JP2017001364A - ガラス積層体の剥離方法及び電子デバイスの製造方法 - Google Patents

ガラス積層体の剥離方法及び電子デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】支持層付きガラス積層体において、簡便で、且つガラス層の破損を抑制できるガラス積層体の剥離方法及び電子デバイスの製造方法を提供することにある。
【解決手段】少なくとも、支持層、樹脂層、及び厚み10μm以上、200μm以下のガラス層をこの順に備え、該樹脂層の少なくとも一部が該ガラス層の外形範囲を超えて形成されている支持層付きガラス積層体から、樹脂層及びガラス層を含むガラス積層体を剥離する方法であって、
少なくとも、支持層、樹脂層、及び厚み10μm以上、200μm以下のガラス層をこの順に備え、該樹脂層の少なくとも一部が該ガラス層の外形範囲を超えて形成されている支持層付きガラス積層体を準備する工程、
前記ガラス層の外形範囲を超えて形成された樹脂層の少なくとも一部を支持層から剥離する工程、及び
剥離した樹脂層を把持して、樹脂層及びガラス層を含むガラス積層体を支持層から剥離する工程、を備える、ガラス積層体の剥離方法。
【選択図】図3

Description

本発明は、支持層とガラス積層体とを剥離する方法及び電子デバイスの製造方法に関する。
近年、有機EL表示装置、太陽電池、薄膜二次電池等における電子デバイスの薄型化、軽量化が進行しており、これらの電子デバイスに用いられるガラス層の薄膜化が進行している。しかしながら、薄板化によりガラス層の強度が低下すると、ガラス層のハンドリング性が悪化するという問題があった。
そこで、ガラス層の裏面に支持層を剥離可能に貼り付けた積層体を構成し、ガラス層の表面に電子デバイス部材を形成した後、ガラス層と支持層とを剥離する方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、薄板ガラス基板と、支持ガラス基板と、を積層させてなる薄板ガラス積層体であって、前記薄板ガラスと、前記支持ガラスと、が易剥離性および非粘着性を有するシリコーン樹脂層を介して積層されていることを特徴とする薄板ガラス積層体が記載されている。そして、薄板ガラス基板と支持ガラス基板とを分離するには、手剥離により実施しうるが、剃刀の刃等で端部に剥離のきっかけを与えたり、積層界面へのエアーの注入により、より容易に剥離することが可能であると記載されている。
また、特許文献2には、基板に貼り付けられた補強シートを剥離する剥離装置を開示し、積層体とパットの間に可撓性部材を配置して、パッドに連結されたロッドが回動可能に設けられることで、基板に張り付けられた補強シートを容易に剥離することができることが記載されている。
国際公開第2007/018028号パンフレット 国際公開第2011/024689号パンフレット
しかしながら、特許文献1では、支持ガラス基板から薄板ガラス基板を手剥離しようとすると、薄板ガラス基板の強度が低いために、破損してしまうことが懸念される。また、積層界面へエアーを注入した場合、薄板ガラス基板に局所的に応力が発生し、破損してしまうことが懸念される。
特許文献2では、基板と補強シートを剥離するために大がかりな装置が必要であり、また、装置に適用可能なガラス基板サイズも制約されることが懸念される。
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、支持層付きガラス積層体において、簡便で、且つガラス層の破損を抑制できるガラス積層体の剥離方法及び電子デバイスの製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題について鋭意検討した結果、少なくとも支持層、樹脂層、及び特定の厚みのガラス層を積層させる際に、樹脂層の少なくとも一部があえてガラス層の外形範囲を超えるように形成し、当該外形範囲を超えて形成された樹脂層の一部を支持層から
剥離し、該剥離部分を把持して支持層から剥すことで、簡便且つガラス層の破損を抑制できるガラス積層体の剥離方法を提供できることを見出した
すなわち本発明は以下の通りである。
[1]少なくとも、支持層、樹脂層、及び厚み10μm以上、200μm以下のガラス層を含み、該樹脂層の少なくとも一部が該ガラス層の外形範囲を超えて形成されている支持層付きガラス積層体から、樹脂層及びガラス層を含むガラス積層体を剥離する方法であって、
少なくとも、支持層、樹脂層、及び厚み10μm以上、200μm以下のガラス層を含み、該樹脂層の少なくとも一部が該ガラス層の外形範囲を超えて形成されている支持層付きガラス積層体を準備する工程、
前記ガラス層の外形範囲を超えて形成された樹脂層の少なくとも一部を支持層から剥離する工程、及び
剥離した樹脂層を把持して、樹脂層及びガラス層を含むガラス積層体を支持層から剥離する工程、を備える、ガラス積層体の剥離方法。
[2]前記樹脂層の外形範囲が、ガラス層の外形範囲よりも大きいことを特徴とする[1]に記載のガラス積層体の剥離方法。
[3]前記樹脂層の引張破断強度が10MPa以上、300MPa以下であることを特徴とする[1]又は[2]に記載のガラス積層体の剥離方法。
[4]前記樹脂層の引張破断伸度が5%以上、500%以下であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のガラス積層体の剥離方法。
[5]前記樹脂層の引張弾性率が50MPa以上、2500MPa以下であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のガラス積層体の剥離方法。
[6]
前記樹脂層と支持層との剥離強度が0.1N/50mm以上、5N/50mm以下であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載のガラス積層体の剥離方法。
[7]前記樹脂層が熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載のガラス積層体の剥離方法。
[8]前記樹脂層が硬化性樹脂組成物を硬化させて形成されたことを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載のガラス積層体の剥離方法。
[9]少なくとも、支持層、樹脂層、及び厚み10μm以上、200μm以下のガラス層を含み、該樹脂層の少なくとも一部が該ガラス層の外形範囲を超えて形成されている支持層付きガラス積層体を準備する工程、
準備した支持層付きガラス積層体のガラス層上に電子デバイス部材を形成する工程、
前記ガラス層の外形範囲を超えて形成された樹脂層の少なくとも一部を支持層から剥離する工程、及び
剥離した樹脂層を把持して、樹脂層及びガラス層を含むガラス積層体を支持層から剥離する工程、を備える、電子デバイスの製造方法。
本発明の剥離方法により、簡便で、且つガラス層の破損を抑制できるガラス積層体の剥離方法を提供できる。また、当該技術を利用した、電子デバイスの製造方法を提供できる。
支持層付きガラス積層体の一実施形態の積層構造を示す断面模式図である。 本発明における、外形範囲を示す図である。 剥離方法の一実施形態を示す断面模式図である。 支持層付きガラス積層体の別の実施形態の積層構造を示す断面模式図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)を説明するものであり、本発明はこれらの内容に特定されるものではない。
図1は、本発明に用いる支持層付きガラス積層体の一実施形態を示す断面模式図である。支持層付きガラス積層体100は、支持層12、離型層19、樹脂層11及びガラス層10をこの順に備える。
また、図4は、本発明に用いる支持層付きガラス積層体の別の実施形態を示す断面模式図である。支持層付きガラス積層体200は、支持層22、密着層26、樹脂層21、接着層25及びガラス層20をこの順に備える。
以下では、先ず、ガラス層や樹脂層、支持層をはじめ、本発明に用いる支持層付きガラス積層体に用いられる材料等について説明する。後述するガラス積層体の製造方法ではこれらの材料等が用いられる。
<1.ガラス層>
本発明に用いられるガラス層は、厚みが10μm以上200μm以下の板状のものであれば、任意の適切なものが採用され得る。材質としては、例えば、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス等、ほぼいかなるガラス組成のものも適用でき、強化、表面処理等の二次加工を施したものも使用可能であり、いずれも用途により使い分けられる。市販されている具体例としては、無アルカリガラスである日本電気硝子株式会社製の商品名「OA−10G」が挙げられる。
厚みが10μm以上200μm以下のガラスは、原理的にはガラス溶融体の固化する温度より上の温度にてガラス溶融体を引き延ばして作ることが可能である。ガラス組成、ガラス溶融体の厚み、温度、引き取り速度によりガラス層の厚みを制御することができる。
ガラス層の厚みは、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは25μm以上である。一方で、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは75μm以下である。10μm以上とすることで、機械的強度の極度の低下を防ぎ、硬化樹脂層が形成された際などのストレスによる破損を防ぐことができる。一方で、200μm以下とすることで、ガラス単体での製造効率を悪化させず、ハンドリング性に優れ、二次加工性改良を一つの目的とした硬化樹脂層の積層を効率良く行うことができる。
本発明に用いられるガラス層は、表面処理を施したものも使用可能である。表面処理としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などによるカップリング剤処理、酸処理、アルカリ処理、オゾン処理、イオン処理などの化成処理、プラズマ処理、グロー放電処理、アーク放電処理、コロナ処理などの放電処理、紫外線処理、X線処理、ガンマ線処理、レーザー処理などの電磁波照射処理、その他火炎処理などの表面処理などの各種表面処理があげられる。特に、樹脂層との密着性を向上させ、ハンドリング時の剥離を防止する目的で、後述する樹脂層側の表面に何らかの表面処理を施してもよい。
表面処理剤は特に限定されず、メトキシシラン、エトキシシラン、クロロシラン、シラザンなどの誘導体が挙げられ、特にアミノ基、アクリル基、メタクリル基を末端に有するメトキシシラン誘導体が好適に用いられる。
<1−1.ガラス層の全光線透過率>
ガラス層の全光線透過率は、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。80%以上であれば、ガラス積層体のより高い光透過性を達成できる。このようなガラス層は、公知のものを適宜選択することや、公知の方法で作製する
ことで得ることができる。
尚、全光線透過率は、例えば、JIS K 7361に準拠する方法で測定することができる。このとき、例えば、透過率計(村上色彩技術研究所製「HR−100」)を用いることができる。
<1−2.ガラス層の平均面粗さ>
ガラス層の片面に樹脂層が形成される場合には、その他方の面、即ち、樹脂層が形成されない面の平均面粗さは、好ましくは10nm以下、より好ましくは5nm以下、さらに好ましくは2nm以下である。10nm以下であれば、該面上に更に薄膜を積層させた場合に均一な膜となりやすく、例えば、ガラス積層体を基板として用い、該ガラス層表面に電子デバイス部材としてITO膜等の導電層を形成する場合、非常に薄く(数十nm厚)、且つ表面抵抗値の低い導電層を形成できる。そのため、上記平均面粗さを有するガラス層は電子デバイスの基板として好適に用いることができる。下限は、特には制限されないが、0.1nm以上であることが好ましい。このようなガラス層としては、公知のものを適宜選択することや、公知の方法で作製することで得ることができる。
なお、平均面粗さ(算術平均粗さ(Sa))は、下記測定方法にて算出できる。
算術平均粗さ(Sa)の測定方法:
平均面粗さ(算術平均粗さ(Sa))は光干渉式非接触表面形状測定器を用いて測定することができる。例えば非接触表面・層断面計測システムVertScan2.0(株式会社菱化システム製)を用いガラス層の表面観察(観察視野:93.97μm×71.30μm)を実施し、ガラス層の表面について、平均面粗さ(算術平均粗さSa)を算出する。
<1−3.ガラス層の耐屈曲性>
本発明におけるガラス積層体は、支持層から剥離する際に屈曲させた状態で剥離するため、その際にガラス層が破損しないことが必要となる。ガラス層は曲率半径200mm以上の変形では破損しないことが好ましく、100mm以上の変形でも破損しないことが特に好ましい。
<2.支持層>
本発明に用いる支持層は、電子デバイス部材を形成する際に、ガラス層のハンドリング性を向上させ、ガラス層の変形や破損を抑制する。
本発明に用いる支持層としては、例えば、ガラス、樹脂、又はSUSなどの金属材料などが用いられる。通常、電子デバイス部材を形成する際には熱処理を伴うため、支持層は、主にガラス層との線膨張係数の差の小さい材料を用いることが好ましく、ガラス層と同一材料、即ち支持層はガラス材料であることがより好ましい。特に、ガラス層と同じガラス材料であることが好ましい。
支持層の厚みは、好ましくは0.2mm以上、より好ましくは0.3mm以上、更に好ましくは0.5mm以上である。一方で、好ましくは5mm以下、より好ましくは2mm以下である。0.2mm以上とすることで、ガラス積層体を搬送する際などにたわみが生じることがなくなり、電子デバイス部材を形成する際に扱いやすい。一方で、5mm以下とすることで、ガラス積層体の軽量化や、梱包の効率化が可能となる。
本発明に用いられる支持層は、必要に応じて、後述する樹脂層側の表面に離型処理を施してもよい。離型処理を行うことによって、樹脂層との剥離性を向上させ、樹脂層を支持層から剥離する際の樹脂層の破断などを防止しやすくなる。
離型処理としては特に限定されないが、支持層の樹脂層側の表面を離型剤で処理することが挙げられる。
離型剤は特に限定されず、シリコーン系化合物(例えば、シリコーンオイル、熱硬化シリコーン、紫外線硬化シリコーン、変性シリコーンなど)、フッ素系化合物(例えば、フッ素系樹脂など)、オレフィン樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられ、特にシリコーン系化合物が好適に用いられる。
<3.樹脂層>
本発明に用いられる樹脂層は、支持層とガラス層との間に備えられ、ガラス層を保護してガラス層のハンドリング性を向上させる。支持層付きガラス積層体上に電子デバイス部材を形成した後は、樹脂層と支持層との間で支持層を剥離できる。支持層を剥離する際や剥離した後は、厚みが薄く耐衝撃性に乏しいガラス層を樹脂層で被覆することによって、ガラス層の割れの発生やクラックの伝搬を防止することが可能になり、ハンドリング性を向上させる。
樹脂層は、熱可塑性樹脂を含む樹脂層であってもよく、硬化性樹脂組成物を硬化させてなる樹脂層であってもよく、本発明の効果が得られる限りにおいて限定されないが、硬化性樹脂組成物は硬化反応時にガラス層表面への化学的な結合を誘起する配合設計が容易な点で、硬化性樹脂組成物を硬化させてなる樹脂層が好ましい。
一方、熱可塑性樹脂は硬化性樹脂に対して一般的に靱性に優れるため、剥離の際の樹脂層の破壊が抑えられる点で好ましい。
<3−1.熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹脂としては、フッ素系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルシリコン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。
これらのうち、電子デバイスの形成における加熱工程や、洗浄工程を経た後も剥離の際に必要な機械強度を維持できる点で、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましく、支持層との密着性を調整し易いことから、フッ素系樹脂が特に好ましい。
<3−2.硬化性樹脂組成物>
硬化性樹脂組成物は、硬化処理によって硬化する樹脂組成物であれば、該組成物に含まれる成分は特に限定されないが、例えば、加熱処理や、活性エネルギー線照射により硬化する硬化性樹脂組成物が挙げられる。中でも、硬化処理工程が簡便であることから、熱硬化性樹脂組成物又は紫外線硬化性樹脂組成物であることが好ましい。
硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂、必要に応じて重合開始剤を含む。尚、本発明の効果を阻害しない他の成分や、本発明の効果を向上する他の成分を含んでもよい。そのような成分については後述する。
硬化性樹脂組成物に含まれる硬化性樹脂としては、硬化処理によって重合反応が誘発され、硬化する成分であれば特に限定されないが、短時間かつ容易に硬化達成可能であることから、紫外線硬化性モノマー及びオリゴマーを好ましい例として挙げることができる。
上記紫外線硬化性モノマー及びオリゴマーとしては、機械的物性、透明性及び加工性などの観点から、(メタ)アクリルモノマー、および(メタ)アクリルオリゴマーが好ましく、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等のモノマーやオリゴマーが好ましい例として挙げられる。
さらに、いくつかを例示すると、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、イソアミルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレートなど、1個以上の炭素−炭素二重結合を有する単官能、若しくは多官能のアクリルモノマー又はメタクリルモノマー類が挙げられる。
(メタ)アクリルモノマー、および(メタ)アクリルオリゴマーとしては、官能基当量、すなわち分子量/官能基数が500以上、5000以下の範囲の(メタ)アクリルモノマー、および(メタ)アクリルオリゴマーがより好ましく、官能基当量がかかる範囲の(メタ)アクリルモノマー、および(メタ)アクリルオリゴマーを、硬化性樹脂組成物に含まれる硬化性樹脂全体に対して70質量%以上、100質量%以下含むことがさらに好ましい。官能基当量がかかる範囲の(メタ)アクリルモノマー、および(メタ)アクリルオリゴマーを用いることによって、樹脂層の割れや破断を抑制し、かつガラス層との密着性を発現することが可能となり、含有量が70質量%以上であると、樹脂層の割れや破断をさらに抑制することが可能になる。
また、樹脂層の耐熱性や機械強度を調整する目的で、官能基当量が100以上、300以下の範囲である(メタ)アクリルモノマー、および(メタ)アクリルオリゴマーもより好ましく、官能基当量がかかる範囲の(メタ)アクリルモノマー、および(メタ)アクリルオリゴマーを、硬化性樹脂組成物に含まれる硬化性樹脂全体に対して0.1質量%以上、30質量%以下含むことがさらに好ましい。官能基当量がかかる範囲の(メタ)アクリルモノマー、および(メタ)アクリルオリゴマーは架橋密度が高く、樹脂層に良好な耐熱性を付与することが可能となり、含有量が30質量%以下であると、樹脂層の架橋密度が過度に高くなることがなく、樹脂層の割れや破断を抑制しつつ、良好な耐熱性を付与することができるため、さらに好ましい。
また、官能基当量が500〜5000の範囲であるウレタンアクリレートを硬化性樹脂組成物に含まれる硬化性樹脂全体に対して70質量%以上、100質量%以下含むことが特に好ましい。ウレタン結合を有し、かつ官能基当量がこの範囲であるアクリレートを用いるによって、樹脂層の靱性や耐衝撃性が向上するため、ガラス層の割れや破断を特に抑制することが可能となる。
なお、これらは1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
市販品としては、例えば、ウレタンアクリレートである新中村化学工業株式会社製の商品名「NKオリゴUA−122P」などが挙げられる。
硬化性樹脂組成物における硬化性樹脂の総濃度は、加工時の粘度、および加工後の機械物性の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは65質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。
硬化性樹脂が紫外線硬化性モノマー及びオリゴマーである場合、硬化性組成物は光重合開始剤を含む。光重合開始剤は、活性エネルギー線を吸収して活性化(励起)し、開裂反応等を介して反応を開始するために用いられるものである。
上記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン系、アセトフェノン系、チオキサントン系、フォスフィンオキシド系及びパーオキシド系等の光重合開始剤を挙げることができる。具体例としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン
、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、メチルベンゾイルホルメート等を例示することができる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
市販品としては、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASF社製、商品名「IRGACURE184」)などが挙げられる。
硬化性樹脂組成物における重合開始剤の濃度は、硬化反応をより確実に実施させる観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。一方で、重合開始剤の未反応物によるアウトガスの発生を抑制する観点から、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
上記の他にも、例えば、硬化性樹脂の硬化性、吸水性、密着性、硬度、耐熱性、及び機械強度などの物性を調整するために、(メタ)アクリル酸エステル、リン酸(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、チオール化合物などのモノマー成分、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等のポリマー成分を任意で添加し、上記硬化性樹脂組成物とすることができる。これらの中でも特にチオール化合物を添加することが、耐熱性、および機械強度が向上するため好ましい。チオール化合物としては、例えばペンタエリスルトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスルトールテトラキスチオプロピオネートなどが挙げられる。なお、これらは1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
また、シランカップリング剤、増感剤、架橋剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、充填材、酸化防止剤、レベリング剤、スリップ剤、微粒子、分散剤、熱可塑性樹脂等を、硬化性や透明性、吸水性等の物性に支障とならない範囲で、任意で添加することができる。
なお、これらは1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
<3−3.樹脂層の表面処理>
樹脂層は、ガラス層との密着性向上や、支持層との密着性の調整を目的として表面処理を施してもよい。表面処理の例としては、シリコーン樹脂、アルキッド樹脂、フッ素樹脂などを表面に予め塗布する離型処理、またはコロナ、プラズマなどの放電処理等が挙げられ、必要に応じて適宜行うことができる。
<3−4.樹脂層の厚み>
樹脂層の厚みは、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上である。一方で、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。
樹脂層の厚みが1μm以上であることで、ガラス層に加わる衝撃を緩和することができ、樹脂層及びガラス層を含むガラス積層体のより優れたハンドリング性を実現できるので好ましい。一方、樹脂層の厚みを200μm以下とすることで、ガラス積層体を真空プロセスに適用した際にも、水分や低分子量成分からなるアウトガス量をプロセス上好ましい範囲内に収めることができる。
樹脂層の厚みは、樹脂組成物の塗工厚みや、後述する種々のコーティング方式によって適宜調整することができる。
<3−5.樹脂層の全光線透過率>
樹脂層の全光線透過率は、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。80%以上であれば、樹脂層及びガラス層を含むガラス積層体のより高い光透過性を達成することができる。
尚、全光線透過率は、例えば、JIS K 7361に準拠する方法で測定することができる。このとき、例えば、透過率計(村上色彩技術研究所製「HR−100」)を用いることができる。
樹脂層の全光線透過率を調整するには、共役系の短い分子骨格や、結晶性の低い分子骨格を有する樹脂を適宜選択することにより調整できる。
<3−6.樹脂層の引張弾性率>
樹脂層の引張弾性率は、50MPa以上であることが好ましく、250MPa以上であることがより好ましく、500MPa以上であることが更に好ましく、700MPa以上であることが特に好ましい。一方、2500MPa以下であることが好ましく、2300MPa以下であることがより好ましく、2100MPa以下であることが更に好ましく、2000MPa以下であることが特に好ましい。
50MPa以上の引張弾性率を有することにより、樹脂層と支持層との間で剥離する際に、樹脂層の過度な変形が抑えられ、破断することなく剥離することが可能となる。
一方、引張弾性率を2500MPa以下とすることにより、樹脂層と支持層との間で剥離する際に、ガラス層に過度な曲げ応力がかかることを抑制し、ガラス層の破損を防止することが可能となる。
樹脂層の引張弾性率を調整する方法としては、例えば含有する樹脂の原料となるモノマーやオリゴマーの分子量、官能基数を適宜選択することにより適当な架橋密度に調整する方法、フィラーを適宜添加する方法、又は活性エネルギー線の照射量等を適宜調整する方法、などが挙げられる。
樹脂層の引張弾性率は、以下の方法で測定することができる。
例えば、硬化性樹脂組成物を硬化させて、厚み200μm、幅2cm、長さ150mmの短冊状樹脂サンプルを作製し、万能試験機(例えば、株式会社島津製作所製、オートグラフAGS−Xが挙げられる)を用いて、短冊状樹脂サンプルの長手方向の伸びと応力を測定し、これらの値から引張弾性率を算出し、樹脂層の引張弾性率とした。試験条件は、チャック間距離を10cm、引っ張り速度を10mm/minとし、25℃で測定した。
<3−7.樹脂層の引張破断伸度>
樹脂層の引張破断伸度は、5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、15%以上であることが更に好ましい。一方で、500%以下であることが好ましく、400%以下であることがより好ましく、300%以下であることが更に好ましい。
5%以上の引張破断伸度を有することにより、樹脂層及びガラス層を含むガラス積層体をカットする際に、切断箇所からのクラックの伝搬を抑制することができる。また、ガラス積層体内部で万が一ガラス層が破損した際でも、樹脂層が破断することなく、ガラス積層体としてはその形状を保持するため、ガラスの飛散を防止することが可能となる。さらには樹脂層と支持層の間で剥離する際、樹脂層が破断することなく剥離することが可能となる。
樹脂層の引張破断伸度を調整する方法としては、例えば含有する樹脂の原料となるモノ
マーやオリゴマーの分子量、官能基数を適宜選択することにより適当な架橋密度に調整する方法、フィラーを適宜添加する方法、又は活性エネルギー線の照射量等を適宜調整する方法、などが挙げられる。
樹脂層の引張破断伸度は、以下の方法で測定することができる。
例えば、硬化性樹脂組成物を硬化させて、厚み200μm、幅10mm、長さ100mmの短冊状樹脂サンプルを作製し、万能試験機(例えば、株式会社島津製作所製、オートグラフAGS−Xが挙げられる)を用いて、短冊状樹脂サンプルの引張破断伸度を測定し、樹脂層の引張破断伸度とした。試験条件は、チャック間距離を40mm、引っ張り速度を50mm/minとし、25℃で測定した。
<3−8.樹脂層の引張破断強度>
樹脂層の引張破断強度は、10MPa以上であることが好ましく、12MPa以上であることがより好ましく、15MPa以上であることが更に好ましく、30MPa以上であることが特に好ましい。
引張破断強度が10MPa以上の値を有することにより、樹脂層と支持層との間で剥離する際に、樹脂層の剥離途中での破断を抑制することが可能になる。なお、上限は特段限定されないが、通常300MPa以下である。
樹脂層の引張破断強度は、以下の方法で測定することができる。
例えば、硬化性樹脂組成物を硬化させて、厚み200μm、幅10mm、長さ100mmの短冊状樹脂サンプルを作製し、万能試験機(例えば、株式会社島津製作所製、オートグラフAGS−X)を用いて、短冊状樹脂サンプルの引張破断強度を測定し、樹脂層の引張破断強度とした。試験条件は、チャック間距離を40mm、引っ張り速度を50mm/minとし、25℃で測定した。
<3−9.樹脂層の耐熱性>
樹脂層は、電子デバイスの形成工程時の加熱温度や、有機EL照明、有機ELディスプレイ、及び有機太陽電池等の電子デバイスが実用上晒される熱など、工程や用途に対応する耐熱性を持つことが望ましい。具体的には、5%重量減少温度が250℃以上であることが好ましく、280℃以上であることがより好ましい。
なお、樹脂層の5%重量減少温度は、熱分析装置、例えばRIGAKU製Thermoplus TG8120を用いて、窒素50mL/min雰囲気下、昇温速度20℃/minにおける樹脂層について熱減量を測定し、熱減量が5%となる温度を樹脂層の5%重量減少温度とする。
樹脂層の耐熱性は、透明な無機粒子、耐熱性の高い有機粒子、ガラスやセルロースなどの線維状物質、架橋促進剤などの添加により上記範囲に調整することができるとともに、このような特性を有する樹脂を適宜選択してもよい。
<3−10.密着層>
樹脂層と支持層との剥離強度を後述するような範囲に調整するために、必要に応じて、支持層と樹脂層の間に密着層を設けることもできる。
密着層は、樹脂層又は支持層の一方の層に対して充分に接着し、且つ、他方の層に対して易剥離性を示す層である。
なお、易剥離性を具体的数値で表すとすれば、剥離強度が0.1N/50mm以上、5N/50mm未満であるとも表すことができる。しかしながら本数値範囲は一例であって、上記説明した易剥離性の性質を満たすものであれば上記数値範囲に限られない。
密着層を構成する樹脂組成物は、樹脂、及びその他必要に応じて添加剤を含む。
密着層を構成する樹脂組成物に含まれる樹脂としては、硬化性樹脂組成物を硬化させて
得られる樹脂が好ましい。
硬化性樹脂組成物としては、硬化処理によって重合反応が誘発され、硬化する成分であれば特に限定されないが、短時間かつ容易に硬化達成可能であることから、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、又は紫外線及び熱硬化性樹脂を含む硬化性樹脂組成物が好ましい例として挙げることができる。
上記紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、又は紫外線及び熱硬化性樹脂としては、密着層の材質によって適宜選択されるが、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の硬化性樹脂が挙げられ、耐熱性、機械的物性、加工性などの観点から、エポキシ系硬化性樹脂が好ましい。
エポキシ系硬化性樹脂としては、例えば脂環式化合物基を有するエポキシ樹脂、グリシジルエーテル基を有するエポキシ樹脂、芳香族基を有するエポキシ樹脂、などが例示され、より具体的にはビスフェノールA型やビスフェノールF型があげられるが、特にこれにのみ限定されない。
市販品としては、例えば、紫外線及び熱硬化性エポキシ系樹脂である株式会社ADEKA製の商品名「KRX−690−5」などが挙げられる。
密着層を構成する樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、シランカップリング剤、増感剤、架橋剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、界面活性剤、充填剤、離型剤、熱可塑性樹脂を任意で添加することができる。なお、これらは1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
密着層の厚みは、0.5μm以上であることが好ましい。1μm以上がさらに好ましい。一方、10μm以下であることが好ましく、5μm以下がさらに好ましく、3μm以下が特に好ましい。
密着層の厚みが0.5μm以上であれば、支持層又は樹脂層と充分に接着ができ、厚みが10μm以下であれば、電子デバイス全体の厚み増加を抑制し、電子デバイス作成時の密着層からのアウトガス発生量を抑制することができる傾向がある。
<3−11.接着層>
樹脂層とガラス層との剥離強度を後述するような範囲に調整するために、必要に応じて、ガラス層と樹脂層の間に接着層を設けることもできる。
接着層は、樹脂層及びガラス層に対して充分な接着性を示す層である。
接着層の構成する材料としては、上述したような性質を示すものであれば、特に限定されず、上記樹脂層や密着層の説明で述べた硬化性樹脂組成物を適宜用いることができる。
<3−12.離型層>
樹脂層と支持層との剥離強度を後述するような範囲に調整するために、必要に応じて、支持層と樹脂層の間に離型層を設けることもできる。
離型層としては、前述した支持層や樹脂層表面の離型処理によって形成される層が挙げられる。
<4.支持層付きガラス積層体>
本発明に用いる支持層付きガラス積層体は、ガラス層を支持層に積層した構成を有するため、ガラス層のハンドリング性を向上させることができ、ガラス層上に電子デバイス部材を形成する際に問題なく適用できる。
また、本発明に用いる支持層付きガラス積層体は、樹脂層の少なくとも一部が、ガラス層の外形範囲を超えて形成される。
ここで、図2は、ガラス層の外形範囲(13の実線範囲)及び樹脂層の外形範囲(14
の実線範囲)の一例を示した図である。即ち本明細書において外形範囲とは、積層体を積層方向(厚さ方向)から見た場合の、各層が占める範囲を意味し、外形範囲内に形成されるとは、ある層が占める、外枠を含めた範囲に別の層が形成されることを意味しており、外形範囲を超えるとは、ある層が占める、外枠をはみ出る範囲に別の層が形成されることを意味している。
本発明に用いる支持層付きガラス積層体を構成するガラス層及び樹脂層は、図1及び2に示すように樹脂層の少なくとも一部がガラス層の外形範囲を超えて形成されている。
このような積層体とすることで、樹脂層上にガラス層が積層されていない部分が形成されるため、樹脂層のみを剥離の起点として用いることができ、支持層から剥離する際は、樹脂層のみを把持し、ガラス層に過度に荷重をかけることなく剥離することが可能となり、ガラス層の破損を著しく防止することが可能となる。
樹脂層は、少なくともその一部がガラス層の外形範囲よりも大きくなるように形成されるが、その後、ガラス層の外形範囲よりも大きくなるように形成された樹脂層の一部を剥離し、該剥離部分を把持し、樹脂層及びガラスを有するガラス積層体を支持層から剥離する工程が容易になることから、その一部においてガラス層の外形範囲よりも1mm以上大きく樹脂層を形成することが好ましく、5mm大きく樹脂層を形成することがより好ましい。
また、ガラス層の樹脂層側表面及び端面を保護し、プロセス中の割れを抑制する理由から、ガラス層が、樹脂層の外形範囲内に形成されていることがさらに好ましい。
本発明に用いる支持層付きガラス積層体は、ガラス層の厚み(d1)と樹脂層の厚み(d2)との比(d1/d2)が0.3〜3であることが好ましい。また、ガラス層と樹脂層の総厚(d1+d2)と支持層の厚み(d3)との比(d3/(d1+d2))が1〜25であることが好ましい。
ガラス層の厚み(d1)と樹脂層の厚み(d2)との比が0.3〜3の範囲内であれば、ガラス層の割れ、飛散を著しく改良しつつ、反りなどを防止することが可能となる。また、ガラス層と樹脂層の総厚(d1+d2)と支持層の厚み(d3)との比(d3/(d1+d2))が1〜25の範囲内であれば、ガラス積層体のハンドリング性を保った状態で、その厚みが過度に大きくならないため、梱包時の効率、および電子デバイス部材形成工程での操作性を損なうおそれが無い。
上記2つの厚み比を満たす支持層付きガラス積層体は、電子デバイス部材を形成する際にも撓むことなく、更には後述するように、ガラス積層体を支持層から剥離することで、割れの発生やクラックの進展が著しく改善されたガラス層と樹脂層を含むガラス積層体を得ることができる。
また、得られたガラス層と樹脂層を含むガラス積層体は、電子デバイス用基板、或いはフレキシブルデバイス用基板として好適に用いることができる。
ガラス層の厚み(d1)と樹脂層の厚み(d2)との比(d1/d2)は、ガラス層の割れ、飛散を著しく改良しつつ、反りなどを防止する観点から、0.4〜2.5が好ましく、0.5〜2.0がさらに好ましい。
ガラス層と樹脂層の総厚(d1+d2)と支持層の厚み(d3)との比(d3/(d1+d2))は、ガラス積層体のハンドリング性を保った状態で、ガラス積層体の厚みが過度に大きくしない観点から、3〜20が好ましく、5〜15がさらに好ましい。
ガラス層の厚み(d1)と樹脂層の厚み(d2)との比(d1/d2)、ガラス層と樹脂層の総厚(d1+d2)と支持層の厚み(d3)との比(d3/(d1+d2))を調整するには、好ましい厚み範囲のガラス層や支持層を適宜用いることで調整できる。
また、支持層付きガラス積層体は、支持層と樹脂層との間の剥離強度が、樹脂層とガラス層との間の剥離強度よりも低いことが好ましい。また、支持層と樹脂層との間の剥離強度が0.1N/50mm以上、5N/50mm以下であることが好ましく、0.1N/50mm以上、2N/50mm以下であることがより好ましい。一方、ガラス層と樹脂層との間の剥離強度は10N/50mm以上であることが好ましい。
この剥離強度、及びその大小関係を満たすことにより、樹脂層を把持して応力をかけることで、ガラス層も樹脂層に追従し、樹脂層と支持層との間で容易に剥離することが可能となる。また、支持層剥離後もハンドリング性に優れた樹脂層及びガラス層を含むガラス積層体を提供することができる。
支持層と樹脂層との間、及び樹脂層とガラス層との間の剥離強度を調整するには、支持層の樹脂層側の表面に離型処理(前述した離型処理含む)をすることで調整できる。
尚、剥離強度は、90度剥離方法で測定することができる。このとき、例えば、万能試験機(インテスコ社製引張圧縮試験機INTESCO 200X)を用いることができる。
支持層付きガラス積層体は、少なくとも支持層、樹脂層、及び厚み10μm以上、200μm以下のガラス層を含み、必要に応じその他の層を適宜含んでもよい。具体的には、ガラス層と樹脂層を接着させるための接着層、支持層と樹脂層を密着させるための密着層、表面処理により形成された離型層などがあげられる。これらの層は、既知の材料を用い、既知の方法により積層することができる。
<5.樹脂層及びガラス層を含むガラス積層体>
本発明では、支持層付きガラス積層体から支持層を剥離することで、樹脂層及びガラス層を含むガラス積層体を得ることができる。樹脂層及びガラス層を含むガラス積層体は、ガラス層に樹脂層が積層されているため、支持層剥離後もハンドリング性に優れており、電子デバイス用基板、或いはフレキシブルデバイス用基板として好適に用いることができる。
電子デバイス用基板、或いはフレキシブルデバイス用基板として用いる場合には、樹脂層及びガラス層を含むガラス積層体の全光線透過率は80%以上であることが好ましく、85%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることが特に好ましい。80%以上であれば、表示素子などの基板として好適に用いることができる。
電子デバイス用基板、或いはフレキシブルデバイス用基板として用いる場合には、樹脂層及びガラス層を含むガラス積層体の厚みは5μm以上、300μm以下であることが好ましく、10μm以上、200μm以下であることがさらに好ましく、30μm以上、100μm以下であることが特に好ましい。5μm以上、300μm以下であれば、ハンドリング性を損ねることなく、フレキシブル性に優れた、電子デバイス用、或いはフレキシブルデバイス用として好適な基板を提供することができる。
<6.樹脂層及びガラス層を含むガラス積層体の製造方法>
本発明において、樹脂層及びガラス層を含むガラス積層体は、支持層付きガラス積層体から支持体を剥離することで得られる。すなわち本発明の具体的実施形態は、少なくとも、支持層、樹脂層、及び厚み10μm以上、200μm以下のガラス層を含み、該樹脂層の少なくとも一部が該ガラス層の外形範囲を超えて形成されている支持層付きガラス積層体を準備する工程、前記ガラス層の外形範囲を超えて形成された樹脂層の少なくとも一部を支持層から剥離する工程、及び剥離した樹脂層を把持して、樹脂層及びガラス層を含むガラス積層体を支持層から剥離する工程、を備える、ガラス積層体の剥離方法、並びにガラス積層体の製造方法である。以下これらの工程について、図3を参照し、順に説明する
<6−1.支持層付きガラス積層体を準備する工程>
本工程は図3(a)に示され、支持層12、離型層19、樹脂層11及び厚み10μm以上、200μm以下のガラス層10をこの順に積層した支持層付きガラス積層体100を準備する工程である。離型層19は任意に設けられる層であり、本発明において必須の構成ではない。
本工程では、例えば樹脂層として硬化樹脂層を用いる場合、ガラス層上又は支持層上に、硬化性樹脂組成物からなる層を形成した後、他方のガラス層又は支持層を積層する。
ガラス層上又は支持層上に、硬化性樹脂組成物からなる層を形成する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、スピンコータ塗工、ダイコータ塗工、バーコーター塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、ディップコートなどを挙げることができる。
塗工における塗布速度、吐出量等は特に限定されず、硬化性樹脂組成物からなる層の組成や塗布スピード、硬化後の硬化樹脂層の所望の厚みから適宜調整することができる。
また、硬化性樹脂組成物に溶剤を含む場合には、硬化性樹脂組成物からなる層を形成した後、溶剤を乾燥させ、除去する工程を含んでもよい。
なお、支持層の樹脂層と対向する側の表面に離型処理を施すことで、支持層と樹脂層との間に離型層を形成してもよく、その方法は公知の方法が用いられる。
樹脂組成物からなる層を形成する際、樹脂層の少なくとも一部がガラス層の外形範囲を超えて形成されるようにするため、樹脂組成物を形成する範囲をガラス層よりも大きくする必要がある。このように樹脂層を形成するためには、ガラス層よりも大きい支持層上に樹脂組成物からなる層を形成し、その後、ガラス層を樹脂組成物からなる層上に積層することが好ましい。
この際、樹脂組成物は、前述の通り、その一部がガラス層の外形範囲よりも大きくなるように形成されるが、その後の樹脂層の一部を剥離し、該部分を把持する工程が容易になることから、その一部においてガラス層の外形範囲よりも1mm以上大きく樹脂層を形成することが好ましく、5mm以上大きく樹脂層を形成することがより好ましい。
また、ガラス層の樹脂層側表面及び端面を保護し、ガラスの飛散を防止する理由から、ガラス層が、樹脂層の外形範囲内に形成されていることが好ましい。
樹脂組成物からなる層上に、ガラス層又は支持層を積層する方法は特に限定されないが、プレスや、ハンドロール、ニップロールに通して積層する方法などが挙げられる。
本工程では、樹脂組成物からなる層、ガラス層、及び支持層を一度に積層させてもよい。このような積層方法を用いることによって、支持層上に樹脂組成物を塗布し、ガラス層と貼合するような積層方法よりもプロセスが簡易であり、樹脂組成物の塗布面が外気にさらされることがないため、異物混入や気泡の発生を抑制することができ、光学的欠陥の少ない良好な支持層付きガラス積層体を作製することができる。
一度にこれらの部材を積層させる方法としては特に限定されないが、例えば、ガラス層、樹脂組成物、支持層を同時にプレスやニップロールに通して樹脂組成物を圧延する方法などが挙げられる。
本工程において、樹脂層として硬化樹脂層を用いる場合、上記で準備した支持層、硬化性樹脂組成物からなる層、及びガラス層を含む積層体に、例えば活性エネルギー線照射を行い硬化性樹脂組成物からなる層を硬化して硬化樹脂層を得ることができる。
硬化性樹脂組成物からなる層を硬化するための方法は特に限定されず、例えば、紫外線
、可視光線などの活性エネルギー線照射により硬化する方法、または加熱処理などによって硬化する方法、があげられる。上記のうち、工程の簡便さから、硬化反応が短時間で行われる活性エネルギー線照射が好適に用いられる。
活性エネルギー線の光源、その配置、および光量等は、硬化性樹脂組成物を含む層を硬化できるのであれば特に限定されない。例として、紫外線により硬化させる場合には、光源としてキセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプを有する紫外線照射装置等を用い、必要に応じて光量、光源の配置などが調整される。
また高圧水銀灯を使用する場合、80〜160W/cmの出力を有したランプ1灯に対して搬送速度5〜60m/分で硬化させるのが好ましい。
一方、樹脂層に熱可塑性樹脂を含む場合は、樹脂層を形成し得る樹脂組成物中には既知の溶剤及び熱可塑性樹脂を含んだ塗液を前述の方法で、支持層又はガラス層に塗工し、支持層、熱可塑性樹脂を含む層、及びガラス層を含む積層体を作成した後、加熱することで、樹脂組成物中に含まれる溶剤を除去し、支持層付きガラス積層体を準備することができるし、支持層又はガラス層に塗工、溶媒を除去した後、熱プレスや熱ラミネート方法により、支持層付きガラス積層体を準備することもできる。
溶媒を除去するための加熱温度は、溶媒を乾燥させるのに十分な温度であれば、特段限定されない。
さらには、熱可塑性樹脂を含む樹脂層を予め、フィルム形状に成形し、直接支持層及びガラス層と積層する方法や、密着層や、接着層を介して、支持層及びガラス層と積層する方法で、支持層付きガラス積層体を準備することもできる。
積層する方法としては、前述したプレス、ニップロール、熱ラミネート方法等、適宜選択することができる。
密着層や接着層が硬化性樹脂組成物からなる層である場合は、適宜硬化工程を含んでもよい。
<6−2.樹脂層の少なくとも一部を支持層から剥離する工程>
本工程は図3(b)に示され、支持層12上に形成された離型層19と樹脂層11との間に、刃状工具17を差し込み、ガラス層の外形範囲を超えて形成された樹脂層の少なくとも一部を支持層から剥離する。
刃状工具は、支持層付きガラス積層体100において、樹脂層11の一部を支持層12から剥離できればどのようなものを用いてもよく、先端が鋭利な刃状工具であることが好ましい。具体的には、ナイフ、カッターナイフ、スクレーパーなどの刃物が挙げられる。さらに先端が鋭利であればポリエステル樹脂のフィルムなどを用いることも可能である。
<6−3.ガラス積層体を支持層から剥離する工程>
本工程は図3(c)に示され、前記工程で剥離された樹脂層11の剥離部分を、把持具18により把持し、ガラス層10及び樹脂層11を含むガラス積層体を支持層12から剥離する。
把持具18は、樹脂層11の剥離部分を把持することができれば特段限定されず、剥離部分が十分な大きさを有している場合には、指でつまみあげて剥離してもよい。また真空パッドや粘着ロールなどの吸着・貼着治具や、クランプなどの把持治具なども好適に用いられる。剥離の際には図面上方に向かって引力を与えればよく、樹脂層11と支持層12の密着の程度に応じて、図面斜め上方に向かって引力を与えてもよい。
剥離の際には、ガラス層の曲率半径が過度に小さいと、ガラス層が破損してしまう恐れがあるため、ガラス層の曲率半径を30mm以上に保持した状態で剥離することが好ましく、曲率半径を50mm以上に保持することが特に好ましい。
剥離する際の速度(単位時間当たりに剥離する支持層の長さ)は特に限定されないが、通常0.01m/min〜100m/minであり、生産性と安定性を鑑みて1m/min〜50m/minで剥離することが好ましい。
これらの工程を経ることで、支持層付きガラス積層体100から、ガラス層10及び樹脂層11を含むガラス積層体を、簡便に、且つ、大がかりな装置を用いることなく剥離することができる。
なお、通常は支持層付きガラス積層体のガラス層上に電子デバイス部材を形成した後に、支持層を剥離する。この場合の実施形態としては、少なくとも、支持層、樹脂層、及び厚み10μm以上、200μm以下のガラス層を含み、該樹脂層の少なくとも一部が該ガラス層の外形範囲を超えて形成されている支持層付きガラス積層体を準備する工程、準備した支持層付きガラス積層体のガラス層上に電子デバイス部材を形成する工程、前記ガラス層の外形範囲を超えて形成された樹脂層の少なくとも一部を支持層から剥離する工程、及び剥離した樹脂層部分を把持して、樹脂層及びガラス層を含むガラス積層体を支持層から剥離する工程、を備える、電子デバイスの製造方法である。
<7.ガラス積層体の用途>
本発明において樹脂層及びガラス層を含むガラス積層体は、例えば、有機EL素子などの電子デバイスの基板として好適に用いることができる。有機EL素子などの電子デバイスの基板として用いた場合、ガラス積層体のガラス層上に電子デバイス部材を形成した後、樹脂層と支持層との間で剥離することによって、フレキシブルな電子デバイスを得ることができるため、フレキシブルディスプレイやフレキシブル照明に用いることができる。
電子デバイスとしては、有機EL素子以外にも、太陽電池素子、薄膜二次電池素子、液晶表示素子、等が挙げられる。
なお、電子デバイス部材とは、ガラス層上に形成され、電子デバイスの少なくとも一部を構成する部材であり、具体的には、有機EL素子、太陽電池素子、薄膜二次電池素子、液晶表示素子、または、各種電子部品などに用いられる部材が挙げられる。
有機EL素子に用いられる部材としては、透明電極や、金属電極、絶縁層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層等が挙げられる。
また、太陽電池素子に用いられる部材としては、有機太陽電池素子の場合は、有機電子供与体及び有機電子受容体からなる有機半導体層、透明電極層、金属電極層等が挙げられ、その他に化合物型、色素増感型、量子ドット型太陽電池素子などに対応する各種部材等が挙げられる。
また、液晶表示素子に用いられる部材としては、透明電極層、液晶層等が挙げられる。
また、薄膜二次電池用部材としては、リチウムイオン型では、透明電極層、リチウム化合物を含む電解質層、金属を含む集電層が挙げられる。その他に、ニッケル水素型、ポリマー型、セラミックス電解質型などに対応する各種部材等が挙げられる。
また、電子部品用部材としては、CCDやCMOSでは、導電部や、絶縁部等が挙げられ、その他に、圧力センサ、加速度センサなどの各種センサに対応する各種部材等が挙げられる。
厚み10μm以上、200μm以下のガラス層のみを用いて電子デバイスを形成しようとすると、ガラス層が非常に割れやすいために、基板上に電子デバイス部材を形成する工程が困難になる。また、ガラス層に予め樹脂層を積層した場合、割れなどは改善されるものの、基板自体が可撓性を有するため、電子デバイス部材の形成工程で基板を固定する際などに基板がたわんでしまい、電子デバイスの厚みや位置精度の不良が発生しやすくなる。
そこで、ガラス層を、樹脂層などを介して支持層に固定することで、電子デバイス部材を形成する工程中のハンドリング性が著しく向上し、良好な電子デバイスを形成すること
ができる。
しかしながら、電子デバイス部材形成後にガラス層と樹脂層との界面で支持層を剥離すると、ガラス層自体は非常に割れやすいため、剥離後の割れの発生、さらにガラスの飛散などが懸念される。
本発明においては、樹脂層で被覆されたガラス層を支持層に固定することで電子デバイス部材の作成工程中のハンドリング性を向上させることができる。
また、電子デバイス部材形成後にガラス積層体から支持層を剥離する際は、樹脂層がガラス層を被覆しているため、ガラス層を破損することなく、支持層を容易に剥離することができる。
ガラス積層体から支持層を樹脂層との間で剥離して得られる電子デバイス、或いはフレキシブルデバイスは、ガラス層を樹脂層で覆っていることから、ガラス層の割れや飛散を防止することが可能となる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明が以下の実施例の記載に限定されるものではない。
<評価>
製造例で得られた支持層付きガラス積層体を下記の方法で評価した。
(樹脂層の引張弾性率)
厚み200μm、幅2cm、長さ150mmの短冊状樹脂サンプルを作製し、万能試験機(株式会社島津製作所製、オートグラフAGS−X)を用いて、短冊状樹脂サンプルの長手方向の伸びと応力から引張弾性率を測定し、樹脂層の引張弾性率とした。試験条件は、チャック間距離を10cm、引っ張り速度を10mm/minとし、また25℃で測定した。
(樹脂層の引張破断伸度及び引張破断強度)
厚み200μm、幅10mm、長さ100mmの短冊状樹脂サンプルを作製し、万能試験機(株式会社島津製作所製、オートグラフAGS−X)を用いて、短冊状樹脂サンプルの引張破断伸度及び引張破断強度を測定し、樹脂層の引張破断伸度及び引張破断強度とした。試験条件は、チャック間距離を40mm、引っ張り速度を50mm/minとし、また25℃で測定した。
(樹脂層と支持層との間の剥離強度の測定)
支持層上に、製造例1、3の場合は離型層及び樹脂層を、製造例2の場合は密着層及び樹脂層をこの順に積層させ、剥離強度測定用の試験片(幅50mm)を作製した。
インテスコ社製引張圧縮試験機INTESCO 200Xを用いて、23℃、剥離速度を50mm/分に設定し、90度剥離方法で樹脂層を支持層から剥離した際の引っ張り強度を樹脂層と支持層との剥離強度とした。
(樹脂層とガラス層との間の剥離強度の測定)
厚み2mmガラス板上に、製造例1、3の場合は、樹脂層を、製造例2の場合は接着層及び樹脂層をこの順に積層させ、剥離強度測定用の試験片(幅50mm)を作製した。
インテスコ社製引張圧縮試験機INTESCO 200Xを用いて、23℃、剥離速度を50mm/分に設定し、90度剥離方法で樹脂層をガラス板から剥離した際の引っ張り強度をガラス層と樹脂層との剥離強度とした。なお、樹脂層が剥離せず、破断してしまった場合は、破断時の引っ張り強度をガラス層と樹脂層との剥離強度とした。
[製造例1]
図1に示す層構成を有する支持層付きガラス積層体を製造した。
官能基当量が550程度の紫外線硬化性ウレタンアクリレートモノマー(新中村化学工業株式会社製、商品名「NKオリゴUA−122P」)54質量%、官能基当量が800程度の紫外線硬化性ウレタンアクリレートモノマー(新中村化学工業株式会社製、商品名「NKオリゴUA−160TM」)27質量%、官能基当量が150程度の紫外線硬化性アクリレートモノマー(新中村化学工業株式会社製、商品名「NKエステルA−DCP」)9質量%、チオールモノマー(SC有機化学株式会社製、商品名「PEMP」)9質量%、光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASF社製、商品名「IRGACURE184」)1質量%を均一に混合し、紫外線硬化性樹脂組成物1(塗料A)を得た。
また支持層(クリーンテック社製フロートガラス、厚み:0.7mm)の片面に、シリコーン樹脂(信越化学工業株式会社製、商品名「KS−847」)97質量%と白金触媒3質量%とをメチルエチルケトン(MEK)で希釈したシリコーン塗料をバーコーターでコートした後に150℃で10分熱処理することによって、離型処理を施し、支持層上に離型層を形成した。
その後、ガラス層(日本電気硝子株式会社製、商品名「OA−10G」、厚み:50μm)と支持層の離型層形成側との間に塗料Aを挟んだのち、ニップロールを通すことによって、ガラス層、塗料A、離型層、及び支持層を一度に積層した。また使用したガラス層は70mm×80mm、樹脂層、離型層、及び支持層は100mm×100mmの大きさで、樹脂層及び支持層を外形範囲が一致するように配置し、且つ、ガラス層が樹脂層の端部から5mm以上内側に位置するように配置した。
さらにガラス層側から高圧水銀ランプ(積算光量:580mJ/cm2)を照射するこ
とによって、塗料Aからなる層を硬化させ、支持層側から、支持層、離型層、厚み50μmの樹脂層、ガラス層の順に積層された支持層付きガラス積層体1を得た。得られた支持層付きガラス積層体1について、各種評価を行った。結果は表1に示す。
[製造例2]
図4に示す層構成を有する支持層付きガラス積層体を製造した。
具体的には、支持層(クリーンテック社製フロートガラス 厚み0.7mm)の上にバーコーターで硬化後の厚みが3μmになるように、密着層の未硬化物として紫外線及び熱硬化性エポキシ系樹脂(ADEKA社製、商品名「KRX−690−5」)を塗布し、さらに、樹脂層として熱可塑性のETFEフィルム(旭硝子社製 商品名「アフレックス」、厚み:25μm、片面コロナ処理済)のコロナ未処理面を密着層の塗布面に向けてハンドロール(硬度:90°)で支持層上にラミネートした。
高圧水銀ランプ(積算光量:370mJ/cm2)を照射し、その後、熱風循環式乾燥
機で150℃30分間熱処理することで、紫外線及び熱硬化性樹脂組成物を硬化させ、密着層を得た。
ETFEフィルムのコロナ処理面側に、接着層の未硬化物として前述の紫外線及び熱硬化性エポキシ系樹脂(ADEKA社製、商品名「KRX−690−5」)をバーコーターで硬化後の厚みが3μmになるように塗布した後に、ガラス層(日本電気硝子社製 商品名「OA−10G」 厚み:50μm)を、ガラス板の中心と合わせるようにして、塗布面上にラミネートし、高圧水銀ランプ(積算光量:370mJ/cm2)を照射し、その
後、熱風循環式乾燥機で150℃1時間熱処理することで、紫外線及び熱硬化性樹脂組成物を硬化させた。
このようにして支持層側から、密着層、樹脂層、接着層、ガラス層の順に積層された支持層付きガラス積層体2を得た。また使用したガラス層は70mm×80mmの大きさ、接着層、樹脂層、密着層、及び支持層は100mm×100mmの大きさで、接着層、樹
脂層、密着層、及び支持層を外形範囲が一致するように配置し、且つガラス層が、樹脂層の端部から5mm以上内側に位置するように配置した。得られた支持層付きガラス積層体2について、各種評価を行った。結果は表1に示す。
なお、樹脂層とガラス層との間の剥離強度の測定において、ガラスから剥離する前に樹脂層が破断してしまった。樹脂層が破断する際の引っ張り強度は28N/50mm以上であった。
[製造例3]
ガラス層、樹脂層、離型層、及び支持層が100mm×100mmの大きさで、すべての層の外形範囲が一致するように積層した以外は製造例1と同様に作製し、支持層付きガラス積層体3を得た。
得られた支持層付きガラス積層体3について、各種評価を行った。結果は表1に示す。
[実施例]
上記製造例1及び2により得られた支持層付きガラス積層体1及び2について、図3に示す方法により、支持層を剥離した。この際、刃状工具としてはカッターナイフを用いて樹脂層の一部を剥離し、該剥離部分を指で把持して剥離を試みた。
結果、支持層付きガラス積層体1及び2ともに、途中でガラス層が割れることなく、また、クラックが入ることなく、支持層から剥離することができた。
[比較例]
上記製造例3により得られた支持層付きガラス積層体3について、樹脂層と支持層の間にカッターナイフを挿入して、樹脂層の一部を剥離した。さらに該剥離部分を指で把持すると、ガラス層が破損した。
Figure 2017001364
100、200 支持層付きガラス積層体
10、20 ガラス層
11、21 樹脂層
12、22 支持層
13 ガラス層の外形範囲(実線範囲)
14 樹脂層の外形範囲(実線範囲)
17 刃状工具
18 把持具
19 離型層
25 接着層
26 密着層

Claims (9)

  1. 少なくとも、支持層、樹脂層、及び厚み10μm以上、200μm以下のガラス層をこの順に備え、該樹脂層の少なくとも一部が該ガラス層の外形範囲を超えて形成されている支持層付きガラス積層体から、樹脂層及びガラス層を含むガラス積層体を剥離する方法であって、
    少なくとも、支持層、樹脂層、及び厚み10μm以上、200μm以下のガラス層をこの順に備え、該樹脂層の少なくとも一部が該ガラス層の外形範囲を超えて形成されている支持層付きガラス積層体を準備する工程、
    前記ガラス層の外形範囲を超えて形成された樹脂層の少なくとも一部を支持層から剥離する工程、及び
    剥離した樹脂層を把持して、樹脂層及びガラス層を有するガラス積層体を支持層から剥離する工程、を備える、ガラス積層体の剥離方法。
  2. 前記ガラス層が、樹脂層の外形範囲内に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のガラス積層体の剥離方法。
  3. 前記樹脂層の引張破断強度が10MPa以上、300MPa以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス積層体の剥離方法。
  4. 前記樹脂層の引張破断伸度が5%以上、500%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス積層体の剥離方法。
  5. 前記樹脂層の引張弾性率が50MPa以上、2500MPa以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラス積層体の剥離方法。
  6. 前記樹脂層と支持層との間の剥離強度が0.1N/50mm以上、5N/50mm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラス積層体の剥離方法。
  7. 前記樹脂層が熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のガラス積層体の剥離方法。
  8. 前記樹脂層が硬化性樹脂組成物を硬化させて形成されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のガラス積層体の剥離方法。
  9. 少なくとも、支持層、樹脂層、及び厚み10μm以上、200μm以下のガラス層をこの順に備え、該樹脂層の少なくとも一部が該ガラス層の外形範囲を超えて形成されている支持層付きガラス積層体を準備する工程、
    準備した支持層付きガラス積層体のガラス層上に電子デバイス部材を形成する工程、
    前記ガラス層の外形範囲を超えて形成された樹脂層の少なくとも一部を支持層から剥離する工程、及び
    剥離した樹脂層を把持して、樹脂層及びガラス層を含むガラス積層体を支持層から剥離する工程、を備える、電子デバイスの製造方法。
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