JP2009173652A - 紅茶エキスを有効成分とする中性脂肪吸収阻害用組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】紅茶由来のポリフェノールを総ポリフェノール量として70mg/100mL以上100mg/100mL未満を含有し、テアフラビン量が0.1〜3.5mg/100mL、カフェイン量が5〜20mg/100mLに調整された紅茶エキスを有効成分とする中性脂肪吸収阻害用組成物からなる。本発明の紅茶ポリフエノールを高含有する紅茶エキスは、優れた中性脂肪吸収阻害作用を有すると共に、ポリフェノールを高含有する場合に生じる苦味の増大を抑制して、従来の市販紅茶本来の風味によって摂取できる、嗜好性に優れた中性脂肪吸収阻害用組成物を提供する。
【選択図】なし
Description
本発明の紅茶抽出液のテアフラビン量は0.1〜3.5mg/100mLであり、好ましくは0.3〜3.0mg/100mLであり、より好ましくは0.5〜2.5mg/100mLである。テアフラビンは、カテキンが酸化重合した2量体であり、具体的にはテアフラビン、テアフラビン3−O−ガレート、テアフラビン3’−O−ガレート、テアフラビン3’,3’−O−ジガレート及びイソテアフラビンのことをいう。これらは、紅茶抽出液の水色の主な由来となる物質群であり、紅茶抽出液の外観の指標となりうる物質群である。テアフラビン量が0.1mg/100mLを下回ると紅茶本来の水色が期待できなくなる。
試料溶液を0.45μm親水性PTFEフィルター(アドバンテック(株)製,DISMIC−13HP)で濾過した後、以下の条件にてHPLCを用いて定量する。
装置:アライアンスHPLC/PDAシステム(日本ウォーターズ株式会社製)
カラム:CAPCELL PAK UG120(4.6mmI.D.×100mm、
SHISEIDO)。
移動相A液:0.05%リン酸水。
移動相B液:アセトニトリル:酢酸エチル=985:15。
グラジエント:注入13.3分後から26.6分にかけてA液81%から77%に達する
リニアグラジエント。
流速:1.5mL/min。
検出:UV280nm。
カラム温度:25℃。
サンプル量:20μL。
好適な測定濃度範囲:0.25mg/100mL−10mg/100mL。
本発明の紅茶抽出液のカフェイン量は5〜20mg/100mLである。20mg/100mLを超えると、苦渋味が強くなり飲用には好ましくない。また寒冷混濁の発生にも影響する。一方、5mg/100mLを下回ると、紅茶本来の風味が損なわれるため好ましくない。なお、紅茶抽出液のカフェイン量は総ポリフェノール量と相関しており、本発明の総ポリフェノール量の範囲では通常茶葉を用いて通常の抽出をするだけでは20mg/100mL超になることが知られている。カフェインは、公知の方法を適宜使用して算出すればよい。一例として以下の方法を例示する。
試料溶液を0.45μm親水性PTFEフィルター(アドバンテック(株)製,DISMIC−13HP)で濾過した後、以下の条件にてHPLCを用いて、カフェインを定量した。
(HPLC分析条件):
装置:アライアンスHPLC/PDAシステム(日本ウォーターズ株式会社製)。
カラム:Mightysil RP−18 GP、4.6mmI.D.×150mm
(関東化学(株)製)。
移動相A液:アセトニトリル:0.05%リン酸水=10:400の溶液。
移動相B液:メタノール:アセトニトリル:0.05%リン酸水=200.10:400
の溶液。
グラジエント:注入3分後から25分後にA液100%からB液100%に達する
リニアグラジエント。
流速:1mL/min。
検出:UV275nm(カフェイン)。
カラム温度:40℃。
サンプル量:10μL。
本発明の紅茶抽出液は、例えば次のように製造することができる:まず、茶葉の選定および抽出条件の調整によって本発明の紅茶飲料が製造できる。紅茶葉は産地別に、ダージリン、ディンブラ、アッサム、ウバ、ケニア、ヌアラエリアを始め、多数の種類が知られており、その成分は原料の茶樹の種類の違いやその発酵方法の違いによって異なっている。さらには毎年の収穫ごとでも厳密には成分が異なってくる。これらの茶葉の成分分析をおこなって、1種あるいは2種以上の茶葉を原料として使用できる。
り好ましい。またこの紅茶エキスは濃縮あるいは乾燥しても良い。このような紅茶エキスを使用する方法が成分量の調整が容易である点で、本発明の抽出液を製造するには最も適している。なお、本発明でいう「紅茶抽出液に対して別途調製した紅茶エキスを添加する」とは、具体的な実施形式として「紅茶抽出液に紅茶エキスを添加する」ことにとどまらず、結果的に紅茶飲料中に紅茶抽出液由来の成分と紅茶エキス由来の成分が混在していれば、いずれの実施形式も取りうる。
<紅茶エキス比較品の調製>
市販されている紅茶葉(スリランカ産)90gを95℃の超純水810mLに投入後、80〜95℃の温度で時々攪拌しながら45分間抽出した。この抽出液を濾紙(アドバンテック(株)製、No.2、110mm)で濾過し、1回目の抽出濾過液を得た。上記抽出工程で残った茶葉を回収し、再度95℃の超純水720mLに投入後、80〜95℃の温度で時々攪拌しながら45分間抽出した。この抽出液を濾紙(アドバンテック(株)製、No.2、110mm)で濾過し、2回目の抽出濾過液を得た。上記1回目及び2回目の抽出濾過液を混合し、紅茶抽出液1,250gを得た。この抽出液50gを濃縮後凍結乾燥して、紅茶エキス比較品1g(カテキン=4.38重量%、カフェイン=6.70重量%、ポリフェノール=27.9重量%、テアフラビン=0.72重量%)を得た。
上記方法と同様な方法で得られた紅茶抽出液400gに活性炭(二村化学工業(株)製)5gを添加し、75℃で1時間攪拌後、セライトをプレコートしたろ過板(NA500.110mm)により濾過した。この濾液を濃縮後凍結乾燥して、本発明に用いるに適した紅茶エキス(1)6g(総ポリフェノール量=23.5重量%、カフェイン量=0.63重量%、テアフラビン量=0.31重量%)を得た。
活性炭を添加して45℃で、1時間30分攪拌すること以外は、紅茶エキス(1)の調製と全く同様に処理して、紅茶エキス(2)6g(総ポリフェノール量=24.3重量%、カフェイン量=0.1重量%、テアフラビン量=0.5重量%)を得た。
紅茶葉100gを、90℃の熱水3000gで6分間攪拌しながら抽出した。得られた抽出液と上記調製例で調製した紅茶エキス(1)(本発明に用いるに適する紅茶エキス)とを用いて表1のポリフェノール量になるようにそれぞれ配合量を決定した。紅茶原料(紅茶葉、紅茶エキス)のほか、ビタミンCを0.05%配合し、重曹を用いてpH6.0になるように調製して紅茶飲料調合液を得た。得られた調合液を、UHT殺菌処理してPETボトルに充填し、本発明の紅茶飲料を製造した。その時のカフェイン量、テアフラビン量を表2に示す。
紅茶エキスを使用しない、すなわち紅茶抽出液だけを使用して飲料総ポリフェノール量が実施例1、4、5、6、7と同じになるようにした以外は全く同様にして比較例1−5の紅茶飲料を製造した。また、実施例5の紅茶エキスを上記調製例に示す紅茶エキス比較品に替えて比較例6の飲料を製造した。その時のカフェイン量、テアフラビン量を表2に示す。
実施例1−7、比較例1−6の紅茶飲料を熟練したパネリストにより官能評価を行なった。その結果を表2に示す。香味評価の「後ギレのよさ」については、良い(5点)から悪い(1点)の5段階で評価した。また、紅茶の香りやテクスチャーなども含めた総合評価として「飲みやすさ」を5段階で点数評価した。外観評価は飲料を0℃で2週間保存した後、目視にて混濁の程度を3段階で評価した。
紅茶葉100gを、90℃の熱水3000gで6分間攪拌しながら抽出した。得られた抽出液と上記調製例で調製した紅茶エキス(2)(本発明に用いるに適する紅茶エキス)とを用いて表1のポリフェノール量になるようにそれぞれ配合量を決定した。紅茶原料(紅茶葉、紅茶エキス)のほか、ビタミンCを0.05%配合し、重曹を用いてpH6.0になるように調製して紅茶飲料調合液を得た。得られた調合液を、UHT殺菌処理してPETボトルに充填し、本発明の紅茶飲料を製造した。その時のカフェイン量、テアフラビン量を表3に示す。
実施例8−14の紅茶飲料を熟練したパネリストにより官能評価を行なった。その結果を表3に示す。香味評価の「後ギレのよさ」については、良い(5点)から、悪い(1点)の5段階で評価した。また、紅茶の香りやテクスチャーなども含めた総合評価として「飲みやすさ」を5段階で点数評価した。外観評価は飲料を0℃で2週間保存した後、目視にて混濁の程度を3段階で評価した。
[紅茶エキスの膵リパーゼ活性阻害作用]
膵リパーゼ活性の測定はすでに報告された方法(J. Agric. Food Chem.,53, 4593-4598, (2005))に従い、測定試薬には4−methylumbelliferyloleate(シグマアルドリッチ)を使用して行なった。酵素源としてはブタ膵リパーゼ(シグマアルドリッチ)を、1検体当り10U使用した。調製例によって調製された紅茶エキス(1)、(2)は10%エタノールに溶解し、試験に供した。活性は10%エタノールのみを添加した場合に得られる酵素活性を100%として表示した。測定の結果、紅茶エキスは膵リパーゼ活性を阻害し、終濃度30μg/mlで添加したときに約50%までリパーゼ活性が低下した(図1:紅茶エキスの膵リパーゼ阻害活性;平均値±標準誤差)。以上の結果から、紅茶エキスが膵リパーゼ活性の阻害作用を持つことが確認された。
[紅茶エキスの脂質エマルジョン単回投与試験における脂質吸収抑制作用]
ラットにおける脂質エマルジョン吸収の測定試験は、すでに報告された方法(Int. J. Obes. Relat. Metab. Disord. 25, 1459-1464 (2001))にしたがって以下の通りに実施した。脂質エマルジョンはコーン油(6ml)、コール酸(80mg)、オレイン酸コレステリル(2g)、蒸留水(2ml)を混合し、超音波処理により調製し、12時間絶食後の8〜9週齢の雄性Wistarラット(日本チャールズリバー)に10ml/kg体重になるように胃ゾンデを用いて経口投与した。調製例によって調製された紅茶エキス(1)、(2)投与群では投与量が500又は1000mg/kg体重になるように、脂質エマルジョン調製時に紅茶エキスを混合した。脂質エマルジョン投与前、及び投与後1、2、3、4、5、7、9時間後のそれぞれに尾静脈より採血し、定法に従い血漿を調製し、血漿中の中性脂肪濃度をトリグリセライドGテストワコー(和光純薬)により測定した。
[高脂肪食混餌並びに標準食混餌試験における紅茶エキスの抗肥満作用]
5週齢の雌性C57BL/6Nマウス(日本チャールズリバー)をAIN93G飼料(オリエンタル酵母)により10日間自由飲水、自由摂餌下で飼育後、試験食の給餌を開始した。試験食は、標準食(AIN93G)または脂質由来のエネルギー比が60%の高脂肪食(Metabolism, 45, 1539-1546 (1996))を用い、紅茶エキス投与群には、それぞれに調製例によって調製された紅茶エキス(1)を1%又は5%(w/w)混合したものを給餌した。高脂肪食対照群はn=12、その他の群は全てn=10で8週間の飼育試験を行った。飼育期間中は毎日給餌及び摂餌量の測定を行い、体重測定を1週間に1回行った。飼育最終日に非絶食条件化でエーテル麻酔の後、眼窩静脈叢より採血を行い、定法に従って血漿を調製し、血漿中の中性脂肪濃度をトリグリセライドGテストワコー(和光純薬)により測定した。採血後、体長測定を行った後に解剖を行い、皮下脂肪組織、腎周囲脂肪組織、子宮周囲脂肪組織をそれぞれ採取し、湿重量を測定した。
Claims (6)
- 紅茶エキスを有効成分とし、中性脂肪吸収阻害用組成物中の紅茶由来のポリフェノールを総ポリフェノール量として70mg/100mL以上100mg/100mL未満含有し、テアフラビン量が0.1〜3.5mg/100mL、カフェイン量が5〜20mg/100mLに調整された中性脂肪吸収阻害用組成物。
- 中性脂肪吸収阻害が、体重増加を抑制するものであることを特徴とする請求項1記載の中性脂肪吸収阻害用組成物。
- 中性脂肪吸収阻害用組成物中の総ポリフェノール量が70mg/100mL以上100mg/100mL未満を含有し、テアフラビン量を0.1〜3.5mg/100mLに、カフェイン量を5〜20mg/100mLとなるように、中性脂肪吸収阻害用組成物中の総ポリフェノール量、テアフラビン量、及びカフェイン量を調整することを特徴とする請求項1又は2記載の中性脂肪吸収阻害用組成物の製造方法。
- テアフラビン量及びカフェイン量の調整が、紅茶抽出液に対して、別途、調製した紅茶エキスを添加することによって行われることを特徴とする請求項3記載の中性脂肪吸収阻害用組成物の製造方法。
- 添加する紅茶エキスのカフェイン含有量が、0.01〜1重量%、テアフラビン含有量が0.05〜1.3重量%であることを特徴とする請求項4記載の中性脂肪吸収阻害用組成物の製造方法。
- 紅茶エキスの添加量が、総ポリフェノール換算で紅茶抽出液の10%以上100%未満であることを特徴とする請求項4又は5記載の中性脂肪吸収阻害用組成物の製造方法。
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