JP7108412B2 - ラジカル重合性重合体および該ラジカル重合性重合体を含んでなる樹脂組成物 - Google Patents
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Description
ネガ型の画像形成用感光性樹脂組成物を、写真法(フォトリソグラフィー)の工程に用いる場合には、先ず基板上に樹脂組成物を塗布し、続いて加熱乾燥を行って塗膜を形成させた後、この塗膜にパターン形成用フィルムを装着し、露光して現像するという一連の工程が採用されている。光硬化後の塗膜には、現像性に加えて、耐熱性や、耐水性、耐湿性等の長期信頼性に関わる特性が求められる。
すなわち、本発明の目的は、下記(1)~(7)により達成される。
(1)重合体100質量%中、マレイミド系単量体由来の構成単位15~60質量%、エステル結合を有さない不飽和カルボン酸単量体由来の構成単位20~30質量%、水酸基を有する単量体由来の構成単位10~40質量%、及びエステル結合を有さない芳香族系単量体由来の構成単位1~35質量%を必須単位として含有する上記重合体が有するカルボキシル基に対して、上記カルボキシル基と反応し得る官能基及びラジカル重合性炭素-炭素二重結合を有する単量体を反応させてなる構造を有するラジカル重合性重合体。
上記ラジカル重合性重合体は、下記式により得られる熱処理後残存率X(質量%)と固形分濃度Y(質量%)との相対値X/Yが0.95以上である。
熱処理後残存率X(質量%)={ラジカル重合性重合体0.3g(加熱乾燥前の質量)とアセトン2mlとの混合物を200℃で30分加熱乾燥して得た乾燥混合物の質量(g)}/{ラジカル重合性重合体の加熱乾燥前の質量0.3(g)}
固形分濃度Y(質量%)={ラジカル重合性重合体0.3g(加熱乾燥前の質量)を真空下160℃で1時間30分加熱乾燥させて得た固形分の質量(g)}/{ラジカル重合性重合体の加熱乾燥前の質量0.3(g)}
(2)上記エステル結合を有さない不飽和カルボン酸単量体由来の構成単位が(メタ)アクリル酸由来の構成単位である(1)に記載のラジカル重合性重合体。
(3)(1)又は(2)に記載のラジカル重合性重合体とラジカル重合性化合物を含んでなる樹脂組成物。
(4)着色剤を含むものを除く、(3)に記載の樹脂組成物。
(5)(1)又は(2)に記載のラジカル重合性重合体、または(3)又は(4)に記載の樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
(6)下記式(1)および(2)
熱処理後残存率X(質量%)={ラジカル重合性重合体0.3g(加熱乾燥前の質量)とアセトン2mlとの混合物を200℃で30分加熱乾燥して得た乾燥混合物の質量(g)}/{ラジカル重合性重合体の加熱乾燥前の質量0.3(g)} (1)
固形分濃度Y(質量%)={ラジカル重合性重合体0.3g(加熱乾燥前の質量)を真空下160℃で1時間30分加熱乾燥させて得た固形分の質量(g)}/{ラジカル重合性重合体の加熱乾燥前の質量0.3(g)} (2)
により得られる熱処理後残存率X(質量%)と固形分濃度Y(質量%)との相対値X/Yが0.95以上であるラジカル重合性重合体の製造方法であって、
単量体成分100質量%中、マレイミド系単量体15~60質量%、エステル結合を有さない不飽和カルボン酸単量体20~30質量%、水酸基を有する単量体10~40質量%、及びエステル結合を有さない芳香族系単量体1~35質量%を必須として含有する上記単量体成分を反応させて重合体を得る工程と、
上記重合体が有するカルボキシル基に対して、上記カルボキシル基と反応し得る官能基及びラジカル重合性炭素-炭素二重結合を有する単量体を反応させてラジカル重合性重合体を得る工程と、
を含むラジカル重合性重合体の製造方法。
(7)上記重合体が、エステル類とアルコール類との混合溶媒中で重合して得られるものである、(6)に記載のラジカル重合性重合体の製造方法。
上記ラジカル重合性重合体中、上記重合体(ベースポリマー)由来の構成単位は、主鎖を構成する。上記カルボキシル基と反応し得る官能基及びラジカル重合性炭素-炭素二重結合を有する単量体由来の構成単位は、ラジカル重合性重合体の側鎖を構成する。
本発明のラジカル重合性重合体は、主鎖100質量%中、マレイミド系単量体由来の構成単位15~60質量%、エステル結合を有さない不飽和カルボン酸単量体由来の構成単位20~30質量%、水酸基を有する単量体由来の構成単位10~40質量%、及びエステル結合を有さない芳香族系単量体由来の構成単位1~35質量%を含み、かつ、側鎖にラジカル重合性炭素-炭素二重結合を有する。
なお、以下において、単量体単位との記載は、単量体に由来する構成単位を示し、当該単量体中の重合性炭素-炭素二重結合(C=C)が単結合(C-C)になった構造単位を意味する。例えば、マレイミド系単量体単位とは、マレイミド系単量体を共重合又はグラフト重合した場合の、マレイミド系単量体由来の構成単位を意味する。
また、N-フェニルマレイミドとN-ベンジルマレイミドとを併用することも好ましい。併用する場合のN-フェニルマレイミドとN-ベンジルマレイミドとの好ましい比率は、質量比で99:1~1:99である。
このような単量体成分の具体例としては、エステル結合を有さない芳香族系単量体;酢酸ビニル、アジピン酸ビニル等のビニルエステルモノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系単量体;n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n-ヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテルや対応するアルキルビニル(チオ)エーテル;無水マレイン酸等の酸無水物基含有単量体あるいはこれをアルコール類等により酸無水物基を開環変性した単量体や上記したもの以外の不飽和塩基酸;N-ビニルピロリドン、N-ビニルオキサゾリドン等のN-ビニル系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体等が挙げられる。
また、エステル結合を有さない芳香族系単量体(エステル結合を有さない芳香族系単量体単位)が、ベースポリマーを構成する全単量体成分(ベースポリマーを構成する全単量体単位100質量%)中に1~35質量%含まれている。エステル結合を有さない芳香族系単量体の含有量を1質量%以上とすることで、硬化物特性をより充分に付与することができる。一方、含有量を35質量%以下とすることで、マレイミド系単量体、不飽和カルボン酸、水酸基を有する単量体に起因する耐熱性、アルカリ現像性をより充分に付与することができる。エステル結合を有さない芳香族系単量体のより好ましい下限は5質量%、さらに好ましい下限は7質量%、特に好ましい下限は8質量%である。また、より好ましい上限は33質量%、さらに好ましい上限は30質量%である。
熱処理後残存率X(質量%)={ラジカル重合性重合体0.3g(加熱乾燥前の質量)とアセトン2mlとの混合物を200℃で30分加熱乾燥して得た乾燥混合物の質量(g)}/{ラジカル重合性重合体の加熱乾燥前の質量0.3(g)} (1)
固形分濃度Y(質量%)={ラジカル重合性重合体0.3g(加熱乾燥前の質量)を真空下160℃で1時間30分加熱乾燥させて得た固形分の質量(g)}/{ラジカル重合性重合体の加熱乾燥前の質量0.3(g)} (2)
により得られる熱処理後残存率X(質量%)と固形分濃度Y(質量%)との相対値X/Yが0.95以上であるラジカル重合性重合体の製造方法であって、
単量体成分100質量%中、マレイミド系単量体15~60質量%、エステル結合を有さない不飽和カルボン酸単量体20~30質量%、水酸基を有する単量体10~40質量%、及びエステル結合を有さない芳香族系単量体1~35質量%を必須として含有する上記単量体成分を反応させて重合体(ベースポリマー)を得る工程と、
上記重合体が有するカルボキシル基に対して、上記カルボキシル基と反応し得る官能基及びラジカル重合性炭素-炭素二重結合を有する単量体を反応させてラジカル重合性重合体を得る工程と、
を含んでいる。
溶液重合の際の溶媒としては、重合を阻害したり、原料単量体各成分を変質させるおそれの無い溶媒であれば特に限定されない。使用可能な溶媒の具体的としては、トルエン、キシレン等の炭化水素類;セロソルブアセテート、カルビトールアセテート、(ジ)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、グルタル酸(ジ)メチル、コハク酸(ジ)メチル、アジピン酸(ジ)メチル、メチルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、メチルプロピオネート等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、メチル-t-ブチルエーテル、(ジ)エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等が挙げられ、これらの1種または2種以上を混合して用いることができる。また、特に、マレイミド系単量体の使用量が30質量%を超える場合や(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸の使用量が30質量%を超える場合には、単量体や重合体の溶解性向上のために、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートやカルビトールアセテート等のエステル類とプロピレングリコールモノメチルエーテルやイソプロパノール等のアルコール類との混合溶媒が好ましい。
上記全単量体成分中、さらに、エステル結合を有さない芳香族系単量体1~35質量%を含有する。
この範囲の分子量に調整するために、必要であれば、重合反応時に連鎖移動剤を用いてもよいが、用いないことでメルカプタン臭のない樹脂組成物を得ることができる。
熱処理後残存率X(質量%)={ラジカル重合性重合体0.3g(加熱乾燥前の質量)とアセトン2mlとの混合物を200℃で30分加熱乾燥して得た乾燥混合物の質量(g)}/{ラジカル重合性重合体の加熱乾燥前の質量0.3(g)}
固形分濃度Y(質量%)={ラジカル重合性重合体0.3g(加熱乾燥前の質量)を真空下160℃で1時間30分加熱乾燥させて得た固形分の質量(g)}/{ラジカル重合性重合体の加熱乾燥前の質量0.3(g)}
ラジカル重合性モノマーの具体例としては、N-フェニルマレイミド、N-(2-メチルフェニル)マレイミド、N-(4-メチルフェニル)マレイミド、N-(2,6-ジエチルフェニル)マレイミド、N-(2-クロロフェニル)マレイミド、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-イソプロピルマレイミド、N-ラウリルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルメチルマレイミド、N-(2,4,6-トリブロモフェニル)マレイミド、N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]マレイミド、N-オクタデセニルマレイミド、N-ドデセニルマレイミド、N-(2-メトキシフェニル)マレイミド、N-(2,4,6-トリクロロフェニル)マレイミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミド、N-(1-ヒドロキシフェニル)マレイミド等のN-置換マレイミド基含有単量体;スチレン、α-メチルスチレン、α-クロロスチレン、ビニルトルエン、p-ヒドロキシスチレン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルベンゼンホスホネート等の芳香族ビニル系単量体;酢酸ビニル、アジピン酸ビニル等のビニルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、(ジ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]トリアジン、デンドリチックアクリレート等の(メタ)アクリル系単量体;n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n-ヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル等の(ヒドロキシ)アルキルビニル(チオ)エーテル;(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル等のラジカル重合性二重結合を有するビニル(チオ)エーテル;無水マレイン酸等の酸無水物基含有単量体あるいはこれをアルコール類、アミン類、水等により酸無水物基を開環変性した単量体;N-ビニルピロリドン、N-ビニルオキサゾリドン等のN-ビニル系単量体;アリルアルコール、トリアリルシアヌレート等、ラジカル重合可能な二重結合を1個以上有する化合物が挙げられる。
これらは、用途や要求特性に応じて適宜選択され、1種または2種以上を混合して用いることができる。
また、印刷製版分野で最近多用されているCTP(Computer To Plate)システム、すなわち、露光時にパターン形成用フィルムを使用せず、デジタル化されたデータによってレーザー光を直接塗膜上に走査・露光して描画する方法を採用することができる。
<酸価>
各溶液約0.3gを精秤し、アセトン/水混合溶媒に溶解し、0.1規定のKOH水溶液を滴定液として用いて、自動滴定装置(平沼産業社製)により酸価を測定した。
ポリスチレンを標準物質とし、テトラヒドロフランを溶離液としてHLC-8220GPC(東ソー社製)によるGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法にて重量平均分子量を測定した。
各溶液を、アルミカップに0.3g程度入れて精秤し、アセトン約2mlを加え、よく混合した後、200℃の熱風乾燥機に入れた。30分加熱乾燥した後の質量を測定し、200℃で加熱乾燥後の質量を加熱乾燥前の質量で割って熱処理後残存率X(%)を求めた。このX(%)と真空下160℃にて1時間30分加熱乾燥させて得た固形分濃度Y(%)との相対値(X/Y)で評価した。この値が大きいほど、耐熱分解性が高いことになる。
表に示す配合にて得た溶液をスピンコートにて銅板上に塗布し、80℃で30分乾燥させた後に室温まで冷却し、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液に浸漬して塗膜の溶解性により評価した。
上記で得たアルカリ溶解性評価用試験板に2J/cm2の光を照射した後、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液に浸漬して評価した。
光硬化性評価のときと同様に乾燥塗膜形成、光照射を行い、硬化物を得た。これを150℃で1時間加熱して試験基板とした。この試験基板を用いて、-65℃で15分、150℃で15分を1サイクルとして冷熱サイクル試験を行い、200サイクル後の外観を観察し、目視で評価した。
ラジカル重合性重合体の合成
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、カルビトールアセテート81.5部を仕込み、窒素置換した後、80℃に昇温した。他方、滴下槽1にN-フェニルマレイミドを30部、カルビトールアセテートを120部混合したもの、滴下槽2にスチレンを29部、メタアクリル酸2-ヒドロキシエチルを20部混合したもの、滴下槽3にアクリル酸を21部、カルビトールアセテートを10.6部混合したもの、滴下槽4に重合開始剤としてルペロックス11(商品名;アルケマ吉富社製、t-ブチルパーオキシピバレートを70%含有する炭化水素溶液)を10部、カルビトールアセテートを21.2部混合したものをそれぞれ仕込んだ。反応温度を80℃に保ちながら、滴下槽1、2,4から3時間、滴下槽3から2.5時間かけて滴下を行った。滴下終了後から更に80℃で30分、反応を継続した。その後、反応温度を95℃に昇温し、1.5時間反応を継続してラジカル重合性二重結合導入反応前の重合体溶液を得た。
次いで、この重合体溶液にグリシジルメタクリレートを9.9部、カルビトールアセテートを7.4部、反応触媒としてトリフェニルホスフィンを0.7部、重合禁止剤としてアンテージW-400(川口化学工業社製)を0.2部加え、窒素と酸素との混合ガス(酸素濃度7%)をバブリングしながら115℃で反応させて本発明のラジカル重合性重合体溶液A-1を得た。
得られたラジカル重合性重合体溶液A-1について各種物性を測定したところ、重量平均分子量は19800、真空下160℃にて加熱乾燥させて得られた固形分濃度は32.0%、固形分当たりの酸価は121mgKOH/gであった。耐熱分解性については、X/Y=0.972であった。
ラジカル重合性重合体の合成
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート81.5部を仕込み、窒素置換した後、80℃に昇温した。他方、滴下槽1にN-フェニルマレイミドを30部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを120部混合したもの、滴下槽2にスチレンを28.5部、メタアクリル酸2-ヒドロキシエチルを20部混合したもの、滴下槽3にアクリル酸を21.5部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを10.6部混合したもの、滴下槽4に重合開始剤としてルペロックス11を10部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを21.2部混合したものをそれぞれ仕込んだ。反応温度を80℃に保ちながら、滴下槽1、2、4から3時間、滴下槽3から2.5時間かけて滴下を行った。滴下終了後から更に80℃で30分、反応を継続した。その後、反応温度を95℃に昇温し、1.5時間反応を継続してラジカル重合性二重結合導入反応前の重合体溶液を得た。
次いで、この重合体溶液にサイクロマーM100(ダイセル化学工業社製)を13.6部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを7.4部、反応触媒としてトリフェニルホスフィンを0.7部、重合禁止剤としてアンテージW-400を0.2部加え、窒素と酸素との混合ガス(酸素濃度7%)をバブリングしながら115℃で反応させて本発明のラジカル重合性重合体溶液A-2を得た。
得られたラジカル重合性重合体溶液A-2について各種物性を測定したところ、重量平均分子量は16900、真空下160℃にて加熱乾燥させて得られた固形分濃度は31.9%、固形分当たりの酸価は123mgKOH/gであった。耐熱分解性については、X/Y=0.997であった。
ラジカル重合性重合体の合成
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート82.4部、イソプロパノール35.3部を仕込み、窒素置換した後、100℃に昇温した。他方、滴下槽1にN-フェニルマレイミドを40部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを128部、イソプロパノールを32部混合したもの、滴下槽2にスチレンを13部、メタアクリル酸2-ヒドロキシエチルを20部、メタアクリル酸を27部、イソプロパノールを22.2部混合したもの、滴下槽3に重合開始剤としてパーブチルO(商品名;日本油脂社製、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート)10部をそれぞれ仕込んだ。反応温度を100℃に保ちながら、滴下槽1~3から3時間かけて滴下を行った。滴下終了後から更に100℃で30分、反応を継続した。その後、反応温度を115℃に昇温し、1.5時間反応を継続してラジカル重合性二重結合導入反応前の重合体溶液を得た。
次いで、この重合体溶液にサイクロマーM100を13.7部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを31.2部、反応触媒としてトリフェニルホスフィンを0.7部、重合禁止剤としてアンテージW-400を0.2部加え、窒素と酸素との混合ガス(酸素濃度7%)をバブリングしながら115℃で反応させて本発明のラジカル重合性重合体溶液A-3を得た。
得られたラジカル重合性重合体溶液A-3について各種物性を測定したところ、重量平均分子量は7400、真空下160℃にて加熱乾燥させて得られた固形分濃度は32.0%、固形分当たりの酸価は124mgKOH/gであった。耐熱分解性については、X/Y=0.982であった。
ラジカル重合性重合体の合成
合成例3において、N-フェニルマレイミド40部に変えてN-ベンジルマレイミドを40部とした以外は、合成例3と同様にして、本発明のラジカル重合性重合体溶液A-4を得た。
得られたラジカル重合性重合体溶液A-4について各種物性を測定したところ、重量平均分子量は6200、真空下160℃にて加熱乾燥させて得られた固形分濃度は32.0%、固形分当たりの酸価は125mgKOH/gであった。耐熱分解性については、X/Y=0.980であった。
ラジカル重合性重合体の合成
合成例3において、N-フェニルマレイミド40部に変えてN-フェニルマレイミドを20部およびN-ベンジルマレイミドを20部とし、パーブチルOの仕込み量を8部とした以外は、合成例3と同様にして、本発明のラジカル重合性重合体溶液A-5を得た。
得られたラジカル重合性重合体溶液A-5について各種物性を測定したところ、重量平均分子量は7600、真空下160℃にて加熱乾燥させて得られた固形分濃度は32.0%、固形分当たりの酸価は126mgKOH/gであった。耐熱分解性については、X/Y=0.985であった。
比較用ラジカル重合性重合体の合成
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、カルビトールアセテート81.5部を仕込み、窒素置換した後、80℃に昇温した。他方、滴下槽1にN-フェニルマレイミドを30部、カルビトールアセテートを120部混合したもの、滴下槽2にスチレンを39部、メタアクリル酸2-ヒドロキシエチルを10部混合したもの、滴下槽3にアクリル酸を21部、カルビトールアセテートを10.6部混合したもの、滴下槽4に重合開始剤としてルペロックス11を10部、カルビトールアセテートを21.2部混合したものをそれぞれ仕込んだ。反応温度を80℃に保ちながら、滴下槽1、2,4から3時間、滴下槽3から2.5時間かけて滴下を行った。滴下終了後から更に80℃で30分、反応を継続した。その後、反応温度を95℃に昇温し、1.5時間反応を継続してラジカル重合性二重結合導入反応前の重合体溶液を得た。
次いで、この重合体溶液にグリシジルメタクリレートを9.9部、カルビトールアセテートを7.4部、反応触媒としてトリフェニルホスフィンを0.7部、重合禁止剤としてアンテージW-400を0.2部加え、窒素と酸素との混合ガス(酸素濃度7%)をバブリングしながら115℃で反応させて比較用のラジカル重合性重合体溶液B-1を得た。
得られたラジカル重合性重合体溶液B-1について各種物性を測定したところ、重量平均分子量は15600、真空下160℃にて加熱乾燥させて得られた固形分濃度は31.6%、固形分当たりの酸価は121mgKOH/gであった。耐熱分解性については、X/Y=0.959であった。
モノマー:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
重合開始剤:イルガキュアー907(BASFジャパン社製光重合開始剤)
一方、比較例1に示すように、比較用ラジカル重合性重合体溶液B-1を用いた樹脂組成物では、アルカリ溶解性に劣る結果となった。
Claims (5)
- 重合体100質量%中、マレイミド系単量体由来の構成単位15~60質量%、エステル結合を有さない不飽和カルボン酸単量体由来の構成単位20~30質量%、水酸基を有する単量体由来の構成単位10~40質量%、及びエステル結合を有さない芳香族系単量体由来の構成単位1~35質量%を必須単位として含有する前記重合体が有するカルボキシル基に対して、前記カルボキシル基と反応し得る官能基及びラジカル重合性炭素-炭素二重結合を有する単量体を反応させてなる構造を有するラジカル重合性重合体であって、
下記式により得られる熱処理後残存率X(質量%)と固形分濃度Y(質量%)との相対値X/Yが0.95以上であるラジカル重合性重合体とラジカル重合性化合物とを含んでなる樹脂組成物であって、
着色剤を含むものを除く、樹脂組成物。
熱処理後残存率X(質量%)={ラジカル重合性重合体0.3g(加熱乾燥前の質量)とアセトン2mlとの混合物を200℃で30分加熱乾燥して得た乾燥混合物の質量(g)}/{ラジカル重合性重合体の加熱乾燥前の質量0.3(g)}
固形分濃度Y(質量%)={ラジカル重合性重合体0.3g(加熱乾燥前の質量)を真空下160℃で1時間30分加熱乾燥させて得た固形分の質量(g)}/{ラジカル重合性重合体の加熱乾燥前の質量0.3(g)} - 前記エステル結合を有さない不飽和カルボン酸単量体由来の構成単位が(メタ)アクリル酸由来の構成単位である請求項1に記載の樹脂組成物。
- 請求項1又は2に記載の樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
- 下記式(1)および(2)
熱処理後残存率X(質量%)={ラジカル重合性重合体0.3g(加熱乾燥前の質量)とアセトン2mlとの混合物を200℃で30分加熱乾燥して得た乾燥混合物の質量(g)}/{ラジカル重合性重合体の加熱乾燥前の質量0.3(g)} (1)
固形分濃度Y(質量%)={ラジカル重合性重合体0.3g(加熱乾燥前の質量)を真空下160℃で1時間30分加熱乾燥させて得た固形分の質量(g)}/{ラジカル重合性重合体の加熱乾燥前の質量0.3(g)} (2)
により得られる熱処理後残存率X(質量%)と固形分濃度Y(質量%)との相対値X/Yが0.95以上であるラジカル重合性重合体の製造方法であって、
単量体成分100質量%中、マレイミド系単量体30~60質量%、エステル結合を有さない不飽和カルボン酸単量体20~30質量%、水酸基を有する単量体10~40質量%、及びエステル結合を有さない芳香族系単量体1~35質量%を必須として含有する前記単量体成分を反応させて重合体を得る工程と、
前記重合体が有するカルボキシル基に対して、前記カルボキシル基と反応し得る官能基及びラジカル重合性炭素-炭素二重結合を有する単量体を反応させてラジカル重合性重合体を得る工程と、
を含むラジカル重合性重合体の製造方法。 - 前記重合体が、エステル類とアルコール類との混合溶媒中で重合して得られるものである、
請求項4に記載のラジカル重合性重合体の製造方法。
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