JP2017030350A - 離型フィルム付銅箔および離型フィルム付銅箔の製造方法 - Google Patents

離型フィルム付銅箔および離型フィルム付銅箔の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は有機フィルムを用いて物理蒸着法で銅層を形成し、表面粗さRaが0.10μm以下を維持しつつも表面を微細に粗化することで絶縁層樹脂との密着強度を確保できる離型フィルム付銅箔を作製することを課題とする。【解決手段】フィルムの少なくとも一方の面に離型層を有し、この離型層上に銅層を有した離型フィルム付銅箔であって、該銅層が厚み0.5μm以上3.0μm以下であり、銅層の表面には5nm以上50nm以下の結晶粒が面積比65%以上含まれていることを特徴とする離型フィルム付銅箔である。【選択図】なし

Description

本発明はプリント配線板用途に好適に使用される離型フィルム付銅箔およびその製造方法に関する。
コンピュータのマイクロプロセッサ等として使用される半導体集積回路素子(以下、「半導体素子」ということがある。)は、近年、高性能化、多機能化が進んでいる。このため、半導体素子の端子間ピッチは狭ピッチ化が求められており、半導体素子が搭載されるプリント配線板であるパッケージ基板等も配線パターンの微細化が求められている。
プリント配線板の配線パターンを形成する方法は、銅張積層板の銅層をエッチング加工することにより製造されてきた。エッチングによる加工法は、例えばサブトラクティブ法やセミアディティブ法がある。サブトラクティブ法は銅張積層板から不要な銅層部分を取り除いて回路を形成する方法であり、配線として残したい部分にインクや塗料を塗布して覆い、金属腐食性の薬品で銅層をエッチングして必要な回路を形成する方法である。一方、セミアディティブ法は絶縁層基板に回路パターンを後から付け加える方法であり、パターンを形成しない部分にレジストを形成し、めっきを施しパターンを形成する方法である。
近年の小型軽量化の図られた電子機器等に搭載するプリント配線板は、部品実装密度を向上させ狭小領域に配置されるため、ファインピッチ回路を形成することが求められてきた。
配線材料には銅箔が好適に用いられ、この要求に応えるために銅箔の厚みを小さくすることが求められていた。ところが、薄い銅箔を使用するほど銅箔のハンドリングが困難となり、シワ等の欠陥が発生しやすくなる。銅箔にシワやピンホールがあると、プレス成型時に銅箔のシワ部分から亀裂が発生し、流動化した絶縁層樹脂が亀裂からしみ出し、銅張積層板の表面が汚染されたり、銅箔の平坦度を損ねたりするおそれがある。これら銅張積層板の欠陥は、その後のプリント配線板の製造工程において形成される配線回路のショートや断線等を起こす原因となる。
フレキシブルタイプの銅張積層板を製造する場合のロールラミネート、キャスティング法等のプレス加工とは異なる方法を用いた場合でも、銅箔に存在したシワは銅張積層板の状態になった以降もその表面に凹凸として残り、同様の問題をおこす。
また銅箔と絶縁層樹脂の密着強度が問題となる。銅箔と絶縁層樹脂の密着強度が低いと上記のエッチングを行ったときに配線剥がれを引き起こす。回路がファインピッチになるほど銅箔と絶縁層樹脂の接地面積が小さくなり、配線剥がれを引き起こしやすくなる。この配線剥がれを起こさないためには0.5N/mm以上の密着強度が必要とされている。
この問題を解決するため様々な提案がなされている。例えば、キャリアシート付銅箔が提案されている(例えば、特許文献1)。銅箔のキャリアシート上に金属層および炭素層を形成し、この上に銅めっきによって銅箔を形成する方法である。キャリアシートを用いることで薄い銅箔のハンドリングの問題を解決し、3〜5μmの薄い銅箔を実現している。この方法では300℃以上の高温加熱後でもキャリアシートを剥離可能としている。
またキャリアに有機フィルムを用いたものがある(例えば、特許文献2)。樹脂フィルム上に無電解めっきおよび電解めっきをこの順序で積層して形成する方法である。この方法では樹脂フィルム上に表面粗さRz2.0〜4.0μmの極薄銅層が得られている。
またキャリアに銅箔を使用し、樹脂との密着を得るために表面を粗化した銅箔がある(例えば、特許文献3)。銅箔上に極薄銅層を形成し、めっき法で粗化する方法である。表面粗化の結晶粒径を制御することで密着強度が得られている。
またキャリアに有機フィルムを用いたものがある(例えば、特許文献4)。プラスチックフィルムを支持体として、離型層にセルロース樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性アクリル樹脂のいずれかを用い、物理蒸着法によって銅を形成する方法である。この方法では表面粗さがプラスチックフィルムに依存するため、表面粗さRaが0.09μm以下のものが得られる。
特開2008−255462号公報 特開2000−141542号公報 特開2015−24515号公報 特開2009−231790号公報
しかしながら、近年、回路システムにおける高速動作を実現するために、高周波信号を伝送可能な配線基板が要求されている。一般に、配線基板の導体層に高周波信号を伝送させる場合は、導体表面の近傍に電流が集中する表皮効果が生じ、周波数が高くなるほど表皮効果の影響によって導体損失が増加していく。そして導体層の表面が粗い場合は表皮効果により電流が導体表面の凹凸部分を集中的に流れることになるため、導体損失の増加が顕著となる。したがって高周波信号を伝送可能な配線基板を作製するためには表面粗さRaが0.10μm以下の平滑な銅箔である必要がある。しかし、この表面粗さを満足しつつ、一方で、高周波用途で用いられる絶縁層樹脂との密着強度を得ることは出来なかった。
特許文献1〜3のようなキャリア付銅箔の場合では、金属箔や有機フィルムに離型層を形成した後、無電解めっきあるいはスパッタリング法で銅のシード層を形成し、その後、電解めっき法で銅箔を形成する。電解めっき法では配線に求められる膜厚均一性を満足しつつ表面粗さを満足することは難しい。銅箔の表面粗さRaは一般的に0.20μm以上のものが多く、めっき液の組成を変更してレベリング性を向上しても表面粗さRaが0.10μm以下の銅箔を作製することは難しい。また表面粗さを小さくすると絶縁層樹脂との密着強度が低くなってしまう。
特許文献4のような銅膜付フィルムの場合、銅層を物理蒸着法で形成する。物理蒸着法で銅層を形成する場合、表面状態は基材の表面に依存するため、基材の表面粗さが小さい基材を選定すれば表面粗さの小さい銅膜を形成することが出来る。よって表面粗さRa0.09μm以下の高周波用途に適した銅膜を作製することができる。ただし単純に表面粗さを小さくする方法では絶縁層樹脂との密着強度が低くなり、配線形成時に配線剥がれが生じてしまう。
そこで本発明では有機フィルムを用いて物理蒸着法で銅層を形成し、表面粗さRaが0.10μm以下を維持しつつも表面を微細に粗化することで絶縁層樹脂との密着強度を確保できる離型フィルム付銅箔を作製することを目的とした。
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討した結果、表面に5nm以上50nm以下の銅の微結晶を形成することで、表面粗さRa0.10μm以下を維持しつつ絶縁層樹脂との密着強度を向上させた離型フィルム付銅箔を得るに至った。
すなわち、本発明は、フィルムの少なくとも一方の面に離型層を有し、この離型層上に銅層を有した離型フィルム付銅箔であって、該銅層が厚み0.5μm以上3.0μm以下であり、銅層の表面には5nm以上50nm以下の結晶粒が面積比65%以上含まれていることを特徴とする離型フィルム付銅箔に関する。
好ましい態要は、該銅槽の表面には5nm以上50nm以下の結晶粒が80%以上含まれていることを特徴とする離形フィルム付銅箔。
好ましい態様は、該銅層の表面粗さRaが0.01μm以上0.10μm以下であることを特徴とする離型フィルム付銅箔に関する。
好ましい態様は、該離型層は厚み0.5nm以上5.0nm以下の炭素層であることを特徴とする離型フィルム付銅箔に関する。
好ましい態様は、該銅層を真空蒸着法によって形成した後、さらにスパッタリング法で形成することを特徴とする離型フィルム付銅箔の製造方法に関する。
本発明の離型フィルム付銅箔は厚みが薄くその表面が平滑なものであり、また真空熱プレスや真空ラミネートなどの熱処理で使用される160℃〜220℃の加熱処理後でも剥離可能であり、この離型フィルム付銅箔と絶縁層シートとを貼りあわせることで銅層表面が平滑な銅張積層板が得られる。この銅張積層板をエッチングすることで銅層と絶縁層樹脂の密着強度が強いプリント配線板を得ることが出来る。この銅張積層板は高周波用途にも好適に用いることができる。
本発明における実施例1の銅層表面のAFM観察画像である。 本発明における実施例1の銅層表面のAFM微分像である。 本明細書における比較例1の銅層表面のAFM観察画像である。 本明細書における比較例1の銅層表面のAFM微分像である。
本発明について以下詳細に説明する。
本発明の離型フィルム付銅箔は、フィルムの一方の面に離型層、銅層がこの順に形成されているものである。
本発明で用いられるフィルムとは、合成樹脂などの高分子を薄い膜上に成型したものである。
本発明における銅層は、かかる高分子からなるフィルムの一方の面の離型層上に物理蒸着法における真空蒸着法により形成された後、さらにスパッタリング法で形成されることが好ましい。
本発明における銅層の厚みは0.5μm以上3.0μm以下が好ましい。3.0μmを超えると銅層自体の反りにより、基材となるフィルムから自然に剥離してしまうおそれがある。また蒸着時に基材にかかる熱量も大きくなり、基材が熱変形してしまうおそれがある。厚みが0.5μm未満であると銅層中のピンホールやボイドが増えてしまう。
真空蒸着法には誘導加熱蒸着法、抵抗加熱蒸着法、レーザービーム蒸着法、電子ビーム蒸着法などがある。どの蒸着法を用いても構わないが高い成膜速度を有する観点から電子ビーム蒸着法が好適に用いられる。蒸着中は基材の温度が上昇しないようにフィルムを冷却しながら蒸着を行ってもよい。
物理蒸着法を用いて成膜した蒸着膜は蒸着膜が厚くなるほど熱の影響を受ける。本発明では銅層の厚みが0.5μm以上3.0μm以下が好ましいため、真空蒸着法のみでこの厚みまで成膜すると結晶粒が成長して100nm以上に大きくなるおそれがある。かかる表面の結晶粒が100nm以上の大きさの銅箔は平滑でアンカー効果が無く絶縁層との密着強度が低い。そこで密着強度を得るためにはこの100nm以上の結晶粒上に5nm以上50nm以下の結晶粒を形成し密着に寄与する微細粗化表面を形成するのがよい。100nm以上の結晶粒上に5nm以上50nm以下の小さな結晶粒を形成するためには、例えばスパッタリング法を用いて形成することができる。真空蒸着法でも形成することが可能であるが、100nm以上の結晶粒を形成した後にさらに5nm以上50nm以下の小さな結晶粒を形成するためには、逐次的に真空蒸着を行う必要がある。連続的に真空蒸着を行うと結晶粒が成長するのみで表面に小さな結晶粒を作ることが困難である。このため工程を2回に分けるかあるいは装置内に2つの蒸着設備を有する必要があり簡易ではなくなる。スパッタリング法は、装置を比較的簡易に設けることができ、また真空蒸着と同ライン上で逐次的に行うことで1つの工程で行うことが可能なため好ましく用いることが出来る。
スパッタリング法で得られる銅層の厚みは10nmから20nm程度であり、真空蒸着法で形成された銅層の厚みに対して非常に薄い。真空蒸着法で形成された銅層の厚みは、本発明の離型フィルム付銅箔の銅層の厚みと近い値である。
本発明における100nm以上の結晶粒上に形成された小さな結晶粒は5nm以上50nm以下であることが好ましい。5nmより小さい結晶粒を形成した場合は微細粗化の影響が小さく密着強度があまり上昇しない。また、50nmよりも大きいと粗化が微細で無くなる上に密着強度が小さくなってしまう。よって5nm以上50nm以下であることが好ましく、さらに好ましくは10nm以上50nm以下である。
本発明における5nm以上50nm以下の結晶粒の割合は、面積比65%以上含まれていることが好ましい。面積比65%より少ないと微細粗化の影響が小さく密着強度が上昇しない。面積比65%以上が好ましく、さらに好ましくは面積比80%以上である。
そして面積比が80%以上のとき、銅層表面には緻密な薄い安定な銅酸化膜が形成されると推察され好ましい。この薄い酸化膜は高温環境においても保護膜として働き、酸化の進行を抑制すると考えられる。そのため、面積比が80%以上の場合は防錆処理を実施する必要がない。一般的な防錆処理は銅表面にベンゾトリアゾール等の薄い有機皮膜を形成して酸素との接触を抑制し、酸化防止するが、樹脂との密着を阻害するために、樹脂との貼り合せ前に除去する必要がある。一方、緻密な薄い安定な銅酸化膜は膜中の酸素を介在して、樹脂の末端基等と結合し、密着力がより増加すると推察され好ましい。
本発明では真空蒸着法によってロールトゥロールでフィルム上に銅層を形成することが好ましく例示される。その場合、フィルムは蒸着時に熱に曝される。フィルムは裏面に接している冷却ロールにより冷却されるが、このときフィルムの耐熱温度が低かったり、フィルムの熱収縮が大きかったりすると、フィルムの変形に伴って冷却ロールから浮いてしまい、冷却が十分にされず溶融により穴が空いてしまったりする。よって耐熱温度が高く、また、熱収縮が小さい方が好まれる。電子ビーム法によって銅層を形成するときの蒸着時のフィルム上の温度は100〜120℃程度であることが想定される。このため耐熱温度が120℃以上あり、120℃での熱収縮率がフィルムの長手方向(MD方向ともいう)、幅方向(TD方向ともいう)のいずれも2.0%以下であることが好ましい。2.0%を超えると張力変更やロールの冷却によってフィルムの変形を制御することが難しく、上記銅層の厚みを形成しようとするとフィルムがロールから離れてフィルムの温度が上昇し溶融して穴が空いてしまうおそれがある。より好ましくは熱収縮率が1.8%以下、さらに好ましくは1.5%以下である。フィルムの熱収縮率は所定の温度で30分間処理した前後の寸法変化率より得ることが出来る。
本発明の離型フィルム付銅箔は、絶縁層樹脂と貼り合わせる工程において熱で処理する工程を有することがあり、その場合、耐熱性が要求される。ここで絶縁層樹脂はエポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂を含んでおり、貼り合わせ時に樹脂を硬化させる必要があるため、真空熱プレス等を必要とする。この温度条件は絶縁層樹脂の種類によって様々であるが微細配線を必要とする箇所では220℃程度の温度条件を必要とする。よってフィルムの融点は220℃以上であることが好ましい。さらに好ましくは230℃以上である。
本発明で好適に用いられるフィルムとして、例えばポリイミドフィルム、シンジオタクチックポリスチレンフィルム、芳香族ポリアミドフィルム、変性ポリフェニレンエーテルフィルム、フッ素系フィルム、液晶ポリマーフィルムを用いることができる。このうちポリイミドフィルムがより好ましく用いられる。これらのフィルムは単独で用いても構わないし、複合されたものを用いても構わない。また該貼り合わせ工程の温度条件を満たせば表面に樹脂等をコーティングしたものを用いても構わない。
またかかるフィルムの厚みは25μm以上150μm以下であることが好ましい。フィルムの厚みが25μm未満であると蒸着中に生じる応力によってフィルムが変形したり破れたりしてしまう可能性がある。また150μmを超えるとフィルムを張力で制御できなくなり巻きズレ等をおこしてしまう可能性があり、また一度の蒸着で投入できる量が減ってしまい生産性を悪くしてしまう。より好ましくは35μm以上125μm以下である。
本発明では、フィルムの少なくとも一方の面に離型層を有している。フィルムと離型層を含めて離型フィルムということがある。離型層は、かかる離型層の上に銅層が形成できればよく、また、銅層形成後に絶縁層シートと離型フィルム付銅箔の銅箔面を貼り合わせた後、フィルムと銅箔を引き剥がすことができればよい。剥離した後の離型層はフィルムと銅箔のどちらに付いていても構わない。
本発明における離型層はメラミン樹脂、セルロース樹脂、炭素層等が好適に用いられる。どの離型層を用いても構わないが炭素層が好ましく用いられる。メラミン樹脂やセルロース樹脂はフィルム状に塗工することによって形成されるのに対し、炭素層はスパッタリング法やCVD法で形成できるため1つの装置内で銅層の形成と同時に行うことができる。このため、炭素層が好ましく用いられる。
本発明において例えば電子ビーム法を用いて蒸着を行うと、フィルムや離型層は電子線の影響を受ける。電子線によって分子鎖が切断したり、また切断した分子同士が架橋したりすると想定される。このためフィルム自体が劣化することや、フィルムと離型層が化学的に結合してしまい剥離できなくなってしまうことが生じる。よって本発明における離型層は結合数が多い炭素層が好適に用いられる。
また、かかる離型層の形成方法は蒸着による方法や有機溶媒中から炭素膜を電気的に析出させる方法がある。蒸着による方法では、アークイオンプレーティング法、マグネトロンスパッタリング法、高周波プラズマCVD法、パルス方式直流プラズマCVD法、イオン化蒸着法、プラズマイオン注入成膜法などが例示される。比較的簡易に装置化出来るマグネトロンスパッタリング蒸着法が好ましく用いられる。
かかる炭素層の厚みは0.5nm以上5.0nm以下であることが好ましい。0.5nm未満であると炭素層が薄いためフィルムと銅がうまく剥離できない。また層が薄く電子ビームの影響によって複数の結合が切断されたときに、分子鎖が切断されやすくなる。また、5.0nmを超えると炭素層と銅層の剥離力が弱くなってしまい、蒸着搬送中に剥離をおこしてしまうおそれがある。より好ましくは1.0nm以上4.0nm以下である。
かかる炭素層の厚みは直接測定することが困難であるが透過率から後述するランバート・ベールの法則
を用いて算出することが出来る。ここでIは薄膜通過前の光量、Iは薄膜通過後の光量、αは吸光係数、Zは膜厚、kは消衰係数、λは波長である。
本発明における離型層にメラミン樹脂やセルロース樹脂を用いた場合、離型層の厚みは特に限定されないが、該樹脂を溶媒で希釈してフィルム表面に塗工し溶媒を乾燥させて該離型層を形成する。このため0.1μm以上2.0μm以下とすることが好ましい。0.1μm未満は膜厚を調整することが困難であり、2.0μmを超えると溶媒を希釈する量が増えるため乾燥に時間を要してしまう。より好ましくは0.2μm以上1.0μm以下である。
本発明の離型フィルム付銅箔は、離型層と接していない面の銅層の表面粗さRaが0.01μm以上0.10μm以下であることが好ましい。0.10μmを超えると表面が粗いことによって表皮効果の影響により導体損失が増加してしまい、高周波用途に用いることが難しくなる。より好ましくは0.05μm以下、さらに好ましくは0,03μm以下である。
また本発明の離型フィルム付銅箔の銅層はフィルムの表面粗さに依存する。かかる理由からフィルムについても少なくとも離型層と接する面の表面粗さRaが0.10μm以下であることが好ましい。より好ましくは0.05μm以下、さらに好ましくは0,03μm以下である。
本発明で得られる銅箔は真空熱プレスや真空ラミネートなどの220℃までの熱処理後も剥離可能であり、絶縁層シートと貼りあわせることで銅層表面が平滑な銅張積層板が得られる。この銅張積層板はエッチングすることで配線上に欠点が少なく良好な回路パターンのプリント配線板を得ることが出来る。またこの銅張積層板は高周波用途にも好適に用いることができる。
また本発明で得られる銅箔は回路用途が主であるがこれに限らず、例えば、電磁波などのシールド用途、タッチパネルなどの転写箔の用途などに用いることができる。
なお、本発明は、以上に説明した各構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(表面粗さの測定)
表面粗さRaはJIS B 0601-1994に定義される算術平均粗さのことであり、粗さ曲線からその平均線の方向に基準粗さ(l)だけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線の方向にX軸を、X軸と直行する方向にY軸を取り、粗さ曲線をy=f(x)であらわしたときに、次の式によって求められる値である。
フィルムおよび離型フィルム付銅箔をレーザー顕微鏡(キーエンス製、VK-8500)を用いて表面観察を行いJIS B0601-1994に準拠して行った。解析は株式会社キーエンス製の解析アプリケーションソフトVK-H1Wを用い、カットオフ値は0.25μmとした。該ソフトにおいて、100μmの長さを指定して表面粗さRaを求めた。測定はサンプルのある一方向とその垂直な方向で測定して値の大きな方を表面粗さRaとした。
(銅層の厚み測定)
離型フィルム付銅箔の銅層の厚みは蛍光X線膜厚計(エスエスアイ・ナノテクノロジー製、SFT9400)にて測定した。
(炭素層の厚み)
フィルムに成膜した炭素層の透過率を透過率計で測定し、得られた値からランバート・ベールの法則
から膜厚を算出した。ここでIは薄膜通過前の光量、Iは薄膜通過後の光量、αは吸光係数、Zは膜厚、kは消衰係数、λは波長である。I/Iを透過率として波長632.8nmのときの消衰係数0.047の値を採用し、炭素層の膜厚とした。
(真空プレス後の剥離試験)
離型フィルム付銅箔を340mm×340mmの大きさにカットして、アドフレマNC0204(ナミックス(株)製)との貼り合わせを行った。貼り合わせは110℃、30min、0.5MPaの後、220℃で105min、3.0MPaの条件で真空プレスを行った。真空条件は16torrとした。貼り合わせ後にフィルムがスムーズに剥離可能であったものを◎とし、剥離可能であったが、剥離中にフィルムが破れたり、一部剥離が困難であったりしたものを○とし、剥離できなかったものは×とした。
また、貼り合わせた銅張品を150mm×20mmの大きさにカットした。離型層を介してフィルムを銅層から一部剥離してテンシロンに固定し、フィルムを180°ピールで剥離して得られた値を1mm当りの剥離力に換算して剥離力とした。剥離力は0.1×10−2N/mm以上9.0×10−2N/mm未満の範囲を良好な範囲で◎とし、9.0×10−2N/mm以上1.5×10−1N/mm以下の範囲を剥離可能な範囲で○とし、それ以外のものは×とした。
(樹脂との密着強度)
離型フィルム付銅箔と絶縁層シートとを貼りあわせた銅張積層板の銅部にめっき処理をして銅厚みを20μmまでの銅厚みとした。その後サンプルを10mm幅に切り取り両面テープでアクリル板に固定した。その後テンシロン試験機で50mm/minの速度で引き剥がし、密着強度を測定した。密着強度は0.7N/mm以上を密着強度が良好な範囲で◎、0.4N/mm以上7.0N/mm未満の範囲を密着強度が十分な範囲で○とした。
(結晶粒の径と粒子数、面積率)
原子間力顕微鏡(日立ハイテクサイエンス製AFM5200S)を用いて離型フィルム付銅箔の銅層側表面の観察を行った。観察は1μm×1μmで行い、画像エンハンスドソフトウェア「LucisPro MT/R」(三谷商事製)でエッジ強調を行った後、画像解析・計測ソフトウェア「WinROOF2015 Standard」(三谷商事製)を用いて観察画像の結晶粒径と粒子数をカウントし、結晶粒の面積率を算出した。
(表面の耐酸化性について)
クリーンオーブンを用いて離型フィルム付銅箔をそのまま大気雰囲気で140℃1時間の熱処理を行い、熱処理後の変色具合で耐酸化性を判断した。表面の色が青く変色してしまったものを×、変色しないで銅の色を維持できているもの○とした。
(実施例1)
厚さ50μmの2軸配向ポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製、商標名“カプトン”タイプ:200EN)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。フィルムの表面粗さRaは0.06μmであった。
炭素層形成のスパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて2kwを採用した。また、炭素層の透過率は99.91%であり換算式から算出した炭素層膜厚は1.0nmであった。
この離型フィルムの炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度2.0μm・m/min、ライン速度1.0m/minで2.0μmの厚さに真空蒸着した後にマグネトロンスパッタリング法で銅微結晶を形成して離型フィルム付銅箔を作製した。スパッタリング条件による銅微結晶の形成条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5.0kwを採用した。この銅層の厚みは2.06μm、表面粗さRaは0.06μmであった。この銅層表面のAFM観察画像は図1、微分像は図2のようになった。5nm以上50nm以下の結晶粒の面積比は88.8%であった。
真空プレスで樹脂との貼り合わせを行ったところプレス後も良好に剥離できプレス後のフィルムの剥離力は0.9×10−2N/mmであった。この貼り合わせ後の銅箔と樹脂の密着強度は0.87N/mmであった。
また、離型フィルム付銅箔をそのまま大気雰囲気で140℃1時間の熱処理を行ったが、銅箔表面は変色することはなかった。
(実施例2)
厚さ50μmの2軸配向ポリイミドフィルム(宇部興産(株)製、商標名“ユーピレックス―S”タイプ:50S)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。フィルムの表面粗さRaは0.21μmであった。
炭素層形成のスパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて3kwを採用した。また、炭素層のみでの透過率は99.86%であり換算式から算出した炭素層膜厚は1.5nmであった。
この離型フィルムの炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度2.0μm・m/min、ライン速度1.0m/minで2.0μmの厚さに真空蒸着した後にマグネトロンスパッタリング法で銅微結晶を形成して離型フィルム付銅箔を作製した。スパッタリング条件による銅微結晶形成条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて1.2kwを採用した。この銅層の厚みは2.01μm、表面粗さRaは0.21μmであった。この銅層表面の5nm以上50nm以下の結晶粒の面積比は68.2%であった。
真空プレスで樹脂との貼り合わせを行ったところプレス後も良好に剥離できプレス後のフィルムの剥離力は0.65×10−2N/mmであった。この貼り合わせ後の銅箔と樹脂の密着強度は0.41N/mmであった。
また、離型フィルム付銅箔をそのまま大気雰囲気で140℃1時間の熱処理を行ったが、銅箔表面は青く変色した。
(実施例3)
厚さ50μmの2軸配向ポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製、商標名“カプトン”タイプ:200EN)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。フィルムの表面粗さRaは0.05μmであった。
炭素層形成のスパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて2kwを採用した。また、炭素層のみでの透過率は99.91%であり換算式から算出した炭素層膜厚は1.0nmであった。
この離型フィルムの炭素層形成面に抵抗加熱蒸着法によって銅を成膜速度2.0μm・m/min、ライン速度1.0m/minで2.0μmの厚さに真空蒸着した後にマグネトロンスパッタリング法で銅微結晶を形成して離型フィルム付銅箔を作製した。スパッタリング条件による銅微結晶形成条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて2.5kwを採用した。この銅層の厚みは2.03μm、表面粗さRaは0.05μmであった。この銅層表面の5nm以上50nm以下の結晶粒の面積比は79.4%であった。
この離型フィルム付銅箔の剥離していない部分を利用して真空プレスで樹脂との貼り合わせを行ったところプレス後も良好に剥離できプレス後のフィルムの剥離力は0.90×10−2N/mmであった。この貼り合わせ後の銅箔と樹脂の密着強度は0.61N/mmであった。
また、離型フィルム付銅箔をそのまま大気雰囲気で140℃1時間の熱処理を行ったが、銅箔表面は青く変色した。
(実施例4)
厚さ50μmの2軸配向ポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製、商標名“カプトン”タイプ:200EN)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。フィルムの表面粗さRaは0.06μmであった。
炭素層形成のスパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて0.4kwを採用した。また、炭素層のみでの透過率は99.96%であり換算式から算出した炭素層膜厚は0.4nmであった。
この離型フィルムの炭素層形成面に誘導加熱蒸着法によって銅を成膜速度2.0μm・m/min、ライン速度1.0m/minで2.0μmの厚さに真空蒸着した後にマグネトロンスパッタリング法で銅微結晶を形成して離型フィルム付銅箔を作製した。スパッタリング条件による銅微結晶形成条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5.0kwを採用した。この銅層の厚みは2.02μm、表面粗さRaは0.06μmであった。この銅層表面の5nm以上50nm以下の結晶粒の面積比は87.9%であった。
真空プレスで樹脂との貼り合わせを行ったところプレス後に一部剥離しにくくなる部分が生じた。良好に剥離できる部分を利用して剥離力と樹脂との密着強度を測定した。プレス後のフィルムの剥離力は1.8×10−2N/mmであった。この貼り合わせ後の銅箔と樹脂の密着強度は0.86N/mmであった。
また、離型フィルム付銅箔をそのまま大気雰囲気で140℃1時間の熱処理を行ったが、銅箔表面は変色することはなかった。
(実施例5)
厚さ50μmの2軸配向ポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製、商標名“カプトン”タイプ:200EN)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。フィルムの表面粗さRaは0.06μmであった。
炭素層形成のスパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて2kwを採用した。また、炭素層の透過率は99.91%であり換算式から算出した炭素層膜厚は1.0nmであった。
この離型フィルムの炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度2.0μm・m/min、ライン速度1.0m/minで2.0μmの厚さに真空蒸着した後にマグネトロンスパッタリング法で銅微結晶を形成して離型フィルム付銅箔を作製した。スパッタリング条件による銅微結晶の形成条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて8.0kwを採用した。この銅層の厚みは2.06μm、表面粗さRaは0.06μmであった。この銅層表面のAFM観察画像は図1、微分像は図2のようになった。5nm以上50nm以下の結晶粒の面積比は78.9%であった。
真空プレスで樹脂との貼り合わせを行ったところプレス後も良好に剥離できプレス後のフィルムの剥離力は0.90×10−2N/mmであった。この貼り合わせ後の銅箔と樹脂の密着強度は0.54N/mmであった。
また、離型フィルム付銅箔をそのまま大気雰囲気で140℃1時間の熱処理を行ったが、銅箔表面は青く変色した。
(実施例6)
厚さ50μmの2軸配向ポリイミドフィルム(宇部興産(株)製、商標名“ユーピレックス―S”タイプ:50S)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。フィルムの表面粗さRaは0.21μmであった。
炭素層形成のスパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて3kwを採用した。また、炭素層のみでの透過率は99.86%であり換算式から算出した炭素層膜厚は1.5nmであった。
この離型フィルムの炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度2.0μm・m/min、ライン速度2.0m/minで1.0μmの厚さに真空蒸着した後にマグネトロンスパッタリング法で銅微結晶を形成して離型フィルム付銅箔を作製した。スパッタリング条件による銅微結晶形成条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kwを採用した。この銅層の厚みは0.98μm、表面粗さRaは0.21μmであった。この銅層表面の5nm以上50nm以下の結晶粒の面積比は79.4%であった。
真空プレスで樹脂との貼り合わせを行ったところプレス後も良好に剥離できプレス後のフィルムの剥離力は0.65×10−2N/mmであった。この貼り合わせ後の銅箔と樹脂の密着強度は0.60N/mmであった。
(実施例7)
厚さ50μmの2軸配向ポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製、商標名“カプトン”タイプ:200EN)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。フィルムの表面粗さRaは0.05μmであった。
炭素層形成のスパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて10kwを採用した。また、炭素層のみでの透過率は99.42%であり換算式から算出した炭素層膜厚は6.2nmであった。
この離型フィルムの炭素層形成面に抵抗加熱蒸着法によって銅を成膜速度3.0μm・m/min、ライン速度5.0m/minで0.6μmの厚さに真空蒸着した後にマグネトロンスパッタリング法で銅微結晶を形成して離型フィルム付銅箔を作製した。搬送中に一部銅層とフィルムの剥離が生じた。スパッタリング条件による銅微結晶形成条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて6kwを採用した。この銅層の厚みは0.63μm、表面粗さRaは0.05μmであった。この銅層表面の5nm以上50nm以下の結晶粒の面積比は68.3%であった。
この離型フィルム付銅箔の剥離していない部分を利用して真空プレスで樹脂との貼り合わせを行ったところプレス後も良好に剥離できプレス後のフィルムの剥離力は0.3×10−2N/mmであった。この貼り合わせ後の銅箔と樹脂の密着強度は0.42N/mmであった。
(比較例1)
厚さ50μmの2軸配向ポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製、商標名“カプトン”タイプ:200EN)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。フィルムの表面粗さRaは0.06μmであった。
炭素層形成のスパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて2kwを採用した。また、炭素層のみでの透過率は99.91%であり換算式から算出した炭素層膜厚は1.0nmであった。
この離型フィルムの炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度2.0μm・m/min、ライン速度1.0m/minで2.0μmの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。スパッタリングによる銅微結晶形成は行わなかった。この銅層の厚みは1.99μm、表面粗さRaは0.06μmであった。この銅層表面のAFM観察画像は図3、微分像は図4のようになった。5nm以上50nm以下の結晶粒の面積比は61.4%であった。
真空プレスで樹脂との貼り合わせを行ったところプレス後も良好に剥離できプレス後のフィルムの剥離力は0.9×10−2N/mmであった。この貼り合わせ後の銅箔と樹脂の密着強度は0.21N/mmであった。
また、離型フィルム付銅箔をそのまま大気雰囲気で140℃1時間の熱処理を行ったが、銅箔表面は青く変色した。
(比較例2)
厚さ50μmの2軸配向ポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製、商標名“カプトン”タイプ:200EN)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。フィルムの表面粗さRaは0.06μmであった。
炭素層形成のスパッタリング条件としては、50mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて2kwを採用した。また、炭素層のみでの透過率は99.91%であり換算式から算出した炭素層膜厚は1.0nmであった。
この離型フィルムの炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度2.0μm・m/min、ライン速度0.4m/minで5.0μmの厚さに真空蒸着しようとしたところ、成膜中に銅箔が剥がれてしまい離型フィルム付銅箔を作製することが出来なかった。

Claims (5)

  1. フィルムの少なくとも一方の面に離型層を有し、この離型層上に銅層を有した離型フィルム付銅箔であって、該銅層が厚み0.5μm以上3.0μm以下であり、銅層の表面には5nm以上50nm以下の結晶粒が面積比65%以上含まれていることを特徴とする離型フィルム付銅箔。
  2. 該銅槽の表面には5nm以上50nm以下の結晶粒が80%以上含まれていることを特徴とする請求項1記載の離形フィルム付銅箔。
  3. 該銅層の表面粗さRaが0.01μm以上0.10μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の離型フィルム付銅箔。
  4. 該離型層は厚み0.5nm以上5.0nm以下の炭素層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の離型フィルム付銅箔。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の離型フィルム付銅箔の製造方法であって、該銅層を、真空蒸着法によって形成した後、さらにその上にスパッタリング法で形成することを特徴とする離型フィルム付銅箔の製造方法。
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