JP2017007149A - インク受容層用組成物、インクジェット用記録媒体及びインクジェット用インク組成物 - Google Patents

インク受容層用組成物、インクジェット用記録媒体及びインクジェット用インク組成物 Download PDF

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宏昭 西窪
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Abstract

【課題】インクに対する吸収性が低い記録媒体に対してインクジェット方式で印刷した場合に、画質に優れ、かつ、耐擦過性やテープ剥離性などの定着性を向上させることが可能なインク受容層用組成物、インクジェット用記録媒体及びインクジェット用インク組成物を提供する。【解決手段】本発明にかかるインク受容層用組成物は、インクジェット用インク組成物を受容して記録するインク受容層の形成に用いられるインク受容層用組成物であって、カチオン量が、前記インクジェット水性インク組成物がブラック顔料を含み、かつ、ワックスを含まない場合、当該インクジェット水性インク組成物に含まれるアニオン量に対し、40倍以上であり、前記インクジェット水性インク組成物がシアン顔料、マゼンダ顔料又はイエロー顔料の何れかと、ワックスを含む場合、当該インクジェット水性インク組成物に含まれるアニオン量に対し、26倍より大きいことを特徴とする。【選択図】 なし

Description

本発明は、インク受容層用組成物、インクジェット用記録媒体及びインクジェット用インク組成物に関し、より詳細には、一般の印刷用紙、コート紙、アート紙、ボール紙及び紙器用紙など、水性インクに対する吸収性が低いインクジェット用記録媒体に対し、テープ剥離性等の定着性能に優れると共に、画質も向上させることが可能なインク受容層用組成物、インクジェット用記録媒体及びインクジェット用インク組成物に関する。
インクジェット記録方法は、色材や機能材料を含むインクを液滴に分離し、この液滴を画像信号に応じて紙等の記録媒体に向けて吐出し、付着させて印刷を行う方法である。近年のインクジェット記録技術の革新的な進歩により、これまでオフセット印刷によって実現されてきた高精細印刷の分野に於いてもインクジェット記録方法が用いられるようになっている。それに伴い、オフセット印刷の分野で用いられる印刷コート紙等の記録媒体に使用可能な水性インクの開発もなされている。しかし、記録媒体は疎水性であるため、水性インクを用いた印刷では、ビーディング(例えば、単色で印刷した際にインクが凝集するように偏在化する濃度斑)による画像欠陥が発生し易いという問題がある。
そこで、従来の記録媒体においては、前記のビーディングの問題を解決するために、記録媒体を構成する基材に、水性インクを受容させるインク受容層を予め形成し、水性インクの吸収性を向上させる方法が検討されている。
例えば、下記特許文献1では、インク吸収性の基材の一方の面に、無機顔料とバインダーを主体とするインク受容層を設けると共に、他方の面にカチオン性物質を塗布又は含浸させる記録媒体が開示されている。また、下記特許文献2には、インク受容層として、カチオン性アクリル系樹脂及び造膜性を有するアクリル系樹脂を含有するものが開示されている。さらに、特許文献3では、インク受容層に、総量が0.1〜10g/mのカチオン性化合物を含む旨の開示がある。
しかし、これらの各特許文献に開示の記録媒体は、水性インクによるインクジェット方式での印刷において、印刷画像の耐擦過性やテープ剥離性等の定着性能が十分に優れているとはいえず、オフセット印刷と比較して、色移り度合が大きいという問題がある。
特開平8−174996号公報 特開平11−28861号公報 特開2003−170651号公報
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、インクに対する吸収性が低い記録媒体に対してインクジェット方式で印刷した場合に、画質に優れ、かつ、耐擦過性やテープ剥離性などの定着性を向上させることが可能なインク受容層用組成物、インクジェット用記録媒体及びインクジェット用インク組成物を提供することにある。
本願発明者等は、前記問題点を解決すべく、インク受容層用組成物、インクジェット用記録媒体及びインクジェット用インク組成物について検討した。その結果、下記構成を採用することにより前記の問題点を解決できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明に係るインク受容層用組成物は、前記の課題を解決する為に、インクジェット用インク組成物を受容して記録するインク受容層の形成に用いられるインク受容層用組成物であって、カチオン量が、前記インクジェット水性インク組成物がブラック顔料を含み、かつ、ワックスを含まない場合、当該インクジェット水性インク組成物に含まれるアニオン量に対し、40倍以上であり、前記インクジェット水性インク組成物がシアン顔料、マゼンダ顔料又はイエロー顔料の何れかと、ワックスを含む場合、当該インクジェット水性インク組成物に含まれるアニオン量に対し、26倍より大きいことを特徴とする。
インクジェット方式の印刷では、記録媒体にインク受容層を設けることにより、インクジェット用インク組成物(以下、「インク組成物」という場合がある。)の吸収を向上させ、これによりビーディング等の印刷画像の欠陥の発生を抑制している。しかし、従来の記録媒体は、インク受容層の形成により記録媒体へのインク組成物の定着性の低下を招来していた。
ここで、インク組成物のインク受容層への定着は、当該インク組成物に含まれるアニオンと、当該インク受容層を形成するインク受容層用組成物に含まれるカチオンとが化学反応して、インク組成物が凝集することにより起こる。本発明においては、前記構成のように、インク組成物がブラック顔料を含み、かつ、ワックスを含まない場合には、インク受容層用組成物中のカチオン量を、当該インク組成物中のアニオン量に対し40倍以上にし、インク組成物がシアン顔料、マゼンダ顔料又はイエロー顔料の何れかと、ワックスを含む場合には、当該インク組成物中のアニオン量に対し26倍より大きくすることで、テープ剥離性や耐擦過性等のインク組成物の定着性を向上させることが可能になった。
すなわち、本発明によれば、前記の構成を採用することにより、ビーディング等の印刷画像の画質の低下を防止すると共に、テープ剥離性及び耐擦過性等の定着性の向上を図ることが可能になる。尚、インク組成物に含まれるアニオン量は、当該インク組成物中にワックスが含まれる場合には、当該ワックスのアニオン量を除くものである。
また、本発明に係る記録媒体は、前記の課題を解決する為に、基材と、前記基材の少なくとも一方の面に形成され、インクジェット用インク組成物を受容して記録するインク受容層とを備えるインクジェット用記録媒体であって、前記インク受容層におけるカチオン量が、前記インクジェット水性インク組成物がブラック顔料を含み、かつ、ワックスを含まない場合、当該インクジェット水性インク組成物に含まれるアニオン量に対し、40倍以上であり、前記インクジェット水性インク組成物がシアン顔料、マゼンダ顔料又はイエロー顔料の何れかと、ワックスを含む場合、当該インクジェット水性インク組成物に含まれるアニオン量に対し、26倍より大きいことを特徴とする。
前記の構成によれば、記録媒体は、ブラック顔料を含み、かつ、ワックスを含まないインク組成物に対しては、当該インク組成物に含まれるアニオン量に対し、40倍以上のカチオン量を含むインク受容層を備え、シアン顔料、マゼンダ顔料又はイエロー顔料の何れかと、ワックスを含むインク組成物に対しては、当該インク組成物に含まれるアニオン量に対し、26倍を超えるカチオン量を含むインク受容層を備えるので、例えば、インクジェット方式によりインク組成物を用いて印刷した場合には、ビーディング等の印刷画像の画質の低下を防止すると共に、テープ剥離性及び耐擦過性等の定着性に優れた印刷を可能にする。
また、本発明に係るインクジェット用インク組成物は、前記の課題を解決する為に、前記に記載のインクジェット用記録媒体に対し、インクジェット方式での印刷のために用いられるものである。
本発明によれば、記録媒体のインク受容層の形成に用いるインク受容層用組成物のカチオン量を、インク組成物がブラック顔料を含み、かつ、ワックスを含まない場合には、当該インク組成物中のアニオン量に対し40倍以上にし、インク組成物がシアン顔料、マゼンダ顔料又はイエロー顔料の何れかと、ワックスを含む場合には、当該インク組成物中のアニオン量に対し26倍より大きくすることにより、当該インク組成物を用いてインクジェット方式で記録媒体に印刷した場合には、ビーディング等の発生による印刷画像の画質の低下を防止すると共に、インク組成物のインク受容層における定着性の向上が図れる。
(記録媒体)
本実施の形態の記録媒体は、基材と、当該基材の少なくとも一方の面に形成されたインク受容層とを少なくとも備える。
前記基材は特に限定されず、例えば上質紙、中質紙、アート紙、ボンド紙、再生紙、パライタ紙、キャストコート紙、ボール紙、コンデンサー紙、グラシン紙等の紙類等が挙げられる。本発明に於いては、インクジェット用インク組成物(以下、「インク組成物」という。)の吸収性が低い記録媒体対しても好適に用いることができる。
前記インク受容層は、前記基材の少なくとも一方の面に設けられており、インク組成物を受容(吸収)し、固定化して画像を形成することを主たる機能とする層である。インク受容層は基材の表面及び/又は裏面の全面、又はその一部に設けられていてもよい。インク受容層に含まれるカチオン量は、インク組成物がブラック顔料を含み、かつ、ワックスを含まない場合には、当該インク組成物(詳細については後述する。)のアニオン量に対し40倍以上であり、好ましくは40倍〜43倍である。また、インク受容層に含まれるカチオン量は、インク組成物がシアン顔料、マゼンダ顔料又はイエロー顔料の何れかと、ワックスを含む場合には、当該インク組成物のアニオン量に対し26倍より大きく、好ましくは26倍を超えて32倍以下である。インク受容層中のカチオン量を、インク組成物中の顔料の種類及びワックスの有無に応じて、前記アニオン量に対し40倍以上又は26倍より大きくすることにより、インク組成物の定着性(テープ剥離及び耐擦過性等)の向上と印刷画像の画質の維持が図られる。
尚、インク組成物中のアニオン量は、電位差滴定法により測定した値である。また、インク受容層中のカチオン量は、インク受容層用組成物を電位差滴定法により測定した。尚、インク組成物中のアニオン量は、当該インク組成物中に添加物であるワックスを含む場合には、当該ワックスのアニオン量を除いた値である。
前記インク受容層の(塗布後の)厚さは、0.5μm〜10μmの範囲内が好ましく、1μm〜2μmの範囲内がより好ましい。厚さを0.5μm以上にすることにより、インク組成物中の顔料の定着性の付与が図られる。その一方、厚さを10μm以下にすることにより、乾燥スピードの短縮化が可能になる。
前記インク受容層は、後述のインク受容層用組成物を含有したコーティング液を基材上に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。コーティング液の塗布方法としては特に限定されず、例えば、各種ブレードコータ、ロールコータ、エアーナイフコータ、バーコータ、ロッドコータ、ゲートロールコータ、カーテンコータ、ショートドウェルコータ、グラビアコータ、フレキソグラビアコータ、サイズプレス等の各種装置を用いて行うことができる。
前記コーティング液の基材への塗布量は、形成したいインク受容層の厚さに応じて適宜設定される。通所は、固形分換算で20cc/m〜40cc/mの範囲が好ましく、25cc/m〜35cc/mの範囲がより好ましい。塗布量が20cc/m未満であると、良好な定着性と印刷画像の画質が得られない場合がある。その一方、塗布量が40cc/mより多いと、記録媒体にカールが発生し、取り扱い性が低下する場合がある。
前記コーティング液の塗布後の乾燥は特に限定されず、例えば、熱風乾燥や自然乾燥を行うことができる。乾燥条件は、コーティング液の塗布量などに応じて、適宜変更して設定することができる。
尚、乾燥後、得られた記録媒体対し、その表面の平滑度又は表面強度を高めるために、必要に応じて、カレンダー処理、スーパーカレンダー処理等を行ってもよい。
(インク受容層用組成物)
前記インク受容層用組成物は、ブラック顔料を含み、かつ、ワックスを含まない場合、インク組成物のアニオン量に対し40倍以上のカチオン量を含むものであり、カチオン性樹脂からなるものが好ましい。また、シアン顔料、マゼンダ顔料又はイエロー顔料の何れかと、ワックスを含む場合、インク組成物のアニオン量に対し、26倍より大きいカチオン量を含むものであり、カチオン性樹脂からなるものが好ましい。
前記カチオン性樹脂としては特に限定されず、例えば、アミン類とエピハロヒドリン類を反応して得られる樹脂が挙げられる。その様な樹脂の市販品としては、例えば、水溶性変性ポリアミン系樹脂等が挙げられる。
前記アミン類としては、エピハロヒドリンと反応可能なアミノ基を、分子中に少なくとも1個有するアミンであれば特に限定されないが、少なくとも一種類の第2級アミン類を含んでいることが好ましい。
前記第2級アミン類としては特に限定されず、例えば脂肪族第2級アミン、芳香族第2級アミン、脂環式第2級アミン、ヘテロ環式第2級アミン等が挙げられる。これらの第2級アミンは、一種単独で、又は二種以上を併用することが可能である。
前記脂肪族第2級アミンとしては、具体的にはジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、メチルオクチルアミン、メチルラウリルアミン、ジベンジルアミン等が挙げられる。
前記芳香族第2級アミンとしては、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N−ブチルアニリン、N−ペンチルアニリン、N−ヘキシルアニリン、N−オクチルアニリン、N−デシルアニリン、N−ラウリルアニリン、N−ベンジルアニリン等のN−アルキルアニリン;N−メチルトルイジン、N−エチルトルイジン、N−プロピルトルイジン、N−ブチルトルイジン、N−ペンチルトルイジン、N−ヘキシルトルイジン、N−オクチルトルイジン、N−デシルトルイジン、N−ラウリルトルイジン、N−ベンジルトルイジン等のN−アルキルトルイジン;N−メチルナフチルアミン、N−エチルナフチルアミン、N−プロピルナフチルアミン、N−ブチルナフチルアミン、N−ペンチルナフチルアミン、N−ヘキシルナフチルアミン、N−オクチルナフチルアミン、N−デシルナフチルアミン、N−ラウリルナフチルアミン、N−ベンジルナフチルアミン等のN−アルキルナフチルアミン等が挙げられる。また、ジフェニルアミン、N−フェニル−o−トルイジン、N−フェニル−m−トルイジン、N−フェニル−p−トルイジン、N−トルイル−o−トルイジン、N−トルイル−m−トルイジン、N−トルイル−p−トルイジン、N−フェニルナフチルアミン、N−トルイルナフチルアミン等の芳香環が窒素原子に2個結合してなるアミンも挙げられる。
前記脂環式第2級アミンとしては、N−メチルシクロヘキシルアミン、N−エチルシクロヘキシルアミン、N−プロピルシクロヘキシルアミン、N−ブチルシクロヘキシルアミン、N−ヘキシルシクロヘキシルアミン、N−オクチルシクロヘキシルアミン、N−デシルシクロヘキシルアミン、N−ラウリルシクロヘキシルアミン等のN−アルキルシクロヘキシルアミン;N−メチルシクロオクチルアミン、N−エチルシクロオクチルアミン、N−プロピルシクロオクチルアミン、N−ブチルシクロオクチルアミン、N−ヘキシルシクロオクチルアミン、N−オクチルシクロオクチルアミン、N−デシルシクロオクチルアミン、N−ラウリルシクロオクチルアミン等のN−アルキルシクロオクチルアミン;ジシクロヘキシルアミン、ジシクロオクチルアミン等のジシクロアルキルアミンを挙げられる。
前記ヘテロ環式第2級アミンとしては、ピペリジン、ピロリジン、2−メチルピペリジン、4−メチルピペリジン等が挙げられる。
また、前記アミン類は、前記第2級アミン類と、当該第2級アミン類以外のアミン類を含むものであってもよい。前記第2級アミン類以外のアミン類としては、例えば、第1級アミン、第3級アミン、アルカノールアミン、ポリアルキレンポリアミン、アルカノールアミン等が挙げられる。
前記第1級アミンとしては、脂肪族第1級アミン、芳香族第1級アミン、脂環式第1級アミン等が挙げられる。前記脂肪族第1級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、アリルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、2−ペンタンアミン、ヘキシルアミン、2−アミノヘキサン、3−アミノヘキサン、モノオクチルアミン、ベンジルアミン等が挙げられる。また、前記芳香族第1級アミンとしては、アニリン、トルイジン、ビフェニルアミン、ナフチルアミン、フェニルアミンを挙げることができる。また、前記脂環式第1級アミンとしては、シクロヘキシルアミン、シクロオクチルアミン等を挙げることができる。
前記第3級アミンとしては、脂肪族第3級アミン、芳香族第3級アミン、脂環式第3級アミン等が挙げられる。前記脂肪族第3級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリ−tert−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、トリベンジルアミン等が挙げられる。また、前記芳香族第3級アミンとしては、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、ジメチルトルイジン、ジエチルトルイジン、N−メチルジフェニルアミン、N−エチルジフェニルアミン、N−メチルジトリルアミン、N−エチルジトリルアミン、トリフェニルアミン等を挙げることができる。また、前記脂環式第3級アミンとしては、ジメチルアミノシクロヘキサン、ジシクロヘキシルアミノメタン、ジメチルアミノシクロオクタン、ジシクロオクチルアミノメタン、トリシクロヘキシルアミン、トリシクロオクチルアミン等を挙げることができる。
前記アルカノールアミンとしては、エタノールアミン、n−プロパノールアミン、イソプロパノールアミン等のモノアルカノールアミン;ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のジアルカノールアミン;トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のトリアルカノールアミン;N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン等のN−アルキルアルカノールアミン;N−メチルジエタノールアミン等のN−アルキルジアルカノールアミン;N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン等のN,N−ジアルキルアルカノールアミン;N−(2−アミノエチル)エタノールアミン等が挙げられる。
前記ポリアルキレンポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘプタエチレンオクタミン、ノナンエチレンデカミン等のポリエチレンポリアミン;ポリプロピレンポリアミン、ポリブチレンポリアミン、トリエチレンビス(トリメチレン)ヘキサミン等が挙げられる。
前記アルカノールアミンとしては、エタノールアミン、n−プロパノールアミン、イソプロパノールアミン等のモノアルカノールアミン;ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のジアルカノールアミン;トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のトリアルカノールアミン;N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン等のN−アルキルアルカノールアミン;N−メチルジエタノールアミン等のN−アルキルジアルカノールアミン;N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン等のN,N−ジアルキルアルカノールアミン;N−(2−アミノエチル)エタノールアミン等が挙げられる。
前記エピハロヒドリン類としては特に限定されず、具体的には、エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、メチルエピクロロヒドリン等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上混合して用いることもできる。例示したエピハロヒドリン類のうち、エピクロロヒドリンが特に好ましい。
前記カチオン性樹脂は、前記アミン類とエピハロヒドリン類を任意の順序で反応させることにより合成することができる。例えば、アミン類を予め反応器に仕込んでおき、この中にエピハロヒドリン類を徐々に滴下する方法、アミン類の一部を予め反応器に仕込んでおき、この中にエピハロヒドリン類を徐々に滴下し、得られた反応混合物中にアミン類を添加する方法、又はエピハロヒドリン類を予め反応器に仕込んでおき、この中にアミン類を徐々に滴下する方法等が挙げられる。また、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の有機溶媒中で行うこともできる。
アミン類とエピハロヒドリン類との反応温度や反応時間、混合割合については特に限定されず、適宜変更して設定することができる。
(インクジェット用インク組成物)
本実施の形態のインク組成物は、前記インク受容層を備える記録媒体に対するインクジェット方式等での印刷に好適に用いられるものである。また、本実施の形態のインク組成物はインクジェット記録用として好適に用いられるものである。色材としては顔料を用いることから、本実施の形態のインク組成物は本来的には、染料を用いたインク組成物と比較して発色性や耐光性、耐水性等の点で優れている。
前記顔料としては、インクジェット用のインクに通常用いられているシアン顔料、マゼンダ顔料、イエロー顔料及びブラック顔料を特に制限なく使用することができる。例えば、無機顔料として、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化クロム、鉄黒、コバルトブルー、アルミナ白、酸化鉄黄、ビリジアン、硫化亜鉛、リトボン、カドミウムイエロー、朱、カドミウムレッド、黄鉛、モリブデートオレンジ、ジンククロメート、ストロンチウムクロメート、ホワイトカーボン、クレー、タルク、群青、沈降性硫酸バリウム、バライト粉、炭酸カルシウム、鉛白、紺青、マンガンバイオレット、カーボンブラック、アルミニウム粉、パール系顔料等を使用することができる。また、例えば、有機顔料として、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、フタロン系顔料、イソインドリノン系顔料、メチン・アゾメチン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、アゾレーキ系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、蛍光顔料等を用いることができる。これらの顔料は単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
また、前記顔料としては、その表面にカルボニル基、カルボキシル基、燐酸基若しくはスルホン基の少なくとも何れか1種の官能基、又はその塩が結合するように表面処理が施された自己分散型顔料が好ましい。これにより、顔料に水性媒体に対する自己分散機能を付与することができ、分散安定性を向上させることができる。その結果、インク組成物の保存安定性を良好にすることができる。また、余分な分散剤をインク組成物中に含有させることなく分散安定性が得られる点でも有効である。この様な自己分散型顔料としては、具体的には、例えば、CAB−O−JET(登録商標) 400、450C、465M、470Y、480M(いずれもキャボット・コーポレーション製)が挙げられる。
また、自己分散型顔料の他に、従来公知の樹脂分散型顔料やカプセル化顔料等の形態で用いることもできる。前記樹脂分散型顔料に用いられる樹脂分散剤としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等及びこれらの塩等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記カプセル化顔料とは顔料を樹脂が被覆したものをいう。このような樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリウレア、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、多糖類、ゼラチン、アラビアゴム、デキストラン、カゼイン、タンパク質、天然ゴム、カルボキシポリメチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリスチレン、(メタ)アクリル酸の重合体または共重合体、(メタ)アクリル酸エステルの重合体または共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アルギン酸ソーダ、脂肪酸、パラフィン、ミツロウ、水ロウ、硬化牛脂、カルナバロウ、アルブミン等が挙げられる。また、顔料の被覆に用いる前記樹脂としては、例えば、カルボン酸基又はスルホン酸基などのアニオン性基を有する有機高分子類、ノニオン性有機高分子などが挙げられる。前記ノニオン性有機高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール;ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートまたはそれらの(共)重合体;2−オキサゾリンのカチオン開環重合体等が挙げられる。尚、前記(メタ)アクリル酸とはアクリル酸および/またはメタクリル酸をいい、本発明において(メタ)とは同様の意味で用いる。
本実施の形態のインク組成物には、ワックスを含んでいてもよい。前記ワックスとしては、ポリエチレン系ワックス、天然ワックス(例えば、石油系ワックス、植物系ワックス、動植物系ワックス等)等が挙げられる。印刷画像のビーディングの発生を抑制するとの観点からは、ポリエチレン系ワックスのみからなるものを用いるのが好ましい。
前記ポリエチレン系ワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、エチレンとメタクリル酸あるいはアクリル酸等のカルボン酸基を有するモノマーからなる共重合体ワックス、酸化ポリエチレンワックス等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
尚、前述においては、インク組成物がブラック顔料を含み、かつ、ワックスを含まない場合に、インク受容層用組成物中のカチオン量が、当該インク組成物中のアニオン量に対し40倍以上であると述べたが、これは、アニオン量に対するカチオン量を特定するための基準として、ワックスを含まない場合を用いたのであって、本発明において、インク組成物にブラック顔料を含む場合に、ワックスを含有させないことを意味するものではない。また、インク組成物がシアン顔料、マゼンダ顔料又はイエロー顔料の何れかと、ワックスを含む場合に、インク受容層用組成物中のカチオン量が、当該インク組成物中のアニオン量に対し26倍より大きいと述べたが、この点についても、アニオン量に対するカチオン量を特定するための基準として、ワックスを含む場合を用いたのであって、本発明において、インク組成物に前記シアン顔料等を含む場合に、ワックスを含有させないことを意味するものではない。
本実施の形態のインク組成物中には、乾燥促進、インクジェットヘッドの吐出安定性の向上、保湿性の付与等の観点から、湿潤剤(乾燥防止剤)として水溶性有機溶媒が含まれているのが好ましい。前記水溶性有機溶媒としては、例えば、炭素数が2〜10のアルカン若しくはアルケンのジオール、トリオール又はモノアルコール等を用いることができる。これらの水溶性有機溶媒のうち、乾燥性と湿潤性の両立の観点からは、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオールが好ましい。また、これらの水溶性有機溶媒は、単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
前記水溶性有機溶媒の含有量としては特に限定されず、必要に応じて適宜設定され得る。通常は、インク組成物の全質量に対し6質量%〜40質量%の範囲が好ましく、8質量%〜35質量%の範囲内がより好ましく、10質量%〜35質量%の範囲内が特に好ましい。
また、本実施の形態のインク組成物中には、界面活性剤が含まれていてもよい。印刷画像の画質やインク組成物の乾燥時間はインク組成物の記録媒体表面に対する濡れ性及び浸透性に依存する。インク組成物中に界面活性剤を添加することにより、当該インク組成物の液滴と記録媒体の界面の界面張力を低下させるので、液滴の濡れ性及び浸透性を向上させることができる。その結果、濃淡ムラの少ない高精細の画像を印刷することができる。前記界面活性剤としては特に限定されず、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
前記アセチレングリコール系界面活性剤は、例えば、ノニオン系界面活性剤と比較して、表面張力及び界面張力を適正に保つ能力に優れており、かつ起泡性もほとんどないという特性を有する。従って、アセチレングリコール系界面活性剤をインク組成物中に配合することにより、表面張力やヘッドノズル面等のインク組成物と接触するプリンター部材との界面張力を適正に保つことができる。その結果、ヘッドノズルに於ける液滴の吐出安定性を高めることができる。また、アセチレングリコール系界面活性剤は、記録媒体に対して良好な濡れ性を示し、浸透剤としても作用するため、濃淡ムラや滲みが発生するのを低減して高精細の印刷画像を得ることができる。
前記アセチレングリコール系界面活性剤としては特に限定されず、例えば、サーフィノール(登録商標)104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA、DF110D(商品名、いずれもAir Products and Chemicals. Inc.社製)等が挙げられる。これらは、単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
前記アセチレングリコール系界面活性剤の含有量は、インク組成物の全質量に対して、0.2質量%〜3質量%の範囲内であることが好ましく、0.5質量%〜2質量%の範囲内であることがより好ましい。
また、前記シリコーン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物等が好ましく用いられ、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。より詳細には、BYK−306、307、333、341、345、346、348(商品名、いずれもビックケミージャパン(株)製)等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記シリコーン系界面活性剤の含有量は、インク組成物の全質量に対して、0.2質量%〜3質量%の範囲内であることが好ましく、0.5質量%〜2質量%の範囲内であることがより好ましい。
本実施の形態に係るインク組成物に於いては、水(主溶媒としての水)を含有する。前記水としては、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水等のイオン性不純物を除去したものを用いるのが好ましい。特に、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。また、水の含有量としては特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。
また、インク組成物の液滴を記録媒体に定着させるとの観点からは、バインダーを含有することもできる。これにより、印刷直後の印刷画像の耐傷性及び耐擦過性の向上が図れる。前記バインダーとしては特に限定されず、例えば、アクリル−スチレン、ウレタン、ウレタンーアクリルハイブリッド、ポリエステルのエマルション又は水溶性樹脂等が挙げられる。
更に、本実施の形態のインク組成物は、その他の添加剤として、更にpH調整剤、防腐防かび剤、キレート化剤等を含有していてもよい。これらの添加剤の含有量は適宜必要に応じて設定され得る。
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、下記の実施例に記載されている材料や含有量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定するものではない。
(インク組成物)
各実施例及び比較例で用いたインク組成物は、下記表1に示す配合組成にて、各色の顔料毎にそれぞれ作製した。即ち、表1に示す各材料を容器中に入れて混合し、マグネチックスターラーにて常温で1時間撹拌した。その後、粗大粒径及び異物の除去のために混合液を濾過した。濾過用のフィルターとしては、濾過精度1μmのメンブランフィルターを用いた。これにより、各実施例及び比較例のインク組成物を得た。
尚、インク組成物の配合組成は、顔料としてシアン顔料、マゼンダ顔料又はイエロー顔料を用いたインク組成物については、ポリエチレンワックスを含有したが、ブラック顔料を用いるインク組成物については当該ポリエチレンワックスを配合しなかった。また、表1中の数値は全て質量%で表したものである。また、水はインク組成物の全量が100質量%となるように添加した。
Figure 2017007149
(インク受容層用組成物)
下記表2に示す通り、各実施例では、インク受容層用組成物Aとして、濃度50質量%の水溶性変性ポリアミン系樹脂(ジメチルアミン・エチレンジアミン・エピクロロヒドリン・コポリマー)水溶液を用いた。水溶性変性ポリアミン系樹脂は、第2級アミンとしての(ポリ(2−ヒドロキシプロピルジメチルアンモニウムクロリド)と、エピハロヒドリン類としてのエピクロルヒドリンを反応させて得られるものである。
また各比較例では、インク受容層用組成物Bとして、ジメチルアミンエピクロロヒドリンと塩化カルシウムを、57:43の配合比で混合したものを用いた。
Figure 2017007149
(カチオン量及びアニオン量の測定)
インク組成物中のアニオン量は、電位差自動滴定装置(商品名;PCD−500、京都電子工業(株)製)を用いて、電位差滴定法により測定した。但し、シアン顔料、マゼンダ顔料又はイエロー顔料を用いたインク組成物については、ポリエチレンワックスのアニオン量を除いて求めた。
また、インク受容層用組成物中のカチオン量は、AT−610−ST(商品名、京都電子工業(株)製)により測定した。
(実施例1)
本実施例においては、インク組成物として、前記表1に示す配合組成にて作製したものを用いた。顔料としてはシアン顔料を用いた。
記録媒体としては、基材としてのコート紙(商品名:OKボール、王子製紙(株)製)に、インク受容層を形成したものを用いた。インク受容層の形成は、先ず、フレキソコーター(K303マルチコーター、RK print coat instrument製)を用いて、コート紙上に、表2に示すインク受容層用組成物Aを塗布した。塗布量は32cc/mとした。また、フレキソ版として、線数が100線の格子セルを用いた。その後、塗布層を、加熱温度120℃、加熱時間2minの条件下で加熱乾燥した。これにより、本実施例に係る記録媒体を作製した。
次に、本実施例のインク組成物を、前記記録媒体に対し、インクジェットプリンター(商品名:PX−105、セイコーエプソン(株)製)を用いてベタ印刷を行った。印刷後、記録媒体の表面温度が120℃の乾燥炉で、2分間加熱乾燥を行った。
(実施例2〜4)
実施例2〜4においては、インク組成物に配合する顔料の種類を下記表3に示すものに変更した。それ以外は、前記実施例1と同様にして、記録媒体上にインク組成物のベタ印刷を行った。
(比較例1〜4)
比較例1〜4においては、インク組成物に配合する顔料の種類を下記表4に示すものに変更した。また、インク受容層を形成する材料として、表2に示すインク受容層用組成物Bを用いた。それ以外は、前記実施例1と同様にして、記録媒体上にインク組成物のベタ印刷を行った。
(テープ剥離性)
テープ剥離性の評価は、各実施例1〜4及び比較例1〜4で作製した試料に対して行った。すなわち、粘着テープ(商品名:セロテープ(登録商標)No.405、ニチバン(株))を印刷面に貼り付け、その後粘着テープを剥がしたときの印刷面の剥がれやテープへの移り状態を確認することにより、テープ剥離性を評価した。評価基準は以下の通りとした。結果を表3及び表4に示す。
○:印刷面の剥がれ・粘着テープへの付着が認められなかった
△:印刷面の剥がれはないが、粘着テープへの付着がわずかに認められた
×:印刷面に剥がれが生じた
(耐擦過性)
耐擦過性の評価は、各実施例1〜4及び比較例1〜4で作製した試料に対して行った。すなわち、学振型摩擦堅牢試験機(安田精機株式会社製)を用いて、前記コート紙の印刷面に摩擦紙(商品名:OKトップコート、王子製紙(株)製)を乗せ、荷重500gにて印刷面を10回擦った。その後、摩擦紙に対する色移りの度合を評価するために、その摩擦面をスキャナ(EPSON GT−X820、セイコーエプソン(株)製)で画像として取り込んだ。スキャン条件は48bitカラー、解像度600dpi、画像補正なしとした。更に、Photoshop(登録商標)を用いて画像の平均化処理を行った。平均化の範囲は15mm×15mmとした。
その後、摩擦紙への色移り度合を数値化するために、摩擦紙に於けるシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色のR、G、B値を、0〜255の256段階からそれぞれ測定した(以下、例えば、シアンの色移り部分のR値はCなどと表す。)。また、コート紙の印刷面に擦過していない摩擦紙についても、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色のR、G、B値をそれぞれ測定しておいた(以下、例えば、R値はRef.などと表す。)。
シアン顔料を含むインク組成物を用いた印刷物の色移り度合いの計算方法は、次の通りとした。即ち、シアンは(R,G,B)=(0,255,255)で表すことができ、R値が0に近づくほど摩擦紙へのシアンの色移りが濃くなると考えることが出来る。そのため、シアンの色移り度合いは下記式により算出して数値化した。
(シアンの色移り度合い)=Ref.−C
同様に、マゼンタ顔料を含むインク組成物を用いた印刷物の色移り度合いについては、マゼンタを(R,G,B)=(255,0,255)で表すことができ、G値が0に近づくほど摩擦紙へのマゼンタの色移りが濃くなると考えられるので、下記式により算出した。
(マゼンタの色移り度合い)=Ref.−M
また、イエロー顔料を含むインク組成物を用いた印刷物の色移り度合いについては、イエローが(R,G,B)=(255,255,0)で表すことができ、B値が0に近づくほど摩擦紙へのイエローの色移りが濃くなると考えられるので、下記式により算出した。
(イエローの色移り度合い)=Ref.−Y
ブラック顔料を含むインク組成物を用いた印刷物の色移り度合いについては、ブラックが(R,G,B)=(0,0,0)で表すことができ、R、B、G値がそれぞれ0に近づくほど摩擦紙へのブラックの色移りが濃くなると考えられるので、下記式により算出した。
(ブラックの色移り度合い)=Max(Ref.−K、Ref.−K、Ref.−K
ここで、上記式のブラックの色移り度合いは、(Ref.−K)、(Ref.−K)、(Ref.−K)のそれぞれの値のうち、最も大きい値とした。
得られた色移り度合の値をもとに、下記の評価基準にて耐擦過性の評価を行った。結果を表3及び表4に示す。尚、下記評価基準はオフセット印刷を行った場合と同様の評価基準である。また、耐擦過性は色毎に感度が異なることから、シアン顔料及びブラック顔料については、下記の通り評価基準を変更した。
○:色移り度合の値が30以下(シアン顔料、ブラック顔料を用いた場合は40以下)
△:色移り度合の値が30を超えて50以下(シアン顔料、ブラック顔料を用いた場合は40を超えて55以下)
×:色移り度合の値が50より大きい(シアン顔料、ブラック顔料を用いた場合は55より大きい)
Figure 2017007149
Figure 2017007149
(実施例5)
本実施例においては、インク受容層用組成物Aを用いてインク受容層を形成した記録媒体に対し、マゼンダ顔料を用いたインク組成物とイエロー顔料を用いたインク組成物を用いて、それぞれインクジェット方式によるベタ印刷を行った。印刷は、マゼンダの印刷領域と、イエローの印刷領域とが接触する様に行い、両者の境界部分の滲み度合により印刷画像の画質評価を行った。
滲み度合の評価は、マゼンダの印刷領域とイエローの印刷領域の境界部分で滲みが発生している領域の幅を測定し、当該幅が0.1mm以下の場合を○、0.1mmを超えて0.5mm以下の場合を△、0.5mmより大きい場合を×とした。尚、印刷方法及び印刷条件は、実施例1の場合と同様にした。結果を下記表5に示す。
(比較例5)
本比較例においては、インク受容層の形成のためにインク受容層用組成物Bを用いた。それ以外は、実施例5と同様にして、画質の評価を、マゼンダの印刷領域とイエローの印刷領域の境界部分の滲み度合により行った。結果を下記表5に示す。
Figure 2017007149
(結果)
表3及び表4に示す実施例1〜4の実験結果から分かる通り、インク組成物中のアニオン量に対するインク受容層のカチオン量を40倍以上にすると、テープ剥離性及び耐擦過性が良好であることが確認された。また画質についても、表5に示す通り、マゼンダの印刷領域とイエローの印刷領域の境界部分での滲み部分の幅が0.1mm以下となり、良好な画質となることが確認された。
その一方、比較例1〜5の実験結果が示す通り、前記アニオン量がカチオン量に対し40倍未満の場合では、耐擦過性及び画質は良好であったものの、テープ剥離性については、何れも印刷面に剥がれが生じたり、あるいは粘着テープに印刷画像の付着が認められた。
以上より、インク組成物中のアニオン量に対するインク受容層のカチオン量を40倍以上にした場合には、印刷画像の画質を良好に維持すると共に、テープ剥離性及び耐擦過性も良好にできることが確認された。

Claims (3)

  1. インクジェット用インク組成物を受容して記録するインク受容層の形成に用いられるインク受容層用組成物であって、
    カチオン量が、
    前記インクジェット水性インク組成物がブラック顔料を含み、かつ、ワックスを含まない場合、当該インクジェット水性インク組成物に含まれるアニオン量に対し、40倍以上であり、
    前記インクジェット水性インク組成物がシアン顔料、マゼンダ顔料又はイエロー顔料の何れかと、ワックスを含む場合、当該インクジェット水性インク組成物に含まれるアニオン量に対し、26倍より大きいインク受容層用組成物。
  2. 基材と、
    前記基材の少なくとも一方の面に形成され、インクジェット用インク組成物を受容して記録するインク受容層とを備えるインクジェット用記録媒体であって、
    前記インク受容層におけるカチオン量が、
    前記インクジェット水性インク組成物がブラック顔料を含み、かつ、ワックスを含まない場合、当該インクジェット水性インク組成物に含まれるアニオン量に対し、40倍以上であり、
    前記インクジェット水性インク組成物がシアン顔料、マゼンダ顔料又はイエロー顔料の何れかと、ワックスを含む場合、当該インクジェット水性インク組成物に含まれるアニオン量に対し、26倍より大きいインクジェット用記録媒体。
  3. 請求項2に記載のインクジェット用記録媒体に対し、インクジェット方式での印刷のために用いられるインクジェット用インク組成物。
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