JP2017102008A - 微小粒子状物質分析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】微小粒子状物質分析装置において、測定空間に含まれる微小粒子状物質の濃度と、当該微小粒子状物質に放射性物質が含まれているか否かを同時に分析する。
【解決手段】分析装置100は、捕集フィルタ1と、分析部と、を備える。捕集フィルタ1は、微小粒子状物質FPを捕集可能な捕集領域を有する。分析部は、捕集領域に捕集された微小粒子状物質FPの質量濃度と、当該微小粒子状物質FPから発生する放射線量と、を測定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、大気などの測定空間に浮遊している微小粒子状物質の分析を行う微小粒子状物質分析装置に関する。
従来、PM2.5などの微小粒子状物質の大気中における濃度を測定するための装置が知られている。例えば、特許文献1には、大気中に含まれる微小粒子状物質を多孔質フィルムに所定時間だけ捕集し、捕集された微小粒子状物質によるβ線の吸収強度に基づいて、大気中の微小粒子状物質の濃度を測定するSPM(微小粒子状物質)濃度測定装置が開示されている。
特許第4590367号公報
大気中に含まれる微小粒子状物質の由来(発生源、発生場所)は様々であり、場合によっては、放射性物質を含むこともある。そのような微小粒子状物質は、体内に吸入されると内部被曝を起こすので、微小粒子状物質に放射性物質が含まれるか否かを分析することへの要求は高まっている。
一方、従来の微小粒子状物質分析装置は、微小粒子状物質が発生する放射線量を検知できないので、上記分析を実行できない。従って、従来は、上記の分析は、別の装置によって行われていた
本発明の目的は、大気中に含まれる微小粒子状物質の濃度と、当該微小粒子状物質に放射性物質が含まれているか否かを同時に分析することにある。
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一見地に係る微小粒子状物質分析装置は、捕集フィルタと、分析部と、を備える。捕集フィルタは、微小粒子状物質を捕集可能な捕集領域を有する。分析部は、捕集領域に捕集された微小粒子状物質の質量濃度と、当該微小粒子状物質から発生する放射線量である実測放射線量と、を測定する。
これにより、微小粒子状物質分析装置は、捕集フィルタに捕集された微小粒子状物質の質量濃度と、当該微小粒子状物質が放射性物質を含むか否かを測定放射線量として同時に分析でき、例えば、人体における内部被曝をも加味した影響についての知見を得ることができる。
分析部は、質量濃度測定部と、放射線量測定部と、を含んでいてもよい。質量濃度測定部は、捕集フィルタの微小粒子状物質を捕集した捕集領域の第1面から照射され捕集領域の第1面とは反対側の第2面へと透過したβ線強度を測定することにより、質量濃度を測定する。放射線量測定部は、第1面及び/又は第2面から発生する放射線量を測定することにより、測定放射線量を測定する。
これにより、質量濃度と実測放射線量とを同時に測定できる。
放射線量測定部は、実測放射線量測定部と、バックグラウンド線量測定部と、を含んでいてもよい。実測放射線量測定部は、第1面及び/又は第2面から入射される放射線量の実測値である実測放射線量を測定する。バックグラウンド線量測定部は、捕集フィルタの微小粒子状物質が存在しない領域から入射する放射線量及び/又は周囲の空間線量を含むバックグラウンド線量を測定する。この場合、測定放射線量は、実測放射線量とバックグラウンド線量との差として算出される。
これにより、微小粒子状物質からの放射線量を精度よく測定できる。
実測放射線量測定部は、第1放射線量測定部と、第2放射線量測定部と、を含んでいてもよい。第1放射線量測定部は、第1面から入射する第1放射線の実測線量を測定する。第2放射線量測定部は、第2面から入射する第2放射線の実測線量を測定する。この場合、実測放射線量は、第1放射線の実測線量と第2放射線の実測線量とを合計することにより算出される。
これにより、微小粒子状物質からの微小の放射線量を測定できる。
放射線量測定部は、測定部と、遮蔽部材と、を含んでいてもよい。測定部は、検出面の法線方向が捕集領域に向くよう配置され、検出面に入射する放射線量を測定する。遮蔽部材は、放射線を遮蔽する材料にて構成され、検出面の法線方向に延び内部に測定部を収納可能な遮蔽空間を形成することにより、検出面の法線方向とは異なる方向からの放射線を遮蔽する。
これにより、放射線量測定部は、微小粒子状物質が捕集された捕集領域以外から入射される放射線を遮断して、捕集領域に捕集された微小粒子状物質からの放射線量を精度よく測定できる。
放射線量測定部はγ線の線量を放射線量として測定してもよい。これにより、質量濃度測定部のβ線の影響を受けることなく、微小粒子状物質からの放射線量を測定できる。
上記の微小粒子状物質分析装置は、分級装置をさらに備えていてもよい。分級装置は、測定空間に浮遊している浮遊粒子状物質を、所定の基準によって粗大粒子状物質と微小粒子状物質とに分級する。これにより、測定空間から微小粒子状物質を取り出して捕集フィルタに捕集できる。
上記の微小粒子状物質分析装置は、演算部と、表示部と、をさらに備えていてもよい。演算部は、分析部から出力される信号に基づいて、質量濃度と測定放射線量とを算出する。表示部は、質量濃度と測定放射線量の演算部における算出結果を表示する。これにより、分析部からの信号に基づいて演算された質量濃度と測定放射線量とを、視覚的に表示することができる。
微小粒子状物質分析装置において、大気中に含まれる微小粒子状物質の濃度と、当該微小粒子状物質に放射性物質が含まれているか否かを同時に分析できる。
微小粒子状物質分析装置の構成を示す図。 質量濃度測定部の構成を示す図。 放射線量測定部の構成を示す図。 質量濃度測定部にて微小粒子状物質が発生するβ線を測定する様子を模式的に示す図。 質量濃度測定部にて微小粒子状物質が発生するβ線とγ線とを測定する様子を模式的に示す図。
1.第1実施形態
(1)微小粒子状物質分析装置の構成
第1実施形態に係る微小粒子状物質分析装置100(以下、分析装置100という)の構成を、図1を用いて説明する。
分析装置100は、捕集フィルタ1を備える。捕集フィルタ1は、例えば、高分子材料(ポリエチレンなど)の不織布にて形成された補強層上に、PM2.5などの微小粒子状物質FPを捕集可能な孔を有する多孔質のフッ素樹脂系材料にて形成された捕集層(捕集領域と呼ぶこともある)を積層して形成された、テープ状の部材である。上記の構成により、捕集フィルタ1は、捕集フィルタ1の厚み方向にガス流通可能となると同時に、その強度を向上できる。また、上記の構成により、捕集フィルタ1を帯電しにくくできる。この結果、捕集した粒子状物質が静電気により拡散して、捕集領域から出てしまうことを防止できる。
なお、捕集フィルタ1としては、例えば、1層のガラスフィルタや、1層のフッ素樹脂系材料のフィルタなどの他のフィルタを用いることもできる。
捕集フィルタ1の長さ方向の一端が接続された巻き取りリール11aをモータ(図示せず)などにより巻き取り方向に回転することにより、捕集フィルタ1は、捕集フィルタ1が長さ方向の他端に接続された状態で巻き取られている送り出しリール11bから送り出され、巻き取りリール11aに巻き取られる。
すなわち、捕集フィルタ1は、巻き取りリール11aが回転されることにより、捕集フィルタ1の長さ方向(図1では太矢印にて示す方向)に移動できる。
分析装置100は、分級装置3を備える。分級装置3は、大気A中に浮遊している浮遊粒子状物質Pを、所定の基準によって粗大粒子状物質LPと微小粒子状物質FPとに分級する。ここで、微小粒子状物質FPがPM2.5である場合には、微小粒子状物質FPとは、粒径が2.5μmの粒子を50%の割合で分離できる分粒装置を用いて、より粒径の大きい粒子を除去した後に採取される粒子のことをいう。
具体的には、分級装置3は、吸引部31を有する。吸引部31は、捕集フィルタ1の補強層側の面(第2面の一例)の直下であって、捕集フィルタ1の長さ方向の第1位置P1に配置されている。吸引部31には、吸引ポンプ37に接続された第1開口部31aが形成されている。
分級装置3は、排出部33を有する。排出部33は、捕集フィルタ1の捕集領域側の面(第1面の一例)の直上において、吸引部31と対向する位置(すなわち、第1位置P1)に配置される。排出部33には、上記の第1開口部31aと対向するように第2開口部33aが形成されている。第2開口部33aは、第1開口部31aの吸引力によって、大気Aを捕集フィルタ1に向けて排出できる。
分級装置3は、分級器35を有する。分級器35は、第2開口部33aの捕集フィルタ1が配置された側とは反対側の一端に接続されている。分級器35は、第2開口部33aの吸引力により、周囲の大気Aをその内部空間に取り込むことができる。
分級器35は、例えば、インパクタ方式及び/又はサイクロン方式の分級器であり、大気Aに含まれる粗大粒子状物質LPを、側壁に設けられたサンプリング容器353や、内部空間において排出部33の近傍に設けられたフィルタ355に捕集する。このように粗大粒子状物質LPが分級されることで、大気Aは微小粒子状物質FPが主成分となる。
大気Aは、排出部33から排出され、捕集フィルタ1を通過する。当該大気Aが捕集フィルタ1を通過する間に、微小粒子状物質FPが捕集領域に捕集される。さらに、大気Aは、第1開口部31aを通過して、吸引ポンプ37から排出される。
分析装置100は、図2に示すように、質量濃度測定部5を有する。質量濃度測定部5は、分級装置3に設けられ、捕集フィルタ1の第1位置P1に存在する捕集領域に捕集された微小粒子状物質FPの質量濃度を測定する。
具体的には、図2に示すように、質量濃度測定部5は、β線源51を有する。β線源51は、排出部33の第2開口部33aに設けられ、捕集フィルタ1の捕集領域に向けてβ線を照射する。β線源51は、例えば、炭素14(14C)である。
質量濃度測定部5は、β線検出器53を有する。β線検出器53は、吸引部31の第1開口部31aに設けられ、β線源51から照射されたβ線のうち、微小粒子状物質FPに吸収されることなく、さらに捕集フィルタ1の補強層を通過したβ線の強度を測定する。
具体的には、β線検出器53は、シンチレータ531(例えば、プラスチックシンチレータ)を有する。シンチレータ531は、捕集フィルタ1を通過したβ線の強度に応じた強度の光を発生する。β線検出器53は、光検出器533(例えば、光電子増倍管)を有する。光検出器533は、シンチレータ531にて生じた光の強度に応じた電気信号(β線検出信号と呼ぶ)を出力する。
上記の構成を有することにより、質量濃度測定部5は、捕集フィルタ1の捕集領域の上面から照射され、補強層の下側へと透過したβ線の強度をβ線検出信号として測定することにより、微小粒子状物質FPの捕集量(質量濃度)を測定できる。
分析装置100は、図1に示すように、放射線量測定部7を有する。放射線量測定部7は、微小粒子状物質FPから発生する放射線量を、測定放射線量として測定する。放射線量測定部7では、微小粒子状物質FPからのγ線を測定する。これにより、放射線量測定部7は、β線源51からのβ線の影響を受けなくなる。
放射線量測定部7は、実測放射線量測定部71を有する。実測放射線量測定部71は、第1位置P1よりも捕集フィルタ1の移動方向の下流側の第2位置P2に配置される。実測放射線量測定部71は、捕集フィルタ1の捕集領域側及び/又は補強層側から入射される放射線量の実測値である実測線量を測定する。
放射線量測定部7は、バックグラウンド線量測定部73を有する。バックグラウンド線量測定部73は、第1位置P1よりも捕集フィルタ1の移動方向の上流側の第3位置P3において、捕集領域の直上に配置される。バックグラウンド線量測定部73は、第3位置P3において、捕集フィルタ1の微小粒子状物質FPが捕集されていない領域(以下、非捕集領域という)からの放射線量、及び/又は、周囲の空間線量を測定する。
本実施形態において、実測放射線量測定部71は、微小粒子状物質FPから発生する放射線量を、捕集フィルタ1の捕集領域側と補強層側との両方から測定している。
具体的には、実測放射線量測定部71は、第1放射線量測定部711を有する。第1放射線量測定部711は、第2位置P2において、捕集領域の直上に配置される。第1放射線量測定部711は、第1放射線(第1位置P1から第2位置P2へと移動してきた捕集領域に捕集された微小粒子状物質FPによって発生し、当該捕集領域の上面から入射された放射線)の実測線量を測定する。
実測放射線量測定部71は、第2放射線量測定部713を有する。第2放射線量測定部713は、第2位置P2において、捕集フィルタ1の補強層の直下に配置される。第2放射線量測定部713は、第2放射線(捕集領域に捕集された微小粒子状物質FPによって発生し、捕集フィルタ1の補強層側から入射された放射線)の実測線量を測定する。
なお、上記のバックグラウンド線量測定部73、第1放射線量測定部711、及び第2放射線量測定部713の具体的な構成については、後に詳しく説明する。
分析装置100は、制御部9を備える。制御部9は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM、ROMなどの記憶装置と、表示部93(例えば、液晶ディスプレイなど)と、各種インターフェースと、などを有するコンピュータシステムである。制御部9は、分析装置100の各構成要素の制御と、各種情報処理とを実行する。制御部9における各構成要素の制御及び各種情報処理は、制御部9を構成するコンピュータシステムにて実行可能なソフトウェアによって実現されてもよい。この場合、当該ソフトウェアは、制御部9の記憶装置に記憶される。
制御部9は、演算部91を有する。演算部91は、質量濃度測定部5から出力される信号に基づいて、微小粒子状物質FPの質量濃度を算出する。また、演算部91は、放射線量測定部7から出力される信号に基づいて、捕集領域から発生する放射線量(測定放射線量)を算出する。
表示部93は、演算部91における質量濃度の算出結果と放射線量の算出結果とを、視覚的に(例えば、数値及び/又はグラフにて)表示する。
上記の構成を有することにより、分析装置100は、大気Aなどに含まれる浮遊粒子状物質Pから微小粒子状物質FPを取り出して、捕集フィルタ1に捕集された当該微小粒子状物質FPの質量濃度と、当該微小粒子状物質FPから発生する放射線量とを同時に測定できる。なお、上記の質量濃度測定部5と放射線量測定部7とを含めて「分析部」と定義する。
(2)放射線量測定部の構成
以下、第1放射線量測定部711の構成を、代表例として、図3を用いて説明する。
第1放射線量測定部711は、測定部7111を有する。測定部7111は、検出面に入射した放射線の強度に応じた信号(放射線検出信号と呼ぶ)を出力する。具体的には、測定部7111は、シンチレータ7111aを有する。シンチレータ7111aは、検出面に入射した放射線量に応じた光を発生する。微小粒子状物質FPから発生するγ線を測定するため、シンチレータ7111aは、例えば、ヨウ化セシウム(CsI)、ヨウ化ナトリウム(NaI)などの無機材料の部材である。
測定部7111は、光検出器7111bを有する。光検出器7111bは、シンチレータ7111aにて生じた光の強度に応じた電気信号を出力する、例えば、フォトダイオードや、光電子増倍管である。
第1放射線量測定部711は、遮蔽部材7113を有する。遮蔽部材7113は、例えば、放射線を遮蔽できる材料(例えば、鉛)にて形成され、長さ方向の一端が開口された中空円筒形の部材である。遮蔽部材7113は、長さ方向が測定部7111の検出面の法線方向と平行となり、かつ、遮蔽部材7113の中空空間の内部(遮蔽空間と呼ぶ)に測定部7111を収納するよう、筐体内に配置される。
これにより、遮蔽部材7113は、検出面の法線方向とは異なる方向からの放射線を遮蔽しつつ、遮蔽部材7113の上記の開口を通過した放射線、すなわち、捕集フィルタ1の面方向からの放射線を選別して測定部7111の検出面に入射できる。
(3)分析装置における分析動作
次に、分析装置100における、微小粒子状物質FPの分析動作を説明する。当該分析を行う前に、質量濃度測定部5のゼロ点校正が実行される。当該ゼロ点校正では、例えば、β線源51からのβ線を非捕集領域に照射したときにβ線検出器53にて検知されたβ線の強度を、微小粒子状物質FPの捕集量がゼロである時のβ線強度(ゼロ点強度)とする。
分析の最初の動作として、制御部9は、吸引ポンプ37を動作させて、大気Aに含まれる微小粒子状物質FPを、第1位置P1において、捕集フィルタ1の捕集領域に捕集させる。上記捕集動作の間、制御部9は、β線源51からβ線を発生させつつ、β線検出器53からβ線検出信号を受信する。これにより、制御部9は、微小粒子状物質FPの捕集量を、リアルタイムに測定できる。微小粒子状物質FPの捕集量は、β線検出信号とゼロ点強度との差に基づいて算出される。
また、上記捕集動作の間、制御部9の演算部91は、バックグラウンド線量測定部73から出力される信号(バックグラウンド信号)を取得し、非捕集領域からの放射線量、及び/又は、周囲の空間線量を含む線量をバックグラウンド線量として測定する。
捕集開始から所定時間(例えば、1時間)経過後、又は、微小粒子状物質FPの捕集量が所定量(例えば、捕集領域に微小粒子状物質FPを捕集できなくなる可能性がある捕集量)となったとき、制御部9は、吸引ポンプ37を停止するか、又は、例えば吸引ポンプ37と吸引部31(第1開口部31a)との間のガス流路をバルブなどにより閉状態とすることにより、微小粒子状物質FPの捕集を停止する。演算部91は、その後、所定時間経過後の微小粒子状物質FPの捕集量に基づいて、微小粒子状物質FPの質量濃度を算出する。例えば、所定時間経過後の微小粒子状物質FPの捕集量を、当該所定時間にて除算することにより、単位時間あたりの微小粒子状物質FPの捕集量を、微小粒子状物質FPの質量濃度として算出できる。
捕集停止後、制御部9は、巻き取りリール11aを回転させることにより、捕集領域を、第1位置P1から第2位置P2へと移動する。
その後、制御部9は、第1放射線量測定部711及び第2放射線量測定部713のそれぞれに備わっている光検出器からの電気信号(第1放射線量測定部711及び第2放射線量測定部713のそれぞれのシンチレータの発光強度に基づいた信号)を、第1放射線の放射線量の第1実測値信号と、第2放射線の放射線量の第2実測値信号として受信する。
演算部91は、第1実測値信号から算出される第1放射線の実測線量と、第2実測値信号から算出される第2放射線の実測線量との合計を、微小粒子状物質FPから発生する放射線量の実測値である実測放射線量として算出する。
これにより、分析装置100は、微小粒子状物質FPから放射状に発生する放射線量を複数の方向から検出して、微小粒子状物質FPからの微量の放射線量を測定できる。
その後、演算部91は、微小粒子状物質FPから発生する放射線量である測定放射線量を、実測放射線量とバックグラウンド線量との差として算出する。すなわち、演算部91は、上記の実測値放射線量に含まれるバックグラウンド線量を、当該実測値放射線量から差し引く。これにより、微小粒子状物質FPから発生する放射線量を精度よく算出できる。
また、制御部9は、前記移動後の微小粒子状物質FPの放射線量を測定中に、分級装置3に対して、捕集フィルタ1の他の捕集領域への微小粒子状物質FPの捕集を開始させてもよい。これにより、微小粒子状物質FPの捕集(微小粒子状物質FPの捕集量の測定)と、微小粒子状物質FPの放射線量の測定とを、同時に実行できる。
最初の測定後、制御部9は、上記の動作を、分析の停止が指令されるまで繰り返す。つまり、分析装置100は、継続的に、微小粒子状物質FPの捕集と分析とを繰り返し実行する。
上記のようにして、分析装置100は、捕集フィルタ1に捕集された微小粒子状物質FPの質量濃度と、当該微小粒子状物質FPからの放射線量とを同時に測定できる。このように、大気Aなどに存在する微小粒子状物質FPの質量濃度と放射線量とを測定することにより、以下のような効果がある。
第1に、微小粒子状物質FPの質量濃度と放射線量との相関関係から生じうる人体への影響が分かる。例えば、微小粒子状物質FPの質量濃度が高い場合には、多くの微小粒子状物質FPが人体に取り込まれる可能性が考えられる。このような場合には、微小粒子状物質FPから放射線が発生していると、微小粒子状物質FPからの放射線量が低くても、人体において長時間の内部被曝を受けることになる。長時間の内部被曝は、放射線量が低くても、人体への影響は大きい。
その一方、測定された放射線量が高く微小粒子状物質FPの質量濃度が低い場合には、放射線を発生する物質がガス状の物質であると考えられ、当該放射線を発生する物質は人体に長時間滞在する確率は非常に低い。このような場合には、放射線の内部被曝による人体への影響は低いと考えられる。
第2に、微小粒子状物質FPに含まれるか付着した物質(例えば、硝酸イオン(NO )、アンモニウムイオン(NH )、硫酸イオン(SO2−)と放射線との相乗効果についてのより詳細な知見が得られる。例えば、微小粒子状物質FPの成分分析の結果やその由来(発生源)から推定される種類や量の物質が、どの程度の放射線量により人体への悪影響をより及ぼすかについての知見が得られる。または、どの程度の放射線量により、微小粒子状物質FPに含有又は付着した物質の性質(化学的構造など)が変化して人体に悪影響を及ぼすかについての知見も得られる。
2.第2実施形態
上記の第1実施形態において、捕集フィルタ1に捕集した微小粒子状物質FPの質量濃度は質量濃度測定部5により測定され、放射線量は個別の放射線量測定部7により測定されていた。そして、質量濃度測定部5のβ線検出器53は、β線の入射により発光するシンチレータ531を有するので、微小粒子状物質FPの放射線量(β線量)を質量濃度測定部5にて測定することもできる。具体的には、別の実施形態として、図4に示すように、捕集された微小粒子状物質FPにβ線を照射しないときのβ線検出器53からのβ線検出信号から、微小粒子状物質FPから発生するβ線量を測定できる。
さらに別の実施形態として、図5に示すように、例えば、質量濃度測定部5のβ線検出器53において、シンチレータ531と光検出器533との間に、γ線用シンチレータ535(例えば、ヨウ化セシウム(CsI)、ヨウ化ナトリウム(NaI)などの無機材料の部材)が設けられている。γ線用シンチレータ535は、微小粒子状物質FPから発生するγ線を入射することにより発光する。これにより、微小粒子状物質FPから発生するβ線量とγ線量とを両方測定できる。
捕集された微小粒子状物質FPから放射線が発生する場合を説明する。当該微小粒子状物質FPの質量濃度を測定する際、質量濃度測定部5は、β線源51から照射され微小粒子状物質FPを通過したβ線の線量と、当該微小粒子状物質FP自身が発生する放射線の線量とが合計された線量に対応するβ線検出信号を出力する。
この場合、制御部9は、微小粒子状物質FPにβ線源51からβ線を照射したときに得られるβ線検出信号(線量)から、当該微小粒子状物質FPにβ線源51からβ線を照射しない時に得られるβ線検出信号(線量)を差し引いたβ線検出信号(線量)を用いて、微小粒子状物質FPの捕集量を算出する。
これにより、捕集された微小粒子状物質FP自身が放射線を発生する場合でも、質量濃度測定部5は、当該放射線の影響を受けることなく、微小粒子状物質FPの質量濃度を精度よく測定できる。
3.他の実施形態
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
(A)微小粒子状物質以外の大気に含まれる物質
放射性物質は、大気Aに含まれる粗大粒子状物質LPなどの粒子径の大きな粒子に付着する。したがって、サンプリング容器353及び/又はフィルタ355の近傍に上記の放射線量測定部7などを設置して、捕集された粗大粒子状物質LPからの放射線量を測定してもよい。
また、気体状物質を吸収する液体(油など)を含浸させたフィルタ355において、粗大粒子状物質LPだけでなく気体状の放射性物質(例えば、ヨウ素の放射性同位体など)を、当該液体にて捕集してもよい。
(B)放射線量測定部についての他の実施形態
放射線量測定部7の設置数及び/又は配置は、第1実施形態において説明したものに限られない。例えば、捕集フィルタ1の長さ方向の第3位置P3(バックグラウンド線量測定部73の設置位置)の捕集フィルタ1の補強層側に、もう一つのバックグラウンド線量測定部73を備えてもよい。これにより、バックグラウンド線量を、捕集された微小粒子状物質FPの放射線量を測定する時の条件(2つの放射線量測定部による測定)と同一条件にて測定できる。
また、例えば、微小粒子状物質FPの放射線量が大きい場合などには、第2放射線量測定部713を設置することなく第1放射線量測定部711のみにて、微小粒子状物質FPの放射線量を測定してもよい。
(C)微小粒子状物質の捕集時間についての他の実施形態
上記の第1及び第2実施形態において、微小粒子状物質FPの捕集時間は、捕集開始からの予め決められた固定の所定時間であった。しかし、これに限られず、微小粒子状物質FPの捕集時間を、微小粒子状物質FPから発生する放射線量に基づいて調整可能としてもよい。
例えば、微小粒子状物質FPからの放射線量がごく微量である場合には、捕集時間を所定時間よりも長い時間(例えば、24時間)とすることにより、微小粒子状物質FPが多量に捕集された捕集領域からの放射線を、放射線量測定部7にて検知できる。その結果、微小粒子状物質FPから発生するごく微量の放射線量を精度良く測定できる。
その一方、微小粒子状物質FPからの放射線量が多い場合には、捕集時間をより短時間(例えば、1時間)とすることにより、放射線量測定部7にて十分な量の放射線を検出しつつ、微小粒子状物質FPから発生する放射線量の経時的な変化を測定できる。
本発明は、測定空間に浮遊している微小粒子状物質の分析を行う微小粒子状物質分析装置に広く適用できる。
100 微小粒子状物質分析装置
1 捕集フィルタ
3 分級装置
31 吸引部
31a 第1開口部
33 排出部
33a 第2開口部
35 分級器
37 吸引ポンプ
5 質量濃度測定部
51 β線源
53 β線検出器
531 シンチレータ
7 放射線量測定部
71 実測放射線量測定部
711 第1放射線量測定部
713 第2放射線量測定部
73 バックグラウンド線量測定部
9 制御部
91 演算部
93 表示部
A 大気
FP 微小粒子状物質
LP 粗大粒子状物質
P 浮遊粒子状物質

Claims (8)

  1. 測定空間に浮遊している微小粒子状物質を捕集可能な捕集領域を有する捕集フィルタと、
    前記捕集領域に捕集された前記微小粒子状物質の質量濃度と、当該微小粒子状物質から発生する放射線量である測定放射線量と、を測定する分析部と、
    を備える微小粒子状物質分析装置。
  2. 前記分析部は、
    前記捕集フィルタの前記微小粒子状物質を捕集した捕集領域の第1面から照射され前記捕集領域の前記第1面とは反対側の第2面へと透過したβ線強度を測定することにより、前記質量濃度を測定する質量濃度測定部と、
    前記第1面及び/又は前記第2面から発生する放射線量を測定することにより、前記測定放射線量を測定する放射線量測定部と、
    を含む、請求項1に記載の微小粒子状物質分析装置。
  3. 前記放射線量測定部は、
    前記第1面及び/又は前記第2面から入射される放射線量の実測値である実測放射線量を測定する実測放射線量測定部と、
    前記捕集フィルタの前記微小粒子状物質が存在しない領域から入射する放射線量及び/又は周囲の空間線量を含むバックグラウンド線量を測定するバックグラウンド線量測定部と、を含み、
    前記測定放射線量は、前記実測放射線量と前記バックグラウンド線量との差として算出される、請求項2に記載の微小粒子状物質分析装置。
  4. 前記実測放射線量測定部は、
    前記第1面から入射する第1放射線の実測線量を測定する第1放射線量測定部と、
    前記第2面から入射する第2放射線の実測線量を測定する第2放射線量測定部と、
    を含み、
    前記実測放射線量は、前記第1放射線の実測線量と前記第2放射線の実測線量とを合計することにより算出される、請求項3に記載の微小粒子状物質分析装置。
  5. 前記放射線量測定部は、
    検出面の法線方向が前記捕集領域に向くよう配置され、前記検出面に入射する放射線量を測定する測定部と、
    放射線を遮蔽する材料にて構成され、前記検出面の法線方向に延び内部に前記測定部を収納可能な遮蔽空間を形成することにより、前記検出面の法線方向とは異なる方向からの放射線を遮蔽する遮蔽部材と、
    を含む、請求項2〜4のいずれかに記載の微小粒子状物質分析装置。
  6. 前記放射線量測定部はγ線の線量を前記放射線量として測定する、請求項2〜5のいずれかに記載の微小粒子状物質分析装置。
  7. 測定空間に浮遊している浮遊粒子状物質を、所定の基準によって粗大粒子状物質と前記微小粒子状物質とに分級する分級装置をさらに備える、請求項1〜6のいずれかに記載の微小粒子状物質分析装置。
  8. 前記分析部から出力される信号に基づいて、前記質量濃度と前記測定放射線量とを算出する演算部と、
    前記質量濃度と前記測定放射線量の前記演算部における算出結果を表示する表示部と、
    をさらに備える、請求項1〜7のいずれかに記載の微小粒子状物質分析装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102159254B1 (ko) * 2019-06-10 2020-09-23 한국원자력연구원 미세먼지 분석 장치 및 미세먼지 분석 방법
CN112817030A (zh) * 2020-12-29 2021-05-18 中国原子能科学研究院 测量装置
JP2021124417A (ja) * 2020-02-06 2021-08-30 株式会社青野工業 濃度兼放射線量測定器

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