JP5828359B2 - ラマン共鳴の機械的検出 - Google Patents

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2011年6月30日に提出された米国仮出願番号61/503,457及び2011年7月18日に提出された米国仮出願番号61/508,965の利得を有し、参考としてここに組み込まれる。
本発明は主に顕微鏡に関する。特に、本発明は、ラマン効果のナノメートル規模の検出のための原子力顕微鏡(Af;atomic force microscopy)の使用に関する。
政府の支援
本出願は、国立保健院により授与された承認HG−04431及びHG−04549下の政府支援からなされた。政府はこの発明に対して所定の権利を有する。
ラマン効果(Raman effect)は、化学的顕微鏡において最も広く用いられる現象の一つである。去る80年間、この効果は、ごく単色光を持つサンプルを照射し、微量(10の一部)の周波数シフトした散乱光(frequency shifted scattered light)を検出することによって測定された。一般のラマンセットアップは、高い拒否反応(rejection)、低い挿入損失、長いパスフィルターを用いることで入射ポンプ光を拒否する。その後、高分解能分光計に結合された高感度検出器により分子振動スペクトルを記録する。ラマン効果を測定しながら光ビーム又はサンプルをスキャンすることで、ラマン信号の2次元(2D)マップを生成できる。しかし、効果が光により測定されることから、ラマンベースの顕微鏡の空間分解能は、使用される光の波長によって制限される。
ラマン顕微鏡の空間分解能を向上させるべく、ラマン測定は原子力顕微鏡と結合し、チップ増強ラマン散乱法(TERS;tip−enhanced Raman spectroscopy)と知られた技術を生み出せばよい。TERSにおいて、金属原子力顕微鏡(Af)チップは、チップ近傍でサンプルを散乱させる増強した近接場光(near−field light)を生成するのに使用される。その後、散乱した光が遠隔場光学(far−field optics)により分析され、散乱体積内から発生するラマン効果を測定する。TERSから、単一分子から発生するラマン効果及び約10nmの空間分解能が報告された。しかし、TERSにより獲得されたデータの品質は、よく制御されない方式で、チップ形状に非常に敏感に依存する。また、遠隔背景信号は大きすぎ、近接場散乱からの微細信号と干渉する。そのため、TERSは、潜在的な有用性にもかかわらず、広く採択されるどころではない。
関心のサンプル上でラマン効果を検出する原子力顕微鏡ベースの装置及び方法は、周波数vの第1電磁波放射線及び周波数vの第2電磁波放射線をプローブチップ上に放出する第1及び第2電磁波源を利用する。周波数v及び周波数vは、プローブチップ及び当該サンプル間にラマン力相互作用を誘発するプローブチップにより採用されたサンプル上にラマン効果を誘導するように選択される。その後、ラマン力相互作用によるプローブチップ上の振動が測定される。
本発明に係る原子力顕微鏡ベースの装置は、関心のサンプルを採用する(engaging)プローブチップと、第1及び第2電磁波源及びセンサーと、を備える。プローブチップは、プローブチップを振動させ得る構造に結合される。第1電磁波源は、周波数vの第1電磁波放射線をプローブチップ上に放出するように構成され、第2電磁波源は、周波数vの第2電磁波放射線をプローブチップ上に放出するように構成される。周波数v及び周波数vは、プローブチップ及びサンプル間にラマン力相互作用を誘発する、サンプル上のラマン効果を誘導するように選択される。センサーは、プローブチップ及びサンプル間のラマン力相互作用によるプローブチップの振動を測定するように構成される。
本発明の他の形態及び利点は、本発明の原理の例として示された添付の図面を参照して説明される下記の詳細な説明から明らかになるであろう。
本発明の実施例に係るラマン力顕微鏡(Raman force microscope)のダイヤグラムである。 本発明の実施例に係るラマン力顕微鏡の概略図である。 ガラス上のクマシー(Coomassie)ブルー染料分子のトポグラフィー及びラマンイメージを示す図である。図3(a)は、1625cm−1分子共鳴に同調された(v−v)を持つガラス上のクマシーブルー染料分子のトポグラフィーイメージを示す図であり、図3(b)は、図3(a)に示したトポグラフィーイメージに対応する同時記録されたシミュレーションラマン力勾配(Raman force gradient)イメージを示す図であり、図3(c)は、1625cm−1分子共鳴に同調されていない(v−v)を持つガラス上のクマシーブルー染料分子のトポグラフィーイメージを示す図であり、図3(d)は、イメージコントラストを表していない図3(c)に示したトポグラフィーイメージに対応する同時記録されたラマンイメージを示す図である。 商用のレニショー(Renishaw)分光計を用いて記録され、クマシーブルー分子の厚い層を形成するラマンスペクトル(実線)と比較される1625cm−1ラマン共鳴を用いて(v−v)を同調することによって得られた図3(b)に示されたイメージの分子特性の上のプローブを持って記録されたラマンスペクトル(四角)の比較グラフである。 本発明の実施例によって関心のサンプルに対するラマン効果を検出する方法のプロセスフローである。
ここに一般的に記載され、添付の図面に示された実施例のコンポーネントは、様々な異なった構成として配置及び設計されてもよいことは容易に理解されるであろう。したがって、図面に示された様々な実施例に関する下記の詳細な説明は、本開示の範囲を制限するためのものではなく、単に様々な実施例を例示するものである。実施例の様々な形態が図面に提示されるが、図面は、特に指示されない限り、必ずしも一定の割合で描かれない。
本発明はその思想及び必須の特徴から逸脱することなく他の特定の形態に実施されてもよい。記載された実施例は、単に説明のためのもので、制約的なものとして見なされない。したがって、本発明の範囲は、詳細な説明ではなく添付の特許請求の範囲により定められる。特許請求の範囲の等価の意味及び範囲内における変化はいずれも本発明の範囲に含まれる。
本明細書全体を通じて、特徴、利点又はその類似の用語に対する参照は、本発明により実現できるあらゆる特徴及び利点が、本発明の任意の単一の実施例にあるということを暗示するものではない。むしろ、特徴及び利点を参照する用語は、実施例に関連して記載された特定の特徴、利点又は特性が、本発明の少なくとも一つの実施例に含まれるということを意味する。したがって、本明細書全体を通じて、特徴、利点及び類似の用語の説明は、必ずではないが、同一の実施例を参照できる。
また、記載された本発明の特徴、利点及び特徴は、一つ以上の実施例において任意の適切な方式で結合されてもよい。当業者は、記載された説明に照らし、一つ以上の特定の実施例における特定の特徴又は利点無しで本発明が実行され得るということが認識できる。他の例において、追加の特徴及び利点が、本発明の全ての実施例に存在しなくてもよい所定の実施例に認められてもよい。
本明細書にわたって、「一実施例」、「実施例」又はその類似の用語に対する参照は、指示された実施例と結合して記載された特定の特徴、構造又は特性が本発明の少なくとも一つの実施例に含まれるということを意味する。したがって、本明細書にわたって「一実施例において」、「実施例において」、及びその類似の用語はいずれも、必須ではないが、同一の実施例を参照できる。
図1及び図2を参照すると、本発明の実施例に係るラマン力顕微鏡(Raman force microscope)が示されている。ラマン力顕微鏡は、TERS(tip−enhanced Raman spectroscopy)を含む別の類似アプローチと比較して、ラマン効果を用いて増強した空間分解能を達成するAfベースの顕微鏡である。
ラマン効果は、光子の非弾性散乱(inelastic scattering)である。光子が原子又は分子から散乱する時、大部分の光子は不変エネルギー及び波長をもって弾性的に散乱する。しかし、散乱する光子の小さい部分が可変エネルギー及び波長をもって散乱するが、これがラマン効果の結果である。ラマン効果により生成される光子の散乱により、従来のラマンベースの顕微鏡は、強い光源を用いてサンプルを照射し、微小量の周波数シフトした散乱光を検出することによってラマン効果を検出する。しかし、ラマン力顕微鏡100は、ラマン誘導散乱光子を検出するよりは、むしろラマン分子振動共鳴を機械的に検出することによって、全く新規且つ期待せぬ方式でラマン効果を検出する。以下でより詳しく説明されるように、ラマン力顕微鏡は、励起した振動分子、すなわち、関心のオブジェクト又はサンプル及び分子に非常に近接したカンチレバーナノメートル規模のプローブチップ間の光パラメトリックダウンコンバージョン(optical parametric down conversion)によって力相互作用を生成する。その後、カンチレバープローブチップに対する力相互作用の機械的効果が測定されることで、分子に対するラマン効果を検出する。したがって、ラマン力顕微鏡は、ラマン効果により非弾性的に散乱する光を単純に検出する従来のラマンベースの顕微鏡に比べて、ラマン効果を検出する完全に異なるメカニズムを利用する。
パラメトリック力検出の理論は、簡略化した古典的モデルに依存することによって理解できる。まず、研究されるサンプル、例えば、分子種(molecular species)がカンチレバー上のプローブチップ及び基板間の空間を占めると仮定する。プローブチップとサンプル間の電界がEであるとすれば、プローブチップ上の力(F)は、下記の通りである。
(1)
ここで、Aは任意の定数でありεは自由空間誘電率であり、E=(Ecos2πvt+Ecos2πvt+Ecos2πvt)であり、E、E、Eはそれぞれv、v、vにおいてビームの電界振幅であり、xはサンプルの線形敏感性であり、
は非線形敏感性項であり、qは核振動座標であり、Qは核振動振幅であり、vはラマン共鳴周波数である。
カンチレバーが光周波数に応答できないから、下記の時間平均力<F>が式1から算出される。
(2)
式(2)の第1項は、単純にプローブチップ上に入射された平均パワーから起因する力であるが、第2項は、検出可能な機械的周波数にパラメトリックダウンコンバージョンされるラマン振動から起因する力である。E及びEがfにおいて逆位相で変調され、プローブチップにおいて一定のパワーを生成するように平衡(balance)を維持すると、式(2)の第1項は一定である。ラマン共鳴において、シミュレーション励起に対する条件である
の時、
によって与えられた第2項からの力が生成され、ここで、vはポンプレーザー光の周波数であり、vはシミュレーションレーザー光の周波数であり、vはラマン共鳴周波数である。
この項は、fでオン及びオフ変調され、ラマン信号として検出可能である。背景のないラマン信号を検出する他の技術は、f1でEを変調し、f2でEを変調することで、
又は
となるようにするものである。vでの平衡光ビームは除去可能である。
ラマン力を生成し検出するために、ラマン力顕微鏡100は原子力顕微鏡によく見られるコンポーネントを使用する。図示の実施例において、ラマン力顕微鏡はタッピングモード(tapping mode)Af技術を利用する。しかし、他の実施例において、ラマン力顕微鏡は別のスキャニングプローブ顕微鏡技術を利用してもよい。図1及び図2に示すように、ラマン力顕微鏡は、ディザー(dither)圧電コンポーネント(図1の「ディザー圧電(Dither Piezo)」)に接続されたカンチレバー104上のプローブチップ102を備える。ディザー圧電コンポーネントは、カンチレバーの共鳴周波数f付近でカンチレバーを駆動し、カンチレバーがPZT湾曲XYZサンプルスキャナー上に位置するサンプル上で共鳴周波数で振動するようにするのに使用される。ここで使用されるように、共鳴周波数付近は、共鳴曲線の最大の半分において全体幅により定義される周波数の範囲内を意味する。サンプルスキャナーは、プローブチップに対してサンプルを移動させるメカニズムを備える。図示の実施例において、スキャナーメカニズムは、サンプルスキャナーを粗い(coarse)X、Y及びZ方向に移動させるように構成される。ここで使用されるように、X及びY方向は、サンプルスキャナーの上面に平行な直角方向であり、Z方向は、サンプルスキャナーの上面に対して法線方向である。また、カンチレバーは、カンチレバーをZ方向に移動させ得る高速Z圧電コンポーネント(図1の「高速Z」)及びカンチレバーをX及びY方向に移動させ得るオフセットステージメカニズムに接続される。しかし、他の実施例において、ラマン力顕微鏡は、カンチレバー及びサンプルスキャナーのいずれか一方のみが移動するか、又はカンチレバー及びサンプルスキャナーが一つ以上の方向への移動において制限されるように設計されてもよい。
ラマン力顕微鏡100はさらに、レーザー及び位置感知検出器(PSD;position sensitive detector)を備える。レーザー及びPSDは、カンチレバー104上に光を放出し、PSDでカンチレバーから反射された光を受信するように配置される。図1で、レーザーからカンチレバーに光を反射させるように配置された反射エレメントが示されている。他の実施例では、ラマン力顕微鏡は反射エレメント無しでレーザーからの光がカンチレバーに到達するようにレーザーを位置させることによって反射エレメントを省いてもよい。また、図示してはいないが、ラマン力顕微鏡は、レーザーからカンチレバーに、又はカンチレバーからPSDに光をフォーカシングしたり操作する一つ以上の光エレメントを備えてもよい。また、他の実施例において、レーザーは、電磁波放射線を放出する任意タイプの電磁波源であってもよく、PSDは、電磁波放射線を検出し、カンチレバーの位置変化、例えば、カンチレバーの振動を感知できる任意タイプのPSDであってもよい。他の実施例において、レーザー及びPSDは省かれ、カンチレバーの偏向(deflection)はカンチレバー構造の一部である変形センサーから生成された電圧信号から測定されてもよい。
プローブチップ102及びサンプル間のラマン力相互作用を生成するために、ラマン力顕微鏡100は、プローブチップ上の2個の同一線上の光ビーム、周波数vのポンプビーム、周波数vのシミュレーションビームをフォーカシングする少なくとも2個のレーザー及び周波数(v−v)で分子振動を效率的にシミュレーションするサンプル上の回折制限スポットを含む。原則として、ラマン力顕微鏡は、周波数vで一つの固定レーザー及び所定の周波数範囲vmin乃至vmaxにわたって放出できる一つの同調可能レーザーのみを必要とし、ここで、vはこの範囲内にある。したがって、図1で、ラマン力顕微鏡は、周波数vで光を放出する固定波長レーザー及び周波数範囲vmin乃至vmaxにわたって光を放出できる可変波長レーザーを含むものと示される(注:波長は周波数の逆である)。しかし、同調可能レーザーが所望の全体周波数範囲を十分にカバーしないと、2個以上の固定レーザーが全体周波数範囲をカバーしたり周波数範囲を増加させるのに使用されてよい。図2に示す具現例において、ラマン力顕微鏡は、770nm乃至850nmをカバーする同調可能レーザー、及びラマンモジュールに含まれる702nm及び764nmにおける2個の固定レーザーを含む。ラマン力顕微鏡に含まれる固定レーザーの数に関係なく、固定レーザーの少なくとも一方はポンプレーザーとして動作し、同調可能レーザーはシミュレーションレーザーとして動作するはずである。他の実施例において、固定及び同調可能レーザーは、電磁波放射線を放出する任意のタイプの電磁波源であってもよい。
ラマン力顕微鏡100は、図1及び図2で、「2xDAC」とラベリングされた信号生成器をさらに備える。信号生成器は、可変オン電圧(例えば、オン電圧は1V乃至5Vの範囲でよい)を持つ矩形波又はサイン波の変調信号fm1,fm2を生成するように構成される。fm1及びfm2のオン電圧の大きさは、固定波長レーザー及び同調可能波長レーザーの出力パワーを決定する。図2に示す具現例において、2個の固定レーザーfm1−1又はfm1−2のいずれか一方は、スイッチにより選択される。より多くの固定波長レーザー、例えば、4個の固定波長レーザーを持つ具現例において、スイッチはfm1−1、fm1−2、fm1−3又はfm1−4のいずれか一つを選択するように構成される。
固定及び同調可能レーザーからの光は、偏光維持単一モード光ファイバーに結合される。結合されたビームの一部は、それぞれのレーザー光のパワーを測定するべく、図1及び2で「Det36A」とラベリングされた高速フォトダイオードパワー検出器に向かう。Det36Aの出力は、(図2のPCI−Card AMU2.9上の入力In2を用いて)それぞれの変調周波数に「ロック(lock)」することによって、独立して2個のレーザー光のパワー密度を測定できる二重周波数ロックイン(lock−in)増幅器に供給される。測定されたパワー強度は、fm1及びfm2に対するオン電圧の大きさを増加又は減少させるのに用いられ、これにより、測定されたパワー強度は、同調可能レーザーの動作周波数が変わるに従って一定に維持される。
ファイバーからの結合されたレーザー光は、手動の粗い(coarse)Z変換(translation)ステージ及び(図1及び2で「MIPOS100」とラベリングされた)微細PZT制御Zフォーカスステージ上に装着された対物レンズを持つプローブチップ102の頂点の平面上にフォーカシングされる。逆対物レンズ(inverted objective lens)はまた、CCDカメラ(図1を参照)を用いて下部からプローブチップ及びサンプルを見るのに使用される。CCDカメラに光を提供するために、ラマン力顕微鏡100は、z変換器により制御される対物レンズを用いる光源(図1及び2の「パワーLED」)を備える。
ラマン力顕微鏡100により照射されるサンプルは、PZT湾曲XYZサンプルスキャナー上に設けられたサンプルホルダー上に装着される。XYZサンプルスキャナーはXY粗(coarse)移動ステージ上に装着され、サンプルの異なった領域をアクセスする。強いラマン力信号を生成するために、ポンプ及びシミュレーションレーザーがプローブチップの頂点にフォーカスされる間に、プローブチップ102はサンプルの表面に(約1ナノメートル)近接して留まる必要がある。サンプルがスキャニングされる間にプローブチップをサンプルの表面に近接して保持するために、原子力顕微鏡(Af)に用いられる技術が採用される。Afにおいて、統合されたチップを持つマイクロ製造カンチレバーが力センサーとして使用される。カンチレバーは、よく定義された共鳴周波数f及びf1を有し、周波数f及びf1はそれぞれ、振動の第1及び第2モードである。矩形のカンチレバーに対して、周波数f1はfの値よりも6倍ラフ(rough)である。プローブチップ102の頂点及びサンプル表面間に存在する力を測定するために、カンチレバー104が(図1のディザー(f)を介して)駆動され、プローブチップがサンプル表面から遠ざかる間に数ナノメートル〜約100ナノメートルの範囲にある振動振幅を持つ第1共鳴周波数の付近で振動する。カンチレバーの振動は、レーザーからのレーザー光をカンチレバーの後面に照射し、PSDで反射されたレーザー光をモニタすることによって測定される。PSDからの(図1でT−Bとラベリングされた)出力は、(図1でPCI−Card AMU2.9へのIn1入力を用いて)駆動周波数と同じ周波数にロックされたロックイン増幅器によりモニタされる。振動カンチレバーがサンプル表面に(数ナノメートルの距離に)さらに近づくように移動するにつれ、振動振幅は、チップとサンプル間のファンデルワールス力(Van der Waals force)により減少するはずである。所望の振幅減少を設定することによって動作設定ポイントの確立ができる。サンプルがプローブチップに対してスキャンされるにつれ、振幅減少量は、サンプルの変化する表面トポグラフィーによってプローブチップ及びサンプル表面間の変化距離に従って変わるはずである(チップが表面に近いほど、振幅減少が増加する)。異なった(X,Y)位置での振幅減少の値は、サンプルトポグラフィーを反映するだろう。
表面トポグラフィーをマップするより効率的な方法は、サンプルスキャナーが一定のチップ−サンプル距離を維持し、サンプルがスキャンされるにつれて一定の振幅減少を維持する必要があるZ方向の調節量を記録することである。図示の具現例において、ラマン力顕微鏡100は、2個のZ変換メカニズムを用いて、サンプルスキャナーの一部である一つの低速Z方向メカニズムは、大きいサンプルトポグラフィーを補償するように大きい範囲(例えば、〜20ミクロン)を有し、プローブチップを移動させる高速Z方向メカニズム(図1で「FastZ」とラベリングされる)は、小さいサンプルトポグラフィーを補償するように小さい範囲(例えば、〜1ミクロン)を有する。このようなzスキャナー移動の分離は、サンプルトポグラフィーの変化が大きくないとき、ラマン力顕微鏡がサンプルを高速でスキャン可能にする。したがって、ラマン力顕微鏡は、プローブチップ及びサンプル表面間の固定ナノメートル規模の距離を維持しながらサンプルトポグラフィーを測定し、良好なラマン力信号を得ることができる。ラマン力顕微鏡の様々なコンポーネントは、PCI−Card AMU2.9が設けられたコンピュータシステムと結合し、制御器(図2で「VMI−HSC500」)により制御される。
(v−v)=vのとき、条件を満たすことによって、シミュレーションラマン散乱があれば、プローブチップ102の頂点及びサンプル表面間にラマン力が存在するはずであり、ここで、vはポンプレーザー光の周波数であり、vはシミュレーションレーザー光の周波数であり、vはラマン力周波数である。この力は、カンチレバーの駆動周波数fで変調され、サンプルトポグラフィーから発生する力に加えられるだろう。しかし、駆動周波数でPSD出力を測定することによって、測定された力に対する2つの寄与(contribution)を差別化する方法は仮想的に存在しない。ラマン力を独立して測定するべく、ラマン力顕微鏡100は、プローブチップ及びサンプル間のラマン力が非線形であるという事実に着目し、異なった入力を「混合」する。したがって、ポンプレーザー及びシミュレーションレーザーが周波数fm1及びfm2でそれぞれ変調され、両レーザービームがプローブチップの頂点上にフォーカシングされると、レーザービームが混合されてfm1+fm2及びfm1−fm2でビームを生成する。プローブチップが周波数fの付近で振動するから、fを持つ2個のビームの混合は、次の周波数、すなわち、f+fm1+fm2、f−fm1−fm2、f fm1−fm2及びf−fm1+fm2でラマン力を生成するだろう。ラマン力はそれ以上駆動周波数fに存在しない。原則として、動作を簡略化するべく、周波数fm1又はfm2をゼロと同一に設定してもよいが、このような設定は、ラマン力の理解を一層難しくするイメージ力(image force)の寄与を導入する(イメージ力は、2010年8月10に提出された米国仮出願番号61/401,495に記載されており、ここに参考として含まれる)。4個の混合周波数での力相互作用はT−B PSD出力に存在するはずである。しかし、各周波数は共鳴周波数fから離れているため、これら周波数での振動振幅は非常に小さく、通常、検出レベルを越えるだろう。しかし、4個の混合周波数のいずれか一方の値がカンチレバーの第2共鳴モードf1の上にあれば、ラマン力により発生する振動振幅は大きく増幅するはずである。ラマン力顕微鏡の動作において、周波数fm1及びfm2の値は、4個の混合信号のいずれか一方の周波数が周波数f1と実際に一致するように選択される。その後、二重周波数ロックイン増幅器が、チップ−サンプル距離を制御するフィードバックに対する駆動周波数f及びラマン力信号を検出する第2共鳴周波数f1付近で動作する。他の実施例で、カンチレバーは、カンチレバーの任意の一つの共鳴モードで駆動され、混合信号のいずれか一方は、上述した通り、カンチレバーの任意の他の共鳴モードで検出されてもよい。


カンチレバー104の第2共鳴周波数f1のラマン力信号は、PCI−Card AMU2.9が設けられたコンピュータシステムでプロセシングされる。コンピュータシステムは、一つ以上のプロセッサー、メモリー、ディスプレイ、及び入力装置、例えば、キーボード及びマウスなどの、パーソナルコンピューターによく見られる多くのコンポーネントを備える。ラマン力信号は、サンプルの異なった位置で変わるラマン力を表すサンプルのイメージを生成するのに用いられる。カンチレバーの第1共鳴周波数fの信号はまた、コンピュータシステムでプロセシングされてトポグラフィーイメージを生成する。
特定の具現例で、ラマン力顕微鏡は、剛性定数(stiffess constant)(k=3N/m)及び第2機械的共鳴(f=65KHz)を持つカンチレバーを使用する。カンチレバーは、金メッキスキャニングプローブ顕微鏡チップ(10nmの公称半径)を含む。ポンプレーザー及びシミュレーションレーザーに加えて、ポンプビーム変調による力検出に対する任意のスプリアス(spurious)効果を除去するために、他のレーザーが変調されることで、周波数fで第1ポンプビーム変調とは180゜位相が異なる第3同一線上ポンプビーム(光周波数v)を生成する。第3ビームの光パワーが調節されることから、サンプル表面に存在するパワーの合計変調成分はゼロである。さらに、光周波数vが選択され、(v−v)はサンプルの任意のラマン共鳴外に位置する。この方式により、周波数fで検出された任意の力変調は、単にシミュレーションラマン効果により確保される。周波数vでの第3ビームに対する必要性は、変調周波数f1及びf2にてv及びvで2個のビームをそれぞれ変調し、f=f1+f2又はf=f1−f2とすることによって排除される。
この具現例で用いられる3個の同一線上レーザービームは、λ0(v)=633nm、λ1(v)=594.1nm、及びλ2(v)=656nmである。これらのレーザービームは、ガラス顕微鏡カバースライドを用いてフォーカシングする油浸対物レンズ(oil immersion objective lens)(NA=1.45)を使って10nm金メッキシリコンチップを照らすのに用いられる。フォーカシングされたレーザービームは、ガラススライド上のオブジェクトのラマン共振を励起させる。レーザー、電磁波又は他のエネルギー源が使用されるか否かによって、カンチレバープローブチップは、当業者に周知である他の適切な金属でコーティングされればよい。このような物質は、特別なものに制限されないが、ニッケルなどの強磁性金属の他、パラジウム、金、銀、銅などの貨幣金属(coinage metal)を含む。他の実施例で、カンチレバーのチップはコーティングされなくてもよい。チップがサンプルに近づくにつれて、励起した分子は、プローブチップ上にポンプ変調周波数fで変調される引力(attractive force)及び力勾配(force gradient)を生成する。力相互作用を一層向上させるべく、放射偏光子(ARCoptix)が対物レンズの入射瞳(entrance pupil)で使用され、光電界振動がプローブチップの軸に沿うようにする。対物レンズの入射瞳における各ビームの光パワーは、名目上、略200μWに調節される。
他の実施例で、ラマンシフト(Raman shift)の広い範囲が測定される必要があるとき、周波数vのポンプビーム及び周波数vのシミュレーションビームが同調されてもよい。他の実施例で、電磁気又は磁気励起装置はポンプ及びシミュレーション信号を生成するのに使用されてもよい。より一般的な実施例において、分子振動をシミュレーションできる一つ以上のエネルギーソースが用いられてもよい。
この具現例に対する信号回復及びイメージング方式は、図1及び図2に示したラマン力顕微鏡におけると同一である。この具現例で、レーザー変調周波数(f=360KHz)が使用される。上側波帯(f+f=425KHz)における力勾配信号は、カンチレバーの第2機械的共鳴と一致するように選択され、ロックイン増幅器を用いて検出可能である。ロックインに対する基準は、後段にf+fに対する帯域通過フィルターがある二重平衡ミキサー(double balanced mixer)でf及びf駆動信号を混合することによって導出できる。
ラマン力顕微鏡に対する実験は、クマシーブルー染料を用いて行われた。4×10−7mM染料分子の30μLドロップ(drop)はピペットにおいて清潔なガラス顕微鏡カバースライド上のエタンオール中に溶解して乾燥された。観察された最も小さいトポグラフィー部分が、図3(a)に示すように約10nmであるが、染料は、略25nmの平均寸法を持つ分子クラスターに合わせられる。図3(a)の上部右側コーナー上の10nm部分は、クマシーブルー分子の推定高さに対応する500pm未満の高さ変化を表すトポグラフィースキャンから単一分子となるものと推論される。この実験において、トポグラフィー及びラマンイメージが同時に記録された。図3(a)及び図3(b)はそれぞれ、レーザー周波数vが温度同調され、(v−v)がクマシーブルー分子の1625cm−1振動モードと一致する時のトポグラフィー及びラマンイメージである。細部事項は、トポグラフィーイメージと比較してラマンイメージから見ることができる。図3(c)及び図3(d)は、小さい熱的ドリフトを除いては、ラマンイメージ内の情報は示さず、同一のトポグラフィー情報のみを示す当該振動モードと離れて同調された(v−v)により取られた当該イメージを示す。
図3(b)で、分子クラスター内の個別分子は、図3(a)のトポグラフィーイメージでは分解されないが、ラマンイメージで明確に見える。図面は、ラマン力顕微鏡で撮影された1、2、3、4及び5個の分子のクラスターを表す。これらクラスター内の一部の分子は非常に明るく示されるが、その他は相対的に暗い。これらのコントラスト変化は、互いに異なった励起効率を起こす光励起の入射電界に対してクラスター内の様々な分子の異なった配向から発生すると見なされる。また、ラマンイメージ(5nm)における分解能は、トポグラフィーイメージ(10nm)におけるそれよりも優れている。これは、ラマン力顕微鏡において励起ダイポール(dipole)及び相互作用力フィールドが両方とも近接場相互作用であり、プローブチップの空間次元に限定されるからである。ラマン力顕微鏡の点拡散関数(point spread function)は、励起関数及び検出器関数の積により決定される。これは、励起(excitation)が近接場内にあるが、検出が遠隔場で行われるチップ向上ラマン分光学などの他のラマンイメージング方式と比較してより狭い点拡散関数を招く。この実験におけるラマン信号のS/Nは、1Hz帯域幅で35dBと推定された。
ラマン力顕微鏡のイメージング概念をより立証するために、ラマン特徴の一つ上のプローブが位置し、vでレーザーを温度同調することによって、応答が(v−v)の関数として記録された。図4は、レニショー分光計を用いて獲得したスペクトル(実線)と比較して記録されたラマンスペクトル(四角形)を示す。スペクトルの分解能は、レニショー分光計の分解能と比較して2cm−1であった。
他の実施例において、光生成過渡種(photogenerated transient species)の振動モードの時間分解測定は、マルチ光子セットアップを用いて行われてもよい。このセットアップにおいて、パルスレーザービームは、励起分子の緩和動力学(relaxation dynamics)を測定するのに使用される。一般に、周波数vのパルスシミュレーションレーザーと結合された周波数vのパルスポンプレーザーは、オブジェクトを励起するだろう。その後、オブジェクトを侵害する時間τにより遅れた周波数(v+f)及び周波数(v+f)でのパルスプローブビームセットが続く。(f−f)が選択され、(f+f−f)がカンチレバーの第2共鳴と一致することで、分子振動を(f+f−f)でのカンチレバーの検出可能な機械的振動に変換させる。fは、カンチレバーの第1共鳴周波数である。パルス幅及び遅延τを適切に選択することによって10−14秒だけ短い期間で発生するプロセスを研究できる。
他の実施例において、(f−f)がfでの第1カンチレバー共鳴応答内に位置するように選択され、カンチレバーの機械的振動がf付近で検出される。
他の実施例において、パルスプローブビームは周波数v及び周波数vにあり、それぞれ周波数f及びfで振幅変調されることから、(f+f−f)又は(f+f+f)又は(f−f−f)又は(f−f+f)が、カンチレバーの機械的振動が検出されるカンチレバーの第2共鳴と一致する。
他の実施例において、変調周波数f及びfが選択され、(f−f)は、fで第1カンチレバー応答内にあり、カンチレバーの機械的振動がf付近で検出される。
他の実施例において、周波数vのパルスレーザーは、上述の方式においてvのCWレーザーに取り替えられる。
他の実施例において、時間分解測定は、広い波数範囲(wide wave number range)にわたるラマンスペクトルを導出するのに用いられてもよい。検出されたカンチレバー振動信号は、ロックイン増幅器などの位相感知検出器(phase sensitive detector)を用いてカンチレバー振動周波数(f+f−f)又は(f−f)において電子レファレンス(electronic reference)と混合される。位相感知検出器の検出された出力電圧はVsigcosθであり、ここで、θは、電子レファレンス及び検出されたカンチレバー振動信号振幅(Vsig)間の位相差である。検出された出力のグラフは、時間遅延τの関数として記録される。このグラフのフーリエ変換は、粗測定に用いられるパルスの逆パルス幅である周波数範囲にわたって(v−v)に対するラマン周波数応答を算出する。
他の実施例において、プローブチップ及びオブジェクトは気密チャンバー(air−tight chamber)内に封止され、チャンバーは低い真空状態乃至高い真空状態に真空処理されたり、気体及び液体で埋められてもよい。中間の真空状態にあるチャンバーでは、カンチレバーの増加したQにより、励起分子を検出するプローブの敏感度がより大きくなると期待される。他の実施例において、プローブチップ及びサンプルは、液体下のサンプルを研究するべく、開放液体コンテナにおいて液体で覆われてもよい。
他の実施例において、ラマン力顕微鏡のAfは、ラマン効果がプローブにより検出される間に、オブジェクト表面をタッピングせず、非接触モードで動作するはずである。ラマン力顕微鏡がカンチレバー偏向測定に対する光検出方法を利用することがここでは記載されるが、当業者にとってピエゾ抵抗磁気感知(piezo resistive self−sensing)及びせん断力(shear−force)技術などの他のカンチレバー偏向方法が用いられもよいことが明らかであろう。
結論的にいうと、本発明に係るラマン力顕微鏡は、完全に異なるチャネルを通じて、すなわち、スキャニングプローブ顕微鏡内のラマン励起分子部分及びプローブチップ、例えば、メッキプローブチップ間の力勾配を測定することによってラマン効果が検出できるということを示す。チップからの光散乱に基づく無開口近接場顕微鏡は、蛍光発光(fluorescence)を通じたラマン効果を含む可視光から赤外線光へのナノスケールオブジェクトの撮影において大成功したが、信号が近接場相互作用の遠隔場光検出に基づくため、非常に弱い。ラマン力顕微鏡に用いられる検出アプローチは容易に拡張され、単一分子に対するポンププローブ実験を行えることと見なされ、ここで、これを用いて単一分子レベルで分子内及び分子間結合を測定し、分子内の立体配座変化(conformational change)を追跡可能でなければならない。また、開示の方法は、原子分解能ラマン分光学及びイメージングを達成するように拡張されてもよい。さらに、周波数v及びvは、多くの柔軟性を提供するアプリケーションの要求に応じてIR乃至UV周波数範囲から選択されてもよい。
この例ではカンチレバーが使用されているが、同調フォーク(tuning fork)又は当業者には公知である他の機械的共鳴器が使用されてもよい。また、上記の例ではレーザービームをオブジェクト/種上にフォーカシングするのに光レンズが使用されたが、他のエネルギーフィールドが使用される実施例では、電気ビームフォーカシング装置又はマイクロウエーブストリップラインなどの他のフォーカシング装置が使用されてもよいことが当業者には明らかであろう。さらに、レーザービームがサンプルの下部からチップ及びサンプル領域に向かうことが図示されているが、レーザービームはチップ及びサンプル領域の上面又は側面からチップ及びサンプル領域に向かってもよい。上部側面の照明のために、ナノセンサーからカンチレバーのAdvancedTECラインのような突出チップを持つカンチレバーが使用されてもよい。
本発明の実施例によって関心のサンプル上のラマン効果を検出する方法を、図5の流れ図を参照して説明する。ブロック502において、プローブチップがサンプル上に配置される。プローブチップは、プローブチップを振動させ得る構造に結合される。次に、ブロック504で、周波数vの第1電磁波放射線及び周波数vの第2電磁波放射線がプローブチップ上に放出される。周波数v及び周波数vは、プローブチップ及びサンプル間にラマン力相互作用を誘発するサンプル上のラマン効果を誘導するように選択される。次に、ブロック506において、プローブチップ及びサンプル間のラマン力相互作用によるプローブチップの振動が測定される。
ここでは各方法の動作が特定の順序で図示及び記載されているが、各方法の動作の順序が変更され、所定の動作が逆順に行われてもよく、所定の動作が少なくとも部分的に他の動作と同時に行われてもよい。他の実施例において、個別動作の命令又はサブ動作は間欠的及び/又は交互方式で具現されてもよい。
諸方法に対する動作の少なくとも一部は、コンピュータにより実行されるコンピュータ使用可能記憶媒体に記憶されたソフトウェア命令を用いて具現可能である。一例として、コンピュータプログラム製品の実施例は、コンピュータ上で実行される時、コンピュータがここに記載された通りに動作を行うようにするコンピュータ読み取り可能プログラムを記憶するコンピュータ使用可能記憶媒体を含む。
また、本発明の少なくとも一部の実施例は、コンピュータ又は任意の命令実行システムにより又はそれと結合して使用されるコンピュータ使用可能又はコンピュータ読み取り可能媒体からアクセス可能なコンピュータプログラム製品の形態を取ってもよい。本説明のために、コンピュータ使用可能又はコンピュータ読み取り可能媒体は、命令実行システム、装置又はデバイスにより又はそれと結合して使用されるプログラムを含んだり、記憶したり、伝達したり、伝播したり伝送したりできる任意の装置であってもよい。
コンピュータ使用可能又はコンピュータ読み取り可能媒体は、電子、磁気、光、電磁気、赤外線又は半導体システム(又は装置又はデバイス)又は電波媒体であってよい。コンピュータ読み取り可能媒体の例としては、半導体又はソリッドステートメモリー、磁気テープ、消去可能コンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリー(RAM)、読み出し専用メモリー(ROM)、剛性磁気ディスク及び光ディスクを含む。現在の光ディスクの例としては、CD−ROM(compact disk with read only memory)、CD−R/W(compact disk with read/write)及びDVD(digital video disk)を含む。
上記の説明において、様々な実施例の特定の細部事項が提供される。しかし、一部の実施例は、それら特定の細部事項よりも少ない細部事項で実行されてもよい。他の例において、所定の方法、手順、コンポーネント、構造及び/又は機能は、本発明の様々な実施例の簡略化及び明瞭化のためにより詳細には説明しない。
本発明の特定の実施例が記載及び図示されたが、本発明は、記載及び図示された部分の特定形態又は配置に制限されるものではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその同等物により定義される。

Claims (10)

  1. 関心のサンプルを採用する(engaging)プローブチップであって、該プローブチップは前記プローブチップを振動させ得る構造に結合される、プローブチップと、
    第1及び第2電磁波源であって、前記第1電磁波源は、周波数vの第1電磁波放射線を前記プローブチップ上に放出するように構成され、前記第2電磁波源は、周波数vの第2電磁波放射線を前記プローブチップ上に放出するように構成され、前記周波数v及び周波数vは、前記プローブチップ及び前記サンプル間にラマン力相互作用を誘発するサンプル上のラマン効果を誘導するように選択される、第1及び第2電磁波源と、
    前記プローブチップ及び前記サンプル間のラマン力相互作用による前記プローブチップの振動を測定するように構成されるセンサーと、
    を備える、原子力顕微鏡ベースの装置。
  2. 前記周波数v及び周波数vは、前記周波数v及び周波数v間の差がラマン共鳴周波数と同一となるように選択される、請求項1に記載の原子力顕微鏡ベースの装置。
  3. 前記第1及び第2電磁波源のそれぞれは、固定波長レーザー及び同調可能レーザーのいずれか一つである、請求項1に記載の原子力顕微鏡ベースの装置。
  4. 前記第1及び第2電磁波源はそれぞれ周波数fm1及びfm2で変調されて混合周波数f0+fm1+fm2、f0−fm1−fm2、f0fm1−fm2、及びf0−fm1+fm2でラマン力を生成し、ここで、周波数f0は、前記プローブチップを持つ構造の駆動周波数である、請求項1に記載の原子力顕微鏡ベースの装置。
  5. 前記周波数fm1及びfm2は、前記混合周波数f0+fm1+fm2、f0−fm1−fm2、f0fm1−fm2、及びf0−fm1+fm2のいずれか一つが、前記プローブチップを持つ構造の第2共鳴モード周波数f1の付近にあるように選択される、請求項4に記載の原子力顕微鏡ベースの装置。
  6. 関心のサンプルに対するラマン効果を検出する方法であって、
    プローブチップを前記サンプル上に配置する段階であって、前記プローブチップは、前記プローブチップを振動させ得る構造に結合される、段階と、
    周波数vの第1電磁波放射線及び周波数vの第2電磁波放射線を前記プローブチップ上に放出する段階であって、前記周波数v及び周波数vは、前記プローブチップ及び前記サンプル間にラマン力相互作用を誘発するサンプル上のラマン効果を誘導するように選択される、段階と、
    前記プローブチップ及び前記サンプル間のラマン力相互作用による前記プローブチップの振動を測定する段階と、
    を含む、方法。
  7. 前記周波数v及び周波数vは、前記周波数v及び周波数v間の差がラマン共鳴周波数と同一となるように選択される、請求項6に記載の方法。
  8. 周波数vの第1電磁波放射線及び周波数vの第2電磁波放射線は、固定波長レーザー及び同調可能レーザーの少なくとも一方から放出される、請求項6に記載の方法。
  9. 周波数vの第1電磁波放射線及び周波数vの第2電磁波放射線はそれぞれ周波数fm1及びfm2で変調されて混合周波数f+fm1+fm2、f−fm1−fm2、f fm1−fm2、及びf−fm1+fm2でラマン力を生成し、ここで、周波数fは、前記プローブチップを持つ構造の駆動周波数である、請求項6に記載の方法。
  10. 前記周波数fm1及びfm2は、前記混合周波数f+fm1+fm2、f−fm1−fm2、f fm1−fm2、及びf−fm1+fm2のいずかれ一つが、前記プローブチップを持つ構造の第2共鳴モード周波数f1の付近にあるように選択される、請求項9に記載の方法。
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