JP2017035877A - 防食塗装鋼材及びその製造方法、塗装鋼材の防食方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鋼材と、前記鋼材の表面上に、粒状の亜鉛とマグネシウムを含む厚さ10μm以上の無機ジンク系塗料組成物含有層を有し、前記無機ジンク系塗料組成物含有層の断面において、前記無機ジンク系塗料組成物含有層の全元素量に対してマグネシウム濃度が0.2質量%以上の領域の面積の割合が5〜55%である防食塗装鋼材を利用する。
【選択図】なし
Description
一方、船舶のバランストタンクなどの厳しい腐食環境に曝される場合や、長期に亘る防食作用等が求められる場合がある。しかし、このような要求に対して、亜鉛末の含有量を高めたり、塗膜の厚みを増加させると、鋼材との密着性や施工性が損なわれることがある。
このような問題に対し、Mgによって防食性能を高めた無機ジンク系塗料が提案されている(例えば、特許文献1〜6、参照。)。このうち、特許文献1及び2では、粒状のZn−Mg合金を含む無機ジンク系塗料が提案されている。一方、特許文献3〜6では、金属MgやMg化合物などを添加した無機ジンク系塗料が提案されている。
前記無機ジンク系塗料組成物含有層の断面において、前記無機ジンク系塗料組成物含有層の全元素量に対してマグネシウム濃度が0.2質量%以上の領域の面積の割合が5〜55%であることを特徴とする防食塗装鋼材。
[2] 前記鋼材が、質量%で、
C:0.001%〜0.20%、
Si:0.01%〜3.0%、
Mn:0.1〜3.0%
を含有し、残部がFe及び不純物からなることを特徴とする上記[1]に記載の防食塗装鋼材。
[3] 前記鋼材が、更に、質量%で、
Cr:9.99%以下、
Sn:0.5%以下、
の一方又は両方を含有することを特徴とする上記[2]に記載の防食塗装鋼材。
[4] 前記鋼材が、更に、質量で、
Cr:9.99%以下、及び
Sn:0.5%以下、
を含有することを特徴とする上記[2]に記載の防食塗装鋼材。
[5] 前記鋼材が、更に、質量%で、
Al:2.0%以下、
Cu:2.0%以下、
Ni:2.0%以下、
Mo:1.0%以下、
W:1.0%以下、
Sb:0.5%以下、
V:0.2%以下、
Nb:0.08%以下、
Ti:0.1%以下、
Mg:0.01%以下、
Zr:0.05%以下、
B:0.005%以下、
Ca:0.02%以下、
REM:0.02%以下、
Se:0.1%以下、
Hf:0.1%以下、
Sr:0.1%以下
の1種又は2種以上を含有し、
P:0.03%以下、
S:0.01%以下、
N:0.03%以下
に制限されたことを特徴とする上記[2]〜[4]のいずれかに記載の防食塗装鋼材。
[7] 前記鋼材は、質量%で、
C:0.001%〜0.20%、
Si:0.01%〜3.0%、
Mn:0.1〜3.0%
を含有し、残部がFe及び不純物からなることを特徴とする[6]に記載の防食塗装鋼材の製造方法。
[8] 前記鋼材が、更に、質量%で、
Cr:9.99%以下、
Sn:0.5%以下、
の一方又は両方を含有することを特徴とする上記[7]に記載の防食塗装鋼材の製造方法。
[9] 前記鋼材が、更に、質量%で、
Cr:9.99%以下、及び
Sn:0.5%以下、
を含有することを特徴とする上記[7]に記載の防食塗装鋼材の製造方法。
[10] 前記鋼材が、更に、質量%で、
Al:2.0%以下、
Cu:2.0%以下、
Ni:2.0%以下、
Mo:1.0%以下、
W:1.0%以下、
Sb:0.5%以下、
V:0.2%以下、
Nb:0.08%以下、
Ti:0.1%以下、
Mg:0.01%以下、
Zr:0.05%以下、
B:0.005%以下、
Ca:0.02%以下、
REM:0.02%以下、
Se:0.1%以下、
Hf:0.1%以下、
Sr:0.1%以下
の1種又は2種以上を含有し、
P:0.03%以下、
S:0.01%以下、
N:0.03%以下
に制限されたことを特徴とする上記[7]〜[9]のいずれかに記載の防食塗装鋼材の製造方法。
[12] 前記鋼材は、質量%で、
C:0.001%〜0.20%、
Si:0.01%〜3.0%、
Mn:0.1〜3.0%
を含有し、残部がFe及び不純物からなることを特徴とする上記[11]に記載の塗装鋼材の防食方法。
[13] 前記鋼材が、更に、質量%で、
Cr:9.99%以下、
Sn:0.5%以下、
の一方又は両方を含有することを特徴とする上記[12]に記載の防食塗装鋼材の防食方法。
[14] 前記鋼材が、更に、質量%で、
Cr:9.99%以下、及び
Sn:0.5%以下、
を含有することを特徴とする上記[12]に記載の防食塗装鋼材の防食方法。
[15] 前記鋼材が、更に、質量%で、
Al:2.0%以下、
Cu:2.0%以下、
Ni:2.0%以下、
Mo:1.0%以下、
W:1.0%以下、
Sb:0.5%以下、
V:0.2%以下、
Nb:0.08%以下、
Ti:0.1%以下、
Mg:0.01%以下、
Zr:0.05%以下、
B:0.005%以下、
Ca:0.02%以下、
REM:0.02%以下、
Se:0.1%以下、
Hf:0.1%以下、
Sr:0.1%以下
の1種又は2種以上を含有し、
P:0.03%以下、
S:0.01%以下、
N:0.03%以下
に制限されたことを特徴とする上記[12]〜[14]のうちいずれかに記載の塗装鋼材の防食方法。
本発明において使用される無機ジンク系塗料は、亜鉛合金を含まず、粒状の亜鉛(亜鉛末)とシリケートのバインダを含む無機ジンクリッチプライマーや無機ジンクリッチペイントを利用することができる。前記無機ジンクリッチプライマーとして、JIS K 5552のジンクリッチプライマーが好ましい。また、前記無機ジンクリッチペイントとして、JIS K 5553のジンクリッチペイントが好ましい。そして、鋼材の表面に無機ジンク系塗料を塗布して形成させた塗膜は、水分や酸素が、シリケートのバインダを容易に透過することが可能である。一方、有機系ジンク塗料は、水分が塗膜を透過せず、マグネシウム(Mg)の効果が発現しないため、本発明から除外する。
本発明において使用される無機ジンク系塗料に含まれる亜鉛末はMgを含有しない。したがって、前記無機ジンク系塗料組成物含有層に含まれるMgは、亜鉛末とは異なる部位、即ちシリケートからなるバインダに存在している。また、Mg化合物を含む特殊な顔料やインヒビターを添加しない場合は、亜鉛末以外の粒状等の形態を呈する部位にもMgは存在しない。
[EPMAにより「Mg濃度≧0.2質量%」として検出された全領域の面積]/[EPMAを用いて測定した範囲全体の面積]×100・・・式(1)
前記無機ジンク系塗料組成物含有層の厚みは、10μm以上であることが必要である。厚みが10μm未満の無機ジンク系塗料組成物含有層を形成しても、亜鉛末の含有量が不足して、十分な防食性能が得られない。好ましくは、前記無機ジンク系塗料組成物含有層の厚みを15μm以上、より好ましくは30μm以上、更に好ましくは70μm以上とする。前記無機ジンク系塗料組成物含有層の厚みの上限は、乾燥に要する時間などの施工性の観点から、300μm以下が好ましい。より好ましくは150μm以下とする。前記無機ジンク系塗料組成物含有層の厚みは、断面をSEMによって観察し、測定することができる。
鋼材に含まれる主要な元素であるC、Si、Mnの含有量は、以下の範囲が好ましい。
Cは、鋼材の強度の向上に有効な元素である。本発明では、所要の強度を維持するため、C量は、0.001%以上とする。C量は、0.005%以上が好ましく、0.01%以上がより好ましい。一方、C量が0.20%を超えると、溶接性や靭性が低下することがあるため、上限を0.20%とする。C量は、溶接性を考慮すると、0.15%以下がより好ましく、加工性の点から、0.10%以下が更に好ましい。
Siは、脱酸剤として作用し、また、強度の向上に有効な元素である。Si量が0.01%未満では、脱酸が不充分になる場合があるため、本発明では、下限を0.01%とする。また、脱酸をより安定的に行うためには、Si量は0.05%以上がより好ましい。一方、Si量が3.0%を超えると、延性が低下するため、上限を3.0%とする。また、鋼材の溶接性や靭性を考慮すると、Si量は0.5%以下がより好ましい。
Mnは、鋼の組織制御に有効な元素であり、本発明では、0.1%以上を含有させる。また、組織制御を安定的に行うためには、0.5%以上のMnを含有させることがより好ましい。一方、Mn量が3.0%を超えると、延性が低下する場合があるため、上限を3.0%とする。また、圧延などの製造性を考慮すると、Mn量は2.5%以下がより好ましい。
Crは、鋼材の耐食性の向上に有効であり、必要に応じて含有させてもよい。Cr量の下限は特に規定するものではなく、0%でもよいが、本発明では、無機ジンク系塗料組成物含有層と鋼材との相互作用によって顕著な耐食性向上効果を得るため、0.1%以上を含有させる。Cr量は、0.5%以上が好ましく、1%以上がより好ましい。一方、Cr量が9.99%を超えると、鋳片の冷却過程で変態が起きず、フェライト単相組織となって、鋳片割れが生じるため、上限を9.99%とする。また、Cr量は、合金コスト低減のため、8%以下が好ましく、6.5%以下がより好ましい。Cr量は、溶接性等を考慮して、5%以下、4%以下又は3%以下に制限してもよい。
Snは、鋼の耐食性を向上させる元素であり、必要に応じて含有させてもよい。一方、Snは、過剰に含有させると製造性や機械特性を損なう場合があるため、Sn量の上限を0.5%とすることが好ましい。Sn量は、より好ましくは0.2%以下である。Sn量の下限は特に規定するものではなく、0%でもよいが、鋼の耐食性を安定的に向上させるためには、0.01%以上を含有させることが好ましく、0.05%以上を含有させることがより好ましい。
Alは、一般に脱酸剤として用いられるが、本発明では、鋼の耐食性を更に向上させるために、必要に応じて含有させてもよい。一方、Al量が2.0%を超えると、鋳片の冷却過程で変態が起きず、フェライト単相組織となって、鋳片割れが生じることがあるため、上限を2.0%とすることが好ましい。Al量は、より好ましくは1.5%以下である。Al量の下限は特に規定するものではなく、0%でもよいが、鋼の耐食性を更に向上させるためには、0.002%以上を含有させることが好ましく、0.01%以上を含有させることがより好ましい。また、Al量は、0.02%以上とすることが更に好ましい。
Cuは、鋼の耐食性を向上させる元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。一方、Cu量が2.0%を超えると、鋼材が脆化することがあるため、上限を1.0%とすることが好ましい。Cu量は、より好ましくは0.5%以下である。Cu量の下限は特に規定するものではなく、0%でもよいが、鋼の耐食性を安定的に向上させるためには、0.05%以上を含有させることが好ましい。また、Cuは、強度を改善するとともに、鋳片割れを防止する元素でもあるため、Cu量は、0.10%以上とすることがより好ましい。
Niは、鋼の耐食性を向上させる元素であり、また、Cuを含有させる場合にはNiを同時に含有させると製造性の劣化を防止することができる。一方で、Niは高価な元素であり、上記の効果は2.0%を超えてNiを含有させると飽和することから、上限を2.0%とすることが好ましい。Ni量は、より好ましくは0.5%以下であり、更に好ましくは0.3%以下である。また、Ni量の下限は特に規定するものではなく、0%でもよいが、上記の効果を安定的に得るためには、0.05%以上を含有させることが好ましく、0.10%以上を含有させることがより好ましい。
Mo及びWは、鋼の耐食性を向上させる元素であり、必要に応じて含有させてもよい。一方、Mo及びWは、1.0%を超えて含有させても効果が飽和するため、上限を1.0%とすることが好ましく、より好ましくは0.5%以下とする。Mo量及びW量は、より好ましくはそれぞれ0.3%以下である。Mo量及びW量の下限は特に規定するものではなく、0%でもよいが、鋼の耐食性を安定的に向上させるためには、それぞれ0.01%以上を含有させることが好ましく、0.03%以上を含有させることがより好ましい。
Sbは、鋼の耐食性を向上させる元素であり、必要に応じて含有させてもよい。一方、Sbは、過剰に含有させると製造性や機械特性を損なう場合があるため、Sb量の上限を0.5%とすることが好ましい。Sb量は、より好ましくは0.2%以下である。Sb量の下限は特に規定するものではなく、0%でもよいが、鋼の耐食性を安定的に向上させるためには、0.01%以上を含有させることが好ましく、0.05%以上を含有させることがより好ましい。
Vは、機械特性、使用性能、製造安定性を向上させる元素であり、必要に応じて含有させてもよい。一方、Vを過剰に含有させると耐発錆性を損なう可能性があるため、V量の上限を0.2%とすることが好ましい。V量は、より好ましくは0.1%以下、更に好ましくは0.05%以下である。V量の下限は特に規定するものではなく、0%でもよいが、鋼材の諸特性を安定的に向上させるためには、0.005%以上を含有させることが好ましく、0.01%以上を含有させることがより好ましい。
Nbは、機械特性、使用性能、製造安定性を向上させる元素であり、必要に応じて含有させてもよい。一方、Nbを過剰に含有させると耐発錆性を損なう可能性があるため、Nb量の上限を0.08%とすることが好ましい。Nb量は、より好ましくは0.03%以下である。Nb量の下限は特に規定するものではなく、0%でもよいが、鋼材の諸特性を安定的に向上させるためには、0.002%以上を含有させることが好ましく、0.005%以上を含有させることがより好ましい。
Tiは、機械特性、使用性能、製造安定性を向上させる元素であり、必要に応じて含有させてもよい。一方、Tiを過剰に含有させると耐発錆性を損なう可能性があるため、Ti量の上限を0.1%とすることが好ましい。Ti量は、より好ましくは0.03%以下である。Ti量の下限は特に規定するものではなく、0%でもよいが、鋼材の諸特性を安定的に向上させるためには、0.005%以上を含有させることが好ましく、0.01%以上を含有させることがより好ましい。
Mgは、機械特性、使用性能、製造安定性を向上させる元素であり、必要に応じて含有させてもよい。一方、Mgを過剰に含有させると耐発錆性を損なう可能性があるため、Mg量の上限を0.01%とすることが好ましい。Mg量は、より好ましくは0.002%以下である。Mg量の下限は特に規定するものではなく、0%でもよいが、鋼材の諸特性を安定的に向上させるためには、0.0001%以上を含有させることが好ましく、0.0005%以上を含有させることがより好ましい。
Zrは、機械特性、使用性能、製造安定性を向上させる元素であり、必要に応じて含有させてもよい。一方、Zrを過剰に含有させると耐発錆性を損なう可能性があるため、Zr量の上限を0.05%とすることが好ましい。Zr量は、より好ましくは0.02%以下である。Zr量の下限は特に規定するものではなく、0%でもよいが、鋼材の諸特性を安定的に向上させるためには、0.003%以上を含有させることが好ましく、0.005%以上を含有させることがより好ましい。
Bは、機械特性、使用性能、製造安定性を向上させる元素であり、必要に応じて含有させてもよい。一方、Bを過剰に含有させると耐発錆性を損なう可能性があるため、B量の上限を0.005%とすることが好ましい。B量は、より好ましくは0.002%以下である。B量の下限は特に規定するものではなく、0%でもよいが、鋼材の諸特性を安定的に向上させるためには、0.0002%以上を含有させることが好ましく、0.0005%以上を含有させることがより好ましい。
Caは、機械特性、使用性能、製造安定性を向上させる元素であり、必要に応じて含有させてもよい。一方、Caを過剰に含有させると耐発錆性を損なう可能性があるため、Ca量の上限を0.02%とすることが好ましい。Ca量は、より好ましくは0.003%以下である。Ca量の下限は特に規定するものではなく、0%でもよいが、鋼材の諸特性を安定的に向上させるためには、0.0002%以上を含有させることが好ましく、0.0005%以上を含有させることがより好ましい。
REMは、機械特性、使用性能、製造安定性を向上させる元素であり、必要に応じて含有させてもよい。REMは、希土類金属(Rare Earth Metals)を表しており、原子番号57のLaから原子番号71までの、いわゆるランタノイド元素に対応する。本実施形態では、REMに属する一種類の元素の単体や化合物を添加してもよいし、複数種類のREMを含有する混合物を添加してもよい。このような混合物としては、Ce、La、Nd等を主成分とするミッシュメタルを挙げることができる。
一方、REMを過剰に含有させると耐発錆性を損なう可能性があるため、REM量の上限を0.02%とすることが好ましい。REM量は、より好ましくは0.01%以下である。REM量の下限は特に規定するものではなく、0%でもよいが、鋼材の諸特性を安定的に向上させるためには、0.0002%以上を含有させることが好ましく、0.0005%以上を含有させることがより好ましい。
Se、Hf及びSrは、耐食性向上に有効な元素であり、必要に応じて含有させてもよい。一方、Se、Hf及びSrを過剰に含有させると製造性や機械特性を損なう場合があるため、Se、Hf及びSrの含有量の上限を、それぞれ0.1%とすることが好ましく、より好ましくは0.05%以下とする。Se、Hf及びSrの含有量の下限は特に規定するものではなく、0%でもよいが、鋼材の耐食性を安定的に向上させるためには、それぞれ0.0002%以上を含有させることが好ましく、0.0005%以上を含有させることがより好ましい。
P量は、0.03%を超えると、靭性や延性が低下する場合があるため、上限を0.03%に制限することが好ましい。より好ましいP量の上限は、0.01%である。一方、P量を0.001%未満に低減すると製造コストが上昇するため、P量は0.001%以上が好ましい。
S量は、0.01%を超えると、靭性や延性が低下したり、熱間加工性を損なったりする場合があるため、上限を0.01%に制限することが好ましい。より好ましいS量の上限は、0.003%である。一方、S量を0.0001%未満に低減すると製造コストが上昇するため、S量は0.0001%以上が好ましい。
N量は、0.03%を超えると、靭性や延性が低下する場合があるため、上限を0.03%に制限することが好ましい。より好ましいN量の上限は、0.01%であり、更に好ましくは0.006%とする。一方、N量を0.001%未満に低減すると製造コストが上昇するため、N量は0.001%以上が好ましい。
前記鋼板の表面上には、粒状の亜鉛を含む前記無機ジンク系塗料が、乾燥後の塗膜の厚みが10μm以上になるように塗布される。好ましくは塗膜の厚みを25μm以上とし、より好ましくは50μm以上とする。塗膜は厚いほど耐食性が向上するため、厚みの上限は規定しないが、作業性の観点から200μm以下が好ましい。より好ましくは150μm以下、更に好ましくは100μm以下とする。尚、無機ジンク系塗料の乾燥方法は、特に限定されず、室温下で放置することにより前記無機ジンク系塗料を乾燥しても良い。
一例として寒冷地で使用される融雪剤等に含まれる塩化カルシウムに対する耐食性を確認するため、次の試験を行った。
更に、CrとSnとを同時に含有させた鋼の耐食性、特に、海水の飛沫帯等など、多くの塩化物が飛来し、夜間の結露と昼間の乾燥とが繰り返される腐食環境における耐食性の向上の効果を検証するため、下記の試験を行った。
Claims (15)
- 鋼材と、前記鋼材の表面上に、マグネシウムと粒状の亜鉛を含む厚さ10μm以上の無機ジンク系塗料組成物含有層を有し、
前記無機ジンク系塗料組成物含有層の断面において、前記無機ジンク系塗料組成物含有層の全元素量に対してマグネシウム濃度が0.2質量%以上の領域の面積の割合が5〜55%であることを特徴とする防食塗装鋼材。 - 前記鋼材が、質量%で、
C:0.001%〜0.20%、
Si:0.01%〜3.0%、
Mn:0.1〜3.0%
を含有し、残部がFe及び不純物からなることを特徴とする請求項1に記載の防食塗装鋼材。 - 前記鋼材が、更に、質量%で、
Cr:9.99%以下、
Sn:0.5%以下、
の一方又は両方を含有することを特徴とする請求項2に記載の防食塗装鋼材。 - 前記鋼材が、更に、質量%で、
Cr:9.99%以下、及び
Sn:0.5%以下
を含有することを特徴とする請求項2に記載の防食塗装鋼材。 - 前記鋼材が、更に、質量%で、
Al:2.0%以下、
Cu:2.0%以下、
Ni:2.0%以下、
Mo:1.0%以下、
W:1.0%以下、
Sb:0.5%以下、
V:0.2%以下、
Nb:0.08%以下、
Ti:0.1%以下、
Mg:0.01%以下、
Zr:0.05%以下、
B:0.005%以下、
Ca:0.02%以下、
REM:0.02%以下、
Se:0.1%以下、
Hf:0.1%以下、
Sr:0.1%以下
の1種又は2種以上を含有し、
P:0.03%以下、
S:0.01%以下、
N:0.03%以下
に制限されたことを特徴とする請求項2〜4のうちいずれか1項に記載の防食塗装鋼材。 - 鋼材の表面上に、粒状の亜鉛を含む無機ジンク系塗料を塗布して厚みが10μm以上の塗膜を形成し、前記塗膜の表面に、水溶性のMg化合物を、Mg換算濃度で0.3質量%以上含む溶液を塗布し、または前記塗膜を形成した鋼材を前記溶液中に浸漬させた後に乾燥させることを特徴とする防食塗装鋼材の製造方法。
- 前記鋼材は、質量%で、
C:0.001%〜0.20%、
Si:0.01%〜3.0%、
Mn:0.1〜3.0%を含有し、残部がFe及び不純物からなることを特徴とする請求項6に記載の防食塗装鋼材の製造方法。 - 前記鋼材が、更に、質量%で、
Cr:9.99%以下、
Sn:0.5%以下、
の一方又は両方を含有することを特徴とする請求項7に記載の防食塗装鋼材の製造方法。 - 前記鋼材が、質量%で、
Cr:9.99%以下、及び
Sn:0.5%以下、
を含有することを特徴とする請求項7に記載の防食塗装鋼材の製造方法。 - 前記鋼材が、更に、質量%で、
Al:2.0%以下、
Cu:2.0%以下、
Ni:2.0%以下、
Mo:1.0%以下、
W:1.0%以下、
Sb:0.5%以下、
V:0.2%以下、
Nb:0.08%以下、
Ti:0.1%以下、
Mg:0.01%以下、
Zr:0.05%以下、
B:0.005%以下、
Ca:0.02%以下、
REM:0.02%以下、
Se:0.1%以下、
Hf:0.1%以下、
Sr:0.1%以下
の1種又は2種以上を含有し、
P:0.03%以下、
S:0.01%以下、
N:0.03%以下
に制限されたことを特徴とする請求項7〜9のうちいずれか1項に記載の防食塗装鋼材の製造方法。 - 鋼材の表面に、粒状の亜鉛を含む無機ジンク系塗料を塗布して厚みが10μm以上の塗膜を形成し、前記塗膜の表面に、水溶性のMg化合物を、Mg濃度で0.3質量%以上含む溶液を塗布し、または前記塗膜を形成した鋼材を前記溶液中に浸漬させた後に乾燥させることを特徴とする塗装鋼材の防食方法。
- 前記鋼材は、質量%で、
C:0.001%〜0.20%、
Si:0.01%〜3.0%、
Mn:0.1〜3.0%
を含有し、残部がFe及び不純物からなることを特徴とする請求項11に記載の塗装鋼材の防食方法。 - 前記鋼材が、更に、質量%で、
Cr:9.99%以下、
Sn:0.5%以下、
の一方又は両方を含有することを特徴とする請求項12に記載の防食塗装鋼材の防食方法。 - 前記鋼材が、質量%で、
Cr:9.99%以下、及び、
Sn:0.5%以下、
を含有することを特徴とする請求項12に記載の防食塗装鋼材の防食方法。 - 前記鋼材が、更に、質量%で、
Al:2.0%以下、
Cu:2.0%以下、
Ni:2.0%以下、
Mo:1.0%以下、
W:1.0%以下、
Sb:0.5%以下、
V:0.2%以下、
Nb:0.08%以下、
Ti:0.1%以下、
Mg:0.01%以下、
Zr:0.05%以下、
B:0.005%以下、
Ca:0.02%以下、
REM:0.02%以下、
Se:0.1%以下、
Hf:0.1%以下、
Sr:0.1%以下
の1種又は2種以上を含有し、
P:0.03%以下、
S:0.01%以下、
N:0.03%以下
に制限されたことを特徴とする請求項12〜14のうちいずれか1項に記載の塗装鋼材の防食方法。
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