JP2017025965A - 湿式クラッチ装置 - Google Patents

湿式クラッチ装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2017025965A
JP2017025965A JP2015142799A JP2015142799A JP2017025965A JP 2017025965 A JP2017025965 A JP 2017025965A JP 2015142799 A JP2015142799 A JP 2015142799A JP 2015142799 A JP2015142799 A JP 2015142799A JP 2017025965 A JP2017025965 A JP 2017025965A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
canceller
clutch device
inner peripheral
return spring
wet clutch
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015142799A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6496625B2 (ja
Inventor
小栗 和夫
Kazuo Oguri
和夫 小栗
祥司 菅谷
Shoji Sugaya
祥司 菅谷
鈴木 康之
Yasuyuki Suzuki
康之 鈴木
龍史 西田
Ryuji Nishida
龍史 西田
雄亮 寺田
Takesuke Terada
雄亮 寺田
秀彰 酒井
Hideaki Sakai
秀彰 酒井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NHK Spring Co Ltd
Dynax Corp
JATCO Ltd
Original Assignee
NHK Spring Co Ltd
Dynax Corp
JATCO Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NHK Spring Co Ltd, Dynax Corp, JATCO Ltd filed Critical NHK Spring Co Ltd
Priority to JP2015142799A priority Critical patent/JP6496625B2/ja
Publication of JP2017025965A publication Critical patent/JP2017025965A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6496625B2 publication Critical patent/JP6496625B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)

Abstract

【課題】製造コストを増加させることなくキャンセラの摩耗を軽減する。
【解決手段】ピストン60の油圧室63と反対側の表面は、リターンスプリング90の外周側縁部を支持し、リターンスプリング90の内周側縁部は、キャンセラ80によって支持されている。キャンセラ80とピストン60との間には、キャンセラ油室64が形成されている。リターンスプリング90には、内周側へ突出する複数のレバー部92が形成され、レバー部92は、キャンセラ80の油排出窓88に支持され、キャンセラ80の油排出窓88の縁部はリターンスプリング90のレバー部92の表面に当接している。
【選択図】図3

Description

本発明は、リターンスプリングとして皿ばねを用いた湿式クラッチ装置に係り、特に、皿ばねが当接するキャンセラの摩耗を軽減する技術に関する。
湿式クラッチ装置は、一般的な構造としてクラッチドラムの内周面に軸線方向へ移動可能かつ相対回転不能に設けたメーティングプレートと、クラッチドラムの内周側に設けたクラッチハブの外周面に軸線方向へ移動可能かつ相対回転不能に設けた摩擦板とを、油圧によって軸線方向へ移動させたピストンによって押圧して互いに摩擦接続し、クラッチドラムのトルクをクラッチハブに伝達するように構成されている。この場合において、油圧は、クラッチドラムとピストンとの間に設けた油圧室に作動油を供給することで得られ、ピストンを挟んで油圧室との反対側に空間を設けてその空間に作動油を供給し、油圧室に対抗する遠心油圧を発生させる構造を選択する場合が多くみられる。
上記のような空間はキャンセラ油室と呼ばれ、空間を構成する仕切り部材はキャンセラと呼ばれるリング状のもので構成されている。キャンセラは、キャンセラ油室の内周をシール部材で密閉し、その内周側縁部は、ドラム部品と一体とされたスナップリングによって固定されている。また、キャンセラとピストンの間にはリターンスプリングが設けられ、油圧室の作動油が排出されると、その荷重によりピストンが原点位置に復帰しクラッチトルク伝達が解放される。
たとえば、特許文献1に記載の技術では、図1に示すように、内側クラッチ機構21には、キャンセラ油室64が設けられ、ピストン60の右側に、キャンセラ油室64を液密に閉塞するキャンセラ80が配置されている。このキャンセラ80とピストン60との間にはリターンスプリング70が設けられ、キャンセラ80は、その内周縁部がスナップリング67に係止されることでリターンスプリング70の内周側縁部を支持している。そして、キャンセラ油室64には常時作動油が充填されていて、油圧室63に発生する遠心油圧荷重に対向する遠心油圧荷重を発生させて軸回転のピストン荷重への影響を排除している。
特表平09−512888号公報
上記特許文献1に記載の技術では、ストロークをかせぐために内周側にレバー部71を設けたリターンスプリング70を使用しているが、レバー部71を設けない内周全周で接触するリターンスプリングと比較して接触長が短くなることにより面圧が高くなり、結果としてキャンセラがリターンスプリング70に削られて摩耗し易いという問題があった。そこで、キャンセラの摩耗を抑制するために、リターンスプリングとキャンセラとの間に別の部品を介装するか、キャンセラに熱処理を施して硬度を高めるか、あるいは、リターンスプリングのキャンセラと接触する部分を弧状に面取りする等の方策が考えられる。しかしながら、いずれの方策も湿式クラッチ装置の製造コストの上昇につながる問題があった。
よって、本発明は、製造コストを増加させることなくキャンセラの摩耗を軽減することができる湿式クラッチ装置を提供することを目的とする。
本発明の湿式クラッチ装置は、筒状部を有する第1部材と、該第1部材の内部に設けられ筒状部を有する第2部材と、第1部材の筒状部の内周部に軸線方向へ移動可能かつ相対回転不能に設けられた第1リング部材と、第2部材の筒状部の外周部に軸線方向へ移動可能かつ相対回転不能に設けられた第2リング部材と、第1部材との間に液圧室を形成するとともに第1部材と第2部材との間で軸線方向へ移動可能に設けられ、押圧軸線方向へ移動させられて第1リング部材および第2リング部材を互いに摩擦接触させる押圧部材と、押圧部材を押圧軸線方向と逆方向へ付勢する皿ばねと、押圧部材との間に空間を形成するとともに皿ばねの内周部を支持するリング状の仕切り部材とを備える湿式クラッチ装置において、仕切り部材は、その内周部に半径方向に切り欠かれてなる複数の凹部を備え、皿ばねは、その内周部に半径方向に突出する複数の凸部を備え、凸部は凹部に支持されていることを特徴とする。
本発明においては、皿ばねの内周凸部を仕切り部材の凹部で支持する皿ばね内周側の支持構成とすることにより、皿ばねの縁部によって仕切り部材の面が削られるという状況が回避される。具体的には、図7(A)に示すように、皿ばね90の内周側先端の縁部が仕切り部材80の表面に当接していた従来の構成に代えて、図7(B)に示すように、仕切り部材80の凹部88の外周側縁部を皿ばね90の内周側の支持点とする。さらに、皿ばね90の内周凸部を仕切り部材80の凹部88に挿入し、支持点位置を皿ばね90の内周端部から外周側にずらして、組み付ける。このように、本発明では、仕切り部材への皿ばねの内周側先端の縁部の当たりを解消するとともに、仕切り部材の縁部を皿ばね表面が滑ることで仕切り部材の摩耗を軽減することができる。
さらに、押圧部材と仕切り部材との間に構成される空間には、第1部材が固定された軸に設けた連通孔を介して作動液の供給が行われるが、押圧部材の加圧移動時に、当該空間の体積変化を吸収するために、仕切り部材に作動液の排出窓を設けることが一般的である。本発明においては、その油排出窓を内周部に向かう切り欠き状の凹部とすることにより、皿ばねの内周側凸部の支持部として併用して用いることができる。この切り欠き状の凹部は仕切り部材の内周縁に設けられるものであり、プレス加工等による仕切り部材の成形時に容易に形成することが可能である。したがって、製造コストの上昇を抑えることができる。
また、仕切り部材の凹部の皿ばねと接触する部分に面取りを設けることができる。面取りは、切削やプレス加工によって形成することもできるが、凹部をパンチで打ち抜く際に凹部の縁部に生じる肉流れ(ダレ)を面取りとすることもできる。このような面取りを設けることにより、凹部のシャープエッジが除去され、図14に示すとおり、仕切り部材が皿ばねから受ける面圧が低減され、仕切り部材の摩耗をさらに軽減することができる。
仕切り部材の面取りにより面圧が低減する効果を図14に示す。図14における破線(中間押しR)は、図7(B)において仕切り部材80の凹部88の外周側縁部の断面における曲率半径を0.5mmとした場合の仕切り部材80に作用する面圧を示すものであり、図7(B)の場合(実線)と比較して面圧が大幅に低減される。
本発明によれば、皿ばねの凸部を仕切り部材の凹部で支持したことにより、製造コストを増加させることなく仕切り部材の摩耗を抑制することができる等の効果が得られる。
特許文献1に示す湿式クラッチ装置における第1のクラッチおよび第2のクラッチを示す断面図である。 図1の矢印II方向矢視であってキャンセラを示す平面図である。 本発明の実施形態の湿式クラッチ装置における湿式多板式クラッチ機構を示す断面図である。 本発明の実施形態の湿式クラッチ装置におけるキャンセラを示す平面図である。 本発明の実施形態の湿式クラッチ装置におけるリターンスプリングを示す平面図である。 本発明の実施形態の湿式クラッチ装置におけるキャンセラおよびリターンスプリングの配置を示す平面図である。 (A)は従来の湿式クラッチ機構における皿ばねとキャンセラとの関係を示す側断面図、(B)は本発明の実施形態における皿ばねとキャンセラとの関係を示す側断面図である。 図3の一部を拡大した断面図である。 本発明の実施形態の変形例のキャンセラを示す平面図である。 本発明の実施形態の変形例の皿ばねを示す平面図である。 実施形態の変形例におけるキャンセラおよびリターンスプリングの配置を示す平面図である。 本発明の実施形態の他の変形例の皿ばねを示す平面図である。 実施形態の他の変形例におけるキャンセラおよびリターンスプリングの配置を示す平面図である。 本発明における皿ばねの荷重とキャンセラに作用する面圧との関係をシミュレーションした結果を示すグラフである。
1.湿式クラッチ装置の全体構成
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。実施態様の説明に先立ち、特許文献1に示すような一般的な湿式クラッチ装置の構成を説明する。図1は湿式クラッチ装置の概略の全体構成を表す側断面図である。湿式クラッチ装置は、外側クラッチ機構11と内側クラッチ機構21を備えている。各クラッチ機構11、21は、同一の回転軸線を有している。
外側クラッチ機構11は、入力軸24と一体化された略有底円筒状をなすクラッチドラム(第1部材)13を備え、その内周面には、軸線方向に延在する複数のスプライン溝が円周方向に等間隔に形成されている。クラッチドラム13の内部には、クラッチドラム13と回転軸線位置が一致する筒状のクラッチハブ(第2部材)31が設けられ、その外周面には、軸線方向に延在する複数のスプライン溝が円周方向に等間隔に形成されている。
クラッチドラム13とクラッチハブ31との間には、クラッチドラム13のスプライン溝に嵌合するメーティングプレート(第1リング部材)33と、クラッチハブ31のスプライン溝に嵌合する摩擦板(第2リング部材)32とが設けられている。それらメーティングプレート33および摩擦板32は、軸線方向に移動可能に所定の間隔をおいて交互に配置されている。
クラッチドラム13の底面側(図1の左側)には、軸線方向に移動可能なピストン(押圧部材)50が配置されている。クラッチドラム13とピストン50との間には、作動油が供給される油圧室(液圧室)53が形成されている。ピストン50の油圧室53と反対側の表面は、そこに負荷される荷重によって伸縮するリターンスプリング(皿ばね)51の外周側縁部を支持している。図1に示すように、リターンスプリング51の内周側には、そのストロークをかせぐためにレバー部52が設けられている。レバー部52は、スナップリング(係止部材)56によって支持されている。リターンスプリング51は、ピストン50をクラッチドラム13の底面側へ付勢している。
リターンスプリング51の図1中右側には、キャンセラ(仕切り部材)55が配置されている。キャンセラ55は、その内周側縁部が入力軸24に固定され、他端部は軸線方向に延在して後述する内側クラッチ機構21のクラッチドラム23とされている。キャンセラ55とピストン50との間には、キャンセラ油室(空間)54が形成されている。キャンセラ油室54は、内部に作動油が充填されることにより軸線周りの回転に起因して油圧室53内に発生する遠心油圧に対抗する油圧を発生させ荷重のバランスを取るようにしている。
クラッチドラム13の開口側には、メーティングプレート33および摩擦板32を支持するためのリテーニングプレート34が配置されている。リテーニングプレート34の開口側表面には、それの外部への離脱防止のためのスナップリング35が配置されている。
次に、内側クラッチ機構21は、略有底円筒状をなすクラッチドラム(第1部材)23を備えている。クラッチドラム23は、外側クラッチ機構11のクラッチハブ31の内側の略円筒状の空洞に収容されている。クラッチドラム23の内周面には、軸線方向に延在する複数のスプライン溝が円周方向に等間隔に形成されている。クラッチドラム23の内部には、クラッチドラム23と回転軸線位置が一致するクラッチハブ(第2部材)41が設けられ、クラッチハブ41の外周面には、軸線方向に延在する複数のスプライン溝が円周方向に等間隔に形成されている。
クラッチドラム23とクラッチハブ41との間には、クラッチドラム23のスプライン溝に嵌合するメーティングプレート(第1リング部材)43と、クラッチハブ41のスプライン溝に嵌合する摩擦板(第2リング部材)42とが設けられている。それらメーティングプレート43および摩擦板42は、軸線方向に移動可能に所定の間隔をおいて交互に配置されている。クラッチドラム23の開口側には、メーティングプレート43および摩擦板42を支持するためのリテーニングプレート44が配置されている。リテーニングプレート44の開口側表面には、それの外部への離脱防止のためのスナップリング45が配置されている。
クラッチドラム23の底面側には、軸線方向に移動可能にピストン(押圧部材)60が配置されている。クラッチドラム23とピストン60との間には、作動油が供給される油圧室(液圧室)63が形成されている。ピストン60の油圧室63と反対側の表面は、そこに負荷される圧力によって伸縮するリターンスプリング(皿ばね)70の外周側縁部を支持している。
内側クラッチ機構のリターンスプリング70は、そのストロークをかせぐために、内周側に凸状をなすレバー部(凸部)71を円周方向に複数有する形状になっており、その内周側縁部は、キャンセラ(仕切り部材)80の表面によって支持されている。この場合、レバー部71を設けない内周全周で接触するリターンスプリングと比較して接触長が短くなることにより面圧が高くなり、結果としてキャンセラ80の表面がリターンスプリング70に削られることになる。
図1に示すように、キャンセラ80はスナップリング(係止部材)67によって支持されている。図2はキャンセラ80を示す平面図である。図2に示すように、キャンセラ80は略リング状をなしている。キャンセラ80の内周部には、長孔からなる複数(この実施形態では8個)の油排出窓84が周方向に等間隔に形成されている。油排出窓84は、作動油の排出のために形成されたものである。油排出窓84と油排出窓84の間にはスナップリング67の抜け止め用の凸部86が形成されている。なお、図2において符号87はO−リングである。
キャンセラ80とピストン60との間には、キャンセラ油室(空間)64が形成されている。キャンセラ油室64は、内部に作動油が充填されることにより軸線周りの回転に起因して油圧室63内に発生する遠心油圧に対抗する油圧を発生させ荷重のバランスを取るようにしている。
2.実施形態の説明
次に、図3〜図7を参照して本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態は、上記した従来の湿式クラッチ装置において、キャンセラとリターンスプリングの構成を改良したものである。図3は図1の内側クラッチ機構21を一般化したものであるが、内側・外側のいずれのクラッチ機構にも適用可能である。なお、図3において、図1に示す構成と同等の構成には同じ符号を付してある。
図3において符号65はキャンセラ油室64に作動油を供給するための油路、符号66は油圧室63に作動油を供給するための油路である。図4はキャンセラ80を示す平面図である。図4に示すように、キャンセラ80はリング状をなし、ほぼ平坦な外周部81と、この外周部81に、板厚方向に屈曲する屈曲部82を介して連続するほぼ平坦な内周部83とを備えている。内周部83には、半径方向に切り欠いてなる複数の油排出窓(凹部)88が周方向に等間隔に形成されている。油排出窓88は、キャンセラ油室64からの作動油の排出のために形成されたものである。油排出窓88と油排出窓88の間には凸部85が形成され、凸部85には、その1つおきにスナップリング抜け止め用の凸部86が形成されている。なお、図4において符号87はリップ(オイルシール)である。
図5はリターンスプリング90を示す平面図である。リターンスプリング90は皿ばねからなり、テーパ状をなす本体部91の内周部に、本体部91の内周側へ突出する複数のレバー部(凸部)92を周方向に等間隔に形成したものである。図6はキャンセラ80とリターンスプリング90との位置関係を示すもので、図6に示すように、リターンスプリング90のレバー部92は、キャンセラ80の油排出窓88の縁部を支持部として挿入され半径方向内側に突出している。このように、本実施形態では、キャンセラ80の油排出窓88が作動油の排出とレバー部92の支持という機能を兼ね備えている。
なお、図3において符号67はスナップリングであり、キャンセラ80の軸線方向の開口側への移動を阻止する。このスナップリング67の外周にはキャンセラ80のスナップリング抜け止め用の凸部86が配置されている。
3.湿式クラッチ装置の動作
次に、上記構成の湿式クラッチ装置の動作について、図3を参照して説明する。油圧室63に作動油を供給すると、油圧により駆動されたピストン60がリターンスプリング90の付勢力に抗して軸線方向の開口側に移動し、クラッチドラム23の底面側のメーティングプレート43を押圧する。すると、交互に配置されているメーティングプレート43および摩擦板42とリテーニングプレート44は、軸線方向の開口側に移動する。このような移動によって、リテーニングプレート44がスナップリング45に押接されると、互いに対向するメーティングプレート43および摩擦板42の摩擦面が係合してクラッチ締結が行われる。これにより、クラッチドラム23とクラッチハブ41との間のトルク伝達が可能となる。
ここで、キャンセラ油室64には常時作動油が充填されていて、油圧室63に発生する遠心油圧荷重に対抗する遠心油圧荷重を発生させて軸回転の影響を排除しているが、油圧室63に作動油を供給してピストン60を作動させる場合は、キャンセラ油室64の体積変化を吸収するためにキャンセラ80の油排出窓88から作動油を排出する。また、リターンスプリング90は、ピストン60の開口側への移動によって平板状に近くなるように変形し、その際に、キャンセラ80の油排出窓88の縁部がリターンスプリング90の内周側の支持部となり、リターンスプリング90の変形に伴ってレバー部92の表面が支持部と接触して移動する。
次に、油圧室63から作動油を排出すると、ピストン60がリターンスプリング90の付勢力によって、クラッチドラム23の底面側に押し戻される。すると、メーティングプレート43および摩擦板42の摩擦面の係合が解除されてクラッチ締結が解除される。
ところで、従来の湿式クラッチ装置においては、図7(A)に示すように、リターンスプリング90の内周側の先端の縁部がキャンセラ80の面に当接していた。
この点、上記構成の湿式クラッチ装置においては、リターンスプリング90のレバー部92がキャンセラ80の油排出窓88に挿入され、レバー部92の先端がキャンセラ80の表面に当接することなく、図7(B)に示すように、キャンセラ80の油排出窓88の縁部をリターンスプリング90のレバー部の表面に当接させ、キャンセラ縁部を皿ばねの表面が滑る構成にする。通常は、リターンスプリング90に対してキャンセラ80の硬さは低いため、摩耗はキャンセラ80側に発生し、キャンセラ80のリターンスプリング90への当接部のR(曲率半径)は大きくなるが、Rが大きくなった結果当接部の面圧が下がるので、この繰り返しによって、摩耗が早期に収束する。このように、上記構成の湿式クラッチ装置では、キャンセラ80へのリターンスプリング90の縁部の当たりを解消するとともに、キャンセラ80の摩耗を軽減することができる。
特に、上記実施形態においては、キャンセラに熱処理を施すなどの製造コストを増加させる処理を行う必要がないことは勿論のこと、キャンセラ80の作動油の油排出窓88をリターンスプリング90のレバー部92を支持する凹部と兼用しているので、プレスによる同時加工が行なえ製造コストの増加を回避することができる。
なお、油排出窓88のリターンスプリング90と接触する角部に面取を設けることができる。面取は斜面であっても凸曲面であってもよい。面取を設けることにより、油排出窓88のシャープエッジが除去されるとともに、図14に示すとおりキャンセラ80がリターンスプリング90から受ける面圧が低減され、キャンセラ80の摩耗をさらに軽減することができる。すなわち、図14に破線で示すように、キャンセラ80の油排出窓88の外周側縁部の断面における曲率半径(R)を大きくする(例えば0.5mm以上)ことにより、キャンセラ80の油排出窓88に作用する面圧を大幅に低減することができる。
4.変形例
上記実施形態では、キャンセラ80の油排出窓88にリターンスプリング90のレバー部92を挿入して作動油の排出とレバー部92の支持という機能を兼ね備える構成としているが、排油量をさらに確保できる構成が望まれる場合には、図8に示すように、スナップリング86の外径dをキャンセラ80の油排出窓88の底部の外径Dよりも小さくすることで油排出窓88の開口面積を確保することができる。
図9は他の変形例を示すもので、油排出窓84の内周側にリターンスプリング90のレバー部92が挿入される凹部89を形成したものである。この変形例では、凹部89とは別に油排出窓84を有しているから、排油量を充分に確保することができる。
図10および図11はさらに他の変形例を示すもので、リターンスプリング90のレバー部92の先端の縁部に切欠93を設けたものである。この変形例においては、切欠93から作動油を排出することができる。
図12および図13は、リターンスプリング90のレバー部92に孔94を形成したものであり、孔94から作動油を排出することができる。
本発明は、車輌等の湿式クラッチ装置などに適用可能である。
13 クラッチドラム(第1部材)
23 クラッチドラム(第1部材)
31 クラッチハブ(第2部材)
32 摩擦板(第2リング部材)
33 メーティングプレート(第1リング部材)
34 リテーニングプレート
41 クラッチハブ(第2部材)
42 摩擦板(第2リング部材)
43 メーティングプレート(第1リング部材)
50 ピストン(押圧部材)
53 油圧室(液圧室)
54 キャンセラ油室(空間)
55 キャンセラ(仕切り部材)
56 スナップリング(係止部材)
60 ピストン(押圧部材)
63 油圧室(液圧室)
64 キャンセラ油室(空間)
67 スナップリング(係止部材)
80 キャンセラ(仕切り部材)
88 油排出窓(凹部)
90 リターンスプリング(皿ばね)
92 レバー部(凸部)

Claims (6)

  1. 筒状部を有する第1部材と、
    該第1部材の内部に設けられ筒状部を有する第2部材と、
    前記第1部材の前記筒状部の内周部に軸線方向へ移動可能かつ相対回転不能に設けられた第1リング部材と、
    前記第2部材の前記筒状部の外周部に軸線方向へ移動可能かつ相対回転不能に設けられた第2リング部材と、
    前記第1部材との間に液圧室を形成するとともに前記第1部材と前記第2部材との間で軸線方向へ移動可能に設けられ、押圧軸線方向へ移動させられて前記第1リング部材および前記第2リング部材を互いに摩擦接触させる押圧部材と、
    前記押圧部材を前記押圧軸線方向と逆方向へ付勢する皿ばねと、
    前記押圧部材との間に空間を形成するとともに前記皿ばねの内周部を支持するリング状の仕切り部材とを備える湿式クラッチ装置において、
    前記仕切り部材は、その内周部に半径方向に切り欠かれてなる複数の凹部を備え、前記皿ばねは、その内周部に半径方向に突出する複数の凸部を備え、前記凸部は前記凹部に支持されていることを特徴とする湿式クラッチ装置。
  2. 前記凹部は、前記空間から作動液を排出する油排出部であることを特徴とする請求項1に記載の湿式クラッチ装置。
  3. 前記凹部の前記皿ばねと接触する部分に面取りを設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の湿式クラッチ装置。
  4. 前記仕切り部材を軸線方向に係止する係止部材を備え、該係止部材の外径は前記凹部の底部の外径よりも小さいことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の湿式クラッチ装置。
  5. 前記皿ばねの前記凸部の先端部に切欠または孔を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の湿式クラッチ装置。
  6. 前記仕切り部材に、作動液を排出する孔を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の湿式クラッチ装置。
JP2015142799A 2015-07-17 2015-07-17 湿式クラッチ装置 Active JP6496625B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015142799A JP6496625B2 (ja) 2015-07-17 2015-07-17 湿式クラッチ装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015142799A JP6496625B2 (ja) 2015-07-17 2015-07-17 湿式クラッチ装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017025965A true JP2017025965A (ja) 2017-02-02
JP6496625B2 JP6496625B2 (ja) 2019-04-03

Family

ID=57945642

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015142799A Active JP6496625B2 (ja) 2015-07-17 2015-07-17 湿式クラッチ装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6496625B2 (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09512888A (ja) * 1994-05-04 1997-12-22 ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト クラッチ構造
JP2006057822A (ja) * 2004-08-24 2006-03-02 Toyota Motor Corp 自動変速機のクラッチ装置
JP2007253207A (ja) * 2006-03-24 2007-10-04 Nhk Spring Co Ltd 皿ばねの製造方法およびクラッチ装置
JP2008128392A (ja) * 2006-11-22 2008-06-05 Nok Corp キャンセルプレート
JP2010255841A (ja) * 2009-03-31 2010-11-11 Jatco Ltd 多板摩擦要素
JP2011007278A (ja) * 2009-06-26 2011-01-13 Nok Corp キャンセルプレート
JP2015110963A (ja) * 2013-12-06 2015-06-18 ジヤトコ株式会社 皿ばね及びその皿ばねを具えた油圧式クラッチ

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09512888A (ja) * 1994-05-04 1997-12-22 ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト クラッチ構造
JP2006057822A (ja) * 2004-08-24 2006-03-02 Toyota Motor Corp 自動変速機のクラッチ装置
JP2007253207A (ja) * 2006-03-24 2007-10-04 Nhk Spring Co Ltd 皿ばねの製造方法およびクラッチ装置
JP2008128392A (ja) * 2006-11-22 2008-06-05 Nok Corp キャンセルプレート
JP2010255841A (ja) * 2009-03-31 2010-11-11 Jatco Ltd 多板摩擦要素
JP2011007278A (ja) * 2009-06-26 2011-01-13 Nok Corp キャンセルプレート
JP2015110963A (ja) * 2013-12-06 2015-06-18 ジヤトコ株式会社 皿ばね及びその皿ばねを具えた油圧式クラッチ

Also Published As

Publication number Publication date
JP6496625B2 (ja) 2019-04-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100783674B1 (ko) 자동변속기용 피스톤
JP4861635B2 (ja) 自動変速機用ピストン
JP2010190278A (ja) 油圧クラッチ装置の環状仕切部品
JP2007510105A (ja) 軸方向および半径方向に隣接する2つの多板式クラッチを備えた変速機におけるクラッチ装置
JP7141208B2 (ja) 密封装置
JP6496625B2 (ja) 湿式クラッチ装置
JP6815749B2 (ja) 密封装置
JP6530000B2 (ja) クラッチ構造体
JP5424552B2 (ja) 流体式自動変速機のクラッチシリンダ
KR101534657B1 (ko) 자동변속기용 클러치
JP2006214484A (ja) 湿式多板クラッチ
US9677625B2 (en) Concentric slave cylinder including one-way clutch
JP2018151027A (ja) 湿式多板クラッチ
CN110273941B (zh) 摩擦卡合装置
KR20180011088A (ko) 토크 컨버터의 록업 장치
JP6639930B2 (ja) 油圧クラッチ
JP7276098B2 (ja) クラッチ装置の組付構造
JP7281980B2 (ja) 油圧アクチュエータの密封装置
JP2019100405A (ja) トルクコンバータ
JP7402611B2 (ja) 密封装置
JP2021021405A (ja) 摩擦係合装置
JP2019023498A (ja) ダンパ
JP4903193B2 (ja) マスタシリンダ
JP2017110738A (ja) 車両のクラッチ装置
KR101763020B1 (ko) 피스톤 연동식 윤활 기능을 갖춘 습식 다판 클러치

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170306

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180402

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190212

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190221

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190311

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6496625

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250