以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳しく説明する。なお、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
[実施例1]
<画像形成装置>
図1は、本実施例に係る画像形成装置の構成概略図である。光走査手段である光走査装置400内のレーザ駆動部300は、画像信号生成部100から出力された画像信号、および制御部200から出力される制御信号に基づき、走査光(レーザ光)410を感光ドラム(感光体)500に向けて発する。そして、不図示の帯電手段により帯電された感光ドラム(感光体)500をレーザ光410で走査し、感光ドラム500の表面に潜像を形成する。このように形成された潜像に不図示の現像手段により潜像によってトナーを付着させ、潜像に対応したトナー像を形成する。トナー像は、給紙ユニット900から給送されローラ600で感光ドラム500と接触する位置に搬送された紙等の記録媒体に転写される。記録媒体に転写されたトナー像は、定着器700で記録媒体に熱定着され、排紙ローラ800を経て、装置外に排出される。
<光走査装置>
図2は、本実施例に係る光走査装置400の断面図であり、図2(a)は主走査断面を、図2(b)は副走査断面を示している。
本実施例において、光源401から出射したレーザ光(光束)410は、開口絞り402によって楕円形状に整形されてカップリングレンズ403に入射する。カップリングレンズ403を通過した光束は、略平行光に変換されて、アナモフィックレンズ404に入射する。なお、略平行光とは、弱収束光及び弱発散光を含むものである。アナモフィックレンズ404は、主走査断面内において正の屈折力を有しており、入射する光束を主走査断面内においては収束光に変換している。また、アナモフィックレンズ404は、副走査断面内において偏向器405の偏向面405aの近傍に光束を集光しており、主走査方向に長い線像を形成している。
そして、アナモフィックレンズ404を通過した光束は、偏向器(ポリゴンミラー)405の偏向面(反射面)405aにて反射される。反射面405aで反射した光束は、走査光410(図1参照)として、結像レンズ406を透過し、感光ドラム500の表面に入射する。結像レンズ406は結像光学素子である。本実施例においては、単一の結像光学素子(結像レンズ406)のみで結像光学系が構成されている。結像レンズ406を通過(透過)した光束が入射する感光ドラム500の表面は、光束によって走査される被走査面407である。結像レンズ406によって被走査面407上で光束が結像し、所定のスポット状の像(スポット)を形成する。偏向器405を不図示の駆動部により矢印A方向に一定の角速度で回転させることにより、被走査面407上でスポットが主走査方向に移動し、被走査面407上に静電潜像を形成する。なお、主走査方向とは、感光ドラム500の表面に平行で且つ感光ドラム500の表面の移動方向に直交する方向である。副走査方向とは、主走査方向及び光束の光軸に直交する方向である。
ビームディテクト(以下BDと称す)センサとBDレンズは、被走査面407上に静電潜像を書き込むタイミングを決定する同期用光学系である。BDレンズを通過した光束は、フォトダイオードを含むBDセンサに入射し検知される。BDセンサにより光束を検知したタイミングに基づいて、書き込みタイミングの制御を行う。
光源401は、半導体レーザチップである。本実施例の光源401は1つの発光部311を備えている構成であるとする。しかしながら、光源401として、独立して発光制御可能な複数の発光部を備えていてもよい。複数の発光部を備える場合も、そこから発生られる複数の光束は、それぞれカップリングレンズ403、アナモフィックレンズ404、偏向器405、結像レンズ406を経由して被走査面407へ到達する。被走査面407上では副走査方向にずれた位置に各光束に対応するスポットがそれぞれ形成される。
なお、上述した、光源401、カップリングレンズ403、アナモフィックレンズ404、結像レンズ406、偏向器405等の各種光学部材は、筐体(光学箱)に収納される。
<結像レンズ>
図2に示すように、結像レンズ406は、入射面(第1面)406a及び出射面(第2面)406bの2つの光学面(レンズ面)を有する。結像レンズ406は、主走査断面内において、偏向面405aにて偏向された光束が被走査面407上を所望の走査特性で走査させる構成となっている。また、結像レンズ406は、被走査面407上でのレーザ光410のスポットを所望の形状にする構成となっている。また、結像レンズ406により、副走査断面内においては、偏向面405aの近傍と被走査面407の近傍とが共役の関係となっている。これにより、面倒れを補償(偏向面405aが倒れた際の被走査面407上での副走査方向の走査位置ずれを低減すること)する構成となっている。
なお、本実施例に係る結像レンズ406は、射出成形によって形成されたプラスチックモールドレンズであるが、結像レンズ406としてガラスモールドレンズを採用してもよい。モールドレンズは、非球面形状の成形が容易であり、かつ大量生産に適しているため、結像レンズ406としてモールドレンズを採用することで、その生産性及び光学性能の向上を図ることができる。
結像レンズ406は、所謂fθ特性を有していない。つまり、偏向器405が等角速度で回転している時に、結像レンズ406を通過する光束のスポットを被走査面407上で等速に移動させるような走査特性を有さない。このように、fθ特性を有さない結像レンズ406を用いることにより、結像レンズ406を偏向器405に近接して(距離D1が小さい位置に)配置することが可能となる。また、fθ特性を有さない結像レンズ406はfθ特性を有する結像レンズよりも、主走査方向(幅LW)及び光軸方向(厚みLT)に関して小さくできる。従って、光走査装置400の筐体を小型化することができる。また、fθ特性を有するレンズの場合、主走査断面で見た時のレンズの入射面、出射面の形状に急峻な変化がある場合があり、そのような形状の制約によって、良好な結像性能を得られない可能性がある。これに対して、fθ特性を有さない結像レンズ406では、主走査断面で見た時のレンズの入射面、出射面の形状に急峻な変化が少ない為、良好な結像性能を得ることができる。
このようなfθ特性を有さない結像レンズ406の走査特性は、以下の式(1)で表される。
式(1)では、偏向器405による走査角度(走査画角)をθ、光束の被走査面407上での主走査方向の集光位置(像高)をY[mm]、軸上像高における結像係数をK[mm]、結像レンズ406の走査特性を決定する係数(走査特性係数)をBとしている。なお、本実施例において、軸上像高は、光軸上の像高(Y=0=Ymin)を指し、走査角度θ=0に対応する。また、軸外像高は、中心光軸(走査角度θ=0の時)よりも外側の像高(Y≠0)を指し、走査角度θ≠0に対応している。さらに、最軸外像高とは、走査角度θが最大(最大走査画角)となる時の像高(Y=+Ymax、−Ymax)を指す。なお、被走査面407上の潜像を形成可能な所定の領域(走査領域)の主走査方向の幅である走査幅WはW=|+Ymax|+|−Ymax|で表される。所定の領域の中央が軸上像高で端部が最軸外像高となる。
ここで、結像係数Kは、結像レンズ406に平行光が入射する場合の走査特性(fθ特性)Y=fθにおけるfに相当する係数である。すなわち、結像係数Kは、結像レンズ406に平行光以外の光束が入射する場合に、fθ特性と同様に集光位置Yと走査角度θとを比例関係にするための係数である。
走査特性係数について補足すると、B=0の時の式(1)は、Y=Kθとなるため、従来の光走査装置に用いられるfθ特性を有する結像レンズの走査特性Y=fθに相当する。また、B=1の時の式(1)は、Y=Ktanθとなるため、撮像装置(カメラ)などに用いられるレンズの射影特性Y=ftanθに相当する。すなわち、式(1)において、走査特性係数Bを0≦B≦1の範囲で設定することで、射影特性Y=ftanθとfθ特性Y=fθとの間の走査特性を得ることができる。
ここで、式(1)を走査角度θで微分すると、次式(2)に示すように走査角度θに対する被走査面407上での光束の走査速度が得られる。
さらに、式(2)を軸上像高における速度dY/dθ=Kで除すると、次式(3)に示すようになる。
式(3)は、軸上像高の走査速度に対する各軸外像高の走査速度のずれ量(部分倍率)を表現したものである。本実施例に係る光走査装置400は、B=0の場合以外においては、軸上像高と軸外像高とで光束の走査速度が異なっていることになる。
図3は、被走査面407上での走査位置をY=Kθの特性でフィッティングした際の、像高と部分倍率との関係の一例を示した図である。本実施例においては、式(1)に示した走査特性を結像レンズ406に与えたことで、図3に示したように、軸上像高から軸外像高に向かうにつれて部分倍率が大きくなっている。これは、軸上像高から軸外像高に向かうにつれて徐々に走査速度が速くなるためである。部分倍率30%は、単位時間だけ光照射した場合、被照射面407での主走査方向の照射長が、1.3倍となることを意味している。従って、画像出力用のクロックの周期によって決めた一定の時間間隔で主走査方向の画素幅を決めると、軸上像高と軸外像高とで画素密度が異なってしまうことになる。
また、像高Yが、軸上像高から離れて最軸外像高に近づくに連れて(像高Yの絶対値が大きくなる程)、徐々に走査速度が速くなる。これにより、被走査面407上の像高が軸上像高付近の時に単位長さ分を走査するのにかかる時間よりも、像高が最軸外像高付近の時に単位長さ分を走査するのにかかる時間の方が短くなる。これは、光源401の発光輝度が一定の場合、像高が軸上像高付近の時の単位長さ辺りの総露光量よりも、像高が最軸外像高付近の時の単位長さ辺りの総露光量の方が少なくなることを意味する。そのため、像高が最軸外像高に近づくにつれて、光源401の発光輝度を大きくする制御を行う。なお、この発光輝度の制御については本実施例の主眼ではないので説明は割愛する。
fθ特性を有さない結像レンズを採用した光学構成を有する場合、主走査方向に関する部分倍率のばらつきにより、良好な画質を維持することができない可能性がある。そこで、fθ特性を有さない結像レンズを採用した光学構成においても良好な画質を得るために、以下で説明するような部分倍率の補正を行う。
なお、偏向器405から感光ドラム500までの光路長が短くなる程、画角が大きくなるため、上述した軸上像高と最軸外像高とで走査速度の差が大きくなる。一般に、最軸外像高における走査速度が軸上像高における走査速度の120%以上であるような、走査速度の変化率が20%以上の光学構成が考えられる。このような光学構成の場合、主走査方向に関する部分倍率の影響を受け良好な画質の維持が難しくなる。
なお、走査速度の変化率C(%)は、最も遅い走査速度をVmin、最も速い走査速度をVmaxとすると、C=((Vmax−Vmin)/Vmin)*100で表される値である。なお、本実施例の光学構成では、軸上像高(走査領域の中央部)で最も遅い走査速度となり、最軸外像高(走査領域の端部)で最も速い走査速度となる。
なお、画角が52°以上の光学構成の場合、走査速度の変化率が35%以上となることがわかっている。画角が52°以上となる条件としては以下に示す通りである。例えば、主走査方向に関してA4シートの短辺の幅の潜像を形成する光学構成の場合、走査幅W=214mm、走査画角が0°の時の偏向面405aから被走査面407までの光路長D2(図2参照)=125mm以下。主走査方向に関してA3シートの短辺の幅の潜像を形成する光学構成の場合、走査幅W=300mm、走査画角が0°の時の偏向面405aから被走査面407までの光路長D2(図2参照)=247mm以下である。このような光学構成を有する画像形成装置では、以下に説明する本実施例の構成を用いることで、fθ特性を有していない結像レンズを使用しても、良好が画質を得ることが可能となる。なお、上記は一例であり、これに限られるものではない。
なお、図3で示したような、光走査装置400の各像高に対する部分倍率の特性を示す情報は、図4に示すメモリ304に部分倍率特性情報1230として記憶されている。この、部分倍率特性情報1230は光走査装置400を組み立て後に個々の装置において測定して記憶しても良いし、個々の装置間のバラツキが少ない場合は個別に測定せずに代表的な特性を記憶しても良い。また、経年により光走査装置400の部分倍率特性情報1230が変化することを考え、装置内において定期的に測定し直しても良い。また、さらに精度を重視する場合はジョブ毎に再測定し直してもよい。
<露光制御構成>
図4は、画像形成装置における露光制御構成を示すブロック図である。
画像信号生成部100は、画像変調部101とCPU102とバス103とを有する。画像信号生成部100は不図示のホストコンピュータより画像データを受け取り、画像データに対応するVDO信号(画像信号)110を生成する。また、画像信号生成部100は画素幅補正手段としての機能も有する。制御部200は、画像形成装置の制御と、光源401の光量制御をおこなう。レーザ駆動部300は、VDO信号110に基づいて電流を光源401に供給することにより、光源401を発光させる。
画像信号生成部100は画像形成のための画像信号の出力の準備が整ったら、シリアル通信113を通じて、制御部200に印字開始の指示をする。制御部200は、印字の準備が整ったら、副走査同期信号であるTOP信号112と、主走査同期信号であるBD信号111とを画像信号生成部100に送信する。画像信号生成部100は、これらの同期信号を受信してから所定タイミングにおいて画像信号であるVDO信号110をレーザ駆動部300に出力する。
画像信号生成部100の主な構成ブロックについては図6を用いて後述する。
図5(a)は、画像信号生成部100において、記録媒体1ページ分に相当する画像形成動作を行う際の各種同期信号と画像信号のタイミングチャートである。図中左から右に向かって時間が経過する。TOP信号112の「HIGH」は、記録媒体の先端が所定の位置に到達したことを表す信号である。画像信号生成部100はTOP信号112の「HIGH」を受信したら、主走査同期信号であるBD信号111に同期して、VDO信号110を送信する。このVDO信号110に基づいて光源401を発光させ感光ドラム500に潜像が形成されることになる。
なお、図5(a)では図の簡略化の為、VDO信号110が複数のBD信号111を跨いで連続的に出力されているように記載している。しかしながら、実際には、VDO信号110はBD信号111が出力されてから次のBD信号111が出力されるまでの間のうちの所定の期間に出力されるものである。
<部分倍率補正方法>
次に上述した部分倍率を補正するための部分倍率補正方法について説明する。その説明に先立って部分倍率の要因及び補正原理について図5(b)を用いて説明する。図5(b)は、BD信号111と、VDO信号110のタイミングと、被走査面407上の潜像により形成したドットイメージとを示した図である。図中左から右に向かって時間が経過する。
画像信号生成部100はBD信号111の立ち上がりエッジを受信したら、感光ドラム500の左端から所望の距離だけ離れた位置に潜像を形成できるよう、所定タイミング後にVDO信号110を出力する。そしてVDO信号110に基づき光源401が発光し、被走査面407上にVDO信号110に応じた潜像が形成される。
ここでは、VDO信号110に基づき軸上像高及び最軸外像高において同じ期間だけ(すなわち、画像出力用のクロックとして同じクロックを用いて)光源401を発光させてドット形状の潜像を形成した場合について説明する。このドットのサイズは600dpiの1ドット(主走査方向42.3umの幅)に相当する。光走査装置400は、上述したように、被走査面407上の中央部(軸上像高)に比べて、端部(最軸外像高)の走査速度が速い光学構成である。潜像Aに示すように、軸上像高の潜像dot2に比べて、最軸外像高の潜像dot1が主走査方向に肥大する。これは、前述のように、端部(最軸外像高)の走査速度が速いので同じ期間だけ光源401を発光させた場合、端部(最軸外像高)の方が主走査方向において露光される領域が肥大してしまうからである。そのため、本実施例では部分倍率補正として、主走査方向の位置に応じてVDO信号110の周期や時間幅を補正する。即ち、部分倍率補正により、最軸外像高の発光時間間隔を軸上像高の発光時間間隔と比べて短くし、潜像Bに示すように最軸外像高の潜像dot3と軸上像高の潜像dot4とを同等のサイズにする。このような補正によって、主走査方向に関して、潜像を肥大させずに、実質的に等間隔に各画素に対応するドット形状の潜像を形成できるようにする。本実施例においては、単純に部分倍率補正をするのではなく、まず画像信号の元となる画像データを全体的に縮小する処理を行う。そして、縮小率と部分倍率特性情報とに基づいて部分倍率補正を行なう処理を行なう。詳細については後述する。
次に、図6から図10を用いて、部分倍率補正の具体的な処理を説明する。ここでいう画素片とは1画素未満の単位を意味している。
図6は、画像信号生成部100に含まれる画像変調部101の一例を示すブロック図である。画像変調部101は、変倍処理部133、濃度補正処理部121、ハーフトーン処理部122、PWM変換処理部134、PS変換部123、FIFO124、画素片挿抜制御部128、PLL127を有する。
変倍処理部133は、不図示のホストコンピュータから受信したレンダリング後の画像データに対する変倍処理を行う。本実施例における変倍処理は主走査方向に関して特定の倍率で画像を縮小する処理である。この変倍処理は、後述する部分倍率補正における、画素片の抜去量を減らすために行うものである。例えば、30%の部分倍率の補正が必要な領域(例えば最軸外像高付近)において、予め15%の縮小補正を変倍処理で行い、残りの15%を部分倍率補正である画素片の抜去により行う。この結果、30%全てを部分倍率補正である画素片の抜去により行う場合に比べて、画素片抜去量を減らすことができるので、画素片抜去に伴う階調劣化を抑制することができる。また、一方で部分倍率が0%であるような軸上像高付近(主走査方向の中央部付近)では、縮小を補填すべく画素片を挿入する処理が行われることになる。詳細動作については図11及び図12を用いて後述する。変倍処理された画像データは多値パラレル8ビットの画像信号として濃度補正処理部121に出力される。
濃度補正処理部121は変倍処理部133から入力される多値パラレル8ビットの画像信号の濃度補正を行う。例えば濃度補正処理部121は、適正な濃度で印字するための濃度補正テーブルを格納しており、この濃度補正テーブルを用いて濃度補正を行なう。濃度補正がされた画像信号はハーフトーン処理部122に出力される。
ハーフトーン処理部122は、濃度補正処理部121から入力される多値パラレル8ビットの画像信号をスクリーン(ディザ)処理する。すなわち、画像形成装置で表現可能な濃度とするための変換処理を行う。本実施例では、8ビットの画像信号を画像形成装置で表現可能な4ビットの画像信号に変換する。ハーフトーン処理後の多値パラレル4ビットの画像信号はPWM変換処理部134に出力される。
PWM(pulse width modulation)変換処理部134は、入力されるハーフトーン処理後の多値パラレル4ビットの画像信号をPWM変換する。PWM変換処理部134はPWM変換するためのテーブルを格納しており、このテーブルに基づいて画像信号を変換する。PWM変換処理部134においてPWM変換処理を行うことにより、画像信号を画像形成装置で印字するためのレーザーのON/OFFに相当する情報(信号)に変換することになる。本実施例ではPWM変換処理として、1画素を16分割する構成、すなわち1画素を16ビットに変換する処理を行う例を用いて説明することにする。この1画素を分割した単位を画素片と呼ぶ。例えば、1画素を16分割する場合、1画素を16個の画素片に分割することになる。もちろん1画素を32分割やその他の分割数にする構成としても良い。PWM変換された16ビットの信号はPS変換部123に出力される。
ここで、図7(a)を用いてスクリーン処理及び、PWM変換処理について説明する。図7(a)はスクリーン処理を説明する図である。本実施例では、主走査3画素、副走査3画素を単位面積とする200線のマトリクス701で面積階調の濃度表現を行なう。図中の白い部分が光源401を発光させない(オフ)部分で、黒い部分が光源401を発光させる(オン)部分である。マトリクス701は階調毎に設けられており、矢印で示す順に階調が上がっていく(濃度が濃くなる)。中間調の階調を表現する場合には、単位面積の濃度に応じたマトリクスに従った発光が行なわれることになる。本実施例において1つの画素702は、被走査面407で600dpiの1ドットを形成するために画像データを区切る単位である。
図7(b)は、画素702をPWM変換によって16個の画素片に分割した例を示している。後述する本実施例における部分倍率補正の処理は、このPWM変換で分割された画素片に対して、新たに画素片を挿入したり、分割した画素片の一部を取り除く(抜去と呼ぶ)処理である。すなわち、1画素内におけるレーザの点灯量を制御する処理を行なう。図7(b)に示すように、部分倍率補正する前の状態において、1画素は1画素の1/16の幅の画素片16個で構成され、画素片毎に光源401を発光のオン・オフを切り替えられる。つまり、1画素で16ステップの階調を表現可能である。
図6の説明に戻る。PS変換部123は、パラレル−シリアル変換部であり、PWM変換処理部134から入力したパラレル16ビットの信号129をシリアル信号130に変換する。FIFO124は、シリアル信号130を受信し、不図示のラインバッファに蓄積し、所定時間後に、同じくシリアル信号として、後段のレーザ駆動部300にVDO信号110として出力する。FIFO124のライトおよびリードの制御は、画素片挿抜制御部128が、CPU102からCPUバス103を介して受信する部分倍率特性情報を基に生成する部分倍率補正情報に基づき行われる。部分倍率補正情報については図11及び、図12を用いて後述する。本実施例においては、ライトイネーブル信号WE131、およびリードイネーブル信号RE132を制御することによって部分倍率補正を行う。PLL127は、1画素に相当するクロック(VCLK)125の周波数を16倍に逓倍したクロック(VCLKx16)126をPS変換部123やFIFO124に供給する。
次に、図6のブロック図のハーフトーン処理以降の動作を、図8及び、図9を用いて説明する。
図8は画像変調部101の動作に関するタイムチャートである。前述した通り、PS変換部123は、PWM変換処理部134から入力される多値パラレル16ビットの信号129をクロック(VCLK)125に同期して取り込む。また、クロック(VCLKx16)126に同期してシリアル信号130をFIFO124に出力する。
FIFO124は、WE信号131が有効「HIGH」の場合のみ信号130を取り込む。部分倍率の補正のために主走査方向に画像を短くする場合は、画素片挿抜制御部128は、部分的にWE信号を無効「LOW」にすることで、FIFO124にシリアル信号130を取り込ませないように制御する。つまり、PS変換部123からは信号が出力されているものの、FIFO124には取り込ませないように制御する。このような処理が、画素片を抜去する処理である。図8には、通常1画素を16の画素片から構成する構成において、1st画素(前述の通り16個の画素片から構成される)から画素片1つ分を抜去し、15個の画素片で構成した例を示す。
また、FIFO124は、RE信号132が有効「HIGH」の場合のみ蓄積されたデータをクロック126(VCLKx16)に同期して読み出し、VDO信号110を出力する。部分倍率の補正のため主走査方向に画像を長くする場合は、画素片挿抜制御部128は、部分的にRE信号132を無効「LOW」にすることで、FIFO124は読み出しデータを更新せず、クロック126の1クロック前のデータを継続して出力させる。つまり、直前に処理した主走査方向に関して上流側で隣にある画素片のデータと同じデータの画素片を挿入する。図8には、通常1画素を16の画素片から構成する構成において、2nd画素に画素片2つ分を挿入し、2nd画素を18個の画素片で構成した例を示す。なお、本実施例で用いたFIFO124は、RE信号を無効「LOW」とした場合、出力がHi-Z状態となるのでは無く、前の出力を継続する構成の回路として説明した。なお、本実施例で説明した例は、一例であり、1画素をPWM変換して分割した画素片を挿抜する構成であればいずれの構成でもよい。
図9と図10は、PS変換部123への入力であるパラレル16ビットの信号129からFIFO124の出力であるVDO信号110までを、画像イメージを用いて説明した図である。
図9(a)はハーフトーン処理部122に入力される多値パラレル8ビットの画像信号の一例である。ここでは、形成される画像のうちの一部の領域の画像信号を部分的に抽出した例を示している。各画素は8ビットの濃度情報を有している。画素150はF0h、画素151は80h、画素152は60h、白地部は00hの濃度情報であるとする。図9(b)はスクリーンであり、図7で説明した通り、200線(縦3画素×横3画素)で中央から成長するスクリーンである。図9(a)で示す画像に対して図9(b)のスクリーンを用いたスクリーン処理を行なうと、図示していないが前述のように多値パラレル4ビットの画像信号となる。図9(c)は、図9(a)の画像信号に対して図9(b)のスクリーンを適用してハーフトーン処理を行なった後の画像に対してPWM変換を行なった結果の画像信号のイメージである。スクリーンは前述のように中心から成長するスクリーンであるので、濃度が高い単位領域については、中心からドットをオンにする領域が広がっており、濃度が低い単位領域についてはドットをオンにする領域が中心部分だけとなっていることがわかる。図9(c)は、PWM変換処理後のパラレル16ビットの信号129である画像信号のイメージであり、上述したように各画素は16個の画素片で構成されている。
図10はシリアル信号130に対して、図9(c)の主走査方向に8画素のエリア158に着目して、画素片を挿入して画像を伸ばす例と、画素片を抜去して画像を短くする例を示している。なお、本実施例において本来は画素片の挿入は主走査方向の中央部分で行なわれ、画素片の抜去は主走査方向の端部で行なわれるものであるが、ここでは単に画素片の挿抜の概要を簡潔に説明するために、エリア158に着目しているに過ぎない点に留意されたい。
図10(a)は、部分倍率を8%増やす例を示した図である。100個の連続する画素片群に対し、均等又は略均等な間隔で、計8個の画素片を挿入することで、部分倍率を8%増やすように画素幅を変更して潜像を主走査方向に伸ばすことができる。図10(b)は、部分倍率を7%減らすを示した例である。100個の連続する画素片群に対し、均等又は略均等な間隔で、計7個の画素片を抜去することで、部分倍率を7%減らすように画素幅を変更して潜像を主走査方向に短くすることができる。このように部分倍率補正では、主走査方向の長さが1画素未満の画素幅を変更することにより、画像データの各画素に対応するドット形状の潜像を主走査方向に関して実質的に等間隔に形成できるようにする。なお、主走査方向に関して実質的に等間隔とは、完全に各画素が等間隔に配置されていないものも含む。つまり、部分倍率補正を行った結果、画素間隔に多少のバラつきがあってもよく、所定の像高範囲の中で平均的に画素間隔が等間隔となっていればよい。上述したように、均等又は略均等な間隔で画素片を挿入又は抜去する場合、隣り合う2つの画素同士で画素を構成する画素片の数を比較すると、画素を構成する画素片数の差は0又は1となる。このため、元の画像データと比較した時の主走査方向の画像濃度のバラつきを抑えられる。また、画素片を挿入、又は、抜去する位置は、主走査方向に関して、各走査線(ライン)毎に同じ位置としてもよいし、位置をずらしてもよい。
上述したように、fθ特性を有する走査レンズを用いない構成においては、像高Yの絶対値が大きくなる程(つまり主走査方向の端部に向かうほど)、走査速度が速くなる。このため部分倍率補正では、像高Yの絶対値が大きくなる程画像が短くなるよう(1画素の主走査方向の長さが短くなるよう)、上述した画素片の挿入及び又は抜去を行う。このようにして、主走査方向に関して実質的に等間隔に各画素に対応する潜像を形成し、適切に部分倍率を補正することができる。本実施例では、このような部分倍率補正を行なう際に、特に像高Yの絶対値が大きい箇所(つまり主走査方向の端部)における階調劣化を抑制する処理を行なう。具体的には部分倍率補正を行なう前に主走査方向に対して画像の変倍処理を行なう。
なお、本実施例における変倍処理部133が行う変倍処理は前述したPWM変換処理の前に行われるものであれば、どのような変倍方式であってもよい。また、本実施例では、ハーフトーン処理前の画像信号に対する変倍処理としているが、ハーフトーン処理後の画像信号に対しての変倍処理を実行する構成でも良い。
<動作の説明>
次に、図11及び図12を用いて本実施例における、fθ特性を有する走査レンズを用いない場合の部分倍率補正に関する動作を説明する。
図11は、本実施例における、fθ特性を有する走査レンズを用いない場合の部分倍率補正情報1210の算出動作を説明するフローチャートである。なお、図11のフローチャートの各手順は、CPU102が図示しないROM等の記憶装置に格納されている制御プログラムを実行することにより実行される。
まず、ステップS1101において、CPU102は部分倍率特性情報1230の取得を行う。この処理は、図4のメモリ304に記憶されている光走査装置400の部分倍率特性情報1230を読み出すことにより行われる。部分倍率特性情報1230は、光学構成の部分倍率の特性を示す情報であり、例えば図3に示すような特性を示す情報のことである。なお、部分倍率特性情報は、被走査面上での走査速度の特性情報であってもよい。
ここで、すでに前述したように、図4のメモリ304に記憶されている部分倍率特性情報1230は光走査装置400を組み立て後に個々の装置において測定して記憶しても良い。個々の装置間のバラツキが少ない場合は個別に測定せずに代表的な特性を記憶しても良い。また、経年により光走査装置400の部分倍率特性情報1230が変化することを考え、装置内において定期的に測定し直しても良い。また、さらに精度を重視する場合はジョブ毎に再測定し直してもよい。
次に、ステップS1102において、CPU102はS1101で取得した部分倍率特性情報1230を基に、全体倍率補正情報を算出する。ここでは、全体倍率補正情報として部分倍率の中間値を算出する。ここで言う部分倍率の中間値とは、S1101で取得した部分倍率特性情報1230から得られる部分倍率の最大値と最小値を加算して2で割った値となる。以後、ステップS1102で算出した、この部分倍率の中間値のことを全体倍率補正情報1220とする。CPU102は算出した全体倍率補正情報1220を変倍処理部133へ送付する。変倍処理部133はこの全体倍率補正情報1220に従い、画像の変倍を行う。
次に、ステップS1103において、CPU102はステップS1101で取得した部分倍率特性情報1230及びステップS1102で算出した全体倍率補正情報1220を基に、部分倍率補正情報1210を算出し、画素片挿抜制御部128へ通知する。部分倍率補正情報とは、各主走査位置(各像高)において部分倍率補正の補正量を示す情報のことである。なお、本実施例においては主走査方向に複数のエリアに区切り、各エリアに対応する主走査位置について補正すべき部分倍率を示すものとする。
ここで、部分倍率補正情報1210の具体的な算出方法について説明する。画像データを変倍するということは、変倍前の画像データにおける特定領域Aを走査する位置(像高)と変倍後の画像データにおける特定領域Aを走査する位置(像高)とが異なることになる。つまり、例えば変倍前では像高の絶対値が100mmの範囲で像を形成する画像データが、変倍後では像高の絶対値が85mmの範囲で像を形成する画像データとなる。このとき部分倍率補正情報を変倍前の部分倍率特性情報に基づいて計算してしまうと、全体倍率補正前の対応する画素位置の像高とは異なる部分倍率を用いた処理となってしまう。そこで、変倍前の画像データの各像高の部分倍率を、変倍後の画像データの各像高に対応させる処理を行なう。まず、ステップS1102で求めた全体倍率補正情報1220による変倍後の画像データに対応する各像高(主走査方向の位置)における部分倍率を算出する。これは、S1102で算出した全体倍率補正情報1220に従い、S1101で取得した部分倍率特性情報1230において規定されている像高を主走査方向に対して変倍処理を行うことにより算出される。つまり、画像データと同一の変倍率で部分倍率特性情報1230において規定されている像高を主走査方向に対して変倍処理を行う。例えば、全体倍率補正情報が15%の縮小を示す場合、画像データの縮小に応じて部分倍率の像高も縮小する。この結果、例えば部分倍率特性情報1230において像高の絶対値(図3を参照)が100mmの位置の部分倍率が、変倍後の画像データに対しては像高の絶対値が85mmの位置の部分倍率となる。
部分倍率補正情報1210は前述のように算出した変倍後の画像データに対応する各像高における部分倍率から全体倍率補正情報1220を差し引いた値に対し−1をかけた値となる。ここで、−1をかける理由は部分倍率補正情報1210が正の値となる領域においては画素片の挿入を意味し、負の値となる領域においては画素片を抜去することを意味させるという便宜上の理由である。この部分倍率補正情報1210に基づき画素片挿抜制御部128は画素片の挿抜をする。
図6の変倍処理部133及び画素片挿抜制御部128は図11のフローで算出した全体倍率補正情報1220及び、部分倍率補正情報1210を基に画像処理を行う。
なお、図11で示したフローは、光走査装置400の部分倍率特性情報1230を更新する場合に実施される。すでに前述したように、図4のメモリ304に記憶されている部分倍率特性情報1230は光走査装置400を組み立て後に個々の装置において測定して記憶しても良いし、個々の装置間のバラツキが少ない場合は個別に測定せずに代表的な特性を記憶しても良い。また、経年による部分倍率特性情報1230が変更することを考え、装置内において定期的に測定しなおしても良い。また、さらに精度を重視する場合はジョブ毎に再測定し直してもよい。
次に、図11のフローにより算出した全体倍率補正情報1220及び部分倍率補正情報1210を用いての実際の画像処理動作例について図12のタイミングチャートを用いて説明する。図12は、本実施例に係るfθ特性を有する走査レンズを用いない場合の部分倍率補正の動作を説明するタイミングチャートである。なお、図12では、走査速度の変化率Cが30%であり、軸上像高を基準としたとき、最軸外像高で30%の部分倍率が発生する場合を例にとって説明している。
図12において、部分倍率特性情報1230は、S1101で取得した部分倍率特性情報1230を示したものである。本例では30%の部分倍率が発生する場合を例にしているため、軸上像高で部分倍率が0%、最軸外像高に近づくにつれて部分倍率が大きくなり、最軸外像高において部分倍率が30%となっている。
次に、図12において、全体倍率補正情報1220は、S1102で算出した全体倍率補正情報1220を示したものである。本説明においては、部分倍率の最大値が30%、最小値が0%であるため、全体倍率補正情報1220はその中間値である15%となる。そのため、図6に示した変倍処理部133においては、主走査方向に対して15%の縮小処理を行う。
次に、図12において、部分倍率補正情報1210は、S1103で算出した部分倍率補正情報1210を示したものである。すでに上述したように、部分倍率補正情報1210は変倍後の画像データに対応する各像高における部分倍率から全体倍率補正情報1220を差し引いた値に対し、−1をかけた値となる。つまり、軸上像高において+15%(+15/100)となり、最軸外像高において−15%(−15/100)となる。画素片挿抜制御部128はこの部分倍率補正情報1210に基づき画素片の挿抜を行うことになる。
以上、図11及び図12で説明した制御を行うことにより、部分倍率補正情報1210は、最軸外像高において−15%(−15/100)、軸上像高において+15%(+15/100)となる。そのため、図12に示すように、主走査方向に関して、像高の絶対値が大きい端部付近では画素片を抜去し画像長を短くし、像高の絶対値が小さい中央付近では画素片を挿入し画像長を伸ばすエリアとすることができる。
本実施例で示した変倍処理を行わない場合は、部分倍率補正情報は最軸外像高において−30%(−30/100)であり、軸上像高において0%(0/100)となる。このため、変倍処理を行うことにより、主走査方向に関して、像高の絶対値が大きい端部付近での画素片抜去量を1/2に抑えることが可能となる。この結果、端部付近における画素片抜去に伴う階調劣化を抑制することが可能となる。
また、図10を用いて説明した通り、最軸外像高で−15%の補正を行うには、画素片100区画に対し画素片15区画を抜去し、軸上像高を+15%の補正を行うには、画素片100区画に対し画素片15区画を挿入する。これにより、軸上像高(中央)付近を基準に見た時、最軸外像高(端部)付近では画素片100区画に対して画素片30区画が抜去された状態となり、変倍処理と部分倍率補正により、最軸外像高において、30%分の部分倍率を補正することができる。つまり、レーザ光410のスポットが走査面407上を1画素の幅(42.3um(600dpi))だけ移動させる期間を、最軸外像高を軸上像高の0.76倍になる。
軸上像高に対する最軸外像高における1画素の幅の走査期間の比率は、走査速度の変化率Cを用いると以下のように合わせる。
100[%]/(100[%]+C[%])
=100[%]/(100[%]+30[%])
=0.76
本実施例で示した変倍処理を行い、部分倍率の中間値に相当する主走査位置を画素片の挿抜をしない領域とすることにより、画素片の挿抜をしていない基準の画素幅と、画素片を挿抜した画素の画素幅との差の最大値を小さくすることが可能となる。
さらに、変倍処理後の画像データに対し、1画素未満の幅の画素片の挿抜により画素幅を補正し、主走査方向に関して実質的に等間隔に各画素に対応する潜像を形成できるようになる。これにより、fθ特性を有する走査レンズを用いない構成においても、主走査方向の画像濃度に関して、より元の画像データに忠実なものとすることができ、良好な画質を得られる。
以上説明したように、本実施例によれば、変倍処理と部分倍率補正を行うことにより、fθ特性を有する走査レンズを用いることなく画像不良を抑制した露光を行うことができる。
また、本実施例では、変倍処理と画素片の挿抜により部分倍率補正を行ったが、このような方法により部分倍率を補正する場合、画素片の挿抜のみで部分倍率補正を行う場合に比べて以下に示すような効果がある。つまり、画素片抜去のみで主走査方向で調整する場合に比べて、画素片の抜去量の最大値を小さくすることが可能であり、主走査方向の画像濃度に関して、より元の画像データに忠実なものとすることができる。
<その他の実施例>
実施例1においては画像形成装置が図6で示した各種画像処理機能を持ち、変倍処理から画素片の挿抜までの画像処理を画像形成装置自身で行う場合を例に説明したが、図示しないホストコンピュータにより一連の画像処理を行うことももちろん可能である。
例えば、ホストコンピュータで行なう場合には1画素を16画素に変換する解像度変換処理を行い、解像度変換後の画像データを用いた画像形成を画像形成装置に行なわせればよい。例えば、600dpiの画像データであれば、9600dpi相当の画像データに高解像度変換を行う。そして変換後の1画素を16倍に拡大した各画素(画素片に相当)において、主走査方向の位置に応じた挿抜を行なえば、上記のPWM変換後の画像信号の挿抜と同等の効果が得られる。
また、上記の実施例では、全体倍率補正情報として部分倍率の最大値と最小値とを足して2で割った中間値を用いる例を説明した。しかしながら、全体倍率補正情報はこれに限られることはない。上述したように、本実施例においては主走査方向の端部における部分倍率補正の影響による階調劣化を抑制する技術である。より具体的には、従来、主走査方向の端部において抜去していた画素片の一部を、全体倍率を補正した後の画像における主走査方向の中心部に言わば代わりに挿入する処理である。つまり、少なくとも一部の画素片が中心部に挿入されれば、程度の差はあるものの、主走査方向端部の階調の劣化を抑制することができる。従って、全体倍率補正情報は、部分倍率の最大値と最小値との間の値であれば、いずれの値を採用してもよい。
また、部分倍率特性情報として、軸上像高における走査速度に対する、各軸外像高の走査速度のずれ量を用いる例を説明したが、これに限られるものではない。例えば、軸上像高ではないある像高における走査速度に対する、各像高の走査速度のずれ量を用いる処理であってもよい。いずれにせよ、各像高の走査速度においてどの程度のズレが生じているかを判定できる情報であればどのようなものでもよい。
また、画像形成装置の光学構成において一律に全体倍率補正情報を決定するのではなく、全体倍率補正を可変に決定してもよい。例えば、使用する用紙サイズに応じて全体倍率補正情報を変更してもよい。一例としては、上記の実施例で説明した用紙端部の部分倍率がA4の場合には30%であるとすると、はがきサイズの場合には8%であることが考えられる。このように、使用する用紙の種類に応じて部分倍率補正を適宜変更する処理であってもよい。
また、部分倍率補正情報として、各像高の画素片の挿抜の割合を示す値を例に挙げて説明したが、各像高の画素片の挿抜数を示す値を用いてもよい。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。