JP2017071750A - 硬化性樹脂および硬化性樹脂組成物 - Google Patents

硬化性樹脂および硬化性樹脂組成物 Download PDF

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雅年 吉田
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雅年 吉田
大槻 信章
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Abstract

【課題】優れた耐熱性および屈曲性を有する硬化物を与えることができる硬化性樹脂およびその製造方法を提供する。【解決手段】(A)エポキシ樹脂と、(B)イミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物と、(C)不飽和一塩基酸との反応生成物に、(D)多塩基酸無水物を反応させることにより得られる硬化性樹脂であって、上記(A)は融点90℃以上の結晶性エポキシ樹脂を含有し、(A)が有するエポキシ基1化学当量に対して、上記(B)が有するカルボキシル基は0.1〜0.9モル、上記(C)が有するカルボキシル基は0.1〜0.9モルの割合で用いて得られる硬化性樹脂。また、(A)、(B)及び(C)を反応させて硬化性樹脂中間物を製造する第一工程、第一工程で得られる硬化性樹脂中間物に、(D)を反応させる第二工程を含む硬化性樹脂の製造方法であって、上記(A)は融点90℃以上の結晶性エポキシ樹脂を含有し、(A)が有するエポキシ基1化学当量に対して、(B)及び(C)が有するカルボキシル基を、各々特定割合で反応させることを特徴とする硬化性樹脂の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、画像形成用途等に用いることができる硬化性樹脂およびその製造方法や硬化性樹脂組成物、さらにこれらを硬化して得られる硬化物に関するものである。
エポキシ樹脂を不飽和一塩基酸で変性させたエポキシ(メタ)アクリレートは、熱または光により硬化させることができ、硬化物の耐薬品性等の特性に優れているため、硬化性樹脂として各種成形材料や塗料用途に用いられている。エポキシ(メタ)アクリレートは、微細加工や画像形成用の光硬化性樹脂としても汎用されており、この分野では、画像の微細化への対応の点から写真法の原理を応用するとともに、環境対策の点でアルカリ水溶液で現像することのできる樹脂材料が求められている。このような観点から、エポキシ(メタ)アクリレートに多塩基酸無水物を反応させてカルボキシル基を導入したカルボキシル基含有エポキシ(メタ)アクリレート等が使用されている(例えば、特許文献1〜5等)。
光硬化性樹脂によるパターン形成においては、基板上に硬化性樹脂を塗布し加熱乾燥を行って塗膜を形成させた後、この塗膜にパターン形成用フィルムを圧着し、露光して、現像するという一連の工程が採用されている。これらの一連の工程においては、微細なパターンを形成するための良好な現像性や高い解像度、あるいは露光・現像後のパターン形成用フィルムの剥離性に関連した硬化性樹脂のタックフリー性が求められており、様々な検討がなされている。また近年では、硬化性樹脂を硬化させた後の硬化物にも高い耐久性が求められるようになっており、硬化物の用途によっては、高温での処理工程(例えばソルダーレジストにおける半田付け、カラーフィルター基板におけるITO膜形成等)に耐え得る耐熱性が要求されるようになってきている。耐熱性向上には、多官能のエポキシ樹脂や(メタ)アクリレートを用いて樹脂骨格に二重結合を多数導入して、架橋密度を高めることが考えられる。しかしながら、架橋密度が高くなると硬化塗膜は脆くなってしまい、耐熱性と脆さ低減のバランスがとりにくいという問題がある。
特開昭61−243869号公報 特開昭63−258975号公報 特開平11−222514号公報 特開2000−109541号公報 特開2003−222993号公報
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、優れた耐熱性と可撓性を有する硬化物を与えることができる硬化性樹脂およびその製造方法や硬化性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の硬化性樹脂が良好な取り扱い性を有しつつ優れた耐熱性と可撓性を発現することを見出した。
すなわち、本発明の目的は、下記(1)〜(10)により達成される。
(1)(A)エポキシ樹脂と、(B)イミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物と、(C)不飽和一塩基酸との反応生成物に、(D)多塩基酸無水物を反応させることにより得られる硬化性樹脂であって、該(A)は融点90℃以上の結晶性エポキシ樹脂を含有し、該(A)が有するエポキシ基1化学当量に対して、該(B)が有するカルボキシル基は0.1〜0.9モル、該(C)が有するカルボキシル基は0.1〜0.9モルの割合で用いて得られる硬化性樹脂。
(2)前記(A)が有するエポキシ基1化学当量に対して、前記(B)が有するカルボキシル基と前記(C)が有するカルボキシル基の総量が0.8〜1.1モルとなる割合で用いて得られる(1)に記載の硬化性樹脂。
(3)前記(A)エポキシ樹脂と、前記(B)イミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物と、前記(C)不飽和一塩基酸との反応生成物中のヒドロキシル基1化学当量に対して、前記(D)多塩基酸無水物を0.1〜1.1モルとなる割合で反応させて得られる(1)または(2)に記載の硬化性樹脂。
(4)前記(B)イミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物が、カルボン酸を有する化合物と1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を必須成分とする混合物を反応させて得られるものである(1)〜(3)のいずれかに記載の硬化性樹脂。
(5)前記カルボン酸を有する化合物がさらにカルボン酸無水物構造を有する化合物である(4)に記載の硬化性樹脂。
(6)前記結晶性エポキシ樹脂が、ビフェニル骨格を有するものである(1)〜(5)のいずれかに記載の硬化性樹脂。
(7)(A)エポキシ樹脂と、(B)イミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物と、(C)不飽和一塩基酸とを反応させて硬化性樹脂中間物を製造する第一工程、第一工程で得られる硬化性樹脂中間物に、(D)多塩基酸無水物を反応させる第二工程を含む硬化性樹脂の製造方法であって、該(A)は融点90℃以上の結晶性エポキシ樹脂を含有し、該(A)が有するエポキシ基1化学当量に対して、該(B)が有するカルボキシル基は0.1〜0.9モル、該(C)が有するカルボキシル基は0.1〜0.9モルとなる割合で反応させることを特徴とする硬化性樹脂の製造方法。
(8)前記第一工程が、(A)エポキシ樹脂と、(B)イミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物とを反応させて高分子量化したエポキシ樹脂を得る工程と、(C)不飽和一塩基酸とを反応させて不飽和基を導入する工程とを含むことを特徴とする(7)に記載の硬化性樹脂の製造方法。
(9)前記(1)〜(6)のいずれかに記載の硬化性樹脂と、重合開始剤とを含んでなる硬化性樹脂組成物。
(10)前記(1)〜(6)のいずれかに記載の硬化性樹脂、または前記(9)に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
以下、本発明における(A)エポキシ樹脂、(B)イミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物、(C)不飽和一塩基酸、および(D)多塩基酸無水物は、単に化合物名やアルファベットで称することがある。
出発原料となる(A)エポキシ樹脂としては、硬化物の耐熱性と可撓性との両立の点から、少なくとも一部に融点90℃以上の結晶性エポキシ樹脂を含有していることが好ましい。
(B)イミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物を得るために用いるカルボン酸を有する化合物(a)は、1分子中にカルボン酸を2個以上有する、あるいは1分子中に酸無水物構造をも有するものである。また、テトラカルボン酸二無水物(c)を併用しても良い。カルボン酸を有する化合物(a)と、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(b)を必須成分とする混合物の反応においては、カルボン酸を有する化合物(a)と併用しても良いテトラカルボン酸二無水物(c)とを合わせて(以下、酸成分(a+c)と称す)1モルに対し、イソシアネート化合物(b)を0.4モル以上0.8モル以下反応させることが好ましい。このような比率で使用することで、多価カルボン酸化合物の溶媒への溶解性を良好なものとしやすくなり、また残存する低分子量物が低減できることで耐熱性低下を引き起こすことがない。
(B)イミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物は、左記多価カルボン酸化合物が有するカルボキシル基を(A)エポキシ樹脂のエポキシ基1化学当量に対して、0.1モル以上0.9モル以下反応させることが好ましい。このような比率で多価カルボン酸化合物をエポキシ樹脂に対して反応させることにより、得られる硬化物の可撓性を高めることができ、また硬化性樹脂の硬化性を良好なものとしやすくなる。
(C)不飽和一塩基酸は、エポキシ樹脂のエポキシ基1化学当量に対して、0.1モル以上0.9モル以下反応させることが好ましい。このような比率で不飽和一塩基酸をエポキシ樹脂に対して反応させることにより、硬化性樹脂の硬化性を良好なものとしやすくなり、また得られる硬化物の脆性を軽減できる。
多価カルボン酸化合物が有するカルボキシル基および不飽和一塩基酸が有するカルボキシル基は、両者の合計で、エポキシ樹脂のエポキシ基1化学当量に対して、0.8モル以上1.1モル以下となるように反応させることが好ましい。このような比率で多価カルボン酸化合物と不飽和一塩基酸をエポキシ樹脂に対して反応させることにより、多価カルボン酸化合物や不飽和一塩基酸をエポキシ樹脂に導入することの効果が十分発揮されやすくなり、また硬化性樹脂の保存安定性が高まる。
(D)多塩基酸無水物は、エポキシ樹脂と、イミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物と、不飽和一塩基酸との反応生成物中のヒドロキシル基1化学当量に対して、0.1モル以上1.1モル以下反応させることが好ましい。このように多塩基酸無水物を反応させることにより、多塩基酸無水物の付加反応を効率的に行うことができ、また得られる硬化性樹脂にカルボキシル基を好適に導入することができる。
本発明には、本発明の硬化性樹脂と重合開始剤とを含有する硬化性樹脂組成物や、本発明の硬化性樹脂または硬化性樹脂組成物から得られる硬化物も含まれる。本発明の硬化物は、イミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物に由来するイミド結合および/またはアミド結合を有するものであるため、可撓性や基材への密着性に優れたものとなる。
本発明の硬化性樹脂は、融点90℃以上の結晶性エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂にラジカル重合性二重結合とカルボキシル基が導入されたものとなるため、アルカリ現像性と熱や光による硬化性を有するものとなる。さらに、イミド結合および/またはアミド結合を有するものであるため、耐熱性および可撓性や基材への密着性に優れた硬化物となる。
<硬化性樹脂の概略説明>
本発明の硬化性樹脂は、特定のエポキシ樹脂を変性したラジカル重合性の硬化性樹脂であり、具体的には、エポキシ樹脂と、イミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物と、不飽和一塩基酸との反応生成物に、多塩基酸無水物を特定の割合で反応させることにより得られるものである。
後述するが、上記反応生成物は硬化性樹脂中間物とも称し、硬化性樹脂の製造工程にはエポキシ樹脂と、イミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物と、不飽和一塩基酸とを反応させて硬化性樹脂中間物を製造する第一工程、第一工程で得られる硬化性樹脂中間物に、多塩基酸無水物を反応させる第二工程が含まれる。本発明の硬化性樹脂は、特定のエポキシ樹脂にイミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物を反応させることにより、硬化性樹脂中にイミド結合および/またはアミド結合を導入することができ、さらに不飽和一塩基酸を反応させることにより、硬化性樹脂中にラジカル重合性二重結合を導入することができる。そして、このようにして得られた反応生成物(硬化性樹脂中間物)に多塩基酸無水物を反応させることにより、硬化性樹脂にカルボキシル基を導入することができる。その際、硬化性樹脂中間物の水酸基に多塩基酸無水物が反応することでカルボキシル基を導入することができる。このようにして得られた硬化性樹脂は、アルカリ現像性と光硬化性を有するものとなり、画像形成用等のアルカリ現像型硬化性樹脂として利用することができる。
<エポキシ樹脂の説明>
本発明の硬化性樹脂の出発原料となるエポキシ樹脂としては、硬化物の耐熱性と可撓性との両立の点から、少なくとも一部に融点90℃以上の結晶性エポキシ樹脂を用いることが必須となる。より好ましくは融点95℃以上、さらに好ましくは融点100℃以上である。このような結晶性エポキシ樹脂としては、例えばビフェニル構造、フェニレン構造、スルフィド構造等を有するものが挙げられ、中でもビフェニル骨格を有するものが好ましい。これらの中でも二官能の結晶性エポキシ樹脂が好ましく、具体的な市販品としては、YL6121H、YX4000(三菱化学製)やYDC−1312、YSLV−120TE、YSLV−90CR(新日鉄住金化学製)等が挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
少なくとも一部用いられる融点90℃以上の結晶性エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂全体を100モル%としたとき、25モル%以上とすることが好ましく、50モル%以上とすることがさらに好ましく、70モル%以上とすることが特に好ましく、90モル%以上とすることが最も好ましい。25モル%以上とすることで、結晶性エポキシ樹脂骨格に由来する耐熱性を良好に発現させることができる。また、上記エポキシ樹脂は二官能以上のエポキシ樹脂を用いることがより好ましい。さらには、その他の公知のエポキシ樹脂を併用しても良く、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であれば特に好ましく併用可能であるが、硬化物の可撓性がより良好となることから、二官能のエポキシ樹脂を用いることが好ましい。このような二官能のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、テトラブロモビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型等のビスフェノール型エポキシ樹脂;水添(水素化)ビスフェノールA型等の脂環式エポキシ樹脂;ジグリシジルエステル型エポキシ樹脂;多価アルコールのジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、特に、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール類、あるいは前記ビスフェノール型エポキシ樹脂の前駆体であるビスフェノール化合物にアルキレンオキサイドを付加させたものである二価アルコール類と、エピクロルヒドリンを反応させて得られるジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ジグリシジルアミン型エポキシ樹脂;等の二官能エポキシ樹脂が挙げられる。
また、三官能以上のエポキシ樹脂を併用しても良く、これらの例として、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン等の多官能性グリシジルアミン樹脂;テトラフェニルグリシジルエーテルエタン等の多官能性グリシジルエーテル樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂;フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、ナフトール等のフェノール化合物と、フェノール性ヒドロキシル基を有する芳香族アルデヒドとの縮合反応により得られるポリフェノール化合物と、エピクロルヒドリンとの反応物;フェノール化合物とジビニルベンゼンやジシクロペンタジエン等のジオレフィン化合物との付加反応により得られるポリフェノール化合物と、エピクロルヒドリンとの反応物;4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサイドの開環重合物を過酸でエポキシ化したもの;トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環を有するエポキシ樹脂;等公知のエポキシ樹脂が挙げられる。
また、これらのエポキシ樹脂の2分子以上を、多塩基酸、ポリフェノール化合物、多官能アミノ化合物あるいは多価チオール等の鎖延長剤との反応によって結合して鎖延長したものを使用してもよい。
ここで、融点90℃以上の結晶性エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を併用する場合の使用量は、エポキシ樹脂全体を100モル%としたとき、75モル%以下とすることが好ましい。75モル%以下とすることで、結晶性エポキシ樹脂骨格に由来する耐熱性を良好に発現させることができる。他のエポキシ樹脂のより好ましい使用量は50モル%以下、さらに好ましい使用量は25モル%以下である。
本発明では、(A)エポキシ樹脂と、(B)イミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物と、(C)不飽和一塩基酸とを反応させて硬化性樹脂中間物を製造する第一工程、第一工程で得られる硬化性樹脂中間物に、(D)多塩基酸無水物を反応させる第二工程を含む硬化性樹脂の製造方法であって、該(A)は融点90℃以上の結晶性エポキシ樹脂を含有し、該(A)が有するエポキシ基1化学当量に対して、該(B)が有するカルボキシル基は0.1〜0.9モル、該(C)が有するカルボキシル基は0.1〜0.9モルとなる割合で反応させることを特徴とする硬化性樹脂の製造方法をも提供する。以下に各反応について説明する。
<(A)特定のエポキシ樹脂と(B)イミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物と(C)不飽和一塩基酸との反応およびその反応生成物の説明>
イミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物は、カルボン酸を有する化合物(a)と1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(b)を必須成分とする混合物を反応させて得られるものであることが好ましい。イミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物を得るために用いるカルボン酸を有する化合物(a)は、1分子中にカルボン酸を2個以上有する、あるいは1分子中に酸無水物構造、例えばカルボン酸無水物構造をも有するものであることが好ましい。
また、テトラカルボン酸二無水物(c)を併用しても良く、併用する場合はカルボン酸を有する化合物(a)1モルに対し、テトラカルボン酸二無水物(c)を0.3モル以下とすることがさらに好ましい。
カルボン酸を有する化合物(a)と、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(b)を必須成分とする混合物の反応においては、カルボン酸を有する化合物(a)と併用しても良いテトラカルボン酸二無水物(c)とを合わせて(以下、酸成分(a+c)と称す)1モルに対し、イソシアネート化合物(b)を0.8モル以下とすることが好ましい。より好ましくは0.78モル以下、さらに好ましくは0.76モル以下である。これら以下で使用することで、イミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物の分子量を適度な範囲に制御できるため、溶媒への溶解性がより良好となる。また、酸成分(a+c)1モルに対し、イソシアネート化合物(b)を0.4モル以上とすることが好ましい。より好ましくは0.45モル以上、さらに好ましくは0.5モル以上である。これら以上で使用することで残存する酸成分(a+c)が低減できるため、低分子量物による耐熱性低下を引き起こすことがない。
カルボン酸を有する化合物(a)としては、1分子中にカルボキシル基を2個有するものや3個以上有するものあるいはその無水物が挙げられる。中でも硬化性樹脂合成の際にゲル化を起こしにくいジカルボン酸やトリカルボン酸無水物が好ましく使用できる。
ジカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、フマル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸、1,16−(6−エチルヘキサデカン)−ジカルボン酸、1,18−(7,12−オクタデカジエン)−ジカルボン酸、リノール酸等から得られるダイマー酸、水添ダイマー酸等が挙げられ、硬化性樹脂のアルカリ溶解性や硬化物の耐熱性と可撓性の両立という点から、カルボン酸に含まれる以外の炭素原子の合計が好ましくは15個以下、より好ましくは10個以下のジカルボン酸を用いることが好ましい。具体的にはコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられ、これらは1種または2種以上を用いることができる。
トリカルボン酸無水物としては、例えば、無水トリメリット酸、ナフタレン−1,2,4−トリカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸無水物等が挙げられ、これらは1種または2種以上を用いることができる。
併用しても良いテトラカルボン酸の無水物(c)としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−2,3,2’,3’−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,8,4,5−テトラカルボン酸二無水物、デカヒドロナフタレン−1,8,4,5−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、フェナントレン−1,2,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ベリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物等が挙げられ、これらは1種または2種以上を用いることができる。
1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(b)としては、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物が使用可能であり、たとえばp−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジエチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート類、またイソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、ノルボヌレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族、脂環族のイソシアネートなどが挙げられ、また、これらイソシアネート化合物の一種類以上のビュレット体、または、ヌレート体等のポリイソシアネート原料も使用することができる。これらは1種または2種以上を用いることができる。
これらの中でも、得られたイミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物の溶媒への溶解性の点から、1分子中に2個〜4個のイソシアネート基を有することが好ましく、脂環式構造を有する化合物であることがさらに好ましく、中でもイソホロンジイソシアネートが好ましい。
イミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物の好ましい製造方法としては、後述する有機溶剤中で、カルボン酸を有する化合物(a)と併用しても良いテトラカルボン酸二無水物(c)と1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(b)とを、温度50〜250℃で、好ましくは130〜180℃で、1〜30時間反応させればよい。
不飽和一塩基酸は、1分子中に1個の酸基と1個以上のラジカル重合性不飽和結合を有する化合物であればよく、酸基としてはカルボキシル基であることが好ましい。不飽和一塩基酸をエポキシ樹脂に反応させることにより、酸基がエポキシ樹脂のエポキシ基と反応して、エポキシ樹脂中にラジカル重合性二重結合を導入することができる。
不飽和一塩基酸としては、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸、β−アクリロキシプロピオン酸、1個のヒドロキシル基と1個の(メタ)アクリロイル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと二塩基酸無水物との反応物、1個のヒドロキシル基と2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートと二塩基酸無水物との反応物、これらの一塩基酸のカプロラクトン変性物等が挙げられる。これらの不飽和一塩基酸は、1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、アルケニルカルボン酸を用いることが好ましく、アクリル酸またはメタアクリル酸がより好ましい。
エポキシ樹脂とイミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物および不飽和一塩基酸との反応は、エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸を反応させ、次いでイミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物を反応させる方法、エポキシ樹脂に対して不飽和一塩基酸とイミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物を一括して反応させる方法、エポキシ樹脂とイミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物を反応させ、次いで不飽和一塩基酸と反応させる方法等があり、いずれを採用してもよい。
イミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物は、多価カルボン酸化合物が有するカルボキシル基をエポキシ樹脂中のエポキシ基1化学当量に対して、0.1モル以上反応させることが好ましく、0.15モル以上がより好ましく、0.2モル以上がさらに好ましく、また0.9モル以下が好ましく、0.85モル以下がより好ましく、0.8モル以下がさらに好ましい。このような比率で多価カルボン酸化合物をエポキシ樹脂に対して反応させることにより、得られる硬化物の可撓性を高めることができ、また硬化性樹脂の硬化性を良好なものとしやすくなる。
不飽和一塩基酸は、エポキシ樹脂中のエポキシ基1化学当量に対して、0.1モル以上反応させることが好ましく、0.15モル以上がより好ましく、0.2モル以上がさらに好ましく、また0.9モル以下が好ましく、0.85モル以下がより好ましく、0.8モル以下がさらに好ましい。このような比率で不飽和一塩基酸をエポキシ樹脂に対して反応させることにより、硬化性樹脂の硬化性を良好なものとしやすくなり、また得られる硬化物の脆性を軽減できる。
多価カルボン酸化合物が有するカルボキシル基および不飽和一塩基酸は、両者の合計で、エポキシ樹脂のエポキシ基1化学当量に対して、0.8モル以上とすることが好ましく、0.85モル以上がより好ましく、また1.1モル以下が好ましく、1.05モル以下がより好ましい。多価カルボン酸化合物と不飽和一塩基酸の合計量が、エポキシ樹脂中のエポキシ基1化学当量の0.8モル以上であれば、多価カルボン酸化合物や不飽和一塩基酸をエポキシ樹脂に反応させることの効果が十分発揮されやすくなる。一方、多価カルボン酸化合物と不飽和一塩基酸の合計量が、エポキシ樹脂中のエポキシ基1化学当量の1.1モル以下であれば、未反応で残存する多価カルボン酸化合物や不飽和一塩基酸の量が低減され、硬化性樹脂の保存安定性が高まり、これらの低分子化合物が硬化物の特性低下を引き起こすことが抑えられる。
エポキシ樹脂に対するイミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物と不飽和一塩基酸の反応は、前述したように、いずれを先に行っても、同時に反応させてもよい。これらの反応は、後述するラジカル重合性化合物や溶媒等の希釈剤の存在下あるいは非存在下で、ハイドロキノンや酸素等の重合禁止剤、およびトリエチルアミン等の三級アミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリフェニルフォスフィン等のリン化合物、金属の有機酸塩または無機酸塩(塩化リチウム等)あるいはキレート化合物等の反応触媒の共存下、通常80℃〜150℃で行うことにより、反応生成物が得られる。以下、当該反応生成物を、「硬化性樹脂中間物」と称する場合がある。
また、上記の硬化性樹脂中間物を得る工程においては、先ず、エポキシ樹脂とイミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物とを反応させ、次いで不飽和一塩基酸とを反応させることで、より確実に高分子量化した(イミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物で連結された)エポキシ樹脂が得られることとなり、可撓性付与に有効である。
このように上記第一工程が、(A)エポキシ樹脂と、(B)イミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物とを反応させて高分子量化したエポキシ樹脂を得る工程と、(C)不飽和一塩基酸とを反応させて不飽和基を導入する工程とを含むことが好ましい。高分子量化したエポキシ樹脂の重量平均分子量としては1000以上であることが好ましい。
<(D)多塩基酸無水物の説明>
硬化性樹脂中間物には、イミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物と不飽和一塩基酸がエポキシ樹脂中のエポキシ基と反応することによりエポキシ基が開環して生成したヒドロキシル基が存在している。硬化性樹脂中間物に多塩基酸無水物を反応させることにより、多塩基酸無水物がこれらのヒドロキシル基と反応して、カルボキシル基が導入された本発明の硬化性樹脂を得ることができる。得られるカルボキシル基含有硬化性樹脂はアルカリ現像が可能となるので、画像形成用等のアルカリ現像型硬化性樹脂として利用することができる。
多塩基酸無水物としては、無水フタル酸、無水コハク酸、オクテニル無水コハク酸、ペンタドデセニル無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、トリメリット酸等の二塩基酸無水物;ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族あるいは芳香族四塩基酸二無水物等が挙げられる。これらの多塩基酸無水物は、1種または2種以上を使用することができる。これらの中でも、二塩基酸無水物を用いることが好ましい。
多塩基酸無水物は、硬化性樹脂中間物中のヒドロキシル基1化学当量に対して、多塩基酸無水物中の酸無水物基が0.1モル以上となるように反応させることが好ましく、0.2モル以上がより好ましく、また1.1モル以下が好ましく、0.9モル以下がより好ましい。このように多塩基酸無水物を反応させることにより、得られる硬化性樹脂にカルボキシル基を好適に導入することができ、また多塩基酸無水物と硬化性樹脂中間物との反応を効率的に行うことができる。
つまり、(A)エポキシ樹脂と、(B)イミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物と、(C)不飽和一塩基酸との反応生成物(硬化性樹脂中間物)中のヒドロキシル基1化学当量に対して、(D)多塩基酸無水物を0.1〜1.1モルとなる割合で反応させて得ることが好ましい。
硬化性樹脂中間物と多塩基酸無水物の反応は、後述するラジカル重合性化合物や溶媒等の希釈剤の存在下または非存在下で、ハイドロキノンや酸素等の重合禁止剤の存在下、通常50℃〜130℃で行う。このとき必要に応じて、トリエチルアミン等の三級アミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、塩化リチウム等の金属塩等を触媒として添加してもよい。なお、硬化性樹脂中間物と多塩基酸無水物の反応は、硬化性樹脂中間物の生成反応に引き続いて、反応溶液中に多塩基酸無水物を添加して行うのが簡便である。
上記のようにして得られる硬化性樹脂の酸価は、30mgKOH/g以上が好ましく、40mgKOH/g以上がより好ましく、50mgKOH/g以上がさらに好ましく、また160mgKOH/g以下が好ましく、155mgKOH/g以下がより好ましく、150mgKOH/g以下がさらに好ましい。硬化性樹脂の酸価が30mgKOH/g以上とすることで、良好なアルカリ現像性を発現しやすくなる。硬化性樹脂の酸価が160mgKOH/g以下であれば、アルカリ現像液によって露光部分が侵食されにくくなり、また硬化物の耐水性や耐湿性が向上する。
本発明の硬化性樹脂の溶媒として用いる有機溶剤としては、環境への負担軽減の点から、窒素原子および硫黄原子のいずれも含まない極性溶剤を主成分(好ましくは全有機溶剤中90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、特に好ましくは99質量%以上100質量%以下)として含むことが好ましい。このような汎用溶媒を使用することで、電気電子産業等の各種分野での適用が容易となる。
本発明における有機溶剤としては、環境面、カルボン酸無水物やイソシアネート基と反応しない、有機溶剤を含む硬化性樹脂組成物の取扱い性、保存安定性の点から、例えば水酸基を有さないエーテル系、エステル系、ケトン系等の溶剤が挙げられ、特にエーテル系溶剤が好ましい。
エーテル系溶剤としては、公知のものが使用可能であるが、例えばエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等のエチレングリコールジアルキルエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル等のポリエチレングリコールジアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のポリエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル類;ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジブチルエーテル等のポリプロピレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;等が挙げられる。
有機溶剤の使用量は、本発明の硬化性樹脂100質量部に対し、900質量部以下、より好ましくは500質量部以下である。好ましい下限値としては、硬化性樹脂100質量部に対し、30質量部以上、より好ましくは60質量部以上である。上記数値範囲に制御することで、組成物の取り扱い性や保存安定性、さらには塗布作業時の効率が向上する。
<硬化性樹脂組成物の説明>
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記の硬化性樹脂と重合開始剤を含有する。重合開始剤として公知の熱重合開始剤や公知の光重合開始剤を使用することにより、熱や光により硬化させて硬化物を形成することができる。
熱重合開始剤としては公知のものが使用でき、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物やアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物が挙げられる。熱重合用途には、樹脂組成物中に硬化促進剤を混合して使用してもよく、このような硬化促進剤としては、ナフテン酸コバルトやオクチル酸コバルト等あるいは3級アミンが代表例として挙げられる。熱重合開始剤は、硬化性樹脂と必要により使用されるラジカル重合性化合物の合計100質量部に対し、0.05質量部〜5質量部の使用が好ましい。
光重合開始剤としては公知のものが使用でき、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)アセトフェノン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オンや2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1;アシルホスフィンオキサイド類およびキサントン類等が挙げられる。
これらの光重合開始剤は1種または2種以上の混合物として使用され、硬化性樹脂と必要により使用されるラジカル重合性化合物の合計100質量部に対し、0.5質量部〜30質量部含まれていることが好ましい。光重合開始剤の量が0.5質量部より少ない場合には、光照射時間を増やさなければならなかったり、光照射を行っても重合が起こりにくかったりするため、適切な表面硬度が得られなくなる。なお、光重合開始剤を30質量部を超えて配合しても、多量に使用するメリットはない。
本発明の硬化性樹脂組成物は、さらに反応性希釈剤を含有する組成物としてもよい。このような組成物とすることで、熱や光重合を経て得られる硬化物の特性がより優れたものとなる。
反応性希釈剤としては、ラジカル重合性樹脂とラジカル重合性モノマーとが挙げられる。
ラジカル重合性樹脂としては、不飽和ポリエステル、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が使用できる。
ラジカル重合性モノマーとしては、単官能モノマー(ラジカル重合性二重結合が1個)と多官能モノマー(ラジカル重合性二重結合が2個以上)のいずれも使用可能である。ラジカル重合性モノマーは重合に関与するため、得られる硬化物の特性を改善する上に、各種反応時の溶媒としても使用でき、さらには、樹脂組成物の粘度を調整することもできる。ラジカル重合性樹脂及び/又はラジカル重合性モノマーを使用する場合の好ましい使用量は、本発明の硬化性樹脂100質量部に対し、300質量部以下、より好ましくは100質量部以下である。好ましい下限値としては、硬化性樹脂100質量部に対し、3質量部以上、より好ましくは5質量部以上である。
ラジカル重合性モノマーの具体例としては、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−メチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルメチルマレイミド、N−(2,4,6−トリブロモフェニル)マレイミド、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]マレイミド、N−オクタデセニルマレイミド、N−ドデセニルマレイミド、N−(2−メトキシフェニル)マレイミド、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−(1−ヒドロキシフェニル)マレイミド等のN−置換マレイミド基含有単量体;スチレン、α−メチルスチレン、α−クロロスチレン、ビニルトルエン、p−ヒドロキシスチレン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルベンゼンホスホネート等の芳香族ビニル系単量体;酢酸ビニル、アジピン酸ビニル等のビニルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、(ジ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]トリアジン、デンドリチックアクリレート等の(メタ)アクリル系単量体;n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等の(ヒドロキシ)アルキルビニル(チオ)エーテル;(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル等のラジカル重合性二重結合を有するビニル(チオ)エーテル;無水マレイン酸等の酸無水物基含有単量体あるいはこれをアルコール類、アミン類、水等により酸無水物基を開環変性した単量体;N−ビニルピロリドン、N−ビニルオキサゾリドン等のN−ビニル系単量体;アリルアルコール、トリアリルシアヌレート等、ラジカル重合可能な二重結合を1個以上有する化合物が挙げられる。
これらは、用途や要求特性に応じて適宜選択され、1種または2種以上を混合して用いることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物には、さらに必要に応じて、タルク、クレー、硫酸バリウム等の充填材、着色用顔料、消泡剤、カップリング剤、レベリング剤、増感剤、離型剤、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、重合抑制剤、増粘剤等の公知の添加剤を添加してもよい。また、各種強化繊維を補強用繊維として用い、繊維強化複合材料とすることができる。
<硬化物の説明>
本発明には、硬化性樹脂または硬化性樹脂組成物から得られる硬化物も含まれる。本発明の硬化性樹脂は、基材に塗布し、露光して硬化物塗膜を得た後、未露光部分をアルカリ溶液に溶解することにより、アルカリ現像を行うことができる。使用可能なアルカリとしては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属化合物;水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;アンモニア;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジメチルプロピルアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジメチルアミノエチルメタアクリレート、ポリエチレンイミン等の水溶性有機アミン類が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
本発明の硬化性樹脂または硬化性樹脂組成物は、液状で直接基材に塗布する方法以外にも、予めポリエチレンテレフタレート等のフィルムに塗布して乾燥させたドライフィルムの形態で使用することもできる。この場合、ドライフィルムを基材に積層し、露光前または露光後にフィルムを剥離すればよい。また、印刷製版分野で最近多用されているCTP(Computer To Plate)システム、すなわち、露光時にパターン形成用フィルムを使用せず、デジタル化されたデータによってレーザー光を直接塗膜上に走査・露光して描画する方法により、硬化物を得ることもできる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術的範囲に包含される。各例中、特に言及しない限り、部および%は質量基準である。なお、下記実施例において、各種物性等は以下のように測定、評価した。
<赤外吸収スペクトル>
FT−IR(サーモサイエンティック社製、NEXUS670)を用いて分析した。
<酸価>
各溶液約0.3gを精秤し、テトラヒドロフラン80g/水20g混合溶媒に溶解し、0.1規定のKOH水溶液を滴定液として用いて、自動滴定装置(平沼産業社製)により酸価を測定した。
<重量平均分子量(Mw)>
ポリスチレンを標準物質とし、テトラヒドロフランを溶離液としてHLC−8220GPC(東ソー社製)によるGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法にて重量平均分子量(Mw)を測定した。
<タックフリー性>
表に示す配合にて得た各硬化性樹脂組成物を、厚さ0.5mmの銅板上に20〜30μmの厚さに塗布し、熱風循環式乾燥炉中において80℃で30分乾燥させた後に室温まで冷却して塗膜を得た。この塗膜に対して、指触、および塗膜上にネガフィルムを圧着し、紫外線露光装置を用いて4J/cm2の光照射を行った後のネガフィルムを剥す際の状態、これら2通りの手法により、下記基準で評価した。
◎:指触で全くタックが認められず、ネガフィルムを剥す際、剥離音がしない
○:指触で全くタックが認められないが、ネガフィルムを剥す際、若干の剥離音
×:指触でタックが認められる
<アルカリ溶解性>
上記で得たタックフリー性評価用試験板を30℃の2.6%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液に1分間浸漬し、残存する樹脂塗膜の存在を目視で評価した。
<光硬化性>
上記で得たタックフリー性評価用試験板に紫外線露光装置を用いて4J/cm2の光照射を行った後、30℃の2.6%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液に1分間浸漬して評価した。
<屈曲性評価>
光硬化性評価のときと同様に乾燥塗膜形成、光照射を行い、硬化物を得た。これを150℃で1時間加熱して試験基板とした。この試験基板を用いて、円筒形マンドレル法によりマンドレル径φ10mmにおける硬化塗膜の屈曲性を評価した。
合成例1
攪拌装置、温度計、還流冷却器、ガス導入管を備えた容器に、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート338.4部、無水トリメリット酸192.1部、ピロメリット酸二無水物10.9部、およびイソホロンジイソシアネート122.3部を加え、140℃まで昇温し、この温度で12時間反応させた。系内は褐色クリア液体となった。多価カルボン酸化合物Iのジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート溶液を得た。溶液酸価107mgKOH/gであった。赤外吸収スペクトル測定により、イソシアネート基の特性吸収である2260cm−1の消滅を確認した。
次に上記と同様の装置を用い、ビフェニル型エポキシ樹脂(商品名「YX4000」;三菱化学製;エポキシ当量186)186部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート401.1部、上記で得た多価カルボン酸化合物Iのジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート溶液263.1部、メタアクリル酸44.1部、エステル化触媒としてトリフェニルホスフィン1部、重合禁止剤としてメチルハイドロキノン1部を仕込み、120℃で17時間反応させた。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸135.5部を加えて、110℃で10時間反応させ、本発明の硬化性樹脂A−1を47%含むジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート溶液を得た。酸価118mgKOH/g(固形分換算)、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)10300であった。
合成例2
合成例1と同様の装置を用い、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート483.1部、無水トリメリット酸230.5部、アジピン酸43.8部、およびイソホロンジイソシアネート200.1部を加え、140℃まで昇温し、この温度で18時間反応させた。系内は褐色クリア液体となった。多価カルボン酸化合物IIのジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート溶液を得た。溶液酸価82mgKOH/gであった。赤外吸収スペクトル測定により、イソシアネート基の特性吸収である2260cm−1の消滅を確認した。
次に上記と同様の装置を用い、合成例1で用いたビフェニル型エポキシ樹脂186部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート338.3部、上記で得た多価カルボン酸化合物IIのジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート溶液341.4部、メタアクリル酸44.1部、エステル化触媒としてトリフェニルホスフィン1.2部、重合禁止剤としてメチルハイドロキノン1.1部を仕込み、120℃で15時間反応させた。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸142.8部を加えて、110℃で10時間反応させ、本発明の硬化性樹脂A−2を51%含むジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート溶液を得た。酸価131mgKOH/g(固形分換算)、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)6000であった。
合成例3
合成例1と同様の装置を用い、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート170.6部、アジピン酸116.9部、およびイソホロンジイソシアネート88.9部を加え、140℃まで昇温し、この温度で7時間反応させた。系内は全体がペースト状となった。メタアクリル酸を68.9部投入して攪拌すると褐色クリア液体となった。多価カルボン酸化合物IIIのジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート溶液とメタアクリル酸との混合物を得た。溶液酸価228mgKOH/gであった。赤外吸収スペクトル測定により、イソシアネート基の特性吸収である2260cm−1の消滅を確認した。
次に上記と同様の装置を用い、合成例1および2で用いたビフェニル型エポキシ樹脂186部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート375.4部、上記で得た多価カルボン酸化合物IIIのジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート溶液とメタアクリル酸との混合物252.5部、エステル化触媒としてトリフェニルホスフィン1部、重合禁止剤としてメチルハイドロキノン1部を仕込み、120℃で20時間反応させた。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸142.7部を加えて、110℃で12時間反応させ、本発明の硬化性樹脂A−3を50%含むジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート溶液を得た。酸価145mgKOH/g(固形分換算)、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)4300であった。
合成例4
合成例1と同様の装置を用い、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート362.2部、無水トリメリット酸238.2部、アジピン酸5.8部、およびイソホロンジイソシアネート195.6部を加え、140℃まで昇温し、この温度で24時間反応させた後、さらにジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート181.1部を加えた。系内は褐色クリア液体となった。多価カルボン酸化合物IVのジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート溶液を得た。溶液酸価57mgKOH/gであった。赤外吸収スペクトル測定により、イソシアネート基の特性吸収である2260cm−1の消滅を確認した。
次に上記と同様の装置を用い、合成例1で用いたビフェニル型エポキシ樹脂139.5部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート89.2部、上記で得た多価カルボン酸化合物IVのジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート溶液260.3部、エステル化触媒としてトリフェニルホスフィン0.3部を仕込み、140℃で1.5時間反応させて多価カルボン酸化合物IVで連結された高分子量化ビフェニル型エポキシ樹脂を得た。次いで、メタアクリル酸42部、エステル化触媒としてトリフェニルホスフィン0.9部、重合禁止剤としてメチルハイドロキノン0.8部を仕込み、120℃で15時間反応させた後、さらにジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート75.2部を加えた。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸106.3部を加えて、110℃で10時間反応させ、本発明の硬化性樹脂A−4を56%含むジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート溶液を得た。酸価116mgKOH/g(固形分換算)、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)3700であった。
比較合成例1
合成例1〜4と同様の装置を用い、合成例1〜4で用いたビフェニル型エポキシ樹脂186部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート150.1部、メタアクリル酸88.2部、エステル化触媒としてトリフェニルホスフィン0.8部、重合禁止剤としてメチルハイドロキノン0.7部を仕込み、120℃で15時間反応させた。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸76部を加えて、110℃で8時間反応させ、比較用硬化性樹脂B−1を70%含むジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート溶液を得た。酸価94mgKOH/g(固形分換算)、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)800であった。
比較合成例2
合成例1〜4と同様の装置を用い、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「828EL」;三菱化学製;エポキシ当量185)185部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート337.3部、合成例2の前段で得た多価カルボン酸化合物IIのジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート溶液341.4部、メタアクリル酸44.1部、エステル化触媒としてトリフェニルホスフィン1.2部、重合禁止剤としてメチルハイドロキノン1.1部を仕込み、120℃で15時間反応させた。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸142.4部を加えて、110℃で11時間反応させ、比較用硬化性樹脂B−2を50%含むジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート溶液を得た。酸価130mgKOH/g(固形分換算)、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)3800であった。
合成例で得た本発明の硬化性樹脂A−1〜A−4、比較合成例で得た比較用硬化性樹脂B−1〜B−2を用いて、物性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2017071750
本発明の硬化性樹脂A−1〜A−4は、イミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物と結晶性エポキシ樹脂との鎖延長反応により高分子量化された構造を有することから、タックフリー性、硬化物の屈曲性(基材への密着性)に優れることがわかった。また、第一工程において、エポキシ樹脂とイミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物とを反応させ、次いで不飽和一塩基酸とを反応させる段階的な反応を採用した合成例4の優位性を確認することができた。一方、鎖延長されていない比較用硬化性樹脂B−1はタックフリー性、硬化物の屈曲性に劣り、結晶性でないエポキシ樹脂を使用した比較用硬化性樹脂B−2は硬化物の屈曲性に劣る結果となった。
本発明の硬化性樹脂および硬化性樹脂組成物は、アルカリ現像可能な画像形成用途として、例えば、印刷製版、カラーフィルターの保護膜、カラーフィルター、ブラックマトリックス等の液晶表示板製造用等の各種の用途に好適に使用できる。

Claims (10)

  1. (A)エポキシ樹脂と、(B)イミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物と、(C)不飽和一塩基酸との反応生成物に、(D)多塩基酸無水物を反応させることにより得られる硬化性樹脂であって、該(A)は融点90℃以上の結晶性エポキシ樹脂を含有し、該(A)が有するエポキシ基1化学当量に対して、該(B)が有するカルボキシル基は0.1〜0.9モル、該(C)が有するカルボキシル基は0.1〜0.9モルの割合で用いて得られる硬化性樹脂。
  2. 前記(A)が有するエポキシ基1化学当量に対して、前記(B)が有するカルボキシル基と前記(C)が有するカルボキシル基の総量が0.8〜1.1モルとなる割合で用いて得られる請求項1に記載の硬化性樹脂。
  3. 前記(A)エポキシ樹脂と、前記(B)イミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物と、前記(C)不飽和一塩基酸との反応生成物中のヒドロキシル基1化学当量に対して、前記(D)多塩基酸無水物を0.1〜1.1モルとなる割合で反応させて得られる請求項1または2に記載の硬化性樹脂。
  4. 前記(B)イミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物が、カルボン酸を有する化合物と1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を必須成分とする混合物を反応させて得られるものである請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂。
  5. 前記カルボン酸を有する化合物がさらにカルボン酸無水物構造を有する化合物である請求項4に記載の硬化性樹脂。
  6. 前記結晶性エポキシ樹脂が、ビフェニル骨格を有するものである請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性樹脂。
  7. (A)エポキシ樹脂と、(B)イミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物と、(C)不飽和一塩基酸とを反応させて硬化性樹脂中間物を製造する第一工程、第一工程で得られる硬化性樹脂中間物に、(D)多塩基酸無水物を反応させる第二工程を含む硬化性樹脂の製造方法であって、該(A)は融点90℃以上の結晶性エポキシ樹脂を含有し、該(A)が有するエポキシ基1化学当量に対して、該(B)が有するカルボキシル基は0.1〜0.9モル、該(C)が有するカルボキシル基は0.1〜0.9モルとなる割合で反応させることを特徴とする硬化性樹脂の製造方法。
  8. 前記第一工程が、(A)エポキシ樹脂と、(B)イミド結合および/またはアミド結合を有する多価カルボン酸化合物とを反応させて高分子量化したエポキシ樹脂を得る工程と、(C)不飽和一塩基酸とを反応させて不飽和基を導入する工程とを含むことを特徴とする請求項7に記載の硬化性樹脂の製造方法。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性樹脂と、重合開始剤とを含んでなる硬化性樹脂組成物。
  10. 請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性樹脂、または請求項9に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2020044677A1 (ja) * 2018-08-30 2020-03-05 昭和電工株式会社 感光性樹脂組成物、ブラックカラムスペーサー及び画像表示装置

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