JP2017061619A - オフセット印刷用のインキおよび塗膜の製造方法 - Google Patents

オフセット印刷用のインキおよび塗膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】粉末成分を含むオフセット印刷用のインキであって、線幅の微細な印刷パターンを安定して形成することができ、且つ粉末成分として導電性の粉末を用いた場合には、高温に加熱しなくても電気抵抗の低い電極パターンを形成することができるインキおよびそのインキを用いた塗膜の製造方法を提供する。
【解決手段】無機粉末から構成される粉末成分と、特定の樹脂成分と、特定のグリコールエーテル類と、炭素数が9〜14の飽和炭化水素と、リン酸系分散剤と、重合開始剤とを含むオフセット印刷用のインキ。粉末成分としては銀粉末を用いることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、オフセット印刷用のインキおよびそのインキを用いた塗膜の製造方法に関する。
ディスプレイあるいはタッチパネルにおける電極パターン等の形成方法として、オフセット印刷法が検討されている。オフセット印刷法とは、インキを凹状のパターンを有する印刷版に充填し、前記充填したインキを表面にシリコーンゴムシートを有する印刷用ブランケットへ転写した後、前記印刷用ブランケットから被転写体へインキを転写する方法である。
特許文献1には、オフセット印刷による連続印刷において、印刷パターンの形状変動を低減し得る印刷用インキとして、粉末成分、樹脂成分及び溶剤成分を含むインキが開示されている。この特許文献の実施例では、粉末成分として導電性を有する銀粉末が用いられている。
特開2008−50378号公報
ところで、最近の電子機器や電気機器等の小型化および軽量化にともない、これら電子機器や電気機器等に使用されるディスプレイあるいはタッチパネルでは、電極パターンの微細化や電気抵抗の低減化が求められている。特に、タッチパネルでは、基板にPET(ポリエチレンテレフタレート)シートなどの透明樹脂シートが用いられており、透明樹脂シートの上に、微細で且つ電気抵抗の低い電極パターンを形成できる塗膜の製造方法が望まれている。
しかしながら、特許文献1に開示された印刷用インキは、粘度が高いため、線幅の微細な印刷パターンを安定して形成することが難しいという問題があった。また、特許文献1に開示された印刷用インキでは、電気抵抗の低い電極パターンを形成するためには、インキを高温(400℃以上)で加熱して粉末成分(導電性の粉末)を焼結させる必要があった。このため、透明樹脂シートの上に電気抵抗の低い電極パターンを形成することは難しいという問題があった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、粉末成分を含むオフセット印刷用のインキであって、線幅の微細な印刷パターンを安定して形成することができ、且つ粉末成分として導電性の粉末を用いた場合には、高温に加熱しなくても電気抵抗の低い電極パターンを形成することができるインキおよびそのインキを用いた塗膜の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明のオフセット印刷用のインキは、無機粉末から構成される粉末成分と、アクリル−スチレン系共重合体、アクリル−ウレタン系共重合体、アクリル−エポキシ系共重合体、ウレタンアクリレートおよびエポキシアクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂成分と、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルおよびトリエチレングリコールモノブチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種のグリコールエーテル類と、炭素数が9〜14の飽和炭化水素と、リン酸系分散剤と、重合開始剤とを含むことを特徴としている。
この構成のオフセット印刷用のインキによれば、炭素数が9〜14の飽和炭化水素を含むので、粘度が低くなる。また、分散剤としてリン酸系分散剤を使用するので、カルボン酸系分散剤などの他の分散剤を使用した場合と比較して、粘度が低くなる。粘度の低いインキは、印刷版の凹状のパターンの幅が微細でも充填しやすい。このため、オフセット印刷法によって、微細な線幅の印刷パターンを安定して形成することが可能となる。
さらに、本発明のオフセット印刷用のインキは重合開始剤を含むので、樹脂成分を低い温度で重合させることができる。インキの樹脂成分が重合して、インキが硬化することによって、粉末成分を強固に接触させることができる。このため、粉末成分として導電性の粉末を用いた場合には、塗膜の電気抵抗を低くすることができる。従って、透明樹脂シートの上でも電気抵抗の低い塗膜を製造することが可能となる。
本発明の塗膜の製造方法は、上記本発明のオフセット印刷用のインキを用いることを特徴としている。
この構成の塗膜の製造方法によれば、本発明のオフセット印刷用のインキを用いて塗膜を製造するので、線幅の微細な塗膜(印刷パターン)を安定して形成することができる。また、高温で加熱しなくても粉末成分が強固に接触した塗膜を製造することができる。
本発明のオフセット印刷用のインキは、粉末成分と、特定の樹脂成分と、炭素数が9〜14の飽和炭化水素と、特定のグリコールエーテル類と、リン酸系分散剤と、重合開始剤とを含むので、線幅の微細な印刷パターンを形成することができる。また、高温で加熱しなくても粉末成分が強固に接触した塗膜を製造することができる。
本発明の塗膜の製造方法は、上述したオフセット印刷用のインキを用いるので、粉末成分として導電性の粉末を用いることによって、PETシートのような透明樹脂シートの上でも、線幅が微細で且つ電気抵抗の低い電極パターンを連続的に安定して形成することができる。
本発明の一実施形態である塗膜の製造方法を説明するための図である。
以下、本発明を適用した一実施形態であるオフセット印刷用のインキおよびそのインキを用いた塗膜の製造方法について詳細に説明する。
本実施形態のオフセット印刷用のインキは、粉末成分と、樹脂成分と、グリコールエーテル類と、炭素数が9〜14の飽和炭化水素と、リン酸系分散剤と、重合開始剤とを含むことを特徴とする。
インキに含まれる粉末成分は、無機粉末である。無機粉末としては、金属粉末、金属酸化物粉末又はそれらの混合粉末を用いることができる。導電性の粉末としては、金属粉末もしくは金属粉末と金属酸化物粉末の混合粉末を用いることができる。金属粉末の例としては、金、銀又は銅等が挙げられる。金属酸化物の例としては、酸化銀又は酸化銅等が挙げられる。これらの粉末成分は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。粉末成分の含有量は、インキの全体量を100質量%として50〜80質量%の範囲内にあることが好ましい。粉末成分の含有量を50質量%以上とすることによって、抵抗値の低い電極パターンが得られ、且つ、粉末成分が強固に接触した塗膜を製造することがきる。また、粉末成分の含有量を80質量%以下とすることによって、インキの粘度が高くなりすぎるのを防止し、線幅が微細な電極パターンを形成することができる。
ディスプレイあるいはタッチパネルなどの電極パターンの形成に使用するインキの粉末成分としては、銀粉末が好ましい。以下、銀粉末を用いた本実施形態のオフセット印刷用のインキについて説明する。銀粉末の形状としては、特に制限はなく、その例としては、球状、棒状、鱗片状等が挙げられる。銀粉末は、一次粒子の粒度分布が、粒径20〜70nmの範囲内の第1ピークと、粒径200〜500nmの範囲内の第2ピークとを有し、表面が有機物で被覆されているものであることが好ましい。第1ピークは、30〜50nmの範囲内にあることが好ましい。第2ピークは300〜400nmの範囲内にあることが好ましい。粒度分布の測定は、例えば、銀粉末を走査型電子顕微鏡により観察し、銀粒子1000個以上の粒径を測定することにより行うことができる。ここで、粒径の個数が最も多い上位2つの値を算出し、このうち小さいものを第1ピークの粒径と定義し、大きいものを第2ピークの粒径と定義した。粒径のピークを2つもつ銀粉末を用いることによって、高温で加熱しなくても、銀粉末同士が強固に接触した緻密な塗膜(電極パターン)を形成することができる。
銀粉末の表面は、主に炭素数4以下の有機分子等の有機物で被覆されていることが好ましい。銀粉末を被覆する有機物としては、具体的には、例えば、150℃で50質量%以上分解するものが好ましく、150℃で75質量%以上分解するものがより好ましい。
銀粉末を被覆する有機物が150℃で50質量%以上分解するものであることにより、銀粉末が低温で焼結しやすくなる。銀粉末が焼結することによって、電気抵抗が低く、且つ強度の高い塗膜を形成することができる。
なお、銀粉末を被覆する有機物の分解率の測定は、例えば、銀粉末を大気中において所定の温度で所定の時間保持した後に、加熱前に対する加熱後の質量減少量を測定することにより行うことができる。
銀粉末は、加熱することによりガスが発生するものであることが好ましい。具体的には、例えば、粉末状態の銀粉末を100℃で加熱した際に、ガス状の二酸化炭素、アセトンの蒸発物、及び水の蒸発物等が発生するものであることが好ましい。
上記ガスは、銀粉末の表面に吸着した有機分子に由来するものであり、低分子量であるほど加熱により銀粉末表面から分離、離脱しやすい。よって、上記ガスを発生する銀粉末は、焼結しやすくなり、接合層のシェア強度が向上する。
なお、銀粉末を加熱した際に発生するガスの特定は、例えば、市販の熱分解ガスクロマトグラフ質量分析計(熱分解GC/MS、銀粉末を導入する部分に熱分解装置を設置したGC/MS、例えばフロンティアラボ社製「PY−3030」、日本電子社製「JMS−T100GCV」等)を用いてガスを分析することにより行うことができる。
上記のような低分子量の有機分子が吸着した銀粉末は、湿式合成法により製造することが好ましい。次に、湿式合成法による銀粉末の製造方法について説明する。
先ず、銀塩水溶液とカルボン酸塩水溶液とを水中に同時に滴下してカルボン酸銀スラリーを調製する。
ここで、カルボン酸銀スラリーを調製する際は、銀塩水溶液、カルボン酸塩水溶液、水、そしてカルボン酸銀スラリーの各液の温度を20〜90℃の範囲内の所定温度に保持することが好ましい。各液の温度を20℃以上の所定温度に保持することにより、カルボン酸銀が生成しやすくなり、銀粉末の粒径を大きくすることができる。また、各液の温度を90℃以下の所定温度に保持することにより、銀粉末が粗大粒子となるのを防止することができる。
また、水中に銀塩水溶液とカルボン酸塩水溶液を同時に滴下している間、水を撹拌していることが好ましい。
銀塩水溶液中の銀塩としては、具体的には、例えば、硝酸銀、塩素酸銀、リン酸銀、及びこれらの塩類からなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物が好ましい。
カルボン酸塩水溶液中のカルボン酸としては、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、及びこれらの塩類からなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物が好ましい。
水としては、イオン交換水、蒸留水等が挙げられる。合成に悪影響を与えるおそれのあるイオンが含まれないことや、蒸留水と比べて製造コストが低いことからイオン交換水を用いることが特に好ましい。
次に、カルボン酸銀スラリーに還元剤水溶液を滴下した後に所定の熱処理を行って銀粉末スラリーを調製する。
ここで、所定の熱処理としては、具体的には、例えば、水中で、15℃/時間以下の昇温速度で20〜90℃の範囲内の所定温度(最高温度)まで昇温し、この最高温度に1〜5時間保持した後に、30分以下の時間をかけて30℃以下まで降温する熱処理であってもよい。
上記所定の熱処理において、昇温速度を15℃/時間以下とすることにより、銀粉末が粗大粒子となるのを防止することができる。
また、上記所定の熱処理において、最高温度を20℃以上とすることにより、カルボン酸銀が還元されやすくなり、銀粉末の粒径を大きくすることができる。また、最高温度を90℃以下とすることにより、銀粉末が粗大粒子となるのを防止することができる。
また、上記所定の熱処理において、最高温度での保持時間を1時間以上とすることにより、カルボン酸銀が還元されやすくなり、銀粉末の粒径を大きくすることができる。また、保持時間を5時間以下にすることにより、銀粉末が粗大粒子となるのを防止することができる。
また、上記所定の熱処理において、30℃まで降温する時間を30分以下にすることにより、銀粉末が粗大粒子となるのを防止することができる。
銀粉末スラリーを調製する際は、カルボン酸銀スラリーと還元剤水溶液の各液の温度を20〜90℃の範囲内の所定温度に保持することが好ましい。各液の温度を20℃以上の所定温度に保持することにより、カルボン酸銀が還元されやすくなり、銀粉末の粒径を大きくすることができる。また、各液の温度を90℃以下の所定温度に保持することにより、銀粉末が粗大粒子となるのを防止することができる。
還元剤水溶液中の還元剤としては、ヒドラジン、アスコルビン酸、シュウ酸、ギ酸、及びこれらの塩類からなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物が好ましい。
次に、銀粉末スラリーを乾燥して銀粉末を得る。ここで、銀粉末スラリーを乾燥する前に、銀粉末スラリーを遠心分離機で銀粉末スラリー中の液層を除去し、銀粉末スラリーを脱水及び脱塩することが好ましい。
銀粉末スラリーの乾燥方法としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、凍結乾燥法、減圧乾燥法、加熱乾燥法等が挙げられる。凍結乾燥法は、銀粉末スラリーを密閉容器に入れて凍結し、密閉容器内を真空ポンプで減圧して被乾燥物の沸点を下げ、低い温度で被乾燥物の水分を昇華させて乾燥させる方法である。減圧乾燥法は、減圧して被乾燥物を乾燥させる方法である。加熱乾燥法は、加熱して被乾燥物を乾燥させる方法である。
インキに含まれる樹脂成分は、アクリル−スチレン系共重合体、アクリル−ウレタン系共重合体、アクリル−エポキシ系共重合体、ウレタンアクリレートおよびエポキシアクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種である。これらの樹脂成分は、熱もしくは光を付与することによって重合して硬化するものであることが好ましい。樹脂成分の含有量は、インキの全体量を100質量%として5〜20質量%の範囲内にあることが好ましい。樹脂成分の含有量が5質量%以上であると、オフセット印刷法において求められるインキの凝集力が得られることから、良好な受理・転写性が実現可能となり、且つ、樹脂成分が重合して硬化したときに銀粉末同士を強固に接触させることができ、塗膜の電気抵抗を下げる効果が高くなる。また、樹脂成分の含有量が20質量%以下とすることによって、インキの粘度の上昇を抑えることができ、且つ、線幅が微細な電極パターンを形成することができる。
インキに含まれるグリコールエーテル類は、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルおよびトリエチレングリコールモノブチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種である。グリコールエーテル類は、樹脂成分を溶解し、且つ、インキをブランケットから被転写体へ転写させやすく効果を有する。グリコールエーテル類の含有量は、インキの全体量を100質量%として3〜20質量%の範囲内にあることが好ましい。グリコールエーテル類の含有量を3質量%以上とすることによって、オフセット印刷法により連続印刷するときの印刷パターンの形状変動が低減される。また、グリコールエーテル類の含有量を20質量%以下とすることによって、グリコールエーテル類が乾燥除去された後の塗膜の形状変化を小さくすることができる。
インキに含まれる飽和炭化水素は、炭素数が9〜14の範囲にある。飽和炭化水素は、鎖式炭化水素であってもよいし、脂環式炭化水素であってもよい。鎖式炭化水素は、直鎖状であってもよいし、分岐を有していてもよい。脂環式炭化水素は、単環式であってもよいし、多環式であってもよい。飽和炭化水素は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。飽和炭化水素は、インキの粘度を下げる効果がある。飽和炭化水素の含有量は、インキの全体量を100質量%として3〜20質量%の範囲内にあることが好ましい。飽和炭化水素の含有量を3質量%以上とすることによってインキの粘度を下げる効果が高くなり、オフセット印刷法に求められるインキの流動性が得られることから、凹版へインキを良好に充填することができるため、線幅が微細な電極パターンを形成可能となる。また、飽和炭化水素の含有量を20質量%以下とすることによって、飽和炭化水素が乾燥除去された後の塗膜の形状変化を小さくすることができる。また、グリコールエーテル類と飽和炭化水素の含有量は、質量比で1:3〜2:1の範囲にあることが好ましい。
インキに含まれるリン酸系分散剤の例としては、アルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルリン酸等が挙げられる。リン酸系分散剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。リン酸系分散剤は、インキの粘度を下げる効果がある。リン酸系分散剤の含有量は、インキの全体量を100質量%として0.05〜5質量%の範囲内にあることが好ましい。リン酸系分散剤の含有量を0.05質量%以上とすることによってインキの粘度を下げる効果が高くなり、オフセット印刷法に求められるインキの流動性が得られることから、凹版へインキを良好に充填することができるため、線幅が微細な電極パターンを形成可能となる。また、リン酸系分散剤の含有量を5質量%以下とすることによって、塗膜にリン酸が残存して、塗膜の電気抵抗などの物性が変化するのを防止することができる。
インキに含まれる重合開始剤としては、樹脂成分の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、公知のラジカル型重合開始剤を用いることができる。重合開始剤の含有量は、インキの全体量を100質量%として0.1〜10質量%の範囲内にあることが好ましい。重合開始剤の含有量を0.1質量%以上とすることによって、樹脂成分の重合速度を早くすることができる。また、重合開始剤の含有量を10質量%以下とすることによって、樹脂成分の適切に重合させることができる。
次に、本実施形態の塗膜の製造方法を説明する。
本実施形態の塗膜の製造方法は、上記本発明のオフセット印刷用のインキを、凹状のパターンを有する印刷版に充填する工程と、前記充填した前記オフセット印刷用のインキを、表面にシリコーンゴムシートを有する印刷用ブランケットへ転写する工程と、前記印刷用ブランケットから被転写体へ前記オフセット印刷用のインキを転写する工程と、前記被転写体に転写した前記オフセット印刷用のインキを乾燥、硬化させる工程とを有する。この塗膜の製造方法を、図1を参照して詳細に説明する。
先ず、図1(a)に示すように、所望の凹状パターン10aを有する平面凹版10を印刷版として用意する。この平面凹版10の表面にインキ11を所定量供給する。供給したインキ11は、ブレード12を平面凹版10の表面にあててスライドさせることにより、凹状パターン10aに埋め込む。
次に、図1(b)に示すように、表面にシリコーンゴムシート13aが取り付けられたブランケットロール13を印刷用ブランケットとして用意する。このブランケットロール13を平面凹版10上に圧接し、この状態でブランケットロール13を回転させ、平面凹版10上でスライドさせることにより、平面凹版10の凹状パターン10aに埋め込まれたインキ11の一部をブランケットロール13のシリコーンゴムシート13a表面に転写する。
次に、図1(c)に示すように、インキ11を転写したブランケットロール13をPET基板14のような被転写体に圧接し、この状態でブランケットロール13を回転させ、PET基板14上でスライドさせる。これによって、図1(d)に示すように、PET基板14の表面に所望のパターンが転写される。
そして、PET基板14の表面に転写されたインキ11を加熱することにより、溶剤(グリコールエーテル類及び炭化水素)を揮発・乾燥させると同時に、インキ11内の樹脂成分を硬化させる。あるいは、さらに光を照射することによって、インキ11内の樹脂成分をより硬化させてもよい。インキ11は、重合開始剤を含むので、400℃よりも低い温度で樹脂成分を硬化させることができる。
<インキの調製>
次の表1〜3に示すように、粉末成分、樹脂成分、グリコールエーテル類、炭化水素、分散剤及び重合開始剤を、各々の組成比で遊星撹拌装置にて混合、更に三本ロールミルにて混練することにより、インキを調製した。表1〜3中、部は質量部を意味する。なお、銀粉末としては、一次粒子の粒度分布の第1ピークが40nmで、第2ピークが400nmであって、150℃での分解率が80質量%の有機物で被覆されているものを使用した。この銀粉末は、以下の方法によって製造した。
<銀粉末の製造方法>
50℃に保持した1200gのイオン交換水を撹拌しながら、このイオン交換水に、50℃に保持した900gの硝酸銀水溶液(硝酸銀濃度:66質量%)と、50℃に保持した600gのクエン酸アンモニウム水溶液(クエン酸濃度:56質量%)とを、5分かけて同時に滴下し、クエン酸銀スラリーを調製した。次いで、50℃に保持した上記クエン酸銀スラリーに、還元剤水溶液として、50℃に保持した300gのギ酸アンモニウム水溶液(ギ酸濃度:58質量%)を30分かけて滴下して混合スラリーを得た。
次に、上記混合スラリーを昇温速度10℃/時間で最高温度70℃まで昇温し、70℃に2時間保持した後に、60分間かけて30℃まで温度を下げた。これにより銀粉末スラリーを得た。この銀粉末スラリーを遠心分離機に入れて1000rpmの回転速度で10分間回転させて、脱水及び脱塩された銀粉末スラリーを得た。この脱水及び脱塩された銀粉末スラリーを凍結乾燥法により30時間乾燥して、銀粉末を得た。
Figure 2017061619
Figure 2017061619
Figure 2017061619
得られたインキについて、以下の評価を行なった。その評価結果を表4に示す。
<粘度評価>
インキの粘度を、TAインスツルメント社製レオメーターHR−3を使用して測定した。測定温度は25℃とし、測定子として直径40mmのスチールプレートを用いた。せん断速度10s−1での粘度値を代表値として表4に示した。
<比抵抗値評価>
インキを用いて、まずPETフィルム(東洋紡製PETフィルムコスモシャインA4100、厚さ100μm)上に、10mm角のベタパターンを印刷した。インキの印刷は、手刷スクリーン印刷機及びメッシュ#325、乳剤厚10μmのスクリーンマスクを用いて行なった。その後、印刷したベタパターンを、マッフル炉にて大気中、120℃×30minにて乾燥することにより、銀塗膜付きPETフィルムを得た。得られた銀塗膜を、キーエンス社製レーザー顕微鏡VK−X200にてパターンの各4辺の中央部についてPETフィルムとAg膜の段差を測定し、その段差の平均値を膜厚とした。
次に、銀塗膜付きPETフィルムの銀塗膜の電気抵抗値を、三菱化学社製ロレスタ−MCP−T400にて測定し、得られた電気抵抗値と上記膜厚から銀塗膜の比抵抗値を算出した。
<オフセット印刷性評価>
オフセット印刷に使用する印刷版としてライン幅15μm、深さ4μm、ピッチ300μmの複数のラインを有し、且つ、ラインが互いに角度90°で交差した碁盤目状(メッシュ状)の凹状パターンを有する表面を硬質クロムメッキした縦30cm×横30cmの銅製平面凹版を、被転写体としてPETフィルム(東洋紡製コスモシャインA4100、厚さ100μm)を各々用意した。また、印刷用ブランケットとして表面に厚さ0.3mmのシリコーンゴムシートが取り付けられた直径20cm、幅30cmのブランケットロールを用意した。先ず、平面凹版の表面に得られたインキを所定量供給し、SUS製ブレードを用いて平面凹版の凹状パターンにインキを埋め込んだ。尚、この時のブレードの移動方向と平面凹版との位置関係は、各々ラインに対して、角度45°になるように各々配置した。次に、ブランケットロールを平面凹版上に圧接した状態で回転・移動することにより、平面凹版の凹状パターンに埋め込まれたインキの一部をブランケットロールのシリコーンゴムシート表面に転写した。そしてブランケットロールをPETフィルムに圧接した状態で回転・移動することにより、ブランケットロール上のインキが碁盤目状(メッシュ状)に転写・印刷されたPETフィルムを得た。最後に、インキを印刷したPETを、マッフル炉に入れて大気中、120℃×30minにて乾燥することにより、銀塗膜付きPETフィルムを得た。PETフィルム上に形成された碁盤目状の銀塗膜のライン幅を、キーエンス社製レーザー顕微鏡VK−X200を用いて、計10ヶ所測定し、ライン幅の平均値及び変動係数(標準偏差値を平均値で除した値)を得た。
Figure 2017061619
表4から明らかなように、飽和炭化水素を含まないインキ(比較例1、2)は、粘度が高く、オフセット印刷法を用いて製造した銀塗膜は、ライン幅の変動係数が大きな値を示した。
分散剤としてカルボン酸系分散剤を用いたインキ(比較例3、4)は、粘度が高く、オフセット印刷法を用いて製造した銀塗膜は、ライン幅の変動係数が大きな値を示した。
重合開始剤を含まないインキ(比較例5、6)を用いて製造した銀塗膜は、比抵抗値が大きな値を示した。
これに対して、銀粉末と、特定の樹脂成分と、特定のグリコールエーテル類と、炭素数が9〜14の飽和炭化水素と、リン酸系分散剤と、重合開始剤とを含むインキ(実施例1〜14)は、粘度が低く、オフセット印刷法を用いて製造した銀塗膜は、ライン幅の変動係数が小さい値を示した。また、銀塗膜は、比抵抗値が低い値を示した。
10 平面凹版
10a 凹状パターン
11 インキ
12 ブレード
13 ブランケットロール
13a シリコーンゴムシート
14 PET基板

Claims (2)

  1. 無機粉末から構成される粉末成分と、
    アクリル−スチレン系共重合体、アクリル−ウレタン系共重合体、アクリル−エポキシ系共重合体、ウレタンアクリレートおよびエポキシアクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂成分と、
    ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルおよびトリエチレングリコールモノブチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種のグリコールエーテル類と、
    炭素数が9〜14の飽和炭化水素と、
    リン酸系分散剤と、
    重合開始剤とを含むことを特徴とするオフセット印刷用のインキ。
  2. 請求項1に記載のオフセット印刷用のインキを用いることを特徴とする塗膜の製造方法。
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