JP2017057299A - 有機溶媒可溶性の共有結合性有機骨格前駆体(cof)の製造方法及びそれを用いた共有結合性有機骨格前駆体ワニス、膜の製造方法 - Google Patents

有機溶媒可溶性の共有結合性有機骨格前駆体(cof)の製造方法及びそれを用いた共有結合性有機骨格前駆体ワニス、膜の製造方法 Download PDF

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菜々子 水口
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Abstract

【課題】有機溶媒に可溶性の共有結合性有機骨格(COF)前駆体及び、それを用いた共有結合性有機骨格(COF)前駆体ワニスと膜の製造方法を提供する。【解決手段】式(I)で表されるアリーレンジボロン酸又は特定の構造を有するアレントリイルトリボロン酸化合物と、ポリアルコールとして特定の構造を有する多価フェノール化合物又はポリヒドロキシトリフェニレン化合物とを、反応溶媒に溶解あるいは分散させて加熱し部分的に脱水縮合反応させることで得られる沈殿物をろ過し、ろ過残渣をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)へ溶解した時の不揮発分が10質量%以上である共有結合性有機骨格(COF)前駆体の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、有機溶媒可溶性の共有結合性有機骨格前駆体(COF)の製造方法、該共有結合性有機骨格前駆体ワニスの製造方法及び該ワニスを塗布、乾燥及び焼成することで得られる共有結合性有機骨格の膜の製造方法に関する。
近年、環境・エネルギー問題の深刻化に伴い、燃料貯蔵材料、温室効果ガスの分離・貯蔵材料、水質浄化材料として、多孔質材料への期待が高まっている。
多孔質材料は、大きい比表面積を有しており、燃料とすることが可能な気体又は有機小分子を多く保持することができる。また、孔径に応じて透過させる分子のサイズが異なるため、温室効果ガスや汚染物質への利用も期待されている。これらの効果を最大限に発揮させるためには、比表面積の増大及び孔径のコントロールが重要な役割を果たす。
例えば、1995年にカリフォルニア大学バークレー校のYaghi教授らは、新規の多孔質材料として、金属−有機骨格構造体(Metal Organic Frameworks 以下MOF)を発表した(非特許文献1参照)。MOFは、金属原子とそれに配位する有機分子から成っており、有機分子の長さや金属原子の配位数の変更により、多孔質材料の構造を設計することが可能である。ただし、金属原子を含むことで比較的重く、多孔質材料の利点の一つである密度の低さは十分に発揮できていなかった。
2005年、Yaghi教授らは更に、共有結合性有機骨格構造体(Covalent Organic Frameworks以下COF)を発表した(非特許文献2及び特許文献1参照)。COFは、水素、ホウ素、炭素、酸素などの軽原子を共有結合により連結して網目構造を形成したものである。多孔質構造を有し、また軽原子により構成されているため、密度が低い。また共有結合によって連結されているため、熱的安定性にも優れている。ただし、このCOFは、減圧下で長時間反応させて高結晶性の粉末として得られており、粉末のままのあるいはプレス成形による利用が想定されていた。
粉末は液体に比べ取り扱いが困難で、またプレスにより成形した場合も形状も限定される。液状のCOFを得ることができれば、取り扱い及び成形の上で非常に有利であると考えられる。
特表2008−518054号公報
Nature, 1995, (378), 703(「Selective binding and removal of guests in a microporous metal-organic framework」) Science, 2005, (310), 1166(「Porous, Crystalline, Covalent Organic Frameworks 」)
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、有機溶媒に可溶性の共有結合性有機骨格(COF)前駆体の製造方法及び、それを用いた共有結合性有機骨格(COF)前駆体ワニスの製造方法と、膜の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、下記の様態を含む。
本発明は、[1]下記一般式(I)又は(II)で表されるホウ素含有化合物と、下記一般式(III)又は(IV)で表されるポリアルコールとを、反応溶媒に溶解あるいは分散させて加熱し部分的に脱水縮合反応させることで得られる沈殿物をろ過し、ろ過残渣をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)へ溶解した時の不揮発分が10質量%以上である、共有結合性有機骨格(COF)前駆体の製造方法に関する。
Figure 2017057299
(一般式(I)中、Arは炭素数6〜204のアリーレン基又はヘテロアリーレン基を示し、一般式(II)中、Arは炭素数6〜204のアレントリイル基又はヘテロアレントリイル基を示す。一般式(III)中、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基又はハロゲン原子を示す。一般式(IV)中、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基又はハロゲン原子を示す。)
また、本発明は、[2]反応溶媒が、1,4−ジオキサン、メシチレン、トルエン、キシレンから選択される一種類以上の有機溶媒又はそれを含む混合溶媒である、上記[1]に記載の共有結合性有機骨格(COF)前駆体の製造方法に関する。
また、本発明は、[3]合成する際の反応時間が、1〜48時間である、上記[1]又は[2]に記載の共有結合性有機骨格(COF)前駆体の製造方法に関する。
また、本発明は、[4]合成する際の反応系が開放系である、上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の共有結合性有機骨格(COF)前駆体の製造方法に関する。
また、本発明は、[5]上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の共有結合性有機骨格(COF)前駆体の製造方法で得られる共有結合性有機骨格(COF)前駆体を有機溶媒に溶解させて得られる共有結合性有機骨格(COF)前駆体ワニスの製造方法に関する。
また、本発明は、[6]上記[5]に記載の有機溶媒が、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)から選択される一種類以上の有機溶媒又はそれを含む混合溶媒である、上記[5]に記載の共有結合性有機骨格(COF)前駆体ワニスの製造方法に関する。
そして、本発明は、[7]上記[6]に記載の共有結合性有機骨格(COF)前駆体ワニスを基板に塗布し、乾燥及び熱処理することで得られる共有結合性有機骨格(COF)膜の製造方法に関する。
従来のCOFは、減圧密封下で長時間かけて合成することで、高い結晶性を得ていた。高い結晶性は、比表面積を大きくするために有効な性質であるが、同時に、各種溶媒への溶解性を低下させる。本発明者らは鋭意検討の結果、開放系で短時間の反応時間で合成したCOF前駆体は、溶媒に可溶であり、さらに、可溶なCOF前駆体の溶液を熱処理(焼成)した膜が、細孔分布を持ち、COFとしての特性を発揮しうることを見出した。
本発明によれば、溶媒に可溶性の共有結合性有機骨格(COF)前駆体、及び該COF前駆体を溶媒に溶解させることにより得られる取り扱い及び成形に有利なCOF前駆体ワニスとそれを用いた共有結合性有機骨格(COF)膜を提供することができる。
実施例1の膜をX線散漫散乱測定により評価した細孔分布である。
以下、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本明細書において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において「層」及び「膜」とは、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構成に加え、一部に形成されている形状の構成も包含される。
本明細書において「工程」とは、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
[共有結合性有機骨格(COF)前駆体の合成]
本発明の共有結合性有機骨格(COF)前駆体の製造方法は、下記一般式(I)又は(II)で表されるホウ素含有化合物と、下記一般式(III)又は下記一般式(IV)で表されるポリアルコールとを、溶媒に溶解あるいは分散させて加熱し、部分的に脱水縮合反応させることで得られる。
Figure 2017057299
一般式(I)中、Arは炭素数6〜204の置換基を有していても良いアリーレン基又はヘテロアリーレン基を示す。アリーレン基としては、置換基を有してもよいフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニル基、トリフェニレン基、フェナントリル基、ターフェニル基等が挙げられ、ヘテロアリーレン基としては、ピリジレン基、ピリミジレン基、ジベンゾフラニレン基、ジベンゾチオフェニレン基、キノリニル基、ピラジニル基、ナフチリジル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基等が挙げられる。
Arの例として、例えば次の一般式(I−1)や(I−2)に示すような構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2017057299
Figure 2017057299
一般式(I−1)及び(II−2)中、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基又はハロゲン原子を示す。耐熱性及び溶解性の観点から、水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基が好ましい。ハロゲン原子として、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、炭素数1〜5の炭化水素基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が挙げられる。
Figure 2017057299
一般式(II)中、Arは炭素数6〜204のアレントリイル基又はヘテロアレントリイル基を示す。
Arの例として、例えば次の一般式(II−1)に示すような構造が挙げられるが、これに限定されるものではない。
Figure 2017057299
一般式(II−1)中、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基又はハロゲン原子を示す。耐熱性及び溶解性の観点から、水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基が好ましい。
Figure 2017057299
一般式(III)中、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基又はハロゲン原子を示す。耐熱性及び溶解性の観点から、水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基が好ましい。
Figure 2017057299
一般式(IV)中、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基又はハロゲン原子を示す。耐熱性及び溶解性の観点から、水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基が好ましい。
反応溶媒は特に限定されないが、ホウ素含有化合物及びポリアルコールの溶解性が中程度で、反応により生成したCOF前駆体の溶解性があまり高くない溶媒が好ましい。この観点から、1,4−ジオキサン、メシチレン、トルエン、キシレン等が好ましい。また、複数の溶媒を混合した混合溶媒を用いても良い。
ホウ素含有化合物及びポリアルコールに対する反応溶媒の配合量は特に限定されないが、反応性と扱いやすさの観点から、ホウ素含有化合物1質量部に対して5〜100質量部の範囲が好ましい。
反応の温度は使用する反応溶媒等により反応性や蒸気圧(沸点)が異なるため特に限定されないが、反応速度を上げて生産性を向上するため、60〜120℃が好ましく、90〜120℃がより好ましい。
反応の雰囲気は特に限定されず、真空中、アルゴン中、窒素中、大気中などで行うことができる。真空中で反応を行うと、得られるCOF前駆体の結晶性が高くなる。これは、反応系中の水分量が一定に保持されるためである。一方で、大気中で反応を行うと、大気から水分の出入りがあるため、COF前駆体の生成速度は速くなり、結晶性は低くなると考えられる。結晶性が低いと、より溶媒に溶解しやすくなる。したがって、溶解性及び生産性の観点から、大気中(開放系)で反応を行うことが好ましい。
反応液を撹拌することで、反応を促進することができる。撹拌方法は特に限定されず、マグネチックスターラやメカニカルスターラを用いることができる。
反応の圧力は特に限定されず、常圧下、加圧下、減圧下のいずれで行っても良い。ただし、減圧下で反応を行うとCOF前駆体の結晶性が向上するため、溶解性の観点からは常圧下で反応を行うことが好ましい。また、コストの観点からも、常圧(開放系)下で反応を行うことが有利である。
反応時間は特に限定されないが、反応時間を長くするほど、分子量の大きなCOF前駆体を得ることができる。分子量の大きいCOF前駆体は耐熱性や比表面積の大きさに優れているが、一方で溶解性に劣る。したがって、本発明においては、溶解性の観点より、反応時間は1〜48時間が好ましく、1〜24時間がさらに好ましい。
反応終了後、反応溶媒中にCOF前駆体が沈殿しているので、ろ過して沈殿物を分離し、ろ物(残渣)は、溶媒で洗浄する。洗浄溶媒は、ホウ素含有化合物及びポリアルコールが溶解し、一方で反応により生成したCOF前駆体の溶解性があまり高くない溶媒が好ましい。したがって、1,4−ジオキサン、メシチレン、トルエン、キシレン等が好ましい。
[共有結合性有機骨格(COF)前駆体ワニスの製造方法]
ろ集、洗浄したCOF前駆体を乾燥させ、溶媒に溶解することで、COF前駆体ワニスを得る。
乾燥は、風乾、真空乾燥などの手法で行うことができる。乾燥にかかる時間の観点から、真空乾燥が好ましい。真空乾燥の際に加温を行っても良い。このとき、温度が高すぎると、真空乾燥中にCOF前駆体同士の脱水縮合反応が進行し、COF前駆体の溶解性が低くなる。温度が低すぎると、乾燥にかかる時間が長くなり、生産性に劣る。以上の観点より、乾燥の温度は室温(25℃)〜90℃が好ましく、室温〜60℃がより好ましい。
COF前駆体の溶解に用いる溶媒に特に制限はなく、例としては、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ブチル、酢酸ベンジル、エトキシエチルプロピオネート、3−メチルメトキシプロピオネート、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチルホスホリルアミド、テトラメチレンスルホン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、クメン、ジイソフロピルベンゼン、ヘキシルベンゼン、アニソール、ジグライム、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼンが挙げられる。これらの中でも、高極性溶媒が好ましいことが、発明者らの検討により判明している。溶解性及び安全性の観点より、具体的には、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)が好ましい。これらの溶媒は、単独で、又は複数を組合わせて用いることができる。
COF前駆体を溶解する際、COF前駆体及び溶媒を容器に入れ、ミキサ、スターラ、ミックスロータなどにより撹拌することで溶解を促進することができる。さらに、温度をかけることで溶解しやすくなるが、かける温度が高すぎるとCOF前駆体同士の脱水縮合反応が進行し、溶解性が低くなる。したがって、溶解する時の温度は、室温〜60℃が好ましく、室温〜40℃がより好ましい。
COF前駆体を溶解する際、溶け残りが出る場合がある。このときは、溶け残りをろ過することで均質なCOF前駆体ワニスを得る。なお、ある程度の厚さの膜を成膜するという観点と、ワニスの扱いやすさの観点より、ろ過後のCOF前駆体ワニスの不揮発分(non volatile、以下nvと記す。)は10〜50質量%であることが好ましく、20〜50質量%であることがより好ましい。
COF前駆体ワニスには、COF前駆体と溶媒以外に各種添加剤を加えることもできる。添加剤の種類及び量は特に限定されない。添加剤の例としては、接着助剤、界面活性剤、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線劣化防止剤が挙げられる。
[共有結合性有機骨格(COF)膜の製造方法]
本発明に係るCOF前駆体ワニスを基板に塗布し、乾燥及び焼成することで、COF膜を得ることができる。
COF前駆体ワニスを塗布する基板は特に限定されず、無機物系基板のガラス、半導体、金属酸化物絶縁体(例えば酸化チタン、酸化ケイ素等)、窒化ケイ素等、有機物系基板のトリアセチルセルロース、透明ポリイミド、ポリカルボナート系ポリマー、アクリル系ポリマー、シクロオレフィン樹脂等の樹脂からなる基板を例示することができる。基板の形状は特に限定されず、板状又はフィルム状であってもよい。
COF前駆体ワニスの塗布方法は、塗布液層を基材上の任意の場所に任意の形状で形成可能な手法であれば特に限定されない。例えば、浸漬法、スプレー法、スクリーン印刷法、回転塗布法等を用いることができる。
COF前駆体ワニスを基板に塗布して塗布液層を形成した後、乾燥工程において該塗布液層を乾燥させる。塗布液層を乾燥する方法としては特に限定されず、例えば、ホットプレート、オーブン等を用いた加熱により乾燥することができる。乾燥の温度は60〜200℃であることが好ましく、100〜200℃であることがより好ましい。乾燥の時間は膜のサイズにもより特に限定されないが、1〜10分であることが好ましく、3〜10分であることがより好ましい。
上記乾燥工程後、熱処理工程において上記膜を更に熱処理することにより、COF膜を得る。この時、COF前駆体中のCOF前駆体同士の脱水縮合反応が進行し、膜中に孔を形成する。熱処理の温度は、脱水縮合反応の十分な観点から、100℃以上であることが好ましく、100〜300℃であることがより好ましく、120〜300℃であることが更に好ましく、150〜300℃であることが特に好ましく、200〜300℃であることが極めて好ましい。
熱処理の方法は特に限定されず、例えば、箱型乾燥機、熱風式コンベアー型乾燥機、石英チューブ炉、ホットプレート、ラピッドサーマルアニール、縦型拡散炉、赤外線硬化炉、電子線硬化炉、マイクロ波硬化炉等のオーブンを用いて行なうことができる。
また、熱処理工程における雰囲気条件としては、大気中又は窒素等の不活性雰囲気中のいずれを選択することもできる。COF前駆体の脱水縮合反応の進行を促進するために、窒素雰囲気下で行なう方が好ましい。
熱処理工程における熱処理時間は、十分に乾燥し、脱水縮合反応が進行したCOF膜が得られるだけの時間であればよく、作業効率との兼ね合いから約1〜5時間であることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。ただし、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、これら実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
[実施例1]
常圧下、非常に短い反応時間で合成したCOF前駆体
一般式(I)のホウ素含有化合物として1,4−フェニレンジボロン酸0.050g(0.30mmol)及び一般式(IV)のポリアルコールとしてヘキサヒドロキシトリフェニレン0.064g(0.20mmol)が入った試験管に、反応溶媒として1,4−ジオキサンとメシチレンの混合液(質量比1:1)を4ml加え、100℃で4時間撹拌し反応させた。反応終了後、反応液中の析出物をろ取した。得られた析出物を1,4−ジオキサン及びメシチレンで洗浄した後、40℃に加熱した真空乾燥機で5時間乾燥し、COF1を灰色粉末として得た(単離収率70質量%)。得られたCOF1 10mgに、それぞれN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)10mgと、トルエン 10mgを加え、室温(25℃)で、ミックスローターを用いて3時間撹拌した。不溶分を孔径0.1μmのろ紙でろ過し、ろ液の不揮発分(nv値)を測定した。それぞれのnv値を表1に示した。
[実施例2]
常圧下、短い反応時間で合成したCOF前駆体
反応時間を24時間とする以外は実施例1と同様に、COF2を合成し(単離収率75質量%)、DMFあるいはトルエンに溶解させたときのnv値を測定した。それぞれのnv値を、反応時間とともに表1に示した。
[実施例3]
常圧下、中程度の反応時間で合成したCOF前駆体
反応時間を48時間とする以外は実施例1と同様に、COF3を合成し(単離収率77質量%)、DMFあるいはトルエンに溶解させたときのnv値を測定した。それぞれのnv値を、反応時間とともに表1に示した。
[比較例1]
常圧下、長い反応時間で合成したCOF前駆体
反応時間を72時間とする以外は実施例1と同様に、COF4を合成し(単離収率80質量%)、DMFあるいはトルエンに溶解させたときのnv値を測定した。それぞれのnv値を、反応時間とともに表1に示した。
[比較例2]
減圧下、非常に短い反応時間で合成したCOF前駆体
1,4−フェニレンジボロン酸0.050g(0.30mmol)及びヘキサヒドロキシトリフェニレン0.064g(0.20mmol)が入った枝つき試験管に、1,4−ジオキサンとメシチレンの混合液(質量比 1:1)を4ml加え、試験管を密封して液体窒素に5分程度浸けて反応液を凍結させた。試験管の枝に真空ポンプを取り付けて、反応容器内部を減圧した。この時の圧力は0.2kPaであった。これを室温で解凍させてから、100℃で4時間撹拌し反応させた。反応終了後、反応液中の析出物をろ取した。得られた析出物を1,4−ジオキサン及びメシチレンで洗浄した後、40℃に加熱した真空乾燥機で5時間乾燥し、COF5を灰色粉末として得た(単離収率40質量%)。得られたCOF5 10mgに、それぞれDMF10mgあるいはトルエン10mgを加え、室温で、ミックスローターを用いて3時間撹拌した。不溶分を孔径0.1μmのろ紙でろ過し、ろ液の不揮発分(nv値)を測定した。それぞれのnv値を表1に示した。
[nv値の測定方法]
nv値は、アルミカップにCOF前駆体溶液を数滴垂らし、アルミカップを100℃に加熱した真空乾燥機で30分乾燥し、乾燥前後の重量を測定することによって算出した。
Figure 2017057299

特定のホウ素含有化合物と、特定のポリアルコールとを、反応溶媒を用いて反応させることで膜形成が可能な溶媒に溶解する共有結合性有機骨格(COF)前駆体を得ることができる。
[実施例4]
(COF膜の作製)
実施例1のDMF溶液を、シリコン基板上にスピンコーター(製品名:「MS−A200」(株式会社ミカサ製))を用いて塗布し、120℃のホットプレート上で3分間乾燥した。乾燥した基板を窒素置換した高温クリーンオーブン(製品名:「CLH−21CD(3)」(光洋サーモシステム株式会社製))に入れ、25℃から200℃に1時間で昇温し、更に200℃で1時間保持し、200℃から25℃に1時間で降温した。得られたCOF膜の厚みは2.5μm程度であった。
実施例2及び実施例3のDMF溶液を用いて実施例1と同様に成膜したところ、膜厚0.3〜1.0μm程度のCOF膜を得ることができた。しかし、比較例1及び比較例2のDMF溶液を用いて実施例1と同様に成膜したところ、膜として厚みが測定できなかった。
実施例1のCOF膜の孔径分布をX線回折装置(製品名:「ATX−G」(株式会社リガク製))を用いたX線散漫散乱測定により評価した結果を図1に示した。細孔の平均直径は約18nmであった。

Claims (7)

  1. 下記一般式(I)又は(II)で表されるホウ素含有化合物と、下記一般式(III)又は(IV)で表されるポリアルコールとを、反応溶媒に溶解あるいは分散させて加熱し部分的に脱水縮合反応させることで得られる沈殿物をろ過し、ろ過残渣をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)へ溶解した時の不揮発分が10質量%以上である共有結合性有機骨格(COF)前駆体の製造方法。
    Figure 2017057299
    (一般式(I)中、Arは炭素数6〜204のアリーレン基又はヘテロアリーレン基を示し、一般式(II)中、Arは炭素数6〜204のアレントリイル基又はヘテロアレントリイル基を示す。一般式(III)中、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基又はハロゲン原子を示す。一般式(IV)中、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基又はハロゲン原子を示す。)
  2. 反応溶媒が、1,4−ジオキサン、メシチレン、トルエン、キシレンから選択される一種類以上の有機溶媒又はそれを含む混合溶媒である、請求項1に記載の共有結合性有機骨格(COF)前駆体の製造方法。
  3. 合成する際の反応時間が、1〜48時間である、請求項1又は請求項2に記載の共有結合性有機骨格(COF)前駆体の製造方法。
  4. 合成する際の反応系が、開放系である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の共有結合性有機骨格(COF)前駆体の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の共有結合性有機骨格(COF)前駆体の製造方法で得られる共有結合性有機骨格(COF)前駆体を有機溶媒に溶解させて得られる共有結合性有機骨格(COF)前駆体ワニスの製造方法。
  6. 請求項5に記載の有機溶媒が、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)から選択される一種類以上の有機溶媒又はそれを含む混合溶媒である、請求項5に記載の共有結合性有機骨格(COF)前駆体ワニスの製造方法。
  7. 請求項6に記載の共有結合性有機骨格(COF)前駆体ワニスを基板に塗布、乾燥及び熱処理することで得られる共有結合性有機骨格(COF)膜の製造方法。
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