JP2017040340A - 変速機 - Google Patents

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伸一 竹内
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Takushi Takamura
卓志 高村
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Abstract

【課題】係合部がシフト部材に対して遅れて移動することを抑制可能な変速機を提供する。【解決手段】変速機は、変速ギヤ11と切替機構20Aとからなる変速組と、変速ギヤ12と切替機構20Bとからなる他の変速組とを備える。低速側の変速ギヤ11は、ドグ17が側面に突設されている。切替機構20Aは、シャフトと一体的に回転するリング部材40、リング部材と一体的に回転するスリーブリング50、シフト部材70、嵌入部材47および付勢部材48を有する。リング部材40は、係合部41、収容部43および第1当接部42pを有し、スリーブリング50は、溝部55および第2当接部54pを有する。付勢部材48は、収容部43に収容され、嵌入部材47をスリーブリング50の溝部55に押し付けている。【選択図】図3

Description

本発明は、変速の際にトルク切れが生じることを防止可能な変速機に関する。
変速の際にトルク切れが生じることを防止可能な変速機が知られている。特表2006−525479号公報(特許文献1)に開示された変速機においては、シフトフォークがディスクスプリングを移動させることで、係合バーセットが変速ギヤ側に移動する。ディスクスプリングは、3本のアームを含んでいる。3本のアームは、一端が支持された板バネ形状を有している。特許文献1においては、シフトフォークの駆動力は、駆動力を受けた際に弾性変形するディスクスプリング(3本のアーム)を介して係合バーセットに伝達される。
特開2013−210085号公報(特許文献2)に開示された変速機においては、シフトフォークがディテント機構を移動させることで、キーが変速ギヤ側に移動する。ディテント機構は、キーに形成された溝部と、溝部に配置されたボールと、ボールを溝部に押し付ける付勢手段(スプリングコイル)とを備えている。特許文献2においても、シフトフォークの駆動力は、駆動力を受けた際に弾性変形するディテント機構(ボールおよび付勢手段)を介してキーに伝達される。
特表2006−525479号公報 特開2013−210085号公報
バーセットやキーには、係合部が形成される。バーセットやキー(係合部)が軸方向に移動し、係合部が変速ギヤのドグに係合することにより、シフトチェンジが行われる。特許文献1,2に開示された変速機においては、シフトフォーク(シフト部材)が、ディスクスプリングやディテント機構を介してバーセットやキーを移動させている。ディスクスプリングおよびディテント機構のいずれもが、駆動力を受けた際に部分的に弾性変形する構成を備えている。すなわち、シフトフォークは、係合部が形成されたバーセットやキーを、弾性体を介して移動させているため、シフトフォークの動きに対して、係合部は遅れて移動することになる。
特許文献1,2に開示された変速機においては、係合部とドグとの回転方向における相対位置を見定めてシフトフォークを駆動させたとしても、係合部がシフトフォークに対して遅れて移動するため、係合部とドグとがうまく係合せず、係合部とドグとのエッジ同士が頻繁に衝突してしまうことが考えられる。すなわち、シフトフォークの動きに対して係合部が遅れて移動することは、噛み合わせのリトライを行なうことによる変速のもたつきを招いたり、係合部とドグとが頻繁に衝突することによるこれらの部材の耐久性の低下を招いたりする。
本発明は、係合部がシフト部材に対して遅れて移動することを抑制可能な変速機を提供するものである。
本発明に基づく変速機は、シャフトに回転自在に装着された変速ギヤと、上記変速ギヤと上記シャフトとが一体的に回転する状態と一体的に回転しない状態とを切り替える切替機構と、からなる変速組を少なくとも2つ備え、上記変速組のうちの少なくとも低速側の上記変速ギヤを含む上記変速組の上記変速ギヤは、複数のドグが側面に突設されており、上記切替機構は、上記シャフトと一体的に回転するリング部材と、上記リング部材の外径側に配置され、上記リング部材と一体的に回転するスリーブリングと、上記スリーブリングに接触するように配置され、上記スリーブリングに軸方向の力を付与するシフト部材と、ボールまたはローラから構成される嵌入部材と、付勢部材と、を含み、上記リング部材は、上記ドグに係合する係合部と、径方向に延在し、上記リング部材の外周面の側に向かって開口するように設けられた収容部と、軸方向において上記収容部に対して低速側の上記変速ギヤとは反対側に設けられた第1当接部と、を有し、上記スリーブリングは、上記スリーブリングの内周面に凹設され、回転軸に対して傾斜する傾斜面を含む溝部と、軸方向において上記溝部に対して低速側の上記変速ギヤとは反対側に設けられ、上記リング部材の上記第1当接部に当接する第2当接部と、を有し、上記付勢部材は、上記収容部に収容され、上記嵌入部材を上記スリーブリングの上記溝部に押し付けており、低速側の上記変速ギヤに近づく方向に上記シフト部材が上記スリーブリングを移動させた際、上記第2当接部が上記第1当接部を軸方向に押圧することで、上記リング部材が移動するとともに上記係合部は上記ドグに接近して係合し、低速側の上記変速ギヤから遠ざかる方向に上記シフト部材が上記スリーブリングを移動させた際、上記係合部が上記ドグに係合している状態で、上記スリーブリングの上記内周面が上記嵌入部材を上記収容部の中に押し込みながら、上記スリーブリングは低速側の上記変速ギヤから遠ざかる方向に移動する。
好ましくは、エンジンからの動力は、上記変速ギヤを介して上記切替機構に伝達され、上記係合部の回転方向における前方部分に、上記リング部材の側面から遠ざかるにつれて回転方向の後側へ向かうように延びる傾斜面が形成されている。
好ましくは、エンジンからの動力は、上記切替機構を介して上記変速ギヤに伝達され、上記係合部の回転方向における後方部分に、上記リング部材の側面から遠ざかるにつれて回転方向の前側へ向かうように延びる傾斜面が形成されている。
好ましくは、上記リング部材は、径方向に延びる貫通孔を有しており、上記収容部は、有底筒状の部材が上記貫通孔に差し込まれることで構成されている。
好ましくは、上記リング部材は、環状の形状を有する本体部と、上記本体部から低速側の上記変速ギヤの側に向かって突出する形状を有する上記係合部と、上記本体部から低速側の上記変速ギヤとは反対側に向かって突出する形状を有する突出部と、を含み、上記貫通孔は、上記突出部を径方向に貫通することで形成されている。
上記構成によれば、リング部材が、ドグに係合する係合部と、スリーブリングに当接する第1当接部とを有している。スリーブリングは、第2当接部を有している。シフト部材は、スリーブリングに接触しながらスリーブリングと一体的に移動するようにして、スリーブリングを軸方向に移動させる。この際、第2当接部が第1当接部に当接しながら第1当接部を直接的に軸方向に押圧することによって、スリーブリングはリング部材を移動させる。リング部材(係合部)の軸方向の移動に必要な駆動力は、駆動力を受けた際に弾性変形するような部材を介することなく、シフト部材からスリーブリングを介してリング部材に直接的に伝達される。すなわち、シフトアップ時においてシフト部材がリング部材と一体的に移動できるため、シフト部材の動きに対してリング部材に応答遅れは生じない。シフト部材の動きによって、変速ギヤのドグ間にリング部材の係合部を適切なタイミングで挿入することが可能となる。
変速機7およびその周辺構成を模式的に示す図である。 図1中の切替機構20Aを拡大して示す図である。 変速機7に備えられる切替機構20Aおよび変速ギヤ11,14を示す断面図である。 変速機7に備えられる切替機構20A(リング部材40、スリーブリング50およびリング部材60)の分解した状態を示す断面斜視図である。 (A)は、変速機7の変速ギヤ11,12および切替機構20A,20Bなどを示す断面図であり、切替機構20A,20Bのリング部材40およびスリーブリング50は、変速ギヤ11,12に係合していない状態(ニュートラルポジション)を形成している。(B)は、図5(A)に対応する変速ギヤ11および係合部41を示す斜視図である。 (A)は、変速機7の変速ギヤ11,12および切替機構20A,20Bなどを示す断面図であり、切替機構20Aのリング部材40(係合部41)が変速ギヤ11のドグ17,17間の位置に到達した際の様子を示している。(B)は、図6(A)に対応する変速ギヤ11および係合部41を示す斜視図である。 (A)は、変速機7の変速ギヤ11,12および切替機構20A,20Bなどを示す断面図であり、切替機構20Aのリング部材40(係合部41)が変速ギヤ11のドグ17(17c)に係合した際の様子を示している。(B)は、図7(A)に対応する変速ギヤ11および係合部41を示す斜視図である。 (A)は、変速機7の変速ギヤ11,12および切替機構20A,20Bなどを示す断面図であり、切替機構20Aのスリーブリング50が変速ギヤ11から遠ざかる方向(矢印DR2方向)に移動し始める際の様子を示している。(B)は、図8(A)に対応する変速ギヤ11および係合部41を示す斜視図である。 (A)は、変速機7の変速ギヤ11,12および切替機構20A,20Bなどを示す断面図であり、切替機構20Aのスリーブリング50がニュートラルの位置に到達した際の様子を示している。(B)は、図9(A)に対応する変速ギヤ11および係合部41を示す斜視図である。 (A)は、変速機7の変速ギヤ11,12および切替機構20A,20Bなどを示す断面図であり、切替機構20Aのリング部材40(係合部41)が変速ギヤ11のドグ17(17c)から回転方向の前方側に向けて離れた際の様子を示している。(B)は、図10(A)に対応する変速ギヤ11および係合部41を示す斜視図である。 (A)は、変速機7の変速ギヤ11,12および切替機構20A,20Bなどを示す断面図であり、切替機構20Aのリング部材40(係合部41)が変速ギヤ11のドグ17(17b)に接触しつつ、ドグ17,17間の位置から抜け出している様子を示している。(B)は、図11(A)に対応する変速ギヤ11および係合部41を示す斜視図である。 (A)は、変速機7の変速ギヤ11,12および切替機構20A,20Bなどを示す断面図であり、切替機構20Aのリング部材40(係合部41)が変速ギヤ11のドグ17,17間の位置から抜け出してニュートラルの位置に到達した際の様子を示している。(B)は、図12(A)に対応する変速ギヤ11および係合部41を示す斜視図である。 変形例における変速機を示す斜視図である。
実施の形態について、以下説明する。同一部品および相当部品には同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。図1〜図4を参照し、変速機の構成についてまず説明する。その後、図5(A),図5(B)〜図7(A),図7(B)を参照し、ニュートラルから1速ギヤへのシフトアップ時に行われる変速機の動作について説明する。その後、図8(A),図8(B)〜図12(A),図12(B)を参照し、1速ギヤから2速ギヤへのシフトアップ時に行われる変速機の動作について説明する。
[変速機の構成]
図1は、変速機7およびその周辺構成を模式的に示す図である。図1を参照して、エンジン1からの回転駆動力は、クランクシャフト2、クラッチ3およびドロップギヤ4を通してレイシャフト5に伝達される。レイシャフト5には6つのメインギヤ6が固設されており、6つのメインギヤ6はレイシャフト5と一体的に回転する。6つのメインギヤ6の回転駆動力は、切替機構20A〜20Cを備える変速機7を通して、選択的にカウンタシャフト10に伝達される(詳細は後述する)。
(変速機7)
図1に示すように、変速機7は、1速〜6速にそれぞれ対応する変速ギヤ11〜16と、切替機構20A,20B,20Cとを備える。変速ギヤ11〜16は、カウンタシャフト10(シャフト)に回転自在に装着されている。切替機構20A,20B,20Cの各々は、シフト部材70(図2参照)を有している。
変速ギヤ11〜16の選択は、切替機構20A,20B,20Cに設けられた各々のシフト部材70(より具体的には、フォーク部72)の位置で決定される。各々のシフト部材70(フォーク部72)の位置は、たとえば、運転者によるシフトレバーの操作に連動して決定される。
切替機構20Aは、変速ギヤ11,14の間に配置される。変速ギヤ11,14の切替機構20Aに対向する側面にはドグ17が突設される。切替機構20Bは、変速ギヤ12,15の間に配置される。変速ギヤ12,15の切替機構20Bに対向する側面にも、ドグ17が突設される。切替機構20Cは、変速ギヤ13,16の間に配置される。変速ギヤ13,16の切替機構20Cに対向する側面にも、ドグ17が突設される。これらのドグ17の回転方向における前面および後面は、いずれも、径方向に沿って延びる平面形状を有している(図5(B)に示す変速ギヤ11のドグ17を参照)。
詳細は後述するが、切替機構20Aは、シフト部材70(フォーク部72)の移動により、変速ギヤ11とカウンタシャフト10とが一体的に回転する状態と、一体的に回転しない状態とを切り替える。切替機構20Aは、シフト部材70(フォーク部72)の移動により、変速ギヤ14とカウンタシャフト10とが一体的に回転する状態と、一体的に回転しない状態とを切り替えることもできる。
切替機構20Bは、シフト部材70(フォーク部72)の移動により、変速ギヤ12とカウンタシャフト10とが一体的に回転する状態と、一体的に回転しない状態とを切り替える。切替機構20Bは、シフト部材70(フォーク部72)の移動により、変速ギヤ15とカウンタシャフト10とが一体的に回転する状態と、一体的に回転しない状態とを切り替えることもできる。
切替機構20Cは、シフト部材70(フォーク部72)の移動により、変速ギヤ13とカウンタシャフト10とが一体的に回転する状態と、一体的に回転しない状態とを切り替える。切替機構20Cは、シフト部材70(フォーク部72)の移動により、変速ギヤ16とカウンタシャフト10とが一体的に回転する状態と、一体的に回転しない状態とを切り替えることもできる。
(切替機構20A〜20C)
図2は、図1中の切替機構20Aを拡大して示す図である。図3は、変速機7に備えられる切替機構20Aおよび変速ギヤ11,14を示す断面図である。図4は、変速機7に備えられる切替機構20A(リング部材40、スリーブリング50およびリング部材60)の分解した状態を示す断面斜視図である。以下、図2〜図4を参照して、切替機構20Aについて説明する。切替機構20B,20Cは、切替機構20Aと同一の構成を有しているため、これらについての説明は繰り返さないものとする。
図2〜図4に示すように、切替機構20Aは、スリーブ30(図2,図3)、リング部材40、スリーブリング50、リング部材60、シフト部材70、嵌入部材47,67および付勢部材48,68を含む。
(スリーブ30)
図3を主として参照して、スリーブ30は、円筒形状を有する。スリーブ30の内周面の形状は、カウンタシャフト10の外周面の形状に対応している。スリーブ30がカウンタシャフト10の周囲に配置された状態では、スリーブ30の内周面およびカウンタシャフト10の外周面は互いに嵌合しており、スリーブ30はカウンタシャフト10と一体的に回転する。
スリーブ30のカウンタシャフト10に対する軸方向の位置は、図示しない固定手段(ロックナットやカラーなど)によって制限される。シフトチェンジの際にシフト部材70(フォーク部72)がリング部材40やスリーブリング50を軸方向に移動させたとしても、スリーブ30が軸方向に移動することはない。なおスリーブ30は、構成要素の一つとして変速機7に備えられていることが好ましいが、変速機7を実施する上で必須の構成ではない。
(リング部材40)
図2〜図4を参照して(主として図4を参照して)、リング部材40は、本体部44、係合部41、突出部42、第1当接部42p、貫通孔42H(図4)、収容部43、凸部45および凹部46を含んでいる。図1および図2においては、図示上の便宜のため、リング部材40の構成を模式的に示している。
本体部44は、環状に形成され、内周面44s(図4)および外周面44t(図4)を有している。本体部44の内周面44sには、軸方向に延びる複数の凹部46が設けられる。本体部44の内周面44sの形状および凹部46の形状は、スリーブ30(図3参照)の外周面の形状に対応している。リング部材40がスリーブ30の周囲に配置された状態では、リング部材40(本体部44)の内周面およびスリーブ30の外周面は互いに嵌合しており、リング部材40はスリーブ30およびカウンタシャフト10と一体的に回転する。
同様に、本体部44の外周面44tには、軸方向に延びる凸部45(図4)が設けられている。凸部45の形状は、スリーブリング50の内周面に設けられた凹部56(図4)の形状に対応している。したがって、スリーブリング50がリング部材40の周囲に配置された状態では、スリーブリング50は、リング部材40、スリーブ30およびカウンタシャフト10と一体的に回転する。なお、リング部材40およびスリーブリング50は、軸方向において相対的に移動可能である。
本実施の形態においては、リング部材40の本体部44に、6つの係合部41が設けられる。図4は断面図であるため、6つすべての係合部41は図示されておらず、その一部のみが図示されている。各々の係合部41は、本体部44のうちの変速ギヤ11(図3)に対向する側の面から、変速ギヤ11(低速側の変速ギヤ)の側に向かって軸方向に突出する形状を有している。
係合部41の表面のうちの回転方向(図4および図5(B)に示す矢印ARを参照)における前方部分は、リング部材40(本体部44)の側面に対して斜めに延びている(図5(B)参照)。具体的には、係合部41の回転方向(矢印AR)における前方部分には、リング部材40(本体部44)の側面から遠ざかるにつれて回転方向の後側へ向かうように延びる傾斜面41Sが形成されている。なお、図5(B)におけるリング部材40の構成に関しては、図示上の便宜のため、リング部材40の本体部44を図示せず、リング部材40の係合部41のみを図示している。
一方で、係合部41の回転方向(矢印AR)における後方部分は、リング部材40(本体部44)のうちの変速ギヤ11に対向する側の面に対して直交しており(図5(B)参照)、リング部材40(本体部44)の径方向に沿って延びる平坦な面形状を有している。係合部41が上記形状を有しているため、係合部41の周方向(回転方向)における幅は、リング部材40(本体部44)の側面から軸方向に遠ざかるにつれて(変速ギヤ11のドグ17に近づくにつれて)漸減する。
リング部材40の係合部41が変速ギヤ11に近づくように移動し、係合部41の回転方向における後端部が変速ギヤ11のドグ17に係合することで、リング部材40は、カウンタシャフト10、スリーブ30およびスリーブリング50とともに、変速ギヤ11と一体回転することができる(図7(B)参照)。
リング部材40の本体部44には、6つの突出部42も設けられる。各々の突出部42は、本体部44のうちの変速ギヤ11とは反対側の面から、変速ギヤ11(低速側の変速ギヤ)とは反対側に向かって軸方向に突出する形状を有している。本実施の形態においては、突出部42の軸方向における端面が、第1当接部42pを構成している。第1当接部42pは、軸方向において、収容部43(詳細は後述)に対して低速側の変速ギヤ11とは反対側の位置に設けられている(図3も参照)。第1当接部42pは、軸方向に対して直交する平面形状を有している。詳細は後述するが、第1当接部42pは、スリーブリング50の第2当接部54pが直接的に当接する部分である。
図4に示すように、係合部41および突出部42を全体としてみた場合、係合部41の回転方向における位置と、突出部42の回転方向における位置とは略同一であり、回転方向における係合部41の幅は、回転方向における突出部42の幅よりも小さい。係合部41の回転方向における前端は、突出部42の回転方向における前端の位置よりも後側となる位置に設けられている。係合部41の回転方向における後端は、突出部42の回転方向における後端の位置よりも前側となる位置に設けられている。
図4を参照して、貫通孔42Hは、突出部42の一部を径方向に貫通することで形成されている。収容部43(有底筒状の部材)は、付勢部材48(図3)を収容するための部材であり、有底筒状の形状を有している。収容部43は、一端43aの側が開口しており、他端43bの側は閉塞されている。収容部43は、貫通孔42Hの中に差し込まれた状態では、リング部材40(突出部42)の外周面の側に向かって開口する(図3参照)。
(嵌入部材47および付勢部材48)
嵌入部材47は、ボールから構成され、球状の形状を有している。嵌入部材47は、ローラから構成されていても構わない。付勢部材48は、スプリングコイルから構成される。付勢部材48は、収容部43に収容される(図4参照)。詳細は後述するが、付勢部材48は、嵌入部材47をスリーブリング50の溝部55に押し付ける。付勢部材48は、嵌入部材47を溝部55に押し付けることが可能であれば、板バネや、ダンパーなどから構成されていても構わない。
本実施の形態における嵌入部材47、付勢部材48および溝部55は、いわゆるディテント機構を構成する。このディテント機構は、嵌入部材47と溝部55との嵌合状態に応じて、リング部材40とスリーブリング50とを接続したり切り離したりすることができる。
(スリーブリング50)
図2〜図4(主として図4を参照して)を参照して、スリーブリング50は、リング部材40の外径側に配置される。本実施の形態のスリーブリング50は、第1環状部51、第2環状部52、凸部53,54、当接部53p、第2当接部54p(図3,図4)、溝部55、凹部56,57および突出部58を含んでいる。図1および図2においては、図示上の便宜のため、スリーブリング50の構成を模式的に示している。
第1環状部51および第2環状部52は、環状に形成される。第1環状部51の径方向における一部分51u(図4)は、変速ギヤ11(図3)の側に向かって軸方向に突出しており、第2環状部52の径方向における一部分52u(図4)は、変速ギヤ14(図3)の側に向かって軸方向に突出している。本実施の形態におけるスリーブリング50は、6つの一部分51uと6つの一部分52uとを有しており、これらは30°の間隔で、径方向において交互に(千鳥状に)設けられている。突出部58は、スリーブリング50の外周面に凸設され、周方向に沿って延びる環状の形状を有している。
溝部55は、スリーブリング50の内周面に凹設されている。溝部55は、周方向に沿って円環状に延びる形状を有し、軸方向における第1環状部51と第2環状部52との間に形成される。溝部55は、軸方向における両端よりも、軸方向における中央の方が径方向の外側に位置するような凹状の形状を有している。本実施の形態の溝部55は、一対の傾斜面55a,55cと、底部55bとを含んでいる。傾斜面55a,55cは、いずれも回転軸に対して傾斜しており、具体的には、底部55bから遠ざかるにつれて溝深さが浅くなるような傾斜面の形状を有している。
第1環状部51および第2環状部52の内周面51t,52t(図4)には、軸方向に延びる複数の凹部56,57が設けられる。本実施の形態におけるスリーブリング50には、6つの凹部56と6つの凹部57とが設けられており、これらは30°の間隔で、回転方向において交互に設けられている。凹部56は、上述の一部分51uの内周面にも設けられている。一部分51uがスリーブリング50に設けられていない場合に比べて、本実施の形態では、一部分51uが設けられていることにより凹部56の軸方向における長さが長く確保されている。
第1環状部51の内周面51tの形状、第2環状部52の内周面52tの形状、および凹部56の形状は、リング部材40の外周面44tの形状、および凸部45の形状に対応している。スリーブリング50がリング部材40の周囲に配置された状態では、スリーブリング50の凹部56およびリング部材40の凸部45は互いに嵌合しており、スリーブリング50は、リング部材40、スリーブ30およびカウンタシャフト10と一体的に回転する。
詳細は後述するが、リング部材60の外周面64tにも、軸方向に延びる複数の凸部65(図4参照)が設けられる。第1環状部51および第2環状部52の内周面51t,52t(図4)には、軸方向に延びる複数の凹部57(図4参照)も設けられる。凹部57は、上述の一部分52uの内周面にも設けられている。一部分52uがスリーブリング50に設けられていない場合に比べて、本実施の形態では、一部分52uが設けられていることにより凹部57の軸方向における長さが長く確保されている。
第1環状部51の内周面51tの形状、第2環状部52の内周面52tの形状、および凹部57の形状は、リング部材60の外周面64tの形状、および凸部65の形状に対応している。スリーブリング50がリング部材60の周囲に配置された状態では、スリーブリング50の凹部57およびリング部材60の凸部65は互いに嵌合しており、スリーブリング50は、リング部材60、リング部材40、スリーブ30およびカウンタシャフト10と一体的に回転する。
本実施の形態におけるスリーブリング50は、6つの凸部53と6つの凸部54とを有しており、これらは30°の間隔で、径方向において交互に(千鳥状に)設けられている。凸部53および凸部54は、スリーブリング50を構成する部材と一体的に作製されていてもよいし、スリーブリング50を構成する部材とは別に作製され、その部材に接合されてもよい。
凸部53は、第1環状部51の内周面51tから内径側に向かって突出するようにして形成されている(図4参照)。凸部53の表面のうち、変速ギヤ14(図3)の側に位置している表面が、当接部53pを構成している。当接部53pは、軸方向において溝部55に対して変速ギヤ14とは反対側に設けられている(図3参照)。スリーブリング50がリング部材60の外径側に配置された状態では、当接部53pは、リング部材60の当接部62p(図4参照)に軸方向に対向する。当接部53pは、軸方向に対して直交する平面形状を有しており、リング部材60の当接部62pに直接的に当接することが可能である。
凸部54は、第2環状部52の内周面52tから内径側に向かって突出するようにして形成されている(図4参照)。凸部54の表面のうち、変速ギヤ11(図3)の側に位置している表面が、第2当接部54pを構成している。第2当接部54pは、軸方向において溝部55に対して低速側の変速ギヤ11とは反対側に設けられている(図3参照)。スリーブリング50がリング部材40の外径側に配置された状態では、第2当接部54pは、リング部材40の第1当接部42p(図4参照)に軸方向に対向する。第2当接部54pは、軸方向に対して直交する平面形状を有しており、リング部材40の第1当接部42pに直接的に当接することが可能である。
(リング部材60)
図2〜図4を参照して(主として図4を参照して)、リング部材60は、本体部64、係合部61、突出部62、当接部62p、貫通孔62H(図4)、収容部63、凸部65および凹部66を含んでいる。図1および図2においては、図示上の便宜のため、リング部材60の構成を模式的に示している。
本体部64は、環状に形成され、内周面64s(図4)および外周面64t(図4)を有している。本体部64の内周面64sには、軸方向に延びる複数の凹部66が設けられる。本体部64の内周面64sの形状および凹部66の形状は、スリーブ30(図3参照)の外周面の形状に対応している。リング部材60がスリーブ30の周囲に配置された状態では、リング部材60(本体部64)の内周面およびスリーブ30の外周面は互いに嵌合しており、リング部材60はスリーブ30およびカウンタシャフト10と一体的に回転する。
同様に、本体部64の外周面64tには、軸方向に延びる凸部65(図4)が設けられている。凸部65の形状は、スリーブリング50の内周面に設けられた凹部57(図4)の形状に対応している。したがって、スリーブリング50がリング部材60の周囲に配置された状態では、スリーブリング50は、リング部材60、スリーブ30およびカウンタシャフト10と一体的に回転する。なお、リング部材60およびスリーブリング50は、軸方向において相対的に移動可能である。
本実施の形態においては、リング部材60の本体部64に、6つの係合部61が設けられる。図4は断面図であるため、6つすべての係合部61は図示されておらず、その一部のみが図示されている。各々の係合部61は、本体部64のうちの変速ギヤ14(図3)に対向する側の面から、変速ギヤ14の側に向かって軸方向に突出する形状を有している。
係合部61の表面のうちの回転方向(図4に示す矢印ARを参照)における前方部分は、リング部材60(本体部64)の側面に対して斜めに延びている。具体的には、係合部61の回転方向(矢印AR)における前方部分には、リング部材60(本体部64)の側面から遠ざかるにつれて回転方向の後側へ向かうように延びる傾斜面61Sが形成されている。
一方で、係合部61の回転方向(矢印AR)における後方部分は、リング部材60(本体部64)のうちの変速ギヤ14に対向する側の面に対して直交しており、リング部材60(本体部64)の径方向に沿って延びる平坦な面形状を有している。係合部61が上記形状を有しているため、係合部61の周方向(回転方向)における幅は、リング部材60(本体部64)の側面から軸方向に遠ざかるにつれて(変速ギヤ14のドグ17に近づくにつれて)漸減する。
リング部材60の係合部61が変速ギヤ14に近づくように移動し、係合部61の回転方向における後端部が変速ギヤ14のドグ17に係合することで、リング部材60は、カウンタシャフト10、スリーブ30およびスリーブリング50とともに、変速ギヤ14と一体回転することができる。
リング部材60の本体部64には、6つの突出部62も設けられる。各々の突出部62は、本体部64のうちの変速ギヤ14とは反対側の面から、変速ギヤ14とは反対側に向かって軸方向に突出する形状を有している。本実施の形態においては、突出部62の軸方向における端面が、当接部62pを構成している。当接部62pは、軸方向において、収容部63(詳細は後述)に対して変速ギヤ14とは反対側の位置に設けられている(図3も参照)。当接部62pは、軸方向に対して直交する平面形状を有している。当接部62pは、スリーブリング50の当接部53pが直接的に当接する部分である。
図4に示すように、係合部61および突出部62を全体としてみた場合、係合部61の回転方向における位置と、突出部62の回転方向における位置とは略同一であり、回転方向における係合部61の幅は、回転方向における突出部62の幅よりも小さい。係合部61の回転方向における前端は、突出部62の回転方向における前端の位置よりも後側となる位置に設けられている。係合部61の回転方向における後端は、突出部62の回転方向における後端の位置よりも前側となる位置に設けられている。
図4を参照して、貫通孔62Hは、突出部62の一部を径方向に貫通することで形成されている。収容部63(有底筒状の部材)は、付勢部材68(図3)を収容するための部材であり、有底筒状の形状を有している。収容部63は、一端の側が開口しており、他端の側は閉塞されている。収容部63は、貫通孔62Hの中に差し込まれた状態では、リング部材60(突出部62)の外周面の側に向かって開口する(図3参照)。
(嵌入部材67および付勢部材68)
嵌入部材67は、ボールから構成され、球状の形状を有している。嵌入部材67は、ローラから構成されていても構わない。付勢部材68は、スプリングコイルから構成される。付勢部材68は、収容部63に収容される(図4参照)。付勢部材68は、嵌入部材67をスリーブリング50の溝部55に押し付ける。付勢部材68は、嵌入部材67を溝部55に押し付けることが可能であれば、板バネや、ダンパーなどから構成されていても構わない。
本実施の形態における嵌入部材67、付勢部材68および溝部55は、いわゆるディテント機構を構成する。このディテント機構は、嵌入部材67と溝部55との嵌合状態に応じて、リング部材60とスリーブリング50とを接続したり切り離したりすることができる。
(シフト部材70)
図2および図3を参照して、シフト部材70は、シャフト部71およびフォーク部72から構成される。図示上の便宜のため、シフト部材70は図4には図示していない。シャフト部71は、軸方向(カウンタシャフトの軸方向)に対して平行な方向に延びている。シャフト部71は、切替機構20A,20B,20Cの各々のシフト部材70において、共通して用いられる部材である(図1参照)。
フォーク部72は、スリーブリング50の突出部58に接触し、突出部58を把持するように配置される。フォーク部72は、シャフト部71の延びる方向に沿って移動することで、スリーブリング50に軸方向の力を付与する。
[シフトアップ時に行われる変速機の動作]
以下、図5(A),図5(B)〜図7(A),図7(B)を参照し、ニュートラルから1速ギヤへのシフトアップ時に行われる変速機7の動作について説明する。
図5(A)は、変速機7の変速ギヤ11,12および切替機構20A,20Bなどを示す断面図であり、切替機構20A,20Bのリング部材40およびスリーブリング50は、変速ギヤ11,12に係合していない状態(ニュートラルポジション)を形成している。図5(B)は、図5(A)に対応する変速ギヤ11および係合部41を示す斜視図である。図5(B)におけるリング部材40に関しては、図示上の便宜のため、リング部材40の本体部44を図示せず、リング部材40の係合部41のみを図示している。
図5(A)および図5(B)を参照して、ニュートラルの場合(かつ、変速ギヤ11が駆動側である場合、すなわち、エンジンからの動力が変速ギヤ11〜16を介して切替機構に伝達されるように構成されている本実施の形態の場合)には、リング部材40およびスリーブリング50は、ほとんど又は全く回転していない。一方、変速ギヤ11,12は、エンジンからの動力を受けて回転している(図1参照)。
ニュートラルから1速ギヤ(変速ギヤ11)へシフトアップする際には、切替機構20Aのシフト部材70(フォーク部72)が、低速側の変速ギヤ11に近づく方向(矢印DR1方向)に移動する。シフト部材70(フォーク部72)は、スリーブリング50の突出部58(図3,図4)に直接的に駆動力を付与することによって、スリーブリング50を軸方向に移動させる。
フォーク部72からスリーブリング50に付与された駆動力は、第2当接部54pと第1当接部42pとの接触を介して、リング部材40にも伝達される。第2当接部54pは、第1当接部42pを軸方向に押圧する。フォーク部72は、低速側の変速ギヤ11に近づく方向にスリーブリング50を移動させる。リング部材40が移動し、係合部41はドグ17に接近する。
図6(A)および図6(B)を参照して、軸方向の移動に必要な駆動力は、駆動力を受けた際に弾性変形するような部材を介することなく、シフト部材70からスリーブリング50に直接的に付与され、さらに、スリーブリング50に付与された駆動力は、駆動力を受けた際に弾性変形するような部材を介することなく、スリーブリング50からリング部材40に直接的に付与される。
シフト部材70は、スリーブリング50およびリング部材40と一体的に矢印DR1方向に移動するため、シフト部材70の動きに対してリング部材40に応答遅れは生じない。シフト部材70(フォーク部72)の動きによって、適切なタイミングで変速ギヤ11のドグ17(17b,17c)間にリング部材40の係合部(係合部41)を挿入することができる。フォーク部72は、係合部41に矢印DR1方向への駆動力を付与し続けており、係合部41は、やがてドグ17,17の間の位置に到達することになる。
ニュートラルから1速ギヤ(変速ギヤ11)へシフトアップすることに直接的には関係しないが、シフト部材70がリング部材40を変速ギヤ11に近づく方向にスリーブリング50を移動させる際、リング部材60(図3参照)も同方向に移動する。リング部材60への駆動力の伝達については、シフト部材70(フォーク部72)から、スリーブリング50の溝部55、嵌入部材67および収容部63を介して(すなわちディテント機構を介して)駆動力が伝達される。
図7(A)および図7(B)を参照して、変速ギヤ11は、係合部41に対して回転し続けている。フォーク部72は、矢印DR1方向へ係合部41を移動させた状態を維持し続けている。変速ギヤ11が矢印AR方向へ回転することに伴って、ドグ17(17c)は、ドグ17(17c)の回転方向前方に位置する係合部41に近づき、やがてドグ17(17c)は係合部41に係合する。
これにより、図7(A)および図7(B)に示す状態が形成される。係合部41が変速ギヤ11のドグ17に係合していることにより、変速ギヤ11、リング部材40およびスリーブリング50は、カウンタシャフト10と一体的に回転可能である。1速ギヤ(変速ギヤ11)へのシフトチェンジが完了し、変速ギヤ11の回転駆動力が切替機構20Aを通してカウンタシャフト10に伝達されることになる。
(1速ギヤから2速ギヤへのシフトアップ)
図8(A)および図8(B)を参照して、1速ギヤから2速ギヤ(変速ギヤ12)へシフトアップする際には、切替機構20Bのシフト部材70(フォーク部72)が矢印DR1方向(図8(A))に移動するとともに、切替機構20Aのシフト部材70(フォーク部72)が矢印DR2方向(図8(A))に移動する。本実施の形態においては、変速ギヤ11と切替機構20Aとからなる低速側の変速組、および、変速ギヤ12と切替機構20Bとからなる高速側の変速組によって、1速ギヤから2速ギヤへのシフトアップが行われる。
図9(A)および図9(B)を参照して、切替機構20Bについては、フォーク部72が、スリーブリング50を矢印DR1方向へ移動させる。フォーク部72、スリーブリング50およびリング部材40は、変速ギヤ12に近づくように矢印DR1方向に一体的に移動する。
この際においても、軸方向の移動に必要な駆動力は、駆動力を受けた際に弾性変形するような部材を介することなく、シフト部材70からスリーブリング50に直接的に付与され、さらに、スリーブリング50に付与された駆動力は、駆動力を受けた際に弾性変形するような部材を介することなく、スリーブリング50からリング部材40に直接的に付与される。
シフト部材70は、スリーブリング50およびリング部材40と一体的に矢印DR1方向に移動するため、シフト部材70の動きに対してリング部材40に応答遅れは生じない。シフト部材70(フォーク部72)の動きによって、適切なタイミングで変速ギヤ12のドグ17(17b,17c)間にリング部材40の係合部(係合部41)を挿入することができる。
一方、切替機構20Aについては、フォーク部72が、スリーブリング50を矢印DR2方向へ移動させる。ここで、スリーブリング50は、フォーク部72とともに矢印DR2方向へ移動するものの、係合部41が変速ギヤ11のドグ17に係合していることにより、リング部材40(係合部41)は矢印DR2方向には移動しない。低速側の変速ギヤ11から遠ざかる方向にシフト部材70がスリーブリング50を移動させた際、係合部41がドグに係合している状態で、スリーブリング50の内周面51tが嵌入部材47を収容部43の中に押し込みながら、スリーブリング50は低速側の変速ギヤ11から遠ざかる方向に移動する。図9(A)および図9(B)に示す状態が形成され、変速ギヤ11およびリング部材40は、引続き、カウンタシャフト10と一体的に回転する。
切替機構20Bについては、変速ギヤ12が、変速ギヤ11よりも速い回転速度で矢印AR方向へ回転している。ニュートラルから変速ギヤ11へのシフトチェンジの場合と同様に、変速ギヤ12の側面に設けられたドグ17は、そのドグ17の回転方向前方に位置するリング部材40の係合部41に近づき、やがてドグ17と係合部41とは互いに係合する。2速ギヤ(変速ギヤ12)へのシフトチェンジが完了し、変速ギヤ12の回転駆動力が切替機構20Bを通してカウンタシャフト10に伝達されることになる。カウンタシャフト10は、1速の場合よりも速く回転することになる。これにより、切替機構20Aのリング部材40は、変速ギヤ11よりも速く回転することになる。
図10(A)および図10(B)を参照して、切替機構20Aについては、リング部材40(係合部41)が変速ギヤ11よりも速く回転することになったことにより、リング部材40の係合部41と変速ギヤ11のドグ17との係合状態(接触状態)が解除される。リング部材40の係合部41は、この係合部41が係合していたドグ17(17c)よりも一つ前に位置しているドグ17(17b)に接近する。
図11(A)および図11(B)を参照して、やがて、リング部材40の係合部41は、この係合部41が係合していたドグ17(17c)よりも一つ前に位置しているドグ17(17b)に追いつく。上記のとおり、係合部41の回転方向(矢印AR)における前方部分には、リング部材40(本体部44)の側面から遠ざかるにつれて回転方向の後側へ向かうように延びる傾斜面41Sが形成されている。したがって係合部41は、リング部材40よりも遅く回転している変速ギヤ11のドグ17に傾斜面41Sが接触することで、軸方向に弾かれる。リング部材40の係合部41がドグ17によって軸方向に弾かれることで、リング部材40の全体が同方向に移動することとなる。
図12(A)および図12(B)に示す状態が形成される。切替機構20Aはニュートラルポジションに戻り、2速ギヤ(変速ギヤ12)へのシフトチェンジが完了することになる。以上述べたように、本実施の形態においては、切替機構20A,20Bによって、変速(シフトアップ)の際にトルク切れが生じること防止可能な変速動作を実現できる。この動作は、2速ギヤから3速ギヤ、3速ギヤから4速ギヤ、4速ギヤから5速ギヤ、5速ギヤから6速ギヤにシフトチェンジされる際にも同様に行われるものである。
(2速ギヤから1速ギヤへのシフトダウン)
2速ギヤから1速ギヤ(変速ギヤ11)へシフトダウンする際には、クラッチを抜いた状態で、切替機構20Bのフォーク部72が、切替機構20Bのリング部材40およびスリーブリング50を変速ギヤ12から遠ざける方向に移動させる。さらに、切替機構20Aのフォーク部72が、切替機構20Aのリング部材40およびスリーブリング50を変速ギヤ11に近づける方向に移動させる。
切替機構20Bはニュートラルポジションに戻り、クラッチが再び係合されることで、1速ギヤ(変速ギヤ11)へのシフトダウンが完了することになる。この動作は、6速ギヤから5速ギヤ、5速ギヤから4速ギヤ、4速ギヤから3速ギヤ、3速ギヤから2速ギヤにシフトチェンジされる際にも同様に行われるものである。
(作用および効果)
上記の実施の形態の構成によれば、リング部材40が、ドグ17に係合する係合部41と、スリーブリング50に当接する第1当接部42pとを有している。スリーブリング50は、第2当接部54pを有している。シフト部材70(フォーク部72)は、スリーブリング50に接触しながらスリーブリング50と一体的に移動するようにして、スリーブリング50を軸方向に移動させる。
この際、第2当接部54pが第1当接部42pに当接しながらリング部材40(第1当接部42p)を直接的に軸方向に押圧することで、スリーブリング50はリング部材40を移動させる。リング部材40(係合部41)の軸方向の移動に必要な駆動力は、駆動力を受けた際に弾性変形するような部材を介することなく、シフト部材70からスリーブリング50を介してリング部材40に直接的に伝達される。すなわち、シフトアップ時においてシフト部材70がリング部材40と一体的に移動できるため、シフト部材70の動きに対してリング部材40に応答遅れは生じない。
シフト部材70の動きによって、変速ギヤ11のドグ70,70間にリング部材40の係合部41を適切なタイミングで挿入することが可能となる。したがって、噛み合わせのリトライを行なうことによる変速のもたつきを招いたり、係合部とドグとが頻繁に衝突することによるこれらの部材の耐久性の低下を招いたりすることが抑制可能となる。
また、シフト部材70のフォーク部72のみで、切替機構20Aのリング部材40およびスリーブリング50を容易に動かすことが可能である。いわゆる、ドグウィンドウトラッキングシステムを活用することで、学習によってドグ17の位置(位相)をより正確に把握するように構成し、変速性能の向上につなげるとさらに好ましいと言える。
また、図9(A),(B)および図10(A),(B)を参照して、シフトアップを行っている際、嵌入部材47(ボール)は、スリーブリング50の内周面51tを押圧しているだけである。付勢部材48の弾性復元力は、リング部材40に軸方向の力として作用することはない。リング部材40は、係合部41がドグ17に弾かれた際に生じる力のみによって、変速ギヤ11から遠ざかる方向に移動する。
すなわち、スリーブリング50がシフト部材70から駆動力を受けてニュートラルの位置に向かって移動したとしても、シフト部材70の駆動力は、リング部材40には伝わらない。シフト部材70の駆動力は、リング部材40を変速ギヤ11から遠ざけようとするような力としてリング部材40に作用することはない。したがって、ドグ17と係合部41との間に小さなトルクが掛かった状態でシフトアップが行われる場合であっても、変速ギヤ12へのシフトアップが完了するまで、変速ギヤ11はドグ17と係合した状態を維持でき(トルクが伝達されている状態を維持でき)、ひいてはよりシームレスなシフトチェンジが実施可能となる。これは、3速〜6速へのシフトアップ時においても同様の作用効果が得られる。
上述のとおり、係合部41の回転方向(矢印AR)における前方部分には、リング部材40(本体部44)の側面から遠ざかるにつれて回転方向の後側へ向かうように延びる傾斜面41Sが形成されている。スリーブリング50が変速ギヤ11から遠ざかる方向に移動した後、アップシフトによってリング部材40の回転速度が変速ギヤ11の回転速度よりも大きくなると、リング部材40の係合部41が回転方向前方に位置するドグ17に追いつき、衝突する。この際、リング部材40の係合部41の傾斜面41Sが追いついたドグ17との接触面に傾斜面を有していることによって、リング部材40が中立位置(スリーブリング50が位置している側)に向かって弾かれやすくなる。3速〜6速へのシフトアップ時においても同様の作用効果が得られる。
上述のとおり、本実施の形態においては、リング部材40は、径方向に延びる貫通孔42Hを有しており、収容部は、有底筒状の部材(収容部43)が貫通孔42Hに差し込まれることで構成されている。収容部は、リング部材40に一体的に作製されることも可能であるが、別部材から構成されている場合、有底筒状の部材の高さ(深さ)を変えることで、ディテント機構のON/OFFに必要な力を容易に調整できる。
上述のとおり、本実施の形態においては、リング部材40は、環状の形状を有する本体部44と、本体部44から低速側の変速ギヤ11の側に向かって突出する形状を有する係合部41と、本体部44から低速側の変速ギヤ11とは反対側に向かって突出する形状を有する突出部42と、を含み、貫通孔42Hは、突出部42を径方向に貫通することで形成されている。当該構成によれば、突出部42が本体部44に設けられているため、ディテント機構の軸方向における位置を決める際に、設計の高い自由度を得ることができる。
[変形例]
図13を参照して、変形例における変速機について説明する。この変速機においては、係合部41の回転方向(矢印AR)における前方部分は、リング部材40(本体部44)の側面に直交しており、リング部材40(本体部44)の径方向に沿って延びる平坦な面形状を有している。当該構成によっても、アップシフトの際、リング部材40の係合部41は、この係合部41が係合していたドグ17(17c)よりも一つ前に位置しているドグ17(17b)に追いつく。係合部41は、リング部材40よりも遅く回転している変速ギヤ11のドグ17に接触することで、軸方向に弾かれることができる。
[他の変形例]
上述の実施の形態は、変速ギヤ11〜16および切替機構20A,20B,20Cのうち、変速ギヤ11〜16が駆動側の場合の構成に基づき説明した(つまり、エンジンからの動力は、変速ギヤ11〜16を介して切替機構に伝達される)。たとえば、係合部41の回転方向(矢印AR)における前方部分には、リング部材40(本体部44)の側面から遠ざかるにつれて回転方向の後側へ向かうように延びる傾斜面41Sが形成されている。このような技術的思想は、変速ギヤ11〜16が被駆動側の場合(つまり、エンジンからの動力が、切替機構を介して変速ギヤ11〜16に伝達される場合)にも適用できるものである。
たとえば、変速ギヤ11〜16が被駆動側の場合(つまり、エンジンからの動力が、切替機構を介して変速ギヤ11〜16に伝達される場合)、たとえば、係合部41の回転方向(矢印AR)における後方部分には、リング部材40(本体部44)の側面から遠ざかるにつれて回転方向の前側へ向かうように延びる傾斜面41Sが形成されていることが好ましい。
以上、実施の形態および各変形例について説明したが、上記の開示内容はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 エンジン、2 クランクシャフト、3 クラッチ、4 ドロップギヤ、5 レイシャフト、6 メインギヤ、7 変速機、10 カウンタシャフト、11,12,13,14,15,16 変速ギヤ、17 ドグ、17G 角、20A,20B,20C 切替機構、30 スリーブ、40,60 リング部材、41,61 係合部、41S,55a,55c,61S 傾斜面、42,58,62 突出部、42H,62H 貫通孔、42p 第1当接部、43,63 収容部、43a 一端、43b 他端、44,64 本体部、44s,51t,52t,64s 内周面、44t,64t 外周面、45,53,54,65 凸部、46,56,57,66 凹部、47,67 嵌入部材、48,68 付勢部材、50 スリーブリング、51 第1環状部、51u,52u 一部分、52 第2環状部、53p,62p 当接部、54p 第2当接部、55 溝部、55b 底部、70 シフト部材、71 シャフト部、72 フォーク部。

Claims (5)

  1. シャフトに回転自在に装着された変速ギヤと、前記変速ギヤと前記シャフトとが一体的に回転する状態と一体的に回転しない状態とを切り替える切替機構と、からなる変速組を少なくとも2つ備え、
    前記変速組のうちの少なくとも低速側の前記変速ギヤを含む前記変速組の前記変速ギヤは、複数のドグが側面に突設されており、
    前記切替機構は、
    前記シャフトと一体的に回転するリング部材と、
    前記リング部材の外径側に配置され、前記リング部材と一体的に回転するスリーブリングと、
    前記スリーブリングに接触するように配置され、前記スリーブリングに軸方向の力を付与するシフト部材と、
    ボールまたはローラから構成される嵌入部材と、
    付勢部材と、を含み、
    前記リング部材は、
    前記ドグに係合する係合部と、
    径方向に延在し、前記リング部材の外周面の側に向かって開口するように設けられた収容部と、
    軸方向において前記収容部に対して低速側の前記変速ギヤとは反対側に設けられた第1当接部と、を有し、
    前記スリーブリングは、
    前記スリーブリングの内周面に凹設され、回転軸に対して傾斜する傾斜面を含む溝部と、
    軸方向において前記溝部に対して低速側の前記変速ギヤとは反対側に設けられ、前記リング部材の前記第1当接部に当接する第2当接部と、を有し、
    前記付勢部材は、前記収容部に収容され、前記嵌入部材を前記スリーブリングの前記溝部に押し付けており、
    低速側の前記変速ギヤに近づく方向に前記シフト部材が前記スリーブリングを移動させた際、前記第2当接部が前記第1当接部を軸方向に押圧することで、前記リング部材が移動するとともに前記係合部は前記ドグに接近して係合し、
    低速側の前記変速ギヤから遠ざかる方向に前記シフト部材が前記スリーブリングを移動させた際、前記係合部が前記ドグに係合している状態で、前記スリーブリングの前記内周面が前記嵌入部材を前記収容部の中に押し込みながら、前記スリーブリングは低速側の前記変速ギヤから遠ざかる方向に移動する、
    変速機。
  2. エンジンからの動力は、前記変速ギヤを介して前記切替機構に伝達され、
    前記係合部の回転方向における前方部分に、前記リング部材の側面から遠ざかるにつれて回転方向の後側へ向かうように延びる傾斜面が形成されている、
    請求項1に記載の変速機。
  3. エンジンからの動力は、前記切替機構を介して前記変速ギヤに伝達され、
    前記係合部の回転方向における後方部分に、前記リング部材の側面から遠ざかるにつれて回転方向の前側へ向かうように延びる傾斜面が形成されている、
    請求項1に記載の変速機。
  4. 前記リング部材は、径方向に延びる貫通孔を有しており、
    前記収容部は、有底筒状の部材が前記貫通孔に差し込まれることで構成されている、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の変速機。
  5. 前記リング部材は、
    環状の形状を有する本体部と、
    前記本体部から低速側の前記変速ギヤの側に向かって突出する形状を有する前記係合部と、
    前記本体部から低速側の前記変速ギヤとは反対側に向かって突出する形状を有する突出部と、を含み、
    前記貫通孔は、前記突出部を径方向に貫通することで形成されている、
    請求項4に記載の変速機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019148288A (ja) * 2018-02-26 2019-09-05 トヨタ自動車株式会社 車両用変速機
JP2020133827A (ja) * 2019-02-22 2020-08-31 株式会社イケヤフォ−ミュラ トランスミッション及び噛合いクラッチ

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