JP2017004987A - 固体電解コンデンサ用固体電解質用添加剤 - Google Patents

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拓馬 竹田
森 宏一
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宏一 森
清家 英雄
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英雄 清家
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Abstract

【課題】本発明は、固体電解質層の内部抵抗を維持しつつ、固体電解質層の耐電圧を上昇させることが可能な固体電解コンデンサ用固体電解質用添加剤、それを用いた固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
【解決手段】ヒドロキシル基を2個以上有し、かつウレタン結合を有し、かつ分子量が300〜6000である化合物(J)とホウ酸(D)とを含有する固体電解コンデンサ用固体電解質用添加剤(A)であって、さらに、化合物(J1)とホウ酸(D1)とのホウ酸エステル(H)または多価アルコール(F)を含有することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、固体電解コンデンサ用固体電解質に添加する添加剤に関する。
近年、エレクトロニクス材料におけるフレキシブル化のニーズが高まっており、ポリアニリン及びポリピロール等の導電性高分子の、導電機能材料、電荷輸送材料及び光機能材料への応用が盛んに研究されている。特に導電機能材料においては、固体電解コンデンサ用電解質や帯電防止剤として実用化されている。これらの導電性高分子の実用性を拡大するために、導電性及び加工性の更なる向上が図られている。また、これらの導電性高分子化合物は、使用電圧の上昇に伴い、高い保障電圧が要望されてきている。
コンデンサの分野においては、高周波領域におけるインピーダンスを低下することを目的として、アルミニウム、タンタル、ニオブ等の酸化皮膜(誘電体被膜)をエッチングすることで多孔性皮膜とし、この表面にポリピロール、ポリアニリン等のπ共役系高分子からなる層(導電性高分子層)を形成して陰極とした導電性高分子コンデンサが使用されている。
特許文献1では、リン酸またはリン酸エステルをポリピロール水溶液またはポリアニリン水溶液に添加した溶液または分散体の塗液が提案され、本溶液または分散体の塗液を用いてなる固体電解コンデンサの耐電圧が改善されている。特許文献2では、フッ素系界面活性剤をポリピロール水溶液またはポリアニリン水溶液に添加した溶液または分散体の塗液が提案され、特許文献1と同様に本溶液または分散体の塗液を用いてなる固体電解コンデンサの耐電圧が改善されている。しかしながら、特許文献1および特許文献2では耐電圧が改善されているものの、基質への密着性が不十分であり、該導電性高分子層の内部抵抗に改善の余地がある。
特許文献3では、ナフタレンスルホン酸類、高分子量ポリスチレンスルホン酸、ホウ酸、マンニトールおよびグリコール類の5種を導電性高分子に添加した塗液を用いてなる固体電解コンデンサが提案され、固体電解コンデンサの抵抗および耐熱性が改善されている。特許文献4では、水溶性多価アルコールとヒドロキシ基を2つ以上持つオキソ酸を導電性高分子に添加した塗液が提案され、本塗液を用いてなる固体電解コンデンサの抵抗および耐湿性が改善されている。しかしながら、特許文献3では抵抗および耐熱性が改善されているものの、耐電圧に改善の余地があり、特許文献4では抵抗および耐湿性が改善されているものの、耐電圧に改善の余地がある。
特開2001−155964号公報 特開2001−283655号公報 特許4737775号公報 国際公開2012/137969号パンフレット
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明は、固体電解質層の内部抵抗を維持しつつ、固体電解質層の耐電圧を上昇させることが可能な固体電解コンデンサ用固体電解質用添加剤、それを用いた固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、本発明に到達した。
即ち、本発明は、ヒドロキシル基を2個以上有し、かつウレタン結合を有し、かつ分子量が300〜6000である化合物(J)とホウ酸(D)とを含有する固体電解コンデンサ用固体電解質用添加剤(A);該添加剤(A)、π共役系高分子化合物(B)および溶剤(C2)を含有する固体電解コンデンサ用固体電解質組成物;該添加剤(A)およびπ共役系高分子化合物の前駆体モノマー(b)を含有する固体電解コンデンサ用固体電解質用前駆体組成物;該固体電解コンデンサ用固体電解質組成物または該固体電解コンデンサ用固体電解質用前駆体組成物を乾燥固化してなる固体電解コンデンサ用導電性被膜;該固体電解コンデンサ用固体電解質組成物または該固体電解コンデンサ用固体電解質用前駆体組成物を乾燥固化して固体電解質層を形成する固体電解コンデンサの製造方法;該固体電解コンデンサ用固体電解質組成物または該固体電解コンデンサ用固体電解質用前駆体組成物を乾燥固化して固体電解質層を形成してなる固体電解コンデンサである。
本発明の固体電解コンデンサ用固体電解質用添加剤は、内部抵抗を維持しつつ、耐電圧が高い固体電解コンデンサを作製することができる。
耐電圧が高いことを特徴とする本発明の固体電解コンデンサは、本発明の固体電解コンデンサ用固体電解質用組成物または本発明の固体電解コンデンサ用固体電解質用前駆体組成物を乾燥固化して形成される固体電解コンデンサ用固体電解質を有することにより本特徴を発現する。該固体電解コンデンサ用固体電解質組成物は、π共役系高分子化合物(B)、溶剤(C2)に加えて本発明の固体電解コンデンサ用固体電解質用添加剤(A)を含有することが特徴である。また、該固体電解コンデンサ用固体電解質用前駆体組成物は、π共役系高分子化合物の前駆体モノマー(b)に加えて本発明の固体電解コンデンサ用固体電解質用添加剤(A)を含有することが特徴である。
本発明の固体電解コンデンサ用固体電解質用添加剤(A)は、ホウ酸と、ヒドロキシル基を2個以上有し、かつウレタン結合を有し、かつ分子量が300〜6000である化合物(J)を含有する。本発明の固体電解コンデンサ用固体電解質用組成物または本発明の固体電解コンデンサ用固体電解質用前駆体組成物を乾燥固化する工程で、本発明の添加剤中に含有するホウ酸と、化合物(J)とがホウ酸含有の均一な複合被膜を形成し、固体電解コンデンサの陽極表面に欠陥部が生じた場合、ホウ酸が誘電体欠陥部で効率よく水酸化物イオンを放出することにより、欠陥部の修復反応を促進するため、電解質の内部抵抗を維持しつつ、かつ耐電圧を高くできると推定される。
ヒドロキシル基を2個以上有し、かつウレタン結合を有し、かつ分子量が300〜6000である化合物(J)は、多価アルコール(F1)とイソシアネート化合物(L)とをウレタン化反応して得られる化合物であり、イソシアネート化合物(L)のイソシアネート基は全てウレタン結合を形成し、(J)中にはイソシアネート基と未反応の多価アルコール(F1)由来のヒドロキシル基を少なくとも2個以上有する。
多価アルコール(F1)としては、以下の2価のアルコール(F11)、3価以上のアルコール(F12)およびこれらの混合物が挙げられる。
2価のアルコール(F11)
2価のアルコール(F11)としては、アルキレングリコールおよび分子量100〜1500の(ポリ)アルキレングリコールが挙げられる。具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど。
3価以上のアルコール(F12)
グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2,3−シクロヘキサントリオール、1,3,5−シクロヘキサントリオール、1,2,6−シクロヘキサントリオール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、1,2,3,4−ブタンテトラオール、エリトリトール、リビトールなど。
(F11)と(F12)は、各々一種または二種以上を併用してもよい。化合物(J)の溶剤溶解性の観点から、多価アルコール(F)は、分子量100〜1500のポリエチレングリコールおよび分子量100〜1500のポリプロピレングリコールが好ましく、さらに分子量300〜1000のポリエチレングリコールが好ましい。
イソシアネート化合物(L)としては、例えば、トリレンジイソシアネート(以下TDIと記載することがある。)、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下MDIと記載することがある。)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(以下NDIと記載することがある。)、トリジンジイソシアネート(以下TODIと記載することがある。)、イソホンジイソシアネート(以下IPDIと記載することがある。)、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下HDIと記載することがある。)、キシレンジイソシアネート(以下XDIと記載することがある。)、水添XDI、水添MDI、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート(以下TMXDIと記載することがある。)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(以下TMDIと記載することがある。)およびノルボルネンジイソシアネート(以下NBDIと記載することがある。)等が挙げられる。
イソシアネート化合物(L)は、一種または二種以上を併用してもよい。化合物(J)の溶剤溶解性の観点から、イソシアネート化合物(L)は、TDI、IPDI、HDI、XDI、水添XDIが好ましい。
化合物(J)は、その原料であるイソシアネート化合物(L)に多価アルコール(F1)をウレタン化反応させることによって製造されるが、その一般的な製造方法および条件は以下の通りである。
イソシアネート化合物(L)に多価アルコール(F1)をウレタン化反応させる際の反応温度は、反応時間の観点から好ましくは40〜100℃であり、反応圧力は好ましくは常圧であり、反応時間は好ましくは5〜24時間である。反応は、精製工程の簡略化の観点から、好ましくは無触媒下で行われるが、必要に応じて、第3級アミン類や有機金属化合物を触媒として用いることができる。仕込み順は、高分子量化の抑制の観点から、好ましくは多価アルコール(F1)を先に仕込み、イソシアネート化合物(L)を適下で仕込み、好ましくは1〜5時間でイソシアネート化合物(L)を仕込む。モル比は、イソシアネート基を残さないために、イソシアネート基に対して合計1〜1.5当量のヒドロキシル基と反応させることが好ましい。
化合物(J)の具体例としては、TDIとジエチレングリコール(分子量106)とのウレタン化合物、IPDIとトリエチレングリコール(分子量150)とのウレタン化合物、HDIとジプロピレングリコール(分子量134)とのウレタン化合物、XDIとポリエチレングリコール(分子量400)とのウレタン化合物、TDIとポリエチレングリコール(分子量600)とのウレタン化合物、水添XDIとポリエチレングリコール(分子量1000)とのウレタン化合物等が挙げられる。これらのうち2種以上を組み合わせてもよい。
添加剤(A)において、ホウ酸(D)の含有量は、ホウ酸(D)と、化合物(J)の合計重量に対して、キャパシタの耐電圧向上の観点から、好ましくは20〜80重量%であり、導電性被膜の均一性の観点から、更に好ましくは20〜60重量%である。
本発明の添加剤(A)は、化合物(J)とホウ酸(D)を含有するが、さらにヒドロキシル基を2個以上有し、かつウレタン結合を有し、かつ分子量が300〜6000である化合物(J1)とホウ酸(D1)とのホウ酸エステル(H)を含有することができる。ホウ酸エステル(H)は、化合物(J1)とホウ酸(D1)とを、例えば以下の反応条件で反応して得られる反応混合物である。反応生成物は多種類の化合物の混合物であり、組成で正確に記載することは困難である。
反応条件:ホウ酸(D1)と化合物(J1)を混合し、その混合物を60〜90℃に加熱し徐々に減圧して4.0〜6.0kPaにして脱水を行い、エステル化反応を行う。目標の圧力に到達した後、さらに100〜110℃まで加熱してエステル化反応を行う。4.0〜6.0kPaで水分と低沸分を留去し終わるまで反応してホウ酸エステル(H)を得ることができる。
化合物(J1)としては、前記化合物(J)と同様の化合物が挙げられる。ホウ酸と化合物(J1)の当量比(すなわち、[(ホウ酸(D1)のモル数×3)/(化合物(J1)のモル数×n)](nは化合物(J1)が有するヒドロキシル基の個数であり、2以上の整数))は、好ましくは1/0.1〜1/3、さらに好ましくは1/0.2〜1/1.5である。
添加剤(A)において、ホウ酸エステル(H)の含有量は、ホウ酸(D)、化合物(J)およびホウ酸エステル(H)の合計重量に対して、好ましくは1〜50重量%であり、更に好ましくは1〜20重量%である。
本発明の添加剤(A)は、ヒドロキシル基を2個以上有し、かつウレタン結合を有し、かつ分子量が300〜6000である化合物(J)とホウ酸(D)を含有するが、さらに
ヒドロキシル基を1個有し、かつウレタン結合を有し、かつ分子量が300〜6000である化合物(K)を含有することができる。
化合物(K)は、2価のアルコール(F111)と1価のアルコール(G)とイソシアネート化合物(L2)とをウレタン化反応して得られる化合物であり、イソシアネート化合物(L1)のイソシアネート基は全てウレタン結合を形成し、(K)中にはイソシアネート基と未反応の2価のアルコール(F111)由来のヒドロキシル基を1個有する。
2価のアルコール(F111)としては、前記2価のアルコール(F11)で例示したものと同様の2価のアルコールが挙げられる。2価のアルコール(F111)は、一種または二種以上を併用してもよい。化合物(K)の溶剤溶解性の観点から、2価のアルコール(F111)は、分子量100〜1500のポリエチレングリコールおよび分子量100〜1500のポリプロピレングリコールが好ましく、さらに分子量300〜1000のポリエチレングリコールが好ましい。
1価のアルコール(G)としては、以下のアルカノール(芳香環を含んでいてもよい。)、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、分子量100〜1500の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルおよびこれらの混合物が挙げられる。
(1)アルカノール
メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、1−ペンチルアルコール、2−ペンチルアルコール、3−ペンチルアルコール、1−ヘキシルアルコール、2−ヘキシルアルコール、3−ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ベンジルアルコールなど。
(2)アルキレングリコールモノアルキルエーテルおよび(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノヘプチルエーテル、エチレングリコールモノオクチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテルなど。
1価のアルコール(G)は、一種または二種以上を併用してもよい。化合物(K)の溶剤溶解性の観点から、1価のアルコール(G)は、分子量100〜1500のポリエチレングリコールモノメチルエーテルおよび分子量100〜1500のポリプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましく、さらに分子量300〜1000のポリエチレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。
イソシアネート化合物(L1)としては、前記イソシアネート化合物(L)で例示したものと同様のイソシアネート化合物が挙げられる。
イソシアネート化合物(L1)は、一種または二種以上を併用してもよい。化合物(K)の溶剤溶解性の観点から、イソシアネート化合物(L1)は、TDI、IPDI、HDI、XDI、水添XDIが好ましい。
化合物(K)は、その原料であるイソシアネート化合物(L1)に2価のアルコール(F111)および1価のアルコール(G)をウレタン化反応させることによって製造されるが、その一般的な製造方法および条件は以下の通りである。
仕込み順は、高分子量化の抑制の観点から、好ましくはイソシアネート化合物(L1)を先に仕込み、1価のアルコール(G)を適下で仕込み、好ましくは1〜5時間で1価のアルコール(G)を仕込む。モル比は、イソシアネート基が分子内に1個だけ残るようにするために、イソシアネート基に対して合計0.5当量のヒドロキシル基と反応させることが好ましい。反応時間の観点から好ましくは10〜40℃であり、反応圧力は好ましくは常圧であり、反応時間は好ましくは1〜5時間である。続いて、この反応中間体を2価のアルコール(F111)に適下で仕込み、好ましくは1〜5時間で反応中間体を仕込む。モル比は、イソシアネート基を残さないために、イソシアネート基に対して合計1〜1.5当量のヒドロキシル基と反応させることが好ましい。ウレタン化反応させる際の反応温度は、反応時間の観点から好ましくは40〜100℃であり、反応圧力は好ましくは常圧であり、反応時間は好ましくは5〜24時間である。反応は、精製工程の簡略化の観点から、好ましくは無触媒下で行われるが、必要に応じて、第3級アミン類や有機金属化合物を触媒として用いることができる。
化合物(K)の具体例としては、TDIとジエチレングリコール(分子量106)とポリエチレングリコールモノメチルエーテル(分子量220)のウレタン化合物、IPDIとトリエチレングリコール(分子量150)とポリエチレングリコールモノメチルエーテル(分子量220)のウレタン化合物、HDIとジプロピレングリコール(分子量134)とポリエチレングリコールモノメチルエーテル(分子量220)のウレタン化合物、TDIとポリエチレングリコール(分子量600)とジエチレングリコールモノメチルエーテル(分子量120)のウレタン化合物等が挙げられる。これらのうち2種以上を組み合わせてもよい。
添加剤(A)において、化合物(K)のモル数は、化合物(J)のモル数に対して、好ましくは1〜50モル%であり、更に好ましくは1〜10モル%である。
本発明の添加剤(A)は、化合物(J)とホウ酸(D)を含有するが、さらにヒドロキシル基を1個有し、かつウレタン結合を有し、かつ分子量が300〜6000である化合物(K1)と、ヒドロキシル基を2個以上有し、かつウレタン結合を有し、かつ分子量が300〜6000である化合物(J2)とホウ酸(D2)とのホウ酸エステル(H1)を含有することができる。ホウ酸エステル(H1)は、前記ホウ酸エステル(H)と同様の反応条件で反応して得られる反応混合物である。反応生成物は多種類の化合物の混合物であり、組成で正確に記載することは困難である。
化合物(K1)としては、前記化合物(K)と同様の化合物が挙げられる。化合物(J2)としては、前記化合物(J)と同様の化合物が挙げられる。ホウ酸(D2)と化合物(J2)の当量比(すなわち、[(ホウ酸(D2)のモル数×3)/(化合物(J2)のモル数×n)](nは化合物(J2)が有するヒドロキシル基の個数であり、2以上の整数))は、好ましくは1/0.1〜1/3、さらに好ましくは1/0.2〜1/1.5であり、化合物(K1)のモル数は、化合物(J2)のモル数に対して、好ましくは1〜50モル%であり、更に好ましくは1〜10モル%である。
添加剤(A)において、ホウ酸エステル(H1)の含有量は、ホウ酸(D)、化合物(J)およびホウ酸エステル(H1)の合計重量に対して、好ましくは1〜50重量%であり、更に好ましくは1〜20重量%である。
本発明の添加剤(A)は、化合物(J)とホウ酸(D)を含有するが、さらにヒドロキシル基を1個有し、かつウレタン結合を有し、かつ分子量が300〜6000である化合物(K2)と、ホウ酸(D3)とのホウ酸エステル(H2)を含有することができる。ホウ酸エステル(H2)は、前記ホウ酸エステル(H)と同様の反応条件で反応して得られる反応混合物である。反応生成物は多種類の化合物の混合物であり、組成で正確に記載することは困難である。
化合物(K2)としては、前記化合物(K)と同様の化合物が挙げられる。ホウ酸(D3)と化合物(K2)の当量比(すなわち、[(ホウ酸(D2)のモル数×3)/(化合物(K2)のモル数)])は、好ましくは1/0.1〜1/3、さらに好ましくは1/0.2〜1/1.5である。
添加剤(A)において、ホウ酸エステル(H2)の含有量は、ホウ酸(D)、化合物(J)およびホウ酸エステル(H2)の合計重量に対して、好ましくは1〜50重量%であり、更に好ましくは1〜20重量%である。
本発明の添加剤(A)は、化合物(J)とホウ酸(D)を含有するが、さらに、多価アルコール(F2)および/または1価のアルコール(G1)を含有することができる。
多価アルコール(F2)としては、前記多価アルコール(F1)で例示したものと同様の多価アルコールが挙げられる。多価アルコール(F2)は、一種または二種以上を併用してもよい。
(F2)は抵抗低減および耐電圧向上の観点から、2価のグリコールおよびこれらの混合物が好ましい。さらに好ましくは分子量100〜1500のポリエチレングリコールである。
1価のアルコール(G1)としては、前記1価のアルコール(G)で例示したものと同様の1価のアルコールが挙げられる。1価のアルコール(G1)は、一種または二種以上を併用してもよい。
抵抗低減および耐電圧向上の観点から、分子量100〜1500のポリエチレングリコールモノメチルエーテルおよび分子量100〜1500のポリプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましく、さらに分子量300〜1000のポリエチレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。
添加剤(A)において、多価アルコール(F2)の含有量は、ホウ酸(D)、化合物(J)、多価アルコール(F2)の合計重量に対して、キャパシタの耐電圧向上の観点から、好ましくは10〜90重量%であり、1価のアルコール(G1)の含有量は、ホウ酸(D)、化合物(J)、1価のアルコール(G1)の合計重量に対して、キャパシタの耐電圧向上の観点から、好ましくは10〜90重量%である。多価アルコール(F2)および1価のアルコール(G1)を含有する場合は、多価アルコール(F2)の含有量は、ホウ酸(D)、化合物(J)、多価アルコール(F2)、1価のアルコール(G1)の合計重量に対して、キャパシタの耐電圧向上の観点から、好ましくは10〜80重量%であり、1価のアルコール(G1)の含有量は、ホウ酸(D)、化合物(J)、多価アルコール(F2)、1価のアルコール(G1)の合計重量に対して、キャパシタの耐電圧向上の観点から、好ましくは10〜40重量%である。
本発明の添加剤(A)は、化合物(J)とホウ酸(D)を含有するが、さらに多価アルコール(F21)および/または1価のアルコール(G2)と、ヒドロキシル基を2個以上有し、かつウレタン結合を有し、かつ分子量が300〜6000である化合物(J3)とホウ酸(D4)とのホウ酸エステル(H3)を含有することができる。ホウ酸エステル(H3)は、前記ホウ酸エステル(H)と同様の反応条件で反応して得られる反応混合物である。反応生成物は多種類の化合物の混合物であり、組成で正確に記載することは困難である。
多価アルコール(F21)、1価のアルコール(G2)および化合物(J3)としては、各々前記多価アルコール(F1)、1価のアルコール(G)化合物(J)と同様の化合物が挙げられる。ホウ酸(D4)と化合物(J3)の当量比(すなわち、[(ホウ酸(D4)のモル数×3)/(化合物(J3)のモル数×n)](nは化合物(J3)が有するヒドロキシル基の個数であり、2以上の整数))は、好ましくは1/0.1〜1/3、さらに好ましくは1/0.2〜1/1.5であり、多価アルコール(F21)および/または1価のアルコール(G2)のモル数は、化合物(J3)のモル数に対して、好ましくは1〜50モル%であり、更に好ましくは1〜10モル%である。
添加剤(A)において、ホウ酸エステル(H3)の含有量は、ホウ酸(D)、化合物(J)およびホウ酸エステル(H3)の合計重量に対して、好ましくは1〜50重量%であり、更に好ましくは1〜20重量%である。
本発明の添加剤(A)は、化合物(J)とホウ酸(D)を含有するが、さらに多価アルコール(F22)および/または1価のアルコール(G3)と、ヒドロキシル基を1個有し、かつウレタン結合を有し、かつ分子量が300〜6000である化合物(K3)とホウ酸(D5)とのホウ酸エステル(H4)を含有することができる。ホウ酸エステル(H3)は、前記ホウ酸エステル(H)と同様の反応条件で反応して得られる反応混合物である。反応生成物は多種類の化合物の混合物であり、組成で正確に記載することは困難である。
多価アルコール(F22)、1価のアルコール(G3)および化合物(K3)としては、各々前記多価アルコール(F1)、1価のアルコール(G)化合物(K)と同様の化合物が挙げられる。ホウ酸(D5)と化合物(K3)の当量比(すなわち、[(ホウ酸(D5)のモル数×3)/(化合物(K3)のモル数)]は、好ましくは1/0.1〜1/3、さらに好ましくは1/0.2〜1/1.5であり、多価アルコール(F21)および/または1価のアルコール(G2)のモル数は、化合物(K3)のモル数に対して、好ましくは1〜50モル%であり、更に好ましくは1〜10モル%である。
添加剤(A)において、ホウ酸エステル(H4)の含有量は、ホウ酸(D)、化合物(J)およびホウ酸エステル(H4)の合計重量に対して、好ましくは1〜50重量%であり、更に好ましくは1〜20重量%である。
本発明の添加剤(A)は化合物(J)とホウ酸(D)を含有するが、さらに多価アルコール(F1)および1価のアルコール(G)を含まない溶剤(C1)を含有することができる。溶剤としては、例えば下記の(C12)〜(C18)およびこれらの混合物が挙げられる。
エーテル類(C12)
モノエーテル(テトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン等)、ジエーテル(エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、1,3−ジオキソラン等)、トリエーテル(ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等)等。
アミド類(C13) アセトアミド(N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等)、プロピオンアミド(N,N−ジメチルプロピオンアミド等)、ピロリドン(N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等)、ヘキサメチルホスホリルアミド等。
ラクトン類(C14)
γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等。
ニトリル類(C15)
アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、アクリロニトリル、メタクリルニトリル、ベンゾニトリル等。
カーボネート類(C16)
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等。
スルホン類(C17)
スルホラン、ジメチルスルホン等。
その他の溶剤(C18)
ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、芳香族溶媒(トルエン、キシレン等)、パラフィン溶媒(ノルマルパラフィン、イソパラフィン等)、水等。
上記溶剤(C1)のうち、抵抗低減および溶解性の観点から、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンおよびジメチルスルホキシド、水およびこれらの混合物が好ましい。添加剤(A)において、溶剤(C1)の含有量は、化合物(J)、ホウ酸(D)および溶剤(C1)の合計重量に対して、好ましくは5〜50重量%である。
添加剤(A)がさらに、多価アルコール(F2)、1価のアルコール(G1)、ホウ酸エステル(H)〜(H4)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する場合、添加剤(A)において、溶剤(C1)の含有量は、多価アルコール(F2)、1価のアルコール(G1)、ホウ酸エステル(H)〜(H4)および溶剤(C1)の合計重量に対して、好ましくは5〜50重量%である。
本発明の固体電解コンデンサ用固体電解質用組成物は、固体電解コンデンサ用固体電解質用添加剤(A)、π共役系高分子化合物(B)および溶剤(C2)を含有する。
π共役系高分子化合物(B)としては、公知のπ共役系高分子化合物(例えば、ポリアニリン誘導体(ポリアニリンおよび置換されたポリアニリン)、ポリピロール誘導体(ポリピロールおよび置換されたポリピロール)、ポリチオフェン誘導体(ポリチオフェンおよび置換されたポリチオフェン)、ポリアセチレン誘導体(ポリアセチレンおよび置換されたポリアセチレン)およびポリイソチアナフテン誘導体(ポリイソチアナフテンおよび置換されたポリイソチアナフテン))等を用いることができる。溶剤溶解性の観点から、ポリアニリン誘導体およびポリピロール誘導体が好ましく、置換されたポリアニリンおよび置換されたポリピロールがさらに好ましい。
置換基としては、例えば、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基[例えば、メチル基、エチル基、n−又はiso−プロピル基、n−、iso−、sec−又はtert−ブチル基、n−又はiso−ペンチル基、n−又はiso−ヘキシル基、n−又はiso−ヘプチル基、n−又はiso−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−又はiso−ノニル基、n−又はiso−デシル基、n−又はiso−ウンデシル基、n−又はiso−ドデシル基、n−又はiso−トリデシル基、n−又はiso−テトラデシル基、n−又はiso−ペンタデシル基、n−又はiso−ヘキサデシル基、n−又はiso−ヘプタデシル基、n−又はiso−オクタデシル基、n−又はiso−ノナデシル基、n−又はiso−イコシル基等]、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコキシ基[例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−、iso−、sec−又はtert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、ノナデシルオキシ基、イコシルオキシ基等]、炭素数1〜20のポリエーテル基[例えば、1,3−ジオキソペンチル基、2,5−ジオキサヘプチル基、2,5,8−トリオキサオクチル基、1,4,7,10−テトラオキサウンデシル基、1,4,7,10,13,16,19−ヘプタオキサイコシル基等]、酸性基[例えば、−SO 、−SOH、−RSO 、−RSOH、−COO、−COOH、−RCOO、−RCOOH等。(式中、Rは、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数1〜20のアリーレン基または炭素数1〜20のアラルキレン基を表す。)]、アミノ基[例えば、−NH、−NHR、−N(R等。(式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアリール基または炭素数1〜20のアラルキル基を表す。)]、アミド基[例えば、−NHCOR等。(式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアリール基または炭素数1〜20のアラルキル基を表す。)]、エステル基[例えば、−COOR、−OCOR等。(式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアリール基または炭素数1〜20のアラルキル基を表す。)]、チオエーテル基[例えば、−SR等。(式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアリール基または炭素数1〜20のアラルキル基を表す。)]、水酸基、ニトロ基、ニトリル基、アルデヒド基およびハロゲン基[−F、−Cl、−Br、−I等]等が挙げられる。これらの中で好ましいものは、溶剤溶解性の観点から、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数1〜20のポリエーテル基および酸性基である。
上記π共役系高分子化合物(B)は原料であるモノマーを重合することで得られる。重合は、アニオン重合や酸化重合等公知の方法で行なうことが可能である。
π共役系高分子化合物の原料モノマーとしては、ピロール骨格およびアニリン骨格を有する化合物等が挙げられる。例えば、3−n−ヘキシルピロール、3−n−ドデシルピロール等の3−アルキル基置換ピロール、3−メトキシピロール、3−ヘプチルオキシピロール等の3−アルコキシ基置換ピロール、3−(1,3−ジオキソペンチル)ピロール、3−(1,4,7,10−テトラオキサウンデシル)ピロール等の3−ポリエーテル基置換ピロール、3−(3−ピロリル)−プロパン−1−スルホン酸、4−(3−ピロリル)−ブタン−1−スルホン酸、6−(3−ピロリル)−ヘキサン−1−スルホン酸等のアルキルスルホン酸基置換ピロール、o−、m−またはp−アミノベンゼンスルホン酸、アニリン−2,6−ジスルホン酸、メチルアミノベンゼンスルホン酸等のスルホン酸基置換アニリンおよびo−、m−またはp−アミノベンゼンカルボン酸、アニリン−2,6−ジカルボン酸、メチルアミノベンゼンカルボン酸等のカルボキシ基置換アニリン等が挙げられる。これらは単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。
溶剤(C2)としては、固体電解コンデンサ用固体電解質用添加剤(A)およびπ共役系高分子化合物(B)が良好に溶解または分散する溶剤が望まれ、前記溶剤(C1)で例示したものと同様の溶剤および沸点が100℃以下のアルコール類[例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等]が挙げられる。上記溶剤(C2)のうち、沸点が300℃以下のものおよびこれらの混合物が好ましい。沸点が300℃以下であると導電性被膜形成工程で導電性被膜中に溶剤がほとんど残存せず、導電性被膜の特性に悪影響を及ぼすことがほとんどない。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、1−ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジオキソラン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、水及びこれらの混合物等が挙げられる。
本発明の固体電解質組成物において、固体電解コンデンサ用固体電解質用添加剤(A)の含有量は、π共役系高分子化合物(B)の重量に対して、耐電圧向上効果の観点から好ましくは50〜3000重量%、内部抵抗上昇抑制の観点からさらに好ましくは100〜2000重量%含有される。また、ホウ酸(D)、ホウ酸(D1)、ホウ酸(D2)、ホウ酸(D3)、ホウ酸(D4)およびホウ酸(D5)の合計重量は、π共役系高分子化合物(B)の重量に対して、耐電圧向上効果の観点から好ましくは5〜150重量%、内部抵抗上昇抑制の観点から10〜100重量%含有される。
π共役系高分子化合物(B)の含有量は、導電性被膜の成膜性および溶剤(C2)への溶解性または分散性の観点から、固体電解コンデンサ用固体電解質用添加剤(A)、π共役系高分子化合物(B)および溶剤(C2)の合計重量に対して、好ましくは0.1〜20重量%含有される。
固体電解コンデンサ用固体電解質組成物は、(B)を(C2)に溶解または分散させた溶液中に、(A)を溶解させることで得ることができる。または、(A)を(C2)に溶解させた溶液と、(B)を(C2)に溶解または分散させた溶液とを混合して得てもよい。溶解または分散させる方法としては、例えば、通常の櫂型撹拌羽根を用いて、室温で撹拌する方法等が挙げられる。
本発明の固体電解コンデンサ用固体電解質組成物には必要により、更にドーパントを添加することができる。
ドーパントとしては、例えば、無機酸(硫酸、硝酸、リン酸および縮合リン酸等)、ハロゲンイオン類(ヨウ素、臭素及び塩素等)、ハロゲン化物イオン類(テトラフロロホウ素及び過塩素酸等)、キノン化合物[クロラニル酸、p−クロラニル、p−ベンゾキノン、p−キノンジオキシム、ジクロロジシアノキノン(DDQ)、p−ナフトキノン、アントラキノン、クロロアントラキノン及びp−トルキノン等]、アルキル置換有機スルホン酸イオン類(メタンスルホン酸及びドデシルスルホン酸等)、環状スルホン酸イオン類(カンファースルホン酸イオン等)、アルキル置換又は無置換のベンゼンモノ又はジスルホン酸イオン類(ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸及びベンゼンジスルホン酸等)、スルホン酸基を1〜4個有するナフタレンスルホン酸のアルキル置換イオン類又は無置換イオン類(2−ナフタレンスルホン酸及び1,7−ナフタレンジスルホン酸等)、アントラセンスルホン酸イオン、アントラキノンスルホン酸イオン、アルキル置換又は無置換のビフェニルスルホン酸イオン類(アルキルビフェニルスルホン酸及びビフェニルジスルホン酸等)、置換又は無置換の芳香族高分子スルホン酸イオン類(ポリスチレンスルホン酸及びナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合体等)及び三酸化硫黄錯体等が挙げられる。
三酸化硫黄錯体は、三酸化硫黄と、エーテル、アミド、アミン、スルフィドなどのルイス塩基との錯体である。エーテル・三酸化硫黄錯体としては三酸化硫黄ジオキサン錯体、三酸化硫黄ジオキソラン錯体、三酸化硫黄ジメチルエーテル錯体、三酸化硫黄エチルメチルエーテル錯体、三酸化硫黄ジエチルエーテル錯体等、アミド・三酸化硫黄錯体としては三酸化硫黄N,N−ジメチルホルムアミド錯体等、アミン・三酸化硫黄錯体としては三酸化硫黄ピリジン錯体、三酸化硫黄トリエチルアミン錯体、三酸化硫黄トリメチルアミン錯体、三酸化硫黄N−エチルジイソプロピルアミン錯体等、スルフィド・三酸化硫黄錯体としては三酸化硫黄ジメチルスルフィド錯体、三酸化硫黄エチルメチルスルフィド錯体、三酸化硫黄ジエチルスルフィド錯体等が挙げられる。これらの中で、導電性の観点からアミド・三酸化硫黄錯体およびアミン・三酸化硫黄錯体が好ましく、アミド・三酸化硫黄錯体の中では三酸化硫黄N,N−ジメチルホルムアミド錯体、アミン・三酸化硫黄錯体の中では三酸化硫黄ピリジン錯体が好ましい。上記の中でドーパントとしては、導電性の観点から、無機酸、アルキル置換有機スルホン酸イオン類、環状スルホン酸イオン類、アルキル置換又は無置換のベンゼンモノ又はジスルホン酸イオン類、スルホン酸基を1〜4個有するナフタレンスルホン酸のアルキル置換イオン類又は無置換イオン類、アルキル置換又は無置換のビフェニルスルホン酸イオン類、置換又は無置換の芳香族高分子スルホン酸イオン類または三酸化硫黄錯体が好ましく、これらの内、硫酸、リン酸、縮合リン酸、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸及び三酸化硫黄N,N−ジメチルホルムアミド錯体が更に好ましい。
π共役系高分子化合物(B)は、ドーパントに対して電子を供与して、ドーパントとともに電荷移動錯体を形成する。
この電荷移動錯体が電子のキャリヤとして導電性を発現するため、ドーパントの濃度は高い方がよいが、過剰だと導電性が低下する。従って、ドーパントの使用量は、π共役系高分子化合物(B)に対して5〜1000重量%が好ましく、更に好ましくは10〜800重量%である。
本発明の固体電解コンデンサ用固体電解質用前駆体組成物は、固体電解コンデンサ用固体電解質用添加剤(A)およびπ共役系高分子化合物の前駆体モノマー(b)を含有する。
π共役系高分子化合物の前駆体モノマー(b)としては、公知のπ共役系高分子化合物の前駆体モノマー、例えば、アニリン誘導体(アニリンおよび置換されたアニリン)、ピロール誘導体(ピロールおよび置換されたピロール)、チオフェン誘導体(チオフェンおよび置換されたチオフェン)、アセチレン誘導体(アセチレンおよび置換されたアセチレン)およびイソチアナフテン誘導体(イソチアナフテンおよび置換されたイソチアナフテン)等を用いることができる。導電性および溶剤溶解性の観点から、アニリン誘導体およびピロール誘導体が好ましい。
置換基としては、前記π共役系高分子化合物の置換基で例示したものと同様の置換基が挙げられる。これらの中で好ましいものは、溶剤溶解性の観点から、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数1〜20のポリエーテル基および酸性基である。
π共役系高分子化合物の前駆体モノマー(b)の具体例としては、アニリン、ピロールおよび前記π共役系高分子化合物の原料モノマーで例示したものと同様のモノマー等が挙げられる。これらは単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。
本発明の固体電解質用前駆体組成物において、固体電解コンデンサ用固体電解質用添加剤(A)の含有量は、π共役系高分子化合物の前駆体モノマー(b)の重量に対して、耐電圧向上効果の観点から好ましくは50〜3000重量%、内部抵抗上昇抑制の観点からさらに好ましくは100〜2000重量%含有される。また、ホウ酸(D)、ホウ酸(D1)、ホウ酸(D2)、ホウ酸(D3)、ホウ酸(D4)およびホウ酸(D5)の合計重量は、π共役系高分子化合物(B)の重量に対して、耐電圧向上効果の観点から好ましくは5〜150重量%、内部抵抗上昇抑制の観点から10〜100重量%含有される。
本発明の固体電解コンデンサ用固体電解質用前駆体組成物には必要により、さらに溶剤(C3)を使用することができる。溶剤(C3)としては、固体電解コンデンサ用固体電解質用添加剤(A)およびπ共役系高分子化合物の前駆体モノマー(b)が良好に溶解する溶剤が望まれ、前記溶剤(C1)で例示したものと同様の溶剤および沸点が100℃以下のアルコール類[例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等]が挙げられる。上記溶剤(C3)のうち、沸点が300℃以下のものおよびこれらの混合物が好ましい。沸点が300℃以下であると導電性被膜形成工程で導電性被膜中に溶剤がほとんど残存せず、導電性被膜の特性に悪影響を及ぼすことがほとんどない。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、1−ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジオキソラン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、水及びこれらの混合物等が挙げられる。
π共役系高分子化合物の前駆体モノマー(b)の含有量は、導電性被膜の成膜性および溶剤(C3)への溶解性の観点から、固体電解コンデンサ用固体電解質用添加剤(A)、π共役系高分子化合物の前駆体モノマー(b)および溶剤(C3)の合計重量に対して、好ましくは0.1〜80重量%、より好ましくは1〜60重量%含有される。
固体電解コンデンサ用固体電解質用前駆体組成物は、(A)と(b)を混合する、または、(b)を(C3)に溶解させた溶液中に(A)を溶解させることで得ることができる。または、(A)を(C3)に溶解させた溶液と、(b)を(C3)に溶解させた溶液とを混合して得てもよい。溶解させる方法としては、例えば、通常の櫂型撹拌羽根を用いて、室温で撹拌する方法等が挙げられる。
本発明の固体電解コンデンサ用導電性被膜は、本発明の固体電解コンデンサ用固体電解質組成物を基質に塗布(または基質を固体電解質組成物に浸漬)後、必要に応じて加熱処理を行うことにより溶剤を除去し乾燥固化して作製することができる。
また、本発明の固体電解コンデンサ用導電性被膜は、本発明の固体電解コンデンサ用固体電解質用前駆体組成物を基質に塗布(または基質を固体電解質組成物に浸漬)してπ共役系高分子モノマー(b)を重合(酸化重合)させ、必要に応じて加熱処理を行い乾燥固化することにより作製することができる。重合はアニオン重合や酸化重合等の公知の方法で行うことができる。さらに、固体電解質用前駆体組成物と酸化剤を混合した後、混合物を基質に塗布(または基質を固体電解質組成物に浸漬)し、必要に応じて加熱処理を行い乾燥固化することにより作製してもよい。
酸化剤としては、公知の酸化剤(例えば、ペルオキソ二硫酸類[ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム等]、鉄塩類[塩化第二鉄、p−トルエンスルホン酸第二鉄等]、過酸化水素、二酸化鉛等)を用いることができる。導電性の観点から、ペルオキソ二硫酸類および鉄塩類が好ましい。これらは単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。
酸化剤を溶解する溶剤としては、酸化剤が良好に溶解する溶剤が望まれ、前記溶剤(C1)で例示したものと同様の溶剤および沸点が100℃以下のアルコール類[例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等]が挙げられる。上記溶剤のうち、沸点が300℃以下のものおよびこれらの混合物が好ましい。沸点が300℃以下であると導電性被膜形成工程で導電性被膜中に溶剤がほとんど残存せず、導電性被膜の特性に悪影響を及ぼすことがほとんどない。溶剤溶解性の観点から、これらの中でより好ましいものは、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、1−ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジオキソラン、N−メチルピロリドンジメチルスルホキシド、水及びこれらの混合物等が挙げられる。
酸化剤の使用量は、モノマー1モルに対して1〜8モルが好ましく、1〜4モルがより好ましい。
さらに、必要に応じてドーパントを固体電解質用前駆体組成物および/または酸化剤溶液に添加することができる。ドーパントとしては、前記π共役系高分子化合物のドーパントで例示したものと同様のドーパントが挙げられる。これらの中で好ましいものは、導電性の観点から、無機酸、アルキル置換有機スルホン酸イオン類、環状スルホン酸イオン類、アルキル置換又は無置換のベンゼンモノ又はジスルホン酸イオン類、スルホン酸基を1〜4個有するナフタレンスルホン酸のアルキル置換イオン類又は無置換イオン類、アルキル置換又は無置換のビフェニルスルホン酸イオン類、置換又は無置換の芳香族高分子スルホン酸イオン類または三酸化硫黄錯体が好ましく、これらの内、硫酸、リン酸、縮合リン酸、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸及び三酸化硫黄N,N−ジメチルホルムアミド錯体が更に好ましい。
重合後、得られた導電性被膜には未反応のモノマーおよび/または酸化剤が残存する場合があり、導電性被膜の特性に悪影響を及ぼすことがある。そのため、必要に応じて得られた導電性被膜の精製を行ってもよい。精製は、洗浄溶剤を用いて実施でき、洗浄溶剤としては、メタノール、エタノール、iso−プロパノール、n−プロパノール、t−ブタノール等のアルコール類、水等が高純度のものが得られるため好ましい。
基質へ固体電解質用組成物または固体電解質用前駆体組成物を塗布して導電性被膜を形成する方法としては、スピンコート法、ドロップキャスト法、ディップコート法等が挙げられる。また、基質としては、プラスチック、ガラス、金属、ゴム、セラミックス及び紙等が挙げられる。
本発明の固体電解質組成物または固体電解質用前駆体組成物を用いて導電性被膜を製造する際には、これらに溶剤が含有する場合は溶剤を除去する必要がある。沸点の低い溶剤の場合は、常温での自然乾燥、循風乾燥による加熱乾燥で溶剤を除去するが、沸点の高い溶剤の場合は、減圧乾燥機による加熱乾燥が好ましい。
十分な強度及び導電性の導電性被膜を得るためには、加熱処理温度は50〜190℃であることが好ましく、高導電性の導電性被膜を得るためには、更に好ましくは150〜170℃である。
加熱処理時間は、加熱処理温度、固体電解質組成物中のπ共役系高分子化合物の濃度または固体解質用前駆体組成物中のπ共役系高分子化合物の前駆体モノマーの濃度に応じて適宜選択されるが、通常は0.5〜8時間であり、好ましくは1〜4時間である。加熱時間を0.5時間以上とすることで、上記の固体電解質組成物または固体電解質用前駆体組成物から十分な導電性の導電性被膜が得られる。
導電性の観点から、基質表面に形成される導電性被膜の厚さは0.05〜100μmであることが好ましく、更に好ましくは、0.1〜50μmである。被膜を0.05μm以上に厚くすると十分な導電性が得られる。また、100μm以下にすると形成時にひび割れや剥離が生じにくい。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、固体電解質組成物または固体電解質用前駆体組成物を乾燥固化して固体電解質層を形成する。固体電解コンデンサとしては、特に限定されず、例えば、アルミニウム電解コンデンサ(巻回型アルミニウム電解コンデンサおよび積層型アルミニウム電解コンデンサ等)、タンタル電解コンデンサ、ニオブ電解コンデンサ等が挙げられる。
例えば、固体電解質として本発明の固体電解質組成物から形成した導電性被膜を用いるアルミニウム電解コンデンサを製造する場合について説明する。まず、陽極金属としてのアルミニウムエッチド箔を化成処理し、該アルミニウムエッチド箔の表面に酸化皮膜からなる誘電体膜を形成させ、陽極金属と誘電体膜とからなる陽極を作製する。その後、本発明の固体電解質組成物に陽極を塗布または浸漬させ、引き上げた後、所定の温度で乾燥を行うことにより、固体電解質層としての導電性被膜を形成させる。その後、得られた固体電解質層の上に、カーボンペーストを塗布、乾燥後、更に、銀ペーストを塗布乾燥し、陰極を形成する。銀ペーストからリード線を引き出し、端子を接続する。また、陽極箔に陽極端子を接続する。その後、陽極端子および陰極端子の端部が外部に引き出されるようにモールド外装樹脂を形成する。以上の方法により、アルミニウム電解コンデンサが作製される。
本発明の導電性被膜を固体電解質として使用した固体電解コンデンサは、固体電解質層の内部抵抗を維持しつつ、かつホウ酸と、ウレタン結合を有し、かつ分子量が300〜6000である化合物とがホウ酸含有の均一な複合被膜を形成しているため耐電圧に優れることから有用である。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、部は重量部を示す。
<製造例1>:ポリ[4−(3−ピロリル)ブタンスルホン酸](B−1)水溶液の調製
ケミストリーオブマテリアル誌(アメリカンケミカルソサイアティ1989年発行)1巻6号650頁に開示されている方法を参考にしながら、スルホン酸基を有するポリピロール誘導体の水溶液を調製した。
84.0部の4−クロロブチリルクロリド[和光純薬工業(株)社製]をジクロロメタン[和光純薬工業(株)社製]100部に溶解し、その溶液を塩化アルミニウム(III)[和光純薬工業(株)社製]75.8部とジクロロメタン500部との混合物に水浴で冷やしながら20分かけて滴下撹拌して加えた。1時間後、93.2部の1−(フェニルスルホニル)ピロール[アルドリッチ社製]をジクロロメタン400部に溶解させた溶液を、先の溶液に水浴で冷やしながら30分かけて滴下撹拌して加えた。1時間後、反応混合物を1500部のイオン交換水に注ぎ、クロロホルム[和光純薬工業(株)社製]800部を加えて分液ロートに移した後、水層を分離した。更に有機層を1Mの水酸化ナトリウム水溶液1000部で1回洗浄し、イオン交換水1000部で2回洗浄した。有機層にメタノール500部加えて下層を分離後、ジクロロメタンおよびクロロホルムを留去した。
続いて、残留物をトルエン[和光純薬工業(株)社製]600部と蒸留水240部の混合溶液に溶解させた。360部の亜鉛粉末[和光純薬工業(株)社製]を、塩化水銀(II)[和光純薬工業(株)社製]30部が蒸留水600部に溶解した溶液に加え、ときどき振り混ぜながら室温で1時間反応させ、上澄みをデンンテーションして除くことで得られた亜鉛アマルガム360部を先の溶液に加え、更に濃塩酸[和光純薬工業(株)社製]600部を加えた。混合物を加熱還流下、3時間撹拌し反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、反応混合物を分液ロートに移した後、水層を分離した。更に有機層をイオン交換水600部で2回洗浄し、トルエンを留去し、129部のオイル状の1−[1−(フェニルスルホニル)−3−ピロリル]−4−クロロブタンを得た。
上記で得られた1−[1−(フェニルスルホニル)−3−ピロリル]−4−クロロブタン26.4部、蒸留水260部、エタノール[和光純薬工業(株)社製]100部、亜硫酸ナトリウム[和光純薬工業(株)社製]26.3部、テトラブチルアンモニウムブロミド[東京化成工業(株)社製]3.0部とよう化ナトリウム[和光純薬工業(株)社製]3.9部を混合し、混合物を加熱還流下、18時間撹拌し反応させた。反応混合物に水酸化ナトリウム26.4部を加え、加熱還流下、2時間撹拌した。飽和食塩水230部を加え、クロロホルム300部を使って分液ロートに移した後、水層を分離した。更に有機層を蒸留水300部で2回洗浄した後、得られた水層を混合し、水を留去した。
続いて、残留物に蒸留水300部を加えて煮沸し、室温まで冷却した後、得られたペーストを吸引ろ過し、ろ過物を飽和食塩水40部で2回洗浄した。得られた固形物をエタノール250部と2−クロロエタノール[アルドリッチ社製]10部との混合溶液に加えて煮沸し、熱い内にろ過した。ろ液からエタノールおよび2−クロロエタノールを留去し、残留物をエタノール230部と蒸留水4.5部の混合溶液に加えて煮沸し、室温まで冷却後、ろ過した。ろ液を−15℃に冷却し、析出した結晶をろ過し、エタノール9.6部とアセトン0.4部の混合溶液でかけ洗い洗浄し、4.5部の4−(3−ピロリル)ブタンスルホン酸ナトリウム塩を得た。
上記で得られた4−(3−ピロリル)ブタンスルホン酸ナトリウム塩4.5部、クロロホルム40部、塩化鉄(III)[和光純薬工業(株)社製]12.9部を反応容器に仕込み室温で24時間撹拌した。反応終了後、メタノール40部を加え、析出した固形物をろ過により回収した。得られた固形物を蒸留水400部に加えた後、室温で1時間攪拌し分散させた。得られた分散液を、陰イオン交換樹脂[アンバージェット 4400,オルガノ(株)社製]30部を充填したカラムに通して、更に、陽イオン交換樹脂[アンバーライト 200CT,オルガノ(株)社製]30部を充填したカラムに通して、残留する金属イオン成分を取り除き、1重量%のポリ[4−(3−ピロリル)ブタンスルホン酸](B−1)水溶液400部を得た。更に、水を留去することで4.0部のポリ[4−(3−ピロリル)ブタンスルホン酸](B−1)を得た。
<製造例2>:スルホン化ポリアニリンの合成
特開2000−191774号公報を参考にしながらスルホン酸基を有するポリアニリン誘導体を調製した。1.2mol/Lの塩酸水溶液3Lにアニリン[和光純薬工業(株)社製]285部を滴下攪拌して加え、これを10℃に冷却した。840部の過硫酸アンモニウム[和光純薬工業(株)社製]をイオン交換水1530部に溶解し、先の溶液に4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに20時間、10℃にて攪拌した。析出した緑色沈殿をろ過し、ろ液の色がなくなるまで、イオン交換水で洗浄後、さらに、メタノールでろ液の色がなくなるまで洗浄した。続いて、70℃に保持した真空乾燥機にて5時間乾燥を行い、303部の緑色析出物を得た。
得られたポリアニリン塩酸塩10.5部を1,2−ジクロロエタン[和光純薬工業(株)社製]260部に攪拌分散し、80℃に加熱した。クロロ硫酸[東京化成工業(株)社製]26.4部を1,2−ジクロロエタン26部に溶解し、60分かけて滴下して加えた。滴下終了後さらに5時間80℃で反応を行った。冷却後、反応物をろ別し、得られたウエットケーキを水/2−プロパノール=1/9混合溶液180部に攪拌分散し、60℃にて4時間加水分解反応を行った。反応終了後に室温まで冷却し、得られた緑色スラリー溶液をろ過し、緑色ケーキを得た。これを2−プロパノールでろ液に色が付かなくなるまで洗浄を行い、質量乾燥物11部の緑色粉末であるスルホン化ポリアニリン(B−2)を得た。
<製造例3>:ポリ(o−メトキシアニリン)の合成
特開2013−157434号公報を参考にしながらメトキシ基を有するポリアニリン誘導体を調製した。o−アニシジン[東京化成工業(株)社製]20.3部および濃硫酸[和光純薬工業(株)社製]16.2部を含む水溶液300部をとり、5℃に保持しながら過硫酸アンモニウム45.0部を含む水溶液120部を75分間で滴下した後、1時間反応させて化学酸化重合によるアニリン共重合体を得た。次いで、重合反応液に、25質量%アンモニア水420部を加え3時間撹拌した後、次いでろ別、乾燥することで脱ドープされたポリ(o−メトキシアニリン)(B−3)の粉末6.1部を得た。
化合物(J−1)、(J−2)および(K−1)の数平均分子量はGPCを用いて以下の条件で測定した。
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー(株)製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLY STYRENE)5点(Mw 500 1,050 2,800 5,970 9,100)
<製造例4>
撹拌機、温度計を取り付けたフラスコに、ポリエチレングリコール[数平均分子量600、三洋化成工業(株)製]60部を仕込み、80℃でTDI[日本ポリウレタン工業(株)製、製品名:コロネートT−80]8.7部を5時間かけて仕込み、80℃でさらに12時間加熱撹拌することで、分子内にヒドロキシル基を2個有する、TDIとポリエチレングリコール(分子量600)とのウレタン化合物(J−1)69部を得た。数平均分子量は1,300であった。
<製造例5>
撹拌機、温度計を取り付けたフラスコに、ポリエチレングリコール[数平均分子量1000、三洋化成工業(株)製]60部を仕込み、80℃でHDI[日本ポリウレタン工業(株)製]5.1部を5時間かけて仕込み、80℃でさらに12時間加熱撹拌することで、分子内にヒドロキシル基を2個有する、HDIとポリエチレングリコール(分子量1000)とのウレタン化合物(J−2)65部を得た。数平均分子量は2,100であった。
<製造例6>
撹拌機、温度計を取り付けたフラスコに、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル[数平均分子量220、東邦化学工業(株)製]11部を仕込み、室温でTDI8.7部を1時間かけて仕込み、室温でさらに4時間加熱撹拌した。撹拌機、温度計を取り付けた別のフラスコにポリエチレングリコール[数平均分子量1000]50部を仕込み、80℃で反応中間体を5時間かけて仕込み、80℃でさらに12時間加熱撹拌することで、分子内にヒドロキシル基を1個有する、TDIとポリエチレングリコールモノメチルエーテル(分子量220)とポリエチレングリコール(分子量1000)とのウレタン化合物(K−1)70部を得た。数平均分子量は1,300であった。
<製造例7>
ホウ酸[関東化学(株)社製]3.1部と製造例4で得られた化合物(J−1)41部を混合し、80℃に加熱し、除々に減圧して4.0kPaにしてエステル化を行い、さらに105℃まで加熱することでエステル化と低沸分を留去することでホウ酸エステル(H−1)を得た。
<製造例8>
ホウ酸3.1部と製造例4で得られた化合物(J−1)41部とポリエチレングリコール[数平均分子量600]1.8部を仕込み、混合し、80℃に加熱し、除々に減圧して4.0kPaにしてエステル化を行い、さらに105℃まで加熱することでエステル化と低沸分を留去することでホウ酸エステル(H3−1)を得た。
<実施例1〜10>
製造例1〜3で得られたπ共役系高分子化合物(B−1)〜(B−3)、ドーパントであるポリスチレンスルホン酸水溶液、製造例4〜6で得られた化合物(J−1)、(J−2)、(K−1)、製造例7〜8で得られたホウ酸エステル(H−1)、(H3−1)、ホウ酸(D)、多価アルコール(F2)及び溶剤(C2)を表1〜3に記載の通りの配合比率となるように配合した。表1〜3に記載の通りの配合比率となるように固体電解質用添加剤(A)を調製し、導電性被膜の作製工程の直前にπ共役系高分子化合物(B)、ドーパントであるポリスチレンスルホン酸水溶液、固体電解質用添加剤(A)および溶剤(C2)を混合して固体電解質組成物の溶液を調製した。
ドーパント:ポリスチレンスルホン酸水溶液[18%ポリスチレンスルホン酸含有、アルドリッチ社製]
多価アルコール(F2):ジエチレングリコール[和光純薬工業(株)社製]、ポリエチレングリコール[数平均分子量600、三洋化成工業(株)製]
溶剤(C2):超純水(C2−1)、ジメチルスルホキシド(C2−2)[和光純薬工業(株)社製]
Figure 2017004987
Figure 2017004987
Figure 2017004987
<比較例1、6、11>
実施例1〜10において、固体電解質用添加剤(A)を加えなかった以外は実施例1〜10と同様にして、表1〜3に記載の通りの配合比率となるように配合し比較用の固体電解質組成物の溶液を得た。
<比較例2〜3、7〜8、12〜13>
製造例1〜3で得られたπ共役系高分子化合物(B−1)〜(B−3)、ドーパントとしてポリスチレンスルホン酸水溶液、フッ素系活性剤であるパーフルオロアルキルリン酸エステル[DIC社製、製品名:メガファック、品番:EXP.TF−2148]、正リン酸[和光純薬工業(株)社製]、及び溶剤(C2)を表1〜3に記載の通りの配合比率となるように配合した。導電性被膜の作製工程の直前にπ共役系高分子化合物、ドーパントであるポリスチレンスルホン酸水溶液、フッ素系活性剤であるパーフルオロアルキルリン酸エステル、正リン酸および溶剤(C2)を混合して比較用の固体電解質組成物の溶液を調製した。
<比較例4〜5、9〜10、14〜15>
製造例1〜3で得られたπ共役系高分子化合物(B−1)〜(B−3)、ドーパントとしてポリスチレンスルホン酸水溶液、ホウ酸(D)、エチレングリコール[和光純薬工業(株)社製]、3価以上のグリコール及び溶剤(C2)を表1〜3に記載の通りの配合比率となるように配合した。導電性被膜の作製工程の直前にπ共役系高分子化合物、ドーパントであるポリスチレンスルホン酸水溶液、ホウ酸(D)、エチレングリコール、3価以上のグリコール及び溶剤(C2)を混合して比較用の固体電解質組成物の溶液を調製した。
3価以上のグリコール:エリスリトール[東京化成工業(株)社製]、ペンタエリスリトール[東京化成工業(株)社製]、マンニトール[東京化成工業(株)社製]
<実施例11、12>
π共役系高分子化合物の前駆体モノマーであるピロール(b−1)、アニリン(b−2)、ホウ酸(D)、製造例4で得られた化合物(J−1)、多価アルコール(F2)及び溶剤(C3)を表4に記載の通りの配合比率となるように配合した。表4に記載の通りの配合比率となるように固体電解質用添加剤(A)を調製し、導電性被膜の作製工程の直前にπ共役系高分子化合物の前駆体モノマー、固体電解質用添加剤(A)および溶剤(C3)を混合して固体電解質用前駆体組成物の溶液を調製した。また、ドーパントであるp−トルエンスルホン酸、酸化剤である過硫酸アンモニウム及び溶剤を表4に記載の通りの配合比率となるように配合して固体電解質用前駆体組成物のドーパント兼酸化剤溶液を得た。
π共役系高分子化合物の前駆体モノマー:ピロール(b−1)[東京化成工業(株)社製]、アニリン(b−2)[和光純薬工業(株)社製]
溶剤(C3):超純水(C3−1)
ドーパント:p−トルエンスルホン酸[東京化成工業(株)社製]
酸化剤:過硫酸アンモニウム[和光純薬工業(株)社製]
Figure 2017004987
<比較例16、21>
実施例11、12において、固体電解質用添加剤(A)を加えなかった以外は実施例11、12と同様にして、表4に記載の通りの配合比率となるように配合し比較用の固体電解質用前駆体組成物の溶液を得た。また、ドーパントであるp−トルエンスルホン酸、酸化剤である過硫酸アンモニウム及び溶剤を表4に記載の通りの配合比率となるように配合して固体電解質用前駆体組成物のドーパント兼酸化剤溶液を得た。
<比較例17〜18、22〜23>
π共役系高分子化合物の前駆体モノマーであるピロール(b−1)、アニリン(b−2)、及び溶剤(C3)を表4に記載の通りの配合比率となるように配合した。導電性被膜の作製工程の直前にπ共役系高分子化合物の前駆体モノマー、および溶剤(C3)を混合して固体電解質用前駆体組成物の溶液を調製した。また、ドーパントであるフッ素系活性剤のパーフルオロアルキルリン酸エステル[DIC社製、製品名:メガファック、品番:EXP.TF−2148]、正リン酸[和光純薬工業(株)社製]、酸化剤である過硫酸アンモニウム及び溶剤を表4に記載の通りの配合比率となるように配合して固体電解質用前駆体組成物のドーパント兼酸化剤溶液を得た。
<比較例19〜20、24〜25>
π共役系高分子化合物の前駆体モノマーであるピロール(b−1)、アニリン(b−2)、ホウ酸(D)、エチレングリコール、3価以上のグリコール、及び溶剤(C3)を表4に記載の通りの配合比率となるように配合した。導電性被膜の作製工程の直前にπ共役系高分子化合物の前駆体モノマー、ホウ酸(D)、エチレングリコール、3価以上のグリコールおよび溶剤(C3)を混合して固体電解質用前駆体組成物の溶液を調製した。また、ドーパントであるp−トルエンスルホン酸、酸化剤である過硫酸アンモニウム及び溶剤を表4に記載の通りの配合比率となるように配合して固体電解質用前駆体組成物のドーパント兼酸化剤溶液を得た。
上記固体電解質組成物、比較用の固体電解質組成物、固体電解質用前駆体組成物、比較用の固体電解質用前駆体組成物の溶液、及びドーパント兼酸化剤溶液を用いて、下記の方法で導電性被膜を作製して密着性を評価した。また、下記の方法で固体電解コンデンサを作製して静電容量、内部抵抗及び耐電圧を評価した。結果を上記表1〜4に示した。
[導電性被膜の作製方法]
実施例1〜10の固体電解質組成物の溶液、及び比較例1〜15の固体電解質組成物の溶液を酸化アルミニウム箔にドクターブレードを用いて3cm×7cmの長方形パターンに塗布して、170℃で15分間ホットプレートで加熱して導電性被膜を得た。また、実施例11〜12の固体電解質用前駆体組成物の溶液、及び比較例16〜25の固体電解質用前駆体組成物の溶液に、ドーパント兼酸化剤溶液を加えた混合溶液を酸化アルミニウム箔にドクターブレードを用いて3cm×7cmの長方形パターンに塗布して、170℃で15分間ホットプレートで加熱して導電性被膜を得た。
[密着性評価方法]
得られた導電性被膜の密着性をJIS K−5400に準拠し、碁盤目セロハンテープ剥離試験により密着性を評価する。
[コンデンサ特性の評価方法]
(1)陽極上の誘電体膜の作製
陽極金属としてのアルミニウムエッチド箔(サイズ:4×3.3mm)を、3重量%アジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬し、定電流定電圧電源装置を用いて0.53mA/secの条件で、0Vから40Vまで上げた後、40Vの定電圧を40分間印加して化成処理し、該アルミニウムエッチド箔の表面に酸化皮膜からなる誘電体膜を形成した。これを脱イオン水の流水により10分洗浄してから105℃で5分乾燥を行ない、陽極金属と誘電体膜とからなる陽極を作製した。
(2)固体電解コンデンサ用電極の作製
固体電解質組成物の溶液及び比較用の固体電解質組成物の溶液に陽極を浸漬させ、引き上げた後、170℃で30分乾燥を行うことにより、電解質層を形成し固体電解コンデンサ用電極を作製した。また、固体電解質用前駆体組成物及び比較用の固体電解質用前駆体組成物の溶液
に陽極を浸漬させ、引き上げた後、ドーパント兼酸化剤溶液に陽極を浸漬させ、化学重合法によりπ共役系高分子化合物の前駆体モノマーを重合させて、170℃で30分乾燥を行うことにより、電解質層を形成し固体電解コンデンサ用電極を作製した。
(3)電解コンデンサの作製
上記で得られた電解質層の上に、カーボンペースト[日本黒鉛(株)製の「バニーハイトFU」]を塗布、乾燥後、更に、銀ペースト[日本黒鉛(株)製の「エブリオームME」]を塗布乾燥し、陰極を形成した。銀ペーストからリード線を引き出し、端子を接続した。
(4)測定及び評価
<静電容量及び内部抵抗の評価>
上記で得られた固体電解コンデンサに、LCRハイテスタ[日置電機(株)製3532−50]を接続し、定電圧レベル0.4Vで周波数120Hzで静電容量を測定し、周波数100kHzで内部抵抗を測定した。結果を表1〜4に示す。
<耐電圧の評価>
上記で得られた固体電解コンデンサに、直流電源装置[菊水電子工業(株)製PMC18−1A]で0.2mAの定電流モードで電圧を印加、自動昇圧し、放電により電圧が急落する直前の電圧を耐電圧とした。
<耐熱性の評価>
上記で静電容量及び内部抵抗を測定した固体電解コンデンサを125℃の恒温乾燥機内で240時間連続して放置した。
放置後、室温まで放冷し、放置後の内部抵抗を上記の方法で測定した。下記式から耐熱性試験後の内部抵抗変化率を算出した。数値が小さい程、固体電解コンデンサの耐熱性が良好であることを示す。結果を表1〜4に示す。
内部抵抗変化率(%)=(耐熱性試験後の内部抵抗/初期の内部抵抗)×100
<耐湿性の評価>
上記で静電容量及び内部抵抗を測定した固体電解コンデンサを温度60℃、湿度95%の恒温恒湿機内で500時間連続して放置した。
放置後、室温まで放冷し、放置後の内部抵抗を上記の方法で測定した。下記式から耐湿性試験後の内部抵抗変化率を算出した。数値が小さい程、固体電解コンデンサの耐湿性が良好であることを示す。結果を表1〜4に示す。
内部抵抗変化率(%)=(耐湿性試験後の内部抵抗/初期の内部抵抗)×100
本発明の固体電解質組成物及び固体電解質用前駆体組成物を使用した固体電解コンデンサ(実施例1〜12)は、コンデンサとして必要な低い内部抵抗を維持したまま、理論静電容量(4.2μF)近くの値を示し、コンデンサとして必要な耐熱性および耐湿性を有し、かつ高い耐電圧を示した。
表1〜4の結果から、本発明の固体電解質組成物及び固体電解質用前駆体組成物を使用した固体電解コンデンサ(実施例1〜12)は、比較例1、6、11、16および21に比べて、高い静電容量を有し、耐熱性および耐湿性に優れ、かつ高い耐電圧を有し、さらに内部抵抗が低いことがわかった。また、本発明の固体電解質組成物及び固体電解質用前駆体組成物を使用した固体電解コンデンサ(実施例1〜12)は、比較例2〜5、7〜10、12〜15、17〜20、22〜25に比べて、同等の静電容量、耐熱性および耐湿性を有し、かつ高い耐電圧を有し、さらに内部抵抗が低いことがわかった。
本発明者は予期していなかったが、これは実施例1〜12では比較例2〜5、7〜10、12〜15、17〜20、22〜25と比べ、ホウ酸と、ウレタン結合を有し、かつ分子量が300〜6000である化合物とがホウ酸含有の均一な複合被膜を形成し、ホウ酸と、ウレタン結合を有し、かつ分子量が300〜6000である化合物を含有する導電性皮膜の密着性が良好であること、およびホウ酸が導電性被膜内に均一に分散しているため、固体電解質層と誘電体層の界面抵抗が低下した結果、内部抵抗が低下し、かつ耐電圧が向上すると推測する。
本発明の固体電解コンデンサ用固体電解質用添加剤を用いれば、固体電解質層の抵抗の増大を極力抑え、耐電圧を高くすることができ、固体電解コンデンサの小型化、低インピーダンス化、高信頼性化が可能となり、工業的価値は大きい。

Claims (13)

  1. ヒドロキシル基を2個以上有し、かつウレタン結合を有し、かつ分子量が300〜6000である化合物(J)とホウ酸(D)とを含有する固体電解コンデンサ用固体電解質用添加剤(A)。
  2. さらに、ヒドロキシル基を2個以上有し、かつウレタン結合を有し、かつ分子量が300〜6000である化合物(J1)とホウ酸(D1)とのホウ酸エステル(H)を含有する請求項1に記載の添加剤。
  3. さらに、ヒドロキシル基を1個有し、かつウレタン結合を有し、かつ分子量が300〜6000である化合物(K)を含有する請求項1または2に記載の添加剤。
  4. さらに、ヒドロキシル基を1個有し、かつウレタン結合を有し、かつ分子量が300〜6000である化合物(K1)とヒドロキシル基を2個以上有し、かつウレタン結合を有し、かつ分子量が300〜6000である化合物(J2)とホウ酸(D2)とのホウ酸エステル(H1)を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の添加剤。
  5. さらに、ヒドロキシル基を1個有し、かつウレタン結合を有し、かつ分子量が300〜6000である化合物(K2)とホウ酸(D3)とのホウ酸エステル(H2)を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の添加剤。
  6. さらに、多価アルコール(F)および/または1価アルコール(G)を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の添加剤。
  7. さらに、多価アルコール(F1)および/または1価アルコール(G1)と、ヒドロキシル基を2個以上有し、かつウレタン結合を有し、かつ分子量が300〜6000である化合物(J3)とホウ酸(D4)とのホウ酸エステル(H3)を含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の添加剤。
  8. さらに、多価アルコール(F2)および/または1価アルコール(G2)と、ヒドロキシル基を1個有し、かつウレタン結合を有し、かつ分子量が300〜6000である化合物(K3)とホウ酸(D5)とのホウ酸エステル(H4)を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の添加剤。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ用固体電解質用添加剤(A)、π共役系高分子化合物(B)および溶剤(C1)を含有する固体電解コンデンサ用固体電解質用組成物。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ用固体電解質用添加剤(A)およびπ共役系高分子化合物の前駆体モノマー(b)を含有する固体電解コンデンサ用固体電解質用前駆体組成物。
  11. 請求項9に記載の固体電解コンデンサ用固体電解質用組成物または請求項10に記載の固体電解コンデンサ用固体電解質用前駆体組成物を乾燥固化してなる固体電解コンデンサ用導電性被膜。
  12. 請求項9に記載の固体電解コンデンサ用固体電解質用組成物または請求項10に記載の固体電解コンデンサ用固体電解質用前駆体組成物を乾燥固化して固体電解質層を形成する固体電解コンデンサの製造方法。
  13. 請求項9に記載の固体電解コンデンサ用固体電解質用組成物または請求項10に記載の固体電解コンデンサ用固体電解質用前駆体組成物を乾燥固化して固体電解質層を形成してなる固体電解コンデンサ。
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