JP2017004612A - 発熱板、乗り物及び建築物用窓 - Google Patents

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Abstract

【課題】安価で軽量化された発熱板を提供する。
【解決手段】発熱板10は、電圧を印加されると発熱する発熱板であって、透明樹脂基板11と、透明樹脂基板11に積層された導電体付きシート20と、を有する。導電体付きシート20は、ポリエステル樹脂からなる透明樹脂シート21と、透明樹脂シート21上に設けられた銅細線31を有する発熱用導電体30と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、発熱用導電体を有する発熱板、及び、この発熱板を有する乗り物又は建築物用窓に関する。
従来、電圧を印加されると発熱する発熱板が知られている。代表的な適用例として、透明に構成された発熱板は、デフロスタ装置やヒーターとして利用されている。デフロスタ装置としての発熱板は、車両のフロントウィンドウ(windshield;風防ガラス)やリアウィンドウ等の窓ガラスとして用いられる。例えば特許文献1及び2では、透視性を有した発熱板が、窓ガラスとして利用されている。この発熱板は、その全体に亘って配置されたタングステン線等からなる発熱用導電体を有している。この発熱板では、発熱用導電体への通電によって、当該発熱用導電体が、その抵抗加熱により昇温する。発熱板からなる窓ガラスの昇温により、窓ガラスの曇りを取り除き、又は、窓ガラスに付着した雪や氷を溶かし、当該窓ガラスを介した透視性を確保することができる。
特開2013−173402号公報 特開平8−72674号公報
従来の発熱板では、発熱用導電体を支持する透明支持体がガラスによって構成されている。しかしながら、ガラスの重量密度は大きいため、発熱板の重量が重くなる。また、発熱用導電体は、発熱板毎に当該発熱板のガラス上にタングステン配線を配置することによって、作製されていた。すなわち、発熱用導電体を発熱板毎に形成していたため、発熱用導電体が高価となってしまっていた。
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであって、安価で軽量化された発熱板を提供することを目的とする。
本発明の発熱板は、
電圧を印加されると発熱する発熱板であって、
透明樹脂基板と、
前記透明樹脂基板に積層された導電体付きシートと、を備え、
前記導電体付きシートは、ポリエステル樹脂からなる透明樹脂シートと、前記透明樹脂シート上に設けられた銅細線を有する発熱用導電体と、を有する。
本発明による発熱板において、前記導電体付きシートは、前記透明樹脂シートの側が前記透明樹脂基板を向くようにして、前記透明樹脂基板に積層されていてもよい。
本発明による発熱板において、前記導電体付きシートは、前記発熱用導電体が設けられている側が前記透明樹脂基板を向くようにして、前記透明樹脂基板に積層されていてもよい。
本発明による発熱板において、前記導電体付きシートを前記透明樹脂基板とは反対側から覆う被覆層を、さらに備えていてもよい。
本発明による発熱板において、前記導電体付きシートと前記被覆層との間に設けられたプライマー層を、さらに備えていてもよい。
本発明による発熱板において、前記透明樹脂基板を前記導電体付きシートとは反対側から覆う被覆層を、さらに備えていてもよい。
本発明による発熱板において、前記被覆層は、前記発熱板の一方の表面を形成してもよい。
本発明による発熱板において、前記透明樹脂基板及び前記透明樹脂シートの少なくとも1つは、その内部に分散された紫外線吸収材を有してもよい。
本発明による発熱板において、前記被覆層は、内部に分散された紫外線吸収材を有してもよい。
本発明による発熱板において、前記被覆層の透湿度は、前記透明樹脂シートの透湿度よりも低くてもよい。
本発明による乗り物は、上述した本発明による発熱板のいずれかを備える。
本発明による建築物用窓は、上述した本発明による発熱板のいずれかを備える。
本発明によれば、発熱板の製造コストを低減することができ、且つ、発熱板を軽量化することができる。
図1は、本発明による一実施の形態を説明するための図であって、発熱板を備えた乗り物を概略的に示す斜視図である。特に図1では、乗り物の例として、発熱板で構成されたリアウィンドウを備えた自動車を概略的に示している。 図2は、発熱板をその板面の法線方向から示す図である。 図3は、図2のIII−III線における発熱板の横断面図である。 図4は、導電体付きシートをそのシート面の法線方向から示す平面図であって、発熱用導電体の配置の一例を示す平面図である。 図5は、導電体付きシートをそのシート面の法線方向から示す平面図であって、発熱用導電体の配置の他の例を示す平面図である。 図6は、発熱板の製造方法の一例を説明するための図である。 図7は、発熱板の製造方法の一例を説明するための図である。 図8は、発熱板の製造方法の一例を説明するための図である。 図9は、発熱板の製造方法の一例を説明するための図である。 図10は、発熱板の製造方法の一例を説明するための図である。 図11は、発熱板の製造方法の一例を説明するための図である。 図12は、発熱板の製造方法の一例を説明するための図である。 図13は、発熱板の一変形例を示す発熱板の横断面図である。 図14は、発熱板の他の変形例を示す発熱板の横断面図である。 図15は、発熱板の更に他の変形例を示す発熱板の横断面図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
なお、本明細書において、「シート面(板面、フィルム面)」とは、対象となるシート状(板状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材(板状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。また、シート状(フィルム状、板状)の部材に対する法線方向とは、当該シート状(フィルム状、板状)の部材のシート面(フィルム面、板面)への法線方向のことを指す。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1乃至図15は、本発明による一実施の形態およびその変形例を説明するための図である。このうち図1は、発熱板を備えた自動車を概略的に示す図であり、図2は、発熱板をその板面の法線方向から見た図であり、図3は、図2の発熱板の横断面図である。
図1に示されているように、乗り物の一例としての自動車1は、フロントウィンドウ、リアウィンドウ、サイドウィンドウ等の窓ガラスを有している。ここでは、リアウィンドウ5が透視性を有する発熱板10で構成されている例を説明する。また、自動車1はバッテリー等の電源7を有している。
図2及び図3に示すように、本実施の形態における発熱板10は、透明樹脂基板11と、透明樹脂基板11に積層された導電体付きシート20と、を有している。透明樹脂基板11と導電体付きシート20との間には、密着性を確保するためのプライマー層(易接着層)が設けられていてもよい。なお、図1及び図2に示した例では、発熱板10、透明樹脂基板11、導電体付きシート20は湾曲しているが、他の図では、理解の容易のため、発熱板10、透明樹脂基板11、導電体付きシート20を平板状にて図示している。図3に示した例においては、透明樹脂基板11及び導電体付きシート20の透明樹脂シート21が、発熱板10の表面を形成している。
導電体付きシート20は、透明樹脂シート21と、透明樹脂シート21の面上に設けられ且つ銅細線31を含む発熱用導電体30と、発熱用導電体30に通電するための一対のバスバー25と、を有する。
また、図1及び図2によく示されているように、発熱板10は、発熱用導電体30に通電するための配線部15を有している。図示された例では、自動車1に積載されたバッテリー等の電源7によって、配線部15から導電体付きシート20のバスバー25を介して発熱用導電体30に通電し、発熱用導電体30を抵抗加熱により発熱させる。発熱用導電体30で発生した熱は透明樹脂基板11、透明樹脂シート21に伝わり、透明樹脂基板11、透明樹脂シート21が温められる。これにより、透明樹脂基板11、透明樹脂シート21に付着した結露による曇りを取り除くことができる。また、透明樹脂基板11、透明樹脂シート21に雪や氷が付着している場合には、この雪や氷を溶かすことができ、発熱板を介した視界が良好に確保される。
なお、透明樹脂基板11及び透明樹脂シート21等に用いる「透明」とは、当該透明樹脂基板11、透明樹脂シート21を介して当該透明樹脂基板11、透明樹脂シート21の一方の側から他方の側を透視し得る程度の透明性を有していることを意味しており、例えば、30%以上、より好ましくは70%以上の可視光透過率を有していることを意味する。可視光透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV−3100PC」、JISK0115準拠品)を用いて測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される。
また、本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「導電体付きシート」は板やフィルムと呼ばれ得るような部材をも含む概念であり、したがって、「導電体付きシート」は、「導電体付き板」や「導電体付きフィルム」と呼ばれる部材と、呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
以下、発熱板10の各構成要素について説明する。
まず、透明樹脂基板11について説明する。透明樹脂基板11は、図1で示された例のように自動車のリアウィンドウに用いる場合、乗員の視界を妨げないよう可視光透過率が高いものを用いることが好ましい。このような透明樹脂基板11の材質としては、各種選択が可能であるが、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体等のアクリル樹脂を例示することができる。尚、此処で、「(メタ)アクリレート」の語は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。アクリル樹脂は、高い耐久性を有する点において、発熱板10、とりわけリアウィンドウに用いられる発熱板10に好適である。透明樹脂基板11の可視光透過率は90%以上であることが好ましい。ただし、透明樹脂基板11の一部または全体に着色するなどして、この一部分の可視光透過率を低くしてもよい。この場合、太陽光の直射を遮ることにより夏季晴天時の車内温上昇を抑制したり、車外から車内を視認しにくくしたりすることができる。
また、透明樹脂基板11は、2mm以上20mm以下の厚みを有していることが好ましい。このような厚みであると、強度及び光学特性に優れた透明樹脂基板11を得ることができる。
次に、導電体付きシート20について説明する。導電体付きシート20は、透明樹脂シート21と、透明樹脂シート21の面上に設けられ且つ銅細線31を含む発熱用導電体30と、発熱用導電体30に通電するための一対のバスバー25と、を有する。一対のバスバー25は、集電電極として機能し、発熱用導電体30は、一対のバスバー25を連結している。発熱用導電体30は、高い抵抗値を有し、抵抗加熱により発熱する。導電体付きシート20は、透明樹脂基板11と略同一の平面寸法を有して、発熱板10の全体にわたって配置されてもよいし、発熱板10の一部にのみ配置されてもよい。
透明樹脂シート21は、発熱用導電体30を支持する基材として機能する。透明樹脂シート21は、可視光線波長帯域の波長(380nm〜780nm)を透過する一般に言うところの透明である電気絶縁性のフィルムである。透明樹脂シート21としては、可視光を透過し、発熱用導電体30を適切に支持し得る樹脂であればいかなる材質のものでもよいが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、エチレン−テレフタレート−イソフタレート共重合体等のポリエステル樹脂を挙げることができる。また、透明樹脂シート21は、光透過性や、発熱用導電体30の適切な支持性等を考慮すると、0.03mm以上0.15mm以下の厚みを有していることが好ましい。
次に、図4及び図5を参照しながら、発熱用導電体30について説明する。図4及び図5は、いずれも導電体付きシート20をそのシート面の法線方向から見た平面図であるが、発熱用導電体が互いに異なるパターンを有している。
発熱用導電体30は、一対のバスバー25を連結している。発熱用導電体30は、一対のバスバー25の間に配置された銅細線31を有している。図4及び図5に示された例において、発熱用導電体30は、銅細線31の集合体として形成されている。銅細線31は、バッテリー等の電源7から、配線部15及びバスバー25を介して通電され、抵抗加熱により発熱する。そして、この熱が透明樹脂基板11、透明樹脂シート21に伝わることで、透明樹脂基板11、透明樹脂シート21が温められる。
銅細線31は、種々のパターンで配列することができる。図4に示された例では、発熱用導電体30は、銅細線31が多数の開口33を画成するメッシュ状のパターンで配置されることによって形成されている。発熱用導電体30は、2つの分岐点32の間を延びて、開口33を画成する複数の接続要素34を含んでいる。すなわち、発熱用導電体30の銅細線31は、両端において分岐点32を形成する多数の接続要素34の集まりとして構成されている。
一方、図5に示された例のように、発熱用導電体30は、一対のバスバー25を連結する複数の銅細線31からなっていてもよい。図5に示された例において、複数の銅細線31は、それぞれ規則的な構造で一方のバスバー25から他方のバスバー25へ延在している。複数の銅細線31は、当該銅細線31の延在方向と非平行な方向に、互いから離間して配列されている。とりわけ、複数の銅細線31は、当該銅細線31の延在方向と直交する方向に配列されている。これにより、隣接する2つの銅細線31の間には、隙間35が形成される。
銅細線31の配列パターンは、上述した図4、図5のパターンに限られず、ボロノイメッシュのような不規則なメッシュパターン、直線、折れ線、不規則な曲線や、これらのパターンの組み合わせでもよい。
発熱用導電体30は、上述したように銅を用いて形成され得る。その一方で、発熱用導電体30によって覆われていない透明樹脂シート21上の領域の割合、すなわち非被覆率(後述する図4の例では開口率とも呼ぶ)は、70%以上98%以下程度と高くなっている。また、銅細線31の線幅は、2μm以上20μm以下程度となっている。このため、発熱用導電体30が設けられている領域は、全体として透明に把握され、発熱用導電体30の存在が発熱板10の透視性を害さないようになっている。
図3に示された例では、銅細線31は、全体として矩形状の断面を有している。銅細線31の幅W、すなわち、発熱板10の板面に沿った幅Wは2μm以上20μm以下とし、高さ(厚さ)H、すなわち、発熱板10の板面への法線方向に沿った高さ(厚さ)Hは1μm以上20μm以下とすることが好ましい。このような寸法の銅細線31によれば、その銅細線31が十分に細線化されているので、発熱用導電体30を効果的に不可視化することができる。
また、図3に示されたように、銅細線31は、導電層36、導電層36の表面のうち、透明樹脂シート21に対向する側の面を覆う第1の暗色層37、導電層36の表面のうち、透明樹脂シート21に対向する側の面以外の面を覆う第2の暗色層38を含むようにしてもよい。銅からなる導電層36は、優れた導電性を有する一方で、比較的高い反射率を呈する。そして、発熱用導電体30の銅細線31をなす導電層36によって光が反射されると、その反射した光が視認されるようになり、を妨げる場合がある。また、外部から導電層36が視認されると、発熱板10の意匠性が低下する場合がある。そこで、第1及び第2の暗色層37,38が、導電層36の表面の少なくとも一部分を覆っている。第1及び第2の暗色層37,38は、導電層36よりも可視光の反射率が低い層であればよく、例えば黒色等の暗色の層である。この暗色層37,38によって、導電層36が視認されづらくなり、乗員の視界を良好に確保することができる。また、発熱板10の意匠性の低下を防止することができる。
なお、前述したように、発熱板10の透視性または発熱板10を介した視認性を確保する観点から、非被覆率が高くなるように、発熱用導電体30の銅細線31は透明樹脂シート21上に形成されている。そして、図3に示すように、透明樹脂基板11と導電体付きシート20の透明樹脂シート21とは、銅細線31の非被覆部、すなわち隣り合う銅細線31の間となる領域を介して接触している。すなわち、図示された例において、発熱用導電体30は、透明樹脂基板11内に埋め込まれた状態となっている。
次に、図6〜図12を参照して、発熱板10の製造方法の一例について説明する。図6〜図12は、発熱板10の製造方法の一例を順に示す断面図である。
まず、図6のように、導電層36を形成するようになる銅箔膜36a上に第1の暗色層37を形成するようになる暗色膜37aを設ける。銅箔膜36aは、公知の方法で形成され得る。例えば、電解めっき及び無電解めっきを含むめっき法、スパッタリング法、CVD法、PVD法、イオンプレーティング法、又はこれらの二以上を組み合わせた方法を採用することができる。また、暗色膜37aは、例えば、電解めっき及び無電解めっきを含むめっき法、スパッタリング法、CVD法、PVD法、イオンプレーティング法、又はこれらの二以上を組み合わせた方法により、銅箔膜36a上に設けることができる。なお、暗色膜37aの材料としては、種々の公知のものを用いることができる。例えば窒化銅、酸化銅、窒化ニッケル等を例示することができる。
次に、図7に示すように、透明樹脂シート21を暗色膜37a上に設ける。このとき、透明樹脂シート21と暗色膜37aの間に、粘着剤や接着剤を用いた接合層が設けられていてもよい。透明樹脂シート21としては、発熱用導電体30を適切に保持し得るものであればいかなる材質のものでもよいが、例えば、2軸延伸処理をしたポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂を挙げることができる。また、発熱用導電体30の保持性等を考慮すると、透明樹脂シート21の厚みとしては、30μm以上150μm以下のものを用いることが好ましい。
次に、図8に示すように、銅箔膜36a上に、レジストパターン39を設ける。レジストパターン39は、形成されるべき発熱用導電体30に対応した形となっている。ここで説明する方法では、最終的に発熱用導電体30をなす箇所の上にのみ、レジストパターン39が設けられている。このレジストパターン39は、公知のフォトリソグラフィー技術を用いたパターニングにより形成することができる。例えば、フォトマスクによる近接露光を用いる場合は、ネガ型のフォトレジストを用いて、フォトマスクに発熱用導電体30の遮蔽パターンを設けておけばよい。
次に、図9に示すように、レジストパターン39をマスクとして、銅箔膜36a及び暗色膜37aをエッチングする。このエッチングにより、銅箔膜36a及び暗色膜37aがレジストパターン39と略同一のパターンにパターニングされる。この結果、パターニングされた銅箔膜36aから、銅細線31の一部をなすようになる導電層36が、形成される。また、パターニングされた暗色膜37aから、銅細線31の一部をなすようになる第1の暗色層37が、形成される。
なお、エッチング方法は特に限られることはなく、公知の方法が採用できる。公知の方法としては、例えば、塩化第二鉄水溶液等のエッチング液を用いるウェットエッチングや、プラズマエッチングなどのドライエッチングが挙げられる。その後、図10に示すように、レジストパターン39を除去する。
次に、図11に示すように、導電層36の第1の暗色層37が設けられた面31bと反対側の面31a及び側面31c,31dに第2の暗色層38を形成する。第2の暗色層38は、例えば導電層36をなす材料の一部分に暗色化処理(黒化処理)を施して、導電層36をなしていた一部分から、酸化銅や硫化銅からなる第2の暗色層38を形成することができる。また、暗色材料の塗膜や、ニッケルやクロム等のめっき層等のように、導電層36の表面に第2の暗色層38を設けるようにしてもよい。また、導電層36の表面を粗化して第2の暗色層38を設けるようにしてもよい。以上の工程で、導電体付きシート20が作成される。
以上に説明したように、発熱用導電体30は、透明樹脂基板11とは別途の透明樹脂シート21上に形成される。透明樹脂シート21は、透明樹脂基板11のように、発熱板10に剛性を付与する厚みを有していなくても良い。すなわち、透明樹脂シート21は、発熱用導電体30を作製する際の支持材として適当な厚みを有していればよい。したがって、異なる発熱板10に含まれるようになる多数の発熱用導電体30を、長尺の透明樹脂シート21上に連続して作製してくことが可能となる。このため、発熱板毎に発熱用導電体を作製していた従来品と比較して、発熱用導電体30を極めて安価に製造することができる。加えて、上述した製造方法においては、一対のバスバー25や配線部15の一部を、発熱用導電体30と同一の材料を用いて、発熱用導電体30と並行して形成することができる。このような製造方法によれば、導電体付きシート20およびその結果として発熱板10を、安価に製造することができる。さらに、一対のバスバー25や配線部15の一部を、発熱用導電体30と同一の材料を用いて、発熱用導電体30と一体的に形成することも可能である。この例によれば、発熱用導電体30から配線部15までのバスバー25を介した電気的に接続をより安定して確保することができる。
次に、導電体付きシート20の透明樹脂シート21の側に透明樹脂基板11を積層する。図12に示された例では、透明樹脂基板11を射出成形により作製するとともに、当該透明樹脂基板11を透明樹脂シート21に接合している。具体的には、図12に示すように、射出成形用の型41のキャビティ41a内に、導電体付きシート20を配置する。このとき、導電体付きシート20は、発熱用導電体30がキャビティ41a内に向くようにして、配置される。次に、型41のキャビティ41a内に、加熱により流動性を有するようになったアクリル樹脂が、射出される。この樹脂、型41内で冷却され、導電体付きシート20上で固化することで、透明樹脂シート21に接合した透明樹脂基板11が得られる。射出成形によって透明樹脂基板11を作製する場合、湾曲した発熱板10を安価且つ容易に製造することができる。
なお、導電体付きシート20の発熱用導電体30が設けられている側の面に、易接着性を確保するためのプライマー層を設けておいてもよい。このようなプライマー層によれば、導電体付きシート20と透明樹脂基板11との密着性を向上させることができる。
以上のように、本実施の形態による発熱板10は、電圧を印加されると発熱する発熱板であって、透明樹脂基板11と、透明樹脂基板11に積層された導電体付きシート20と、を備え、導電体付きシート20は、ポリエステル樹脂からなる透明樹脂シート21と、透明樹脂シート21上に設けられた銅細線31を有する発熱用導電体30と、を有する。このような発熱板10は、透明樹脂基板11を用いていることから、重量密度の大きいガラスを発熱用導電体30の支持基材として用いる必要がない。したがって、発熱板10の大幅な軽量化を実現することができる。また、導電体付きシート20は、発熱用導電体30とともに、発熱用導電体30の支持材として機能する透明樹脂シート21を有している。このような導電体付きシート20は、従来の発熱板と異なり、上述したフォトリソグラフィー技術により、典型的にはロール・トゥ・ロール(role-to-role)の態様で、容易且つ迅速に作製することができる。したがって、従来の発熱板10と異なり、複数の発熱用導電体30を連続して効率的に作製することが可能となり、発熱用導電体30を安価に製造することができる。すなわち、軽量化された発熱板を安価に安定して製造することが可能となる。
なお、前述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を適宜参照しながら、変形例について説明する。以下の説明及び以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、前述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
まず、発熱板10は、導電体付きシート20を透明樹脂基板11とは反対側から覆う被覆層12、及び、透明樹脂基板11を導電体付きシート20とは反対側から覆う被覆層13の少なくとも一方を有していてもよい。図13に示す変形例においては、発熱板10は、導電体付きシート20を透明樹脂基板11とは反対側から覆う透明な被覆層13と、透明樹脂基板11を導電体付きシート20とは反対側から覆う透明な被覆層12の両方を有している。これらの被覆層は、それぞれ発熱板10の一方の表面(最外面)を形成している。これらの被覆層は、耐擦傷性を有したハードコート(HC)層として機能し、透明樹脂基板11や導電体付きシート20を外部からの擦傷等から保護するようにしてもよい。この被覆層11,12によれば、発熱板10の耐久性を向上させることができる。このような被覆層は、公知のアクリル系紫外線硬化型樹脂を用いて作製され得る。すなわち、透明樹脂基板11や導電体付きシート20上に、アクリル系紫外線硬化型樹脂の単量体、プレポリマー、或いはこれらの両方と光重合開始剤とを含む組成物を塗布および乾燥することで塗膜を形成し、次に、紫外線を照射して塗膜を架橋乃至は重合反応によって硬化させることで、ハードコート(HC)層として機能する被覆層を形成することができる。
また、上述した一実施の形態では、図3に示すように、導電体付きシート20は、発熱用導電体30が設けられている側が透明樹脂基板11に対面するようにして、透明樹脂基板11に積層されている例を示したが、これに限られない。図14に示すように、導電体付きシート20は、発熱用導電体30が設けられている側の逆側が透明樹脂基板11を向くようにして、透明樹脂基板11に積層されていてもよい。この例においては、発熱用導電体30が外部に露出している。したがって、外部からの衝撃等によって発熱用導電体30が断線したり、空気中の水分等によって銅細線31が錆びたりして機能が劣化する危険性が大きい。したがって、この変形例においては、前述の変形例で示した被覆層を、少なくとも発熱用導電体30の側に設けることが好ましい。図15に示された例では、導電体付きシート20を透明樹脂基板11とは反対側から覆う被覆層12、及び、透明樹脂基板11を導電体付きシート20とは反対側から覆う被覆層13とが、設けられている。
発熱板10に被覆層を、導電体付きシート20の透明樹脂基板11の反対側から覆うように設ける場合、導電体付きシート20と被覆層12との間にプライマー層を設けてもよい。導電体付きシート20と被覆層12との間にプライマー層を設けることによって、被覆層12と導電体付きシート20との密着性を確保することができる。
また、発熱板10のいずれか少なくとも1つの層において、その内部に分散された紫外線吸収剤を有していてもよい。紫外線吸収剤を有している層が紫外線を吸収するので、当該層より内側においては、外部から入射する紫外線の量は減少する。したがって、紫外線吸収剤を有している層より内側の層では、紫外線による劣化、例えば黄変を防ぐことができる。すなわち、発熱板10の耐光性を向上させることができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物等を例示することができる。紫外線吸収剤を含む層において、紫外線吸収剤の質量比は、0.5〜5.0質量%であることが好ましい。
また、発熱板10に被覆層を設けた場合、被覆層の透湿度が、透明樹脂シート21の透湿度よりも低くなるようにしてもよい。低透湿度の被覆層によれば、水蒸気が銅細線31まで達することを効果的に防ぐことができる。これにより、銅細線31の錆びによる劣化を防止することができる。なお、透湿度は、JISZ0208で規定されている方法で測定することができる。
前述した実施の形態において、発熱板10が曲面状に形成されている例を示したが、この例に限られず、発熱板10が平板状等、用途に応じた形状に形成されていてもよい。
前述した実施の形態において、透明樹脂基板11の材料としてアクリル樹脂を使用した形態を例示したが、この例に限られず、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂等を使用しても良い。
又、前述した実施の形態において、透明樹脂基板11と導電体付きシート20との積層は、透明樹脂基板11を成形する金型キャビティ41a内に予め導電体付きシート20を載置した後、該キャビティ内に透明樹脂基板11を構成する樹脂の熔融物を射出、充填して、透明樹脂基板11と導電体付きシート20とを積層一体化した形態を例示したが、この例に限られず、予め成形した透明樹脂基板11を用意し、該透明樹脂基板11の一方の面上に接着剤層を介して導電体付きシート20を接着して、積層一体化しても良い。
発熱板10は、自動車1のフロントウィンドウ、サイドウィンドウやサンルーフに用いてもよい。また、自動車以外の、鉄道車輛、航空機、船舶、宇宙船等の乗り物の窓或いは透明な扉に用いてもよい。
更に、発熱板10は、乗り物以外にも、特に室内と室外とを区画する箇所、例えばビルや店舗、住宅の窓或いは透明な扉等の建築物用窓として使用することもできる。
なお、以上において前述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
1 自動車
5 リアウィンドウ
7 電源
10 発熱板
11 透明樹脂基板
12 被覆層
13 被覆層
15 配線部
20 導電体付きシート
21 透明樹脂シート
25 バスバー
30 発熱用導電体
31 銅細線
32 分岐点
33 開口
34 接続要素
35 隙間
36 導電層
37 第1の暗色層
38 第2の暗色層
39 レジストパターン

Claims (12)

  1. 電圧を印加されると発熱する発熱板であって、
    透明樹脂基板と、
    前記透明樹脂基板に積層された導電体付きシートと、を備え、
    前記導電体付きシートは、ポリエステル樹脂からなる透明樹脂シートと、前記透明樹脂シート上に設けられた銅細線を有する発熱用導電体と、を有する、発熱板。
  2. 前記導電体付きシートは、前記透明樹脂シートの側が前記透明樹脂基板を向くようにして、前記透明樹脂基板に積層されている、請求項1に記載の発熱板。
  3. 前記導電体付きシートは、前記発熱用導電体が設けられている側が前記透明樹脂基板を向くようにして、前記透明樹脂基板に積層されている、請求項1に記載の発熱板。
  4. 前記導電体付きシートを前記透明樹脂基板とは反対側から覆う被覆層を、さらに備える、請求項2又は3に記載の発熱板。
  5. 前記導電体付きシートと前記被覆層との間に設けられたプライマー層を、さらに備える、請求項4に記載の発熱板。
  6. 前記透明樹脂基板を前記導電体付きシートとは反対側から覆う被覆層を、さらに備える、請求項2〜5のいずれか一項に記載の発熱板。
  7. 前記被覆層は、前記発熱板の一方の表面を形成する、請求項4〜6のいずれか一項に記載の発熱板。
  8. 前記透明樹脂基板及び前記透明樹脂シートの少なくとも1つは、その内部に分散された紫外線吸収材を有する、請求項2〜7のいずれか一項に記載の発熱板。
  9. 前記被覆層は、内部に分散された紫外線吸収材を有する、請求項4〜8のいずれか一項に記載の発熱板。
  10. 前記被覆層の透湿度は、前記透明樹脂シートの透湿度よりも低い、請求項4〜9のいずれか一項に記載の発熱板。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載された発熱板を備えた乗り物。
  12. 請求項1〜10のいずれか一項に記載された発熱板を備えた建築物用窓。
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