JP2015067731A - インクジェット用水性インク組成物及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐擦過性・光沢性に優れると共に、ビーディングの発生を抑制可能にしたインクジェット用水性インク組成物及びインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】本発明のインクジェット用水性インク組成物は、少なくとも1種の顔料と、ワックスとを含むインクジェット用水性インク組成物であって、前記ワックスが、融点110℃〜140℃の範囲内であり、平均粒子径57nm〜141nmの範囲内であるポリエチレン系ワックスのみからなることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明はインクジェット用水性インク組成物及びインクジェット記録方法に関し、より詳細には、耐擦過性及び光沢性に優れると共に、ビーディングの発生を抑制することが可能なインクジェット用水性インク組成物及びインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、色材や機能材料を含むインクを液滴に分離し、この液滴を画像信号に応じて紙等の記録媒体に向けて吐出し、付着させて印刷を行う方法である。近年のインクジェット記録技術の革新的な進歩により、これまでオフセット印刷によって実現されてきた高精細印刷の分野に於いてもインクジェット記録方法が用いられるようになっている。それに伴い、オフセット印刷の分野で用いられる印刷コート紙等の記録媒体に使用可能なインクジェット用水性インク組成物(以下、「水性インク組成物」という。)の開発がなされている。しかし、従来提案されている水性インク組成物では記録媒体に印刷された画像の耐擦過性に優れているとはいえず、オフセット印刷物に比べ色移り度合いが大きいことが課題であった。
この点に関し、例えば、下記特許文献1には、印刷画像の発色性、光沢及び耐擦過性に優れたインク組成物等の提供を課題として、平均粒子径の異なる少なくとも2種類のワックスを含むインク組成物が開示されている。当該特許文献1によれば、平均粒子径が小さいワックスを含有することにより、光沢性に優れた印刷画像が得られる一方、平均粒子径が大きいワックスを含有することにより、印刷画像の耐擦過性を向上させることが可能とされている。
また、下記特許文献2には、水分散性ウレタン樹脂及びポリオレフィンワックスを含有させたインクジェット記録用水性インク組成物が開示されている。当該特許文献2によれば、体積平均粒径が40〜1000nmのポリオレフィンワックスを含有することにより、印刷画像の耐擦過性が向上するとされている。
更に、下記特許文献3には、インクジェット記録用のインク組成物に於いて、耐擦過性の向上を目的として、体積平均粒子径が60nmであり、MFTが130℃のポリエチレンワックスを添加することが開示されている(例えば、段落[0006]〜[0007])。
また、下記特許文献4には、ワックスとして、融点が60℃〜110℃、平均粒子径が30〜250nmのパラフィンワックスを含む水性インク組成物が開示されている。当該特許文献4によれば、耐擦過性の向上を目的として、パラフィンワックス以外のワックスとして、さらにポリエチレンワックスを併用してもよい旨の開示がある(例えば、段落[0007]、[0008])。
特開2007−277290号公報 WO2011/093486 特開2012−251049号公報 特開2012−214650号公報
しかしながら、前記各特許文献に記載のインクジェット用水性インク組成物を用いてインクジェット記録方法により高精細の印刷を行っても、ビーディング(例えば、単色で印刷した際にインクが凝集するように偏在化する濃度斑)による画像欠陥が発生するという問題がある。
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、耐擦過性・光沢性に優れると共に、ビーディングの発生を抑制可能にしたインクジェット用水性インク組成物及びインクジェット記録方法を提供することにある。
本願発明者等は、前記問題点を解決すべく、インクジェット用水性インク組成物及びインクジェット記録方法について検討した結果、下記構成を採用することにより前記の問題点を解決できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明に係るインクジェット用水性インク組成物は、前記の課題を解決する為に、少なくとも1種の顔料と、ワックスとを含むインクジェット用水性インク組成物であって、前記ワックスが、融点110℃〜140℃の範囲内であり、平均粒子径57nm〜141nmの範囲内であるポリエチレン系ワックスのみからなることを特徴とする。
前記の構成によれば、インクジェット用水性インク組成物(以下、「水性インク組成物」という。)中にポリエチレン系ワックスを含有させることにより、(インクの)塗膜表面にスリップ性を付与することができる。また、ポリエチレン系ワックスとして、融点が110℃〜140℃のものを用いることにより、印刷塗膜の表面の擦過による摩擦熱によって当該ポリエチレン系ワックスが熱変形ないし溶融するのを抑制し、耐擦過性の低下を防止することができる。さらに、ポリエチレン系ワックスとして平均粒子径が57nm〜141nmのものを用いることにより、印刷画像にビーディングが発生するのを抑制すると共に、良好な光沢性の維持が図れる。
前記の構成に於いては、前記ポリエチレン系ワックスの含有量が、インクジェット用水性インク組成物の全質量に対し0.8質量%〜3質量%の範囲内であることが好ましい。ポリエチレン系ワックスの含有量を0.8質量%以上にすることにより、塗膜の表面にスリップ性を付与することができ、良好な耐摩擦性の維持が図れる。その一方、ポリエチレン系ワックスの含有量を3質量%以下にすることにより、ビーディングの発生を一層低減することができる。
また、本発明に係るインクジェット記録方法は、前記の課題を解決する為に、インクジェット用水性インクの液滴を吐出し、当該液滴を記録媒体に付着させて印刷を行うインクジェット記録方法であって、前記インクジェット用水性インクとして前記に記載のインクジェット用水性インク組成物を用いることを特徴とする。
前記の構成によれば、インクジェット記録に用いるインクジェット用水性インクとして、融点が110℃〜140℃、平均粒子径が57nm〜141nmのポリエチレン系ワックスを含有するインクジェット用水性インク組成物を用いるので、耐擦過性・光沢性に優れると共に、ビーディングの発生を抑制した画像を記録媒体に印刷することができる。
前記の構成に於いては、前記記録媒体に前記インクジェット用水性インク組成物の液滴を付着させた後に、当該付着した液滴を当該インクジェット用水性インク組成物中に含まれるポリエチレン系ワックスの融点より低い温度で加熱乾燥させることが好ましい。これにより、乾燥後に形成されるインクの塗膜に於いて、ポリエチレン系ワックスを熱変形又は溶融させることなく粒子の形状を維持した状態で含有させることができる。その結果、良好なスリップ性を付与することができ、耐擦過性に優れた画像を記録媒体に印刷することができる。
本発明は、前記に説明した手段により、以下に述べるような効果を奏する。
即ち、本発明によれば、融点が110℃〜140℃のポリエチレン系ワックスを水性インク組成物中に含有させることにより、印刷塗膜の表面を擦過することにより生じる摩擦熱により当該ポリエチレン系ワックスが熱変形ないし溶融するのを抑制することができる。その結果、例えば、オフセット印刷(ニス無し)の場合と同等レベルの耐擦過性を確保することができる。また、前記ポリエチレン系ワックスとして平均粒子径が57nm〜141nmのものを用いることにより、印刷画像にビーディングが発生するのを抑制すると共に、良好な光沢性を保持したインクジェット記録を可能にするという効果を奏する。
(インクジェット用水性インク組成物)
本実施の形態に係る水性インク組成物は、少なくとも1種の顔料とワックスとを含み、主溶媒が水である水性インクである。また、本実施の形態の水性インク組成物はインクジェット記録用として好適に用いられるものである。色材として顔料を用いることから、本実施の形態の水性インク組成物は本来的には、染料を用いたインク組成物と比較して発色性や耐候性、耐水性等の点で優れている。
前記顔料としては、インクジェット用水性顔料インクに通常用いられているものを特に制限なく使用することができる。例えば、無機顔料として、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化クロム、鉄黒、コバルトブルー、アルミナ白、酸化鉄黄、ビリジアン、硫化亜鉛、リトボン、カドミウムイエロー、朱、カドミウムレッド、黄鉛、モリブデートオレンジ、ジンククロメート、ストロンチウムクロメート、ホワイトカーボン、クレー、タルク、群青、沈降性硫酸バリウム、バライト粉、炭酸カルシウム、鉛白、紺青、マンガンバイオレット、カーボンブラック、アルミニウム粉、パール系顔料等を使用することができる。また、例えば、有機顔料として、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、フタロン系顔料、イソインドリノン系顔料、メチン・アゾメチン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、アゾレーキ系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、蛍光顔料等を用いることができる。これらの顔料は単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
また、前記顔料としては、その表面にカルボニル基、カルボキシル基、燐酸基若しくはスルホン基の少なくとも何れか1種の官能基、又はその塩が結合するように表面処理が施された自己分散型顔料が好ましい。これにより、顔料に水性媒体に対する自己分散機能を付与することができ、分散安定性を向上させることができる。その結果、水性インク組成物の保存安定性を良好にすることができる。また、余分な分散剤をインク中に含有させることなく分散安定性が得られる点でも有効である。この様な自己分散型顔料としては、具体的には、例えば、CAB−O−JET(登録商標)
400、450C、465M、470Y、480M(いずれもキャボット・コーポレーション製)が挙げられる。
また、自己分散型顔料の他に、従来公知の樹脂分散型顔料やカプセル化顔料等の形態で用いることもできる。前記樹脂分散型顔料に用いられる樹脂分散剤としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等及びこれらの塩等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記カプセル化顔料とは顔料を樹脂が被覆したものをいう。このような樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリウレア、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、多糖類、ゼラチン、アラビアゴム、デキストラン、カゼイン、タンパク質、天然ゴム、カルボキシポリメチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリスチレン、(メタ)アクリル酸の重合体または共重合体、(メタ)アクリル酸エステルの重合体または共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アルギン酸ソーダ、脂肪酸、パラフィン、ミツロウ、水ロウ、硬化牛脂、カルナバロウ、アルブミン等が挙げられる。また、顔料の被覆に用いる前記樹脂としては、例えば、カルボン酸基又はスルホン酸基などのアニオン性基を有する有機高分子類、ノニオン性有機高分子などが挙げられる。前記ノニオン性有機高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール;ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートまたはそれらの(共)重合体;2−オキサゾリンのカチオン開環重合体等が挙げられる。尚、前記(メタ)アクリル酸とはアクリル酸および/またはメタクリル酸をいい、本発明において(メタ)とは同様の意味で用いる。また、顔料を高分子化合物で被覆する方法としては特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、具体的には、例えば、特許第4138214号公報、特開2010−095713号公報、特2008−260926号公報に記載の方法等が挙げられる。
前記顔料の平均粒子径(体積平均粒子径)については特に限定されず、適宜必要に応じて設定され得る。通常は10nm〜1000nmの範囲内のものが好ましく、より好ましくは50nm〜200nm範囲内のものである。尚、平均粒子径はマイクロトラックUPA−EX150(商品名、日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により測定した値である。
前記顔料の含有量は画像濃度に直接影響するものであり、水性インク組成物の保存性や粘度、pH等にも影響を及ぼすものであることから、これらの点を考慮して適宜設定すればよい。通常は、水性インク組成物の全質量に対し固形分換算で1質量%〜20質量%の範囲が好ましく、5質量%〜15質量%の範囲内がより好ましい。顔料の含有量を1質量%以上にすることにより、画像濃度の低下を抑制することができる。その一方、顔料の含有量を20質量%以下にすることにより、光沢性の低下やノズルの目詰まり、吐出安定性の低下を防止することができる。
前記ワックスとしては、ポリエチレン系ワックスのみからなるものが用いられる。天然ワックス(例えば、石油系ワックス、植物系ワックス、動植物系ワックス等)等の他のワックスが混合されているものは、ビーディング等の発生の観点から好ましくない。
前記ポリエチレン系ワックスは微粒子状態(即ち、エマルジョン状態又はサスペンジョン状態)で含有されていることが好ましい。ポリエチレン系ワックスを微粒子状態で含有することにより、水性インク組成物の粘度をインクジェット記録方式に於いて適正な範囲に調整しやすくなる。また、良好な保存安定性及び吐出安定性の維持が図れる。ポリエチレン系ワックスは、常法により水に乳化したものが使用される。
前記ポリエチレン系ワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、エチレンとメタクリル酸あるいはアクリル酸等のカルボン酸基を有するモノマーからなる共重合体ワックス、酸化ポリエチレンワックス等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。具体的には、例えば、AQUACER(登録商標)840(いずれもビックケミージャパン(株)製)、MYE−35G(丸芳化学(株)製)、ケミパール(登録商標)WF4002(三井化学(株)製)、HYTEC 1000(いずれも東邦化学(株)製)等が挙げられる。
前記ポリエチレン系ワックスの平均粒子径(D50)は57nm〜141nmの範囲内である。ポリエチレン系ワックスの平均粒子径を57nm以上にすることにより、優れた耐擦過性を維持しながらビーディングの発生を抑制することができる。尚、平均粒子径の数値範囲の下限値を57nmとしても印刷塗膜の耐擦過性が保持されるのは、ポリエチレン系ワックス粒子の比重が小さいことに起因して、印刷塗膜の表層部分にもポリエチレン系ワックスが存在するためであると推測される。また、ポリエチレン系ワックスの平均粒子径を141nm以下にすることにより、ポリエチレン系ワックスの含有に起因して印刷塗膜表面に生じる凹凸差が大きくなりマット面となるのを抑制することができる。その結果、印刷塗膜の光沢性が低下するのを防止することができる。尚、ポリエチレン系ワックスの平均粒子径(D50)は、マイクロトラックUPA−EX150(商品名、日機装(株)製)を用いて動的光散乱法により測定した値である。
ポリエチレン系ワックスの融点としては110℃〜140℃の範囲内であり、好ましくは130℃〜140℃の範囲内である。ポリエチレン系ワックスとして融点が110℃以上のものを用いることにより、印刷塗膜の表面の擦過による摩擦熱によって当該ポリエチレン系ワックスが熱変形ないし溶融し、耐擦過性が低下するのを防止することができる。
ポリエチレン系ワックスの含有量としては、水性インク組成物の全質量に対し固形分換算で0.8質量%〜3質量%の範囲が好ましく、0.8質量%〜1.5質量%の範囲内がより好ましい。ポリエチレン系ワックスの含有量を0.8質量%以上にすることにより、印刷塗膜表面にスリップ性を付与し、耐摩擦性を維持させることができる。その一方、ポリエチレン系ワックスの含有量を3質量%以下にすることにより、ビーディングの発生を一層抑制することができる。
本実施の形態の水性インク組成物中には、乾燥促進、インクジェットヘッドの吐出安定性の向上、保湿性の付与等の観点から、湿潤剤(乾燥防止剤)として水溶性有機溶媒が含まれているのが好ましい。前記水溶性有機溶媒としては、例えば、炭素数が2〜10のアルカン若しくはアルケンのジオール、トリオール又はモノアルコール等を用いることができる。これらの水溶性有機溶媒のうち、乾燥性と湿潤性の両立の観点からは、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオールが好ましい。また、これらの水溶性有機溶媒は、単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
但し、本実施の形態の水性インク組成物中には、グリセリンを実質的に含有しない方が好ましい。これにより、印刷物の乾燥性が低下するのを防止することができる。その結果、種々の記録媒体、特にインク非吸収性又は低吸収性の記録媒体に於ける、画像の定着性の低減を抑制することができる。
前記水溶性有機溶媒の含有量としては特に限定されず、必要に応じて適宜設定され得る。通常は、水性インク組成物の全質量に対し6質量%〜40質量%の範囲が好ましく、8質量%〜35質量%の範囲内がより好ましく、10質量%〜35質量%の範囲内が特に好ましい。
また、本実施の形態の水性インク組成物中には、グリコールエーテル類が含まれていてもよい。これにより、他の成分の水性インク組成物に対する溶解性を向上させることができる。また、後述の界面活性剤等と比較して、過度な表面張力の低下を引き起こすことなく、記録媒体に対する浸透性の向上が図れる。これにより、非吸収性又は低吸収性の記録媒体に対しても、濃淡ムラが少ない高精細な画像の記録を可能にする。
前記グリコールエーテル類の具体例としては、例えば、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、エチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、エチレングリコールモノオクチルエーテル、エチレングリコールモノイソオクチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソオクチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソオクチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記グリコールエーテル類の含有量は、他の成分の水性インク組成物に対する溶解性、記録媒体に対する濡れ性、浸透性を向上させて濃淡ムラを低減させる効果、水性インク組成物の保存安定性及び吐出安定性の確保等の観点から適宜設定することができる。通常は、水性インク組成物の全質量に対して0.1質量%〜40質量%の範囲内が好ましい。0.1質量%以上にすることにより、水性インク組成物の濡れ性、浸透性、乾燥性が低下するのを防止し、高精細の印刷画像を得ることができる。また、印刷濃度(発色性)の確保も図れる。また、40質量%以下にすることにより、水性インク組成物の粘度が高くなり過ぎるのを防止し、ヘッドノズルの目詰まりの発生を抑制することができる。また、水性インク組成物中での溶解性の低下を防止し、保存安定性の確保が図れる。
また、本実施の形態の水性インク組成物中には、界面活性剤が含まれていてもよい。印刷画像の画質やインクの乾燥時間はインクの記録媒体表面に対する濡れ性及び浸透性に依存する。水性インク組成物中に界面活性剤を添加することにより、当該水性インク組成物の液滴と記録媒体の界面の界面張力を低下させるので、液滴の濡れ性及び浸透性を向上させることができる。その結果、濃淡ムラの少ない高精細の画像を印刷することができる。前記界面活性剤としては特に限定されず、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
前記アセチレングリコール系界面活性剤は、例えば、ノニオン系界面活性剤と比較して、表面張力及び界面張力を適正に保つ能力に優れており、かつ起泡性もほとんどないという特性を有する。従って、アセチレングリコール系界面活性剤を水性インク組成物中に配合することにより、表面張力やヘッドノズル面等のインクと接触するプリンター部材との界面張力を適正に保つことができる。その結果、ヘッドノズルに於ける液滴の吐出安定性を高めることができる。また、アセチレングリコール系界面活性剤は、記録媒体に対して良好な濡れ性を示し、浸透剤としても作用するため、濃淡ムラや滲みが発生するのを低減して高精細の印刷画像を得ることができる。
前記アセチレングリコール系界面活性剤としては特に限定されず、例えば、サーフィノール(登録商標)104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA、DF110D(商品名、いずれもAir Products and Chemicals. Inc.社製)等が挙げられる。これらは、単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
前記アセチレングリコール系界面活性剤の含有量は、水性インク組成物の全質量に対して、0.2質量%〜3質量%の範囲内であることが好ましく、0.5質量%〜2質量%の範囲内であることがより好ましい。
また、前記シリコーン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物等が好ましく用いられ、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。より詳細には、BYK−306、307、333、341、345、346、348(商品名、いずれもビックケミージャパン(株)製)等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記シリコーン系界面活性剤の含有量は、水性インク組成物の全質量に対して、0.2質量%〜3質量%の範囲内であることが好ましく、0.5質量%〜2質量%の範囲内であることがより好ましい。
本実施の形態に係る水性インク組成物に於いては、水(主溶媒としての水)を含有する。前記水としては、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水等のイオン性不純物を除去したものを用いるのが好ましい。特に、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。また、水の含有量としては特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。
また、水性インク組成物の液滴を記録媒体に定着させるとの観点からは、バインダーを含有することもできる。これにより、印刷直後の印刷画像の耐傷性及び耐擦過性の向上が図れる。前記バインダーとしては特に限定されず、例えば、アクリル−スチレン、ウレタン、ウレタンーアクリルハイブリッド、ポリエステルのエマルション又は水溶性樹脂等が挙げられる。
更に、本実施の形態の水性インク組成物は、その他の添加剤として、更にpH調整剤、防腐防かび剤、キレート化剤等を含有していてもよい。これらの添加剤の含有量は適宜必要に応じて設定され得る。
前記pH調整剤としては特に限定されず、例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
前記防腐防かび剤としては特に限定されず、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。防腐防かび剤の添加により、微生物の発生を抑制し、ノズル詰まりを防止することができる。
前記キレート化剤としては特に限定されず、例えば、エチレンジアミン四酢酸及びそれらの塩類(エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム塩等)等が挙げられる。キレート化剤の添加によりノズル詰まり等の発生を防止することができる。
(インクジェット用水性インク組成物の製造方法)
本実施の形態の水性インク組成物は、前述の各成分を適宜な方法で分散・混合することよって製造することができる。即ち、例えば、均一な顔料分散液に、別途調製したポリエチレン系ワックスを加え、更に水及び水溶性有機溶剤等にて希釈する。その後、十分に撹拌し、必要に応じて目詰まりの原因となる粗大粒径及び異物を除去するための濾過を行う。これにより、本実施の形態に係る水性インク組成物を得ることができる。
各材料の混合方法としては特に限定されず、例えば、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合を行う。また、濾過方法としては特に限定されず、例えば、遠心濾過、フィルター濾過等を採用することができる。
(インクジェット記録方法)
次に、本実施の形態のインクジェット記録方法について説明する。
本実施の形態のインクジェット記録方法は、微細なノズルより任意の記録媒体に前記水性インク組成物を液滴として吐出し、その液滴を記録媒体に付着させることにより行うことができる。吐出方法として特に限定されず、例えば、連続噴射型(荷電制御型、スプレー型等)、オンデマンド型(ピエゾ方式、サーマル方式、静電吸引方式等)等の公知の方法を採用することができる。
前記記録媒体としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。本実施の形態の水性インク組成物は、非吸収性又は低吸収性の記録媒体に対しても、耐擦過性・光沢性に優れ、かつ、ビーディングの発生を抑制した高精細の画像を印刷することが可能だからである。具体的には、例えば、一般の印刷用紙、コート紙、アート紙、紙器用紙等が挙げられる。
記録媒体に前記インクジェット用水性インク組成物の液滴を吐出して付着させた後は、当該付着した液滴を当該インクジェット用水性インク組成物中に含まれるポリエチレン系ワックスの融点より低い温度で加熱乾燥させるのが好ましい。これにより、ポリエチレン系ワックスを熱溶融 又は溶融させることなく粒子の形状を維持した状態で、印刷塗膜中に存在させることができる。その結果、耐擦過性に優れた印刷画像を記録媒体上に印刷することができる。尚、このときの加熱温度は、記録媒体表面の温度を意味する。また、加熱温度の下限値については、水性インク組成物中の溶媒や記録媒体の種類、乾燥時間等に応じて適宜設定することができる。乾燥時間については特に限定されず、水性インク組成物中の溶媒や記録媒体の種類、印刷速度等に応じて適宜設定することができる。
加熱乾燥の方法は、水性インク組成物中の溶媒の蒸発を促進させるものであれば特に限定されない。例えば、水性インク組成物の液滴が付着した記録媒体に熱風を吹き付ける方法や、適宜の温度に設定された加熱ドラム等に当該記録媒体を接触させて乾燥させる方法等が挙げられる。具体的には、強制空気加熱等、輻射加熱、伝導加熱、高周波乾燥、マイクロ波乾燥等の温風処理やヒーターによる加熱が可能である。
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、下記の実施例に記載されている材料や含有量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定するものではない。
(実施例1〜4、比較例1〜21)
下記表1に示す配合組成にて、実施例1〜4及び比較例1〜21の水性インク組成物を調製した。但し、各実施例1〜4及び比較例1〜21に於いては、それぞれ下記表2に示す種類のワックスを用いた点が異なる。
各実施例及び比較例の水性インク組成物の調製は、次の操作によって調製した。即ち、表1に示す各材料を容器中に入れて混合し、マグネチックスターラーにて常温で1時間撹拌した。その後、粗大粒径及び異物の除去のために混合液を濾過した。濾過用のフィルターとしては、濾過精度1μmのメンブランフィルターを用いた。これにより、各実施例1〜4及び比較例1〜21の水性インク組成物を得た。尚、表1中の数値は全て質量%で表したものである。また、水は水性インク組成物の全量が100質量%となるように添加した。
Figure 2015067731
Figure 2015067731
(実施例5〜24、比較例22〜24)
下記表3及び表4に示す配合組成にて、実施例5〜24及び比較例22〜24の水性インク組成物を調製した。尚、イエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料としてはカプセル化顔料を用いた。また、ポリエチレンワックスとしてはHYTEC E−1000(商品名、東邦化学(株)製)を用いた。
各実施例及び比較例の水性インク組成物の調製は、前記実施例1等と同様の方法により行った。尚、表3及び表4中の数値は全て質量%で表したものである。また、水は水性インク組成物の全量が100質量%となるように添加した。
Figure 2015067731
Figure 2015067731
(実施例25〜28、比較例25)
下記表5に示す配合組成にて、実施例25〜28、比較例25の水性インク組成物を調製した。尚、マゼンタ顔料としてはSensijet Ultra Magenta PR122(SENSIENT社製)を用いた。また、ポリエチレンワックスとしてはHYTEC E−1000(商品名、東邦化学(株)製)を用いた。
各実施例及び比較例の水性インク組成物の調製は、前記実施例1等と同様の方法により行った。尚、表5中の数値は全て質量%で表したものである。また、水は水性インク組成物の全量が100質量%となるように添加した。
Figure 2015067731
(耐擦過性)
耐擦過性に関する測定及び評価は、JIS−K5701−1に準じて行った。即ち、記録媒体としてのコート紙(商品名:OKボール、王子製紙(株)製)に、各実施例又は比較例に於いて調製した水性インク組成物を用いてベタ印刷を行った。但し、実施例1〜4、25〜28、比較例1〜7、9〜18、25の場合については、バーコーター(コーティングテスター(株)製、自動フィルムアプリケータNo.355(F/B))を用いて印刷を行った。また、比較例8、19〜21の場合については、インクジェットプリンター(商品名:PX−101、セイコーエプソン(株)製)を用いて印刷を行った。印刷後、コート紙の表面温度が120℃となる様に、2分間加熱乾燥を行った。
続いて、学振型摩擦堅牢試験機(安田精機株式会社製)を用いて、前記コート紙の印刷面に摩擦紙(商品名:OKトップコート、王子製紙(株)製)を乗せ、荷重500gにて印刷面を10回擦った。その後、摩擦紙に対する色移りの度合を評価するために、その摩擦面をスキャナ(EPSON GT−X820、セイコーエプソン(株)製)で画像として取り込んだ。スキャン条件は48bitカラー、解像度600dpi、画像補正なしとした。更にPhotoshop(登録商標)を用いて画像の平均化処理を行った。平均化の範囲は15mm×15mmとした。その後、摩擦紙への色移り度合を数値化するために、摩擦紙に於けるシアン、マゼンタ、イエローの各色のR、G、B値をそれぞれ測定した。また、コート紙の印刷面に擦過していない摩擦紙についても、シアン、マゼンタ、イエローの各色のR、G、B値をそれぞれ測定しておいた。
シアン顔料を含む水性インク組成物を用いた印刷物の色移り度合いの計算方法は、次の通りとした。即ち、シアンは(R,G,B)=(0,255,255)で表すことができ、R値が0に近づくほど摩擦紙へのシアンの色移りが濃くなると考えることが出来る。そのため、シアンの色移り度合いは下記式により算出して数値化した。
(シアンの色移り度合い)=Ref.−C
同様に、マゼンタ顔料を含む水性インク組成物を用いた印刷物の色移り度合いについては、マゼンタを(R,G,B)=(255,0,255)で表すことができ、G値が0に近づくほど摩擦紙へのマゼンタの色移りが濃くなると考えられるので、下記式により算出した。
(マゼンタの色移り度合い)=Ref.−M
また、イエロー顔料を含む水性インク組成物を用いた印刷物の色移り度合いについては、イエローが(R,G,B)=(255,255,0)で表すことができ、B値が0に近づくほど摩擦紙へのイエローの色移りが濃くなると考えられるので、下記式により算出した。
(イエローの色移り度合い)=Ref.−Y
得られた色移り度合の値をもとに、下記の評価基準にて耐擦過性の評価を行った。結果を表2、表6及び表7に示す。尚、下記評価基準はオフセット印刷を行った場合と同様の評価基準である。また、耐擦過性は色毎に感度が異なることから、シアン顔料を用いた実施例18〜24及び比較例24については、下記の通り評価基準を変更した。
○:色移り度合の値が30以下(シアン顔料を用いた場合は35以下)
△:色移り度合の値が30を超えて50以下(シアン顔料を用いた場合は35を超えて50以下)
×:色移り度合の値が50より大きい
(ビーディング)
ビーディングに関する測定及び評価は、次の通り行った。即ち、前記耐擦過性の評価の場合と同様の条件にてコート紙(OKボール、王子製紙(株)製)上にベタ印刷を行った。但し、実施例6、7、9〜14、16〜21、23、24の場合については、バーコーター(コーティングテスター(株)製、自動フィルムアプリケータNo.355(F/B))を用いて印刷を行った。また、実施例8、15、22、比較例22〜24の場合については、インクジェットプリンター(商品名:PX−101、セイコーエプソン(株)製)を用いて印刷を行った。次に、印刷面のビーディングの発生の有無を、下記評価基準により目視て評価した。結果を表2、表6及び表7に示す。
○:ビーディングの発生がなく均一な印刷である。
△:わずかにビーディングの発生が認められる。
×:明確にビーディングの発生が認められる。
(テープ剥離性)
テープ剥離性は、実施例1〜4、25〜28、比較例1〜21、25の水性インク組成物を用いて行った。即ち、前記耐擦過性又はビーディングの評価の場合と同様の条件にてコート紙(OKボール、王子製紙(株)製)上にベタ印刷を行った。次に、粘着テープ(商品名:セロテープ(登録商標)No.405、ニチバン(株))を印刷面に貼り付け、その後粘着テープを剥がしたときの印刷面の剥がれやテープへの移り状態を確認することにより、テープ剥離性を評価した。評価基準は以下の通りとした。結果を表2、表7に示す。
○:記録面の剥がれ・粘着テープへの付着が認められなかった
△:記録面の剥がれはないが、粘着テープへの付着がわずかに認められた
×:記録面に剥がれが生じた
(光沢性)
実施例1〜4及び比較例1〜21の水性インク組成物を用いて、前記前記耐擦過性の評価の場合と同様の条件にてコート紙(OKボール、王子製紙(株)製)上にベタ印刷を行った。次に、印刷面の光沢度を光沢度計(商品名:IG−331、(株)堀場製作所製)を用いて測定した。評価基準は以下の通りとした。結果を表2に示す。
○:入射角60°に於ける光沢度が45以上
△:入射角60°に於ける光沢度が30以上45未満
×:入射角60°に於ける光沢度が30未満
Figure 2015067731
Figure 2015067731
(結果)
表2から分かる通り、本実施例1〜4に係る水性インク組成物に於いては、いずれも色移り度合の値が小さく、耐擦過性に優れていることが示された。また、粘着テープによる印刷面の剥離も確認されず、定着性も良好であった。更に、ビーディングの発生も抑制されており、光沢性も良好であった。その一方、ポリエチレンワックスを含む水性インク組成物であっても、融点が110℃〜140℃の範囲外であるものや、平均粒子径(D50)が57nm〜141nmの範囲外のものについては、耐擦過性が不良であったり、ビーディングの発生が確認された(比較例1〜14、16〜18)。また、比較例15の様に耐擦過性及びビーディングが良好なものであっても、ポリエチレンワックスの平均粒子径(D50)が大き過ぎる結果、画像表面がマット状になり光沢度が最も小さかった。
更に、ポリエチレンワックスと天然ワックスの混合物をワックスとして用いた比較例19に於いては、耐擦過性は良好であったもののビーディングが発生していた。また、ワックスとしてパラフィンワックスやポリプロピレンワックスを用いた比較例20、21に於いては、耐擦過性及びビーディングのいずれも不良であった。
また、表6、7から分かる通り、ポリエチレンワックスの含有量が多すぎるとビーディングが発生することが確認された。これらの実験データから、ビーディングによる印刷画面の画質低下を考慮すると、ポリエチレンワックスの含有量が1質量%程度のときに最も良好であることが確認された。


Claims (4)

  1. 少なくとも1種の顔料と、ワックスとを含むインクジェット用水性インク組成物であって、
    前記ワックスが、融点110℃〜140℃の範囲内であり、平均粒子径57nm〜141nmの範囲内であるポリエチレン系ワックスのみからなることを特徴とするインクジェット用水性インク組成物。
  2. 前記ポリエチレン系ワックスの含有量が、インクジェット用水性インク組成物の全質量に対し0.8質量%〜3質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用水性インク組成物。
  3. インクジェット用水性インクの液滴を吐出し、当該液滴を記録媒体に付着させて印刷を行うインクジェット記録方法であって、
    前記インクジェット用水性インクとして請求項1又は2に記載のインクジェット用水性インク組成物を用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
  4. 前記記録媒体に前記インクジェット用水性インク組成物の液滴を付着させた後に、当該付着した液滴を当該インクジェット用水性インク組成物中に含まれるポリエチレン系ワックスの融点より低い温度で加熱乾燥させることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録方法。


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