JP2017062136A - 処理装置、波形表示装置および検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電気部品を確実かつ容易に検査する。【解決手段】電気部品に対する検査用信号の供給時に生じる振動波形を波形データに変換する変換部と、波形データに基づいて電気部品を検査するための検査用画像Gcを表示させる画像データを生成する処理部とを備え、処理部は、波形データに基づいて振動波形の周期を特定して、特定した周期と同じ周期で、かつ振動波形における最大波高と同じ波高で、かつ振動波形と同位相の正弦波を特定し、振動波形および正弦波における各パラメータによって特定される座標点をXY平面にプロットして得られるリサージュ曲線を特定し、リサージュ曲線に基づく検査用曲線を特定する特定処理を、検査対象の電気部品および良品の電気部品に対してそれぞれ実行し、検査用画像Gcとしての検査対象の電気部品についての検査用曲線Coおよび良品の電気部品についての検査用曲線Csを表示させる画像データを生成する。【選択図】図12
Description
本発明は、電気部品に対する検査用信号の供給時または供給停止時に生じる振動波形に基づいて電気部品を検査するための検査用画像を表示させる画像データを生成する処理装置、その処理装置を備えた波形表示装置、およびその波形表示装置を備えた検査装置に関するものである。
この種の検査装置として、下記特許文献1に開示された非破壊試験装置が知られている。この非破壊試験装置は、直流電源、半導体スイッチ、制御部および波形観測・解析部などを備え、被試験コイルに電流を流した後に電流を高速で遮断したときの被試験コイルの両端間における減衰振動電圧波形から被試験コイルの良否(レイヤーショートの有無)を検査可能に構成されている。この場合、レイヤーショートが存在している被試験コイルの減衰振動電圧波形(以下、「被試験波形」ともいう)は、レイヤーショートが存在していない良品のコイルの減衰振動電圧波形(以下、「基準波形」ともいう)と比較して、急激に減衰し、減衰振動の始まりからn個目の頂点に達するまでの時間が短い(つまり、振動の周期が短い)傾向がある。このため、被試験波形と基準波形とを比較することで、被試験コイルの良否(レイヤーショートの有無)を判定することが可能となっている。
ところが、上記した従来の非破壊試験装置には、以下の問題点がある。すなわち、この非破壊試験装置では、被試験コイルの減衰振動電圧波形(被試験波形)と良品のコイルの減衰振動電圧波形(基準波形)とを比較することで、被試験コイルの良否を判定している。しかしながら、レイヤーショートが存在していたとしても、被試験波形および基準波形の減衰の仕方や、振動の周期の相違は一般的に微差であるため、被試験波形および基準波形を見比べるだけでは、両波形が相違しているか否かを判定することは困難である。このため、従来の非破壊試験装置には、被試験コイルの良否を確実かつ容易に判定することが困難であるという問題点が存在する。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、電気部品を確実かつ容易に検査し得る処理装置、波形表示装置および検査装置を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく請求項1記載の処理装置は、電気部品に対する検査用信号の供給時または供給停止時に生じる振動波形を波形データに変換する変換部と、前記波形データに基づいて前記電気部品を検査するための検査用画像を表示させる画像データを生成する処理部とを備えた処理装置であって、前記処理部は、前記波形データに基づいて前記振動波形の周期を特定して、当該特定した周期と同じ周期で、かつ前記振動波形における最大波高と同じ波高で、かつ前記振動波形と同位相の正弦波を特定し、前記振動波形および前記正弦波における各パラメータによって特定される座標点をXY平面にプロットして得られるリサージュ曲線を特定し、当該リサージュ曲線に基づく検査用曲線を特定する特定処理を、検査対象の前記電気部品および良品の前記電気部品に対してそれぞれ実行し、前記検査用画像としての前記検査対象の電気部品についての前記検査用曲線および前記良品の電気部品についての前記検査用曲線を表示させる前記画像データを生成する。
また、請求項2記載の処理装置は、請求項1記載の処理装置において、前記処理部は、前記リサージュ曲線を前記XY平面における予め規定された規定方向に拡縮した前記検査用曲線を特定する。
また、請求項3記載の波形表示装置は、請求項2記載の処理装置において、前記処理部は、前記特定処理において、前記規定方向としての前記XY平面におけるx=yの直線に対して直交する方向および、前記規定方向としての前記XY平面におけるy=0の直線に対して直交する方向に前記リサージュ曲線を拡縮した前記検査用曲線を特定する。
また、請求項4記載の波形表示装置は、請求項1から3のいずれかに記載の処理装置と、前記検査用画像を表示する表示部とを備えている。
また、請求項5記載の検査装置は、請求項4記載の波形表示装置と、前記検査用画像に基づいて前記電気部品を検査する検査部とを備えている。
また、請求項6記載の検査装置は、請求項5記載の検査装置において、前記検査部は、前記良品の電気部品についての前記検査用曲線に予め決められた幅を設けて形成される帯状領域内に前記検査対象の電気部品についての前記検査用曲線が含まれるか否かに基づいて前記検査対象の電気部品を検査する。
請求項1記載の処理装置、請求項4記載の波形表示装置、および請求項5記載の検査装置では、検査対象の電気部品についての振動波形および良品の電気部品についての振動波形の各パラメータ、および各振動波形と同じ周期で同じ波高で同位相の正弦波のパラメータからそれぞれ得られるリサージュ曲線に基づく検査用曲線を特定し、検査用曲線を表示させる画像データを生成する。この場合、振動波形は、1つのパラメータの経時変化を表したものであって、各振動波形の振幅、減衰率、周期等が互いにわずかに異なっているだけのときには、各振動波形上の各時刻における座標点がY方向にわずかに異なるだけであるため、振動波形の形状の相違が現れにくい結果、各振動波形を比較しただけでは各振動波形の相違を把握することが困難である。一方、リサージュ曲線は、各時刻における2つのパラメータ(振動波形によって示されるパラメータ、および正弦波によって示されるパラメータ)をそれぞれX座標およびY座標とする座標点をプロットして描かれる曲線(つまり、2つのパラメータを合成した値の経時変化を表したもの)であるため、各振動波形の振幅、減衰率、周期等が互いにわずかに異なっているときであっても、各リサージュ曲線上の各時刻における座標点がX方向およびY方向の双方に異なることとなり、各リサージュ曲線の形状、および各リサージュ曲線に基づく各検査用曲線の形状が互いに大きく異なることとなる。したがって、この処理装置、波形表示装置および検査装置によれば、各検査用曲線の形状の相違を確実かつ容易に把握することができる結果、その相違に基づいて検査対象の電気部品の良否を確実かつ容易に判定することができる。
また、請求項2記載の処理装置、請求項4記載の波形表示装置、および請求項5記載の検査装置によれば、リサージュ曲線をXY平面における規定方向に拡縮した検査用曲線を特定することにより、リサージュ曲線の形状や大きさに応じて、見やすい形状の検査用曲線や、互いの形状の相違を明確化した検査用曲線を特定することもできる。このため、この処理装置、波形表示装置および検査装置によれば、検査用曲線の形状の相違をさらに確実かつ容易に把握することができる結果、検査対象の電気部品の良否をさらに確実かつ容易に判定することができる。
また、請求項3記載の処理装置、請求項4記載の波形表示装置、および請求項5記載の検査装置によれば、XY平面におけるx=yの直線に対して直交する方向および、XY平面におけるy=0の直線に対して直交する方向にリサージュ曲線を拡縮した検査用曲線を特定することにより、拡縮の際の座標点の算出(変換)を簡易な式で行うことができるため、特定処理の効率を十分に向上させることができる。
また、請求項6記載の検査装置では、処理部が、良品の電気部品の検査用曲線に幅を設けて形成した帯状領域内に検査対象の電気部品の検査用曲線が含まれるか否かに基づいて検査対象の電気部品の良否を検査する。このため、この検査装置によれば、各検査用曲線を見比べて使用者の感覚で検査対象の電気部品の良否を検査する構成と比較して、検査対象の電気部品をさらに正確かつ容易に検査することができる。
以下、処理装置、波形表示装置および検査装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、検査装置の一例としての図1に示す検査装置1の構成について説明する。検査装置1は、同図に示すように、信号出力部11、A/D変換部12、操作部13、記憶部14、表示部15および処理部16を備えて、電気部品(例えば、同図に示すコイル50)の良否を検査可能に構成されている。この場合、信号出力部11、A/D変換部12、操作部13、記憶部14および処理部16によって処理装置が構成され、この処理装置と表示部15とによって波形表示装置が構成される。
信号出力部11は、検査用信号としての検査用電流Itを出力する。また、信号出力部11は、図2に示すように、一例として、直流電源11a、コンデンサ11b、および処理部16の制御に従って動作するスイッチ11cを備えて構成されている。この信号出力部11では、スイッチ11cがチャージ側(同図における左側)に切り替えられているときに、直流電源11aとコンデンサ11bが接続されてコンデンサ11bに電荷がチャージされ、スイッチ11cが放電側(同図における右側)に切り替えられたときに、コンデンサ11bにチャージされた電荷が検査用電流Itとしてコイル50(電気部品)に供給される。
A/D変換部12は、変換部の一例であって、コイル50に対する検査用電流Itの供給時に生じる電圧の振動波形を、予め決められたサンプリング周期でサンプリング(A/D変換)して波形データDwを出力する。操作部13は、各種のスイッチやボタンを備えて構成され、これらのスイッチやボタンが操作されたときに操作信号を出力する。
記憶部14は、処理部16の制御に従ってA/D変換部12から出力された波形データDwや、処理部16によって生成される後述する曲線データDcおよび画像データDgを記憶する。表示部15は、処理部16の制御に従って後述する検査用画像Gc(図12参照)を表示する。
処理部16は、操作部13から出力される操作信号に従って各部を制御すると共に、各種の処理を実行する。具体的には、処理部16は、A/D変換部12から出力された波形データDwに基づき、電気部品としてのコイル50の良否を検査するための検査用画像Gcを表示部15に表示させる画像データDgを生成する。また、処理部16は、検査部として機能し、検査用曲線Co,Csおよび帯状領域Eに基づいてコイル50の良否を検査する。
次に、検査装置1を用いて電気部品の一例としてのコイル50を検査する方法、およびその際の各部の動作について、図面を参照して説明する。
検査対象のコイル50(以下「検査対象コイル50a」ともいう)の検査に先立ち、良品のコイル50(以下「良品コイル50b」ともいう)における振動波形の波形データDwを取得する。具体的には、まず、操作部13を操作して、信号出力部11に対するチャージを指示する。この際に、操作部13が操作信号を出力し、処理部16が操作信号に従って信号出力部11を制御して、スイッチ11cをチャージ側(図2における左側)に切り替える。これにより、直流電源11aとコンデンサ11bが接続されてコンデンサ11bに電荷がチャージされる。
続いて、図1に示すように、良品コイル50bの両端に信号出力部11の各出力端子を接続し、次いで、操作部13を操作して、信号出力部11に対する検査用電流Itの出力を指示する。続いて、処理部16が、操作部13からの操作信号に従って信号出力部11を制御し、スイッチ11cを放電側(図2における右側)に切り替える。これにより、コンデンサ11bにチャージされた電荷が検査用電流Itとして良品コイル50bに供給される。この際に、検査用電流Itが良品コイル50bに急激に流れることにより、図3に示すように、良品コイル50bの両端間に電圧の振動波形(過渡応答波形)が生じる(以下、良品コイル50bに生じる振動波形を「基準波形Ws」ともいう)。
次いで、A/D変換部12が、基準波形Wsを予め決められたサンプリング周期でサンプリング(A/D変換)して波形データDwを出力する。続いて、処理部16は、波形データDwを記憶部14に記憶させる。以上により、良品コイル50bについての波形データDwの取得が完了する。次いで、同様の手順で、検査対象コイル50aの両端間に生じる電圧の振動波形(図10参照:以下、検査対象コイル50aに生じる振動波形を「検査対象波形Wo」ともいい、基準波形Wsと検査対象波形Woとを合わせて「波形Wo,Ws」ともいう)の波形データDwを取得する。
続いて、操作部13を操作して、検査対象コイル50aを検査する際に用いる検査用曲線Co,Cs(図12参照)を特定する特定処理の実行を指示する。これに応じて、処理部16は、まず、良品コイル50bについての波形データDwを記憶部14から読み出して、特定処理を実行する。この特定処理では、処理部16は、図3に示すように、波形データDwに基づいて基準波形Wsの周期Tsを特定する。次いで、処理部16は、図4に示すように、特定した周期Tsと同じ周期Tsで、かつ基準波形Wsにおける最大波高と同じ波高で、かつ基準波形Wsと同位相の正弦波Ssを特定する。
続いて、処理部16は、基準波形Wsおよび正弦波Ssにおける各電圧(パラメータ)に基づくリサージュ曲線を特定する。この場合、処理部16は、図5に示すように、波形データDwを生成する際のサンプリング周期毎の基準波形Wsおよび正弦波Ssの各電圧を特定し、基準波形Wsの電圧をX座標とし正弦波Ssにおける電圧をY座標とする座標点を、基準波形Wsの電圧をX軸(同図における横軸)とすると共に正弦波Ssの電圧をY軸(同図における縦軸)とするXY平面上にプロットして得られる(描画される)リサージュ曲線Lsを特定する。
次いで、処理部16は、図6に示すように、特定したリサージュ曲線Lsを、XY平面におけるx=yの直線A1に対して直交する同図に矢印で示す方向(規定方向の一例であって、以下「第1の方向」ともいう)に拡大(拡縮の一例)する(図7参照)。この場合、処理部16は、一例として、リサージュ曲線Ls上の座標点のx座標およびy座標を次の式(1)および式(2)でそれぞれ算出したx’およびy’を新たなx座標およびy座標とする座標点に変換することによってリサージュ曲線Lsを第1の方向に拡大する。
x’=x−α(y−x)・・・式(1)
y’=y+α(y−x)・・・式(2)
なお、式(1)および式(2)内のαは、第1の方向への拡大の際に任意に規定することができる係数であって、図7の例では、αを4に規定している。
x’=x−α(y−x)・・・式(1)
y’=y+α(y−x)・・・式(2)
なお、式(1)および式(2)内のαは、第1の方向への拡大の際に任意に規定することができる係数であって、図7の例では、αを4に規定している。
続いて、処理部16は、図7に示す第1の方向に拡大したリサージュ曲線Lsを、図8に示すように、XY平面におけるy=0の直線A2に対して直交する同図に矢印で示す方向(規定方向の他の一例であって、以下「第2の方向」ともいう)に拡大(拡縮の一例)する(図9参照)。この場合、処理部16は、一例として、第1の方向に拡大したリサージュ曲線Ls上の座標点のy座標をβ倍したy’’を新たなy座標とする座標点に変換することによって第1の方向に拡大したリサージュ曲線Lsを第2の方向にさらに拡大する。なお、βは、第2の方向への拡大の際に任意に規定することができる係数であって、図9の例では、βを2.5に規定している。次いで、処理部16は、第1の方向および第2の方向に拡大した同図に示すリサージュ曲線Lsを検査用曲線Csとして、この検査用曲線Csを示す曲線データDcを生成して記憶部14に記憶させる。これにより、良品コイル50bについての検査用曲線Csの特定が終了する。
続いて、処理部16は、検査対象コイル50aの検査対象波形Wo(図10参照)についての波形データDwを記憶部14から読み出し、次いで、上記した手順と同様の手順で特定処理を実行して、正弦波Soの特定、リサージュ曲線Loの特定、およびリサージュ曲線Loの拡大を行い(いずれも図示を省略する)、図11に示すように、検査対象コイル50aについての検査用曲線Coを特定する。この場合、検査対象波形Woが図10に示す形状のときの検査用曲線Coは、図11に示す形状となる。続いて、処理部16は、検査用曲線Coを示す曲線データDcを生成して記憶部14に記憶させる。以上により、検査用曲線Co,Csの特定が終了する。なお、上記したリサージュ曲線Lo,Lsを拡大する処理は、検査用曲線Co,Csを見やすい形状で表示させたり、検査用曲線Co,Csの形状の相違を明確化したりするための処理であるため、リサージュ曲線Lo,Lsの形状や大きさによっては、拡大に代えて縮小してもよい。また、リサージュ曲線Lo,Lsの一方だけを拡大し、他方を縮小してもよい。また、規定方向も、上記した第1の方向や第2の方向に限定されずも任意に規定することができる。また、リサージュ曲線Lo,Lsを拡縮することなく、そのまま検査用曲線Co,Csとすることもできる。
次いで、検査用曲線Co,Csから検査対象コイル50aの良否を検査するときには、操作部13を操作して、検査用画像Gcの表示を指示する。これに応じて、処理部16は、記憶部14から曲線データDcを読み出して、検査用画像Gcを表示させる画像データDgを曲線データDcに基づいて生成して、表示部15に出力する。これにより、図12に示すように、表示部15に検査用画像Gcが表示される。この検査用画像Gcには、XY平面上に検査用曲線Co,Csの双方が互いに識別可能な表示態様で(同図の例では、検査用曲線Co,Csの線種を互いに異ならせて)表示されている。なお、検査用曲線Co,Csを識別可能な表示態様として、線の色や太さを互いに異ならせることもできる。
ここで、この例では、図12に示すように、検査用曲線Co,Csの形状が大きく異なっているため、検査対象コイル50aの電気特性と良品コイル50bの電気特性とが異なっていると考えられる。このため、このように検査用曲線Co,Csの形状が大きく異なっているときには、検査対象コイル50aが不良であると判定することができる。一方、検査用曲線Co,Csの形状が同一または近似している(大きく異なってはいない)ときには、検査対象コイル50aの電気特性と良品コイル50bの電気特性とが同一または近似していると考えられる。このため、このように検査用曲線Co,Csの形状が同一または近似しているときには、検査対象コイル50aが良好であると判定することができる。
この場合、図10に示すように、例えば、検査対象コイル50aが不良である(同図に示すように、検査対象波形Woの周期Toと基準波形Wsの周期Tsとが異なる)としても、一般的に、波形Wo,Wsの形状は大きくは異ならないため、波形Wo,Wsを比較しただけでは波形Wo,Wsの相違を把握することが困難である。これに対して、図12に示すように、検査対象コイル50aが不良であるときには、波形Wo,Wsに基づく検査用曲線Co,Csの形状が互いに大きく異なるため、その相違を確実かつ容易に把握することができる。したがって、波形Wo,Wsに基づく(対応する)検査用曲線Co,Csを特定するこの処理装置、波形表示装置および検査装置1では、検査対象コイル50aの良否を確実かつ容易に判定することが可能となっている。
次に、波形Wo,Wsが互いに相違するときの検査用曲線Co,Csの形状の相違を、波形Wo,Wsの相違のパターン別に図示して説明する。
図13に示すように、検査対象波形Woの減衰率が基準波形Wsの減衰率よりもわずかに小さいときには、波形Wo,Wsに対応する検査用曲線Co,Csが、図14に示す形状となる。また、図15に示すように、検査対象波形Woの減衰率が基準波形Wsの減衰率よりもわずかに大きいときには、波形Wo,Wsに対応する検査用曲線Co,Csが、図16に示す形状となる。
また、図17に示すように、検査対象波形Woの周期Toが基準波形Wsの周期Tsよりもわずかに長いときには、波形Wo,Wsに対応する検査用曲線Co,Csが、図18に示す形状となる。また、図19に示すように、検査対象波形Woの周期Toが基準波形Wsの周期Tsよりもわずかに短いときには、波形Wo,Wsに対応する検査用曲線Co,Csが、図20に示す形状となる。さらに、図21に示すように、検査対象波形Woの一部(円で囲んだ部分)に放電やノイズによる波形のわずかに乱れが生じているときには、波形Wo,Wsに対応する検査用曲線Co,Csが、図22に示す形状となる。
上記した図13〜図22から明らかなように、波形Wo,Wsの相違のパターン、すなわち、波形Wo,Wsが相違する要因(言い換えるとコイル50の特性が異なる要因)がどのようなものであっても、波形Wo,Wsに対応する検査用曲線Co,Csは、形状が互い大きく異なるため、その相違を確実かつ容易に把握することができる。このため、この処理装置、波形表示装置および検査装置1では、検査対象コイル50aの特性が良品コイル50bの特性と異なる要因がどのようなものであっても、その検査対象コイル50aの良否を確実かつ容易に判定することが可能となっている。
一方、この検査装置1では、検査対象コイル50aの良否検査を処理部16に実行させること(自動検査)が可能となっている。この自動検査を実行させる際には、操作部13を操作して自動検査の実行を指示する。これに応じて、処理部16は、記憶部14から曲線データDcを読み出し、続いて、曲線データDcに基づいて良品コイル50bについての検査用曲線Csを特定する。次いで、処理部16は、図23に示すように、検査用曲線Csに予め決められた幅を設けて形成した帯状領域Eを特定する。
続いて、処理部16は、曲線データDcに基づいて検査対象コイル50aについての検査用曲線Coを特定する。次いで、処理部16は、帯状領域E内に検査用曲線Coが含まれるか否かを判別する。この場合、図24に示すように、帯状領域E内に検査用曲線Coが含まれていない部分が存在するときには、処理部16は、検査対象コイル50aが不良と判定する。一方、図25に示すように、帯状領域E内に検査用曲線Coの全てが含まれている(帯状領域E内に含まれていない部分が存在しない)ときには、処理部16は、検査対象コイル50aを良好と判定する。
この場合、図10に示すように、検査対象コイル50aが不良であったとしても、一般的に、波形Wo,Wsの形状は大きくは異ならない。このため、基準波形Wsに幅を設けて形成した帯状領域内に検査対象波形Woが含まれるか否かを判別して、検査対象コイル50aの良否を判定したとしても、正確な良否判定をすることは困難である。これに対して、検査対象コイル50aが不良のときには、検査用曲線Coと検査用曲線Csとが大きく異なるため、検査用曲線Csに幅を設けて形成した帯状領域E内に検査用曲線Coが含まれるか否かを判別するこの検査装置1では、検査対象コイル50aの良否を正確に判定することが可能となっている。
このように、この処理装置、波形表示装置および検査装置1では、検査対象コイル50aについての検査対象波形Woおよび良品コイル50bについての基準波形Wsの各パラメータ(電圧)、および各波形Wo,Wsと同じ周期To,Tsで同じ波高で同位相の正弦波So,Ssのパラメータ(電圧)からそれぞれ得られるリサージュ曲線Lo,Lsに基づく検査用曲線Co,Csを特定し、検査用曲線Co,Csを表示させる画像データDgを生成する。この場合、波形Wo,Wsは、1つのパラメータ(電圧)の経時変化を表したものであって、各波形Wo,Wsの振幅、減衰率、周期等が互いにわずかに異なっているだけのときには、各波形Wo,Ws上の各時刻における座標点がY方向に異なるだけであるため、波形Wo,Wsの形状の相違が現れにくい結果、波形Wo,Wsを比較しただけでは波形Wo,Wsの相違を把握することが困難である。一方、リサージュ曲線Lo,Lsは、各時刻における2つのパラメータ(波形Wo,Wsによって示される電圧、および正弦波So,Ssによって示される電圧)をXY座標とする座標点をプロットして描かれる曲線(つまり、2つのパラメータの経時変化を表したもの)であるため、各波形Wo,Wsの振幅、減衰率、周期等が互いにわずかに異なっているときであっても、リサージュ曲線Lo,Lsに基づく検査用曲線Co,Cs上の各時刻における座標点がX方向およびY方向の双方において異なることとなり、検査用曲線Co,Csの形状が大きく異なることとなる。したがって、この処理装置、波形表示装置および検査装置1によれば、検査用曲線Co,Csの形状の相違を確実かつ容易に把握することができる結果、検査対象コイル50aの良否を確実かつ容易に判定することができる。
また、この処理装置、波形表示装置および検査装置1によれば、リサージュ曲線Lo,LsをXY平面における規定方向に拡縮した検査用曲線Co,Csを特定することにより、リサージュ曲線Lo,Lsの形状や大きさに応じて、見やすい形状の検査用曲線Co,Csや、互いの形状の相違を明確化した検査用曲線Co,Csを特定することもできる。このため、この処理装置、波形表示装置および検査装置1によれば、検査用曲線Co,Csの形状の相違をさらに確実かつ容易に把握することができる結果、検査対象コイル50aの良否をさらに確実かつ容易に判定することができる。
また、この処理装置、波形表示装置および検査装置1によれば、XY平面におけるx=yの直線A1に対して直交する方向および、XY平面におけるy=0の直線A2に対して直交する方向にリサージュ曲線Lo,Lsを拡縮した検査用曲線Co,Csを特定することにより、拡縮の際の座標点の算出(変換)を簡易な式で行うことができるため、特定処理の効率を十分に向上させることができる。
また、この検査装置1では、処理部16が、良品コイル50bの検査用曲線Csに幅を設けて形成した帯状領域E内に検査対象コイル50aの検査用曲線Coが含まれるか否かに基づいて検査対象コイル50aの良否を検査する。このため、この検査装置1によれば、検査用曲線Co,Csを見比べて使用者の感覚で検査対象コイル50aの良否を検査する構成と比較して、検査対象コイル50aをさらに正確かつ容易に検査することができる。
なお、処理装置、波形表示装置および検査装置1の構成は、上記の構成に限定されない。例えば、検査用信号の供給時に生じる振動波形に基づいてリサージュ曲線Lo,Lsを特定する例について上記したが、検査用信号の供給停止時に生じる振動波形に基づいてリサージュ曲線Lo,Lsを特定する構成を採用することもできる。また、電気部品としてのコイル50を検査対象とする例について上記したが、他の種類の電気部品を対象とすることもできる。一例として、電気部品としての抵抗やコンデンサを検査対象とするときには、検査用信号としての交流信号を抵抗に供給し、その際に電気部品(抵抗やコンデンサ)の両端間に生じる交流電圧(振動波形)の波形データDwを取得して特定処理を実行して検査用曲線Co,Csを特定する。これにより、上記したコイル50を検査対象とするときと同様にして、検査対象の抵抗を確実かつ容易に検査することができる。
1 検査装置
12 A/D変換部
15 表示部
16 処理部
50 コイル
Cs,Co 検査用曲線
Dg 画像データ
Dw 波形データ
E 帯状領域
Gc 検査用画像
It 検査用電流
Ls リサージュ曲線
Ss 正弦波
Wo 検査対象波形
Ws 基準波形
12 A/D変換部
15 表示部
16 処理部
50 コイル
Cs,Co 検査用曲線
Dg 画像データ
Dw 波形データ
E 帯状領域
Gc 検査用画像
It 検査用電流
Ls リサージュ曲線
Ss 正弦波
Wo 検査対象波形
Ws 基準波形
Claims (6)
- 電気部品に対する検査用信号の供給時または供給停止時に生じる振動波形を波形データに変換する変換部と、前記波形データに基づいて前記電気部品を検査するための検査用画像を表示させる画像データを生成する処理部とを備えた処理装置であって、
前記処理部は、前記波形データに基づいて前記振動波形の周期を特定して、当該特定した周期と同じ周期で、かつ前記振動波形における最大波高と同じ波高で、かつ前記振動波形と同位相の正弦波を特定し、前記振動波形および前記正弦波における各パラメータによって特定される座標点をXY平面にプロットして得られるリサージュ曲線を特定し、当該リサージュ曲線に基づく検査用曲線を特定する特定処理を、検査対象の前記電気部品および良品の前記電気部品に対してそれぞれ実行し、前記検査用画像としての前記検査対象の電気部品についての前記検査用曲線および前記良品の電気部品についての前記検査用曲線を表示させる前記画像データを生成する処理装置。 - 前記処理部は、前記リサージュ曲線を前記XY平面における予め規定された規定方向に拡縮した前記検査用曲線を特定する請求項1記載の処理装置。
- 前記処理部は、前記特定処理において、前記規定方向としての前記XY平面におけるx=yの直線に対して直交する方向および、前記規定方向としての前記XY平面におけるy=0の直線に対して直交する方向に前記リサージュ曲線を拡縮した前記検査用曲線を特定する請求項2記載の処理装置。
- 請求項1から3のいずれかに記載の処理装置と、前記検査用画像を表示する表示部とを備えている波形表示装置。
- 請求項4記載の波形表示装置と、前記検査用画像に基づいて前記電気部品を検査する検査部とを備えた検査装置。
- 前記検査部は、前記良品の電気部品についての前記検査用曲線に予め決められた幅を設けて形成される帯状領域内に前記検査対象の電気部品についての前記検査用曲線が含まれるか否かに基づいて前記検査対象の電気部品を検査する請求項5記載の検査装置。
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JP2015186427A JP2017062136A (ja) | 2015-09-24 | 2015-09-24 | 処理装置、波形表示装置および検査装置 |
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CN113714604A (zh) * | 2021-08-27 | 2021-11-30 | 东风汽车股份有限公司 | 一种动力配电开关焊接电流诊断系统及其使用方法 |
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2015
- 2015-09-24 JP JP2015186427A patent/JP2017062136A/ja active Pending
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CN113714604A (zh) * | 2021-08-27 | 2021-11-30 | 东风汽车股份有限公司 | 一种动力配电开关焊接电流诊断系统及其使用方法 |
CN113714604B (zh) * | 2021-08-27 | 2023-09-22 | 东风汽车股份有限公司 | 一种动力配电开关焊接电流诊断系统及其使用方法 |
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