以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明で用いる図は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
≪第1実施形態≫
図1は本発明の第1実施形態に係る導体層付き構造体を示す透視斜視図、図2は本発明の第1実施形態に係る第1の配線体を示す透視平面図、図3は図2のIII-III線に沿った断面図、図4は本発明の第1実施形態に係る第2の配線体を示す背面図、図5は図1のV-V線に沿った断面図、図6は図1のVI-VI線に沿った断面図である。
本実施形態の導体層付き構造体1は、たとえば、タッチパネルやタッチパッドなどのタッチ入力装置として用いられ、図1に示すように、カバーパネル2と、配線体アセンブリ3と、を備えている。本実施形態における「導体層付き構造体1」が本発明における「導体層付き構造体」の一例に相当する。
カバーパネル2は、第1の配線体3等に汚れ、傷つき、変色等が生じるのを防止する観点から設けられるものである。カバーパネル2を構成する材料としては、たとえば、ソーダライムガラスやホウケイ酸ガラス等のガラス材料、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)等の樹脂材料を用いることができるが、90%以上の全光線透過率を有する材料が好ましい。
カバーパネル2は、図1に示すように、可視光線を透過することが可能な透明部21と、可視光線を遮蔽する遮蔽部22と、を有している。遮蔽部22は、カバーパネル2の裏面に、たとえば、黒色のインクを塗布することで形成されている。また、カバーパネル2の裏面の略中央の矩形領域には、黒色のインクが塗布されておらず、これにより、可視光線を透過する透明部21が形成されている。すなわち、遮蔽部22は、平面視において、透明部21を包囲する額縁状に形成されている。
透明部21は、第1の網目状電極層61(後述)に対応して、平面視においてこれと重なるように配置されている。遮蔽部22は、第1の網目状電極層61に対応する領域以外の領域に形成されており、これにより、第1の引き出し配線66(後述)や第1の端子部67(後述)を視認できないようにしている。本実施形態における「カバーパネル2」が本発明における「支持体」の一例に相当する。
配線体アセンブリ3は、第1の配線体4と、第2の配線体10と、接続体11と、を備えている。本実施形態における「配線体アセンブリ3」が本発明における「配線体アセンブリ」の一例に相当する。
第1の配線体4は、図2及び図3に示すように、第1の樹脂層5と、第1の導体層6と、第2の樹脂層7と、を備えている。本実施形態における「第1の配線体4」が本発明における「第1の配線体」の一例に相当し、本実施形態における「第1の導体層6」が本発明における「第1の導体層」の一例に相当し、本実施形態における「第2の樹脂層7」が本発明における「第2の樹脂層」の一例に相当する。なお、図2においては、導体層付き構造体1の構造を理解し易くするため、第2の樹脂層7の図示を省略し、第1の導体層6を実線で表示する。
第1の樹脂層5は、透明性を有する材料により構成されており、たとえば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等のUV硬化性樹脂、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂等を用いることができる。
この第1の樹脂層5は、図3に示すように、略一定の厚さで設けられた平坦部51と、当該平坦部51上に形成された支持部52と、から構成されている。支持部52は、平坦部51と第1の導体層6の間に形成されており、平坦部51から離れる方向(図3中上側方向)に向かって突出するように形成されている。
この第1の樹脂層5は、支持部52の上面(図3中上側の面)において、第1の導体層6と接している。この支持部52は、短手方向断面視において、平坦部51から離れるにしたがって、相互に接近するように傾斜する直線状とされた2つの側面を有している。なお、ここでいう短手方向断面視とは、支持部52と接する第1の導体層6を構成する第1の導体線52(後述)の短手方向に沿った断面を示す。
第1の導体層6は、図2に示すように、第1の網目状電極層61と、第1の引き出し配線66と、第1の端子部67と、を有している。本実施形態では、3つの第1の網目状電極層61が、それぞれY方向に沿って略平行に延在している。
第1の導体層6は、導電性粉末とバインダ樹脂とから構成されている。この第1の導体層6では、バインダ樹脂中に導電性粉末が略均一に分散して存在しており、この導電性粉末同士が相互に接触することで、当該第1の導体層6に導電性が付与される。
このような第1の導体層6を構成する導電性粉末としては、銀、銅、ニッケル、スズ、ビスマス、亜鉛、インジウム、パラジウムなどの金属や、グラファイト等を挙げることができる。なお、導電性粉末の他に、上述の金属の塩である金属塩を用いてもよい。
第1の導体層6を構成するバインダ樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等を例示することができる。なお、第1の導体層6を構成する材料からバインダ樹脂を省略してもよい。
第1の網目状電極層61は、図2の拡大図に示すように、導電性を有する複数の第1の導体線62a,62bを交差させて構成されており、その全体として、四角形状とされた複数の網目が繰り返し配列された形状を有している。なお、以下の説明では、必要に応じて「第1の導体線62a」及び「第1の導体線62b」を「第1の導体線62」と総称する。
本実施形態の第1の導体線62の外形は、図3に示すように、接触面63と、頂面64と、2つの側面65,65と、から構成されている。接触面63は、第1の樹脂層5と接触している面である。本実施形態の第1の網目状電極層61は、第1の樹脂層5(具体的には、支持部52)に支持されるものであるが、この場合、接触面63が頂面64に対して第1の樹脂層5側に位置する面となる。また、接触面63は、短手方向断面において、微細な凹凸からなる凹凸状の面となっている。
一方、頂面64は、接触面63の反対側に位置する面であり、接触面63に比べて平坦な面となっている。この頂面64は、第1の樹脂層5の下方の面(図3中下側の面)と実質的に平行な方向に延在している。
側面65,65は、短手方向断面視において、第1の樹脂層5から離れるにしたがって、相互に接近するように傾斜する直線状とされた面である。また、本実施形態では、側面65,65は、短手方向断面視において、接触する第1の樹脂層5の支持部52と連続的になっている。
本実施形態における第1の網目状電極層61の接触面63の面粗さは、当該第1の網目状電極層61と第1の樹脂層5とを強固に固定する観点から、頂面64の面粗さに対して相対的に粗いことが好ましい。具体的には、接触面63の面粗さRaが0.1〜3.0μm程度であるのに対し、頂面64の面粗さRaは0.001〜1.0μm程度となっていることが好ましく、当該頂面64の面粗さRaが0.001〜0.3μmであることがさらにより好ましい。なお、このような面粗さは、JIS法(JIS B0601(2013年3月21日改正))により測定することができる。
このような第1の導体線62の幅としては、100nm〜100μmが好ましく、500nm〜10μm以下であることさらに好ましく、500nm〜5μm以下であることがより好ましい。また、第1の導体線52の高さ(すなわち、第1の導体層6の高さ)としては、100nm〜300μmであることが好ましく、1μm〜50μmであることがより好ましい。
本実施形態の第1の網目状電極層61では、図2に示すように、上述の第1の導体線62が、以下のように配設されている。第1の導体線62aは、X方向に対して+45°に傾斜した方向(以下、単に「第1の方向」とも称する。)に沿って直線状に延在しており、当該複数の第1の導体線62aは、この第1の方向に対して実質的に直交する方向(以下、単に「第2の方向」とも称する。)に等ピッチP1で並べられている。
これに対し、第1の導体線62bは、第2の方向に沿って直線状に延在しており、当該複数の第1の導体線62bは、第1の方向に等ピッチP2で並べられている。そして、これら第1の導体線62a,62bが相互に直交することで、四角形状(菱型状)の網目が繰り返し配列された第1の網目状電極層61が形成されている。なお、本明細書において、ピッチとは中心間距離のことを示す。
因みに、第1の網目状電極層61の構成は、特に上述に限定されない。たとえば、本実施形態では、第1の導体線62aのピッチP1と第1の導体線62bのピッチP2とを実質的に同一としているが(P1=P2)、特にこれに限定されず、第1の導体線62aのピッチP1と第1の導体線62bのピッチP2とを異ならせてもよい(P1≠P2)。また、本実施形態では、第1及び第2の導体線62の延在方向は、特に上述に限定されず、任意とすることができる。
また、第1の網目状電極層61としては、種々の図形単位を繰り返して得られる幾何学模様を、網目の形状として用いることができる。たとえば、網目の形状が、正三角形、二等辺三角形、直角三角形等の三角形でもよいし、長方形、正方形、ひし形、平行四辺形、台形等の四角形でもよい。また、網目の形状が、六角形、八角形、十二角形、二十角形等のn角形や、円、楕円、星型等でもよい。
また、本実施形態では、第1の導体線62は、直線状とされているが、特にこれに限定されず、たとえば、曲線状、馬蹄状、ジグザグ線状等にしてもよい。
第1の引き出し配線66は、図2に示すように、第1の網目状電極層61に対応して設けられており、本実施形態では、3つの第1の網目状電極層61に対して3つの第1の引き出し配線66が形成されている。この第1の引き出し配線66は、一方端部側で引出部661を介して第1の網目状電極層61における図中の−Y方向側から引き出されている。この第1の引き出し配線66は、第1の網目状電極層61と一体的に形成されている。
この「一体的に」とは、部材同士が分離しておらず、且つ、同一材料(同一粒径の導電性粒子、バインダ樹脂等)により一体の構造体として形成されていることを意味する。なお、第1の網目状電極層61の外縁において、引出部661が設けられる位置は特に限定されない。また、本実施形態では、第1の引き出し配線66は引出部661を介して第1の網目状電極層61と接続されているが、特にこれに限定されず、第1の引き出し配線66と第1の網目状電極層61を直接接続してもよい。
本実施形態の第1の引き出し配線66は、第1の網目状電極層61と同様、導電性を有する複数の導体線を相互に交差させて構成されている(図示は省略する。)。そのため、図5では、第1の引き出し配線66が、その延在方向(ここでは、Y方向)において分割されて表されている。
この場合、第1の引き出し配線66を構成する導体線は、第1の網目状電極層61を構成する第1の導体線62に比べて、当該導体線の幅が大きくなっていることが好ましい。このような第1の引き出し配線66を構成する導体線の幅としては、1μm〜500μmであることが好ましく、3μm〜100μmであることがより好ましく、5〜20μmであることがさらに好ましい。なお、第1の引き出し配線66を構成する導体線の高さとしては、第1の導体線62と同様の寸法であることが好ましい。また、第1の引き出し配線66を構成する導体線のピッチは、第1の網目状電極層61を構成する第1の導体線62のピッチに比べて、狭いことが好ましい。
因みに、第1の引き出し配線66の構成としては、特に網目状に限定されず、一の導体線により構成してもよいし、複数の導体線を交差させることなく配設して構成してもよい。
それぞれの第1の引き出し配線66の他方端部側には、図2に示すように、第1の端子部67(合計して、3つ)が形成されている。第1の端子部67は、第1の引き出し配線66と同様、第1の網目状電極層61と一体的に形成されている。この第1の端子部67は、Y方向に沿って延在しており、第1の引き出し配線66と接続される側と反対側の先端が第1の配線体4の−Y方向側の外縁付近まで引き延ばされている。複数の第1の端子部67は、相互にX方向に沿って並んで配置されている。本実施形態では、第2の配線体10と接続し易くするため、第1の配線体4のX方向における中心付近に、3つの第1の端子部67が集合されている。本実施形態における「第1の端子部67」が本発明における「第1の端子部」の一例に相当する。
なお、本実施形態では、第1の端子部67を、一様にベタパターンとされたY方向に延在する略矩形状に形成しているが、特にこれに限定されず、第1の網目状電極層61や第1の引き出し配線66と同様、複数の導体線により網目状に構成されていてもよい。
第2の樹脂層7は、図3に示すように、上述した第1の樹脂層5を構成する材料と同様の材料により構成されており、第1の導体層6を外部から保護する保護層としての機能を有する。この第2の樹脂層7は、第1の導体層6が間に介在するように第1の樹脂層5上に積層されている。なお、本実施形態のようにタッチパネルの部品として用いられる場合では、第1の配線体4を構成する第1及び第2の樹脂層5,7が透明性を有する材料により構成されるが、当該第2の樹脂層7により第1の導体層6を覆うことで、第1の配線体4の表面での光の散乱等の発生を抑えることもできる。
本実施形態では、第1の樹脂層5の厚さT1と、第2の樹脂層7の厚さT2とは、下記(4)式の関係が成立するように設定されている(図3及び図5参照)。
T1<T2・・・(4)
但し、本実施形態では、上記(4)式のT1は第1の樹脂層5の平坦部51の厚さであり、T2は第2の樹脂層7の主部71の厚さである。なお、第1の樹脂層5の厚さT1としては、1μm〜300μmであることが好ましく、第2の樹脂層7の厚さT2としては、40〜1000μmであることが好ましい。
第2の配線体10は、図1及び図4に示すようなテール部であり、第1の配線体4と外部回路(不図示)とを電気的に接続する機能を有するフレキシブルプリント基板である。この第2の配線体10は、基材101と、当該基材101に設けられた接続端子110と、を有している。
本実施形態の基材101は、図4及び図6に示すように、相互に略平行な上面102と下面103を有する矩形状の板状部材である。このような基材101は、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)や、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド樹脂(PI)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI)等からなるフィルム材料から構成することができる。基材101の厚さとしては、特に限定しないが、たとえば、1μm〜100μmであることが好ましい。
第2の配線体10では、図4に示すように、基材101の下面103上に、第1の端子部67に対応する数(本実施形態では、3つ)の接続端子110が設けられている。接続端子110としては、特に限定されず、たとえば、上述した第1の導体層6を構成する材料と同様の材料を用いることができる。なお、第2の配線体10は、フレキシブルプリント基板に限定されず、たとえば、基材101上に接続端子110として設けられた電解銅箔や圧延銅箔を接合したものを用いてもよい。このような接続端子110としては、電気的抵抗を低減する観点から、断面積が大きくすることが好ましいが、その厚みが過剰となると配線体アセンブリ3の薄型化を阻害するので、本実施形態では、当該接続端子110の厚さを0.5〜50μm程度としている。
それぞれの接続端子110は、図6に示すように、同数設けられた第1の端子部67のそれぞれと対となすように対応して配置されている。本実施形態では、第1の端子部67が第1の樹脂層5側に位置すると共に、接続端子110(第2の配線体10)が第2の樹脂層7側に位置するように、これらが接続体11を介して対向している。
接続体11は、第1及び第2の配線体4,10を相互に電気的に接続すると共に、第2の配線体10を第1の配線体4に機械的に接合する機能を有している。このような接続体11としては、異方導電性材料を用いることができる。異方性導電性材料の具体例としては、異方導電性フィルム(Anisotropic Conductive Film,ACF)や異方導電性ペースト(Anisotropic Conductive Paste,ACP)等を例示することができる。なお、接続体11としては、特に上述に限定されず、たとえば、銀ペーストや半田ペースト等の金属ペーストを用いてもよい。
本実施形態の接続体11は、図5及び図6に示すように、第1の配線体4のうち第1の端子部67を含む領域に積層されており、複数の第1の端子部67を一体的に被覆している。導電性を有する接続体11が接続端子110と第1の端子部67との間に介在することで、これらの電気的な接続が図られる。また、接続体11と接続端子110とが接合すると共に、当該接続体11と第1の端子部67とが接合することで、接続体11を介して第1及び第2の配線体4,10が機械的に接合される。
本実施形態では、3つの対をなす第1の端子部67及び接続端子110を一括して接続体11により覆っているが、当該接続体11が異方性導電性材料であるため、加圧された方向(ここでは、Z方向)において、相互に対向する対をなす第1の端子部67及び接続端子110以外は導通しないようになっている。接続体として金属ペーストを用いる場合は、それぞれの対をなす第1の端子部及び接続端子の間ごとに当該接続体を配置する。なお、接続体11を介して相互に対向する第1の端子部67と接続端子110との間の距離(すなわち、第1の端子部67と接続端子110との間に介在する接続体11の厚さ)は、特に限定しないが、1〜30μm程度となっている。
ここで、第1及び第2の配線体4,10の接続構造について、さらに詳しく説明する。本実施形態では、平面視において第2の配線体10の先端が第1の配線体4に重なるように配置されており、第2の配線体10の先端が第2の樹脂層7に埋設されている(図1及び図5参照)。
この場合、第2の樹脂層7は、図5及び図6に示すように、第1の網目状電極層61や第1の引き出し配線66を覆う主部71と、第2の配線体10の上方を覆う被覆部72と、により構成される。被覆部72は、主部71と一体的に形成されている。
本実施形態の被覆部72は、第1及び第2の樹脂層5,7の間に第2の配線体10が介在するように、当該第2の配線体10を覆っている。被覆部72は、Z方向に所定の厚みをもって形成され、第1の配線体4の外部に露出する上面721と、当該上面の反対側の下面722と、を有している。被覆部72の下面722は、基材101の上面102と密接しており、これにより、第2の樹脂層7と基材101とが強固に接合されている。
第2の樹脂層7の主部71は、第1の配線体4の外部に露出する上面711を有し、この上面711は、被覆部72の上面721と滑らかに連続的に形成されている。この上面711,721によって、被覆部72を含む第2の樹脂層7の略全体において平坦に延在する平坦面73が構成されている。本実施形態では、この平坦面73が第1の配線体4の上面41を形成している。本実施形態における「被覆部72」が本発明における「第1の被覆部」の一例に相当し、本実施形態における「平坦面73」が本発明における「第1の面」の一例に相当する。
このような被覆部72の厚さT21としては、下記(5)式が成立するように設定されていることが好ましい(図5参照)。
5μm≦T21≦1000μm・・・(5)
なお、被覆部72の厚さT21が上記(5)式の下限値未満であると、第1及び第2の配線体4,10の接合破壊を生じるおそれがある。一方、被覆部72の厚さT21が上記(5)式の上限値超であると、第1の配線体4が厚くなって、当該第1の配線体4の薄型化を阻害する。また、被覆部72の厚さT21としては、応力の集中するのを抑えるため、ほぼ均一となっていることが好ましく、この場合は、当該被覆部72の両面721,722を略平行(すなわち、第2の配線体10を略水平に配置する。)に形成するとよい。
また、被覆部72の厚さT21と、第2の樹脂層7の厚さT2から被覆部72の厚さT21を減じた部分の厚さT22とは、下記(6)式の関係が成立するように設定されていることが好ましい(図5参照)。
T22≧T21・・・(6)
なお、本実施形態において、上記(6)式のT22は第1及び第2の樹脂層5,7の界面から被覆部72の下面722と基材101の上面102との界面までの距離である。
また、本実施形態のように第2の配線体10の先端を第2の樹脂層7に埋設すると、基材101の上面102に限らず、当該基材101の下面103及び側面104も第2の樹脂層7によって覆われる(図6参照)。導体層付き構造体1においては、第2の配線体10が被覆部72を含む第2の樹脂層7によって挟持されることで、第1及び第2の配線体4,10の接合がより強固となる。また、第2の樹脂層7が基材101の側面104を覆うことで、第2の配線体10が揺れ動くのを抑えている。
また、図5に示すように、第2の樹脂層7が第2の配線体10の下方側まで入り込むことで、第1の端子部67において接続体11から露出する部分を当該第2の樹脂層7が覆っている。これにより、第1の端子部67が空気中に曝露されるのを防ぎ、当該第1の端子部67を構成する導電性粒子の劣化を抑えることができる。
なお、第1の端子部67を構成する導電性粒子の劣化を抑制する観点から、当該第1の端子部67それぞれを個別に覆うカーボン層を形成してもよい。
この場合、カーボン層によって第1の端子部67が空気中に曝露されるのを抑制する。また、カーボン層は、導電性を有するため、第1の端子部67と接続端子110との導通も確保される。さらに、隣り合う第1の端子部67間においてマイグレーションの発生を抑制することができる。このようなカーボン層としては、カーボンを少なくとも含有する導電性インクを塗布・硬化させることで形成することができる。このような導電性インクは、カーボン粉末に、バインダ樹脂、各種添加剤及び溶剤を混合して構成されている。導電性インクの塗布方法としては、特に限定しないが、ディスペンス法、インクジェット法、スクリーン印刷法を挙げることができる。
透明接着層13は、図3、図5、及び図6に示すように、第1の配線体4(具体的には、上面41)をカバーパネル2に貼り付けるために用いられる。この透明接着層13としては、アクリル樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、ポリエステル樹脂系接着剤等の公知の接着剤を用いることができるが、90%以上の全光線透過率を有する材料が好ましい。
本実施形態の導体層付き構造体1において、透明接着層13は、カバーパネル2と第2の樹脂層7との間に介在している。この場合、第1の網目状電極層61を構成する第1の導体線62の外形のうち比較的平坦な面がカバーパネル2側を向くように配置されるので、当該カバーパネル2側から入射する入射光の散乱等の発生を抑制することができる。
次に、本実施形態における導体層付き構造体1の製造方法について、図7(a)〜図7(h)、及び、図8(a)〜図8(c)を参照しながら詳細に説明する。図7(a)〜図7(h)、及び、図8(a)〜図8(c)は本発明の第1実施形態に係る導体層付き構造体の製造方法を示す断面図である。
まず、図7(a)に示すように、第1の導体層6の形状に対応する形状の凹部401が形成された凹版400を準備する。凹版400を構成する材料としては、ニッケル、シリコン、二酸化珪素などガラス類、有機シリカ類、グラッシーカーボン、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂等を例示することができる。
凹部401のうち第1の網目状電極層61に対応する部分の幅は、100nm〜100μmが好ましく、500nm〜10μmであることさらに好ましく、500nm〜5μmであることがより好ましい。一方、凹部401のうち第1の引き出し配線66に対応する部分の幅は、第1の網目状電極層61よりも広い方が好ましく、1μm〜500μmであることが好ましく、3μm〜100μmであることがより好ましく、5〜50μmであることがさらにより好ましい。本実施形態において凹部401の断面形状は、底部に向かうにつれて幅狭となるテーパ形状が形成されている。なお、凹部401の表面には、離型性をするために、黒鉛系材料、シリコーン系材料、フッ素系材料、セラミック系材料、アルミニウム系材料等からなる離型層(不図示)を予め形成することが好ましい。
上記の凹版400の凹部401に対し、導電性材料410を充填する。このような導電性材料410としては、導電性粉末若しくは金属塩、バインダ樹脂、水若しくは溶剤及び各種の添加剤を混合して構成される導電性ペーストや導電性インクを例示することができる。上記の導電性粉末としては、銀や銅、ニッケル、スズ、ビスマス、亜鉛、インジウム、パラジウム等の金属や、グラファイト等を例示することができる。金属塩としては、上記金属の塩を挙げることができる。導電性材料410に含まれる導電性粒子としては、形成する導体パターンの幅に応じて、例えば、0.5μm以上2μm以下の直径φ(0.5μm≦φ≦2μm)を有する導電性粒子を用いることができる。なお、形成する導体パターンの幅の半分以下の平均直径φを有する導電性粒子を用いることが好ましい。
導電性材料410に含まれるバインダ樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等を挙げることができる。
導電性材料410に含まれる溶剤としては、α-テルピネオール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、1−デカノール、ブチルセルソルブ、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラデカン等を例示することができる。
導電性材料410を凹版400の凹部401に充填する方法としては、例えばディスペンス法、インクジェット法、スクリーン印刷法を挙げることができる。もしくはスリットコート法、バーコート法、ブレードコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法での塗工の後に凹部401以外に塗工された導電性材料をふき取るもしくは掻き取る、吸い取る、貼り取る、洗い流す、吹き飛ばす方法を挙げることができる。導電性材料の組成等、凹版の形状等に応じて適宜使い分けることができる。
次いで、図7(b)に示すように、凹版400の凹部401に充填された導電性材料410を加熱することにより第1の導体層6を形成する。導電性材料410の加熱条件は、導電性材料の組成等に応じて適宜設定することができる。この加熱処理により、導電性材料410が体積収縮し、当該導電性材料410の表面411に僅かに凹凸形状が形成される。この際、導電性材料410の上面を除く外面は、凹部401に沿った形状に成形される。
なお、導電性材料410の処理方法は加熱に限定されない。赤外線、紫外線、レーザー光等のエネルギー線を照射してもよいし、乾燥のみでもよい。また、これらの2種以上の処理方法を組合せてもよい。表面411の凹凸形状により、第1の導体層6と第1の樹脂層5との接触面積が増大し、当該第1の導体層6をより強固に第1の樹脂層5に固定することができる。
次いで、図7(c)に示すように、第1の導体層6が形成された凹版400(図8(b)に示す状態の凹版400)上に樹脂材料420を塗布する。このような樹脂材料420としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等のUV硬化性樹脂、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂等を例示することができる。樹脂材料420を凹版400上に塗布する方法としては、スクリーン印刷法、スプレーコート法、バーコート法、ディップ法、インクジェット法、キャスト法等を例示することができる。
次いで、図7(d)に示すように、樹脂材料420が凹版400の凹部401に入り込むよう支持基材430を凹版400上に配置して、当該支持基材430を凹版400に押し付け、樹脂材料420を硬化させる。支持基材430としては、ある程度の剛性を有するものであれば特に限定されず、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリフロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)等を例示することができる。樹脂材料420を硬化させる方法としては、紫外線、赤外線レーザー光等のエネルギー線照射、加熱、加熱冷却、乾燥等を例示することができる。これにより、第1の樹脂層5が形成される。
因みに、第1の樹脂層5の形成方法は特に上記に限定されない。例えば、第1の樹脂層5を形成するための樹脂材料420が支持基材430上に略均一に塗布されたものを用意して、当該樹脂材料420が凹版400の凹部401に入り込むように当該支持基材430を凹版400に押し付けた状態で樹脂材料420を硬化させることにより第1の樹脂層5を形成してもよい。
次いで、図7(e)に示すように、支持基材430、第1の樹脂層5、及び第1の導体層6を一体に凹版400から離型させる。以下、支持基材430、第1の樹脂層5、及び第1の導体層6が一体となったものを中間体440とも称する。
次いで、図7(f)に示すように、中間体440において、第1の導体層6の第1の端子部67(図5及び図6参照)上に導電性接着材料450を塗布・硬化させて接続体11を形成する。導電性接着材料450を塗布する方法としては、スクリーン印刷法、スプレーコート法、バーコート法、ディップ法、インクジェット法、キャスト法等を例示することができる。一般的に、導電性接着材料450は、導電性粒子をバインダ樹脂に分散させたものを用いるが、当該バインダ樹脂として、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化/熱可塑混合樹脂等が用いられている。したがって、導電性接着材料450を硬化させる場合には、赤外線レーザー光等のエネルギー線照射、加熱、加熱冷却、乾燥等を行えばよい。なお、ここでは、導電性接着材料450として、流動性を有する材料を用いて説明しているが、特にこれに限定されない。
次いで、図7(g)に示すように、予め準備した第2の配線体10を、接続体11が介在した状態で中間体440に重ね、当該接続体11に熱を加えながら第2の配線体10及び中間体440を相互に接近させるように加圧する熱圧着を行う。この際、第1の端子部67と接続端子110とが相互に対向するように、第1及び第2の配線体4,10を配置する。この熱圧着により、接続体11によって第1及び第2の配線体4,10の機械的に接合されると共に、第1の端子部67と接続端子110とが電気的に接続される。
次いで、図7(h)に示すように、接続体11や第2の配線体10が介在した状態で、樹脂材料460を中間体440上に塗布して、当該樹脂材料460を硬化させることで、第2の樹脂層7を形成する。このような樹脂材料460としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等のUV硬化性樹脂、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂等を例示することができる。
なお、樹脂材料460の粘度は、塗布時の十分な流動性を確保する観点から、1mPa・s〜10,000mPa・sであることが好ましい。また、硬化後の樹脂の貯蔵弾性率は、第1の導体層6の耐久性の観点から、106Pa〜109Paであることが好ましい。樹脂材料460を中間体440上に塗布する方法としては、スクリーン印刷法、スプレーコート法、バーコート法、ディップ法、インクジェット法、キャスト法等を例示することができる。樹脂材料460を硬化させる方法としては、紫外線、赤外線レーザー光等のエネルギー線照射、加熱、加熱冷却、乾燥等を例示することができる。
次いで、図8(a)に示すように、予め準備したカバーパネル2上に透明接着層13を形成する。カバーパネル2上に透明接着層13を形成する際には、流動性が付与された接着材料を当該カバーパネル2上に塗布してもよいし、シート状に形成された透明接着層13を当該カバーパネル2上に貼り付けてもよい。透明接着層として流動性のある接着材料を用いる場合は、スクリーン印刷法、スプレーコート法、バーコート法、ディップ法、インクジェット法、キャスト法等によって塗布することができる。なお、透明接着層を硬化させる必要がある場合は、紫外線、赤外線レーザー光等のエネルギー線照射、加熱、加熱冷却、乾燥等を行えばよい。
次いで、図8(b)に示すように、第1の配線体4の露出した上面41を透明接着層13が介した状態でカバーパネル2に押し付け、これらを接着させる。次いで、図8(c)に示すように、第1の配線体4の下面42上に設けられた支持基材430を剥がして、当該下面42を露出させる。これにより、導体層付き構造体1を得ることができる。
本実施形態の配線体アセンブリ3及び導体層付き構造体1は、以下の効果を奏する。
本実施形態では、第2の樹脂層7は、第1の樹脂層5と第2の樹脂層7との間に第2の配線体10が介在するように、当該第2の配線体10を覆う被覆部72を有する。これにより、第1及び第2の配線体4,10の接続部分である接続体11における応力の集中が抑えられるので、第1の配線体4と第2の配線体10との接合破壊を抑制することができる。
また、被覆部72を含む第2の樹脂層7は、平坦面73を有し、当該平坦面73が第1の配線体4の上面41を構成することで、当該上面41において凹みの発生を抑えられる。これにより、第1の配線体4(すなわち、配線体アセンブリ3)とカバーパネル2との接合破壊を抑制することができる。
また、本実施形態では、上記(4)式が成立していることで、第2の樹脂層7が厚くなることに伴って被覆部72の厚さを十分に確保することができ、延いては、第1及び第2の配線体4,10をより強固に接合することができる。一方、第1の樹脂層5を薄くすることで、第1の配線体4の薄型化を図ることができる。
また、本実施形態では、第2の樹脂層7が、第1の端子部67において接続体11から露出している部分を被覆しているので、第1の端子部67が空気中に曝露されるのを防ぎ、当該第1の端子部67を構成する導電性粒子の劣化を抑えることができる。
また、本実施形態では、上記(5)式を満たすことで、被覆部72の厚さが足らず、第1及び第2の配線体4,10の接合破壊の抑制に寄与できなくなるのを防ぐ一方、第2の樹脂層7が厚くなって、第1の配線体4の薄型化を阻害するのを抑制する。
また、本実施形態では、上記(6)式が成立していることで、第1の配線体4の薄型化が図られる。
≪第2実施形態≫
図10は本発明の第2実施形態に係る導体層付き構造体を示す図であり、図1のVI−VI線に沿った断面図に相当する図である。
本実施形態では、図10を参照しながら、第1の配線体4の両面41,42に保護基材200a,200bを備えてなる導体層付き構造体1Bについて説明する。以下に、第2実施形態における導体層付き構造体1Bについて説明するが、第1実施形態と同様の構成である部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
保持基材200aは、図10に示すように、第1の配線体4の上面41の全体を覆うように設けられており、保護基材200bは、第1の配線体4の下面42の全体を覆うように設けられている。これら保護基材200a,200bは、第1の配線体4の両面41,42上に直接、あるいは、粘着層(不図示)を介して設けられている。
この保護基材200a,200bは、導体層付き構造体1Bを搬送する際に用いられるものであり、当該保護基材200a,200bを第1の配線体4から剥離させた後、当該導体層付き構造体1Bを種々の用途に応じて用いることができる。このように、本実施形態では、保護基材200a,200bよって、導体層付き構造体1Bの搬送時に、第1の配線体4の両面41,42が傷付くのを防止している。
保護基材200a,200bとしては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリフロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)等に種々の添加剤やフィラーを加えたフィルム状の部材を用いることができる。なお、保護基材200a,200bは、上述のように、導体層付き構造体1Bを運搬する際に用いられるものであり、後に剥離されるので、当該導体層付き構造体1Bの機能には影響を与えない。したがって、保護基材200a,200bは、第1の配線体4の両面41,42を保護することができれば、その材料は特に上述に限定されず、より安価な材料を用いてもよい。
本実施形態では、保護基材200a,200bを用いて、第1の配線体4の両面41,42を保護している態様について説明したが、特に上述に限定されず、第1の配線体4の一方の主面のみを保護するように保護基材200a,200bの何れか一方のみを設けてもよい。
なお、第1実施形態で説明したが、第2の樹脂層7の平坦面73によって第1の配線体4の上面41が構成されていることから、本実施形態では、保護基材200aと第1の配線体4とを隙間なく密接させることができる。第1の配線体4の上面41において、凹みや突起がなければ、これら凹凸を起点として保護基材200aが第1の配線体4から剥離するのを抑えられる。
保護基材200aと第1の配線体4との剥離強度N1、及び、保護基材200bと第1の配線体4との剥離強度N2としては、(7)式が成立するように設定されていることが好ましい。
0.01N/cm≦N1,N2≦3N/cm・・・(7)
なお、本明細書における剥離強度は、JIS法(JIS Z0237)により測定することができる。
N1,N2が上記(7)式の下限値以未満であると、導体層付き構造体1Bの搬送時に、第1の配線体4と保護基材200a,200bとが意図せず剥離してしまうおそれがある。一方、N1,N2が上記(7)式の上限値超であると、第1の配線体4と保護基材200a,200bの接合力(剥離強度)が、当該第1の配線体4を構成する第1又は第2の樹脂層5,7の組成材料同士の結合力に勝ってしまい、保護基材200a,200bを剥離させる際に、第1の配線体4が欠損するおそれがある。なお、N1,N2については、第1の配線体4と保護基材200a,200bとの剥離性をさらに向上する観点から、1N/cm以下であることがより好ましく(0.01N/cm≦N1,N2≦1N/cm)、0.2N/cm以下であることがさらに好ましい(0.01N/cm≦N1,N2≦0.2N/cm)。
保護基材200a,200bにおいては、上記(7)式を達成するため、その基材表面が平滑となるような表面処理を施してもよい。この場合、保護基材200a,200bの表面における面粗さRaが0.1μm以下であることが好ましく、0.05μm以下であることがより好ましい。保護基材200a,200bの面粗さは、当該保護基材200a,200bを構成する材料に含まれる添加剤やフィラーを除去したり、当該フィラーの寸法(フィラー径)を小さくすることで調整することできる。
また、保護基材200a,200bの基材表面にコーティング層を形成するコーティング処理を行ってもよい。コーティング層としては、シリコーン系材料、フッ素系材料、黒鉛系材料、セラミック系材料、アルミニウム系材料等により構成されたものを用いることができる。このようなコーティング層の厚さとしては、1μm以下であることが好ましい。保護基材200a,200bの基材表面にコーティング層を形成する方法としては、上述の材料を含むコーティング液を当該保護基材200a,200bの基材表面に塗布した後、乾燥、硬化等をする方法を例示することができる。
なお、保護基材200a,200bの表面処理の方法としては、上記(7)式を達成することができれば、上述した方法に限定されず、公知の方法を採用することができる。
本実施形態における「保護基材200a」及び「保護基材200b」が本発明における「支持体」の一例に相当する。なお、第1実施形態の支持基材430は、本実施形態における保護基材200bと同じ構成としてもよい。この場合、第1実施形態の支持基材430は、上述する保護基材200bの奏する作用・効果と同様の作用・効果を得ることができる。
次に、両面41,42に保護基材200a,200bが設けられたままの状態で搬送された導体層付き構造体1Bから当該保護基材200a,200bを剥がしてカバーパネル2に貼り付け、導体層付き構造体1を得るまでの工程を簡単に説明すると、第1実施形態で説明した内容と同様であるが、まず、予め準備したカバーパネル2上に透明接着層13を形成する(図8(a)参照)。次いで、第1の配線体4の上面41上に設けられていた保護基材200aを剥がして、当該上面41を露出させる。そして、第1の配線体4の露出した上面41を透明接着層13が介した状態でカバーパネル2に押し付け、これらを接着させる(図8(b)参照)。
ここで、第1実施形態で説明したとおり、第1の配線体4の上面41は、第2の樹脂層7の平坦面73によって構成されているため、上面41をカバーパネル2に貼り付けると、これらの間が隙間なく密接することができる。これにより、第1の配線体4とカバーパネル2との間の接合力が、上面41の延在方向において均一に作用して、これらの接合破壊を抑制することができる。次いで、導体層付き構造体1の下面42上に設けられた保護基材200bを剥がして、当該下面42を露出させる(図8(c)参照)。これにより、導体層付き構造体1を得ることができる。
本実施形態では、導体層付き構造体1Bから導体層付き構造体1を得る過程において、保護基材200aを第1の配線体4から剥がした後、保護基材200bを第1の配線体4から剥がしている。この場合、保護基材200aの厚さH1と、保護基材200bの厚さH2とは、下記(8)式の関係が成立するように設定されていることが好ましい。
H1<H2・・・(8)
このように、保護基材200aを保護基材200bに対して薄く形成することで、導体層付き構造体1をカバーパネル2に貼り付ける際に柔軟性が向上し、気泡の巻き込みなどが抑制できて生産性が向上する。特に、支持体が湾曲しているような場合では、上述の効果はより顕著となる。この場合、保護基材200aの厚さH1は、25μm〜75μmであることが好ましい(25μm≦H1≦75μm)。
一方、保護基材200bを保護基材200aよりも厚く形成することで、導体層付き構造体1の搬送時の剛性が高まり、しわ、折れ曲がり、打痕などの発生を抑制できて生産性が向上する。この場合、保護基材200bの厚さH2は、50μm〜250μmであることが好ましい(50μm≦H2≦250μm)。
なお、本実施形態では、第1の配線体4の上面41をカバーパネル2に貼り付けているが、特にこれに限定されず、第1の配線体4の下面42をカバーパネル2に貼り付けてもよい。この場合、保護基材200aの厚さH1と、保護基材200bの厚さH2とは、上記(7)式とは逆の関係が成立するように設定されていることが好ましい(H1>H2)。
本実施形態の導体層付き構造体1Bは、以下の効果を奏する。
本実施形態における導体層付き構造体1Bについても、第1実施形態の導体層付き構造体1と同様に作用効果を得ることができる。
さらに、本実施形態では、第1の配線体4の両面41,42を保護する保護基材200a,200bを設けることで、製造過程において当該第1の配線体4が傷付くのを抑制することができる。また、保護基材200a,200bにより第1の配線体4を支持することで、導体層付き構造体1Bが運搬し易くなるので、導体層付き構造体1Bの生産効率の向上を図ることができる。
また、本実施形態では、上記(7)式が成立していることで、導体層付き構造体1Bの製造過程において、第1の配線体4と保護基材200a,200bとが意図せず剥離してしまうのを抑制すると共に、保護基材200a,200bを剥離させる際に、第1の配線体4が欠損するのを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記(8)式が成立していることで、保護基材200aが保護基材200bに対して薄く形成されるので、導体層付き構造体1をカバーパネル2に貼り付ける際に柔軟性が向上し、気泡の巻き込みなどが抑制できて生産性が向上する。一方、保護基材200bが保護基材200aよりも厚く形成されることで、導体層付き構造体1の搬送時の剛性が高まり、しわ、折れ曲がり、打痕などの発生が抑制できて生産性が向上する。
≪第3実施形態≫
図10は本発明の第3実施形態に係るタッチパネルを示す分解透視斜視図、図11は本発明の第3実施形態に係る第1の配線体を示す平面図、図12は図11のXII-XII線に沿った断面図、図13は本発明の第3実施形態に係る第1及び第2のテール部を示す背面図、図14は図10のXIV-XIV線に沿った断面図、図15は図10のXV-XV線に沿った断面図、図16は図10のXVI-XVI線に沿った断面図である。
本実施形態の導体層付き構造体1Cは、カバーパネル2上に2つの導体層6,9(後述)を有する配線体アセンブリ3Bを備えてなる点において、第1実施形態と相違する。以下に、第3実施形態における導体層付き構造体1Cについて説明するが、第1実施形態と同様の構成である部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態の導体層付き構造体1Cは、図10に示すタッチパネル300を構成する。このタッチパネル300は、いわゆる静電容量方式のタッチパネルであり、一方の検出電極としてそれぞれY方向に沿って配設された複数の第1の網目状電極層61と、他方の検出電極としてそれぞれX方向に沿って配設された複数の第2の網目状電極層91(後述)と、を有し、これらの間に所定電圧を周期的に印加して、2つの網目状電極層61,91の交点毎の静電容量の変化に基づいて、操作者の操作位置(接触位置)を検出している。本実施形態における「タッチパネル300」が本発明における「タッチセンサ」の一例に相当する。
導体層付き構造体1Cは、カバーパネル2と、配線体アセンブリ3Bと、を備えている。配線体アセンブリ3Bは、第1の配線体4Bと、当該第1の配線体4Bと接続される第1及び第2のテール部100a,100bと、当該第1の配線体4B及び第1のテール部100a、並びに、第1の配線体4B及び第2のテール部100bを接続する接続体11と、カバーパネル2及び第1の配線体4Bを接合する透明接着層13と、を備えている。
第1の配線体4Bは、図11及び図12に示すように、第1の樹脂層5上に、第1の導体層6、第3の樹脂層8、第2の導体層9、及び第2の樹脂層7Bが順に形成されている。なお、第1の樹脂層5及び第1の導体層6は、第1実施形態で説明したものと同様の構成を有しているので、ここでは詳細の説明を省略する。
第3の樹脂層8は、図12に示すように、第1の導体層6を覆うように第1の樹脂層5上に形成されている。また、第3の樹脂層8上には、第2の導体層9が形成されている。結果として、第3の樹脂層8は、第1の導体層6と第2の導体層9との間に介在し、これらの絶縁を確保する機能を有している。タッチパネル300においては、第1及び第2の導体層6,9の間に介在する第3の樹脂層8が、誘電体として作用する。この第3の樹脂層8の厚さに応じてタッチパネル300の感度が調整される。
この第3の樹脂層8は、第1の導体層6を覆う主部81と、当該主部81上に形成された支持部82と、から構成されている。支持部82は、主部81と第2の導体層9の間に形成されており、第1の樹脂層5から離れる方向(図12中上側方向)に向かって突出するように形成されている。なお、第3の樹脂層8を構成する材料は、第1の樹脂層5を構成する材料と同様の材料を例示することができる。
詳細は後述するが、本実施形態の第3の樹脂層8は、図11に示すように、当該第3の樹脂層8により被覆される第1の導体層6を外部回路と接続可能とするため、当該第1の導体層6の第1の端子部67を当該第3の樹脂層8から露出させる切欠き83が形成されている。この切欠き83は、複数の第1の端子部67を一括して第3の樹脂層8から露出させる大きさとなっている。本実施形態では、切欠き83は、Z方向に沿って切り立った側面を有している(図14及び図16参照)。
第2の導体層9は、図11に示すように、第2の網目状電極層91と、第2の引き出し配線96と、第2の端子部97と、を有している。この第2の網目状電極層91は、平面視において、第3の樹脂層8を介して第1の網目状電極層61と対向するように配置されている。また、第1及び第2の網目状電極層61,91は、平面視において、カバーパネル2の透明部21に対応して配置されている。なお、本実施形態の第2の網目状電極層91は、その延在方向が異なる点で相違するが、それ以外の基本的な構成は上述した第1の網目状電極層61と同様であるため、詳細の説明を省略する。因みに、図12では、第2の導体層9の下面(すなわち、第2の導体層9と第3の樹脂層8との界面)を直線状に表しているが、これは図を分かり易く表示したものであり、実際は微細な凹凸からなる凹凸状の面となっている。
第2の引き出し配線96は、図11に示すように、第2の網目状電極層91に対応して設けられており、本実施形態では、4つの第2の網目状電極層91に対して4つの第2の引き出し配線96が形成されている。この第2の引き出し配線96は、第2の網目状電極層91と一体的に形成されており、当該第2の引き出し配線96の一方端部側で引出部961を介して第2の網目状電極層91から引き出されている。
本実施形態では、+Y方向側に位置する2つの第2の網目状電極層91については、−X方向側から第2の引き出し配線96が引き出されており、−Y方向側に位置する2つの第2の網目状電極層91については、+X方向側から第2の引き出し配線96が引き出されている。この第2の引き出し配線96は、平面視において、カバーパネル2の遮蔽部22と重なる領域を屈曲しながら延在し、第2の網目状電極層91と第2の端子部97とを接続している。なお、本実施形態では、第2の引き出し配線96は引出部961を介して第2の網目状電極層91と接続されているが、特にこれに限定されず、第2の引き出し配線96と第2の網目状電極層91とを直接接続してもよい。
本実施形態の第2の引き出し配線96は、第1の引き出し配線66と同様の構成を有しており、導電性を有する複数の導体線を相互に交差させて構成されている(図示を省略する。)。そのため、図15では、第2の引き出し配線96が、その延在方向(ここでは、Y方向)において分割されて表されている。また、第1の引き出し配線66と同様に、第2の引き出し配線96を構成する導体線の幅は、第2の網目状電極層91を構成する導体線の幅に比べて太くなっていることが好ましく、具体的には、第1の引き出し配線66と同様の寸法であることが好ましい。また、第2の引き出し配線96を構成する導体線同士のピッチは、第2の網目状電極層91を構成する導体線同士のピッチに比べて、狭いことが好ましい。因みに、第2の引き出し配線96の構成としては、特に網目状に限定されず、一の導体線により構成してもよいし、複数の導体線を交差させることなく配設して構成してもよい。
それぞれの第2の引き出し配線96の他方端部側には、図11に示すように、第2の端子部97(合計して、4つ)が形成されている。第2の端子部97は、第2の引き出し配線96と同様、第2の網目状電極層91と一体的に形成されている。この第2の端子部97は、Y方向に沿って延在しており、第2の引き出し配線96と接続される側と反対側の先端が第1の配線体4Bの−Y方向側の外縁近傍まで引き延ばされている。なお、第1の端子部67と同様、第2の端子部97を複数の導体線により網目状に構成されていてもよい。
本実施形態では、複数の第1及び第2の端子部67,97は、平面視において、X方向に並んで配置されている。第2の網目状電極層91の−X方向側から引き出された第2の引き出し配線96に接続する第2の端子部97(本実施形態では、2つ)は、並んだ3つの第1の端子部67に対して−X方向側に位置している。第2の網目状電極層91の+X方向側から引き出された第2の引き出し配線96に接続する第2の端子部97(本実施形態では、2つ)は、並んだ3つの第1の端子部67に対して、−X方向側に位置している。また、第2の端子部97は、図16に示すように、Z方向において、第3の樹脂層8の厚さだけ第1の端子部67よりも上方にずれて配置されている。
第2の樹脂層7Bは、第2の導体層9を外部から保護する保護層としての機能を有する。この第2の樹脂層7Bは、図12に示すように、第2の導体層9が間に介在するように第3の樹脂層8上に形成されている。なお、第2の樹脂層7によって第2の導体層9を覆うことで、第1の配線体4Bの表面での光の散乱等の発生を抑えることができる。
本実施形態では、第1の樹脂層5の厚さT1と第2の樹脂層7の厚さT2とは上記(4)式の関係が成立するように設定されており、第2の樹脂層7の厚さT2と、第3の樹脂層8の厚さT3とは、下記(9)式の関係が成立するように設定されている(図12及び図15参照)。
T3<T2・・・(9)
但し、本実施形態では、上記(9)式のT3は、第3の樹脂層8の主部81の厚さであり、第1及び第3の樹脂層5,8の界面から第3及び第2の樹脂層8,7の界面までの距離に相当する。
図10、図13、及び図16に示すように、本実施形態の配線体アセンブリ3Bは、第1の導体層6に対応する第1のテール部100aと、第2の導体層9に対応する2つの第2のテール部100bと、を有している。これら第1及び第2のテール部100a,100bは、第1の配線体4Bと外部回路(不図示)とを電気的に接続する機能を有する。本実施形態における「第1のテール部100a」が本発明における「第2の配線体」の一例に相当し、本実施形態における「第2のテール部100b」が本発明における「第3の配線体」の一例に相当する。
第1のテール部100aは、図13に示すように、基材101aと、当該基材101aに設けられた接続端子110bと、を有している。一方、第2のテール部100bは、基材101bと、当該基材101bに設けられた接続端子110bと、を有している。
基材101aは、図13及び図16に示すように、相互に略平行な上面102aと下面103aを有し、当該両面102a,103aに対して直交する方向に屈曲可能な矩形状の板状部材である。同様に、基材101bも、相互に略平行な上面102bと下面103bとを有し、当該両面102b,103bに対して直交する方向に屈曲可能な矩形状の板状部材である。
接続端子110aは、第1実施形態で説明した接続端子110と同様の構成を有している。一方、接続端子110bは、図13及び図16に示すように、それぞれの第2のテール部100bにおいて、第2の端子部97の数に対応して、2つずつの接続端子110bが基材101bの下面103b上に設けられている。この接続端子110bは、接続体11を介して第2の端子部97と対向するように配置されている。このような接続端子110bは、上述した接続端子110と同様の材料により構成することができる。
接続体11は、図16に示すように、第1のテール部100aと第1の端子部67との間において、第1の端子部67を覆うように設けられている。同様に、接続体11は、第2のテール部100bと第2の端子部97との間において、第2の端子部97を覆うように設けられている。ここでは、合計して3つの接続体11が相互に独立した状態(電気的に接続されず、且つ、組成材料が相互に結合しない状態)で形成されている。この接続体11は、第1のテール部100aと第1の端子部67との間では、3つの第1の端子部67を一体的に被覆しており、第2のテール部100bと第2の端子部97との間では、それぞれの箇所で2つの第2の端子部97を一体的に被覆している。
導電性を有する接続体11が第1のテール部100a(具体的には、接続端子110a)及び第1の端子部67の間に介在することで、これらの電気的な接続が図られる。同様に、接続体11が第2のテール部100b(具体的には、接続端子110b)及び第2の端子部97の間に介在することで、これらの電気的な接続が図られる。また、接続体11と第1のテール部100a(具体的には、接続端子110a)とが接合すると共に、当該接続体11と第1の端子部67とが接合することで、接続体11を介して第1のテール部100aと第1の端子部67とが相互に接合される。同様に、接続体11と第2のテール部100b(具体的には、接続端子110b)とが接合すると共に、当該接続体11と第2の端子部97とが接合することで、接続体11を介して第2のテール部100bと第2の端子部97とが相互に接合される。なお、第1の端子部67及び第1のテール部100a、並びに、第2の端子部97及び第2のテール部100bを一括して異方導電性材料により構成される接続体により覆ってもよい。この場合、接続体は、第1の端子部67及び第1のテール部100a、並びに、第2の端子部97及び第2のテール部100bのそれぞれを導通するが、これら以外は絶縁状態を維持する。
ここで、第1の配線体4Bと第1のテール部100a、並びに、第1の配線体4Bと第2のテール部100bの接続構造について、さらに詳しく説明する。本実施形態では、図10、図14〜図16に示すように、平面視において第1のテール部100aの先端が第1の配線体4Bに重なっている。この場合、第1のテール部100aの先端は、第3の樹脂層8に形成された切欠き83に嵌め込まれる。一方、平面視において第2のテール部100bの先端が第1の配線体4Bに重なっている。第1及び第2のテール部100a,100bの先端は、第2の樹脂層7Bに埋設されている。
この場合、第2の樹脂層7Bは、図14〜図16に示すように、第2の網目状電極層91や第2の引き出し配線96を覆う主部71Bと、第1のテール部100aの上方を覆う被覆部72Bと、第2のテール部100bの上方を覆う被覆部72Cと、を有している。被覆部72B,72Cは、主部71Bと一体的に形成されている。本実施形態における「被覆部72B」が本発明における「第1の被覆部」の一例に相当し、本実施形態における「被覆部72C」が本発明における「第2の被覆部」の一例に相当する。
被覆部72Bは、図14及び図16に示すように、第1及び第2の樹脂層5,7の間に第1のテール部100aが介在するように、当該第1のテール部100aを覆っている。被覆部72Bは、Z方向に所定の厚みをもって形成されており、第1の配線体4Bの外部に露出する上面721Bと、当該上面721Bの反対側の下面722Bと、を有している。被覆部72Bの下面722Bは、基材101aの上面102aと密接しており、これにより、第2の樹脂層7Bと基材101aとが強固に接合されている。
一方、被覆部72Cは、図15及び図16に示すように、第2及び第3の樹脂層7,8の間に第2のテール部100bが介在するように、当該第2のテール部100bを覆っている。被覆部72Cも、Z方向に所定の厚みをもって形成されており、第1の配線体4Bの外部に露出する上面721Cと、当該上面721Cの反対側の下面722Cと、を有している。被覆部72Cの下面722Cは、基材101bの上面102bと密接しており、これにより、第2の樹脂層7Bと基材101bとが強固に接合されている。
主部71Bは、図14及び図15に示すように、第1の配線体4Bの外部に露出する上面711Bを有し、この上面711Bは、被覆部72Bの上面721B及び被覆部72Cの上面721Cと滑らかに連続的に形成されている。これら上面711B,721B,721Cによって、被覆部72B,72Cを含む第2の樹脂層7Bの略全体において平坦に延在する平坦面73Bが構成されている。本実施形態では、この平坦面73Bが第1の配線体4Bの上面41を形成している。本実施形態における「平坦面73B」が本発明における「第1の面」の一例に相当する。
被覆部72Bの厚さT21Bとしては、下記(10)式が成立するように設定されていることが好ましく、被覆部72Cの厚さT21Cとしては、下記(11)式が成立するように設定されていることが好ましい(図14及び図15参照)。
5μm≦T21B≦1000μm・・・(10)
5μm≦T21C≦20μm・・・(11)
被覆部72Bの厚さT21Bが上記(10)式の下限値未満であったり、被覆部72Cの厚さT21Cが上記(11)式の下限値未満であると、第1及び第2の配線体4B,10Bの接合破壊を生じるおそれがある。一方、被覆部72Bの厚さT21Bが上記(10)式の上限値超であったり、被覆部72Cの厚さT21Cが上記(11)式の上限値超であると、第1の配線体4Bが厚くなって、当該第1の配線体4Bの薄型化を阻害する。
また、被覆部72Bの厚さT21Bと、第1及び第2の樹脂層5,7の界面から被覆部72Bの下面722Bと基材101aの上面102aとの界面までの距離T22Bとは、下記(12)式の関係が成立するように設定されていることが好ましく、被覆部72Cの厚さT21Cと、第2及び第3の樹脂層7,8の界面から被覆部72Cの下面722Cと基材101bの上面102bとの界面までの距離T22Cとは、下記(13)式の関係が成立するように設定されていることが好ましい(図14及び図15参照)。
T22B≦T21B・・・(12)
T22C≧T21C・・・(13)
被覆部72Bについては、第1の端子部67が第2の端子部97に対して第3の樹脂層8の厚さだけY方向に沿って下方にずれているため、当該第1の端子部67に対応して配置される第1のテール部100aが第2のテール部100bに比べて下方に位置することに伴い、その厚さT21Bが被覆部72Cの厚さT21Cよりも厚くなっている(T21C<T21B)。なお、第1及び第2の樹脂層5,7の界面から被覆部72Bの下面722Bと基材101aの上面102aとの界面までの距離T22Bは、T22Cとほぼ等しくなっている。
次に、本実施形態における導体層付き構造体1Cの製造方法について、図17(a)〜図17(h)を参照しながら詳細に説明する。図17(a)〜図17(h)は本発明の第3実施形態に係る導体層付き構造体の製造方法を示す断面図である。
まず、第1実施形態において説明した中間体440を準備して、図17(a)に示すように、当該中間体440上に第3の樹脂層8を形成する樹脂材料470を塗布する。このような樹脂材料としては、上述した樹脂材料420,460と同様の材料を用いることができる。また、樹脂材料470を塗布する方法としては、上述した樹脂材料420,460と同様の方法を例示することができる。本実施形態では、樹脂材料470を塗布する工程において、合わせて切欠き83に相当する部分(図17(a)及び図17(d)において符号(83)で示す。)を形成する。具体的には、切欠き83が形成されるようにパターニングして樹脂材料470を塗布するとよい。なお、特に上述に限定されず、切欠き83に相当する部分が形成されていない一様な樹脂層を形成した後、部分的に削り取ることで、切欠き83を形成してもよい。
次いで、図17(b)に示すように、第2の導体層9の形状に対応する形状の凹部481が形成された凹版480を準備する。凹版480を構成する材料としては、第1実施形態で説明した凹版400を構成する材料と同様の材料を用いることができる。また、凹部481としては、第1及び第2の導体層6,9が基本的に同様の構成を有していることから、第1実施形態で説明した凹部401と同様の形状により構成されていることが好ましい。
そして、凹版480の凹部481に対し、導電性材料490を充填する。このような導電性材料490としては、第1実施形態で説明した導電性材料410と同様の材料を用いることができる。また、導電性材料490を凹版480の凹部481に充填する方法としては、第1実施形態で説明した導電性材料410を凹版400の凹部401に充填する方法と同様の方法を用いることができる。
次いで、図17(c)に示すように、凹版480の凹部481に充填された導電性材料490を加熱することにより第2の導体層9を形成する。導電性材料490の加熱条件は、その組成等に応じて適宜設定することができる。この加熱処理により、導電性材料490の体積が収縮し、当該導電性材料490の表面481に僅かに凹凸形状が形成される。この際、導電性材料490の上面を除く外面は、凹部481に沿った形状に成形される。表面481の凹凸形状により、第2の導体層9と第3の樹脂層8との接触面積が増大し、当該第2の導体層9をより強固に第3の樹脂層8に固定することができる。なお、導電性材料490の処理方法は、第1実施形態で説明した導電性材料410の処理方法として例示した種々の方法を用いてもよい。
次いで、図17(d)に示すように、樹脂材料470が凹版480の凹部481に入り込むように支持基材430を凹版480上に配置して、当該支持基材430を凹版480に押し付ける。そして、樹脂材料470を硬化させる。樹脂材料470を硬化させる方法としては、第1実施形態で説明した樹脂材料420,460を硬化させる方法と同様の方法を用いることができる。
次いで、図17(e)に示すように、第2の導体層9、第3の樹脂層8、及び中間体440を一体に凹版480から離型する。以下、第2の導体層9、第3の樹脂層8、及び中間体440が一体となってものを中間体500とも称する。
次いで、図17(f)に示すように、中間体500において、第1の導体層6の第1の端子部67上に導電性接着材料450を塗布すると共に、第2の導体層9の第2の端子部97上に導電性接着材料450を塗布し、これらを硬化させることで接続体11を形成する。次いで、図17(g)に示すように、接続体11を介在させた状態で、当該接続体11に熱を加えながら、予め準備した第1及び第2のテール部100a,100bを中間体500に向かって押し付け、熱圧着を行う。これにより、接続体11が第1及び第2の配線体4B,10Bを機械的に接合すると共に、第1の端子部67及び接続端子110a、並びに、第2の端子部97及び接続端子110bが電気的に接続される。
次いで、図17(h)に示すように、樹脂材料510を、中間体500との間に接続体11が介在した状態で、当該中間体500上に塗布する。この際、樹脂材料510が切欠き83の内部に浸入して、当該切欠き83の内部を充填する。そして、樹脂材料510を硬化させて第2の樹脂層7Bを形成する。
次いで、カバーパネル2と第2の樹脂層7Bとを、透明接着層13を介して接着することで、導体層付き構造体1Cを得ることができる。なお、カバーパネル2と第2の樹脂層7Bとを透明接着層13により接着する方法は、第1実施形態で説明した方法と同様であるので、説明を省略する。
本実施形態の配線体アセンブリ3B、導体層付き構造体1C、及びタッチパネル300は、以下の効果を奏する。
本実施形態における配線体アセンブリ3B及び導体層付き構造体1Cについても、第1実施形態の配線体アセンブリ3及び導体層付き構造体1と同様に作用効果を得ることができる。
さらに、従来では、タッチパネルにおいて、検出電極を有する配線板(リジッド部)や外部回路が、当該タッチパネルの筐体内部に収容されている場合では、当該配線板と外部回路とを電気的に接続するテール部(フレックス部)を屈曲させながら筐体内部に配設する必要がある。この場合、配線板(検出電極)とテール部との接続部分には、当該テール部が屈曲することで生じる応力が集中し易い。生じた応力によって接続部分の接合が破壊されると、検出電極で検出した操作者の操作情報を外部回路に伝送できなくなる場合があるなど、当該タッチパネルの品質を低下させるおそれがある。
これに対して、本実施形態のタッチパネル300では、導体層付き構造体1Cを備えており、第1の配線体4B及び第1のテール部100a、並びに、第1の配線体4B及び第2のテール部100bが強固に接合されている。このため、第1の配線体4B及び第1のテール部100a、並びに、第1の配線体4B及び第2のテール部100bの接合破壊が抑制され、タッチパネル300の品質低下を抑えることができる。
なお、本実施形態においても、第2実施形態で説明したのと同様、保護基材200aを第1の配線体4Bの上面41上に設け、保護基材200bを第1の配線体4Bの下面42上に設けてもよい。この場合、「保護基材200a」及び「保護基材200b」が「支持体」の一例に相当する。
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
図18は本発明の一実施の形態に係る第1の配線体の第1変形例を示す平面図である。
たとえば、上述の実施形態では、矩形状の第1の配線体を用いたが、特にこれに限定されず、図18に示すように、凸部43を有する第1の配線体4Cを用いてもよい。この凸部43は、矩形状の外形から外部に向かって突出している。この凸部43においても、上述した第1の配線体4と同様、第1の樹脂層5、第1の導体層、及び第2の樹脂層7が順に形成されている。本実施形態では、この凸部43に対応して端子部57を形成している。第2の配線体を第1の配線体4Cと接続する際には、この凸部43に当該第2の配線体の先端を重ね合わせるように配置する。なお、図18では、第1の配線体4Cの構造を理解し易くするため、第2の樹脂層7の図示を省略し、第1の導体層6を実線で表示する。
また、第3の実施形態では、第1のテール部100aと、第2のテール部100bと、を有しているが、これらを一体として形成してもよいし、第1のテール部100aと、第2のテール部100bとを分離して、それぞれ独立した状態で設けてもよい。
また、上述した第1実施形態の導体層付き構造体1は、第1の配線体4とカバーパネル2とを接着する透明接着層13を備えているが、これを省略し、第1の配線体4の第2の樹脂層7を透明接着層13として構成してもよい。なお、第2実施形態においても同様に、第2の樹脂層7を接着層として構成してもよい。また、第3実施形態においても同様に、第2の樹脂層7Bを透明接着層13として構成してもよい。
また、上述の実施形態では、配線体アセンブリや導体層付き配線体がタッチ入力装置に用いられるとして説明したが、導体層付き配線体の用途は特にこれに限定されない。たとえば、配線体に通電して抵抗加熱等で発熱させることにより当該配線体をヒータとして用いてもよい。また、配線体の導体部の一部を接地することにより当該配線体を電磁遮蔽シールドとして用いてもよい。また、配線体をアンテナとして用いてもよい。この場合、配線体を実装する実装対象が本発明の「支持体」の一例に相当し、これらを備えるヒータ、電磁遮蔽シールド、及びアンテナが本発明における「導体層付き構造体」の一例に相当する。