JP2017049073A - 環境試験装置及び副試験室ユニット - Google Patents
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Abstract
Description
また本発明は、環境試験装置に取り付けられて補助的な試験室を形成させる副試験室ユニットに関するものである。
また特定の環境下で被試験物に特殊な光線を照射したり、電波や磁力を付加する様な場合もある。
しかしながら、一般に環境試験装置は高価であり、特殊用途に使用するものはさらに高価であり、且つ納期もかかる。
また単発的に前記した様な特定の環境下で被試験物の性能を調べる試験等を行う必要が生じることも珍しくない。この様な場合には、手持ちの環境試験装置に、他の市販の試験装置や、手作りの試験装置を組み合わせて所望の実験を行うことがある。
これに対して小型や中型の環境試験装置の場合は、引っ張り試験装置や圧縮試験装置を外付けして所望の試験を行おうと考えるのが普通である。
しかしながら、従来技術の環境試験装置は、試験室が断熱壁で覆われているだけでなく、試験室の周囲に冷凍機やヒータ等の空調機器、制御盤等が配置されており、他の機器と組み合わせにくい構造である。
即ち通常の環境試験装置は、試験室の周囲に複数の機器があり、試験室に物を出し入れし得るのは正面の扉だけである。
また通常の環境試験装置は、試験室を含めて直方体や立方体の形状であり、試験室の周囲に他の機器を配置するにもその場所が無い。
また環境試験装置と組み合わされて副試験室を形成する副試験室ユニットに関するものである。
本発明の環境試験装置は、主試験室の他に副試験室を有している。副試験室は主試験室と連通しているから、主試験室と同様に所定の環境を形成することができる。
また本発明の環境試験装置では、副試験室は主試験室に比べて容積が小さく、且つ本体部から水平方向に突出した突出部に副試験室がある。
そのため、副試験室の上部、下部、側部の少なくともいずれかには空間があり、試験室の周囲に他の機器を配置する空間が確保される。
例えば引っ張り試験装置と本発明の環境試験装置を連携させる場合には、副試験室に設けられた貫通孔に引っ張り試験装置のロッド等を挿通させる。
本発明の試験装置では、遮蔽部材によって主試験室と副試験室の間を一時的に遮蔽することができる。本発明では、副試験室から被試験物を出し入れする場合に、遮蔽部材によって主試験室と副試験室の間を一時的に遮蔽することができる。そのため副試験室から被試験物を出し入れする際に、空調部側に外気が回り込みにくく、蒸発器に結露や霜付きが発生しにくい。
副試験室から被試験物を出し入れすると、副試験室内の環境は外気の侵入によって乱れるが、主試験室側の環境は維持される。ここで主試験室は副試験室よりも容積が大きいから、副試験室の扉等を閉じて副試験室を密閉状態に復帰させた後、遮蔽部材を外し、副試験室を主試験室と連通させると、副試験室内の環境は短時間で目標の環境に復帰する。
また本発明の副試験ユニットを市販の環境試験装置に取り付けることにより、環境試験装置の用途を広げることができる。
本実施形態の試験装置10は、複合試験装置であり、より詳細には複合型の引っ張り試験装置である。
試験装置10は、環境試験装置1と、外力付与装置200によって構成されている。また試験装置10は、補助器材として外力付与装置載置台300と、恒温槽用架台301及び光学式伸び検知装置220を有している。
即ち環境試験装置1は、本体部11と、本体部11の前扉(以下 大扉12)に取り付けられた断熱箱13によって構成され、断熱箱13の内部が図9、図10の様に副試験室15として機能する。なお断熱箱13はユニット化されており、既設、あるいは市販の環境試験装置1に取り付けることができる。
即ち環境試験装置1の本体部11内には断熱壁28で覆われた主試験室16があり、断熱箱13内には断熱壁32で覆われた副試験室15がある。両者は連通しており、一体として断熱領域7を形成している。
断熱箱13は本体部11に比べて大きさが小さく、断熱箱13は本体部11から水平方向に突出した突出部となっている。
環境試験装置1の本体部11の基本構成は、公知の環境試験装置と大差ない。
環境試験装置1の本体部11は、図9、図10に示すように断熱壁28によって覆われた断熱槽17を有している。そして当該断熱槽17の一部に試験室(主試験室)16が形成されている。環境試験装置1の本体部11は単独で環境試験装置として使用することもでき、その際には主試験室16は、被試験物(図示せず)を設置する空間となる。
本体部11には、主試験室16と環状に連通する空調通風路25があり、当該空調通風路25に前記した空調機器18と送風機20が内蔵されている。
即ち本実施形態では、空調部48は空気吹き出し部26と空気導入部27で主試験室16側と連通しており、空調部48は主試験室16側に空気の出入り口がある。
また空調通風路25の空気吹き出し部26の近傍に、図示しない温度センサーと湿度センサーが設けられている。
環境試験装置1を使用する際には、送風機20を運転して空調通風路25内を通風状態とし、温度センサー及び湿度センサーの検出値が、設定環境の温度及び湿度に近づく様に空調機器18を制御する。
大扉12は図示しないヒンジを介して主試験室16側に取り付けられており、揺動可能である。
本実施形態で採用する本体部11では、空調通風路25の空気吹き出し部26と大扉12の開口30の間にダクト55が設けられている。ダクト55は、容易に取り外すことができることが望ましい。
断熱箱13は、本体部11と一体となるものであり、両者の間は気密性が確保されている。
その一方、本実施形態で採用する断熱箱13は、本体部11に対してわずかに相対移動可能であり、姿勢変更が可能である。
本実施形態では、図5の様に、本体部11の断熱箱取り付け部分に、補強材71と、クッション材72が設けられている。
補強材71とクッション材72はいずれも枠状である。
クッション材72は、数ミリから数センチメートルの厚さがあり、相当の圧縮しろがある。
補強材71には図示しないネジ孔があり、クッション材72には当該ネジ孔に連通する孔58が複数個(図では4個)設けられている。
また図8(b)(c)の様に断熱箱13を左右に首振りさせることができる。さらにブラケット66に設けられた貫通孔67と、ネジ68との間にわずかに隙間があるから、図6(b)(c)の様に、断熱箱13を旋回方向にわずかに姿勢変更することもできる。
本体側筐体部33は、天面壁35a、底面壁36a、左右側面壁37a,38aを有しており、前面側及び背面側が開口している。
本体側筐体部33の一方の側面壁37aにはスリット50がある。スリット50は断熱箱13の内外を連通している。スリット50は、上下方向にのびるものであり、図2の様に板(遮蔽部材)51を挿入することができる。スリット50には図示しないシールが設けられており、スリット50は気密性を保っている。
小扉31の、一方の側面壁37bにも図1の様に小窓41がある。小窓41にも透明なガラスがはめ込まれている。
小扉31を閉じることによって本体側筐体部33の前面が閉塞される。小扉31が閉じられた状態においては、小扉31の天面壁35bの端面は、本体側筐体部33の天面壁35aの端面と当接し、両者で副試験室15の天面壁35が形成される。同様に、小扉31の底面壁36bと本体側筐体部33の底面壁36aが合致して副試験室15の底面壁36が構成され、小扉31の左右側面壁37b,38bが本体側筐体部33の左右側面壁37a,38aに合致して副試験室15の左右側面壁37,38が構成される。
断熱箱13の本体側筐体部33は、前記した様に背面側が開口しており、断熱箱13内に形成される副試験室15は、本体部11の主試験室16と連通している。
即ち本実施形態の環境試験装置1では、断熱箱13の天面壁35部分と底面壁36部分に貫通孔105が設けられている。
本実施形態では、天面壁35と底面壁36に、直方体の空洞部45,46が設けられ、当該空洞部45,46にブロック体100(図3参照)が内蔵されており、ブロック体100に貫通孔105が設けられている。後記する様に空洞部45,46の内壁はブロック体100と接し、気密性が確保されている。そのためブロック体100に設けられた貫通孔105が、実質的に断熱箱13を貫通する開口であり、断熱領域7内と環境試験装置1外とを連通するものである。
本体側筐体部33の天面壁35aの端部には図3、図17の様に切り欠き部52がある。同様に小扉31の天面壁35bの端部にも切り欠き部53が設けられている。
切り欠き部52,53は、いずれも断熱壁32を欠落させたものであり、その形状は長方形である。切り欠き部52,53の断熱箱13の内外面(上下面)には、覆い板56が設けられている。
つまり、切り欠き部52,53には、上下に覆い板56が設けられる。
小扉31側の切り欠き部53についても同様であり、切り欠き部53は、天面壁35bの端部側(本体側筺体部33側)から奥側(前面側)に向かう洞穴状である。
図7に示すように本体側筐体部33の断熱壁32内には配管47が埋設されており、本体側筐体部33の切り欠き部52と外部が当該配管47で繋がっている。また配管47は外部に設置された負圧発生装置112及び窒素ボンベ113に接続されている。負圧発生装置112は、送風機であり、送風機の吸い込み側が配管47に接続されている。
負圧発生装置112及び窒素ボンベ113と、切り欠き部52との間には切り替え弁(電磁三方弁)115が設けられており、負圧発生装置112と窒素ボンベ113とを切り換えることができる。
本実施形態では、乾燥気体供給源(窒素ボンベ113)と負圧発生装置112を配管47に接続し、両者を切り換えることができる構成を採用しているが、いずれか一方だけであってもよい。また乾燥気体供給源(窒素ボンベ113等)及び負圧発生装置112は必須ではない。
本体側筐体部33の天面壁35aの切り欠き部52と、小扉31の天面壁35bの切り欠き部53は、小扉31を閉じた際に合致し、両者を合わせて直方体の空洞部45を形成する。また覆い板56aの端辺の半円状の切り欠き57と、覆い板56cの端辺の半円状の切り欠き57同士も合致して円形を呈する。
ブロック体100は、分割形状であり、二つのブロック片111によって構成されている。
二つのブロック片111を合わせたブロック体100の形状は、図16の様に概ね直方体形状である。
詳細に説明すると、ブロック体100は直方体を基本とし、対向する一対の面(本実施形態では上下面101a,101b)の各辺部にリブ102が設けられた形状である。
ブロック体100の上下面101a,101bは略正方形であり、前記したリブ102は、正方形の上下面101a,101bの4辺に設けられている。
従って、ブロック体100の側面には、上下面101a,101bのリブ102によって囲まれた凹部103がある。
なおブロック体100は前記した様に二つのブロック片111によって構成されているから、各ブロック片111には合わせ面に凹部があり、凹部が合致して四方が囲まれ、貫通孔105となる。
上下に貫通する貫通孔105は、図16(b)の様に開口部分が他の部位に比べてやや狭くなっている。
側面を貫通する貫通孔106は、前記した上下に貫通する貫通孔105と直交するものである。即ち側面を貫通する貫通孔106は、ブロック体100の内部で上下に貫通する貫通孔105と連通している。
そのため上下に貫通する貫通孔105は、側面を貫通する貫通孔106を介してブロック体100の側面の凹部103と連通する。なお側面を貫通する貫通孔106は、貫通孔105と直交していなくてもよい。
そして図3に示すように小扉31と本体側筐体部33にそれぞれブロック片111が一つずつ収納されている。
前記した様にリブ102の断面形状は、三角形であるから、リブ102の先端が空洞部45の内側の側壁110に押しつけられ、ブロック体100の側面の凹部103(空隙108)は、空洞部45の側壁110で封鎖されて遮蔽された空間となっている。
従って、理論的には、断熱箱13の内外を連通するのは、ブロック体100を上下に貫通する貫通孔105だけである。
ブロック体100の向きは、図3の様に小扉31を開いた際にブロック体100の合わせ面が全面的に露出する方向である。
なお後記する様に、ブロック片111同士の間に被試験物210又は繋ぎ部材211を挟んだ状態にした後で、ブロック体100を空洞部45,46に装着してもよい。即ちブロック体100が断熱箱13の空洞部45,46に残らない構造であってもよい。
またブロック体100の中心軸と、断熱箱13の空洞部45,46の中心軸とは略一致しブロック体100の上下に貫通する貫通孔105は、覆い板56a,56b,56c,56dの円形の開口内に開口している。
外力付与装置200は、引っ張り試験機である。外力付与装置200は、図1に示すように基台部201と、門型フレーム202を有している。
門型フレーム202には、図示しないガイドレールがあり、門型フレーム202のガイドレールに昇降桟(駆動部)203が係合している。
そして昇降桟203の下部に上ロッド205が設けられており、当該上ロッド205の先端に上側掴み具(保持部材)206が設けられている。即ち駆動部たる昇降桟203に、上ロッド205を介して保持部材たる上側掴み具206が取り付けられている。
外力付与装置200には、公知の引っ張り試験機と同様に、上側掴み具206を上方に移動させる移動装置と、掴み具の移動量を検知する伸び量計と、引っ張り荷重を検知する荷重計を有している(いずれも図示せず)。ただし本実施形態では、外力付与装置200に付属する伸び量計は使用せず、別途用意の光学式伸び検知装置220を使用することが望ましい。もちろん外力付与装置200に付属する伸び量計を使用してもよく、他の方法によって伸びを測定してもよい。
延長部材217は、被試験物210の保持部216が合致する凹部(図示せず)が端部に形成された鋼帯である。
圧接片218は、延長部材217の端部にネジ止めされる板体である。
被試験物210は、保持部216が延長部材217の凹部(図示せず)に装着され、さらに圧接片218が延長部材217にネジ止めされ、圧接片218と延長部材217との間に被試験物210の端部が挟まれる。その結果、被試験物210と繋ぎ部材211が一体化され、二つの繋ぎ部材211の間に被試験物210の被試験領域215が露出する。
前記した様に、ブロック体100の貫通孔105は、開口部分が他の部位に比べてやや狭くなっている。図18(a)は、貫通孔105の最も面積が狭い部分と繋ぎ部材211の関係を表した平面断面図であり、(b)は正面断面図である。
貫通孔105の最も面積が狭い部分の内壁と、繋ぎ部材211の間の隙間は、平均で0.5mmから3mmであり、より望ましくは平均で1mmから2mmである。
また貫通孔105の最も面積が狭い部分の内壁と、繋ぎ部材211の間の隙間の面積は、挿通される物(本実施形態では繋ぎ部材211)の断面積の3倍以下であることが望ましい。より望ましくは、2倍以下である。さらに望ましくは1倍以下である。
テレスコピックガイド306は、各伸縮棹311の固定側部材が台座部305の上面に固定されている。そして伸縮棹311の全長を伸ばすと、可動側部が台座部305から片持ち状に張り出す。
本実施形態の試験装置10は、前記した様に環境試験装置1と、外力付与装置200によって構成されている。
外力付与装置200は、図1の様に、外力付与装置載置台300の載置板302上に載置されている。
環境試験装置1は、突出部たる断熱箱13が外力付与装置200の門型フレーム202に囲まれた空間に入る様に設置されている。
より詳細には、図1の様に、外力付与装置200の背面側に恒温槽用架台301が配置されており、恒温槽用架台301のテレスコピックガイド306の可動側部によって環境試験装置1が恒温槽用架台301の台座部305から張出した状態で支持されている(張出すことは必須ではない)。そして環境試験装置1は、恒温槽用架台301のテレスコピックガイド306で片持ち状に支持され、環境試験装置1の突出部たる断熱箱13が外力付与装置200の門型フレーム202内に差し入れられている。
特に本実施形態では、試験を行う副試験室15(断熱箱13)が本体部11から水平方向に突出していて本体部11から中空に張り出しているから、断熱箱13は外力付与装置200の基台部201とは接せず、断熱箱13と外力付与装置200には広い空間222が確保される。
即ち本実施形態では、上側掴み具206は、断熱箱13(断熱領域7)の外にあり、副試験室15には入っていない。
また外力付与装置200の下ロッド207側も同様であり、外力付与装置200の下ロッド207及び下側掴み具(保持部材)208は、断熱箱13の下にある。本実施形態では、下側掴み具208は、断熱箱13の外にあり、副試験室15には入っていない。
前記した様に、本実施形態で採用する環境試験装置1は、引っ張り試験を実施する副試験室15(断熱箱13)が本体部11から水平方向に突出していて本体部11から中空に張り出しているから、断熱箱13と外力付与装置200の基台部201の間には広い空間222があり、当該空間222に外力付与装置200の下側掴み具208が配置されている。
芯合わせ作業では、先に台座部305の高さ調整手段310を調節して環境試験装置1が水平姿勢となる様に調整する。
その後、断熱箱13を取り付けているネジ68を調節して、クッション材72の圧縮量に部分的に変化を付け、断熱箱13の姿勢を調節して、上ロッド205と下ロッド207を結ぶ線に、断熱箱13の上下の貫通孔105の中心を合わせる。
より正確には、環境試験装置1の断熱箱13の天面壁35と底面壁36に内蔵されたブロック体100の上下に貫通する貫通孔105に、上下の延長部材217の一部が挿通され、中央の被試験領域215が副試験室15の中に設置されている。
本実施形態の試験装置10を使用して引っ張り試験を行う場合は、所定の作業場で被試験物210に繋ぎ部材211を接続する。
そして被試験物210を副試験室15内に設置する。
具体的には、まず最初に環境試験装置1の小扉31を開く。
前記した様に、環境試験装置1の副試験室15の天面壁35と底面壁36には、小扉31と本体側筐体部33の合致部に形成された洞穴状の空洞部45,46があり、空洞部45,46にブロック体100が内蔵されている。小扉31を開くと、図3の様にブロック体100が分割され、小扉31に一方のブロック片111が残り、本体側筐体部33側にブロック片111の他方が残る。
ブロック片111の合わせ面には、前記した様に貫通孔105の半面たる凹部があり、小扉31を開くと、本体側筐体部33側に残ったブロック片111の凹部が露出する。
この状態で断熱箱13の小扉31を閉じる。その結果、断熱箱13の本体側筐体部33と小扉31によって副試験室15が閉塞状態となる。
即ち断熱領域7の一部たる副試験室15に被試験物210の被試験領域215が設置され、副試験室15の外に配置された上下の掴み具206,208と被試験物210とが貫通孔105に挿通された上下の繋ぎ部材211を介して繋がった状態となる。
通孔105に挿通された上下の繋ぎ部材211を介して繋がった状態となる。
即ち環境試験装置1からブロック体100を取り外し、外部の所定の作業場所でブロック体100を二つのブロック片111に分割し、両者の間に被試験物210又は繋ぎ部材211を挟んで二つのブロック片111を合わせる。この作業によって、ブロック体100の貫通孔105に被試験物210又は繋ぎ部材211が挿通されることとなる。
そして環境試験装置1の小扉31を開き、空洞部45,46の本体側筐体部33側又は小扉31側にブロック体100を装着し小扉31を閉じる。そして被試験物210又は繋ぎ部材211を外部に配置された掴み具206,208で挟む。
そして外力付与装置200を起動し、上ロッド205を一定の速度で上昇させて被試験物210に引っ張り荷重を掛け、被試験物210の被試験領域215を破断する。そしてその間の試料の伸びと荷重の関係を記録する。
即ち被試験物210に引っ張り荷重を掛け、その間の外形変形状態を光学式伸び検知装置220で撮影する。そして被試験物210の伸びと、被試験物210に付加された荷重とを関連付けて記録する。
断熱箱13の側面から被試験物210を照らして撮影すると、副試験室15の小扉31のガラス42の反射による影響を受けにくく、鮮明な映像を得ることができる。
ここで本実施形態の試験装置10では、空調通風路25の空気吹き出し部26にダクト55の一端が開口している。そしてダクト55の他端は、副試験室15に開口し、被試験物210の被試験領域215に向いている。
そのため空気吹き出し部26から吹き出された送風は、直接的に副試験室15に吹き込まれ、被試験物210の被試験領域215に直接的に当てられる。
被試験物210の設置領域を通過した送風は、ダクト55の外を回り込んで、主試験室16側に戻り、空気導入部27から空調通風路25内に再導入される。
被試験物210が配置された領域は高圧雰囲気となるが、下流側にある貫通孔105の周囲は、被試験物210の周囲に比べると低圧傾向となる。
そのため副試験室15内における貫通孔105の周辺は、低圧傾向であり、貫通孔105から外に向かって空気が漏れにくく、且つ空気の流れによって、貫通孔105周辺からの外乱から被試験領域215が守られるので温度精度が良い。
そのため空洞部45,46の内側の側壁110と、ブロック体100の側面の凹部103との間の空隙108を負圧傾向とでき、空洞部45,46と覆い板56a,56b,56c,56dとの隙間から副試験室15内の空気が漏れることが阻止される。
従って、本実施形態においては、空洞部45,46と覆い板56a,56b,56c,56dとの隙間や、貫通孔105から副試験室15内の空気が漏れる懸念は低い。
副試験室15内の空気が仮に高温高湿であったとしても内部の高温高湿の空気が漏れて結露する懸念は低い。
板51は、図10の様に副試験室15と主試験室16の間に入り、副試験室15側と主試験室16側との通気を遮断する。即ち板51は、主試験室16と副試験室15の間を一時的に遮蔽する遮蔽部材として機能する。
空調通風路25から排出された空気は、板51と衝突して空調通風路25に戻る。即ち空気は主試験室16と空調通風路25の間だけで循環し、副試験室15には至らない。
その後に、前述の手順で新たな被試験物210を副試験室15内に入れ、試験を繰り返す。
図19は、空洞部45,46に窒素ガスを導入した場合の気体の流れを図示している。窒素ガスは、空洞部45,46の内側の側壁110と、ブロック体100の側面の凹部103との間の空隙108に入り、ブロック体100と空洞部45,46の内側の側壁110との間に窒素ガスによる遮断層を作り、覆い板56a,56b,56c,56dとの隙間から副試験室15内の空気が漏れることを阻止する。
また窒素ガスは、ブロック体100の貫通孔106を流れて上下に連通する貫通孔105に入り、繋ぎ部材211の全周を取り巻いて流れる。
そのため貫通孔105から副試験室15に入った窒素ガスは、その全てが空気と共に空気導入部27に向かって流れ、被試験物210には当たらないから試験に影響を与えない。
そのため仮に試験室15内の空気が極低温であったとしても、副試験室15の空気が直接外気と接触することはなく、外気を冷却することは少ない。そのため外気中の水蒸気を凝縮することは少なく、結露や結氷が発生しにくい。また貫通孔105の外部側開口の周囲には、少量ずつ窒素ガスがオーバーフローするので、外部側開口は、低露点ガス雰囲気となり、結露や結氷が発生しにくい。
しかし図20、図21に示すブロック体130の様に、空洞部45,46に比べて小さなものとし、ブロック体130が空洞部45,46内で移動できる様にしてもよい。
そのため図19の様に、外部からブロック体130の貫通孔105に繋ぎ部材211を挿入すると、空洞部45,46内でブロック体130が移動する。
その状態で、繋ぎ部材211を外力付与装置200の掴み具206,208に接続すると、ブロック体130が、空洞部45,46内で移動して自動的に芯合わせが行われる。
図26に示すブロック体140の形状等は、前記したブロック体100と同一であるから、同一の部位に同一の番号を付して重複した説明を省略する。
図26に示すブロック体140は、一つの側面に切れ目107が設けられている。切れ目107は、上下に貫通する貫通孔105と平行に設けられており、両端はブロック体140の上下面101a,101bに至っている。
切れ目107の深さは、上下に貫通する貫通孔105にまで至っている。
ブロック体140の向きは、図25の様に小扉31を開いた際に切れ目107が外部に露出する方向である。
またブロック体140に被試験物210又は繋ぎ部材211を設置した後に、本体側筐体部33又は小扉31にブロック体140を設置しても良い。
他の構成としては、図22の様に、副試験室15側と主試験室16の境界部分に開閉扉80を設け、ワイヤーやリンク機構等で小扉31と開閉扉80を連動させ、小扉31が開くと開閉扉80が閉じる様な構成としてもよい。なおこの構成を採用する場合には、ダクト55は省略することが望ましい。
以上説明した実施形態では、被試験物210に繋ぎ部材211を設け、繋ぎ部材211で被試験物210を実質的に延長して断熱領域7の外に出した。
しかしながら、被試験物の形状によっては被試験物の一部を貫通孔105に挿通し、被試験物の一部を断熱領域7の外に出して掴み具206,208で保持してもよい。
例えばゴムのダンベル形試験片では、中央に断面積が小さく成形された被試験領域215があり、両端に面積の大きい保持部216があるが、保持部216を長く成形し、保持部216を直接貫通孔105に挿通し、保持部216の一部を断熱領域7の外に出して掴み具206,208で保持してもよい。
要するに、被試験物の被試験領域215が断熱領域7に有れば足りる。
この構成によると、副試験室15の上下や左右に空間ができ、他の物を配置しやすい。特に、下側掴み具208を配置するスペースを確保することができ、推奨される構成である。
また上記した実施形態では、主試験室16を使用して通常の環境試験を行うこともでき、汎用性に富む。即ち本体部11には大扉12があり、大扉12を開くことによって主試験室16を開くことができる。そして主試験室16に被試験物をおいて環境試験を実施することができる。なおこの際には、主試験室16のダクト55を外すと共に大扉12の開口30を板等で塞いでおくことが推奨される。
また上記した実施形態は、通常の小型の環境試験装置を改造して作ることができ、部品の汎用性が高い。また量産性に富む。
以上説明した実施形態では、上下の掴み具206,208をいずれも副試験室15の外に配置したが、上下の掴み具206,208の一方又は双方を副試験室15の中に配置してもよい。
環境試験装置は、副試験室15の左右に供給用ロール325と、巻き取り用ロール326を有し、供給用ロール325から細長いフィルム322がスリット321を介して副試験室15に供給され、試験を終えたフィルム322が他方のスリットから排出されて巻き取り用ロールに巻き取られてゆく。
コンベア装置352は、ベルトコンベアであり、複数のプーリ356に無端ベルト357が懸架されているる。そして無端ベルト357は、副試験室15の一方のスリット351と他方のスリットを通過し、搬送経路の中途に副試験室15が含まれる。
環境試験装置350では、一方のロボット360で被試験物をコンベア装置350に載置し、コンベア装置350を駆動して被試験物362を副試験室15内に導入する。また試験を終えて副試験室15から排出された被試験物を他方のロボット361で取り除く。
7 断熱領域
10 試験装置
11 本体部
12 大扉
13 断熱箱
15 副試験室
16 主試験室
18 空調機器
28 断熱壁
31 小扉
32 断熱壁
48 空調部
51 板(遮蔽部材)
200 外力付与装置
206,208 掴み具(保持部材)
210 被試験物
320,350 環境試験装置
Claims (9)
- 本体部と、本体部から水平方向に突出した突出部を有し、前記本体部の内部には所定の環境を形成することが可能であって一定の容積を有する主試験室があり、
前記突出部内に主試験室と連通し主試験室に比べて容積が小さい副試験室があることを特徴とする環境試験装置。 - 主試験室を開閉可能な大扉と、副試験室を開閉可能な小扉を有することを特徴とする請求項1に記載の環境試験装置。
- 大扉の一面に断熱箱が設けられ、当該断熱箱の内部で前記副試験室が構成されていることを特徴とする請求項2に記載の環境試験装置。
- 副試験室を貫通する貫通孔を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の環境試験装置。
- 空調部を有し、空調部は主試験室に空気の出入り口があり、主試験室と副試験室の間を一時的に遮蔽する遮蔽部材を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の環境試験装置。
- 副試験室を環境試験装置の他の部材に対して相対的に移動または姿勢変更することが可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の環境試験装置。
- 本体部に空調部が配されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の環境試験装置。
- 副試験室が中空に張り出していることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の環境試験装置。
- 内部に試験室を有する環境試験装置の扉に取り付けられ、その内部に副試験室を形成する副試験室ユニットであり、
一面が開口し、他の一面に小扉が設けられ、他の面が断熱壁でおおわれた箱体であることを特徴とする副試験室ユニット。
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