JP2017062872A - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】異常時に内圧を確実に開放できるラミネート型の非水電解質二次電池を提供すること。【解決手段】本発明の非水電解質二次電池1は、充放電を行う充放電部10と、ラミネートフィルム60により形成された充放電部10を収納する収納空間63の一部を区画するロアーケース部62と、収納空間63の外周でロアーケース62に溶着したアッパーケース部61と、を有するケース部6と、シーラント層601が溶着した溶着部66であって、ロアーケース部62とアッパーケース部61の間に配された、熱可塑性樹脂の融点よりも30℃以上低い融点をもつ低融点部70を備えた内圧開放部7と、を有し、低融点部70は、溶着部66と重なる部分が、溶着部66の周方向での長さ(L2)と、径方向での長さ(L1)とが、L2/L1≧2の関係を満たす。【選択図】図1

Description

本発明は、非水電解質二次電池に関し、詳しくはラミネート型の非水電解質二次電池に関する。
ノート型コンピュータ、携帯電話、デジタルカメラ等電子機器の普及に伴い、これら電子機器を駆動するための二次電池の需要が拡大している。近年、これら電子機器においては、高機能化の進展に伴い消費電力が増大していることや、小型化が期待されていることから、二次電池の性能の向上が求められている。二次電池の中でも非水電解質二次電池(特に、リチウムイオン二次電池)は高容量化が可能であることから、種々の電子機器への利用が進められている。
非水電解質二次電池は、通常、正極板及び負極板の間にセパレータを介した状態で積層し、非水電解質とともにケースに収容している。電極板(正極板、負極板)は、導電性の金属よりなる集電体(金属集電板,金属集電箔)の表面に、電極活物質(正極活物質、負極活物質)を含む合材を塗布・乾燥し、所定の形状に成形して電極活物質層をもうけて製造される。
非水電解質二次電池には、ケースにラミネートフィルムから形成したラミネート外装体を用いたラミネート型の二次電池がある。ラミネート型の二次電池は、充放電を行う充放電部(例えば、電極体)がラミネート外装体に収容され、かつ一対の電極がケースを貫通した状態で突出して形成される。ラミネート外装体は、重なった状態のラミネートフィルムを溶着して形成され、一対の電極は、当該電極を介して重なった状態のラミネートフィルムが溶着されて配される。
ラミネート型の非水電解質二次電池には、特許文献1〜2に記載されている。
特許文献1には、ラミネート型のリチウム二次電池において、ラミネートフィルムが、融着部に安全弁として機能する領域が1つ以上存在し、安全弁として機能する領域の剥離強度が電極リード(上記の電極に相当)の融着部の剥離強度の30%〜70%に相当することを特徴とすることが記載されている。
特許文献2には、ラミネート外装体のシール部(溶着部)の一部には安全弁部材が組み込まれていて、それはラミネートフィルムよりも融点の低い熱溶着樹脂シートからなる扁平電池が記載されている。
特開平11−97070号公報 特開2001−93489号公報
特許文献1〜2に記載のように、従来のラミネート型の非水電解質二次電池には、ラミネート外装体の内部の圧力が増加した場合、安全弁が開くことで、過熱を防止していた。
しかしながら、特許文献1に記載の二次電池では、安全弁として機能する領域の剥離強度が常温でも他の融着部の剥離強度の30%〜70%であることから、正常使用時にガスが発生し内圧が上昇した場合に、融着部が剥離してケースが開封するおそれがあった。
また、特許文献2に記載の二次電池では、異常時に内圧が上昇して安全弁部材が剥離しようとしても、シール部を横断するまで剥離することができず、内圧を解放することができないおそれがあった。具体的には、安全弁部材の幅が狭いと、ケース内部側から安全弁部材の溶融が始まっても、溶融の熱の伝達が阻害され、溶融部がシール部を貫通できずに、安全弁部材がその機能を発揮できないおそれがあった。
また、安全弁部材と非安全弁部材との剥離強度が規定されていないため、強度差を確保できていない可能性もあった。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、異常時に内圧の上昇を確実に解消できるラミネート型の非水電解質二次電池を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは内圧開放部を備えた非水電解質二次電池について検討を重ねた結果、本発明を完成させた。
本発明の非水電解質二次電池は、充放電を行う充放電部と、表面に熱可塑性樹脂よりなるシーラント層を備えたラミネートフィルムにより形成され、充放電部を収納する収納空間の一部を区画するロアーケース部と、ラミネートフィルムにより形成され、収納空間の残部を区画するとともに収納空間の外周でロアーケース部に溶着したアッパーケース部と、を有するケース部と、シーラント層が溶着した溶着部であって、ロアーケース部とアッパーケース部の間に配された、熱可塑性樹脂の融点よりも30℃以上低い融点をもつ低融点部を備えた内圧開放部と、を有し、低融点部は、溶着部と重なる部分が、溶着部の周方向での長さ(L2)と、径方向での長さ(L1)とが、L2/L1≧2の関係を満たす。
本発明の非水電解質二次電池は、シーラント層の熱可塑性樹脂より融点が低い低融点部を備えた内圧開放部の溶着部と重なる部分が、所定の関係を満たすように形成されている。これにより、本発明の非水電解質二次電池は、異常時に収納空間の内圧や温度が上昇したときに、低融点部が溶融又は剥離して収納空間と外部とが連通することで、確実に内圧の上昇を解消できる。
なお、本発明において、収納空間の外周でロアーケース部とアッパーケース部とが溶着して溶着部が形成される。溶着部が収納空間の外周に形成されることから、周方向及び径方向とは、特に規定がない限りはこの外周に沿った形状における周方向及び径方向を示す。
実施形態1のリチウムイオン二次電池を示す斜視図である。 図1のリチウムイオン二次電池のII−II線での断面図である。 図1のリチウムイオン二次電池のIII−III線での断面図である。 実施形態1のリチウムイオン二次電池の内圧開放タブと溶着部との関係を示す模式図である。 実施形態1での内圧開放タブの溶融の進行を示す模式図である。 実施形態1での内圧開放タブの溶融の進行が規制された状態を示す模式図である。 実施形態2の内圧開放タブの構成を示す断面図である。 実施形態2の内圧開放タブの変形形態の構成を示す断面図である。 実施形態2の内圧開放タブの変形形態の構成を示す断面図である。 実施形態3の内圧開放タブの構成を示す断面図である。 実施形態4の内圧開放タブの構成を示す断面図である。 実施形態6の内圧開放タブの構成を示す断面図である。 実施形態1のリチウムイオン二次電池の変形形態を示す上面図である。 実施形態1のリチウムイオン二次電池の変形形態を示す上面図である。 実施形態7の組電池の構成を示す斜視図である。 実施例1の内圧開放タブの製造工程を示す模式図である。 実施例1の内圧開放タブの構成を示す側面図である。 実施例2の内圧開放タブの製造工程を示す模式図である。 実施例2の内圧開放タブの構成を示す側面図である。 実施例3の内圧開放タブの構成を示す側面図である。 実施例4の内圧開放タブの構成を示す側面図である。 実施例の剥離強度の測定結果を示す線図である。
以下、本発明の非水電解質二次電池を、リチウムイオン二次電池で実施した形態として、図面を参照しながら具体的に説明する。
[実施形態1]
本形態の二次電池は、図1〜3にその構成を模式的に示したリチウムイオン二次電池1である。リチウムイオン二次電池1は、電極体10,電池ケース6,内圧開放タブ7を有する。図1には二次電池1の斜視図を、図2は図1中のII−II線の断面図を、図3は図1中のIII−III線の断面図を、それぞれ示した。
(電極体)
電極体10は、充放電を行う部材であり、正極2,負極3,非水電解質4,セパレータ5を有する。電極体10は、二次電池1の電池ケース6の外部に突出する一対の電極端子(詳しくは、正極端子67、負極端子68)を有する。電極体10を構成する正極2,負極3,非水電解質4,セパレータ5のそれぞれの構成については後述する。本形態の二次電池1では、電極体10が充放電部に相当する。
電極端子のうち正極端子67は、電極体10の正極2と接続する。負極端子68は、電極体10の負極3と接続する。一対の電極端子67,68は、図1に示したように、互いに背向する方向で電池ケース6の外部に突出する。
一対の電極端子(詳しくは、正極端子67、負極端子68)は、正極2又は負極3に電気的に接続された板状の導電性の金属よりなる。一対の電極端子67,68は、シーラント69を介して電池ケース6に溶着される。
シーラント69は、一対の電極端子67,68と電池ケース6とを溶着するために配された部材であり、両者に相溶性をもつ材質よりなる。本形態では、酸変性ポリプロピレンよりなる。酸変性ポリプロピレンは、例えば、ポリプロピレン樹脂に、無水マレイン酸等の酸をグラフト重合して製造される。
(電池ケース)
電池ケース6は、ラミネートフィルム60により形成され、電極体10を収納する収納空間63を区画する。電池ケース6は、それぞれラミネートフィルム60により形成されるアッパーケース61及びロアーケース62から形成される。電池ケース6は、ケース部に相当する。アッパーケース61は、アッパーケース部に相当する。ロアーケース62は、ロアーケース部に相当する。
ラミネートフィルム60は、シーラント層601/金属箔602/基材層603をこの順で含む。シーラント層601及び基材層603は、熱可塑性樹脂により形成される。シーラント層601の熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン系の樹脂を例示できる。金属箔602を形成する金属としては、アルミニウムを例示できる。基材層603の熱可塑性樹脂としては、ポリアミド系やポリエステル系の樹脂を例示できる。ラミネートフィルム60は、少なくとも3層を備えた構成を有するフィルムであれば限定されず、市販品を使用できる。
各層601,602,603は、2層以上が積層して形成されていても良い。例えば、シーラント層601は、酸変性ポリプロピレン層と、無変性のポリプロピレン層と、の積層体とすることができる。このシーラント層601は、金属箔602との当接面を、密着性の高い酸変性ポリプロピレン層で形成する。また、金属箔602についても、シーラント層601や基材層603と当接する表面に、片面又は両面の表面処理を施していてもよい。
電池ケース6は、電極体10を収容可能な形状に予め成形(エンボス加工)されたアッパーケース61及びロアーケース62を、電極体10を介して重ね合わせ、外周の端縁部(具体的には、平板部64)を全周にわたって溶着して形成される。外周の溶着により、溶着部66が形成される。
電池ケース6は、アッパーケース61とロアーケース62を当接又は圧接した状態で当接部を加熱し、シーラント層601、601を軟化させ、シーラント層601、601を溶着することで形成される。シーラント層601、601が溶着した部分が溶着部66となる。溶着部66は、電池ケース6の外周に全周にわたって環状をなすように形成される。
電池ケース6は、アッパーケース61及びロアーケース62の一方を、他方に押しつけた状態で、押圧部を加熱してシーラント層601、601を溶融(あるいは軟化)させ、その後固化することで、シーラント層601、601を溶着することで形成できる。当接した状態で加熱する本方法は、溶着部66の径方向長さを確実に制御できるため、好ましい。
また、電池ケース6は、アッパーケース61及びロアーケース62の一方を、熱や何らかの溶媒によりシーラント層601を溶融(あるいは軟化)させた状態で他方のケースに押しつけることで形成してもよい。
アッパーケース61とロアーケース62の溶着は、電極体10の電極端子及び内圧開放タブ7が封止部を貫通する状態で行われる。すなわち、アッパーケース61、電極端子や内圧開放タブ7、ロアーケース62の順に重ね合わせ、溶着される。
アッパーケース61及びロアーケース62は、図1〜図3に示したように、重ね合わされたときに別のケースとの間で溶着部66を形成する平板部64と、平板部64の中央部に形成された電極体10を収容可能な槽状部65と、を有する。すなわち、ロアーケース62は、収納空間63の一部を区画する。アッパーケース61は、収納空間63の残部を区画する。
アッパーケース61及びロアーケース62は、電極体10を収容可能な凹字状をなすようにラミネートフィルム60を曲成(成形)して形成されている。具体的には、図1中のII−II線、III−III線での断面形状が凹字状をなすように形成されている。アッパーケース61及びロアーケース62は、同一形状をなし、互いに対向した向きで重ね合わせたときに、平板部64、64が完全に重なり合う。アッパーケース61及びロアーケース62を成形する方法は、従来公知の成形方法が用いられる。
アッパーケース61及びロアーケース62は、槽状部65の開口部及び底面部が略方形状の形状をなすように、ラミネートフィルム60を曲成している。槽状部65の開口部の外周に位置する平板部64は、略方形の環状をなす。
アッパーケース61及びロアーケース62は、平板部64及び槽状部65の底部65Aが平行に形成されている。平板部64と槽状部65の底部65Aとは、立設部65Bにより接続されている。立設部65Bは、平板部64及び底部65Aの平行な方向に対して交差する方向(傾斜した方向)に伸びている。底部65Aは、槽状部65の開口部(平板部64の内方の端部)よりも小さく形成されている。
平板部64、64の周縁部に溶着部66が形成され、溶着部66の内方(電極体10に近接する方向)には、平板部64、64が重なり合った未接着の部分が形成されている。平板部64、64が重なり合った未接着の部分は、当接した状態であっても、隙間を形成した状態であっても、いずれでもよい。更に、電極体10の一部が介在していてもよい。
(内圧開放タブ)
内圧開放タブ7は、シーラント層601、601が溶着した溶着部66であって、アッパーケース61とロアーケース62の間に配された、熱可塑性樹脂よりなる板状(長手方向が溶着部66を通過する帯状)の部材である。内圧開放タブ7は、内圧開放部に相当する。本形態の内圧開放タブは、低融点部70のみから形成された形態に相当する。
本形態において、内圧開放タブ7は、略方形状の二次電池1の一対の電極端子67,68が突出していない辺の中央部に設けられる。
内圧開放タブ7の熱可塑性樹脂は、シーラント層601、601のポリプロピレン系の樹脂の融点よりも30℃以上低い融点をもつ。そして、内圧開放タブ7の熱可塑性樹脂は、メタロセン系触媒により重合したエチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体のいずれかを1種類以上含むポリプロピレン系樹脂より形成されている。これらのポリプロピレン系樹脂は、更にα,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体、や(メタ)アクリル酸エステルでグラフト変性し、極性状態を制御してもよい。
また、ポリプロピレン系樹脂は、ガラス転移温度が−30℃〜0℃である。内圧開放タブ7がこの樹脂よりなることで、本形態のリチウムイオン二次電池1の収納空間63の内圧が上昇したときに、内圧開放タブ7が、溶融できる。
板状の内圧開放タブ7は、1μm〜100μmの厚さの板状である。
板状の内圧開放タブ7は、図4に示したように、溶着部66と重なる部分が、溶着部66の周方向での長さ(L2)と、径方向での長さ(L1)とが、L2/L1≧2の関係を満たす。なお、図4は、内圧開放タブ7と溶着部66との関係を模式的に示す図である。
内圧開放タブ7が溶着した部分は、その最大剥離強度が25℃で70N/15mm以上、100℃で30N/15mm以下であることが好ましい。そして、内圧開放部以外の溶着部66の最大剥離強度は、内圧開放部の最大剥離強度より、100℃で10N/15mm以上大きいことが好ましい。なお、最大剥離強度は、内圧開放部や溶着部66を15mmの幅で切りとり、立設部65Bを離反する方向に引っ張って剥離させ、最も大きな力を最大剥離強度とした。
(内圧開放タブの製造方法)
本形態の内圧開放タブ7の製造方法は限定されるものではない。従来公知の製造方法を用いることができる。例えば、特開2015−96563に記載の製造方法を挙げることができる。
さらに、後述の実施例1のように、ポリプロピレン系樹脂が剥離可能に形成された剥離面を有する基材の表面に、溶融や溶解により溶液状となったポリプロピレン系樹脂を塗布し、乾燥させることで、所定の厚さに連続的に製造できる。
(正極)
正極2は、正極活物質を有する。正極2は、正極集電体20の表面に、正極活物質を含む正極活物質層21を有する。正極活物質層21は、正極活物質と導電材と結着材とを混合して得られた正極合剤を正極集電体20の表面に塗布、乾燥して形成される。正極合剤は、適当な溶媒によりペースト状又はスラリー状をなしている。
正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な正極活物質を有するものであること以外は限定されない。例えば、種々の酸化物、硫化物、リチウム含有酸化物、導電性高分子などを挙げることができる。正極活物質としては、リチウム−遷移金属複合酸化物を用いることが好ましい。
正極活物質としては、リチウム−遷移金属複合酸化物を用いることが好ましく、層状構造を有する複合酸化物や、スピネル構造を有する複合酸化物や、ポリアニオン構造を有する複合酸化物や、を用いることがより好ましい。
層状構造を有する複合酸化物は、例えば、LiNiCoMn(x+y+z=1)、LiNiAlMn(x+w+z=1)、LiNiCoAlMn(x+y+w+z=1)を挙げることができる。具体的には、LiNi1/3Co1/3Mn1/3を例示できる。
スピネルを有する複合酸化物は、例えば、LiNiMn(x+y+z=2)を挙げることができる。具体的には、LiNi0.5Mn1.5を例示できる。
ポリアニオン構造を有する複合酸化物は、例えば、Liαβη4−γγとすることができる。(なお、M:Mn,Co,Ni,Fe,Cu,Cr,Mg,Ca,Zn,Tiより選ばれる1種以上、X:P,As,Si,Mo,Geより選ばれる1種以上、Z:Al,Mg,Ca,Zn,Tiより選ばれる1種以上を任意で含有可能、0<α≦2.0、0≦β<1.5、1≦η≦1.5、0≦γ≦1.5)具体的には、オリビン構造のLiFePO、LiMn1−xFePO(0≦x<0.5,Mn>Fe)、LiMnPO、LiCoPOを例示できる。
導電材は、正極2の電気伝導性を確保する。導電材としては、黒鉛の微粒子、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノファイバーなどのカーボンブラック、ニードルコークスなどの無定形炭素の微粒子などを使用できるが、これらに限定されない。
正極合剤の結着材は、正極活物質粒子や導電材を結着する。結着材としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVDF)、EPDM、SBR、NBR、フッ素ゴムなどを使用できるが、これらに限定されない。
正極合剤の溶媒としては、通常は結着材を溶解する有機溶媒を使用する。例えば、NMP、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N−N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどを挙げることができるが、これらに限定されない。また、水に分散剤、増粘剤などを加えてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などで正極活物質をスラリー化する場合もある。
正極集電体20は、例えば、アルミニウム、ステンレスなどの金属を加工したもの、例えば板状に加工した箔、網、パンチドメタル、フォームメタルなどを用いることができるが、これらに限定されない。
(負極)
負極3は、負極活物質を含有する。負極3は、負極集電体30の表面に、負極活物質を含む負極活物質層31を有する。負極活物質層31は、負極活物質と結着材とを混合して得られた負極合剤を負極集電体30の表面に塗布、乾燥して形成される。負極合剤は、適当な溶媒によりペースト状又はスラリー状をなしている。
負極活物質は、従来の負極活物質を用いることができる。Sn、Si、Sb、Ge、Cの少なくともひとつの元素を含有する負極活物質を挙げることができる。これらの負極活物質のうち、Cは、リチウムイオン二次電池の電解質イオンを吸蔵・脱離可能な(Li吸蔵能がある)炭素材料であることが好ましく、グラファイトや黒鉛であることがより好ましい。
これらの負極活物質のうち、Sn、Sb、Geは、特に、体積変化の多い合金材料である。これらの負極活物質は、Ti−Si、Ag−Sn、Sn−Sb、Ag−Ge、Cu−Sn、Ni−Snなどのように、別の金属と合金をなしていてもよい。
負極3の導電材としては、炭素材料、金属粉、導電性ポリマーなどを用いることができる。導電性と安定性の観点から、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラックなどの炭素材料を使用することが好ましい。
負極3の結着材としては、PTFE、PVDF、フッ素樹脂共重合体(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体)SBR、アクリル系ゴム、フッ素系ゴム、ポリビニルアルコール(PVA)、スチレン・マレイン酸樹脂、ポリアクリル酸塩、カルボキシルメチルセルロース(CMC)などを挙げることができる。
負極3の合剤の溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの有機溶媒、又は水などを挙げることができる。
負極集電体30は、従来の集電体を用いることができ、銅、ステンレス、チタンあるいはニッケルなどの金属を加工したもの、例えば板状に加工した箔、網、パンチドメタル、フォームメタルなどを用いることができるが、これらに限定されない。
(非水電解質)
非水電解質4は、支持電解質と、非水溶媒と、を有する。非水電解質4は、支持電解質を非水溶媒に溶解してなる。
支持電解質は、リチウムを含有するものであること以外は限定されるものではない。例えば、LiPF,LiBF,LiClO及びLiAsFから選ばれる無機塩,これらの無機塩の誘導体,LiSOCF,LiC(SOCF及びLiN(SOCF,LiN(SO,LiN(SOCF)(SO),から選ばれる有機塩、並びにこれらの有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが好ましい。これらの支持電解質は、電池性能を更に優れたものとすることができ、かつその電池性能を室温以外の温度域においても更に高く維持することができる。支持電解質の濃度についても特に限定されるものではなく、支持電解質及び有機溶媒の種類を考慮して適切に選択することが好ましい。具体的には、支持電解質が非水電解質4において、0.5〜1.5mol/Lの割合となるように含有することが好ましく、0.8〜1.2mol/Lの割合となるように含有することがより好ましい。
非水溶媒は、支持電解質を溶解する。非水溶媒は、支持電解質を溶解するものであること以外は限定されるものではない。例えば、カーボネート類,ハロゲン化炭化水素,エーテル類,ケトン類,ニトリル類,ラクトン類,オキソラン化合物等を用いることができる。特に、プロピレンカーボネート,エチレンカーボネート(EC),1,2−ジメトキシエタン,ジメチルカーボネート(DMC),ジエチルカーボネート(DEC),エチルメチルカーボネート(EMC),ビニレンカーボネート(VC)等及びそれらの混合溶媒が好ましい。これらの有機溶媒のうち、特にカーボネート類,エーテル類からなる群より選ばれた1種以上の非水溶媒を用いることが、支持電解質の溶解性、誘電率及び粘度において優れ、リチウムイオン二次電池1の充放電効率が高くなるため好ましい。
また、非水電解質4は、従来公知の添加剤を添加していてもよい。この場合、従来公知の添加剤の添加量(添加割合)は限定されるものではない。従来公知の添加剤としては、二次電池1を形成したときに、電極(例えば、正極2)の表面で分解し、電極(正極2、特に正極活物質)の表面に被膜(例えば、Solid Electrolyte Interphase:SEI膜)を生成する化合物を挙げることができる。
(二次電池1の作用効果)
本形態のリチウムイオン二次電池1は、従来の二次電池と同様に、一対の電極端子67,68を介して通電され、充放電が行われる。
正常状態の二次電池1は、充放電を繰り返しても、電極体10の温度が過剰に高くならない。
二次電池1に過充電や短絡が生じると、電極体10の温度が過剰に高くなる。電極体10の温度が過剰に高くなると、電極体10が収容された収納空間63の温度も上昇する。このとき、非水電解質4が分解してガスを発生し、内部圧力の上昇も招く。
収納空間63の温度が上昇して、内圧開放タブ7の融点以上の温度となると、内圧開放タブ7の収納空間63に露出した部分が溶融する。電池ケース6の収納空間63に面したラミネートフィルム60のシーラント層601が熱可塑性樹脂よりなるが、内圧開放タブ7の融点が熱可塑性樹脂よりも30℃以上低いため、内圧開放タブ7の溶融が優先的に開始する。
内圧開放タブ7は、溶融前から収納空間63の高温に曝されており、内圧開放タブ7の溶融が電池ケース6の外部方向に進行する。このとき、収納空間63は、内部圧力も上昇しており、内圧開放タブ7が溶融すると、収納空間63内のガスが電池ケース6の外部方向に流れ出ようとする。そうすると、内圧開放タブ7が溶融した部分がガスを通過可能な空間が形成される。
そして、内圧開放タブ7の溶融が進行していき、ガスが通過可能な空間が内圧開放タブ7を貫通する。そうすると、二次電池1の外部と収納空間63とが連通し、収納空間63内のガスが電池ケース6の外部に排出される。その結果、リチウムイオン二次電池1は、更なる温度上昇及び内圧の上昇が抑えられる。
本形態のリチウムイオン二次電池1は、内圧開放タブ7が図4に示した形状(L1/L2≧2となる形状)を備えている。この形状を有することで、内圧開放タブ7の溶融が確実に進展し、ガスが通過可能な空間が内圧開放タブ7を貫通するように形成できる。
具体的には、内圧開放タブ7は、溶着部66と重なる部分がL1/L2≧2となる長方形状をなしている。内圧開放タブ7の溶融は、収納空間63に露出した端部の任意の一点(図5で溶融の開始と表記)から始まる。そして、この任意の一点から熱(具体的には、内圧開放タブ7を溶融する高熱)が遠心方向に伝達し、溶融が進展する。溶融が進展する方向を、図5中の矢印で示した。
本形態では、溶融が遠心方向に進展したときに、内圧開放タブ7の径方向での長さ(L1)が十分に長いため、溶融の進展が制限されない。
対して、図6に示したように、内圧開放タブ7の径方向での長さ(L1)が短いと、溶融部の先端が溶着部66との当接部に到達し、この方向への延伸の進展が制限される。そうすると、内圧開放タブ7の径方向での溶融の進展も制限され、ガスが通過可能な空間が内圧開放タブ7を貫通するように形成されにくくなる。その結果、二次電池1の外部と収納空間63とが連通しにくくなり、収納空間63内の過熱や内部圧力の上昇による不具合が発生しやすくなる。
このように、本形態のリチウムイオン二次電池1は、シーラント層601よりも30℃以上融点の低い内圧開放タブ7を、所定の形状で有することで、収納空間63内のガスを電池ケース6の外部に素早く排出でき、その結果として、収納空間63の内圧の上昇による電池性能の低下が抑えられる。
本形態のリチウムイオン二次電池1は、内圧開放タブ7がメタロセン系触媒により重合したポリプロピレン系樹脂より形成されている。メタロセン系触媒は、重合を制御することで、重合されてなるポリプロピレン系樹脂の特性を制御できる。例えば、重合されたポリプロピレン系樹脂において、分子量分布をより狭い範囲に制御でき、溶融時のホットタック性をコントロールすることができる。また、ポリプロピレン系樹脂の融点を、低融点とすることができる。この結果、収納空間63内の過熱や内部圧力の上昇による熱で確実に溶融する内圧開放タブ7となる。
本形態のリチウムイオン二次電池1は、内圧開放タブ7が1μm〜100μmの厚さの板状である。内圧開放タブ7の厚さがこの範囲となることで、収納空間63内の過熱や内部圧力の上昇による熱で確実に溶融する内圧開放タブ7となる。内圧開放タブ7の厚さが1μm未満では、内圧開放タブ7を形成することの効果が得られなくなる。また、厚さが100μmを超えると、厚さが厚くなりすぎるとともに、内圧開放タブ7を水分が透過して収納空間63の内部に水分が侵入しやすくなる。内圧開放タブ7のより好ましい厚さは2μm〜80μmである。
本形態のリチウムイオン二次電池1は、内圧開放タブ7を形成するポリプロピレン系樹脂は、ガラス転移温度が−30℃〜0℃である。この構成によることで、収納空間63内の過熱や内部圧力の上昇による熱で確実に溶融する内圧開放タブ7となる。
本形態のリチウムイオン二次電池1は、内圧開放タブ7が形成された部分が、その最大剥離強度が25℃で70N/15mm以上、100℃で30N/15mm以下である。この構成によることで、二次電池1が正常状態では電池ケース6が密閉性を確保でき、異常時に確実に溶融する内圧開放タブ7となっている。
本形態のリチウムイオン二次電池1は、内圧開放タブ7が形成された部分以外の溶着部66の最大剥離強度が、上記の内圧開放タブ7が形成された部分の最大剥離強度より、100℃で10N/15mm以上大きい。この構成によることで、二次電池1の異常時に、ラミネートフィルム60が溶融することなく、内圧開放タブ7のみが溶融する構成となる。
[実施形態2]
本形態の二次電池は、内圧開放タブ7が異なること以外は、実施形態1と同様な構成である。
本形態の二次電池1の内圧開放タブ7は、図7にその構成を示したように、低融点部70と、高融点部71と、が積層した状態で一体に形成された構成を有する。本形態の内圧開放タブ7は、低融点部70と高融点部71とが積層した形態に相当する。高融点部71は、高融点の基材に相当する。
本形態において、低融点部70は、実施形態1の内圧開放タブ7を形成するポリプロピレン系樹脂よりなる。高融点部71は、低融点部70よりも高融点のポリプロピレン系樹脂よりなる。
低融点部70と高融点部71との融点の差は限定されないが、30℃以上の温度差があることが好ましい。本形態において、低融点部70は、mp:60〜100℃のポリプロピレン系樹脂よりなる。高融点部71は、mp:130〜170℃のポリプロピレン系樹脂よりなる。高融点部71のポリプロピレン系樹脂としては、キャストポリプロピレンを例示できる。キャストポリプロピレンは、2層以上の多層構成を採用してもよい。
本形態では、内圧開放タブ7が2層の融点の異なるポリプロピレン系樹脂よりなる。この構成によると、低融点部70と高融点部71と分子間で相溶することができ、低融点部70と高融点部71との界面での剥離が生じなくなる。
本形態において、内圧開放タブ7の厚さは限定されるものではないが、実施形態1と同様に、1μm〜100μmの厚さであることが好ましい。低融点部70と高融点部71のそれぞれの厚さについても限定されるものではないが、二次電池1の異常時に低融点部70が溶融して収納空間63の内圧を開放することから、低融点部70が実施形態1の内圧開放タブ7の好ましい厚さ(具体的には、2μm〜80μm)であることが好ましい。
(内圧開放タブの製造方法)
本形態の内圧開放タブ7の製造方法は限定されるものではない。例えば、まず、実施形態1の内圧開放タブ7と同様に、低融点部70を形成する。次に、高融点部71となる高融点のポリプロピレン系樹脂を、低融点部70の表面に配置して形成することで低融点部70と高融点部71とを積層して製造できる。高融点部71の樹脂の配置は、高融点部71の樹脂を配置し、低融点部70の樹脂を溶着する方法を挙げることができる。また、高融点部71の樹脂を低融点部70の時と同様に、溶液を調製し、塗布・乾燥する方法を挙げることもできる。
(本形態の効果)
本形態では、内圧開放タブ7の低融点部70が、実施形態1の内圧開放タブ7と同様に機能する。すなわち、本形態においても、実施形態1と同様な効果を発揮できる。
なお、本形態の内圧開放タブ7は、図7にその構成を示したように、低融点部70の厚さが高融点部71よりも薄い形態を示したが、図8に示した低融点部70と高融点部71とが同じ厚さの態様であっても、図9に示した低融点部70の厚さが高融点部71よりも厚い態様であっても、実施形態1と同様な効果を発揮できる。
[実施形態3]
本形態の二次電池は、内圧開放タブ7が異なること以外は、実施形態1〜2と同様な構成である。
本形態の二次電池1の内圧開放タブ7は、図10にその構成を示したように、低融点部70、高融点部71、低融点部70、がこの順序で積層した状態で一体に形成された構成を有する。
本形態において、低融点部70及び高融点部71のそれぞれは、実施形態2の場合と同様なポリプロピレン系樹脂よりなる。
本形態においても、実施形態2と同様に、内圧開放タブ7の厚さは限定されるものではなく、1μm〜100μmの厚さであることが好ましい。低融点部70と高融点部71のそれぞれの厚さについても限定されるものではないが、二次電池1の異常時に低融点部70が溶融して収納空間63の内圧を開放することから、低融点部70が実施形態1の内圧開放タブ7の好ましい厚さ(具体的には、2μm〜80μm)であることが好ましい。
(内圧開放タブの製造方法)
本形態の内圧開放タブ7の製造方法は限定されるものではない。例えば、まず、実施形態2の内圧開放タブ7と同様に、低融点部70と高融点部71とが積層した積層体を製造する。次に、低融点部70となる樹脂の溶液を、高融点部71に塗布し、乾燥させる。このように、本形態の内圧開放タブ7は、低融点部70と高融点部71とを3層に積層して製造できる。
(本形態の効果)
本形態では、内圧開放タブ7の低融点部70が、実施形態1〜2の内圧開放タブ7と同様に機能する。すなわち、本形態においても、実施形態1〜2と同様な効果を発揮できる。
[実施形態4]
本形態の二次電池は、内圧開放タブ7が異なること以外は、実施形態3と同様な構成である。
本形態の二次電池1の内圧開放タブ7は、図11にその構成を示したように、高融点部71、低融点部70、高融点部71、がこの順序で積層した状態で一体に形成された構成を有する。
本形態において、低融点部70及び高融点部71のそれぞれは、実施形態3と同様なポリプロピレン系樹脂よりなる。
本形態においても、実施形態3と同様に、内圧開放タブ7の厚さは限定されるものではなく、1μm〜100μmの厚さであることが好ましい。低融点部70と高融点部71のそれぞれの厚さについても限定されるものではないが、二次電池1の異常時に低融点部70が溶融して収納空間63の内圧を開放することから、低融点部70が実施形態1の内圧開放タブ7の好ましい厚さ(具体的には、2μm〜80μm)であることが好ましい。
(本形態の効果)
本形態では、内圧開放タブ7の低融点部70が、実施形態1〜3の内圧開放タブ7と同様に機能する。すなわち、本形態においても、実施形態1〜3と同様な効果を発揮できる。
[実施形態5]
本形態の二次電池は、内圧開放タブ7の低融点部70の構成が異なること以外は、実施形態2と同様な構成である。
本形態の内圧開放タブ7の低融点部70は、ポリプロピレン系樹脂が三次元架橋した架橋構造を有する。三次元架橋は、低融点部72を形成するポリプロピレン系樹脂に硬化剤(あるいは硬化促進剤)を分散しておき、内圧開放タブ7を形成した後に、硬化を開始することで行うことができる。ここで、硬化の開始は、加熱や紫外線、電子線の照射により行うことができる。
なお、ポリプロピレン系樹脂は、実施形態1〜4と同様な樹脂である。
(内圧開放タブの製造方法)
本形態の内圧開放タブ7の低融点部70の製造方法は限定されるものではない。従来公知の製造方法を用いることができる。例えば、特開2010−92703に記載の熱架橋を用いる製造方法や、特開2004−362935に記載の電子線架橋を用いる製造方法を挙げることができる。
(本形態の効果)
本形態では、二次電池1の異常時に内圧開放タブ7の低融点部70が溶融する。つまり、実施形態2の内圧開放タブ7と同様に機能する。すなわち、本形態においても、実施形態2と同様な効果を発揮できる。
また、本形態では、内圧開放タブ7の低融点部70が架橋構造を有しており、この架橋構造に沿って溶融が進行し、内圧開放タブ7の径方向で溶融が進行する。このことからも、本形態が上記の効果を確実に発揮できる。
[実施形態6]
本形態の二次電池は、内圧開放タブ7の低融点部70の構成が異なること以外は、実施形態2と同様な構成である。
本形態の内圧開放タブ7の低融点部72は、図12にその構成を模式的に示したように、分散剤73がポリプロピレン系樹脂に分散した分散構造を有する。分散剤73は、低融点部72を形成するポリプロピレン系樹脂に相溶性をもつ樹脂粒子、ポリプロピレン系樹脂と相分離可能な樹脂粒子、無機材料の粒子等を例示できる。ポリプロピレン系樹脂は、実施形態1〜4と同様な樹脂である。
(本形態の効果)
本形態では、二次電池1の異常時に内圧開放タブ7の低融点部72が溶融したときに、低融点部72と分散剤との界面に沿って溶融が進展する。そして、溶融が内圧開放タブ7の径方向で進行することとなり、分散剤が実施形態2の内圧開放タブ7と同様に機能する。すなわち、本形態においても、実施形態2と同様な効果を発揮できる。また、本形態では、分散した分散剤により、溶融の進行方向が制御でき、上記の効果をより確実に発揮できる。
[変形形態]
上記した各実施形態では、図1〜3に示した構成を備えた二次電池1であるが、それぞれの部材の配置は、この構成に限定されない。
たとえば、図13に示したように方形状の電池ケース6の同一の辺に正極端子67と負極端子68がもうけられた形態、図14に示したように図13の形態において更に正極端子67と負極端子68の間に内圧開放タブ7を設ける形態等の形態を挙げることができる。なお、図13〜図14は、二次電池1を上面図で示す。
これらの形態においても、上記した各実施形態の二次電池1と同様な効果を発揮する。
[実施形態7]
本形態は、上記した各形態の二次電池1を複数用いた組電池8である。
本形態の組電池8は、図15に示したように、複数個の二次電池1を積層した状態で、外装ケース80に収納している。本形態では、4個の二次電池1を積層している。本形態の組電池8は、図示しない電極端子(正極端子及び負極端子)を有する。電極端子は、二次電池1の電極端子67,68に接続される。
二次電池1は、同じ構成の二次電池である。複数個の二次電池1は、直列及び/又は並列に接続される。複数個の二次電池1は、積層した状態で、内圧開放タブ7が積層方向に並ぶ。
外装ケース80は、複数個の二次電池1を内部に収納する箱状を有する。外装ケース80は、積層した複数個の二次電池1を、図示しない手段により積層方向で密着した状態で固定する。外装ケース80は、内圧開放タブ7の径方向外方に、排気空間81を備える。
排気空間81は、二次電池1の積層方向に沿って伸びる空間であり、開口部82を介して外部の排気装置に接続される。本形態では、図15に示したように、開口部82は上面に開口している。
本形態の組電池8は、複数個の二次電池1を接続した組電池であり、組電池として所定の特性を発揮できる。
組電池を形成する複数個の二次電池1のうち、一つの二次電池1に異常が発生しても、上記の実施形態1と同様に動作する。この結果、異常な二次電池1が隣接する二次電池1を過熱することが抑えられ、組電池全体が異常状態となることが抑えられる。
さらに、本形態の組電池8では、異常な二次電池1から排出されたガスが、開口部82を介して排気空間81の外部に排出される。本形態の組電池8では、それぞれの二次電池1が、内圧開放タブ7が積層方向に並んでいる。このため、排気空間81を最小限のサイズとすることができ、外装ケース80及び組電池8の全体の体格の粗大化が抑えられている。
以下、実施例を用いて本発明を説明する。
本発明の効果を具体的に説明するための実施例として、リチウムイオン二次電池1の電池ケース6を製造した。具体的には、上記の各実施形態に示したリチウムイオン二次電池1の電池ケース6を、内圧開放タブ7を有する状態で製造した。
[実施例1]
本実施例は、上記の実施形態1の電池ケース6である。
(内圧開放タブの製造方法)
まず、PET樹脂よりなる厚さ12μmの長尺の帯状の部材(剥離材74と称する)を準備する。PET樹脂は表面74aにシリコンコート処理が施され、当該表面74aがポリプロピレン系樹脂の剥離が可能に形成されている。本例では、剥離材74は、ロール状に巻回されたものが用いられた。
内圧開放タブ7を形成するためのポリプロピレン系樹脂を、有機溶媒(例えば、トルエン)に溶解した溶液を調製する。この溶液を、剥離材74の表面74aに塗布装置90を用いて塗布する。ポリプロピレン系樹脂は、メタロセン系の触媒を用いて重合された、融点が60〜100℃の樹脂である。以下、この樹脂を低PPと称する。溶液の塗布厚さは、乾燥後の厚さが40μmとなるように行われる。本例では、図16に示したように、剥離材74の一方の表面74aに連続的に溶液が塗布される。
その後、130℃に加熱する乾燥工程を施して有機溶媒を除去し、PET樹脂の表面74aに厚さが40μmの低PPよりなる低融点部70が形成される。なお、乾燥工程の加熱装置は、低PP溶液を乾燥できる装置91であり、熱風を吹き付ける装置や、加熱炉を例示できる。
乾燥工程が施された内圧開放タブ7は、図16に示したように、ロール状に巻回される。このロール状に巻回された巻回体から所定の長さを引き出して切断することで、本例の内圧開放タブ7は、使用に供される。
これにより、本例の内圧開放タブ7が製造された。
本例の内圧開放タブ7は、厚さ12μmの剥離材74の表面74aに低融点部70が40μmの厚さで形成されている。そして、図17に側面図で示したように、内圧開放タブ7は、電池ケース6を組み立てるときに、この剥離材74から低融点部70を剥離して使用する。
(電池ケース6の組み立て)
予め図1〜3に示した形状(具体的には、平板部64及び槽状部65を有する形状)に、ラミネートフィルム60を成形し、アッパーケース61及びロアーケース62を形成する。ラミネートフィルム60のシーラント層601は、その表面を形成する熱可塑性樹脂が、融点が130〜170℃のポリプロピレンよりなる。
次に、アッパーケース61とロアーケース62を、平板部64,64が一致する状態で重ね合わせる。このとき、平板部64,64の間に、剥離材74から剥離した状態の内圧開放タブ7を配した状態で行われる。また、槽状部65,65が互いに異なる方向に凸となるように、アッパーケース61とロアーケース62が重ねられる。
そして、積層した状態の平板部64,64を、厚さ方向に加熱しながら圧着する。加熱条件は、温度:200℃、面圧:0.3MPa、加圧時間:5秒である。
これにより、本例の電池ケース6が製造された。
本例の電池ケース6では、内圧開放タブ7の溶着部66と重なる部分の周方向での長さ(L2)が10mmであり、径方向での長さ(L1)が5mmである。そして、L1/L2で表される比が2である。また、図3に断面図で示したように、内圧開放タブ7の径方向の外方側の端部は電池ケース6の外周と一致する。また、内圧開放タブ7の径方向の外方側の端部は、収納空間63に突出している。
本例の電池ケース6の内圧開放タブ7(すなわち、低融点部70)の融点は、60〜100℃である。また、ガラス転移温度が−30℃〜0℃である。
[実施例2]
本実施例は、上記の実施形態2の電池ケース6である。本例は、内圧開放タブ7の構成が異なること以外は、実施例1と同様である。
(内圧開放タブの製造方法)
まず、実施例1と同様にして、剥離材74の表面に、10μmの厚さの低融点部70を形成する。
その後、高融点部71を形成するためのポリプロピレン系樹脂よりなる帯状の部材を、低融点部70の表面70aに当接するように積層する。このポリプロピレン系樹脂は、キャストポリプロピレンと称される樹脂であり、以下、CPPと称する。CPPは、融点が130℃〜170℃の樹脂であり、その厚さが30μmである。そして、100℃(すなわち、低融点部70の融点以上の温度)に加熱する熱処理工程を施して、低融点部70と高融点部71とを溶着する。熱処理工程は、実施例1の乾燥工程と同様に、加熱装置91を用いて行われる。
これにより、本例の内圧開放タブ7が製造された。
なお、本例の内圧開放タブ7は、実施例1と同様に、図18に示したように、ロール状に巻回される。
本例の内圧開放タブ7は、図19に示したように、剥離材74の表面74aに低融点部70が10μmの厚さで、その表面70aに高融点部71が30μmの厚さで形成されている。
(電池ケース6の組み立て)
実施例1と同様に、本例の電池ケース6が製造される。
本例の電池ケース6では、内圧開放タブ7の溶着部66と重なる部分の周方向での長さ(L2)が10mmであり、径方向での長さ(L1)が5mmである。そして、L1/L2で表される比が2である。
[実施例3]
本実施例は、上記の実施形態3の電池ケース6である。本例は、内圧開放タブ7の構成が異なること以外は、実施例1〜2と同様である。
(内圧開放タブの製造方法)
まず、実施例2と同様にして、剥離材74の表面に、10μmの厚さの低融点部70、その表面に20μmの高融点部71を形成する。
その後、低融点部70を形成するための低PP(剥離材74の表面74aの表面上の低融点部70と同じ樹脂)を、有機溶媒(例えば、トルエン)に溶解した溶液を調製する。この溶液を、高融点部71の表面71aに塗布する。溶液の塗布厚さは、乾燥後の厚さが10μmとなるように行われる。
その後、実施例1の時と同様の乾燥工程を施して、本例の内圧開放タブ7が製造された。
本例の内圧開放タブ7は、図20に示したように、剥離材74の表面74aに低融点部70が10μmの厚さで、その表面70aに高融点部71が20μmの厚さで、その表面71aに低融点部70が10μmの厚さで、形成されている。
(電池ケース6の組み立て)
実施例1〜2と同様に、本例の電池ケース6が製造される。
本例の電池ケース6では、内圧開放タブ7の溶着部66と重なる部分の周方向での長さ(L2)が10mmであり、径方向での長さ(L1)が5mmである。そして、L1/L2で表される比が2である。
[実施例4]
本実施例は、上記の実施形態4の電池ケース6である。本例は、内圧開放タブ7の構成が異なること以外は、実施例1と同様である。
(内圧開放タブの製造方法)
まず、実施例2の高融点部71を、20μmの厚さに調製し、剥離材74の表面に配置する。
次に、高融点部71の表面に、低融点部70を、乾燥後の厚さが10μmとなるように塗布し、乾燥させる。なお、これらの工程は、上記した各実施例での工程と同様の工程である。
その後、低融点部70の表面に、20μmの厚さの高融点部71を配置し、熱処理を施す。なお、これらの工程は、実施例2での工程と同様の工程である。
これにより、本例の内圧開放タブ7が製造された。
本例の内圧開放タブ7は、図21に示したように、剥離材74の表面74aに高融点部71が20μmの厚さで、その表面71aに低融点部70が10μmの厚さで、その表面70aに高融点部71が20μmの厚さで、形成されている。
(電池ケース6の組み立て)
実施例1と同様に、本例の電池ケース6が製造される。
本例の電池ケース6では、内圧開放タブ7の溶着部66と重なる部分の周方向での長さ(L2)が10mmであり、径方向での長さ(L1)が5mmである。そして、L1/L2で表される比が2である。
[比較例1]
本比較例は、内圧開放タブ7の構成が異なること以外は、実施例1と同様である。
本例の内圧開放タブ7は、PET樹脂よりなる厚さ50μmの長尺の帯状の部材である。このPET樹脂は、上記の各実施例で剥離材74を形成したPET樹脂よりなる。なお、上記の剥離材74は表面74aにシリコンコート処理が施されているが、本例ではこの処理は施されていない。
(電池ケース6の組み立て)
実施例1〜2と同様に、本例の電池ケース6が製造される。
本例の電池ケース6では、内圧開放タブ7の溶着部66と重なる部分の周方向での長さ(L2)が10mmであり、径方向での長さ(L1)が5mmである。そして、L1/L2で表される比が2である。
[比較例2]
本比較例は、内圧開放タブ7の構成が異なること以外は、実施例1と同様である。
(内圧開放タブの製造方法)
まず、実施例1と同様にして、帯状の剥離材74を準備する。
内圧開放タブ7を形成するためのポリプロピレン系樹脂を、有機溶媒(例えば、トルエン)に溶解した溶液を調製する。この溶液を、剥離材74の表面74aに塗布する。ポリプロピレン系樹脂は、非メタロセン系の触媒(本例では、チーグラー・ナッタ触媒)を用いて重合された、融点が60〜100℃の樹脂であり、低融点PPと称する。溶液の塗布厚さは、乾燥後の厚さが40μmとなるように行われる。
その後は、実施例1と同様にして、本例の内圧開放タブ7が製造された。
(電池ケース6の組み立て)
実施例1〜2と同様に、本例の電池ケース6が製造される。
本例の電池ケース6では、内圧開放タブ7の溶着部66と重なる部分の周方向での長さ(L2)が10mmであり、径方向での長さ(L1)が5mmである。そして、L1/L2で表される比が2である。
[比較例3]
本比較例は、内圧開放タブ7の構成(具体的には、サイズ)が異なること以外は、実施例1と同様である。
本例の内圧開放タブ7は、実施例1と同様な構成の部材である。
(電池ケース6の組み立て)
実施例1と同様に、本例の電池ケース6が製造される。
本例の電池ケース6では、内圧開放タブ7の溶着部66と重なる部分の周方向での長さ(L2)が5mmであり、径方向での長さ(L1)が5mmである。そして、L1/L2で表される比が1である。
[比較例4]
本比較例は、内圧開放タブ7の構成(具体的には、サイズ)が異なること以外は、実施例1と同様である。
本例の内圧開放タブ7は、実施例1と同様な構成の部材である。
(電池ケース6の組み立て)
実施例1と同様に、本例の電池ケース6が製造される。
本例の電池ケース6では、内圧開放タブ7の溶着部66と重なる部分の周方向での長さ(L2)が7.5mmであり、径方向での長さ(L1)が5mmである。そして、L1/L2で表される比が1.5である。
[評価]
以下、各実施例の電池ケース6の評価を行った。
(剥離強度の測定)
各例の電池ケース6の溶着部66の試験片を切り出し、その剥離強度を測定した。
まず、電池ケース6のうち、内圧開放タブ7を介在している部分を、15mmの幅(周方向の長さ)で切り出す。このとき、溶着部66の内部側の槽状部65の長さ(径方向の長さ)は、後述の治具で保持できる長さである、50mmに切り出した。この試験片は、15mmの幅の全長にわたって内圧開放タブ7が介在し、ラミネートフィルム60同士が溶着していない。このタブをもつ試験片は、図3の右側の内圧開放タブ7近傍に示された構成を備えている。
同様に、電池ケース6のうち、内圧開放タブ7を介在していない部分を切り出して試験片とした。このタブを持たない試験片は、ラミネートフィルム60同士が溶着している。このタブを持たない試験片は、図3の左端部の溶着部66近傍に示された構成を備えている。
そして、切り出された試験片のうち一対の槽状部65,65のそれぞれを、治具で保持(挟持)し、一対の治具を離反する方向に引き離す。そして、溶着部66が剥離するまでの強度を測定し、最大の強度を剥離強度とした。この剥離強度は、最大剥離強度に相当する。なお、試験片の剥離強度の測定は、25℃(室温)及び100℃の雰囲気下で行われた。
剥離強度の測定を表1に示した。
Figure 2017062872
表1に示したように、各実施例の試験片のうち、タブをもつ試験片は、剥離強度が25℃で70N/15mm以上、100℃で30N/15mm以下であった。そして、各試験片は、タブを持たない試験片と比較して、その剥離強度が100℃で10N/15mm以上大きかった。
さらに、実施例1の試験片(タブをもつ試験片及びタブを持たない試験片)と、実施例2の試験片(タブをもつ試験片)を、それぞれ10mmの幅(周方向の長さ)で作製し、25,60,70,80,90,100℃での剥離強度を測定した。測定結果を図22に示した。実施例1のタブをもつ試験片を、実施例1の試験片と称する。実施例1のタブを持たない試験片を、基準試験片と称する。実施例2のタブをもつ試験片を、実施例2の試験片と称する。
図22に示したように、実施例1及び実施例2の試験片は、60℃より高い温度(図中70℃以上)の温度で、剥離強度が大幅に低下している。そして、この剥離強度は、基準試験片の剥離強度と比較しても、50N/10mm以上小さな値となっている。このことから、60℃を超えると、溶着部66より内圧開放タブ7の部分が剥離することが確認できる。
また、このとき、実施例1及び実施例2の試験片に剥離が生じても、参考試験片に剥離が生じていないことが確認できる。すなわち、電池ケース6においては、溶着部66が剥離あるいは溶融することなく、内圧開放タブ7のみが剥離あるいは溶融することが確認できる。
(耐圧試験)
各例の電池ケース6に対し、内圧開放タブ7が形成されていない辺であって、内圧開放タブ7と背向する辺に通気口を形成する。具体的には、通気口を形成する通気部材を組み付ける。
通気部材が組み付けられた電池ケース6の内部にガス(空気)を導入し、内部の圧力を0.2MPaに保持する。ガス導入後の内圧開放タブ7での開放の有無を確認する。この試験を、25℃(室温)と100℃の雰囲気下で行った。
評価は、10個の電池ケース6で行い、評価結果を表1に合わせて示した。表1中、25℃(室温)で、10個全てで開放されない例を○、1個でも開放された例は×とした。また、100℃で、10個全てで開放した例を○、9〜4個が開放したものは△、3個以下が開放したものは×とした。
表1に示したように、各実施例の電池ケース6は、25℃(室温)では内圧開放タブ7が開放されず、100℃の高温雰囲気下で開放が行われている。つまり、非水電解質二次電池を形成したときに、過熱等により温度が上昇したときに、収納空間63の内部のガスを確実に排出できる。
対して、比較例1の電池ケース6では、100℃の高温雰囲気下で全ての内圧開放タブ7の開放が行われているが、同時に25℃(室温)で内圧開放タブ7の開放も見られる。この場合、非水電解質二次電池を形成したときに、過熱等により温度が上昇しない通常の使用時でも開放が生じることとなる。
比較例2の電池ケース6では、25℃(室温)では内圧開放タブ7が開放されないが、100℃の高温雰囲気下で開放が行われない場合が確認できる。つまり、非水電解質二次電池を形成したときに、過熱等により温度が上昇した場合でも内圧の更なる上昇及び発火等の不具合が生じるおそれが高くなっている。
比較例3〜4の電池ケース6は、実施例1に対して内圧開放タブ7のサイズ(L1/L2で表される比)が2未満となっている例である。比較例3〜4の電池ケース6は、比較例2と同様に、25℃(室温)では内圧開放タブ7が開放されないが、100℃の高温雰囲気下で開放が行われない場合が確認できる。
以上の結果から、内圧開放タブ7のサイズ(L1/L2で表される比)が2以上となる電池ケース6は、通常使用時に開放されず、異常時等の過熱時に内圧が開放される電池ケース6となっていることが確認できる。
このような電池ケース6を用いる非水電解質二次電池では、異常時に内圧が確実に開放される二次電池となる効果が発揮される。
1:リチウムイオン二次電池
2:正極 20:正極集電体 21:正極活物質層
3:負極 30:負極集電体 31:負極活物質層
4:非水電解液
5:セパレータ
6:電池ケース 60:ラミネートフィルム 61:アッパーケース
62:ロアーケース 63:収納空間 64:平板部
65:槽状部 66:溶着部
67:正極端子 68:負極端子 69:シーラント
7:内圧開放タブ 70:低融点部 71:高融点部
72:低融点部 73:分散剤 74:剥離材
8:組電池 80:外装ケース 81:排気空間
82:開口部
90:塗布装置 91:加熱装置

Claims (10)

  1. 充放電を行う充放電部(10)と、
    表面に熱可塑性樹脂よりなるシーラント層(601)を備えたラミネートフィルム(60)により形成され、該充放電部を収納する収納空間(63)の一部を区画するロアーケース部(62)と、該ラミネートフィルムにより形成され、該収納空間の残部を区画するとともに該収納空間の外周で該ロアーケース部に溶着したアッパーケース部(61)と、を有するケース部(6)と、
    該シーラント層が溶着した溶着部(66)であって、該ロアーケース部と該アッパーケース部の間に配された、該熱可塑性樹脂の融点よりも30℃以上低い融点をもつ低融点部(70)を備えた内圧開放部(7)と、
    を有し、
    該低融点部は、該溶着部と重なる部分が、該溶着部の周方向での長さ(L2)と、径方向での長さ(L1)とが、L2/L1≧2の関係を満たす非水電解質二次電池(1)。
  2. 前記低融点部は、メタロセン系触媒により重合したポリプロピレン系樹脂よりなる請求項1記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記ポリプロピレン系樹脂は、架橋構造,分散剤が分散した分散構造の少なくとも一つの構造を有する請求項2記載の非水電解質二次電池。
  4. 前記低融点部は、1μm〜100μmの厚さの板状である請求項2〜3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
  5. 前記ポリプロピレン系樹脂は、ガラス転移温度が−30℃〜0℃である請求項2〜4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
  6. 前記内圧解放部は、その最大剥離強度が25℃で70N/15mm以上、100℃で30N/15mm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
  7. 前記内圧開放部以外の前記溶着部の最大剥離強度は、前記内圧開放部の最大剥離強度より、100℃で10N/15mm以上大きい請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
  8. 前記低融点部は、前記ポリプロピレン系樹脂のみからなる請求項2〜7のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
  9. 前記内圧開放部は、前記ポリプロピレン系樹脂よりなる前記低融点部と、該ポリプロピレン系樹脂より高融点の基材と、が積層してなる請求項2〜7のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
  10. 前記内圧開放部の位置が重なる状態で、複数の前記非水電解質二次電池を組み合わせて組電池(8)を形成する請求項1〜9のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
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