JP2017025195A - 樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、優れた耐熱性を有しつつアルカリ可溶性や光硬化性をも有する工業的に汎用性の高い樹脂組成物を提供することである。【解決手段】マレイミド系単量体単位、アクリル酸単位、芳香族系単量体単位を必須単位として有する重合体と、エポキシ(メタ)アクリレートとを含むことを特徴とする樹脂組成物について、優れた耐熱性を有しつつアルカリ可溶性、光硬化性を発現することを見出した。感光性樹脂組成物として活用でき、耐熱性、密着性に優れる硬化物が得られる。【選択図】なし
Description
本発明は、アルカリ水溶液に可溶な樹脂組成物に関する。より詳しくは、それを用いた硬化物に関する。
画像形成用の感光性樹脂組成物は、写真法(フォトリソグラフィー)の原理を応用することによって微細加工が可能な上に、物性に優れた硬化物を与えて画像を形成できることから、電子部品関係の各種レジスト材料や印刷版等の用途に多用されている。近年では、環境対策の点から希薄な弱アルカリ水溶液で現像できるアルカリ現像型が主流になっている。
ネガ型の画像形成用感光性樹脂組成物を、写真法(フォトリソグラフィー)の工程に用いる場合には、先ず基板上に樹脂組成物を塗布し、続いて加熱乾燥を行って塗膜を形成させた後、この塗膜にパターン形成用フィルムを装着し、露光して、現像するという一連の工程が採用されている。このような工程において、加熱乾燥後の塗膜に粘着性が残存していると、剥離後のパターン形成用フィルムに一部のレジストが付着して正確なパターンの再現ができなくなったり、あるいはパターン形成用フィルムが剥離できない、といった問題があった。
このため、光感度も重要ではあるが、塗膜形成後のタックフリー性も画像形成用の感光性樹脂組成物の重要な要求特性であった。また、光硬化後の塗膜には、現像性に加えて、耐熱性や、耐水性、耐湿性等の長期信頼性に関わる特性が求められる。
上記各特性をある程度満足するものとして、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させて得られるビニルエステル(エポキシ(メタ)アクリレート)に酸無水物を反応させてカルボキシル基を導入したカルボキシル基含有ビニルエステルが知られている。このカルボキシル基含有ビニルエステルは、タックフリー性、光感度、現像性といった相反する特性をバランス良く満足している上に、硬化物に求められる耐熱性や耐水性等の重要特性も比較的良好であるが、さらに高いレベルでの向上、両立が求められている。
この目的に沿ったものとして、例えば、分子中に2個のカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物と分子中に2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を反応させて得られる不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂を含有する樹脂組成物は、現像性、耐熱性、可撓性等の重要特性が良好であることが知られている(特許文献1参照)。しかしながら、技術の進歩に伴って、さらにハイレベルな特性が求められており、例えば、微細なパターン形成に適合し得る高度な寸法安定性や、より高い温度条件での処理に耐えることが要求されるようになっている。
ところで、高耐熱性要求に応え得る感光性樹脂として、N−置換マレイミド基とエチレン性不飽和二重結合を有するポリマーが検討されている(例えば特許文献2および3)。しかしながら、これらの系においても、耐熱性に重きを置き過ぎるとアルカリ現像性が低下したり硬化物に脆さが発現することになりかねず、アルカリ現像性、硬化性、耐熱性、可撓性のバランスの点で改善の余地があった。
したがって、本発明の目的は、優れたアルカリ可溶性、硬化性を有しつつ、脆さを発現しない硬化物を与えうる樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の樹脂組成物がアルカリ可溶性、硬化性を有しつつ、脆さを発現しない硬化物を与えうることを見出した。
すなわち、本発明の目的は、下記(1)〜(5)により達成される。
(1)マレイミド系単量体単位、アクリル酸単位、芳香族系単量体単位を必須単位として有する重合体と、エポキシ(メタ)アクリレートとを含むことを特徴とする樹脂組成物。
好ましくは、マレイミド系単量体、アクリル酸、芳香族系単量体を必須成分としてラジカル重合させて得られた重合体と、エポキシ(メタ)アクリレートとを含むことを特徴とする樹脂組成物。
(2)上記芳香族系単量体がエステル結合を有さない単量体である(1)に記載の樹脂組成物。
(3)上記エポキシ(メタ)アクリレートが、カルボキシル基を有するものである(1)または(2)に記載の樹脂組成物。
(4)上記エポキシ(メタ)アクリレートが、酸価20〜140mgKOH/gのものである(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(5)上記エポキシ(メタ)アクリレートが、ビフェニル骨格を有するものである(1)〜(4)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の樹脂組成物から得られた硬化物。
(1)マレイミド系単量体単位、アクリル酸単位、芳香族系単量体単位を必須単位として有する重合体と、エポキシ(メタ)アクリレートとを含むことを特徴とする樹脂組成物。
好ましくは、マレイミド系単量体、アクリル酸、芳香族系単量体を必須成分としてラジカル重合させて得られた重合体と、エポキシ(メタ)アクリレートとを含むことを特徴とする樹脂組成物。
(2)上記芳香族系単量体がエステル結合を有さない単量体である(1)に記載の樹脂組成物。
(3)上記エポキシ(メタ)アクリレートが、カルボキシル基を有するものである(1)または(2)に記載の樹脂組成物。
(4)上記エポキシ(メタ)アクリレートが、酸価20〜140mgKOH/gのものである(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(5)上記エポキシ(メタ)アクリレートが、ビフェニル骨格を有するものである(1)〜(4)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の樹脂組成物から得られた硬化物。
本発明の樹脂組成物は、アルカリ可溶性、硬化性が良く、得られた硬化物は脆さを発現せず、塗膜とした場合は基材との密着性に優れるものであった。
本発明の樹脂組成物は、マレイミド系単量体単位、アクリル酸単位、芳香族系単量体単位を必須単位として有する重合体と、エポキシ(メタ)アクリレートとを含むものである。 なお、単量体単位とは、単量体に由来する構成単位であり、当該単量体中の重合性炭素−炭素二重結合(C=C)が単結合(C−C)になった構造単位を意味する。例えば、アクリル酸単位とは、アクリル酸を共重合又はグラフト重合した場合の、アクリル酸由来の構成単位を意味する。
好ましい形態としては、マレイミド系単量体、アクリル酸、芳香族系単量体を必須成分としてラジカル重合させて得られた重合体と、エポキシ(メタ)アクリレートとを含むものである。
重合体は、マレイミド系単量体、アクリル酸、芳香族系単量体を必須成分としてラジカル重合させて得られることが好ましい。以下に単量体について説明する。
マレイミド系単量体としては、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−メチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルメチルマレイミド、N−(2,4,6−トリブロモフェニル)マレイミド、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]マレイミド、N−オクタデセニルマレイミド、N−ドデセニルマレイミド、N−(2−メトキシフェニル)マレイミド、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−(1−ヒドロキシフェニル)マレイミド等のN−置換マレイミドや無置換マレイミドが挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、耐熱性向上効果が大きく、共重合性が良好で、かつ入手し易いという点でN−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド等が好ましく、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドがより好ましく、N−フェニルマレイミドが最も好ましい。
また、本発明ではアルカリ現像に必須となるカルボキシル基を導入するために単量体としてアクリル酸を必須成分として用いる。
従来、カルボキシル基を有する重合体としては、メタアクリル酸を共重合させたものや、前記した特許文献3に記載されているように、グリシジル基含有骨格中のグリシジル基に対して(メタ)アクリル酸のような不飽和一塩基酸を反応させ、グリシジル基が開環して生成したヒドロキシル基に対して多塩基酸無水物を反応させたものが知られているが、いずれもアルカリ現像性、耐熱性の両立の点で改善の余地があった。
それに対して、本発明では、アクリル酸を共重合することで良好なアルカリ現像性を発現させることができ、加えて硬化物の特性にも優れるものとすることができた。
本発明では、マレイミド系単量体との共重合性が良好であることから、芳香族系単量体を必須成分として用いる。中でも、硬化物の特性を優れるものとするため、エステル結合を有さないものが好ましく、具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、α−クロロスチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、電気特性に優れ、安価である点からスチレンが最も好ましい。
マレイミド系単量体(マレイミド系単量体単位)は、全単量体成分(全単量体単位100質量%)中10〜80質量%が好ましい。マレイミド系単量体の含有量を10質量%以上とすることで、硬化物に充分な耐熱性を付与することができる。一方、含有量を80質量%以下とすることで、アクリル酸や芳香族系単量体に起因するアルカリ現像性、硬化物特性を充分に付与することができる。マレイミド系単量体のより好ましい下限は15質量%、さらに好ましい下限は20質量%である。また、より好ましい上限は60質量%、さらに好ましい上限は40質量%である。
アクリル酸(アクリル酸単位)は、全単量体成分(全単量体単位100質量%)中5〜35質量%が好ましい。アクリル酸の含有量を5質量%以上とすることでアルカリ現像性を充分に付与することができる。一方、含有量を35質量%以下とすることで、マレイミド系単量体や芳香族系単量体に起因する耐熱性等の硬化物特性を充分に付与することができる。アクリル酸のより好ましい下限は10質量%、さらに好ましい下限は15質量%である。また、より好ましい上限は30質量%、さらに好ましい上限は25質量%である。
芳香族系単量体(芳香族系単量体単位)は、全単量体成分(全単量体単位100質量%)中10〜85質量%が好ましい。芳香族系単量体の含有量を10質量%以上とすることで、硬化物特性を充分に付与することができる。一方、含有量を85質量%以下とすることで、マレイミド系単量体やアクリル酸に起因する耐熱性、アルカリ現像性を充分に付与することができる。芳香族系単量体のより好ましい下限は15質量%、さらに好ましい下限は20質量%である。また、より好ましい上限は80質量%、さらに好ましい上限は75質量%である。
本発明では、特性に悪影響を及ぼさない限りにおいて、重合体を得る際に他の共重合可能な単量体成分を使用しても良い。
このような単量体成分の具体例としては、前記したもの以外の芳香族ビニル系単量体;酢酸ビニル、アジピン酸ビニル等のビニルエステルモノマー;メタアクリル酸等のアクリル酸以外の不飽和一塩基酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系単量体;n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテルや対応するアルキルビニル(チオ)エーテル;無水マレイン酸等の酸無水物基含有単量体あるいはこれをアルコール類、アミン類、水等により酸無水物基を開環変性した単量体;N−ビニルピロリドン、N−ビニルオキサゾリドン等のN−ビニル系単量体等が挙げられる。
重合体を得る方法は特に限定されず、溶液重合法や塊状重合法等、従来公知の重合法の採用が可能である。中でも、重合反応中の温度制御が容易な溶液重合法が好ましい。
溶液重合の際の溶媒としては、重合を阻害したり、原料単量体各成分を変質させるおそれの無い溶媒であれば特に限定されない。使用可能な溶媒の具体的としては、トルエン、キシレン等の炭化水素類;セロソルブアセテート、カルビトールアセテート、(ジ)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、グルタル酸(ジ)メチル、コハク酸(ジ)メチル、アジピン酸(ジ)メチル、メチルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、メチルプロピオネート等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチル−t−ブチルエーテル、(ジ)エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等が挙げられ、これらの1種または2種以上を混合して用いることができる。また、特に、アクリル酸等の不飽和一塩基酸の使用量が30質量%を超える場合には、重合体の析出を防止するために、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類とプロピレングリコールモノメチルエーテルやイソプロパノール等のアルコール類との混合溶媒が好ましい。
重合反応の際に使用可能な開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤が挙げられる。具体的には、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシー2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)等のアゾ系化合物;ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシピバレート、t-アミルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物等を挙げることができ、所望する反応条件に応じて適宜選択して使用すればよい。
前記開始剤の使用量は、重合反応に使用する単量体成分100質量%に対して、0.001〜15質量%とするのが好ましく、より好ましくは0.01〜10質量%である。
重合体を得る具体的手法としては特に限定されないが、溶媒中に、全ての成分を一括で仕込んで重合する方法、予め溶媒と成分の一部を仕込んだ反応容器に残りの成分を連続添加あるいは逐次添加して重合する方法等が採用可能である。
反応時の圧力についても特に限定はなく、常圧、加圧のいずれの条件下で行ってもよい。重合反応時の温度については、使用する原料モノマーの種類や組成比、使用溶媒の種類にもよるが、通常は20〜150℃の範囲で行うのが好ましく、より好ましくは30〜120℃である。
重合反応時には、重合体溶液の最終固形分濃度が10〜70質量%となるように、溶媒と各単量体成分の量を設定することが好ましい。この最終固形分濃度が10質量%未満では、生産性が低くなるため好ましくない。一方、最終固形分濃度が70質量%を越える場合、溶液重合の場合でも重合液の粘度が上昇して重合転化率が上昇しないおそれがある。より好ましい最終固形分濃度は20〜65質量%であり、さらに好ましくは30〜60質量%である。
樹脂組成物としての特性、アルカリ現像性、硬化塗膜物性、耐熱性等を考慮すれば、重合体の重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定したときの値として、ポリスチレン換算値で1,000〜100,000が好ましい。Mwを1,000以上とすることで、硬化物に充分な耐熱性を付与することができる。一方、Mwを100,000以下とすることで、充分なアルカリ現像性を付与することができる。Mwのより好ましい下限は2,000、さらに好ましい下限は3,000である。また、より好ましい上限は50,000、さらに好ましい上限は30,000である。
この範囲の分子量に調整するために、必要であれば、重合反応時に連鎖移動剤を用いてもよいが、用いないことでメルカプタン臭のない樹脂組成物を得ることができる。
使用する場合の使用可能な連鎖移動剤としては、重合に使用する各単量体成分に悪影響を及ぼさないものであればよく、通常、チオール化合物が使用される。具体的には、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン;チオフェノール等のアリールメルカプタン;メルカプトプロピオン酸、メルカプトプロピオン酸メチル等のメルカプト基含有脂肪族カルボン酸およびそのエステル等が好ましい物として挙げられる。連鎖移動剤の使用量は特に限定されず、所望の分子量を有する重合体が得られるように適宜調節すればよいが、一般的には、重合に使用される単量体総量に対して、0.1〜15質量%とするのが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%である。
本発明では、重合体と後述のエポキシ(メタ)アクリレートとを含むことを特徴とする樹脂組成物を硬化性樹脂組成物として用いることができるが、重合体が有するカルボキシル基に対して、カルボキシル基と反応し得る官能基を有する単量体を反応させて得たラジカル重合性二重結合を有する重合体を用いることもできる。
カルボキシル基と反応し得る官能基としては、イソシアネート基、ビニルエーテル基、エポキシ基、オキサゾリン基、アジリジン基、オキセタニル基等が挙げられ、単量体の具体例としては、イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、N−(メタ)アクリロイルアジリジン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
本発明では、上記重合体とエポキシ(メタ)アクリレートとを混合して樹脂組成物として用いる。エポキシ(メタ)アクリレートは、重合性が良好で、得られる硬化物の特性改善に効果的であり、さらには重合体とのブレンド性にも優れていることから好適である。
エポキシ(メタ)アクリレートは、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する公知のエポキシ樹脂を出発原料として、これに不飽和一塩基酸((メタ)アクリル酸等)を反応させることによって得ることができる。
出発原料となるエポキシ樹脂としては、特に限定されず、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する公知のエポキシ樹脂であればいずれも用いることができ、ビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;テトラグリシジルアミノジフェニルメタン等の多官能性グリシジルアミン樹脂;テトラフェニルグリシジルエーテルエタン等の多官能性グリシジルエーテル樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂;フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、ナフトール等のフェノール化合物と、フェノール性ヒドロキシル基を有する芳香族アルデヒドとの縮合反応により得られるポリフェノール化合物と、エピクロルヒドリンとの反応物;フェノール化合物とジビニルベンゼンやジシクロペンタジエン等のジオレフィン化合物との付加反応により得られるポリフェノール化合物と、エピクロルヒドリンとの反応物;4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサイドの開環重合物を過酸でエポキシ化したもの;トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環を有するエポキシ樹脂;フェノールアラルキル型エポキシ樹脂やビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂;等が挙げられる。これらの中でもビフェニル骨格を有するものが硬化物の耐熱性の点から好ましく、このようなエポキシ樹脂としてはビフェニル型エポキシ樹脂やビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂が挙げられる。具体的な市販品としては、YL6121H、YX4000(三菱化学(株)製)やNC−3000(日本化薬(株)製)等が挙げられる。また、これらの各エポキシ樹脂の2分子以上を、多塩基酸、ポリフェノール化合物、多官能アミノ化合物あるいは多価チオール等の鎖延長剤との反応によって結合して鎖延長したものも使用できる。また、グリシジル(メタ)アクリレートのようなグリシジル基を有する単量体の単独重合体や共重合体であっても良い。これらは、1種または2種以上を用いることができる。
不飽和一塩基酸としては、1個のカルボキシル基と1個以上のラジカル重合性不飽和結合を有する一塩基酸が挙げられる。
具体例としてはアクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸、β−アクリロキシプロピオン酸、1個のヒドロキシル基と1個の(メタ)アクリロイル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと二塩基酸無水物との反応物、1個のヒドロキシル基と2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートと二塩基酸無水物との反応物、これらの一塩基酸のカプロラクトン変性物等が挙げられ、1種または2種以上を用いることができる。中でも好ましいものは、アクリル酸、メタアクリル酸等の(メタ)アクリロイル基を有するものである。
上記エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸との反応に際しては、上記エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対し、不飽和一塩基酸中のカルボキシル基が0.8〜1.2当量となるように仕込んで反応させることが好ましく、より好ましくは0.9〜1.1当量である。
反応の際の溶媒としては、反応を阻害したり、原料単量体各成分を変質させるおそれの無い溶媒であれば特に限定されず、重合体を得る際に使用可能な溶媒がここでも使用可能である。
上記エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸との反応条件は特に限定されず、ハイドロキノン等のキノン類、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール類、フェノチアジン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等のN−オキシル類や酸素等の重合禁止剤、およびトリエチルアミン等の三級アミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリフェニルホスフィン等の三級ホスフィン、ベンジルトリフェニルホスホニウムブロマイド等の4級ホスホニウム塩、金属の有機酸または無機塩あるいはキレート化合物等の反応触媒の共存下、通常80〜150℃で行えばよい。
また、上記で得られたエポキシ(メタ)アクリレートに、多塩基酸無水物をエポキシ(メタ)アクリレートの有するヒドロキシル基に付加反応させて得られるカルボキシル基含有エポキシ(メタ)アクリレートを用いることも可能であり、高レベルのアルカリ現像性を維持することができる。
多塩基酸無水物としては、無水フタル酸、無水コハク酸、オクテニル無水コハク酸、ペンタドデセニル無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキシドと無水イタコン酸あるいは無水マレイン酸との反応物等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸;ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族あるいは芳香族四塩基酸二無水物等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
多塩基酸無水物付加反応時の溶媒としては特に限定されず、重合体を得る際やエポキシ樹脂と不飽和一塩基酸との反応に用いることのできる溶媒がここでも使用可能である。工業的には、エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸との反応に引き続いて、反応溶液中に多塩基酸無水物を添加して付加反応を行うのが簡便である。
上記付加反応には必要に応じて触媒を使用してもよい。具体的な触媒としては、トリエチルアミン等の三級アミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリフェニルホスフィンやテトラフェニルホスホニウムブロマイド等のリン化合物、酢酸リチウム等のカルボン酸金属塩、炭酸リチウム等の無機金属塩等が挙げられる。
多塩基酸無水物は、エポキシ基の開環によって生成したヒドロキシル基1化学当量に対して、多塩基酸無水物中の酸無水物基が0.1〜1.1モルとなるように反応させることが好ましく、より好ましくは0.2〜0.9モルである。反応温度については、好ましくは60〜150℃で、より好ましくは80〜120℃である。
上記のようにして得られるカルボキシル基含有エポキシ(メタ)アクリレートの酸価は、20mgKOH/g以上が好ましく、30mgKOH/g以上がより好ましく、40mgKOH/g以上がさらに好ましく、また140mgKOH/g以下が好ましく、130mgKOH/g以下がより好ましく、120mgKOH/g以下がさらに好ましい。硬化性樹脂の酸価が20mgKOH/g以上であれば、弱アルカリ水溶液でも良好なアルカリ現像性を発現しやすくなる。カルボキシル基含有エポキシ(メタ)アクリレートの酸価が140mgKOH/g以下であれば、アルカリ現像液によって露光部分が侵食されにくくなり、また硬化物の耐水性や耐湿性が向上する。
本発明の樹脂組成物は、以上により得られた重合体とエポキシ(メタ)アクリレートとを含むことを特徴とするものである。ここで、重合体100質量部に対し、エポキシ(メタ)アクリレートを900質量部以下で使用することが好ましい。より好ましい上限値は700質量部、さらに好ましい上限値は500質量部である。好ましい下限値としては、重合体100質量部に対し、エポキシ(メタ)アクリレートを10質量部以上で使用することが好ましい。より好ましい下限値は15質量部、さらに好ましい下限値は20質量部である。なお、重合体とエポキシ(メタ)アクリレートの総量は用途に応じて適宜設定すれば良いが、樹脂組成物100質量%に対して1〜99質量%の割合で含まれることが好ましく、5〜95質量%の割合で含まれることが特に好ましい。
本発明においては、重合体とエポキシ(メタ)アクリレートとを含んでなる組成物を塗布、乾燥して使用することもできるが、さらに反応性希釈剤を含有する組成物としてもよい。このような組成物とすることで、熱や光反応を経て架橋構造を有する塗膜が得られることとなり、より優れた特性となる。
反応性希釈剤としては、ラジカル重合性樹脂(エポキシ(メタ)アクリレートを除く)とラジカル重合性モノマーとが挙げられる。
ラジカル重合性樹脂としては、不飽和ポリエステル、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等が使用できる。これらのラジカル重合性樹脂を用いる場合、本発明の重合体とエポキシ(メタ)アクリレートとの総量100質量部に対し、ラジカル重合性樹脂を80質量部以下で使用することが好ましい。より好ましい上限値は70質量部、さらに好ましい上限値は60質量部である。
ラジカル重合性モノマーとしては、単官能モノマー(ラジカル重合性二重結合が1個)と多官能モノマー(ラジカル重合性二重結合が2個以上)のいずれも使用可能である。ラジカル重合性モノマーは重合に関与するため、得られる硬化物の特性を改善する上に、エポキシ(メタ)アクリレート合成時の溶媒としても使用でき、さらには、樹脂組成物の粘度を調整することもできる。ラジカル重合性モノマーを使用する場合の好ましい使用量は、本発明の重合体とエポキシ(メタ)アクリレートとの総量100質量部に対し、300質量部以下、より好ましくは100質量部以下である。好ましい下限値としては、重合体とエポキシ(メタ)アクリレートとの総量100質量部に対し、1質量部以上、より好ましくは5質量部以上である。
ラジカル重合性モノマーの具体例としては、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−メチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルメチルマレイミド、N−(2,4,6−トリブロモフェニル)マレイミド、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]マレイミド、N−オクタデセニルマレイミド、N−ドデセニルマレイミド、N−(2−メトキシフェニル)マレイミド、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−(1−ヒドロキシフェニル)マレイミド等のN−置換マレイミド基含有単量体;スチレン、α−メチルスチレン、α−クロロスチレン、ビニルトルエン、p−ヒドロキシスチレン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルベンゼンホスホネート等の芳香族ビニル系単量体;酢酸ビニル、アジピン酸ビニル等のビニルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、(ジ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]トリアジン、デンドリチックアクリレート等の(メタ)アクリル系単量体;n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等の(ヒドロキシ)アルキルビニル(チオ)エーテル;(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル等のラジカル重合性二重結合を有するビニル(チオ)エーテル;無水マレイン酸等の酸無水物基含有単量体あるいはこれをアルコール類、アミン類、水等により酸無水物基を開環変性した単量体;N−ビニルピロリドン、N−ビニルオキサゾリドン等のN−ビニル系単量体;アリルアルコール、トリアリルシアヌレート等、ラジカル重合可能な二重結合を1個以上有する化合物が挙げられる。
これらは、用途や要求特性に応じて適宜選択され、1種または2種以上を混合して用いることができる。
本発明の重合体と、エポキシ(メタ)アクリレートとを含んでなる樹脂組成物は、ベンゾイルパーオキサイドやクメンハイドロパーオキサイド等の公知の熱重合開始剤を使用することにより熱重合も可能であるが、光重合開始剤を配合した感光性樹脂組成物とすることで、光によるラジカル重合が可能となる。
光重合開始剤としては公知のものが使用でき、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)アセトフェノン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オンや2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1;アシルホスフィンオキサイド類およびキサントン類等が挙げられる。
これらの光重合開始剤は1種または2種以上の混合物として使用され、本発明の重合体とエポキシ(メタ)アクリレートとの総量100質量部に対し、0.5〜30質量部含まれていることが好ましい。光重合開始剤の量が0.5質量部より少ない場合には、光照射時間を増やさなければならなかったり、光照射を行っても重合が起こりにくかったりするため、適切な表面硬度が得られなくなる。なお、光重合開始剤を30質量部を越えて配合しても、多量に使用するメリットは少ない。
本発明の組成物には、さらに必要に応じて、タルク、クレー、硫酸バリウム等の充填材、着色用顔料、消泡剤、カップリング剤、レベリング剤、増感剤、離型剤、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、重合抑制剤、増粘剤等の公知の添加剤を添加してもよい。また、各種強化繊維を補強用繊維として用い、繊維強化複合材料とすることができる。
本発明の重合体とエポキシ(メタ)アクリレートとを含んでなる樹脂組成物を画像形成用として使用する場合には、通常、基材に公知の方法で塗布・乾燥し、露光して硬化塗膜を得た後、未露光部分をアルカリ水溶液に溶解させてアルカリ現像を行う。
現像に使用可能なアルカリの具体例としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属化合物;水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;アンモニア;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジメチルプロピルアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリエチレンイミン等の水溶性有機アミン類が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
本発明の樹脂組成物は、液状のものを直接基材に塗布する方法以外にも、予めポリエチレンテレフタレート等のフィルムに塗布して乾燥させたドライフィルムの形態で使用することもできる。この場合、ドライフィルムを基材に積層し、露光前または露光後にフィルムを剥離すればよい。
また、印刷製版分野で最近多用されているCTP(Computer To Plate)システム、すなわち、露光時にパターン形成用フィルムを使用せず、デジタル化されたデータによってレーザー光を直接塗膜上に走査・露光して描画する方法を採用することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術的範囲に包含される。各例中、特に言及しない限り、部および%は質量基準である。なお、下記実施例において、物性の評価は次のようにして行なった。
以下の実施例において、各種物性等は以下のように測定した。
<酸価>
各溶液約0.3gを精秤し、アセトン/水混合溶媒に溶解し、0.1規定のKOH水溶液を滴定液として用いて、自動滴定装置(平沼産業社製)により酸価を測定した。
<重量平均分子量(Mw)>
ポリスチレンを標準物質とし、テトラヒドロフランを溶離液としてHLC−8220GPC(東ソー社製)によるGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法にて重量平均分子量を測定した。
<耐熱分解性>
各溶液を、アルミカップに0.3g程度入れて精秤し、アセトン約2mlを加え、よく混合した後、200℃の熱風乾燥機に入れた。30分加熱した後の質量を測定し、200℃加熱後の質量を初期質量で割って熱処理後残存率X(%)を求めた。このX(%)と真空下160℃にて乾燥させて得た固形分濃度Y(%)との相対値(X/Y)で評価した。この値が大きいほど、耐熱分解性が高いことになる。
<アルカリ溶解性>
表に示す配合にて得た溶液をスピンコートにて銅板上に塗布し、80℃で30分乾燥させた後に室温まで冷却し、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液に浸漬して塗膜の溶解性により評価した。
<光硬化性>
上記で得たアルカリ溶解性評価用試験板に2000mJの光を照射した後、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液に浸漬して評価した。
<冷熱サイクル試験耐性(TCT耐性)>
光硬化性評価のときと同様に乾燥塗膜形成、光照射を行い、硬化物を得た。これを150℃で1時間加熱して試験基板とした。この試験基板を用いて、−65℃で15分、150℃で15分を1サイクルとして冷熱サイクル試験を行い、100サイクル後の外観を観察し、目視で評価した。
合成例1
共重合体の合成(アクリル酸使用、連鎖移動剤使用)
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート97.6部を仕込み、窒素置換した後、90℃に昇温した。他方、滴下槽1にN−フェニルマレイミド30.0部、アクリル酸17.6部、t-アミルパーオキシオクトエート2.2部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート52.4部を混合した。また、滴下槽2に、スチレン52.4部、メルカプトプロピオン酸2.5部を混合した。反応温度を90℃に保ちながら、滴下槽1及び2から、反応槽に4.0時間かけて滴下を行った。滴下終了後から更に90℃で30分、反応を継続した。その後、反応温度を115℃に昇温し、1.5時間反応を継続して重合体溶液A−1を得た。
<酸価>
各溶液約0.3gを精秤し、アセトン/水混合溶媒に溶解し、0.1規定のKOH水溶液を滴定液として用いて、自動滴定装置(平沼産業社製)により酸価を測定した。
<重量平均分子量(Mw)>
ポリスチレンを標準物質とし、テトラヒドロフランを溶離液としてHLC−8220GPC(東ソー社製)によるGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法にて重量平均分子量を測定した。
<耐熱分解性>
各溶液を、アルミカップに0.3g程度入れて精秤し、アセトン約2mlを加え、よく混合した後、200℃の熱風乾燥機に入れた。30分加熱した後の質量を測定し、200℃加熱後の質量を初期質量で割って熱処理後残存率X(%)を求めた。このX(%)と真空下160℃にて乾燥させて得た固形分濃度Y(%)との相対値(X/Y)で評価した。この値が大きいほど、耐熱分解性が高いことになる。
<アルカリ溶解性>
表に示す配合にて得た溶液をスピンコートにて銅板上に塗布し、80℃で30分乾燥させた後に室温まで冷却し、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液に浸漬して塗膜の溶解性により評価した。
<光硬化性>
上記で得たアルカリ溶解性評価用試験板に2000mJの光を照射した後、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液に浸漬して評価した。
<冷熱サイクル試験耐性(TCT耐性)>
光硬化性評価のときと同様に乾燥塗膜形成、光照射を行い、硬化物を得た。これを150℃で1時間加熱して試験基板とした。この試験基板を用いて、−65℃で15分、150℃で15分を1サイクルとして冷熱サイクル試験を行い、100サイクル後の外観を観察し、目視で評価した。
合成例1
共重合体の合成(アクリル酸使用、連鎖移動剤使用)
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート97.6部を仕込み、窒素置換した後、90℃に昇温した。他方、滴下槽1にN−フェニルマレイミド30.0部、アクリル酸17.6部、t-アミルパーオキシオクトエート2.2部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート52.4部を混合した。また、滴下槽2に、スチレン52.4部、メルカプトプロピオン酸2.5部を混合した。反応温度を90℃に保ちながら、滴下槽1及び2から、反応槽に4.0時間かけて滴下を行った。滴下終了後から更に90℃で30分、反応を継続した。その後、反応温度を115℃に昇温し、1.5時間反応を継続して重合体溶液A−1を得た。
得られた重合体溶液A−1について各種物性を測定したところ、重量平均分子量は7100、真空下160℃にて乾燥させて得られた固形分濃度は39.3%、固形分当たりの酸価は149mgKOH/gであった。耐熱分解性については、X/Y=0.995で、200℃ではほとんど分解が起こっていなかった。また、微かにメルカプタン臭があった。
合成例2
共重合体の合成(アクリル酸使用、連鎖移動剤不使用)
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート81.7部、イソプロパノール81.7部を仕込み、窒素置換した後、90℃に昇温した。他方、滴下槽1にN−フェニルマレイミド30.0部、アクリル酸19.3部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート8.0部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート70部を混合した。また、滴下槽2に、スチレン50.7部を仕込んだ。反応温度を90℃に保ちながら、滴下槽1及び2から、反応槽に3.0時間かけて滴下を行った。滴下終了後から更に90℃で60分、反応を継続した。その後、イソプロパノールの含有率が1%未満となるまで溶媒を留去しつつ反応温度を115℃に昇温し、さらに115℃で1.5時間反応を継続して重合体溶液A−2を得た。
合成例2
共重合体の合成(アクリル酸使用、連鎖移動剤不使用)
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート81.7部、イソプロパノール81.7部を仕込み、窒素置換した後、90℃に昇温した。他方、滴下槽1にN−フェニルマレイミド30.0部、アクリル酸19.3部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート8.0部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート70部を混合した。また、滴下槽2に、スチレン50.7部を仕込んだ。反応温度を90℃に保ちながら、滴下槽1及び2から、反応槽に3.0時間かけて滴下を行った。滴下終了後から更に90℃で60分、反応を継続した。その後、イソプロパノールの含有率が1%未満となるまで溶媒を留去しつつ反応温度を115℃に昇温し、さらに115℃で1.5時間反応を継続して重合体溶液A−2を得た。
得られた重合体溶液A−2について各種物性を測定したところ、重量平均分子量は7600、真空下160℃にて乾燥させて得られた固形分濃度は48.8%、固形分当たりの酸価は143mgKOH/gであった。耐熱分解性については、X/Y=0.994で、200℃ではほとんど分解が起こっていなかった。また、メルカプタン臭はなかった。
合成例3
比較用共重合体の合成(メタアクリル酸使用、連鎖移動剤使用)
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100.5部を仕込み、窒素置換した後、90℃に昇温した。他方、滴下槽1にN−フェニルマレイミド30.0部、メタアクリル酸20.5部、t-アミルパーオキシオクトエート2.2部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート49.5部を混合した。また、滴下槽2に、スチレン49.5部、メルカプトプロピオン酸3.1部を混合した。反応温度を90℃に保ちながら、滴下槽1及び2から、反応槽に4.0時間かけて滴下を行った。滴下終了後から更に90℃で30分、反応を継続した。その後、反応温度を115℃に昇温し、1.5時間反応を継続して比較用の重合体溶液B−1を得た。
合成例3
比較用共重合体の合成(メタアクリル酸使用、連鎖移動剤使用)
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100.5部を仕込み、窒素置換した後、90℃に昇温した。他方、滴下槽1にN−フェニルマレイミド30.0部、メタアクリル酸20.5部、t-アミルパーオキシオクトエート2.2部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート49.5部を混合した。また、滴下槽2に、スチレン49.5部、メルカプトプロピオン酸3.1部を混合した。反応温度を90℃に保ちながら、滴下槽1及び2から、反応槽に4.0時間かけて滴下を行った。滴下終了後から更に90℃で30分、反応を継続した。その後、反応温度を115℃に昇温し、1.5時間反応を継続して比較用の重合体溶液B−1を得た。
得られた重合体溶液B−1について各種物性を測定したところ、重量平均分子量は7400、真空下160℃にて乾燥させて得られた固形分濃度は39.8%、固形分当たりの酸価は151mgKOH/gであった。耐熱分解性については、X/Y=0.997で、200℃ではほとんど分解が起こっていなかった。また、微かにメルカプタン臭があった。
合成例4
エポキシ(メタ)アクリレートの合成
撹拌装置、温度計、還流冷却器、ガス導入管を備えた容器に、ビフェニル型エポキシ樹脂(商品名「YX4000」;三菱化学製;エポキシ当量186)186部、メタアクリル酸88部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150部、エステル化触媒としてトリフェニルホスフィン0.8部、重合禁止剤としてメチルハイドロキノン0.7部を仕込み、120℃で20時間反応させ、反応物の酸価が6mgKOH/gになったことを確認した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸76部を加えて、110℃で7時間反応させ、酸価87mgKOH/gのエポキシ(メタ)アクリレートを70%含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。
合成例4
エポキシ(メタ)アクリレートの合成
撹拌装置、温度計、還流冷却器、ガス導入管を備えた容器に、ビフェニル型エポキシ樹脂(商品名「YX4000」;三菱化学製;エポキシ当量186)186部、メタアクリル酸88部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150部、エステル化触媒としてトリフェニルホスフィン0.8部、重合禁止剤としてメチルハイドロキノン0.7部を仕込み、120℃で20時間反応させ、反応物の酸価が6mgKOH/gになったことを確認した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸76部を加えて、110℃で7時間反応させ、酸価87mgKOH/gのエポキシ(メタ)アクリレートを70%含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。
各溶液を用いて表1に示す配合物を調製し、上記した方法でアルカリ溶解性、光硬化性、TCT耐性について評価した。結果を合わせて表1に示す。
溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
モノマー:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
重合開始剤:イルガキュアー907(BASFジャパン社製光重合開始剤)
共重合体A−1、A−2はいずれも耐熱分解性が良好であり、実施例1、2に示すように、これらとエポキシ(メタ)アクリレートを用いて得た樹脂組成物は、アルカリ溶解性、光硬化性、TCT耐性、いずれも良好であった。またA−2はメルカプタン臭がなく、作業環境上、より好ましい。
一方、比較例1、2に示すように、比較用共重合体B−1を用いた組成物や、エポキシ(メタ)アクリレートを配合しなかった組成物では、アルカリ溶解性、TCT耐性に劣る結果となった。
本発明の樹脂組成物は微細加工に必須となるアルカリ可溶性を有していることから、感光性樹脂組成物として活用できる。
本発明の樹脂組成物は、優れた耐熱性を有しつつアルカリ可溶性、光硬化性を有し、さらには硬化塗膜とした場合、被塗物への密着性も良好なことから、アルカリ現像可能な画像形成用の感光性樹脂組成物の構成成分として、例えば、印刷製版、カラーフィルターの保護膜、カラーフィルター、ブラックマトリックス等の液晶表示板製造用等の各種の用途に好適に使用できる。
Claims (6)
- マレイミド系単量体単位、アクリル酸単位、芳香族系単量体単位を必須単位として有する重合体と、エポキシ(メタ)アクリレートとを含むことを特徴とする樹脂組成物。
- 上記芳香族系単量体がエステル結合を有さない単量体である請求項1に記載の樹脂組成物。
- 上記エポキシ(メタ)アクリレートが、カルボキシル基を有するものである請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 上記エポキシ(メタ)アクリレートが、酸価20〜140mgKOH/gのものである請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 上記エポキシ(メタ)アクリレートが、ビフェニル骨格を有するものである請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物から得られた硬化物。
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