JP2015219199A - 分析装置及び校正方法 - Google Patents
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本発明の一見地に係る分析装置は、照射部と、検出部と、環境測定部と、経時変化量算出部と、を備える。照射部は、大気雰囲気中において、粒子状物質を励起して蛍光X線を発生させる一次X線を照射する。検出部は、1次X線を照射することにより発生し、大気雰囲気中を通過する二次X線強度を検出する。環境測定部は、大気雰囲気を定義する環境パラメータを測定する。経時変化量算出部は、第1の環境パラメータと、第1の二次X線強度と、第2の環境パラメータと、第2の二次X線強度と、に基づいて第1のタイミングと第2のタイミングとの間の経時的な二次X線強度の変化量又は変化率を算出する。第1の環境パラメータは、第1のタイミングにおいて環境測定部で測定された環境パラメータである。第1の二次X線強度は、第1のタイミングにおいて検出部で検出された二次X線強度である。第2の環境パラメータは、第1のタイミングより所定時間前である第2のタイミングにおける環境測定部で測定された環境パラメータである。第2の二次X線強度は、第2のタイミングにおいて検出部で検出された二次X線強度である。
◎第1のタイミングにおいて、第1の環境パラメータを測定するステップ。
◎第1のタイミングにおいて、第1の二次X線強度を測定するステップ。
◎第1のタイミングより所定時間前である第2のタイミングにおいて、第2の環境パラメータを測定するステップ。
◎第2のタイミングにおいて、第2の二次X線強度を測定するステップ。
◎第1の環境パラメータと、第1の二次X線強度と、第2の環境パラメータと、第2の二次X線強度とに基づいて、第1のタイミングと第2のタイミングとの間の経時的な二次X線強度の変化量又は変化率を算出するステップ。
を備える校正方法。
第1実施形態に係る分析装置100の構成を、図1を用いて説明する。図1は、分析装置の構成を示す図である。分析装置100は、粒子状物質P(後述)に一次X線X1(後述)を照射することにより、粒子状物質Pから発生する蛍光X線に基づいて粒子状物質Pの成分分析を行う分析装置である。分析装置100は、捕集フィルタ1と、サンプリング部3と、分析部5と、フィルタ移動部7と、環境測定部8と、制御部9と、を備える。
次に、分析部5の構成について説明する。分析部5は、捕集フィルタ1に捕集された粒子状物質Pから蛍光X線を発生させ検出する。そのため、分析部5は、照射部51と検出部53とを有する。なお、分析部5において、照射部51と検出部53は、外部の大気雰囲気と隔離された筐体などに納められていない。これにより、分析部5は、照射部51と検出部53とを納めた筐体などの内部の雰囲気を制御することなく、連続的かつ高速に粒子状物質Pの成分分析を行える。
次に、制御部9の構成について、図2を用いて説明する。図2は、制御部の構成を示す図である。制御部9は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM、ROM、ハードディスク、SSD(Soild State Disk)などの記憶装置と、表示部と、各種インターフェースと、などを有するコンピュータシステムである。以下に説明する制御部9の各構成要素の一部又は全部の機能は、上記のコンピュータシステムの記憶装置に記憶されたプログラムにより実現されていてもよい。また、制御部9の各構成要素の機能の一部又は全部の機能は、カスタムICなどの半導体装置により実現されていてもよい。
フィルタ制御部91は、フィルタ移動部7を制御する。具体的には、フィルタ制御部91は、例えば、巻き取りリール7bの回転を制御するモータなど(図示せず)の回転を制御する巻き取りリール制御信号を、フィルタ移動部7に出力する。フィルタ制御部91は、フィルタ抑え制御信号を出力し、捕集フィルタ1の押さえつけ力を調節できる。
I.基本動作
次に、分析装置100の動作について説明する。分析装置100の動作を開始すると、成分分析部95は、例えば、前回の校正の実行時から所定の時間以上(例えば、1ヶ月以上)経過している場合に、スパン校正用基材SS(後述)及び/又はバックグランド校正用基材を用いて校正を行う。所定の時間が経過していない場合には、成分分析部95は、粒子状物質Pの成分分析を開始する。
以下、分析装置100における校正方法及び粒子状物質Pの成分分析方法について詳しく説明する。
ステップS2における分析部5の校正は、主に、校正用試料CSが基材MS上に積層されたスパン校正用基材SS(図3)を用いて行われる。また、必要に応じて、バックグランド校正用基材BSを用いた校正が行われる。
スパン校正用基材SSの基材MSは、X線に対してほとんど透明(すなわち、X線をほとんど透過する)である材料(例えば、ポリカーボネート)により構成された(板状の)基材である。
具体的には、例えば、バックグランド校正用データにおいて、測定対象元素Dからの蛍光X線のエネルギー値Eaを有するX線の強度がBaと記憶されており、スパン校正用データにおいて、校正用試料CS中に測定対象元素Dが元素量aだけ含まれており、このときのエネルギー値Eaを有するX線の強度がIaと記憶されていたとする。この場合、上記のある測定対象元素の元素量Xに対する蛍光X線強度Yの関係を示す検量線は、Y=((Ia−Ba)/a)*X+Baという式として生成される。
次に、ステップS3における粒子状物質Pの成分分析について、図4を用いて説明する。図4は、粒子状物質の成分分析方法を示すフローチャートである。
分析装置100において成分分析が開始されると、まず、経時変化によるX線強度の補正が実行される(ステップS301)。具体的な補正方法については、後ほど詳しく説明する。
一方、成分分析部95が上記の指令を受信せず他の成分分析を実行すると判断した場合(ステップS306において「Yes」の場合)、フィルタ移動部7が、捕集フィルタ1を移動させることで、成分分析済みの粒子状物質Pを測定領域Aから送出する(ステップS307)。その後、プロセスはステップS301に戻る。これにより、粒子状物質Pが再び捕集フィルタ1の他の領域に捕集されて、それらの他の成分分析を実行できる。これにより、分析装置100においては、所定の時間毎に複数の成分分析を連続的に実行できる。
次に、上記のステップS301において実行される経時変化によるX線強度の補正方法について、図6を用いて説明する。図6は、X線強度の校正方法を示すフローチャートである。
X線強度の校正が実行されると、まず、経時変化量算出部96が、照射部51及び/又は検出部53の経時的な二次X線強度の変化量を算出するかどうかを判断する(ステップS3011)。例えば、前回の算出からの経過時間が所定時間以上(例えば、1日以上)となった場合に、経時的な二次X線強度の変化量を算出必要と判断する。
一方、前回の経時的な変化量の算出における環境パラメータを第2の環境パラメータとして読み込んだ場合には、前回の経時的な変化量の算出において取得した二次X線データ(後述)を第2の二次X線強度として読み込む。
例えば、予め複数の異なる環境パラメータにて測定され記憶装置などに記憶されている基準となる二次X線強度において、第1の環境パラメータに近い環境パラメータにて取得された基準となる二次X線強度と、第2の環境パラメータに近い環境パラメータにて取得された基準となる二次X線強度との比を算出する。次に、当該比を上記の第2の二次X線強度に乗ずることにより、環境パラメータの変化による影響の補正を行える。
さらに、別の第3の環境パラメータ(第3のタイミング)にて上記2つの二次X線強度が取得されたとしたい場合には、第1の二次X線強度に対して、第1の環境パラメータから第3の環境パラメータへの変化により影響の補正を、第2の二次X線強度に対して、第2の環境パラメータから第3の環境パラメータへの変化により影響の補正を行う。
なお、上記の変化量の算出は、測定対象元素毎(測定対象元素が発生する蛍光X線が出現するエネルギー値毎)に対して実行される。なぜなら、上記の変化量は、測定対象元素毎に特性が異なるからである。
例えば、上記の経時的な二次X線強度の変化量が第4のタイミング(第4の環境パラメータの測定時)にて算出され、現在の第1のタイミングにおいて補正を行いたい場合は、第4のタイミングにおける経時的な変化量に対して、第1の環境パラメータに近い環境パラメータにて取得された基準となる二次X線強度と、第4の環境パラメータに近い環境パラメータにて取得された基準となる二次X線強度との比を算出し、当該比と第4のタイミングにおける経時的な変化量との比を算出することにより補正を行える。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
(A)経時的な変化量の利用形態についての他の実施形態
上記の第1実施形態においては、経時的な変化量は、検量線の校正にのみ用いられていた。しかし、これに限られず、経時的な変化量を、照射部51及び/又は検出部53などの異常やメンテナンスの基準として用いてもよい。
例えば、上記の経時的な変化量が所定の値以下となった場合には、照射部51及び/又は検出部53などが劣化して検出感度が低下したと判断できる。また、上記の経時的な変化量が非常に大きな値となった場合には、照射部51及び/又は検出部53などに異常が生じていると判断できる。
上記の分析装置100においては、測定対象の粒子状物質Pの状態変化を考慮した補正を行ってもよい。粒子状物質Pは、周囲環境の環境パラメータにより影響を受ける。例えば、湿度の高い環境においては、粒子状物質Pは水分を吸収して膨張することがある。また、この環境パラメータの変化による粒子状物質Pの変化は、粒子状物質Pに含まれる元素によって異なる。このような粒子状物質Pの周囲環境の変化によっても、粒子状物質Pから発生する蛍光X線は影響を受ける。従って、これらの粒子状物質Pの変化を考慮した補正を行うことにより、粒子状態の変化を考慮した成分分析を実行できる。
この場合、1日に1回程度上記の経時変化を算出し、粒子状態の変化を考慮した補正については、成分分析毎に行ってもよい。
また、上記の分析装置100においては、検出部53(及び/又はX線計数部94)の検出結果(計数結果)におけるピーク位置の校正を実行してもよい。検出部53などの経時的な影響などにより、検出部53の検出結果(計数結果)において検出されているX線のエネルギー値が、実際のエネルギー値とは異なる値となっていることがある。
例えば、一次X線X1が捕集フィルタ1において散乱して発生する散乱二次X線に含まれている、出現エネルギー位置が既知で不変の本来のピーク位置に、計数結果におけるピーク位置が重なるように検出部などのスパンやゼロ点を調整することにより、ピーク位置のずれを校正できる。
1 捕集フィルタ
11 捕集層
13 補強層
3 サンプリング部
31 吸引部
31a 第1開口部
33 吸引ポンプ
35 排出部
35a 第2開口部
37 サンプリングポート
5 分析部
51 照射部
53 検出部
7 フィルタ移動部
7a 送り出しリール
7b 巻き取りリール
8 環境測定部
9 制御部
91 フィルタ制御部
92 サンプリング制御部
93 照射制御部
94 X線計数部
95 成分分析部
96
A 測定領域
BS バックグランド校正用基材
CS 校正用試料
MS 基材
P 粒子状物質
SS スパン校正用基材
X1 一次X線
X2 二次X線
H 比率
Claims (3)
- 粒子状物質から発生する蛍光X線に基づいて前記粒子状物質の成分分析を行う分析装置であって、
大気雰囲気中において、前記粒子状物質を励起して蛍光X線を発生させる一次X線を照射する照射部と、
前記1次X線を照射することにより発生し、前記大気雰囲気中を通過する二次X線強度を検出する検出部と、
前記大気雰囲気を定義する環境パラメータを測定する環境測定部と、
第1のタイミングにおける前記環境測定部で測定された第1の環境パラメータと、前記第1のタイミングにおける前記検出部で検出された第1の二次X線強度と、前記第1のタイミングより所定時間前である第2のタイミングにおける前記環境測定部で測定された第2の環境パラメータと、前記第2のタイミングにおける前記検出部で検出された第2の二次X線強度と、に基づいて、前記第1のタイミングと前記第2のタイミングとの間の経時的な二次X線強度の変化量又は変化率を算出する経時変化量算出部と、
を備える分析装置。 - 前記粒子状物質を捕集するための捕集フィルタをさらに備え、
前記第1の二次X線強度及び前記第2の二次X線強度は、前記捕集フィルタの無捕集領域に前記一次X線を照射することにより発生する散乱二次X線である、請求項1に記載の分析装置。 - 粒子状物質に励起X線を照射することにより発生する蛍光X線に基づいて前記粒子状物質の成分分析を行う分析装置の校正方法であって、
第1のタイミングにおいて、第1の環境パラメータを測定するステップと、
前記第1のタイミングにおいて、第1の二次X線強度を測定するステップと、
前記第1のタイミングより所定時間前である第2のタイミングにおいて、第2の環境パラメータを測定するステップと、
前記第2のタイミングにおいて、第2の二次X線強度を測定するステップと、
前記第1の環境パラメータと、前記第1の二次X線強度と、前記第2の環境パラメータと、前記第2の二次X線強度とに基づいて、第1のタイミングと第2のタイミングとの間の経時的な二次X線強度の変化量又は変化率を算出するステップと、
を備える校正方法。
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