JP2017060344A - 電力変換装置 - Google Patents

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達也 村上
邦一 鈴木
Kunikazu Suzuki
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Abstract

【課題】出力電流のノイズを低減することができる電力変換装置を提供する。
【解決手段】電力変換装置1は、フルブリッジインバータ20の第1レグ21をPWM相として選択して、PWM相のスイッチング素子Q1,Q2をPWM制御すると共に、第2レグ22を固定相として選択して、固定相の正極側に設けられる第3スイッチング素子Q3をオン状態、負極側に設けられる第4スイッチング素子Q4をオフ状態に固定する状態と、フルブリッジインバータ20の第2レグ22をPWM相として選択して、PWM相のスイッチング素子Q3,Q4をPWM制御すると共に、第1レグ21を固定相として選択して、固定相の正極側に設けられる第1スイッチング素子Q1をオン状態、負極側に設けられる第2スイッチング素子Q2をオフ状態に固定する状態と、を切り替えることにより直流電力を交流電力に変換する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電力変換装置に関する。
直流電源から供給される直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する電力変換装置としてフルブリッジインバータが知られている。フルブリッジインバータは、直流電源の正極側から順に直流電源に直列に接続される第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を有する第1レグと、直流電源の正極側から順に直流電源に直列に接続され、かつ、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子と並列に接続される第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子を有する第2レグとを備える。さらに、負荷の一端が第1スイッチング素子と第2スイッチング素子との間に接続され、負荷の他端が第3スイッチング素子と第4スイッチング素子との間に接続されており、このように接続された負荷に対してフルブリッジインバータから交流電力が供給される。
このような電力変換装置において、電力変換装置からの出力電流に微小な振動やノイズの成分、所謂リップルが発生する場合がある。リップルが発生すると負荷の動作に影響を及ぼす可能性がある。このため、従来よりこのようなリップルを低減する手法が提案されている。例えば特許文献1には、電力変換装置の一対の出力端と負荷の両端との間にそれぞれ整流素子が接続され、これにより出力電流のノイズを低減する構成が開示されている。
特開2014−42433号公報
しかしながら、特許文献1に開示され電力変換装置は、交流電力を直流電力に変換するコンバータのみである。このため、特許文献1の構成をフルブリッジインバータとしての電力変換装置に適用し、出力電流のノイズを低減することができる構成とするためにはさらなる改善の余地がある
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、出力電流のノイズを低減することができる電力変換装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る電力変換装置(1)は、直流電源(10)と、前記直流電源から供給される直流電力を交流電力に変換するフルブリッジインバータ(20)であって、前記直流電源の正極側から順に前記直流電源に直列に接続される第1スイッチング素子(Q1)及び第2スイッチング素子(Q2)を有する第1レグ(21)と、前記直流電源の正極側から順に前記直流電源に直列に接続され、かつ、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子と並列に接続される第3スイッチング素子(Q3)及び第4スイッチング素子(Q4)を有する第2レグ(22)と、を備えるフルブリッジインバータと、一端(51)が前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子との間(21c)に接続され、他端(52)が前記第3スイッチング素子と前記第4スイッチング素子との間(22c)に接続され、前記交流電力が供給される負荷(50)と、前記フルブリッジインバータの動作を制御する制御部(70)と、前記負荷の前記一端と前記直流電源の負極側との間、及び、前記負荷の前記他端と前記負極側との間にそれぞれ設けられる、寄生ダイオード付き第5スイッチング素子(Q5)及び寄生ダイオード付き第6スイッチング素子(Q6)、または、第1整流素子(D1)及び第2整流素子(D2)のいずれか一方を備えるノイズ抑制部(60)と、を具備し、前記制御部は、前記フルブリッジインバータの前記第1レグをPWM相として選択して、前記PWM相の前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子をPWM制御すると共に、前記第2レグを固定相として選択して、前記固定相の前記正極側に設けられる前記第3スイッチング素子をオン状態、前記負極側に設けられる前記第4スイッチング素子をオフ状態に固定する状態と、前記フルブリッジインバータの前記第2レグを前記PWM相として選択して、前記PWM相の前記第3スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子をPWM制御すると共に、前記第1レグを前記固定相として選択して、前記固定相の前記正極側に設けられる前記第1スイッチング素子をオン状態、前記負極側に設けられる前記第2スイッチング素子をオフ状態に固定する状態と、を切り替えることにより前記直流電力を前記交流電力に変換することを特徴とする。
同様に、本発明に係る電力変換装置(1a)は、直流電源(10)と、前記直流電源から供給される直流電力を交流電力に変換するフルブリッジインバータ(20)であって、前記直流電源の正極側から順に前記直流電源に直列に接続される第1スイッチング素子(Q1)及び第2スイッチング素子(Q2)を有する第1レグ(21)と、前記直流電源の正極側から順に前記直流電源に直列に接続され、かつ、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子と並列に接続される第3スイッチング素子(Q3)及び第4スイッチング素子(Q4)を有する第2レグ(22)と、を備えるフルブリッジインバータと、一端(51)が前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子との間(21c)に接続され、他端(52)が前記第3スイッチング素子と前記第4スイッチング素子との間(22c)に接続され、前記交流電力が供給される負荷(50)と、前記フルブリッジインバータの動作を制御する制御部(70a)と、前記負荷の前記一端と前記直流電源の負極側との間、及び、前記負荷の前記他端と前記負極側との間にそれぞれ設けられる、寄生ダイオード付き第5スイッチング素子(Q5)及び寄生ダイオード付き第6スイッチング素子(Q6)、または、第1整流素子(D1)及び第2整流素子(D2)のいずれか一方を備えるノイズ抑制部(60)と、を具備し、前記制御部は、前記フルブリッジインバータの各スイッチング素子のオン状態とオフ状態とを個別に制御することによって前記直流電力を前記交流電力に変換し、前記負荷へ供給する電流が指令値から所定量以上低減するとき、前記フルブリッジインバータの前記第1レグ及び前記第2レグの一方の2つのスイッチング素子のオン状態とオフ状態とを切り替える制御を行うことによって前記交流電力を生成し、前記第1レグ及び前記第2レグの他方を固定相として選択し、前記固定相の前記正極側に設けられる前記第1スイッチング素子または前記第3スイッチング素子をオフ状態に固定し、前記固定相の前記負極側に設けられる前記第2スイッチング素子または前記第4スイッチング素子をオン状態に固定する、ことを特徴とする。
本発明によれば、負荷の一端と直流電源の負極側との間、及び、負荷の他端と負極側との間にそれぞれスイッチング素子または整流素子を設けることにより、出力電流のリップルを低減できるので、出力電流のノイズを低減することができる電力変換装置を提供することができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る電力変換装置の概略構成を示す図である。 図2は、第1実施形態の電力変換装置により実施されるスイッチング制御を説明するためのタイムチャートである。 図3は、第1実施形態の電力変換装置により実施されるスイッチング制御の具体的な処理を説明するためのフローチャートである。 図4は、第1スイッチング素子及び第4スイッチング素子がオン状態のときの電力変換装置の回路構成を簡略化して示す図である。 図5は、第2スイッチング素子及び第4スイッチング素子がオン状態のときの電力変換装置の回路構成を簡略化して示す図である。 図6は、第2スイッチング素子及び第3スイッチング素子がオン状態のときの電力変換装置の回路構成を簡略化して示す図である。 図7は、第1スイッチング素子及び第3スイッチング素子がオン状態のときの電力変換装置の回路構成を簡略化して示す図である。 図8は、図4,5に示す従来のスイッチング制御を実施したときのリアクトル電流の波形の一例を示す図である。 図9は、図8中の領域Aの拡大図である。 図10は、図6,7に示す第1実施形態のスイッチング制御を実施したときのリアクトル電流の波形の一例を示す図である。 図11は、図10中の領域Bの拡大図である。 図12は、第1実施形態の変形例に係る電力変換装置の概略構成を示す図である。 図13は、本発明の第2実施形態に係る電力変換装置の概略構成を示す図である。 図14は、第2実施形態の電力変換装置により実施されるスイッチング制御を説明するためのタイムチャートである。 図15は、第2実施形態の電力変換装置により実施されるスイッチング制御の具体的な処理を説明するためのフローチャートである。 図16は、第2実施形態のスイッチング制御を実施したときのリアクトル電流の波形の一例を示す図である。 図17は、図16中の領域Cの拡大図である。 図18は、第2実施形態の変形例に係る電力変換装置により実施されるスイッチング制御の具体的な処理を説明するためのフローチャートである。 図19は、第3実施形態の電力変換装置により実施されるスイッチング制御を説明するためのタイムチャートである。 図20は、第3実施形態の電力変換装置により実施されるスイッチング制御の具体的な処理を説明するためのフローチャートである。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
[第1実施形態]
図1〜11を参照して第1実施形態について説明する。まず図1を参照して本実施形態に係る電力変換装置1の構成を説明する。電力変換装置1は、電力供給源としての直流電源10から供給される直流電力を、交流電力に変換して負荷に供給する装置である。図1に示す例では、電力変換装置1から交流電力が供給される負荷の一例として交流電源50が例示されている。電力変換装置1は、電力供給源としての直流電源10と、負荷としての交流電源50との間に接続されている。
直流電源10は、直流電力を発生させ外部に供給する電源装置であり、本実施形態では直流電力を電力変換装置1に供給する。本実施形態では、直流電源10の具体的な態様は特に限定されず、例えば蓄電装置や発電装置を適用することができる。直流電源10は、一対の入力端子11,12にて電力変換装置1と接続されており、その正極側が入力端子11と、負極側が入力端子12と接続されている。
交流電源50は、交流電力を発生させ外部に供給する電源装置であり、本実施形態では電力変換装置1により生成された交流電力を外部機器に供給する。本実施形態では、交流電源50は、電力変換装置1から交流電力が供給される負荷の一例として示されている。負荷とは、交流電力の供給を受けて動作する機器である。交流電源50は、一対の出力端子51,52にて電力変換装置1と接続されている。
電力変換装置1は、フルブリッジインバータ20と、コンデンサ30と、リアクトル40と、ノイズ抑制部60と、スイッチング信号生成部70(制御部)と、交流電流計測部80とを備える。
フルブリッジインバータ20は、直流電力を交流電力に変換する部分である。フルブリッジインバータ20は、直流電源10と並列接続される第1レグ21と、直流電源10及び第1レグ21と並列接続される第2レグ22とを備える。第1レグ21は、直流電源10の正極側から順に直列に接続される上アーム21aと下アーム21bとを有し、同様に、第2レグ22も、直流電源10の正極側から順に直列に接続される上アーム22aと下アーム22bとを有する。
第1レグ21の上アーム21aには第1スイッチング素子Q1が設けられ、下アーム21bには第2スイッチング素子Q2が設けられている。すなわち、第1スイッチング素子Q1及び第2スイッチング素子Q2は、直流電源10の正極側から順に直列に接続されている。第1スイッチング素子Q1と第2スイッチング素子Q2との間の接続部21cには、交流電源50の一端と接続する一方の出力端子51が電気的に接続されている。
第2レグ22の上アーム22aには第3スイッチング素子Q3が設けられ、下アーム22bには第4スイッチング素子Q4が設けられている。すなわち、第3スイッチング素子Q3及び第4スイッチング素子Q4は、直流電源10の正極側から順に直列に接続されている。第3スイッチング素子Q3と第4スイッチング素子Q4との間の接続部22cには、交流電源50の他端と接続する他方の出力端子52が電気的に接続されている。
本実施形態では、第1スイッチング素子Q1、第2スイッチング素子Q2、第3スイッチング素子Q3、及び第4スイッチング素子Q4としてMOSFETを採用しているが、これに限定されるものではなく、オン状態とオフ状態との切り替えが可能なスイッチング素子であれば、例えばJFET、MESFET、IGBT、GTO,パワートランジスタ等の任意のものを採用することができる。
コンデンサ30は、入力端子11,12の間に接続される平滑要素である。コンデンサ30は、直流電源10とフルブリッジインバータ20との間にて、直流電源10と並列に接続されている。
リアクトル40は、フルブリッジインバータ20と出力端子51,52との間に設けられる平滑要素である。リアクトル40は、フルブリッジインバータ20の第1レグ21の接続部21cと出力端子51との間に設けられる第1リアクトル41と、第2レグ22の接続部22cと出力端子52との間に設けられる第2リアクトル42とを有する。
ノイズ抑制部60は、フルブリッジインバータ20から出力される交流電流のノイズを抑制する部分である。ノイズ抑制部60は、寄生ダイオード付き第5スイッチング素子Q5及び寄生ダイオード付き第6スイッチング素子Q6を有する。第5スイッチング素子Q5及び第6スイッチング素子Q6は、交流電源50の両端とグランド間に接続される。言い換えると、第5スイッチング素子Q5は、交流電源50の一端(出力端子51)と直流電源10の負極側との間に設けられる、第6スイッチング素子Q6は、交流電源50の他端(出力端子52)と直流電源10の負極側との間に設けられる。さらに言い換えると、第5スイッチング素子Q5は、その一端が出力端子51と第1リアクトル41との間に接続され、その他端がフルブリッジインバータ20の第2レグ22の負極側端部に接続されている。第6スイッチング素子Q6は、その一端が出力端子52と第2リアクトル42との間に接続され、その他端がフルブリッジインバータ20の第2レグ22の負極側端部に接続されている。ノイズ抑制部60は、このように電力変換装置1内に第5スイッチング素子Q5及び第6スイッチング素子Q6を設置することによって、フルブリッジインバータ20から出力される交流電流のノイズを低減することができる。
なお、第5スイッチング素子Q5及び第6スイッチング素子Q6も、本実施形態ではMOSFETを採用しているが、これに限定されるものではなく、オン状態とオフ状態との切り替えが可能であり、かつ、寄生ダイオードを有するスイッチング素子であれば任意のものを採用することができる。
スイッチング信号生成部70は、フルブリッジインバータ20の動作を制御する部分である。スイッチング信号生成部70は、フルブリッジインバータ20内の第1スイッチング素子Q1、第2スイッチング素子Q2、第3スイッチング素子Q3、及び第4スイッチング素子Q4と電気的に接続されており、各スイッチング素子をオン/オフ状態に制御するための制御信号を各素子に出力することによって、フルブリッジインバータ20の動作を制御する。スイッチング信号生成部70は、例えば交流電流計測部80により計測された交流電流値に基づいて、フィードバック制御等の手法によってフルブリッジインバータ20の出力電流が所望の波形となるように制御を行うことができる。また、スイッチング信号生成部70は、ノイズ抑制部60にも電気的に接続されており、第5スイッチング素子Q5及び第6スイッチング素子Q6のオン/オフ状態を制御する制御信号を出力する。スイッチング信号生成部70は、物理的には、CPU、ROM、RAM、及び入出力インタフェース等を備えたコンピュータシステムである。
交流電流計測部80は、フルブリッジインバータ20により生成され交流電源50に供給される交流電流値を計測する。交流電流計測部80は、例えば、リアクトル41,42に発生するリアクトル電流を計測する。交流電流計測部80は、スイッチング信号生成部70に電気的に接続されており、計測した交流電流値の情報をスイッチング信号生成部70に出力する。
図2を参照して、スイッチング信号生成部70によるフルブリッジインバータ20のスイッチング制御の概略について説明する。図2はスイッチング制御を実施中のタイムチャートであり、図2中の(a)はフルブリッジインバータ20の出力電流(リアクトル電流IL)、(b)は基本波(第1基本波Iref1、第2基本波Iref2)、(c)は第1スイッチング素子Q1の制御信号、(d)は第2スイッチング素子Q2の制御信号、(e)は第3スイッチング素子Q3の制御信号、(f)は第4スイッチング素子Q4の制御信号、(g)は第5スイッチング素子Q5の制御信号、(h)は第6スイッチング素子Q6の制御信号をそれぞれ示す。
本実施形態では、フルブリッジインバータ20の第1レグ21及び第2レグ22の一方がPWM相として選択され、PWM相の2つのスイッチング素子を用いて、PWM制御が行われる。PWM制御では、フルブリッジインバータ20の出力電流(もしくは出力電圧)が電流指令値I1(図14参照)の波形に追従するようにスイッチング素子のオン状態とオフ状態とを切り替えるスイッチング制御が行われる。また、第1レグ21及び第2レグ22の他方が固定相として選択され、固定相の正極側(上アーム側)に設けられるスイッチング素子がオン状態に固定される。そして、第1レグ21と第2レグ22との間でPWM相と固定相が周期的に切り替えられる。電力変換装置1は、このようなフルブリッジインバータ20のスイッチング制御を行うことにより、図2(a)に示すように所定の周波数、振幅、及び位相をもつ交流電流ILを生成することができる。
本実施形態では、PWM相及び固定相として用いるレグの切り替えのために、図2(b)に示す第1基本波Iref1及び第2基本波Iref2が用いられる。第1基本波Iref1及び第2基本波Iref2は、所定の周波数、振幅、及び位相をもつ波形であり、スイッチング信号生成部70が例えば内部に保持して使用する。第2基本波Iref2は、第1基本波Iref1と逆位相である。
スイッチング信号生成部70は、第1基本波Iref1が正負のいずれの領域にあるかに応じてPWM相として用いるレグを選択する。また、スイッチング信号生成部70は、第2基本波Iref2が正負のいずれの領域にあるかに応じて固定相として用いるレグを選択する。上述のとおり、第1基本波Iref1及び第2基本波Iref2は周期的な信号であるので、この結果、スイッチング信号生成部70は、PWM相のレグと固定相のレグとを交互に周期的に切り替えることになる。
言い換えると、スイッチング信号生成部70は、図2の(b)〜(f)に示すように、第1基本波Iref1及び第2基本波Iref2に基づいて、フルブリッジインバータ20の各スイッチング素子Q1〜Q4のオン/オフ状態を第1状態と第2状態とに交互に切り替える。第1状態とは、フルブリッジインバータ20の第1レグ21をPWM相として選択して、PWM相の第1スイッチング素子Q1及び第2スイッチング素子Q2をPWM制御すると共に、第2レグ22を固定相として選択して、固定相の正極側に設けられる第3スイッチング素子Q3をオン状態、負極側に設けられる第4スイッチング素子Q4をオフ状態に固定する状態である。第2状態とは、第1状態とは反対に、フルブリッジインバータ20の第2レグ22をPWM相として選択して、PWM相の第3スイッチング素子Q3及び第4スイッチング素子Q4をPWM制御すると共に、第1レグ21を固定相として選択して、固定相の正極側に設けられる第1スイッチング素子Q1をオン状態、負極側に設けられる第2スイッチング素子Q2をオフ状態に固定する状態である。
また、このようなスイッチング制御において、第5スイッチング素子Q5及び第6スイッチング素子Q6は制御されず、図2の(g),(h)に示すようにオフ状態に固定されている。
次に図3を参照して、電力変換装置1により実施される上述のフルブリッジインバータ20のスイッチング制御の具体的な処理について説明する。図3のフローチャートに示す一連の処理は、スイッチング信号生成部70により、例えば所定周期ごとに実行される。なお、本制御フローの実施時には、スイッチング信号生成部70は、図2の(g),(h)に示すように、ノイズ抑制部60の第5スイッチング素子Q5及び第6スイッチング素子Q6はオフ状態に固定されている。
ステップS101では、第2基本波Iref2が正の領域にあるか否か(Iref2>0)が判定される。ステップS101の判定の結果、第2基本波Iref2が正の領域にある場合には(ステップS101のYES)ステップS102に進み、そうでない場合(ステップS101のNO)にはステップS103に進む。
ステップS102では、ステップS101にて第2基本波Iref2が正の領域にあると判定されたので、第2レグ22が固定相として選択され、第2レグ22の上アーム22aに設けられる第3スイッチング素子Q3がオン状態に固定され、下アーム22bに設けられる第4スイッチング素子Q4がオフ状態に固定される。ステップS102の処理が完了するとステップS104に進む。
図2のタイムチャートでは、(b)に示すように時刻t1〜t2およびt3〜t4の区間において、第2基本波Iref2が正の領域にあり、(e),(f)に示すようにこの区間において、第2レグ22の上アーム22aに設けられる第3スイッチング素子Q3がオン状態に固定され、下アーム22bに設けられる第4スイッチング素子Q4がオフ状態に固定されている。
ステップS103では、ステップS101にて第2基本波Iref2が負の領域にあると判定されたので、第1レグ21が固定相として選択され、第1レグ21の上アーム21aに設けられる第1スイッチング素子Q1がオン状態に固定され、下アーム21bに設けられる第2スイッチング素子Q2がオフ状態に固定される。ステップS103の処理が完了するとステップS104に進む。
図2のタイムチャートでは、(b)に示すように時刻t1までの区間およびt2〜t3の区間において、第2基本波Iref2が負の領域にあり、(c),(d)に示すようにこの区間において、第1レグ21の上アーム21aに設けられる第1スイッチング素子Q1がオン状態に固定され、下アーム21bに設けられる第2スイッチング素子Q2がオフ状態に固定されている。
ステップS104では、第1基本波Iref1が正の領域にあるか否か(Iref1>0)が判定される。ステップS104の判定の結果、第1基本波Iref1が正の領域にある場合には(ステップS104のYES)ステップS105に進み、そうでない場合(ステップS104のNO)にはステップS106に進む。
ステップS105では、ステップS104にて第1基本波Iref1が負の領域にあると判定されたので、第1レグ21がPWM相として選択される。すなわち、第1レグ21の第1スイッチング素子Q1及び第2スイッチング素子Q2にPWM信号が送信されてこれらの素子のオン/オフ状態がPWM制御される。ステップS105の処理が完了すると本制御フローを終了する。
図2のタイムチャートでは、(b)に示すように時刻t1〜t2およびt3〜t4の区間において、第1基本波Iref1が負の領域にあり、(c),(d)に示すようにこの区間において、第1レグ21の第1スイッチング素子Q1及び第2スイッチング素子Q2のオン/オフ状態がPWM制御されている。
ステップS106では、ステップS104にて第1基本波Iref1が正の領域にあると判定されたので、第2レグ22がPWM相として選択される。すなわち、第2レグ22の第3スイッチング素子Q3及び第4スイッチング素子Q4にPWM信号が送信されてこれらの素子のオン/オフ状態がPWM制御される。ステップS106の処理が完了すると本制御フローを終了する。
図2のタイムチャートでは、(b)に示すように時刻t1までの区間およびt2〜t3の区間において、第1基本波Iref1が正の領域にあり、(e),(f)に示すようにこの区間において、第2レグ22の第3スイッチング素子Q3及び第4スイッチング素子Q4のオン/オフ状態がPWM制御されている。
図4〜11を参照して、固定相において上アーム側のスイッチング素子(第1レグ21の第1スイッチング素子Q1または第2レグ22の第3スイッチング素子Q3)をオフ状態に固定することによる利点について説明する。ここで、スイッチング制御の一例として、第1レグ21をPWM相、第2レグ22を固定相として選択する場合を挙げる。なお、図4〜7では、オフ状態の第5スイッチング素子Q5及び第6スイッチング素子Q6をダイオードとして図示している。
まず、本実施形態とは異なり、固定相として選択される第2レグ22の下アーム22bの第4スイッチング素子Q4をオン状態、上アーム22aの第3スイッチング素子Q3をオフ状態に固定する場合を考える。PWM相の第1レグ21において第1スイッチング素子Q1をオン状態、第2スイッチング素子Q2をオフ状態に制御するとき、電力変換装置1の回路構成は図4のように簡略化して表すことができる。このとき、直流電源10、第1リアクトル41、交流電源50、第2リアクトル42が直列に接続された回路構成となり、この配列方向に沿って電流c1が流れ、直流電源10からの電力が交流電源50に供給されると共に、第1リアクトル41及び第2リアクトル42に蓄積される。
また、PWM相の第1レグ21において第1スイッチング素子Q1をオフ状態、第2スイッチング素子Q2をオン状態に制御するとき(すなわち第1レグ21の下アーム21b、及び、第2レグ22の下アーム22bのスイッチング素子Q2,Q4を同時オンするとき)、電力変換装置1の回路構成は図5のように簡略化して表すことができる。このとき、第1リアクトル41、交流電源50、第2リアクトル42が直列に接続され、また、第6スイッチング素子Q6が第2リアクトル42と並列に接続される回路構成となる。図4と比較して、電力供給源である直流電源10が回路から外れるため、第1リアクトル41及び第2リアクトル42に蓄積されているエネルギーにより回路内に電流が流れる。第1リアクトル41による電流c2は直列回路内を流れ、第1リアクトル41に蓄積されたエネルギーは交流電源50に供給される。一方、第2リアクトル42による電流c3は、図5に示すように第6スイッチング素子Q6側に流れ、第2リアクトル42と第6スイッチング素子Q6との間を還流するため、交流電源50に供給されない。つまり、電力変換装置1に含まれる2つのリアクトルのうち第2リアクトル42が回路内で機能しなくなり、これにより電力変換装置1の回路全体のインダクタンスが低減する。
図4,5に示すスイッチング制御を実施したときのリアクトル電流IL(フルブリッジインバータ20の出力電流)の波形の一例を図8に示し、図中の領域Aの拡大図を図9に示す。図8,9に示すように、スイッチング制御の際に下アーム21b,22bのスイッチング素子Q2,Q4を同時オンする状況が生じる場合には、電力変換装置1の回路全体のインダクタンスが小さくなり、これに起因してリアクトル電流のリップルが増加してしまうという問題がある。
次に、本実施形態のスイッチング制御である、固定相として選択される第2レグ22の上アーム22aの第3スイッチング素子Q3をオン状態、下アーム22bの第4スイッチング素子Q4をオフ状態に固定する場合を考える。PWM相の第1レグ21において第1スイッチング素子Q1をオフ状態、第2スイッチング素子Q2をオン状態に制御するとき、電力変換装置1の回路構成は図6のように簡略化して表すことができる。このとき、直流電源10、第2リアクトル42、交流電源50、第1リアクトル41が直列に接続される回路構成となり、この配列方向に沿って電流c4が流れ、直流電源10からの電力が交流電源50に供給されると共に、第1リアクトル41及び第2リアクトル42に蓄積される。また、第5スイッチング素子Q5が第1リアクトル41と並列に接続される回路構成となる。
PWM相の第1レグ21において第1スイッチング素子Q1をオン状態、第2スイッチング素子Q2をオフ状態に制御するとき(すなわち第1レグ21の上アーム21a、及び、第2レグ22の上アーム22aのスイッチング素子Q1,Q3を同時オンするとき)、電力変換装置1の回路構成は図7のように簡略化して表すことができる。このとき、第2リアクトル42、交流電源50、第1リアクトル41が直列に接続される回路構成となる。図6と比較して、電力供給源である直流電源10が回路から外れるため、第1リアクトル41及び第2リアクトル42に蓄積されているエネルギーにより回路内に電流が流れる。また、図6と比較して、第1リアクトル41に並列接続される第5スイッチング素子Q5が回路から外れる。これにより、第2リアクトル42による電流c5、及び、第1リアクトル41による電流c6は、共に直列回路内を流れ、第1リアクトル41及び第2リアクトル42に蓄積されたエネルギーは共に交流電源50に供給される。
図6,7に示すスイッチング制御を実施したときのリアクトル電流(フルブリッジインバータ20の出力電流)の波形の一例を図10に示し、図中の領域Bの拡大図を図11に示す。図10,11に示すように、スイッチング制御の際に上アーム21a,22aのスイッチング素子Q1,Q3を同時オンする状況が生じる場合には、上述した下アーム同時オンの構成と比較して、電力変換装置1の回路全体のインダクタンスの低減を防止できるので、リアクトル電流のリップルを低減できるという利点がある。
このように、本実施形態の電力変換装置1は、フルブリッジインバータ20のスイッチング制御において、リアクトル電流のリップルが増加する虞がある、下アーム21b,22bのスイッチング素子Q2,Q4を同時オンする状況が生じることを回避することによって、回路全体のインダクタンス低減に起因するリアクトル電流リップル増加を回避できる。これにより、ノイズ抑制部60(第5スイッチング素子Q5及び第6スイッチング素子Q6)を電力変換装置1の回路内に設けることによるリアクトル電流リップル低減の効果を充分に発揮させることが可能となり、この結果、フルブリッジインバータ20の出力電流(リアクトル電流)のノイズを低減できる。
また、電力変換装置1において、スイッチング信号生成部70は、所定の周波数、振幅、及び位相をもつ第1基本波Iref1と、この第1基本波Iref1と逆位相の第2基本波Iref2を生成し、第1基本波Irefに基づいてPWM相として選択されるレグを切り替え、第2基本波Irefに基づいて固定相として選択されるレグを切り替える。この構成により、フルブリッジインバータ20の第1レグ21と第2レグ22との間でPWM相と固定相の切り替えを適切に行うことができる。また、基本波のパラメータを変更することでPWM相と固定相の切り替えのタイミングを簡易に設定・変更することができる。
また、電力変換装置1において、スイッチング信号生成部70は、固定相の正極側に設けられる第1スイッチング素子Q1または第3スイッチング素子Q3の一方をオン状態とした後に、PWM相のPWM制御を開始する。この構成により、スイッチング制御において、下アーム21b,22bのスイッチング素子Q2,Q4を同時オンする状況が生じることをより一層確実に回避できる。
[第1実施形態の変形例]
図12を参照して第1実施形態の変形例について説明する。本実施形態では、ノイズ抑制部60が、寄生ダイオード付き第5スイッチング素子Q5及び寄生ダイオード付き第6スイッチング素子Q6を有する構成をあげた。しかし、ノイズ抑制部60は、グランド側から交流電源側の一方向に通電可能な整流素子を有する構成であればよく、例えば図12に示すように、スイッチング素子Q5,Q6の代わりにダイオードD1(第1整流素子)及びダイオードD2(第2整流素子)に置き換えてもよい。
また、本実施形態では、フルブリッジインバータ20におけるPWM相及び固定相の選択に第1基本波Iref1及び第2基本波Iref2を用いる構成を例示したが、PWM相及び固定相を適切に選択しレグ間で切り替えることができれば、他の手法でもよい。例えば、第1基本波Iref1または第2基本波Iref2の一方のみを用いて、PWM相の選択・切り替えと、固定相の選択・切り替えとを併せて行う構成とすることができる。同様に、第2基本波Iref2を第1基本波Iref1と同位相としてもよい。
[第2実施形態]
図13〜18を参照して第2実施形態について説明する。図13に示す第2実施形態の電力変換装置1aは、スイッチング信号生成部70aによるスイッチング制御の内容が第1実施形態と異なる。具体的には、負荷である交流電源50へ供給する電流(図14の(a)のリアクトル電流ILが指令値(図14の(a)に示す電流指令値I1)から所定量以上低減するとき、固定相として選択されるレグの正極側に設けられるスイッチング素子(第1スイッチング素子Q1または第3スイッチング素子Q3)をオフ状態に固定し、固定相の負極側に設けられるスイッチング素子(第2スイッチング素子Q2または第4スイッチング素子Q4)をオン状態に固定する。つまり、固定相において各スイッチング素子のオン状態とオフ状態とを入れ替える。なお、図14のタイムチャートにおける(a)〜(h)の各項目は図2と同様である。
より詳細には、スイッチング信号生成部70aは、リアクトル電流ILが電流指令値I1から所定量以上低減するとき、かつ、固定相として第1レグ21が選択されるとき、固定相の正極側に設けられる第1スイッチング素子Q1をオフ状態、負極側に設けられる第2スイッチング素子Q2をオン状態に固定すると共に、ノイズ抑制部60の第5スイッチング素子Q5をオン状態に固定する。また、固定相として第2レグ22が選択されるとき、固定相の正極側に設けられる第3スイッチング素子Q3をオフ状態、負極側に設けられる第4スイッチング素子Q4をオン状態に固定すると共に、ノイズ抑制部60の第6スイッチング素子Q6をオン状態に固定する。
次に図15を参照して、電力変換装置1aにより実施されるフルブリッジインバータ20のスイッチング制御の具体的な処理について説明する。図15のフローチャートに示す一連の処理は、スイッチング信号生成部70aにより、例えば所定周期ごとに実行される。
ステップS201では、リアクトル電流ILの大きさが所定の閾値(たとえば電流指令値I1の大きさの10%)より小さいか否かが判定される(|IL|<閾値)。ステップS201の判定の結果、リアクトル電流ILの大きさが所定の閾値より小さい場合(ステップS201のYES)には、通常のスイッチング制御(後述するステップS205〜S210の処理)の実施中に負荷変動などの影響によりリアクトル電流ILが急激に低下したものと判断してステップS202に進む。一方、そうでない場合(ステップS201のNO)にはステップS205に進む。
ステップS202では、電流指令値I1が正か否かが判定される(I1>0)。電流指令値I1が正である場合(ステップS202のYES)にはステップS203に進み、そうでない場合(ステップS202のNO)にはステップS204に進む。
ステップS203では、ステップS201にてリアクトル電流ILが急激に低下していると判断され、ステップS202にて電流指令値I1が正であると判定されたので、固定相として選択されている第2レグ22において、各スイッチング素子Q3,Q4のオン状態とオフ状態とが入れ替えられる。具体的には、PWM相として選択されている第1レグ21の第1スイッチング素子Q1及び第2スイッチング素子Q2によりPWM制御が行われ、固定相の第2レグ22において、第3スイッチング素子Q3がオフ状態、第4スイッチング素子Q4がオン状態に固定され、ノイズ抑制部60において第5スイッチング素子Q5がオフ状態、第6スイッチング素子Q6がオン状態に固定される。これによりリアクトル電流が正方向に増加して、電流指令値I1に追従する。ステップS203の処理が完了すると本制御フローを終了する。
図14のタイムチャートでは、時刻t5〜t6の区間において、電流指令値I1が正の領域においてリアクトル電流ILが急激に低下する状況が発生しているので、図14(c)〜(f)に示すように、第1レグ21をPWM相、第2レグ22を固定相として選択するように制御され、さらに、固定相において下アーム22bの第4スイッチング素子Q4をオン状態、上アーム22aの第3スイッチング素子Q3をオフ状態に固定するよう制御されている。また、図14(g),(h)に示すように、ノイズ抑制部60の第6スイッチング素子Q6をオン状態、第5スイッチング素子Q5をオフ状態に固定するよう制御されている。そして、この制御によって、時刻t6においてリアクトル電流ILが電流指令値I1に追従するよう復帰している。
ステップS204では、ステップS201にてリアクトル電流ILが急激に低下していると判断され、ステップS202にて電流指令値I1が負であると判定されたので、固定相として選択されている第1レグ21において、各スイッチング素子Q1,Q2のオン状態とオフ状態とが入れ替えられる。具体的には、固定相の第1レグ21において、第1スイッチング素子Q1がオフ状態、第2スイッチング素子Q2がオン状態に固定され、PWM相として選択されている第2レグ22の第3スイッチング素子Q3及び第4スイッチング素子Q4によりPWM制御が行われ、ノイズ抑制部60において第5スイッチング素子Q5がオン状態、第6スイッチング素子Q6がオフ状態に固定される。これによりリアクトル電流が負方向に増加して、電流指令値I1に追従する。ステップS204の処理が完了すると本制御フローを終了する。
図14のタイムチャートでは、時刻t7〜t8の区間において、電流指令値I1が負の領域においてリアクトル電流ILが急激に低下する状況が発生しているので、図14(c)〜(f)に示すように、第1レグ21を固定相、第2レグ22をPWM相として選択するように制御され、さらに、固定相において下アーム21bの第2スイッチング素子Q2をオン状態、上アーム21aの第1スイッチング素子Q1をオフ状態に固定するよう制御されている。また、図14(g),(h)に示すように、ノイズ抑制部60の第5スイッチング素子Q5をオン状態、第6スイッチング素子Q6をオフ状態に固定するよう制御されている。そして、この制御によって、時刻t8においてリアクトル電流ILが電流指令値I1に追従するよう復帰している。
一方、ステップS201にてリアクトル電流ILの急激低下が生じていないと判定されると、通常のスイッチング制御が行われる。通常のスイッチング制御とは、例えば、リアクトル電流ILが電流指令値I1の波形に追従するように各スイッチング素子Q1〜Q4のオン状態とオフ状態とを切り替える制御であり、本実施形態では第1実施形態のスイッチング制御が実施される。
ステップS205では、ノイズ抑制部60において第5スイッチング素子Q5及び第6スイッチング素子Q6が共にオフ状態に固定される。ステップS206〜S210の各処理は、図3のステップS101〜S105の各処理と同一であるので説明を省略する。
本実施形態の電力変換装置1aは、ノイズ抑制部60(第5スイッチング素子Q5及び第6スイッチング素子Q6)を回路内に設けることにより、出力電流(リアクトル電流IL)のリップル(ノイズ)を低減できる。
さらに、本実施形態の電力変換装置1aは、リアクトル電流ILが電流指令値I1から所定量以上低減するとき、上記のステップS203またはS204の制御を行うことにより、スイッチング制御の際にフルブリッジインバータ20の下アーム21b,22bのスイッチング素子Q2,Q4を同時オンする状況を意図的に生じさせる。これにより、電力変換装置1aにおいて、リアクトル40の一方が短絡する。言い換えると、図5に示したように、リアクトル40の一方に蓄積されたエネルギーが負荷(交流電源50)に供給されない状態にする。
このようなスイッチング制御を実施したときのリアクトル電流IL(フルブリッジインバータ20の出力電流)の波形の一例を図16に示し、図中の領域Cの拡大図を図17に示す。図16,17に示すように、スイッチング制御の際に下アーム21b,22bのスイッチング素子Q2,Q4が同時オンする状況を生じさせることで、電力変換装置1aの回路全体のインダクタンスを低減し、これに起因してリアクトル電流ILのリップルを増加させることができる。これにより、リアクトル電流ILの傾きを意図的に増加させることで、電流指令値I1に追従する速度(電流応答性)を向上させることができ、リアクトル電流ILが電流指令値I1から乖離した状態から迅速に復旧できる。
[第2実施形態の変形例]
図18を参照して第2実施形態の変形例について説明する。第2実施形態の電力変換装置1aも第1実施形態の電力変換装置と同様に、ノイズ抑制部60の構成をダイオードD1,D2に置き換えることができる。この構成の場合、図15を参照して説明した電力変換装置1aにより実施されるフルブリッジインバータ20のスイッチング制御の具体的な処理は、図18のフローチャートに基づく。本変形例は、第5スイッチング素子Q5及び第6スイッチング素子Q6を備えない構成であるので、図18のフローチャートでは、図15のステップS203,S204に対応するステップS303,S304において、第5スイッチング素子Q5及び第6スイッチング素子Q6に関する制御を含まず、また、ステップS205に対応するステップを含まない構成となっている。ステップS301,S302は図15のフローチャートのステップS201,S202と同一であり、ステップS305〜S309は図15のステップS206〜S210と同一の処理である。
また、本実施形態では、リアクトル電流ILが電流指令値I1から所定量以上低減するとき以外に実施する通常のスイッチング制御として、第1実施形態のスイッチング制御を実施する構成を例示したが、これに限定されない。このようなスイッチング制御は、リアクトル電流ILが電流指令値I1の波形に追従するようにフルブリッジインバータ20の各スイッチング素子Q1〜Q4のオン状態とオフ状態とを切り替える制御であればよく、例えば第1レグ21及び第2レグの両方をPWM相として用いる制御でもよい。
[第3実施形態]
図19,20を参照して第3実施形態について説明する。第3実施形態の電力変換装置1aの構成は図13に示す第2実施形態のものと同様であるが、スイッチング信号生成部70aによるスイッチング制御の内容が異なる。具体的には、負荷である交流電源50へ供給される電流(図19の(a)のリアクトル電流IL)が過電流となるとき、フルブリッジインバータ20のすべてのスイッチング素子Q1〜Q4をオフ状態に固定し、ノイズ抑制部60の第5スイッチング素子Q5及び第6スイッチング素子Q6をオン状態に固定する。なお、図19のタイムチャートにおける(a)〜(h)の各項目は図2及び図14と同様である。
図20を参照して、第3実施形態の電力変換装置1aにより実施されるフルブリッジインバータ20のスイッチング制御の具体的な処理について説明する。図20のフローチャートに示す一連の処理は、スイッチング信号生成部70aにより、例えば所定周期ごとに実行される。
ステップS401では、リアクトル電流ILが過電流閾値Imaxより小さいか否かが判定される(IL<Imax)。
ステップS401の判定の結果、リアクトル電流ILが過電流閾値Imaxより小さい場合(ステップS401のYES)には、通常のスイッチング制御が行われる。通常のスイッチング制御とは、例えば、リアクトル電流ILが電流指令値I1の波形に追従するように各スイッチング素子Q1〜Q4のオン状態とオフ状態とを切り替える制御であり、本実施形態では第2実施形態で説明した通常のスイッチング制御が実施される。すなわち、ステップS402〜S407の各処理の内容は、図15のステップS205〜S210の各処理と同一である。
一方、ステップS401の判定の結果、リアクトル電流ILが過電流閾値Imaxを超えている場合(ステップS401のNO)にはステップS409に進み、フルブリッジインバータ20のすべてのスイッチング素子Q1〜Q4がオフ状態に固定され、ノイズ抑制部60の第5スイッチング素子Q5及び第6スイッチング素子Q6がオン状態に固定される。
図19のタイムチャートでは、時刻t9において、図19(a)に示すようにリアクトル電流ILが過電流閾値Imaxに到達したのに応じて、時刻t9以降では、図19(c)〜(f)に示すようにすべてのスイッチング素子Q1〜Q4がオフ状態に固定され、図19(g),(h)に示すように第5スイッチング素子Q5及び第6スイッチング素子Q6がオン状態に固定されている。この制御によって、フルブリッジインバータ20からの出力が停止され、リアクトル電流ILは減衰してゆき最終的に0となる。
このように、第3実施形態の電力変換装置1aは、リアクトル電流ILが過電流となるとき、フルブリッジインバータ20のすべてのスイッチング素子Q1〜Q4をオフ状態に固定することにより、フルブリッジインバータ20の動作を直ちに停止して、過電流状態を迅速に解消させることができる。また、フルブリッジインバータ20の動作停止直後には、リアクトル40に蓄積されているエネルギーが無くなるまでリアクトル電流ILが発生する。本実施形態では、さらにノイズ抑制部60の第5スイッチング素子Q5及び第6スイッチング素子Q6がオン状態に固定することにより、リアクトル40に蓄積されているエネルギーにより発生するリアクトル電流ILを第5スイッチング素子Q5及び第6スイッチング素子Q6に導通させ、過電流検出後に交流電源50に過電流が流れるのを防止することができる。
なお、本実施形態では、リアクトル電流ILが過電流となるとき以外に実施する通常のスイッチング制御として、第2実施形態の通常のスイッチング制御を実施する構成を例示したが、これに限定されない。このようなスイッチング制御は、リアクトル電流ILが電流指令値I1の波形に追従するようにフルブリッジインバータ20の各スイッチング素子Q1〜Q4のオン状態とオフ状態とを切り替える制御であればよく、例えば第1レグ21及び第2レグの両方をPWM相として用いる制御でもよい。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
1,1a:電力変換装置
10:直流電源
20:フルブリッジインバータ
21:第1レグ
22:第2レグ
50:交流電源(負荷)
60:ノイズ抑制部
70,70a:スイッチング信号生成部(制御部)
Q1:第1スイッチング素子
Q2:第2スイッチング素子
Q3:第3スイッチング素子
Q4:第4スイッチング素子
Q5:第5スイッチング素子
Q6:第6スイッチング素子
D1:ダイオード(第1整流素子)
D2:ダイオード(第2整流素子)
Iref1:第1基本波
Iref2:第2基本波

Claims (10)

  1. 直流電源(10)と、
    前記直流電源から供給される直流電力を交流電力に変換するフルブリッジインバータ(20)であって、前記直流電源の正極側から順に前記直流電源に直列に接続される第1スイッチング素子(Q1)及び第2スイッチング素子(Q2)を有する第1レグ(21)と、前記直流電源の正極側から順に前記直流電源に直列に接続され、かつ、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子と並列に接続される第3スイッチング素子(Q3)及び第4スイッチング素子(Q4)を有する第2レグ(22)とを備えるフルブリッジインバータと、
    一端(51)が前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子との間(21c)に接続され、他端(52)が前記第3スイッチング素子と前記第4スイッチング素子との間(22c)に接続され、前記交流電力が供給される負荷(50)と、
    前記フルブリッジインバータの動作を制御する制御部(70)と、
    前記負荷の前記一端と前記直流電源の負極側との間、及び、前記負荷の前記他端と前記負極側との間にそれぞれ設けられる、寄生ダイオード付き第5スイッチング素子(Q5)及び寄生ダイオード付き第6スイッチング素子(Q6)、または、第1整流素子(D1)及び第2整流素子(D2)のいずれか一方を備えるノイズ抑制部(60)と、
    を具備し、
    前記制御部は、
    前記フルブリッジインバータの前記第1レグをPWM相として選択して、前記PWM相の前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子をPWM制御すると共に、前記第2レグを固定相として選択して、前記固定相の前記正極側に設けられる前記第3スイッチング素子をオン状態、前記負極側に設けられる前記第4スイッチング素子をオフ状態に固定する状態と、
    前記フルブリッジインバータの前記第2レグを前記PWM相として選択して、前記PWM相の前記第3スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子をPWM制御すると共に、前記第1レグを前記固定相として選択して、前記固定相の前記正極側に設けられる前記第1スイッチング素子をオン状態、前記負極側に設けられる前記第2スイッチング素子をオフ状態に固定する状態と、
    を切り替えることにより前記直流電力を前記交流電力に変換する
    ことを特徴とする電力変換装置(1)。
  2. 前記制御部は、所定の周波数、振幅、及び位相をもつ基本波(Iref1,Iref2)を生成し、前記基本波に基づいて前記PWM相として選択されレグを切り替え、前記固定相として選択されるレグを切り替える
    ことを特徴とする、請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記基本波は、第1基本波(Iref1)と、前記第1基本波と同位相または逆位相の第2基本波(Iref2)とを含み、
    前記制御部は、前記第1基本波に基づいて前記PWM相として選択されるレグを切り替え、前記第2基本波に基づいて前記固定相として選択されるレグを切り替える、
    ことを特徴とする、請求項1または2に記載の電力変換装置。
  4. 前記制御部は、前記固定相の前記正極側に設けられる前記第1スイッチング素子または前記第3スイッチング素子の一方をオン状態とした後に、前記PWM相の前記PWM制御を開始する、
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  5. 前記制御部は、前記負荷へ供給する電流が指令値から所定量以上低減するとき、前記固定相として選択されるレグの前記正極側に設けられる前記第1スイッチング素子または前記第3スイッチング素子をオフ状態に固定し、前記固定相の前記負極側に設けられる前記第2スイッチング素子または前記第4スイッチング素子をオン状態に固定する、
    ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  6. 前記ノイズ抑制部が前記第5スイッチング素子及び前記第6スイッチング素子を備え、
    前記制御部は、前記負荷へ供給する電流が指令値から所定量以上低減するとき、かつ、前記固定相として前記第1レグが選択されるとき、前記固定相の前記正極側に設けられる前記第1スイッチング素子をオフ状態、前記負極側に設けられる前記第2スイッチング素子をオン状態に固定すると共に、前記第5スイッチング素子(Q5)をオン状態に固定し、
    前記負荷へ供給する電流が指令値から所定量以上低減するとき、かつ、前記固定相として前記第2レグが選択されるとき、前記固定相の前記正極側に設けられる前記第3スイッチング素子をオフ状態、前記負極側に設けられる前記第4スイッチング素子をオン状態に固定すると共に、前記第6スイッチング素子(Q6)をオン状態に固定する、
    ことを特徴とする、請求項5に記載の電力変換装置。
  7. 前記制御部は、前記負荷へ供給される電流が過電流となるとき、前記フルブリッジインバータのすべてのスイッチング素子をオフ状態に固定し、前記第5スイッチング素子及び前記第6スイッチング素子をオン状態に固定する、
    ことを特徴とする、請求項6に記載の電力変換装置。
  8. 直流電源(10)と、
    前記直流電源から供給される直流電力を交流電力に変換するフルブリッジインバータ(20)であって、前記直流電源の正極側から順に前記直流電源に直列に接続される第1スイッチング素子(Q1)及び第2スイッチング素子(Q2)を有する第1レグ(21)と、前記直流電源の正極側から順に前記直流電源に直列に接続され、かつ、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子と並列に接続される第3スイッチング素子(Q3)及び第4スイッチング素子(Q4)を有する第2レグ(22)と、を備えるフルブリッジインバータと、
    一端(51)が前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子との間(21c)に接続され、他端(52)が前記第3スイッチング素子と前記第4スイッチング素子との間(22c)に接続され、前記交流電力が供給される負荷(50)と、
    前記フルブリッジインバータの動作を制御する制御部(70a)と、
    前記負荷の前記一端と前記直流電源の負極側との間、及び、前記負荷の前記他端と前記負極側との間にそれぞれ設けられる、寄生ダイオード付き第5スイッチング素子(Q5)及び寄生ダイオード付き第6スイッチング素子(Q6)、または、第1整流素子(D1)及び第2整流素子(D2)のいずれか一方を備えるノイズ抑制部(60)と、
    を具備し、
    前記制御部は、前記フルブリッジインバータの各スイッチング素子のオン状態とオフ状態とを個別に制御することによって前記直流電力を前記交流電力に変換し、
    前記負荷へ供給する電流が指令値から所定量以上低減するとき、前記フルブリッジインバータの前記第1レグ及び前記第2レグの一方の2つのスイッチング素子のオン状態とオフ状態とを切り替える制御を行うことによって前記交流電力を生成し、前記第1レグ及び前記第2レグの他方を固定相として選択し、前記固定相の前記正極側に設けられる前記第1スイッチング素子または前記第3スイッチング素子をオフ状態に固定し、前記固定相の前記負極側に設けられる前記第2スイッチング素子または前記第4スイッチング素子をオン状態に固定する、
    ことを特徴とする電力変換装置(1a)。
  9. 前記ノイズ抑制部が前記第5スイッチング素子及び前記第6スイッチング素子を備え、
    前記制御部は、前記負荷へ供給する電流が指令値から所定量以上低減するとき、かつ、前記固定相として前記第1レグが選択されるとき、前記固定相の前記正極側に設けられる前記第1スイッチング素子をオフ状態、前記負極側に設けられる前記第2スイッチング素子をオン状態に固定すると共に、前記第5スイッチング素子(Q5)をオン状態に固定し、
    前記負荷へ供給する電流が指令値から所定量以上低減するとき、かつ、前記固定相として前記第2レグが選択されるとき、前記固定相の前記正極側に設けられる前記第3スイッチング素子をオフ状態、前記負極側に設けられる前記第4スイッチング素子をオン状態に固定すると共に、前記第6スイッチング素子(Q6)をオン状態に固定する、
    ことを特徴とする、請求項8に記載の電力変換装置。
  10. 前記制御部は、前記負荷へ供給される電流が過電流となるとき、前記フルブリッジインバータのすべてのスイッチング素子をオフ状態に固定し、前記第5スイッチング素子及び前記第6スイッチング素子をオン状態に固定する、
    ことを特徴とする、請求項9に記載の電力変換装置。
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