JP2017019174A - 孔形成方法、インクジェットヘッドおよびインクジェット装置 - Google Patents

孔形成方法、インクジェットヘッドおよびインクジェット装置 Download PDF

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誉将 藤原
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Abstract

【課題】高出力のレーザ光によっても孔を精度良く形成することが可能な孔形成方法、並びに、当該孔形成方法によりインク吐出用のノズルが形成されたインクジェットヘッドおよびインクジェット装置を提供する。
【解決手段】孔形成方法は、パルスレーザ光の照射位置を螺旋状の走査経路T1、T2上において変化させるステップと、各照射位置においてターゲットにパルスレーザ光を照射するステップと、を備える。走査経路T1、T2上における照射位置の間隔ΔLおよび走査経路のピッチΔRの両方もしくは何れか一方が、少なくとも螺旋の中心から所定の範囲において、径方向の位置が螺旋の中心に近づくに伴い大きくなるように設定されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、レーザ光により孔を形成する孔形成方法、並びに、当該孔形成方法によりインク吐出用のノズルが形成されたインクジェットヘッドおよびインクジェット装置に関する。
インクジェット装置は、インクジェットヘッドからインクを吐出することにより、被印刷面に印字や描画を行う装置である。インクジェット装置に搭載されるインクジェットヘッドは、インクを充填するための圧力室と、圧力室にインクを導くための流路と、圧力室に繋がるノズルと、圧力室に充填されたインクに圧力を付与するアクチュエータとを備える。アクチュエータを駆動して圧力室内の圧力を高めることにより、圧力室に充填されたインクがノズルから吐出される。一つのインクジェットヘッドには、インクの色ごとに、多数のノズルが設けられる。各ノズルの孔は、同じ形状およびサイズとなるように形成される。また、各ノズルから適量のインクが良好に吐出されるよう、各ノズルの孔は、精度良く形成される必要がある。ノズルの孔は、数10マイクロメータの径となっている。
以下の特許文献1には、ノズルの孔を精度良く形成可能な加工方法が記載されている。この加工方法では、一定の円弧速度でレーザ光の照射位置を螺旋状に変化させることによって、ターゲットに孔が形成される。レーザ光の照射位置では、高出力のパルスレーザ光の照射によってアブレーションが生じ、ターゲットが掘り下げられる。したがって、照射位置を螺旋状に変化させることにより、ターゲットが円形に掘り下げられる。この工程を繰り返すことにより、ターゲットに孔が形成される。特許文献1の加工方法では、レーザ光の照射位置を一定の円弧速度で変化させることにより、孔の形成精度が高められている。
特許第4455884号公報
近年、レーザ光源の高出力化が進んでいる。上記加工方法において、レーザ光源の出力をさらに高めると、孔の形成速度を高めることが可能となり、孔の形成に要する時間を短縮できる。しかしながら、レーザ光源の出力を高めると、孔の形成対象であるターゲットが蓄熱し、既にレーザ光を照射した照射位置に隣接する他の照射位置の温度が上昇する。この状態で他の照射位置にレーザ光が照射されると、アブレーションによる掘り下げが不安定となり、孔の形成精度が低下してしまう。
かかる課題に鑑み、本発明は、高出力のレーザ光によっても孔を精度良く形成することが可能な孔形成方法、並びに、当該孔形成方法によりインク吐出用のノズルが形成されたインクジェットヘッドおよびインクジェット装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、レーザ光を用いてターゲットに孔を形成する孔形成方法に関する。第1の態様に係る孔形成方法は、パルスレーザ光の照射位置を螺旋状の走査経路上において変化させ、前記各照射位置において前記ターゲットにパルスレーザ光を照射する。ここで、前記走査経路上における前記照射位置の間隔および前記走査経路のピッチの両方もしくは何れか一方が、少なくとも前記螺旋の中心から所定の範囲において、径方向の位置が前記螺旋の中心に近づくに伴い大きくなるように設定されている。
螺旋の中心付近は、螺旋の径が小さいため、円弧速度一定の場合、1周の周期が短くなる。このため、円弧速度一定でレーザ光を照射すると、螺旋の中心に近づくほどレーザ光の照射位置が集中し、ターゲットに熱が蓄積され易くなる。これに対し、本態様に係る孔形成方法によれば、上記のように、照射位置の間隔および走査経路のピッチの両方もしくは何れか一方が、少なくとも螺旋の中心から所定の範囲において、径方向の位置が螺旋の中心に近づくに伴い大きくなるように設定されている。このため、螺旋の中心付近におけるパルスレーザ光の照射位置の集中が抑えられる。これにより、温度が大きく上昇した状態でパルスレーザ光が照射されることが抑制され、アブレーションによる掘り下げを安定的に行うことができる。よって、高出力のレーザ光によっても孔を精度良く形成することができる。
本発明の第2の態様は、インクジェットヘッドに関する。第2態様に係るインクジェットヘッドは、圧電体素子を備えるアクチュエータと、インクが充填され、前記アクチュエータが駆動されることにより前記インクの圧力が変化する圧力室と、前記アクチュエータが駆動されることにより前記圧力室に充填された前記インクを吐出するノズルと、を備える。前記ノズルは、第1の態様に係る孔形成方法により前記インクを吐出するための孔が形成されている。
本発明の第3の態様は、インクジェット装置に関する。第3の態様に係るインクジェット装置は、第3の態様のインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドにインクを供給するインク供給部と、を備える。
第2の態様および第3の態様によれば、ノズルの孔の形成精度の向上に伴い、インクジェットヘッドおよびインクジェット装置の性能を向上させることができる。
以上のとおり、本発明によれば、高出力のレーザ光によっても孔を精度良く形成することが可能な孔形成方法、並びに、当該孔形成方法によりインク吐出用のノズルが形成されたインクジェットヘッドおよびインクジェット装置を提供することができる。
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
図1は、実施の形態に係る孔形成装置の構成を示す図である。 図2は、実施の形態に係る孔形成方法の制御フローチャートである。 図3(a)、(b)は、それぞれ、実施の形態に係る孔形成方法の第1の走査経路と第2の走査経路を模式的に示す図である。 図4は、実施の形態に係る第1および第2の走査経路を重ねた状態を模式的に示す図である。 図5(a)〜(d)は、実施の形態に係る孔形成方法による孔の形成過程を模式的に示す図である。 図6(a)、(b)は、それぞれ、実施の形態に係る第1および第2の走査経路における照射位置の間隔と第1および第2の走査経路のピッチの設定方法を模式的に示す図である。 図7(a)は実施例に係るインクジェットヘッドの構成を示す図、図7(b)は実施例に係るアクチュエータと構造体とを組み合わせた構成を模式的に示す図である。 図8(a)は実施例に係るアクチュエータと構造体の一部を拡大した図、図8(b)は、実施例に係るメイン流路と圧力室の部分を模式的に示す図である。 図9は、実施例に係るアクチュエータの圧力室付近の構成を示す断面図である。 図10は、変更例に係る孔形成方法の制御を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
図1は、実施の形態に係る孔形成装置100の構成を示す図である。
孔形成装置100は、レーザ光源101と、減衰器102と、ミラー103と、シャッター104と、ビームエキスパンダ105と、1/2波長板106と、走査ミラー107と、DOE108と、走査レンズ109と、マイクロフィルタ110と、イメージトランスファレンズ111と、を備える。
レーザ光源101は、パルス幅(持続時間)が20ピコ秒程度の高強度のパルスレーザ光を一定周期で連続的に出力する。レーザ光源101は、制御回路(図示せず)によってON/OFF制御される。減衰器102は、レーザ光源101から出射されるパルスレーザ光を減衰させる。ミラー103は、減衰器102によって減衰されたパルスレーザ光をシャッター104に向かう方向に反射する。
シャッター104は、ミラー103により反射されたパルスレーザ光を遮断および透過する。シャッター104は、制御回路(図示せず)によりON/OFF制御される。
ビームエキスパンダ105は、パルスレーザ光のビームサイズを増大させる。ここでは、DOE108を正しく機能させることと、走査レンズ109の瞳孔サイズにビームサイズを一致させることの両方を目的としてビームサイズが増大される。1/2波長板106は、レーザ光源101から出射されたレーザ光の偏光方向を調整する。
走査ミラー107は、パルスレーザ光の反射方向を変化させる。走査ミラー107は、制御回路(図示せず)により制御される。後述のように、走査ミラー107は、パルスレーザ光が螺旋状の走査経路を辿るように駆動される。走査ミラー107は、たとえば、ピエゾアクチュエータとミラーとを組み合わせて構成される。
DOE(Diffractive Optical Element)108は、回折作用によって、パルスレーザ光を直線状に並ぶ複数のサブビームに分離する。走査レンズ109は、分離されたサブビームを収束させる。マイクロフィルタ110は、サブビームの強度を均一化する。イメージトランスファレンズ111は、各サブビームをターゲット112上の直線状に並ぶ位置に結像させる。サブビームは、たとえば、10μm程度の径のビームスポットに結像される。ターゲット112は、孔の形成対象である部材であって、たとえば、ステンレス等の金属材料からなっている。たとえば、ターゲット112は、インクジェットヘッドのノズルが形成される板状の部材である。
本実施の形態では、ターゲット112に円形の孔を形成するために、一列に並ぶ複数のサブビームがそれぞれ螺旋状の走査経路上の所定の照射位置でターゲット112に照射されるよう、レーザ光源101の出射パルスに同期して、走査ミラー107が制御される。サブビームがターゲット112に照射されると、ターゲット112上の各照射位置においてアブレーションが生じ、ターゲット112が掘り下げられる。したがって、照射位置を螺旋状に変化させることにより、ターゲット112が円形に掘り下げられる。この工程を繰り返すことにより、ターゲット112に孔が形成される。
図2は、孔形成方法の制御フローチャートである。図2の制御は、図示しない制御回路によって行われる。
孔形成処理が開始されると、シャッター104が閉塞された状態で(S101)、レーザ光源101が駆動される(S102)。これにより、レーザ光源101からパルスレーザ光が出射される。出射されたパルスレーザ光はシャッター104によって遮断される。次に、変数nに1が設定され(S103)、シャッター104が開放される(S104)。同時に、最初に掘り下げられる1番目の層の径がD1に設定され(S105)、設定された径D1に応じて走査ミラー107が間欠駆動される(S106)。走査ミラー107は、パルスレーザ光(各サブビーム)の照射位置がターゲット112上において螺旋状の走査経路を所定の間隔で移動するように間欠的に駆動される。径D1によって、走査経路の最外周位置E1が設定される。
図3(a)、(b)は、それぞれ、第1の走査経路T1と第2の走査経路T2を模式的に示す図である。パルスレーザ光(各サブビーム)の照射位置は、図3(a)の第1の走査経路T1の始端S1から第1の走査経路T1に沿って所定の間隔で順次設定される。ここでは、第1の走査経路T1の始端S1が第1の走査経路T1の最内周位置に設定されている。したがって、第1の走査経路T1の終端E1は、第1の走査経路T1の最外周位置にある。第1の走査経路T1は、螺旋状に設定されている。図3(a)のPiは、第1の走査経路T1上において始端S1からi番目に設定された照射位置であり、Pi+1は、i+1番目に設定された照射位置である。
パルスレーザ光の照射位置が第1の走査経路T1の終端E1まで進むと、図3(b)に示す第2の走査経路T2に沿って照射位置が移動する。第2の走査経路T2の始端S2は第1の走査経路T1の終端E1に繋がっており、第2の走査経路T2の終端E2は第1の走査経路T1の始端S1に繋がっている。第2の走査経路T2は、第1の走査経路T1と同じく螺旋状であるが、巻き方向が第1の走査経路T1と逆になっている。したがって、パルスレーザ光の照射位置は、第2の走査経路T2に沿って内周方向に移動し、最終的に、第1の走査経路T1の始端S1に戻る。図3(b)のPjは、第2の走査経路T2上において始端S2からj番目に設定された照射位置であり、Pj+1は、j+1番目に設定された照射位置である。
図4は、第1の走査経路T1と第2の走査経路T2を重ねた状態を模式的に示す図である。パルスレーザ光の照射位置は、実線で示す第1の走査経路T1の始端S1から第1の走査経路T1に沿って終端E1まで移動した後、破線で示す第2の走査経路T2に沿って第1の走査経路T1の始端S1へと戻る。これを1サイクルとして、所定回数、サイクルが繰り返される。1サイクル中の各照射位置においてパルスレーザ光がターゲット112に導かれることにより、ターゲット112が円形に掘り下げられる。1サイクルにより掘り下げられる層の径は、第1の走査経路T1の終端E1の径方向位置により決まる。
図2に戻り、ステップS105では、掘り下げられる第n番目の層の径Dnが設定される。つまり、ステップS105において、第n番目の層を掘り下げるときの第1の走査経路T1の終端E1の径方向位置が設定される。第n番目の層の径Dnは、ターゲット112に形成する孔の形状に応じて予め孔形成装置100に設定されている。
こうして、掘り下げられる第n番目の層の径Dn、すなわち、第n番目の層を掘り下げるときの第1の走査経路T1の終端E1の径方向位置が設定され(S105)、設定された終端E1の径方向位置に応じて走査ミラー107が間欠的に駆動される(S106)。すなわち、パルスレーザ光の照射位置が、図3(a)の第1の走査経路T1の始端S1からステップS103で設定された終端E1まで間欠的に移動した後、図3(b)の第2の走査経路T2に沿って第1の走査経路T1の始端S1へと間欠的に戻るように、走査ミラー107が駆動される。
こうして走査ミラー107の駆動が開始された後、1サイクルの走査が終了したか否かが判定される(S107)。1サイクルの走査が終了すると(S107:YES)、変数nが予め設定された目標数nsに到達したか否かが判定される(S108)。目標数nsは、ターゲット112に形成する孔の深さに応じて予め孔形成装置100に設定されている。
変数nが目標数nsに到達していない場合(S108:NO)、変数nに1が加算され、処理がステップS105に戻される。これにより、次の層に対する掘り下げ処理が行われる。ステップS105では、次に掘り下げられる層の径Dが設定され、設定された径Dnに応じて走査ミラー107が間欠駆動される。こうして、変数nが目標数nsに到達するまで(S108:YES)、ステップS103〜S107の処理が繰り返される。すなわち、第1の走査経路T1および第2の走査経路T2による照射位置の変化がns回実行され、ns個の層に対する掘り下げが行われる。これにより、ターゲット112に孔が形成される。
こうして、変数nが目標数nsに到達すると(S108:YES)、シャッター104が閉塞され(S110)、処理が終了される。ステップS110でシャッター104が閉塞された後、レーザ光源101が消灯される。
図5(a)〜(d)は、実施の形態に係る孔形成方法による孔の形成過程を模式的に示す図である。図5(a)〜(d)には、インクジェットヘッドに用いるインク吐出用の孔を板状の部材に形成する場合の形成過程が例示されている。
まず、1回目のサイクルによって、図5(a)に示すように1番目の層C1が掘り下げられる。その後、径を縮めながらサイクルが実行され、図5(b)に示すように2〜5番目の層C2〜C5が掘り下げられる。さらに、k番目の層Ckまで同様のサイクルが繰り返され、図5(c)に示すように、k個の層C1〜Ckの穴が形成される。その後は、径を変化させずに、ns番目の層までサイクルが実行される。これにより、図5(d)に示すように、層Cnsまで掘り下げが実行され、ターゲット112にロート形状の孔112aが形成される。
ところで、上記の孔形成方法では、図3(a)、(b)において、第1の走査経路T1および第2の走査経路T2の螺旋の中心付近の径が小さいため、第1の走査経路T1および第2の走査経路T2上の照射位置の間隔ΔLと、第1の走査経路T1および第2の走査経路T2のピッチΔRが走査経路の全長において一定であると、螺旋の中心に近づくほど、レーザ光の照射位置が集中し、ターゲットに熱が蓄積され易くなる。特に、レーザ光源101の出力を高めると、螺旋の中心付近において、孔の形成対象であるターゲット112の蓄熱が大きくなり、既にパルスレーザ光を照射した照射位置に隣接する他の照射位置の温度が高くなる。この状態で他の照射位置にレーザ光が照射されると、アブレーションによる掘り下げが不安定となり、孔の形成精度が低下してしまう。
たとえば、図5(a)〜(d)に示すインク吐出用の孔の例では、孔112aの出口の径A1が20μm程度であり、パルスレーザ光のビーム径10μmの2倍程度の大きさに過ぎない。このため、間隔ΔLとピッチRを一定に設定すると、各層の掘り下げにおいて中心付近の蓄熱が顕著となり、このため、各層の掘り下げ工程において、中心付近における掘り下げが不安定になり得る。このような不安定な掘り下げがns個の層について累積すると、最終的に形成された孔112aは、中心付近において、形状に乱れが生じ得る。たとえば、孔112aの傾斜面から出口へと繋がる境界付近や、孔112aの出口に、歪や変形が生じ得る。
このような歪や変形は、インクの吐出精度に大きな影響を及ぼす。インクジェットヘッド用のノズル孔では、特に、図5(d)の径B1における孔112aの形状が、インクの吐出精度に大きな影響を与える。このため、特に、径B1の範囲では、孔112aの形成精度を高く維持する必要がある。
そこで、本実施の形態では、照射位置の間隔ΔLおよび走査経路のピッチΔRの両方もしくは何れか一方が、少なくとも第1の走査経路T1および第2の走査経路T2の螺旋の中心から所定の範囲において、径方向の位置が螺旋の中心に近づくに伴い大きくなるように設定される。具体的には、図2のS106において走査ミラー107の間欠駆動を制御することにより、間隔ΔLおよびピッチΔRが制御される。
図6(a)、(b)は、それぞれ、実施の形態に係る第1および第2の走査経路における照射位置の間隔ΔLと第1および第2の走査経路のピッチΔRの設定方法の一例を模式的に示す図である。
図6(a)、(b)において、横軸は、第1の走査経路T1および第2の走査経路T2の螺旋の中心からの径方向の距離であり、縦軸は、それぞれ、間隔ΔLとピッチΔRである。図6(a)、(b)の例では、走査ミラー107の間欠駆動の回転周波数、すなわち、照射位置の移動速度に応じて、間隔ΔLおよびピッチΔRの設定が変えられている。これは、走査ミラー107の回転周波数、すなわち、照射位置の移動速度が高いほど、ターゲット112に蓄熱が生じ易い(温度上昇が顕著となり易い)ことによるものである。
走査ミラー107の回転周波数が3kHzである場合、間隔ΔLおよびピッチΔRは、それぞれ、螺旋の中心からの距離がr1、r3の範囲において、径が小さくなるほど大きくなるように変化するよう設定される。また、走査ミラー107の回転周波数が5kHzである場合、間隔ΔLおよびピッチΔRは、それぞれ、螺旋の中心からの距離がr2、r4の範囲において、径が小さくなるほど大きくなるように変化するよう設定される。
ここで、範囲r3、r4は、それぞれ、範囲r1、r2よりも広い。また、走査ミラー107の回転周波数が5kHzである場合の範囲r2、r4の曲線の傾きは、走査ミラー107の回転周波数が3kHzである場合の範囲r1、r3の曲線の傾きよりも大きい。これは、上記のように、走査ミラー107の回転周波数、すなわち、照射位置の移動速度が高いほど、ターゲット112に蓄熱が生じ易い(温度上昇が顕著となり易い)ため、走査ミラー107の回転周波数が高いほど間隔ΔLおよびピッチΔRを変化させる範囲を広げ、且つ、変化の度合いを高めて、ターゲット112の蓄熱(温度上昇)を抑制しようとするものである。
このように第1の走査経路T1および第2の走査経路T2の螺旋の中心からr1、r2の範囲において照射位置の間隔ΔLを広げることにより、第1の走査経路T1および第2の走査経路T2の中心付近にレーザ光の照射が集中することが緩和される。これにより、第1の走査経路T1および第2の走査経路T2の中心付近における掘り下げが不安定となることが抑制され得る。同様に、第1の走査経路T1および第2の走査経路T2の螺旋の中心からr3、r4の範囲において走査経路のピッチΔRを広げることにより、第1の走査経路T1および第2の走査経路T2の中心付近にレーザ光の照射が集中することが緩和される。これにより、第1の走査経路T1および第2の走査経路T2の中心付近における掘り下げが不安定となることが抑制され得る。
なお、図6(a)、(b)の例では、走査ミラー107の回転周波数が1kHzである場合は、間隔ΔLおよびピッチΔRが第1の走査経路T1および第2の走査経路T2の中心付近においても一定となっている。これは、走査ミラー107の回転周波数が低い場合、すなわち、照射位置の移動速度が遅い場合は、第1の走査経路T1および第2の走査経路T2の中心付近に大きな蓄熱および温度上昇が生じず、このため、第1の走査経路T1および第2の走査経路T2の中心付近においても安定的にターゲット112の掘り下げを行えることによるものである。
なお、図6(a)、(b)に示す設定では、範囲r1〜r4のみならず、その他の範囲においても、1サイクルで漏れなく円形にターゲット112を掘り下げることが可能なように、間隔ΔLとピッチΔRが設定される。その上で、間隔ΔLとピッチΔRが、それぞれ、範囲r1、r2および範囲r3、r4において変化される。
また、範囲r1、r2および範囲r3、r4の曲線のカーブは、これらの範囲において、ターゲット112に過度の蓄熱および温度上昇が生じず、ターゲット112を安定的に掘り下げることが可能となるように調整される。範囲r1、r2および範囲r3、r4における間隔ΔLおよびピッチΔRの変化は、必ずしも、図6(a)、(b)のような曲線状の変化でなくてもよく、階段状の変化や直線状の変化等、他の形態であっても良い。範囲r1、r2および範囲r3、r4における間隔ΔLおよびピッチΔRの変化は、これらの範囲において、ターゲット112に過度の蓄熱および温度上昇が生じず、ターゲット112を安定的に掘り下げることが可能となる形態に調整されれば良い。
走査経路上における照射位置の間隔ΔLおよび走査経路のピッチΔRは、少なくとも螺旋の中心から所定の範囲において、径方向の位置が螺旋の中心に近づくに伴い大きくなるように設定されれば良い。また、範囲r1〜r4以外の範囲も、必ずしも、間隔ΔLおよびピッチΔRが一定でなくても良い。
図6(a)、(b)には、それぞれ、照射位置の間隔ΔLを変化させる方法と走査経路のピッチΔRを変化させる方法を示したが、図2のS106において、必ずしも間隔ΔLの変化とピッチΔRの変化の両方を用いなくても良く、何れか一方のみを用いても良い。なお、ピッチΔRを変化させる場合には、掘り下げられた層に径方向の凹凸が生じることが起こり得る。このため、何れか一方を用いる場合は、照射位置の間隔ΔLを変化させる方法を用いることが好ましい。
なお、間隔ΔLおよびピッチΔRの変化のさせ方は、必ずしも第1の走査経路T1と第2の走査経路T2で同じでなくともよく、第1の走査経路T1と第2の走査経路T2とで相違させても良い。第1の走査経路T1と第2の走査経路T2とにそれぞれ好ましい方法で間隔ΔLおよびピッチΔRを変化させても良い。
図2の制御によれば、走査ミラー107が間欠駆動により停止した位置においてパルスレーザ光が照射位置に導かれる。走査ミラー107が間欠駆動により停止する間にレーザ光源101からパルスレーザ光の出射が複数回生じると、照射位置に複数回パルスレーザ光が照射される。照射位置にパルスレーザ光が照射される回数は、レーザ光源101におけるパルスレーザ光の出射周期と、走査ミラー107が間欠駆動により停止する期間とによって決まる。これらを考慮して、ターゲット112が照射位置で円滑に掘り下げられるよう、パルスレーザ光の出射周期と走査ミラー107の停止期間が設定される。
なお、走査ミラー107が停止位置から次の停止位置へと移動するタイミングは、パルスレーザ光は出射されていない期間に設定される。これにより、パルスレーザ光が照射位置以外の位置に照射されることが防止される。
このように、図2のステップS106では、レーザ光源101の出射タイミングに同期して、走査ミラー107の駆動が制御される。
<実施例>
以下、上記方法によりノズルの孔が形成された部材をインクジェットヘッドに用いた場合の実施例について、図7〜図9を参照して説明する。便宜上、各図には、互いに直交するX、Y、Z軸が付記されている。Z軸方向がインクジェットヘッド1の高さ方向であり、Z軸正方向が下方向である。また、X軸方向がインクジェットヘッド1の厚み方向で、Y軸方向がインクジェットヘッド1の幅方向である。インクジェットヘッド1は、Z軸正方向(下方向)にインクを吐出する。
図7(a)は、実施例に係るインクジェットヘッド1の構成を示す図であり、図7(b)は、実施例に係るアクチュエータ30と構造体40とを組み合わせた構成を模式的に示す図である。
図7(a)に示すように、インクジェットヘッド1は、収納ボックス10と、ヘッドベース20とを備える。収納ボックス10は、ヘッドベース20に対して着脱可能となっている。
収納ボックス10は、下面が開放された矩形の箱体からなっている。収納ボックス10の上面には内部に繋がる切欠き10aが設けられ、この切欠き10aを介して回路基板11が収納ボックス10に収納されている。回路基板11にはアクチュエータ30を駆動するための駆動回路が実装されている。
ヘッドベース20は、上下に貫通する矩形の開口20aを中央に有する枠体からなっている。開口20aのY軸正側とY軸負側に、それぞれ、開口20aと繋がる円形の穴部20bが設けられている。開口20aの下端に、図7(b)に示すアクチュエータ30と構造体40が設置される。アクチュエータ30は、開口20a内において回路基板11と電気的に接続される。穴部20bは、インク供給用のチューブ(図示せず)を開口20a内部へと導くためのものである。
図7(b)に示すように、アクチュエータ30は、長方形の輪郭を有する板体からなっている。アクチュエータ30は、構造体40の上面に重ねられる。構造体40には、長方形の輪郭を有する板体からなっている。また、構造体40には、X軸方向に並ぶ4つのメイン流路51が形成されている。
アクチュエータ30のY軸正側の端部とY軸負側の端部には、それぞれ、上下に貫通する4つのインク供給口31がX軸方向に並んで形成されている。Y軸方向に並ぶ2つのインク供給口31はそれぞれ、一つのメイン流路51に繋がっている。また、アクチュエータ30の裏面には溝が形成されている。アクチュエータ30が構造体40に重ねられることにより、アクチュエータ30裏面の溝と構造体40の上面との間に、圧力室52が形成される。圧力室52は、構造体40に形成された連絡流路53(図8(b)参照)を介してメイン流路51が形成されている。
図8(a)は、図7(b)の構成のY軸正側の端部を拡大した図である。上記のように、メイン流路51は、端部がインク供給口31に繋がっている。メイン流路51に沿って多数の圧力室52が配置され、各圧力室52が連絡流路53によってメイン流路51に繋がっている。
図7(b)に戻り、8つのインク供給口31には、それぞれ、個別に管(図示せず)が嵌められ、各管にインク供給用のチューブ(図示せず)が接続される。管は、開口20a内に配された支持手段によって支持され、管に接続されたチューブが穴部20bを介して外部に引き出される。インク供給用のチューブと管を介してインクがインク供給口31に供給される。これにより、メイン流路51および連絡流路53(図3(b)参照)を通ってインクが圧力室52に供給される。Y軸方向に並ぶ2つのインク供給口31には同じ色のインクが供給され、X軸方向に並ぶ4つのインク供給口31には互いに異なる色のインクが供給される。したがって、図7(b)の構成では、4色のインクがアクチュエータ30に供給される。これにより、Y軸方向に並ぶ圧力室52には同じ色のインクが充填され、X軸方向に並ぶ圧力室52には互いに異なる色のインクが充填される。
図8(b)は、図8(a)の構成を、圧力室52のY軸方向の中央位置において、X−Z平面に平行な面で切断した断面を模式的に示す断面図である。
メイン流路51に流入されたインク60は、連絡流路53を通って圧力室52に充填される。構造体40は、メイン流路51および連絡流路53を有する上部材41と、ノズル42aを有する下部材42からなっている。下部材42には、圧力室52からZ軸正方向に延びる流路の部分に、ノズル42aとなる円形の孔が形成されている。ノズル42aは、Z軸方向に向かうに従って次第に径が小さくなっており、出口付近で径が均一になっている。
図8(b)の構成例において、ノズル42aの孔が図2に示すフローチャートによって形成される。また、この構成例では、下部材42が図1に示すターゲット112に対応する。
アクチュエータ30には、圧力室52の上側に、上下方向(Z軸方向)に変形可能な圧電駆動部32が形成されている。圧電駆動部32は、上側の電極32aと、圧電体32bと、振動板32cからなっている。振動板32cは、下側の電極を兼ねている。電極32aと振動板32cを介して圧電体32bに電圧が印加されると、圧電体32bが上下に変形し、これに伴い、振動板32cが上下に変形する。
圧電駆動部32が下方に変形すると、圧力室52の容積が減少し、圧力室52に充填されたインク60の圧力が高まる。これにより、ノズル42aからインク60の液滴61が吐出される。圧電駆動部32は、図2(b)の圧力室52ごとに個別に配されている。
図9は、実施例に係るインクジェット装置の構成を示すブロック図である。
インクジェット装置は、上記構成を備えたインクジェットヘッド1の他、インク供給部2と、コントローラ3と、インタフェース4とを備える。インク供給部2は、インクジェットヘッド1にインクを供給するための上述のチューブと、チューブに接続されたインクタンクと、インクタンクからチューブにインクを供給するためのポンプを備える。コントローラ3は、CPUとメモリを備え、メモリに保持されたプログラムに従ってインクジェットヘッド1およびインク供給部2を制御する。インタフェース4は、印刷すべき文字および図形等の描画情報の入力を受け付けて、当該描画情報をコントローラ3に出力する。コントローラ3は、入力された描画情報に従ってインクジェットヘッド1を制御し、被印刷面に印字や描画を行う。
<実施形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、以下の効果が奏される。
図6(a)、(b)に示すように、照射位置の間隔ΔLおよび走査経路のピッチΔRの両方もしくは何れか一方が、少なくとも螺旋の中心から所定の範囲(r1〜r4)において、径方向の位置が螺旋の中心に近づくに伴い大きくなるように設定されている。このため、螺旋の中心付近におけるパルスレーザ光の照射位置の集中が抑えられる。これにより、温度が大きく上昇した状態でパルスレーザ光が照射位置に照射されることが抑制され、アブレーションによる掘り下げを安定的に行うことができる。よって、高出力のレーザ光によってもターゲット112に孔112aを精度良く形成することができる。
図6(a)、(b)に示すように、照射位置の間隔ΔLおよび走査経路のピッチΔRが、走査ミラー107の回転周波数、すなわち、走査経路における照射位置の変化速度に応じて設定される。これにより、ターゲット112の蓄熱(温度上昇)を効果的に抑制でき、ターゲット112に孔112aを精度良く形成することができる。なお、孔形成装置100は、走査ミラー107の回転周波数、すなわち、走査経路における照射位置の変化速度を選択するための構成を備えても良い。この場合、回転周波数ごとに照射位置の間隔ΔLおよび走査経路のピッチΔRの変化を設定するテーブルまたは関数が準備され、ユーザの選択に応じたテーブルまたは関数が図2のステップS106に適用される。
図4に示すように、孔形成制御では、照射位置を螺旋状の第1の走査経路T1の始端S1から終端E1まで変化させ、その後、第1の走査経路T1の終端E1と始端S1にそれぞれ始端S2と終端E2が繋がり且つ第1の走査経路T1と逆の巻き方向の第2の走査経路T2に従って照射位置を変化させる。このように第1の走査経路T1と第2の走査経路T2を構成することにより、走査ミラー107の回転方向を変更することなく、照射位置を第1の走査経路T1と第2の走査経路T2にサイクリックに移動させることができる。よって、孔形成制御のアルゴリズムをシンプルにすることができる。
また、この構成において、第1の走査経路T1の始端S1および終端E1が、それぞれ、第1の走査経路T1の最内周および最外周に設定されている。これにより、終端E1の径方向位置を変化させるだけで、掘り下げられる各層の径を調整することができる。よって、孔形成制御のアルゴリズムをさらにシンプルにすることができる。
たとえば、図2のステップS105〜S109の処理により、第1の走査経路T1および第2の走査経路T2による照射位置の変化を1サイクルとして複数サイクル照射位置の変化を実行し、ステップS105において、各サイクルにおける第1の走査経路T1の終端E1の径方向位置を、当該サイクルにより掘り下げる層の径に応じて変化させる。このように、各サイクルにおいて終端E1の径方向位置を調整することにより、たとえば、図5(a)〜(d)の掘り下げ工程が実行され、ターゲット112にロート形状の孔112aを形成することができる。
図1のDOE108の作用により、複数のパルスレーザ光(サブビーム)がターゲットに並列的に照射される。そして、図2の処理が実行されることにより。これらレーザ光(サブビーム)の照射位置が、それぞれ、螺旋状の走査経路(第1の走査経路T1および第2の走査経路T2)上において変化される。これにより、ターゲット112に複数の孔を並列的に形成でき、孔形成の効率化を図ることができる。たとえば、図7および図8に示したインクジェットヘッドの例では、Y軸方向に並ぶノズル42aの数だけDOE108によりパルスレーザ光を分離させることにより、Y軸方向に一列に並ぶ全てのノズル42aの孔を同時に形成することができる。
<変更例>
以上、本発明の実施の形態および実施例について説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に何らの制限を受けるものではない。
たとえば、図2に示す制御では、照射位置間の間隔ΔLおよび走査経路のピッチΔRが全てのサイクルにおいて一定であったが、間隔ΔLおよびピッチΔRがサイクルごとに個別に変更されても良い。
たとえば、図5(a)〜(d)の工程によりロート形状の孔112aを形成する場合、層が進むにつれて終端E1の径方向位置が中心に近づく。このため、層が進むにつれて、第1の走査経路T1により中心付近が走査された後、再び第2の走査経路T2により中心付近が走査されるまでの時間が短くなり、この時間は、層C1と層Ckとでは大きく異なることになる。このように中心付近が再び走査されるまでの時間に差が生じることによって、層Ckは、層C1に比べて中心付近の蓄熱が大きくなることが起こり得る。蓄熱に差異が生じる場合、層Ckの中心付近の走査には、層C1の中心付近よりも、間隔ΔLおよびピッチΔRを大きく設定することが望ましい。
図10は、間隔ΔLの設定をサイクルごとに個別に変更する場合のフローチャートである。図10のフローチャートでは、図2のフローチャートに比べて、ステップS111が追加されている。ステップS111では、間隔ΔLの設定が、n番目の層に対応する設定に調整される。その他のステップは、図2のフローチャートと同様である。
図10のフローチャートによれば、たとえば、サイクルごとに、図6(a)に示す曲線のカーブと範囲r1、r2の広さが調整される。これにより、各層において中心付近の掘り下げが不安定になることを、より効果的に抑制できるとの効果が奏され得る。なお、図10のステップS111では、照射位置の間隔ΔLの設定がサイクルごとに調整されたが、走査経路のピッチΔRの設定がサイクルごとに調整されても良く、また、間隔ΔLとピッチΔRの両方がサイクルごとに調整されても良い。
また、上記実施の形態では、第1の走査経路T1の始端S1が第1の走査経路T1の最内周位置に設定され、照射位置の間欠的な移動が、始端S1から外周に向かって進むように設定されたが、第1の走査経路T1の始端S1が第1の走査経路T1の最外周位置に設定され、照射位置の間欠的な移動が、始端S1から内周に向かって進むように設定されても良い。この場合、第2の走査経路T2の始端S2および終端E2は、それぞれ、第1の走査経路T1の終端E1および始端S1に繋がるように、第2の走査経路T2の最内周位置および最外周位置に設定される。
また、上記実施の形態では、サイクルがns回実行される全期間においてシャッター104が開放状態に維持されたが、走査ミラー107が間欠的に移動する期間においてシャッター104が閉塞され、走査ミラー107が停止する期間においてシャッター104が開放されるように、シャッター104が制御されても良い。こうすると、走査ミラー107が照射位置に対応する位置に停止する期間のみパルスレーザ光がシャッター104を透過するため、照射位置以外にパルスレーザ光が照射されることをより適正に防止することができる。
また、レーザ光源101のパルス幅やターゲット112上におけるビーム径も、上記実施の形態に例示されたものに限らず、適宜、変更可能である。
さらに、インクジェットヘッド1やアクチュエータ30および構造体40の構成も適宜変更可能である。たとえば、図7(b)の構成では、Y軸方向に並ぶ2つのインク供給口31からインクが供給されたが、一つのメイン流路に対して一つのインク供給口31が設けられても良く、あるいは、インク供給口31から圧力室52を経由した後インクを排出させるための流路とインク排出口が設けられても良い。
また、本発明は、インクジェットヘッド1のノズル42aの孔の形成に限らず、他の部材に対する孔の形成にも適宜用いることができる。
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
T1 … 第1の走査経路
T2 … 第2の走査経路
ΔL … 間隔
ΔR … ピッチ
S1、S2 … 始端
E1、E2 … 終端
1 … インクジェットヘッド
2 … インク供給部
30 … アクチュエータ
40 … 構造体
41 … 下部材
42a … ノズル
52 … 圧力室
100 … 孔形成装置
101 … レーザ光源
107 … 走査ミラー
112 … ターゲット
112a … 孔

Claims (8)

  1. レーザ光を用いてターゲットに孔を形成する孔形成方法であって、
    パルスレーザ光の照射位置を螺旋状の走査経路上において変化させ、
    前記各照射位置において前記ターゲットにパルスレーザ光を照射し、
    前記走査経路上における前記照射位置の間隔および前記走査経路のピッチの両方もしくは何れか一方が、少なくとも前記螺旋の中心から所定の範囲において、径方向の位置が前記螺旋の中心に近づくに伴い大きくなるように設定されている、
    ことを特徴とする孔形成方法。
  2. 請求項1に記載の孔形成方法において、
    前記走査経路上における前記照射位置の前記間隔および前記走査経路の前記ピッチを、前記走査経路における前記照射位置の変化速度に応じて設定する、
    ことを特徴とする孔形成方法。
  3. 請求項1または2に記載の孔形成方法において、
    前記照射位置を螺旋状の第1の走査経路の始端から終端まで変化させ、
    その後、前記第1の走査経路の前記終端と前記始端にそれぞれ始端と終端が繋がり且つ前記第1の走査経路と逆の巻き方向の第2の走査経路に従って前記照射位置を変化させる、
    ことを特徴とする孔形成方法。
  4. 請求項3に記載の孔形成方法において、
    前記第1の走査経路の前記始端および前記終端は、それぞれ、前記第1の走査経路の最内周および最外周にある、
    ことを特徴とする孔形成方法。
  5. 請求項4に記載の孔形成方法において、
    前記第1の走査経路および前記第2の走査経路による前記照射位置の変化を1サイクルとして複数サイクル照射位置の変化を実行し、
    前記各サイクルにおける前記第1の走査経路の前記終端の径方向位置を、当該サイクルにより掘り下げる層の径に応じて変化させる、
    ことを特徴とする孔形成方法。
  6. 請求項1ないし5の何れか一項に記載の孔形成方法において、
    複数の前記パルスレーザ光を前記ターゲットに並列的に照射し、
    これらレーザ光の照射位置をそれぞれ螺旋状の走査経路上において変化させる、
    ことを特徴とする孔形成方法。
  7. 圧電体素子を備えるアクチュエータと、
    インクが充填され、前記アクチュエータが駆動されることにより前記インクの圧力が変化する圧力室と、
    前記アクチュエータが駆動されることにより前記圧力室に充填された前記インクを吐出するノズルと、を備え、
    前記ノズルは、請求項1ないし6の何れか一項に記載の孔形成方法により前記インクを吐出するための孔が形成されている、
    ことを特徴とするインクジェットヘッド。
  8. 請求項7に記載のインクジェットヘッドと、
    前記インクジェットヘッドにインクを供給するインク供給部と、を備える
    ことを特徴とするインクジェット装置。
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