JP4591129B2 - 液滴吐出装置及びパターン形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液滴吐出装置及びパターン形成方法に関する。
従来、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置(有機EL表示装置)等の電気光学装置には、画像を表示するための透明ガラス基板(以下単に、基板という。)が備えられている。この種の基板には、品質管理や製造管理を目的として、その製造元や製品番号等の製造情報をコード化した識別コード(例えば、2次元コード)が形成されている。こうした識別コードは、配列された多数のパターン形成領域(データセル)の一部に、パターンとしてのコードパターン(例えば、有色の薄膜や凹部)を備え、そのコードパターンの有無によって前記製造情報をコード化している。
その識別コードの形成方法には、金属箔にレーザ光を照射してコードパターンをスパッタ成膜するレーザスパッタ法や、研磨材を含んだ水を基板等に噴射してコードパターンを刻印するウォータージェット法が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
しかし、上記レーザスパッタ法では、所望するサイズのコードパターンを得るために、金属箔と基板の間隙を、数〜数十μmに調整しなければならない。つまり、基板と金属箔の表面に、極めて高い精度の平坦性が要求され、しかも、これらの間隙をμmオーダの精度で調整しなければならない。その結果、識別コードを形成できる対象基板が制限されて、その汎用性を損なう問題を招いていた。また、ウォータージェット法では、基板の刻印時に、水や塵埃、研磨剤等が飛散するため、同基板を汚染する問題があった。
近年、こうした生産上の問題を解消する識別コードの形成方法として、インクジェット法が注目されている。インクジェット法は、金属微粒子を含む微小液滴を液滴吐出装置から吐出し、その液滴を乾燥させることによってコードパターンを形成する。そのため、識別コードを形成する基板の対象範囲を拡大することができ、同基板の汚染等を回避して識別コードを形成することができる。
特開平11−77340号公報 特開2003−127537号公報
しかしながら、上記インクジェット法では、基板に着弾した微小液滴を乾燥することによってコードパターンを形成するため、基板の表面状態や微小液滴の表面張力等に応じて、以下の問題を招いていた。すなわち、着弾した微小液滴が過剰に濡れ広がると、コードパターンが、対応するデータセルから食み出して、コードパターンを形成しないデータセルにまで広がるようになる。その結果、コードパターンの食み出した部分によって、基板情報を誤って読み取らせる、若しくは読み取り不能にする問題があった。
こうした問題は、微小液滴が着弾した時に、その微小液滴に対してレーザ光を照射し、着弾した微小液滴を、瞬時に乾燥させることによって回避可能と考えられる。
しかしながら、図15に示すように、一般的に、微小液滴Fbを吐出する吐出ヘッド90には、液体Fの流路91や、同液体Fを貯留するキャビティ92、さらには同キャビティ92内の液体Fを加圧する加圧手段93等が備えられる。そのため、これら各構成要素のレイアウトや加工性によって、微小液滴Fbを吐出する吐出口94の配設位置が、液滴吐出ヘッド90の中央位置近傍に制約される。その結果、吐出口94が中央位置近傍に形
成される分だけ、基板95上では、微小液滴Fbの着弾する位置(着弾位置Pa)とレーザヘッド96の照射するレーザ光Bの位置(照射位置Pb)が離間するようになる。ひいては、レーザ光Bを照射する(乾燥する)までの時間を要して、微小液滴Fbを過剰に濡れ広がらせる問題を招く。
一方、レーザ光Bを照射するまでの時間は、上記吐出ヘッド90と基板95との間の間隙からレーザ光Bを照射することによって短縮可能と考えられる。しかし、上記する吐出ヘッド90と基板95との間の間隙は、一般的に、mmオーダで制御されている。そのため、前記間隙からの照射では、レーザ光Bの照射位置に、十分な精度が得られない。
さらには、吐出ヘッド90近傍にレーザヘッド96を配設すると、液体Fのミスト等の飛散によって、レーザヘッド96の光学系が汚染され、レーザ光Bの照射位置のバラツキや照射強度の劣化を招く問題があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、パターンのサイズを所望のサイズに制御した液滴吐出装置及びパターン形成方法を提供することである。
本発明の液滴吐出装置は、圧力室に貯えられた液体を加圧する加圧手段と、前記加圧手段の加圧によって前記液体の液滴を被吐出面に吐出する吐出ノズルとを備えた液滴吐出装置において、前記吐出ノズルを光路にして前記液滴にレーザ光を出力するレーザ出力手段と、前記加圧手段の加圧動作に相対して前記レーザ出力手段を駆動制御するレーザ駆動制御手段とを備え、前記レーザ駆動制御手段は、前記吐出ノズルの液体界面が、前記被吐出面に着弾した前記液滴の領域で前記レーザ光を集光する液状レンズを形成するときに、前記レーザ出力手段を駆動制御する
本発明の液滴吐出装置によれば、吐出ノズルを光路にするため、液滴を吐出した直後に、レーザ光を出力することができ、その照射位置を、確実に液滴に相対させることができる。その結果、着弾した液滴の濡れ広がりを回避して、パターンのサイズを所望のサイズに制御することができる。
また、この液滴吐出装置によれば、加圧手段の加圧動作、すなわち液滴の吐出動作に相対させてレーザ光を出力することができる。その結果、吐出した液滴に対して、確実にレーザ光の照射することができる。
さらにまた、この液滴吐出装置によれば、レーザ光を集光する分だけ、レーザ光の照射強度を強くすることができ、着弾した液滴にのみ、乾燥可能な強度のレーザ光を照射することができる。しかも、吐出ノズルの液体界面をレンズにするため、飛散した液滴やそのミスト等によって、レンズ係数を変動させる心配がない。
この液滴吐出装置において、前記加圧手段は、前記レーザ駆動制御手段が前記レーザ出力手段を駆動制御する間に、前記吐出ノズルの液体界面によって、着弾した前記液滴の領域で前記レーザ光を集光する液状レンズを形成するようにしてもよい。
この液滴吐出装置によれば、レーザ光を出力する間に液状レンズを形成するため、液状レンズを形成するタイミングと、レーザ光を出力するタイミングのズレを回避することが
でき、着弾した液滴に対して、集光したレーザ光を、確実に照射することができる。
この液滴吐出装置において、前記加圧手段は、前記被吐出面に着弾した前記液滴のサイズが所定のサイズになるときに、前記液状レンズを形成するようにしてもよい。
この液滴吐出装置によれば、着弾した液滴のサイズが所定のサイズになるときに所望のレーザ光を照射するため、パターンのサイズを、より確実に所望のサイズに制御することができる。
この液滴吐出装置において、前記加圧手段は、前記圧力室内の液体の振動周期に対応するタイミングで前記液状レンズを形成するようにしてもよい。
この液滴吐出装置によれば、圧力室内の液体の振動による液状レンズの形状のバラツキを解消することができ、レンズ形状の再現性を向上することができる。その結果、出力したレーザ光を、より安定して集光させることができる。
この液滴吐出装置において、前記加圧手段は、前記液体界面の振動周期に相対するタイミングで前記液状レンズを形成するようにしてもよい。
この液滴吐出装置によれば、液体界面の振動による液状レンズの形状のバラツキを解消することができ、レンズ形状の再現性を向上することができる。その結果、出力したレーザ光を、より安定して集光させることができる。
この液滴吐出装置において、前記加圧手段は、前記液状レンズを複数回形成するようにしてもよい。
この液滴吐出装置によれば、所望のレーザ光を複数回出力する分だけ、パターンのサイズを、より確実に所望のサイズに制御することができる。
本発明のパターン形成方法は、パターン形成材料を含む液滴を吐出ノズルから被吐出面に向かって吐出し、前記被吐出面に着弾した前記液滴に、前記液滴を乾燥するためのレー
ザ光を照射することによってパターンを形成するようにしたパターン形成方法において、前記レーザ光を、前記吐出ノズルから出射するとともに、前記レーザ光を出射するときに、着弾した前記液滴の領域で前記レーザ光を集光する液状レンズを、前記吐出ノズルに形成するようにした。
本発明のパターン形成方法によれば、吐出ノズルからレーザ光を照射するため、液滴を吐出した直後に、レーザ光を出力することができ、その照射位置を、確実に液滴に相対させることができる。その結果、着弾した液滴の過剰な濡れ広がりを回避して、パターンのサイズを所望のサイズに制御することができる。
また、このパターン形成方法によれば、レーザ光を集光する分だけ、レーザ光の照射強度を強くすることができ、着弾した液滴にのみ、乾燥可能な強度のレーザ光を照射することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図14に従って説明する。
まず、本発明の液滴吐出装置を使って形成された識別コードを有する液晶表示装置の表示モジュールについて説明する。図1は液晶表示装置の液晶表示モジュールの正面図、図2は液晶表示モジュールの裏面に形成された識別コードの正面図、図3は液晶表示モジュールの裏面に形成された識別コードの側面図である。
図1において、液晶表示モジュール1は、光透過性の透明ガラス基板2(以下単に、基板2という。)を備えている。その基板2の表面2aの略中央位置には、液晶分子を封入した四角形状の表示部3が形成され、その表示部3の外側には走査線駆動回路4及びデータ線駆動回路5が形成されている。そして、液晶表示モジュール1は、走査線駆動回路4の供給する走査信号と、データ線駆動回路5の供給するデータ信号に基づいて前記液晶分子の配向状態を制御し、図示しない照明装置から照射された平面光を、前記液晶分子の配向状態で変調することによって、表示部3に、所望の画像を表示するようになっている。
基板2の被吐出面としての裏面2bの右隅には、パターンとしてドットDで構成された該液晶表示モジュール1の識別コード10が形成されている。識別コード10は、図2に示すように、コード形成領域S内に形成される複数のドットDにて構成されている。
コード形成領域Sは、図4に示すように、16行×16列からなる256個のデータセル(以下単に、セルCという。)に均等に仮想分割されている。詳述すると、コード形成領域Sは、1.12mm角の正方形の領域であって、一辺の長さが70μmの正方形のセルCに仮想分割されている。そして、16行×16列の各セルCに対して選択的にドットDが形成され、その各ドットDで構成する該液晶表示モジュール1の製品番号やロット番号を識別するための識別コード10が形成される。
本実施形態では、このセルCの一辺の長さを最大液滴径Rmaxという。また、この分割されたセルCであって、ドットDが形成されるセルCを黒セルC1とし、セルC内にドットDが形成されないセルCを白セルC0という。そして、図4において上側から順に、1行目のセルC、2行目のセルC、・・・、16行目のセルCとし、図4において左側から順に、1列目のセルC、2列目のセルC、・・・、16列目のセルCという。
黒セルC1に形成されたドットDは、図2及び図3に示すように、基板2に半球状に密着して形成されている。このドットDは、インクジェット法によって形成されている。
詳述すると、ドットDは、後述する液滴吐出装置20の吐出ノズルN(以下単に、ノズルNという。)からパターン形成材料としての金属微粒子(例えば、ニッケル微粒子等)を含む微小液滴FbをセルC(黒セルC1)に吐出させ、セルCに着弾した微小液滴Fbを乾燥し、同金属微粒子を焼成させることによって形成されている。この乾燥・焼成は、基板2(黒セルC1)に着弾した微小液滴Fbに、レーザ光B(図12参照)を照射することによって行われる。
次に、基板2の裏面2bに前記識別コード10を形成するために使用する液滴吐出装置20について説明する。図5は、液滴吐出装置20の構成を示す斜視図である。
図5において、液滴吐出装置20には、直方体形状に形成される基台21が備えられている。本実施形態では、この基台21の長手方向をY矢印方向とし、同Y矢印方向と直交する方向をX矢印方向という。
基台21の上面には、Y矢印方向に延びる1対の案内凹溝22が同Y矢印方向全幅にわたり形成されている。その基台21の上側には、一対の案内凹溝22に対応する図示しない直動機構を備えた基板ステージ23が取付けられている。基板ステージ23の直動機構は、例えば案内凹溝22に沿ってY矢印方向に延びるネジ軸(駆動軸)と、同ネジ軸と螺合するボールナットを備えたネジ式直動機構であって、その駆動軸がステッピングモータよりなるY軸モータMY(図13参照)に連結されている。そして、所定のステップ数に相対する駆動信号がY軸モータMYに入力されると、Y軸モータMYが正転又は逆転して、基板ステージ23が同ステップ数に相当する分だけ、Y矢印方向に沿って所定の速度で往動又は復動する(Y矢印方向に移動する)ようになっている。
本実施形態では、基板ステージ23の配置位置であって、図5に示すように、基台21の最も手前側に配置する位置を往動位置とし、最も奥側に配置する位置(図5に示す2点鎖線)を復動位置という。
基板ステージ23の上面には、載置面24が形成され、その載置面24には、図示しない吸引式の基板チャック機構が設けられている。そして、基板2が裏面2b(コード形成領域S)を上側にして載置面24に載置されると、その基板チャックによって、基板2が載置面24(基板ステージ23)の所定位置に位置決め固定されるようになっている。
この際、コード形成領域Sは、各セルCの列方向がY矢印方向に沿うように設定され、かつ1行目のセルCが最もY矢印方向側となるように配置される。
基台21のX矢印方向両側には、一対の支持台25a、25bが立設され、その一対の
支持台25a、25bには、X矢印方向に延びる案内部材26が架設されている。案内部
材26は、その長手方向の幅が基板ステージ23のX矢印方向よりも長く形成され、その一端が支持台25a側に張り出すように配置されている。この支持台25aの張り出した
部分の直下には、後述する吐出ヘッド30のクリーニング等のメンテナンスを行うための図示しないメンテナンスユニットが配設されている。
案内部材26の上側には、収容タンク27が配設され、その収容タンク27には、前記基板2(裏面2b)に対して親液性を有する分散媒に前記金属微粒子を分散させた液体F(図7参照)が、後述する吐出ヘッド30に導出可能に収容されている。
案内部材26の下側には、X矢印方向に延びる上下一対の案内レール28がX矢印方向全幅にわたり凸設されている。この案内レール28には、同案内レール28に対応する図示しない直動機構を備えたキャリッジ29が取付けられている。キャリッジ29の直動機構は、例えば案内レール28に沿ってX矢印方向に延びるネジ軸(駆動軸)と、同ネジ軸と螺合するボールナットを備えたネジ式直動機構であって、その駆動軸が、ステッピングモータよりなるX軸モータMX(図13参照)に連結されている。そして、所定のステップ数に相当する駆動信号をX軸モータMXに入力すると、X軸モータが正転又は逆転して、キャリッジ29が同ステップ数に相当する分だけX矢印方向に沿って往動又は復動する(X矢印方向に移動する)ようになっている。
図5に示すように、そのキャリッジ29の下側には、吐出ヘッド30が設けられている。図6は、その吐出ヘッド30の下面(基板ステージ23側の面)を上方に向けた場合の斜視図を示す。
吐出ヘッド30は、その下側にノズルプレート31を備え、ノズルプレート31の下面(ノズル形成面31a)には、微小液滴Fb(図12参照)を形成するための16個のノズルNが、X矢印方向(前記セルCの行方向)に一列となって等間隔に貫通形成されている。
ノズルNは、そのピッチ幅が、セルCの形成ピッチと同じ大きさで形成される円形孔であって、基板ステージ23の載置面24に載置された基板2の法線方向(Z矢印方向)に沿って形成されている。つまり、各ノズルNは、基板2(コード形成領域S)がY矢印方向に沿って往復直線移動するときに、それぞれ列方向に沿う各セルCと対峙可能に配置形成されている。
図7は、その吐出ヘッド30の内部構造を説明するための要部断面図である。
図7に示すように、ノズルプレート31の上側であってノズルNのZ矢印方向には、圧力室としてのキャビティ32が形成されている。キャビティ32は、連通孔33及び各ノ
ズルN(各連通孔33)に共通する供給路34を介して前記収容タンク27に連通している。そして、キャビティ32には、収容タンク27内の液体Fが導入され、それぞれ対応するノズルN内に供給可能にしている。
キャビティ32の上側には、振動板35が貼り付けられている。振動板35は、後述するレーザ光Bを透過するフィルムであって、例えば、その厚さが約2μmからなるポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルムで構成されている。この振動板35は、Z矢印方向及び反Z矢印方向(上下方向)に振動可能に貼り付けられ、キャビティ32内の容積を拡大・縮小するようになっている。
振動板35の上側には、圧電素子PZが配設されている。圧電素子PZは、同圧電素子PZを駆動制御するための信号(圧電素子駆動電圧VDP)を受けて収縮・伸張するようになっている。尚、本実施形態の圧電素子PZは、中間電位Vm(図11参照)よりも高い電位の電圧を受けて収縮し、中間電位Vmよりも低い電位の電圧を受けて伸張するようになっている。そして、圧電素子PZが収縮・伸張すると、キャビティ32内の容積が拡大・縮小して、ノズルN内の液体界面(メニスカスM)の位置が変位するようになっている。
詳述すると、圧電素子PZが収縮してキャビティ32の体積が拡大すると、キャビティ32の体積の拡大分だけ、同キャビティ32内に負圧が形成される。キャビティ32に負圧が形成されると、連通孔33のコンダクタンスに応じた流速の液体Fが、供給路34からキャビティ32内に流入する。この際、キャビティ32に形成する負圧の形成速度をキャビティ32に流入する液体Fの流速よりも大きくすると、メニスカスMは、図8に示すように、キャビティ32内の圧力を補償するように、ノズルN内に引き込まれ、同ノズル内で凹曲面を形成する。
本実施形態では、ノズルN内に引き込まれた凹曲面のメニスカスMを、引込界面M0とし、この引込界面M0を形成するための圧電素子PZの動作を引込動作という。
また、上記する引込動作の後に圧電素子PZの状態を所定時間だけ保持(ホールド)し、凹曲面のメニスカスMが凸曲面に移行するタイミングで、圧電素子PZを急峻に伸張する。すると、キャビティ32の圧力が短時間に上昇し、図9に示すように、ノズルN内の液体Fの一部が、微小液滴Fbとして吐出される。これによって、液体Fの粘度が高い場合であっても、微小液滴Fbの吐出を容易にしている。
本実施形態では、この微小液滴Fbを吐出するための圧電素子PZの動作を、押出動作とし、この微小液滴Fbの着弾する位置、すなわちノズルNの直下であって、基板2(裏面2b)上の位置(黒セルC1の中心位置)を着弾位置Paという。
そして、本実施形態では、上記する引込動作と押出動作によって、微小液滴Fbの外径が、最大液滴径Rmaxの略半分となるようにしている。
一方、上記する引込動作の後に、微小液滴Fbを吐出しない範囲で圧電素子PZを伸張すると、キャビティ32内の圧力が上昇し、メニスカスMは、図10に示すように、ノズルNの開口(ノズル形成面31a)から凸曲面状に盛り上がるようになる。すなわち、メニスカスMが、ノズルNの中心軸CNを光軸にした凸状の液状レンズLZを形成するようになる。
本実施形態では、この液状レンズLZを形成するための圧電素子PZの動作を、レンズ形成動作とし、この液状レンズLZの中で、前記着弾位置Paの微小液滴Fbが、後述するレーザ光Bの焦点深度の範囲内に位置するレンズを、集光レンズLZ1という。
図7に示すように、振動板35の上側であってノズルNの直上には、レーザ出力手段を構成する半導体レーザアレイLDが配設されている。半導体レーザアレイLDは、後述する電源回路(図13参照)から駆動制御するための信号(レーザ駆動電圧VDL)を受けると、図12に示すように、所定の波長(例えば、800nm)のレーザ光Bを振動板35側に出射し、振動板35及びキャビティ32(液体F)を介して、同レーザ光BをノズルN内に導くように配設されている。
本実施形態におけるレーザ光Bは、振動板35及び液体Fを透過する光である。そのレーザ光Bの出力値は、照射したノズルN内の液体Fの温度を、殆ど上昇させないエネルギーに設定され、かつ集光深度の範囲において、微小液滴Fb(液体F)の分散媒を乾燥し、金属微粒子を焼成するエネルギーに設定されている。
そして、図12に示すように、レーザ光Bを出射する状態で集光レンズLZ1を形成すると、集光レンズLZ1によって集光されたレーザ光Bが、その焦点深度において微小液滴Fbを乾燥し、その微小液滴Fb内の金属微粒子を焼結させる。尚、本実施形態では、レーザ光Bの波長を、微小液滴Fbの分散媒及び金属微粒子の吸収波長領域内に設定することによって、微小液滴Fbの乾燥・焼成を行うように構成しているが、乾燥のみを行う構成であってもよい。
ところで、このように構成された吐出ヘッド30では、上記するキャビティ32内の圧力変動に応じて、連通孔33からノズルNに至る液体F(メニスカスM)に、少なくとも2種類の固有振動を生じる。一つは、キャビティ32内の液体Fに生じるヘルムホルツ共振によって誘起される振動であって、比較的短周期(例えば、数マイクロ秒オーダ)の固有振動周期(周期Tc)からなる振動(第1振動)である。もう一つは、メニスカスMの表面張力によって誘起される振動であって、比較的長周期(例えば、数十マイクロ秒オーダ)の固有振動周期(周期Tm)からなる振動(第2振動)である。すなわち、前記メニスカスMは、上記するキャビティ32内の圧力変動に応じて、少なくとも周期Tcの第1振動と周期Tmの第2振動を重畳した振動を生じる。
そこで、本実施形態では、前記第1振動の周期Tcと前記第2振動の周期Tmに基づいて、以下に示すタイミングで圧電素子PZを伸張・縮小し、これら第1振動及び第2振動によるレンズ形状のバラツキを回避した前記集光レンズLZ1を形成するようにしている。図11は、集光レンズLZ1を形成するための圧電素子駆動電圧VDPの駆動波形(レンズ形成波形WL)を示す。
図11に示すように、レンズ形成波形WLは、引込保持部W1、押出部W2、押出保持部W3、引込部W4及び終端部W5からなる。
引込保持部W1は、圧電素子駆動電圧VDPを、中間電位Vmよりも高い電位の引込電位VPSに所定の時間だけ保持する部分であって、メニスカスMを、ノズルN内に引き込んで、引込界面M0を形成する。
押出部W2は、前記引込電位VPSから最低電位VLまでの直線的な降圧を、周期Tc以上の時間(降圧時間Td)で行う部分であって、メニスカスMをノズル形成面31aよりも基板2側に押し出して、液状レンズLZを形成する。そして、押出部W2は、周期Tc以上の前記降圧時間Tdによって、第1振動の誘起を回避するようにしている。尚、本実施形態では、その降圧時間Tdを周期Tcとする。
押出保持部W3は、圧電素子駆動電圧VDPを最低電位VLに所定の時間だけ保持する部分であって、前記集光レンズLZ1よりも基板2側に盛り上がる液状レンズLZを形成する。
引込部W4は、前記最低電位VLから引込電位VPSまで直線的な昇圧を、周期Tc以上の時間(昇圧時間Tu)で行う部分であって、前記集光レンズLZ1よりも盛り上がった液状レンズLZをノズルN側に引き込み、この引き込む過程で、前記集光レンズLZ1を形成する。そして、引込部W4は、周期Tc以上の前記昇圧時間Tuよって、第1振動の誘起を回避するようにしている。本実施形態では、その昇圧時間Tuを周期Tcとする。
尚、集光レンズLZ1を形成するタイミングは、前記引込部W4の最低電位VL、引込電位VPS及び昇圧時間Tuによって設定され、本実施形態では、この集光レンズLZ1を形成する時間をレンズ形成時間Tp4という。
終端部W5は、最低電位VLから中間電位Vmまでの直線的な昇圧を、前記昇圧時間Tuで行う部分であって、第1振動の誘起を回避して、メニスカスMを、基板2側から初期位置に戻す。終端部W5は、このメニスカスMを戻す過程で、前記集光レンズLZ1を形成する。尚、集光レンズLZ1を形成するタイミングは、最低電位VL、中間電位Vm及び昇圧時間Tuによって設定され、本実施形態では、この集光レンズLZ1を形成する時間をレンズ形成時間Tp5という。
本実施形態では、これら引込保持部W1、押出部W2、押出保持部W3及び引込部W4(終端部W5)の積算時間をレンズ形成周期TLとし、そのレンズ形成周期TLが第2振動の周期Tmと同じ時間となるように設定している。これによって、各レンズ形成波形WLは、それぞれ引込部W4のレンズ形成時間Tp4を、第2振動の同位相に相対させることができ、各レンズ形成動作において、同一の集光レンズLZ1を再現することができる。尚、本実施形態では、そのレンズ形成周期TLを周期Tmとしているが、これに限らず、レンズ形成周期TLは、各レンズ形成動作におけるメニスカスM(液状レンズLZ)の位置・形状を第2振動の位相に相対させる時間、すなわち周期Tmの整数倍の時間であればよい。
そして、これら引込保持部W1、押出部W2、押出保持部W3及び引込部W4(終端部W5)によって、1回のレンズ形成動作を構成している。尚、本実施形態では、これら引込保持部W1、押出部W2、押出保持部W3及び引込部W4を連続して構成することにより、2回のレンズ形成動作を行うようにしているが、これに限らず、2回以上行うようにしてもよい。
次に、上記のように構成した液滴吐出装置20の電気的構成を図13に従って説明する。
図13において、制御装置40には、外部コンピュータ等の入力装置41から各種データを受信するI/F部42と、CPU等からなる制御部43、DRAM及びSRAMからなり各種データを格納するRAM44、各種制御プログラムを格納するROM45が備えられている。また、制御装置40には、駆動波形生成回路46、各種駆動信号を同期するためのクロック信号CLKを生成する発振回路47、前記半導体レーザアレイLDを駆動するためのレーザ駆動電圧VDLを生成する電源回路48、各種駆動信号を送信するI/F部49が備えられている。そして、制御装置40では、これらI/F部42、制御部43、RAM44、ROM45、駆動波形生成回路46、発振回路47、電源回路48及びI/F部49が、バス50を介して接続されている。
I/F部42は、入力装置41から、基板2の製品番号やロット番号等からなる識別データの2次元コード化した識別コード10の画像を、既定形式の描画データIaとして受信する。
制御部43は、I/F部42の受信した描画データIaに基づいて、識別コード作成処理動作を実行する。すなわち、制御部43は、RAM44等を処理領域として、ROM45等に格納された制御プログラム(例えば、識別コード作成プログラム)に従って、基板ステージ23を移動させて基板2の搬送処理動作を行い、吐出ヘッド30の各圧電素子PZを駆動させて液滴吐出処理動作を行う。また、制御部43は、識別コード作成プログラムに従って、各半導体レーザアレイLDを駆動させて微小液滴Fbを乾燥させる乾燥処理動作を行う。
詳述すると、制御部43は、I/F部42の受信した描画データIaに所定の展開処理を施し、二次元描画平面(パターン形成領域S)上における各セルCに、微小液滴Fbを吐出するか否かを示すビットマップデータBMDを生成してRAM44に格納する。このビットマップデータBMDは、前記圧電素子PZに対応して16×16ビットのビット長を有したシリアルデータであり、各ビットの値(0あるいは1)に応じて、圧電素子PZのオンあるいはオフを規定するものである。
また、制御部43は、描画データIaに前記ビットマップデータBMDの展開処理と異なる展開処理を施し、前記圧電素子PZに印加する圧電素子駆動電圧VDPの波形データを生成して、駆動波形生成回路46に出力するようになっている。
駆動波形生成回路46は、制御部43の生成した波形データを格納する波形メモリ46aと、同波形データをデジタル/アナログ変換してアナログ信号として出力するD/A変換部46bと、D/A変換部から出力されるアナログの波形信号を増幅する信号増幅部46cとを備えている。そして、駆動波形生成回路46は、波形メモリ46aに格納した波形データをD/A変換部46bによりデジタル/アナログ変換し、アナログ信号の波形信号を信号増幅部46cにより増幅して前記圧電素子駆動電圧VDPを生成する。
そして、制御部43は、I/F部49を介して、前記ビットマップデータBMDを、発振回路47の生成するクロック信号CLKに同期させた吐出制御信号SIとして、後述するヘッド駆動回路51(シフトレジスタ51a)に順次シリアル転送する。また、制御部43は、転送した吐出制御信号SIをラッチするためのラッチ信号LATをヘッド駆動回路51に出力する。さらに、制御部43は、発振回路47の生成するクロック信号CLKに同期させて、前記圧電素子駆動電圧VDPを後述するヘッド駆動回路51(スイッチ素子51e)に出力する。
この制御装置40には、I/F部49を介して、ヘッド駆動回路51、レーザ駆動制御手段を構成するレーザ駆動回路52、基板検出装置53、X軸モータ駆動回路54及びY軸モータ駆動回路55が接続されている。
ヘッド駆動回路51には、シフトレジスタ56、ラッチ回路57、レベルシフタ58及びスイッチ回路59が備えられている。シフトレジスタ56は、クロック信号CLKに同期して制御装置40(制御部43)の転送した吐出制御信号SIを、16個の圧電素子PZ(PZ1〜PZ16)に対応させてシリアル/パラレル変換する。ラッチ回路57は、シフトレジスタ56のパラレル変換した16ビットの吐出制御信号SIを、制御装置40(制御部43)から入力されるラッチ信号LATに同期してラッチし、ラッチした吐出制御信号SIをレベルシフタ58及びレーザ駆動回路52に出力する。レベルシフタ58は、ラッチ回路57のラッチした吐出制御信号SIを、スイッチ回路59が駆動する電圧まで昇圧して、16個の圧電素子PZに対応する開閉信号GS1を生成する。スイッチ回路59には、各圧電素子PZに対応するスイッチ素子Sa1〜Sa16が備えられ、各スイッチ素子Sa1〜Sa16の入力側には、共通する前記圧電素子駆動電圧VDPが入力さ
れ、出力側には、それぞれ対応する圧電素子PZ(PZ1〜PZ16)に接続されている。そして、各スイッチ素子Sa1〜Sa16には、レベルシフタ58から、対応する開閉信号GS1が入力され、同開閉信号GS1に応じて圧電素子駆動電圧VDPを圧電素子PZに供給するか否かを制御するようになっている。
すなわち、本実施形態の液滴吐出装置20は、駆動波形生成回路46の生成した圧電素子駆動電圧VDPを、各スイッチ素子Sa1〜Sa16を介して対応する各圧電素子PZに共通に印加するとともに、そのスイッチ素子Sa1〜Sa16の開閉を、制御装置40(制御部43)の供給する吐出制御信号SI(開閉信号GS1)で制御するようにしている。そして、スイッチ素子Sa1〜Sa16が閉じると、同スイッチ素子Sa1〜Sa16に対応する圧電素子PZ1〜PZ16に圧電素子駆動電圧VDPが供給され、同圧電素子PZに対応するノズルNから微小液滴Fbが吐出され、集光レンズLZ1が形成される。
図14は、上記するラッチ信号LAT、吐出制御信号SI及び開閉信号GS1のパルス波形と、開閉信号GS1に応答して圧電素子PZに印加される圧電素子駆動電圧VDPの波形を示す。
図14に示すように、ヘッド駆動回路51に入力されるラッチ信号LATが立ち下がると、16ビット分の吐出制御信号SIに基づいて開閉信号GS1が生成され、開閉信号GS1が立ち上がった時に、対応する圧電素子PZに対して圧電素子駆動電圧VDPが供給される。
詳述すると、圧電素子駆動電圧VDPの駆動波形には、引込部W11、引込保持部W12、押出部W13、押出保持部W14及び引込部W4aからなる吐出波形WDと、その吐出波形WDに続く前記レンズ形成波形WL(第1レンズ形成波形WL1及び第2レンズ形成波形WL2)が備えられている。
引込部W11は、圧電素子駆動電圧VDPを、中間電位Vmよりも高い電位の最高電位VPに昇圧する部分であって、これによって、前記引込動作を行う(引込界面M0を形成する)。引込保持部W12は、圧電素子駆動電圧VDPを最高電位VPに保持する部分であって、引込界面M0をノズルN内で安定保持する。押出部W13は、最高電位VPの圧電素子駆動電圧VDPを、急峻に最低電位VLまで直線的に降圧する部分であって、前記押出動作を行う(微小液滴Fbを吐出する)。押出保持部W14は、圧電素子駆動電圧VDPを最低電位VLに所定の時間だけ保持する部分であり、微小液滴Fbを吐出したメニスカスMの形状を安定させる。引込部W4aは、前記最低電位VLから引込電位VPSまで直線的な昇圧を、前記昇圧時間Tu(周期Tc)以上の時間で行う部分であって、前記第1振動の誘起を回避するようにしている。
そして、圧電素子PZに、これら引込部W11、引込保持部W12、押出部W13及び押出保持部W14からなる吐出波形WDが供給されると、圧電素子PZが、前記引込動作と前記押出動作を行って、ノズルNから、所定のサイズの前記微小液滴Fbを吐出させる。
尚、上記する押出保持部W14及び引込部W4aの時間は、予め計測した微小液滴Fbの飛行時間に基づいて以下のように設定されている。
すなわち、前記押出保持部W14及び引込部W4aの時間は、着弾した微小液滴Fbが、前記最大液滴径Rmaxとなる時を、第1レンズ形成波形WL1(引込部W4)のレンズ形成時間Tp4に相対させている。換言すれば、前記押出保持部W14及び引込部W4aの時間は、着弾した微小液滴Fbが最大液滴径Rmaxとなる時に、第1レンズ形成波
形WL1によって、集光レンズLZ1を形成するように設定されている。
そして、第1レンズ形成波形WL1及び第2レンズ形成波形WL2が圧電素子PZに供給されると、圧電素子PZは、着弾した微小液滴Fbが最大液滴径Rmaxとなる時に、第1レンズ形成波形WL1による1回目のレンズ形成動作を行う。そして、そのレンズ形成周期TL後に、第2レンズ形成波形WL2による2回目のレンズ形成動作を行う。
図13に示すように、レーザ駆動回路52には、第1遅延パルス生成回路61a、第2遅延パルス生成回路61b及びスイッチ回路62が備えられている。
第1及び第2遅延パルス生成回路61a,61bは、ラッチ回路57のラッチした吐出制御信号SIを、それぞれ所定の時間(第1待機時間T1及び第2待機時間T2)だけ遅延させたパルス信号(第1開閉信号GS2a及び第2開閉信号GS2b)を生成する。そして、第1及び第2遅延パルス生成回路61a,61bは、それぞれ第1開閉信号GS2a及び第2開閉信号GS2bを、開閉信号GS2としてスイッチ回路62に出力する。
本実施形態における第1待機時間T1は、図14に示すように、ラッチ信号LATの立ち下がりに応答した吐出動作の開始時(開閉信号GS1の立ち上がった時)から前記押出保持部W3の途中経過時間(照射開始時間T3)までの時間幅に設定されている。また、第2待機時間T2は、その第1待機時間T1に第1レンズ形成波形WL1のレンズ形成周期TLを加算した時間幅に設定されている。さらに、本実施形態における開閉信号GS2(第1開閉信号GS2a及び第2開閉信号GS2b)のパルス幅GSWは、前記押出保持部W3の照射開始時間T3から前記引込部W4を終了するまでの時間幅に設定されている。
スイッチ回路62には、各半導体レーザアレイLDに対応するスイッチ素子Sb1〜Sb16が備えられている。各スイッチ素子Sb1〜Sb16の入力側には、電源回路48の生成した共通のレーザ駆動電圧VDLが入力され、出力側には対応する各半導体レーザアレイLD(LD1〜LD16)に接続されている。そして、各スイッチ素子Sb1〜Sb16には、第1及び第2遅延パルス生成回路61a,61bから対応する開閉信号GS2が入力され、同開閉信号GS2に応じてレーザ駆動電圧VDLを半導体レーザアレイLDに供給するか否かを制御するようになっている。
すなわち、本実施形態の液滴吐出装置20は、電源回路48の生成したレーザ駆動電圧VDLを、各スイッチ素子Sb1〜Sb16を介して対応する各半導体レーザアレイLDに共通に印加するとともに、そのスイッチ素子Sb1〜Sb16の開閉を、制御装置40(制御部43)の供給する吐出制御信号SI(開閉信号GS2)によって制御するようにしている。そして、スイッチ素子Sb1〜Sb16が閉じると、同スイッチ素子Sb1〜Sb16に対応する半導体レーザアレイLD1〜LD16にレーザ駆動電圧VDLが供給され、対応する半導体レーザアレイLDからレーザ光Bが出射される。
そして、図14に示すように、ラッチ信号LATがヘッド駆動回路51に入力されて、第1待機時間T1(照射開始時間T3)を経過すると、第1遅延パルス生成回路61aによって、第1開閉信号GS2aが生成され、その第1開閉信号GS2aが、第1遅延パルス生成回路61aから、各スイッチ素子Sb1〜Sb16に供給される。
そして、第1開閉信号GS2aが立ち上がった時に、対応する半導体レーザアレイLDにレーザ駆動電圧VDLが印加され、レンズ形成時間Tp4を跨ぐパルス幅GSWの時間だけ、半導体レーザアレイLDからレーザ光Bが出射される。
このとき、第1レンズ形成波形WL1の引込部W4によって集光レンズLZ1が形成さ
れ、集光したレーザ光Bが、基板2の着弾位置Paに着弾している微小液滴Fbに照射される。すなわち、微小液滴Fbが乾燥される。そして、第1開閉信号GS2aが立ち下がると、レーザ駆動電圧VDLの供給が遮断されて半導体レーザアレイLDによる乾燥処理動作が終了する。
続いて、ラッチ信号LATがヘッド駆動回路51に入力されて、第2待機時間T2を経過すると、第2遅延パルス生成回路61bによって、第2開閉信号GS2bが生成され、その第2開閉信号GS2bが、第2遅延パルス生成回路61bから、各スイッチ素子Sb1〜Sb16に供給される。
そして、第2開閉信号GS2bが立ち上がった時に、対応する半導体レーザアレイLDにレーザ駆動電圧VDLが印加され、レンズ形成時間Tp5を跨ぐパルス幅GSWの時間だけ、半導体レーザアレイLDからレーザ光Bが出射される。
このとき、第2レンズ形成波形WL2の終端部W5によって集光レンズLZ1が形成され、集光したレーザ光Bが乾燥した微小液滴Fbに照射される。すなわち、微小液滴Fb内の金属微粒子が焼成される。そして、第2開閉信号GS2bが立ち下がると、レーザ駆動電圧VDLの供給が遮断されて半導体レーザアレイLDによる焼成処理動作が終了する。
制御装置40には、I/F部49を介して基板検出装置53が接続されている。基板検出装置53は、基板2の端縁を検出し、制御装置40によって吐出ヘッド30(ノズルN)の直下を通過する基板2の位置を算出する際に利用される。
制御装置40には、I/F部49を介してX軸モータ駆動回路54が接続され、X軸モータ駆動回路54にX軸モータ駆動制御信号を出力するようになっている。X軸モータ駆動回路54は、制御装置40からのX軸モータ駆動制御信号に応答して、前記キャリッジ29を往復移動させるX軸モータMXを正転又は逆転させるようになっている。そして、例えば、X軸モータMXを正転させると、キャリッジ29はX矢印方向に移動し、逆転させると、キャリッジ29は反X矢印方向に移動するようになっている。
制御装置40には、前記X軸モータ駆動回路54を介してX軸モータ回転検出器54aが接続され、X軸モータ回転検出器54aからの検出信号が入力される。制御装置40は、この検出信号に基づいて、X軸モータMXの回転方向及び回転量を検出し、吐出ヘッド30(キャリッジ29)のX矢印方向の移動量と、移動方向とを演算するようになっている。
制御装置40には、I/F部49を介してY軸モータ駆動回路55が接続され、Y軸モータ駆動回路55にY軸モータ駆動制御信号を出力するようになっている。Y軸モータ駆動回路55は、制御装置40からのY軸モータ駆動制御信号に応答して、前記基板ステージ23を往復移動させるY軸モータMYを正転又は逆転させるようになっている。そして、例えば、Y軸モータMYを正転させると、基板ステージ23(基板2)はY矢印方向に移動し、逆転させると、基板ステージ23(基板2)は反Y矢印方向に移動するようになっている。
制御装置40には、前記Y軸モータ駆動回路55を介してY軸モータ回転検出器55aが接続され、Y軸モータ回転検出器55aからの検出信号が入力される。制御装置40は、Y軸モータ回転検出器55aからの検出信号に基づいて、Y軸モータMYの回転方向及び回転量を検出し、吐出ヘッド30に対する基板2のY矢印方向の移動方向及び移動量を演算する。
次に、液滴吐出装置20を使って識別コード10を基板2の裏面2bに形成する方法について説明する。
まず、図5に示すように、往動位置に位置する基板ステージ23上に、基板2を、裏面2bが上側になるように配置固定する。このとき、基板2のY矢印方向側の辺は、案内部材26より反Y矢印方向側に配置されている。また、キャリッジ29(吐出ヘッド30)は、基板2がY矢印方向に移動したとき、その各ノズルNの直下を、識別コード10の各セルCが通過する位置にセットされている。
この状態から、制御装置40は、Y軸モータMYを駆動制御し、基板ステージ23を介して、基板2をY矢印方向に搬送させる。やがて、基板検出装置53が基板2のY矢印側の端縁を検出すると、制御装置40は、Y軸モータ回転検出器55aからの検出信号に基づいて、1行目のセルC(黒セルC1)が、対応するノズルNの直下(着弾位置Pa)まで搬送されたかどうか演算する。
この間、制御装置40は、コード作成プログラムに従って、RAM44に格納したビットマップデータBMDに基づく吐出制御信号SIと、駆動波形生成回路46で生成した圧電素子駆動電圧VDPをヘッド駆動回路51に出力する。また、制御装置40は、電源回路48で生成したレーザ駆動電圧VDLをレーザ駆動回路52に出力する。そして、制御装置40は、ラッチ信号LATを出力するタイミングを待つ。
そして、1行目のセルC(黒セルC1)がノズルNの直下(着弾位置Pa)まで搬送されると、制御装置40は、Y軸モータMYを駆動制御して、1行目のセルCを着弾位置Paに固定する。続いて、制御装置40は、ラッチ信号LATをヘッド駆動回路51に出力する。
ヘッド駆動回路51は、制御装置40からのラッチ信号LATを受けると、吐出制御信号SIに基づいた開閉信号GS1を生成し、その開閉信号GS1をスイッチ回路59に出力する。そして、閉じた状態のスイッチ素子Sa1〜Sa16に対応する圧電素子PZに、圧電素子駆動電圧VDPを供給する。
圧電素子駆動電圧VDPを受けた各圧電素子PZは、吐出波形WDに対応する引込動作と押出動作を行って、微小液滴Fbを一斉に吐出する。続いて、圧電素子PZは、第1レンズ形成波形WL1及び第2レンズ形成波形WL2に対応するレンズ形成動作を行う。詳述すると、圧電素子PZは、着弾した微小液滴Fbが最大液滴径Rmaxとなる時(レンズ形成時間Tp4)に、1回目の集光レンズLZ1を形成し、そのレンズ形成周期TL後(レンズ形成時間Tp5)に、2回目の集光レンズLZ1を形成する。
一方、ラッチ信号LATがヘッド駆動回路51に入力されると、レーザ駆動回路52(第1及び第2遅延パルス生成回路61a,61b)は、ラッチ回路57のラッチした吐出制御信号SIを受けて、第1開閉信号GS2a及び第2開閉信号GS2bの生成を開始し、開閉信号GS2をスイッチ回路62に出力するタイミングを待つ。
そして、圧電素子PZの吐出動作の開始時から第1待機時間T1を経過すると、レーザ駆動回路52は、第1遅延パルス生成回路61aの生成した開閉信号GS2(第1開閉信号GS2a)をスイッチ回路62に出力し、閉じた状態のスイッチ素子Sb1〜Sb16に対応する半導体レーザアレイLDに、レーザ駆動電圧VDLを供給する。そして、レーザ駆動回路52は、対応する半導体レーザアレイLDから、レンズ形成時間Tp4を跨ぐパルス幅GSWの時間だけ、レーザ光Bを一斉に出射する。
従って、レーザ光Bを出射する間に、1回目の集光レンズLZ1が形成され、その集光レンズLZ1によって集光されるレーザ光Bが、最大液滴径Rmaxを有した微小液滴Fbに照射される。すなわち、微小液滴Fbの乾燥が行われ、最大液滴径Rmaxからなる微小液滴Fbが黒セルC1に定着する。そして、第1開閉信号GS2aが立ち下がると、レーザ駆動電圧VDLの供給が遮断されて半導体レーザアレイLDによる乾燥処理動作が終了する。
続いて、圧電素子PZの吐出動作の開始時から第2待機時間T2を経過すると、レーザ駆動回路52は、第2遅延パルス生成回路61bの生成した開閉信号GS2(第2開閉信号GS2b)をスイッチ回路62に出力し、閉じた状態のスイッチ素子Sb1〜Sb16に対応する半導体レーザアレイLDに、レーザ駆動電圧VDLを供給する。そして、レーザ駆動回路52は、対応する半導体レーザアレイLDから、レンズ形成時間Tp5を跨ぐパルス幅GSWの時間だけ、レーザ光Bを一斉に出射する。
従って、レーザ光Bを出射する間に、2回目の集光レンズLZ1が形成され、その集光レンズLZ1によって集光されるレーザ光Bが、乾燥した微小液滴Fbに照射される。すなわち、微小液滴Fb内の金属微粒子が焼成される。そして、第2開閉信号GS2bが立ち下がると、レーザ駆動電圧VDLの供給が遮断されて半導体レーザアレイLDによる焼成処理動作が終了する。
つまり、先に一斉に吐出されて1行目の黒セルC1内に着弾した微小液滴Fbには、その外径が最大液滴径Rmaxとなるとき(レンズ形成時間Tp4)に、一斉に集光レンズLZ1で集光したレーザ光Bが照射される。そして、そのレンズ形成周期TL後に、再び集光したレーザ光Bが照射される。これによって、微小液滴Fbの予備乾燥及び本乾燥が行われ、セルC(黒セルC1)から食み出ることのない1行目のドットDが形成される。
以後、同様に、制御装置40は、各行のセルCが着弾位置Paに到達する毎に、その黒セルC1に対応するノズルNから、微小液滴Fbを一斉に吐出し、その微小液滴Fbの外径が最大液滴径Rmaxとなるタイミングで、一斉に集光したレーザ光Bを照射し、そのレンズ形成周期TL後に、再び集光したレーザ光Bを照射する。
そして、コード形成領域Sに形成される識別コード10の全てドットDを形成されると、制御装置40は、Y軸モータMYを制御して、基板2を吐出ヘッド30の下方位置から退出させる。
次に、上記のように構成した本実施形態の効果を以下に記載する。
(1)上記実施形態によれば、振動板35の上側に、ノズルNと対峙する半導体レーザアレイLDを設け、その半導体レーザアレイLDから、振動板35及び液体Fを透過するレーザ光Bを出射するようにした。そして、ノズルNのメニスカスMによって、ノズル形成面31aから凸曲面状に盛り上がる液状レンズLZを形成し、前記着弾位置Paの微小液滴Fbが、レーザ光Bの焦点深度内に入る集光レンズLZ1を形成するようした。
その結果、微小液滴Fbを吐出した直後に、レーザ光Bを照射することができ、その照射位置の位置精度を向上することができる。従って、着弾した微小液滴Fbの過剰な濡れ広がりを回避して、ドットDのサイズを所望のサイズに制御することができる。
(2)上記実施形態によれば、吐出制御信号SIに基づいて、スイッチ素子Sa1〜Sa16に対応する開閉信号GS1を生成し、同吐出制御信号SIに基づいて、スイッチ素子Sb1〜Sb16の第1開閉信号GS2a及び第2開閉信号GS2bを生成するようにした。そして、開閉信号GS1が立ち上がった時から、第1待機時間T1及び第2待機時
間T2を経過した時に、それぞれ第1開閉信号GS2a及び第2開閉信号GS2bが立ち上がるようにした。
その結果、微小液滴Fbを吐出する毎に、レーザ光Bを出力することができ、ドットDのサイズを、より確実に制御することができる。
(3)上記実施形態によれば、第1待機時間T1を、吐出動作の開始時(開閉信号GS1の立ち上がった時)から押出保持部W3の途中経過時間(照射開始時間T3)までの時間に設定し、第1開閉信号GS2aのパルス幅GSWを、照射開始時間T3から引込部W4を終了するまでの時間幅に設定した。そして、第1開閉信号GS2aがスイッチ素子Sb1〜Sb16に供給される間に、第1レンズ形成波形WL1の引込部W4が、圧電素子PZに供給されるようにした。
その結果、半導体レーザアレイLDが1回目のレーザ光Bを出射している間に、対応する集光レンズLZ1を形成することができる。従って、吐出した微小液滴Fbに対して、集光したレーザ光Bを照射することができ、微小液滴Fbを、確実に乾燥することができる。
(4)上記実施形態によれば、第2待機時間T2を、第1待機時間T1とレンズ形成周期TLの積算した時間に設定した。
その結果、半導体レーザアレイLDが2回目のレーザ光Bを出射している間に、対応する集光レンズLZ1を形成することができる。従って、乾燥した微小液滴Fbに対して、集光したレーザ光Bを照射することができ、微小液滴Fb内の金属微粒子を、確実に焼成することができる。
(5)上記実施形態によれば、レンズ形成時間Tp4を、着弾した微小液滴Fbが最大液滴径Rmaxとなる時間に設定した。
その結果、最大液滴径Rmaxの微小液滴Fbに対して、集光したレーザ光Bを照射することができる。従って、ドットDの外径を最大液滴径Rmaxにすることができ、ひいては識別コード10の読み取り誤差や基板情報の損失を回避することができる。
(6)上記実施形態によれば、レンズ形成波形WLの押出部W2及び引込部W4の昇圧時間Tuを、それぞれ第1振動の周期Tcに設定した。その結果、第1振動の誘起を回避して集光レンズLZ1を形成することができ、その形状の再現性を向上することができる。
(7)上記実施形態によれば、レンズ形成波形WLのレンズ形成周期TLを、第2振動の周期Tmに設定した。その結果、各レンズ形成波形WLにおいて、それぞれ集光レンズLZ1を形成するタイミング(レンズ形成時間Tp4,Tp5)を、第2振動の同位相に相対させることができ、集光レンズLZ1の形状の再現性を向上することができる。
(8)上記実施形態では、圧電素子駆動電圧VDPに、第1レンズ形成波形WL1及び第2レンズ形成波形WL2を備えるようにした。その結果、集光したレーザ光Bを2回照射する分だけ、微小液滴Fbを、確実に乾燥・焼成することができる。
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○上記実施形態では、振動板35の上側であってノズルNの直上に、半導体レーザアレイLDを設け、ノズルNからレーザ光Bを照射する構成にした。これに限らず、例えば、キャビティ32、連通孔33及び供給路34の内壁で、レーザ光Bを全反射する構成(例えば、内壁の屈折率によってレーザ光Bを全反射する構成、或いは、内壁に銀メッキを施す構成等)にして、供給路34の上流側から、ノズルNに向かってレーザ光Bを導くよう
にしてもよい。尚、この際、キャビティ32、連通孔33及び供給路34内での乱反射を抑制するために、これらキャビティ32、連通孔33及び供給路34の形成方向が、ノズルNの中心軸CN方向であることが好ましい。
○さらには、前記構成において、供給路34(吐出ヘッド30)に液体Fを導入する液体導入チューブを設け、その液体導入チューブ内にレーザ光Bを導く構成にしてもよい。これによれば、レーザ出力手段を吐出ヘッド30外に配設することができ、大出力のレーザ光BをノズルNに導くことができる。
尚、この際、液体導入チューブ外へのレーザ光Bの漏洩を回避するために、液体導入チューブの内壁でレーザ光Bを全反射する構成(例えば、内壁の屈折率によってレーザ光Bを全反射する構成、或いは、内壁に銀メッキを施す構成等)にすることが好ましい。
○上記実施形態では、集光レンズLZ1を、引込部W4の引き込む過程でのみ形成する構成にしたが、これに加え、押出部W2の押し出す過程においても形成してよい。これによれば、1回のレンズ形成波形WLによって、集光レンズLZ1を2回形成することができ、乾燥・焼成効率を向上することができる。
○上記実施形態では、集光レンズLZ1を形成するタイミングが、吐出波形WDの押出保持部W14及び引込部W4aの時間によって設定される構成にした。これに限らず、例えば、吐出波形WDを構成する他部分の時間によって、集光レンズLZ1のタイミングを設定してもよい。或いは、圧電素子駆動電圧VDPの駆動波形に、中間電位Vmや最低電位VLを所定の時間だけ保持するホールド部分を別途設け、そのホールド部分によって、集光レンズLZ1のタイミングを設定するようにしてもよい。
○上記実施形態では、微小液滴Fbが最大液滴径Rmaxとなるタイミングで、1回目のレーザ光Bを照射する構成にした。これに限らず、微小液滴Fbの液滴径が、最大液滴径Rmaxとなる前に、1回目のレーザ光Bを微小液滴Fbに照射し、後続する複数回の照射によって、微小液滴Fbを最大液滴径Rmaxで定着させる構成にしてもよい。
○上記実施形態では、1回目の照射によって、微小液滴Fbを乾燥し、2回目の照射によって、金属微粒子を焼成する構成にしたが、これに限らず、複数回の照射によって、乾燥・焼成する構成にしてもよい。
○上記実施形態では、微小液滴Fbを乾燥するレーザ光B(1回目のレーザ光B)と、微小液滴Fbを焼成するレーザ光B(2回目のレーザ光B)を、同じパルス幅GSWと同じレーザ駆動電圧VDLで出力するように構成した。
これに限らず、異なるパルス幅、又は異なるレーザ駆動電圧によって、異なる光エネルギーのレーザ光Bを出力可能にして、それらのレーザ光Bを、微小液滴Fbの乾燥・焼成条件(例えば、分散媒の乾燥温度や金属微粒子の焼成温度)に相対させて、複数回にわたり照射する構成にしてもよい。あるいは、集光レンズLZ1のレンズ係数(メニスカスMの形状)を変更して、焦点深度やビーム径の異なるレーザ光Bを、複数回にわたり、微小液滴Fbに照射する構成にしてもよい。
これによれば、例えば、微小液滴Fbを乾燥させるときに、弱い光エネルギーのレーザ光Bを照射し、同微小液滴Fbを乾燥させるときに、強い光エネルギーのレーザ光Bを照射することができ、微小液滴Fb内の分散媒や金属微粒子、さらには基板2に対応した乾燥・焼成を行うことができる。
○上記実施形態では、微小液滴Fbを、直接裏面2bに着弾させる構成にしたが、これに限らず、裏面2b上に、レーザ光Bを吸収して熱に変換する光熱変換材料を塗布し、その光熱変換材料上に、微小液滴Fbを着弾させる構成にしてもよい。これによれば、レーザ光Bの光エネルギーに加えて、光熱変換材料の熱エネルギーによって、微小液滴Fbを乾燥させることができ、より高い精度で、ドットDのサイズを制御することができる。
○上記実施形態では、基板2の裏面2bに対して親液性を有する微小液滴Fbを吐出するようにしたが、これに限らず、基板2の裏面2bに対して撥液性を有する微小液滴Fbを吐出するようにしてもよく、或いは微小液滴Fbに対して撥液性を有する基板2に適用してもよい。
○上記実施形態では、基板2上で半球面状に濡れ広がる微小液滴Fbに対してレーザ光Bを照射し、ドットDを形成する構成にした。これに限らす、例えば、多孔性基板(例えば、セラミック多層基板やグリーンシート等)に浸透する微小液滴Fbに対してレーザ光Bを照射し、金属配線等のパターンを形成する構成にしてもよい。
○上記実施形態では、吐出制御信号SIに基づいて開閉信号GS2(第1開閉信号GS2a及び第2開閉信号GS2b)を生成する構成にした。これに限らず、例えば基板検出装置53の検出信号やY軸モータ回転検出器55a等の検出信号に基づいて開閉信号GS2を生成する構成にしてもよく、集光レンズLZ1を形成するタイミングで、レーザ光Bを照射可能にする構成であればよい。
○上記実施形態では、レーザ出力手段を半導体レーザアレイLDで具体化したが、これに限らず、例えばCOレーザやYAGレーザであってもよく、液体Fを透過して、着弾した微小液滴Fbを乾燥可能な光エネルギーのレーザ光Bを出力するレーザであればよい。
○上記実施形態では、ノズルNの数量に相対する半導体レーザアレイLDによってレーザ出力手段を構成したが、これに限らず、レーザ光源から出射された単一のレーザ光Bを、回折素子等の分岐素子によって16分割する光学系によって構成してもよい。あるいは、ポリゴンミラー等の走査光学系を設け、各ノズルNに対応するように、レーザ光Bを単一のレーザ光源から走査するようにしてもよい。
○上記実施形態では、各半導体レーザアレイLDに対応するスイッチ素子Sb1〜Sb16の開閉によって、レーザ光Bの照射を制御するように構成した。これに限らず、レーザ光Bの光路に開閉自在に構成したシャッタを設け、同シャッタの開閉タイミングによってレーザ光Bの照射を制御するようにしてもよい。
○上記実施形態では、ドットDを半円球状に具体化したが、その形状は限定されるものではなく、例えば、その平面形状が楕円形のドットであったり、バーコードを構成するバーのように線状であったりしてもよい。
○上記実施形態では、パターンをドットDに具体化したが、これに限らず、例えば液晶表示モジュール1に備えられる配向膜やカラーフィルタ、さらには半導体装置等の絶縁膜や金属配線のパターンに具体化してもよく、着弾した微小液滴Fbを、レーザ光Bで乾燥するパターンであればよい。この場合にも、パターンのサイズを所望のサイズに制御することができる。
○上記実施形態では、基板を透明ガラス基板2に具体化したが、これに限らず、例えばシリコン基板やフレキシブル基板、あるいは金属基板等であってもよい。
○上記実施形態では、加圧手段を圧電素子PZに具体化したが、圧電素子PZ以外の方法で圧力室(キャビティ32)を加圧する加圧手段を用いて実施してもよい。この場合にも、パターンのサイズを所望のサイズに制御することができる。
○上記実施形態では、ドットDを形成するための液滴吐出装置20に具体化したが、例えば、前記絶縁膜や金属配線を形成するための液滴吐出装置に適用してもよい。この場合にも、パターンのサイズを所望のサイズに制御することができる。
○上記実施形態では、ドットD(識別コード10)を液晶表示モジュール1に適用した。これに限らず、例えば有機エレクトロルミネッセンス表示装置の表示モジュールであってもよく、あるいは平面状の電子放出素子を備え、同素子から放出された電子による蛍光物質の発光を利用した電界効果型装置(FEDやSED等)を備えた表示モジュールであってもよい。
液晶表示モジュールを示す正面図。 本実施形態の識別コードを示す正面図。 同じく、識別コードの側面図。 同じく、識別コードの構成を説明するための説明図。 本実施形態の液滴吐出装置の要部斜視図。 同じく、吐出ヘッドを説明するための概略斜視図。 同じく、吐出ヘッドを説明するための要部断面図。 同じく、メニスカスの状態を説明するための説明図。 同じく、メニスカスの状態を説明するための説明図。 同じく、メニスカスの状態を説明するための説明図。 同じく、吐出波形を説明するための説明図。 同じく、吐出ヘッドを説明するための要部断面図。 同じく、液滴吐出装置の電気的構成を説明するための電気ブロック回路図。 同じく、圧電素子と半導体レーザアレイの駆動タイミングを説明するタイミングチャート。 従来例の吐出ヘッドを説明する要部断面図。
符号の説明
1…液晶表示モジュール、2…基板、2b…被吐出面としての裏面、20…液滴吐出装置、30…吐出ヘッド、32…圧力室としてのキャビティ、N…吐出ノズル、52…レーザ駆動制御手段を構成するレーザ駆動回路、B…レーザ光、D…パターンとしてのドット、F…液体、Fb…微小液滴、LD…レーザ出力手段を構成する半導体レーザアレイ、LZ…液状レンズ、LZ1…集光レンズ、M…液体界面としてのメニスカス、N…吐出ノズル、PZ…加圧手段としての圧電素子、Tc,Tm…振動周期としての周期。

Claims (7)

  1. 圧力室に貯えられた液体を加圧する加圧手段と、前記加圧手段の加圧によって前記液体の液滴を被吐出面に吐出する吐出ノズルとを備えた液滴吐出装置において、
    前記吐出ノズルを光路にして前記液滴にレーザ光を出力するレーザ出力手段と、
    前記加圧手段の加圧動作に相対して前記レーザ出力手段を駆動制御するレーザ駆動制御手段とを備え
    前記レーザ駆動制御手段は、前記吐出ノズルの液体界面が、前記被吐出面に着弾した前記液滴の領域で前記レーザ光を集光する液状レンズを形成するときに、前記レーザ出力手段を駆動制御することを特徴とする液滴吐出装置。
  2. 請求項に記載の液滴吐出装置において、
    前記加圧手段は、前記レーザ駆動制御手段が前記レーザ出力手段を駆動制御する間に、前記吐出ノズルの液体界面によって、着弾した前記液滴の領域で前記レーザ光を集光する液状レンズを形成することを特徴とする液滴吐出装置。
  3. 請求項又はに記載の液滴吐出装置において、
    前記加圧手段は、前記被吐出面に着弾した前記液滴のサイズが所定のサイズになるときに、前記液状レンズを形成することを特徴とする液滴吐出装置。
  4. 請求項のいずれか1つに記載の液滴吐出装置において、
    前記加圧手段は、前記圧力室内の液体の振動周期に対応するタイミングで前記液状レンズを形成することを特徴とする液滴吐出装置。
  5. 請求項のいずれか1つに記載の液滴吐出装置において、
    前記加圧手段は、前記液体界面の振動周期に相対するタイミングで前記液状レンズを形成することを特徴とする液滴吐出装置。
  6. 請求項又はに記載の液滴吐出装置において、
    前記加圧手段は、前記液状レンズを複数回形成することを特徴とする液滴吐出装置。
  7. パターン形成材料を含む液滴を吐出ノズルから被吐出面に向かって吐出し、前記被吐出面に着弾した前記液滴に、前記液滴を乾燥するためのレーザ光を照射することによってパターンを形成するようにしたパターン形成方法において、
    前記レーザ光を、前記吐出ノズルから出射するとともに、
    前記レーザ光を出射するときに、着弾した前記液滴の領域で前記レーザ光を集光する液状レンズを、前記吐出ノズルに形成するようにしたことを特徴とするパターン形成方法。
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