スパイラルチューブ30は、長手軸Cに沿って延設されるチューブ本体部31を備える。また、チューブ本体部31の外周面には、螺旋フィン32が設けられている。螺旋フィン32は、長手軸Cを中心とする螺旋状に延設されている。チューブ本体部31の先端方向側には、先端側テーパ部33が設けられている。先端側テーパ部33は、先端方向側に向かうにつれて外径が小さくなるテーパ状に形成されている。また、チューブ本体部31の基端方向側には、筒状の基端側テーパ部35が設けられている。基端側テーパ部35は、基端方向側に向かうにつれて外径が小さくなるテーパ状に形成されている。
螺旋フィン32が管腔壁(lumen paries)等によって内周方向に押圧された状態で、スパイラルチューブ30が2つの回転方向の一方である第1の回転方向に回転することにより、挿入部3に先端方向への推進力が作用する。また、螺旋フィン32が管腔壁等によって内周方向に押圧された状態で、スパイラルチューブチューブ30が第1の回転方向とは反対方向である第2の回転方向に回転することにより、挿入部3に基端方向への推進力が作用する。先端方向への推進力によって、管腔への挿入部3の挿入性が向上し、基端方向への推進力によって、管腔(lumen)からの挿入部3の抜脱性が向上する。
図1に示すように保持部5の外表面には、湾曲部22の湾曲操作が入力される湾曲操作ノブ36A,36Bが設けられている。湾曲操作ノブ36Aで湾曲操作が入力されることにより、湾曲部22は、湾曲Up方向又は湾曲Down方向に湾曲する。また、湾曲操作ノブ36Bで湾曲操作が入力されることにより、湾曲部22は、湾曲Left方向又は湾曲Right方向に湾曲する。なお、本実施形態では、湾曲操作ノブ36Aから湾曲部22に駆動力を伝達する構成、及び、湾曲操作ノブ36Bから湾曲部22に駆動力を伝達する構成については、説明を省略する。また、本実施形態では、2つの湾曲操作ノブ36A,36Bが設けられ、湾曲部22は前述の4方向に湾曲可能であるが、湾曲操作ノブ36Aのみが設けられていてもよい。この場合、湾曲部22は、湾曲Up方向及び湾曲Down方向の2方向にのみ湾曲可能である。
先端硬性部21の内部には、撮像素子37が設けられている。挿入部3の先端面には、観察窓38が形成されている。撮像素子37は、観察窓38を通して、被写体を撮像する。撮像素子37には、撮像ケーブル39の一端が接続されている。撮像ケーブル39は、挿入部3の内部、保持部5の内部、及び、ユニバーサルコード6の内部を通って延設され、撮像ケーブル39の他端は、画像処理部11に接続されている。画像処理部11には、撮像された被写体に基づく撮像信号が、撮像素子37から撮像ケーブル38を介して伝達される。画像処理部11では、伝達された撮像信号に基づいて画像処理が行われる。これにより、撮像された被写体の画像が生成され、生成された被写体の画像が表示部16に表示される。
スパイラルチューブ30の回転によって挿入部3に基端方向又は先端方向への推進力が作用した場合には、挿入部3は推進力の作用方向へ移動する。この際、撮像素子37は、挿入部3の移動に対応して移動する。すなわち、動作部であるスパイラルチューブ30が動作することにより、撮像素子37(挿入部3の先端部)が移動する。撮像素子37の移動に対応して、表示部16に表示される画像が変化する。
挿入部3の内部には、ライトガイド41が延設されている。ライトガイド41は、挿入部3の内部から、保持部5の内部、及び、ユニバーサルコード6の内部を通って延設され、光源部12に接続されている。また、挿入部3の先端面には、照明窓42が設けられている。光源部12から出射された光は、ライトガイド41によって導光され、照明窓42から被写体に照射される。
図1に示すように、保持部3の外表面には、鉗子等の処置具が挿入される処置具挿入口43が設けられている。また、挿入部3の先端面には、開口部45が設けられている。処置具挿入口43と開口部45との間は、処置具チャンネル(図示しない)を介して連通している。処置具チャンネルは、挿入部3の内部、及び、保持部5の内部を通って、延設されている。処置具挿入口43から挿入された処置具は、処置具チャンネルの内部を通って、先端硬性部21の開口部45から先端方向に向かって突出する。そして、処置具が開口部45から突出した状態で、処置具による処置が行われる。なお、図2では、処置具挿入口43、開口部45及び処置具チャンネルを、省略して示している。
図1及び図2に示すように、保持部5には、モータハウジング51が連結されている。モータハウジング51の内部には、駆動源である電動モータ52が収容されている。電動モータ52には、2本のモータ配線53A,53Bの一端が接続されている。制御ユニット13は、電力制御部55を備える。電力制御部55は、操作入力部15に電気的に接続されている。モータ配線53A,53Bは、保持部5の内部、及び、ユニバーサルコード6の内部を通って延設され、モータ配線53A,53Bの他端は、制御ユニット13の電力制御部55に接続されている。動作部であるスパイラルチューブ30を回転させる操作が操作入力部15で入力されることにより、電力制御部55からモータ配線53A,53Bを介して電動モータ52に電力が供給される。すなわち、電力制御部55は、操作入力部15での操作の入力に基づいて、駆動源である電動モータ52への電力の供給状態を制御している。電動モータ52に電力が供給されることにより、電動モータ52が駆動され、動作部であるスパイラルチューブ30に伝達される駆動力が発生する。
電動モータ52で発生した駆動力は、駆動力伝達ユニット60を介して、スパイラルチューブ30に伝達される。図2に示すように、駆動力伝達ユニット60は、電動モータ52に取付けられる中継ギア61と、中継ギア61と噛合う駆動ギア62と、を備える。駆動ギア62は、保持部5の内部に位置している。基端側蛇管部25の内部には、ガイドチューブ63が、基端方向から先端方向へ延設されている。駆動力伝達ユニット60は、ガイドチューブ63の内部に延設されるシャフト部材65を備える。シャフト部材65は、長手軸Cに略平行なシャフト軸Sを有し、シャフト軸Sに沿って延設されている。シャフト部材65の基端は、駆動ギア62に接続されている。電動モータ52で発生した駆動力は、中継ギア61及び駆動ギア62を介してシャフト部材65に伝達される。駆動力が伝達されることにより、シャフト部材65はシャフト軸Sを中心として回転する。したがって、中継ギア61、駆動ギア62及びシャフト部材65は、駆動源である電動モータ52から駆動力が伝達されることにより作動される作動部材となる。
図3は、挿入部3の中継接続部27にスパイラルチューブ30が取付けられた状態を示す図である。また、図4は、図3のIV−IV線断面図であり、図5は、図3のV−V線断面図である。なお、図3乃至図5では、前述の撮像ケーブル38、ライトガイド41等は、省略して示している。図3乃至図5に示すように、中継接続部27には、ベース部材71が設けられている。先端側蛇管部23の基端部は、中継部材72を介して、ベース部材71の先端部に連結されている。これにより、先端側蛇管部23と中継接続部27との間が連結される。また、基端側蛇管部25の先端部は、中継部材73を介して、ベース部材71の基端部に連結されている。これにより、基端側蛇管部25と中継接続部27との間が連結される。
ここで、長手軸Cに垂直な断面において長手軸Cから離れる方向を外周方向(離軸方向)とし、外周方向とは反対方向を内周方向(向軸方向)とする。中継接続部27では、ベース部材71によって空洞部75が形成されている。空洞部75は、外周方向に向かって開口している。駆動力伝達ユニット60は、駆動ギア77と、駆動ギア77と噛合う中継ギア78と、を備える。駆動ギア77及び中継ギア78は、空洞部75に配置され、ベース部材71に取付けられている。また、ガイドチューブ63の先端は、ベース部材71に接続されている。そして、ガイドチューブ63の内部は、空洞部75と連通している。シャフト部材65の先端は、空洞部75で駆動ギア77に接続されている。
また、駆動力伝達ユニット60は、回転筒状部材80と、回転筒状部材80に取付けられる3つの内側82A〜82Cと、を備える。挿入部3が回転筒状部材80に挿通された状態で、回転筒状部材80は、ベース部材71に取付けられる。回転筒状部材80は、挿入部3(ベース部材71)に対して長手軸Cを中心として回転可能である。回転筒状部材80の内周面には、長手軸回り方向について全周に渡って内周ギア部81が、設けられている。内周ギア部81は、中継ギア78と噛合っている。シャフト部材65が回転することにより、駆動ギア77及び中継ギア78を介して回転筒状部材80に駆動力が伝達される。駆動力が伝達されることにより、回転筒状部材80は長手軸Cを中心として挿入部3に対して回転する。したがって、駆動ギア77、中継ギア78及び回転筒状部材80は、駆動源である電動モータ52からシャフト部材65を介して駆動力が伝達されることにより作動される作動部材となる。
内側ローラ82A〜82Cは、長手軸回り方向について略等間隔に、配置されている。それぞれの内側ローラ82A〜82Cは、対応するローラ軸(Q1〜Q3)を有する。それぞれの内側ローラ82A〜82Cは、対応するローラ軸(Q1〜Q3)を中心として、回転筒状部材80に対して回転可能である。また、内側ローラ82A〜82Cは、回転筒状部材80と一体に、挿入部3(ベース部材71)に対して、長手軸Cを中心として回転可能である。
回転筒状部材80及び内側ローラ82A〜82Cの外周方向側には、筒状のカバー部材83が被覆されている。カバー部材83の先端は、係止部材85Aを介してベース部材71に固定され、カバー部材83の基端は、係止部材85Bを介してベース部材71に固定されている。カバー部材83によって、カバー部材83の内周方向側に位置する空洞部75、回転筒状部材80、及び、内側ローラ82A〜82Cへの液体の流入が防止される。また、長手軸回り方向について内側ローラ82A〜82Cが位置する部位では、カバー部材83は外周方向に向かって突出している。なお、カバー部材83は、挿入部3に対して固定されており、回転筒状部材80及び内側ローラ82A〜82Cは、カバー部材83に対して長手軸Cを中心として回転可能である。
図5に示すように、スパイラルチューブ30の基端側テーパ部35の内周面には、6つの外側ローラ86A〜86Fが取付けられている。外側ローラ86A〜86Fは、カバー部材83の外周方向側に位置している。長手軸回り方向について、外側ローラ86Aと外側ローラ86Bとの間に内側ローラ82Aが位置し、外側ローラ86Cと外側ローラ86Dとの間に内側ローラ82Bが位置し、外側ローラ86Eと外側ローラ86Fとの間に内側ローラ82Cが位置している。それぞれの外側ローラ86A〜86Fは、対応するローラ軸(P1〜P6)を有する。それぞれの外側ローラ86A〜86Fは、対応するローラ軸(P1〜P6)を中心として、カバー部材83及び基端側テーパ部35に対して回転可能である。また、外側ローラ86A〜86Fは、スパイラルチューブ30と一体に、挿入部3(ベース部材71)に対して、長手軸Cを中心として回転可能である。
回転筒状部材80が長手軸回り方向の一方に回転することにより、内側ローラ82Aが外側ローラ86A又は外側ローラ86Bを押圧する。同様に、内側ローラ82Bが外側ローラ86C又は外側ローラ86Dを押圧し、内側ローラ82Cが外側ローラ86E又は外側ローラ86Fを押圧する。これにより、電動モータ52で発生した駆動力が内側ローラ82A〜82Cからスパイラルチューブ30に伝達され、スパイラルチューブ30が挿入部3及びカバー部材83に対して第1の回転方向又は第2の回転方向(長手軸回り方向の一方)に回転する。すなわち、駆動力受け部である外側ローラ86A〜86Fが、電動モータ52で発生した駆動力を受けることにより、動作部であるスパイラルチューブ30が動作する。
なお、それぞれの内側ローラ82A〜82Cは対応するローラ軸(Q1〜Q3)を中心として回転するため、それぞれの内側ローラ82A〜82Cとカバー部材83との間の摩擦は小さくなる。同様に、それぞれの外側ローラ86A〜86Fは対応するローラ軸(P1〜P6)を中心として回転するため、それぞれの外側ローラ86A〜86Fとカバー部材83との間の摩擦は小さくなる。このため、内側ローラ82A〜82Cからスパイラルチューブ30に駆動力が適切に伝達され、スパイラルチューブ30が適切に回転する。
図2に示すように、制御ユニット13は、状態検出部56と、発信制御部57と、を備える。状態検出部56は、電力制御部55及び操作入力部16に電気的に接続されている。また、状態検出部56は、駆動電流検出部58を備える。発信制御部57は、状態検出部56及び音発信部17に電気的に接続されている。また、モータハウジング51の内部には、速度センサ46が設けられている。速度センサ46によって、電動モータ52の駆動速度Vが検出される。速度センサ46には、電気信号線47の一端が接続されている。電気信号線47は、保持部5の内部、及び、ユニバーサルコード6の内部を通って延設され、電気信号線47の他端は、電力制御部55に接続されている。
ここで、操作入力部15及び電力制御部55について説明する。前述のように、電力制御部55は、操作入力部15で入力された操作に基づいて、電力の供給状態を制御している。ここで、操作入力部15では、スパイラルチューブ30を第1の回転方向へ回転させる第1の回転操作、及び、スパイラルチューブ30を第2の回転方向へ回転させる第2の回転操作が、入力される。例えば、操作入力部15が2つのペダルを備えるフットスイッチである場合、一方のペダルでスパイラルチューブ30の第1の回転操作が入力され、他方のペダルでスパイラルチューブ30の第2の回転操作が入力される。第1の回転操作が入力された場合は、第2の回転操作が入力された場合に対して、電力制御部55から電動モータ52に供給される駆動電流Iの方向が反対になる。例えば、第1の回転操作が入力された場合は、モータ配線53Aにおいて電力制御部55から電動モータ52へ駆動電流Iが向かい、モータ配線53Bにおいて電動モータ52から電力制御部55へ駆動電流Iが向かう。これにより、電動モータ52が2つの駆動方向の一方である第1の駆動方向に駆動され、前述のように駆動力が伝達されることにより、スパイラルチューブ30が第1の回転方向に回転する。一方、第2の回転操作が入力された場合は、モータ配線53Bにおいて電力制御部55から電動モータ52へ駆動電流Iが向かい、モータ配線53Aにおいて電動モータ52から電力制御部55へ駆動電流Iが向かう。これにより、電動モータ52が第1の駆動方向とは反対方向である第2の駆動方向に駆動され、前述のように駆動力が伝達されることにより、スパイラルチューブ30が第2の回転方向に回転する。
次に、操作入力部15で入力される操作(第1の回転操作及び第2の回転操作)の入力値Wについて説明する。例えば、操作入力部15がペダルを備えるフットスイッチの場合、ペダルの位置に基づいて入力値Wが決定される。ここで、操作が入力されていない状態でのべダルの位置を基準位置とし、基準位置からのペダルの移動変位をδとする。ある実施例では、図6Aに示すように、入力値Wは基準位置からのべダルの移動変位δに比例する。すなわち、入力値Wは、ペダルが基準位置に位置する状態で0となり、基準位置からのペダルの移動変位δが大きくなるにつれて、入力値Wは1に近づく。そして、基準位置からのべダルの移動変位δが最大となった状態で、入力値Wは1となる。また、別のある実施例では、図6Bに示すように、入力値Wは、0又は1のいずれかになる。すなわち、基準位置からのべダルの移動変位δがδ0となる位置を境界位置として、入力値Wが0と1との間で切り替わる。基準位置からのペダルの移動変位δがδ0より小さい場合は、入力値Wは0となり、基準位置からのペダルの移動変位δがδ0以上となる場合は、入力値Wは1となる。いずれの実施例においても、入力値Wに関する情報は、操作入力部15から電力制御部55に伝達され、電力制御部55は入力値Wに基づいて、電力の供給状態を制御している。
次に、電力制御部55による入力値Wに基づく電力の供給状態の制御について説明する。なお、以下の説明は、電動モータ52を第1の駆動方向に駆動する場合、及び、電動モータ52を第2の駆動方向に駆動する場合の両方に、適用される。図7は、操作入力部15で入力される操作の入力値Wと電動モータ52の駆動速度Vとの関係を示す図である。図7に示すように、本実施形態では、電動モータ52の駆動速度Vは、入力値Wに比例する。すなわち、電力供給部55は、操作入力部15での操作の入力値Wが一定である限り電動モータ52の駆動速度Vが一定に保たれる状態に、電動モータ52への電力の供給状態を制御している。このため、入力値Wが一定の場合は、電動モータ52の駆動速度Vが一定となる状態に、電力制御部55によって、電動モータ52の駆動トルクが調整される。ここで、電動モータ52の駆動トルクは、駆動電流Iの電流値に比例する。したがって、入力値Wが一定の場合は、電動モータ52の駆動速度Vが一定となる状態に、電力制御部55によって、駆動電流Iの電流値が調整される。前述のように電動モータ52の駆動速度Vが一定に保たれる状態に駆動電流I(駆動トルク)が調整される制御法は、定速度制御と呼ばれている。定速度制御では、電動モータ52の駆動速度Vが一定であるため、シャフト部材65の回転速度及びスパイラルチューブ30の回転速度は、一定となる。なお、前述の定速度制御では、電力制御部55から出力可能な範囲で、駆動電流Iの電流値が調整される。また、駆動速度Vに関する情報は、速度センサ46から電気信号線47を介して、電力制御部55に伝達され、電力制御部55は、フィードバックされた駆動速度Vに関する情報に基づいて、制御を行っている。
前述の定速度制御では、電動モータ52の駆動電流Iの電流値(駆動トルク)は、電動モータ52に作用する負荷τに対応して変化する。内視鏡装置1の使用時には、管腔壁等からスパイラルチューブ30に負荷が作用し、スパイラルチューブ30に作用した負荷が、駆動力伝達ユニット60を介して電動モータ52に伝達される。これにより、電動モータ52に負荷τが作用する。図8は、電動モータ52の駆動速度Vが一定に保たれる場合での電動モータ52に作用する負荷τと駆動電流Iの電流値との関係を示す図である。図8に示すように、電動モータ52の駆動速度Vが一定に保たれる場合、電動モータ52への負荷τが大きくなるにつれて、電動モータ52の駆動トルクを大きくする必要がある。このため、電動モータ52への負荷τが大きい場合、駆動電流Iの電流値は大きくなる。一方、電動モータ52の駆動速度Vが一定に保たれる場合、電動モータ52への負荷τが小さくなるにつれて、電動モータ52の駆動トルクは小さくなる。このため、電動モータ52への負荷τが小さい場合、駆動電流Iの電流値は小さくなる。
次に、状態検出部56について、説明する。状態検出部56の駆動電流検出部58は、電力制御部55からの電力の供給状態に基づいて、電動モータ52への駆動電流Iの電流値を検出する。そして、検出された駆動電流Iの電流値に基づいて、状態検出部56は、電動モータ52の駆動状態を検出する。ここで、電動モータ52の駆動状態は、電動モータ52への負荷τに対応して変化する。したがって、駆動電流Iを含む電動モータ52の駆動状態が検出されることにより、電動モータ52への負荷τの作用状態を確認可能となる。
次に、音発信部17及び発信制御部57について説明する。音発信部17は、状態検出部56の駆動電流検出部58での検出結果を示す指標となる指標音を発信する。発信制御部57は、状態検出部56の駆動電流検出部58での検出結果に基づいて、音発信部17からの指標音の発信状態を制御する。本実施形態では、駆動電流Iの電流値に対応して指標音の音量Zが変化する状態に、指標音の発信状態が制御されている。図9は、駆動電流Iの電流値と指標音の音量Zとの関係を示す図である。図9に示すように、本実施形態では、駆動電流Iの電流値が大きくなるにつれて、指標音の音量Zが大きくなる。したがって、電動モータ52に作用する負荷τが大きくなる場合は、指標音の音量Zが大きくなる。一方、駆動電流Iの電流値が小さくなるにつれて、指標音の音量Zが小さくなる。したがって、電動モータ52に作用する負荷τが小さくなる場合は、指標音の音量Zが小さくなる。
発信制御部57は、アラーム音とは音量、音質、経時的な発信パターン等の発信状態が異なる状態に、指標音の発信状態を制御している。ここで、アラーム音は、IEC医用電気機器安全通則60601 に記載された音である。内視鏡装置1の使用時には、内視鏡装置1と同時に電気メスが用いられることがある。アラーム音は、例えば電気メスでの処置に用いられる高周波電流によって人命が影響を受ける可能性がある場合に、発信される。
次に、内視鏡装置1の作用及び効果について説明する。内視鏡装置1を使用する際には、挿入部3にスパイラルチューブ30を装着した状態で、管腔へ挿入部3を挿入する。そして、螺旋フィン32が管腔壁に当接した状態で、操作入力部15によってスパイラルチューブ30を回転させる操作が入力される。これにより、電力制御部55から駆動源である電動モータ52に電力が供給され、スパイラルチューブ30を回転させる駆動力が発生する。この際、電力制御部55は、入力値Wが一定である限り電動モータ52の駆動速度Vが一定となる状態に、電力の供給状態を制御している。電動モータ52で発生した駆動力は、シャフト部材65を含む駆動力伝達ユニット60を介して、スパイラルチューブ30に伝達される。スパイラルチューブ30に駆動力が伝達されることにより、スパイラルユチューブ30が挿入部3に対して長手軸Cを中心として回転する。螺旋フィン32が管腔壁から内周方向に押圧力を受ける状態で、スパイラルチューブ30が回転することにより、先端方向又は基端方向への推進力が挿入部3に作用する。スパイラルチューブ30の動作によって挿入部3が移動することにより、撮像素子37が移動する。撮像素子37の移動に対応して、表示部16に表示される画像が変化する。
ここで、内視鏡装置1の使用時には、操作入力部15で操作が入力されているにもかかわらず、管腔において動作部であるスパイラルチューブ30の回転(動作)が停止することがある。スパイラルチューブ30の動作が停止する原因として、スパイラルチューブ30に過度に高い負荷が作用していること、及び、駆動力伝達ユニット60に不具合が発生し、スパイラルチューブ30に駆動力が伝達されていないこと、が挙げられる。スパイラルチューブ30の回転が停止した状態では、挿入部3に先端方向又は基端方向への推進力が作用せず、挿入部3は移動しない。このため、撮像素子37は移動せず、表示部16に表示される被写体の画像は変化しない。この際、術者は、表示部16に表示される画像から、スパイラルチューブ30の動作が停止していることを、確認可能である。しかし、表示部16に表示される画像のみからでは、スパイラルチューブ30の動作が停止する原因を、認識することができない。
そこで、本実施形態では、状態検出部56の駆動電流検出部58は、電力制御部55からの電力の供給状態に基づいて、電動モータ52への駆動電流Iの電流値を検出している。スパイラルチューブ30に過度に高い負荷が作用することに起因してスパイラルチューブ30の回転が停止した状態では、スパイラルチューブ30に作用した負荷が駆動力伝達ユニット60を介して電動モータ52に伝達される。このため、電動モータ52に作用する負荷τは、大きくなる。操作入力部15での操作の入力値Wが一定である限り電動モータ52の駆動速度Vが一定に保たれる定速度制御では、電動モータ52への負荷τが大きい場合、駆動電流Iの電流値が大きくなる。そして、発信制御部57は、駆動電流Iの電流値が大きい場合、音発信部17から発信される指標音の音量Zを大きくする。表示部16に表示される画像が変化しない状態で音量Zの大きい指標音が発信されることにより、術者は、スパイラルチューブ30に過度に高い負荷が作用することに起因してスパイラルチューブ30の回転が停止したことを認識することができる。
一方、シャフト部材65が切断した等の駆動力伝達ユニット60に不具合が発生したことに起因してスパイラルチューブ30の回転が停止した状態では、スパイラルチューブ30に駆動力が伝達されない。このため、スパイラルチューブ30に作用した負荷は、駆動力伝達ユニット60を介して電動モータ52に伝達されず、電動モータ52に作用する負荷τは、小さくなる。操作入力部15での操作の入力値Wが一定である限り電動モータ52の駆動速度Vが一定に保たれる定速度制御では、電動モータ52への負荷τが小さい場合、駆動電流Iの電流値が小さくなる。そして、発信制御部57は、駆動電流Iの電流値が小さい場合、音発信部17から発信される指標音の音量Zを小さくする。表示部16に表示される画像が変化しない状態で音量Zの小さい指標音が発信されることにより、術者は、駆動力伝達ユニット60に不具合が発生したことに起因してスパイラルチューブ30の回転が停止したことを認識することができる。
前述のように、本実施形態では、電動モータ52の駆動状態が検出されるとともに、駆動電流Iの電流値を示す指標となる指標音に基づいて、術者は、電動モータ52への負荷τの作用状態を確認可能となる。このため、スパイラルチューブ30の動作が停止した場合において、指標音に基づいて、術者は、スパイラルチューブ30の動作が停止した原因を適切に認識することができる。これにより、スパイラルチューブ30の動作が停止した場合でも、動作が停止した原因に対応させて、適切な判断を行うことができる。
また、指標音の発信状態は、人命が影響を受ける可能性がある場合に発信されるアラーム音の発信状態とは、異なる。したがって、術者は、指標音とアラーム音とを適切に識別することができる。
(第1の実施形態の変形例)
なお、第1の実施形態では、駆動電流Iの電流値が大きくなるにつれて、指標音の音量Zが大きくなるが、これに限るものではない。例えば、第1の変形例として図10に示すように、駆動電流Iの電流値が大きくなるにつれて、指標音の音量Zが小さくなってもよい。また、第2の変形例として図11に示すように、駆動電流Iの電流値が第1の基準値I1以下となる場合、音量Zは一定の値Z1となり、駆動電流Iの電流値が第2の基準値I2以上となる場合、音量Zは値Z1より大きい一定の値Z2となる。そして、第1の基準値I1と第2の基準値I2との間では、駆動電流Iの電流値が大きくなるにつれて、指標音の音量Zが大きくなる。
また、第1の実施形態では、駆動電流Iの電流値に対応して指標音の音量Zが変化するが、これに限るものではない。ある変形例では、駆動電流Iの電流値に対応して指標音の音質を変化させてもよい。図12に示す第3の変形例では、駆動電流Iの電流値に対応して指標音の高低Yを変化させている。本変形例では、駆動電流Iの電流値が大きくなるにつれて、指標音が高くなる。
また、第4の変形例乃至第7の変形例に示すように、駆動電流Iの電流値に対応して指標音の経時的な発信パターンが変化してもよい。図13A及び図13Bに示す第4の変形例では、パターン音部Mn(n=1,2,3,…)が周期的に指標音として発信されている。なお、図13A及び図13Bでは、縦軸が音量Zを示し、横軸が経過時間tを示している。それぞれのパターン音部Mnは、音要素An(n=1,2,3,…)及び音要素Bn(n=1,2,3,…)から形成されている。本変形例では、パターン音部Mnの周期(すなわち、パターン音部Mnとパターン音部Mn+1との間の間隔)Tを、駆動電流の電流Iに対応させて変化させている。例えば、駆動電流Iの電流値が大きくなるにつれて、パターン音部Mnの周期Tが大きくなる。図13Aに示すように、駆動電流Iの電流値が第1の値Iaとなる場合は、パターン音部Mnの周期TはT1となる。一方、図13Bに示すように、駆動電流Iの電流値が第1の値Iaより大きい第2の値Ibとなる場合は、パターン音部Mnの周期TはT1より長いT2となる。
図14A及び図14Bに示す第5の変形例では、駆動電流Iの電流値に対応させて、それぞれのパターン音部Mnにおいて音要素Anと音要素Bnとの間の時間間隔dを変化させている。例えば、駆動電流Iの電流値が大きくなるにつれて、音要素Anと音要素Bnとの間の時間間隔dが大きくなる。図14Aに示すように、駆動電流Iの電流値が第1の値Iaとなる場合は、時間間隔dはd1となる。一方、図14Bに示すように、駆動電流Iの電流値が第1の値Iaより大きい第2の値Ibとなる場合は、時間間隔dはd1より長いd2となる。
図15A及び図15Bに示す第6の変形例では、それぞれのパターン音部Mnは、1つの音要素Anのみから形成されている。本変形例では、駆動電流Iの電流値に対応させて、それぞれのパターン音部Mnにおいて音要素Anの発信時間rを変化させている。例えば、駆動電流Iの電流値が大きくなるにつれて、音要素Anの発信時間rが大きくなる。図15Aに示すように、駆動電流Iの電流値が第1の値Iaとなる場合は、音要素Anの発信時間rはr1となる。一方、図15Bに示すように、駆動電流Iの電流値が第1の値Iaより大きい第2の値Ibとなる場合は、音要素Anの発信時間rはr1より長いr2となる。
図16A及び図16Bに示す第7の変形例では、駆動電流Iの電流値に対応させて、それぞれのパターン音部Mnを形成する音要素(An,Bn,En)の数を変化させている。例えば、駆動電流Iの電流値が大きくなるにつれて、パターン音部Mnを形成する音要素(An,Bn,En)の数が多くなる。図16Aに示すように、駆動電流Iの電流値が第1の値Iaとなる場合は、それぞれのパターン音部Mnは1つの音要素Anから形成される。一方、図16Bに示すように、駆動電流Iの電流値が第1の値Iaより大きい第2の値Ibとなる場合は、それぞれのパターン音部Mnは3つの音要素An,Bn,En(n=1,2,3,…)から形成される。
第1の実施形態及びその変形例では、操作入力部15での操作の入力値Wが一定である限り電動モータ52の駆動速度Vが一定に保たれる定速度制御によって、電動モータ52へ供給される電力が制御されている。そして、駆動電流Iに基づいて電動モータ52の駆動状態が検出され、駆動電流Iの電流値に基づいて指標音の発信状態を変化させている。このため、駆動電流Iの電流値を示す指標となる指標音に基づいて、術者は、電動モータ52への負荷τの作用状態を確認可能となる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図17乃至図20を参照として説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態の構成を次の通り変形したものである。なお、第1の実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
図17は、第2の実施形態の内視鏡装置1の保持部5及び制御ユニット13の構成を示す図である。図17に示すように、本実施形態では、駆動源である電動モータ52の駆動変位(回転変位)εを測定する変位センサ91が、モータハウジング51の内部に設けられている。変位センサ91には、電気信号線92の一端が接続されている。電気信号線92は、保持部5の内部、及び、ユニバーサルコード6の内部を通って延設され、電気信号線92の他端は、状態検出部56に接続されている。本実施形態では、状態検出部56は、駆動変位検出部93と、駆動速度検出部95と、を備える。なお、本実施形態では、速度センサ46、電気信号線47及び駆動電流検出部58は、設けられていない。また、図17では、画像処理部11、光源部12、表示部16、撮像ケーブル39及びライトガイド41は省略して示されている。
次に、電力制御部55による電力の供給状態の制御について説明する。なお、以下の説明は、電動モータ52を第1の駆動方向に駆動する場合、及び、電動モータ52を第2の駆動方向に駆動する場合の両方に、適用される。本実施形態でも第1の実施形態と同様に、入力値Wに関する情報は、操作入力部15から電力制御部55に伝達され、電力制御部55は入力値Wに基づいて、電力の供給状態を制御している。ただし、本実施形態では、第1の実施形態で前述した定速度制御は行われない。
図18は、操作入力部15で入力される操作の入力値Wと電動モータ52への駆動電流Iとの関係を示す図である。本実施形態では、電動モータ52の駆動トルクが、入力値Wに比例する。ここで、電動モータ52の駆動トルクは、駆動電流Iの電流値に比例する。このため、図18に示すように、本実施形態では、電動モータ52への駆動電流Iの電流値は、入力値Wに比例する。すなわち、電力供給部55は、操作入力部15での操作の入力値Wが一定である限り電動モータ52の駆動トルク(駆動電流Iの電流値)が一定に保たれる状態に、電動モータ52への電力の供給状態を制御している。このため、入力値Wが一定の場合は、電力制御部55によって、電動モータ52へ供給される駆動電流Iの電流値が一定となる状態に調整される。前述のように電動モータ52の駆動トルク(駆動電流Iの電流値)が一定に保たれる状態に調整される制御法は、定トルク制御と呼ばれている。なお、前述の定トルク制御では、電力制御部55から出力可能な範囲で、駆動電流Iの電流値が一定に保たれる。
前述の定トルク制御では、電動モータ52の駆動速度Vは、電動モータ52に作用する負荷τに対応して変化する。したがって、電動モータ52に作用する負荷τに対応して、電動モータ52の駆動変位εが変化する。本実施形態でも第1の実施形態と同様に、内視鏡装置1の使用時において、管腔壁等からスパイラルチューブ30に作用する負荷等に起因して、電動モータ52に負荷τが作用する。図19は、電動モータ52への駆動電流Iの電流値が一定に保たれる場合での電動モータ52に作用する負荷τと駆動変位εとの関係を示す図である。電動モータ52への駆動電流Iの電流値が一定に保たれる場合、電動モータ52への負荷τが大きくなるにつれて、電動モータ52の駆動速度Vが小さくなる。このため、図19に示すように、電動モータ52の駆動変位εは、小さくなる。一方、電動モータ52への駆動電流Iの電流値が一定に保たれる場合、電動モータ52への負荷τが小さくなるにつれて、電動モータ52の駆動速度Vは大きくなる。このため、電動モータ52の駆動変位εは大きくなる。定トルク制御では、電動モータ52の駆動速度Vの変化に対応して、作動部材であるシャフト部材65の回転速度及びスパイラルチューブ30の回転速度が、変化する。
次に、状態検出部56について、説明する。状態検出部56には、変位センサ91で測定された電動モータ52の駆動変位εに関する情報が入力される。状態検出部56の駆動変位検出部93は、変位センサ91から測定情報に基づいて、電動モータ52の駆動変位εを検出する。また、駆動速度検出部95は、変位センサ91から測定情報に基づいて、電動モータ52の駆動速度Vを検出する。そして、検出された駆動変位ε及び駆動速度Vに基づいて、状態検出部56は、電動モータ52の駆動状態を検出する。ここで、電動モータ52の駆動状態は、電動モータ52への負荷τに対応して変化する。したがって、駆動変位ε及び駆動速度Vを含む電動モータ52の駆動状態が検出されることにより、電動モータ52への負荷τの作用状態を確認可能となる。
次に、音発信部17及び発信制御部57について説明する。音発信部17は、状態検出部56の駆動変位検出部93での検出結果を示す指標となる指標音を発信する。発信制御部57は、状態検出部56の駆動変位検出部93での検出結果に基づいて、音発信部17からの指標音の発信状態を制御する。本実施形態では、駆動変位εの電流値に対応して指標音の音量Zが変化する状態に、指標音の発信状態が制御されている。図20は、駆動変位εと指標音の音量Zとの関係を示す図である。図20に示すように、本実施形態では、駆動変位εが大きくなるにつれて、指標音の音量Zが大きくなる。したがって、電動モータ52に作用する負荷τが小さくなる場合は、指標音の音量Zが大きくなる。一方、駆動変位εが小さくなるにつれて、指標音の音量Zが小さくなる。したがって、電動モータ52に作用する負荷τが大きくなる場合は、指標音の音量Zが小さくなる。なお、本実施形態でも第1の実施形態と同様に、発信制御部57は、アラーム音とは音量、音質、経時的な発信パターン等の発信状態が異なる状態に、指標音の発信状態を制御している。
次に、内視鏡装置1の作用及び効果について説明する。本実施形態でも、螺旋フィン32が管腔壁から内周方向に押圧力を受ける状態で、スパイラルチューブ30が回転することにより、推進力によって挿入部3が移動する。これにより、撮像素子37が移動し、表示部16に表示される画像が変化する。この際、電力制御部55は、入力値Wが一定である限り電動モータ52の駆動トルクが一定となる状態に、電力の供給状態を制御している。そして、内視鏡装置1の使用時には、操作入力部15で操作が入力されているにもかかわらず、管腔において動作部であるスパイラルチューブ30の回転(動作)が停止することがある。この場合、第1の実施形態と同様に、挿入部3及び撮像素子37は移動せず、表示部16に表示される被写体の画像は変化しない。
本実施形態では、状態検出部56の駆動変位検出部93は、変位センサ91での測定結果に基づいて、電動モータ52の駆動変位εを検出している。スパイラルチューブ30に過度に高い負荷が作用することに起因してスパイラルチューブ30の回転が停止した状態では、電動モータ52に作用する負荷τは、大きくなる。操作入力部15での操作の入力値Wが一定である限り電動モータ52への駆動電流Iの電流値(駆動トルク)が一定に保たれる定トルク制御では、電動モータ52への負荷τが大きい場合、駆動変位εが小さくなる。そして、発信制御部57は、駆動変位εが小さい場合、音発信部17から発信される指標音の音量Zを小さくする。表示部16に表示される画像が変化しない状態で音量Zの小さい指標音が発信されることにより、術者は、スパイラルチューブ30に過度に高い負荷が作用することに起因してスパイラルチューブ30の回転が停止したことを認識することができる。
一方、シャフト部材65が切断した等の駆動力伝達ユニット60に不具合が発生したことに起因してスパイラルチューブ30の回転が停止した状態では、スパイラルチューブ30に駆動力が伝達されない。このため、スパイラルチューブ30に作用した負荷は、駆動力伝達ユニット60を介して電動モータ52に伝達されず、電動モータ52に作用する負荷τは、小さくなる。操作入力部15での操作の入力値Wが一定である限り電動モータ52への駆動電流Iの電流値(駆動トルク)が一定に保たれる定トルク制御では、電動モータ52への負荷τが小さい場合、駆動変位εが大きくなる。そして、発信制御部57は、駆動変位εが大きい場合、音発信部17から発信される指標音の音量Zを大きくする。表示部16に表示される画像が変化しない状態で音量Zの大きい指標音が発信されることにより、術者は、駆動力伝達ユニット60に不具合が発生したことに起因してスパイラルチューブ30の回転が停止したことを認識することができる。
なお、撮像素子37、ライトガイド41、光源部12に故障が発生した場合には、画像を取得できなくなる。このため、撮像素子37、ライトガイド41、光源部12の故障に対応可能となるように、スパイラルチューブ30の回転が停止したことを検知する構成を設け、スパイラルチューブ30の回転の停止を検知した場合に、指標音に加えて前述した指標音とは異なる報知音を発信させてもよい。これにより、画像が表示部16に表示できない場合でも、スパイラルチューブ30の回転が停止した状態を認識可能となり、指標音に基づいて前述の判断を行うことができる。
前述のように、本実施形態では、電動モータ52の駆動状態が検出されるとともに、駆動変位εを示す指標となる指標音に基づいて、術者は、電動モータ52への負荷τの作用状態を確認可能となる。このため、スパイラルチューブ30の動作が停止した場合において、指標音に基づいて、術者は、スパイラルチューブ30の動作が停止した原因を適切に認識することができる。これにより、スパイラルチューブ30の動作が停止した場合でも、動作が停止した原因に対応させて、適切な判断を行うことができる。
(第2の実施形態の変形例)
なお、第2の実施形態では、電動モータ52の駆動変位εを示す指標となる指標音が発信されるが、これに限るものではない。ある変形例では、電動モータ52の駆動速度Vを示す指標となる指標音が発信されてもよい。操作の入力値Wが一定である限り電動モータ52への駆動電流Iの電流値(駆動トルク)が一定に保たれる定トルク制御では、駆動変位εと同様に、電動モータ52への負荷τが大きい場合、駆動速度Vが小さくなり、電動モータ52への負荷τが小さい場合、駆動速度Vが大きくなる。したがって、駆動速度Vを示す指標となる指標音に基づいて、術者は、電動モータ52への負荷τの作用状態を確認可能となる。この場合、変位センサ91の代わりに速度センサ(図示しない)を設け、電動モータ52の駆動速度Vを測定してもよい。
また、指標音の発信状態は、第1の実施形態の変形例で前述した変化と同様に、変化させてもよい(図10乃至図16B参照)。すなわち、発信制御部57は、電動モータ52の駆動変位ε(駆動速度V)に基づいて、指標音の発信状態(音量Z、音質及び経時的な発信パターンの少なくとも1つ)を変化させればよい。
また、ある変形例では、駆動力伝達ユニット60を形成する作動部材の1つである駆動ギア77の作動変位(回転変位)ρを測定する変位センサ(図示しない)が挿入部3の内部にもうけられてもよい。この場合、測定された駆動ギア77の作動変位ρに関する情報に基づいて、状態検出部56は、電動モータ52の駆動変位ε及び駆動速度Vに加えて、作動部材の1つである駆動ギア77の作動変位ρ及び作動速度(回転速度)νを検出する。そして、駆動変位εを示す指標となる指標音に加えて、駆動ギア77の作動変位ρを示す指標となる指標音が発信される。本変形例では、前述した定トルク制御において、電動モータ52の駆動変位εに加えて駆動ギア77の作動変位ρが検出される。すなわち、電動モータ52の駆動状態に加えて、作動部材の1つである駆動ギア77の作動状態が検出される。
作動変位ρ及び作動速度νを含む駆動ギア77の作動状態は、駆動ギア77へ作用する負荷及び駆動力の駆動ギア77への伝達状態に対応して変化する。このため、電動モータ52の駆動状態を示す指標音に加えて駆動ギア77の作動状態を示す指標音が発信されることにより、術者は、スパイラルチューブ30の動作が停止した原因をより適切に認識可能となる。例えば、電動モータ52の駆動変位εが小さく、かつ、駆動ギア77の作動変位ρが小さい場合は、2つの指標音によって、スパイラルチューブ30に過度に高い負荷が作用していることが認識される。また、電動モータ52の駆動変位εが大きく、かつ、駆動ギア77の作動変位ρが小さい場合は、2つの指標音によって、駆動力伝達ユニット60において電動モータ52と駆動ギア77との間に駆動力が伝達されない原因となる不具合が発生していることが認識される。そして、電動モータ52の駆動変位εが大きく、かつ、駆動ギア77の作動変位ρが大きい場合は、2つの指標音によって、駆動力伝達ユニット60において駆動ギア77とスパイラルチューブ30との間に駆動力が伝達されない原因となる不具合が発生していることが認識される。
なお、駆動ギア77の作動変位ρを示す指標音は、アラーム音とは発信状態が異なり、電動モータ52の駆動変位εを示す指標音とも発信状態が異なる。また、別のある変形例では、駆動ギア77の作動変位ρを示す指標音ではなく、駆動ギア77の作動速度νを示す指標音が発信されてもよい。また、駆動ギア77の作動状態ではなく、駆動シャフト65の作動状態(作動変位、作動速度等)が検出されてもよく、回転筒状部材80の作動状態(作動変位、作動速度等)が検出されてもよい。すなわち、駆動力伝達ユニット60を形成する作動部材(中継ギア61、駆動ギア62、駆動シャフト65、駆動ギア77、中継ギア78、回転筒状部材80等)の1つの作動状態を検出されればよい。そして、作動部材の作動状態を示す指標となる指標音が発信されればよい。
第2の実施形態及びその変形例では、操作入力部15での操作の入力値Wが一定である限り電動モータ52の駆動電流Iの電流値が一定に保たれる定トルク制御によって、電動モータ52へ供給される電力が制御されている。そして、状態検出部56は、電動モータ52の駆動変位ε又は駆動速度Vに基づいて電動モータ52の駆動状態を検出するか、及び、駆動力伝達ユニット60を形成する作動部材(中継ギア61、駆動ギア62、駆動シャフト65、駆動ギア77、中継ギア78、回転筒状部材80等)の作動変位ρ又は作動速度νに基づいて作動部材の作動状態を検出するか、の少なくとも一方を行う。そして、状態検出部56での検出結果に基づいて、指標音の発信状態を変化させている。このため、指標音に基づいて、術者は、電動モータ52への負荷τの作用状態、及び、駆動力伝達ユニット60における駆動力の伝達状態を確認可能となる。
(第3の実施形態)
第1の実施形態及び第2の実施形態では、駆動源である電動モータ52に電力が供給されることにより動作部であるスパイラルチューブ30を動作させる駆動力が発生するが、本発明の別の適用例である第3の実施形態を、図21乃至図23を参照して説明する。図21及び図22は、本実施形態の挿入装置である内視鏡装置101を示す図である。図21及び図22に示すように、内視鏡装置101は、挿入機器である内視鏡102を備える。内視鏡102は、長手軸C´を有する。長手軸C´に平行な方向の一方(図21の矢印C´1の方向)が基端方向であり、基端方向とは反対方向(図21の矢印C´2の方向)が先端方向である。そして、先端方向及び基端方向が長手軸C´に平行な長手軸方向となる。内視鏡102は、長手軸C´に沿って延設される挿入部(内視鏡挿入部)103と、挿入部103より基端方向側に設けられる保持部(内視鏡保持部)105と、を備える。挿入部103は、長手軸C´に沿って延設され、内視鏡装置101の使用時には体腔内に挿入される。
保持部105には、ユニバーサルコード106の一端が接続されている。ユニバーサルコード106の他端には、スコープコネクタ107が設けられている。なお、本実施形態でも第1の実施形態及び第2の実施形態の内視鏡装置1と同様に、内視鏡装置101は、画像処理部111と、光源部112と、制御ユニット113と、モニタ等の表示部116と、スピーカー等の音発信部117と、を備える。なお、画像処理部111、光源部112及び表示部116については、第1の実施形態と同様の構成及び機能を有する。なお、図22では、第1の実施形態で前述した撮像素子(37)、撮像ケーブル(39)、ライトガイド(41)等は、省略して示している。
挿入部103は、挿入部103の先端を形成する先端硬性部121と、先端硬性部121より基端方向側に設けられる湾曲部122と、湾曲部122より基端方向側に設けられる蛇管部123と、を備える。湾曲部122は、駆動力が伝達されることにより、湾曲動作を行う。すなわち、湾曲部122は、挿入部103に設けられ、駆動力が伝達されることにより動作する動作部である。保持部105の外表面には、湾曲操作ノブ125及び湾曲操作ダイヤル126が設けられている。湾曲操作ノブ125で湾曲操作が入力されることにより、湾曲部122は、湾曲Up方向(図21の矢印Uの方向)又は湾曲Down方向(図21の矢印Dの方向)に湾曲する。また、湾曲操作ダイヤル126で湾曲操作が入力されることにより、湾曲部122は、湾曲Left方向(図21の矢印Lの方向)又は湾曲Right方向(図21の矢印Rの方向)に湾曲する。本実施形態では、湾曲操作ダイヤル126が、動作部である湾曲部122を湾曲させる操作が入力される操作入力部である。
湾曲操作ノブ125を回動することにより、湾曲部122を湾曲Up方向又は湾曲Down方向へ湾曲させる駆動力が発生する。保持部105の内部には、UDプーリ(第1の回転部材)131Aが設けられている。UDプーリ131Aには、UD湾曲ワイヤ132U,132Dの基端が接続されている。UD湾曲ワイヤ132U,132Dは、挿入部103の内部に長手軸C´に沿って延設されている。湾曲操作ノブ125を回動することにより、湾曲操作ノブ125で発生した駆動力がUDプーリ131Aに伝達され、UDプーリ131Aは回動する。UDプーリ131Aが回動することにより、UDプーリ131Aから駆動力が伝達され、UD湾曲ワイヤ132U,132Dは長手軸C´に沿って移動する。これにより、UD湾曲ワイヤ132U又はUD湾曲ワイヤ132Dが基端方向へ牽引される。UD湾曲ワイヤ132U,132Dの先端は、湾曲部122の先端部に接続されている。UD湾曲ワイヤ132U又はUD湾曲ワイヤ132Dが牽引されることにより、湾曲操作ノブ125で発生した駆動力がUDプーリ131A及びUD湾曲ワイヤ132U,132Dを介して湾曲部122に伝達される。これにより、湾曲部122は、湾曲動作を行い、湾曲Up方向又は湾曲Down方向に湾曲する。
ユニバーサルコード106のスコープコネクタ107の内部には、駆動源である電動モータ152が設けられている。電動モータ152には、電気配線153A,153Bの一端が接続されている。制御ユニット113は、第1の実施形態と同様に、電力制御部155を備える。モータ配線153A,153Bの他端は、制御ユニット113の電力制御部155に接続されている。また、保持部105の内部には、操作入力部である湾曲操作ダイヤル126での操作の入力を検知する操作入力検知部133が、設けられている。操作入力検知部133には、電気信号線135の一端が接続されている。電気信号線135は、ユニバーサルコード106の内部を通って延設され、電気信号線135の他端は、電力制御部155に接続されている。
動作部である湾曲部122を湾曲Left方向又は湾曲Right方向へ湾曲させる操作が湾曲操作ダイヤル126で入力されることにより、操作入力検知部133で、湾曲操作ダイヤル126での湾曲操作の入力が検知される。これにより、湾曲操作ダイヤル126での湾曲操作に関する情報が、操作入力検知部133から電気信号線135を介して電力制御部155に伝達される。この際、湾曲操作ダイヤル126での湾曲操作の入力値W´も、伝達される。ここで、湾曲操作の入力値W´は、第1の実施形態で前述した入力値Wと同様のパラメータであり、本実施形態では、湾曲操作ダイヤル126の回動位置に基づいて決定される。湾曲操作ダイヤル126での湾曲操作に関する情報が伝達されることにより、電力制御部155からモータ配線153A,153Bを介して電動モータ152に電力が供給される。すなわち、電力制御部155は、操作入力部である湾曲操作ダイヤル126での操作の入力に基づいて、駆動源である電動モータ152への電力の供給状態を制御している。電動モータ152に電力が供給されることにより、電動モータ152が駆動され、動作部である湾曲部122を湾曲Left方向又は湾曲Right方向へ湾曲させる駆動力が発生する。
電動モータ152で発生した駆動力は、駆動力伝達ユニット140を介して、湾曲部122に伝達される。図22に示すように、駆動力伝達ユニット140は、電動モータ152に取付けられる中継ギア141と、中継ギア141と噛合う駆動ギア142と、を備える。ユニバーサルコード106の内部には、ガイドチューブ143が延設されている。駆動力伝達ユニット140は、ガイドチューブ143の内部にシャフト軸S´に沿って延設されるシャフト部材145を備える。シャフト部材145の一端は、駆動ギア142に接続されている。電動モータ152で発生した駆動力は、中継ギア141及び駆動ギア142を介してシャフト部材145に伝達される。駆動力が伝達されることにより、シャフト部材145はシャフト軸S´を中心として回転する。したがって、中継ギア141、駆動ギア142及びシャフト部材145は、駆動源である電動モータ152から駆動力が伝達されることにより作動される作動部材となる。
駆動力伝達ユニット140は、保持部105の内部に設けられる傘歯車147と、傘歯車147と噛合う平歯車148と、を備える。シャフト部材145の他端は、傘歯車147に接続されている。また、駆動力伝達ユニット140は、保持部105の内部に設けられるLRプーリ(第2の回転部材)131Bを備える。LRプーリ131Bは、平歯車148と一体に回転可能である。電動モータ152で発生した駆動力は、シャフト部材145から傘歯車147及び平歯車148を介してLRプーリ131Bに伝達される。駆動力が伝達されることにより、LRプーリ131Bは回転する。したがって、傘歯車147、平歯車148及びLRプーリ131Bは、駆動源である電動モータ152からシャフト部材145を介して駆動力が伝達されることにより作動される作動部材となる。
駆動力伝達ユニット140は、LRプーリ131Bに基端が接続されるLR湾曲ワイヤ132L,132Rを備える。LR湾曲ワイヤ132L,132Rは、挿入部103の内部に長手軸C´に沿って延設されている。LRプーリ131Bが回動することにより、LRプーリ131Bから駆動力が伝達され、LR湾曲ワイヤ132L,132Rは長手軸C´に沿って移動する。これにより、LR湾曲ワイヤ132L又はLR湾曲ワイヤ132Rが基端方向へ牽引される。したがって、LR湾曲ワイヤ132L,132Rは、駆動源である電動モータ152からシャフト部材145及びLRプーリ131Bを介して駆動力が伝達されることにより作動される作動部材となる。LR湾曲ワイヤ132L,132Rの先端は、湾曲部122の先端部に接続されている。LR湾曲ワイヤ132L又はLR湾曲ワイヤ132Rが牽引されることにより、電動モータ152で発生した駆動力が駆動力伝達ユニット140を介して湾曲部122に伝達される。これにより、湾曲部122は、湾曲動作を行い、湾曲Left方向又は湾曲Right方向に湾曲する。
本実施形態では第1の実施形態と同様に、制御ユニット113は、状態検出部156と、発信制御部157と、を備える。また、本実施形態では、駆動源である電動モータ152の駆動変位(回転変位)ε´を測定する変位センサ161が、ユニバーサルコード106の内部に設けられている。変位センサ161には、電気信号線162の一端が接続されている。電気信号線162は、ユニバーサルコード106の内部を通って延設され、電気信号線162の他端は、状態検出部156に接続されている。本実施形態では、状態検出部156は、駆動変位検出部163と、駆動速度検出部165と、を備える
また、本実施形態では、駆動力伝達ユニット140を形成する作動部材の1つでLRプーリ(第2の回転部材)131Bの作動変位(回転変位)ρ´を測定する変位センサ166が、保持部105の内部に設けられている。変位センサ166には、電気信号線167の一端が接続されている。電気信号線167は、保持部105の内部、及び、ユニバーサルコード106の内部を通って延設され、電気信号線167の他端は、状態検出部156に接続されている。本実施形態では、状態検出部156は、作動変位検出部168と、作動速度検出部169と、を備える。
ここで、操作入力部である湾曲操作ダイヤル126及び電力制御部155について説明する。前述のように、電力制御部155は、湾曲操作ダイヤル126で入力された操作に基づいて、電力の供給状態を制御している。ここで、湾曲操作ダイヤル126では、湾曲部122を湾曲Left方向へ湾曲させるLeft方向湾曲操作、及び、湾曲部122を湾曲Right方向へ湾曲させるRight方向湾曲操作が、入力される。Left方向湾曲操作が入力された場合は、Right方向湾曲操作が入力された場合に対して、電力制御部155から電動モータ152に供給される駆動電流I´の方向が反対になる。
例えば、Left方向湾曲操作が入力された場合は、モータ配線153Aにおいて電力制御部155から電動モータ152へ駆動電流I´が向かい、モータ配線153Bにおいて電動モータ152から電力制御部155へ駆動電流´Iが向かう。これにより、電動モータ152が2つの駆動方向の一方である第1の駆動方向に駆動され、前述のように駆動力が伝達されることにより、LRプーリ(第2の回転部材)131Bが2つの回転方向の一方である第1の回転方向に回転する。LRプーリ131Bが第1の回転方向へ回転することにより、LR湾曲ワイヤ132Lが牽引され、湾曲部122が湾曲Left方向へ湾曲する。一方、Right方向湾曲転操作が入力された場合は、モータ配線153Bにおいて電力制御部155から電動モータ152へ駆動電流I´が向かい、モータ配線153Aにおいて電動モータ152から電力制御部155へ駆動電流I´が向かう。これにより、電動モータ152が第1の駆動方向とは反対方向である第2の駆動方向に駆動され、前述のように駆動力が伝達されることにより、LRプーリ(第2の回転部材)131Bが第1の回転方向とは反対方向である第2の回転方向に回転する。LRプーリ131Bが第2の回転方向へ回転することにより、LR湾曲ワイヤ132Rが牽引され、湾曲部122が湾曲Right方向へ湾曲する。
次に、電力制御部155による電力の供給状態の制御について説明する。なお、以下の説明は、電動モータ152を第1の駆動方向に駆動する場合、及び、電動モータ52を第2の駆動方向に駆動する場合の両方に、適用される。本実施形態では、入力値W´に関する情報は、操作入力検知部133から電力制御部155に伝達され、電力制御部155は入力値W´に基づいて、電力の供給状態を制御している。本実施形態では、第2の実施形態で前述した定トルク制御が行われる。本実施形態では、定トルク制御が行われるため、電動モータ152への駆動電流I´の電流値は、入力値W´に比例する。すなわち、電力供給部155は、湾曲操作ダイヤル126での湾曲操作の入力値W´が一定である限り電動モータ152の駆動トルク(駆動電流I´の電流値)が一定に保たれる状態に、電動モータ152への電力の供給状態を制御している。
次に、状態検出部156について、説明する。状態検出部156には、変位センサ161で測定された電動モータ152の駆動変位ε´に関する情報が入力される。状態検出部156の駆動変位検出部163は、変位センサ161から測定情報に基づいて、駆動源である電動モータ152の駆動変位ε´を検出する。また、駆動速度検出部165は、変位センサ161から測定情報に基づいて、電動モータ152の駆動速度V´を検出する。したがって、本実施形態では、状態検出部156によって、駆動源である電動モータ152の駆動状態が検出される。前述の定トルク制御では、電動モータ152の駆動速度V´及び駆動変位ε´は、電動モータ152に作用する負荷τ´に対応して変化する。本実施形態では、内視鏡装置101の使用時において、湾曲部122に作用する負荷等に起因して、電動モータ152に負荷τ´が作用する。電動モータ152への駆動電流I´の電流値が一定に保たれる場合、電動モータ152への負荷τ´が大きくなるにつれて、電動モータ152の駆動速度V´及び駆動変位ε´は、小さくなる。一方、電動モータ152への駆動電流I´の電流値が一定に保たれる場合、電動モータ152への負荷τ´が小さくなるにつれて、電動モータ152の駆動速度V´及び駆動変位ε´は大きくなる。
また、状態検出部156には、変位センサ166で測定されたLRプーリ(第2の回転部材)131Bの作動変位ρ´に関する情報が入力される。状態検出部156の作動変位検出部168は、変位センサ166から測定情報に基づいて、作動部材の1つであるLRプーリ131Bの作動変位ρ´を検出する。また、作動速度検出部169は、変位センサ166から測定情報に基づいて、LRプーリ131Bの作動速度ν´を検出する。したがって、本実施形態では、状態検出部156によって、作動部材の1つであるLRプーリ131Bの作動状態が検出される。作動変位ρ´及び作動速度ν´を含むLRプーリ131Bの作動状態は、LRプーリ131Bへ作用する負荷及び駆動力のLRプーリ131Bへの伝達状態に対応して変化する。
次に、音発信部117及び発信制御部157について説明する。音発信部17は、状態検出部56の駆動変位検出部163での検出結果を示す指標となる第1の指標音、及び、作動変位検出部168での検出結果を示す指標となる第2の指標音を発信する。発信制御部157は、状態検出部156の駆動変位検出部163での検出結果及び作動変位検出部168での検出結果に基づいて、音発信部117からの第1の指標音及び第2の指標音の発信状態を制御する。本実施形態では、電動モータ152の駆動変位ε´に対応して第1の指標音の音量Z´が変化し、LRプーリ131Bの作動変位ρ´に対応して第2の指標音の音量Z´が変化する。図23は、電動モータ152の駆動変位ε´と第1の指標音の音量Z´との関係、及び、LRプーリ131Bの作動変位ρ´と第2の指標音の音量Z´との関係を示す図である。図23に示すように、本実施形態では、電動モータ152の駆動変位ε´が大きくなるにつれて、第1の指標音の音量Z´が大きくなる。また、LRプーリ131Bの作動変位ρ´が大きくなるにつれて、第2の指標音の音量Z´が大きくなる。発信制御部157は、第1の指標音と第2の指標音との間で、音質を変化させている。例えば、第1の指標音は、第2の指標音より高い音となる。また、発信制御部157は、アラーム音とは音量Z´、音質、経時的な発信パターン等の発信状態が異なる状態に、第1の指標音及び第2の指標音の発信状態を制御している。
次に、内視鏡装置101の作用及び効果について説明する。内視鏡装置101を使用する際には、管腔へ挿入部103を挿入する。そして、操作入力部である湾曲操作ダイヤル126によって湾曲部122を湾曲Left方向又湾曲Right方向に湾曲させる操作が入力される。これにより、電力制御部155から駆動源である電動モータ152に電力が供給され、湾曲部122を湾曲させる駆動力が発生する。この際、電力制御部155は、入力値W´が一定である限り電動モータ152の駆動電流I´の電流値(駆動トルク)が一定となる状態に、電力の供給状態を制御している。電動モータ152で発生した駆動力は、シャフト部材145、LRプーリ131B及びLR湾曲ワイヤ132L,132Rを含む駆動力伝達ユニット140を介して、湾曲部122に伝達される。これにより、湾曲部122が湾曲Left方向又は湾曲Right方向へ湾曲する。湾曲部122が湾曲することにより、撮像素子(第1の実施形態において参照符号37で示す)が移動する。撮像素子(37)の移動に対応して、表示部116に表示される画像が変化する。そして、内視鏡装置101の使用時には、湾曲操作ダイヤル126で湾曲操作が入力されているにもかかわらず、動作部である湾曲部122の湾曲動作が停止することがある。この場合、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様に、撮像素子(37)は移動せず、表示部(16)に表示される被写体の画像は変化しない。
本実施形態では、状態検出部156の駆動変位検出部163は、変位センサ161での測定結果に基づいて、電動モータ152の駆動変位ε´を検出している。湾曲部122に過度に高い負荷が作用することに起因して湾曲動作が停止した状態では、電動モータ152に作用する負荷τ´は、大きくなる。湾曲操作ダイヤル126での湾曲操作の入力値W´が一定である限り電動モータ152への駆動電流I´の電流値(駆動トルク)が一定に保たれる定トルク制御では、電動モータ152への負荷τ´が大きい場合、駆動変位ε´が小さくなる。そして、発信制御部157は、駆動変位ε´が小さい場合、音発信部117から発信される第1の指標音の音量Z´を小さくする。表示部116に表示される画像が変化しない状態で音量Z´の小さい第1の指標音が発信されることにより、術者は、湾曲部122に過度に高い負荷が作用することに起因して湾曲動作が停止したことを認識することができる。
一方、駆動力伝達ユニット140に不具合が発生したことに起因して湾曲部122の湾曲動作が停止した状態では、湾曲部122に駆動力が伝達されない。このため、湾曲部122に作用した負荷は、駆動力伝達ユニット140を介して電動モータ152に伝達されず、電動モータ152に作用する負荷τ´は、小さくなる。定トルク制御では、電動モータ52への負荷τ´が小さい場合、駆動変位ε´が大きくなる。そして、発信制御部157は、駆動変位ε´が大きい場合、音発信部117から発信される第1の指標音の音量Z´を大きくする。表示部116に表示される画像が変化しない状態で音量Z´の大きい第1の指標音が発信されることにより、術者は、駆動力伝達ユニット140に不具合が発生したことに起因して湾曲動作が停止したことを認識することができる。
また、本実施形態では、状態検出部156の作動変位検出部168は、変位センサ166での測定結果に基づいて、作動部材の1つであるLRプーリ131Bの作動変位ρ´を検出している。そして、発信制御部157によって、第1の指標音に加えてLRプーリ131Bの作動変位ρ´(作動状態)を示す第2指標音が、音発信部117から発信される。これにより、術者は、駆動力伝達ユニット140において不具合が発生した箇所を具体的に認識可能となる。例えば、第1の指標音が大きく(すなわち、電動モータ152の駆動変位ε´が大きく)、かつ、第2の指標音が小さい(すなわち、LRプーリ131Bの作動変位ρ´が小さい)場合は、駆動力伝達ユニット140において電動モータ152とLRプーリ131Bとの間(例えば、駆動シャフト145)に駆動力が伝達されない原因となる不具合が発生していることが認識される。また、第1の指標音が大きく(電動モータ152の駆動変位ε´が大きく)、かつ、第2の指標音が大きい(LRプーリ131Bの作動変位ρ´が大きい)場合は、駆動力伝達ユニット140においてLRプーリ131Bと湾曲部122との間(例えば、湾曲ワイヤ132L、132R)に駆動力が伝達されない原因となる不具合が発生していることが認識される。
前述のように本実施形態では、湾曲部122の湾曲動作が停止した場合において、第1の指標音及び第2の指標音に基づいて、術者は、湾曲動作が停止した原因を適切に認識することができる。これにより、湾曲部122の湾曲動作が停止した場合でも、湾曲動作が停止した原因に対応させて、適切な判断を行うことができる。
(第3の実施形態の変形例)
なお、第3の実施形態では、第1の指標音は電動モータ152の駆動変位ε´を示す指標となるが、これに限るものではない。ある変形例では、第1の指標音は、電動モータ152の駆動速度V´を示す指標となってもよい。この場合、変位センサ161の代わりに速度センサ(図示しない)を設け、電動モータ152の駆動速度を測定してもよい。同様に、第2の指標音は、LRプーリ(第2の回転部材)131Bの作動速度ν´を示す指標となってもよい。この場合、変位センサ166の代わりに速度センサ(図示しない)を設け、LRプーリ131Bの作動速度ν´を測定してもよい。
また、第3の実施形態では、第1の指標音及び第2の指標音の両方が発信されるが、第1の指標音及び第2の指標音の一方が発信されてもよい。すなわち、第1の指標音及び第2の指標音の少なくとも一方が発信されればよい。
また、ある変形例では、第1の実施形態で前述した定速度制御によって、電力制御部155による電力の制御が行われてもよい。この場合、操作入力部である湾曲操作ダイヤル126での湾曲操作の入力値W´が一定である限り、電動モータ152の駆動速度V´が一定に保たれる。したがって、電動モータ152に作用する負荷に対応して、電動モータ152への駆動電流I´の電流値が変化する。この場合、状態検出部156は、電動モータ152への駆動電流I´の電流値を検出し、駆動源である電動モータ152の駆動状態を検出している。そして、発信される第1の指標音は、電動モータ152への駆動電流I´を示す指標となる。
また、第1の指標音及び第2の指標音の発信状態は、第1の実施形態の変形例で前述した変化と同様に、変化させてもよい(図10乃至図16B参照)。すなわち、発信制御部157は、電動モータ52の駆動状態(駆動電流I´、駆動変位ε´、駆動速度V´等)に基づいて、第1の指標音の発信状態(音量Z´、音質及び経時的な発信パターンの少なくとも1つ)を変化させればよい。そして、発信制御部157は、LRプーリ(第2の回転部材)132Bの作動状態(作動変位ρ´、作動速度ν´等)に基づいて、第2の指標音の発信状態を変化させてもよい。この場合、第1の指標音の発信状態は、第2の指標音の発信状態とは、異なる。
また、第3の実施形態では、第2の指標音は、駆動力伝達ユニット140を形成する作動部材の1つであるLRプーリ131Bの作状態を示しているが、これに限るものではない。ある変形例では、平歯車148の作動状態(作動変位、作動速度等)が検出されてもよく、別のある変形例ではシャフト部材145の作動状態(作動変位、作動速度等)が検出されてもよい。すなわち、駆動力伝達ユニット140を形成する作動部材(中継ギア141、駆動ギア142、駆動シャフト145、傘歯車147、平歯車148、LRプーリ131B、LR湾曲ワイヤ132L、132R等)の1つの作動状態を検出されればよい。そして、作動部材の作動状態を示す指標となる第2の指標音が発信されればよい。
また、湾曲部122を湾曲Up方向又は湾曲Down方向に湾曲させる駆動力が、電動モータ(図示しない)を駆動することによって発生してもよい。この場合、第3の実施形態において湾曲部122を湾曲Left方向又は湾曲Right方向へ湾曲させる構成と同様の構成が、湾曲Up方向又は湾曲Down方向への湾曲部122の湾曲にも適用される。そして、電動モータの駆動状態を示す第1の指標音、及び、作動部材(例えばUDプーリ131A)の作動状態を示す第2の指標音が発信される。また、湾曲操作ダイヤル126の代わりに、タクトスイッチ(登録商標)、湾曲操作レバー等が操作入力部として設けられてもよい。
第3の実施形態及びその変形例では、状態検出部156は、電動モータ152の駆動状態(駆動電流I´、駆動変位ε´、駆動速度V´等)を検出するか、及び、駆動力伝達ユニット140を形成する作動部材(中継ギア141、駆動ギア142、駆動シャフト145、傘歯車147、平歯車148、LRプーリ131B、LR湾曲ワイヤ131L、131R等)の作動状態(作動変位ρ´、作動速度ν´等)を検出するか、の少なくとも一方を行う。そして、電動モータ152の駆動状態の検出結果に基づいて、第1の指標音の発信状態を変化させ、作動部材の作動状態の検出結果に基づいて、第2の指標音の発信状態を変化させている。このため、第1の指標音及び第2の指標音に基づいて、術者は、電動モータ152への負荷τ´の作用状態、及び、駆動力伝達ユニット140における駆動力の伝達状態を確認可能となる。
(その他の変形例)
前述の実施形態及び変形例では、動作部としてスパイラルチューブ30及び湾曲部122が示されているが、これに限るものではない。また、前述の実施形態及び変形例では、挿入装置として内視鏡装置(1;101)を例として説明したが、挿入装置は内視鏡装置(1;101)に限るものではない。例えば、挿入装置であるマニピュレータ装置の挿入部に、前述の構成が適用されてもよい。
すなわち、前述の実施形態及び変形例では、動作部(30;122)は、挿入部(3;103)に設けられるか、又は、挿入部(3;103)に取付けられ、駆動力が伝達されることにより動作する。そして、動作部(30;122)が動作することにより、撮像素子(37)が移動する。また、動作部(30;122)に伝達される駆動力は、駆動源(52;152)に電力が供給されることによって発生し、駆動力伝達ユニット(60;140)を介して動作部(30;122)に伝達される。そして、電力制御部(55;155)は、操作入力部(16;126)での操作の入力に基づいて、駆動源(52;152)への電力の供給状態を制御している。状態検出部(56;156)は、駆動源(52;152)への負荷(τ;τ´)に対応して変化する駆動源(52;152)の駆動状態、及び、作動部材(61;62;65;77;78;80;141;142;145;147;148;131B;132L,132R)への負荷及び駆動力の作動部材(61;62;65;77;78;80;141;142;145;147;148;131B;132L,132R)への伝達状態に対応して変化する作動部材(61;62;65;77;78;80;141;142;145;147;148;131B;132L,132R)の作動状態の少なくとも一方を検出する。そして、発信制御部(57;157)は、状態検出部(56;156)での検出結果に基づいて、音発信部(17;117)からの指標音の発信状態を制御している。
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、本発明は前述の実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形ができることは勿論である。
1,101…内視鏡装置、2,102…内視鏡、3,103…挿入部、13,113…制御ユニット、15…操作入力部、17、117…音発信部、30…スパイラルチューブ、60,140…駆動力伝達ユニット、52,152…電動モータ、55,155…電力制御部、56,156…状態検出部、57,157…発信制御部、122…湾曲部。

Claims (10)

  1. 長手軸に沿って延設され、被写体を撮像する撮像素子を先端部に備える挿入部と、
    前記挿入部に設けられるか、又は、前記挿入部に取付けられ、駆動力が伝達されることにより動作する動作部であって、動作することにより前記挿入部の前記先端部を移動させる動作部と、
    電力が供給されることにより、前記動作部に伝達される前記駆動力を発生する駆動源と、
    前記動作部を動作させる操作が入力される操作入力部と、
    前記操作入力部での前記操作の入力に基づいて、前記駆動源への前記電力の供給状態を制御する電力制御部と、
    前記駆動源から前記駆動力が伝達されることにより作動される作動部材を備え、前記動作部に接続された状態で前記作動部材が作動されることにより、前記駆動力を前記動作部に伝達する駆動力伝達ユニットと、
    前記駆動源への負荷に対応して変化する前記駆動源の駆動状態、及び、前記作動部材への負荷及び前記駆動力の前記作動部材への伝達状態に対応して変化する前記作動部材の作動状態の少なくとも一方を検出する状態検出部と、
    前記状態検出部での検出結果を示す指標となる指標音を発信する音発信部と、
    前記状態検出部での前記検出結果に基づいて、前記音発信部からの前記指標音の発信状態を制御する発信制御部と、
    を具備する挿入装置。
  2. 前記電力制御部は、前記操作入力部での前記操作の入力値が一定である限り前記駆動源の駆動速度が一定に保たれる状態に、前記駆動源への前記電力の前記供給状態を制御し、
    前記状態検出部は、前記駆動源へ供給される駆動電流の電流値に基づいて前記駆動源に前記駆動状態を検出する、
    請求項1の挿入装置。
  3. 前記電力制御部は、前記操作入力部での前記操作の入力値が一定である限り前記駆動源へ供給される駆動電流の電流値が一定に保たれる状態に、前記駆動源への前記電力の前記供給状態を制御し、
    前記状態検出部は、前記駆動源の駆動変位又は駆動速度に基づいて前記駆動源の前記駆動状態を検出するか、及び、前記作動部材の作動変位又は作動速度に基づいて前記作動部材の前記作動状態を検出するか、の少なくとも一方を行う、
    請求項1の挿入装置。
  4. 前記動作部は、前記挿入部に取付けられ、前記駆動力が伝達されることにより前記長手軸を中心として前記挿入部に対して回転するスパイラルチューブであり、
    前記スパイラルチューブは、外周面に前記長手軸を中心として螺旋状に延設される螺旋フィンを備え、
    前記駆動力伝達ユニットは、前記作動部材の1つとして前記挿入部の内部に延設され、前記駆動力が伝達されることにより、シャフト軸を中心として回転する状態に作動されるシャフト部材を備える、
    請求項1の挿入装置。
  5. 前記駆動源は、電動モータであり、
    前記状態検出部は、前記電動モータへ供給される駆動電流の電流値に基づいて、前記電動モータの前記駆動状態を検出する、
    請求項4の挿入装置。
  6. 前記挿入部の基端方向側に設けられる保持部をさらに具備し、
    前記動作部は、前記挿入部に設けられ、前記駆動力が伝達されることにより、前記長手軸に垂直な方向の1つに湾曲する湾曲部であり、
    前記駆動力伝達ユニットは、
    前記作動部材の1つであり、前記駆動力が伝達されることにより、シャフト軸を中心として回転する状態に作動されるシャフト部材と、
    前記保持部の内部に前記作動部材の1つとして設けられ、前記シャフト部材を介して前記駆動力が伝達されることにより、回転する状態に作動される回転部材と、
    前記作動部材の1つとして前記挿入部の内部に前記長手軸に沿って延設され、先端が前記湾曲部に接続される湾曲ワイヤであって、前記シャフト部材及び前記回転部材を介して前記駆動力が伝達されることにより、前記長手軸に沿って移動する状態に作動される湾曲ワイヤと、
    を備える、
    請求項1の挿入装置。
  7. 前記駆動源は、電動モータであり、
    前記状態検出部は、前記電動モータへ供給される駆動電流の電流値に基づいて、前記電動モータの前記駆動状態を検出する、
    請求項6の挿入装置。
  8. 前記回転部材には、前記湾曲ワイヤの基端が接続され、
    前記状態検出部は、前記回転部材に前記駆動力が伝達された状態での前記回転部材の回転変位又は回転速度を検出することにより、前記回転部材の前記作動状態を検出する、
    請求項6の挿入装置。
  9. 前記撮像素子から撮像された前記被写体に基づく撮像信号が伝達され、前記撮像信号に基づいて画像処理を行う画像処理部と、
    前記画像処理部によって画像処理された前記被写体の画像が表示され、前記挿入部の前記先端部の移動に対応して表示される前記画像が変化する表示部と、
    をさらに具備する、請求項1の挿入装置。
  10. 前記発信制御部は、前記状態検出部での前記検出結果に対応して前記音発信部から発信される前記指標音の音量、音質及び経時的な発信パターンの少なくとも1つが変化する状態に、前記音発信部からの前記指標音の前記発信状態を制御する、請求項1の挿入装置。
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