JP6326828B2 - センサーユニット複合体、ラマン分光装置、及び電子機器 - Google Patents

センサーユニット複合体、ラマン分光装置、及び電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、センサーユニット複合体、ラマン分光装置、及び電子機器に関する。
近年、低濃度の標的分子を高感度に検出する分光技術の1つとして、局在表面プラズモ共鳴(LSPR)を利用した、表面増強ラマン散乱(SERS:Surface Enhanced Raman Scattering)が注目されている。SERSとは、ナノメートルスケールの構造を持つ金属の表面で増強電場が形成され、当該増強電場によってラマン散乱光が102〜1014倍に増強される現象である。このような金属の表面に標的となる物質が吸着した状態で、レーザー光などの励起光を照射すると、物質(分子)の振動エネルギーの分だけ、励起光の波長から僅かにずれた波長の光(ラマン散乱光)が散乱される。この散乱光を分光処理することにより、物質の種類(分子種)に固有のスペクトル(指紋スペクトル)が得られる。SERSを利用すれば、この指紋スペクトルの位置や形状を高感度で分析することができ、極めて高感度に物質を定性、定量することが可能となる。
このような金属表面を有するセンサーは、高感度な測定を提供できるとともに、非常に小型化することができる。しかし、小型化すると、ユーザーによる取扱いの容易さが損われる場合があり、例えば、特許文献1には、測定用のチップをカセットと称する筐体に複数収納して、ハンドリング性を高める試みが開示されている。
特開2001−330560号公報
一般にSERSに用いられるチップは、金や銀などの貴金属のナノ粒子を配置させた構造に対して、レーザー光をレンズで数μm〜数百μmのスポットに集光させて測定を行うため、センサーチップとした場合には、チップの大きさは、平面的には3mm四方程度で十分である。
また、特に、呼気ガスや皮膚ガスなどの生体ガスを採取して分析する用途においては、チップが常に高湿度環境に曝される。この場合には、水分除去フィルター等を用いてチップへの水分の接触を低減させたとしても、少量の水分子がチップの金属表面に吸着し続ける。そのため、例えば数日間使用するうちに、金属の表面全体が水分子によって覆われ、標的分子の吸着を妨げる場合がある。したがって、係る用途では、より高い頻度でセンサーチップを交換する必要があった。
したがって、ユーザーがどこでも手軽に利用できる小型で高感度の検出装置を実現するためには、このような小さいセンサーチップの交換を容易化する必要がある。
上記特許文献1には、カセットにチップを収容してハンドリング性を高める旨の記載はあるものの、チップの保管や劣化等については何ら開示されていない。また、カセットなるチップとは別の構成を加えることになるため、小型化と取扱いの良さとの両立を必ずしも十分達成しているとは言えなかった。
本発明の幾つかの態様に係る目的の1つは、小型で取扱いが容易なセンサーユニット複合体、これを用いたラマン分光装置、又は電子機器を提供することにある。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するために為されたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
本発明に係るセンサーユニット複合体の一態様は、第1センサーユニット及び第2センサーユニットを含むセンサーユニット複合体であって、前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットは、それぞれ、センサーチップと、前記センサーチップを保持する保持体と、を含み、前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットが隣接して配置された際に、前記第1センサーユニットの保持体及び前記第2センサーユニットの保持体によって区画される収容室が形成され、前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットのいずれか一方の前記センサーチップが、前記収容室内に配置される。
このようなセンサーユニット複合体は、複数のセンサーユニットが隣接して配置されており、1つのセンサーユニットの大きさが小さくても、ユーザーの手によって取扱いが容易なサイズとなっている。また、ユーザーによる取扱いや、保管、保存の際に、センサーチップが、接触等の外乱から保護されるため、高感度な特性を維持することができる。
本発明に係るセンサーユニット複合体において、前記保持体は、基部と前記基部に接続して設けられた筒状部とを有してもよく、前記センサーチップは、前記基部に配置され、前記収容室が、第1センサーユニットの基部、前記第2センサーユニットの基部及び筒状部で形成される際に、前記第1センサーユニットの前記センサーチップが前記収容室に収容されてもよい。
このようなセンサーユニット複合体は、センサーチップが保持体の基部に設けられるため、第1センサーユニットが第2センサーユニットから分離され、収容室が開放された際に、センサーチップがセンサーユニットの端部に配置される。そのためセンサーチップを側面から遮蔽するようなセンサーユニットの部材がなく、センサーチップに対して標的物質を含む流体が側面から接触しやすい。そのためさらに高感度な測定が可能である。
本発明に係るセンサーユニット複合体において、前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットが隣接して配置された際に、前記第1センサーユニットの基部が、前記第2センサーユニットの筒状部の内面と、係合していてもよい。
このようなセンサーユニット複合体は、収容室の形状を適度な強度で維持でき、かつユーザーの手によって第1センサーユニット及び第2センサーユニットを分離しやすい。
本発明に係るセンサーユニット複合体において、前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットが隣接して配置された際に、前記第1センサーユニットの基部が、前記第2センサーユニットの筒状部の内面と、接合していてもよい。
このようなセンサーユニット複合体は、収容室の形状を適度な強度で維持でき、かつユーザーの手によって第1センサーユニット及び第2センサーユニットを分離しやすい。
本発明に係るセンサーユニット複合体において、前記保持体は、前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットが隣接した際に、前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットが並ぶ方向を軸として互いに回転することを制限する、回転制限機構を有してもよい。
このようなセンサーユニット複合体は、各センサーチップの第1センサーユニット及び第2センサーユニットが並ぶ方向の軸周りにおける角度を揃えることができる。これにより、例えば、ラマン分光装置に装着した場合に、センサーチップに対する光源からの励起光の入射角度、センサーチップの光源に対する回転角度を各センサーユニットにおいて、所定の角度に安定して配置することができ、例えば、励起光が偏光光でセンサーチップが異方性のある金属粒子の配列を有する場合などにおいて、適切な配置とすることができる。これにより、係るセンサーユニット複合体をラマン分光装置に装着する場合に、適切に装着するための操作が非常に容易になり、取扱いをさらに簡単化することができる。
本発明に係るセンサーユニット複合体において、前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットが隣接して配置された際に、前記第1センサーユニットの基部が、前記第2センサーユニットの筒状部の内面と、螺合していてもよい。
このようなセンサーユニット複合体は、収容室の形状を適度な強度で維持でき、かつユーザーの手によって第1センサーユニット及び第2センサーユニットを分離しやすい。
本発明に係るセンサーユニット複合体において、前記収容室には、不活性ガスが封入されていてもよい。
センサーチップは、移送、保管中に、水分子等のノイズ分子が吸着することにより、標的分子の吸着が妨げられ特性が劣化する傾向がある。つまり、未使用のセンサーチップは、例えば低湿度管理された状態で気密封止されることが好ましい。このようなセンサーユニット複合体によれば、収容室内に不活性ガスが封入されるため、保管、保存の際に、センサーチップの劣化が抑制され、高感度な特性をより長期間維持することができる。
本発明に係るセンサーユニット複合体の一態様は、第1センサーユニット及び第2センサーユニットを含むセンサーユニット複合体であって、前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットは、それぞれ、基体と前記基体に設けられたセンサー部とを有し、前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットが隣接して配置された際に、前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットのそれぞれの前記基体によって区画される収容室が形成され、前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットのいずれか一方の前記センサー部が、前記収容室内に配置される。
このようなセンサーユニット複合体は、複数のセンサーユニットが隣接して配置されており、1つのセンサーユニットの大きさが小さくても、ユーザーの手によって取扱いが容易なサイズとなっている。また、係るセンサーユニット複合体は、センサー部が収容室内に配置されるため、保管、保存の際に、センサー部の劣化が抑制され、高感度な特性を維持することができる。さらに、ユーザーによる取扱いや、保管、保存の際に、センサー部が、接触等の外乱から保護されるため、高感度な特性を維持することができる。
本発明に係るラマン分光装置の一態様は、上述のセンサーユニット複合体を装着する装着部と、前記センサーユニット複合体に励起光を照射する光源と、前記センサーユニット複合体から放射される光を検出する検出器と、を備える。
このようなラマン分光装置によれば、上述のセンサーユニット複合体が装着されるため、装置の取扱いが容易である。また、センサーチップが収容室内に配置されているため、センサーチップの交換を容易に行うことができる。
本発明に係る電子機器の一態様は、上述のラマン分光装置と、前記検出器からの検出情
報に基づいて健康医療情報を演算する演算部と、前記健康医療情報を記憶する記憶部と、前記健康医療情報を表示する表示部と、を備える。
このような電子機器によれば、微量物質の検出を容易に行うことができ、高精度な健康医療情報を提供することができる。
実施形態に係るセンサーユニット複合体の断面の模式図。 実施形態に係るセンサーユニットを模式的に示す外観図。 実施形態に係るセンサーチップの断面の模式図。 実施形態に係るセンサーチップの平面及び断面の模式図。 変形実施形態に係るセンサーユニット複合体の断面の模式図。 変形実施形態に係るセンサーユニット複合体の断面の模式図。 実施形態に係るセンサーユニット複合体の取扱いを示す模式図。 実施形態に係るセンサーユニット複合体と、装着部との関係を模式的に示す図。 実施形態に係るラマン分光装置の概略図。 実施形態に係る電子機器の模式図。
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
1.センサーユニット複合体
図1は、本実施形態に係るセンサーユニット複合体100の断面の模式図である。図2は、本実施形態に係るセンサーユニット50を3方向からから見た外観図である。
本実施形態に係るセンサーユニット複合体100は、複数のセンサーユニット50を含む。本実施形態に係るセンサーユニット複合体100は、複数のセンサーユニット50が隣接して配置されている。換言すると、本実施形態に係るセンサーユニット複合体100は、第1センサーユニット51及び第2センサーユニット52が隣接して配置されている。
本実施形態のセンサーユニット複合体100が有するセンサーユニット50の数は、複数であれば限定されないため、本明細書では、図1(b)に示すように、説明の便宜のため、センサーユニット複合体100の複数のセンサーユニット50のうちの2つのセンサーユニット50に対して、第1センサーユニット51及び第2センサーユニット52と序数及び符号を付して説明する場合がある。なお、このような序数を付す場合、センサーユニット複合体100における2つのセンサーユニット50の選び方は任意であり、いずれのセンサーユニット50を選んだとしても、両者を隣接させることができ、第1センサーユニット51及び第2センサーユニット52に関するそれぞれの説明は、センサーユニット50に関する説明と同様である。
1.1.センサーユニット
本実施形態のセンサーユニット50は、センサーチップ10と、保持体20と、を含む。複数のセンサーユニット50は、互いに異なる構造のセンサーチップ10を含んでもよいし、互いに同じ構造のセンサーチップ10を含んでもよい。また、複数のセンサーユニット50は、互いに異なる構造の保持体20を含んでもよいし、互いに同じ構造の保持体
20を含んでもよい。
1.1.1.センサーチップ
センサーチップは、標的物質が吸着して励起光が照射される表面に、表面プラズモン共鳴(SPR:Surface Plasmon Resonance)を発生することができる限り特に限定されない。このような表面の例としては、金属のナノ粒子が、ランダムに又は規則的に配置された表面であり、当該表面に標的物質が吸着した状態で、励起光を照射すると、標的物質の振動エネルギーの分だけ、励起光の波長からずれた波長の光(ラマン散乱光)が散乱される態様が挙げられる。係る散乱は、表面増強ラマン散乱(SERS:Surface Enhanced Raman Scattering)であり、ラマン散乱光が102〜1014倍に増強されている。そしてこのSERS光を分光処理することにより、標的物質の種類(分子種)に固有のスペクトル(指紋スペクトル)を高感度で得ることができる。
以下、センサーチップの一実施形態として、表面に金属微細構造7の一例としての金属粒子が配置されたセンサーチップ10について説明する。図3は、センサーチップ10の断面の模式図である。図4は、センサーチップ10の2つの態様を平面的に見た(金属層2の厚さ方向から見た)図及びそれらの断面図である。図4(a−1)のI−I線の断面が図4(a−2)に、図4(b−1)のII−II線の断面が図4(b−2)にそれぞれ相当する。本実施形態のセンサーチップ10は、金属層2と、誘電体層4と、金属微細構造層6と、を含む。
1.1.1.1.金属層
本実施形態のセンサーチップ10は、金属層2を有する。金属層2は、光を透過しない金属の表面を提供するものであれば、特に限定されず、例えばフィルム、板、層又は膜の形状とすることができる。金属層2は、例えば基板1の上に設けられてもよい。この場合の基板1としては、特に限定されないが、金属層2に励起される伝搬型表面プラズモンに影響を与えにくいものが好ましい。基板1としては、例えば、ガラス基板、シリコン基板、樹脂基板などが挙げられる。基板1の金属層2が設けられる面の形状も特に限定されない。金属層2の表面に所定の構造を形成する場合にはその構造に対応する表面を有してもよいし、金属層2の表面を平面とする場合には、対応する部分の表面を平面としてもよい。図3の例では、基板1の表面(平面)の上に層状の金属層2が設けられている。
本明細書では、センサーチップ10において、金属層2の厚さ方向を、厚み方向、高さ方向等と称する場合がある。本実施形態では、金属層2の厚さ方向とは、後述の誘電体層4及び金属微細構造層6の厚さ方向と一致している。また、金属層2が基板1の表面に設けられる場合には、基板1の表面の法線方向を厚さ方向、厚み方向又は高さ方向と称する場合がある。さらに、基板1からみて、金属層2側の方向を上、又は上方と表現し、その逆方向を下、又は下方と表現する場合がある。
また、本明細書において、例えば、「部材Aの上に部材Bが設けられる」との表現は、部材Aの上に接して部材Bが設けられる場合と、部材Aの上に他の部材又は空間を介して部材Bが配置される場合と、を含む意味である。
金属層2は、例えば、蒸着、スパッタ、鋳造、機械加工等の手法により形成することができる。金属層2が薄膜状に基板1の上に設けられる場合には、基板1の上面全体に設けられてもよいし基板1の一部に設けられてもよい。金属層2の厚さは、特に限定されず、例えば、10nm以上1mm以下、好ましくは20nm以上100μm以下、より好ましくは30nm以上1μm以下とすることができる。
金属層2は、入射光(励起光)により与えられる電場と、その電場によって誘起される分極とが逆位相で振動するような電場が存在しうる金属、すなわち、特定の電場が与えられた場合に、誘電関数の実数部が負の値を有し(負の誘電率を有し)、虚数部の誘電率が実数部の誘電率の絶対値よりも小さい誘電率を有することのできる金属によって構成されることが好ましい。可視光領域におけるこのような誘電率を有しうる金属の例としては、銀、金、アルミニウム、銅、白金、及びそれらの合金等を挙げることができる。また、金属層2の表面(厚さ方向の端面)は、特定の結晶面であってもなくてもよい。また、金属層2は、平面視において、誘電体層4の外側まで形成されてもよい。
金属層2は、センサーチップ10において伝搬型表面プラズモン(PSP)を発生させる機能を有してもよい。特定の条件下では、金属層2に光が入射することにより、金属層2の表面(厚さ方向の端面)近傍に伝搬型表面プラズモンが発生する。本明細書では、金属層2の表面付近の電荷の振動と電磁波とが結合した振動の量子を、表面プラズモン・ポラリトン(SPP:Surface Plasmon Plariton)と称することがある。係る金属層2に伝搬型表面プラズモンを発生させる場合には、後述の金属微細構造層6に発生する局在型表面プラズモン(LSP)と相互作用させてもよい。
1.1.1.2.誘電体層
本実施形態のセンサーチップ10は、金属層2と金属微細構造層6(金属微細構造7)とを電気的に隔てる誘電体層4を有する。誘電体層4は、図3に示すように、金属層2の上に設けられる。これにより、金属層2と金属微細構造層6内に含まれる金属微細構造7とを隔てることができる。誘電体層4は、フィルム、層又は膜の形状を有することができる。
誘電体層4は、正の誘電率を有すればよく、例えば、SiO2、Al23、TiO2、高分子、ITO(Indium Tin Oxide)などで形成することができる。また誘電体層4は、材質の互いに異なる複数の層から構成されてもよい。これらのうち、誘電体層4の材質としては、SiO2であることがより好ましい。このようにすれば、400nm以上の波長の入射光(励起光)を用いて、試料を測定する際に、入射光(励起光)及びラマン散乱光の両者を増強しやすくすることができる。
誘電体層4の厚さは、センサーチップ10に照射される特定の波長の入射光(励起光)を入射した際のラマン散乱光の波長等を考慮して設計される。誘電体層4は、例えば、蒸着、スパッタ、CVD、各種コーティング等の手法により形成することができる。誘電体層4は、金属層2の表面の全面に設けられてもよいし金属層2の表面の一部に設けられてもよい。誘電体層4は、少なくとも金属微細構造層6の下に設けられ、さらに、金属微細構造層6の存在しない位置にも設けられてもよい。
誘電体層4の厚さは、特に限定されず、例えば、10nm以上2000nm以下、好ましくは20nm以上500nm以下、より好ましくは20nm以上300nm以下とすることができる。誘電体層4内(平面方向:誘電体層4と平行な方向)には光を伝搬させることができる。また、誘電体層4は、誘電体層4と金属層2との界面近傍に発生する伝搬型表面プラズモン(PSP)を、誘電体層4内(平面方向)で伝搬させることができる。また、金属微細構造層6を1つの層とみなす場合には、金属層2及び金属微細構造層6によって、両端で光が反射される構造の共振器とみなすことができ、誘電体層4は、その共振器の光路として機能することができる。このような共振器では、入射光(励起光)と反射光との重ね合わせを起すことができる。誘電体層4の厚さは、入射光(励起光)と反射光との重ね合わせにより生じる定在波の腹が、金属微細構造層6の厚さ方向の中央付近となるように設定されることにより、金属微細構造層6に生じるLSPの強度をさらに高めることができる。このような点を考慮して誘電体層4の厚さを設定することもでき、この
場合には、例えば、入射光(励起光)の波長が633nmのときに誘電体層4の厚さを230nmとすることが挙げられるが、誘電体層4の厚さはこれに限定されない。
1.1.1.3.金属微細構造層
金属微細構造層6は、誘電体層4の上に設けられる。平面視において、金属微細構造層6は、誘電体層4が形成された領域内の一部又は全部に形成される。金属微細構造層6は、金属微細構造7を含む。図示の例では、金属微細構造7は、粒子状の構造(金属粒子)となっているが、金属微細構造7は、このような態様に限定されない。金属微細構造層6に含まれる金属微細構造7の数、大きさ(寸法)、形状、配列等については、特に限定されない。また、金属微細構造層6は、金属微細構造7以外に気体(空間)、誘電体等を含んでもよい。
金属微細構造層6は、誘電体層4の上面から、金属微細構造7の誘電体層4から離れた側の上端に接する面との間の部分と定義する。例えば、金属微細構造層6の上面及び下面は、金属微細構造層6に金属微細構造7と気体(空間)が含まれている場合には、仮想的な面となり、金属微細構造層6には、金属微細構造7の側方に配置された気体(空間)も含まれるものとする。
金属微細構造層6の平面的な形状は、特に限定されず、矩形、多角形、円形、楕円形等、任意の形状とすることができる。また、金属微細構造層6の平面的な形状は、入射光(励起光)の照射領域の形状と相似的な形状とすると、入射光(励起光)のエネルギーをより効率的に電場増強に充てることができる場合がある。
金属微細構造層6に含まれる金属微細構造7は、入射光(励起光)の照射により、局在型表面プラズモンを発生することができれば、その数、大きさ(寸法)、形状、配列等について、特に限定されない。図3は、金属微細構造層6に含まれる金属微細構造7の一例を粒子状の微細構造(金属粒子)として示している。また、図4(a−1)、(a−2)に示す例では、金属微細構造層6は、金属微細構造7が、平面視において、所定の方向に所定のピッチで複数並んだストライプ状となっている。すなわち、この例では金属微細構造層6は、金属微細構造7が、平面視において、グレーティング状(縞状)に配列されている。さらに図4(b−1)、(b−2)に示す例では、金属微細構造層6は、金属微細構造7が、平面視において、所定の方向に所定のピッチで複数並んだ金属微細構造列を有し、かつ、金属微細構造列が、前記所定の方向と交差する方向(図では直交方向)に、所定のピッチで複数並んだ構造を有している。すなわち、この例では金属微細構造層6は、金属微細構造7が、平面視において、格子状に配列されている。
金属微細構造層6が、粒子又はストライプ状の金属微細構造7で構成される場合、金属微細構造7の数は、複数であればよく、好ましくは10個以上、より好ましくは100個以上である。なお、図4の例では、同一形状の金属微細構造7が設けられているが、異なる形状の金属微細構造7が設けられてもよく、例えば、ストライプ状の金属微細構造7及び粒子状の金属微細構造7が混在してもよい。
金属微細構造7は、誘電体層4の存在により、金属層2から厚さ方向に離間して設けられる。金属微細構造7は、金属層2の上に誘電体層4を介して配置される。図3の例では、金属層2の上に誘電体層4が設けられ、その上に金属微細構造7が形成されているが、誘電体層4は層状でなくても、金属層2と金属微細構造7とが厚さ方向で離間して配置されていればよい。さらに、図示しないが、誘電体層4の上に金属微細構造7を配置する場合には、密着層を介してもよい。密着層の材質としては、金、銅、アルミニウム、パラジウム、ニッケル、白金、モリブデン、クロム、チタン、又はこれらの合金若しくは複合体、又は酸化チタン、酸化タングステンなどを挙げることができる。
金属微細構造7の形状は、特に限定されず、例えば、粒子状の構造である場合には、金属層2又は誘電体層4の厚さ方向に投影した場合に(厚さ方向からの平面視において)円形、楕円形、多角形、不定形又はそれらを組合わせた形であることができ、厚さ方向に直交する方向に投影した場合にも円形、楕円形、多角形、不定形又はそれらを組合わせた形状であることができる。図3の例では金属微細構造7は、誘電体層4の厚さ方向に中心軸を有する円柱状の形状で描かれているが、金属微細構造7の形状はこれに限定されず、例えば、角柱状、楕円柱状、半球状、球状、錐状、錐台状等であってもよい。
金属微細構造7の高さ方向(誘電体層4の厚さ方向)の大きさTは、高さ方向に垂直な平面によって金属微細構造7を切ることができる区間の長さを指し、1nm以上300nm以下とすることができる。また、金属微細構造7の高さ方向に直交する第1方向の大きさは、第1方向に垂直な平面によって金属微細構造7を切ることができる区間の長さを指し、5nm以上300nm以下とすることができる。例えば、金属微細構造7の形状が高さ方向を中心軸とする円柱である場合には、金属微細構造7の高さ方向の大きさ(円柱の高さ)は、1nm以上300nm以下、好ましくは2nm以上100nm以下、より好ましくは3nm以上50nm以下、さらに好ましくは4nm以上40nm以下とすることができる。また金属微細構造7の形状が高さ方向を中心軸とする円柱である場合には、金属微細構造7の大きさ(円柱底面の直径)は、10nm以上300nm以下、好ましくは20nm以上200nm以下、より好ましくは25nm以上180nm以下としてもよい。
金属微細構造7の形状、材質は、入射光(励起光)の照射によって、局在型表面プラズモン(LSP)を生じうる限り任意である。可視光付近の光によって局在型表面プラズモンを生じうる材質としては、金、銀、アルミニウム、銅、白金、パラジウム、ニッケル又はそれらの合金を挙げることができる。これらの中でも、金属微細構造7の材質としては、Au又はAgであることがより好ましい。このような材質を選ぶことにより、より強いLSPが得られ、素子全体の電場増強度を強めることができる。
金属微細構造7は、例えば、スパッタ、蒸着等によって薄膜を形成した後にパターニングを行う方法、マイクロコンタクトプリント法、ナノインプリント法などによって形成することができる。また、金属微細構造7は、基板上に塗布したレジストを電子線描画等により感光させ、スパッタ、蒸着等によって金属薄膜を成膜した後にレジストを除去してパターニングを行うリソグラフィー法などによって形成することができる。また、金属微細構造7は、コロイド化学的手法によって形成することができ、これを適宜の手法によって誘電体層4上に配置してもよい。
さらに、金属微細構造7は、干渉露光法によって形成することもできる。すなわち、パターン形成のための露光を、レーザー光の干渉縞を利用して行うことができる。また、この方法によれば、多重露光や多光束露光が可能であり、周期的なパターンを有する金属微細構造7を非常に容易に形成することができる。例えば、縞状のパターンを形成する場合には、レーザー光の干渉縞をレジスト等に露光することにより形成することができる。また、二次元格子状のパターンを形成する場合には、レーザー光の干渉縞を交差するように、同時に又は回分的にレジスト等に露光することにより形成することができる。係る方法は、電子線描画に比較して装置構成を小規模にすることができ、かつ、必要に応じて多数のセンサーチップ10をより効率的に製造することができる。
金属微細構造7は、本実施形態のセンサーチップ10において局在型表面プラズモン(LSP)を発生させる機能を有している。金属微細構造7に、特定の条件で入射光(励起光)を照射することにより、金属微細構造7の周辺に局在型表面プラズモンを発生させることができる。金属微細構造7に発生した局在型表面プラズモンが、金属層2と誘電体層
4との界面近傍に発生する伝搬型表面プラズモンと相互作用できるように入射光(励起光)の波長、誘電体層4の厚さ、金属微細構造7の配列等を設定してもよい。
センサーチップ10には、金属微細構造層6側から入射光(励起光)が照射される。そして、入射光(励起光)は、金属微細構造層6、誘電体層4、及び金属層2と、回折、屈折、反射等の各種の相互作用をして入射光(励起光)の照射された領域及びその近傍にて、プラズモン共鳴を生じ、高い電場増強効果を示すことができる。
以上例示したセンサーチップ10では、入射光(励起光)の照射により、金属微細構造層6の金属微細構造7の近傍に、非常に大きい増強電場が形成される。したがって、センサーチップ10の金属微細構造層6の金属微細構造7に標的物質を吸着(付着、接触)させた状態で、入射光(励起光)を照射することにより、入射光(励起光)及び標的物質によるラマン散乱光の両者を大幅に増幅することができる。
また、係るセンサーチップ10は、センサーユニット50の保持体20によって保持され、センサーユニット50が複数連ねられたセンサーユニット複合体100として、例えばラマン分光装置に用いられる。このような場合には、センサーユニット50及び試料の流路は、試料中の標的物質がセンサーチップ10の金属微細構造層6の金属微細構造7に吸着(付着、接触)しやすいように配置されることが好ましい。
1.1.2.保持体
保持体20は、センサーチップ10を保持する機能を有する。センサーユニット複合体100には、複数のセンサーユニット50が含まれ、各センサーユニット50に保持体20が含まれる。複数の保持体20は、それぞれ、他の保持体20と隣接して配置されることができる。そして、2つの保持体20が、隣接して配置された場合には、該2つの保持体20によって区画される収容室22が形成される。この場合、収容室22には、一方のセンサーユニットの保持体20によって保持されたセンサーチップ10が収容される。
図1、2に示すように、保持体20は、隣接して配置されることにより、収容室22を形成することができる。図示の例では、保持体20は、基部24と、基部24に一体的に接続された筒状部26からなっている。そして、一方の保持体20の基部24と、他方の保持体20の筒状部26とが勘合するように隣接され、一方の保持体20の基部24と、他方の保持体20の筒状部26とによって区画された収容室22が形成されている。また、このような2つの保持体20が隣接する方向に延びるように、他の複数の保持体20が隣接して、一列に並ぶことによって、センサーユニット複合体100が形成されている。
図1、2は一例を示すものであって、保持体20の形状は、上記機能を有する限り何ら限定されない。上記機能を有すれば、少なくともユーザーによる取扱いや、保管、保存の際に、センサーチップ10を、接触等の外乱から保護することができる。また、複数のセンサーユニット50が隣接して配置され、1つのセンサーユニット50の大きさが小さくても、ユーザーの手による取扱いが容易なサイズとすることができる。
保持体20の形状は、隣合う保持体20と係合(契合)するような形状であることがより好ましい。すなわち、2つの保持体20が隣接して配置された際に、両者の間に隙間がないように連結される(繋げられる)(係合(契合))ことがより好ましい。このようにすれば、形成される収容室22の気密性を高めることができ、センサーチップ10に水分等が吸着することを抑える効果を高めることができる。また、2つの保持体20の連結を、より確実に行うことができ、センサーユニット複合体100として、収容室22を適度な強度で維持でき、かつユーザーの手によって2つの保持体20を分離させやすくすることができる。
また、同様の観点から、例えば、図5に示すように、保持体20は、隣合う保持体20と螺合できる形状であってもよい。図5及び図6は、それぞれ変形実施形態に係るセンサーユニット複合体101、センサーユニット複合体102を模式的に示す図である。ここで、螺合とは、ねじ機構25により連結されることであり、ねじ山やねじピッチの態様については特に限定されない。保持体20が、隣合う保持体20と螺合できる形状であると、2つの保持体20の連結をより確実に行うことができ、かつ、センサーユニット複合体101として、収容室22を適度な強度で維持でき、かつユーザーの手によって2つの保持体20を分離させやすくすることができる。
さらに、例えば、図6に示すように、保持体20は、隣合う保持体20と接着剤27によって接合されていてもよい。接着剤27は、特に限定されず、また、接着剤27が配置される位置や、接着剤27の塗布方法についても、何ら限定されない。接着剤27は、ユーザーの手によって2つの保持体20を分離させ得る程度の接着力とする。このようにすれば、2つの保持体20の連結をより確実に行うことができ、かつ、センサーユニット複合体102として、収容室22を適度な強度で維持でき、かつユーザーの手によって2つの保持体20を分離させやすくすることができる。
さらに、図示しないが、2つの保持体20の連結は、適宜のパッキン(ガスケット)、Oリング等の部材を含んでなされてもよい。さらに、2つの保持体20の連結は、連結を補助する機構(例えば、ツメとその掛り、クリックストップ機構、保持体20を内部に整列させる筒など)を適宜含んでなされてもよい。
ところで、図1、2、5、6に示す例では、保持体20は、いずれも、基部24が、隣合う保持体20の筒状部26の内側となるように連結されている。連結される2つのセンサーユニット50に着目して換言すると、センサーユニット複合体100において、第1センサーユニット51及び第2センサーユニット52が隣接して配置された際に、第1センサーユニット51の基部24が、第2センサーユニット52の筒状部26の内面と、接して配置されている。そして、センサーチップ10が、第1センサーユニット51の保持体20の基部24に配置され、収容室22が、第1センサーユニット51の基部24、第2センサーユニット52の基部24及び第2センサーユニット52の筒状部26で形成されている。
このような構成とすることにより、2つの保持体20を分離した際に、センサーチップ10が、センサーユニット50の先端部分に配置されることになる。センサーチップ10が、センサーユニット50の先端部分に配置されるので、センサーユニット複合体100とした場合でも、センサーユニット複合体100の先端部分に位置されることになる。これにより、露出されたセンサーチップ10を側面から遮蔽するようなセンサーユニット50の部材をなくすることができるため、当該センサーチップ10に対して標的物質を含む流体をより接触しやすくすることができる。
本実施形態のセンサーユニット50は、基部24及び筒状部26を有するが、基部24及び筒状部26の形状は、上記例示している形状に限定されない。基部24及び筒状部26は、一体的であっても別体であってもよい。また、基部24は、上記の例では略円盤状の形状を有するが、例えば、平面的に見て多角形形状であってもよいし、側面からみて凹凸形状を有してもよい(基部24が板状である場合には、当該板の厚さが部分的に異なってもよい。)。基部24にはセンサーチップ10が配置されるが、その配置される位置も特に限定されない。ただし、上記の通り、筒状部26の構造を考慮して、センサーチップ10が、センサーユニット50の先端部分に配置されるような、基部24の位置に配置されることが好ましい。
筒状部26は、上記の例では、円筒状の形状を有しているが、これに限定されず、例えば、筒の断面形状が多角形であってもよい。また、上記の例では、筒状部26の中心軸が、基部24の厚み方向と平行になっているが、傾斜していてもよい。すなわち、筒状部26は、側面からみた場合に、上記例のように矩形形状であってもよいし、平行四辺形形状の側面を有してもよい。なお、筒状部26の中心軸が、基部24の厚み方向に対して傾斜して形成される場合でも、センサーチップ10を、側面から遮蔽するようなセンサーユニット50の部材がないような配置を実現することができる。
さらに、上記の例では、保持体20は基部24及び筒状部26によって形成されているが、保持体20は、センサーチップ10の基板1又は金属層2と兼用されてもよい。保持体20が、センサーチップ10の基板1又は金属層2と兼用される場合には、センサーユニット50は、基体と基体に設けられたセンサー部とを有する構成とみることができる。すなわち、この場合は、基体が、保持体20と同様の作用・機能を有し、センサー部が、センサーチップ10と同様の作用・機能を有することとなる。したがって、この場合には、本明細書にて、センサーチップ10を、基板1又は金属層2が基体であり、センサー部が基体に設けられるとした上で、センサー部と読替え、保持体20を、基体と読替えることにより説明することができる。
なお、このような態様は、複数のセンサーユニット50のうちの2つに着目して換言すると、第1センサーユニット51及び第2センサーユニット52が、それぞれ、基体と基体に設けられたセンサー部とを有し、第1センサーユニット51及び第2センサーユニット52が隣接して配置された際に、第1センサーユニット51及び第2センサーユニット52のそれぞれの基体によって区画される収容室22が形成され、第1センサーユニット51及び第2センサーユニット52のいずれか一方のセンサー部が、収容室22内に配置される、と言うことができる。
保持体20の材質は、特に限定されず、高分子、金属、セラミックスなど適宜の材質とすることができる。なお、保持体20がセンサーチップ10の基板1を兼ねる構成の場合には、ガラス、シリコン、高分子等で形成されることができ、保持体20がセンサーチップ10の金属層2を兼ねる構成の場合には、銀、金、アルミニウム、銅、白金、及びそれらの合金等とすることができる。
センサーユニット複合体100は、上述のセンサーユニットが複数隣接して配置されて構成される。したがって、1つのセンサーユニット50の大きさが小さくても、ユーザーの手によって取扱いが容易なサイズとなっている。また、係るセンサーユニット複合体100は、センサーチップ10が収容室内に配置されるため、保管、保存の際に、センサーチップ10の劣化が抑制され、高感度な特性を維持することができる。さらに、ユーザーによる取扱いや、保管、保存の際に、センサーチップ10が、接触等の外乱から保護されるため、高感度な特性を維持することができる。
1.2.収容室
本実施形態のセンサーユニット複合体100は、上述のセンサーユニット50が複数、隣接して配置されており、隣合うセンサーユニット50の間に、収容室22が形成される。収容室22は、これを形成する2つのセンサーユニット50が分離されることにより開放され、収容されていたセンサーチップ10が露出される。
収容室22の形状、容積等は、特に限定されない。収容室22の容積は、例えば、20mm3以上20000mm3以下、好ましくは25mm3以上3000mm3以下とすることができる。収容室22は、センサーチップ10を収容し、センサーチップ10に対する外
気の接触を抑制し、また、外部の部材や大気が接触しにくくする機能を有する。
収容室22は、気密性を有することが好ましい。収容室22の気密性を高めることにより、収容されたセンサーチップ10への大気の接触をより抑制することができるため、センサーチップ10の保存性を向上させることができる。
収容室22には、不活性ガスが封入されてもよい。ここでの不活性ガスとは、センサーチップ10に接触しても、センサーチップ10の構造変化を起さないガス、吸着分子を生じにくいガス、吸着しても容易に脱離する分子を含むガス等を指す。具体的な不活性ガスとしては、アルゴン、ネオン等の希ガス、窒素、二酸化炭素などが挙げられ、空気であっても、十分に乾燥されていればよい。センサーチップ10の金属微細構造7に水分子が付着すると、標的物質の付着(吸着)が阻害される場合があるため、収容室22が封止された場合に、収容室22内の水分量は少ないほどよく、例えば、収容室22内の露点温度は、3℃以下が好ましい。収容室22に不活性ガスを導入する場合においても、収容室22内の露点温度は、3℃以下が好ましい。
収容室22に不活性ガスを導入する方法としては、例えば、個々の複数のセンサーユニット50を、露点管理された不活性ガスのグローブボックス中で連結(隣接して配置)させることが挙げられる。これにより、不活性ガスが封入された収容室22を形成することができる。
収容室22内に不活性ガスが封入されると、センサーユニット複合体100の保管、保存の際に、センサーチップ10の劣化がさらに抑制され、高感度な特性をより長期間維持することができる。
1.3.センサーチップの配置
センサーチップ10は、保持体20に保持され、センサーユニット50を構成する。そして、複数のセンサーユニット50が隣接して配置されてセンサーユニット複合体100が形成された場合には、端部に位置するセンサーユニット50のセンサーチップ10以外のセンサーチップ10は、収容室22に収容される。
センサーチップ10が保持される位置は、特に限定されないが、1つのセンサーユニット50を見た場合に、センサーユニット50の部材(保持体20等)が、センサーチップ10を遮蔽しない位置に保持されることが好ましい。すなわち、センサーチップ10の金属微細構造層6が、センサーユニット50の端部に配置され、金属微細構造層6の形成された面を含む仮想的な平面が、センサーユニット50を切断しないように保持されることが好ましい。
センサーチップ10が、このように保持されると、センサーチップ10を側面から遮蔽するようなセンサーユニット50の部材がなくなるため、センサーチップ10に対して標的物質を含む流体を側面から接触しやすくすることができる。
本実施形態のセンサーユニット50では、センサーチップ10が、センサーユニット50の先端部分に配置されるので、センサーユニット複合体100の先端にあって、センサーチップ10が露出されているセンサーユニット50を取外すことにより、隣のセンサーユニット50のセンサーチップ10が、順にセンサーユニット複合体100の先端部分に位置されることになる。これにより、露出されたセンサーチップ10を側面から遮蔽するようなセンサーユニット50の部材をなくすることができるため、当該センサーチップ10に対して標的物質を含む流体をより接触しやすくすることができる。
1.4.その他の構成
1.4.1.回転制限機構
本実施形態のセンサーユニット複合体100は、センサーユニット50の保持体20に、回転制限機構28を有してもよい(図2参照)。回転制限機構28は、隣合うセンサーユニット50が並ぶ方向を軸として互いに回転することを制限する機能を有する。隣合う2つのセンサーユニット50に着目して換言すると、保持体20は、第1センサーユニット51及び第2センサーユニット52が隣接した際に、第1センサーユニット51及び第2センサーユニット52が並ぶ方向を軸として互いに回転することを制限する、回転制限機構28を有してもよい。
回転制限機構28は、上記機能を有する限り、任意に構成することができる。図2に示す例では、回転制限機構28は、基部24及び筒状部26を平面視した場合に、両者が円の一部を弦によって切り欠いた形状(弦弧形状)となっている。このような回転制限機構28は、2つの保持体20を隣接して配置する場合に、接続できる角度が制限され、これにより、2つの保持体20に保持されたセンサーチップ10の、隣合うセンサーユニット50が並ぶ方向の軸周りの角度を揃えることができる。
また、回転制限機構28は、センサーユニット複合体100を、ラマン分光装置等に装着する際のガイドとして機能してもよい。すなわち、ラマン分光装置等の装着部に、センサーユニット複合体100を装着する際の、センサーユニット複合体100の長手方向に沿う軸周りの角度を制限する機能を有してもよい。
回転制限機構28は、弦弧形状を利用する機構に限定されず、図示しないが、例えば、筒状部26の外側に向って突出する突部(タブ状の突起)、筒状部26に形成された溝、切り欠き、及びそれらを組合わせた機構としてもよい。さらに、回転制限機構28は、構造的に角度を制限する以外にも、例えば、筒状部26に対して着色等を施して、ユーザー又は組立て作業者が角度を調節することが容易となるようにして2つのセンサーユニット50を所定の角度で隣接して配置できるようにしてもよい。なお、2つのセンサーユニット50が、螺合される態様である場合には、回転制限機構28として、例えば、回転を制限する突起や、回転位置を合わせるための目印等を適宜採用することができる。
保持体20が、回転制限機構28を有する場合には、センサーユニット複合体100としたときに、各センサーチップ10の第1センサーユニット51及び第2センサーユニット52が並ぶ方向の軸周りにおける角度を揃えることができる。これにより、例えば、ラマン分光装置にセンサーユニット複合体100を装着した場合に、センサーチップ10に対する光源からの励起光の入射角度、センサーチップ10の光源に対する回転角度を各センサーユニット50において、所定の角度に安定して配置することができる。また、例えば、励起光が偏光光である場合でセンサーチップの金属微細構造の配置が異方性を有する場合などにおいて、所定の角度に適切に配置することができる。これにより、係るセンサーユニット複合体100をラマン分光装置に装着する場合に、適切に装着するための調整操作が非常に容易となり、センサーユニット複合体100すなわちセンサーチップ10の取扱いをさらに簡単化することができる。
1.4.2.キャップ
本実施形態のセンサーユニット複合体100は、キャップを含んでもよい。キャップは、センサーユニット複合体100を構成するセンサーユニット50のうち、センサーチップ10が露出する側の端のセンサーユニット50に対して被せられてもよい。キャップは、センサーユニット50を構成する保持体20と同一の構造を有してもよい。すなわち、キャップは、上述のセンサーユニット50からセンサーチップ10を欠いたものとしてもよい。キャップが保持体20と同一の構造である場合には、キャップを一端側から外した
後、他端側に装着することができる。センサーユニット複合体100が、キャップを有することにより、露出するセンサーチップ10をなくすることができ、安定に保管、輸送を行うことができる。
1.5.センサーユニット複合体の取扱い
図1に示すように、センサーユニット複合体100は、複数のセンサーユニット50から構成され、各センサーユニット50は、直線状に一列に並んで配置される。図7は、センサーユニット複合体100の取扱いを模式的に示す図である。図1の例では、センサーユニット複合体100は、5つのセンサーユニット50から構成されており、一端に位置するセンサーユニット50のセンサーチップ10が露出されている。露出しているセンサーチップ10が、分析等に供され使用済となった場合には、新たなセンサーチップ10をセンサーユニット複合体100の一端側に露出させる必要がある。
本実施形態のセンサーユニット複合体100は、連結されたセンサーユニット50のいずれかの箇所を分離することにより、新しいセンサーチップ10を露出させることができる。また、使用済のセンサーチップ10が保持されたセンサーユニット50(この例では、一端側に位置している。)を分離することにより、新しいセンサーチップ10を露出させてもよい。したがって、本実施形態のセンサーユニット複合体100によれば、1つのセンサーユニット50の大きさが小さくても、ユーザーの手によって容易に新しいセンサーチップ10を使用可能な状態にすることができる。
また、図7は、本実施形態に係るセンサーユニット複合体100の取扱いを示す模式図である。本実施形態のセンサーユニット複合体100を、複数の同一形状のセンサーユニット50から構成すれば、図7(a)に示すように、取外した一端側の使用済センサーユニット50aを、他端側に順次隣接して配置することができる(図7(b)、(c)参照)。これにより、新しいセンサーチップ10を露出させた場合でも、センサーユニット複合体100のサイズ(大きさ)が維持されるため、取扱いの容易さを良好に維持することができる。
図8は、本実施形態に係るセンサーユニット複合体100と、分析装置等の装着部150との関係を模式的に示す図である。センサーユニット複合体100を、後述するラマン分光装置等の装着部150(センサーユニット複合体100をセンサーチップ10を先端側として挿入して装着する態様)に装着して使用する場合には、装着状態(センサーチップ10が測定に供される定位置に置かれた状態)において、後端側のセンサーユニット50の少なくとも一部が装着部150から突出するように(図中矢印参照)構成することができる。
すなわち、装着状態において、装着部150の深さ(挿入方向の突き当り(位置決め機構151によって定められる位置)までの長さA)が、センサーユニット複合体100の長さ(センサーユニット50が整列する方向の、センサーユニット複合体100の後端から突き当り(位置決め機構151によって定められる位置)までの長さB)よりも短く、かつ、センサーユニット複合体100から1つのセンサーユニット50を除いた長さ(センサーユニット50が整列する方向の突き当り(位置決め機構151によって定められる位置)までの長さC)よりも長くすることができる。なお、図示の例では、位置決め機構151は、センサーユニット50の基部24の一部に勘合する形状となっている。
このようにすれば、先端側のセンサーユニット50を取外した際に、後端側に接続しなければ、新たなセンサーチップ10を所定の場所に配置することができないとともに、センサーユニット複合体100を装着部から引出す(引抜く)ことを困難にすることができる。したがって、ユーザーは、使用後のセンサーチップ10を含むセンサーユニット50
を廃棄しなくても、後端側に接続して、新たなセンサーチップ10を所定の場所に配置するとともに、センサーユニット複合体100を装着部から引出す(引抜く)ための治具として使用することができる。また、そのようにしなければ、ユーザーはセンサーユニット複合体100の使用を継続することができない。そのため、センサーユニット複合体100に含まれる全てのセンサーユニット50が使用済センサーユニット50aとなるまで(図7(c)参照)、使用済のセンサーユニット50aが、廃棄されずに使用されるようにすることができる。
これにより含まれるセンサーユニット50が全て使用済センサーユニット50aとなったセンサーユニット複合体100(図7(c))を廃棄する場合の取扱いも容易化される。さらに、これにより、使用済のセンサーユニット複合体100を店舗等で回収することも容易に行うことができる。そして、このようにすれば、センサーチップ10に含まれる貴金属、センサーユニット50を構成する保持体20、それらの材料などが、センサーユニット複合体100の使用途中で廃棄されない。そのため、使用後のセンサーユニット複合体100を店舗等で回収すれば、環境汚染等が抑えられるとともに、効率よく高密度に貴金属等の資源を回収できリサイクルさせることができる。なお、上述のキャップを有する場合も同様であり、キャップを治具として使用できるとともに、使用後は回収することができる。
2.ラマン分光装置
本実施形態のラマン分光装置は、上述のセンサーユニット複合体と、光源と、検出器と、を備える。
図9は、本実施形態に係るラマン分光装置200を模式的に示す図である。ラマン分光装置200は、標的物質からのラマン散乱光を検出して分析(定性分析、定量分析)するものであって、図9に示すように、光源210と、気体試料保持部110と、検出部120と、制御部130と、検出部120及び制御部130を収容している筐体140と、を含む。気体試料保持部110は、本発明に係るセンサーユニット複合体を含む。以下では、上述のセンサーユニット複合体100を含む例について説明する。
気体試料保持部110は、センサーユニット複合体100と、センサーユニット複合体100を装着する装着部150が形成されたカバー112と、吸引流路114と、排出流路116と、を有している。
装着部150は、センサーユニット複合体100を装着することができ、励起光が照射される位置に、センサーユニット複合体100の一端側のセンサーユニット50のセンサーチップ10を配置できる形状を有している。本実施形態では、装着部150は、センサーユニット複合体100を、センサーチップ10が露出された側から挿入して装着する構造となっている。図示しないが、装着部150は、センサーユニット複合体100を安定して固定する機構や、センサーユニット複合体100を中心軸周りに回転しないようにする機構や、中心軸周りの角度を所定の角度に制限する機構などを有してもよい。
検出部120は、光源210と、レンズ122a,122b,122c,122dと、ハーフミラー124と、光検出器220と、を有している。制御部130は、光検出器220において検出された信号を処理して光検出器220の制御をする検出制御部132と、光源210などの電力や電圧を制御する電力制御部134と、を有している。制御部130は、図8に示すように、外部との接続を行うための接続部136と電気的に接続されていてもよい。
ラマン分光装置200では、排出流路116に設けられている吸引機構117を作動さ
せると、吸引流路114及び排出流路116内が負圧になり、吸引口113から検出対象となる標的物質を含んだ気体試料が吸引される。吸引口113には除塵フィルター115が設けられており、比較的大きな粉塵や一部の水蒸気などを除去することができる。気体試料は、吸引流路114及び排出流路116を通り、排出口118から排出される。気体試料は、係る経路を通る際に、センサーユニット複合体100の先端部分に配置されたセンサーチップ10の金属微細構造7と接触する。
吸引流路114及び排出流路116の形状は、外部からの光がセンサーユニット複合体100に入射しないような形状である。これにより、ラマン散乱光以外の雑音となる光が入射しないため、信号のS/N比を向上させることができる。流路114,116を構成する材料は、例えば、光を反射し難いような材料や色である。
吸引流路114及び排出流路116の形状は、気体試料に対する流体抵抗が小さくなるような形状である。これにより、高感度な検出が可能になる。例えば、流路114,116の形状を、できるだけ角部をなくし滑らかな形状にすることで、角部における気体試料の滞留をなくすことができる。吸引機構117としては、例えば、流路抵抗に応じた静圧、風量のファンモーターやポンプを用いる。
ラマン分光装置200では、光源210は、センサーユニット複合体100に励起光を照射する。光源210は、に直線偏光した光又は円偏光光を照射できるように配置される。図示しないが、光源210から照射される励起光の入射角θは、センサーユニット複合体100の表面プラズモンの励起条件に応じて適宜変化させることができるようにしてもよい。光源210は、図示しないゴニオメーター等に設置されてもよい。
光源210としては、半導体レーザー、気体レーザー、ハロゲンランプ、高圧水銀灯、キセノンランプなどに、適宜、波長選択素子、フィルター、偏光子などを設けたものを例示することができる。
光源210から射出された光は、レンズ122aで集光された後、ハーフミラー124及びレンズ122bを介して、センサーユニット複合体100のセンサーチップ10に入射する。センサーチップ10からは、SERS光が放射され、該光は、レンズ122b、ハーフミラー124、及びレンズ122c,122dを介して、光検出器220に至る。すなわち、光検出器220は、センサーチップ10から放射される光を検出する。ラマン分光装置200は、散乱分光系で構成されても、反射分光系で構成されてもよい。SERS光には、光源210からの入射波長と同じ波長のレイリー散乱光が含まれているので、光検出器220のフィルター126によってレイリー散乱光を除去してもよい。レイリー散乱光が除去された光は、ラマン散乱光として、光検出器220の分光器127を介して受光素子128にて受光される。受光素子128としては、例えば、フォトダイオードを用いる。
光検出器220の分光器127は、例えば、ファブリペロー共振を利用したエタロン等で形成されており、通過波長帯域を可変とすることができる。光検出器220の受光素子128によって、標的物質に特有のラマンスペクトルが得られ、例えば、得られたラマンスペクトルと予め保持するデータとを照合することで、標的物質の信号強度を検出することができる。
なお、ラマン分光装置200は、センサーユニット複合体100、光源210、及び光検出器220を含み、センサーユニット複合体100のセンサーチップ10に標的物質を吸着させ、そのラマン散乱光を取得することができれば、上記の例に限定されない。
また、上述した本実施形態に係るラマン分光法のように、レイリー散乱光を検出する場合は、ラマン分光装置200は、フィルター126を有さず、分光器によって、レイリー散乱光とラマン散乱光とを分光してもよい。
このようなラマン分光装置200によれば、センサーユニット複合体100を装着するため、装置の取扱いが容易である。また、センサーチップ10が収容室22内に配置されているため、センサーチップ10の交換を容易に行うことができる。
3.電子機器
次に、本実施形態に係る電子機器300について、図面を参照しながら説明する。図10は、本実施形態に係る電子機器300を模式的に示す図である。電子機器300は、本発明に係るラマン分光装置を含むことができる。以下では、上述のラマン分光装置200を含む例について説明する。
電子機器300は、図10に示すように、ラマン分光装置200と、光検出器220からの検出情報に基づいて健康医療情報を演算する演算部310と、健康医療情報を記憶する記憶部320と、健康医療情報を表示する表示部330と、を含む。
演算部310は、例えば、パーソナルコンピューター、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistance)であり、光検出器220から送出される検出情報(信号等)を受け取る。演算部310は、光検出器220からの検出情報に基づいて健康医療情報を演算する。演算された健康医療情報は、記憶部320に記憶される。
記憶部320は、例えば、半導体メモリー、ハードディスクドライブ等であり、演算部310と一体的に構成されてもよい。記憶部320に記憶された健康医療情報は、表示部330に送出される。
表示部330は、例えば、表示板(液晶モニター等)、プリンター、発光体、スピーカー等により構成されている。表示部330は、演算部310によって演算された健康医療情報等に基づいて、ユーザーがその内容を認識できるように、表示又は発報する。
健康医療情報としては、細菌、ウィルス、タンパク質、核酸、及び抗原・抗体からなる群より選択される少なくとも1種の生体関連物質、又は、無機分子及び有機分子から選択される少なくとも1種の化合物の有無若しくは量に関する情報を含むことができる。
電子機器300では、上述のラマン分光装置200を含む。そのため、電子機器300では、微量物質の検出を高感度で効率よく行うことができ、高精度な健康医療情報を提供することができる。
例えば、本発明に係る電場増強素子は、抗原抗体反応における抗原の吸着の有無などのように、物質の吸着の有無を検出するアフィニティー・センサーなどとして用いることもできる。アフィニティー・センサーは、該センサーに白色光を入射し、波長スペクトルを分光器で測定し、吸着による表面プラズモン共鳴波長のシフト量を検出することで、検出物質のセンサーチップへの吸収を高感度に検出することができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明
は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…基板、2…金属層、4…誘電体層、6…金属微細構造層、7…金属微細構造、10…センサーチップ、20…保持体、22…収容室、24…基部、25…ねじ機構、26…筒状部、27…接着剤、28…回転制限機構、50…センサーユニット、50a…使用済センサーユニット、51…第1センサーユニット、52…第2センサーユニット、100,101,102…センサーユニット複合体、110…気体試料保持部、112…カバー、113…吸引口、114…吸引流路、115…除塵フィルター、116…排出流路、117…吸引機構、118…排出口、120…検出部、122a,122b,122c,122d…レンズ、124…ハーフミラー、126…フィルター、127…分光器、128…受光素子、130…制御部、132…検出制御部、134…電力制御部、136…接続部、140…筐体、150…装着部、151…位置決め機構、200…ラマン分光装置、210…光源、220…光検出器、300…電子機器、310…演算部、320…記憶部、330…表示部

Claims (15)

  1. センサーユニット複合体と、
    前記センサーユニット複合体を装着する装着部と、
    前記センサーユニット複合体に励起光を照射する光源と、
    前記センサーユニット複合体から放射される光を検出する検出器と、
    を備え、
    前記センサーユニット複合体は、第1センサーユニット及び第2センサーユニットを含み、
    前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットは、それぞれ、センサーチップと、前記センサーチップを保持する保持体と、を含み、
    前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットが隣接して配置された際に、前記第1センサーユニットの保持体及び前記第2センサーユニットの保持体によって区画される収容室が形成され、
    前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットのいずれか一方の前記センサーチップが、前記収容室内に配置される、ラマン分光装置
  2. 請求項1において、
    前記保持体は、基部と前記基部に接続して設けられた筒状部とを有し、
    前記センサーチップは、前記基部に配置され、
    前記収容室が、第1センサーユニットの基部、前記第2センサーユニットの基部及び筒状部で形成される際に、前記第1センサーユニットの前記センサーチップが前記収容室に収容される、ラマン分光装置
  3. 請求項2において、
    前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットが隣接して配置された際に、前記第1センサーユニットの基部が、前記第2センサーユニットの筒状部の内面と、係合している、ラマン分光装置
  4. 請求項2において、
    前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットが隣接して配置された際に、前記第1センサーユニットの基部が、前記第2センサーユニットの筒状部の内面と、接合している、ラマン分光装置
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
    前記保持体は、前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットが隣接した際に、前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットが並ぶ方向を軸として互いに回転することを制限する、回転制限機構を有する、ラマン分光装置
  6. 請求項2において、
    前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットが隣接して配置された際に、前記第1センサーユニットの基部が、前記第2センサーユニットの筒状部の内面と、螺合している、ラマン分光装置
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、
    前記収容室に、不活性ガスが封入されている、ラマン分光装置
  8. センサーユニット複合体と、
    前記センサーユニット複合体を装着する装着部と、
    前記センサーユニット複合体に励起光を照射する光源と、
    前記センサーユニット複合体から放射される光を検出する検出器と、
    を備え、
    前記センサーユニット複合体は、第1センサーユニット及び第2センサーユニットを含み、
    前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットは、それぞれ、基体と前記基体に設けられたセンサー部とを有し、
    前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットが隣接して配置された際に、前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットのそれぞれの前記基体によって区画される収容室が形成され、
    前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットのいずれか一方の前記センサー部が、前記収容室内に配置される、ラマン分光装置
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のラマン分光装置に装着される、センサーユニット複合体。
  10. 請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のラマン分光装置と、前記検出器からの検出情報に基づいて健康医療情報を演算する演算部と、前記健康医療情報を記憶する記憶部と、前記健康医療情報を表示する表示部と、を備えた電子機器。
  11. 第1センサーユニット及び第2センサーユニットを含むセンサーユニット複合体であって、
    前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットは、それぞれ、センサーチップと、前記センサーチップを保持する保持体と、を含み、
    前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットが隣接して配置された際に、前記第1センサーユニットの保持体及び前記第2センサーユニットの保持体によって区画される収容室が形成され、
    前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットのいずれか一方の前記センサーチップが、前記収容室内に配置され、
    前記保持体は、基部と前記基部に接続して設けられた筒状部とを有し、
    前記センサーチップは、前記基部に配置され、
    前記収容室が、第1センサーユニットの基部、前記第2センサーユニットの基部及び筒状部で形成される際に、前記第1センサーユニットの前記センサーチップが前記収容室に収容され、
    前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットが隣接して配置された際に、前記第1センサーユニットの基部が、前記第2センサーユニットの筒状部の内面と、螺合している、
    る、センサーユニット複合体。
  12. 請求項11において、
    前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットが隣接して配置された際に、前記第1センサーユニットの基部が、前記第2センサーユニットの筒状部の内面と、係合している、センサーユニット複合体。
  13. 請求項11において、
    前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットが隣接して配置された際に、前記第1センサーユニットの基部が、前記第2センサーユニットの筒状部の内面と、接合している、センサーユニット複合体。
  14. 請求項11ないし請求項13のいずれか1項において、
    前記保持体は、前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットが隣接した際に、前記第1センサーユニット及び前記第2センサーユニットが並ぶ方向を軸として互いに回転することを制限する、回転制限機構を有する、センサーユニット複合体。
  15. 請求項11ないし請求項14のいずれか1項において、
    前記収容室に、不活性ガスが封入されている、センサーユニット複合体。
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