JP6140045B2 - 動力伝達装置 - Google Patents

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Description

本発明は、主に車両の変速機に用いられる動力伝達装置に関する。
従来、例えば特許文献1に示されるように、ドグクラッチ式の変速機を採用した車両が広く普及している。こうしたドグクラッチ式の変速機においては、ギヤに複数のドグが形成されるとともに、セレクタ機構に複数のドグ(係合バー)が形成されている。そして、セレクタ機構をシフトフォークで可動して、ドグ同士を近接させて噛合させた動力伝達状態や、ドグ同士を離隔させて噛合を解除した切り離し状態に切り換えることで変速がなされることとなる。
特許文献1に記載の変速機においては、切り離し状態から動力伝達状態に切り換えるとき、ドグ同士に差回転が生じたまま、セレクタ機構のドグをギヤのドグに近接させる。このとき、ドグ同士の回転方向の位置によっては、セレクタ機構のドグがギヤのドグ側に十分に移動しないまま、ドグが浅い噛み合い状態となってしまうことがある。
そこで、特許文献1に記載の変速機においては、セレクタ機構に、ガードアームを設けている。ガードアームは、セレクタ機構の複数のドグの一部を遮蔽しており、セレクタ機構の複数のドグの間にギヤのドグが入り込むとき、ガードアームによってドグが弾かれる。セレクタ機構を可動するシフトフォークは、電動アクチュエータによって可動されるとともに、押しバネなどで可動方向に付勢されており、ガードアームによってドグが弾かれ続けている間に、付勢力が蓄積されていく。そして、所定以上の付勢力が蓄積されると、バネの付勢力によって、ギヤのドグがガードアームを押しのけてセレクタ機構のドグの間に進入し、ドグ同士が噛み合うこととなる。
特表2007−504413号公報
上記のように、ドグクラッチ式の変速機などの動力伝達装置では、ギヤとセレクタ機構といった、ドグが設けられた回転体の噛合において、両回転体の差回転や両回転体を近接させるタイミングによっては、浅い噛み合い状態となってしまう。そのため、ドグ同士の接触面積が小さくなって面圧が高くなることから、十分な安全性を確保するためには、ドグに要求される強度が高くなってしまう。
また、上記の特許文献1に記載のように、ガードアームを設ければドグの噛み合いが浅くなる事態を回避することができる。しかし、バネの付勢力が十分に蓄積されるまで、ドグとガードアームが衝突を繰り返すため、摩耗や騒音が大きくなってしまう。
そこで、本発明は、摩耗や騒音の発生を抑えつつ、ドグの噛み合いを適切に遂行可能な動力伝達装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の動力伝達装置は、複数の第1ドグが回転方向に配列された第1回転体と、第1回転体と同軸上に設けられ、第1ドグに噛合可能な複数の第2ドグが回転方向に配列された第2回転体と、を備え、第1回転体および第2回転体が回転軸方向に近接する近接方向に相対移動すると、第1ドグおよび第2ドグが噛合して第1回転体と第2回転体とが一体回転する動力伝達状態となり、第1回転体および第2回転体が回転軸方向に離隔する離隔方向に相対移動すると、第1ドグおよび第2ドグの噛合が解除されて第1回転体と第2回転体とが相対回転する切り離し状態となる動力伝達装置であって、第1ドグよりも第1回転体の径方向の内側もしくは外側に設けられ、第1回転体と一体回転する突起部と、突起部と接触可能に第2回転体に設けられ、一端から他端まで回転方向に延在するとともに、突起部よりも回転方向に長さを有し、第1回転体と第2回転体とが近接方向に相対移動する過程において、第1ドグおよび第2ドグが互いに噛合する前に突起部に接触する規制部と、第2回転体に設けられ、突起部が規制部に対して回転軸方向に非対向となり、かつ、回転方向に隣り合う2つの第2ドグの対向間隔の範囲内で、第1ドグおよび突起部いずれか一方または双方の回転軌跡上に突出する初期位置と、突起部の回転軌跡上から退避した退避位置との間を可動する可動部材と、を備え、突起部と規制部とが回転軸方向に対向した状態で第1回転体と第2回転体とが近接方向に相対移動すると、突起部が規制部に接触して近接方向への相対移動が規制されるとともに、突起部と規制部との接触状態を維持したまま第1回転体と第2回転体とがさらに相対回転し、突起部と規制部とが回転軸方向に非対向となると、突起部と規制部との接触が解除されて、第1回転体と第2回転体とがさらに近接方向に相対移動して、第2ドグの回転軌跡上に第1ドグが進入し、突起部が規制部に対して回転軸方向に非対向となる範囲にある場合に、第2ドグに対する第1ドグの回転軸方向の進入量が一定量以上確保されていない状態で、第1ドグまたは突起部が初期位置にある可動部材に接触すると、可動部材によって第1ドグまたは突起部が離隔方向に導かれて、第1ドグが第2ドグの回転軌跡上から退出し、突起部が規制部に対して回転軸方向に非対向となる範囲にある場合に、第2ドグに対する第1ドグの回転軸方向の進入量が一定量以上確保された状態で、第1ドグまたは突起部が初期位置にある可動部材に接触すると、可動部材が第1ドグまたは突起部によって退避位置に退避され、第1ドグと第2ドグとが噛合することを特徴とする。
突起部は、複数の第1ドグのうち、いずれか1つに一体的に設けられていてもよい。
第1ドグは第1回転体のうち第2回転体に対向する対向面に設けられるとともに、第1ドグよりも第1回転体の径方向の内側に突起部が設けられ、第2ドグは第2回転体のうち第1回転体に対向する対向面に設けられるとともに、第2ドグよりも第2回転体の径方向の内側に可動部材が設けられていてもよい。
第2回転体には、可動部材に付勢力を作用させて可動部材を初期位置に保持する弾性体が設けられ、可動部材は、第2ドグに対する第1ドグの回転軸方向の進入量が一定量以上確保された状態で第1ドグまたは突起部に接触すると、第1ドグまたは突起部によって第2回転体の径方向内側に押圧されて退避位置に退避してもよい。
可動部材のうち、初期位置において第1ドグまたは突起部に接触する部分にはテーパ部が形成され、テーパ部は、可動部材に対する第1ドグまたは突起部の回転方向前方側が後方側よりも、第2回転体の径方向外側に位置する第1テーパ面と、第1テーパ面よりも第1回転体側に位置し、第1ドグまたは突起部の回転方向前方側が後方側よりも第1回転体側に近接する向きに傾斜する第2テーパ面と、を備えていてもよい。
回転軸に固定されるハブと、第1回転体を構成し、ハブと一体回転するとともに回転軸方向に移動自在にハブに組み付けられ、第1ドグおよび突起部が形成されたスリーブと、第2回転体を構成し、第2ドグ、規制部、および、可動部材が設けられたドグギヤと、を備えてもよい。
本発明によれば、摩耗や騒音の発生を抑えつつ、ドグの噛み合いを適切に遂行することができる。
自動車用の変速機の概略を示す図である。 動力伝達装置の分解斜視図である。 本実施形態の第1ドグおよび第2ドグの噛み合いを説明するための説明図である。 比較例の第1ドグおよび第2ドグの噛み合いを説明するための説明図である。 可動部材およびカバー部を取り付けたドグギヤを対向面側から見た正面図である。 第1ドグおよび第2ドグの噛み合いにおける規制部と可動部材の作用を説明するための第1の図である。 第1ドグおよび第2ドグの噛み合いにおける規制部と可動部材の作用を説明するための第2の図である。 第1ドグおよび第2ドグの噛み合いにおける規制部と可動部材の作用を説明するための第3の図である。 第1ドグおよび第2ドグの噛み合いにおける規制部と可動部材の作用を説明するための第4の図である。 第1ドグおよび第2ドグの噛み合いにおける規制部と可動部材の作用を説明するための第5の図である。 第1ドグおよび第2ドグの噛み合いにおける規制部と可動部材の作用を説明するための第6の図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(変速機の概要)
図1は自動車用の変速機1の概略を示す図である。エンジンEの駆動力を駆動輪に伝達する変速機1は、ミッションケースに保持されたベアリングbに回転自在に軸支され、互いに平行に配されたメインシャフト2およびカウンタシャフト3を備えている。メインシャフト2は、発進クラッチ4を介してエンジンEのクランクシャフトに接続されており、発進クラッチ4を介して伝達されるエンジンEの駆動力によって回転する入力シャフトとして機能する。
メインシャフト2には、複数(本実施形態では4つ)のメインギヤ10が相対回転自在に装着されている。メインシャフト2に設けられるメインギヤ10の数は特に限定されるものではないが、ここでは、説明の都合上、4つのメインギヤ10を、それぞれ、1速メインギヤ11、2速メインギヤ12、3速メインギヤ13、4速メインギヤ14として説明する。また、カウンタシャフト3には、複数(本実施形態では4つ)のカウンタギヤ20が相対回転不能に装着されている。ここでは、説明の都合上、4つのカウンタギヤ20を、それぞれ、1速カウンタギヤ21、2速カウンタギヤ22、3速カウンタギヤ23、4速カウンタギヤ24として説明する。
この1速カウンタギヤ21は1速メインギヤ11に噛合しており、これら1速メインギヤ11および1速カウンタギヤ21によって、メインシャフト2およびカウンタシャフト3間で動力伝達を行う第1歯車列31を構成している。同様に、2速メインギヤ12および2速カウンタギヤ22によって第2歯車列32が構成され、3速メインギヤ13および3速カウンタギヤ23によって第3歯車列33が構成され、4速メインギヤ14および4速カウンタギヤ24によって第4歯車列34が構成されている。
これら第1歯車列31〜第4歯車列34は、各メインギヤ11〜14および各カウンタギヤ21〜24のギヤ比を異にしており、本実施形態では、第1歯車列31が最も低速段側となり、第4歯車列34が最も高速段側となっている。
また、メインシャフト2には、動力伝達経路を切り換える動力伝達装置50(50a、50b)が複数(本実施形態では2つ)設けられている。動力伝達装置50は、メインシャフト2に対して1速メインギヤ11〜4速メインギヤ14のいずれかを一体回転させる動力伝達状態、もしくは、メインシャフト2に対して1速メインギヤ11〜4速メインギヤ14を相対回転させる切り離し状態(ニュートラル状態)のいずれかを選択可能である。
動力伝達装置50aは、1速メインギヤ11および2速メインギヤ12の間に配されており、動力伝達装置50bは、3速メインギヤ13および4速メインギヤ14の間に配されている。
また、動力伝達装置50は、メインシャフト2の回転軸方向(以下、単に軸方向と称す)に移動可能なドライブ側スリーブ51(第1回転体)およびコースト側スリーブ52(第1回転体)を備えている。ドライブ側スリーブ51およびコースト側スリーブ52は、それぞれ、軸方向の両端から突出する第1ドグ51a、52aを有するとともに、メインシャフト2と一体回転する。
さらに、動力伝達装置50は、1速メインギヤ11〜4速メインギヤ14それぞれに連結して一体回転するドグギヤ53(第2回転体)を含んで構成されている。ドグギヤ53には、第1ドグ51a、52a側に突出する第2ドグ53aが周方向(回転方向)に等間隔に複数(ここでは3つ)配列されている。すなわち、ドグギヤ53は、ドライブ側スリーブ51と同軸上に設けられている。
ドライブ側スリーブ51およびコースト側スリーブ52にはシフトフォーク5が係合しており、シフトフォーク5は電動アクチュエータ6によって軸方向に可動する。シフトフォーク5と電動アクチュエータ6の間にはコイルばねで構成される弾性部材7が介在しており、弾性部材7によってシフトフォーク5の可動方向への押圧力が蓄積される。弾性部材7の作用については後に詳述する。そして、シフトフォーク5の可動によって、第1ドグ51a、52aと第2ドグ53aとを噛合させたり、あるいは、その噛合を解除したりする。
例えば、動力伝達経路として第1歯車列31が選択されている場合、動力伝達装置50aは、1速メインギヤ11に連結されたドグギヤ53の第2ドグ53aに、第1ドグ51a、52aのいずれかを噛合させる。そして、メインシャフト2に対して1速メインギヤ11を一体回転させる。このとき、動力伝達装置50aは、第2歯車列32を切り離し状態としている。また、動力伝達装置50bは、第3歯車列33、および、第4歯車列34を切り離し状態としている。したがって、この場合には、エンジンEの駆動力は、発進クラッチ4→メインシャフト2→第1歯車列31→カウンタシャフト3を介して矢印の順に駆動輪に伝達され、メインシャフト2およびカウンタシャフト3間で第1歯車列31を介した動力伝達がなされることとなる。
なお、本実施形態では、メインギヤ10がメインシャフト2に対して相対回転自在に設けられるとともに、カウンタギヤ20がカウンタシャフト3に対して相対回転不能に設けられる。そして、動力伝達装置50がメインシャフト2に設けられている。ただし、これとは逆に、メインギヤ10がメインシャフト2に対して相対回転不能に設けられるとともに、カウンタギヤ20がカウンタシャフト3に対して相対回転自在に設けられ、動力伝達装置50がカウンタシャフト3に設けられてもよい。
(動力伝達装置50の構成)
次に、上記の動力伝達装置50の構成について詳細に説明する。上述したように、動力伝達装置50は、2つのメインギヤ10の間に配され、両側に配されたメインギヤ10のいずれかを、メインシャフト2に対して動力伝達状態とすることができる。動力伝達装置50は、両側に配された2つのメインギヤ10をそれぞれ動力伝達状態とする機構として、実質的に同等な2つの機構を有する。以下では、動力伝達装置50のうち、一方のメインギヤ10をメインシャフト2に対して動力伝達状態とする機構についてのみ図示して説明し、他方のメインギヤ10をメインシャフト2に対して動力伝達状態とする機構については、重複説明を避けて説明を省略する。
また、動力伝達装置50は、ドライブ側スリーブ51とコースト側スリーブ52の双方を備えている。双方の何れに対しても、後述する突出部とガード部材は同様に作用するため、ここでは、コースト側スリーブ52については図示および説明を省略する。
図2は、動力伝達装置50の分解斜視図である。図2に示すように、動力伝達装置50は、メインシャフト2に固定されメインシャフト2と一体回転する略円筒状のハブ54を備えている。ハブ54の外周面には、ハブ54の径方向内側に窪み、軸方向に延在する溝54aが、メインシャフト2の周方向(以下、単に周方向と称す)に等間隔に複数形成されている。
ドグギヤ53は、軸方向に貫通する貫通孔53bを有する。そして、ドグギヤ53は、貫通孔53bにメインシャフト2が挿通され、ハブ54に対して軸方向に対向して配置される。また、ドグギヤ53の外周側には、ハブ54側に突出する第2ドグ53aが、周方向(回転方向)に等間隔に複数(ここでは3つ)、配列されている。
また、ドグギヤ53のうちドライブ側スリーブ51に対向する対向面53cには、貫通孔53bよりドグギヤ53の径方向外側であって、第2ドグ53aよりドグギヤ53の径方向内側に、規制部53dが形成されている。規制部53dは、第2ドグ53aのうち、ドグギヤ53の径方向内側の部位に連続して形成され、第2ドグ53aと同程度にハブ54側に突出する。また、規制部53dは、一端から他端まで、ドグギヤ53の周方向に約240度に亘って延在し、3つの第2ドグ53aを連結している。
円筒部53eは、貫通孔53bの外壁の一部をなし、ドグギヤ53の対向面53cからハブ54側に突出する環状の突起である。ドグギヤ53の対向面53cのうち、円筒部53eよりもドグギヤ53の径方向外側かつ第2ドグ53aよりも径方向内側には、可動部材55が設けられる。可動部材55の取付位置は、ドグギヤ53の周方向に隣り合う複数の第2ドグ53aの間のうち、規制部53dが形成されていない部分となっている。
カバー部56は、略U字型の板状部材であって、円筒部53eの外周面の一部を覆うように、ドグギヤ53の対向面53cに取り付けられる。このとき、カバー部56は、ドグギヤ53の対向面53cに取り付けられた可動部材55が外れないように、ドグギヤ53とともに可動部材55を挟持する。
ドライブ側スリーブ51は、環状のリング部51bを有し、リング部51bの中心にハブ54が挿通される。また、ドライブ側スリーブ51は、キー部51cを有する。キー部51cは、ドライブ側スリーブ51のうち、ドグギヤ53に対向する対向面51dに設けられ、リング部51bからリング部51bの径方向内側に突出するとともに、ドグギヤ53に向かって軸方向に延在する。
キー部51cは、周方向(回転方向)に等間隔に複数(ここでは3つ)配列されており、キー部51cの先端には、第2ドグ53aと噛合可能な第1ドグ51aが形成されている。そして、キー部51cは、ハブ54の溝54aに嵌合しており、ドライブ側スリーブ51は、キー部51cがハブ54の溝54aを摺動することで、軸方向に移動する。
3つのキー部51cのうちの1つのキー部51cの先端部には、第1ドグ51aよりドライブ側スリーブ51の径方向内側に、突起部51eが形成されている。突起部51eは、キー部51c(第1ドグ51a)と一体的に設けられており、第1ドグ51aと一体回転する。また、ドグギヤ53の径方向における規制部53dの位置は、ドライブ側スリーブ51の径方向における突起部51eの位置と少なくとも一部が重なる位置関係を有しており、規制部53dは、突起部51eよりも周方向(回転方向)に長く延在している。
ドライブ側スリーブ51の第1ドグ51aと、ドグギヤ53の第2ドグ53aが噛合していない状態では、ドライブ側スリーブ51は、ハブ54とともに、メインシャフト2と一体回転する。一方、ドグギヤ53は、メインシャフト2と相対回転自在となっている。
上述したシフトフォーク5が、ドライブ側スリーブ51をドグギヤ53側に移動させると、ドライブ側スリーブ51の第1ドグ51aが、ドグギヤ53に設けられた複数の第2ドグ53aの周方向の隙間に入る。こうして、ドグギヤ53およびドライブ側スリーブ51が互いに近接する近接方向に相対移動すると、第2ドグ53aおよび第1ドグ51aが噛合して第2ドグ53aと第1ドグ51aが一体回転する動力伝達状態となる。
また、ドグギヤ53およびドライブ側スリーブ51が互いに離隔する離隔方向に相対移動すると、ドグギヤ53およびドライブ側スリーブ51の噛合が解除されて第2ドグ53aと第1ドグ51aが相対回転する切り離し状態となる。
図3は、第1ドグ51aおよび第2ドグ53aの噛み合いを説明するための説明図である。図3(a)に示すように、第2ドグ53aは、ドグギヤ53(メインギヤ10)の回転方向後方側に位置するリーディング面53arを備えている。
そして、第1ドグ51aは、ドグギヤ53側の端部に、第2ドグ53aのリーディング面53arに係合可能なリーディング爪51rを備えている。リーディング爪51rは、リーディング面53arに面接触状態で係合する。一方、第1ドグ52aは、ドグギヤ53側のトレーリング爪52fが、第2ドグ53aのトレーリング面53afに係合可能となっている。トレーリング爪52fは、トレーリング面53afに面接触状態で係合する。
そして、図3(b)に示すように、第1ドグ51a、52aがドグギヤ53側に移動する。例えば、エンジンEによる車両の加速時のアップシフトでは、ドライブ側スリーブ51の第1ドグ51a、コースト側スリーブ52の第1ドグ52aの順に移動する。
そうすると、ドグギヤ53のリーディング面53arと、第1ドグ51aのリーディング爪51rが係合する。これにより、メインシャフト2からカウンタシャフト3へと動力が伝達している状態(加速状態)となる。なお、このとき、ドグギヤ53と第1ドグ52aとは非係合状態に維持されている。
また、エンジンE側の回転モーメントによる車両の減速(所謂、エンジンブレーキ)時のダウンシフトでは、コースト側スリーブ52の第1ドグ52a、ドライブ側スリーブ51の第1ドグ51aの順にドグギヤ53側に移動する。そうすると、図3(c)に示すように、ドグギヤ53のトレーリング面53afと、第1ドグ52aのトレーリング爪52fが係合する。これにより、メインシャフト2からカウンタシャフト3へと、駆動輪側の慣性力を抑える力が伝達している状態(減速状態)となる。なお、このとき、ドグギヤ53と第1ドグ51aとは非係合状態に維持されている。
本実施形態において、「加速」とは、エンジンEの駆動力によって車両が加速する状態をいうものであり、例えば、坂を下るときに、自重によって車両が加速する状態をいうものではない。また、「減速」とは、エンジンブレーキによる車両の減速状態をいうものであり、例えば、坂を上るときに車両が減速する状態をいうものではない。
図4は、比較例の第1ドグDおよび第2ドグDの噛合を説明するための説明図である。ここでは、図4(a)に示すように、第1ドグDの方が第2ドグDよりも高速で回転しているとき、不図示のシフトフォークによってドライブ側スリーブがドグギヤDG側に移動する場合を例に挙げる。
図4(b)に示すように、第1ドグDが第2ドグDに衝突せずにドグギヤDGの本体まで到達すれば、図3(b)に示した状態と同様に、第1ドグDと第2ドグDは、噛み合いが適切になされる。しかし、第1ドグDと第2ドグDの差回転やシフトフォークの移動タイミングによっては、図4(c)に示すように、第1ドグDが第2ドグDの第1ドグD側の面に衝突し、第1ドグDは第2ドグDから弾かれてしまう。
図1に示したシフトフォーク5と同様、比較例のシフトフォークには不図示の電動アクチュエータとの間に弾性部材が介在している。第1ドグDが弾かれると、第1ドグDが弾かれたことによるシフトフォークの変位は、弾性部材の伸縮によって吸収され、弾性部材の反発力によって、再び、第1ドグDがドグギヤDGの本体に向かって移動する。第1ドグDと第2ドグDが噛合するまで、この衝突が繰り返される。
第1ドグDが第2ドグDから弾かれて、第2ドグDと噛合されずに停滞している間、電動アクチュエータはシフトフォークを可動させるように変位し続け、弾性部材によってシフトフォークの可動方向への押圧力が蓄積される。そして、弾性部材の付勢力が徐々に増加し、第1ドグDが第2ドグD側に移動する速度が上昇するため、第1ドグDが第2ドグDに衝突せずにドグギヤDGの本体まで到達し易くなる。それでも、第1ドグDと第2ドグDの差回転やシフトフォークの移動タイミングによっては、図4(d)に示すように、第1ドグDがドグギヤDGの本体に到達する前に第2ドグDと噛合し、浅い噛み合い状態となってしまう。
このように、比較例においては、第1ドグDと第2ドグDが噛合するとき、第1ドグDと第2ドグDが衝突を繰り返して、摩耗や騒音が発生したり、浅い噛み合い状態となって、噛み合い部分に作用する面圧が大きくなったりするといった課題があった。以下、このような課題を解決する本実施形態の動力伝達装置50の構造について詳述する。
図5は、可動部材55およびカバー部56を取り付けたドグギヤ53を対向面53c側から見た正面図である。図5では、第2ドグ53aおよび規制部53dをハッチングで示し、可動部材55をクロスハッチングで示す。図5に示すように、カバー部56をドグギヤ53に取り付けた状態では、可動部材55の下部は、カバー部56によって被覆されており、上側の一部が露出している。
ドグギヤ53の対向面53cには、規制部53dからドグギヤ53の径方向内側に突出する係止部53fが形成されている。係止部53fは、ドグギヤ53の周方向に大凡180度離隔して2つ設けられる。カバー部56には、係止部53fが嵌合する2つの窪み56aが設けられており、ドグギヤ53とカバー部56を軸方向に近接させて、窪み56aに係止部53fを嵌合可能となっている。
カバー部56は、円筒部53eおよび係止部53fによって、ドグギヤ53に対する相対的な動きが規制され、不図示の固定手段によってドグギヤ53に固定される。
図6〜図11は、第1ドグ51aおよび第2ドグ53aの噛み合いにおける規制部53dと可動部材55の作用を説明するための図である。理解を容易とするため、図6〜図11では、カバー部56を除外して、可動部材55が取り付けられたドグギヤ53を示す。また、ドライブ側スリーブ51のうち、第1ドグ51aのみを抽出して示す。
図6(a)は、ドグギヤ53の上面視を示し、図6(b)には、ドグギヤ53を対向面53c側から見た正面図を示す。第1ドグ51aは、図6(b)中、破線の矢印で示すように、ドグギヤ53に対して時計回りに相対回転する。突起部51eは、第1ドグ51aに設けられているため、第1ドグ51aと一体回転する。
上述したように、ドライブ側スリーブ51とドグギヤ53が近接方向に相対移動し、第1ドグ51aが、ドグギヤ53の回転方向に隣り合う第2ドグ53aの間に飛び込むと、第2ドグ53aと第1ドグ51aが噛合する。
規制部53dは、一端53hから他端53iまで、ドグギヤ53の周方向に約240度に亘って延在している。すなわち、規制部53dの一端53hから他端53iまでのドグギヤ53の周方向の対向間隔によって、約120度に亘る切り欠き部53gが形成されることとなる。
突起部51eと規制部53dとが軸方向に対向した状態においては、規制部53dは、ドライブ側スリーブ51とドグギヤ53とが近接方向に相対移動する過程で、第1ドグ51aおよび第2ドグ53aが互いに噛合する前に突起部51eに接触する。そしてドライブ側スリーブ51とドグギヤ53の近接方向への相対移動が規制される。
このように、突起部51eが規制部53dに接触して近接方向への相対移動が規制されるときの、ドグギヤ53に対するドライブ側スリーブ51の回転軸周りの位置の範囲を、図6(b)に範囲Aとして示す。
そして、突起部51eと規制部53dとの接触状態を維持したままドライブ側スリーブ51とドグギヤ53とがさらに相対回転し、突起部51eと規制部53dとが軸方向に非対向(対向していない状態)となる。そうすると、突起部51eと規制部53dとの接触が解除されて、ドライブ側スリーブ51とドグギヤ53とがさらに近接方向に相対移動して、第2ドグ53aの回転軌跡上に第1ドグ51aが進入する。
このとき(突起部51eが図6(b)に示す範囲Bに位置するとき)、可動部材55によって、第1ドグ51aの進入を完了させるか、または、第1ドグ51aの進入を完了させずに、第1ドグ51aを弾くか、機械的に判定される。以下、可動部材55について詳述する。
図6(b)に示すように、ドグギヤ53の対向面53cには、円筒部53eの径方向外側に、ドライブ側スリーブ51側(図6(b)中、手前側)に突出するガイド突起53jが設けられている。可動部材55には、ガイド突起53jに嵌合するガイド溝55aが形成されている。
また、可動部材55は、ドグギヤ53の周方向に延在する2つのアーム55bを有し、両アーム55bの先端には、板バネ57(弾性体)の一端57aが取り付けられている。板バネ57の他端57bは、ドグギヤ53に固定されている。
可動部材55は、図6(b)中、下側に押圧されると、板バネ57を撓ませながら下側にスライドする。また、可動部材55への押圧力が作用しなくなると、板バネ57の付勢力によって、初期位置(図6(b)に示す位置)に戻る。このように、板バネ57は、可動部材55に付勢力を作用させて可動部材55を初期位置に保持する。
ここで、突起部51eが規制部53dに対して軸方向に非対向となる範囲であって、かつ、回転方向に隣り合う2つの第1ドグ51aの対向間隔の範囲を領域Cと称する。初期位置において、可動部材55は、領域Cの範囲内で、第1ドグ51aおよび突起部51eの双方の回転軌跡上に突出する。そのため、初期位置において、可動部材55の突出部分が、ドライブ側スリーブ51とドグギヤ53の相対回転に伴って、第1ドグ51aと接触することとなる。
可動部材55のうち、第1ドグ51aと接触する突出部分には、テーパ部が形成される。テーパ部は、第1テーパ面55cと第2テーパ面55dで構成され、それぞれ2つずつ形成される。可動部材55は、図6(a)、(b)中、左右対称の構造となっており、ドライブ側スリーブ51の第1ドグ51aが、ドグギヤ53の第2ドグ53aと噛合するとき、および、コースト側スリーブ52の第1ドグ52aが、ドグギヤ53の第2ドグ53aと噛合するときのいずれの場合でも機能する。
具体的には、図6(b)中、左側の第1テーパ面55cおよび第2テーパ面55dは、ドライブ側スリーブ51の第1ドグ51aと第2ドグ53aの噛合に用いられる。また、例えば、図6(b)中、右側の第1テーパ面55cおよび第2テーパ面55dは、ドライブ側スリーブ51の第1ドグ51aと第2ドグ53aの噛合に用いられる。いずれの場合も、規制部53dと可動部材55の実質的な作用は等しいため、以下では、ドライブ側スリーブ51の第1ドグ51aと第2ドグ53aの噛合について詳述する。
第1テーパ面55cは、可動部材55に対する第1ドグ51aおよび突起部51eの回転方向前方側が後方側よりも、ドグギヤ53の径方向外側に位置する。例えば、図6(b)中、左側の第1テーパ面55cは、図6(b)に示すように、右上がりの傾斜となる。
第2テーパ面55dは、第1テーパ面55cよりもドライブ側スリーブ51側(図6(b)の紙面手前側)に位置し、第1ドグ51aおよび突起部51eの回転方向前方側が後方側よりもドライブ側スリーブ51側に近接する向きに傾斜している。例えば、図6(b)中、左側の第2テーパ面55dは、図6(a)に示すように、右下がりの傾斜となる。
第1ドグ51aは、図6(b)に示す位置から図7(b)に示す位置までドグギヤ53に対して相対回転すると、図7(b)に示すように、範囲Bに到達し、ドライブ側スリーブ51とドグギヤ53とがさらに近接方向に相対移動可能となる。そして、図7(a)、(b)に示すように、第2ドグ53aの回転軌跡上に第1ドグ51aが進入する。
そして、図8(b)に示すように、第1ドグ51aが可動部材55に接触する。このとき、第2ドグ53aに対する第1ドグ51aの軸方向の進入量が一定量以上確保されていない状態で、第1ドグ51aが初期位置にある可動部材55に接触したとする。この場合、図9(a)に示すように、可動部材55によって第1ドグ51aが離隔方向(図9(a)中、下方向)に導かれて、第2ドグ53aが第1ドグ51aの回転軌跡上から退出する。
すなわち、第2ドグ53aに対する第1ドグ51aの軸方向の進入量が不足している場合、第1ドグ51aが第2テーパ面55dに接触し、第2テーパ面55dの傾斜に沿って、図9(a)中、下方向に突起部51eつまり第1ドグ51aが押し戻される。換言すれば、第1ドグ51aが、可動部材55によって、離隔方向に導かれることとなる。
その後、第1ドグ51aは、図9(b)に示す位置から、ドグギヤ53に対してさらに相対回転し、可動部材55より第1ドグ51aの回転方向前方側に位置する第2ドグ53aに至る。第1ドグ51aは、可動部材55によって離隔方向に導かれた後も、シフトフォーク5を介して近接方向に弾性部材7の付勢力が作用している。そのため、第1ドグ51aは、ドグギヤ53に対して相対回転して可動部材55から離隔すると、可動部材55から第2ドグ53aに到達するまでに、再び、第2ドグ53aの回転軌跡上に進入し始める(再進入)。しかし、一旦、第1ドグ51aが押し戻された後であって、かつ、可動部材55と第2ドグ53aとの間隔(ストローク)が短いため、第1ドグ51aの進入量は極めて小さい。
ここで、可動部材55と第2ドグ53aとの間隔(ストローク)を極端に短くすれば、第1ドグ51aによる、上述した第2ドグ53aへの再進入を回避できる。しかし、可動部材55は、ドライブ側スリーブ51の第1ドグ51aが、ドグギヤ53の第2ドグ53aと噛合するとき、および、コースト側スリーブ52の第1ドグ52aが、ドグギヤ53の第2ドグ53aと噛合するときのいずれの場合でも機能する。そのため、ドライブ側スリーブ51の第1ドグ51a、および、コースト側スリーブ52の第1ドグ52aのいずれについても、ドグギヤ53の第2ドグ53aとの噛合を可能とするため、可動部材55と第2ドグ53aとの間隔(ストローク)は、一定量設けている。
その結果、第1ドグ51aによる第2ドグ53aへの再進入は僅かながら発生する。そこで、可動部材55より第1ドグ51aの回転方向前方側に位置する第2ドグ53aには、図10に示すように、面取り部53aが形成されている。第2ドグ53aには、第1ドグ51aの回転方向後方側に第1ドグ51aと噛合する噛合面53aが位置しており、面取り部53aは噛合面53aのドライブ側スリーブ51側の端に形成されている。面取り部53aは、第2ドグ53aのうち、回転方向の中央側から噛合面53aに向かうにしたがって、ドグギヤ53の対向面53cに近接する向きに傾斜している。
面取り部53aが形成されていることから、第1ドグ51aは、第2ドグ53aに対して軸方向に僅かに進入していても、面取り部53aによって押し戻される。そのため、第1ドグ51aと第2ドグ53aとの浅い噛み合いを回避することが可能となる。
また、可動部材55より第1ドグ52aの回転方向前方側(第1ドグ51aの回転方向後方側)に位置する第2ドグ53aにも、面取り部53aが形成されている。ここでは、ドライブ側スリーブ51の第1ドグ51aが、ドグギヤ53の第2ドグ53aと噛合する場合について説明しているため、詳しい説明は省略する。
こうして、第1ドグ51aは、第2ドグ53aと噛合することなく、可動部材55より回転方向後方側に位置する第2ドグ53aを通過する。
また、範囲Bにおいて、図8(b)に示すように、第1ドグ51aが可動部材55に接触するとき、第2ドグ53aに対する第1ドグ51aの軸方向の進入量が一定量以上確保された状態で、可動部材55が第1ドグ51aに接触したとする。
この場合、第1ドグ51aは、第2テーパ面55dに接触せず、第1テーパ面55cに接触する。これにより、図11に白抜き矢印で示すように、可動部材55は、第1ドグ51aによってドグギヤ53の径方向内側に押圧されて、第1ドグ51aの回転軌跡上から退避する退避位置に退避する。
その後、第1ドグ51aは、さらに第2ドグ53aに対して軸方向に進入しつつ、第2ドグ53aに対して相対回転し、第2ドグ53aと噛合することとなる。また、可動部材55は、第1ドグ51aが通過すると初期位置に復帰する。
上述した実施形態では、エンジンEによる車両の加速時、シフトフォーク5によって、ドライブ側スリーブ51がドグギヤ53に向かって移動し、ドライブ側スリーブ51の第1ドグ51aが、ドグギヤ53の第2ドグ53aと噛合するまでの動きを例に挙げて説明した。しかし、エンジンブレーキ時、シフトフォーク5によって、コースト側スリーブ52がドグギヤ53に向かって移動し、コースト側スリーブ52の第1ドグ52aが、ドグギヤ53の第2ドグ53aと噛合するときも、動力伝達装置50は同様に機能する。
上述したように、可動部材55は左右対称の構造で、ドライブ側スリーブ51の第1ドグ51aが、ドグギヤ53の第2ドグ53aと噛合するとき、および、コースト側スリーブ52の第1ドグ52aが、ドグギヤ53の第2ドグ53aと噛合するときのいずれの場合でも機能する。そのため、それぞれの場合に分けて可動部材55を2つ設ける場合に比べて部品点数を抑えることが可能となる。また、可動部品の数も抑えられて故障し難くなる。
上述したように、第1ドグ51aが範囲Aに位置する間、第1ドグ51aの第2ドグ53a側への飛び込みが規制される。そのため、第1ドグ51aと第2ドグ53aの衝突の頻度が低減される。この間に、上述した弾性部材7によってシフトフォーク5の可動方向への押圧力が蓄積され、弾性部材7の付勢力が徐々に増加している。その結果、範囲Bに到達した後、第2ドグ53aと第1ドグ51aが十分な深さで噛み合う位置まで移動し易くなる。
また、上述したように、突起部51eが規制部53dに対して軸方向に非対向となる範囲にある場合に、第2ドグ53aに対する第1ドグ51aの軸方向の進入量が一定量以上確保され、第1ドグ51aが初期位置にある可動部材55に接触したとする。そうすると、可動部材55が第1ドグ51aによって退避位置に退避され、第1ドグ51aと第2ドグ53aとが噛合する。一方、第2ドグ53aに対する第1ドグ51aの軸方向の進入量が一定量以上確保されていない状態で、第1ドグ51aが初期位置にある可動部材55に接触したとする。この場合、可動部材55によって第1ドグ51aが離隔方向に導かれて、第2ドグ53aが第1ドグ51aの回転軌跡上から退出する。
このように、可動部材55によって、第2ドグ53aに対する第1ドグ51aの軸方向の進入量が機械的に判断され、進入量が不十分である場合には、可動部材55は、第1ドグ51aを押し戻す。そのため、第1ドグ51aと第2ドグ53aとの衝突が抑制されるとともに、第1ドグ51aと第2ドグ53aが浅い噛み合い状態となることはない。こうして、動力伝達装置50は、摩耗や騒音の発生を抑えつつ、ドグの噛み合いを適切に遂行することが可能となる。
また、突起部51eが規制部53dに接触することなく、上述した範囲Bから第1ドグ51aが第2ドグ53aの回転軌跡上に進入したり、範囲Bの手前で初めて規制部53dに接触した後、第1ドグ51aが第2ドグ53aの回転軌跡に進入したりする場合がある。このような場合であっても、可動部材55は、第2ドグ53aに対する第1ドグ51aの軸方向の進入量が一定量以上確保されていなければ、第1ドグ51aを離隔方向に導き、第2ドグ53aが第1ドグ51aの回転軌跡上から退出する。そのため、第1ドグ51aと第2ドグ53aが浅い噛み合い状態となる事態を回避することが可能となる。
上述した実施形態では、電動アクチュエータ6によってシフトフォーク5が可動する場合について説明したが、電動アクチュエータ6の代わりに、手動で駆動されるシフトレバーによってシフトフォーク5が可動する構成であってもよい。
また、上述した実施形態では、突起部51eは第1ドグ51aよりもドライブ側スリーブ51の径方向内側に設けられ、可動部材55は第2ドグ53aよりもドグギヤ53の径方向内側に設けられる場合について説明した。しかし、突起部51eは第1ドグ51aよりもドライブ側スリーブ51の径方向外側に設けられ、可動部材55は第2ドグ53aよりもドグギヤ53の径方向外側に設けられてもよい。
また、上述した実施形態では、突起部51eと一体回転する第1回転体がドライブ側スリーブ51で構成され、規制部53dおよび可動部材55と一体回転する第2回転体がドグギヤ53で構成される場合について説明した。しかし、突起部51eと一体回転する第1回転体がドグギヤ53で構成され、規制部53dおよび可動部材55と一体回転する第2回転体がドライブ側スリーブ51で構成されてもよい。
また、上述した実施形態では、突起部51eが規制部53dに対して軸方向に非対向となる範囲にある場合に、第2ドグ53aに対する第1ドグ51aの軸方向の進入量が一定量以上確保されていない状態で、第1ドグ51aが初期位置にある可動部材55に接触すると、可動部材55によって第1ドグ51aが離隔方向に導かれて、第1ドグ51aが第2ドグ53aの回転軌跡上から退出する。そして、突起部51eが規制部53dに対して軸方向に非対向となる範囲にある場合に、第2ドグ53aに対する第1ドグ51aの軸方向の進入量が一定量以上確保された状態で、第1ドグ51aが初期位置にある可動部材55に接触すると、可動部材55が第1ドグ51aによって退避位置に退避される場合について説明した。
しかし、第1ドグ51aの代わりに突起部51eが可動部材55に接触してもよい。すなわち、突起部51eが規制部53dに対して軸方向に非対向となる範囲にある場合に、第2ドグ53aに対する第1ドグ51aの軸方向の進入量が一定量以上確保されていない状態で、突起部51eが初期位置にある可動部材55に接触すると、可動部材55によって突起部51eが離隔方向に導かれて、突起部51eが第2ドグ53aの回転軌跡上から退出する。そして、突起部51eが規制部53dに対して軸方向に非対向となる範囲にある場合に、第2ドグ53aに対する第1ドグ51aの軸方向の進入量が一定量以上確保された状態で、突起部51eが初期位置にある可動部材55に接触すると、可動部材55が突起部51eによって退避位置に退避されてもよい。
また、上述した実施形態では、可動部材55は、初期位置において、第1ドグ51aおよび突起部51eの双方の回転軌跡上に突出する場合について説明したが、第1ドグ51aおよび突起部51eのいずれか一方の回転軌跡上に突出してもよい。
以上、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例又は修正例についても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
本発明は、主に車両の変速機に用いられる動力伝達装置に利用できる。
50、50a、50b 動力伝達装置
51 ドライブ側スリーブ(第1回転体、スリーブ)
51a 第1ドグ
51d 対向面
51e 突起部
52 コースト側スリーブ(第1回転体、スリーブ)
52a 第1ドグ
53 ドグギヤ(第2回転体)
53a 第2ドグ
53c 対向面
53d 規制部
53h 一端
53i 他端
55 可動部材
55c 第1テーパ面
55d 第2テーパ面
57 板バネ(弾性体)

Claims (6)

  1. 複数の第1ドグが回転方向に配列された第1回転体と、
    前記第1回転体と同軸上に設けられ、前記第1ドグに噛合可能な複数の第2ドグが回転方向に配列された第2回転体と、
    を備え、
    前記第1回転体および前記第2回転体が回転軸方向に近接する近接方向に相対移動すると、前記第1ドグおよび前記第2ドグが噛合して該第1回転体と該第2回転体とが一体回転する動力伝達状態となり、該第1回転体および該第2回転体が回転軸方向に離隔する離隔方向に相対移動すると、該第1ドグおよび該第2ドグの噛合が解除されて該第1回転体と該第2回転体とが相対回転する切り離し状態となる動力伝達装置であって、
    前記第1ドグよりも前記第1回転体の径方向の内側もしくは外側に設けられ、該第1回転体と一体回転する突起部と、
    前記突起部と接触可能に前記第2回転体に設けられ、一端から他端まで回転方向に延在するとともに、該突起部よりも回転方向に長さを有し、前記第1回転体と該第2回転体とが近接方向に相対移動する過程において、前記第1ドグおよび前記第2ドグが互いに噛合する前に該突起部に接触する規制部と、
    前記第2回転体に設けられ、前記突起部が前記規制部に対して回転軸方向に非対向となり、かつ、回転方向に隣り合う2つの前記第2ドグの対向間隔の範囲内で、前記第1ドグおよび該突起部いずれか一方または双方の回転軌跡上に突出する初期位置と、該突起部の回転軌跡上から退避した退避位置との間を可動する可動部材と、
    を備え、
    前記突起部と前記規制部とが回転軸方向に対向した状態で前記第1回転体と前記第2回転体とが近接方向に相対移動すると、該突起部が該規制部に接触して該近接方向への相対移動が規制されるとともに、該突起部と該規制部との接触状態を維持したまま該第1回転体と該第2回転体とがさらに相対回転し、該突起部と該規制部とが回転軸方向に非対向となると、該突起部と該規制部との接触が解除されて、該第1回転体と該第2回転体とがさらに近接方向に相対移動して、前記第2ドグの回転軌跡上に前記第1ドグが進入し、
    前記突起部が前記規制部に対して回転軸方向に非対向となる範囲にある場合に、前記第2ドグに対する前記第1ドグの回転軸方向の進入量が一定量以上確保されていない状態で、該第1ドグまたは該突起部が前記初期位置にある前記可動部材に接触すると、該可動部材によって該第1ドグまたは該突起部が前記離隔方向に導かれて、該第1ドグが該第2ドグの回転軌跡上から退出し、
    前記突起部が前記規制部に対して回転軸方向に非対向となる範囲にある場合に、前記第2ドグに対する前記第1ドグの回転軸方向の進入量が一定量以上確保された状態で、該第1ドグまたは該突起部が前記初期位置にある前記可動部材に接触すると、該可動部材が該第1ドグまたは該突起部によって前記退避位置に退避され、該第1ドグと該第2ドグとが噛合することを特徴とする動力伝達装置。
  2. 前記突起部は、複数の前記第1ドグのうち、いずれか1つに一体的に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
  3. 前記第1ドグは前記第1回転体のうち前記第2回転体に対向する対向面に設けられるとともに、該第1ドグよりも該第1回転体の径方向の内側に前記突起部が設けられ、
    前記第2ドグは前記第2回転体のうち前記第1回転体に対向する対向面に設けられるとともに、該第2ドグよりも該第2回転体の径方向の内側に前記可動部材が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の動力伝達装置。
  4. 前記第2回転体には、前記可動部材に付勢力を作用させて該可動部材を前記初期位置に保持する弾性体が設けられ、
    前記可動部材は、
    前記第2ドグに対する前記第1ドグの回転軸方向の進入量が一定量以上確保された状態で該第1ドグまたは前記突起部に接触すると、該第1ドグまたは該突起部によって前記第2回転体の径方向内側に押圧されて前記退避位置に退避することを特徴とする請求項3に記載の動力伝達装置。
  5. 前記可動部材のうち、前記初期位置において前記第1ドグまたは前記突起部に接触する部分にはテーパ部が形成され、
    前記テーパ部は、
    前記可動部材に対する前記第1ドグまたは前記突起部の回転方向前方側が後方側よりも、前記第2回転体の径方向外側に位置する第1テーパ面と、該第1テーパ面よりも前記第1回転体側に位置し、該第1ドグまたは該突起部の回転方向前方側が後方側よりも該第1回転体側に近接する向きに傾斜する第2テーパ面と、を備えていることを特徴とする請求項3または4に記載の動力伝達装置。
  6. 回転軸に固定されるハブと、
    前記第1回転体を構成し、前記ハブと一体回転するとともに回転軸方向に移動自在に該ハブに組み付けられ、前記第1ドグおよび前記突起部が形成されたスリーブと、
    前記第2回転体を構成し、前記第2ドグ、前記規制部、および、前記可動部材が設けられたドグギヤと、
    を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の動力伝達装置。
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