JP2017008314A - 粘着剤および粘着シート - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、濡れ性および再剥離性が良好、かつ被着体汚染を抑制した粘着シートの粘着剤層を形成できる粘着剤および粘着シートの提供を目的とする。【解決手段】ポリオール(a)とポリイソシアネート(b)との反応物である、水酸基を有するポリウレタン系樹脂(A)と、ポリイソシアネート化合物(B)とを含み、ポリウレタン系樹脂(A)が、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー測定での溶出曲線において、分子量8000を境界として、重量平均分子量8000以上にひとつ以上の極大値を有する高分子量成分(H)と、重量平均分子量2000〜6000に極大値を有する低分子量成分(L)とを有し、前記分子量8000を境界として、前記高分子量成分(H)と前記低分子量成分(L)との溶出曲線の面積比が、H/L=80/20〜97/3であり、ポリウレタン系樹脂(A)全体の重量平均分子量が3万〜50万である、粘着剤。【選択図】なし

Description

本発明は、ウレタン系樹脂を含む粘着剤に関する。
従来から粘着シートは、板状で割れやすい部材や、表面が傷つき易い部材を保護し、使用する直前に剥離する用途(保護用途)で使用されていた。このような保護用途の粘着シートは、ポリ塩化ビニルシート系やポリオレフィン系シート、ポリエステル系シートを基材とするものに大別される。中でもポリエステル系シート基材は透明性に優れるため光学部品や電子部品の保護用として使用されている。このポリエステル系シートを基材とする粘着シートは、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤等の粘着剤を使用して作製されている。
近年ではディスプレイ等の光学部材は、テレビや電子機器の薄膜化および大型化が進んだことで、保護用の粘着シートは、光学部材の製造工程で取り扱い易い(剥離しやすい)微粘着力の粘着シートが使用されている。光学部材は薄膜軽量化により壊れ易くなっているため、剥離の際に、光学部材が変形や欠けがないように、より微粘着力の粘着シートが求められていた。
また、保護用の粘着シートは、光学部材に貼着した状態で、粘着シート越しに部品の状態を検査する工程があるため、光学部品と粘着シートとの界面に異物はもとより空気を巻き込まない性質(濡れ性)および透明性が求められていた。また、ウレタン粘着剤はアクリル粘着剤よりも濡れ性が良いことが知られている。
そこで特許文献1では、OH基を2個以上有するポリオールと多官能イソシアネート化合物を含有する組成物を硬化させたポリウレタン系樹脂を含む粘着剤が開示されている。また、特許文献2では、ポリウレタン系樹脂と、レベリング剤(アクリル系、シリコーン系、フッ素系)または脂肪酸エステルとを含む粘着剤が開示されている。
また、特許文献3では、末端に第1級の水酸基を有するポリウレタン系樹脂、多官能イソシアネート化合物、ならびにポリアルキレングリコール系化合物、エポキシ系化合物およびリン酸エステル系化合物から選ばれる少なくとも1種を含有する粘着剤が開示されている。
特開2014−28877号公報 特開2014−162821号公報 特開2015−7226号公報
しかし、特許文献1の粘着剤は、いわゆるワンショット法で合成したポリウレタン樹脂を含む。ワンショット法は反応時に発熱が多いため、表面が平滑な粘着剤層が得難く、濡れ性や再剥離性が低い問題があった。
また、特許文献2の粘着剤は、レベリング剤や脂肪酸エステルを含むため、ある程度の濡れ性と再剥離性が得られた。しかし、粘着剤層と被着体(例えばガラス板)を貼り合わせて高温高湿試験をかけると、被着体にレベリング剤や脂肪酸エステルの汚染が移る問題(被着体汚染)があった。この被着体汚染がディスプレイ上に存在すると後日洗浄を行う必要があり、品質上問題になる。また、レベリング剤や脂肪酸エステルは分子量が低いため、粘着シートを剥離した後、被着体を汚染しやすい。
また、特許文献3の粘着剤は、ポリアルキレングリコール系化合物、エポキシ系化合物およびリン酸エステル系化合物の低分子量化合物を含むため、特許文献2の粘着剤と同様に被着体汚染の問題があった。
本発明は、濡れ性および再剥離性が良好、かつ被着体汚染を抑制した粘着シートの粘着剤層を形成できる粘着剤および粘着シートの提供を目的とする。
本発明の粘着剤は、ポリオール(a)とポリイソシアネート(b)との反応物である、水酸基を有するポリウレタン系樹脂(A)と、ポリイソシアネート化合物(B)とを含み、
前記ポリウレタン系樹脂(A)が、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下、「GPC」とも表記する。)測定での溶出曲線において、
分子量8000を境界として、分子量8000以上に極大値を有する高分子量成分(H)と、分子量2000〜6000に極大値を有する低分子量成分(L)とを有し、
前記分子量8000を境界として、前記高分子量成分(H)と前記低分子量成分(L)との溶出曲線の面積比が、H/L=80/20〜97/3であり、
ポリウレタン系樹脂(A)全体の重量平均分子量が3万〜50万である。
上記の本発明によれば、粘着剤が高分子量成分(H)、および比較的分子量が高い低分子量成分(L)を含むことで被着体汚染を抑制できたことに加え、濡れ性および再剥離性がより向上した。
本発明は、濡れ性および再剥離性が良好、かつ被着体汚染を抑制した粘着シートの粘着剤層を形成できる粘着剤および粘着シートを提供できる。
本発明について詳細に説明する前に用語を定義する。シート、フィルムおよびテープは同義語である。被着体とは、粘着シートを貼り付ける相手方をいう。
本発明の粘着剤は、ポリオール(a)とポリイソシアネート(b)との反応物である、水酸基を有するポリウレタン系樹脂(A)と、ポリイソシアネート化合物(B)とを含み、ポリウレタン系樹脂(A)が、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー測定での溶出曲線において、
分子量8000を境界として、分子量8000以上に極大値を有する高分子量成分(H)と、分子量2000〜6000に極大値を有する低分子量成分(L)とを有し、前記分子量8000を境界として、高分子量成分(H)と低分子量成分(L)との溶出曲線の面積比が、H/L=80/20〜97/3であり、ポリウレタン系樹脂(A)全体の重量平均分子量が3万〜50万である。なお重量平均分子量は、ポリスチレン換算で得た数値である。
本発明の粘着剤は、塗工することで粘着剤層を形成し、基材を備えた粘着シートとして使用することが好ましい。この粘着シートは、優れた再剥離を活かして(表面)保護用の粘着シートとして使用することが好ましいが、再剥離を必要としない永久粘着用として使用することもできる。
本発明において水酸基を有するポリウレタン系樹脂(A)は、粘着剤の主剤であり、ポリイソシアネート化合物(B)と架橋可能な水酸基を複数有している。
ポリウレタン系樹脂(A)は、通常、ポリオール(a)とポリイソシアネート(b)を反応させて合成する。
ポリオール(a)は、2つ以上の水酸基を有する公知のポリオールが好ましい。ポリオール(a)は、例えば、ポリアクリルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ひまし油系ポリオール等が挙げられる。これらの中でもポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオールが好ましく、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールがより好ましい。
ポリエステルポリオールは、公知のポリエステルポリオールが用いられる。ポリエステルポリオールは、例えば、酸成分およびグリコール成分を必須とし、必要に応じてポリオール成分を用いてエステル化反応により合成できる。酸成分としてコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸テレフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸等が挙げられる。また、グリコール成分としてエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、ブチルエチルペンタンジオール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオール成分として、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールの分子量は、特に制限無く使用できるところ、数平均分子量500〜5,000が好ましい。数平均分子量500〜5,000を使用すると適度な反応性が得られ、凝集力がより良好な樹脂が得易い。ポリオール(a)を2種類以上使用する場合、ポリエステルポリオールは、ポリオール(a)100モル%中の0〜90モル%が好ましく、30〜80モル%がより好ましい。
ポリエーテルポリオールは、公知のポリエーテルポリオールが用いられる。ポリエーテルポリオールは、例えば、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の低分子量ポリオールを開始剤として用いて、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を重合させることにより得られる。ポリエーテルポリオールは、例えば2つ以上の水酸基を有する、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が好ましく、ポリプロピレングリコールがより好ましい。
ポリプロピレングリコールは、プロピレンオキシドを付加重合させることで得られるが、大部分のプロピレンオキシドがβ開裂して末端がイソシアネートと反応性の低い2級水酸基になる。そこで、ポリイソシアネート化合物(B)との反応性を上げるため、エチレンオキシドを付加重合する方法や、プロピレンオキシドを特定の触媒によってα開裂する方法で、末端1級水酸基のポリプロピレングリコールを得る公知の方法がある。
ポリエーテルポリオールの分子量は、特に制限無く使用できるところ、数平均分子量500〜5,000が好ましい。数平均分子量500〜5,000を使用すると適度な反応性が得られ、凝集力が良好な樹脂が得易い。ポリオール(a)を2種類以上使用する場合、ポリエーテルポリオールは、ポリオール(a)100モル%中の10〜100モル%が好ましく、20〜90モル%がより好ましい。
また、本発明では必要に応じてポリエーテルポリオールの一部をエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のグリコール類、エチレンジアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン等の多価アミン類に置き換えて併用することができる。
ポリカプロラクトンポリオールは、例えば、ε−カプロラクトン、σ−バレロラクトンなどの環状エステルモノマーの開環重合により得られるカプロラクトン系ポリエステルジオール等が好ましい。
ポリカプロラクトンポリオールの分子量は、特に制限無く使用できるところ、数平均分子量500〜5,000が好ましい。数平均分子量を前記範囲にすることで適度な反応性が得られ、粘着力と凝集力をさらに向上できる。ポリオール(a)を2種類以上使用する場合、ポリカプロラクトンポリオールは、ポリオール(a)100モル%中の0〜20モル%が好ましく、5〜15モル%がより好ましい。
ポリカーボネートポリオールは、例えば、上記ポリオール成分とホスゲンとを重縮合反応させて得られるポリカーボネートポリオール;上記ポリオール成分と、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸ジイソプロピル、炭酸ジブチル、エチルブチル炭酸、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、炭酸ジフェニル、炭酸ジベンジル等の炭酸ジエステル類とをエステル交換縮合させて得られるポリカーボネートポリオール;上記ポリオール成分を2種以上併用して得られる共重合ポリカーボネートポリオール;上記各種ポリカーボネートポリオールとカルボキシル基含有化合物とをエステル化反応させて得られるポリカーボネートポリオール;上記各種ポリカーボネートポリオールとヒドロキシル基含有化合物とをエーテル化反応させて得られるポリカーボネートポリオール;上記各種ポリカーボネートポリオールとエステル化合物とをエステル交換反応させて得られるポリカーボネートポリオール;上記各種ポリカーボネートポリオールとヒドロキシル基含有化合物とをエステル交換反応させて得られるポリカーボネートポリオール;上記各種ポリカーボネートポリオールとジカルボン酸化合物とを重縮合反応させて得られるポリエステル系ポリカーボネートポリオール;上記各種ポリカーボネートポリオールとアルキレンオキサイドとを共重合させて得られる共重合ポリエーテル系ポリカーボネートポリオール;等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールの分子量は、特に制限無く使用できるところ、数平均分子量500〜5,000が好ましい。数平均分子量を前記範囲にすることで適度な反応性が得られ、凝集力が良好な樹脂が得易い。ポリオール(a)を2種類以上使用する場合、ポリカーボネートポリオールは、ポリオール(a)100モル%中の0〜20モル%が好ましく、5〜15モル%がより好ましい。
本発明に用いるポリオール(a)は、2種類以上のポリオール(a)を使用することが好ましい。ポリオールを2種類以上使用すると、分子量分布の調整が容易になるため凝集力を任意の調整ができるので、粘着力と濡れ性を高いレベルでバランスが取れる。
また本発明においてポリオール(a)は、3つ以上の水酸基を有するポリオールを併用することが好ましい。3つ以上の水酸基を有するポリオールは、ポリオール(a)100重量%中に、50〜95重量%含むことが好ましい。3つ以上の水酸基を有するポリオールを所定の範囲にすると、粘着剤の塗工性がより向上し、形成した粘着剤層の良好な架橋密度がより向上する上、再剥離性がより向上する。なお、ポリオール(a)が3つ以上の水酸基を有するポリオールを含む場合、3つ以上の水酸基を有するポリオール以外のポリオールはジオールである。
3つ以上の水酸基を有するポリオールは、ポリエーテルポリオール等が好ましい。
また、3つ以上の水酸基を有するポリオールは、数平均分子量1,000〜5,000が好ましく、1,500〜4,000がより好ましい。数平均分子量を適切な範囲にすることでより凝集力が高くなることで再剥離性がより向上する。
ポリイソシアネート(b)は、公知の芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が好ましい。
芳香族ポリイソシアネートは、例えば1,3−フェニレンジイソシアネート、(1,3−フェニレンビスメチレン)ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートは、例えばトリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートは、例えばω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートは、例えば3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
また、上記ポリイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、水と反応したビュウレット体、イソシアヌレート環を有する3量体等に変性したものやアロファネート体も併用することができる。これらの中でもイソシアネート基を3つ有するポリイソシアネート、例えばフェニレンビスメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのビュウレット体、ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート体等が好ましい。
ポリイソシアネート(b)は、脂肪族ポリイソシアネートおよび脂環族ポリイソシアネートが好ましく、脂肪族ポリイソシアネートがより好ましい。
本発明においてポリウレタン系樹脂(A)の水酸基価は、1〜30mgKOH/gが好ましく、10〜25mgKOH/gがより好ましい。水酸基価は、ポリオール(a)とポリイソシアネート(b)の配合比率を調整する等公知の方法で調整できる。水酸基価を所定の範囲にすると良好な架橋密度の粘着剤層が得易く、濡れ性がより向上する。
ポリオール(a)とポリイソシアネート(b)との反応には公知の触媒を使用することができる。触媒は、例えば3級アミン系化合物、有機金属系化合物等が挙げられる。
3級アミン系化合物としてはトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7(DBU)等が挙げられる。
有機金属系化合物は、例えば錫系化合物、非錫系化合物等が好ましい。
錫系化合物は、例えばジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキサイド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキサイド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、2−エチルヘキサン酸錫等が挙げられる。
非錫系化合物は、例えばジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライドなどのチタン系、オレイン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛などの鉛系化合物;、2−エチルヘキサン酸鉄、鉄アセチルアセトネートなどの鉄系化合物;、安息香酸コバルト、2−エチルヘキサン酸コバルトなどのコバルト系、ナフテン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛などの亜鉛系化合物;、ナフテン酸ジルコニウム、カルボン酸ビスマス等が挙げられる。
ポリウレタン系樹脂(A)の合成で、例えば2種類のポリオール(a)を使用すると、両ポリオールの反応性が相違する場合が多いため、合成にの触媒を使用すると、ゲル化や、反応溶液が白濁する等の問題が生じやすい。そこで2種類のポリオール(a)を使用した場合、ポリオール(a)の反応性に応じて選択した2種類以上の触媒を使用するとポリウレタン系樹脂(A)の合成が容易になるため好ましい。触媒の組み合わせは、3級アミンと有機金属系化合物、または錫系化合物と非錫系化合物、錫系化合物と錫系化合物等が挙げられる。これらの中でも錫系化合物と錫系化合物が好ましく、ジブチル錫ジラウレートと2−エチルヘキサン酸錫の組み合わせがより好ましい。ジブチル錫ジラウレートと2−エチルヘキサン酸錫を配合する割合は、重量比で2−エチルヘキサン酸錫の配合量をジブチル錫ジラウレートの配合量で除算した数値が1未満であり、0.2〜0.6がより好ましい。配合比が1未満になることで重合反応性が向上し、所望の重量平均分子量のポリウレタン系樹脂(A)が得易くなる。
ポリオール(a)とポリイソシアネート(b)との反応時、触媒を使用する場合の温度は100℃未満が好ましく、85℃〜95℃がより好ましい。100℃未満の温度で重合すると反応速度および分子構造の制御が容易になり、所定の重量平均分子量のポリウレタン系樹脂(A)が得易くなる。
ポリウレタン系樹脂(A)の合成は、無触媒でも可能である。その場合、反応温度を100℃以上に設定することが好ましく、110℃以上がより好ましい。
ポリウレタン系樹脂(A)の合成は、(1)ポリオール(a)、ポリイソシアネート(b)を全量フラスコに仕込む方法、(2)ポリオール(a)フラスコに仕込んでポリイソシアネート(b)を滴下する添加する方法が好ましいところ、前記(2)の方法を使用すると反応制御が容易になる。
ポリウレタン系樹脂(A)を合成する際の溶媒は、公知の有機溶剤を使用できる。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらの中でもポリウレタン系樹脂(A)の溶解性、および塗工性の面からトルエンが好ましい。
本発明においてポリウレタン系樹脂(A)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー測定での溶出曲線において、分子量8000を境界として、分子量8000以上に極大値を有する高分子量成分(H)と、分子量2000〜6000に極大値を有する低分子量成分(L)とを有することが必要である。
さらにポリウレタン系樹脂(A)は、分子量8000を境界として、高分子量成分(H)と低分子量成分(L)との溶出曲線の面積比が、H/L=80/20〜97/3である。
またポリウレタン系樹脂(A)全体の重量平均分子量は、3万〜50万であり、5万〜40万が好ましく、10万〜30万がより好ましい。
本発明で用いるポリウレタン系樹脂(A)は、高分子量成分(H)と低分子量成分(L)含むことで、粘着力および加工適性のみではなく、被着体汚染を抑制し、濡れ性および再剥離性が向上した。ここで低分子量成分(L)は、既存の濡れ剤(レベリング剤や脂肪酸エステル)等とは分子量範囲が異なるので、被着体にブリードしにくいことが良好な物性発現に繋がっていると考えられる。また高分子量成分(H)と低分子量成分(L)とのGPCにおける溶出曲線での面積比をH/L=80/20〜97/3にすることで被着体汚染を抑制し、適度な濡れ性が得られる。このようなポリウレタン系樹脂(A)は、多段重合、またはポリマーブレンド等公知の手法で得られる。各分子量の成分は、ポリウレタン樹脂であっても良いし、残留するポリオール、ポリイソシアネートであってもよい。なお、前記面積比は、H/L=85/15〜95/5がより好ましい。
本発明においてイソシアネート化合物(B)は、既に説明したポリイソシアネート(b)が使用できる。ポリイソシアネート(b)の中でも3官能イソシアネートがより好ましい。
前記3官能イソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネートおよび脂環族系ポリイソシアネートからなる群より選択される1種以上が好ましい。
イソシアネート化合物(B)は、ポリウレタン系樹脂(A)100重量部に対して、3〜30重量部配合することが好ましく、10〜20重量部がより好ましい。イソシアネート化合物(B)を3〜30重量部配合することで粘着剤層の凝集力が向上し、粘着力もより向上する。
本発明の粘着剤は、本発明の課題を解決できる範囲であれば、さらに常温液状物質を含むことができる。常温液状物質は、25℃で液体であり、沸点が150℃以上の、化合物であり、濡れ性を向上できる。常温液状物質は、例えば可塑剤、界面活性剤、レベリング剤、イオン液体等の低分子量の有機化合物が好ましく、被着体汚染が生じ難い化合物が選ばれる。本発明の粘着剤と相溶性が良好な常温液状物質は、例えば、脂肪酸エステルやポリアルキレングリコール誘導体等、エステル結合やエーテル結合等を有するポリウレタン系樹脂(A)と適度な親和性をもつ化合物が好ましい。
脂肪酸エステルは、例えば炭素数が8〜18の一塩基酸または多塩基酸と、炭素数が18以下の分岐アルコールとのエステル、または炭素数が14〜18の不飽和脂肪酸またはその分岐酸と2価以上のアルコールとのエステル等が好ましい。
炭素数が8〜18の一塩基酸または多塩基酸と、炭素数が18以下の分岐アルコールとのエステルは、例えばラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸オクチルドデシル、アジピン酸ジイソステアリル、セバシン酸ジイソセチル、トリメリット酸トリオレイル、トリメリット酸トリイソセチル等が挙げられる。これらの中でもミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシルが好ましく、ミリスチン酸イソプロピルがより好ましい。
炭素数が14〜18の不飽和脂肪酸またはその分岐酸は、例えばミリストレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソパルミチン酸又はイソステアリン酸等が挙げられる。
2価以上のアルコールは、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール又はソルビタン等が挙げられる。脂肪酸エステルは、例えばパルミチン酸イソプロピルやミリスチン酸イロプロピル等が挙げられる。
脂肪酸エステルは、分子量(式量)200〜500が好ましい。分子量が前記範囲にあることで被着体汚染を抑制し、再剥離性がより向上する。
ポリアルキレングリコール誘導体は、ポリアルキレングリコールエステルであり、分子量(式量)200〜1500が好ましく、200〜1000がより好ましい。分子量が前記範囲にあることで被着体汚染を抑制し、再剥離性がより向上する。
常温液状物質は、単独または2種類以上を併用できる。
常温液状物質は、ポリウレタン系樹脂(A)100重量部に対して、5〜40重量部含むことが好ましく、10〜40重量部がより好ましい。
ポリウレタン系樹脂(A)とポリイソシアネート化合物(B)との反応には、硬化促進剤や硬化遅延剤を使用することが好ましく、両者を併用することも好ましい。
硬化促進剤は、既にポリウレタン系樹脂(A)の合成で説明した触媒を使用できる。硬化促進剤は、単独または2種類以上を併用できる。
硬化促進剤は、ポリウレタン系樹脂(A)およびポリイソシアネート化合物(B)の合計量100重量部に対して、0.0005〜0.1重量部使用するのが好ましく、0.001〜0.05重量部がより好ましく、0.003〜0.03重量部がさらに好ましく、0.005〜0.01重量部が特に好ましい。
硬化遅延剤は、イソシアネート基と会合し、イソシアネート基をマスクすることで、イソシアネート化合物(B)を配合した後の粘着剤のポットライフを伸ばし、塗工時の乾燥温度でイソシアネート基から外れて揮発する化合物が望ましい。
硬化遅延剤は、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エステル等が挙げられる。
硬化遅延剤は、ポリウレタン系樹脂(A)およびポリイソシアネート化合物(B)の合計量100重量部に対して、0.005〜10重量部使用することが好ましく、0.01〜0.5重量部がより好ましく、0.03〜3重量部がさらに好ましく、0.05〜1重量部が特に好ましい。
本発明の粘着剤には、さらに酸化防止剤を含むことができる。酸化防止剤は、ラジカル連鎖禁止剤(1次酸化防止剤)、過酸化物分解剤(2次酸化防止剤)が好ましい。酸化防止剤を含むと高温での保持力がより向上する。
ラジカル連鎖禁止剤は、フェノール系化合物、アミン系化合物等が挙げられる。また過酸化物分解剤は、硫黄系化合物、リン系化合物等が挙げられる。
フェノール系化合物は、モノフェノール系化合物、ビスフェノール系化合物、高分子型フェノール系化合物が挙げられる。
モノフェノール系化合物は、例えば2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリン−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が挙げられる。
ビスフェノール系化合物は、例えば2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブ
チリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。
高分子型フェノール系化合物は、例えば1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H、3H、5H)トリオン、トコフェノール等が挙げられる。市販品ではIRGANOX L135(BASF株式会社製)が樹脂との相溶性が良いため特に好ましい。
硫黄系化合物は、例えばジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート等が挙げられる。
リン系化合物は、例えばトリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト等が挙げられる。
本発明の粘着剤は、さらに光安定剤を使用できる。光安定剤は、公知の化合物を使用できるところ特にヒンダードアミン系化合物が好ましい。
本発明の粘着剤に使用できる希釈溶剤は、公知の有機溶剤を使用できる。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン等が挙げられる。
希釈溶剤は、単独または2種類以上を併用できる。
本発明の粘着剤は、必要に応じてタルク、炭酸カルシウム、酸化チタン等の充填剤、着色剤、紫外線吸収剤、消泡剤等の添加剤を配合できる。
本発明の粘着シートは、基材と、粘着剤の硬化物である粘着剤層とを備えていることが好ましい。粘着剤層は、粘着剤を塗工することで形成できる。粘着シートの粘着剤層の基材と接していない面は、通常、粘着シートを使用する直前まで剥離性シートを貼り付けて異物の付着を防止する。
剥離性シートは、通常、フィルムまたは紙基材に、シリコーン系化合物等から形成された公知の易接着層が形成されている。
基材は、例えばプラスチック、紙、金属箔等が挙げられる。基材の形状はシート、フィルム、発泡体等が挙げられる。
また基材は、表面に易接着処理をすることで粘着剤層の密着性を向上できる。易接着処理は、アンカーコート剤を塗布する湿式処理、およびコロナ放電を行う乾式処理が好ましく、適宜選択できる。
基材の厚みは、通常10〜300μm程度である。
粘着剤の塗工は、例えばロールコーター法、コンマコーター法、ダイコーター法、リバースコーター法、シルクスクリーン法、グラビアコーター法等の公知の方法が使用できる。塗工に際して乾燥することが好ましい。乾燥は、例えば熱風オーブン、赤外線ヒーター等の公知の乾燥装置を使用できる。乾燥温度は、通常60〜150℃程度である。
粘着剤層の厚みは、適宜調整できるところ、本発明において、粘着剤層の厚み(乾燥後の厚み)は、通常0.1〜200μmが好ましく、10〜100μmがさらに好ましい。
本発明の粘着シートは、ディスプレイやガラス等の傷つき易い部材の製造時や運搬時の保護用途、電子部品製造時の搬送用途で好ましく使用できる。保護用途は、表面保護用途が好ましい。本発明の粘着シートは、一般的な用途に広く使用できる。
以下に、本発明を実施例によってより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお例中、「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を意味するものとする。また、表中の配合量は、重量部である。
合成例の原料は以下の物質を使用した。
ポリオール(a)
(a−1):Kuraray Polyol P−510(ポリエステルポリオール、数平均分子量Mn500、水酸基:2、水酸基価:224、クラレ社製)
(a−2):Kuraray Polyol P−1010(ポリエステルポリオール、数平均分子量Mn1000、水酸基:2、水酸基価:112、クラレ社製)
(a−3):Kuraray Polyol P−2010(ポリエステルポリオール、数平均分子量Mn2000、水酸基:2、水酸基価:56、クラレ社製)
(a−4):サンニックス PP−600(ポリエーテルポリオール、数平均分子量Mn600、水酸基:2、水酸基価:180、三洋化成工業社製)
(a−5):サンニックス PP−1000(ポリエーテルポリオール、数平均分子量Mn1000、水酸基:2、水酸基価:112、三洋化成工業社製)
(a−6):サンニックス PP−2000(ポリエーテルポリオール、数平均分子量Mn2000、水酸基:2、水酸基価:56、三洋化成工業社製)
(a−7):サンニックス GP−1500(ポリエーテルポリオール、数平均分子量Mn1500、水酸基:3、水酸基価:112、三洋化成工業社製)
(a−8):サンニックス GP−3000(ポリエーテルポリオール、数平均分子量Mn3000、水酸基:3、水酸基価:56、三洋化成工業社製)
ポリイソシアネート(b)
(b−1):ヘキサメチレンジイソシアネート(東ソー株式会社製)
(b−2):タケネート 500(三井化学株式会社製)、キシリレンジイソシアネート
<重量平均分子量>
ポリウレタン系樹脂の溶出曲線および重量平均分子量(Mw)はGPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)測定により、標準ポリスチレン換算で得た数値であり、測定条件は以下のとおりである。尚、高分子量成分(H)と低分子量成分(L)の比率は、分子量8000となる保持時間を境界として両成分をそれぞれ積分した数値を用いて比率(面積比)を算出した。
装置:SHIMADZU Prominence(島津製作所社製)
カラム:TOSOH TSK−GEL GMHXL(東ソー社製)を3本直列に接続
検出器:示差屈折率検出器
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.5mL/分
溶媒温度:40℃
試料濃度:0.1%
試料注入量:100μL
(合成例1)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下漏斗を備えた4口フラスコにポリエステルポリオール(a−2)100重量部、ポリエーテルポリオール(a−8)800重量部、ポリイソシアネート(b−1)をNCO/OH比がモル比で0.5になる量を仕込み、トルエン650重量部、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.1重量部、2−エチルヘキサン酸錫0.25重量部を加えて、90℃まで徐々に昇温し2時間反応を行った。IRで残存イソシアネート基の消滅を確認した上で冷却し反応を終了することでポリウレタン系樹脂溶液を得た。得られたポリウレタン系樹脂溶液の性状は、不揮発分:60%、重量平均分子量(Mw):89,000、水酸基価27mgKOH/g(不揮発分換算値)であった。
(合成例2〜15)
合成例1の原料を表1に記載された種類・量に置き換えた以外は、合成例1と同様の方法で行うことで、それぞれ合成例2〜15のポリウレタン系樹脂溶液を得た。
Figure 2017008314
表中の略号は下記の通りである。
<ポリオール(a)>
(a−9):サンニックス PP−4000(ポリエーテルポリオール、数平均分子量Mn4000、水酸基数:2、三洋化成工業社製)
<ポリイソシアネート化合物>
(B−1):コロネート HL(ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体 東ソー社製)
(B−2):スミジュール N−3300(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体 住化バイエルウレタン社製)
(B−3):コロネート L(トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体 東ソー株式会社製)
<常温液状物質>
NIKKOL IPP:パルミチン酸イソプロピル(日光ケミカルズ社製)、
NIKKOL IPM−100:ミリスチン酸イソプロピル(日光ケミカルズ社製)、
ペグノール 24−O:ジオレイン酸ポリエチレングリコール(東邦化学工業社製)、
以下実施例の配合は、不揮発分比で換算した数値である。
(実施例1)
合成例1で得られたポリウレタン系樹脂97重量部、合成例10で得られたポリウレタン系樹脂3重量部を混合し、GPCを使用して重量平均分子量および溶出曲線を測定した。得られた数値は、表2に記載する。
上記混合ポリウレタン系樹脂100重量部と、ポリイソシアネート化合物(B−1)8重量部、酸化防止剤IRGANOX L 135(BASF社製)0.3重量部、紫外線吸収剤TINUVIN 571(BASF社製)0.3重量部、光安定剤TINUVIN 765(BASF社製)0.3重量部、溶剤として酢酸エチルを適量配合し、ディスパーで攪拌することで粘着剤を得た。得られた粘着剤を、基材として厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(ルミラーT−60 東レ社製)に乾燥後の厚みが20μmになるように塗工し、100℃で2分間乾燥し、厚さ38μmの剥離ライナーを貼り合わせた。次いで室温で1週間放置し、粘着シートを得た。
(実施例2〜15、比較例1〜5)
原料を表2に記載された種類・量に置き換えた以外は、実施例1と同様の方法で行うことで、それぞれ実施例2〜15ならびに比較例1〜5の粘着シートを得た。得られた粘着シートを用いて、以下の物性評価を行い、結果を表2および表3に記載した。
(比較例5)
サンニックス PP−4000を64重量部、サンニックス GP−1500を36重量部、コロネート Lを44重量部、触媒としてナーセム第2鉄(日本化学産業社製)を0.04重量部、希釈溶剤として酢酸エチルを266重量部配合し、ディスパーで撹拌し、粘着剤を得た。得られた粘着剤を、基材として厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(ルミラーT−60 東レ社製)に乾燥後の厚みが20μmになるように塗工し、130℃で2分間乾燥シートし、厚さ38μmの剥離ライナーを貼り合わせた。次いで室温で1週間放置し、粘着シートを得た。実施例1と同様に物性評価を行い、結果を表3に記載した。
(物性評価)
<被着体汚染>
得られた粘着シートを、幅100mm・長さ100mmの大きさに準備し測定試料とした。次いで23℃・50%RH雰囲気下、30分間放置した後、測定試料から剥離ライナーを剥がし、露出した粘着剤層をガラス板に貼着した。その後、ガラス板に貼着した試料を60℃・90%RHの環境下に72時間放置し、次いで23℃・50%RHの雰囲気下で30分間放置した後、ガラス板から粘着シートを剥がし、被着体を下記基準で目視評価した。
○:ガラス板に汚染が確認できない。良好
△:ガラス板にわずかな汚染が確認できる。実用上問題なし
×:ガラス板に明確な汚染が確認できる。実用不可
<濡れ性>
得られた粘着シートを、幅50mm・長さ100mmの大きさに準備し測定試料とした。次いで23℃・50%RH雰囲気下、30分間放置した後、測定試料から剥離ライナーを剥がし、粘着シートの両端を手で持ちながら露出した粘着剤層の中心部をガラス板に接触させた後、手を離した。そして前記粘着シートの自重で粘着剤層全体がガラス板に密着するまでの時間を測定することでガラスに対する密着性を評価した。ガラス板と密着するまでの時間が短いほどガラスに対する親和性が良好であるため、ガラス部材を使用した製造工程でガラスを保護し易くなる。評価基準は以下の通りである。
○:密着まで3秒未満。良好
△:密着まで3秒以上、5秒未満。実用上問題なし
×:密着まで5秒以上。実用不可
<粘着力>
得られた粘着シートを幅25mm・長さ100mmの大きさに準備し測定試料とした。次いで23℃・50%RHの雰囲気下、剥離ライナーを剥がして、露出した粘着剤層をステンレス板(SUS304)に貼着し、2kgロールで圧着した後、24時間放置した。その後、JISZ0237に準拠し、引張試験機を用いて、剥離速度300mm/min、剥離角度180°の条件で粘着力を測定した。評価基準は以下の通りである。
○:粘着力が10mN/25mm以上、50mN/25mm未満。良好
△:粘着力が50mN/25mm以上、200mN/25mm未満。実用上問題なし
×:粘着力が200mN/25mm以上。実用不可
<塗工性>
得られた粘着剤を乾燥厚さが20μmになるようにコンマコーターを使用して塗工速度30m/minで剥離ライナー上に塗工することで粘着剤層を形成した。得られた粘着剤層の表面を下記基準で目視観察して評価した。
○:表面が鏡面状、かつ平滑な塗工面が得られた。良好
△:表面にわずかなロールスジが発生した。実用上問題なし
×:表面にロールスジが多く見られ、粘着剤層端部にハジキが発生した。実用不可
Figure 2017008314
Figure 2017008314

Claims (5)

  1. ポリオール(a)とポリイソシアネート(b)との反応物である、水酸基を有するポリウレタン系樹脂(A)と、ポリイソシアネート化合物(B)とを含み、
    前記ポリウレタン系樹脂(A)が、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー測定での溶出曲線において、
    分子量8000を境界として、分子量8000以上に極大値を有する高分子量成分(H)と、分子量2000〜6000に極大値を有する低分子量成分(L)とを有し、
    前記分子量8000を境界として、前記高分子量成分(H)と前記低分子量成分(L)との溶出曲線の面積比が、H/L=80/20〜97/3であり、
    ポリウレタン系樹脂(A)全体の重量平均分子量が3万〜50万である、粘着剤。
  2. 前記ポリウレタン系樹脂(A)の水酸基価が1〜30mgKOH/gである、請求項1記載の粘着剤。
  3. 前記ポリオール(a)100重量%中に、3つ以上の水酸基を有するポリオールを50〜95重量%含む、請求項1または2記載の粘着剤。
  4. 前記ポリイソシアネート化合物(B)が脂肪族ポリイソシアネートおよび脂環族系ポリイソシアネートからなる群より選択される1種以上である、請求項1〜3いずれか1項に記載の粘着剤。
  5. 基材と、請求項1〜4いずれか1項に記載の粘着剤の硬化物である粘着剤層とを備えた粘着シート。
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