JP2017053638A - 物質検出方法および物質検出装置 - Google Patents

物質検出方法および物質検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】標的物質を高い感度で検出することができる物質検出方法を提供する。【解決手段】本発明に係る物質検出方法は、金属微細構造体と前記金属微細構造体を修飾する有機分子修飾膜とを有する表面増強ラマン散乱用のセンサーチップに、第1ガスを曝露する工程と、前記第1ガスに曝露された前記センサーチップの第1領域に第1レーザー光を照射する工程と、前記第1領域からのラマン散乱光の強度を取得して第1測定を行う工程と、前記第1測定を行う工程の後に、前記第1レーザー光を遮光する工程と、前記第1レーザー光を遮光する工程の後に、前記第1レーザー光が前記センサーチップを照射する照射領域を前記第1領域から前記センサーチップの前記第1領域とは異なる第2領域に合わせる工程と、を含む。【選択図】図7

Description

本発明は、物質検出方法および物質検出装置に関する。
近年、低濃度の試料分子を検出する高感度分光技術の1つとして、局在型表面プラズモ共鳴(LSPR:Localized Surface Plasmon Resonance)を利用したアフィニティセンサーや、振動分光からダイレクトに定性定量検出する表面増強ラマン散乱(SERS:Surface Enhanced Raman Scattering)が注目されている。SERSとは、ナノメートルスケールの凸凹構造を持つ金属表面で増強電場が形成され、ラマン散乱光が10倍〜10倍増強され高感度で検出可能な分光である。レーザーなどの単一波長、直線偏光の励起光を標的分子(標的物質)に照射して、励起光の波長から標的分子の分子振動エネルギー分だけ波長がずれた散乱(ラマン散乱光)を分光検出し指紋スペクトルを得る。その指紋スペクトルの形状から標的物質を同定することが可能となる。
喘息による気管の炎症と呼気中に含まれるNO(一酸化窒素)の濃度との間には相関が確認されており、呼気NO濃度は、喘息の指標として認知されている。このようなNOを検出するセンサーチップとして、光センシング方式である表面プラズモン共鳴(SPR:Surface Plasmon Resonance)に着目したものが提案されている。例えば非特許文献1には、Ag微細構造体を有するLSPR基板(センサーチップ)にシトクロムP450という生体酵素を配置させて、シトクロムP450酵素にNOを反応させ、その反応体のSERS信号を得ることが記載されている。
APPLIED SPECTROSCOPY,Volume65,Number8,825−837,2011
しかしながら、上記のようなNO(標的物質)を捕捉するための有機修飾膜を有するセンサーチップにレーザー光を照射すると、有機修飾膜がレーザー光によって劣化する場合がある。そのため、NOを高い感度で検出することができない場合がある。
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、標的物質を高い感度で検出することができる物質検出方法を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、標的物質を高い感度で検出することができる物質検出装置を提供することにある。
本発明に係る物質検出方法は、
金属微細構造体と前記金属微細構造体を修飾する有機分子修飾膜とを有する表面増強ラマン散乱用のセンサーチップに、第1ガスを曝露する工程と、
前記第1ガスに曝露された前記センサーチップの第1領域に第1レーザー光を照射する工程と、
前記第1領域からのラマン散乱光の強度を取得して第1測定を行う工程と、
前記第1測定を行う工程の後に、前記第1レーザー光を遮光する工程と、
前記第1レーザー光を遮光する工程の後に、前記第1レーザー光が前記センサーチップ
を照射する照射領域を前記第1領域から前記センサーチップの前記第1領域とは異なる第2領域に合わせる工程と、
を含む。
このような物質検出方法では、次回の測定において、まだレーザー光が照射されていないセンサーチップの第2領域に、レーザー光を照射してラマン散乱光を検出することができる。したがって、このような物質検出方法では、レーザー光によってセンサーチップの有機分子修飾膜が劣化することを抑制することができる。その結果、このような物質検出方法では、標的物質を高い感度で検出することができる。
本発明に係る物質検出方法において、
前記第1レーザー光の照射領域を前記第2領域に合わせる工程では、
前記センサーチップを移動させてもよい。
このような物質検出方法では、光源を移動させたりレンズ等の配置を変更したりしてレーザー光の照射領域を変更させる場合に比べて、容易に照射領域を変更させることができる。
本発明に係る物質検出方法において、
前記第1測定を行う工程では、
前記第1領域を照射するタイミングに基づいて、所定の間隔で複数回、ラマン散乱光の強度を取得してもよい。
このような物質検出方法では、ラマン散乱光の強度が飽和状態となるまで待つ必要がなく、標的物質の濃度が算出されるまでの時間を短縮することができる。
本発明に係る物質検出方法において、
前記第1ガスは、呼気および大気を含み、
前記センサーチップに大気を曝露する工程と、
大気に曝露された前記センサーチップの前記第1領域および前記第2領域と異なる第3領域に前記第1レーザー光を照射する工程と、
前記第3領域からのラマン散乱光の強度を取得する工程と、
前記第1測定の測定結果、および取得された前記第3領域からのラマン散乱光の強度に基づいて、呼気中の標的物質の濃度を算出する工程と、
を含んでもよい。
このような物質検出方法では、正確に呼気中のNO(一酸化窒素)濃度を算出することができる。
本発明に係る物質検出方法において、
前記第1レーザー光を照射する工程の前に、レンズを介して、前記第1領域に前記第1レーザー光よりも強度の小さい第2レーザー光を照射する工程と、
前記レンズを移動させている状態で、検出された前記第2レーザー光による前記第1領域からの散乱光の強度を取得する工程と、
取得された前記第1領域からの散乱光の強度に基づいて、前記レンズの位置を決定する工程と、
を含み、
前記第1レーザー光を照射する工程では、前記レンズを介して、前記第1領域を照射してもよい。
このような物質検出方法では、レーザー光の照射によるセンサーチップの劣化を低減させつつ、例えばセンサーチップの移動によるデフォーカスを修正することができる。
本発明に係る物質検出方法において、
前記有機分子修飾膜は、アミン系または硫黄系の官能基を有する化合物に由来する修飾分子を含み、
前記第1ガスは、一酸化窒素を含んでもよい。
このような物質検出方法では、NOを高い感度で検出することができる。
本発明に係る物質検出装置は、
金属微細構造体と前記金属微細構造体を修飾する有機分子修飾膜とを有する表面増強ラマン散乱用のセンサーチップと、
前記センサーチップにレーザー光を照射する光源と、
前記センサーチップからのラマン散乱光を検出する光検出器と、
前記レーザー光を遮光可能な遮光フィルターと、
前記遮光フィルターを移動させる遮光フィルター移動部と、
前記センサーチップにおける前記レーザー光の照射領域を変更させる照射領域変更部と、
を含む。
このような物質検出装置では、次回の測定において、まだレーザー光が照射されていないセンサーチップの第2領域に、レーザー光を照射してラマン散乱光を検出することができる。したがって、このような物質検出装置では、レーザー光によってセンサーチップの有機分子修飾膜が劣化することを抑制することができる。その結果、このような物質検出装置では、標的物質を高い感度で検出することができる。
本発明に係る物質検出装置において、
前記照射領域変更部は、前記センサーチップを移動させて前記レーザー光の照射領域を変更させてもよい。
このような物質検出装置では、光源を移動させたりレンズ等の配置を変更したりしてレーザー光の照射領域を変更させる場合に比べて、容易に照射領域を変更させることができる。
本発明に係る物質検出装置において、
前記光検出器で検出された、第1ガスが曝露された前記センサーチップの第1領域からのラマン散乱光の強度を取得して第1測定処理を行う第1光強度取得部と、
前記第1測定処理の後に、前記遮光フィルター移動部を制御して、前記レーザー光を遮光し、前記照射領域変更部を制御して、前記レーザー光の照射領域を前記第1領域から前記センサーチップの前記第1領域と異なる第2領域に合わせる処理を行う照射領域変更処理部と、
を含んでもよい。
このような物質検出装置では、照射領域変更処理部によって、光検出器において検出されたラマン散乱光の強度に関する測定(第1測定)が終わった後に、レーザー光を遮光させた状態で、センサーチップにおけるレーザー光の照射領域を変更させることができる。
本発明に係る物質検出装置において、
前記第1光強度取得部は、前記第1測定処理において、前記第1領域を照射するタイミ
ングに基づいて、所定の間隔で複数回、ラマン散乱光の強度を取得してもよい。
このような物質検出装置では、ラマン散乱光の強度が飽和状態となるまで待つ必要がなく、標的物質の濃度が算出されるまでの時間を短縮することができる。
本発明に係る物質検出装置において、
前記第1ガスは、呼気および大気を含み、
前記光検出器で検出された、大気に曝露された前記センサーチップの前記第1領域および前記第2領域と異なる第3領域からのラマン散乱光の強度を取得する第2光強度取得部と、
前記第1測定処理の測定結果および前記第2光強度取得部で取得されたラマン散乱光の強度に基づいて、呼気中の標的物質の濃度を算出する呼気濃度算出部と、
を含んでもよい。
このような物質検出装置では、正確に呼気中のNO濃度を算出することができる。
本発明に係る物質検出装置において、
前記レーザー光の強度を小さくすることが可能な減光フィルターと、
前記減光フィルターを移動させる減光フィルター移動部と、
前記レーザー光を前記センサーチップに導くレンズと、
前記レンズを移動させるレンズ移動部と、
前記レンズ移動部が前記レンズを移動させている状態で、前記光検出器で検出された、前記減光フィルターを透過した前記レーザー光による前記第1領域からの散乱光の強度を取得する第3光強度取得部と、
前記第3光強度取得部で取得された散乱光の強度に基づいて、前記レンズの位置を決定するレンズ位置決定部と、
を含んでもよい。
このような物質検出装置では、レーザー光の照射によるセンサーチップの劣化を低減させつつ、例えばセンサーチップの移動によるデフォーカスを修正することができる。
本発明に係る物質検出装置において、
前記有機分子修飾膜は、アミン系または硫黄系の官能基を有する化合物に由来する修飾分子を含み、
前記第1ガスは、一酸化窒素を含んでもよい。
このような物質検出方法では、NOを高い感度で検出することができる。
第1実施形態に係る物質検出装置を説明するための図。 第1実施形態に係る物質検出装置を模式的に示す図。 レーザー光の照射時間とSERS強度との関係を示すグラフ。 第1実施形態に係るセンサーチップを模式的に示す平面図。 第1実施形態に係るセンサーチップを模式的に示す断面図。 第1実施形態に係るセンサーチップを模式的に示す断面図。 第1実施形態に係る物質検出方法を説明するためのフローチャート。 レーザー光の射出時間とSERS強度比との関係を示すグラフ。 レーザー光の射出時間とSERS強度比との関係を示すグラフ。 レーザー光の射出時間とSERS強度比との関係を示すグラフ。 レーザー光の射出時間とSERS強度比との関係を示すグラフ。 SERSスペクトル。 レーザー光の射出時間とSERS強度との関係を示すグラフ。 第2実施形態に係る物質検出装置を説明するための図。 呼気時間と流量との関係を示すグラフ。 第2実施形態に係る物質検出方法を説明するためのフローチャート。 第3実施形態に係る物質検出装置を説明するための図。 第3実施形態に係る物質検出方法を説明するためのフローチャート。 第4実施形態に係る物質検出装置を説明するための図。 第4実施形態に係る物質検出方法を説明するためのフローチャート。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 第1実施形態
1.1. 物質検出装置
まず、第1実施形態に係る物質検出装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る物質検出装置100を説明するための図である。
物質検出装置100は、図1に示すように、光源10と、遮光フィルター20と、遮光フィルター移動部22と、センサーチップ30と、照射領域変更部32と、流路40と、光検出器50と、制御部60と、操作部70と、表示部72と、記憶部74と、記憶媒体76と、処理部80と、を含む。
光源10は、センサーチップ30にレーザー光を照射する。図示の例では、レーザーは、ハーフミラー2およびレンズ4を介して、センサーチップ30に入射する。光源10は、例えば、半導体レーザー、気体レーザーである。光源10から射出されるレーザー光の波長は、例えば、350nm以上1000mn以下である。ハーフミラー2は、例えば、レーザー光を反射させ、センサーチップ30からのラマン散乱光を透過させる。なお、ハーフミラー2の代わりに、ダイクロイックミラーを用いてもよい。レンズ4は、例えば、センサーチップ30にレーザー光を集光させる集光レンズである。
遮光フィルター20は、光源10から射出されるレーザー光を遮光可能である。遮光フィルター20がレーザー光の光軸上に配置されている状態では、レーザー光は、センサーチップ30に照射されない。ここで、レーザー光の光軸とは、例えば、光源10からレーザー光が射出された場合に、レーザー光が通る経路のことである。遮光フィルター20の形状は、板状であってもよいし、膜状であってもよい。遮光フィルター20の材質は、光源10から射出されるレーザー光を遮光することができれば、特に限定されない。
遮光フィルター移動部22は、遮光フィルター20を移動させる。遮光フィルター移動部22は、遮光フィルター20を移動可能に支持している。遮光フィルター移動部22は、例えば、遮光フィルター20を支持する支持部と、該支持部を移動させる駆動部と、を有し、処理部80からの信号を受けて駆動部が駆動することにより支持部が移動して、遮光フィルター20を移動させることができる。遮光フィルター移動部22の駆動部は、例えば、モーターである。なお、遮光フィルター移動部22は、つまみを有し、該つまみをつまむことによって手動で遮光フィルター20を支持する支持部を移動させてもよい。
センサーチップ30は、レーザー光を受けて、ラマン散乱光を放出する。センサーチッ
プ30は、有機分子修飾膜を有する表面増強ラマン散乱(SERS)用のセンサーチップである。センサーチップ30は、第1領域30aおよび第2領域30bを有している。領域30a,30bは、センサーチップ30の有機分子修飾膜を含む表面であって、互いに異なる領域である。センサーチップ30の詳細な説明については、後述する。
照射領域変更部32は、センサーチップ30におけるレーザー光が照射される領域(レーザー光の照射領域)を変更させる。具体的には、照射領域変更部32は、センサーチップ30を移動させてレーザー光の照射領域を変更させる。照射領域変更部32は、センサーチップ30を移動可能に支持している。照射領域変更部32は、例えば、センサーチップ30におけるレーザー光の光軸を変更させる。照射領域変更部32は、例えば、センサーチップ30を支持する支持部と、該支持部を移動させる駆動部と、を有し、処理部80からの信号を受けて駆動部が駆動することにより支持部が移動して、センサーチップ30を移動させることができる。照射領域変更部32の駆動部は、例えば、モーターである。なお、照射領域変更部32は、つまみを有し、該つまみをつまむことによって手動でセンサーチップ30を支持する支持部を移動させてもよい。
なお、照射領域変更部32は、センサーチップ30におけるレーザー光が照射される領域を変更させることができれば、センサーチップ30ではなく、光源10を移動させてレーザー光の照射領域を変更させてもよい。また、照射領域変更部32は、ハーフミラー2やレンズ4の配置を変更させてレーザー光の照射領域を変更させてもよい。また、照射領域変更部32は、レーザー光が射出される角度を変えてレーザー光の照射領域を変更させてもよい。
流路40には、検出される標的物質を含んだガス(気体試料)が流れる。流路40内には、センサーチップ30が支持されている。流路40に設けられているポンプ41を駆動させると、流路40内が負圧になり、吸引口42から標的物質を含んだガスが吸引される。吸引口42から吸引されたガスは、センサーチップ30の表面近傍を通って、排出口43から排出される。ガスがセンサーチップ30の表面近傍を通る際に、標的物質は、センサーチップ30の表面近傍に吸着する。具体的には、検出される標的物質は、一酸化窒素(NO)であり、流路40に流れる第1ガスは、喘息患者などの呼気および大気を含むガスであってもよいし、一酸化窒素(NO)ガスであってもよい。
光検出器50は、レーザー光の照射によるセンサーチップ30からのラマン散乱光を検出する。センサーチップ30において放出されたラマン散乱光は、レンズ4、ハーフミラー2、レイリーカットフィルター6、およびレンズ8を通って、光検出器50に至る。センサーチップ30において放出されたラマン散乱光には、光源10から射出されるレーザー光と同じ波長のレイリー散乱光が含まれており、レイリーカットフィルター6によって、レイリー散乱光を除去することができる。レンズ8は、例えば、光検出器50にラマン散乱光を集光させる集光レンズである。
光検出器50は、分光器52と、受光素子54と、を有している。分光器52は、例えば、ファブリペロー共振を利用したエタロン等で形成されており、通過波長帯域を可変とすることができる。受光素子54は、分光器52を通過したラマン散乱光を受光する。受光素子54は、例えば、フォトダイオードである。光検出器50は、受光素子54において受光された光の強度に関する情報を、制御部60を介して処理部80に送る。
制御部60は、処理部80からの信号を受けて、遮光フィルター移動部22、照射領域変更部32、およびポンプ41を制御する。制御部60は、専用回路によって実現して上記の制御を行うように構成されていてもよい。また、制御部60は、例えばCPU(Central Processing Unit)がROM(Read Only Mem
ory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶装置に記憶された制御プログラムを実行することによってコンピューターとして機能し、上記の制御を行うように構成されていてもよい。制御部60は、図2に示すように、光検出器50の下方に設けられた収容部62に収容されていてもよい。制御部60は、図2に示すように、外部端子64と電気的に接続されていてもよい。なお、便宜上、図2では、制御部60、操作部70、表示部72、記憶部74、記憶媒体76、処理部80の図示を省略している。
操作部70は、図1に示すように、ユーザーによる操作に応じた操作信号を取得し、処理部80に信号を送る処理を行う。操作部70は、例えば、ボタン、キー、タッチパネル型ディスプレイ、マイクなどである。
表示部72は、処理部80から入力される表示信号に基づいて、処理部80の処理結果等を表示する。表示部72は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)、タッチパネル型ディスプレイなどである。
記憶部74は、処理部80が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。記憶部74は、さらに、処理部80の作業領域として用いられ、操作部70から入力された操作信号、記憶媒体76から読み出されたプログラムやデータ、処理部80が各種プログラムに従って実行した算出結果等を一時的に記憶する。記憶部74には、データベース75が記憶されている。
データベース75には、分析の対象となる標的物質に関するデータが登録されている。具体的には、データベース75には、ラマンシフトから標的物質を特定するための(定性するための)データや、ラマンスペクトルの強度から標的物質の濃度を特定するための(定量するための)データが登録されている。なお、データベース75は、記憶媒体76に記憶されていてもよい。
記憶媒体76には、各種のアプリケーションプログラムやデータを記憶するための、コンピューター読み取り可能な記憶媒体である。なお、当該プログラムは、ホスト装置(サーバー)が有する情報記憶媒体からネットワーク等を介して記憶媒体76(記憶部74)に配信されてもよい。記憶媒体76は、処理部80の処理により生成されるデータのうち、長期的な保存が必要なデータを記憶する記憶部としても機能してもよい。記憶媒体76は、例えば、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、メモリー(ROM、フラッシュメモリーなど)により実現される。
処理部80は、記憶部74に記憶されているプログラムや記憶媒体76に記憶されているプログラムに従って、各種の計算処理を行う。本実施形態では、処理部80は、記憶部74に記憶されているプログラムを実行することで、レーザー照射処理部81、第1光強度取得部82、第1濃度算出部83、および照射領域変更処理部84として機能する。処理部80の機能は、各種プロセッサ(CPU、DSP等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。なお、処理部80の少なくとも一部をハードウェア(専用回路)で実現してもよい。
レーザー照射処理部81は、センサーチップ30の第1領域30aにレーザー光を照射する処理を行う。具体的には、レーザー照射処理部81は、ポンプ41を起動させたタイミングに基づいて(例えばポンプ41を移動させてから30秒後に)遮光フィルター移動部22を制御して遮光フィルター20をレーザー光の光軸上から外し、センサーチップ3
0の第1領域30aにレーザー光を照射する処理を行う。処理部80の処理による遮光フィルター20の移動距離は、例えば、100μm程度である。
第1光強度取得部82は、光検出器50で検出された、第1ガスが曝露されたセンサーチップ30の第1領域30aからのラマン散乱光の強度を取得して第1測定処理を行う。ここで、図3は、センサーチップに対するレーザー光の照射時間と、SERS強度(ラマン散乱光の強度)と、の関係を示すグラフである。具体的には、図3は、センサーチップ30に曝露する第1ガスを20ppmのNO(一酸化窒素)ガスとし、レーザー光の波長を632nm、レーザー光の強度を0.5mWとしたときの、レーザー光の照射時間とSERS強度との関係を示している。
第1光強度取得部82は、例えば図3に示すように、第1測定処理において、レーザー光がセンサーチップ30の第1領域30aを照射するタイミングに基づいて、所定の間隔で複数回、ラマン散乱光の強度を取得する。具体的には、レーザー照射処理部81が、遮光フィルター移動部22を制御して遮光フィルター20をレーザー光の光軸上から外す処理を終えると同時に、第1光強度取得部82は、第1測定処理を開始する。図3に示す例では、第1光強度取得部82は、第1測定処理を開始してから、10秒ごとに計13回、605cm−1のSERS強度を取得し、13回目のSERS強度を取得した後、第1測定処理を終了する。
第1濃度算出部83は、第1光強度取得部82で行われた第1測定処理の測定結果に基づいて、第1ガス中の標的物質の濃度を算出する。具体的には、第1濃度算出部83は、第1測定処理の測定結果から、フィッティングを行い、ラマン散乱光の飽和強度(予測飽和強度)を算出する。ここで、ある時刻tでのセンサーチップ表面における被覆率θは、Langmuir型吸着モデルを用いると、下記式(1)のように表すことができる。下記式(1)においてAは、係数である。
θ=1−exp(−At) ・・・ (1)
SERS信号の強度式は、被覆率が低い場合には被覆率に比例するとみなすことができるので、SERS強度(ラマン散乱光の強度)ISERSは、下記式(2)のように表すことができる。下記式(2)においてBは、係数である。
SERS=Bθ=B[1−exp(−At)] ・・・ (2)
第1濃度算出部83は、例えば図3に示すように、第1測定処理を開始してから10秒ごとに計13回得られたSRES強度と、式(2)の各時刻での値と、の差分二乗値を最小化させるようなアルゴリズムで、式(1),(2)のA、Bをフィッティングさせて求める(図3の破線参照)。Bが予測飽和強度であり、第1濃度算出部83は、求めたBを、記憶部74に予め記憶されているSERS強度とNO濃度(標的物質の濃度)との検量線データに照らし合わせて、NO濃度を算出する。処理部80は、算出したNO濃度を表示部72に表示する処理を行う。
なお、第1光強度取得部82は、レーザー光がセンサーチップ30の第1領域を照射してから、ラマン散乱光の強度が飽和するまで待った後に(例えば5分程度)、1回だけラマン散乱光の強度を取得してもよい。この場合、第1濃度算出部83は、上記のようなフィッティングを行わずに、第1光強度取得部82で取得されたラマン散乱光の強度とNO濃度との検量線データに照らし合わせて、NO濃度を算出してもよい。
照射領域変更処理部84は、第1測定処理の後に、遮光フィルター移動部22を制御し
て、レーザー光を遮光し、照射領域変更部32を制御して、レーザー光の照射領域を第1領域30aからセンサーチップ30の第2領域30bに合わせる処理を行う。処理部80の処理によるセンサーチップ30の移動距離(例えば第1領域と第2領域との間の距離)は、例えば、5μm以上5mm以下であり、好ましくは10μm以上1mm以下であり、より好ましくは100μm以上1mm以下である。センサーチップ30の大きさは、扱いやすさから3mm角以上5mm角以下であり、移動距離が1mmであると、1つのセンサーチップ30において9回〜25回の測定が可能となる。したがって、移動距離を1mm以下とすることにより、1つのセンサーチップ30における測定回数を増やすことができる。また、移動距離が100μm未満であると、照射領域変更部32の駆動部のコストが高くなる(例えば高コストのMEMSを用いた駆動部が必要となる)。また、移動距離は、光源10から射出されるレーザー光のセンサーチップ30における焦点サイズ(スポット径)Φよりも大きくする必要がある。例えば、レーザー光の波長をλ、レンズ4の開口数をNAとすると、Φ=1.22λ/NAの関係を満たし、NA=0.2、λ=632nm、とするとΦ≒3.8μmとなる。
次に、センサーチップ30の詳細について説明する。図4は、センサーチップ30を模式的に示す平面図である。図5は、センサーチップ30を模式的に示す図4のV−V線断面図である。
センサーチップ30は、図4および図5に示すように、基板130と、金属微細構造体132と、有機分子修飾膜134と、を有している。なお、便宜上、図4では、有機分子修飾膜134を省略している。
基板130は、例えば、ガラス基板、シリコン基板、樹脂基板である。
金属微細構造体132は、基板130上に設けられている。金属微細構造体132の形状は、特に限定されず、例えば、円柱状、粒子状、角柱、球、回転楕円体である。金属微細構造体132の大きさ(例えば直径)は、センサーチップ30に照射される光の波長以下である。具体的には、金属微細構造体132の大きさは、40nm以上700nm以下である。図示の例では、金属微細構造体132は、複数設けられている。金属微細構造体132の材質は、例えば、金、銀、アルミニウム、銅である。金属微細構造体132は、例えば、真空蒸着法などにより形成される。
金属微細構造体132は、光が照射されると表面プラズモン共鳴(SPR)を生じる。具体的には、金属微細構造体132は、局在型プラズモン共鳴(LSPR)を生じる。LSPRとは、光の波長以下の金属構造体に光を入射させると、金属内に存在する自由電子が光の電場成分により集団的に振動し、外部に局在電場を誘起する現象である。この局在電場により、ラマン散乱光を増強することができる。このように、SPRにより誘起される電場によって、ラマン散乱光が増強されることを電場増強効果という。SPRによって増強されるラマン散乱光(SERS光)の強度は、SPRにより増強された電場の4乗に比例する。
有機分子修飾膜134は、金属微細構造体132上に設けられている。有機分子修飾膜134は、本実施形態に係る修飾分子(以下、単に「修飾分子」ともいう)を含む。修飾分子は、金属微細構造体132の表面に配置されている。有機分子修飾膜134は、例えば、修飾分子を希釈させた溶液(例えば濃度1mM)中に、金属微細構造体132が形成された基板130を、所定時間以上(例えば24時間)浸漬させ、その後、溶液から取り出して溶媒を飛ばすことで形成される。
修飾分子は、例えば、アミン系の官能基を有する化合物に由来する。具体的には、修飾
分子は、アミン基を有したベンゼン環であるアニリン(下記式(3)参照)に由来する。この場合、修飾分子は、図6に示すように、アミン基において、金属微細構造体132に結合する。これにより、有機分子修飾膜134は、金属微細構造体132を修飾することができる。NO(一酸化窒素)は、大気中の酸素と反応してNという反応体になり、電子吸引性であるNがベンゼン環の電子局在部(図6に示すδ−の部分)で反応すると考えられる。これにより、センサーチップ30は、NOを捕捉することができる。
Figure 2017053638
なお、修飾分子は、アミン系の官能基に限定されない。修飾分子は、硫黄系の官能基を有する化合物、例えば、メタンチオール(CHSH)に由来してもよい。ここで、「所定の化合物(例えばアニリンやメタンチオール)に由来する」とは、化合物が、そのままの形で、または置換基の一部が脱離して、配位結合、共有結合、イオン結合、または水素結合等の結合によって、金属微細構造体132に結合し、修飾分子が得られることをいう。
物質検出装置100は、例えば、以下の特徴を有する。
物質検出装置100は、光源10から射出されるレーザー光を遮光可能な遮光フィルター20と、遮光フィルター20を移動させる遮光フィルター移動部22と、センサーチップ30におけるレーザー光の照射領域を変更させる照射領域変更部32と、を含む。そのため、物質検出装置100では、光検出器50において検出されたラマン散乱光の強度に関する測定(第1測定)が終わった後に、レーザー光を遮光させた状態で、センサーチップ30におけるレーザー光の照射領域を変更させることができる。そのため、次回の測定では、まだレーザー光が照射されていないセンサーチップ30の領域に、レーザー光を照射してラマン散乱光を検出することができる。したがって、物質検出装置100では、レーザー光によってセンサーチップ30の有機分子修飾膜134が劣化することを抑制することができる。その結果、物質検出装置100では、標的物質を高い感度で検出することができる。後述する実験例のように、有機分子修飾膜134は、レーザー光の照射により劣化する。
物質検出装置100では、照射領域変更部32は、センサーチップ30を移動させてレーザー光の照射領域を変更させる。そのため、物質検出装置100では、光源10を移動させたりレンズ4等の配置を変更したりしてレーザー光の照射領域を変更させる場合に比べて、容易に照射領域を変更させることができる。例えば、光源10を移動させる場合には、より重いものを移動可能な照射領域変更部32が必要となる場合があり、レンズ4やハーフミラー2の配置を変更させる場合には、より微調整な移動を可能とする照射領域変更部32が必要となる場合がある。
物質検出装置100では、第1測定処理の後に、遮光フィルター移動部22を制御して、レーザー光を遮光し、照射領域変更部32を制御して、レーザー光の照射領域を第1領域30aからセンサーチップ30の第2領域30bに合わせる処理を行う照射領域変更処理部84を含む。そのため、物質検出装置100では、照射領域変更処理部84によって、光検出器50において検出されたラマン散乱光の強度に関する測定(第1測定)が終わ
った後に、レーザー光を遮光させた状態で、センサーチップ30におけるレーザー光の照射領域を変更させることができる。
物質検出装置100では、第1光強度取得部82は、第1測定処理において、第1領域30aを照射するタイミングに基づいて、所定の間隔で複数回、ラマン散乱光の強度を取得する。そのため、物質検出装置100では、ラマン散乱光の強度が飽和状態となる前に、予測強度飽和値を求め、該予測飽和強度値に基づいて標的物質の濃度を算出することができる。したがって、物質検出装置100では、ラマン散乱光の強度が飽和状態となるまで待つ必要がなく、濃度が算出されるまでの時間を短縮することができる。
物質検出装置100では、センサーチップ30の有機分子修飾膜134は、アミン系または硫黄系の官能基を有する化合物に由来する。そのため、物質検出装置100では、NOを高い感度で検出することができる。ここで、NOガスは、大気汚染および医療の2点から注目を集めている。前者においては、燃焼系に関わる人為的活動から大量に生成され、副産物であるNOが酸性雨生成に関わるため環境問題に至っている。医療においては、ppbオーダーであれば気道炎症に伴うバイオマーカーとして認知されており、またppmオーダーであれば、例えば血管拡張作用があるため薬として活用されている。このように、環境問題および医療からNO濃度を計測するニーズがある。NOは、直接SERSで検出を試みてみると、単純な2原子分子ゆえに分子振動の種類も少なく、強度も弱い。そのため、ppbオーダーやppmオーダーのようなパーセント以下の微量濃度の検出は容易ではない。そこで、物質検出装置100では、有機分子修飾膜134を用いてNOを捕捉し、NOを高い感度で検出することができる。
1.2. 物質検出方法
次に、第1実施形態に係る物質検出方法について、図面を参照しながら説明する。図7は、第1実施形態に係る物質検出方法を説明するためのフローチャートである。以下では、第1実施形態に係る物質検出方法として、物質検出装置100を用いた検出方法について説明する。
例えば、ユーザーが操作部70を介して、標的物質の濃度を求めるための処理を要求すると、処理部80は、操作部70からの操作信号を受けて、処理を開始する。例えば、ユーザーは、処理を要求する際に、分析の対象(検出の対象)となる標的物質の種類を入力する。
まず、処理部80は、センサーチップ30に、第1ガス(例えばNOガス)を曝露する処理を行う(S102)。具体的には、処理部80は、操作部70からの操作信号を受けて、ポンプ41を駆動させる処理を行う。これにより、流路40にNOガスが流れて、センサーチップ30に、NOガスを曝露させることができる。
次に、レーザー照射処理部81は、NOガスに曝露されたセンサーチップ30の第1領域30aにレーザー光(第1レーザー光)を照射する処理を行う(S104)。具体的には、レーザー照射処理部81は、ポンプ41を駆動させてから所定時間経過後(例えば30秒後)に、遮光フィルター移動部22を制御して遮光フィルター20をレーザー光の光軸上から外す。これにより、第1領域30aは、レーザー光によって照射される。
次に、第1光強度取得部82は、光検出器50で検出された、センサーチップ30の第1領域30aからのラマン散乱光の強度を取得して第1測定処理を行う(S106)。具体的には、第1光強度取得部82は、第1領域30aを照射するタイミングに基づいて、所定の間隔で複数回、ラマン散乱光の強度を取得する。例えば、レーザー照射処理部81が、遮光フィルター移動部22を制御して遮光フィルター20をレーザー光の光軸上から
外す処理を終えると同時に、第1光強度取得部82は、第1測定処理を開始する。
次に、照射領域変更処理部84は、第1測定処理の後に(例えば第1光強度取得部82から第1測定終了の信号を受けて)、遮光フィルター移動部22を制御して遮光フィルター20をレーザー光の光軸上に移動させ、レーザー光を遮光する。レーザー光を遮光した後、照射領域変更処理部84は、照射領域変更部32を制御してセンサーチップ30を移動させ、レーザー光の光軸を(レーザー光がセンサーチップ30を照射する照射領域を)センサーチップ30の第1領域30aから第2領域30bに合わせる処理を行う(S108)。
次に、第1濃度算出部83は、第1光強度取得部82で行われた第1測定処理の測定結果に基づいて、NOガス中の標的物質(NO)の濃度を算出する(S110)。そして、処理部80は、表示部72に、NOの濃度を表示するための信号を出力し、処理を終了する。なお、NOガス中のNO濃度を算出する処理(S110)は、第1測定処理(S106)の後であって、レーザー光の照射領域を第1領域30aから第2領域30bに合わせる処理(S108)の前に行われてもよい。
なお、処理終了後、例えば、同じNOガス濃度を再度求める場合は、センサーチップに別のNOガスを曝露させたのち、センサーチップ30の第2領域30bを照射して(処理(S104)において「第1領域30a」を「第2領域30b」に置き換えて)、処理(S104),(S106)、(S110)を行うことができる。また、別のNOガス中のNOの濃度を求める場合は、センサーチップに別のNOガスを曝露させた後に、上記と同様の処理を行うことができる。
第1実施形態に係る物質検出方法では、「1.1. 物質検出装置」において説明したように、標的物質を高い感度で検出することができる。
1.3. 実験例
以下に実験例を示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実験例によって何ら限定されるものではない。
1.3.1. 有機分子修飾膜の光照射による劣化
センサーチップ30のような修飾分子(アミン系または硫黄系の官能基を有する化合物に由来する修飾分子)を含む有機分子修飾膜を備えたセンサーチップに、所定時間レーザー光を照射して、有機分子修飾膜の光照射による劣化を調べた。センサーチップの金属微細構造体の材質は、金とした。
図8〜図11は、修飾分子を含む有機分子修飾膜を備えたセンサーチップにおける、レーザー光の射出時間とSERS強度比との関係を示すグラフである。図8〜図11の横軸は、光源からレーザー光を射出し始めてからの経過時間であり、各図に示した「照射開始」の時間から、各センサーチップにレーザー光が照射される。図8〜図11の縦軸は、最初のプロット(最も短い照射時間でのプロット)を1として、ラマン散乱光の強度を規格化したもの(SERS強度比)である。図8では、修飾分子は、アンモニア(NH)に由来する。図9では、修飾分子は、アニリンに由来する。図10では、修飾分子は、DAR−4M(下記式(4)参照)に由来する。図11では、修飾分子は、硫化ジメチル(下記式(5)参照)に由来する。
Figure 2017053638
図8〜図10では、波長632nm、強度0.5mWのレーザー光を照射した。図11では、波長632nm、強度0.2mWのレーザー光を照射した。
図8〜図11より、アミン系または硫黄系の官能基を有する化合物に由来する修飾分子を含む有機分子修飾膜にレーザー光を照射すると、照射時間の経過に伴い、有機分子修飾膜に起因するラマン散乱光の強度が(ラマンスペクトルのピーク強度が)減少することがわかった。これは、レーザー光を照射することにより、アミン系の官能基を有する化合物に由来する修飾分子を含む有機分子修飾膜では、有機分子修飾膜が光に反応して劣化するためである。また、硫黄系の官能基を有する化合物に由来する修飾分子を含む有機分子修飾膜では、有機分子修飾膜が光によって脱離しているためである。
1.3.2. 有機分子修飾膜によるNO補足のメカニズム
アニリンに由来する修飾分子を含む有機分子修飾膜を備えたセンサーチップを用いて、有機分子修飾膜によるNO補足のメカニズムを調査した。
図12は、アニリンに由来する修飾分子を含む有機分子修飾膜134を備え、金属微細構造体132の材質が金であるセンサーチップに、20ppmのNOを含むガスを曝露させたときの曝露前後の差分のSERSスペクトル(曝露後のSERS強度から曝露前のSERS強度を引いたもの)である。波長632nm、強度0.5mWのレーザー光を照射した。図12に示すように、605cm−1および1374cm−1に強いピークが確認された。これは、NO基(ニトロ基)由来の振動数帯と一致することから、センサーチップがNOガスのNOと反応して捕捉し、ニトロアニリンが生成したと考えられる。
次に、605m−1のピークに着目して、下記に示すような実験を行った。図13は、アニリンに由来する修飾分子を含む有機分子修飾膜を備えたセンサーチップにおける、レーザー光の射出時間とラマン散乱光の強度との関係を示すグラフである。
まず、図13に示すように、NOガスをセンサーチップに曝露させ、レーザー光を射出してから5分後に、レーザー光をセンサーチップの領域αに照射した(第1工程)。NO由来のSERS強度は、徐々に大きくなった(射出時間5分後〜20分後参照)。
次に、NOガスのセンサーチップへの曝露を停止させた(第2工程)。NO由来のSERS強度は小さくなった(射出時間23分後〜30分後参照)。これは、有機分子修飾膜が素早くNOを放出し、有機分子修飾膜の光劣化が始まったためである。
次に、再び、NOガスをセンサーチップに曝露させた(第3工程)。NO由来のSER
S強度は、第1工程で得られたSERS強度に比べて、著しく小さかった(射出時間35分〜53分後参照)。一度、有機分子修飾膜の光劣化が起きた場所では、有機分子修飾膜のNO捕捉性が失われ、検出感度が著しく低下することがわかった。
次に、レーザー光の光軸(レーザー光の照射領域)をセンサーチップの領域αから領域βに移動させた(第4工程)。NO由来のSERS強度は、第1工程と同様に徐々に大きくなった(射出時間55分後〜58分後参照)。NOガス曝露中では、レーザー光を照射した直後からSERS強度が増加することがわかった。
以上、第1〜第4工程の実験より、下記(a),(b),(c)のことがわかった。
(a)有機分子修飾膜によるNOの捕捉は、光照射をきっかけに始まる(第1,第4工程参照)。
(b)NOの曝露を停止すると、有機分子修飾膜は、NOを素早くリリースする(第2工程参照)。
(c)一度、有機分子修飾膜の光劣化が起きた場所では、有機分子修飾膜のNO捕捉性が失われ、検出感度が著しく低下する(第3工程参照)。
上記のようなセンサーチップの特徴を利用して、例えば物質検出装置100では、NOを検出する。上記のようなセンサーチップの特徴は、ナノスケールである金属微細構造体において極局所的に形成される10万〜10億倍の巨大増強光(LSPR)による光化学反応が起因していると考えられ、SERSセンサーチップ(金属微細構造体を有するセンサーチップ)特有の応答だと考えられる。
2. 第2実施形態
2.1. 物質検出装置
次に、第2実施形態に係る物質検出装置について、図面を参照しながら説明する。図14は、第2実施形態に係る物質検出装置200を説明するための図である。以下、物質検出装置200において、上述した物質検出装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
物質検出装置200は、図14に示すように、制御弁44と、流量センサー45と、を含む点において、上述した物質検出装置100と異なる。さらに、物質検出装置200では、処理部80は、第2光強度取得部85、第2濃度算出部86、および呼気濃度算出部87としても機能する点において、上述した物質検出装置100と異なる。
制御弁44は、流路40の、吸引口42からセンサーチップ30までの経路に設けられている。制御弁44は、例えば、吸引口42近傍に設けられている。制御弁44は、例えば、処理部80からの信号を受けて、開閉される。制御弁44が開かれている状態で、センサーチップ30は、所定のガスに曝露される。具体的には、制御弁44が開かれている状態で、センサーチップ30は、呼気および大気を含む第1ガスと、大気と、に曝露される。大気は、例えば、自動車の排ガスや暖房機由来のNOを含む。なお、制御弁44の開閉は、人手によって行われてもよい。
流量センサー45は、流路40内であって、制御弁44近傍に設けられている。流量センサー45は、流路40の、吸引口42と制御弁44との間の流量を検出することができる。流量センサー45の形態は、流量を検出することができれば、特に限定されない。
制御部60は、処理部80からの信号を受けて、制御弁44を制御する。
処理部80は、例えば、流量センサー45において流量を検出してから所定の時間(例えば7秒)が経過し、かつ、例えば7秒経過した時点での流量センサー45において検出された流量が所定の値(例えば50mL/sec)であった場合に、制御弁44を閉じた状態から所定の時間(例えば3秒間)だけ開いた状態にする。すなわち、例えば、処理部80は、流量センサー45において流量を検出してから7秒後〜10秒後の間だけ制御弁44を開いた状態にする。例えば呼気中のNO濃度を求める場合、図15に示すように、呼気を吹き始めてから7秒後〜10秒後の50mL/secである「プラトー部」の呼気を採取して計測するように標準化されている。
第2光強度取得部85は、光検出器50で検出された、大気が曝露されたセンサーチップ30の第3領域30cからのラマン散乱光の強度を取得して第2測定処理を行う。第2測定処理の処理内容は、例えば上述した第1測定処理の処理内容と同じである。センサーチップ30の第3領域30cは、センサーチップ30の有機分子修飾膜を含む表面であって、領域30a,30bと異なる領域である。
第2濃度算出部86は、第2光強度取得部85で行われた第2測定処理の測定結果に基づいて、大気中の標的物質(NO)の濃度を算出する。具体的には、第2濃度算出部86は、第1濃度算出部83と同様に、第2測定処理の測定結果から、フィッティングを行い、ラマン散乱光の飽和強度(予測飽和強度)を算出する。そして、第2濃度算出部86は、大気中のNO濃度を算出する。
呼気濃度算出部87は、第1光強度取得部82で取得されたラマン散乱光の強度(第1濃度算出部83における第1測定処理の測定結果)および第2光強度取得部85で取得されたラマン散乱光の強度(第2濃度算出部86における第2測定処理の測定結果)に基づいて、呼気中の標的物質の濃度を算出する。本実施形態では、第1ガスは、呼気および大気を含む。具体的には、呼気濃度算出部87は、第1濃度算出部83で算出された第1ガス中のNO濃度と、第2濃度算出部86で算出された大気中のNO濃度と、の差から、呼気中のNO濃度を算出する。
物質検出装置200では、第1測定処理の測定結果および第2光強度取得部85で取得されたラマン散乱光の強度に基づいて、呼気中の標的物質の濃度を算出する呼気濃度算出部87を含む。そのため、物質検出装置200では、第1濃度算出部83で算出された第1ガス中のNO濃度と、第2濃度算出部86で算出された大気中のNO濃度と、の差から、正確に呼気中のNO濃度を算出することができる。
2.2. 物質検出方法
次に、第2実施形態に係る物質検出方法について、図面を参照しながら説明する。図16は、第2実施形態に係る物質検出方法を説明するためのフローチャートである。以下では、第2実施形態に係る物質検出方法として、物質検出装置200を用いた検出方法について説明する。以下、第2実施形態に係る物質検出方法において、上述した第1実施形態に係る物質検出方法の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略ないし簡略する。
まず、処理部80は、センサーチップ30に、大気を曝露する処理を行う(S202)。具体的には、処理部80は、操作部70からの操作信号を受けて、制御弁44を開く処理を行い、さらにポンプ41を駆動させる処理を行う。これにより、流路40に大気が流れて、センサーチップ30に、大気を曝露させることができる。流路40における大気の流量は、例えば、1mL/sec以上100mL/sec以下であり、好ましくは50m
L/secである。
次に、レーザー照射処理部81は、大気が曝露されたセンサーチップ30の第3領域30cにレーザー光を照射する処理を行う(S204)。具体的には、レーザー照射処理部81は、ポンプ41を駆動させてから所定時間経過後(例えば5秒〜30秒後)に、遮光フィルター移動部22を制御して遮光フィルター20をレーザー光の光軸上から外す。これにより、第3領域30cは、レーザー光によって照射される。
次に、第2光強度取得部85は、光検出器50で検出された、センサーチップ30の第3領域30cからのラマン散乱光の強度を取得して第2測定処理を行う(S206)。具体的には、第2光強度取得部85は、第3領域30cを照射するタイミングに基づいて、所定の間隔で複数回、ラマン散乱光の強度を取得する。例えば、レーザー照射処理部81は、遮光フィルター移動部22を制御して遮光フィルター20をレーザー光の光軸上から外す処理を終えると同時に、第2光強度取得部85に信号を出力する。第2光強度取得部85は、レーザー照射処理部81からの該信号を受けて、第2測定処理を開始する。
次に、照射領域変更処理部84は、第2測定処理の後に(例えば第2光強度取得部85から第2測定終了の信号を受けて)、遮光フィルター移動部22を制御して遮光フィルター20をレーザー光の光軸上に移動させ、レーザー光を遮光する処理を行う。レーザー光を遮光した後、照射領域変更処理部84は、照射領域変更部32を制御してセンサーチップ30を移動させ、レーザー光の照射領域をセンサーチップ30の第3領域30cから第1領域30aに合わせる処理を行う(S208)。
次に、第2濃度算出部86は、第2光強度取得部85で行われた第2測定処理の測定結果に基づいて、大気中の標的物質(NO)の濃度を算出する(S210)。なお、大気中のNO濃度を算出する処理(S210)は、第2測定処理(S206)の後であって、レーザー光の照射領域を第3領域30cから第1領域30aに合わせる処理(S208)の前に行われてもよい。
次に、センサーチップ30に呼気および大気を含む第1ガスを曝露させる(S212)。具体的には、処理部80は、ユーザーによる操作部70からの操作信号を受けて、制御弁を閉じる処理を行う。次に、ユーザーは、例えばマウスピースを介して、吸引口42から呼気を吹き込む。処理部80は、例えば、流量センサー45において流量を検出してから7秒後〜10秒後の間だけ制御弁44を開いた状態にする。これにより、センサーチップ30に呼気および大気を含む第1ガスを曝露させることができる。
次に、レーザー照射処理部81は、第1ガスが曝露されたセンサーチップ30の第1領域30aにレーザー光を照射する処理を行う(S214)。具体的には、レーザー照射処理部81は、センサーチップ30に第1ガスが曝露させた後、制御弁44を閉じる処理を行ってから所定時間経過後(例えば5秒〜30秒後)に、遮光フィルター移動部22を制御して遮光フィルター20をレーザー光の光軸上から外す。これにより、第1領域30aは、レーザー光によって照射される。
次に行われる処理(S216)〜処理(S220)は、それぞれ、上述した「1.2.
物質検出方法」で説明した処理(S106)〜処理(S110)と同様である。したがって、その説明を省略する。
次に、呼気濃度算出部87は、第1光強度取得部82で取得されたラマン散乱光の強度(第1濃度算出部83における第1測定処理の測定結果)および第2光強度取得部85で取得されたラマン散乱光の強度(第2濃度算出部86における第2測定処理の測定結果)
に基づいて、呼気中の標的物質の濃度を算出する(S222)。具体的には、呼気濃度算出部87は、第1濃度算出部83で算出された第1ガス中のNO濃度と、第2濃度算出部86で算出された大気中のNO濃度と、の差から、呼気中のNO濃度を算出する。そして、処理部80は、表示部72に、呼気中の濃度を表示するための信号を出力し、処理を終了する。
第2実施形態に係る物質検出方法では、「2.1. 物質検出装置」において説明したように、正確に呼気中のNO濃度を算出することができる。
3. 第3実施形態
3.1. 物質検出装置
次に、第3実施形態に係る物質検出装置について、図面を参照しながら説明する。図17は、第3実施形態に係る物質検出装置300を説明するための図である。以下、物質検出装置300において、上述した物質検出装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
物質検出装置300は、図17に示すように、第1減光フィルター24と、第2減光フィルター26と、レンズ移動部5と、を含む点において、上述した物質検出装置100と異なる。さらに、物質検出装置300では、処理部80は、第3光強度取得部88およびレンズ位置決定部89としても機能する点において、上述した物質検出装置100と異なる。
第1減光フィルター24および第2減光フィルター26は、光源10から射出されるレーザー光の強度を小さくすることが可能である。第1減光フィルター24は、第1減光フィルター24を透過したレーザー光の強度が、例えば、0.01mW以上0.1mW以下、好ましくは0.05mWとなるように設定されている。第2減光フィルター26は、第2減光フィルター26を透過したレーザー光の強度が、第1減光フィルター24を透過したレーザー光の強度よりも大きくなるように設定されている。第2減光フィルター26を透過したレーザー光の強度は、例えば、0.1mW以上2mW以下であり、好ましくは0.1mW以上0.5mW以下であり、より好ましくは0.5mWである。第1減光フィルター24を透過したレーザー光は、第2レーザー光としてセンサーチップ30に照射される。
なお、例えば、光源10から射出されるレーザー光の強度(減光フィルター24,26を透過させない強度)が0.1mW以上2mW以下である場合は、第2減光フィルター26は、設けられていなくてもよい。
第1減光フィルター24および第2減光フィルター26の形状は、板状であってもよいし、膜状であってもよい。減光フィルター24,26の材質は、光源10から射出されるレーザー光の強度を小さくすることができれば、特に限定されない。図示の例では、第2減光フィルター26には開口部26aが設けられており、第1減光フィルター24を透過したレーザー光は、開口部26aを通る。
第1減光フィルター24および第2減光フィルター26は、遮光フィルター移動部22に支持されている。遮光フィルター移動部22は、減光フィルター24,26を移動させる。すなわち、遮光フィルター移動部22は、第1減光フィルター24を移動させる第1減光フィルター移動部と機能し、かつ第2減光フィルター26を移動させる第2減光フィルター移動部として機能する。なお、図示はしないが、物質検出装置300は、遮光フィルター移動部22とは別に、第1減光フィルター24を移動させる第1減光フィルター移動部を有し、かつ第2減光フィルター26を移動させる第2減光フィルター移動部を有し
ていてもよい。
レンズ移動部5は、レンズ4を移動させる。図示の例では、レンズ移動部5は、ハーフミラー2からセンサーチップ30に向かうレーザー光の光軸と平行な方向に、レンズ4を移動させる。レンズ移動部5は、例えば、レンズ4を支持する支持部と、該支持部を移動させる駆動部と、を有し、処理部80からの信号を受けて駆動部が駆動することにより支持部が移動して、レンズ4を移動させることができる。レンズ移動部5の駆動部は、例えば、モーターである。レンズ4は、レーザー光をセンサーチップ30に導く。
制御部60は、処理部80からの信号を受けて、レンズ移動部5を制御してレンズ4を移動させる。
第3光強度取得部88は、レンズ移動部5がレンズ4を移動させている状態で、光検出器50で検出された、第1減光フィルター24を透過したレーザー光による第1領域30aからの散乱光の強度を取得する。第3光強度取得部88は、第1領域30aからの有機分子修飾膜134に由来するラマン散乱光を取得してもよいし、有機分子修飾膜134の修飾分子がアニリンに由来する場合は、アニリンに由来する背景放射光(蛍光)を取得してもよい。
レンズ位置決定部89は、第3光強度取得部88で取得された散乱光の強度に基づいて、レンズ4の位置を決定する。具体的には、レンズ位置決定部89は、第3光強度取得部88からの信号を受けて、第3光強度取得部88で取得された光強度が最大となるように、レンズ移動部5を制御してレンズ4を移動させて、レンズ4の位置を決定する。例えば、レンズ4をセンサーチップ30から遠ざける方向に移動させた場合に、第3光強度取得部88で取得された光強度が大きくなると、レンズ位置決定部89は、さらに、レンズ4をセンサーチップ30から遠ざける方向に移動させる処理を行う。そして、レンズ位置決定部89は、第3光強度取得部88で取得された光強度が小さくなると、逆にレンズ4をセンサーチップ30に近づける処理を行う。このようにレンズ位置決定部89は、第3光強度取得部88で取得された光強度が最大となるように、第3光強度取得部88で取得された光強度をフィードバック検知する。
物質検出装置300では、レンズ移動部5がレンズ4を移動させている状態で、第1減光フィルター24を透過した第2レーザー光による第1領域30aからの散乱光の強度を取得する第3光強度取得部88と、第3光強度取得部88で取得された散乱光の強度に基づいて、レンズ4の位置を決定するレンズ位置決定部89と、を含む。このように、物質検出装置300では、第1測定処理を行うために第1領域30aに照射される第1レーザー光よりも、強度が小さい第2レーザー光を用いて、レンズ4の位置を決定することができる。そのため、物質検出装置300では、第1レーザー光を用いてレンズ4の位置を決定する場合に比べて、レーザー光の照射によるセンサーチップ30の劣化を低減させつつ、例えばセンサーチップ30移動によるデフォーカスを修正することができる。
3.2. 物質検出方法
次に、第3実施形態に係る物質検出方法について、図面を参照しながら説明する。図18は、第3実施形態に係る物質検出方法を説明するためのフローチャートである。以下では、第3実施形態に係る物質検出方法として、物質検出装置300を用いた検出方法について説明する。以下、第3実施形態に係る物質検出方法において、上述した第1実施形態に係る物質検出方法の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略ないし簡略する。
まず、レーザー照射処理部81は、センサーチップ30の第1領域30aに第2レーザ
ー光を照射する処理を行う(S302)。具体的には、レーザー照射処理部81は、操作部70からの操作信号を受けて、遮光フィルター移動部22を制御して、遮光フィルター20をレーザー光の光軸上から外し、第1減光フィルター24をレーザー光の光軸上に配置する。これにより、レンズ4を介して、第1領域30aに第1レーザー光よりも強度の小さい第2レーザー光を照射することができる。第1レーザー光は、光源10から射出されたレーザー光であって、第1減光フィルター24を透過しないレーザー光である。
次に、第3光強度取得部88は、レンズ移動部5がレンズ4を移動させている状態で、光検出器50で検出された、第2レーザー光によるセンサーチップ30の第1領域30aからの散乱光の強度を取得する(S304)。
次に、レンズ位置決定部89は、第3光強度取得部88で取得された第1領域30aからの散乱光の強度に基づいて、レンズ4の位置を決定する(S306)。具体的には、レンズ位置決定部89は、第3光強度取得部88からの信号を受けて、第3光強度取得部88で取得された光強度が最大となるように、レンズ移動部5を制御してレンズ4を移動させて、レンズ4の位置を決定する。
次に、処理部80は、センサーチップ30に、第1ガス(例えばNOガス)を曝露する処理を行う(S308)。具体的には、処理部80は、レンズ位置決定部89からの信号を受けて、ポンプ41を駆動させる駆動させる処理を行う。これにより、流路40にNOガスが流れて、センサーチップ30に、NOガスを曝露させることができる。なお、第1ガスを曝露する処理(S308)は、第2レーザー光を照射する処理(S302)の前に行われてもよい。
次に、レーザー照射処理部81は、NOガスが曝露されたセンサーチップ30の第1領域30aにレーザー光(第1レーザー光)を照射する処理を行う(S310)。具体的には、レーザー照射処理部81は、ポンプ41を駆動させてから所定時間経過後(例えば30秒後)に、遮光フィルター移動部22を制御して、第1減光フィルター24をレーザー光の光軸上から外し、第2減光フィルター26をレーザー光の光軸上に配置する。これにより、第1領域30aは、第2レーザー光よりも強度が大きい第1レーザー光によって照射される。第1レーザー光は、レンズ4を介して、第1領域30aを照射する。
次に行われる処理(S312)〜処理(S316)は、それぞれ、上述した「1.1.
物質検出方法」で説明した処理(S106)〜処理(S110)と同様である。したがって、その説明を省略する。
第3実施形態に係る物質検出方法では、「3.1. 物質検出装置」において説明したように、レーザー光の照射によるセンサーチップ30の劣化を低減させつつ、例えばセンサーチップ30移動によるデフォーカスを修正することができる。
4. 第4実施形態
4.1. 物質検出装置
次に、第4実施形態に係る物質検出装置について、図面を参照しながら説明する。図19は、第4実施形態に係る物質検出装置400を説明するための図である。以下、物質検出装置400において、上述した物質検出装置100,200,300の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
物質検出装置400は、図19に示すように、制御弁44と、流量センサー45と、第1減光フィルター24と、第2減光フィルター26と、レンズ移動部5と、を含む点において、上述した物質検出装置100と異なる。さらに、物質検出装置400では、処理部
80は、第2光強度取得部85、第2濃度算出部86、呼気濃度算出部87、第3光強度取得部88、およびレンズ位置決定部89としても機能する点において、上述した物質検出装置100と異なる。本実施形態では、第1ガスは、呼気および大気を含む。
物質検出装置400では、物質検出装置200と同様に、第1濃度算出部83で算出された第1ガス中のNO濃度と、第2濃度算出部86で算出された大気中のNO濃度と、の差から、正確に呼気中のNO濃度を算出することができる。さらに、物質検出装置400では、物質検出装置300と同様に、レーザー光の照射によるセンサーチップ30の劣化を低減することができる。
4.2. 物質検出方法
次に、第4実施形態に係る物質検出方法について、図面を参照しながら説明する。図20は、第4実施形態に係る物質検出方法を説明するためのフローチャートである。以下では、第4実施形態に係る物質検出方法として、物質検出装置400を用いた検出方法について説明する。以下、第4実施形態に係る物質検出方法において、上述した第1,第2,第3実施形態に係る物質検出方法の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略ないし簡略する。
まず、レーザー照射処理部81は、センサーチップ30の第3領域30cに第2レーザー光を照射する処理を行う(S402)。
次に、第3光強度取得部88は、レンズ移動部5がレンズ4を移動させている状態で、第2レーザー光によるセンサーチップ30の第3領域30cからの散乱光の強度を取得する(S404)。
次に、レンズ位置決定部89は、第3光強度取得部88で取得された散乱光の強度に基づいて、レンズ4の位置を決定する(S406)。
次に、処理部80は、センサーチップ30に、大気を曝露する処理を行う(S408)。具体的には、処理部80は、レンズ位置決定部89からの信号を受けて、制御弁44を開く処理を行い、さらにポンプ41を駆動させる処理を行う。
次に、レーザー照射処理部81は、大気に曝露されたセンサーチップ30の第3領域30cにレーザー光(第1レーザー光)L1を照射する処理を行う(S410)。
次に行われる処理(S412)〜処理(S416)は、それぞれ、上述した「2.2.
物質検出方法」で説明した処理(S206)〜処理(S210)と同様である。したがって、その説明を省略する。
次に、レーザー照射処理部81は、センサーチップ30の第1領域30aに第2レーザー光を照射する処理を行う(S418)。具体的には、レーザー照射処理部81は、大気中の標的物質の濃度が算出された後に、遮光フィルター移動部22を制御して、第2減光フィルター26をレーザー光の光軸上から外し、第1減光フィルター24をレーザー光の光軸上に配置する。
次に行われる処理(S420)〜処理(S432)は、それぞれ、上述した「3.2.
物質検出方法」で説明した処理(S304)〜処理(S316)と同様である。したがって、その説明を省略する。
次に行われる処理(S434)は、上述した「2.2. 物質検出方法」で説明した処
理(S222)と同様である。したがって、その説明を省略する。
第4実施形態に係る物質検出方法では、「4.1. 物質検出装置」において説明したように、正確に呼気中のNO濃度を算出することができ、さらに、レーザー光の照射によるセンサーチップ30の劣化を低減させつつ、例えばセンサーチップ30移動によるデフォーカスを修正することができる。
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
本発明に係る物質検出装置および物質検出方法は、NO以外にも、アミン系または硫黄系の官能基を有する化合物に由来する修飾分子を含む有機分子修飾膜を用いて、SERS検出することができる標的物質に広く適用することができる。具体的には、トルエンなどのVOCガスが挙げられる。また、SERS方式以外にも、表面プラズモン共鳴を用いる表面増強赤外吸収分光(SEIRAS)にも適用することができる。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
2…ハーフミラー、4…レンズ、5…レンズ移動部、10…光源、20…遮光フィルター、22…遮光フィルター移動部、24…第1減光フィルター、26…第2減光フィルター、26a…開口部、30…センサーチップ、30a…第1領域、30b…第2領域、30c…第3領域、32…照射領域変更部、40…流路、41…ポンプ、42…吸引口、43…排出口、44…制御弁、45…流量センサー、50…光検出器、52…分光器、54…受光素子、60…制御部、62…収容部、64…外部端子、70…操作部、72…表示部、74…記憶部、75…データベース、76…記憶媒体、80…処理部、81…レーザー照射処理部、82…第1光強度取得部、83…第1濃度算出部、84…照射領域変更処理部、85…第2光強度取得部、86…第2濃度算出部、87…呼気濃度算出部、88…第3光強度取得部、89…レンズ位置決定部、100…物質検出装置、130…基板、132…金属微細構造体、134…有機修飾分子膜、200,300,400…物質検出装置

Claims (13)

  1. 金属微細構造体と前記金属微細構造体を修飾する有機分子修飾膜とを有する表面増強ラマン散乱用のセンサーチップに、第1ガスを曝露する工程と、
    前記第1ガスに曝露された前記センサーチップの第1領域に第1レーザー光を照射する工程と、
    前記第1領域からのラマン散乱光の強度を取得して第1測定を行う工程と、
    前記第1測定を行う工程の後に、前記第1レーザー光を遮光する工程と、
    前記第1レーザー光を遮光する工程の後に、前記第1レーザー光が前記センサーチップを照射する照射領域を前記第1領域から前記センサーチップの前記第1領域とは異なる第2領域に合わせる工程と、
    を含む、物質検出方法。
  2. 請求項1において、
    前記第1レーザー光の照射領域を前記第2領域に合わせる工程では、
    前記センサーチップを移動させる、物質検出方法。
  3. 請求項1または2において、
    前記第1測定を行う工程では、
    前記第1領域を照射するタイミングに基づいて、所定の間隔で複数回、ラマン散乱光の強度を取得する、物質検出方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、
    前記第1ガスは、呼気および大気を含み、
    前記センサーチップに大気を曝露する工程と、
    大気に曝露された前記センサーチップの前記第1領域および前記第2領域と異なる第3領域に前記第1レーザー光を照射する工程と、
    前記第3領域からのラマン散乱光の強度を取得する工程と、
    前記第1測定の測定結果、および取得された前記第3領域からのラマン散乱光の強度に基づいて、呼気中の標的物質の濃度を算出する工程と、
    を含む、物質検出方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、
    前記第1レーザー光を照射する工程の前に、レンズを介して、前記第1領域に前記第1レーザー光よりも強度の小さい第2レーザー光を照射する工程と、
    前記レンズを移動させている状態で、検出された前記第2レーザー光による前記第1領域からの散乱光の強度を取得する工程と、
    取得された前記第1領域からの散乱光の強度に基づいて、前記レンズの位置を決定する工程と、
    を含み、
    前記第1レーザー光を照射する工程では、前記レンズを介して、前記第1領域を照射する、物質検出方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、
    前記有機分子修飾膜は、アミン系または硫黄系の官能基を有する化合物に由来する修飾分子を含み、
    前記第1ガスは、一酸化窒素を含む、物質検出方法。
  7. 金属微細構造体と前記金属微細構造体を修飾する有機分子修飾膜とを有する表面増強ラマン散乱用のセンサーチップと、
    前記センサーチップにレーザー光を照射する光源と、
    前記センサーチップからのラマン散乱光を検出する光検出器と、
    前記レーザー光を遮光可能な遮光フィルターと、
    前記遮光フィルターを移動させる遮光フィルター移動部と、
    前記センサーチップにおける前記レーザー光の照射領域を変更させる照射領域変更部と、
    を含む、物質検出装置。
  8. 請求項7において、
    前記照射領域変更部は、前記センサーチップを移動させて前記レーザー光の照射領域を変更させる、物質検出装置。
  9. 請求項7または8において、
    前記光検出器で検出された、第1ガスが曝露された前記センサーチップの第1領域からのラマン散乱光の強度を取得して第1測定処理を行う第1光強度取得部と、
    前記第1測定処理の後に、前記遮光フィルター移動部を制御して、前記レーザー光を遮光し、前記照射領域変更部を制御して、前記レーザー光の照射領域を前記第1領域から前記センサーチップの前記第1領域と異なる第2領域に合わせる処理を行う照射領域変更処理部と、
    を含む、物質検出装置。
  10. 請求項9において、
    前記第1光強度取得部は、前記第1測定処理において、前記第1領域を照射するタイミングに基づいて、所定の間隔で複数回、ラマン散乱光の強度を取得する、物質検出装置。
  11. 請求項9または10において、
    前記第1ガスは、呼気および大気を含み、
    前記光検出器で検出された、大気に曝露された前記センサーチップの前記第1領域および前記第2領域と異なる第3領域からのラマン散乱光の強度を取得する第2光強度取得部と、
    前記第1測定処理の測定結果および前記第2光強度取得部で取得されたラマン散乱光の強度に基づいて、呼気中の標的物質の濃度を算出する呼気濃度算出部と、
    を含む、物質検出装置。
  12. 請求項9ないし11のいずれか1項において、
    前記レーザー光の強度を小さくすることが可能な減光フィルターと、
    前記減光フィルターを移動させる減光フィルター移動部と、
    前記レーザー光を前記センサーチップに導くレンズと、
    前記レンズを移動させるレンズ移動部と、
    前記レンズ移動部が前記レンズを移動させている状態で、前記光検出器で検出された、前記減光フィルターを透過した前記レーザー光による前記第1領域からの散乱光の強度を取得する第3光強度取得部と、
    前記第3光強度取得部で取得された散乱光の強度に基づいて、前記レンズの位置を決定するレンズ位置決定部と、
    を含む、物質検出装置。
  13. 請求項7ないし12のいずれか1項において、
    前記有機分子修飾膜は、アミン系または硫黄系の官能基を有する化合物に由来する修飾分子を含み、
    前記第1ガスは、一酸化窒素を含む、物質検出装置。
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