JP2017010280A - タイヤパターンモデル作成方法、タイヤシミュレーション方法 - Google Patents

タイヤパターンモデル作成方法、タイヤシミュレーション方法 Download PDF

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Abstract

【課題】メッシュを生成し、メッシュによって分割した要素の集合によるモデルを得る時間を短縮する。
【解決手段】タイヤトレッド面の一部である陸部について、任意の一表面を一表面と直交する第1の方向に貫通させた第1領域と、第1領域以外の部分である第2領域とに分割する。一表面についてのメッシュを第1の方向に移動させて第1領域を複数に分割することで第1領域についてメッシュを生成して第1領域の3次元モデルを生成する。第2領域の切断面についてのメッシュを第1の方向とは異なる第2の方向に移動させて第2領域を複数に分割することで第2領域についてメッシュを生成して第2領域の3次元モデルを生成する。第1領域について生成した3次元モデルと第2領域について生成した3次元モデルとを組み合わせる。
【選択図】図12

Description

本発明は、タイヤパターンモデル作成方法、タイヤシミュレーション方法に関する。
トレッドパターンは、タイヤの耐久性能、タイヤのハイドロプレーニング性能、タイヤの摩耗性能またはコーナリング性能に大きな影響を与えるため、トレッドパターンはできる限り忠実にモデル化する必要がある。
有限要素法や有限体積法で構造解析や流体解析を行うには、解析対象の形状を、コンピュータで計算できるように形状が単純で小さな要素の集合として表す必要がある。小さな要素の集合は、メッシュと呼ばれる。解析対象について、メッシュを生成し、メッシュによって分割した要素の集合としてモデル化することによって、解析対象の形状を、コンピュータで計算することができる。
タイヤのトレッドパターンは、タイヤのハイドロプレーニング性能、タイヤの摩耗性能またはコーナリング性能に大きな影響を与えるため、トレッドパターンはできる限り忠実にモデル化する必要がある。特許文献1には、トレッド部に凹凸形状が設けられたタイヤについて有限要素モデルを作成する方法が開示されている。
特開2006−18422号公報
メッシュは、CAD(Computer Aided Design)ソフトウェアの画面の表示内容を見ながら手動で生成する場合と、CADソフトウェアの機能によって自動で生成する場合とがある。メッシュを自動で生成することにより、作業時間を短縮することができる。タイヤについてメッシュを生成し、メッシュによって分割した要素の集合を得る場合、形状が複雑な部分については、メッシュを自動で生成できず、手動で生成することがある。メッシュを手動で生成する場合、自動で生成する場合よりも作業時間が長くなる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、メッシュを生成し、メッシュによって分割した要素の集合によるモデルを得る時間を短縮できるタイヤパターンモデル作成方法、これを用いたタイヤシミュレーション方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、一態様によるタイヤパターンモデル作成方法は、タイヤトレッド面の一部である陸部について、任意の一表面を前記一表面と直交する第1の方向に貫通させた第1領域と、前記第1領域以外の部分である第2領域とに分割するステップと、前記一表面についてのメッシュを前記第1の方向に移動させて前記第1領域を複数に分割することで前記第1領域についてメッシュを生成して前記第1領域の3次元モデルを生成するステップと、前記第2領域の切断面についてのメッシュを前記第1の方向とは異なる第2の方向に移動させて前記第2領域を複数に分割することで前記第2領域についてメッシュを生成して前記第2領域の3次元モデルを生成するステップと、前記第1領域について生成した3次元モデルと前記第2領域について生成した3次元モデルとを組み合わせるステップと、を含む。この方法によれば、メッシュを生成し、メッシュによって分割した要素の集合によるモデルを得る時間を短縮できる。
前記第2領域の3次元モデルを生成する際、前記第1領域の側面と前記第2領域の壁面とがなす溝壁角度が変化する場合、前記溝壁角度が同じ部分ごとに前記第2領域を分割し、分割した各部分について切断面を前記第2の方向に移動させつつ前記第2領域についてメッシュを生成して3次元モデルを生成し、個々の溝壁部分領域の3次元モデルを組み合わせて、前記第2領域の3次元モデルを生成することが好ましい。第2領域を複数の部分領域に分割することで、溝底の曲面が交わるような複雑な領域についても、メッシュを手動ではなく、自動で生成できるため、メッシュによって分割した要素の集合によるモデルを得る時間を短縮できる。
前記陸部を前記第1領域と前記第2領域とに分割する際、前記溝壁角度の代表位置を設定し、かつ、前記代表位置から前記陸部の内側方向に少なくとも1要素分離れた対応位置を設定し、前記対応位置に沿って前記第1領域と前記第2領域とに分割することが好ましい。これにより、溝壁角度がゼロであるために切断面を陸部の輪郭に沿って移動させることが困難である場合でも、1つ以上の要素分厚みを持たせることにより、第2領域について切断面要素を生成することができる。
前記第1領域について生成した3次元モデルと前記第2領域について生成した3次元モデルとを組み合わせる際に隣接する領域のメッシュの形状が一致するように前記第1領域及び前記第2領域のメッシュを生成することが好ましい。このようにメッシュを作成すれば、各領域境界間の節点共有を利用することができるので、拘束結合などの設定の手間が不要となり、解析モデルの作成効率をさらに向上できる。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、一態様によるタイヤシミュレーション方法は、上記タイヤパターンモデル作成方法でタイヤパターンモデルを作成するステップと、前記タイヤパターンモデル以外の部分についての3次元モデルであるケーシングモデルを作成するステップと、前記タイヤパターンモデルと前記ケーシングモデルとを一体化するステップと、前記タイヤパターンモデルと前記ケーシングモデルとを一体化したタイヤ全体のモデルについてシミュレーションを行うステップとを含む。この方法によれば、メッシュを生成し、メッシュによって分割した要素の集合によるモデルを得る時間を短縮でき、シミュレーションにかかる時間を短縮できる。
本発明の一態様によれば、メッシュを生成し、メッシュによって分割した要素の集合によるモデルを得る時間を短縮できる。
図1は、第1の実施形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。 図2は、本実施形態に係るタイヤシミュレーション方法を実行する解析装置を示す説明図である。 図3Aは、陸部領域と溝壁領域とを説明する図である。 図3Bは、陸部領域と溝壁領域とを説明する図である。 図3Cは、陸部領域と溝壁領域とを説明する図である。 図3Dは、表面要素の大きさを変えずにタイヤ径方向に移動させる場合を示す図である。 図3Eは、表面要素の大きさを変化させながらタイヤ径方向に移動させる場合を示す図である。 図4Aは、陸部領域の表面要素と溝壁領域の切断面要素との関係を示す図である。 図4Bは、陸部について生成したメッシュの例を示す図である。 図4Cは、タイヤ全体に関するモデルの例を示す図である。 図5は、第1の実施形態によるタイヤパターンモデル作成方法を示すフローチャートである。 図6は、溝壁領域と陸部領域との分割例を示す図である。 図7Aは、溝壁領域と陸部領域との他の分割例を示す図である。 図7Bは、溝壁領域と陸部領域との他の分割例を示す図である。 図8は、第2の実施形態によるタイヤパターンモデル作成方法を説明する図である。 図9は、各代表位置における切断面要素の例を示す図である。 図10は、各代表位置における切断面要素それぞれについて移動させることによって得られる溝壁領域のモデルの例を示す図である。 図11は、代表位置を説明する図である。 図12は、第2の実施形態によって得られる、陸部のモデルの例を示す図である。 図13は、第2の実施形態によるタイヤパターンモデル作成方法を示すフローチャートである。 図14Aは、第3の実施形態によるタイヤパターンモデル作成方法を説明する図である。 図14Bは、厚みを持たせた切断面要素の例を示す図である。 図14Cは、図14Bに示す切断面要素を除いた陸部の例を示す図である。 図15は、第3の実施形態によるタイヤパターンモデル作成方法を示すフローチャートである。 図16Aは、パターンモデルとケーシングモデルとを一体化してタイヤ全体のモデルを作成する方法を説明する図である。 図16Bは、パターンモデルとケーシングモデルとを一体化してタイヤ全体のモデルを作成する方法を説明する図である。 図17は、タイヤ全体のモデルを作成し、シミュレーションする方法の例を示すフローチャートである。 図18は、タイヤパターン解析モデルの例を示す図である。
以下、本発明について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者に自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態によるタイヤパターンモデル作成方法について説明する。
図1は、第1の実施形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤ1の回転軸(図示せず)と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向において回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向において回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、前記回転軸を中心軸とする周り方向をいう。また、タイヤ幅方向とは、前記回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面(タイヤ赤道線)CLに向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。タイヤ赤道面CLとは、空気入りタイヤ1の回転軸に直交すると共に、空気入りタイヤ1のタイヤ幅の中心を通る平面である。タイヤ幅は、タイヤ幅方向の外側に位置する部分同士のタイヤ幅方向における幅、つまり、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから最も離れている部分間の距離である。タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面CL上にあって空気入りタイヤ1のタイヤ周方向に沿う線をいう。本実施の形態では、タイヤ赤道線にタイヤ赤道面と同じ符号「CL」を付す。また、本実施形態では、空気入りタイヤを長距離輸送用のトラック、バスなどのステア軸に装着される重荷重用ラジアルタイヤとした場合について説明する。
図1に示すように、空気入りタイヤ1は、一対のビードコア11と、一対のビードフィラー12と、カーカス層13と、ベルト層14と、トレッドゴム15と、一対のサイドウォールゴム16とを備える。一対のビードコア11は、環状構造を有し、左右のビード部のコアを構成する。一対のビードフィラー12は、ローアーフィラーおよびアッパーフィラーから成り、一対のビードコア11のタイヤ径方向外周にそれぞれ配置されてビード部を補強する。カーカス層13は、単層構造を有し、左右のビードコア11間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。また、カーカス層13の両端部は、ビードコア11およびビードフィラー12を包み込むようにタイヤ幅方向外側に巻き返されて係止される。ベルト層14は、積層された高角度ベルト141と、一対の交差ベルト142、143と、ベルトカバー144と、周方向補強層145とから成り、カーカス層13のタイヤ径方向外周に配置される。
ここで、高角度ベルト141は、スチールあるいは有機繊維材から成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で40[deg]以上60[deg]以下のベルト角度(タイヤ周方向に対するベルトコードの繊維方向の傾斜角)を有する。また、高角度ベルト141は、カーカス層13のタイヤ径方向外側に積層されて配置される。
一対の交差ベルト142、143は、スチールあるいは有機繊維材から成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で10[deg]以上30[deg]以下のベルト角度を有する。また、一対の交差ベルト142、143は、相互に異符号のベルト角度を有し、ベルトコードの繊維方向を相互に交差させて積層される(クロスプライ構造)。ここでは、タイヤ径方向内側に位置する交差ベルト142を内径側交差ベルトと呼び、タイヤ径方向外側に位置する交差ベルト143を外径側交差ベルトと呼ぶ。なお、3枚以上の交差ベルトが積層されて配置されても良い(図示省略)。また、一対の交差ベルト142、143は、高角度ベルト141のタイヤ径方向外側に積層されて配置される。
ベルトカバー144は、スチールあるいは有機繊維材から成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で10[deg]以上45[deg]以下のベルト角度を有する。また、ベルトカバー144は、交差ベルト142、143のタイヤ径方向外側に積層されて配置される。なお、この実施の形態では、ベルトカバー144が、外径側交差ベルト143と同一のベルト角度を有し、また、ベルト層14の最外層に配置されている。なお、ベルト層は、さらに、交差ベルト間あるいは交差ベルトよりもタイヤ径方向内側に周方向補強層を設けてもよい。周方向補強層は、スチール製のワイヤから成り、少なくとも1本のワイヤをタイヤ周方向に対して±5[deg]の範囲内で傾斜させつつ螺旋状に巻き廻わして構成される。
周方向補強層145は、スチール製のワイヤから成り、少なくとも1本のワイヤをタイヤ周方向に対して±5[deg]の範囲内で傾斜させつつ螺旋状に巻き廻わして構成される。また、周方向補強層145は、一対の交差ベルト142、143の間に挟み込まれて配置される。また、周方向補強層145は、一対の交差ベルト142、143の左右のエッジ部よりもタイヤ幅方向内側に配置される。具体的には、ワイヤが内径側交差ベルト142の外周に螺旋状に巻き廻されて、周方向補強層145が形成される。この周方向補強層145がタイヤ周方向の剛性を補強することにより、タイヤの耐久性能が向上する。
なお、ベルト層14は、エッジカバーを有しても良い(図示省略)。一般に、エッジカバーは、スチールあるいは有機繊維材から成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、タイヤ周方向に対して±5[deg]の範囲内のベルト角度を有する。また、エッジカバーは、外径側交差ベルト143(あるいは内径側交差ベルト142)の左右のエッジ部のタイヤ径方向外側にそれぞれ配置される。これらのエッジカバーがタガ効果を発揮することにより、トレッド部センター領域とショルダ領域との径成長差が緩和されて、タイヤの耐偏摩耗性能が向上する。
トレッドゴム15は、カーカス層13およびベルト層14のタイヤ径方向外周に配置されてタイヤのトレッド部33を構成する。一対のサイドウォールゴム16は、カーカス層13のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置されて左右のサイドウォール部を構成する。なお、この実施の形態では、空気入りタイヤ1がタイヤ赤道面CLを中心とした左右対称な構造を有している。
また、空気入りタイヤ1は、図1に示すように、トレッド部33にタイヤ周方向に延在する2本の周方向主溝21が形成されている。周方向主溝21は、タイヤ赤道面CLを挟んで、タイヤ幅方向の両側に設けられている。周方向主溝21は、周方向にジグザグの形状で延在している。
周方向主溝21同士の間には、破線で示すラグ溝60Aが設けられている。また、周方向主溝21からタイヤ幅方向の外側に向かってラグ溝60Bが設けられている。
また、トレッド部33は、トレッドゴム15が、周方向主溝21によって区画され、複数の陸部、具体的には1つの陸部41と、2つの陸部42とに分割された形状となる。陸部41は、2本の周方向主溝21と2本のラグ溝60Aとで挟まれた領域である。2つの陸部42は、それぞれ周方向主溝21と2本のラグ溝60Bとで挟まれた領域である。陸部42は、タイヤ幅方向外側の端部が、トレッド部33の路面と接地する領域のタイヤ幅方向の端部である。ここで、本実施形態の空気入りタイヤ1のトレッド部33は、タイヤ赤道面CLを対象面として左右非対称である。次に、本実施形態に係るタイヤシミュレーション方法を実行する装置について説明する。
図2は、本実施形態に係るタイヤシミュレーション方法を実行する解析装置を示す説明図である。本実施形態に係るタイヤシミュレーション方法は、図2に示す解析装置50によって実現できる。解析装置50はコンピュータであり、図2に示すように、処理部52と記憶部54とで構成される。また、この解析装置50には、入出力装置51が電気的に接続されている。入出力装置51は、入力部53を有している。この入力部53は、タイヤを構成するゴムの物性値や補強コードの物性値、あるいは接地解析、転動解析等の変形解析に用いる境界条件等を処理部52や記憶部54へ入力する。
入力部53には、キーボード、マウス等の入力デバイスを使用することができる。記憶部54には、タイヤの解析(接地解析や転動解析、あるいは振動解析等)や本実施形態に係るタイヤのシミュレーション方法を含むコンピュータプログラムが格納されている。記憶部54は、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ(CD−ROM等のような読み出しのみが可能な記憶媒体)や、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。
上記コンピュータプログラムは、コンピュータシステムに既に記録されているコンピュータプログラムとの組み合わせによって、接地解析や転動解析、あるいは本実施形態に係るタイヤのシミュレーション方法を実現できるものであってもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器などのハードウェアを含むものとする。
処理部52は、モデル作成部52aと、条件設定部52bと、解析部52cと、評価値算出部52dと、判定部52eと、を含む。モデル作成部52aは、解析対象のタイヤを、複数の節点を有する複数の要素に分割して、解析に供するタイヤモデルを作成し、記憶部54に保存する。モデル作成部52aは、タイヤモデルに加え、解析する条件、モデルに基づいて決定される種々の部材をモデル化する。モデル作成部52aは、例えば、解析対象のタイヤのモデル(タイヤモデル)に加え、タイヤと接触するリムのモデル(リムモデル)、タイヤに嵌め込むホイールのモデル(ホイールモデル)、タイヤが接触する路面のモデル(路面モデル)等を作成する。これによりモデル作成部52aは、少なくともタイヤモデルを含む解析モデルを作成する。
条件設定部52bは、モデル作成部52aで作成した解析モデルの解析を実行するための各種条件を設定する。各種条件としては、解析時に解析結果に条件を変更する設計変数と、条件を変更しない固定値とがある。設計変数としては、タイヤモデルのベルト層を構成するベルトの枚数、ベルトの配置位置、タイヤモデルのトレッド部のゴムまたはコートゴムのヤング率や幅、ベルトのワイヤの角度、エンドや剛性、カーカス層の形状や寸法の少なくとも1つを含む。また、設計変数や固定値としては、上記に加え、タイヤモデルを構成する各部の物性値や、解析モデルのタイヤモデル以外のモデルの各種形状、物性値が含まれる。条件設定部52bは、入力部53で入力を検出した操作や記憶部54に記憶されている情報に基づいて各種条件(設計変数、固定値)を決定する。また、条件設定部52bは、実行する解析処理の内容、解析の収束条件等の解析条件も設定する。また、条件設定部52bは、解析条件として、タイヤモデルの表面(プロファイル)をタイヤ幅方向において、複数に分割した領域も設定する。なお、プロファイルを複数の領域に分割した各領域の情報は、評価値算出部52dで評価値を算出する際に用いられる。
解析部52cは、モデル作成部52aが作成した解析モデルを記憶部54から読み出し、所定の条件の下で変形解析を実行する。なお、変形解析としては、作成したタイヤモデルが変形する種々の要因の変形解析が対象となる。具体的には、解析部52cは、タイヤを路面に接触させることで発生する変形を解析したり、タイヤをインフレートさせることで発生する変形を解析したり、タイヤをホイールに装着させることで発生する変形を解析したり、経時変化によりタイヤに生じる変形を解析したりする。経時変化によりタイヤに生じる変形としては、設定した距離の走行により生じるタイヤの変形つまり走行成長により生じるタイヤの変形、経年劣化による変形および走行状態とすることにより生じるタイヤの変形等がある。ここで、解析部52cは、後述する実施形態でタイヤをリムに組み込むことで生じる変形、タイヤをインフレートすること、つまりタイヤに所定の内圧を充填することで生じる変形、タイヤを走行成長させることで生じる変形を計算する。
評価値算出部52dは、解析部52cで変形解析した解析モデルのタイヤモデルに基づいてタイヤモデルの表面の成長量を算出し、算出した成長量から評価値を算出する。評価値算出部52dは、変形解析前のタイヤモデルと変形解析後のタイヤモデルとを比較して成長量を算出する。具体的には、評価値算出部52dは、変形解析前のタイヤモデルの任意の要素と変形解析後のタイヤモデルの当該任意の要素と同一の要素との距離、つまり座標差を算出し、当該座標差を成長量として算出する。また、評価値算出部52dは、タイヤ表面(タイヤのプロファイル)の各要素を対象として成長量また評価値を算出する。次に、評価値算出部52dは、評価値として、算出した成長量の平均と分散を算出する。ここで、評価値算出部52dは、タイヤモデルを複数の領域に分割しており、算出した成長量の平均と分散を当該分割された領域毎に算出する。評価値算出部52dは、領域毎に成長量の平均と分散を算出したら、当該領域毎の成長量の平均と分散に基づいて、当該領域毎の成長量の平均と分散の平均と分散、つまりタイヤ全体の平均と分散を算出する。
判定部52eは、評価値算出部52dで算出されたタイヤ全体の平均と分散とに基づいて、タイヤの性能を評価する。また、判定部52eは、算出された評価値が条件設定部52bで設定された収束条件を満足するかを判定する。判定部52eは、算出された評価値が条件設定部52bで設定された収束条件を満足していないと判定した場合、条件設定部52bで設計変数を変更させ、再度評価値の算出を実行させる。また、判定部52eは、算出された評価値が条件設定部52bで設定された収束条件を満足していると判定した場合、当該評価値を算出した際の設計変数を算出結果として算出する。
なお、モデル作成部52aと条件設定部52bと解析部52cと、評価値算出部52dと判定部52eとは、解析モデルや条件や解析結果を算出、決定したら、決定した各結果を記憶部54の所定領域に格納する。また、各部は、記憶部54に格納された各結果を用いて、解析、作成を実行する。
処理部52は、例えば、メモリおよびCPU(Central Processing Unit)により構成されている。解析時においては、モデル作成部52aが作成した解析モデルや入力データ等に基づいて、処理部52が上記プログラムを処理部52に組み込まれたメモリに読み込んで演算する。その際に処理部52は、記憶部54へ演算途中の数値を適宜格納し、また記憶部54へ格納した数値を取り出して演算を進める。なお、この処理部52は、前記コンピュータプログラムの代わりに専用のハードウェアによって、その機能を実現するものであってもよい。
表示部55は、例えば、液晶表示装置等の表示用デバイスである。記憶部54は、他の装置(例えばデータベースサーバ)内にあってもよい。例えば、解析装置50は、入出力装置51を備えた端末装置から通信により処理部52や記憶部54にアクセスするものであってもよい。
このような構成において、処理部52は、モデル作成部52aにより解析モデルを作成する。モデル作成部52aは、作成した解析モデルを記憶部54の所定領域に保存する。具体的には、解析対象であるタイヤのモデルを含む解析モデルを作成する。ここで、解析モデルは、有限要素法(Finite Element Method:FEM)や有限差分法(Finite Differences Method:FDM)等の数値解析手法を用いてコンピュータが変形解析および剛性解析を実行するために用いるモデルであって、コンピュータで解析可能である。解析モデルは、数学的モデルや数学的離散化モデルを含む。
図3Aから図3Cは、陸部領域4と溝壁領域2とを説明する図である。図3Aは、陸部領域4及び溝壁領域2の例を示す斜視図である。図3Aに示すように、トレッド部33は、陸部41と陸部42とを含む。図3Bは、陸部41の断面の例を示す斜視図である。図3Bに示すように、陸部41は陸部領域4と溝壁領域2とに分割することができる。
図3Cは、溝壁領域2の断面の例を示す図である。図3Cに示すように、トレッド部33は、複数の陸部領域4と、複数の陸部領域4の間に設けられた溝壁領域2とを含む。溝壁領域2の溝底側は半径Rの曲面になって溝底面に連続している。
モデル作成部52aは、図3Aから図3Cに示すように、陸部41を陸部領域4と溝壁領域2とに分割し、陸部領域4と溝壁領域2とについて別々にメッシュを作成する。表面、切断面など任意の一表面を、一表面と直交する方向に貫通させることにより、第1領域である陸部領域4が得られる。陸部41のうち、陸部領域4以外の部分が、第2領域である溝壁領域2となる。モデル作成部52aは、陸部領域4については、表面要素40をタイヤ径方向に移動させて複数に分割することにより、例えばCADソフトウェアの機能によって、メッシュを自動で生成する。表面要素40は、陸部領域4のうち路面に接する面を含む部分である。
モデル作成部52aは、溝壁領域2については、切断面要素20をタイヤ周方向又はタイヤ幅方向に移動させて複数に分割することにより、例えばCADソフトウェアの機能によってメッシュを自動で生成する。切断面要素20は、陸部41の、表面要素40に直交する断面のうち、陸部領域4を除いた部分である。なお、溝壁領域2には、溝壁と溝底形状を持つ主溝、ラグ溝、サイプ及びショルダ部が含まれる。図3Bに示す陸部領域4については、表面要素40を、その大きさを変えずにタイヤ径方向に移動させつつ複数に分割することによりメッシュを生成することができる。図3Dは、表面要素40の大きさを変えずにタイヤ径方向に移動させる場合を示す図である。表面要素40をタイヤ径方向に移動させながら陸部領域4を複数に分割することにより、メッシュを生成する。このとき、図3Dに示すように、表面要素40を、その大きさを変えずに径方向に移動させるため、平面視において重心Gの位置は変化しない。
モデル作成部52aは、表面要素40の大きさを変化させながらタイヤ径方向に移動させて陸部領域4を複数に分割することによりメッシュを生成してもよい。図3Eは、表面要素の大きさを変化させながらタイヤ径方向に移動させる場合を示す図である。図3Eに示すように、表面要素40Zを、その大きさを変化させながら表面の位置Zからタイヤ径方向に移動させる。このとき、平面視による重心の位置が変化しないようにタイヤ径方向に移動させる。すなわち、表面の位置Zでの表面要素40Zの重心GZの位置と、移動途中の位置Zでの要素40Zの重心GZの位置とは、平面視において同一である。したがって、表面要素40Zの各辺は同じ比率で変化するため、移動途中の要素40Zと表面要素40Zとは相似である。同様に、切断面要素20について、その大きさを変えずにタイヤ周方向に移動させてもよいし、その大きさを変化させながらタイヤ周方向に移動させてもよい。
図4Aは、陸部領域4の表面要素40と溝壁領域2の切断面要素20との関係を示す図である。図4Aに示すように、本実施形態では、陸部領域4の表面要素40と溝壁領域2の切断面要素20とをそれぞれ作成する。表面要素40は、陸部領域4のトレッド表面に表れる2次元要素である。切断面要素20は、溝壁領域2の仮想切断面に表れる2次元要素である。
表面要素40を矢印Y1のようにタイヤ径方向に移動させて陸部領域4を複数に分割することにより、陸部領域4についてメッシュを自動で生成できる。また、切断面要素20を矢印Y2のようにタイヤ周方向に移動させて溝壁領域2を複数に分割することにより、溝壁領域2についてメッシュを自動で生成できる。なお、図4Aにおいて、陸部領域4について、表面要素40の代わりに、表面要素40に直交する切断面要素を作成し、タイヤ周方向又はタイヤ幅方向に移動させてもよい。
図4Bは、陸部41について生成したメッシュの例を示す図である。図4Bに示すように、陸部領域4について生成したメッシュと溝壁領域2について生成したメッシュとを組み合せることにより、陸部41全体に関するモデルを得ることができる。また、図3Aに示す陸部42についても同様に陸部領域4と溝壁領域2に分割して処理することにより、陸部42全体に関するモデルを得ることができる。
図4Cは、タイヤ全体に関するモデルの例を示す図である。図4Bに示すように得られた陸部41に関するモデルと陸部42に関するモデルとを、タイヤ周方向に連続して形成することにより、図4Cに示すように、タイヤ全体に関するモデルを得ることができる。
図5は、第1の実施形態によるタイヤパターンモデル作成方法を示すフローチャートである。図5に示すように、最初に、パターン形状を陸部領域4と溝壁領域2とに分割する(ステップS101)。このとき、タイヤトレッド面の一部である陸部41について、任意の一表面を、一表面と直交する第1の方向に貫通させた第1領域である陸部領域4と、第1領域以外の部分である第2領域である溝壁領域2とに分割する。
次に、陸部領域4の表面または切断面の2次元要素を作成し、表面要素40または切断面要素をタイヤ径方向に沿って少なくとも溝底まで移動させつつ陸部領域4を複数に分割することにより、3次元モデルを生成する(ステップS102)。さらに、溝壁領域2の切断面の2次元要素を作成し、切断面要素20を陸部の輪郭に沿ってタイヤ周方向又はタイヤ幅方向に移動させつつ溝壁領域2を複数に分割することにより、3次元モデルを生成する(ステップS103)。
そして、ステップS102において作成した陸部領域の3次元モデルと、ステップS103において作成した溝壁領域の3次元モデルとを組み合わせ、かつタイヤ周方向に展開する(ステップS104)。すなわち、陸部領域の3次元モデルと溝壁領域の3次元モデルとを組み合わせたモデルを、タイヤ周方向に連続して形成する。
以上の処理により、メッシュを手動ではなく、自動で生成できるため、メッシュによって分割した要素の集合によるモデルを得る時間を短縮できる。
(溝壁領域と陸部領域との分割例)
図6は、溝壁領域2と陸部領域4との分割例を示す図である。図6に示すように、陸部41aは、2本の周方向主溝21と2本のオープンサイプ61とで挟まれた領域である。オープンサイプ61は、両端が周方向主溝21に開放しているサイプである。
陸部41aには、エッジサイプ62が設けられている。エッジサイプ62は、一端が周方向主溝21に開放し、他端が閉塞しているサイプである。
陸部41aには、クローズサイプ63が設けられている。クローズサイプ63は、両端が周方向主溝21に開放せずに閉塞しているサイプである。
オープンサイプ61、エッジサイプ62及びクローズサイプ63は、溝壁領域2に含まれる。
陸部領域4は、陸部41aから溝壁領域2を除いた領域である。陸部領域4の表面要素40をタイヤ径方向に移動させることにより、陸部領域4についてメッシュを自動で生成できる。また、溝壁領域2の切断面要素20をタイヤ周方向に移動させることにより、溝壁領域2についてメッシュを自動で生成できる。
ショルダ部の形状が図1に示す形状とは異なる場合がある。図7A及び図7Bは、溝壁領域2と陸部領域4との他の分割例を示す図である。
図7Aは、ショルダ部42aがSCG(Stress Wear Control Groove)タイプの場合を示す。ショルダ部42aに、溝M1が設けられている。このため、ショルダ部42a全体について、メッシュを自動で生成することは難しい。そこで、図7Aに示すように、ショルダ部42aを、分割線Daによって、陸部領域4と溝壁領域2とに分ける。陸部領域4については、表面要素すなわち表面のメッシュをタイヤ径方向に移動させることにより、メッシュを自動で生成することができる。溝壁領域2については、切断面要素すなわち切断面のメッシュをタイヤ周方向に移動させることにより、メッシュを自動で生成することができる。
図7Bは、ショルダ部42bがSER(Shoulder Edge Rib)タイプの場合を示す。図7Bに示すように、溝M2が設けられている。このため、ショルダ部42b全体について、メッシュを自動で生成することは難しい。そこで、図7Bに示すように、ショルダ部42bを、分割線Dbによって、陸部領域4と溝壁領域2とに分ける。陸部領域4については、表面要素すなわち表面のメッシュをタイヤ径方向に移動させることにより、メッシュを自動で生成することができる。溝壁領域2については、切断面要素すなわち切断面のメッシュをタイヤ周方向に移動させることにより、メッシュを自動で生成することができる。
以上のように、第1の実施形態によるタイヤパターンモデル作成方法は、タイヤトレッド面の一部である陸部について、任意の一表面を前記一表面と直交する第1の方向に貫通させた第1領域と、前記第1領域以外の部分である第2領域とに分割するステップと、前記一表面についてのメッシュを前記第1の方向に移動させて前記第1領域を複数に分割することで前記第1領域についてメッシュを生成して前記第1領域の3次元モデルを生成するステップと、前記第2領域の切断面についてのメッシュを前記第1の方向とは異なる第2の方向に移動させて前記第2領域を複数に分割することで前記第2領域についてメッシュを生成して前記第2領域の3次元モデルを生成するステップと、前記第1領域について生成した3次元モデルと前記第2領域について生成した3次元モデルとを組み合わせるステップと、を含む。このため、手動でメッシュを生成する手間は不要であり、パターンモデルの作成時間を大幅に短縮できる。
(第2の実施形態)
溝壁領域2の溝壁角度が場所によって変化する場合がある。そのような場合には、溝壁領域2について分割し、分割した各部分を移動させることにより、3次元モデルを生成する。
図8は、第2の実施形態によるタイヤパターンモデル作成方法を説明する図である。図8は、溝壁領域2の溝壁角度θが変化する場合を示す。溝壁角度θは、陸部領域4の側面4Sと溝壁領域2の壁面2Sとがなす角度である。
図8に示すように、陸部41bが陸部領域4と溝壁領域2とで構成される場合において、陸部領域4の表面要素40の端部に、代表位置A、代表位置B、代表位置C、代表位置Dを設定する。代表位置A、代表位置B、代表位置C、代表位置Dにおいて、代表位置Aと代表位置Bとの間は溝壁角度θが10度、代表位置Bと代表位置Cとの間は溝壁角度θが8度、代表位置Cと代表位置Dとの間は溝壁角度θが12度、であるものとする。溝壁領域2を、同じ角度毎の部分領域に分割することにより、各部分領域についてメッシュを自動で生成することができる。
図9は、各代表位置における切断面要素の例を示す図である。図10は、各代表位置における切断面要素それぞれについて移動させることによって得られる溝壁領域2のモデルの例を示す図である。
図9において、代表位置Aと代表位置Bとの間における切断面要素20A、代表位置Bと代表位置Cとの間における切断面要素20B、代表位置Cと代表位置Dとの間における切断面要素20Cを、それぞれ矢印YAの方向、矢印YBの方向、矢印YCの方向に移動させながらメッシュを作成する。このように、溝壁領域2を、同じ角度毎の部分領域に分割し、部分領域の要素すなわちメッシュをそれぞれ移動させながら部分領域を複数に分割することでメッシュを作成することにより、図10に示すように、溝壁領域2のモデルが得られる。
図11は、代表位置を説明する図である。図11は、陸部41bの周辺を平面視で示す。図11に示すように、溝壁角度が変化する位置P1、P2、P3、P4を代表位置とすることが好ましい。例えば、溝壁角度が変化する頂点の位置を代表位置とすることが好ましい。なお、場合によっては、同一節点及び同一要素数で各切断面要素のメッシュを作成してもよい。
図12は、第2の実施形態によって得られる、陸部41bのモデルの例を示す図である。上述したように、陸部領域4と溝壁領域2とに分割して陸部領域4についてメッシュを作成し、さらに溝壁領域2については溝壁角度ごとに分割してメッシュを作成することにより、図12に示す陸部41bのモデルを得ることができる。
図13は、第2の実施形態によるタイヤパターンモデル作成方法を示すフローチャートである。第2の実施形態では、図5のステップS103を図13に示すステップS201からステップS204に置き換えて、陸部の3次元モデルを得る。
図13に示すように、最初に、パターン形状を陸部領域4と溝壁領域2とに分割する(ステップS101)。次に、陸部領域4の表面または切断面の2次元要素を作成し、表面要素40または切断面要素をタイヤ径方向に沿って少なくとも溝底まで移動させて複数に分割することで、3次元モデルを生成する(ステップS102)。
溝壁領域2については、最初に、溝壁角度の変化による少なくとも1つの溝壁角度代表位置を選定する(ステップS201)。各代表位置で溝壁領域の切断面要素についてメッシュをそれぞれ作成する(ステップS202)。
次に、各切断面要素を陸部の輪郭に沿って移動させながら溝壁領域を複数に分割することでメッシュを作成することにより、各溝壁部分領域の3次元モデルを生成する(ステップS203)。溝壁部分領域のモデルを組み合わせて一体化することにより、溝壁領域の3次元モデルを得る(ステップS204)。
最後に、ステップS102において作成した陸部領域の3次元モデルと、ステップS203において作成した溝壁領域の3次元モデルとを組み合わせ、かつタイヤ周方向に展開する(ステップS104)。
溝壁領域を多数の部分領域に分割することで、溝底の曲面が交わるような複雑な領域についても、メッシュを手動ではなく、自動で生成できるため、メッシュによって分割した要素の集合によるモデルを得る時間を短縮できる。
(第3の実施形態)
ところで、溝壁領域2の溝壁角度θがゼロである場合も考えられる。その場合、溝壁領域2の切断面要素を作成できないので、切断面要素を移動させてメッシュを作成することは困難である。そこで、第3の実施形態では、溝壁領域2の切断面要素を陸部領域4の内側に延長することにより、溝壁領域2の切断面要素を作成できる。これにより、溝壁角度θがゼロであっても切断面要素を移動させて溝壁領域2を複数に分割することにより、メッシュを作成することができる。
図14Aは、第3の実施形態によるタイヤパターンモデル作成方法を説明する図である。図14Bは、厚みを持たせた切断面要素20の例を示す図である。図14Cは、図14Bに示す切断面要素20を除いた陸部領域4の例を示す図である。
図14Aに示すように、陸部41cは、陸部領域4と溝壁領域2とを含む。溝壁領域2の切断面要素20は、図8に示す切断面要素20よりも陸部領域4の内側に延長した形状である。本例では、陸部41cの上面の内側に3要素分延長した形状とし、切断面要素20に厚みを持たせる。
具体的には、図14Aに示す各溝壁角度の代表位置A、B、C、D、E…から、陸部領域4の内側に少なくとも1要素分hだけ離れた対応位置A、B、C、D、E…を設定する。つまり、代表位置A、B、C、D、E…と対応位置A、B、C、D、E…との距離は、少なくとも1要素分hである。そして、これらの対応位置A、B、C、D、E…で溝壁領域と陸部領域とに分ける。
このように厚みを持たせた切断面要素20についてメッシュを生成すると、例えば、図14Bに示すように、代表位置A及び対応位置Aを通る切断面要素20が得られる。切断面要素20を移動させることにより、溝壁角度がゼロであってもメッシュを自動で作成することができる。
切断面要素20に厚みを持たせたため、図14Cに示すように、陸部領域4はその厚みの分だけ小さくなる。陸部領域4については、表面要素40をタイヤ径方向に移動させて複数に分割することにより、メッシュを自動で生成できる。このとき、図3Eを参照して説明したように、表面要素40の大きさを変化させながらタイヤ径方向に移動させてもよい。
図15は、第3の実施形態によるタイヤパターンモデル作成方法を示すフローチャートである。第3の実施形態では、図13のステップS201とステップS202との間に、ステップS300の処理を挿入することにより、溝壁領域の切断面要素に厚みを持たせる。
図15に示すように、まず、陸部領域4と溝壁領域2とに分割する(ステップS101)。溝壁領域2については、最初に、溝壁角度の変化による少なくとも1つの溝壁角度の代表位置を選定する(ステップS201)。次に、溝壁角度の代表位置の陸部表面の内側に対応位置を設定し、溝壁領域2の切断面要素に少なくとも1要素分厚みを持たせる(ステップS300)。各代表位置で溝壁領域の切断面要素についてメッシュをそれぞれ作成する(ステップS202)。
次に、各切断面要素を陸部の輪郭に沿って移動させながら各溝壁部分領域を複数に分割することでメッシュを作成することにより、各溝壁部分領域の3次元モデルを生成する(ステップS203)。溝壁部分領域のモデルを組み合わせて一体化することにより、溝壁領域の3次元モデルを得る(ステップS204)。
陸部領域4の表面または切断面の2次元要素を作成し、表面要素40または切断面要素をタイヤ径方向に沿って少なくとも溝底まで移動させて陸部領域4を複数に分割することで、3次元モデルを生成する(ステップS102)。最後に、ステップS203において作成した溝壁領域の3次元モデルと、ステップS102において作成した陸部領域の3次元モデルとを組み合わせ、かつタイヤ周方向に展開する(ステップS104)。
以上にように、本実施形態では、陸部41cを第1領域である陸部領域4と第2領域である溝壁領域2とに分割する際、溝壁角度の代表位置を設定し、かつ、代表位置から陸部41cの内側方向に少なくとも1要素分離れた対応位置を設定し、対応位置に沿って陸部領域4と溝壁領域2とに分割する。これにより、溝壁角度θがゼロであるために切断面を陸部の輪郭に沿って移動させることが困難である場合でも、1つ以上の要素分厚みを持たせることにより、溝壁領域2について切断面要素を生成することができる。
(第4の実施形態)
陸部領域4の3次元モデルと、溝壁領域2の3次元モデルとを組み合わせる際、陸部領域4と溝壁領域2とについて、互いに隣接する領域のメッシュの形状が一致するように陸部領域4及び溝壁領域2のメッシュを生成することが望ましい。すなわち、図12に示す陸部41bのモデルは、陸部領域4と溝壁領域2との境界において、陸部領域4のメッシュの間隔と溝壁領域2のメッシュの間隔とが一致している。
このようにメッシュを作成すれば、各領域境界間の節点共有を利用することができるので、拘束結合などの設定の手間が不要となり、解析モデルの作成効率をさらに向上できる。なお、拘束結合とは、隣接領域の輪郭境界で異なる領域節点間の相対変位を発生させないように拘束することである。
(タイヤシミュレーション方法)
次に、本実施形態に係るタイヤシミュレーション方法を説明する。なお、本実施形態に係るタイヤシミュレーション方法は、上述した解析装置50により実現できる。
図16A及び図16Bは、パターンモデル22とケーシングモデル23とを一体化してタイヤ全体のモデル24を作成する方法を説明する図である。
図16Aに示すように、上記のように作成したパターンモデル22の他に、パターンモデル22以外の部分であるケーシングモデル23を予め作成しておく。そして、作成したパターンモデル22を、ケーシングモデル23と一体化することにより、図16Bに示すように、タイヤ全体のモデル24を作成することができる。ここで、一体化とは、各隣接領域の輪郭境界での節点共有あるいは拘束結合形式で各領域を完全に結合することである。
作成したタイヤ全体のモデル24を用いて、解析条件を設定することにより、タイヤ特性のシミュレーションを行うことができる。例えば、所定の嵌合条件、空気圧条件および荷重条件などを解析条件としてタイヤ全体のモデル24に与えることにより、タイヤ特性のシミュレーションを行うことができる。
図17は、タイヤ全体のモデル24を作成し、シミュレーションする方法の例を示すフローチャートである。図17に示すように、モデル作成部52aにより、ケーシングモデル23を予め作成する(ステップS301)。次に、モデル作成部52aにより、タイヤのパターンモデル22を作成する(ステップS302)。そして、パターンモデル22とケーシングモデル23とを一体化することでタイヤ全体モデル24を生成する(ステップS303)。なお、ケーシングモデル23の作成(ステップS301)とパターンモデル22の作成(ステップS302)との順序は問わない。
次に、条件設定部52bにより解析条件を設定する(ステップS304)。設定した解析条件により、解析部52cがタイヤ特性についてシミュレーションを行う(ステップS305)。なお、シミュレーションの結果については、評価値算出部52dが算出し、判定部52eが判定を行う。
以上のように、パターンとケーシングとについて、それぞれメッシュを作成し、パターンモデル22及びケーシングモデル23を得て、両者を一体化することにより、ひずみ集中が発生し易い溝底のみに細かいメッシュを用いることができる。これにより、解析モデルの規模(要素数)を小さくすることができる。このことにより、タイヤ全体のモデル24の作成効率をさらに向上できるとともに、解析時間を短縮することもできる。したがって、メッシュを生成し、メッシュによって分割した要素の集合によるモデルを得る時間を短縮でき、シミュレーションにかかる時間を短縮できる。
(実施例)
図18は、タイヤパターン解析モデルの例を示す図である。実施例では、タイヤパターン解析モデルの作成時間の短縮について、手動でメッシュを生成する従来方法と、各実施形態とについて評価を行った。本例では、図18に示すタイヤパターン解析モデルの作成時間について評価を行った。図18に示すタイヤパターン解析モデルは、タイヤサイズが27.00R49 RB42のオフザロード(Off The Road)タイヤのパターンモデル22である。
表1は、90万画素のパターンモデルを作成する時間について、従来方法による場合を「100」とし、上記の各実施形態による場合を指数で示す。
表1に示すように、上記のパターンモデルを作成する時間は、第1の実施形態の場合「30」、第2の実施形態の場合「20」、第3の実施形態の場合「20」、第4の実施形態の場合「15」であり、いずれの実施形態による場合も従来方法による場合よりも短い時間で上記のパターンモデルを作成できることがわかった。
Figure 2017010280
1 空気入りタイヤ
2 溝壁領域
2S 壁面
4 陸部領域
4S 側面
11 ビードコア
12 ビードフィラー
13 カーカス層
14 ベルト層
15 トレッドゴム
16 サイドウォールゴム
20、20A、20B、20C 切断面要素
21 周方向主溝
22 パターンモデル
23 ケーシングモデル
24 タイヤ全体のモデル
33 トレッド部
40 表面要素
41、41a、41b、41c、42 陸部
42a、42b ショルダ部
50 解析装置
51 入出力装置
52 処理部
52a モデル作成部
52b 条件設定部
52c 解析部
52d 評価値算出部
52e 判定部
53 入力部
54 記憶部
55 表示部
60A、60B ラグ溝
61 オープンサイプ
62 エッジサイプ
63 クローズサイプ
141 高角度ベルト
142、143 交差ベルト
144 ベルトカバー
145 周方向補強層
CL タイヤ赤道面
G、GZ、GZ 重心
M1、M2 溝
θ 溝壁角度

Claims (5)

  1. タイヤトレッド面の一部である陸部について、任意の一表面を前記一表面と直交する第1の方向に貫通させた第1領域と、前記第1領域以外の部分である第2領域とに分割するステップと、
    前記一表面についてのメッシュを前記第1の方向に移動させて前記第1領域を複数に分割することで前記第1領域についてメッシュを生成して前記第1領域の3次元モデルを生成するステップと、
    前記第2領域の切断面についてのメッシュを前記第1の方向とは異なる第2の方向に移動させて前記第2領域を複数に分割することで前記第2領域についてメッシュを生成して前記第2領域の3次元モデルを生成するステップと、
    前記第1領域について生成した3次元モデルと前記第2領域について生成した3次元モデルとを組み合わせるステップと、を含むタイヤパターンモデル作成方法。
  2. 前記第2領域の3次元モデルを生成する際、前記第1領域の側面と前記第2領域の壁面とがなす溝壁角度が変化する場合、前記溝壁角度が同じ部分ごとに前記第2領域を分割し、分割した各部分について切断面を前記第2の方向に移動させつつ前記第2領域についてメッシュを生成して3次元モデルを生成し、個々の溝壁部分領域の3次元モデルを組み合わせて、前記第2領域の3次元モデルを生成する請求項1に記載のタイヤパターンモデル作成方法。
  3. 前記陸部を前記第1領域と前記第2領域とに分割する際、前記溝壁角度の代表位置を設定し、かつ、前記代表位置から前記陸部の内側方向に少なくとも1要素分離れた対応位置を設定し、前記対応位置に沿って前記第1領域と前記第2領域とに分割する請求項2に記載のタイヤパターンモデル作成方法。
  4. 前記第1領域について生成した3次元モデルと前記第2領域について生成した3次元モデルとを組み合わせる際に隣接する領域のメッシュの形状が一致するように前記第1領域及び前記第2領域のメッシュを生成する請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のタイヤパターンモデル作成方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1つに記載のタイヤパターンモデル作成方法でタイヤパターンモデルを作成するステップと、
    前記タイヤパターンモデル以外の部分についての3次元モデルであるケーシングモデルを作成するステップと、
    前記タイヤパターンモデルと前記ケーシングモデルとを一体化するステップと、
    前記タイヤパターンモデルと前記ケーシングモデルとを一体化したタイヤ全体のモデルについてシミュレーションを行うステップとを含むタイヤシミュレーション方法。
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