JP2002296177A - 表面プラズモン共鳴測定チップ - Google Patents

表面プラズモン共鳴測定チップ

Info

Publication number
JP2002296177A
JP2002296177A JP2002011799A JP2002011799A JP2002296177A JP 2002296177 A JP2002296177 A JP 2002296177A JP 2002011799 A JP2002011799 A JP 2002011799A JP 2002011799 A JP2002011799 A JP 2002011799A JP 2002296177 A JP2002296177 A JP 2002296177A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dielectric block
plasmon resonance
interface
surface plasmon
light beam
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002011799A
Other languages
English (en)
Inventor
Masayuki Naya
昌之 納谷
Takashi Kubo
隆 久保
Takashi Ito
敬志 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2002011799A priority Critical patent/JP2002296177A/ja
Publication of JP2002296177A publication Critical patent/JP2002296177A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/17Systems in which incident light is modified in accordance with the properties of the material investigated
    • G01N21/55Specular reflectivity
    • G01N21/552Attenuated total reflection
    • G01N21/553Attenuated total reflection and using surface plasmons
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2201/00Features of devices classified in G01N21/00
    • G01N2201/04Batch operation; multisample devices
    • G01N2201/0415Carrusel, sequential

Abstract

(57)【要約】 【課題】 誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射し
た光ビームの強度を測定して表面プラズモン共鳴の状態
を検出する表面プラズモン共鳴測定装置に用いられる樹
脂製の測定チップを、表面プラズモン共鳴の状態を検出
する信号のS/N低下を招かないように形成する。 【解決手段】 誘電体ブロック11と、その一面に形成さ
れた金属膜12と、光ビーム30を誘電体ブロック11に対し
て、該誘電体ブロック11と金属膜12との界面11aで全反
射条件となるように入射させる光学系32と、界面11aで
全反射した光ビーム30の強度を測定する光検出手段40と
を備えてなる表面プラズモン共鳴測定装置に用いられる
測定チップ10において、誘電体ブロック11を、界面11a
に向けて該ブロック11の外でp偏光となっている光ビー
ム30を入射させたとき、該界面11aでのs偏光成分の強
度が入射前の光ビーム30の強度の50%以下となる樹脂
から形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面プラズモンの
発生を利用して試料中の物質を定量分析する表面プラズ
モン共鳴測定装置に用いられる測定チップに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】金属中においては、自由電子が集団的に
振動して、プラズマ波と呼ばれる粗密波が生じる。そし
て、金属表面に生じるこの粗密波を量子化したものは、
表面プラズモンと呼ばれている。
【0003】従来より、この表面プラズモンが光波によ
って励起される現象を利用して、試料中の物質を定量分
析する表面プラズモン共鳴測定装置が種々提案されてい
る。そして、それらの中で特に良く知られているものと
して、 Kretschmann配置と称される系を用いるものが挙
げられる(例えば特開平6−167443号参照)。
【0004】上記の系を用いる表面プラズモン共鳴測定
装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体
ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて試
料に接触させられる金属膜と、光ビームを発生させる光
源と、上記光ビームを誘電体ブロックに対して、該誘電
体ブロックと金属膜との界面で全反射条件となり、か
つ、表面プラズモン共鳴条件を含む種々の入射角が得ら
れるように入射させる光学系と、上記界面で全反射した
光ビームの強度を測定して表面プラズモン共鳴の状態を
検出する光検出手段とを備えてなるものである。
【0005】なお上述のように種々の入射角を得るため
には、比較的細い光ビームを偏向させて上記界面に入射
させてもよいし、あるいは光ビームに種々の角度で入射
する成分が含まれるように、比較的太い光ビームを上記
界面に収束光状態であるいは発散光状態で入射させても
よい。前者の場合は、光ビームの偏向にともなって反射
角が変化する光ビームを、光ビームの偏向に同期移動す
る小さな光検出器によって検出したり、反射角の変化方
向に沿って延びるエリアセンサによって検出することが
できる。一方後者の場合は、種々の反射角で反射した各
光ビームを全て受光できる方向に延びるエリアセンサに
よって検出することができる。
【0006】上記構成の表面プラズモン共鳴測定装置に
おいて、光ビームを金属膜に対して全反射角以上の特定
入射角θSPで入射させると、該金属膜に接している試
料中に電界分布をもつエバネッセント波が生じ、このエ
バネッセント波によって金属膜と試料との界面に表面プ
ラズモンが励起される。エバネッセント光の波数ベクト
ルが表面プラズモンの波数と等しくて波数整合が成立し
ているとき、両者は共鳴状態となり、光のエネルギーが
表面プラズモンに移行するので、誘電体ブロックと金属
膜との界面で全反射した光の強度が鋭く低下する。この
光強度の低下は、一般に上記光検出手段により暗線とし
て検出される。
【0007】なお上記の共鳴は、入射ビームがp偏光の
ときにだけ生じる。したがって、光ビームがp偏光で入
射するように予め設定しておく必要がある。
【0008】この全反射減衰(ATR)が生じる入射角
θSPより表面プラズモンの波数が分かると、試料の誘
電率が求められる。すなわち表面プラズモンの波数をK
SP、表面プラズモンの角周波数をω、cを真空中の光
速、εとεをそれぞれ金属、試料の誘電率とす
ると、以下の関係がある。
【0009】
【数1】 試料の誘電率εが分かれば、所定の較正曲線等に基
づいて試料中の特定物質の濃度が分かるので、結局、上
記反射光強度が低下する入射角θSPを知ることによ
り、試料中の特定物質を定量分析することができる。
【0010】上記の系を用いる従来の表面プラズモン共
鳴測定装置において、実用上は、試料に接触させる金属
膜を測定毎に交換する必要がある。そこで従来は、この
金属膜を平坦な板状の誘電体ブロックに固定し、それと
は別に前記全反射を生じさせるための光カップラーとし
てのプリズム状誘電体ブロックを設け、この後者の誘電
体ブロックの一面に前者の誘電体ブロックを一体化する
という手法が採用されていた。そのようにすれば、後者
の誘電体ブロックは光学系に対して固定としておき、前
者の誘電体ブロックと金属膜とを測定チップとして、こ
の測定チップのみを試料毎に交換することが可能とな
る。
【0011】しかし、この交換可能とされた従来の測定
チップを用いる場合は、その誘電体ブロックとプリズム
状誘電体ブロックとの間に空隙が生じて屈折率が不連続
となることを防止するため、それら両誘電体ブロックを
屈折率マッチング液を介して一体化する必要が生じる。
そのようにして両誘電体ブロックを一体化する作業は非
常に煩雑であり、そのため、この従来の測定チップは、
測定に際しての取扱い性が良くないものとなっている。
特に、測定チップをターレット等の上に自動装填し、こ
のターレットを回転させることにより、測定チップを光
ビームを受ける測定位置に自動供給して測定を自動化す
るような場合は、測定チップの装填、取外しに手間取
り、それが自動測定の能率向上を妨げる原因となりやす
い。
【0012】またこの従来の測定チップは、屈折率マッ
チング液を使用することから、環境に与える悪影響も懸
念されている。
【0013】本出願人は上記の事情に鑑みて、屈折率マ
ッチング液を使用する必要がなく、そして測定用光学系
に対して簡単に交換することができる表面プラズモン共
鳴測定チップを先に提案した(特願2000−2121
25号)。
【0014】この表面プラズモン共鳴測定チップは、前
述したような誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの
一面に形成されて試料に接触させられる金属膜と、光ビ
ームを発生させる光源と、前記光ビームを前記誘電体ブ
ロックに対して、該誘電体ブロックと金属膜との界面で
全反射条件となり、かつ、種々の入射角成分を含むよう
にして入射させる光学系と、前記界面で全反射した光ビ
ームの強度を測定して表面プラズモン共鳴の状態を検出
する光検出手段とを備えてなる表面プラズモン共鳴測定
装置に用いられる測定チップであって、前記誘電体ブロ
ックが、前記光ビームの入射面、出射面および前記金属
膜が形成される一面の全てを含む1つのブロックとして
形成され、この誘電体ブロックに前記金属膜が一体化さ
れてなることを特徴とするものである。
【0015】この特願2000−212125号の表面
プラズモン共鳴測定チップは、誘電体ブロックが、光ビ
ームの入射面、出射面および金属膜が形成される一面の
全てを含む1つのブロック(これは、上述の通り光ビー
ムの入射面および出射面を備えているので、光カップラ
ーとしても機能するものである)として形成され、この
誘電体ブロックに金属膜が一体化されてなるので、この
測定チップ全体を光学系に対して装脱するだけで簡単に
交換可能となる。
【0016】つまり、光学系に対して固定した光カップ
ラー単体としての誘電体ブロックに別の誘電体ブロック
を一体化する構成ではないので、両誘電体ブロックを屈
折率マッチング液を介して一体化する必要がなく、この
屈折率マッチング液を用いることによる取扱い性の悪さ
を解消することができる。
【0017】また、屈折率マッチング液を用いる必要が
無ければ、それが環境に悪影響を与えることも防止され
る。
【0018】なお、上記の誘電体ブロックを形成する好
ましい材料として具体的には、ガラスや樹脂が考えられ
ている。特に樹脂は、射出成形で測定チップを作製でき
るので、そのコストを低く抑える上で有利となってい
る。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】ところが、この測定チ
ップを上述のように樹脂を用いて形成した場合は、表面
プラズモン共鳴の状態を検出する光検出手段の出力信号
のS/Nが低下しやすいという問題が認められる。
【0020】本発明は上記の事情に鑑みてなされたもの
であり、表面プラズモン共鳴の状態を検出する光検出手
段の出力信号のS/Nを高く確保して、高い測定精度を
実現できる、樹脂からなる測定チップを提供することを
目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明による表面プラズ
モン共鳴測定チップは、先に説明した特願2000−2
12125号に示される基本構成を有する表面プラズモ
ン共鳴測定チップ、すなわち前述の誘電体ブロックと、
金属膜と、光源と、光学系と、光検出手段とを備えてな
る表面プラズモン共鳴測定装置に用いられる測定チップ
であって、誘電体ブロックが、前記光ビームの入射面、
出射面および金属膜が形成される一面の全てを含む1つ
のブロックとして形成され、この誘電体ブロックに金属
膜が一体化されてなる表面プラズモン共鳴測定チップに
おいて、誘電体ブロックが、それと金属膜との界面に向
けて、該ブロックの外でp偏光となっている前記光ビー
ムを入射させたとき、該界面でのs偏光成分の強度が該
界面での光ビームの強度の50%以下(つまりp偏光成
分からs偏光成分への変換比率が50%以下。なおこの
変換比率を以下、単に「変換比率R」という)となる樹
脂から形成されていることを特徴とするものである。
【0022】なおこの本発明による表面プラズモン共鳴
測定チップにおいて、誘電体ブロックは、より好ましく
は、上記界面でのs偏光成分の強度が該界面での光ビー
ムの強度の30%以下、さらに望ましくは10%以下と
なる樹脂から形成される。
【0023】より具体的に、s偏光成分の強度を上述の
ように抑え得る樹脂としては、例えばPMMA(ポリメ
チルメタクリレート;ポリメタクリル酸メチル)が挙げ
られる。
【0024】なお、この本発明による表面プラズモン共
鳴測定チップにおいては、前記金属膜の上に、試料中の
特定物質と結合反応を示すセンシング媒体が固定されて
いることが望ましい。
【0025】また、この本発明による表面プラズモン共
鳴測定チップにおいては、前記金属膜の上に試料を保持
する試料保持機構が設けられることが望ましい。そし
て、そのような試料保持機構として具体的には、前記金
属膜の上側において側方が閉じられた空間を画成する部
材からなり、この部材の内面が、金属膜から上方に離れ
るのにつれて側外方に離れるテーパ形状とされているも
のを好適に用いることができる。
【0026】また本発明による表面プラズモン共鳴測定
チップにおいて、上記誘電体ブロックは、ブロックの上
下方向(使用状態に配した場合の上下方向。以下、同
様)に垂直な面内の断面形状が四角形等の多角形で、か
つこの多角形が上方に向かって次第に大きくなるテーパ
状の外形部分を備えていることが望ましい。
【0027】
【発明の効果】本発明者の研究によると、樹脂を材料と
する従来の表面プラズモン共鳴測定チップにおいて、表
面プラズモン共鳴の状態を検出する光検出手段の出力信
号のS/Nが低下しやすいという問題は、樹脂材料に複
屈折等の光学歪みが発生し、それによって光ビームの偏
光成分が変化してしまうことに起因していることが判明
した。
【0028】すなわち、表面プラズモン共鳴を発生させ
るために樹脂製の誘電体ブロックと金属膜との界面に向
けて、誘電体ブロックの外でp偏光となっている光ビー
ムを入射させても、誘電体ブロック中をこの光ビームが
進行するうちに樹脂の複屈折等の光学歪みによって偏光
状態が変化し、上記界面に到達した段階では強いs偏光
成分が生じていることがある。そのs偏光成分は表面プ
ラズモン共鳴には寄与せず、常に上記界面で全反射して
光検出手段では単にバイアス成分として検出されるの
で、相対的に、全反射減衰を起こすp偏光成分の検出光
量が低下し、その検出信号のS/Nが低下してしまうの
である。
【0029】以下、この点についてさらに詳しく説明す
る。図13は、表面プラズモン共鳴測定装置における誘
電体ブロックと金属膜との界面に対する光ビーム入射角
と、検出された全反射光強度との概略関係を示すもので
ある。ここで同図中の実線と破線はそれぞれ、p偏光状
態で誘電体ブロックに入射させた光ビームが該誘電体ブ
ロックと金属膜との界面に到達したときにp偏光成分が
100%保存された場合(つまり変換比率Rが0%)、
p偏光成分が50%だけ保存された場合(つまり変換比
率Rが50%)を示している。前述した通り表面プラズ
モン共鳴測定においては、基本的に、全反射減衰が生じ
る入射角θSPから試料の誘電率を、あるいはこの誘電
率に対応した性状を求めるようにしているので、入射角
θSPにおける全反射光検出信号のデイップ(落ち込
み)が深いほど、高S/Nの検出信号が得られることに
なる。同図に示される通り、変換比率Rが50%の場合
は、変換比率Rが0%の場合と比べて全反射光検出信号
のデイップの深さが1/2になり、またノイズレベルは
双方の場合で変わり無いから、検出信号のS/Nも1/
2になってしまう。このように、検出信号のS/Nは光
ビームのs偏光成分への変換比率Rに左右されることに
なる。
【0030】以上の知見に鑑みて本発明者は、誘電体ブ
ロックと金属膜との界面に光ビームをp偏光状態で入射
させようとしたとき、変換比率Rがどの程度までに抑え
られていれば、実用的な表面プラズモン共鳴測定が可能
であるか、実験に基づいて検討した。実験に際しては、
後述の図1に示すような表面プラズモン共鳴測定装置を
用い、そこで全反射光の強度を検出する光検出器の出力
信号(SPR信号)を微分した微分信号からS/Nを評
価した。なお、この装置において全反射光の強度を検出
する電気系のノイズレベルは約1mVであるが、これは
一般的な電気回路におけるノイズレベルである。
【0031】まず図14を参照して、この場合のS/N
の求め方について説明する。同図の(1)と(2)はそれぞ
れ、変換比率Rが0%の場合について、上記SPR信号
Spとその微分信号Sp’との一例を示している。そし
てここでは、試料中の特定物質と結合反応を示すセンシ
ング媒体を金属膜上に固定しておき、この結合反応前お
よび後の信号がそれぞれ図中実線表示、破線表示のよう
な値を取るものとして、結合反応前から後にかけての微
分信号Sp’の変化量δSp’から上記特定物質の誘電
率を、つまり結合反応した該特定物質が何であるかを探
索する場合について考える。
【0032】この場合、ノイズレベルをδNとするとS
/N=(δSp’/δN)となる。ちなみに、変換比率
Rが50%の場合、SPR信号とその微分信号は、それ
ぞれ図15の(1)、(2)に示すようになる。同図と図14
とを比較して分かるように、ノイズレベルδNは共通で
ある一方、微分信号Sp’の変化量δSp’は変換比率
Rが0%の場合と50%の場合とでは後者が前者の1/
2になることから、S/Nも後者が前者の1/2にな
る。
【0033】S/Nを以上説明の通りにして求めること
とし、そして、この種の測定を精密に行なう上で一般に
必要とされているS/N≧10を実現する上で変換比率
Rはどの程度に抑えられるべきであるかを、実験に基づ
いて求めた。実験においては変換比率Rを多様な値に設
定し、各場合について検討したが、以下では、本発明に
関連する変換比率Rのみを取り上げて説明する。
【0034】(1)変換比率R=50%のとき この場合は、屈折率変化が1×10−5のときに、微分
信号Sp’の変化量δSp’が約5.6mVとなった。
ノイズレベルは前述の通り約1mVであるので、S/N
=10となる屈折率変化は1.8×10−5となる。こ
れは、薬物の探索(スクリーニング)等において、分子
量360の低分子物質が前記センシング媒体に結合した
際に得られる屈折率変化とほぼ同等である。薬物探索の
対象となる低分子物質の大部分は、分子量360〜80
0程度であることから(例えばピオチン化アミンは分子
量374)、変換比率R=50%以下の樹脂から誘電体
ブロックを形成しておけば、このような低分子物質を精
度良く探索できることになる。
【0035】(2)変換比率R=30%のとき この場合は、屈折率変化が1×10−5のときに、微分
信号Sp’の変化量δSp’が約7.8mVとなった。
ノイズレベルは前述の通り約1mVであるので、S/N
=10となる屈折率変化は1.3×10−5となる。こ
れは、分子量260の低分子物質が、前記センシング媒
体に結合した際に得られる屈折率変化とほぼ同等であ
る。薬物探索の対象となる低分子物質には、上記の分子
量360未満で260以上のものも多少存在することか
ら(例えばビタミンB1は分子量334)、変換比率R
=30%以下の樹脂から誘電体ブロックを形成しておけ
ば、このような低分子物質も精度良く探索できることに
なる。
【0036】(3)変換比率R=10%のとき この場合は、屈折率変化が1×10−5のときに、微分
信号Sp’の変化量δSp’が約10mVとなった。ノ
イズレベルは前述の通り約1mVであるので、この屈折
率変化でそのままS/N=10となる。これは、分子量
200の低分子物質が、前記センシング媒体に結合した
際に得られる屈折率変化とほぼ同等である。薬物の探索
では、分子量200以上の物質が検出できれば、ほぼ全
ての物質が探索可能であると言われている(例えばピオ
チンは分子量244)。そこで、変換比率R=10%以
下の樹脂から誘電体ブロックが形成されていれば、実用
上、あらゆる薬物の探索に対応できることになる。
【0037】なお、以上述べてきた偏光比が保たれてい
るかどうかについては、誘電体ブロックからの偏光比を
調べることで検知することができる。なぜなら、出射光
の偏光状態は前記界面における光よりも光学歪みの影響
を多く受けているため、出射光の偏光比が上記条件を満
たしていれば、該界面における偏光の乱れはそれ以下で
あることが分かるからである。
【0038】一方、特に前述した金属膜の上に試料を保
持する試料保持機構が設けられ、この試料保持機構が、
金属膜の上側において側方が閉じられた空間を画成する
部材からなり、この部材の内面が、金属膜から上方に離
れるのにつれて側外方に離れるテーパ形状とされている
場合は、金属膜の厚みを均一化する効果を得ることもで
きる。すなわち、この金属膜は一般に蒸着によって形成
されるので、その場合に試料保持機構を上述のような形
状としておけば、蒸着に際して蒸着金属が試料保持機構
に遮られて金属膜の厚みが不均一になることを防止可能
である。
【0039】また本発明の表面プラズモン共鳴測定チッ
プにおいて、上記誘電体ブロックが、ブロックの上下方
向に垂直な面内の断面形状が四角形等の多角形で、かつ
この多角形が上方に向かって次第に大きくなるテーパ状
の外形部分を備えている場合は、このチップを測定装置
にセットする際の位置決めが容易化される。
【0040】すなわち、測定装置側の水平な測定台等に
四角形等の多角形の孔を形成して、上記テーパ状の外形
部分をそこに上から挿し込み、嵌合させてチップをセッ
トするように構成すれば、多角形部分どうしの嵌合であ
ることから、誘電体ブロックがその上下方向に垂直な面
内で(つまり水平面内で)自ずと所定の向きにセットさ
れ、そこから動いてしまうことも無くなる。
【0041】また、上記テーパ状の外形部分を、測定台
等に形成された多角形の孔に上から挿し込めば、誘電体
ブロックは上述の多角形部分どうしの嵌合がなされる高
さ位置で自ずと止まって保持されるから、チップの高さ
方向の位置決めも容易になされ得る。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実
施形態による表面プラズモン共鳴測定チップ(以下、単
に測定チップという)10を用いる表面プラズモン共鳴測
定装置の全体形状を示すものである。また図2はこの装
置の要部の側面形状を示し、図3は測定チップ10の斜視
形状を示している。
【0043】図1に示す通りこの表面プラズモン共鳴測
定装置は、複数の測定チップ10を支持するターンテーブ
ル20と、測定用の光ビーム(レーザビーム)30を発生さ
せる半導体レーザ等のレーザ光源31と、入射光学系を構
成する集光レンズ32と、光検出器40と、上記ターンテー
ブル20を間欠的に回動させる支持体駆動手段50と、この
支持体駆動手段50の駆動を制御するとともに、上記光検
出器40の出力信号Sを受けて後述の処理を行なうコント
ローラ60と、試料自動供給機構70とを有している。
【0044】上記測定チップ10は図2および図3に示す
通り、例えば直方体状に形成された透明誘電体ブロック
11と、この誘電体ブロック11の上面に形成された例えば
金、銀、銅、アルミニウム等からなる金属膜12と、この
金属膜12の上に側方が閉じられた空間を画成する筒状部
材からなる試料保持枠13とから構成されている。誘電体
ブロック11は、上記金属膜12が形成される面(後述の界
面11aを構成する面)と、光ビーム30が入射する面11b
と、光ビーム30が出射する面11cとを全てを含む1つの
ブロックとして形成されている。試料保持枠13の中に
は、後述のようにして例えば液体の試料15が貯えられ
る。
【0045】測定チップ10は、誘電体ブロック11と試料
保持枠13とを例えば透明樹脂であるPMMAから一体成
形してなるものであり、ターンテーブル20に対して交換
可能とされている。交換可能とするためには、例えばタ
ーンテーブル20に形成された貫通孔に、測定チップ10を
嵌合保持させる等すればよい。なお本例では、金属膜12
の上にセンシング媒体14が固定されているが、それにつ
いては後に詳述する。
【0046】なお誘電体ブロック11を形成する樹脂とし
て一般には、屈折率が1.45〜2.5程度の範囲内にあるも
のを用いるのが望ましい。その理由は、この屈折率範囲
で実用的な表面プラズモン共鳴角が得られるからであ
る。
【0047】さらに望ましくは、複屈折量が20〜420n
mの樹脂を用いる。そのように歪みが小さい樹脂を用い
ることにより、高精度の測定が可能になるからである。
複屈折量は、平行ニコル法により測定可能である。
【0048】ターンテーブル20は複数(本例では11
個)の上記測定チップ10を、その回動軸20aを中心とす
る円周上に等角度間隔で支持するように構成されてい
る。支持体駆動手段50はステッピングモータ等から構成
され、ターンテーブル20を測定チップ10の配置角度と等
しい角度ずつ間欠的に回動させる。
【0049】集光レンズ32は図2に示す通り、光ビーム
30を集光して収束光状態で誘電体ブロック11に通し、誘
電体ブロック11と金属膜12との界面11aに対して種々の
入射角が得られるように入射させる。この入射角の範囲
は、上記界面11aにおいて光ビーム30の全反射条件が得
られ、かつ、表面プラズモン共鳴が生じ得る角度範囲を
含む範囲とされる。
【0050】なお光ビーム30は、界面11aに対してp偏
光で入射させる。そのようにするためには、予めレーザ
光源31をその偏光方向が所定方向となるように配設すれ
ばよい。その他、波長板や偏光板で光ビーム30の偏光の
向きを制御してもよい。
【0051】光検出器40は、多数の受光素子が1列に配
されてなるラインセンサーから構成されており、受光素
子の並び方向が図2中の矢印X方向となるように配され
ている。
【0052】一方コントローラ60は、支持体駆動手段50
からその回動停止位置を示すアドレス信号Aを受けると
ともに、所定のシーケンスに基づいてこの支持体駆動手
段50を作動させる駆動信号Dを出力する。またこのコン
トローラ60は、上記光検出器40の出力信号Sを受ける信
号処理部61と、この信号処理部61からの出力を受ける表
示部62とを備えている。
【0053】試料自動供給機構70は、例えば液体試料を
所定量だけ吸引保持するピペット71と、このピペット71
を移動させる手段72とから構成されたものであり、所定
位置にセットされた試料容器73から試料をピペット71に
吸引保持し、所定の停止位置にある測定チップ10の試料
保持枠13内にその試料を滴下供給する。
【0054】以下、上記構成の表面プラズモン共鳴測定
装置による試料分析について説明する。試料分析に際し
てターンテーブル20は、前述のように支持体駆動手段50
によって間欠的に回動される。そして、ターンテーブル
20が停止したとき所定位置に静止した測定チップ10の試
料保持枠13に、上記試料自動供給機構70によって試料15
が供給される。
【0055】その後ターンテーブル20が何回か回動され
てから停止すると、試料保持枠13に試料15を保持してい
る測定チップ10が、その誘電体ブロック11に前記光ビー
ム30が入射する測定位置(図2中の右側の測定チップ10
の位置)に静止する状態となる。この状態のとき、コン
トローラ60からの指令でレーザ光源31が駆動され、そこ
から発せられた光ビーム30が前述のように収束する状態
で、誘電体ブロック11と金属膜12との界面11aに入射す
る。この界面11aで全反射した光ビーム30は、光検出器
40によって検出される。
【0056】光ビーム30は、上述の通り収束光状態で誘
電体ブロック11に入射するので、上記界面11aに対して
種々の入射角θで入射する成分を含むことになる。なお
この入射角θは、全反射角以上の角度とされる。そこ
で、光ビーム30は界面11aで全反射し、この反射した光
ビーム30には、種々の反射角で反射する成分が含まれる
ことになる。ここで、上記集光レンズ32等の光学系は、
光ビーム30を界面11aにデフォーカス状態で入射させる
ように構成されてもよい。そのようにすれば、表面プラ
ズモン共鳴の状態検出(例えば前記暗線の位置測定)の
誤差が平均化されて、測定精度が高められる。
【0057】上述のように光ビーム30が全反射すると
き、界面11aから金属膜12側にエバネッセント波がしみ
出す。そして、光ビーム30が界面11aに対してある特定
の入射角θSPで入射した場合は、このエバネッセント
波が金属膜12の表面に励起する表面プラズモンと共鳴す
るので、この光については反射光強度Iが鋭く低下す
る。なお図4には、この全反射減衰現象が生じた際の入
射角θと反射光強度Iとの関係を概略的に示してある。
【0058】そこで、光検出器40が出力する光量検出信
号Sから各受光素子毎の検出光量を調べ、暗線を検出し
た受光素子の位置に基づいて上記入射角(全反射減衰
角)θ SPを求め、予め求めておいた反射光強度Iと入
射角θとの関係曲線に基づけば、試料15中の特定物質を
定量分析することができる。コントローラ60の信号処理
部61は、以上の原理に基づいて試料15中の特定物質を定
量分析し、その分析結果が表示部62に表示される。
【0059】測定を1つの試料15に対して1回だけ行な
う場合は、以上の操作で測定が完了するので、測定を終
えた測定チップ10をターンテーブル20から手操作によ
り、あるいは自動排出手段を用いて排出すればよい。一
方、1つの試料15に対して測定を複数回行なう場合は、
測定終了後も測定チップ10をそのままターンテーブル20
に支持させておけば、ターンテーブル20の1回転後に、
その測定チップ10に保持されている試料15を再度測定に
かけることができる。
【0060】以上説明した通り、この表面プラズモン共
鳴測定装置は、複数の測定チップ10をターンテーブル20
に支持させ、このターンテーブル20を移動させて各測定
チップ10を順次測定位置に配置するように構成されてい
るから、複数の測定チップ10の各試料保持枠13に保持さ
せた試料15を、ターンテーブル20の移動にともなって次
々と測定に供することができる。それにより、この表面
プラズモン共鳴測定装置によれば、多数の試料15につい
ての測定を短時間で行なうことが可能になる。
【0061】また本例の表面プラズモン共鳴測定装置に
おいては、試料自動供給機構70を設けたことにより試料
供給に要する時間も短縮して、多数の試料15についての
測定をより一層短時間で行なうことが可能になる。
【0062】また本例では、誘電体ブロック11、金属膜
12および試料保持枠13を一体化して測定チップ10を構成
し、この測定チップ10をターンテーブル20に対して交換
可能としているので、測定が終了した試料15を保持して
いる測定チップ10をターンテーブル20から取り外して新
しい測定チップ10を該ターンテーブル20に支持させるこ
とにより、新しい試料15を次々と測定に供することがで
き、多数の試料15についての測定をより一層短時間で行
なうことが可能になる。
【0063】この測定チップ10は、従来なされていたよ
うに誘電体ブロック11を屈折率マッチング液を介して他
の誘電体ブロックと光学的に結合させるような必要はな
いものである。したがって、この測定チップ10は取扱い
性が良く、また屈折率マッチング液が環境に及ぼす悪影
響から無縁のものとなり得る。
【0064】なお金属膜12の表面に固定されているセン
シング媒体14は、試料15中の特定物質と結合するもので
ある。このような特定物質とセンシング媒体14との組合
せとしては、例えば抗原と抗体とが挙げられる。その場
合は、全反射減衰角θSPに基づいて抗原抗体反応を検
出することができる。
【0065】先に述べた通り光ビーム30は、界面11aに
対してp偏光で入射させる必要がある。そのようにする
ために、誘電体ブロック11の外において、予めレーザ光
源31をその偏光方向が所定方向となるように配設した
り、波長板や偏光板で光ビーム30の偏光の向きを制御し
ても、誘電体ブロック11が樹脂からなる場合は、その複
屈折等の光学歪みにより、光ビーム30が界面11aに到達
した段階で強いs偏光成分が生じていることがある。そ
のようになると、光検出器40が出力する光量検出信号S
のS/Nが低下して、測定精度の低下を招く。
【0066】しかし本実施形態においては、透明誘電体
ブロック11がPMMAから形成されており、このPMM
Aを用いた場合は、界面11aでのs偏光成分の強度が、
該界面11aでの光ビーム30の強度の数%程度と、前述し
た50%以下に抑えられる。そうであれば、この表面プ
ラズモン共鳴測定装置を用いる一般的な試料分析等にお
いて、実用上支障を来すことはない。
【0067】また、試料15中の特定物質とセンシング媒
体14との組合せを抗原と抗体として、それら両者の結合
反応を調べる場合には、一般に上記界面11aでのs偏光
成分の強度が、該界面11aでの光ビーム30の強度の30
%以下、特に分析結果が製薬に利用される等の場合は1
0%以下であることが求められるが、誘電体ブロック11
がPMMAから形成された場合は、この要求も満足する
ことになる。
【0068】なお、単に誘電体ブロック11の材料として
PMMAを適用するだけでは、s偏光成分の強度比(変
換比率R)を上記50%以下、30%以下さらには10
%以下に抑えるのは困難である。このような変換比率R
は、PMMAを用いる場合は、それから誘電体ブロック
11を作製する方法として、特願2001−299568
号に示される方法を適用することによって実現できる。
【0069】次に、図5を参照して本発明の第2の実施
形態について説明する。図5は、本発明の第2の実施形
態による表面プラズモン共鳴測定チップ10’と、それを
用いる表面プラズモン共鳴測定装置の側面形状を示すも
のである。なおこの図5において、図2中の要素と同等
の要素には同番号を付し、それらについての説明は特に
必要のない限り省略する(以下、同様)。
【0070】この第2の実施形態による測定チップ10’
は、図2および図3に示した測定チップ10と比較する
と、センシング媒体14が除かれている点のみが異なるも
のである。したがってこの場合は、試料15中の特定物質
とセンシング媒体14との結合はなされず、試料15中の被
測定物質について通常に定量分析がなされる。
【0071】上述の点以外、測定チップ10’は、透明誘
電体ブロック11をPMMAから形成した点も含めて、図
2および図3に示した測定チップ10と同じ構成を有する
ものであり、したがってこの測定チップ10’を用いる場
合も、測定チップ10を用いる場合と同様の効果を得るこ
とができる。
【0072】以上、ターンテーブル20を利用して測定チ
ップを光ビームの照射を受ける測定位置に自動供給し、
またそこから自動排出させる場合について説明したが、
本発明による測定チップは、そのような自動供給および
排出は行なわない表面プラズモン共鳴測定装置において
使用することも可能である。例えば図6に側面形状を示
す表面プラズモン共鳴測定装置は、レーザ光源31、集光
レンズ32および光検出器40に対してアタッチメント80が
固定されてなるものであり、この種の装置においては、
測定チップ10を手作業でアタッチメント80にセットして
測定を行ない、測定終了後は同様に手作業で測定チップ
10をアタッチメント80から排出させればよい。
【0073】また本発明による表面プラズモン共鳴測定
チップは、以上説明した以外の形状に形成することも可
能である。図7〜12には、本発明のその他の実施形態
による表面プラズモン共鳴測定チップを示してある。
【0074】図7に側断面形状を示す第3実施形態の測
定チップ110は、図3に示した測定チップ10と比べる
と、誘電体ブロック11の部分の形状は同じで、試料保持
枠113の形状が変えられたものである。すなわちこの試
料保持枠113の部分は、その内面が、金属膜12から上方
に離れるのにつれて側外方に離れるテーパ形状とされて
いる。金属膜12は一般に蒸着によって誘電体ブロック11
の上に形成されるが、試料保持枠113を上述のような形
状としておけば、この蒸着に際して蒸着金属が試料保持
枠113に遮られて金属膜12の厚みが不均一になるような
不具合を防止できる。
【0075】この第3実施形態の測定チップ110も、透
明誘電体ブロック11をPMMAから形成してなるもので
あり、それによりこの場合も、前述したのと同様の効果
を得ることができる。
【0076】次に図8に斜視形状を示す第4実施形態の
測定チップ210は、図3に示した測定チップ10と比べる
と、誘電体ブロック11の部分の形状は同じで、試料保持
枠213の形状が円筒形に変えられたものである。またそ
れに応じて、金属膜212は円形に形成されている。
【0077】この第4実施形態の測定チップ210も、透
明誘電体ブロック11をPMMAから形成してなるもので
あり、それによりこの場合も、前述したのと同様の効果
を得ることができる。
【0078】次に図9に斜視形状を示す第5実施形態の
測定チップ310において、試料保持枠313は、円柱状の内
部空間を画成する形状とされている。それに応じて、金
属膜312は円形に形成されている。また誘電体ブロック3
11は、光入射面311bおよび光出射面311cがそれぞれ球
面の一部をなす形状とされている。誘電体ブロック311
をこのような形状とすれば、光入射面311bおよび光出
射面311cにおいて、光ビーム30に対するレンズ効果を
持たせることができる。
【0079】この第5実施形態の測定チップ310も、透
明誘電体ブロック311をPMMAから形成してなるもの
であり、それによりこの場合も、前述したのと同様の効
果を得ることができる。
【0080】次に図10に斜視形状を示す第6実施形態
の測定チップ410は、図8に示した測定チップ210と比べ
ると、誘電体ブロック411の部分の形状が変えられたも
のである。すなわちこの誘電体ブロック411は、光ビー
ム30の光路から外れた部分が切り取られた形状とされて
いる。誘電体ブロック411をこのような形状とすれば、
その材料、つまり例えば前述したガラスや透明樹脂等の
使用量を節減することができる。
【0081】この第6実施形態の測定チップ410も、透
明誘電体ブロック411をPMMAから形成してなるもの
であり、それによりこの場合も、前述したのと同様の効
果を得ることができる。
【0082】次に図11を参照して、本発明の第7実施
形態による表面プラズモン共鳴測定チップ510について
説明する。この第7実施形態の表面プラズモン共鳴測定
チップ510は、例えば先に挙げたような透明樹脂から形
成された誘電体ブロック511からなるものである。この
誘電体ブロック511は概略、四角錐の一部を切り取った
形状のものであり、したがって、上方(図示のように使
用状態に配した場合の上方。以下、同様)に向かって次
第に大きくなるテーパ状の外形部分を備えたものとなっ
ている。
【0083】そしてこの誘電体ブロック511の4つの側
面のうち2面は、それぞれ光入射面511b、光出射面511
cとされている。これらの光入射面511bおよび光出射
面511cは、全体的に透明に形成されてもよいし、光ビ
ームが通過する一部領域のみ透明に形成されてもよい。
他方、残りの2つの側面は、光入射面511bおよび光出
射面511cと同様に形成されてもよいし、あるいは半透
明に形成されてもよい。
【0084】また誘電体ブロック511の上面には、上方
に向かって次第に径が拡大する、断面円形の試料保持穴
511mが形成されている。そしてこの試料保持穴511mの
底面には、金属膜512が形成されている。つまり本例で
は、試料保持穴511mの周囲に位置する誘電体ブロック5
11の部分が、そのまま試料保持枠を構成している。
【0085】この表面プラズモン共鳴測定チップ510を
使用する表面プラズモン共鳴測定装置のターンテーブル
20(図1参照)は、図示のように四角形のチップ保持孔
20wを有している。このチップ保持孔20wは、誘電体ブ
ロック511の外形に合わせて、上方に向かって断面形状
が次第に大きくなるテーパ状とされている。
【0086】表面プラズモン共鳴測定チップ510は、上
記チップ保持孔20wに上方から挿し込み、嵌合させるこ
とによって、ターンテーブル20に保持される。こうし
て、四角形のチップ保持孔20wと断面四角形の誘電体ブ
ロック511とを嵌合させるのであれば、誘電体ブロック5
11はその上下方向に垂直な面内で(つまりターンテーブ
ル20の表面と平行な水平面内で)自ずと所定の向きにセ
ットされ、そこから動いてしまうことも無くなる。この
ように本実施形態の表面プラズモン共鳴測定チップ510
は、水平面内での位置決めが極めて容易になされ得るも
のである。
【0087】また、上述のようにテーパ状の外形部分を
有する誘電体ブロック511をチップ保持孔20wに上方か
ら挿し込むと、誘電体ブロック511はチップ保持孔20w
と嵌合する高さ位置で自ずと止まって保持されるから、
この測定チップ510の高さ方向の位置決めも極めて容易
になされ得る。なお本例では、測定チップ510が高さ方
向に位置決めされたとき、誘電体ブロック511の、図中
に示した2点鎖線よりも下の部分がターンテーブル20か
ら下方に突出するようになっている。
【0088】この第7実施形態の測定チップ510も、透
明誘電体ブロック511をPMMAから形成してなるもの
であり、それによりこの場合も、前述したのと同様の効
果を得ることができる。
【0089】次に、本発明の第8実施形態による表面プ
ラズモン共鳴測定チップについて説明する。図12の
(1)および(2)はそれぞれ、本発明の第8実施形態による
表面プラズモン共鳴測定チップ610の斜視形状、側断面
形状を示すものである。
【0090】この第8実施形態の表面プラズモン共鳴測
定チップ610は、図11に示したものと比較すると、誘
電体ブロック611の上方に試料保持枠613が形成されてい
る点が基本的に異なるものである。この試料保持枠613
は誘電体ブロック611と一体的に形成され、円錘の一部
を切り取ってその内部にテーパ状の試料保持穴613aを
設けた形とされている。そしてこの試料保持穴613aの
底面には、金属膜612が形成されている。
【0091】誘電体ブロック611は、図11に示した誘
電体ブロック511と基本的に同様の外形を有するもので
あり、その4つの側面のうち2面は、それぞれ光入射面
611b、光出射面611cとされている。誘電体ブロック61
1がこのような形状とされているので、本実施形態の表
面プラズモン共鳴測定チップ610を図11に示したター
ンテーブル20のチップ保持孔20wに嵌合、保持させる場
合も、先に説明したのと全く同様に、水平面内での位置
決めも、また高さ方向の位置決めも容易になされ得る。
【0092】この第8実施形態の測定チップ610も、透
明誘電体ブロック611をPMMAから形成してなるもの
であり、それによりこの場合も、前述したのと同様の効
果を得ることができる。
【0093】以上、本発明の表面プラズモン共鳴測定チ
ップの実施形態を、誘電体ブロックがPMMAから形成
されたものについて説明したが、誘電体ブロックの材料
はこのPMMAに限られるものではなく、その他例え
ば、日本ゼオン株式会社が製造するシクロオレフィンポ
リマーの一つである「ZEONEX 330R」(商品
名)を用いても、PMMAを用いる場合とほぼ同等の効
果を得ることができる。
【0094】さらにこの誘電体ブロックの材料として
は、日本ゼオン株式会社が製造するシクロオレフィンポ
リマーの一つである「ZEONOR」(商品名)や、さ
らには、三井化学株式会社が製造するシクロオレフィン
コポリマーの一種のエチレン・テトラシクロドデセン共
重合体である「アベル」(商品名)等の樹脂も適用可能
である。以上の各樹脂を、前述したp偏光成分からs偏
光成分への変換比率Rを低く抑えるという点から評価す
ると、「ZEONEX 330R」、「ZEONOR」
および「アベル」がPMMAより好ましいものとなって
いる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による表面プラズモン
共鳴測定チップを用いる表面プラズモン共鳴測定装置の
全体図
【図2】図1の表面プラズモン共鳴測定装置の要部を示
す一部破断側面図
【図3】本発明の第1の実施形態による表面プラズモン
共鳴測定チップを示す斜視図
【図4】表面プラズモン共鳴測定装置における光ビーム
入射角と、光検出器による検出光強度との概略関係を示
すグラフ
【図5】本発明の第2の実施形態による表面プラズモン
共鳴測定チップを用いる表面プラズモン共鳴測定装置の
要部を示す一部破断側面図
【図6】本発明の表面プラズモン共鳴測定チップを用い
る表面プラズモン共鳴測定装置の他の例を示す一部破断
側面図
【図7】本発明の第3の実施形態による表面プラズモン
共鳴測定チップを示す側断面図
【図8】本発明の第4の実施形態による表面プラズモン
共鳴測定チップを示す斜視図
【図9】本発明の第5の実施形態による表面プラズモン
共鳴測定チップを示す斜視図
【図10】本発明の第6の実施形態による表面プラズモ
ン共鳴測定チップを示す斜視図
【図11】本発明の第7の実施形態による表面プラズモ
ン共鳴測定チップを示す斜視図
【図12】本発明の第8の実施形態による表面プラズモ
ン共鳴測定チップを示す斜視図(1)と側断面図(2)
【図13】表面プラズモン共鳴測定装置における光ビー
ム入射角と、光検出器による検出光強度との関係が、測
定チップの誘電体ブロックの材料に応じて変化する様子
を示す説明図
【図14】上記光検出器の出力信号および、それを微分
した微分信号が、試料の屈折率に応じて変化する様子を
示す概略図
【図15】上記光検出器の出力信号および、それを微分
した微分信号が、試料の屈折率に応じて変化する様子
を、図14の場合とは誘電体ブロックの材料が異なる場
合について示す概略図
【符号の説明】
10、10’ 表面プラズモン共鳴測定チップ 11 誘電体ブロック 11a 誘電体ブロックと金属膜との界面 11b 誘電体ブロックの光入射面 11c 誘電体ブロックの光出射面 12 金属膜 13 試料保持枠 14 センシング媒体 20 ターンテーブル 20w ターンテーブルのチップ保持孔 30 光ビーム 31 レーザ光源 32 集光レンズ 40 光検出器 50 支持体駆動手段 60 コントローラ 61 信号処理部 62 表示部 70 試料自動供給機構 80 アタッチメント 110、210、310、410、510、610 表面プラズモン共鳴
測定チップ 113、213、313、613 試料保持枠 212、312、512、612 金属膜 311、411、511、611 誘電体ブロック 311b、411b、511b、611b 誘電体ブロックの光入
射面 311c、411c、511c、611c 誘電体ブロックの光出
射面 511m、613a 試料保持穴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 敬志 埼玉県大宮市植竹町1丁目324番地 富士 写真光機株式会社内 Fターム(参考) 2G057 AA02 AB04 AB07 AC01 BA01 BB06 HA04 2G058 CA04 CB04 CC08 CD04 CF12 EA11 GA02 2G059 AA01 BB04 BB12 CC16 DD12 DD13 EE02 EE05 FF11 GG01 GG04 JJ11 JJ19 KK01 KK04 PP04

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電体ブロックと、 この誘電体ブロックの一面に形成されて試料に接触させ
    られる金属膜と、 光ビームを発生させる光源と、 前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して、該誘電体
    ブロックと金属膜との界面で全反射条件が得られるよう
    に、かつ、種々の入射角成分を含むようにして入射させ
    る光学系と、 前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して表面プ
    ラズモン共鳴の状態を検出する光検出手段とを備えてな
    る表面プラズモン共鳴測定装置に用いられる測定チップ
    であって、 前記誘電体ブロックが、前記光ビームの入射面、出射面
    および前記金属膜が形成される一面の全てを含む1つの
    ブロックとして形成され、 この誘電体ブロックに前記金属膜が一体化され、 該誘電体ブロックが、前記界面に向けて、該ブロックの
    外でp偏光となっている前記光ビームを入射させたと
    き、該界面でのs偏光成分の強度が該界面での光ビーム
    の強度の50%以下となる樹脂から形成されていること
    を特徴とする表面プラズモン共鳴測定チップ。
  2. 【請求項2】 前記誘電体ブロックが、前記界面に向け
    て、該ブロックの外でp偏光となっている前記光ビーム
    を入射させたとき、該界面でのs偏光成分の強度が該界
    面での光ビームの強度の30%以下となる樹脂から形成
    されていることを特徴とする請求項1記載の表面プラズ
    モン共鳴測定チップ。
  3. 【請求項3】 前記誘電体ブロックが、前記界面に向け
    て、該ブロックの外でp偏光となっている前記光ビーム
    を入射させたとき、該界面でのs偏光成分の強度が該界
    面での光ビームの強度の10%以下となる樹脂から形成
    されていることを特徴とする請求項1記載の表面プラズ
    モン共鳴測定チップ。
  4. 【請求項4】 前記樹脂がポリメタクリル酸メチル、シ
    クロオレフィン重合体およびシクロオレフィン共重合体
    の中から選ばれる樹脂であることを特徴とする請求項1
    から3いずれか1項記載の表面プラズモン共鳴測定チッ
    プ。
  5. 【請求項5】 前記金属膜の上に、試料中の特定物質と
    結合反応を示すセンシング媒体が固定されていることを
    特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の表面プラ
    ズモン共鳴測定チップ。
JP2002011799A 2001-01-25 2002-01-21 表面プラズモン共鳴測定チップ Pending JP2002296177A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002011799A JP2002296177A (ja) 2001-01-25 2002-01-21 表面プラズモン共鳴測定チップ

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001016632 2001-01-25
JP2001-16632 2001-01-25
JP2002011799A JP2002296177A (ja) 2001-01-25 2002-01-21 表面プラズモン共鳴測定チップ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002296177A true JP2002296177A (ja) 2002-10-09

Family

ID=26608269

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002011799A Pending JP2002296177A (ja) 2001-01-25 2002-01-21 表面プラズモン共鳴測定チップ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002296177A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1227313A3 (en) * 2001-01-25 2004-05-19 Fuji Photo Film Co., Ltd. Surface plasmon resonance measuring chip and method of manufacture thereof
EP1628126A2 (en) * 2004-08-17 2006-02-22 Fuji Photo Film Co., Ltd. Method for measuring reaction rate coefficient by surface plasmon resonance
EP1628127A2 (en) * 2004-08-17 2006-02-22 Fuji Photo Film Co., Ltd. Method for measuring dissociation rate coefficient by surface plasmon resonance
JP2006226921A (ja) * 2005-02-18 2006-08-31 Fuji Photo Film Co Ltd 表面プラズモン共鳴測定方法
EP1978350A2 (en) 2003-12-02 2008-10-08 Fujifilm Corporation Method for measuring surface plasmon resonance
US7682566B2 (en) 2005-01-18 2010-03-23 Fujifilm Corporation Sensor unit for assay in utilizing attenuated total reflection
US7723122B2 (en) 2004-08-31 2010-05-25 Fujifilm Corporation Method for analyzing test substance by surface plasmon resonance analysis
JP2015141040A (ja) * 2014-01-27 2015-08-03 セイコーエプソン株式会社 センサーユニット複合体、ラマン分光装置、及び電子機器

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1227313A3 (en) * 2001-01-25 2004-05-19 Fuji Photo Film Co., Ltd. Surface plasmon resonance measuring chip and method of manufacture thereof
US8268613B2 (en) 2001-01-25 2012-09-18 Fujinon Corporation Surface plasmon resonance measuring chip and method of manufacture thereof
EP1978350A2 (en) 2003-12-02 2008-10-08 Fujifilm Corporation Method for measuring surface plasmon resonance
US7413911B2 (en) 2004-08-17 2008-08-19 Fujifilm Corporation Method for measuring reaction rate coefficient by surface plasmon resonance analysis
EP1628126A3 (en) * 2004-08-17 2008-01-09 FUJIFILM Corporation Method for measuring reaction rate coefficient by surface plasmon resonance
EP1628127A3 (en) * 2004-08-17 2006-05-17 Fuji Photo Film Co., Ltd. Method for measuring dissociation rate coefficient by surface plasmon resonance
EP1628127A2 (en) * 2004-08-17 2006-02-22 Fuji Photo Film Co., Ltd. Method for measuring dissociation rate coefficient by surface plasmon resonance
US7439078B2 (en) * 2004-08-17 2008-10-21 Fujifilm Corporation Method for measuring dissociation rate coefficient by surface plasmon resonance analysis
EP1628126A2 (en) * 2004-08-17 2006-02-22 Fuji Photo Film Co., Ltd. Method for measuring reaction rate coefficient by surface plasmon resonance
US7723122B2 (en) 2004-08-31 2010-05-25 Fujifilm Corporation Method for analyzing test substance by surface plasmon resonance analysis
US7682566B2 (en) 2005-01-18 2010-03-23 Fujifilm Corporation Sensor unit for assay in utilizing attenuated total reflection
JP2006226921A (ja) * 2005-02-18 2006-08-31 Fuji Photo Film Co Ltd 表面プラズモン共鳴測定方法
JP2015141040A (ja) * 2014-01-27 2015-08-03 セイコーエプソン株式会社 センサーユニット複合体、ラマン分光装置、及び電子機器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6597456B2 (en) Measuring chip for quantitative analysis of substances
US8268613B2 (en) Surface plasmon resonance measuring chip and method of manufacture thereof
EP1186881A1 (en) Measuring method and instrument utilizing total reflection attenuation
US7064837B2 (en) Measuring sensor utilizing attenuated total reflection and measuring chip assembly
JP6991972B2 (ja) 検出チップ、検出システムおよび検出方法
JP6801656B2 (ja) 検出装置および検出方法
JP2002296177A (ja) 表面プラズモン共鳴測定チップ
JP4382339B2 (ja) 測定チップ
JP2002243636A (ja) 全反射減衰を利用したセンサーおよび測定チップ
US20020180975A1 (en) Measuring apparatus
EP3584561B1 (en) Inspection chip and inspection system
JP3883926B2 (ja) 測定装置
JP2002277390A (ja) 測定チップ
JP2002243637A (ja) 全反射減衰を利用したセンサーおよび測定チップ
JPWO2019230222A1 (ja) 表面プラズモン励起増強蛍光測定法
JP4053246B2 (ja) 全反射減衰を利用したセンサー
JP2003194712A (ja) 全反射減衰を利用した測定装置および測定チップ
JP2002048707A (ja) 全反射減衰を利用した測定方法および装置
JP2002310903A (ja) 全反射減衰を利用したセンサー
JP5283364B2 (ja) センシング装置
JP2003106992A (ja) 測定チップおよびその作製方法
JPWO2016093037A1 (ja) 検出装置および検出方法
JP2005098793A (ja) センサウェルユニットおよび測定装置
KR100820235B1 (ko) 다 매질에서 측정 가능한 광학계를 이용한 표면 플라즈몬공명 장치
JP2004053279A (ja) 測定チップ位置決め機構

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040803

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20041210

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20061204