JP2017008102A - メタボリックシンドローム予防または改善剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、メタボリックシンドローム予防または改善等の各種作用を有効に発揮することができ、かつ安全な成分を見出すことを目的とする。【解決手段】本発明は、カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスの交配種植物体の成分を有効成分とする、メタボリックシンドローム予防または改善剤等を提供する。前記交配種はサンルージュであることが好ましく、各剤は前記交配種植物体の茶葉抽出物を含むことが好ましい。【選択図】図1
Description
本発明は、糖尿病予防または改善剤、メタボリックシンドローム予防または改善剤、HOMA−IRの上昇抑制または改善剤、脂肪蓄積抑制または改善剤、食後血糖値の上昇抑制剤、糖分解阻害剤、α−グルコシダーゼ活性阻害剤、アミラーゼ活性阻害剤、脂質排出促進剤、リパーゼ活性阻害および脂質代謝向上剤に関する。
近年、摂取カロリーの過多が生活習慣病の原因となっている。特にデンプンを始めとする炭水化物の消化吸収を抑えることは肥満の予防・治療に有効であると考えられている。
中央アメリカ原産の潅木であるグァバは、その果実、根および葉が民間で生薬として糖尿病治療や下痢止めに用いられているが、最近、その葉を水または親水性溶媒により抽出して得られたエキスに、α−アミラーゼ活性阻害作用があることが見出され、健康飲料(特許文献1)やダイエット飲食品(特許文献2)として使用されている。
また、トウモロコシのデンプンを培焼し、アミラーゼで加水分解した後に、難消化性成分を取り出して調製した水溶性の食物繊維である難消化性デキストリンは、食後血糖値の上昇抑制作用が確認されており(非特許文献1)、特定保健用食品の材料として使用されている。
また、トウモロコシのデンプンを培焼し、アミラーゼで加水分解した後に、難消化性成分を取り出して調製した水溶性の食物繊維である難消化性デキストリンは、食後血糖値の上昇抑制作用が確認されており(非特許文献1)、特定保健用食品の材料として使用されている。
一方、茶の樹であるカメリアシネンシスの植物体の成分については、茶カテキン類がコレステロール上昇抑制効果を有すること(特許文献3)、非重合体カテキン類が蓄積体脂肪の燃焼促進、食事性脂肪の燃焼促進、肝臓β酸化遺伝子の発現促進等の各効果を有すること(特許文献4)が報告されている。
健康・栄養食品研究Vol.2 No.4 1999
しかしながら、カメリアシネンシスの植物体の成分が、効果的な食後の血糖値上昇抑制作用等の糖尿病予防又は改善に関する作用を有するとの報告は、知られていない。本発明の目的は、インスリン抵抗性改善、HOMA−IRの上昇抑制または改善、高血糖の悪化抑制または改善、食後血糖値の上昇抑制、α−グルコシダーゼ活性阻害、アミラーゼ活性阻害、リパーゼ活性阻害、脂質代謝向上、脂質排出促進、脂質蓄積抑制または改善、糖尿病予防または改善等の各種作用を有効に発揮することができ、かつ安全な成分を見出すことにある。
本発明者らは、カメリアシネンシスの近縁種の植物体の成分を種々検討したところ、カメリアシネンシスとその近縁種であるカメリアタリエンシスの交配種の植物体の成分がインスリン抵抗性の改善効果を有し、また、食後血糖値等の血糖値上昇抑制作用とともに、α−グルコシダーゼ活性阻害作用を有することを見出した。さらに、該植物体の成分は、アミラーゼ活性阻害効果、脂質排出促進効果を有し、リパーゼ活性阻害作用、脂質代謝の向上作用を有することを見出し、本発明に到達した。
本発明は、以下の態様を提供する。
〔1〕カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の成分を有効成分とする、糖尿病予防または改善剤。
〔2〕カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の成分を有効成分とする、メタボリックシンドローム予防または改善剤。
〔3〕カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の成分を有効成分とする、HOMA−IRの上昇抑制または改善剤。
〔4〕カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の成分を有効成分とする、脂肪蓄積抑制または改善剤。
〔5〕カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の成分を有効成分とする、食後血糖値の上昇抑制剤。
〔6〕カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の成分を有効成分とする、糖分解阻害剤。
〔7〕カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の成分を有効成分とする、α−グルコシダーゼ活性阻害剤。
〔8〕カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の成分を有効成分とする、アミラーゼ活性阻害剤。
〔9〕カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の成分を有効成分とする、脂質排出促進剤。
〔10〕カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の成分を有効成分とする、リパーゼ活性阻害および脂質代謝向上剤。
〔11〕カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種がサンルージュ(Camellia sinensis (L.) Kuntze sp Sunrouge)である〔1〕〜〔10〕のいずれか一項に記載の剤。
〔12〕カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の茶葉抽出物を含む〔1〕〜〔11〕のいずれか一項に記載の剤。
〔13〕茶葉抽出物が、茶葉抽出物の乾燥重量に対して、デルフィニジンまたはその配糖体0.13重量%以上を含む茶葉抽出物である〔12〕に記載の剤。
〔14〕カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の成分を有効成分として含む剤または組成物を対象に使用して対象の糖尿病を改善または予防することを含む、糖尿病を改善または予防する方法。
〔1〕カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の成分を有効成分とする、糖尿病予防または改善剤。
〔2〕カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の成分を有効成分とする、メタボリックシンドローム予防または改善剤。
〔3〕カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の成分を有効成分とする、HOMA−IRの上昇抑制または改善剤。
〔4〕カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の成分を有効成分とする、脂肪蓄積抑制または改善剤。
〔5〕カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の成分を有効成分とする、食後血糖値の上昇抑制剤。
〔6〕カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の成分を有効成分とする、糖分解阻害剤。
〔7〕カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の成分を有効成分とする、α−グルコシダーゼ活性阻害剤。
〔8〕カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の成分を有効成分とする、アミラーゼ活性阻害剤。
〔9〕カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の成分を有効成分とする、脂質排出促進剤。
〔10〕カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の成分を有効成分とする、リパーゼ活性阻害および脂質代謝向上剤。
〔11〕カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種がサンルージュ(Camellia sinensis (L.) Kuntze sp Sunrouge)である〔1〕〜〔10〕のいずれか一項に記載の剤。
〔12〕カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の茶葉抽出物を含む〔1〕〜〔11〕のいずれか一項に記載の剤。
〔13〕茶葉抽出物が、茶葉抽出物の乾燥重量に対して、デルフィニジンまたはその配糖体0.13重量%以上を含む茶葉抽出物である〔12〕に記載の剤。
〔14〕カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の成分を有効成分として含む剤または組成物を対象に使用して対象の糖尿病を改善または予防することを含む、糖尿病を改善または予防する方法。
本発明によれば、糖尿病予防又は改善剤、メタボリックシンドローム予防または改善剤、HOMA−IRの上昇抑制または改善剤、脂肪蓄積抑制または改善剤、食後血糖値の上昇抑制剤、糖分解阻害剤、α−グルコシダーゼ活性阻害剤、アミラーゼ活性阻害剤、脂質排出促進剤、ならびにリパーゼ活性阻害および脂質代謝向上剤が提供される。本発明の各剤は、お茶として旧来より飲用されているカメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の成分を有効成分とするため、長期間に亘って摂取しても安全性が高く、日常的に摂取することが可能である。
本発明の剤は、カメリアシネンシス(Camellia sinensis)とカメリアタリエンシス(Camellia taliensis)との交配種植物体の成分を有効成分とする。
カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種は、カメリアシネンシスに属する植物体とカメリアタリエンシスに属する植物体とを組み合わせて繁殖させて得られる品種である。繁殖は、人為的繁殖であってもよいし自家受粉等自然繁殖でもよい。1代目(雑種第1代)およびその子孫(例えば、雑種第1代の自然交配種)のいずれであってもよい。カメリアシネンシスはチャノキとも呼ばれる。カメリアシネンシスは、緑茶用品種(やぶきた、おくむさし等)であることが好ましく、おくむさしであることがより好ましい。カメリアタリエンシスは、ツバキ科の植物でカメリアシネンシスの近縁種であり、赤芽とも呼ばれる。
カメリアタリエンシスとカメリアタリエンシスの交配種は、交配種としては、「サンルージュ」(Camellia sinensis (L.) Kuntze、農林水産省 品種登録番号:21262)、F95181(茶中間母本農6号)が好ましく、「サンルージュ」がより好ましい。
本発明の剤としては、インスリン抵抗性改善剤、糖分解阻害剤、α−グルコシダーゼ活性阻害剤、リパーゼ活性阻害および脂質代謝向上剤、アミラーゼ活性阻害剤、食後血糖値の上昇抑制剤、脂質排出促進剤、脂質蓄積抑制または改善剤、メタボリックシンドローム予防または改善剤、HOMA−IRの上昇抑制または改善剤、高血糖の悪化抑制または改善剤、ならびに、糖尿病予防または改善剤が例示される。
本発明の糖尿病予防または改善剤は、糖尿病(通常はII型糖尿病)およびメタボリックシンドロームを予防するまたは改善することができる。メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満を共通の要因として高血糖、脂質異常、高血圧が引き起こされる状態を意味する。
予防とは、り患を抑制することを意味する。糖尿病の予防としては例えば、対象者の血糖値の指標(空腹時血糖値、食後血糖値(食後30分血糖値、食後2時間血糖値など)、経口ブドウ糖負荷試験における血糖値、ヘモグロビン(Hb)A1c値など)が、糖尿病型へ移行するのを防ぐこと(例:正常型から境界型への移行を防ぐこと、正常型のまま維持すること、境界型のまま維持すること、境界型から正常型へ移行させること)が含まれる。
改善とは、既にり患しているが症状を改善、緩和または悪化を抑制することを意味する。具体的には例えば、対象者の血糖値の指標は糖尿病型であるが、これを正常値に近づけること(例:境界型または正常型の値へ移行させること、正常型の域を出ないが境界型の付近まで向上させること)を含む。
メタボリックシンドロームの予防又は改善としては例えば、上記糖尿病の予防及び改善の例の他、脂質異常の正常化及び血圧の正常化が含まれる。
メタボリックシンドロームの予防又は改善としては例えば、上記糖尿病の予防及び改善の例の他、脂質異常の正常化及び血圧の正常化が含まれる。
糖尿病予防または改善効果は、インスリン抵抗性改善効果を発揮することの確認、HOMA−IRの上昇が抑制または改善されていることの確認、食後血糖値上昇抑制効果を発揮することの確認、α−グルコシダーゼ活性阻害効果を発揮することの確認、アミラーゼ活性の阻害効果を発揮することの確認、リパーゼ活性の阻害効果を発揮することの確認、脂質代謝を向上させる効果を発揮することの確認、脂質の排出を促進する効果を発揮することの確認、および脂質の蓄積が抑制または改善する効果を発揮することの確認から選ばれる1以上によればよい。
糖尿病予防または改善剤の対象者は、糖尿病患者、糖尿病予備軍、糖尿病罹患リスクを有する者であってもよいが、健常者(例:高齢者、肥満者、高血圧者、その他糖尿病を予防したいと考えている者)であってもよい。対象者はヒトおよびヒト以外の動物(愛玩動物(例:イヌ、ネコ、インコ)、家畜(例:ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ウマ)、家禽(例:ニワトリ、ウズラ、シチメンチョウ)、実験動物(例:マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ))を含む。
本発明の剤は、インスリン抵抗性を改善することができる。インスリン抵抗性とは、インスリンの効きにくさを意味する。インスリン抵抗性を改善するとは、インスリン抵抗性を正常値に近づけること、正常値の範囲に保つことをいう。インスリン抵抗性の確認は、HOMA−IR(HOMA−R指数、homeostasis model assessment RATIO、homeostasis model assessment as an index of insulin resistance)、グルコースクランプ法、SSPG(stedy state plasma glucose)法、空腹時の血清インスリン値と血糖値からの推定等の方法によることができ、このうちHOMA−IRによる測定が好ましい。インスリン抵抗性が改善されることは、HOMA−IRの上昇が抑制されること、または、HOMA−IRが低いまま維持されることにより確認してもよい。したがって、本発明の剤は、HOMA−IRの上昇を抑制または改善することができる。また、インスリン抵抗性が改善されると血糖値上昇も抑制されるので、インスリン抵抗性が改善されることは、血糖値上昇が抑制されることにより確認してもよい。
本発明の剤は、食後血糖値の上昇を抑制することができる。血糖値の上昇を抑制するとは、血糖値の上昇を抑制すること、または血糖値を正常値の状態で維持することを意味する。血糖値は、血中のグルコースを測定することで確認することができ、血糖値の上昇抑制の確認は、血中のグルコースの測定値が正常値の範囲内であるかどうかを確認することで達成できる。
食後血糖値の上昇を抑制するとは、食後血糖値の上昇を抑制すること、または食後血糖値を正常値の状態で維持することを意味する。食後とは、食事終了後であればよいが、食事終了後0〜30分であることが好ましい。食後血糖値は、血糖下面積(AUC、Area Under The Curve)にて確認することができる。食後血糖値の上昇改善は、AUCの減少により確認することができる。
本発明の剤は、脂質排出を促進することができる。脂質排出を促進するとは、脂質排出の量を通常よりも増加させることを意味する。脂質排出の量は、例えば、糞中の脂質排出量を測定することで確認することができる。また、脂質排出が促進されていることは、糞中の脂質排出量が通常よりも増加していることにより確認することができる。また、脂質排出が促進されることにより、体重が減少し、または体脂肪が減少するので、体重が減少していることまたは体脂肪が減少することにより、脂質排出が促進されていることを確認してもよい。
脂質排出が促進される結果、本発明の剤は、体重増加を抑制し、抗肥満作用を発揮し、その結果、高血糖状態の悪化を抑制または改善し、糖尿病を予防または改善することが期待される。
本発明の剤は、脂質蓄積を抑制または改善することができる。脂質蓄積を抑制または改善するとは、新たに蓄積する脂質量を減少させること、および、すでに蓄積されている脂質を減少させることをいう。脂質蓄積が抑制または改善されていることは、体脂肪量が維持されていること、体脂肪量が減少していることにより確認することができる。体脂肪量の代わりに、体重が維持されていること、体重が減少していることにより、脂質蓄積が抑制または改善されていることを確認してもよい。また、脂肪排出が促進されることを確認することにより、脂肪蓄積が抑制または改善されていることを確認してもよい。
脂質蓄積を抑制または改善する結果、本発明の剤は、体重増加を抑制し、抗肥満作用を発揮し、その結果、高血糖状態の悪化を抑制または改善し、糖尿病を予防または改善することが期待される。
本発明の剤は、糖分解を阻害することができる。糖分解の阻害は通常、糖分解にかかわる酵素の活性を阻害することによってなされる。斯かる酵素としては、α−グルコシダーゼ、アミラーゼが例示される。
本発明の剤は、α−グルコシダーゼ活性を阻害することができる。α−グルコシダーゼとはα−1,4グルコシド結合を切断する酵素であり、糖の分解にかかわる。α−グルコシダーゼ活性を阻害することにより、体内での糖の分解を防ぎ糖の吸収を抑制することができるので、血糖値の上昇を抑制することができる。血糖値の上昇を抑制する結果、体重増加を抑制し、抗肥満作用を発揮し、その結果、高血糖状態の悪化を抑制または改善し、糖尿病を予防または改善することが期待される。活性阻害とは、酵素の活性を低下または消失させることを意味する。活性阻害の様式は、基質阻害、競争(拮抗)阻害、非競争(非拮抗)阻害、不競争(不拮抗)阻害、またはこれらの阻害のうち2つ以上の組み合わせ(混合型阻害)のいずれであってもよい。α−グルコシダーゼ活性は、基質に作用した後の分解物の量の測定により確認することができ、分解物の量が減っていれば活性阻害したことを確認することができる。α−グルコシダーゼ活性の測定には、QuantiChrom(登録商標) α−Glucosidase Assay Kit(BioAssay Systems社製)等の比色測定キットを使用してもよい。また、α−グルコシダーゼ活性が阻害されると血糖値上昇も抑制されるので、α−グルコシダーゼ活性が阻害されることは、血糖値上昇が抑制されることにより確認してもよい。
本発明の剤は、アミラーゼ活性を阻害することができる。アミラーゼは、デンプンを加水分解する酵素である。アミラーゼを阻害することにより、体内でデンプンが糖に分解されることを抑制し、その結果、体内への糖の吸収を抑制することができるので、血糖値の上昇を抑制することができる。血糖値の上昇を抑制する結果、体重増加を抑制し、抗肥満作用を発揮し、その結果、高血糖状態の悪化を抑制または改善し、糖尿病を予防または改善することが期待される。
アミラーゼ活性は、従来公知の方法により測定することができ、例えば、MaxDiscovery(登録商標)アミラーゼ測定キット(Bioo Scientific Corporation製)等を使用することができる。
本発明の剤は、リパーゼ活性を阻害することができる。リパーゼとは、グリセロールエステルを加水分解して、脂肪酸を遊離させる酵素である。リパーゼは、生体のいずれの組織に由来するものであってよく、例えば、膵臓由来の膵リパーゼが挙げられる。本発明の剤は、特に、膵リパーゼ活性を阻害することができる。リパーゼを阻害することにより、脂質の分解が抑制されて、体内への脂質の吸収が抑制され、その結果、脂質が体外に排出されることを促進する。かかる作用により、体重増加を抑制し、抗肥満作用を発揮し、その結果、高血糖状態の悪化を抑制または改善し、糖尿病を予防または改善することが期待される。
本発明の剤は、脂質代謝を向上させることができる。脂質代謝を向上させることにより、脂質が生体に蓄積されることを抑制して、体外へ排出されることを促進する。かかる作用により、体重増加を抑制し、抗肥満作用を発揮し、その結果、高血糖状態の悪化を抑制または改善し、糖尿病を予防または改善することが期待される。脂質代謝が向上していることは、例えば、肝臓において、脂質代謝経路に関わる少なくとも一部の遺伝子の発現量が上昇していることから確認することができる。遺伝子の発現量は、例えば、マイクロアレイ解析(アジレント社製、Whole Mouse Genome オリゴDNAマイクロアレイキット Ver2.0)により分析することができる。
本発明の、α−グルコシダーゼ活性阻害剤の対象者は、糖尿病患者、食後高血糖患者、耐糖能異常者、高脂血症患者、高血圧患者、これらの予備軍やリスクを有する者であってもよいが、健常者(例:高齢者、肥満者、その他食後血糖値を上昇させたくない者、上記疾病の発症を抑制したいと考えている者)であってもよい。対象者はヒトおよびヒト以外の動物を含む。
本発明の、アミラーゼ活性阻害剤の対象者は、糖尿病患者、食後高血糖患者、耐糖能異常者、高脂血症患者、高血圧患者、これらの予備軍やリスクを有する者であってもよいが、健常者(例:高齢者、肥満者、その他食後血糖値を上昇させたくない者、上記疾病の発症を抑制したいと考えている者)であってもよい。対象者はヒトおよびヒト以外の動物を含む。
本発明の、食後血糖値の上昇抑制剤の対象者は、食後高血糖患者(耐糖能異常者、糖尿病患者、動脈硬化患者でもあることが多い)、食後高血糖予備軍、食後高血糖のリスクを有する者であってもよいが、健常者(例:高齢者、肥満者、その他食後高血糖の発症を抑制したいと考えている者)であってもよい。対象者はヒトおよびヒト以外の動物を含む。
本発明の、脂質蓄積抑制または改善剤の対象者は、メタボリックシンドロームの患者、糖尿病患者、高脂血症患者、高血圧患者であってもよいが、健常者であってもよい。対象者はヒトおよびヒト以外の動物を含む。
本発明のメタボリックシンドローム予防または改善剤の対象者は、糖尿病患者、メタボリックシンドロームの患者のほか、健常者(例:高齢者、肥満者、その他メタボリックシンドロームの発症を抑制したいと考えている者)であってもよい。対象者はヒトおよびヒト以外の動物を含む。
本発明の、インスリン抵抗性改善剤、HOMA−IRの上昇抑制または改善剤の対象者は、インスリン抵抗性患者(糖尿病、高血圧症、高脂血症、メタボリックシンドロームの患者でもあることが多い)、そのリスクを有する者であってもよいが、健常者(例:高齢者、肥満者、その他インスリン抵抗性の発症を抑制したいと考えている者)であってもよい。対象者はヒトおよびヒト以外の動物を含む。
本発明の、高血糖の悪化抑制または改善剤の対象者は、糖尿病患者、耐糖能異常者、これらの予備軍やリスクを有する者であってもよいが、健常者(例:高齢者、肥満者、その他血糖値を上昇させたくない者、上記疾病の発症を抑制したいと考えている者)であってもよい。対象者はヒトおよびヒト以外の動物を含む。
本発明の、リパーゼ活性阻害および脂質代謝向上剤の対象者は、メタボリックシンドロームの患者、糖尿病患者、高脂血症患者、高血圧患者であってもよいが、健常者であってもよい。対象者はヒトおよびヒト以外の動物を含む。
本発明の、脂質排出促進剤の対象者は、メタボリックシンドロームの患者、糖尿病患者、高脂血症患者、高血圧患者であってもよいが、健常者であってもよい。対象者はヒトおよびヒト以外の動物を含む。
植物体の成分は、植物体の少なくとも一部に含まれている成分であればよい。植物体の一部としては例えば、根、茎、葉、花、実、枝、種子、芽などが挙げられる。これらのうち茎および/または葉を含む部分であることが好ましく、茎および/または葉であることがより好ましい。カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の成分の調製方法は、特に限定されず、植物体からの抽出、精製等が例示される。本発明の剤は、カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の成分を、該植物体の葉(茶葉)抽出物として含むことが好ましい。
本発明の剤は、カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の成分を有効成分とする。該成分としては、アントシアニン、デルフィニジン、デルフィニジンの配糖体、カテキン類(例えばエピガロカテキンガレート)、カフェイン、アミノ酸、アミノ酸の塩、加水分解型タンニン(例えばストリクチニン)、テオガリン、テオガリン誘導体等が例示される。成分は1種単独であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。
本発明において、カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の成分は少なくともデルフィニジンまたはその配糖体を含むことが好ましく、少なくともデルフィニジンおよび/またはその配糖体とカテキン類を含むことがより好ましく、少なくとも、デルフィニジンおよび/またはその配糖体とカテキン類と、カフェイン、アミノ酸、アミノ酸の塩、加水分解型タンニン、テオガリンおよびテオガリン誘導体から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。本発明の剤が2種以上の成分を含む場合は、本発明の剤は組成物と言い換えることができる。
デルフィニジンは、アントシアニンを構成するアントシアニジンの一種である。アントシアニジンは、デルフィニジン、シアニジン、ペラルゴニジン、オーランチニジン、ルテオリニジン、ペオニジン、マルビジン、ペチュニジン、ヨーロピニジン、ロシニジン等に分類される。デルフィニジンは、3,5,7−トリヒドロキシ−2−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)−1−ベンゾピリリウム(C15H11O7)である。デルフィニジンの配糖体とは、デルフィニジンに含まれる1つ以上の水酸基の水素原子が他の置換基に置換されている化合物である。置換部位は3位または6位が好ましい。他の置換基の例としては、ガラクトース、グルコース等の糖から1つ水素原子を除いた基が挙げられる。デルフィニジンの配糖体の例としては、デルフィニジン−3−O−(6−トランス−p−クマロイル)−β−ガラクトシド(DCGa)、デルフィニジン−O−β−ガラクトシド(D3Ga)およびデルフィニジン−3−β−グルコシド(D3G)が挙げられる。本発明の剤は、デルフィニジンまたはその配糖体を1種類含んでいてもよいし、デルフィニジンおよびその配糖体の組み合わせ、またはデルフィニジンと2種類以上の配糖体の組み合わせを含んでいてもよい。
本発明の剤における、デルフィニジンまたはその配糖体の含有量は、有効成分(本発明の剤が茶葉抽出物を含む場合には、茶葉抽出物)の乾燥重量に対して好ましくは0.13重量%以上であり、0.16重量%以上であることがより好ましく、0.19重量%以上であることがさらに好ましい。上限は特に特定されないが、通常は0.5重量%以下である。
本発明の剤がデルフィニジン以外のアントシアニンを含む場合、アントシアニンの含有量に占めるデルフィニジンまたはその配糖体の含有量の比率は、50重量%以上であることが好ましく、60重量%以上であることがより好ましい。上限は特に特定されないが、通常は90重量%以下である。
アントシアニンの含有量とは、有効成分(本発明の剤が茶葉抽出物を含む場合には、茶葉抽出物)の乾燥重量に対するアントシアニンの含有量を意味する。デルフィニジンまたはその配糖体の含有量とは、本発明の剤の乾燥重量に対するデルフィニジンまたはその配糖体の含有量を意味する。
本発明の剤の乾燥重量に対するデルフィニジンまたはその配糖体の含有量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定することができる。本発明の剤の乾燥重量に対するアントシアニンの含有量は、HPLCにより測定することができる。
カテキン類としては、カテキン(C)、ガロカテキン(GC)、カテキンガレート(CG)、ガロカテキンガレート(GCG)、エピカテキン(EC)、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキンガレート(ECG)およびエピガロカテキンガレート(EGCG)、エピガロカテキン−3−(3”−O−メチル)ガレート(EGCG3”Me)、エピカテキン−3−(3”−O−メチル)ガレート(ECG3”Me)が挙げられる。
カテキンの含有量は、HPLCまたは比色法により測定することができる。
カフェインは、プリン環を持つプリンアルカロイドの一種である。カフェインはコーヒー、コーラ、緑茶、紅茶、ウーロン茶、ココア、チョコレート、栄養ドリンクなどの飲食品に含まれ、茶に含まれるカフェインはタンニンと結びつくためにその効果が抑制されることから、コーヒーのような興奮作用は弱く緩やかに作用する。
本発明の剤におけるカフェインの含有量は、有効成分(本発明の剤が茶葉抽出物を含む場合には、茶葉抽出物)の乾燥重量に対して5.4重量%以下であることが好ましく、5.2重量%以下であることがより好ましく、5.1重量%以下であることがさらに好ましい。下限は特に特定されないが、低カフェイン処理をしない場合は、通常は2.5重量%以上である。
カフェインの含有量は、HPLCにより測定することができる。
アミノ酸は、アミノ基とカルボキシル基を両方有する化合物である。アミノ酸の例としては、テアニン、グリシン、アルギニン、リジン、アラニン、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、スレオニン、アスパラギン、アスパラギン酸、フェニルアラニン、ロイシン、バリン、トリプトファン、プロリン、システイン、セリン、チロシン、イソロイシン、メチオニンが挙げられる。アミノ酸の塩の例としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、無機酸塩、有機酸塩などが挙げられる。
本発明の剤におけるアミノ酸またはその塩の含有量は、有効成分(本発明の剤が茶葉抽出物を含む場合には、茶葉抽出物)の乾燥重量に対して1.0重量%以上であることが好ましく、1.3重量%以上であることが好ましく、1.5重量%以上であることがより好ましい。上限は特に特定されないが、通常は4.5重量%以下である。
本発明の剤の乾燥重量に対するアミノ酸またはその塩の含有量は、HPLCにより測定することができる。
加水分解型タンニンを含むことにより、本発明の剤は、抗アレルギーの効果を発揮することができる。加水分解型タンニンの例としてはストリクチニンなどを挙げることができ、ストリクチニンであることが好ましい。ストリクチニンは、1,2−ジ−O−ガロイル−4,6−O−(S)−ヘキサヒドロキシジフェノイル−β−D−グルコピラノースである。
本発明の剤における加水分解型タンニンの含有量は、有効成分(本発明の剤が茶葉抽出物を含む場合には、茶葉抽出物)の乾燥重量に対して1.7重量%以下であることが好ましく、1.5重量%以下であることがより好ましく、1.4重量%以下であることがさらに好ましい。下限は特に特定されないが、通常は0.6重量%以上である。
ストリクチニン等の加水分解型タンニンの含有量は、HPLCにより測定することができる。
テオガリンまたはその誘導体を含むことにより、抗アレルギーの効果が得られる。テオガリンはトリヒドロキシ安息香酸の配糖体であり、(1S)−1β,3β,4β−トリヒドロキシ−5α−(ガロイルオキシ)シクロヘキサンカルボン酸とも呼ばれる。
テオガリンまたはその誘導体の含有量は、有効成分(本発明の剤が茶葉抽出物を含む場合には、茶葉抽出物)の乾燥重量に対して5.0重量%以下であることが好ましく、3.0重量%以下であることがより好ましく、1.6重量%以下であることがさらに好ましい。下限は特に特定されないが、通常は0.7重量%以上である。
テオガリンの含有量は、HPLCにより測定することができる。
本発明の剤は、カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の茶葉抽出物を含むことが好ましく、該茶葉抽出物を有効成分として含むことがより好ましい。これにより、上記の有効成分をバランスよく含むことができ、各種効能を顕著に発揮することができる。
茶葉抽出物に含まれるデルフィニジンまたはその配糖体は、従来知られているアントシアニンと比べて安定性が高い。安定性は、茶葉抽出物を温度100℃、時間120分の条件で加熱したときの茶葉抽出物中のデルフィニジンまたはその配糖体の残存率で表すことができる。該残存率は90重量%以上であることが好ましい。デルフィニジンまたはその配糖体の残存率は、式(1)で算出される。
式(1):
デルフィニジンまたはその配糖体の残存率(%)=
{(茶葉抽出物を温度100℃、時間120分の条件で加熱した後のデルフィニジンまたはその配糖体の含有量)/(上記加熱前の茶葉抽出物のデルフィニジンまたはその配糖体の含有量)}×100
デルフィニジンまたはその配糖体の残存率(%)=
{(茶葉抽出物を温度100℃、時間120分の条件で加熱した後のデルフィニジンまたはその配糖体の含有量)/(上記加熱前の茶葉抽出物のデルフィニジンまたはその配糖体の含有量)}×100
茶葉抽出物の抽出条件は、特に問わない。例えば、カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の茶葉を抽出して得ることができる。
茶葉は、抽出前に通常製茶される。製茶された茶葉の例としては、緑茶、紅茶、ウーロン茶等が挙げられ、緑茶が好ましい。緑茶の茶葉の例としては、煎茶、玉露、番茶、茎茶、芽茶、粉茶、ほうじ茶、玄米茶、碾茶、釜炒茶、包種茶等が挙げられる。
抽出前に茶葉のうちの少なくとも一部に粉砕処理がなされていてもよく、粉砕処理を行うことが好ましい。粉末の粒径は10mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましく、1mm以下が更に好ましい。粉砕処理には、破砕機(例えば、マルチビーズショッカー(登録商標、安井器械株式会社)、石臼、セラミックミル、ボールミル、ハンマーミルなどを用いることができる。
抽出溶媒としては、水またはエタノール水溶液が挙げられ、水が好ましい。また、エタノール水溶液におけるエタノールの濃度は、本発明の効果を害さない範囲で定めることができ、通常はエタノール水溶液全体に対し70重量%以下である。水で抽出する場合、抽出温度は70〜100℃が好ましく、70〜80℃がより好ましい。抽出時間は5〜60分であることが好ましく、5〜10分がより好ましい。水と茶葉との重量比は、茶葉1に対し、茶葉乾燥重量の10倍以上の水を用いることが好ましく、茶葉乾燥重量の10倍〜100倍量の水を用いることがより好ましい。抽出温度が100℃より高く、また、抽出時間が60分より長いと、カテキンの含有量が多くなるため、苦味および渋味が強くなり嗜好性が悪くなるおそれがある。また、酢酸のような有機溶媒で抽出すると、抽出効率は良いが、カテキン類の含有量が多くなるため、苦味および渋味が強く嗜好性が悪くなるおそれがある。抽出の際には撹拌を行ってもよい。
茶葉抽出物は、茶葉乾燥重量の10倍量以上の水に、温度70〜100℃、時間5〜60分の条件で抽出して得られる茶葉抽出物であることが好ましい。
抽出処理後、ろ過、遠心分離、篩過等の処理により固形分を除去(固液分離)してもよい。ろ過は1回でもよいし2回以上行ってもよい。ろ過の際にはろ紙、ラインフィルター等の手段を用いることができる。遠心分離は、100g〜15,000gで行うことができ、時間は1〜60分間とすることができる。さらに、濃縮(減圧濃縮、逆浸透膜処理など)、乾燥(噴霧乾燥、凍結乾燥など)等の処理を行ってもよく、濃縮と乾燥の両方を行うことが好ましい。濃縮物が、処理前の抽出物重量の0.05倍になるように行うことが好ましく、乾燥物が、茶葉物重量の0.2倍になるように行うことが好ましい。濃縮及び/又は乾燥後には、濾過、篩過を行ってもよい。
本発明の剤の形態は、特に限定されない。形態の例としては、液体(カプセル、ソフトカプセルなど)、スラリー(シロップなど)、半固体(クリーム、ペーストなど)、固体(錠、粉末(顆粒、細粒など))が挙げられ、固体であることが好ましく、粉末であることが好ましい。本発明の剤の剤形に限定はない。剤形の例として、丸剤、錠剤、顆粒剤、懸濁剤、乳剤、散剤、シロップ剤、トローチ剤が挙げられる。
本発明の剤の投与形態に特に限定はなく、経口投与、非経口投与(経肺投与、皮下投与、静脈内投与、髄腔内投与、経皮投与など)、舌下投与、吸入投与などがあるが、通常は経口投与である。
本発明の剤は、有効成分以外の成分を含んでいてもよい。本発明の剤が有効成分以外の成分を含む場合、本発明の剤は組成物と言い換えることもできる。有効成分以外の成分としては、各種添加剤が例示される。添加剤の具体例としては、以下のものが挙げられる:調味料;酸味料(クエン酸、コハク酸など);保存剤(アスコルビン酸、酢酸塩、ε−ポリリジンなど);pH調整剤;乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、レシチンなど);香料;色素;増粘剤(カラギーナン、キサンタンガムなど);膨張剤;タンパク質(大豆タンパク質、乳タンパク質など);糖類(デンプン、ショ糖、果糖、還元デンプン糖化物、エリスリトール、キシリトールなど);甘味料(スクラロース、ソーマチンなど);ビタミン類(ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンKなど);ミネラル類(鉄、カルシウムなど)。
本発明の剤は、飲食品、または飲食品添加物として利用することができる。飲食品の例としては、飲料(清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、粉末飲料、果実飲料、乳飲料、ゼリー飲料、ビール、日本酒、洋酒、中国酒、薬味酒など);米飯類(ご飯、お粥など);パン類;調味料(ソース、味噌、醤油、マヨネーズ、ショートニング、ドレッシング、たれ、香辛料等);大豆食品(納豆、豆腐、油揚げなど);水産加工食品(かまぼこ、はんぺん、ちくわ、練り製品など);食肉加工品(ハム、ソーセージ、ウィンナーなど);農産加工食品(野菜、果物など);漬物類;麺類(うどん、そば、スパゲッティなど);スープ類(粉末スープ、液体スープなど);乳製品(チーズ、ヨーグルト、クリームなど);菓子類(ゼリー、スナック菓子、チューインガム、キャンディー、チョコレート、ケーキなど);健康食品(機能性食品、栄養補助食品(サプリメント)、特定保健用食品);対象者が特定されている飲食品(医療用食品、病者用食品、乳児用食品、介護用食品、高齢者用食品)等が挙げられる。飲食品添加物が対象とする飲食品の例も、上記具体例と同様である。さらに本発明の剤は、飼料または飼料用添加物として利用することができる。飼料の対象はヒト以外の動物であればよい。
本発明の剤の投与時期は、特に限定されないが、食後血糖値上昇抑制剤、糖分解阻害剤、α−グルコシダーゼ活性阻害剤、アミラーゼ活性阻害剤の場合には、食前(例えば、摂食開始30分前から摂食開始まで)、食事中、または食後(例えば、摂食終了から30分後まで)に投与されることが好ましく、食事中に投与されることがさらに好ましい。
本発明の剤の投与量は、特に限定されず、投与対象の年齢、体重、健康状態などに応じて適宜調整することができる。本発明の剤の一日あたりの投与量は、茶葉として0.5g以上が好ましく、1.0g以上がより好ましく、1.5g以上がさらに好ましい。本発明の剤の一日あたりの投与量に上限はないが、通常茶葉として50g以下である。
本発明の剤(本発明の剤が2種以上の成分を含む場合は、組成物)は、対象に使用して対象の糖尿病を改善または予防することができる。したがって、本明細書より、本発明の剤または組成物を対象に使用して対象の糖尿病を改善または予防する方法が把握される。該方法において、対象の範囲、使用され得る剤または組成物、使用され得る剤または組成物の好ましい投与量、好ましい投与時期、投与形態の例および好ましい例は、本発明の剤において説明した例と同じである。
試験例1 メタボリックシンドローム予防の評価
[実施例1]
茶葉としては、2012年産「サンルージュ」茶葉を採取後、蒸し葉乾燥して得られるサンルージュ乾燥茶葉(荒茶)を用いた。
[実施例1]
茶葉としては、2012年産「サンルージュ」茶葉を採取後、蒸し葉乾燥して得られるサンルージュ乾燥茶葉(荒茶)を用いた。
サンルージュ荒茶をミル(タイガー社製)で5mm程度に粉砕し、原料粉砕物の20倍量(w/w)の70℃の温水を加え、70℃±2℃で10分撹拌後、100メッシュにて固液分離して抽出液を得た。抽出液は700gで10分間遠心分離し、上澄を回収した後に真空凍結乾燥機(LABCONCO社製、FZ−12CS型、BTD棚式乾燥チャンバ)で処理して、フリーズドライし、粉末のサンルージュ茶葉抽出物サンプルを得た。
得られたサンルージュ茶葉抽出物サンプルを飼料に1重量%添加し混合した。飼料組成を表1に示す。
実施例1で得られたサンルージュ茶葉抽出物サンプルの組成を確認したところ、以下の通りであった。なお、以下の量は、茶葉抽出物の乾燥重量に対する含量を示す。
〔サンルージュ茶葉抽出物サンプルの組成〕
・アントシアニン 0.29重量%
・デルフィニジン 0.19重量%
・デルフィニジン/アントシアニン比 0.68
・カテキン 23.1重量%
・EGCG 12.0重量%
・カフェイン 5.1重量%
・アミノ酸 1.5重量%
・ストリクチニン 1.4重量%
・テオガリン 1.5重量%
・アントシアニン 0.29重量%
・デルフィニジン 0.19重量%
・デルフィニジン/アントシアニン比 0.68
・カテキン 23.1重量%
・EGCG 12.0重量%
・カフェイン 5.1重量%
・アミノ酸 1.5重量%
・ストリクチニン 1.4重量%
・テオガリン 1.5重量%
サンルージュ茶葉抽出物サンプル投与群(n=6)として、12週齢の雄性マウスC57BL/6Jを用いた。投与群のマウスを7日間予備飼育した後に、サンルージュ茶葉抽出物サンプルを添加した飼料を1匹あたり1日4グラムとなるように自由摂取させ8週間飼育した。飼育期間終了後に、16時間絶食させてから血液を採取した。採血後にマウスを解剖し、睾丸周辺脂肪重量を測定した。マウスの睾丸周辺脂肪重量の測定結果を図1に示す。
採取した血液から血清を調製し、得られた血清をグルコースCII−テストワコー(和光純薬社製)にかけて血糖値を測定した。さらに、得られた血清を超高感度マウスインスリン測定キット(森永生科学研究所製)にかけてインスリン量を測定した。得られたデータから、HOMA−IR(計算式:{空腹時の血中インスリン濃度(μU/mL)×空腹時血糖値(mg/dl)}/405)を算出した。結果を図2に示す。
[比較例1]
サンルージュ乾燥茶葉の代わりに、2013年産「やぶきた」茶葉を採取後、蒸し葉乾燥したやぶきた乾燥茶葉を用いたこと以外は、実施例1と同様に実施した。飼料組成を表1に、結果を図1と図2に示す。
サンルージュ乾燥茶葉の代わりに、2013年産「やぶきた」茶葉を採取後、蒸し葉乾燥したやぶきた乾燥茶葉を用いたこと以外は、実施例1と同様に実施した。飼料組成を表1に、結果を図1と図2に示す。
[比較例2]
飼料に茶葉抽出物を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様に実施した。飼料組成を表1に、結果を図1と図2に示す。
飼料に茶葉抽出物を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様に実施した。飼料組成を表1に、結果を図1と図2に示す。
図1に示したように、サンルージュ茶葉抽出サンプルを添加した実施例1の飼料は、やぶきた茶葉抽出物サンプルを添加した比較例1、茶葉抽出物サンプルを添加しなかった比較例2と比較して、脂肪重量が少ない。
図2に示したように、サンルージュ茶葉抽出物サンプルを添加した実施例1の飼料は、やぶきた茶葉抽出物サンプルを添加した比較例1、茶葉抽出物サンプルを添加しなかった比較例2と比較して、HOMA−IRの上昇が有意に抑制された。このことは、本発明の剤が、インスリン抵抗性改善効果を発揮し得ることを示している。
肥満およびインスリン抵抗性は、それぞれメタボリックシンドロームの症状であり、試験例1の結果は、本発明の剤が、メタボリックシンドローム予防または改善効果を発揮し得ることを示している。
試験例2 食後血糖値の上昇抑制評価
[実施例2]
サンルージュ茶葉抽出物サンプル投与群(n=6)として、6週齢の雄性ICRマウスを用いた。各マウスを3週間予備飼育した後に、16時間絶食させてから血液を採取した。そして、実施例1と同様のサンルージュ茶葉抽出物サンプルと、溶性デンプン(和光純薬社製)とを、それぞれ500mg/kgマウス体重と2000mg/kgマウス体重となるように混合し、マウスの胃内にゾンデ投与した。
[実施例2]
サンルージュ茶葉抽出物サンプル投与群(n=6)として、6週齢の雄性ICRマウスを用いた。各マウスを3週間予備飼育した後に、16時間絶食させてから血液を採取した。そして、実施例1と同様のサンルージュ茶葉抽出物サンプルと、溶性デンプン(和光純薬社製)とを、それぞれ500mg/kgマウス体重と2000mg/kgマウス体重となるように混合し、マウスの胃内にゾンデ投与した。
茶葉抽出物サンプルと溶性デンプンを投与してから、30分、60分、120分、150分経過ごとに各マウスから血液を採取し、メディセーフミニ(テルモ社製)とメディセーフチップ(テルモ社製)により血糖値を測定した。0分から150分までの食後血糖値のAUCを算出した。結果を図3に示す。また、0分から30分までの食後血糖値のAUCを算出した。結果を図4に示す。
[比較例3]
サンルージュ茶葉抽出物サンプルの代わりに比較例1と同様のやぶきた茶葉抽出物サンプルを用いた以外は、実施例2と同様に実施した。結果を図3と図4に示す。
サンルージュ茶葉抽出物サンプルの代わりに比較例1と同様のやぶきた茶葉抽出物サンプルを用いた以外は、実施例2と同様に実施した。結果を図3と図4に示す。
[比較例4]
サンルージュ茶葉抽出物サンプルの代わりに生理食塩水を用いた以外は、実施例2と同様に実施した。結果を図3と図4に示す。
サンルージュ茶葉抽出物サンプルの代わりに生理食塩水を用いた以外は、実施例2と同様に実施した。結果を図3と図4に示す。
食事開始から150分後までのAUCについては、図3に示したように、サンルージュ茶葉抽出物サンプルを投与した実施例2のAUCは、生理食塩水を投与した比較例4のAUCと比較して有意に小さかった。一方、やぶきた茶葉抽出物サンプルを投与した比較例3のAUCは、比較例4のAUCと比較してわずかに小さかったに過ぎず、有意差も認められなかった。
また、食事開始から30分後までのAUCについては、図4に示したように、実施例2のAUCは比較例3と比較例4のそれぞれのAUCと比較して有意に低かった。比較例3のAUCは、比較例4のAUCよりもむしろ大きかった。
これらの結果は、本発明の剤が食後血糖値等の血糖値上昇抑制効果を発揮することができることを示している。
試験例3 α−グルコシダーゼ活性阻害率の評価(その1)
[実施例3]
実施例1と同様のサンルージュ茶葉抽出物サンプルを終濃度100mg/Lとなるように希釈した。α−グルコシダーゼ(和光純薬社製)を終濃度100U/Lとなるように希釈した。得られる各希釈液とQuantiChrom(登録商標) α−Glucosidase Assay Kit(BioAssay Systems社製)を用いて、サンルージュ茶葉抽出物サンプルのα−グルコシダーゼ活性阻害率を測定した。結果を図5に示す。
[実施例3]
実施例1と同様のサンルージュ茶葉抽出物サンプルを終濃度100mg/Lとなるように希釈した。α−グルコシダーゼ(和光純薬社製)を終濃度100U/Lとなるように希釈した。得られる各希釈液とQuantiChrom(登録商標) α−Glucosidase Assay Kit(BioAssay Systems社製)を用いて、サンルージュ茶葉抽出物サンプルのα−グルコシダーゼ活性阻害率を測定した。結果を図5に示す。
[比較例5]
サンルージュ茶葉抽出物サンプルの代わりに、比較例1と同様のやぶきた茶葉抽出物サンプルを用いた以外は、実施例3と同様に実施した。結果を図5に示す。
サンルージュ茶葉抽出物サンプルの代わりに、比較例1と同様のやぶきた茶葉抽出物サンプルを用いた以外は、実施例3と同様に実施した。結果を図5に示す。
図5に示したように、サンルージュ茶葉抽出物サンプルを用いた実施例3は、やぶきた茶葉抽出物サンプルを用いた比較例5と比較して、有意に高いα−グルコシダーゼ活性阻害効果を示した。この結果は、本発明の剤が、α−グルコシダーゼ活性阻害効果を発揮できることを示している。
試験例4 α−グルコシダーゼ活性阻害率の評価(その2)
[実施例4]
サンルージュの乾燥茶葉粉末20mgに1.0mLの蒸留水を添加し、100℃、10分間の条件で抽出した。1700gで10分間遠心分離し、0.2μmのフィルター(Whatman社製)で処理してサンルージュ乾燥茶葉の抽出液を得た。乾燥茶葉粉末は、荒茶をマルチビーズショッカー(安井器械社製)で破砕することにより作成した。
[実施例4]
サンルージュの乾燥茶葉粉末20mgに1.0mLの蒸留水を添加し、100℃、10分間の条件で抽出した。1700gで10分間遠心分離し、0.2μmのフィルター(Whatman社製)で処理してサンルージュ乾燥茶葉の抽出液を得た。乾燥茶葉粉末は、荒茶をマルチビーズショッカー(安井器械社製)で破砕することにより作成した。
α−グルコシダーゼ(和光純薬社製)を終濃度100U/Lとなるように希釈した。得られる抽出サンプルと希釈液とQuantiChrom(登録商標) α−Glucosidase Assay Kit(BioAssay Systems社製)を用いて、サンルージュ茶葉抽出物サンプルのα−グルコシダーゼ活性阻害率を測定した。結果を表2に示す。
[実施例5]
サンルージュの乾燥茶葉の代わりに、サンルージュの親株である茶中間母本農6号の乾燥茶葉を用いた以外は、実施例4と同様に実施した。結果を表2に示す。
サンルージュの乾燥茶葉の代わりに、サンルージュの親株である茶中間母本農6号の乾燥茶葉を用いた以外は、実施例4と同様に実施した。結果を表2に示す。
[比較例6]
サンルージュの乾燥茶葉の代わりに、表2に示す50品種の各乾燥茶葉を用いた以外は、実施例4と同様に実施した。結果を表2に示す。
サンルージュの乾燥茶葉の代わりに、表2に示す50品種の各乾燥茶葉を用いた以外は、実施例4と同様に実施した。結果を表2に示す。
表2に示したように、サンルージュ乾燥茶葉粉末抽出物サンプルを用いた実施例4と茶中間母本農6号茶葉粉末抽出物サンプルを用いた実施例5は、他の茶葉粉末抽出物サンプルを用いた比較例6と比較して、高いα−グルコシダーゼ活性阻害効果を示した。
この結果は、本発明の剤が、抽出条件などに左右されずにα−グルコシダーゼ活性阻害効果を安定して発揮できることを示している。
以上の実施例の結果は、本発明の剤が、α−グルコシダーゼ活性阻害効果を発揮する結果、食後血糖値の上昇を抑制し得、その結果肥満を予防または改善して高血糖の悪化を抑制または高血糖を改善し得、糖尿病予防、抑制効果を発揮できることを示している。
試験例5 アミラーゼ活性阻害の評価
[実施例6]
サンルージュの乾燥茶葉粉末20mgに1.0mLの蒸留水を添加し、100℃、10分間の条件で抽出した。1700gで10分間遠心分離し、0.2μmのフィルター(Whatman社製)で処理してサンルージュ乾燥茶葉の抽出液を得た。乾燥茶葉粉末は、荒茶をマルチビーズショッカー(安井器械社製)で破砕することにより作成した。
[実施例6]
サンルージュの乾燥茶葉粉末20mgに1.0mLの蒸留水を添加し、100℃、10分間の条件で抽出した。1700gで10分間遠心分離し、0.2μmのフィルター(Whatman社製)で処理してサンルージュ乾燥茶葉の抽出液を得た。乾燥茶葉粉末は、荒茶をマルチビーズショッカー(安井器械社製)で破砕することにより作成した。
豚膵臓由来アミラーゼ(シグマ社製)を終濃度800U/Lとなるように調製してアミラーゼ溶液を得た。「A:サンルージュ乾燥茶葉の抽出液とアミラーゼ溶液との混合液のアミラーゼ活性」と「B:アミラーゼ溶液のアミラーゼ活性」をそれぞれMaxDiscovery(登録商標)アミラーゼ測定キット(Bioo Scientific Corporation製)で測定し、AをBで除してサンルージュ乾燥茶葉の抽出液のアミラーゼ活性阻害率を求めた。結果を表3に示す。
[実施例7]
サンルージュの乾燥茶葉の代わりに、茶中間母本農6号の乾燥茶葉を用いた以外は実施例6と同様に実施した。
サンルージュの乾燥茶葉の代わりに、茶中間母本農6号の乾燥茶葉を用いた以外は実施例6と同様に実施した。
[比較例7]
サンルージュの乾燥茶葉の代わりに、表3に示す50品種の茶葉を用いた以外は、実施例6と同様に実施した。結果を表3に示す。
サンルージュの乾燥茶葉の代わりに、表3に示す50品種の茶葉を用いた以外は、実施例6と同様に実施した。結果を表3に示す。
表3に示したように、サンルージュ茶葉乾燥粉末抽出液サンプルを用いた実施例6および茶中間母本農6号茶葉乾燥粉末抽出液サンプルを用いた実施例7は、他の茶葉乾燥粉末抽出液サンプルを用いた比較例7と比較して、高いアミラーゼ活性阻害効果を示した。特に、サンルージュ茶葉乾燥粉末抽出液サンプルを用いた実施例6は、顕著に高いアミラーゼ活性阻害効果を示した。
試験例6 ヒトにおける食後血糖値の上昇抑制効果の評価
[実施例8]
以下に示すように、日本Glycemic Index研究会のプロトコールに準じて、ヒトにおける食後血糖値を測定した。
[実施例8]
以下に示すように、日本Glycemic Index研究会のプロトコールに準じて、ヒトにおける食後血糖値を測定した。
耐糖能異常のない者6名を被験者とした。血糖値測定日前日は被験者が過激な運動および、午後8時以降に食事することを禁止した。また、血糖値測定日前日は、被験者が暴飲暴食および多量の飲酒および夜更かしをすることも禁止した。
血糖値測定日は、被験者が朝食を摂ることを禁止し、午前9時から血糖値の測定を開始した。被験者の指先より採血し、メディセーフ血糖測定キット(テルモ社製)により血糖値を測定し、空腹時の血糖値とした。
次いで、被験者に、評価サンプルとしてサンルージュの乾燥茶葉粉末(2014年徳之島産、日本製紙株式会社より供給)0.5gを蒸留水50mLと共に摂取させた。サンルージュの乾燥茶葉粉末は、荒茶をミル(タイガー社製)で破砕することにより得た。摂取後すぐに米飯130g(パック米、サトウのごはん かるーく一膳 新潟県産コシヒカリ、サトウ食品製)を摂取させた。被験者が米飯を摂取する時間は、8分間から10分間とし、被験者に一口分の米飯を30回咀嚼させた。米飯を摂取させる間に、被験者に蒸留水100mLを小分けにして摂取させた。食事後は禁煙、絶飲食とし、被験者が過度に運動することを禁止した。
米飯の摂取開始時(0分とする。)から30分が経過した後に、被験者の指先より採血し、メディセーフ血糖測定キット(テルモ社製)により血糖値を測定し、食後30分の血糖値とした。摂取開始後0分〜30分までの、血糖値のAUCを算出し、食後血糖値の上昇量を算出した。摂取開始後0分の血糖値として、空腹時の血糖値を用いた。結果を図6に示す。
[実施例9]
被験者数を15名とし、評価サンプルを、サンルージュ乾燥茶葉粉末1.0gとした他は、実施例8と同様にして試験を実施した。結果を図6に示す。
被験者数を15名とし、評価サンプルを、サンルージュ乾燥茶葉粉末1.0gとした他は、実施例8と同様にして試験を実施した。結果を図6に示す。
[実施例10]
評価サンプルを、サンルージュ乾燥茶葉粉末1.5gとした他は、実施例8と同様にして試験を実施した。結果を図6に示す。
評価サンプルを、サンルージュ乾燥茶葉粉末1.5gとした他は、実施例8と同様にして試験を実施した。結果を図6に示す。
[比較例8]
被験者数を15名とし、評価サンプルを摂取させない他は、実施例8と同様にして試験を実施した。結果を図6に示す。
被験者数を15名とし、評価サンプルを摂取させない他は、実施例8と同様にして試験を実施した。結果を図6に示す。
[比較例9]
被験者数を15名とし、評価サンプルを、難消化性デキストリンを含むサプリメント(商品名:賢者の食卓(登録商標)1包6g、1包中難消化性デキストリン5g配合、大塚製薬製、特定保健用食品)とした他は、実施例8と同様にして試験を実施した。結果を図6に示す。
被験者数を15名とし、評価サンプルを、難消化性デキストリンを含むサプリメント(商品名:賢者の食卓(登録商標)1包6g、1包中難消化性デキストリン5g配合、大塚製薬製、特定保健用食品)とした他は、実施例8と同様にして試験を実施した。結果を図6に示す。
図6に示したように、サンルージュ乾燥茶葉粉末を0.5g摂取させた実施例8は、比較例8および比較例9よりも食後血糖値の上昇量が減少した。サンルージュ乾燥茶葉粉末を1.0g以上摂取させた実施例9および実施例10では、食後血糖値の上昇が比較例8に対して有意に抑制され、上昇抑制の効果は、実施例8と同等以上であった。試験例6の結果は、本発明の剤が、ヒトにおいても食後血糖値の上昇を抑制することを示し、食後血糖値の上昇を抑制する結果、肥満を予防または改善して高血糖の悪化を抑制または高血糖を改善し得、優れた糖尿病予防または抑制効果を発揮し得ることを示している。
試験例7 マウスにおける脂質排出促進効果および体重増加抑制効果の評価
試験例1 インスリン抵抗性の評価において調製した、実施例1、比較例1、比較例2における配合と同じ配合の飼料をそれぞれ、飼料1、飼料2、飼料3として以下の試験に用いた。
試験例1 インスリン抵抗性の評価において調製した、実施例1、比較例1、比較例2における配合と同じ配合の飼料をそれぞれ、飼料1、飼料2、飼料3として以下の試験に用いた。
なお、飼料1〜3は、マウスに与えられる通常の飼料よりも、糖含有率および脂肪含有率が高い。
[実施例11]
12週齢の雄性マウスC57BL/6J(n=6)を飼料1の投与群とした。投与群のマウスを7日間予備飼育した後に、飼料1を1匹あたり1日4gとなるように自由摂取させ8週間飼育した。摂取6週間以降に、マウス糞を2週間採取した。採取した糞は、風乾の後に脂質量測定のためのサンプルとした。
12週齢の雄性マウスC57BL/6J(n=6)を飼料1の投与群とした。投与群のマウスを7日間予備飼育した後に、飼料1を1匹あたり1日4gとなるように自由摂取させ8週間飼育した。摂取6週間以降に、マウス糞を2週間採取した。採取した糞は、風乾の後に脂質量測定のためのサンプルとした。
糞に含有される脂質は、以下に示すソックスレー抽出法により抽出して測定した。
(ソックスレー抽出法)
脂肪定量びんを充分洗浄し、乾燥(105℃ 12時間)して恒量を求めた。乾燥(105℃ 12時間)した糞を3g精秤して円筒ろ紙に入れた。円筒ろ紙の上部に脱脂綿をつめ、ソックスレー抽出器の抽出管に挿入し、恒量を求めてある脂肪定量びんを抽出管と連結した。抽出管の上部からエーテルを80mL入れた。抽出器に冷却管を接続して、抽出器を電気加温装置上に取り付け、冷却管には冷却水を流した。60℃〜70℃でエーテルを循環させ、12時間抽出した。円筒ろ紙を抽出管から取り出し、その後、脂肪定量びん中のエーテルが全部抽出管に移るまで加温を続けた。上部を取りはずした脂肪定量びんを湯浴上で加熱し、エーテルを完全に蒸発させた。脂肪定量びんを105℃の乾燥器で3時間乾燥後、 デシケータ中で30分間放冷、精秤した。恒量に達するまで乾燥、放冷、精秤を繰り返した。
脂肪定量びんを充分洗浄し、乾燥(105℃ 12時間)して恒量を求めた。乾燥(105℃ 12時間)した糞を3g精秤して円筒ろ紙に入れた。円筒ろ紙の上部に脱脂綿をつめ、ソックスレー抽出器の抽出管に挿入し、恒量を求めてある脂肪定量びんを抽出管と連結した。抽出管の上部からエーテルを80mL入れた。抽出器に冷却管を接続して、抽出器を電気加温装置上に取り付け、冷却管には冷却水を流した。60℃〜70℃でエーテルを循環させ、12時間抽出した。円筒ろ紙を抽出管から取り出し、その後、脂肪定量びん中のエーテルが全部抽出管に移るまで加温を続けた。上部を取りはずした脂肪定量びんを湯浴上で加熱し、エーテルを完全に蒸発させた。脂肪定量びんを105℃の乾燥器で3時間乾燥後、 デシケータ中で30分間放冷、精秤した。恒量に達するまで乾燥、放冷、精秤を繰り返した。
糞中の脂質量の測定結果を表4に示す。
[比較例10]
飼料1の代わりに飼料2を投与した他は、実施例11と同様にして試験を実施した。結果を表4に示す。
飼料1の代わりに飼料2を投与した他は、実施例11と同様にして試験を実施した。結果を表4に示す。
[比較例11]
飼料1の代わりに飼料3を投与した他は、実施例11と同様にして試験を実施した。結果を表4に示す。
飼料1の代わりに飼料3を投与した他は、実施例11と同様にして試験を実施した。結果を表4に示す。
表4の結果から、サンルージュ茶葉抽出物サンプルを含む飼料1を摂取させた実施例11のマウス群は、やぶきた茶葉抽出物サンプルを含む飼料2を摂取させた比較例10のマウス群または評価サンプルを含まないブランクの飼料3を摂取させた比較例11のマウス群と比較して、糞便中の脂質割合が大きく、飼料1に含まれるサンルージュ茶葉抽出物には、優れた脂質排出促進効果があることが分かる。また、屠殺時の体重は、飼料2を摂取させた比較例10のマウス群または飼料3を摂取させた比較例11のマウス群と比較して、飼料1を摂取させた実施例11のマウス群が最も少なく、飼料1に含まれるサンルージュ茶葉抽出物には、優れた体重増加抑制効果があることが分かる。
以上の結果は、本発明の剤が、優れた脂質排出促進効果および体重増加抑制効果を発揮することを示し、肥満を予防または改善して高血糖の悪化を抑制または高血糖を改善し得、優れた糖尿病予防または抑制効果を発揮し得ることを示している。
試験例8 脂質分解阻害効果の評価
[実施例12]
サンルージュの乾燥茶葉粉末20mgに1.0mLの蒸留水を添加し、100℃、10分の条件で抽出した。1700gで10分間遠心分離し、0.2μmのフィルター(Whatman社製)で処理してサンルージュ乾燥茶葉抽出液を得た。乾燥茶葉粉末は、荒茶をマルチビーズショッカー(安井器械社製)で破砕することにより作成した。
[実施例12]
サンルージュの乾燥茶葉粉末20mgに1.0mLの蒸留水を添加し、100℃、10分の条件で抽出した。1700gで10分間遠心分離し、0.2μmのフィルター(Whatman社製)で処理してサンルージュ乾燥茶葉抽出液を得た。乾燥茶葉粉末は、荒茶をマルチビーズショッカー(安井器械社製)で破砕することにより作成した。
豚膵臓由来リパーゼ(シグマ社製)を終濃度102U/Lとなるように調製した。「A:サンルージュ茶葉抽出液およびリパーゼ溶液の混合液のリパーゼ活性」と「B:リパーゼ溶液のリパーゼ活性」をそれぞれリパーゼキットS(DSフォーマバイオメディカル社製)で測定し、AをBで除すことによりサンルージュ乾燥茶葉抽出物のリパーゼ活性阻害率を求めた。結果を表5に示す。
[比較例12]
サンルージュの乾燥茶葉の代わりに、やぶきたの乾燥茶葉を用いた以外は、実施例12と同様に実施した。結果を表5に示す。
サンルージュの乾燥茶葉の代わりに、やぶきたの乾燥茶葉を用いた以外は、実施例12と同様に実施した。結果を表5に示す。
表5に示したように、サンルージュ茶葉乾燥粉末抽出液サンプルを用いた実施例12は、やぶきたの茶葉乾燥粉末抽出液サンプルを用いた比較例12と比較して、高いリパーゼ活性阻害効果を示し、優れた脂質分解阻害効果を有することが分かる。
試験例9 脂質代謝の向上効果の評価
[実施例13]
試験例1の実施例1で屠殺したマウスの肝臓を摘出し、マイクロアレイ解析(アジレント社製Whole Mouse GenomeオリゴDNAマイクロアレイキット Ver2.0)を行った。
比較として、試験例1の比較例2で屠殺したマウスの肝臓を摘出し、マイクロアレイ解析を行った。
得られた遺伝子発現量のデータについて、実施例1/比較例2で発現量が2.0以上になる遺伝子を発現上昇遺伝子として抽出した。
抽出した遺伝子のENTREZ GENE IDをDAVID(http://david.abcc.ncifcrf.gov/home.jsp)のFunctional Annotation解析にかけたのち、Kegg−pathwayから発現上昇遺伝子を有意に含むPathwayを抽出した。結果を表6に示す。
[実施例13]
試験例1の実施例1で屠殺したマウスの肝臓を摘出し、マイクロアレイ解析(アジレント社製Whole Mouse GenomeオリゴDNAマイクロアレイキット Ver2.0)を行った。
比較として、試験例1の比較例2で屠殺したマウスの肝臓を摘出し、マイクロアレイ解析を行った。
得られた遺伝子発現量のデータについて、実施例1/比較例2で発現量が2.0以上になる遺伝子を発現上昇遺伝子として抽出した。
抽出した遺伝子のENTREZ GENE IDをDAVID(http://david.abcc.ncifcrf.gov/home.jsp)のFunctional Annotation解析にかけたのち、Kegg−pathwayから発現上昇遺伝子を有意に含むPathwayを抽出した。結果を表6に示す。
[比較例13]
実施例13で用いた実施例1のマウスを、比較例1のマウスに変更した以外は、実施例13と同様に実施した。結果を表6に示す。
実施例13で用いた実施例1のマウスを、比較例1のマウスに変更した以外は、実施例13と同様に実施した。結果を表6に示す。
表6の結果から、サンルージュ茶葉抽出物サンプルを含む飼料を摂取させたマウスは、表6に示すいずれの脂質代謝経路においても、代謝が向上していることが分かる。
試験例8および試験例9の評価結果より、サンルージュ茶葉抽出物サンプルは、脂質分解阻害作用および代謝向上作用により、優れた脂質排出促進効果を奏することが推察される。
試験例10 茶葉抽出物の熱安定性の評価
[実施例14]
以下の条件で茶葉抽出物を得た。
[実施例14]
以下の条件で茶葉抽出物を得た。
・茶葉:2012年産「サンルージュ」茶葉を採取後、蒸し葉乾燥したもの
・前処理:マルチビーズショッカー(登録商標、安居器械株式会社)により粉砕処理(粒子径平均:309μm)
・温度:70℃
・時間:10分
・抽出溶媒と液量:蒸留水(DW)を茶葉乾燥重量に対して50倍重量
得られた茶葉抽出物の、乾燥重量あたりのデルフィニジンまたはその配糖体の含有量とカテキンの含有量とを、文献(Mari Maeda−Yamamoto et al.Chemical analysis and acetylcholinesterase inhibitory effect of anthocyanin−rich red leaf tea (cv. Sunrouge).J Sci Food Agric 92:2379−2386(2012).)に記載された条件でHPLCにより分析したところ、それぞれ0.2重量%、18.5重量%であった。
茶葉抽出物を濃縮後、スプレードライヤー(ヤマト科学株式会社製、商品名:Pulvis Mini−Spray GA−32)にて粉末化し、茶葉抽出物の粉末を作成した。これを温度100℃で120分間加熱処理し、処理後のデルフィニジン残存率を測定した。
[比較例14]
デルフィニジンリッチな既存流通品であるマキベリー由来エキス粉末(オリザ油化社製、商品名:マキベリーエキス)の規格値を用いた。
デルフィニジンリッチな既存流通品であるマキベリー由来エキス粉末(オリザ油化社製、商品名:マキベリーエキス)の規格値を用いた。
実施例14、比較例14の結果を図7に示す。
茶葉抽出物粉末の熱安定性(実施例14)は、デルフィニジンを含有するマキベリーエキス粉末(比較例14)と比較して優れていた。
Claims (9)
- カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体または該植物体の抽出物を含む、メタボリックシンドローム予防または改善剤。
- カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体または該植物体の抽出物を含む、脂肪蓄積抑制または改善剤。
- カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体または該植物体の抽出物を含む、糖分解阻害剤。
- カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体または該植物体の抽出物を含む、アミラーゼ活性阻害剤。
- カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体または該植物体の抽出物を含む、脂質排出促進剤。
- カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体または該植物体の抽出物を含む、リパーゼ活性阻害および脂質代謝向上剤。
- カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種がサンルージュ(Camellia sinensis (L.) Kuntze sp Sunrouge)である請求項1〜6のいずれか一項に記載の剤。
- 前記抽出物が、カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスとの交配種植物体の茶葉抽出物である請求項1〜7のいずれか一項に記載の剤。
- 茶葉抽出物が、茶葉抽出物の乾燥重量に対して、デルフィニジンまたはその配糖体0.13重量%以上を含む茶葉抽出物である請求項8に記載の剤。
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