JPWO2019230222A1 - 表面プラズモン励起増強蛍光測定法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、光学素子に励起光を入射することにより生じる表面プラズモン共鳴により蛍光物質を励起して、前記蛍光物質から放出される蛍光の測定を行う表面プラズモン励起増強蛍光測定において、前記蛍光の測定を行う前に、前記光学素子の除電を行う表面プラズモン励起増強蛍光測定法である。本発明の表面プラズモン励起増強蛍光測定法は、光学ノイズが低く、高感度かつ高精度な分析が可能である。

Description

本発明は、表面プラズモン励起増強蛍光測定法に関し、詳しくは、光学ノイズが低く、高精度、高感度な表面プラズモン励起増強蛍光測定法に関する。
生化学検査において、抗原抗体反応などの生化学反応が利用されている。たとえば、蛍光免疫測定法(Fluoroimmunoassay, FIA)では、抗原などの被検出物質に蛍光物質を含む標識物質を結合させて被検出物質を蛍光標識する。蛍光標識された被検出物質に励起光を照射し、蛍光物質から発せられる蛍光を検出して、その蛍光の強度から被検出物質の量などを特定する。FIAの中で、被検出物質の検出を特に高感度で行うことが可能な方法として表面プラズモン励起増強蛍光測定法(Surface Plasmon-Field Enhanced Fluorescence Spectroscopy, SPFS)が知られている。
SPFSでは、被検出物質と特異的に結合する第1の捕捉体(たとえば1次抗体)を金属膜上に固定して、被検出物質を捕捉するための反応場を形成する。たとえば、ウェル(液体を収容する有底の凹部材)の底面に検査チップを備えたSPFS装置が知られている。この検査チップでは、ウェルは光透過性を有する誘電体部材の上に形成された金属膜上に、貫通孔を有するウェル部材を固定することで形成されており、反応場は、ウェルの底面を構成する金属膜上に配置されている。被検出物質を含む検体をこのウェルに導入することで、金属膜上に固定された反応場を形成する第1の捕捉体に被検出物質を結合させる。次いで、蛍光標識された第2の捕捉体(たとえば2次抗体)をウェルに導入することで、第1の捕捉体に結合した被検出物質に第2の捕捉体をさらに結合させる。つまり、被検出物質を間接的に蛍光標識する。誘電体部材側から金属膜に励起光を照射すると、蛍光物質が、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance, SPR)により増強された電場により励起されて蛍光を放出する。
SPFSは高感度、高精度であるので、光学ノイズも高く検出してしまう。SPFSで正確なデータを得るためには、ノイズの低減が必須である。
特許文献1には、SPFSにおいてノイズの低減を図る技術として、プラズモン励起センサーと流路天板との間の流路に光学ノイズ吸収剤からなる層を設けたセンサーチップが記載されている。
特開2012−37477号公報
特許文献1に記載された技術により、プラズモン発生直後に一定量の光学ノイズを吸収することにより、光学ノイズの絶対量を低減させることができるが、高感度、高精度であるSPFSにおいては、正確なデータを得るために、さらなるノイズの低減が要求される。
本発明は、ノイズが低く、高感度かつ高精度な分析が可能な表面プラズモン励起増強蛍光測定法を提供することを目的とする。
本発明者は、SPFSに使用するプリズムなどの光学素子に付着した埃等が、SPFSにおいて発生するノイズの一因となっているという知見を得て、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の表面プラズモン励起増強蛍光測定法は、光学素子に励起光を入射することにより生じる表面プラズモン共鳴により蛍光物質を励起して、前記蛍光物質から放出される蛍光の測定を行う表面プラズモン励起増強蛍光測定において、前記蛍光の測定を行う前に、前記光学素子の除電を行う。
前記除電の方法としては、光学素子に送風を行う方法、静電気除去装置を用いる方法、前記光学素子に金属を接触させる方法、および前記プリズムに帯電防止剤を接触させる方法を挙げることができる。
前記表面プラズモン励起増強蛍光測定法においては、前記光学素子の除電を送風以外の方法で行った後、前記光学素子に送風を行うことも好ましい。
前記送風以外の方法としては、静電気除去装置を用いる方法、前記光学素子に金属を接触させる方法、または前記光学素子に帯電防止剤を接触させる方法を挙げることができる。
この態様の表面プラズモン励起増強蛍光測定法において、除電をブランク測定の前に行うことが好ましく、さらに蛍光測定の直前にも行うことが好ましい。
前記光学素子としては、プリズムおよび微細な凸部または凹部が周期的に配列されている回折格子を挙げることができる。
本発明の表面プラズモン励起増強蛍光測定法の一態様は、前記表面プラズモン励起増強蛍光測定が、前記プリズムから入射される励起光により表面プラズモン共鳴を生じさせる金属膜と、該金属膜に固定化された第1の捕捉体とを含む検出チップを用いて行われ、前記第1の捕捉体に被検出物質を結合させる第一工程、前記第1の捕捉体に結合した被検出物質に、蛍光物質で標識された第2の捕捉体を結合させる第二工程、および前記金属膜に前記プリズムから励起光を入射し、表面プラズモン共鳴により前記蛍光物質を励起して、前記蛍光物質から放出される蛍光を測定する第三工程を含む。
前記態様の表面プラズモン励起増強蛍光測定法において、例えば前記検出チップは、上部および側部に開口を有する収容部を含むウェル本体と、被検出物質を補足する補足領域を有する側壁部材とを有し、
前記側壁部材は、前記収容部の側部の開口を介して前記補足領域の少なくとも一部が前記収容部内に露出し、かつ前記収容部の側部の開口の少なくとも一部を閉塞するように前記ウェル本体に固定され、
前記側壁部材は、前記プリズムを備え、該プリズムは、光が入射する入射面と、該入射面から入射された光が反射する反射面とを有し、
前記反射面上に前記金属膜が設けられ、
前記金属膜上に前記補足領域が配置され、該補足領域に前記第1の捕捉体が結合されている。
本発明の表面プラズモン励起増強蛍光測定法の他の態様は、前記表面プラズモン励起増強蛍光測定が、入射される励起光により表面プラズモン共鳴を生じさせる前記回折格子を有する金属膜と、該金属膜に固定化された第1の捕捉体とを含む検出チップを用いて行われ、
前記第1の捕捉体に被検出物質を結合させる第一工程、
前記第1の捕捉体に結合した被検出物質に、蛍光物質で標識された第2の捕捉体を結合させる第二工程、および
前記金属膜に前記プリズムから励起光を入射し、表面プラズモン共鳴により前記蛍光物質を励起して、前記蛍光物質から放出される蛍光を測定する第三工程を含む。
前記態様の表面プラズモン励起増強蛍光測定法において、例えば前記検出チップは、上部および側部に開口を有する収容部を含むウェル本体と、被検出物質を補足する補足領域を有する側壁部材とを有し、
前記側壁部材は、前記収容部の側部の開口を介して前記補足領域の少なくとも一部が前記収容部内に露出し、かつ前記収容部の側部の開口の少なくとも一部を閉塞するように前記ウェル本体に固定され、
前記側壁部材は、前記回折格子を有する金属膜を備え、
前記回折格子は、前記収容部の側部の開口を介して前記収容部内に露出し、
前記捕捉領域は前記回折格子上に配置され、前記捕捉領域に前記第1の捕捉体が結合されており、
前記ウェル本体の前記収容部を構成する側壁の少なくとも一部は光透過性を有する。
本発明の表面プラズモン励起増強蛍光測定装置は、光学素子に励起光を入射することにより生じる表面プラズモン共鳴により蛍光物質を励起して、前記蛍光物質から放出される蛍光の測定を行う表面プラズモン励起増強蛍光測定装置であって、前記光学素子の除電を行う除電手段を備える。
本発明の表面プラズモン励起増強蛍光測定法は、光学ノイズが低く、高感度かつ高精度な分析が可能である。
図1は、第一の実施形態に係る生化学検査システムの構成を示す模式図である。 図2a〜cは、第一の実施形態に係る検査チップの構造を示す模式図である。図2aは、検査チップの斜視図である。図2bは、ウェル本体の斜視図である。図2cは、ウェル本体の斜視投影図である。 図3は、第一の実施形態に係る側壁部材の構造を示す模式図である。 図4は、第一の実施形態に係る検査チップを第1開口側から見た場合の模式図である。 図5は、第一の実施形態に係る制御演算部のブロック図である。 図6は、攪拌装置の回転体に設置された第一の実施形態に係る検査チップの円運動を説明する模式図である。 図7は、第一の実施形態に係る生化学検査システムの動作を説明するフローチャートである。 図8は、第一の実施形態に係る送液・搬送部の動作を説明する模式図である。 図9は、側壁部材をウェルの側面に有する第一の実施形態に係る検査チップを、ウェルの開口側から見た場合の模式図である。 図10は、第二の実施形態に係る検出システムの構成を示す模式図である。 図11Aは、第二の実施形態に係る検出チップの斜視図であり、図11Bは、ウェル本体の斜視図であり、図11Cは、ウェル本体の斜視透視図である。 図12は、第二の実施形態に係る検出チップに入射する光と検出チップから出射する光を示す模式図である。 図13は、図12の断面図における反応場近傍を拡大した部分拡大断面図である。 図14Aおよび図14Bは、回折格子の斜視図である。 図15は、第二の実施形態に係る検出方法のフローチャートであり、検出システムの動作手順の一例を示すフローチャートである。 図16Aおよび図16Bは、第二の実施形態に係る検出システムの第1変形例を説明するための、検出チップに入射する光と検出チップから出射する光を示す模式図である。 図17Aおよび図17Bは、第二の実施形態に係る検出システムの第2変形例を説明するための、検出チップに入射する光と検出チップから出射する光を示す模式図である。 図18(A)および(B)は、それぞれプリズムの除電を行った表面プラズモン励起増強蛍光測定法において得られたブランクおよび蛍光シグナル値のグラフである。図18(C)および(D)は、それぞれプリズムの除電を行わなかった表面プラズモン励起増強蛍光測定法において得られたブランクおよび蛍光シグナル値のグラフである。
本発明に係る表面プラズモン励起増強蛍光測定法は、光学素子に励起光を入射することにより生じる表面プラズモン共鳴により蛍光物質を励起して、前記蛍光物質から放出される蛍光の測定を行う表面プラズモン励起増強蛍光測定において、前記蛍光の測定を行う前に、前記光学素子の除電を行う。
前記光学素子は、表面プラズモン励起増強蛍光測定において、励起光の入射を受けて表面プラズモン共鳴を発生させる部位であり、以下に説明する第一の実施形態においてはプリズムが、第二の実施形態においては回折格子が前記光学素子に該当する。
以下、図面を参照しながら本発明に係る表面プラズモン励起増強蛍光測定法を実施する形態を説明する。
[第一の実施形態]
第一の実施形態は、生化学検査方法であり、1つの検査を構成する個々のステップをそれぞれ行う複数の測定ユニットが生産ラインに順に並んでおり、検査チップが生産ラインに沿って進行することにより、個々のステップが順に行われ検査が進行していくとともに、複数の検査チップを次々と導入することにより、複数の検査をほぼ同時に行える連続形態を採用している。ただし、本発明は連続形態には限定されない。たとえば、1つの検査を構成する個々のステップを同じ位置で行い、検査の進行が検査チップの進行に依存しない非連続形態を採用することもできる。
(生化学検査システム)
図1は、本実施形態で使用する生化学検査システムAの構成を示す模式図である。生化学検査システムAは、SPFSを利用した生化学検査を行うシステムである。具体的に、生化学検査システムAは、金属膜上に固定化された第1の捕捉体により被検出物質を捕捉し、第1の捕捉体に捕捉された被検出物質に、蛍光物質により蛍光標識された第2の捕捉体を結合させて被検出物質を蛍光標識する。その後、金属膜に励起光を照射して金属膜近傍において表面プラズモン共鳴に基づく増強電場を発生させ、増強電場によって励起された蛍光物質から放出された蛍光を検出して被検出物質の存在や量を測定する。
図1に示すように、生化学検査システムAは加振部10と、投光部20と、送液搬送部30と、検出部40とにより、加振部10に配置された検査チップに励起光を照射し、検出部40により、検査チップから出射された蛍光を検出するように構成されている。
(加振部)
加振部10は、検査チップ60a、60cおよび60dに対応する位置10a、10cおよび10dに、回転振動により各検査チップ60a、60cおよび60d内に収容された液体を攪拌する、図示しない攪拌装置をそれぞれ備える。攪拌装置は、励起光、蛍光、プラズモン散乱光等の光路を妨げないように配置され、偏芯した回転体を有する。回転体は検査チップと接触した状態で回転振動を行うことで、検査チップの周方向の回転振動を加えて検査チップ内に収容された液体を攪拌する。ただし、攪拌装置は、偏芯した回転体を有するものに限定されず、検査チップに回転振動を加えることにより検査チップ内に収容された液体を攪拌できるものであればよい。
攪拌装置が検査チップ内に収容された液体を攪拌することで、生化学検査における各ステップの反応や洗浄などを効率的に行うことができる。検査チップ内の液体を効率よく攪拌する観点から、攪拌反装置は、液体を収容した検査チップの固有振動数、またはその前後の振動周波数で検査チップに回転振動を加えることが好ましい。また、異なる固有振動数(n次の固有振動数およびm次の固有振動数、nおよびmは正の整数)を順次切り替えながら検査チップに回転振動を加えてもよい。なお、攪拌装置を設ける位置は、前述した位置に限定されず、各ステップの操作内容によって、必要に応じて設置位置もしくは数を変更し、またはすべての検査チップに対応して攪拌装置をそれぞれ設けることも可能である。
(投光部)
投光部20は、光源ユニットと第1角度調整部と(いずれも図示しない)からなり、検査チップに対して励起光を照射する。
光源ユニットは、光源と、ビーム整形光学系と、APC機構と、温度調整機構とからなり、検査チップに励起光を照射する。図2a〜cは、検査チップ60の構造を有する模式図である。検査チップ60の構造については後述するが、図2aに示すように、検査チップ60は、ウェル本体61と側壁部材62とからなり、図2bおよびcに示されるように、側壁部材62と隣接するウェル本体61の側壁に、第2開口64が設けられている。図3は、検査チップ60の高さ方向(図2における上下方向)の断面における第2開口64近傍を拡大した部分拡大断面図であり、側壁部材62の構造を示す模式図である。側壁部材62の構造の詳細は後述するが、図3に示すように、側壁部材62は、プリズム71と、金属膜75と、捕捉膜76とからなり、第2開口64において捕捉膜76が露出して反応場77を形成する。
図4は、検査チップ60の横断面を示す図であり、検査チップ60に入射する光と検査チップ60から出射する光とを示す模式図である。図4に示すように、光源ユニットは、波長および光量が一定の励起光91を、検査チップ60のプリズム71に対して、プリズム71の反射面73における照射スポットの形状がほぼ円形となるように照射する。照射スポットの大きさは、反応場77より小さいことが好ましい。
光源の種類は、特に限定されず、例えばレーザーダイオード(LD)である。光源の他の例には、発光ダイオード、水銀灯、その他のレーザー光源が含まれる。光源から照射される光がビームでない場合は、光源から照射される光は、レンズや鏡、スリットなどによりビームに変換される。また、光源から照射される光が単色光でない場合は、光源から照射される光は、回折格子などにより単色光に変換される。さらに、光源から照射される光が直線偏光でない場合は、光源から照射される光は、偏光子などにより直線偏光に変換される。
ビーム整形光学系は、たとえば、コリメーターと、バンドパスフィルターと、直線偏光フィルターと、半波長板と、スリットと、ズーム手段とからなる。ただし、ビーム整形光学系は、これらの一部のみを含むように構成されてもよい。コリメーターは、光源から出射された励起光をコリメートする。バンドパスフィルターは、光源から出射された励起光を中心波長のみの狭帯域光にする。光源から出射された励起光は、若干の波長分布幅を有するからである。直線偏光フィルターは、光源から出射された励起光を完全な直線偏光の光にする。半波長板は、反射面73にP波成分が入射するように、励起光の偏光方向を調整する。スリットおよびズーム手段は、反射面73における照射スポットの形状が所定サイズの円形となるように、励起光のビーム径や輪郭形状等を調整する。
APC機構は、光源の出力が一定となるように光源を制御する。具体的には、APC機構は、励起光から分岐させた光の光量をフォトダイオードなどにより検出し、回帰回路で投入エネルギーを制御して光源の出力を一定に制御する。
温度調整機構は、たとえば、ヒーターやペルチェ素子である。光源から出射される波長およびエネルギーは、温度によって変動することがあるので、温度調整機構は、光源の温度を一定に維持することにより光源から出射される光の波長およびエネルギーを一定に制御する。
第1角度調整部は、励起光91の光軸と検査チップ60とを相対的に回転させて、反射面73に対する励起光91の入射角αを調整する。
たとえば、第1角度調整部は、検査チップ60の高さ方向に沿った軸(図4において紙面と垂直な軸)を中心として、光学ユニットを回動させて入射角αを走査する。これにより、前述した走査によって入射角αが変動したとしても、反射各73における励起光91の照射スポットに位置はほとんど変化せずに維持される。
このように、第1角度調整部が励起光91の入射角αを走査することにより、後述する検出部40において増強角が特定される。増強角とは、反射面73に対して励起光91を照射した場合に、反射面73を通過して検査チップ60のウェル本体61側に放出され、励起光91と同一波長のプラズモン散乱光94の光量が最大となるときの入射角たる角度である。増強角は、後述する光学ブランク測定および蛍光値測定時の励起光91の入射角αとして設定される。なお、増強角など励起光91の入射条件は、検査チップ60の設計要素(たとえば、プリズム71の材料や形状、金属膜75の膜厚、励起光91の波長など)や、検査チップ60内に収容される液体の屈折率等によっておおむね決定されるが、プリズム71の形状誤差、検査チップ60内に収容される液体の組成(たとえば、蛍光物質の種類や量など)等により変動することもあることから、検査ごとに最適な増強角を特定することが好ましい。
(検出部)
検出部40は、第1レンズと、光学フィルターと、第2レンズと、位置切替手段と、受光センサーと(いずれも図示せず)からなり、検査チップ60から出射された蛍光93およびプラズモン散乱光94を検出する。
第1レンズは、たとえば集光レンズであり、反応場77近傍から出射される光を集光する。第2レンズは、たとえば結像レンズであり、第1レンズで集光された光を受光センサーの受光面に結像させる。第1レンズと第2レンズの間の光路は、ほぼ平行な光路となっている。
光学フィルターは、蛍光93を検出する場合、位置切替部により、第1レンズと第2レンズの間の光路上に配置される。光学フィルターは、たとえば、所定の光成分を反射する多層膜を含むフィルター、または所定の光成分を吸収する色ガラスフィルターであり、第1レンズで集光された光のうち、励起光91やプラズモン散乱光94などの励起光成分を除去し、蛍光93のみを受光センサーに導く。これにより、受光センサーにおいて、高いS(シグナル)/N(ノイズ)比で蛍光93を検出することができる。光学フィルターの例には、励起光反射フィルター、短波長カットフィルターおよびバンドパスフィルターが含まれる。
プラズモン散乱光93を検出する場合、光学フィルターは、第1レンズと第2レンズの間の光路外に配置される。この場合、プラズモン散乱光94の光量が最大となるときの入射角たる増強角が特定される。
位置切替部は、必要に応じて、光学フィルターを、第1レンズと第2レンズの間の光路上に、または同光路外に配置する。具体的には、蛍光93を検出する場合には、光学フィルターを同光路上に配置し、プラズモン散乱光94を検出する場合には、光学フィルターを同光路外に配置する。
受光センサーは、蛍光93やプラズモン散乱光94を検出する。受光センサーは、たとえば、光電子増倍管(PMT)やアバランシェフォトダイオード(APD)などである。ただし、受光センサーは、これらに限定されず、微弱な蛍光93を検出することが可能で、高い感度を有するものであればよい。
また、検出部40は、プラズモン散乱光94を検出する代わりに、励起光91の反射光92を検出するように構成されてもよい。たとえば、上記受光センサーにより、または反射光検出用の受光センサー(たとえばフォトダイオード)を別途設けて、反射光92を検出するように構成されてもよい。この場合、投光部20の第1角度調整部が励起光91の入射角αを走査する際、検出部40においては、増強角の代わりに、共鳴角が特定され、後述する光学ブランク測定および蛍光値測定時の励起光91の入射角αとして設定される。共鳴角とは、反射面73に対して励起光93を照射した場合に、反射面73に反射された励起光91の反射光92の光量が最小となるときの入射角たる角度である。なお、共鳴角は、増強角の極近傍に存在する。
また、投光部20と受光センサーは、検査部60と同じ高さに配置されている。これにより、生化学検査システムの小型化を図ることができる。ただし、投光部20と受光センサーは、必ずしも検査部60と同じ高さに配置されている必要はない。たとえば、ミラーなどを用いて投光部20と受光センサーの位置を自由に変更することも可能である。
(送液搬送部)
送液搬送部30は、送液手段と搬送手段と(いずれも図示せず)からなる。送液手段は、必要に応じて、試薬等の液体を検査チップに供給し、また、検査チップ内に収容された液体を回収する。搬送手段は、必要に応じて、検査チップを移動させて適切な位置に配置する。
送液手段は、試薬チップと、ピペットユニットと、第1移動機構と(いずれも図示せず)からなる。
試薬チップは、検体、検体希釈用液、測定用緩衝液、洗浄液、被検出物質に蛍光標識を付与するための標識液等をそれぞれ収容可能な容器である。検体および被検出物質の種類は特に限定されない。検体の例には、血液、血清、血漿、脳脊髄液、尿、鼻孔液、唾液、精液などの体液および組織抽出液が含まれる。被検出物質の例には、核酸(DNAやRNA)、タンパク質(ポリぺプチド、オリゴペプチドなど)、アミノ酸、糖質、脂質およびこれらの修飾分子が含まれる。検体希釈用液は、たとえばBSA(bovine serum albumin),Antifoam SI、NaN3、CMD(carboxymethyl-dextran)、HAMA(human anti-mouse antibodies)阻害剤、PBST(phosphate buffered saline with Tween 20)からなる。測定用緩衝液は、たとえばBSA、Antifoam SI、NaN3、PBSTからなる。標識液は、たとえば蛍光物質により標識された2次抗体とPBSTとからなる。また、試薬チップは通常、複数の容器が液体の種類に応じて配置されるか、または複数の容器が一体化されている。
ピペットユニットは、シリンジポンプとノズルとからなる。シリンジポンプは、シリンジと、シリンジ内を往復運動可能なプランジャーと、駆動機構とからなり、プランジャーの往復運動により液体を定量的に吸引または吐出する。駆動機構は、プランジャーを往復運動させるための手段であり、たとえばステッピングモーターからなる。ノズルの一旦はシリンジポンプと接続されている。シリンジポンプと接続しないシリンジの他端には、ピペットチップが装着されている。ただし、ピペットチップを使用せずに、試薬等の液体をノズルにより検査チップ内に直接供給し、または検査チップ内に収容された液体をノズルにより直接回収することも可能である。
第1移動機構は、ノズルを移動させて所定の位置に配置する。たとえば、第1移動機構は、ノズルを垂直方向と水平方向との二方向に自在に移動させる。第1移動機構の例には、ロボットアームと、2軸ステージまたは上下動自在なターンテーブルとからなるものが含まれる。
搬送手段は、検査チップ保持部と、第2移動機構(いずれも図示せず)からなる。
検査チップ保持部は、検査チップ60を保持するためのものであり、第2移動機構に固定され、または着脱自在に構成されている。第2移動機構は、検査チップ保持部を移動させることによって、検査チップ保持部に保持された検査チップ60を、検査を構成する個々のステップをそれぞれ行う各測定ユニットに対応する位置10a〜10eなど、必要に応じて適切な位置に配置する。第2移動機構の例には、コンベアや回転ステージが含まれる。ただし、複数の検査をほぼ同時に行える連続形態を採用せず、1つの検査を構成する個々のステップを同じ位置で行う非連続形態を選択する場合は、第2移動機構を設ける必要はない。たとえば、第2移動機構を省略し、検査チップ保持部のみを設けて検査チップ60を保持するように構成してもよい。また、連続形態を選択する場合でも、検査の進行に応じて検査チップ60を移動させる必要がなければ、1つの検査を構成する個々のステップをそれぞれ行う各測定ユニットに対応して複数の検査チップ60を設け、1つの測定ユニットにおける作業が完了したら、検査チップ60を移動させるのではなく、検査チップ60内の試薬等の液体を送液手段等により次の測定ユニットに対応する検査チップ60内に移し替えることが可能である。この場合も、第2移動機構を省略し、検査チップ保持部のみを設けて各検査チップ60を保持するように構成してもよい。
(制御演算部)
図5は、制御演算部50のブロック図である。制御演算部50は、図5に示すように、CPU51と、投光制御部52と、送液駆動制御部53と、送液移動制御部54と、搬送制御部55と、検出制御部56と、演算部57とからなる。
CPU51は、測定全体の制御を行い、必要に応じて後述する各制御部または演算部を作動させる。投光制御部52は、投光部20の制御を行い、励起光を所定の位置に照射する。送液駆動制御部53は、送液搬送部30の送液手段のピペットユニットの制御を行い、所定の液体を所定量で吸引または吐出する。送液移動制御部54は、送液搬送部30の送液手段の第1移動機構の制御を行い、ノズルを所定の位置に配置する。搬送制御部55は、送液搬送部30の搬送手段の制御を行い、必要に応じて検査チップを適切な位置に配置する。検出制御部56は、検出部4の制御を行い、必要に応じてプラズモン散乱光または蛍光の検出を行う。演算部57は、プラズモン散乱光の光量に基づいて増強角を特定し、蛍光の光量に基づいて被検出物質の濃度の算出などの定量的計測を行い、またその他データの補正処理等を行う。
(検査チップ)
図2a〜cは、検査チップ60の構造を示す模式図である。図2aは、検査チップ60の斜視図である。図2aに示すように、検査チップ60はウェル本体61と側壁部材62とからなる。ウェル本体61は、液体を収容可能な有底の構造である。
(ウェル本体)
図2bは、ウェル本体61の斜視図であり、図2cは、ウェル本体61の斜視透視図である。図2bおよび2cに示すように、ウェル本体61は、一方端に第1開口63を有し、側壁部材62と隣接する側壁に第2開口64を有し、第1開口63とは反対する側の側面端に底面構造66を有する。また、ウェル本体61は、側壁部材62が配置された側の外壁が、側壁部材62の幅に合わせて水平に削られ、底面構造66により底面端が閉塞されている略円筒である。第1開口63および第2開口64と接続しているウェル本体61内部の空間は、試薬等の液体を収容する液体収容部65となる。ただし、ウェル本体61の形状は円筒に限定されず、たとえば横断面が正方形の角筒、または横断面が非対称の形状を有するものであってもよい。特に、ウェル本体61が縦に長い形状を呈する場合、被検出物質の検出精度の更なる向上と、安定して且つ効率的な攪拌とを同時に実現する効果が顕著である。また、側壁部材62が配置された側のウェル本体61の外壁の形状も、側壁部材62を固定できればよく、平面に限定されることはない。
ウェル本体61は、励起光91の波長を有する光および蛍光93の波長を有する光に対して透明な材料で形成されており、たとえば樹脂またはガラスで形成されている。ただし、後述する検査方法における測定を妨げない限り、ウェル本体61の一部を、励起光91の波長を有する光および蛍光93の波長を有する光に対して不透明な材料で形成してもよい。
底面構造66は、先端66aが側壁部材62側に偏っている曲面となっている。図4は、検査チップ60を第1開口63側から見たときの模式図である。図4に示すように、先端66aは、ウェル本体61の横断面の対称中心cではなく、対称中心cから側壁部材62側に偏った先端位置xに位置する。先端位置xと、試薬等の液体を収容した状態での検査チップ60の重心(以下、単に「検査チップ60の重心」という)G2とは、検査チップ60の長さ方向において同じ軸上に位置する。図6は、攪拌装置の回転体99に設置された検査チップ60の円運動を説明するための模式図である。図6の上方は、検査チップ60内の液体を攪拌する際、攪拌装置の回転体99に設置された検査チップ60の側面図を示す。図6の下方は、検査チップ60内の液体を攪拌する際、検査チップ60を第1開口63側から見たときの模式図を示す。図6に示すように、検査チップ60と回転体99とは、円端66aで接触していることから、先端66aを、検査チップ60の重心G2が存在する検査チップ60の長さ方向の軸上に配置することにより、図6の下方に示すように、検査チップ60の重心G2と先端66aとは、同じ運動軌道で円運動を行うこととなり、検査チップ60は、回転体99の円運動に連れて安定した円運動を行うことが可能となる。なお、図6の下方においては、表記の便宜上、検査チップ60を直線で表記しており、検査チップ60の重心および先端66aの運動軌道をそれぞれ破線で表記している。
以上のように、検査チップ60が安定した円運動を行うことが可能となれば、検査チップ60が攪拌装置から転落することがなくなり、円運動により、検査チップ60内に収容された試薬等の液体を効率よく攪拌し、試薬等を後述する反応場に十分に供給することができる。
ただし、底面構造66は、曲面に限定されず、たとえば、先端位置xに先端を有する角錐、または先端位置xに突出部を有する平面であってもよい。すなわち、底面構造66は、先端位置xにおいて攪拌装置の回転体99と接触して円運動を受けるように構成されていればよい。また、回転体99に装着した際の安定性の観点から、底面構造66は、接触する回転体99の面と同じ形状であることが好ましい。
また、実施形態において、先端位置xと、検査チップ60の重心G2とは、検査チップ60の長さ方向において同じ軸上に位置しているが、先端位置xは、これに限定されず、ウェル本体61の横断面の中心位置(本実施形態においては対称中心c)から、側壁部材62側に偏っていればよい。たとえば、側壁部材62の重さ等により、先端位置xと、検査チップ60の重心G2とを、検査チップ60の長さ方向において同じ軸上に配置することが、検査チップ60の構造上不可能な場合もある。その場合、先端位置xと、検査チップ60の重心G2とは、必ずしも検査チップ60の長さ方向において同じ軸上に位置する必要はなく、先端位置xを、側壁部材62側に偏るように配置すれば、検査チップ60の円運動を安定させて検査チップ60内に収容された試薬等の液体を効率よく攪拌する効果が得られる。
また、前述したとおり、検査チップ60の重心とは、正確には試薬等の液体を収容した状態での検査チップ60の重心であるが、製造等の便宜上、検査チップ60の重心を検査チップ60自体の重心とすることも可能である。
また、本実施形態において、検査チップ60としては、前述したとおり、ウェル61が、先端66aが側壁部材62側に偏っている底面構造66を有するものを使用しているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、ウェル本体61は、先端66aがウェル本体61の横断面の対称中心cに位置するように構成されてもよい。
(側壁部材)
図3は、検査チップ60の高さ方向(図2における上下方向)の断面における第2開口64近傍を拡大した部分拡大断面図であり、側壁部材62の構造を示す模式図である。図3に示すように、側壁部材62は、プリズム71と、金属膜75と、捕捉膜76とからなり、第2開口64において捕捉膜76が露出して反応場77を形成する。側壁部材62は、検査チップ60内に収容された試薬等の液体が漏洩することなく第2開口64を閉塞できるように、図示されていない接着層を介してウェル本体61に接着されている。ただし、側壁部材62は、接着層を使用せずに、レーザー溶着、超音波溶着、クランプ部材を用いた圧着などによりウェル本体61と接合されていてもよい。
プリズム71は、励起光91に対して透明な誘導体からなる光学素子であり、複屈折特性を少なからず有する。プリズム71の材料の例には、樹脂およびガラスが含まれ、好ましくは、屈折率が1.4〜1.6であり、且つ複屈折が小さい樹脂である。
図4は、検査チップ60を第1開口63側から見たときの模式図であり、検査チップ60に入射する光と検査チップ60から出射する光とを示す模式図である。図4に示すように、プリズム71は、台形を底面とする柱体であり、台形の一方の底面に対応する面が反射面73で、一方の脚に対応する面が入射面74である。投光部20から出射された励起光91は、入射面72に入射される。プリズム71は、入射面72を通過してプリズム71の内部に入射した光が反射面73で反射し、反射面73で反射された反射光92が出射面74を通過してプリズム71の外部に出射するように構成されている。ただし、プリズム71の形状は、台形を底面とする柱体に限定されず、たとえば、三角柱または半円柱であってもよい。また、平面であることが好ましい。
また、励起光91の光源がレーダーダイオード(LD)である場合、励起光91がLDに戻ると、LDの励起状態が乱されてしまい、励起光91の波長や出力が変動してしまうので、入射面72は、励起光91が投光部20に戻らないように形成されており、励起光91が入射面72に垂直に入射しないように反射面73との角度が設定される。本実施形態において、入射面72と反射面73との角度、および、反射面73と出射面74との角度は、いずれも約80°である。
金属膜75は、プリズム71の反射面73上に形成されている。金属膜75の材料は、表面プラズモン共鳴を生じさせうる金属であれば特に制限されない。金属膜75の材料の例には、金、銀、銅、アルミニウムおよびこれらの合金が含まれる。金属膜75の形成方法は、特に限定されない。金属膜75の形成方法の例には、スパッタリング、蒸着、めっきが含まれる。金属膜75の厚みは、特に限定されないが、30〜70nmの範囲内であることが好ましい。
捕捉膜76は、金属膜75上において、被検出物質と特異的に結合する第1の捕捉体が固定化される領域である。第1の捕捉体の種類は、被検出物質との特異的に結合可能なものであれば特に限定されない。第1の捕捉体の例には、被検出物質と特異的に結合可能な抗体(1次抗体)またはその断片、核酸、酵素などが含まれる。
反応場77は、第2開口64においてウェル本体61の液体収容部65に露出している捕捉膜76の領域である。反応場77において、金属膜75上に固定化され、捕捉膜76を形成する第1の捕捉体は、検体中に存在する被検出物質と特異的に結合することにより被検出物質を選択的に捕捉する。検出精度の観点からは、反応場77が形成される面、すなわち、本実施例においては、反応場77には対応する金属膜75の領域の面は、平面であることが好ましい。また、反応場77の上に、第1の捕捉体の捕捉能力を長時間維持するための保護層を設けてもよい。
反応場77の大きさは特に制限されない。捕捉膜76が第2開口64を閉塞できる大きさである場合、反応場77の大きさは第2開口64により規定される。これにより、反応場77の大きさを高精度且つ容易に調整することができる。一方、捕捉膜76が第2開口64よりも小さい場合、捕捉膜76の大きさがそのまま反応場77の大きさとなる。
また、反応場77は、ウェル本体61の底面構造66側の底面から離れた位置の配置されることが好ましい。これにより、液体収容部65内に試薬等の液体を反応場77に供給し反応を効率よく行うことができる。また、蛍光93を検出する際、ウェル本体61の底面構造66側の底面に起因するノイズによって検出精度が低下してしまうことを防止することもできる。
(生化学検査システムの動作)
図7は、生化学検査システムAの動作を説明するためのフローチャートである。図7を用いて生化学検査システムAの動作を説明する。
まず、測定の準備を行う(工程S10)。具体的に、制御演算部50の制御により、送液搬送部30が対象の検査チップ60を生化学検査システムAの位置10a(図1参照)に移動させ、検査チップ60を位置10aに対応する攪拌装置の回転体に装着する。そして、送液搬送部30により洗浄液が検査チップ60に供給され、加振部10により検査チップ60内の液体を攪拌しながら液体収容部65内の洗浄を行う。この際、反応場77上に第1の捕捉体の捕捉能力を長時間維持するための保護層が設けられている場合、保護層も除去される。その後、送液搬送部30により、検査チップ60内の洗浄液が回収され、測定用緩衝液が検査チップ60内に新たに供給される。
次に、励起光を検査チップ60に照射して、増強角を特定するための増強測定および光学ブランクを測定するための光学ブランク値測定を行う(工程S20)。具体的には、制御演算部50の制御により、送液搬送部30が対象の検査チップ60を生化学検査システムAの位置10b(図1参照)に配置し、投光部10が、検査チップ60の反応場77に対応する反射面73の領域に、入射角αを走査しながら励起光91を照射する。それと同時に、検出部40は、励起光91に照射された金属膜75から検査チップ60の内部側に放出されたプラズモン散乱光94を検出する。制御演算部50は、励起光91の入射角αとプラズモン散乱光94の強度との関係を含むデータを取得し、同データに基づいて、プラズモン散乱光94の強度が最大となったときの入射角αを増強角として特定し、励起光91の入射角αの増強角に設定する。また、増強角は、0.1°程度のオーダーで決定される。
その後、制御演算部50の制御により、投光部10は、検査チップ60の反応場77に対応する反射面73の領域に、増強角に設定された入射角αで励起光91を照射する。それと同時に、検出部40は、蛍光93と同じ波長の光の光量を検出する。制御演算部50は、検出部40により測定された光の光量を光学ブランクとして記録する。
その後、送液搬送部30により、検査チップ60内の測定用緩衝液が回収され、測定用検体が検査チップ60内に新たに供給される。なお、測定用検体としては、受検者から直接採取した検体を使用してもよいし、受検者から直接採取した検体を、検体希釈用液で希釈されたものを使用してもよい。
次に、反応場77に露出している第1の捕捉体に、検体中に存在する被検出物質を結合させるための1次反応を行う(工程S30)。具体的には、制御演算部50の制御により、送液搬送部30が対象の検査チップ60を生化学検査システムAの位置10c(図1参照)に移動させ、検査チップ60を位置10cに対応する攪拌装置の回転体に装着する。そして、加振部10により検査チップ60内の液体を攪拌する。この際、検体中に存在する被検出物質は、反応場77に露出している第1の捕捉体と特異的に結合するので、第1の捕捉体に捕捉され、反応場77に留まることとなる。
反応に十分な時間が経過した後、検査チップ60内を洗浄するために、送液搬送部30により、検査チップ60内の測定用検体が回収され、洗浄液が検査チップ60内に新たに供給される。この際、加振部10により、検査チップ60内の液体を攪拌し続けるので、検査チップ60内に非特異的に吸着した被検出物質や夾雑物等が除去される。
その後、送液搬送部30により、検査チップ60内の洗浄液が回収され、標識液が検査チップ60内に新たに供給される。
次に、第1の捕捉体に捕捉された被検出物質に、蛍光標識を付与するための2次反応を行う(工程S40)。具体的には、制御演算部50の制御により、送液搬送部30が対象の検査チップ60を生化学検査システムAの位置10d(図1参照)に移動させ、検査チップ60を位置10dに対応する攪拌装置の回転体に装着する。そして、加振部10により検査チップ60内の液体を攪拌する。標識液には、蛍光標識された第2の捕捉体が存在し、第2の捕捉体は、第1の捕捉体と特異的に結合する被検出物質の部位とは異なる部位にて被検出物質と特異的に結合するので、被検出物質は、第2の捕捉体と特異的に結合することにより間接的に蛍光標識されることとなる。なお、第2の捕捉体の種類は、第1の捕捉体と特異的に結合する被検出物質の部位とは異なる部位にて被検出物質と特異的に結合できるものであれば特に限定されない。たとえば、第2の捕捉体は、被検出物質に特異的な生体分子であってもよいし、その断片等であってもよい。また、第2の捕捉体は、1分子からなるものであってもよく、2以上の分子が結合してなる複合体であってもよい。
反応に十分な時間が経過した後、検査チップ60内を洗浄するために、送液搬送部30により、検査チップ60内の標識液が回収され、洗浄液が検査チップ60内に新たに供給される。この際、加振部10により検査チップ60内の液体を攪拌し続けるので、検査チップ60内に非特異的に吸着した第2に捕捉体や夾雑物等が除去される。
その後、送液搬送部30により、検査チップ60内の洗浄液が回収され、測定用緩衝液が検査チップ60内に新たに供給される。
次に、蛍光標識された被検出物質からの蛍光値を測定するための蛍光値測定を行う(工程S50)。具体的には、制御演算部50の制御により、送液搬送部30が対象の検査チップ60を生化学検査システムAの位置10e(図1参照)に配置し、投光部10が、検査チップ60の反応場77に対応する反射面73の領域に、増強角に設定された入射角αで励起光91を照射する。それと同時に、検出部40は、蛍光93と同じ波長の光の光量を検出する。制御演算部50は、検出部40により測定された光の光量を蛍光値として記録する。この際、液体収容部65内の液体(測定用緩衝液)の液面と反応場77の位置とが接近していると、液面で反射または屈折した蛍光までも検出部40により検出されてしまうおそれがあるので、検出精度の観点から、反応場77は、液体収容部65内の液体(測定用緩衝液)の液面以下で、且つ液面から離れた位置に位置することが好ましい。そのため、本工程における測定用緩衝液は、他工程において使用される液体よりも量が多く供給されてもよい。
その後、制御演算部50の制御により検査チップ60が処分されるとともに、制御演算部50は、取得した蛍光値から、工程S20で取得した光学ブランク値を引くことで、被検出物質の量に相関するシグナル値を算出する。また、制御演算部50は、予め作成しておいた検量線に基づいて、同シグナル値を、被検出物質の量や濃度などに更に換算してもよい。
その後、検査が終了する。以上各工程により、生化学検査システムAは、検体中の被検出物質の存在または量を測定することができる。
なお、上記工程S20では、励起光91の入射角αを増強角に設定したが、増強角の代わりに、励起光91の入射角αを共鳴角に設定してもよい。この場合、工程S20において、投光部10は、検査チップ60の反応場77に対応する反射面73の領域に、入射角αを走査しながら励起光91を照射する。それと同時に、検出部40は、反射光92の光量を検出する。制御演算部50は、励起光91の入射角αと反射光92の光量との関係を含むデータを取得し、同データに基づいて、反射光92の光量が最小となったときの入射角αを共鳴角として特定し、励起光91の入射角を共鳴角に設定する。
本発明に係る表面プラズモン励起増強蛍光測定法における第一の実施形態では、プリズムから励起光を入射することにより生じる表面プラズモン共鳴により、第2の捕捉体の標識に用いられた蛍光物質を励起して、この蛍光物質から放出される蛍光の測定を行う前に、前記プリズムの除電を行う。上記の本実施形態においては、工程S50で行われる蛍光値測定の前に、プリズム71の除電を行う。このようにプリズムの除電を行うことにより、プリズムに付着していた埃等が除去され、蛍光の測定においてプリズムに付着した埃等に起因する光学ノイズが低減されることにより、高感度かつ高精度な表面プラズモン励起増強蛍光測定分析が可能になる。プリズムの除電を行うタイミングは、前記蛍光の測定を行う前であれば特に制限はない。
たとえば、表面プラズモン励起増強蛍光測定が、前記プリズムから入射される励起光により表面プラズモン共鳴を生じさせる金属膜と、該金属膜に固定化された第1の捕捉体とを含む検出チップを用いて行われ、前記第1の捕捉体に被検出物質を結合させる第一工程、前記第1リガンドに結合した被検出物質に、蛍光物質で標識された第2の捕捉体を結合させる第二工程、および前記金属膜に前記プリズムから励起光を入射し、表面プラズモン共鳴により前記蛍光物質を励起して、前記蛍光物質から放出される蛍光を測定する第三工程を含む場合、プリズムの除電を行うタイミングは、蛍光を測定する前であればいずれの時点であってもよい。
上記の実施形態においては、工程S30が第一の工程に該当し、工程S40が第二の工程に該当し、工程S50が第三の工程に該当するので、プリズム71の除電は、工程S50の前であればいずれの時点で行ってもよい。上記の実施形態のように、複数の検査をほぼ同時に行う連続形態を採用する場合には、各検査チップに対して、蛍光測定の前に次々プリズムの除電を行うことが好ましい。
除電のタイミングは、ブランク測定の前であることが最も効果的である。また、低濃度のシグナル測定に備えるために、蛍光測定の直前にも除電を行うことが効果的である。
プリズムの除電を行う方法には特に制限はなく、たとえば、送風によりプリズムに風を当てる方法、静電気除去装置を用いる方法、プリズムに金属を接触させる方法、プリズムに帯電防止剤を接触させる方法などを挙げることができる。
プリズムへの送風は、例えば、光の入射面、出射面、入射から出射に至るまでの光路の近辺に数秒〜数分程度の間、風を当てるようにすればよい。プリズムに送風する方法としては、軸流送風機や遠心送風機など送風機等の送風手段を用いる方法等を挙げることができる。
プリズムに送風する際の風量および風速は、プリズムの除電が行えれば特に制限はなく、風量では通常0.5〜5.0m3/min、好ましくは通常0.5〜3.5 m3/min、風速では、通常0.3〜15m/s、好ましくは通常1.0〜5m/sである。送風される空気の温度には制限はなく、低温でも、常温でも、高温でもよい。
前記送風手段に制御部を設けて、該制御部により、風速、送風される空気の温度等を制御するようにしてもよい。
静電気除去装置を用いる方法としては、たとえば、送風型静電気除去装置、交流電圧印加式静電気除去装置、直流式静電気帯電除電器、nano除電除去装置、直流式エアー・ガン式静電気除去装置(いずれもウエッジ株式会社製)等を用いてプリズムの除電を行う方法が挙げられる。
プリズムに金属を接触させる方法としては、光の入射面、出射面、入射から出射に至るまでの光路の近辺に数秒〜数分程度の間、金属を接触させる方法を挙げることができる。前記金属としては、化学的に不活性な(活性な金属イオンを持たない)ステンレス、金属酸化物などがある。
プリズムに帯電防止剤を接触させる方法としては、光の入射面、出射面、入射から出射に至るまでの光路の近辺に数秒〜数分程度の間、帯電防止剤を接触させる方法を挙げることができる。前記帯電防止剤としては界面活性剤、カーボン、プラスチック添加剤、スプレーなどがある。
上記のようにプリズムの除電を行うことにより、除電前にプリズムに付着した埃等をプリズムから離脱させることができるが、プリズムの除電を行った後であっても、除電前にプリズムに付着していた埃等がプリズムから離脱せず、そのままプリズムに付着したままになっていることも考えられる。そこで、プリズムの除電を、プリズムに送風をする方法以外の方法で行った場合には、除電後プリズムに付着したままになっている埃等を除去するために、除電後にプリズムに送風することが好ましい。プリズムは除電によりすでに埃等を保持する性質が実質的に失われているので、除電後プリズムに送風を行えば、プリズムに付着している埃等があったとしても、これを容易にプリズムから除去することができる。
プリズムの除電を、プリズムに送風をすることにより行った場合には、除電とともに埃等の除去も同時に行うことができるので効果的である。また、プリズムの除電を、プリズムに送風をする方法以外の方法で行った後にプリズムに送風を行った場合には、プリズムに送風をする方法以外の方法によりプリズムの除電が行われ、さらに送風によってもプリズムの除電が行われ、その上送風により埃等の除去も行うことができることからきわめて効果的である。
プリズムに送風をする方法以外の方法で行った後に行うプリズムへの送風の条件は、上記に示したプリズムへの送風条件と同様である。
[第二の実施形態]
第二の実施形態は、回折格子を利用してSPRを生じさせる回折格子結合型SPFS(GC−SPFS)を用いた表面プラズモン励起増強蛍光測定法である。以下、GC−SPFSにより被検出物質を検出する検出チップ、検出システムおよび検出方法について説明する。
図10は、第二の実施形態に係る検出システム300の構成を示す模式図である。図10に示されるように、検出システム300は、所定の位置に検出チップ400を装着された状態で動作する。検出システム300は、検出チップ400以外に、励起光照射ユニット310、蛍光検出ユニット320、送液ユニット130、加振部140、および制御部350を有する。検出システム300では、所定の位置に検出チップ400を装着した状態で、検出チップ400の回折格子428(金属膜425)で表面プラズモン共鳴が発生するように検出チップ400に励起光αを照射し、回折格子428近傍において表面プラズモン共鳴に基づく増強電場を発生させる。そして、当該増強電場により回折格子428上の反応場426に存在する蛍光物質を励起させ、蛍光物質が発する蛍光βを検出することで、検体中の被検出物質の有無や量を測定する。
第二の実施形態における励起光照射ユニット310、蛍光検出ユニット320、送液ユニット130、加振部140、および制御部350は、それぞれ第一の実施形態における投光部20、検出部40、送液搬送部30、加振部10および制御演算部50に対応する。
検出システム300は、主として、検出チップ400が光学素子として回折格子428を有する点、および励起光照射ユニット310が回折格子428に励起光αを照射することでSPRを生じさせる点で、第一の実施形態と異なる。
(検出チップ)
図11A〜Cは、第二の実施形態に係る検出チップ400の構成を示す模式図である。図11Aは、検出チップ400の斜視図であり、図11Bは、ウェル本体210の斜視図であり、図11Cは、ウェル本体210の斜視透視図である。図12は、検出チップ400に入射する光(励起光α)と検出チップ400から出射する光(励起光の反射光α'および蛍光β)を示す模式図である。図12は、検出チップ400の高さ方向に沿う断面図であり、収容部211内に液体(例えば測定用緩衝液)が収容されている状態を示している。図13は、図12の断面図における反応場426近傍を拡大した部分拡大断面図である。
図11Aおよび図12に示されるように、検出チップ400は、ウェル本体210および側壁部材420を有する。
ウェル本体210は、第一の実施形態に係る検出チップ60のウェル本体61と形状以外については同様である。ウェル本体210は、その内部に収容部(ウェル)211を有している。収容部211は、液体を収容できるように構成された有底の凹部であり、上部に設けられた第1開口212および側部に設けられた第2開口213により外部に開放されている。
ウェル本体210は、光(少なくとも励起光αの波長の光および蛍光βの波長の光)に対して透明な材料で形成されている。ただし、後述の検出方法における光の取り出しの妨げにならない限り、ウェル本体210の一部は光に対して不透明な材料で形成されていてもよい。少なくとも、収容部211を構成する側壁の一部は、光透過性を有している。本実施の形態では、少なくとも、収容部211を構成する4つの側壁のうちの反応場426と対向する側壁は、光透過性を有している。光に対して透明な材料の例には、樹脂およびガラスが含まれる。
本実施の形態に係る検出チップ400では、励起光照射ユニット310から出射された光(励起光α)と、反応場426近傍から放出され検出部125により検出される光(励起光の反射光α'および蛍光β)が、いずれも反応場426と対向する側壁を透過する(図10参照)。したがって、これらの光の屈折を抑制したい場合は、図12に示されるように、収容部において反応場426(捕捉領域427)と対向する側壁の内面および外面は、いずれも平面であることが好ましい。
側壁部材420は、基板421、金属膜425および反応場426を有している。「反応場」とは、金属膜425上に配置された捕捉領域427のうち、第2開口213を介して収容部211内に露出している領域を意味する(図13参照)。金属膜425の表面において反応場426に対応する部分の少なくとも一部には、光学素子としての回折格子428が形成されている。図11A、図12および図13に示されるように、側壁部材420は、捕捉領域427の少なくとも一部が収容部211内に露出して反応場426となり、かつ側壁部材420が第2開口213の少なくとも一部を完全に閉塞するようにウェル本体210に固定されている。
基板421は、金属膜425を支持するとともに、ウェル本体210の第2開口213を閉塞するための部材である。基板421は、収容部211を構成する側壁としても機能する。基板421の形状および材料は、上記機能を実現可能であれば特に限定されない。基板421の材料の例には、樹脂およびガラスが含まれる。
金属膜425は、基板421のウェル本体210側の面上に配置されている。前述のとおり、金属膜425には、光学素子としての回折格子428が形成されている。金属膜425は、基板421のウェル本体210側の表面の全体に形成されていてもよいし、一部のみに形成されていてもよい。また、回折格子428は、金属膜425のウェル本体210側の表面の全体に形成されていてもよいし、一部のみに形成されていてもよい。回折格子428は、金属膜425の表面において反応場426に対応する部分の少なくとも一部に形成されている。回折格子428に光を照射すると、金属膜425中に生じる表面プラズモンと、回折格子428により生じるエバネッセント光とが結合してSPRが生じ、金属膜425の表面上に局在する増強電場が生じる。金属膜425の材料は、SPRを生じさせる金属であれば特に限定されない。金属膜425の材料の例には、金、銀、銅、アルミニウムおよびこれらの合金が含まれる。金属膜425の形成方法は、特に限定されない。金属膜425の形成方法の例には、スパッタリング、蒸着、めっきが含まれる。金属膜425の厚みは、特に限定されないが、30〜70nmの範囲内であることが好ましい。
回折格子428は、金属膜425に光を照射された時に、エバネッセント光を生じさせる。回折格子428の形状は、エバネッセント光を生じさせることができれば特に限定されない。たとえば、回折格子428は、図14Aに示されるように1次元回折格子であってもよいし、図14Bに示されるように2次元回折格子であってもよい。図14Aに示される1次元回折格子では、金属膜425の表面に、互いに平行な複数の凸条が所定の間隔で形成されている。図14Bに示される2次元回折格子では、金属膜425の表面に、所定形状の凸部が周期的に配置されている。凸部の配列の例には、正方格子、三角(六方)格子などが含まれる。回折格子428の断面形状の例には、矩形波形状、正弦波形状、鋸歯形状などが含まれる。回折格子のピッチは、SPRを発生させる観点から、100〜2000nmの範囲が好ましい。ここで「回折格子のピッチ」とは、図14Aおよび14Bに示されるように、凸部の配列方向における凸部の中心間距離Λをいう。なお、本実施の形態では、凸部の配列方向が収容部211の深さ方向に沿うように、回折格子428が配置される。
回折格子428の形成方法は、特に限定されない。たとえば、平板状の基板421の上に金属膜425を形成した後、金属膜425に凹凸形状を付与してもよい。また、予め凹凸形状を付与された基板421の上に、金属膜425を形成してもよい。いずれの方法であっても、回折格子428を含む金属膜425を形成することができる。
反応場426は、収容部211内に露出している、被検出物質を捕捉するための領域である。前述のとおり、反応場426は、金属膜425上に配置された捕捉領域427のうち、第2開口213を介して収容部211内に露出している領域を意味する。本実施の形態では、反応場426の少なくとも一部は、回折格子428の上に位置する。
反応場426は、収容部211の内側面に配置される。このとき、反応場426は、収容部211の最深部から離れた位置に配置されることが好ましい。このような構成とすることで、収容部211内に検体などを導入したときに反応場426において効率よく反応を生じさせることができる。また、蛍光βの検出時に、収容部211の底部に起因するノイズが検出結果に混じることを抑制することもできる。
捕捉領域427は、金属膜425上において被検出物質を捕捉するための第1の捕捉体が固定化されている領域である。第1の捕捉体の種類は、被検出物質に特異的に結合するための認識部位を有していれば特に制限されない。第1の捕捉体の例には、被検出物質に特異的に結合可能な抗体(1次抗体)またはその断片、被検出物質に特異的に結合可能な酵素などが含まれる。
なお、検出チップ400は、収容部211以外にも液体を収容可能な第2収容部をさらに有していてもよい。
(検出システム)
次に、検出システム300の検出チップ400以外の構成要素について説明する。前述のとおり、検出システム300は、検出チップ400以外に、励起光照射ユニット310、蛍光検出ユニット320、送液ユニット130、加振部140、および制御部350を有する(図10参照)。
励起光照射ユニット310は、ウェル本体210の側壁および収容部211を介して回折格子428に励起光αを照射する。励起光の反射光α'または蛍光βの測定時には、励起光照射ユニット310は、回折格子428(金属膜425)に対する入射角が回折格子428でSPRを生じさせる角度となるように、回折格子428(金属膜425)に対するP波のみを回折格子428に向けて出射する。このとき、励起光照射ユニット310は、励起光αの光軸および反射光α'の光軸を含む平面が回折格子の凸部の配列方向に沿うように回折格子428に励起光αを照射する。「励起光」とは、蛍光物質を直接または間接的に励起させる光である。たとえば、励起光αは、回折格子428でSPRが生じる角度で回折格子428に照射されたときに、蛍光物質を励起させる増強電場を回折格子428上に生じさせる光である。励起光照射ユニット310は、光源ユニット111および第1角度調整部112を含む。光源ユニット111は、コリメートされ、かつ波長および光量が一定の励起光αを、反応場426(回折格子428)における照射スポットの形状が略円形となるように出射する。第1角度調整部112は、反応場426(回折格子428)に対する励起光αの入射角を調整する。
回折格子428に対する励起光αの入射角は、SPRにより形成される増強電場の強度が最も強くなり、その結果として蛍光物質からの蛍光βの強度が最も強くなる角度が好ましい。励起光αの入射角は、回折格子428のピッチΛや励起光αの波長、金属膜425を構成する金属の種類などに応じて適切に選択される。たとえば、励起光αの入射角θは、以下の式(1)を満たすように設定される。
Figure 2019230222
0:励起光αの波数=2π/(λ0/n)
λ0:真空中の励起光αの波長
n:回折格子428上の媒質(収容部211内の液体)の屈折率
θ:励起光αの回折格子428に対する入射角
m:整数
Λ:回折格子428のピッチ
ここで、kspは、2種類の媒質の界面(金属膜425と収容部211内の液体との界面)において励起されるプラズモンの波数であり、以下の式(2)のように定義される。
Figure 2019230222
ω:励起光αの角周波数
c:光速度
ε1:回折格子428上の媒質(収容部211内の液体)の誘電率=n2
ε2:回折格子428を構成する媒質(金属)の誘電率
励起光αの最適な入射角は、各種条件の変更により変わるため、第1角度調整部112は、励起光αの光軸と回折格子428とを相対的に回転させることで入射角を調整する。
蛍光検出ユニット320は、回折格子428への励起光αの照射によって生じ、収容部211およびウェル本体210の側壁を透過した蛍光βを検出する。また、必要に応じて、蛍光検出ユニット320は、回折格子428への励起光αの照射によって生じ、収容部211およびウェル本体210の側壁を透過した励起光の反射光α'も検出する。蛍光検出ユニット320は、光学フィルター122、位置切替部124、検出部125および第2角度調整部326を含む。
光学フィルター122は、蛍光成分のみを検出部125に導き、高いS(シグナル)/N(ノイズ)比で蛍光βを検出するために、励起光成分(プラズモン散乱光γ)を除去する。光学フィルター122の例には、励起光反射フィルター、短波長カットフィルターおよびバンドパスフィルターが含まれる。光学フィルター122は、例えば、所定の光成分を反射する多層膜を含むフィルター、または所定の光成分を吸収する色ガラスフィルターである。
位置切替部124は、光学フィルター122の位置を切り替える。具体的には、検出部125が蛍光βを検出する時には、光学フィルター122を光路上に配置し、検出部125がプラズモン散乱光γを検出する時には、光学フィルター122を光路外に配置する。
検出部125は、蛍光βおよびプラズモン散乱光γを検出する受光センサーである。検出部125は、微小量の被検出物質からの微弱な蛍光βを検出することが可能な、高い感度を有する。検出部125は、例えば、光電子増倍管(PMT)やアバランシェフォトダイオード(APD)などである。
蛍光検出ユニット320は、検出部125の検出範囲を拡げるために集光レンズをさらに有していてもよいが、バックグラウンドの低減の観点からは集光レンズを含まない方が好ましい。
第2角度調整部326は、蛍光検出ユニット320の光軸と回折格子428とを相対的に回転させることで蛍光検出ユニット320の光軸の角度を調整する。たとえば、第2角度調整部326は、蛍光検出ユニット320の光軸と金属膜425との交点を中心として、検出部125を回転させる。第2角度調整部326が検出部125の位置を適宜調整することで、反応場426(回折格子428)から放出され、収容部211およびウェル本体210の側壁を透過した蛍光βの強度が最大となる角度(蛍光ピーク角)で、蛍光検出ユニット320は蛍光βを検出することができる。また、光源ユニット111を移動させて励起光αの入射角を調整しているときに、光源ユニット111の位置に合わせて検出部125を移動させて反射光α'を検出することができる。
送液ユニット130は、検出チップ400の収容部211内に各種液体を導入する。また、送液ユニット130は、検出チップ400の収容部211内から各種液体を除去する。本実施の形態では、送液ユニット130は、例えば検体や、蛍光物質で標識された第2の捕捉体を含む標識液(以下「標識液」ともいう)、洗浄液、測定用緩衝液などの注入および吸引を行う。送液ユニット130は、液体チップ131、ピペット132およびピペット制御部136を含む。
液体チップ131は、検体や標識液、洗浄液、測定用緩衝液などの液体をそれぞれ収容するための容器である。液体チップ131としては、通常、複数の容器が液体の種類に応じて配置されるか、または複数の容器が一体化したチップが配置される。
ピペット132は、シリンジポンプ133と、シリンジポンプ133に接続されたノズルユニット134と、ノズルユニット134の先端に装着されたピペットチップ135とを有する。シリンジポンプ133内のプランジャーの往復運動によって、ピペットチップ135における液体の吸引および排出が定量的に行われる。
ピペット制御部136は、シリンジポンプ133の駆動装置、およびノズルユニット134の移動装置を含む。シリンジポンプ133の駆動装置は、シリンジポンプ133のプランジャーを往復運動させるための装置であり、例えば、ステッピングモーターを含む。ノズルユニット134の移動装置は、例えば、ノズルユニット134を、垂直方向と水平方向との二方向に自在に動かす。ノズルユニット134の移動装置は、例えば、ロボットアーム、2軸ステージまたは上下動自在なターンテーブルによって構成される。
ピペット制御部136は、シリンジポンプ133を駆動して、液体チップ131から各種液体をピペットチップ135内に吸引させる。そして、ピペット制御部136は、ノズルユニット134を移動させて、検出チップ200の収容部211内に第1開口212からピペットチップ135を挿入させるとともに、シリンジポンプ133を駆動して、ピペットチップ135内の液体を収容部211内に注入させる。また、液体の導入後、ピペット制御部136は、シリンジポンプ133を駆動して、収容部211内の液体をピペットチップ135内に吸引させる。このように収容部211内の液体を順次交換することによって、反応場426において第1の捕捉体と被検出物質を反応させたり(1次反応)、被検出物質と蛍光物質で標識された第2の捕捉体とを反応させたりする(2次反応)。
加振部140は、収容部211内の液体を撹拌するために検出チップ400を振動させる。このように検出チップ200を振動させて収容部211内の液体を撹拌することで、反応場426における1次反応や2次反応、洗浄などを効率的に行うことができる。加振部140は、例えばピエゾ素子や偏芯させた回転体などである。加振部140は、励起光α、蛍光βおよびプラズモン散乱光γの光路を妨げない位置に配置される。
加振部140により検出チップ400に加えられる振動の方向は、特に限定されない。振動方向の例には、水平方向や垂直方向(高さ方向)、周方向などが挙げられる。たとえば、加振部140としてのピエゾ素子を検出チップ400の側面に接触させた状態でピエゾ素子を駆動することで、検出チップ400に水平方向の往復振動を加えることができる。また、加振部140としてピエゾ素子を検出チップ400の底面に接触させた状態でピエゾ素子を駆動することで、検出チップ400に垂直方向の往復振動を加えることができる。また、加振部140としての偏芯させた回転体を検出チップ400の底面に接触させた状態で回転体を回転させることで、検出チップ400に周方向の回転振動を加えることができる。収容部211内の液体を効率よく撹拌する観点からは、収容部211内に液体が収容されている状態の検出チップ400の固有振動数、またはその前後の振動周波数で検出チップ400を振動させることが好ましい。また、異なる固有振動数(n次の固有振動数およびm次の固有振動数、nおよびmは正の整数)を順次切り替えながら検出チップ400を振動させてもよい。
制御部350は、光源ユニット111、第1角度調整部112、位置切替部124、検出部125、第2角度調整部326、ピペット制御部136、加振部140を制御する。制御部350は、例えば、演算装置、制御装置、記憶装置、入力装置および出力装置を含む公知のコンピュータやマイコンなどによって構成される。
なお、本実施の形態では、励起光αを照射されうる位置に配置された検出チップ400に対して、送液ユニット130による液体の導入および除去、ならびに加振部140による振動の印加を行うことができるように、送液ユニット130および加振部140が配置されているが、送液ユニット130および加振部140の位置はこれに限定されない。たとえば、検出チップ400が第1の位置に配置されている場合に、送液ユニット130による液体の導入および除去、ならびに加振部140による振動の印加が行われ、検出チップ400が第2の位置に配置されている場合に、励起光照射ユニット310による励起光αの照射および蛍光検出ユニット320による蛍光βの検出が行われてもよい。この場合は、検出システム300は、検出チップ400を第1の位置および第2の位置に移動させるための搬送ユニットをさらに有する。
(検出方法)
次に、検出システム300を用いた被検出物質の検出方法について説明する。図15は、本実施の形態の検出方法を行う際の検出システム300の動作手順の一例を示すフローチャートである。
まず、検出の準備をする(工程S110)。具体的には、検出システム300の所定の位置に検出チップ400を設置する。また、検出チップ400の反応場426上に保湿剤が存在する場合には、収容部211内を洗浄して反応場426上の保湿剤を除去する。この後、制御部350は、ピペット制御部136を制御して、収容部211内に測定用緩衝液を導入させる。
次いで、検出チップ400の回折格子428(金属膜425)に対する励起光αの入射角を共鳴角に設定する(工程S120)。具体的には、制御部350は、光源ユニット111および第1角度調整部112を制御して、励起光αを回折格子428に照射させながら、回折格子428に対する励起光αの入射角を走査する。これと同時に、制御部350は、検出部125および第2角度調整部326を制御して、励起光の反射光α'を検出させる。このとき、制御部350は、位置切替部124を制御して、光学フィルター122を光路外に移動させる。制御部350は、励起光αの入射角と反射光α'の強度との関係を含むデータを得る。そして、制御部350は、データを解析して、反射光α'の強度が最小となる入射角(共鳴角)を決定する。最後に、制御部350は、第1角度調整部112を制御して、回折格子428に対する励起光αの入射角を共鳴角に設定する。
次いで、光学ブランク値を測定する(工程S130)。具体的には、制御部350は、光源ユニット111を制御して、励起光αを回折格子428に照射させる。これと同時に、制御部350は、検出部125および第2角度調整部326を制御して、蛍光βと同じ波長の背景光の光量を検出させる。このとき、制御部350は、位置切替部124を制御して、光学フィルター122を光路上に移動させる。また、制御部350は、第2角度調整部326を制御して、金属膜425の垂線に対する蛍光検出ユニット320の光軸の角度を適切な角度(好ましくは工程S160における蛍光ピーク角)にする。たとえば、金属膜425の垂線に対する蛍光検出ユニット320の光軸の角度は、金属膜425に対する励起光αの入射角の2倍程度であればよい。制御部350は、測定された背景光の光量をブランク値として記録する。
次いで、検出チップ400の収容部211内に検体を導入し、反応場426の第1の捕捉体に、検体中に含まれる被検出物質を特異的に結合させる(1次反応(工程S140))。具体的には、制御部350は、ピペット制御部136を制御して、収容部211内の測定緩衝液を除去させるとともに、収容部211内に検体を導入させる。また、制御部350は、加振部140を制御して、検出チップ400を振動させて収容部211内の検体を撹拌させる。この後、制御部350が、ピペット制御部136を制御して、収容部211内の検体を除去させるとともに、収容部211内に洗浄液を導入させて、収容部211内を洗浄する。このときも、制御部350は、加振部140を制御して、検出チップ400を振動させて収容部211内の洗浄液を撹拌させる。検体および被検出物質の種類は、特に限定されない。
次いで、回折格子428上の第1の捕捉体に結合した被検出物質に、蛍光物質で標識された第2の捕捉体を結合させる(2次反応(工程S150))。これにより、被検出物質が間接的に蛍光物質で標識される。具体的には、制御部350は、ピペット制御部136を制御して、収容部211内の洗浄液を除去させるとともに、収容部211内に第2の捕捉体を含む標識液を導入させる。また、制御部350は、加振部140を制御して、検出チップ400を振動させて収容部211内の標識液を撹拌させる。この後、制御部350は、ピペット制御部136を制御して、収容部211内の標識液を除去させるとともに、収容部211内に洗浄液を導入させて、収容部211内を洗浄する。このときも、制御部350は、加振部140を制御して、検出チップ400を振動させて収容部211内の洗浄液を撹拌させる。さらに、制御部350は、ピペット制御部136を制御して、収容部211内の洗浄液を除去させるとともに、収容部211内に測定用緩衝液を導入させる。
次いで、被検出物質を標識する蛍光物質からの蛍光値を測定する(工程S160)。具体的には、制御部350は、光源ユニット111を制御して、励起光αを、ウェル本体210の側壁および収容部211内の測定用緩衝液を介して回折格子428(反応場426)に照射させる。これと同時に、制御部350は、検出部125および第2角度調整部326を制御して、蛍光βと同じ波長の光(その大部分は収容部211内の測定用緩衝液およびウェル本体210の側壁を透過してきた蛍光β)の光量を検出させる。このとき、制御部350は、位置切替部124を制御して、光学フィルター122を光路上に移動させる。また、制御部350は、第2角度調整部326を制御して、金属膜425の垂線に対する蛍光検出ユニット320の光軸の角度を適切な角度(好ましくは蛍光ピーク角)にする。たとえば、金属膜425の垂線に対する蛍光検出ユニット320の光軸の角度は、金属膜425に対する励起光αの入射角の2倍程度であればよい。制御部350は、測定された光量を蛍光値として記録する。
最後に、被検出物質の存在または量を算出する(工程S170)。蛍光値は、主として、被検出物質を標識する蛍光物質に由来する蛍光成分(シグナル値)と、光学ブランク値とを含む。したがって、制御部350は、工程S160で得られた蛍光値から工程S130で得られた光学ブランク値を引くことで、被検出物質の量に相関するシグナル値を算出することができる。そして、あらかじめ作成しておいた検量線により、被検出物質の量や濃度などに換算する。
以上の手順により、検体に含まれる被検出物質の存在または量を検出することができる。
以上のように、本実施の形態に係る検出チップ400、検出システム300および検出方法によれば、収容部211内の液体の液面を透過させずに蛍光βを検出するため、液面および気泡による検出結果への影響を抑制して、被検出物質を高い信頼性で検出することができる。
なお、本実施の形態では、励起光αの光軸および反射光α'の光軸を含む平面が収容部
211の深さ方向に沿うように回折格子428に励起光αを照射する検出チップ、検出システムおよび検出方法について説明したが、本実施の形態に係る検出チップ、検出システムおよび検出方法はこれに限定されない。たとえば、図17Aおよび図17Bに示されるように、本実施の形態に係る検出システムは、励起光αの光軸および反射光α'の光軸を含む平面が水平方向に沿うように回折格子428に励起光αを照射してもよい。この場合、凸部の配列方向が水平方向に沿うように回折格子428が配置され、蛍光βも水平方向に沿って放出される。したがって、光源ユニット111および検出部125は、検出チップ400と同じ高さに配置されうる。また、この場合、収容部211の形状によっては、収容部211を構成する4つの側壁のうちの反応場426が配置されている側の側壁および反応場426と対向する側壁以外の2つの側壁のうちの一方を透過させて励起光αを照射し、他方を透過させて蛍光βを検出することもできる。もちろん、収容部211の形状によっては、収容部211を構成する4つの側壁のうちの反応場426と対向する側壁を透過させて励起光αを照射し、蛍光βを検出することもできる。
また、本実施の形態では、収容部211側から回折格子428に励起光αを照射する検出チップ、検出システムおよび検出方法について説明したが、本実施の形態に係る検出チップ、検出システムおよび検出方法は、これに限定されない。たとえば、図18Aおよび図18Bに示されるように、本実施の形態に係る検出システムは、基板421側から回折格子428に励起光αを照射してもよい。このように基板421側から回折格子428に励起光αを照射した場合、励起光αの一部は金属膜425を透過して回折格子428に到達し、SPRを生じさせる。そして、SPRにより増強された電場により蛍光物質が励起され、所定の方向に指向性を持った蛍光βが出射される。したがって、光源ユニット111および検出部125は、検出チップ400と同じ高さに配置されうるが、検出チップ400は、光源ユニット111および検出部125の間に位置することとなる。なお、図18Aおよび図18Bに示される例では、凸部の配列方向が水平方向に沿うように回折格子428が配置され、蛍光βも水平方向に沿って放出される。また、このように基板421側から回折格子428に励起光αを照射する場合、基板421は、励起光αに対して透明な誘電体からなることが好ましく、回折格子428は金属膜425の両面に形成されていることが好ましい。基板421の材料の例には、励起光αに対して透明な樹脂およびガラスが含まれる。たとえば、樹脂からなる基板421の表面にUV樹脂を用いたナノインプリントにより回折格子を形成し、その上に金属膜425を形成することで、金属膜425の両面に回折格子428を形成することができる。また、このように基板421側から回折格子428に励起光αを照射する場合、工程S20では励起光αの入射角を共鳴角に設定してもよいが、励起光αの入射角を増強角に設定してもよい。励起光αの入射角を増強角に設定する場合は、金属膜425に対する励起光αの入射角を走査するとともに、回折格子428から放出されたプラズモン散乱光γの光量を検出部125により検出する。そして、プラズモン散乱光γの光量が最大となったときの励起光αの入射角を増強角として決定する。
本発明に係る表面プラズモン励起増強蛍光測定法における第二の実施形態では、回折格子に励起光を入射することにより生じる表面プラズモン共鳴により、第2の捕捉体の標識に用いられた蛍光物質を励起して、この蛍光物質から放出される蛍光の測定を行う前に、前記回折格子の除電を行う。上記の本実施形態においては、工程S160で行われる蛍光値測定の前に、回折格子428の除電を行う。このように回折格子の除電を行うことにより、回折格子に付着していた埃等が除去され、蛍光の測定において回折格子に付着した埃等に起因する光学ノイズが低減されることにより、高感度かつ高精度な表面プラズモン励起増強蛍光測定分析が可能になる。
回折格子の除電の方法は、第一の実施形態において挙げた方法と同様である。回折格子の除電を行うタイミングも、第一の実施形態における除電のタイミングと同様である。
[実施例1]
前述した生化学検査システムAを用いて表面プラズモン励起増強蛍光測定を行った。
送液搬送部30により、対象の検査チップ60を生化学検査システムAの位置10aに移動し、検査チップ60を位置10aに対応する攪拌装置の回転体に装着した。送液搬送部30により洗浄液を検査チップ60に供給し、加振部10により検査チップ60内の液体を攪拌しながら液体収容部65内の洗浄を行った。その後、送液搬送部30により、検査チップ60内の洗浄液を回収し、測定用緩衝液を検査チップ60内に新たに供給した。
次に、ブランク測定を行う前に、プリズム71の除電を、シシド静電気株式会社WINSTAT BF-XMBを用いて送風することにより行った。
次に、送液搬送部30により、対象の検査チップ60を生化学検査システムAの位置10bに配置し、投光部10によって、検査チップ60の反応場77に対応する反射面73の領域に、入射角αを走査しながら励起光91を照射した。それと同時に、検出部40により、蛍光93と同じ波長の光の光量を検出した。制御演算部50により、検出部40により測定された光の光量を光学ブランクとして記録した。また、SPRの反射率を求めた。
その後、送液搬送部30により、検査チップ60内の測定用緩衝液を回収し、測定用検体を検査チップ60内に新たに供給した。
次に、送液搬送部30により、対象の検査チップ60を生化学検査システムAの位置10cに移動し、検査チップ60を位置10cに対応する攪拌装置の回転体に装着した。加振部10により検査チップ60内の液体を攪拌した。
反応に十分な時間が経過した後、検査チップ60内を洗浄するために、送液搬送部30により、検査チップ60内の測定用検体を回収し、洗浄液を検査チップ60内に新たに供給した。
その後、送液搬送部30により、検査チップ60内の洗浄液を回収し、標識液を検査チップ60内に新たに供給した。
次に、送液搬送部30により、対象の検査チップ60を生化学検査システムAの位置10dに移動し、検査チップ60を位置10dに対応する攪拌装置の回転体に装着した。加振部10により検査チップ60内の液体を攪拌した。標識液に存在する蛍光標識された第2の捕捉体を被検出物質と結合させ、被検出物質を間接的に蛍光標識した。
反応に十分な時間が経過した後、検査チップ60内を洗浄するために、送液搬送部30により、検査チップ60内の標識液を回収し、洗浄液を検査チップ60内に新たに供給した。
その後、送液搬送部30により、検査チップ60内の洗浄液を回収し、測定用緩衝液を検査チップ60内に新たに供給した。
次に、送液搬送部30により、対象の検査チップ60を生化学検査システムAの位置10eに配置し、投光部10から、検査チップ60の反応場77に対応する反射面73の領域に、入射角αを走査しながら励起光91を照射した。それと同時に、検出部40により、蛍光93と同じ波長の光の光量を検出した。制御演算部50により、検出部40により測定された光の光量を蛍光値として記録した。また、SPRの反射率を求めた。
図18(A)に、ブランクにおける入射角αと蛍光シグナル値およびSPR反射率との関係を示す。図18(B)に、被検出物質の測定値における入射角αと蛍光シグナル値およびSPR反射率との関係を示す。図18(A)および(B)において、黒色の線が蛍光シグナル値を示し、グレーの線がSPR反射率を示す。
[比較例1]
ブランク測定を行う前に、プリズム71の除電およびプリズム71への送風を行わなかったこと以外は実施例と同様の方法により表面プラズモン励起増強蛍光測定を行った。
図18(C)に、ブランクにおける入射角αと蛍光シグナル値およびSPR反射率との関係を示す。図18(D)に、被検出物質の測定値における入射角αと蛍光シグナル値およびSPR反射率との関係を示す。図18(C)および(D)において、黒色の線が蛍光シグナル値を示し、グレーの線がSPR反射率を示す。
プリズム71の除電およびプリズム71への送風を行わなかった比較例1においては、図18(C)に示すとおり、ブランクにおける蛍光シグナル値に、58°および65°付近に2つのピークが出現した。本来の増強角である65°付近では、図18(D)に示すとおり、被検出物質の測定値は高シグナル値であるので、ブランクの蛍光シグナル値が高くても被検出物質の測定値は大きな影響を受けない。しかし、本来の増強角とは異なる58°付近の角度を増強角として設定してシグナルを測定した場合、被検出物質の測定値は高くないので、ブランクの蛍光シグナル値が高いことは、被検出物質の測定値に大きな影響を及ぼす。
これに対し、プリズム71の除電およびプリズム71への送風を行った実施例1においては、図18(A)に示すとおり、ブランクにおける蛍光シグナル値に65°付近に1つのピークが出現し、58°付近にはピークは出現しなかった。このため、実施例1においては、本来の増強角である65°付近以外においても、被検出物質の測定値に与えるブランクの影響は小さい。
比較例1において、図18(C)に示すように、ブランクにおける蛍光シグナル値に58°付近のピークが現れるのは、プリズム71に付着した埃等が原因であると考えられる。一方、実施例1において、図18(A)に示すように、ブランクにおける蛍光シグナル値に58°付近のピークが現れないのは、プリズム71の除電およびプリズム71への送風により、プリズム71に付着していた埃等が除去されたためであると考えられる。
図18(A)〜(D)の結果から、プリズム71の除電およびプリズム71への送風が与えるSPRの反射率への影響は小さいことがわかる。
10 加振部
10a、10b、10c、10d、10e 位置
20 投光部
30 送液搬送部
40 検出部
50 制御演算部
51 CPU
52 投光制御部
53 送液駆動制御部
54 送液移動制御部
55 搬送制御部
56 検出制御部
57 演算部
60、60a、60b、60c、60d、60e、60y 検査チップ
61 ウェル本体
61y ウェル
62、62y 側壁部材
63 第1開口
64 第2開口
65 液体収容部
66 底面構造
66a 先端
71 プリズム
72 入射面
73 反射面
74 出射面
75 金属膜
76 捕捉膜
77 反応場
91 励起光
92 反射光
93 蛍光
94 プラズモン散乱光
99 回転体
A 生化学検査システム
c 対称中心
G2 重心
α 入射角
300 検出システム
310 励起光照射ユニット
111 光源ユニット
112 第1角度調整部
320 蛍光検出ユニット
122 光学フィルター
124 位置切替部
125 検出部
130 送液ユニット
131 液体チップ
132 ピペット
133 シリンジポンプ
134 ノズルユニット
135 ピペットチップ
136 ピペット制御部
140 加振部
350 制御部
400 検出チップ
210 ウェル本体
211 収容部
212 第1開口
213 第2開口
214 保持部
420 側壁部材
425 金属膜
426 反応場
427 捕捉領域
326 第2角度調整部
421 基板
428 回折格子
α 励起光
α' 励起光の反射光
β 蛍光
γ プラズモン散乱光

Claims (16)

  1. 光学素子に励起光を入射することにより生じる表面プラズモン共鳴により蛍光物質を励起して、前記蛍光物質から放出される蛍光の測定を行う表面プラズモン励起増強蛍光測定において、前記蛍光の測定を行う前に、前記光学素子の除電を行う表面プラズモン励起増強蛍光測定法。
  2. 前記除電の方法は、前記光学素子に送風を行う方法である請求項1に記載の表面プラズモン励起増強蛍光測定法。
  3. 前記除電の方法は、静電気除去装置を用いる方法である請求項1に記載の表面プラズモン励起増強蛍光測定法。
  4. 前記除電の方法は、前記光学素子に金属を接触させる方法である請求項1に記載の表面プラズモン励起増強蛍光測定法。
  5. 前記除電の方法は、前記光学素子に帯電防止剤を接触させる方法である請求項1に記載の表面プラズモン励起増強蛍光測定法。
  6. 前記光学素子の除電を送風以外の方法で行った後、前記光学素子に送風を行う請求項1に記載の表面プラズモン励起増強蛍光測定法。
  7. 前記送風以外の方法は、静電気除去装置を用いる方法、前記光学素子に金属を接触させる方法、または前記光学素子に帯電防止剤を接触させる方法である請求項6に記載の表面プラズモン励起増強蛍光測定法。
  8. 除電をブランク測定の前に行う請求項1〜7のいずれかに記載の表面プラズモン励起増強蛍光測定法。
  9. 除電を蛍光測定の直前にも行う請求項8に記載の表面プラズモン励起増強蛍光測定法。
  10. 前記光学素子はプリズムである請求項1〜9のいずれかに記載の表面プラズモン励起増強蛍光測定法。
  11. 前記光学素子は、微細な凸部または凹部が周期的に配列されている回折格子である請求項1〜9のいずれかに記載の表面プラズモン励起増強蛍光測定法。
  12. 前記表面プラズモン励起増強蛍光測定が、前記プリズムから入射される励起光により表面プラズモン共鳴を生じさせる金属膜と、該金属膜に固定化された第1の捕捉体とを含む検出チップを用いて行われ、
    前記第1の捕捉体に被検出物質を結合させる第一工程、
    前記第1の捕捉体に結合した被検出物質に、蛍光物質で標識された第2の捕捉体を結合させる第二工程、および
    前記金属膜に前記プリズムから励起光を入射し、表面プラズモン共鳴により前記蛍光物質を励起して、前記蛍光物質から放出される蛍光を測定する第三工程
    を含む請求項10に記載の表面プラズモン励起増強蛍光測定法。
  13. 前記検出チップは、上部および側部に開口を有する収容部を含むウェル本体と、被検出物質を補足する補足領域を有する側壁部材とを有し、
    前記側壁部材は、前記収容部の側部の開口を介して前記補足領域の少なくとも一部が前記収容部内に露出し、かつ前記収容部の側部の開口の少なくとも一部を閉塞するように前記ウェル本体に固定され、
    前記側壁部材は、前記プリズムを備え、該プリズムは、光が入射する入射面と、該入射面から入射された光が反射する反射面とを有し、
    前記反射面上に前記金属膜が設けられ、
    前記金属膜上に前記補足領域が配置され、該補足領域に前記第1の捕捉体が結合されている
    請求項12に記載の表面プラズモン励起増強蛍光測定法。
  14. 前記表面プラズモン励起増強蛍光測定が、入射される励起光により表面プラズモン共鳴を生じさせる前記回折格子を有する金属膜と、該金属膜に固定化された第1の捕捉体とを含む検出チップを用いて行われ、
    前記第1の捕捉体に被検出物質を結合させる第一工程、
    前記第1の捕捉体に結合した被検出物質に、蛍光物質で標識された第2の捕捉体を結合させる第二工程、および
    前記金属膜に前記プリズムから励起光を入射し、表面プラズモン共鳴により前記蛍光物質を励起して、前記蛍光物質から放出される蛍光を測定する第三工程
    を含む請求項11に記載の表面プラズモン励起増強蛍光測定法。
  15. 前記検出チップは、上部および側部に開口を有する収容部を含むウェル本体と、被検出物質を補足する補足領域を有する側壁部材とを有し、
    前記側壁部材は、前記収容部の側部の開口を介して前記補足領域の少なくとも一部が前記収容部内に露出し、かつ前記収容部の側部の開口の少なくとも一部を閉塞するように前記ウェル本体に固定され、
    前記側壁部材は、前記回折格子を有する金属膜を備え、
    前記回折格子は、前記収容部の側部の開口を介して前記収容部内に露出し、
    前記捕捉領域は前記回折格子上に配置され、前記捕捉領域に前記第1の捕捉体が結合されており、
    前記ウェル本体の前記収容部を構成する側壁の少なくとも一部は光透過性を有する
    請求項14に記載の表面プラズモン励起増強蛍光測定法。
  16. 光学素子に励起光を入射することにより生じる表面プラズモン共鳴により蛍光物質を励起して、前記蛍光物質から放出される蛍光の測定を行う表面プラズモン励起増強蛍光測定装置であって、前記光学素子の除電を行う除電手段を備えた表面プラズモン励起増強蛍光測定装置。
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